主文 1 被告は,各原告に対し,それぞれ,440万1900円及びこれに対する平成12年9月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,これを10分し,その1を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。 4 この判決第1項は仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 原告の請求被告は,各原告に対し,それぞれ494万8199円及びこれに対する平成12年9月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告らが,被告に対し,脱退による持分の払戻金及び遅延損害金(支払催告の日の翌日からの民事法定利率年5分の割合)の支払を求める訴訟である。 1 前提事実(争いのない事実及び証拠によって容易に認められる事実)(1) 当事者についてア被告は,中小企業等協同組合法に基づく協同組合であり,名古屋市中央卸売市場北部市場において,青果仲卸業者の資格を有し,かつ,青果物(加工品を含む。)の仲卸売を行う事業者を組合員とし,組合員のためにする取引代金の決済に関する精算事業等の事業を行っている。 平成12年3月31日における被告の出資総口数は7200口(出資1口の金額1万円)であった。 イ原告らは,いずれも,昭和58年6月以来被告の組合員であったが,平成11年12月13日,被告に対して脱退(自由脱退)の届出をしたため,平成11年事業年度の終わりである平成12年3月31日をもって脱退の効力が生じて(中小企業等協同組合法18条,甲2の被告定款12条),被告を脱退した(以下「本件各脱退」という。)。 (2) 被告設立の経緯等ア被告は,昭和48年4月2日,当時a町に存在した名古屋市中央卸売市場枇杷島市場内の青果物の仲卸業者によって設立された中小企業等協同組合 (以下「本件各脱退」という。)。 (2) 被告設立の経緯等ア被告は,昭和48年4月2日,当時a町に存在した名古屋市中央卸売市場枇杷島市場内の青果物の仲卸業者によって設立された中小企業等協同組合法に基づく協同組合であり,設立当時の組合員は61名であり,各組合員の設立に際しての出資は100口,100万円であった。 イ昭和58年3月,卸売市場が現在の愛知県西春日井郡b町に移転したのに伴い,被告もその市場内の現在地に移転したが,移転に際し,市場規模を拡大するとの名古屋市の方針により,仲卸業者数の増加が図られ,原告ら8名を含む13名が新たに被告に加入した(以下,この時期に被告に加入した組合員を「途中加入組合員」といい,被告設立時からの組合員を「原始組合員」という。)。 途中加入組合員は,加入時に100口,100万円の出資をしたほか,被告定款10条2項による加入金として550万円を加入年度から4年間に分割して被告に払い込んだ(以下,この金員を「本件加入金」という。)。《甲2,乙1の1,2》ウところが,平成11年になって,被告組合員の一部から,被告の運営方針に対する異論などから,被告を2分すべきであるとの意見が生じて,順次グループが形成され,同年12月13日には72名の組合員のうち原告らを含む39名が被告に脱退届を提出し,これら脱退者は,新たに名古屋北部青果第一仲卸協同組合(以下「第一組合」という。)を結成し,名古屋北部市場内において被告と同様の業務を行っている。 上記脱退者39名のうち原告らは,いずれも途中加入組合員であり,他の脱退者は,原始組合員であった。 (3) 原告らの持分払戻請求権の存在ア原告らは,いずれも,被告の組合員として,被告に対し,100口,100万円の出資をした者であるから,各自100口の持分を有する。 イ被告定款14 であった。 (3) 原告らの持分払戻請求権の存在ア原告らは,いずれも,被告の組合員として,被告に対し,100口,100万円の出資をした者であるから,各自100口の持分を有する。 イ被告定款14条は,「組合員が脱退したときは,その持分の全額を払い戻すものとする。」と規定し,また,同23条1項は,「組合員の持分は,本組合の正味財産につき,その出資口数に応じて算定する。」と規定しているから,原告らは,本件各脱退により,それぞれ,平成12年3月31日現在での被告の正味財産(以下「本件正味財産」という。)につき,その持分100口に応じた金額全額の払戻請求権を有する。 ウなお,被告定款23条2項は,「持分算定に当たっては,100円未満のは数(端数)は切り捨てるものとする。」と規定している。 (4) 被告の財産ア平成12年3月31日現在での被告の財産(以下「本件被告財産」という。)は,同年5月29日の被告総会において被告の平成11年事業年度の決算が承認されたことにより,別紙貸借対照表のとおり確定された。 イ本件被告財産は別紙貸借対照表のとおりであるところ,原告らの持分払戻金算出の基礎となる本件正味財産を構成する各財産のうち,別紙貸借対照表の資産の部の固定資産のうちの後記ウの土地の価格を除く他の資産及び負債についての価格は,別紙貸借対照表記載の金額と同一である(本件訴訟における合意事項)。 上記土地の価格(時価)については,後記のとおり争いがある。 ウ被告は,平成12年3月31日当時被告が所有していた西春日井郡b町大字c字de番宅地2044.15平方メートル(以下「本件土地」という。)を,同年9月25日,代金2億4734万2150円で尾張土地開発公社に売却した(以下,この売買を「本件土地売買」という。)。 (5) 原告らによる持分払戻金請求と被 ートル(以下「本件土地」という。)を,同年9月25日,代金2億4734万2150円で尾張土地開発公社に売却した(以下,この売買を「本件土地売買」という。)。 (5) 原告らによる持分払戻金請求と被告による持分払戻金支払の通知ア原告らは,本件各脱退後,第一組合を通じて,被告に対して,その持分についての払戻しを請求していたが,平成12年9月20日,原告ら訴訟代理人弁護士が,原告らを代理して,被告に対し,その持分についての払戻しを請求した。《甲7,弁論の全趣旨》イ被告は,平成13年2月13日,原告ら8名を含む脱退者に対し,持分払戻金額の通知をしたが,その金額は,原始組合員である脱退者に対しては出資1口当たり3万7411円,原告ら途中加入組合員である脱退者に対しては出資1口当たり2万8864円として計算した金額であり(乙2の9),両者の相違は,本件被告財産のうちの本件土地の価格を,原始組合員である脱退者については時価(路線価)により,原告ら途中加入組合員である脱退者については簿価(別紙貸借対照表の記載の金額)によることとしたためであった。 2 争点(1) 原告らの持分払戻金の額を算出するに当たって,本件正味財産(純資産)の価格を時価でなく,簿価とすることの当否(被告の主張)ア原告らは,卸売市場がf町から現在地に移転した際に新たに加入した途中加入組合員であり,加入に当たって,従前からの組合員と同様100口,100万円の出資をしたほか,本件加入金として550万円を支払ったが,そのうち65万円のみが,原始組合員と途中加入組合員との間の出資持分の価格調整を目的として,昭和57年度の決算による簿価での正味資産価格により算定された金額であり(以下,この65万円を「本件調整金」という。),会計上資本積立金(資本準備金)に計上され,将来途中加入組 格調整を目的として,昭和57年度の決算による簿価での正味資産価格により算定された金額であり(以下,この65万円を「本件調整金」という。),会計上資本積立金(資本準備金)に計上され,将来途中加入組合員が脱退する場合においても返還をされないものである。 このような本件調整金の算定方法から明らかなように,被告と途中加入組合員は,脱退時の簿価による正味財産価格につき出資割合に応じて払戻金の額を算出する旨合意し,被告は,同合意の下に,原告ら途中加入組合員の加入を承認したのであり,その後の途中加入組合員の脱退に当たっても,脱退時の簿価による正味財産価格により持分払戻金の額を算出して,これを支払ってきた。 イこのように,途中加入組合員については,加入時及び脱退時の双方において,簿価による正味財産価格によって持分計算する取扱いがされてきたのであるから,原告らのみについて,その払戻金の額を時価による正味財産価格によって算出することは,原始組合員のみならず,既に脱退した組合員との関係でも不公平な取扱いとなって,到底許されない。 ウなお,本件加入金550万円のうち本件調整金を除いた485万円は,上記アの調整目的以外の負担金であり,その詳細は別紙「新加入組合員の出資金及び加入金試算表(乙1の4)中の「3 加入協力金」欄及び「4 登記その他手数料」欄記載のとおりである。 (原告らの主張)ア原告らは,被告に加入するに当たって,本件加入金550万円を支払っているから,この支払により,原始組合員との間の被告に対する実質的な出資上の不足の調整も終わっている上,昭和48年に購入された本件土地の値上がりは原告らの加入後のことである。 イ被告の定款上,脱退組合員の持分払戻しにつき,原始組合員と途中加入組合員とを区別する規定はないから,脱退時の持分払戻金の額の計算にお に購入された本件土地の値上がりは原告らの加入後のことである。 イ被告の定款上,脱退組合員の持分払戻しにつき,原始組合員と途中加入組合員とを区別する規定はないから,脱退時の持分払戻金の額の計算において,両者を区別すること自体が違法かつ不当な差別である。 従前の途中加入組合員に対する脱退時の持分払戻金の額が簿価による正味財産価格によって計算された金額であったとしても,それは,誤った処理であり,それぞれの事情で異議申立てがなかった結果にすぎない。 ウ原告らの主張に従って原告らの持分払戻金の額を計算すると,原告ら各自の持分払戻金額はいずれも494万8199円となる。 すなわち,本件被告財産は,別紙貸借対照表のとおりであり,その時価は,本件土地の時価を2億4734万2150円とするほかは,同表の金額欄記載の金額のとおりであるから,被告の正味財産(資産-負債)の価格は,次の計算式により,3億5627万0353円となり,したがって,その7200口分の100口は494万8199円となる。 (計算式){5億9087万5627円-9890万0288円(本件土地の帳簿価格)+2億4734万2150円(本件土地の時価)}-3億8304万7136円=3億5627万0353円(2) 平成12年3月31日当時の本件土地の価格はいくらか。 (原告らの主張)平成12年3月31日当時の本件土地の価格は2億4734万2150万円である。 このことは,不動産業者が1坪当たり40万円で買い受ける旨の不動産買受申込書(甲6)を発行していること,及び被告が平成12年9月25日にした本件土地の売買の代金額が上記金額であったこと(上記1(4)ウ)から明らかである。 (被告の主張)ア平成12年3月31日当時の本件土地の価格は,路線価(相続税の課税標準額)である1坪当たり33万円で 土地の売買の代金額が上記金額であったこと(上記1(4)ウ)から明らかである。 (被告の主張)ア平成12年3月31日当時の本件土地の価格は,路線価(相続税の課税標準額)である1坪当たり33万円である。 イ本件土地が平成12年9月25日に尾張土地開発公社に対して原告主張の代金で売却できたことについては,被告が本件土地を西春日井郡b町に対して「ふれあい広場」として格安に提供してきたことなどの被告と同町との特別な関係の存在,並びに被告役員が,売却の目的が持分払戻金捻出のために必要であることを訴えて,高価売却のために格別の努力をしたことによるものであって,上記代金額が平成12年3月31日当時の本件土地の価格を表すものではない。 (3) 原告らの持分払戻金の額の算出に当たって控除される金額の有無(被告の主張)仮に原告らに対する持分払戻金の額の算出に当たって,本件被告財産の価格を簿価でなく,時価で算出すべきものであるとしても,その算出に当たっては,次の金額が本件被告財産の資産価格から控除されるべきである。 ア本件土地の売買に伴う法人税等の増加額被告は,平成12年3月31日当時の資産状態から,同日後すみやかに原告らに対して持分払戻金を支払うためには,被告所有の本件土地を売却してその資金を調達するほかなかったため,本件土地を平成12年9月25日に尾張土地開発公社に対して2億4734万2150万円で売却したが,このことにより,被告は,平成12年度において,乙26のとおり,本件土地を売却しなかった場合に比べて,法人税等として3933万0700円もの多額の税金を納付することになった。 この納税額は,被告が,原告らに持分払戻金のための支払資金を調達するため,本件土地を売却して現金化するほかなかったことに基づく経費であるから,原告らの持分払戻金の額の算定の を納付することになった。 この納税額は,被告が,原告らに持分払戻金のための支払資金を調達するため,本件土地を売却して現金化するほかなかったことに基づく経費であるから,原告らの持分払戻金の額の算定の際の基礎となる本件被告財産の資産価格から控除すべきものである。仮にこれを控除しないとすると,同納税額を残存組合員のみが負担することになって,原告らは残存組合員の負担で不当な利得をすることになって,公平を欠くことになる。 イ原告らの脱退時に被告が解散したと仮定した場合に被告役員及び職員に支払われるべき退職金慰労金及び退職金相当額被告には,職員につき退職金支給規定(昭和49年3月1日制定),役員につき役員退職慰労金支給規定(昭和50年8月1日制定)が存在し,過去における支給実績も存在するから,原告らの脱退時に被告が解散したと仮定した場合に被告役員及び職員に支払われるべき退職金慰労金及び退職金相当額は,条件付債務ではあるが,支出の蓋然性の大きい債務として,原告らの持分払戻金の額の算定の際の基礎となる本件被告財産の資産価格から控除すべきである。 そして,原告らが脱退した平成12年3月31日,被告にあっては,事務職員4名のうちA,B及びCの3名が退職し,それぞれ退職金を支払ったが(乙28の1,2),その支払資金は,負債計上していた退職金引当金の取崩しによるものであったたため,同日時点での被告の貸借貸借表で負債処理済みの金額であった。しかし,事務職員のDが在職しているところ,同人の同日における退職金相当額は19万9500円である。 ウ原告らの脱退時に被告が解散・清算したと仮定した場合,その清算所得に賦課される公租公課相当額被告は,「小規模事業者の公正な経済活動の機会を確保し,自主的な経済活動を促進し,経済的な地位の向上を図る」(中小企業等協同組合法1 ・清算したと仮定した場合,その清算所得に賦課される公租公課相当額被告は,「小規模事業者の公正な経済活動の機会を確保し,自主的な経済活動を促進し,経済的な地位の向上を図る」(中小企業等協同組合法1条)ことを目的とする協同組合であって,非営利団体であるとともに,同業者等共通の要素を持った企業者の集合であるから,その組織は組合員が共有する個性を離れて存在する意味のない組織であるため,このような組織としての被告の「事業の継続を前提として,なるべく有利に組合財産を一括譲渡する場合の価額を算定する」(最高裁昭和44年12月11日判決)ことなどできるものではない。 したがって,原告らの脱退時に被告が解散して清算したと仮定した場合,その清算所得に賦課される公租公課相当額は,原告らの持分払戻金の額の算定の際の基礎となる本件被告財産の資産価格から控除すべきものである。 そして,上記公租公課相当額は2998万2200円となる(乙27)。 (原告らの主張)ア本件土地の売買に伴う法人税等の増加額の控除について被告は,本件土地を売却したことにより,平成12年度において,本件土地を売却しなかった場合に比べて,法人税等として3933万0700円もの多額の税金を納付することになったことは認める。 しかし,本件土地は,原告らが脱退した平成12年3月31日時点では被告の資産として存在したのであるから,原告らの持分払戻金算定の際の基礎となる本件被告財産の価格は,本件土地が被告の資産として存在するものとして時価評価して算定すべきものである。 被告が,原告らに対して持分払戻金の支払をするために,どのような方法をとるかは,被告の自由であり,本件土地の売却はその一方法にすぎず,他の方法を選択する可能性もあったのであるから,被告が,原告らの脱退後に,原告らが被告の運営に関与できない るために,どのような方法をとるかは,被告の自由であり,本件土地の売却はその一方法にすぎず,他の方法を選択する可能性もあったのであるから,被告が,原告らの脱退後に,原告らが被告の運営に関与できない状態で選択した一方法である本件土地の売却により,被告が納付することになった上記納税額を脱退後の原告らが負担するいわれはない。 イ原告らの脱退時に被告が解散したと仮定した場合に被告役員及び職員に支払われるべき退職金慰労金及び退職金相当額の控除について被告には,職員につき退職金支給規定(昭和49年3月1日制定)が存在すること及び役員につき役員退職慰労金支給規定(昭和50年8月1日制定)が存在したことは認める。 しかし,役員退職慰労金支給規定は平成2年頃に廃止され,その後は役員に対して退職慰労金が支給されたことはない。 また,職員に支払われるべき退職金については,決算書類上,退職給与引当金が毎年負債計上されているため,原告らの持分払戻金の額の算定の際の基礎となる本件被告財産の資産額から控除する必要はない。 ウ原告らの脱退時に被告が解散して清算したと仮定した場合,その清算所得に賦課される公租公課相当額の控除について被告は,近い将来解散する予定はなく,清算所得に対する法人税等が課税される現実的な見込みはない。 したがって,原告らの脱退時に被告が解散して清算したと仮定した場合,その清算所得に賦課される公租公課相当額は,原告らの持分払戻金の額の算定の際の基礎となる本件被告財産の資産価格から控除すべきものではない(最高裁昭和54年2月23日判決)。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)について(1) 被告は,中小企業等協同組合法に基づいて設立された事業協同組合であるところ,同法20条は,組合員が,同法18条に定める脱退(自由脱退)をしたときは,定款により る判断 1 争点(1)について(1) 被告は,中小企業等協同組合法に基づいて設立された事業協同組合であるところ,同法20条は,組合員が,同法18条に定める脱退(自由脱退)をしたときは,定款により定めるところにより,その持分の全部又は一部の払戻しを請求することができ(同条1項),同持分は,脱退した事業年度の終わりにおける組合財産によって定める(同条2項)ものとしているが,同組合財産の価格の評価ないし算定方法に関して規定するところはない。また,組合員が自由脱退した場合の持分払戻しについての被告定款の定めは,前記第2,1(3)イ及びウのとおりであって,被告定款(甲2)を精査しても,被告定款23条1項の「正味財産」の価格を簿価により算定すべきか,時価により算定すべきか等,その評価ないし算定方法に関して規定するところはない。 そうすると,原告らが被告から自由脱退した場合の原告らの持分払戻しについては,総組合員の同意等の特段の事情のない限り,脱退した事業年度の終わりにおける組合財産,すなわち本件被告財産の価格の評価は,被告の損益計算の目的で作成される,いわゆる簿価(帳簿価格)によるべきものではなく,協同組合としての事業の継続を前提として,なるべく有利にこれを一括譲渡する価額を基準とすべきものであるから,脱退した事業年度の終わりにおける価格(時価)によるべきものである(最高裁判所昭和44年12月11日判決・民集23巻12号2447頁参照)。 (2) 被告は,上記(1)の特段の事情として,前記第2,2(1)の被告の主張欄のとおり主張するが,その要旨は,被告と途中加入組合員との間には,途中加入組合員の加入時において,途中加入組合員が脱退するときの持分払戻金の額につき,脱退時の被告財産を簿価で評価して計算した正味財産の価格に基づき算出する旨の合意があ と途中加入組合員との間には,途中加入組合員の加入時において,途中加入組合員が脱退するときの持分払戻金の額につき,脱退時の被告財産を簿価で評価して計算した正味財産の価格に基づき算出する旨の合意があり,このことは,原告ら途中加入組合員が,被告加入時に支払った本件加入金550万円のうち原始組合員との出資持分の価格調整目的分は,加入時の被告財産を簿価で評価して計算した正味財産の価格を算出し,原始組合員一人当たりの持分払戻金の額を計算した金額相当額である65万円にすぎないことから明らかである,というものである。 アしかし,前記第2,1の事実並びに証拠(甲1,3,4,乙1の1ないし7,乙3の1ないし5,乙4の1ないし6,乙8の1ないし3,乙16,乙17の1ないし14,乙18の1ないし14,乙20,証人A,証人E)によれば,被告は,被告設立後間もなくの昭和48年5月,本件土地を代金9275万4000円で買い受けたこと,同代金額に取得時の経費額を加算した9890万円が被告の貸借対照表の資産の部の土地の金額欄に記載されている金額であり,これがいわゆる簿価であること,原告ら途中加入組合員は,その加入時において,原始組合員と同額の出資をするものとして,出資金100口,100万円のほかに,被告定款10条により被告が定めた加入金として550万円を支払ったこと,同加入金550万円は,被告が別紙「新加入組合員の出資金及び加入金試算表」の2ないし4記載の計算方法により算出した金額であり,同表の「2 加入金」欄の額65万円は,加入時の被告財産を簿価で評価して計算した正味財産の価格を基にして,原始組合員一人当たりの持分払戻金の額を計算した金額であり,同表の「3 加入協力金」欄の(1)ないし(4)の金額は,いずれも,名古屋市から被告に対する各種の補助金が既存の原始組合 産の価格を基にして,原始組合員一人当たりの持分払戻金の額を計算した金額であり,同表の「3 加入協力金」欄の(1)ないし(4)の金額は,いずれも,名古屋市から被告に対する各種の補助金が既存の原始組合員を対象としたもので,途中加入組合員はただその恩典を受けるだけであるとの立場から,途中加入組合員に負担を求めることとした金額であり,また,同表の「3 加入協力金」欄の「(5)組合土地負担金」としての157万5000円は,本件土地の取得後の地価の値上がり分及び本件土地取得のための購入資金調達等の関係で既存の原始組合員が負担した利息分を途中加入組合員にも負担を求める趣旨で,本件土地の購入代金額を原始組合員数で除して計算した金額であり(被告代表者の陳述書である乙16には,この157万5000円全額が上記利息分であり,地価の値上がり分は全く含まれていない旨の陳述記載があるが,証人Eに対する反対尋問にもあるとおり,原始組合員が本件土地購入資金調達のために被告に預けた合計90万円は昭和62年2月に全額返済されているところ,計算上,この157万5000円全額が上記利息分であるということはできないから,地価の値上がり分も含めて同金額とされたものと認めるのが相当である。),同表の「4 加入手数料」としての18万円は,登記その他の手数料であって,途中加入組合員のための立替金的な性質のものであったこと,被告は,途中加入組合員から支払のあった本件加入金550万円のうち上記18万円を除く532万円の全額(これには本件調整金も含まれるが,これと区別することなく)を,被告定款52条に従って,資本準備金として積み立てる経理処理をしてきたこと,被告の経理担当者は,途中加入組合員の加入時の直後頃,本件加入金のうち上記532万円の経理処理について検討した結果,上記のとおり,資 52条に従って,資本準備金として積み立てる経理処理をしてきたこと,被告の経理担当者は,途中加入組合員の加入時の直後頃,本件加入金のうち上記532万円の経理処理について検討した結果,上記のとおり,資本準備金として積み立てるが,途中加入組合員の脱退時には,上記532万円のうち上記加入協力金分467万円(同表の「3 加入協力金」欄の合計金額)は,これを被告に留保して,脱退した途中加入組合員には払戻しをしないとの方針を立てたこと,しかし,被告は,その後被告を脱退した組合員について,それが途中加入組合員の場合でも,原始組合員の脱退の場合と同様に,簿価で被告財産を評価した上ではあるが,資本準備金からも払戻しをする処理をしていることが認められる。 イ上記アの事実によれば,被告は,途中加入組合員の加入に当たって,途中加入組合員が原始組合員と同額の出資をして,被告財産に対して同一の持分を取得することを前提として,原始組合員の有する持分との間の実質的な価格調整を目的として,途中加入組合員から定款10条所定の加入金を徴収することとしたものであり,本件加入金の額550万円は,その額が結果的に同目的を達するために十分な額であったかどうかはともかくとして,被告が同目的から途中加入組合員に対して支払を求めた金額であったから,原告ら途中加入組合員が,原始組合員と同額の出資金を支払うとともに,被告が定めた本件入会金全額を支払った以上,原始組合員と同一の出資者として,被告財産に対して同一の持分を有することになったものというべきことは明らかである。 そして,本件加入金のうち本件調整金65万円が簿価での被告財産を評価して算出された金額であることは上記アで認定したとおりであるが,本件加入金の額が簿価で評価した被告財産の正味財産から純粋に算出されたものでないことは,本件調整 件調整金65万円が簿価での被告財産を評価して算出された金額であることは上記アで認定したとおりであるが,本件加入金の額が簿価で評価した被告財産の正味財産から純粋に算出されたものでないことは,本件調整金のほかに,本件加入金のうちの「加入協力金」の「組合土地負担金」として157万5000円を加算している一事からでも明らかである。したがって,本件調整金が簿価での被告財産を評価して算出された金額であるからといって,当然に,被告と途中加入組合員との間で,途中加入組合員の加入時において,途中加入組合員が脱退するときの持分払戻金の額につき,脱退時の被告財産を簿価で評価して計算した正味財産価格に基づき算出する旨の合意があったとの事実を推認させるものではない。 なお,上記アのとおり,被告の経理担当者は,途中加入組合員の加入時の直後頃,本件加入金のうち「加入金」及び「加入協力金」分の合計532万円の経理処理について検討した結果,資本準備金として積み立てるが,途中加入組合員の脱退時には,上記532万円のうち「加入協力金」分467万円は,これを被告に留保して,脱退した途中加入組合員には払戻しをしないとの方針を立てたのであるが,この方針自体は,途中加入組合員が自由脱退した場合の持分払戻金の額の算定に当たって,被告財産を簿価で評価するか否かとは直接に関係しない事柄であるから,仮にこの点について途中加入組合員に対して説明があって,途中加入組合員が同説明を了承した事実があったとしても,途中加入組合員が,途中加入組合員が脱退した場合の持分払戻金の額の算定に当たって,被告財産を簿価で評価することに同意したということにはならない。 ウまた,上記アの冒頭に記載した証拠によれば,原告らが被告に加入した後,被告を脱退した組合員が3名あり,それが途中加入組合員の場合でも,原始組 簿価で評価することに同意したということにはならない。 ウまた,上記アの冒頭に記載した証拠によれば,原告らが被告に加入した後,被告を脱退した組合員が3名あり,それが途中加入組合員の場合でも,原始組合員の脱退の場合でも,その持分払戻金の額は,被告財産を簿価で評価して計算した正味財産に基づいて算定され,そのことについて原告らを含む組合員から異議が出たことがなかったことが認められる。 しかし,証拠(証人A,証人E)によれば,被告において,脱退した組合員の持分払戻金の額の算定に当たって,被告財産を簿価で評価して計算した正味財産価格に基づいて算定することの当否について,総会等において正式な議題として取り上げられて,議決されたことはなかったことが認められるから,過去の3事例についての上記事実をもって,途中加入組合員のみが,途中加入組合員が脱退した場合の持分払戻金の額の算定に当たって,被告財産を簿価で評価することに同意していたなどいうことは到底できない。 (3)また,被告は,上記(2)ウで認定した3組合員の脱退において,その持分払戻金の額が被告財産を簿価で評価して計算した正味財産価格に基づいて算定され,そのことについて原告らを含む組合員から異議が出なかったとの事実から,本件各脱退による原告らの持分払戻金の額を,被告財産を時価で評価して計算した正味財産に基づいて算定するべきである旨の原告ら主張に従って原告らの持分払戻金の額を算定することは,既に脱退した組合員との関係で不公平な取扱いとなるから,到底許されない旨主張する。 しかし,上記(1)のとおり,特段の事情のない限りは,本件各脱退による原告らの持分払戻金の額は,被告財産を時価で評価して計算した正味財産価格に基づいて算定されるべきものであるところ,既に脱退した組合員がどのような理由や経緯で被告財産を簿 ない限りは,本件各脱退による原告らの持分払戻金の額は,被告財産を時価で評価して計算した正味財産価格に基づいて算定されるべきものであるところ,既に脱退した組合員がどのような理由や経緯で被告財産を簿価で評価して計算した正味財産に基づいて算定された持分払戻金の額を了承したのか証拠上不明であるから,既に脱退した組合員との関係で不公平であるということのみで,上記特段の事情があるということは到底できないから,被告の上記主張は採用できない。 (4)そうすると,本件各脱退による原告らの持分払戻金の額は,脱退した事業年度の終わりにおける組合財産である本件被告財産の価格の評価を,被告の損益計算の目的で作成される,いわゆる簿価(帳簿価格)によるべきものではなく,協同組合としての事業の継続を前提として,なるべく有利にこれを一括譲渡する価額を基準とすべきものであるから,脱退した事業年度の終わりにおける時価により行い,それにより計算される正味財産価格に基づき算定すべきものである。 2 争点(2)について(1) 本件土地は,前記第2,1(4)ウのとおり,原告らの脱退の効果が生じた平成12年3月31日から約6か月後の同年9月に代金2億4734万2150円で被告から売却されたものであるところ,証拠(甲6,7,証人A)によれば,同年6月にも,住宅建設会社が本件土地を上記売買代金額と同額で買い受けたい旨の不動産買受申込書(甲6)を作成して,その旨の意向を表明していたことが認められるから,平成12年3月31日当時の本件土地の価格は上記売買代金額と同額であったものと推認することができ,乙19の不動産鑑定評価書の記載も同推認を左右するに足りない。 (2) 被告は,本件土地の売買代金額は被告と買主等との特別の関係や被告役員の格別の努力により特に高額となったもので,平成12年3月 ,乙19の不動産鑑定評価書の記載も同推認を左右するに足りない。 (2) 被告は,本件土地の売買代金額は被告と買主等との特別の関係や被告役員の格別の努力により特に高額となったもので,平成12年3月31日当時の本件土地の価格は1坪当たり33万円であった旨主張し,被告提出の証拠(乙7の1,2,乙16,20,22,24,25,証人E)には同主張に沿う部分がある。 しかし,証拠(甲5の1,2)によれば,買主は,原告からの照会に対して,本件土地の売買代金の決定に当たって特別な事情はなかった旨回答していることが認められるから,被告の主張に沿う上記証拠はたやすく措信し難く,他に同主張を認めるに足りる証拠はない。 (3) したがって,平成12年3月31日当時の本件土地の価格は2億4734万2150円であったものと認めるのが相当である。 3 争点(3)について(1) 本件土地の売買に伴う法人税等の増加額を控除することの当否ア前記第2,1の事実並びに証拠(甲3,7,乙2の1ないし11,乙16,20,23,26,証人A,証人E)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,平成12年3月31日をもって,組合員72名のうち39名が集団的に脱退する事態となり,脱退する組合員らから持分払戻金の支払を請求され,その支払をする必要に迫られたが,その支払に要する資金が巨額であったこと(被告が認める一人当たりの持分払戻金の額によっても,その総額は,乙23の②のとおり,1億3906万5300円となる。),しかし,被告は,営利を目的とする企業ではないこと及び当時の資産状態から,本件土地を売却する以外に,上記巨額の資金を調達する目途がなかったこと,そのため,被告は,本件土地を平成12年9月に代金2億4734万2150万円で売却したこと,そして,本件土地の売却による固定資産売却益の発生に る以外に,上記巨額の資金を調達する目途がなかったこと,そのため,被告は,本件土地を平成12年9月に代金2億4734万2150万円で売却したこと,そして,本件土地の売却による固定資産売却益の発生により,被告は,平成12年度において,乙26のとおり,本件土地を売却しなかった場合に比べて,法人税,事業税,県民税及び町民税(以下「法人税等」という。)として合計3933万0700円もの多額の税金を納付することになったことが認められる。 原告は,被告が,原告らに対する持分払戻金の支払をするために,どのような方法で資金調達するかは,被告の自由であり,他の方法を選択する可能性もあった旨主張するが,被告について,本件土地の売却による以外に上記資金調達をする方法があったことを窺わせる証拠はない。 イ上記アの事実によれば,上記アの増加納税額は,被告が,原告らを含む脱退者に対して持分払戻金のための支払資金を調達するため,本件土地を売却して現金化するほかなかったことにより被告に生じた負担であるから,原告らの脱退の効果が生じた後にされた売買により発生したものではあるが,原告らの持分払戻金の額の算定においては,本件被告財産の資産価格から同額を控除するのが相当である(仮にこれを控除しないときには,同増加納税額を残存組合員のみが負担することになって,原告らとの間に看過できない不公平な結果を生ずることになる。)。 なお,本件土地は,原告らが脱退した平成12年3月31日時点では被告の資産として存在したのであるから,原告らの持分払戻金算定の際の基礎となる被告の正味財産の価格は,原則として,本件土地が被告の資産として存在するものとして時価評価して算定するをもって足るものというべきであるが,上記アで認定した事情の下にあっては,例外的に,脱退組合員と残存組合員との公平の観点から, として,本件土地が被告の資産として存在するものとして時価評価して算定するをもって足るものというべきであるが,上記アで認定した事情の下にあっては,例外的に,脱退組合員と残存組合員との公平の観点から,その後の本件土地の売却の事実及びそのことによる増加納税額の発生を考慮して,原告らの持分払戻金算定の際の基礎となる被告の正味財産の価格を定めることも許されるものと解する(民法681条3項参照)。 ウしたがって,原告らに対する持分払戻金の額の算出に当たっては,本件被告財産の資産価格から,上記増加納税額である3933万0700円を控除するのが相当である。 (2) 被告役員及び職員に支払われるべき退職金慰労金及び退職金相当額の控除の当否ア退職慰労金相当額について証拠(乙15,証人A)によれば,被告には,役員につき役員退職慰労金支給規定(昭和50年8月1日制定)が存在し,過去において,役員退職時に退職慰労金を支給したこともあったが,平成2年頃,同規定は廃止されたことが認められる。 したがって,原告らの脱退時に被告が解散したと仮定した場合に被告役員に支払われるべき退職金慰労金相当額を条件付債務として,原告らの持分払戻金の額の算定の際の基礎となる本件被告財産の資産価格から控除すべきである旨の被告の主張は,その前提を欠き,採用できない。 イ退職金相当額について(ア) 証拠(甲2,3,乙14,22,乙28の1,2,乙30,証人A,証人E)及び弁論の全趣旨によれば,被告には,職員につき退職金支給規定(昭和49年3月1日制定。以下「本件支給規定」という。)があり,職員が退職した場合には,本件支給規定に基づき算定された退職金(ただし,年金共済一時金分を控除した金額)を支給していること,そして,被告は,同退職金支払に備えて,被告定款58条に従って,退職給与引当 員が退職した場合には,本件支給規定に基づき算定された退職金(ただし,年金共済一時金分を控除した金額)を支給していること,そして,被告は,同退職金支払に備えて,被告定款58条に従って,退職給与引当金を計上していること,なお,同58条は,事業年度末ごとに,職員退職給与引当金として,職員給与総額の100分の3以上を計上する旨定めていること,被告は,別紙貸借対照表のとおり,平成11年度(平成12年3月31日期末)の事業年度の退職給与引当金として7万6400円を計上しているが,これは,同日に職員が自己都合で退職した場合に支払うべき退職金19万9500円の約38パーセントに当たる金額であること,本件支給規定には,懲戒解雇された職員に対しては退職金を支給しない旨の条項があること(同規定4条(2))が認められる。 (イ) ところで,退職給与は,その支給について支給規定等の法的な根拠があるときは,いわば給与の後払い的性質を有するものであるから,仮に原告らの脱退時に被告の職員が自己都合により退職した場合に同支給規定に基づき支払われるべき退職金相当額は,条件付債務として,これを合理的に評価して,原告らの持分払戻金の額の算定の際の基礎となる本件被告財産の資産価格から控除するのが相当である。 そして,仮に原告らの脱退時に被告の職員が自己都合により退職した場合に本件支給規定に基づき支払われるべき退職金相当額については,本件支給規定中の消極的受給資格の存在の故に,上記のとおり条件付債務である上,原告らの脱退時に現実に被告から支払われるわけではなく,現実の支払は原告らの脱退時から数年ないし十数年あるいはそれ以上先のことであって,それまでは,被告において運用することにより利益を得ることができることや法人税法上,その損金繰入れ限度額が,当該事業年度終了時に使用人全員が退 から数年ないし十数年あるいはそれ以上先のことであって,それまでは,被告において運用することにより利益を得ることができることや法人税法上,その損金繰入れ限度額が,当該事業年度終了時に使用人全員が退職したと仮定した場合に法人が支給すべき額の40パーセントとされていることを考慮すると,原告らの持分払戻金の額の算定の際の基礎となる本件被告財産の資産価格から控除するのを相当とする退職金相当額は,被告が平成11年度(平成12年3月31日期末)の事業年度の退職給与引当金として決算書(別紙貸借対照表)に計上している7万6400円とするのが相当である。 (ウ) したがって,原告らに対する持分払戻金の額の算出に当たっては,本件被告財産の資産価格から,上記7万6400円が控除されるべきであるが,この額は,上記(ア)及び(イ)のとおり,既に,被告の平成11年度(平成12年3月31日期末)の事業年度の退職給与引当金として別紙貸借対照表に負債として計上されているものである。 (3) 清算所得に賦課される公租公課相当額の控除の当否被告は,原告ら脱退時に被告が解散して清算したと仮定した場合の清算所得に賦課される公租公課相当額は,原告らの持分払戻金の額の算定の際の基礎となる本件被告財産の資産価格から控除すべきである旨主張する。 しかしながら,被告の上記主張は,次の理由で採用できない。 ア原告らの持分払戻金の額の算定の際の基礎となる本件被告財産の資産の評価は,被告の協同組合としての事業の継続を前提として,なるべく有利にこれを一括譲渡する価額を基準とすべきものであって,現実の解散による清算手続の一環として行うものはないから,被告が解散した場合であることを前提とする被告主張の清算所得に対する公租公課相当額を想定し,これを負債として計上すべきものではない(最高裁判所昭和54 による清算手続の一環として行うものはないから,被告が解散した場合であることを前提とする被告主張の清算所得に対する公租公課相当額を想定し,これを負債として計上すべきものではない(最高裁判所昭和54年2月23日判決・民集33巻1号125頁参照)。 なお,証拠(乙16,20,証人E)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,組合員72名のうち39名が集団的に脱退する事態となったが,現在(平成14年5月当時)においても,その事業を継続しており,近い将来に解散する予定はなく,したがって,近い将来において清算所得に対する法人税等が被告に課税される現実的な見込みはないことが認められる。 イもっとも,被告の上記主張を支持する見解も有力に存在する。 しかし,本件被告財産の資産の時価での評価(評価の仕直し)は,原告らの持分払戻金の額の算定の目的での観念的なものであり,そこで生じた評価益に対して清算所得課税が現実に行われるわけではないから,原告らの脱退時に被告が解散して清算したと仮定した場合の清算所得に賦課される公租公課相当額を,原告らの持分払戻金の額の算定の際の基礎となる本件被告財産の資産価格から控除するものとした場合には,結局,上記公租公課相当額の全額を被告の残存組合員の手元に留保してその運用に任せる一方,脱退する組合員の持分払戻金は上記公租公課相当額分のうちその持分割合分だけ減少することを意味することにほかならないのであるから,被告が近い将来に解散を予定しているために,近い将来において清算所得課税が実際に被告になされる見込みがある場合でない限りは(被告についてそのような事実が認められないことは上記アで認定したとおりである。),残存組合員と原告ら脱退組合員との間に著しい不公平な結果を生じさせるのである。 また,本件被告財産の資産の時価での評価(評価の仕直し)に うな事実が認められないことは上記アで認定したとおりである。),残存組合員と原告ら脱退組合員との間に著しい不公平な結果を生じさせるのである。 また,本件被告財産の資産の時価での評価(評価の仕直し)により観念的に生ずるものとされた清算所得は,原告らに対する持分払戻金の払戻しにより,その分減少するのであるから,観念的に被告に対して賦課されるべき清算所得に対する公租公課もそれだけ減少するはずのものであるが,被告の主張及びこれを支持する見解にあっては,その点の考慮を欠き,原告ら脱退時の清算所得相当額が被告が現実に解散して清算するときまで維持されるとすることを前提として,これに対して賦課されるものとする公租公課相当額の全額を,原告らの持分払戻金の額の算定の際の基礎となる本件被告財産の資産価格から控除すべきものであるとするのであり,この点でも,残存組合員と原告ら脱退組合員との間に不公平な結果を生じさせるのである。 したがって,被告の主張及びこれを支持する見解には左袒できない。 ウなお,被告は,被告が,非営利団体であるとともに,同業者等共通の要素を持った企業者の集合で,その組織が組合員が共有する個性を離れて存在する意味のない組織であるため,このような組織であるから,このような被告について「事業の継続を前提として,なるべく有利に組合財産を一括譲渡する場合の価額を算定する」ことはできない旨主張するが,本件被告財産の評価の基準についての考え方と現実の問題とを混同するものであって,採用できない。 第4 結論 1 以上によれば,原告らの各持分払戻金の額は,別紙計算書のとおり,それぞれ440万1900円となる。 したがって,原告らの請求は,原告らが,各自,持分払戻金440万1900円及びこれに対する支払催告後の平成12年9月21日から民事法定利率年5分の割合に とおり,それぞれ440万1900円となる。 したがって,原告らの請求は,原告らが,各自,持分払戻金440万1900円及びこれに対する支払催告後の平成12年9月21日から民事法定利率年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余は失当として棄却すべきである。 2 よって,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,64条本文,65条1項を,仮執行の宣言につき同法259条1項を各適用して,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第5部裁判官長門栄吉(別紙貸借対照表省略)(別紙新加入組合員の出資金及び加入金試算表省略)別紙計算書 1 資産合計7億3931万7489円 ………①(計算式)5億9087万5627円(別紙貸借対照表上の資産の部の総合計金額)-9890万0288円(同表上の本件土地の金額)+2億4734万2150円(本件土地の時価)=7億3931万7489円 2 負債合計4億2237万7836円 ………②(計算式)3億8304万7136円(別紙貸借対照表上の負債合計金額)+3933万0700円(事実及び理由の第3,3(1)ウの金額)=4億2237万7836円 3 各原告らの持分払戻金の額440万1900円(計算式)①-②=3億1693万9653円3億1693万9653円×100口/7200口=440万1939円100円未満の端数を切り捨てた金額440万1900円(被告定款23条2項により)以上
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