令和5(ワ)70731 不正競争行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年11月26日 東京地方裁判所
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令和7年11月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和5年(ワ)第70731号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日令和7年9月17日判決 原告株式会社オービック 同訴訟代理人弁護士横山経通堺 〇 有光子瀧 山 侑莉花 JapanOrbic合同会社(本店所在地:)訴訟承継人被告 JapanOrbic合同会社 主文 1 被告は、その営業上の施設又は活動に、別紙被告標章目録記載1ないし11の標章を使用してはならない。 2 被告は、別紙請求目録「番号」1ないし6の「標章」欄記載の標章を同「対象」 欄記載のものに付したものについて、同「行為」欄記載の行為をしてはならない。 3 被告は、別紙主文目録「番号」2の「標章」欄記載の標章を同「対象」欄記載のものから抹消せよ。 4 被告は、別紙請求目録「番号」7ないし12の「標章」欄記載の標章を同「対象」欄記載の商品若しくは役務に関する広告(パンフレット)若しくは取引書類 に付して、引き渡し、展示し、又は、これらを内容とする情報に同標章を付して、電磁的方法により提供してはならない。 5 被告は、別紙主文目録「番号」7ないし12-2の「標章」欄記載の標章を同「対象」欄記載の商品又は役務に関するパンフレット、取引書類及び同「URL」欄記載のウェブサイトから抹消せよ。 6 被告は、「JapanOrbic合同会社」の商号を使用してはならない。 7 被告は、別紙登記目録記載の商号の抹消登記手続をせよ。 8 原告のその余の請求をい ウェブサイトから抹消せよ。 6 被告は、「JapanOrbic合同会社」の商号を使用してはならない。 7 被告は、別紙登記目録記載の商号の抹消登記手続をせよ。 8 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 9 訴訟費用は、これを10分し、その1を原告の、その余は被告の負担とする。 10 この判決は、第1項、第2項、第4項及び第6項に限り、仮に執行すること ができる。 事実及び理由 第1 請求 1 主文1項、2項、4項、6項及び7項同旨 2 被告は、別紙請求目録「番号」2の「標章」欄記載の標章を同「対象」欄記載の ものから抹消せよ。 3 被告は、別紙請求目録「番号」7ないし12の「標章」欄記載の標章を同「対象」欄記載の商品又は役務に関するパンフレット、取引書類並びに同「URL」欄記載のウェブサイトから抹消せよ。 4 被告は、その営業上の施設又は活動に、「ORBIC」又は「Orbic」の文 字を含む標章及び商号を使用してはならない。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は、原告が被告に対し、①被告による別紙被告標章目録記載1ないし11の標章(以下「被告標章1」などといい、これらを「被告標章」と総称する。)の 使用が、原告の有する4件の商標権の侵害、又は原告の商品等表示に係る不正競 争(不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号又は2号)に当たるとして、商標法36条1項及び2項又は不競法3条1項及び2項に基づく商品及びその包装(以下「商品等」という。)並びに広告及び取引書類(以下「広告等」という。)についての被告標章の使用の差止め及び廃棄、②被告による「JapanOrbic合同会社」との商号(以下「被告商号」という。)の使用が、原告 の商品等表示に係る不正競争(同法2条 等」という。)についての被告標章の使用の差止め及び廃棄、②被告による「JapanOrbic合同会社」との商号(以下「被告商号」という。)の使用が、原告 の商品等表示に係る不正競争(同法2条1項1号又は2号)に当たるとして、同法3条1項及び2項に基づく被告商号の使用の差止め及び抹消登記手続、③上記①及び②の不正競争につき、同条1項に基づき、営業上の施設又は活動への被告標章の使用の差止め並びに「ORBIC」及び「Orbic」の文字を含む標章及び商号の使用の差止めを求める事案である(①における商標権に基づく請求と 不競法の各号に基づく請求、②③における不競法の各号に基づく請求の関係は選択的併合)。 被告は、第6回弁論準備手続期日に出頭したのを最後にその後の期日に出頭せず、令和7年1月30日付け準備書面⑷を最後に主張書面の提出も提出しない。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易 に認められる事実。書証は特記しない限り枝番を全て含む。以下同じ。)⑴ 当事者ア原告は、コンピュータのシステムインテグレーション事業、システムサポート事業等を営む株式会社であり、昭和43年4月に設立され、昭和49年1月に商号を「株式会社オービック」に変更し、現在に至っている。(甲1) イ被告は、通信、信号、表示、評定及び制御に関する電気、電子及び光電子製品及び設備、電子情報処理機器、測定機器及び遠隔監視機器及び設備、携帯電話、移動体通信端末及び周辺機器等の製品の設計、製造、組立、試験、技術認証等取得、販売、購入、輸入、輸出、代理販売等及び当該製品に関する工事、請負、修理サービス、設計、技術指導その他サービスの提供等を目的す る合同会社であり、令和6年10月1日、訴訟承継前の被告であるJa 販売、購入、輸入、輸出、代理販売等及び当該製品に関する工事、請負、修理サービス、設計、技術指導その他サービスの提供等を目的す る合同会社であり、令和6年10月1日、訴訟承継前の被告であるJapa nOrbic合同会社(令和4年9月15日設立。会社法人番号。以下「承継前被告」という。)を吸収合併するとともに、商号を「JapanOrbic合同会社」(被告商号)に変更し、現在に至っている。(甲2、28)⑵ 原告の商標権原告は、別紙商標権目録記載1ないし4の商標権を有する(以下「本件商標 権1」、その登録商標を「本件商標1」などといい、それぞれ「本件商標権」及び「本件商標」と総称する。)。(甲3、29)⑶ 被告の行為(甲16)ア被告(承継前被告を含む。)が販売・提供する商品及び役務並びにその販売・提供開始時期は別紙被告商品役務目録のとおりである(以下、同目録記載1 ないし4については、その番号に従い、「被告商品1」、「被告商品2⑴」などといい、被告商品2⑴及び⑵を総称するときは「被告商品2」といい、記載5については「被告役務」といい、これらを「被告商品等」と総称する)。 イ被告標章の商品等における使用は次のとおりである。 (ア) 被告標章1を被告商品1、2及び4の商品の包装に付して、販売、引き 渡し、販売又は引渡しのための展示、輸入及び電気通信回線を通じて提供した(別紙請求目録「番号」1に対応。)。 (イ) 被告標章2を被告商品1ないし4の商品及びその包装に付して、上記(ア)と同様の行為をした(同目録「番号」2に対応。)。 (ウ) 被告標章9を被告商品2⑴の、被告標章10を被告商品2⑵の商品の包 装に付して、販売、引き渡し、販売又は引渡しのための展示及び輸入をした(同目録「番号」3 目録「番号」2に対応。)。 (ウ) 被告標章9を被告商品2⑴の、被告標章10を被告商品2⑵の商品の包 装に付して、販売、引き渡し、販売又は引渡しのための展示及び輸入をした(同目録「番号」3に対応。)。 (エ) 被告標章11を被告商品1の包装に付して、上記(ウ)と同様の行為をした(同目録「番号」5に対応。)。 (オ) 被告標章7を被告商品4⑴に、被告標章8を被告商品4⑵に付して電気 通信回線を通じて提供した(同目録「番号」6に対応。)。 (カ) 被告商品3の商品及びその包装に被告標章2を、その包装に被告標章5を付しているが、被告商品3は未発売である(同目録「番号」2及び4に対応)。 (キ) 被告標章3、4及び6は商品等に付していない。 ウ被告標章の広告等における使用は次のとおりである。 (ア) 被告標章1及び2を被告商品等に関する広告等に付して、引き渡し、展示し、又は、これらを内容とする情報に同標章を付して、別紙請求目録「番号」7の「URL」欄記載のウェブサイトにおいて電磁的方法により提供した(同目録「番号」7に対応。)。 (イ) 被告標章9を被告商品2⑴に関する広告等に付して、同目録「番号」8 の「URL」欄記載のウェブサイトにおいて電磁的方法により提供した(同目録「番号」8に対応。)。 (ウ) 被告標章10を被告商品2⑵に関する広告等に付して、同目録「番号」9の「URL」欄記載のウェブサイトにおいて電磁的方法により提供した(同目録「番号」9に対応。)。 (エ) 被告標章5を被告商品3に関する広告等に付して、同目録「番号」10の「URL」欄記載のウェブサイトにおいて電磁的方法により提供した(同目録「番号」10に対応。)。 (オ) 被告標章11を被告商品1に関する広告等に付して、同 する広告等に付して、同目録「番号」10の「URL」欄記載のウェブサイトにおいて電磁的方法により提供した(同目録「番号」10に対応。)。 (オ) 被告標章11を被告商品1に関する広告等に付して、同目録「番号」11の「URL」欄記載のウェブサイトにおいて電磁的方法により提供した (同目録「番号」11に対応。)。 (カ) 被告標章7を被告商品4⑴及び被告役務⑴の、被告標章8を被告商品4⑵及び被告役務⑵の広告等に付して、同目録「番号」12の「URL」欄記載のウェブサイトにおいて電磁的方法により提供した。(同目録「番号」12に対応。)。 (キ) 被告標章3、4及び6は広告等に付していない(同目録「番号」8、9 及び11に対応)。 エ被告は、令和6年10月1日、別紙登記目録記載のとおり被告商号を登記し、同日以降、被告商号を使用している。(甲28) 3 争点⑴ 商品等及び広告等への被告標章の使用の差止め及び抹消請求の成否(争点1) ア不競法に基づく請求(ア) 原告の表示は著名又は周知の商品等表示であるか(争点1-1)(イ) 原告の表示と被告標章の類否(争点1-2)(ウ) 混同を生じさせる行為の有無(争点1-3)(エ) 営業上の利益を侵害されるおそれの有無(争点1-4) イ商標法に基づく請求(ア) 本件商標と被告標章の類否(争点1-5)(イ) 本件商標権の指定商品と被告商品等の類否(争点1-6)⑵ 被告商号の使用の差止め及び抹消登記手続請求の成否(争点2)⑶ 営業上の施設又は活動における被告標章の使用の差止請求の成否(争点3) ⑷ 営業上の施設又は活動における「ORBIC」又は「Orbic」の文字を含む標章及び商号の使用の差止請求の成否(争点4) 4 争点に関する当事 る被告標章の使用の差止請求の成否(争点3) ⑷ 営業上の施設又は活動における「ORBIC」又は「Orbic」の文字を含む標章及び商号の使用の差止請求の成否(争点4) 4 争点に関する当事者の主張⑴ 争点1(商品等及び広告等への被告標章の使用の差止め及び抹消請求の成否)について ア争点1-1(原告の表示は著名又は周知の商品等表示であるか)について(原告の主張)原告は、原告の商号の略称「OBIC」及び標章「OBIC」、原告の商号の略称「オービック」及び標章「オービック」を用いており、これらの表示は、原告の事業活動及び広告宣伝活動により、遅くとも平成16年頃には、 全国の需要者に広く認識され、以来、原告、原告の子会社及び原告の関連会 社を表すものとして周知かつ著名である。このことは、東京地方裁判所平成18年(ワ)第17357号平成19年5月31日判決において認められていることからも明らかである。 (被告の主張)「OBIC」及び「オービック」の表示が原告のどのような「商品又は営 業」を表示するものか明らかでなく、商品等表示として特定されていない。 「OBIC」及び「オービック」の表示は、著名ではなく、また、統合業務ソフトウェアを取り扱う業界における原告の商品及びサービスの利用者層以外の一般の需要者の間で周知であるとはいえない。仮に平成16年頃に一般の需要者の間で周知性を獲得していたとしても、その後の時間の経過や原告 の使用態様により、周知性を喪失している。 イ争点1-2(原告の表示と被告標章の類否)について(原告の主張)(ア) 「オービック」と被告標章被告標章1及び2の称呼は「オービック」であり、称呼が同一である。 被告標章3ないし11は、いわゆる結合商標で 章の類否)について(原告の主張)(ア) 「オービック」と被告標章被告標章1及び2の称呼は「オービック」であり、称呼が同一である。 被告標章3ないし11は、いわゆる結合商標であり、分離観察が許容されるところ、いずれも「Orbic」の部分が商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与え、それ以外の部分は一般的な意味を有するにすぎないから、類似する。 (イ) 「OBIC」と被告標章 「OBIC」の称呼も「オービック」であるから、称呼が同一である。 外観も「オー」という称呼の部分を「O」と表記するか「Or」と表記するかの差異があるのみで類似する。 被告標章3ないし11は、前記(ア)と同様に分離観察が許容され、類似する。 (被告の主張) (ア) 「オービック」と被告標章両者は外観が大きく異なる。被告標章1は、被告の使用状況を踏まえると「オルビック」という称呼が生じるから、称呼も異なる。被告標章2は、特定の称呼が生じないか、生じるとしても「オルビック」である。被告標章3ないし11は一気呵成に発音可能であり、称呼の全体の語調や語感が 大きく異なる。被告標章3ないし11の「Orbic」の部分を分離観察しても、「オルビック」という称呼が生じるから、称呼も異なる。 (イ) 「OBIC」と被告標章両者は文字数や文字の相違等から外観が大きく異なる。称呼が異なることは前記(ア)のとおりである。 ウ争点1-3(混同を生じさせる行為の有無)について(原告の主張)「OBIC」及び「オービック」の表示は、コンピューターシステム及びソフトウェアを利用し、クラウドサービス、スマートフォン及びタブレット型携帯端末を利用する需要者の間で周知であるから、被告が上記の各表示と び「オービック」の表示は、コンピューターシステム及びソフトウェアを利用し、クラウドサービス、スマートフォン及びタブレット型携帯端末を利用する需要者の間で周知であるから、被告が上記の各表示と 類似する被告標章を使用して、被告商品等を販売又は提供すれば、その販売主体又は営業主体は原告や原告と関連を有する会社であるとの混同を生じさせるおそれがある。 (被告の主張)原告の商品及びサービスの需要者は、大企業における大規模なシステム導 入に関与するシステム担当者や役員に限定されているのに対し、被告商品等の需要者は、一般の消費者、それも初めてスマートフォンを使用するユーザーであるから、需要者は重ならない。 したがって、被告が被告標章を被告商品等に使用したとしても、混同を生じさせるおそれはない。 エ争点1-4(営業上の利益を侵害されるおそれの有無)について (原告の主張)被告商品等は、商品役務目録記載の商品・役務に相当する。したがって、別紙請求目録「番号」1ないし6の「標章」欄記載の標章を「対象」欄記載の対象に付したものについて「行為」欄記載の行為により、原告の営業上の利益を侵害されるおそれがあり、また、同目録「番号」7ないし12の「標章」 欄記載の標章を同「対象」欄記載の商品若しくは役務に関する広告(パンフレット)若しくは取引書類に付して、引き渡し、展示し、又は、これらを内容とする情報に同標章を付して、電磁的方法により提供することにより、原告の営業上の利益を侵害されるおそれがある。 (被告の主張) 争う。 オ争点1-5(本件商標と被告標章の類否)について(原告の主張)(ア) 本件商標1と被告標章本件商標1と被告標章1及び2の称呼は「オービック」で同一である。 外 争う。 オ争点1-5(本件商標と被告標章の類否)について(原告の主張)(ア) 本件商標1と被告標章本件商標1と被告標章1及び2の称呼は「オービック」で同一である。 外観も英語表記の「オー」という称呼の部分を「O」と表記するか「Or」と表記するかの差異があるのみで類似する。被告標章3ないし11は、いわゆる結合商標であり、分離観察が許容されるところ、いずれも「Orbic」の部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与え、それ以外の部分は一般的な意味を有するにすぎないから、本件商標1と類似す る。 (イ) 本件商標2と被告標章本件商標2と被告標章1及び2の称呼は「オービック」で同一である。 外観も「オー」という称呼の部分を「O」と表記するか「Or」と表記するかの差異があるのみで類似する。 被告標章3ないし11は、前記(ア)と同様に分離観察が許容され、類似す る。 (ウ) 本件商標3及び4と被告標章本件商標3及び4と被告標章1及び2の称呼は「オービック」で同一である。被告標章3ないし11は、前記(ア)と同様に分離観察が許容され、類似する。 (被告の主張)(ア) 本件商標1と被告標章両者は外観が大きく異なる。本件商標1は特定の称呼は生じないか、「オービック」に限定されない称呼を生じるのに対し、被告標章1は、被告の使用状況を踏まえると「オルビック」という称呼が生じるから、称呼も異 なる。被告標章2は、特定の称呼が生じないか、生じるとしても「オルビック」である。被告標章3ないし11は一気呵成に発音可能であり、本件商標1に称呼が生じるとしても全体の語調や語感が大きく異なる。被告標章3ないし11の「Orbic」の部分を分離観察しても、「オ ルビック」である。被告標章3ないし11は一気呵成に発音可能であり、本件商標1に称呼が生じるとしても全体の語調や語感が大きく異なる。被告標章3ないし11の「Orbic」の部分を分離観察しても、「オルビック」という称呼が生じるから、称呼も異なる。 (イ) 本件商標2と被告標章両者は外観が大きく異なる。本件商標2は特定の称呼は生じないか、「オービック」に限定されない称呼を生じるのに対し、被告標章1及び2の称呼は前記(ア)のとおりであり、称呼も異なる。被告標章3ないし11は一気呵成に発音可能であり、本件商標2に称呼が生じるとしても全体の語調や 語感が大きく異なる。被告標章3ないし11の「Orbic」の部分を分離観察しても、「オルビック」という称呼が生じるから、称呼も異なる。 (ウ) 本件商標3及び4と被告標章両者は外観が大きく異なる。本件商標3及び4は特定の称呼は生じないか、「オービック」に限定されない称呼を生じるのに対し、被告標章1及 び2の称呼は前記(ア)のとおりであり、称呼も異なる。被告標章3ないし1 1は一気呵成に発音可能であり、本件商標3及び4に称呼が生じるとしても全体の語調や語感が大きく異なる。被告標章3ないし11の「Orbic」の部分を分離観察しても、「オルビック」という称呼が生じるから、称呼も異なる。 カ争点1-6(本件商標権の指定商品と被告商品等の類否)について (原告の主張)(ア) 本件商標権1ないし3被告商品1及び2は指定商品「電子応用機械器具及びその部品、電気通信機械器具」と、被告商品3は指定商品「電気通信機械器具」と、同一又は類似であり、被告商品4は指定商品「電子応用機械器具及びその部品」と、 被告役務は指定商品「電子応用機械器具及 部品、電気通信機械器具」と、被告商品3は指定商品「電気通信機械器具」と、同一又は類似であり、被告商品4は指定商品「電子応用機械器具及びその部品」と、 被告役務は指定商品「電子応用機械器具及びその部品」と、類似する。 (イ) 本件商標権4被告商品1、2及び4は指定商品「電気通信機械器具、電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む)及びその他の電子応用機械器 具及びその部品」と、被告商品3は、指定商品「電気通信機械器具」と同一又は類似であり、被告役務は、指定商品「電気通信機械器具、電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む)及びその他の電子応用機械器具及びその部品」に類似する。 (被告の主張)争う。 ⑵ 争点2(被告商号の使用の差止め及び抹消登記手続請求の成否)について(原告の主張)被告商号のうち、営業表示として強く支配的な印象を与えるのは「Orbi c」の部分であるから、「OBIC」及び「オービック」の表示と類似する。上 記の各表示が著名又は周知の商品等表示であること、混同を生じさせるおそれがあること、原告の営業上の利益を侵害されるおそれがあることは前記⑴アないしエ(原告の主張)と同様である。 (被告の主張)争う。前記⑴アないしエ(被告の主張)のとおりである。 ⑶ 争点3(営業上の施設又は活動における被告標章の使用の差止請求の成否)について(原告の主張)被告は、前記⑴及び⑵(原告の主張)のとおり、「OBIC」及び「オービック」の表示と類似する被告標章及び被告商号を使用しているから、営業上の施 設又は活動に 否)について(原告の主張)被告は、前記⑴及び⑵(原告の主張)のとおり、「OBIC」及び「オービック」の表示と類似する被告標章及び被告商号を使用しているから、営業上の施 設又は活動に被告標章を使用して原告の営業上の利益を侵害するおそれがある。 (被告の主張)否認ないし争う。 ⑷ 争点4(営業上の施設又は活動における「ORBIC」又は「Orbic」の文字を含む標章及び商号の使用の差止請求の成否)について (原告の主張)被告は、前記⑴及び⑵(原告の主張)のとおり、「OBIC」及び「オービック」の表示と類似する被告標章及び被告商号を使用しているから、営業上の施設又は活動に「OBIC」及び「オービック」の表示と類似する「ORBIC」又は「Orbic」の文字を含む標章及び商号を使用して原告の営業上の利益 を侵害するおそれがある。 (被告の主張)否認ないし争う。原告は、被告が広く「ORBIC」又は「Orbic」の文字を含む標章及び商号を使用するおそれがあることを基礎付ける事実関係を何ら主張しておらず、そのようなおそれがあるということはできない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ⑴ 原告の沿革、業態及び売上げ等ア原告は、昭和43年4月、大阪市内を本店所在地として設立され、昭和4 9年1月、商号を現在の「株式会社オービック」に変更した。原告は、昭和46年11月から平成8年10月にかけて、東京支店(現東京本社)、名古屋支店、福岡支店、静岡営業所及び広島サービスセンター(現広島営業所)、横浜支店、北九州営業所(その後、福岡支店に統合)、千葉支店、京都支店、松本出張所(現松本営業所)、北関東営業所(現北関東支 古屋支店、福岡支店、静岡営業所及び広島サービスセンター(現広島営業所)、横浜支店、北九州営業所(その後、福岡支店に統合)、千葉支店、京都支店、松本出張所(現松本営業所)、北関東営業所(現北関東支店)、立川営業所及び厚 木営業所をそれぞれ開設した。 また、原告の連結子会社又は関連会社として、昭和47年8月設立の株式会社オービーシステム(本店所在地は大阪市)、昭和54年11月設立の株式会社オービックオフィスオートメーション(本店所在地は東京都)、昭和55年12月設立の株式会社オービックビジネスコンサルタント(本店所在地は 東京都)がある。 イ原告及びその連結子会社並びに関連会社は、主にコンピュータのシステムインテグレーション事業(主要製品は統合基幹業務システム)、システムサポート事業(統合基幹業務システムの運用支援及び保守等を行う。)、オフィスオートメーション事業(主要製品はOA機器一般及びコンピュータサプライ 用品)及び業務用パッケージソフト事業(主要製品は財務会計等パッケージソフト)を行っている。原告の販売する統合基幹業務システムは、小売・サービス業等多岐にわたる業種を対象とし、会計情報システム、販売情報システムその他のシステムを統合したものである。平成25年頃にクラウドサービスの提供を開始し、インターネットを経由してスマートフォンやタブレッ ト型携帯情報端末からも利用可能なサービスを提供している。 ウ原告の主要販売先は会社その他の法人又は官公庁である。原告の売上げは、昭和58年8月期に100億円、平成3年8月期に200億円、平成12年3月期に300億円、平成20年3月期に400億円、平成28年3月期に500億円、平成31年3月期に600億円、令和2年3月期に700億円、令和4年3月 億円、平成3年8月期に200億円、平成12年3月期に300億円、平成20年3月期に400億円、平成28年3月期に500億円、平成31年3月期に600億円、令和2年3月期に700億円、令和4年3月期に800億円をそれぞれ超え、令和5年3月期の連結売上げ は、約1001億円に達した。また、原告は、平成10年12月に東京証券取引所の第二部に、平成12年3月に同取引所の第一部に株式を上場し、市場区分が再編された令和4年4月以降は同取引所のプライム市場に移行した。 株式会社オービーシステムも、令和5年6月に東京証券取引所のスタンダード市場に株式を上場した。(甲1、4~6、9~11) ⑵ 「オービック」の使用原告は、商号を「株式会社オービック」に変更して以来、「オービック」を、営業において自己を示す名称(商号)の略称として使用している(以下「原告表示」という。)。(甲1、3、4、6、9、10)⑶ 原告の広告宣伝等 原告の支出した広告宣伝費は、昭和55年8月期から平成17年3月期までは最も低額で年間約2億3000万円、最も高額で年間約8億8000万円であり、平成18年3月期から令和5年3月期までは最も低額で年間約9億1000万円、最も高額で年間約11億4000万円である。 以下のとおり、原告は、テレビ、ラジオ、新聞等様々な媒体を通じて、原告及 びその提供する商品やサービスの宣伝を行い、あるいは、原告の経営方針等が新聞等で報道された。(甲5、7、8、12~14)アテレビコマーシャル原告は、昭和54年頃からテレビコマーシャルを放送しており、そのテレビコマーシャルが放送された番組、放送日、放送局及び放送時間は、昭和5 7年1月から平成4年8月までに393回、平成10年4月から令和5年1 ビコマーシャルを放送しており、そのテレビコマーシャルが放送された番組、放送日、放送局及び放送時間は、昭和5 7年1月から平成4年8月までに393回、平成10年4月から令和5年1 月までに275回である。原告のテレビコマーシャルが放送された番組は、天気予報等のほか、ゴルフ、サッカー及び野球といったスポーツ中継や、スポーツニュースが多い。 原告のテレビコマーシャルのうち代表的なものに、有名なプロゴルファー(A氏)をCMキャラクターに起用したものがあり、「システムインテグレー タのオービックwww.obic.co.jp」という文字が大きく表示されていた。 イラジオコマーシャル原告は、昭和49年頃から平成20年頃まで、東海ラジオ、TBSラジオ及びRKBにおいてコマーシャルを放送していた。 ウ野球場の広告看板原告は、以下のとおり、野球場に広告看板を設置しており、これらの広告看板は、各野球場で行われた試合の観戦者やテレビ中継の視聴者らの目に触れる状態にあった。 (ア) 阪神甲子園球場 a 昭和55年3月から平成16年2月まで3塁側観客席上部に設置されていた「コンピュータのオービック」又は「オービック」と記載した看板b 平成16年3月から令和6年2月(継続中)まで3塁側フェンスに掲載されていた「システムインテグレータのオービック」と記載した看板 (イ) ナゴヤ球場昭和58年4月から平成4年11月まで3塁側照明塔下脚部に設置されていた看板(ウ) 横浜スタジアム平成2年3月から令和4年12月まで3塁側カメラマン席下フェンスに 設置されていた「統合業務ソフトウェアオービック」と記載した看板 (エ) 東京ドーム平成16年2月から令和6年2 年3月から令和4年12月まで3塁側カメラマン席下フェンスに 設置されていた「統合業務ソフトウェアオービック」と記載した看板 (エ) 東京ドーム平成16年2月から令和6年2月(継続中)まで1塁側及び3塁側放送室前フェンスに掲載されていた「オービック」と記載した看板エ新聞記事及び新聞広告等(ア) 原告又は原告の連結子会社ないし関連会社の商品やサービス、支店等の 開設、代表取締役や業務方針等に関する記事が、日経産業新聞、日本経済新聞、朝日新聞、日経金融新聞、毎日新聞、産経新聞及び東京読売新聞等に掲載された。その掲載回数は、昭和60年1月から平成18年4月までの間で232回、昭和60年1月から令和5年10月末までの間で773回にのぼる。 (イ) また、原告は、日本経済新聞、日経産業新聞、日経金融新聞、日経MJ、朝日新聞、読売新聞、日経ビジネス、日経コンピュータ、日経BPイベント、日経CNBC及び日経電子版等に、広告を掲載している。昭和62年1月以降の掲載回数は、2500回を上回る。 2 争点1(商品等及び広告等への被告標章の使用の差止め及び抹消請求の成否) について⑴ 争点1-1(原告の表示は著名又は周知の商品等表示であるか)についてア前記認定のような原告の経営状況、宣伝広告の回数、その内容等に照らせば、原告は、基幹業務システム及びソフトウェアに関連する事業を広く展開する会社として全国的にその社名を広く認識されていたと認められ、原告が、 広告宣伝等において「オービック」の文字を継続的に使用していたことも併せ考えると、原告の社名(商号)から株式会社の部分のみを省略した原告表示についても、承継前被告が設立された令和4年9月よりも前に、全国の需要者の間で広く認識されるに至っていた に使用していたことも併せ考えると、原告の社名(商号)から株式会社の部分のみを省略した原告表示についても、承継前被告が設立された令和4年9月よりも前に、全国の需要者の間で広く認識されるに至っていたものと認められる。 イ被告は、①原告表示は原告のどのような「商品又は営業」を表示するもの か明らかでなく、商品等表示として特定されていない、②原告表示は、統合 業務ソフトウェアを取り扱う業界における原告の商品及びサービスの利用者層以外の一般の需要者の間で周知であるとはいえない、③仮に平成16年頃に一般の需要者の間で周知性を獲得していたとしても、その後の時間の経過や原告の使用態様により、周知性を喪失していると主張する。 しかしながら、上記①について、前記1に認定したところに照らせば、原 告表示は、前記1⑴のような事業活動の主体、商品やサービスの販売又は提供主体が原告であることを示す営業表示であると認められ、商品等表示の特定を欠くものとはいえない。 上記②③について、原告の商品又はサービスの直接的な需要者は、基幹業務システム及びソフトウェアを利用する企業等であるが、原告の宣伝広告が 経済ニュース、経済紙、専門紙等の専門的なメディアにとどまらず、天気予報やスポーツ中継、全国紙や一般紙といった広範な視聴者層、読者層に届くと考えられるメディアに多数回にわたって掲載され、野球場にも原告の広告看板が試合の観戦者や視聴者らの目に触れる状態で設置されていたこと(前記1⑶ア、ウ、エ)等からすると、原告表示は、上記のような企業等の関係者 にとどまらず、一般の消費者の間で広く認識されていたと認めるのが相当である。また、平成16年以降も原告の売上げは増加を続けており(同⑴)、上記のような宣伝広告もそれ以前と同様に継 等の関係者 にとどまらず、一般の消費者の間で広く認識されていたと認めるのが相当である。また、平成16年以降も原告の売上げは増加を続けており(同⑴)、上記のような宣伝広告もそれ以前と同様に継続されていること(同⑶ア、ウ、エ)からすると、現在までの間に原告表示の周知性が失われたということもできない。 ウしたがって、原告表示は、原告の営業を示す表示として需要者の間に広く認識されていたものと認められる。 ⑵ 争点1-2(原告の表示と被告標章の類否)についてアある商品等表示が不競法2条1項1号所定の「他人の商品等表示」と類似のものに当たるか否かについては、取引の実情の下において、取引者、需要 者が、両表示の外観、称呼又は観念に基づく印象、記憶、連想等から両者を 全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断すべきである(最高裁昭和57年(オ)第658号同58年10月7日第二小法廷判決・民集37巻8号1082頁、最高裁昭和56年(オ)第1166号同59年5月29日第三小法廷判決・民集38巻7号920頁参照)。 イ原告表示 原告表示からは、「オービック」の外観、「オービック」という称呼を生じ、特段の観念を生じない。 ウ被告標章との類否(ア) 被告標章1及び2被告標章1は、「Orbic」という文字の標章であり、英語読みの場合 には、「O」、「R」、「子音」の順の英単語は「ɔːr」と発音されることが多いから、一般的には「オービック」という称呼を生じ(甲20等)、「オルビック」という称呼も生じ得る(甲16の6の2等)。また、被告標章2は、別紙被告標章目録記載2のとおり一部がデザイン化されているものの、「Orbic」という文字が十分に認識可能であるから、被告標章 ルビック」という称呼も生じ得る(甲16の6の2等)。また、被告標章2は、別紙被告標章目録記載2のとおり一部がデザイン化されているものの、「Orbic」という文字が十分に認識可能であるから、被告標章1と同 様の称呼を生じる。 原告表示と被告標章1及び2を対比すると、いずれも「オービック」という同一の称呼を生じるものであり、また、いずれも観念が生じない点で共通する。被告標章1及び2につき「オルビック」という称呼を生じ得るとしても、「オ」、「ビック」は共通であって、その違いは、「オ」の次に「ル」 が付くかどうかにすぎないから、この場合の称呼も類似する。 そして、携帯情報端末や周辺機器、ソフトウェアの需要者において、「Orbic」の文字を含む被告標章1及び2に接した場合に、アルファベットとカタカナという違いがあったとしても、同一又は類似の称呼を有する原告表示を連想することは十分に考えられるから、被告標章1及び2は、 いずれも原告表示に類似するものと認められる。 (イ) 被告標章3ないし11被告標章3ないし11は、①「Orbic」という文字と、②それに続く「TAB8」(同3)、「TAB10R」(同4)、「EarBuds」(同5)、「FUN」(同6)、「Cloud」(同7)、「Gallery」(同8)、「TAB8 4G」(同9)、「TAB10R 4G」(同10)及び「FUN + 4G」(同11)という文字によって構成される標章であるが、「Orbic」以外の部分は、「タブレット」の略語である「TAB」と型番を思わせる数字や英字の組合せ(「TAB8」、「TAB10R」)、通信規格(「4G」)、イヤホン(「EarBuds」)、インターネット上のアプリケーションやサービスを意味する語(「Cl B」と型番を思わせる数字や英字の組合せ(「TAB8」、「TAB10R」)、通信規格(「4G」)、イヤホン(「EarBuds」)、インターネット上のアプリケーションやサービスを意味する語(「Cloud」、「Gallery」)、製品の 性質(「FUN」)などと理解され得るものであり、いずれも商品又は役務の内容、性質等を記述的に記載したものというべきであるから、「Orbic」の部分が需要者又は取引者に対してより強い印象を与えるものと認められる。 そして、原告表示と被告標章3ないし11を対比すると、両者は被告標 章3ないし11の冒頭の「Orbic」の部分において称呼が同一又は類似であり、観念が生じない点で共通することは前記(ア)のとおりであるから、被告標章3ないし11の末尾に付加部分があるとしても、共通点から生じる印象の強さが相違点から生じる印象の強さを上回り、需要者又は取引者において、両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるという べきである。 したがって、被告標章3ないし11は、いずれも原告表示に類似するものと認められる。 エ被告は、原告表示と被告標章はいずれも類似しているとはいえないとし、その理由として、①原告表示と被告標章は文字数や文字の相違等から外観が 大きく異なること、②被告標章2は特定の称呼が生じないこと、③被告標章 3ないし11は一気呵成に発音可能であり、原告表示の称呼とは全体の語調や語感が大きく異なることなどを主張する。 しかしながら、原告表示と被告標章の文字数や文字の相違を踏まえても両者の外観が類似すると認められること、被告標章2が「Orbic」という文字として十分に認識可能であり、「オービック」等の称呼を生じること、原 告表示と被告標章3ないし11 字の相違を踏まえても両者の外観が類似すると認められること、被告標章2が「Orbic」という文字として十分に認識可能であり、「オービック」等の称呼を生じること、原 告表示と被告標章3ないし11の「Orbic」以外の部分に違いあるとしても類似性は左右されないことは前記ウ認定のとおりであって、被告の上記主張は採用することができない。 ⑶ 争点1-3(混同を生じさせる行為の有無)についてア不競法2条1項1号の「混同を生じさせる行為」には、他人の周知の商品 等表示と同一又は類似のものを使用する者が自己と当該他人とを同一の商品主体又は営業主体として誤信させる行為のみならず、両者間にいわゆる親会社、子会社の関係や系列関係などの緊密な営業上の関係又は同一の表示の商品化事業を営むグループに属する関係が存すると誤信させる行為をも包含すると解される(最高裁平成7年(オ)第637号同10年9月10日第一小 法廷判決・集民189号857頁、最高裁昭和56年(オ)第1166号同59年5月29日第三小法廷判決・民集38巻7号920頁参照)。 イそこで、原告表示と類似する被告標章を被告商品等の商品等及び広告等に付す被告の行為(前記前提事実⑶イ及びウ)が混同を生じさせる行為といえるかについてみると、原告表示は、基幹業務システム及びソフトウェアの事 業に関する原告の営業を示す表示であるのに対し、被告商品等は、一般の消費者を対象とするスマートフォン、タブレット型携帯情報端末、イヤホン、アプリケーション及びコンピュータソフトウェアである(弁論の全趣旨)ところ、原告の提供する基幹業務システム及びソフトウェアは、インターネットを経由してスマートフォンやタブレット型携帯情報端末からも利用可能で あるから(前記1⑴)、原告の営業の内容と被告商 )ところ、原告の提供する基幹業務システム及びソフトウェアは、インターネットを経由してスマートフォンやタブレット型携帯情報端末からも利用可能で あるから(前記1⑴)、原告の営業の内容と被告商品等とは技術的及び経済的 な関連性が認められる。そして、原告表示が、基幹業務システム及びソフトウェアを利用する企業等の関係者にとどまらず、一般の消費者の間で広く認識されていたことは前記⑴のとおりである。以上によれば、原告表示と類似する被告標章を被告商品等の商品等及び広告等に付せば、需要者又は取引者において、被告商品等の販売・提供の主体が原告や原告と緊密な営業上の関 係又は同一の表示の商品化事業を営むグループに属する関係が存する者であると誤信するおそれがあるといえる。 よって、被告の上記行為は、「混同を生じさせる行為」(不競法2条1項1号)に当たるといえる。 ウ被告は、原告表示が使用されている原告の商品及びサービスの需要者は、 大企業における大規模なシステム導入に関与するシステム担当者や役員に限定されているのに対し、被告商品等の需要者は、一般の消費者、それも初めてスマートフォンを使用するユーザーであり、需要者は重ならないと主張する。 しかしながら、被告商品等の需要者がスマートフォン等を使用する一般の 消費者であるとしても、そこには基幹業務システム及びソフトウェアを利用する企業等の関係者も含まれるから、スマートフォン等を使用する消費者という点で共通しており、需要者が重ならないということはできない。 ⑷ 争点1-4(営業上の利益を侵害されるおそれの有無)について前記⑴ないし⑶に説示したところによれば、被告による被告標章の使用は不 正競争に当たる。なお、被告標章3、4及び6の使用は認められない(前記前提事 上の利益を侵害されるおそれの有無)について前記⑴ないし⑶に説示したところによれば、被告による被告標章の使用は不 正競争に当たる。なお、被告標章3、4及び6の使用は認められない(前記前提事実⑶イ(キ)及びウ(キ))が、被告が、これらの標章の末尾に「4G」ないし「+ 4G」を付加した被告標章9ないし11をスマートフォン及びタブレット型携帯情報端末の商品等及び広告等に付して使用しているから、被告標章3、4及び6についても、被告標章9ないし11と同様の態様でスマートフォン及 びタブレット型携帯情報端末の商品等及び広告等に付すおそれがあるといえる。 また、未発売の被告商品3(同イ(カ))について、将来、被告標章5を商品の包装に付して、販売し、引き渡し、販売若しくは引渡しのために展示し、又は輸入されるおそれがあるといえる。 そして、被告商品1ないし4はそれぞれ商品役務目録記載1ないし4の商品であり、被告役務は同目録記載5の役務であるから、別紙請求目録「番号」1 ないし6の「標章」欄記載の標章を「対象」欄記載の対象に付したものについての「行為」欄記載の行為により、原告の営業上の利益を侵害されるおそれがあり、また、同目録「番号」7ないし12の「標章」欄記載の標章を同「対象」欄記載の商品若しくは役務に関する広告(パンフレット)若しくは取引書類に付して、引き渡し、展示し、又は、これらを内容とする情報に同標章を付して、 電磁的方法により提供することにより、原告の営業上の利益を侵害されるおそれがあるといえる(不競法3条1項)。 また、抹消請求については、被告が被告商品等に使用する限度(前記前提事実⑶イ及びウ)で抹消を認めるのが相当である。 ⑸ 小括(争点1) よって、不競法3条1項に基づく商品等及び広告等へ また、抹消請求については、被告が被告商品等に使用する限度(前記前提事実⑶イ及びウ)で抹消を認めるのが相当である。 ⑸ 小括(争点1) よって、不競法3条1項に基づく商品等及び広告等への被告標章の使用の差止めは理由があり、同条2項に基づく抹消請求は主文3項及び5項の限度で理由がある。 3 争点2(被告商号の使用の差止め及び抹消登記手続請求の成否)について⑴ 原告表示は、原告の営業を示す表示として需要者の間に広く認識されていた ものと認められる(前記2⑴)から、原告表示と被告商号の類否を検討すると、被告商号の「合同会社」や「Japan」は会社の形態や日本の会社であることを記述的に記載する部分であり、需要者又は取引者に対してより強い印象を与えるのは「Orbic」の部分であると認められるところ、原告表示とこの「Orbic」の部分において称呼が同一又は類似であり、観念が生じない点 で共通し、「合同会社」や「Japan」の部分に違いがあるとしても、その共 通点から生じる印象の強さが相違点から生じる印象の強さを上回り、需要者又は取引者において、両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるというべきであることは前記2⑵と同様である。 したがって、被告商号は、原告表示に類似するものと認められる。 ⑵ また、原告の事業の内容、被告の事業の内容に照らせば、被告が原告表示と 類似する被告商号を使用することにより、需要者又は取引者において、被告商号を使用する営業主体が原告や原告と関連を有する会社であるとの混同を生じさせるおそれがあり、被告商号の使用は「混同を生じさせる行為」(不競法2条1項1号)に当たる。 ⑶ したがって、被告による被告商号の使用(前記前提事実⑶エ)は不正競争(不 競法2条1項1号)に せるおそれがあり、被告商号の使用は「混同を生じさせる行為」(不競法2条1項1号)に当たる。 ⑶ したがって、被告による被告商号の使用(前記前提事実⑶エ)は不正競争(不 競法2条1項1号)に当たり、原告の営業上の利益が侵害されるおそれがある(同法3条1項)ということができる。 ⑷ よって、不競法3条1項及び2項に基づく被告商号の使用の差止め及び抹消登記手続請求は理由がある。 4 争点3(営業上の施設又は活動における被告標章の使用の差止請求の成否)に ついて前記2のとおり、被告は、原告の周知の商品等表示である商号の略称と類似する被告標章及び被告商号を使用し、これは不正競争(不競法2条1項1号)に当たる。これによれば、その使用態様に照らし、将来、営業上の施設又は活動に被告標章を使用することによって原告の営業上の利益が侵害されるおそれ(同法3 条1項)があるということができる。 よって、不競法3条1項に基づく営業上の施設又は活動における被告標章の使用の差止請求は理由がある。 5 争点4(営業上の施設又は活動における「ORBIC」又は「Orbic」の文字を含む標章及び商号の使用の差止請求の成否)について 原告は、被告が営業上の施設又は活動に「ORBIC」又は「Orbic」の文字を含む標章及び商号を使用して原告の営業上の利益を侵害するおそれがあると主張する。 しかしながら、前記2及び3の不正競争の内容(被告標章及び被告商号の使用)を踏まえても、被告が「ORBIC」又は「Orbic」の文字を含む標章 及び商号を使用するおそれがあると直ちには認め難く、そのようなおそれがあることを示す具体的な事実関係も示されていない。また、「「ORBIC」又は「Orbic」の文字を含む」標章及び商号とし 主文 及び商号を使用するおそれがあると直ちには認め難く、そのようなおそれがあることを示す具体的な事実関係も示されていない。また、「ORBIC」又は「Orbic」の文字を含む標章及び商号として特定される差止めの対象は極めて広範であり、原告表示と類似であるといえない標章及び商号を含むものといえる。そうすると、「ORBIC」又は「Orbic」の文字を含む標章及び商号については、差止めの必要性を認めることができない。よって、不競法3条1項に基づく営業上の施設又は活動における「ORBIC」又は「Orbic」の文字を含む標章及び商号の使用の差止請求は理由がない。 第4 結論 以上によれば、原告の請求は主文掲記の限度において理由があるからこれらを認容し、その余の請求は理由がないからこれらを棄却することとして、主文のとおり判決する。なお、主文第3項、第5項及び第7項の仮執行宣言は、相当ではないので、これを付さない。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官髙橋彩 裁判官西山芳樹 裁判官瀧澤惟子 (別紙)被告標章目録 1Orbic 3OrbicTAB8 4OrbicTAB10R 5OrbicEarBuds 6OrbicFUN 7OrbicCloud 8OrbicGallery 9OrbicTAB8 4G 10OrbicTAB10R 4G 11OrbicFUN + 4G以上 (別紙)請求 OrbicGallery 9 OrbicTAB8 4G 10 OrbicTAB10R 4G 11 OrbicFUN + 4G以上 (別紙)請求目録 番号標章(別紙被告標章目録記載の各番号)対象行為URL 別紙商品役務目録記載1、2及び4の商品の包装販売、引渡し、販売若しくは引渡しのための展示、輸入、又は電気通信回線を通じて提供−−−−−− 同目録記載1ないし4の商品及びその包装同上−−−−−− 3、4、9及び10同目録記載2の商品の包装販売し、引き渡し、販売若しくは引渡しのために展示し、又は輸入−−−−−− 同目録記載3の商品の包装同上−−−−−− 6及び11同目録記載1の商品の包装同上−−−−−− 7及び8同目録記載4の商品電気通信回線を通じて提供−−−− 1及び2同目録記載1ないし5−−−−−−―別紙URL目録 の商品及び役務記載1ないし5のウェブサイト 3及び9同目録記載2の商品−−−−――同目録記載1、2及び4のウェブサイト 4及び10同目録記載2の商品――――同目録記載1、2及び5のウェブサイト 10 5同目録記載3の商品――――同目録記載1及び2のウェブサイト 11 6及び11同目録記載1の商品――――同目録記載1ないし3のウェブサイト 12 7及び8同目録記載4及び5の商品及び役務――――同目録記載1及び2のウェブサイト以上 (別紙)商品役務目録 ないし3のウェブサイト 12 7及び8同目録記載4及び5の商品及び役務――――同目録記載1及び2のウェブサイト以上 (別紙)商品役務目録 1 スマートフォン 2 タブレット型携帯情報端末 3 イヤホン 4 コンピュータソフトウェア用アプリケーション 5 クラウドコンピューティング用のコンピュータソフトウェアの提供以上 (別紙)URL目録(以下、URLは省略) 1 被告公式ウェブサイト 2 被告公式SNSアカウント ⑴ Facebook ⑵ Instagram ⑶ YouTube ⑷ LinkedIn 3 OrbicFUN+4Gに係るECサイト ⑴ XPRICE ①② ⑵ コジマネット ①② ⑶ Sofmap.com ①② ⑷ ビックカメラ.com ①② ⑸ www.yodobashi.com ①② ⑹ RakutenBic ⑺ Rakutenブックス ①② ⑻ EcCrew 4 OrbicTAB84Gに係るECサイト ⑴ amazon.co.jp ⑵ ECJOY! ⑶ XPRICE ⑷ ビックカメラ.com ⑸ www.yodobashi.com ⑹ Rakutenブックス ⑺ EcCrew 5 OrbicTAB10R4Gに係るECサイト ⑴ amazon.co.jp ⑵ ECJOY! ⑶ ビックカメラ.com ⑷ www.yodobashi.com 5 OrbicTAB10R 4Gに係るECサイト⑴ amazon.co.jp ⑵ ECJOY! ⑶ ビックカメラ.com ⑷ www.yodobashi.com ⑸ Rakuten ブックス 以上 (別紙)主文目録 番号標章(別紙被告標章目録記載の各番号)対象URL 別紙被告商品役務目録記載1ないし4の商品及びその包装−−−−−− 1及び2同目録記載1ないし5の商品及び役務別紙URL目録記載1ないし5のウェブサイト 同目録記載2の商品別紙URL目録記載1、2及び4のウェブサイト 同目録記載2の商品別紙URL目録記載1、2及び5のウェブサイト 同目録記載3の商品別紙URL目録記載1及び2のウェブサイト 同目録記載1の商品別紙URL目録記載1ないし3のウェブサイト12−1 7同目録記載4⑴の商品及び5⑴の役務別紙URL目録記載1及び2のウェブサイト12−2 8同目録記載4⑵の商品及び5⑵の役務同上以上 (別紙)被告商品役務目録 1 商品名 OrbicFUN + 4G販売開始時期令和5年9月13日 2⑴ 商品名 OrbicTAB8 4G販売開始時期令和5年9月22日⑵ 商品名 OrbicTAB10R 4G販売開始時期令和5年11月29日 3 商品名 OrbicEarBuds 販売開始時期未発売4⑴ 商品名 OrbicCloud販売開始時期令和5年6月1日⑵ 商 5年11月29日 3 商品名 OrbicEarBuds 販売開始時期未発売4⑴ 商品名 OrbicCloud販売開始時期令和5年6月1日⑵ 商品名 OrbicGallery販売開始時期令和5年11月22日 5⑴ 役務名 OrbicCloud提供開始時期令和5年6月1日⑵ 役務名 OrbicGallery提供開始時期令和5年11月22日以上 (別紙)登記目録 東京法務局新宿出張所会社法人等番号 商号 JapanOrbic合同会社本店会社成立の年月日令和4年3月1日資本金の額以上 (別紙)商標権目録 1 登録番号第2267160号出願年月日昭和62年9月3日 登録年月日平成2年9月21日存続期間の更新登録令和2年9月8日登録商標 商品及び役務の区分第9類指定商品電子応用機械器具及びその部品、電気通信機械器具、その 他本類に属する商品 2 登録番号第2267161号出願年月日昭和62年9月3日登録年月日平成2年9月21日存続期間の更新登録令和2年9月8日 登録商標 商品及び役務の区分第9類指定商品電子応用機械器具およびその部品、電気通信機械器具、その他本類に属する商品 3 登録番号第3254140号 出願年月日平成6年4月8日 登録年月日平成9年1月31日存続期間の 電気通信機械器具、その他本類に属する商品 3 登録番号第3254140号 出願年月日平成6年4月8日 登録年月日平成9年1月31日存続期間の更新登録平成29年5月9日登録商標 商品及び役務の区分第9類指定商品電子応用機械器具およびその部品、電気通信機械器具、そ の他本類に属する商品 4 登録番号第4585946号出願年月日平成13年2月22日登録年月日平成14年7月19日存続期間の更新登録令和4年7月5日 登録商標 商品及び役務の区分第9類指定商品電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品、その他本類に属する商品以上

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