平成14年(行ケ)第299号特許取消決定取消請求事件(平成15年7月7日口頭弁論終結)判決原告新日本石油株式会社(旧商号) 日石三菱株式会社訴訟代理人弁護士村田哲哉同弁理士長谷川芳樹同長濱範明被告特許庁長官今井康夫指定代理人鈴木紀子同森田ひとみ同雨宮弘治同一色由美子同宮川久成同伊藤三男 主文 特許庁が異議2001-72515号事件について平成14年4月16日にした決定を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文と同旨第2 当事者間に争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯(1) 原告は,名称を「非塩素系フロン冷媒用冷凍機油」とする特許第3145360号発明(平成元年12月28日原出願,平成11年3月11日分割出願,平成13年1月5日設定登録,以下,この特許を「本件特許」といい,その特許発明を「本件発明」という。)の特許権者である。 その後,本件特許につき特許異議の申立てがされ,同申立ては,異議2001-72515号事件と 以下,この特許を「本件特許」といい,その特許発明を「本件発明」という。)の特許権者である。 その後,本件特許につき特許異議の申立てがされ,同申立ては,異議2001-72515号事件として特許庁に係属し,原告は,上記事件の審理中,平成14年3月18日,本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載等の訂正を請求した。特許庁は,上記事件につき審理した結果,平成14年4月16日,「訂正を認める。特許第3145360号の請求項1ないし5に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし,その謄本は,同年5月13日,原告に送達された。 (2) 原告は,平成14年6月12日,本件決定の取消しを求める本件訴えを提起した後,平成15年4月11日,本件明細書の特許請求の範囲の記載等の訂正(以下「本件訂正」という。)をする旨の訂正審判の請求をしたところ,特許庁は,同請求を訂正2003-39073号事件として審理した上,同年6月10日,本件訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,その謄本は,同月20日,原告に送達された。 2 本件明細書の特許請求の範囲の記載(1) 本件訂正前のもの【請求項1】ペンタエリスリトールと2-エチルヘキサン酸および3,5,5-トリメチルヘキサン酸の混合物からなるエステルを主成分とし流動点が-10℃以下であることを特徴とする非塩素系フロン冷媒用冷凍機油(但し,フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物,グリシジルエステル型エポキシ化合物,エポキシ化脂肪酸モノエステルおよびエポキシ化植物油からなる群より選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物を含有する場合を除く)。 【請求項2】前記ペンタエリスリトールと2-エチルヘキ 物,エポキシ化脂肪酸モノエステルおよびエポキシ化植物油からなる群より選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物を含有する場合を除く)。 【請求項2】前記ペンタエリスリトールと2-エチルヘキサン酸および3,5,5-トリメチルヘキサン酸の混合物からなるエステルを基油とする請求項1に記載の非塩素系フロン冷媒用冷凍機油。 【請求項3】冷凍機油全量に対し,リン酸エステル,酸性リン酸エステル,酸性リン酸エステルのアミン塩,塩素化リン酸エステルおよび亜リン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物0.1~5.0重量%を必須成分として含有する請求項1または2に記載の非塩素系フロン冷媒用冷凍機油。 【請求項4】前記エステルの100℃における動粘度が2~150cStであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の非塩素系フロン冷媒用冷凍機油。 【請求項5】前記エステルの25℃における体積抵抗率が4x1014Ω㎝以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の非塩素系フロン冷媒用冷凍機油。 (2) 本件訂正に係るもの(注,訂正部分を下線で示す。)【請求項1】ペンタエリスリトールと2-エチルヘキサン酸および3,5,5-トリメチルヘキサン酸の等モル混合物とからなるエステルを主成分とし流動点が-10℃以下であることを特徴とする非塩素系フロン冷媒用冷凍機油(但し,フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物,グリシジルエステル型エポキシ化合物,エポキシ化脂肪酸モノエステルおよびエポキシ化植物油からなる群より選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物を含有する場合を除く)。 【請求項2】前記ペンタエリスリトールと2-エチルヘキサン酸および3,5,5-トリメチルヘキサン キシ化植物油からなる群より選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物を含有する場合を除く)。 【請求項2】前記ペンタエリスリトールと2-エチルヘキサン酸および3,5,5-トリメチルヘキサン酸の等モル混合物とからなるエステルを基油とする請求項1に記載の非塩素系フロン冷媒用冷凍機油。 【請求項3】冷凍機油全量に対し,リン酸エステル,酸性リン酸エステル,酸性リン酸エステルのアミン塩,塩素化リン酸エステルおよび亜リン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物0.1~5.0重量%を必須成分として含有する請求項1または2に記載の非塩素系フロン冷媒用冷凍機油。 【請求項4】前記エステルの100℃における動粘度が2~150cStであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の非塩素系フロン冷媒用冷凍機油。 【請求項5】前記エステルの25℃における体積抵抗率が4x1014Ω㎝以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の非塩素系フロン冷媒用冷凍機油。 3 本件決定の理由本件決定は,本件発明の要旨を本件訂正前の本件明細書の特許請求の範囲の記載のとおり認定した上,本件発明は,その出願の日前の他の特許出願であって,その出願後に出願公開がされたとみなされる特許出願(平成元年7月5日出願の特願平1-172001号及び特願平1-172002号を優先権主張の基礎出願とする特願平2-71893号[特開平3-128992号公報])の願書に最初に添付した明細書に記載された発明と同一であり,しかも,本件出願に係る発明の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一の者ではなく,かつ,本件出願の時においてその出願人と上記特許出願の出願人とが同一の者でもないので,特許法29 しかも,本件出願に係る発明の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一の者ではなく,かつ,本件出願の時においてその出願人と上記特許出願の出願人とが同一の者でもないので,特許法29条の2の規定により特許を受けることができず,本件特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであるから,特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)4条2項の規定により取り消されるべきであるとした。 第3 原告主張の審決取消事由本件決定が,本件発明の要旨を本件訂正前の本件明細書の特許請求の範囲の記載(上記第2の2の(1))のとおり認定した点は,本件訂正審決の確定により本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2の2の(2)のとおり訂正されたため,誤りに帰したことになるから,本件決定は,本件発明の要旨の認定を誤った違法があり,取り消されるべきである。 第4 被告の主張本件訂正審決の確定により本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正されたことは認める。 第5 当裁判所の判断本件訂正審決の確定により,本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2の2の(2)のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,この訂正によって特許請求の範囲が減縮されたことは明らかである。 そうすると,本件決定が,本件発明の要旨を本件訂正前の本件明細書の特許請求の範囲の記載(上記第2の2の(1))のとおり認定したことは,結果的に誤りであったことに帰し,これが本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,本件決定は,瑕疵があるものとして取消しを免れない。 よって,原告の請求は理由があるからこれを認容し,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第13民事部 は明らかであるから,本件決定は,瑕疵があるものとして取消しを免れない。 よって,原告の請求は理由があるからこれを認容し,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第13民事部裁判長裁判官篠原勝美裁判官長沢幸男裁判官早田尚貴
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