- 1 - 令和3年5月31日 東京地方裁判所刑事第13部宣告 令和2年刑 3186号,令和3年刑 191号,第843号 詐欺被告事件 判 決 主 文 被告人を懲役6年に処する。 未決勾留日数中100日をその刑に算入する。 理 由 (罪となるべき事実) 被告人は, 東京都港区(住所省略)所在の株式会社A(以下「被害会社」とい う。)のB局に所属し,テレビCM枠の買い付けや売却,イベントのスポンサー提 供業務,これらに付随する製作業務等に従事していたもの,Cは,被害会社の媒体 社として登録されている株式会社Dの社員であったもの,Eは,被害会社の媒体社 として登録されている株式会社Fの代表取締役,Gは,株式会社Hの代表取締役で あるが,被害会社からインフォマーシャル制作費名目で金銭をだまし取ろうと考 え, 第1(令和2年12月28日付け起訴状記載の公訴事実第1) 被告人は,前記C及び前記Gと共謀の上,真実は,平成30年3月にI株 式会社において放送されたテレビ番組「甲」に関し,前記Dにインフォマー シャルの制作を発注した事実はなく,同インフォマーシャルの納品を受けて いないにもかかわらず,これらがあるように装い,被告人が,同月30日, 被害会社内において,被害会社で使用している経理ソフトQに架空のインフ ォマーシャル制作費の請求金額を入力し,その頃,被害会社が媒体支払,照 合業務を委託している情を知らない株式会社J業務1部媒体課の担当者らを 介して同社業務1部媒体課長Kに対し,前記Cが作成した前記D名義のイン フォマーシャル制作費にかかる虚偽の請求書を提出し,同年4月27日,前 記Kをして同請求が正当なものであると誤信させてインフォマーシャル制作 - 2 - 費の支払を承認させ,よって, D名義のイン フォマーシャル制作費にかかる虚偽の請求書を提出し,同年4月27日,前 記Kをして同請求が正当なものであると誤信させてインフォマーシャル制作 - 2 - 費の支払を承認させ,よって,同年5月31日,株式会社L銀行M部に開設 された被害会社名義の当座預金口座から株式会社L銀行N支店に開設された 前記D名義の普通預金口座に1836万円を振込送金させ, 第2(令和2年12月28日付け起訴状記載の公訴事実第2) 被告人は,前記C及び前記Gと共謀の上,真実は,同年11月2日に株式 会社Oにおいて放送されたテレビ番組「乙」に関し,前記Dにインフォマー シャルの制作を発注した事実はなく,同インフォマーシャルの納品を受けて いないにもかかわらず,これらがあるように装い,被告人が,同月29日, 被害会社内において,前記経理ソフトQに架空のインフォマーシャル制作費 の請求金額を入力し,同年12月5日頃,情を知らない前記株式会社J業務 1部媒体課の担当者らを介して前記Kに対し,前記Cが作成した前記D名義 のインフォマーシャル制作費にかかる虚偽の請求書を提出し,同年12月2 7日,前記Kをして同請求が正当なものであると誤信させてインフォマーシ ャル制作費の支払を承認させ,よって,平成31年1月31日,前記被害会 社名義の当座預金口座から前記D名義の普通預金口座に1620万円を振込 送金させ, 第3(令和2年12月28日付け起訴状記載の公訴事実第3) 被告人は,前記E及び前記Gと共謀の上,真実は,前記テレビ番組「乙」 に関し,前記Fにインフォマーシャルの制作を発注した事実はなく,同イン フォマーシャルの納品を受けていないにもかかわらず,これらがあるように 装い,被告人が,平成30年11月29日,被害会社内において,前記経理 ソフトQに架空のインフォマーシャル制作費の請 はなく,同イン フォマーシャルの納品を受けていないにもかかわらず,これらがあるように 装い,被告人が,平成30年11月29日,被害会社内において,前記経理 ソフトQに架空のインフォマーシャル制作費の請求金額を入力し,同年12 月5日頃,情を知らない前記株式会社J業務1部媒体課の担当者らを介して 前記Kに対し,前記Eが作成した前記F名義のインフォマーシャル制作費に かかる虚偽の請求書を提出し,同年12月27日,前記Kをして同請求が正 当なものであると誤信させてインフォマーシャル制作費の支払を承認させ, - 3 - よって,平成31年1月31日,前記被害会社名義の当座預金口座から株式 会社L銀行P支店に開設された前記F名義の普通預金口座に1620万円を 振込送金させ, 第4(令和2年12月28日付け起訴状記載の公訴事実第4) 被告人は,前記E及び前記Gと共謀の上,真実は,平成30年12月に株 式会社Oにおいて放送されたテレビ番組「丙」に関し,前記Fにインフォマ ーシャルの制作を発注した事実はなく,同インフォマーシャルの納品を受け ていないにもかかわらず,これらがあるように装い,被告人が,同年12月 26日,被害会社内において,前記経理ソフトQに架空のインフォマーシャ ル制作費の請求金額を入力し,平成31年1月9日頃,情を知らない前記株 式会社J業務1部媒体課の担当者らを介して前記Kに対し,前記Eが作成し た前記F名義のインフォマーシャル制作費にかかる虚偽の請求書を提出し, 同年1月31日,前記Kをして同請求が正当なものであると誤信させてイン フォマーシャル制作費の支払を承認させ,よって,同年2月28日,前記被 害会社名義の当座預金口座から前記F名義の普通預金口座に583万200 0円を振込送金させ, 第5(令和3年2月3日付け追起訴状記載の公訴事実第1) 被 承認させ,よって,同年2月28日,前記被 害会社名義の当座預金口座から前記F名義の普通預金口座に583万200 0円を振込送金させ, 第5(令和3年2月3日付け追起訴状記載の公訴事実第1) 被告人は,前記C及び前記Gと共謀の上,別表1記載のとおり,真実は, 別表1「テレビCM枠」欄記載のテレビ番組に関し,前記Dにインフォマー シャルの制作を発注した事実はなく,同インフォマーシャルの納品を受けて いないにもかかわらず,これらがあるように装い,被告人が,別表1「欺罔 期間」欄記載の平成30年4月27日から同月29日までの間,被害会社内 において,前記経理ソフトQに架空のインフォマーシャル制作費の請求金額 を入力し,同月30日頃,情を知らない前記株式会社J業務1部媒体課の担 当者らを介して前記Kに対し,前記Cが作成した前記D名義のインフォマー シャル制作費にかかる虚偽の請求書を提出し,同年5月30日,前記Kをし - 4 - て同請求が正当なものであると誤信させてインフォマーシャル制作費の支払 を承認させ,よって,同年6月29日,前記被害会社名義の当座預金口座か ら前記D名義の普通預金口座に4158万円を振込送金させ, 第6(令和3年2月3日付け追起訴状記載の公訴事実第2) 被告人は,前記C,前記E及び前記Gと共謀の上,別表2記載のとおり, 真実は,別表2「テレビCM枠」欄記載のテレビ番組に関し,前記Fにイン フォマーシャルの制作を発注した事実はなく,同インフォマーシャルの納品 を受けていないにもかかわらず,これらがあるように装い,被告人が,別表 2「欺罔期間」欄記載の平成31年3月27日から同月30日までの間,被 害会社内において,前記経理ソフトQに架空のインフォマーシャル制作費の 請求金額を入力し,その頃,情を知らない前記株式会社J業務1部媒体課の 間」欄記載の平成31年3月27日から同月30日までの間,被 害会社内において,前記経理ソフトQに架空のインフォマーシャル制作費の 請求金額を入力し,その頃,情を知らない前記株式会社J業務1部媒体課の 担当者らを介して前記Kに対し,前記Eが作成した前記F名義のインフォマ ーシャル制作費にかかる虚偽の請求書を提出し,同年4月25日,前記Kを して同請求が正当なものであると誤信させてインフォマーシャル制作費の支 払を承認させ,よって,令和元年5月31日,前記被害会社名義の当座預金 口座から前記F名義の普通預金口座に3456万円を振込送金させ, 第7(令和3年4月6日付け追起訴状記載の公訴事実第1) 被告人は,前記C及び前記Gと共謀の上,別表3記載のとおり,真実は, 別表3「テレビCM枠」欄記載のテレビ番組に関し,前記Dにインフォマー シャルの制作を発注した事実はなく,同インフォマーシャルの納品を受けて いないにもかかわらず,これらがあるように装い,被告人が,別表3「欺罔 期間」欄記載の平成29年5月30日から平成30年7月31日までの間, 被害会社内において,前記経理ソフトQに架空のインフォマーシャル制作費 の請求金額を入力し,平成29年5月30日頃から平成30年7月31日頃 までの間,情を知らない前記株式会社J業務1部媒体課の担当者らを介して 前記Kに対し,前記Cが作成した前記D名義のインフォマーシャル制作費に - 5 - かかる虚偽の請求書を提出し,別表3「被欺罔日」欄記載の平成29年6月 23日から平成30年8月29日までの間,前記Kをして同請求が正当なも のであると誤信させてインフォマーシャル制作費の支払を承認させ,よっ て,別表3「振込送金日」欄記載の平成29年7月31日から平成30年9 月28日までの間,10回にわたり,前記被害会社名義の当座預金口座 であると誤信させてインフォマーシャル制作費の支払を承認させ,よっ て,別表3「振込送金日」欄記載の平成29年7月31日から平成30年9 月28日までの間,10回にわたり,前記被害会社名義の当座預金口座から 前記D名義の普通預金口座に合計2億433万6000円を振込送金させ, 第8(令和3年4月6日付け追起訴状記載の公訴事実第2) 被告人は,前記E及び前記Gと共謀の上,別表4記載のとおり,真実は, 別表4「テレビCM枠」欄記載のテレビ番組に関し,前記Fにインフォマー シャルの制作を発注した事実はなく,同インフォマーシャルの納品を受けて いないにもかかわらず,これらがあるように装い,被告人が,別表4「欺罔 期間」欄記載の平成31年4月27日から令和元年5月31日までの間,被 害会社内において,前記経理ソフトQに架空のインフォマーシャル制作費の 請求金額を入力し,同年5月7日頃から同年6月10日頃までの間,情を知 らない前記株式会社J業務1部媒体課の担当者らを介して前記Kに対し,前 記Eが作成した前記F名義のインフォマーシャル制作費にかかる虚偽の請求 書を提出し,別表4「被欺罔日」欄記載の同月30日から同年6月26日ま での間,前記Kをして同請求が正当なものであると誤信させてインフォマー シャル制作費の支払を承認させ,よって,別表4「振込送金日」欄記載の同 年6月28日から同年7月31日までの間,2回にわたり,前記被害会社名 義の当座預金口座から前記F名義の普通預金口座に合計1350万円を振込 送金させ もって人を欺いて財物を交付させた。 (量刑の理由) 本件各犯行による被害総額は3億5000万円余りと極めて多額であり,結果は 重大である。犯行態様についてみても,被告人は,インフォマーシャル制作費につ - 6 - いては成果物の確認がなされないことを悪用 行による被害総額は3億5000万円余りと極めて多額であり,結果は 重大である。犯行態様についてみても,被告人は,インフォマーシャル制作費につ - 6 - いては成果物の確認がなされないことを悪用し,経理ソフトに架空の経費を計上し た上,共犯者に虚偽の請求書を作成させて,被害会社に提出するなどして現金を詐 取していたのであって巧妙で悪質である。しかも,本件各犯行は,2年間にわたり 繰り返しなされた常習的な犯行でもある。 このような犯行において,被告人は,本件各犯行を首謀し,共犯者らに架空請求 を持ち掛けるなどしているのであって,本件各犯行において最も重い責任を負うべ き立場にある。これらのことからすると,被告人の刑事責任は重大であり,相当期 間の実刑を免れない。 しかし,内部監査がきっかけとなっているとはいえ,被告人が自首しているほか, 捜査公判を通じて事実を素直に認めた上で,反省と謝罪の言葉を述べていること, 犯罪歴のないことなど,被告人に有利に考えるべき事情もあるので,これらも考慮 し,主文の刑を定めた。 (求刑-懲役7年) 令和3年5月31日 東京地方裁判所刑事第13部 裁判官 須 田 雄 一 (別表省略)
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