平成22年11月30日判決言渡平成22年(ネ)第10040号所有権確認等,特許権移転登録手続等反訴請求控訴事件(原審東京地方裁判所平成20年(ワ)第23879号,平成21年(ワ)第1192号)口頭弁論終結日平成22年9月30日判決控訴人(第1審本訴原告・反訴被告) 住友重機械工業株式会社 訴訟代理人弁護士升永英俊同鳥海哲郎同江口雄一郎同花本浩一郎被控訴人(第1審本訴被告) JFEエンジニアリング株式会社訴訟代理人弁護士内藤潤同塚本宏達同中村慶彦被控訴人(第1審本訴被告) 日立造船株式会社 訴訟代理人弁護士伴純之介被控訴人(第1審本訴被告) カワサキプラントシステムズ株式会社 訴訟代理人弁護士茂木鉄平同定金史朗被控訴人(第1審本訴被告・反訴原告) スチールプランテック株式会社 訴訟代理人弁護士原口薫同復代理人弁護士大林和人同佐藤耐治主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人(第1審本訴原告・反訴被告)の 弁護士大林和人同佐藤耐治主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人(第1審本訴原告・反訴被告)の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決中,控訴人(第1審本訴原告・反訴被告。以下「原告」という。)の敗訴部分を取り消す。 被控訴人ら(以下「被告ら」という。)は,原告に対し,各自17億0452万円及びこれに対する,被控訴人(第1審本訴被告)JFEエンジニアリング株式会社(以下「被告JFE」という。)及び被控訴人(第1審本訴被告・反訴原告)スチールプランテック株式会社(以下「被告プランテック」という。)については平成20年9月20日から,被控訴人(第1審本訴被告)日立造船株式会社(以下「被告日立」という。)及び同カワサキプラントシステムズ株式会社(以下「被告カワサキ」という。)については同月23日から各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 原告と被告プランテックとの間において,原告が被告プランテックに対し,別紙特許目録1(1) ,同3(1) ,同4(1) 及び同5(1) 記載の各特許権につい て,移転登録手続をする義務のないことを確認する。 原告と被告プランテックとの間において,原告が被告プランテックに対し,別紙特許目録1(2) ,同2,同3(2) ,同4(2) 及び同5(2) 記載の各特許権のうち,原告の持分について,移転登録手続をする義務のないことを確認する。 原告と被告プランテックとの間において,原告が被告プランテックに対し,別紙特許目録6記載の各特許を受ける権利のうち,原告の持分について,移転手続に協力する義務のないことを確認する。 被告プランテックは,原告に対し,別紙特許目録7記載の各 が被告プランテックに対し,別紙特許目録6記載の各特許を受ける権利のうち,原告の持分について,移転手続に協力する義務のないことを確認する。 被告プランテックは,原告に対し,別紙特許目録7記載の各特許権について,被告プランテックの持分の移転登録手続をせよ。 被告プランテックは,原告に対し,別紙資産目録1ないし3記載のデータの複製物を引き渡し,かつ,被告プランテックが占有する同データを廃棄せよ。 被告プランテックは,原告に対し,別紙資産目録4ないし7記載のパソコン等を引き渡せ。 原告と被告らとの間において,原告に,別紙製品目録記載の製品に関する事業をしてはならないとの義務のないことを確認する。 被告プランテックの反訴請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,第1,2審とも,被告らの負担とする。 第2事案の概要(以下,略語については,当裁判所も原判決と同一のものを用いる。)原告及び被告JFE,同日立,同カワサキが製鉄プラント事業に関する合弁契約を締結し,同契約に基づいて合弁会社である被告プランテックが設立され,原告及び被告らが契約当事者となって事業運営契約を締結したが,原,被告ら間において,以下の紛争が生じた。 原告は,被告らに対し,債務不履行を理由に各契約を解除したと主張して,損害賠償として,連帯して17億0452万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である,被告JFE及び同プランテックについては平成20年9月20 日から,被告日立及び同カワサキについては同月23日から各支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を請求するとともに,被告プランテックに対し,原告と同被告間で原告が同被告に対して特許権の移転登録手続をする義務等のないことの確認,登録済みの特許権持分の移転登録手続,移転済みの資産の返 害金の支払を請求するとともに,被告プランテックに対し,原告と同被告間で原告が同被告に対して特許権の移転登録手続をする義務等のないことの確認,登録済みの特許権持分の移転登録手続,移転済みの資産の返還及びデータの廃棄等をそれぞれ求め,また,被告らに対し,原告と被告ら間で,原告に競業避止義務がないことの確認を求めた(以上本訴請求)。 被告プランテックは,原告に対し,事業運営契約に基づき,特許権の移転登録手続等を求めるとともに,競業避止義務の履行等を求めた(以上,反訴請求)。 原判決は,原告の本訴請求のうち,別紙確認請求目録記載の確認請求については,被告プランテックから,特許権の移転登録手続等を求める反訴請求,当該範囲の事業について競業避止を求める反訴請求がなされているから,確認の利益を欠き不適法であるとして訴えを却下し,その余の請求のうち,原告と被告JFE,同日立及び同カワサキ間における原告の競業避止義務の不存在確認請求について,合弁事業に属する事業のうち,一部の業務に関する原告の競業避止義務の不存在確認を求める限度で認容したが,その余の請求はいずれも棄却した。また,被告プランテックの反訴請求については,事業運営契約に基づく特許権の移転登録手続等の請求を認容し,合弁事業に属する事業のうち,原告の競業避止義務の不存在を確認した一部の業務を除く業務に関し,原告が競業避止義務を履行すべきことを認め,その余の反訴請求を棄却した。 原告は,敗訴部分を不服として,控訴の趣旨記載の判決を求めた。 争いのない事実等原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」の「2争いのない事実等」(原判決6頁8行目から19頁11行目まで)記載のとおりであるから,引用する。ただし,原判決9頁9行目の「それぞれ約した」の後に,「(この うち,別 「第2事案の概要」の「2争いのない事実等」(原判決6頁8行目から19頁11行目まで)記載のとおりであるから,引用する。ただし,原判決9頁9行目の「それぞれ約した」の後に,「(この うち,別紙特許目録7記載の特許権の持分については,現在,登録名義が,原告から被告プランテックに移転されている。)」を挿入し,原判決10頁25行目及び26行目の各「機会」及び同26行目の「期間」を,いずれも「機械」に改める。 争点 原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」の「3争点(1) ないし(5) 」(原判決19頁13行目から23行目)のとおりであるから引用する。 争点に対する当事者の主張原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」の「4争点に対する当事者の主張」の(1) から(5) まで(原判決19頁26行目から49頁20行目まで)のとおりであるから,引用する。ただし,原判決28頁9行目の「A」を「B」と訂正する。 当審における主張(時機に後れた攻撃防御方法の却下について)(1)原告の主張原判決は,原審の第10回弁論準備手続期日(平成21年5月25日)の後に提出された原告準備書面(8),同(9),同(7-2),同(10),同(11),原告最終準備書面及び原告準備書面(12)各記載の主張,並びに,甲80から97まで(以下,これらを総称して「対象攻撃防御方法」という。)を,時機に後れた攻撃防御方法として却下した。 しかし,上記却下は,次のとおり,民事訴訟法157条1項に規定する要件を欠き,原判決は,同項の解釈適用を誤ったものであるから,取り消されるべきである。 ア民事訴訟法157条1項は,攻撃防御方法が「時機に後れて提出」されたことを却下の要件として規定するが,対象攻撃防御方法の提出は 項の解釈適用を誤ったものであるから,取り消されるべきである。 ア民事訴訟法157条1項は,攻撃防御方法が「時機に後れて提出」されたことを却下の要件として規定するが,対象攻撃防御方法の提出は時機に後れていない。 原告最終準備書面及び原告準備書面(12)を除く対象攻撃防御方法は, 争点及び証拠の整理の手続である弁論準備手続中に提出されたものであり,同手続中に提出された攻撃防御方法は,特段の理由がない限り,時機に後れて提出されたということはできないが,以下のとおり,対象攻撃防御方法の提出が時機に後れたと判断すべき特段の理由はない。 すなわち,原告は,早期の和解を希望しており,原審の第10回弁論準備手続期日において,和解手続に入るための主張立証は尽くした旨を主張し,第11回弁論準備手続期日以降は和解案の検討が行われたが,裁判所が適宜開示する心証が原告の確信と相違すると理解したため,弁論準備手続中に主張立証の補充を行った。また,受命裁判官は,第11回弁論準備手続期日において,和解の試みがなされている間はそれらの陳述等はさせないが,和解が不調に終われば陳述等をさせる旨約束していた。さらに,受命裁判官は,平成21年10月21日の第16回弁論準備手続期日において,「当事者双方に対し,主張立証の補充があれば,同年11月10日までに提出すること」を命じており,これは,民事訴訟法170条5項,162条に基づき,準備書面の提出及び証拠の申出をすべき期間を定めたものであるから,少なくとも,同日までに提出された書面は「時機に後れて提出」されたとはいえない。 イ民事訴訟法157条1項は,「訴訟の完結を遅延させること」を却下の要件として規定するが,対象攻撃防御方法の提出は訴訟の完結を遅延させていない。 すなわち,「訴訟の完結を えない。 イ民事訴訟法157条1項は,「訴訟の完結を遅延させること」を却下の要件として規定するが,対象攻撃防御方法の提出は訴訟の完結を遅延させていない。 すなわち,「訴訟の完結を遅延させる」とは,当該攻撃防御方法が提出されなかったならば訴訟を完結できたであろう時期よりも,その提出を認めて審理した場合の訴訟の完結の時期が遅れることをいうところ,本件において,対象攻撃防御方法が提出されなかったとしても,原審の第10回弁論準備手続期日で訴訟が完結することはなく,弁論準備手続は第16回まで続き,更に第2回口頭弁論期日が開かれた。そして,被告らは,同期 日までに対象攻撃防御方法に対する反論,反証を提出している。対象攻撃防御方法において,原告は,被告らによる債務不履行として平成15年合弁契約9条3項,23条及び平成16年運営契約8条1項違反があることを新たに主張したが,各契約の全内容は従前の訴訟資料の範囲に含まれているから,かかる主張が訴訟の完結を遅延させることはない。また,甲80から97までの書証は,被告らがその成立を争っていないから,直ちに取調べが可能であり,その提出は訴訟の完結を遅延させない。 ウ法律上の主張は,原審の第10回弁論準備手続期日後に提出されても,訴訟の完結を遅延されるとはいえないから,民事訴訟法157条1項により却下されることはないと解すべきである。 原告は,当初から,被告プランテックにおいて,平成19年6月21日及び同月28日の取締役会決議により偏頗な執行役員制を導入し,原告が被告プランテックの業務執行権を有する代表取締役として指名・選任したC(以下「C」という。)から業務執行権を奪ったことが,平成15年合併契約及び平成16年運営契約に違反する債務不履行であると主張している。そして,こ 業務執行権を有する代表取締役として指名・選任したC(以下「C」という。)から業務執行権を奪ったことが,平成15年合併契約及び平成16年運営契約に違反する債務不履行であると主張している。そして,これらの契約のどの条項に違反するかは契約解釈に関する法律上の主張であるから,対象攻撃防御方法の中で,「原告の反対にもかかわらず,被告らが,原告の指名した代表取締役から業務執行権を剥奪することとなる定款変更,執行役員規程制定及びそれらに沿った役員人事を実行した行為自体が,平成15年合併契約9条3項及び23条,並びに,平成16年運営契約8条1項にも違反する。」と主張したとしても,時機に後れた攻撃防御方法とはいえない。 (2)被告らの反論ア原判決が,民事訴訟法157条1項に基づき,対象攻撃防御方法を時機に後れた攻撃防御方法として却下したことは正当である。すなわち,(ア)原告は,原審の第10回弁論準備手続期日において,本件訴訟の争点 について「主張を尽くしている」旨主張したが,その時点までに,平成15年合弁契約9条3項違反の主張はなく,同期日に,受命裁判官が,当事者双方にこれ以上の主張,立証がないことを確認の上,次回以降を和解検討の期日とすることを明言し,心証を開示して和解案の検討を求めたところ,原告は,第11回弁論準備手続期日以降,平成15年合弁契約9条3項違反の主張を含む新たな主張や証拠を提出したのである。 原告は,より早期に平成15年合併契約9条3項違反の主張を行うことができたはずであり,このような原告の対応は計画的審理の要請(民事訴訟法147条の2)に反し,対象攻撃防御方法の提出は時機に後れたものというべきである。 なお,受命裁判官は,一貫して「和解案の検討に入る前に,全て主張は足りている」との意向を示して 事訴訟法147条の2)に反し,対象攻撃防御方法の提出は時機に後れたものというべきである。 なお,受命裁判官は,一貫して「和解案の検討に入る前に,全て主張は足りている」との意向を示しており,第16回弁論準備手続期日において,「当事者双方に対し,主張立証の補充があれば,平成21年11月10日までに提出すること」を命じたのは,「既に十分な資料は提出されていると考えており,新たな主張を追加されても,判決の中で時機に後れたとの判断をするかもしれないが,書面を一切受け付けないということでもないので,追加したい書面があれば同日までに提出して構わない」との趣旨である。 (イ)仮に,対象攻撃防御方法の提出が時機に後れた攻撃防御方法として却下されなかった場合,被告らは,原告の新たな主張について反論を余儀なくされ,また,成立に争いのない書証についても,提出されれば,膨大な量の書証について反証をせざるを得ないため,提出されなかった場合に比べて,訴訟完結の時期が遅れることは明らかであり,対象攻撃防御方法の提出は訴訟の完結を遅延させるというべきである。 (ウ)原告は,対象攻撃防御方法中の「被告らが,原告の指名した代表取締役から業務執行権を剥奪することとなる定款変更,執行役員規程制定及 びそれらに沿った役員人事を実行した行為自体が,平成15年合併契約9条3項及び23条,並びに,平成16年運営契約8条1項にも違反する」旨の主張は,契約解釈を争点とするものであるから,時機に後れた攻撃防御方法とはいえないと主張する。しかし,同主張は,契約解釈のみを争点とするものではなく,被告プランテックが新たに導入した執行役員制度の下で,代表取締役の業務執行権のうち,執行役員に委託されたもの以外に,C代表取締役社長補佐の独自の業務執行権が存在したか のみを争点とするものではなく,被告プランテックが新たに導入した執行役員制度の下で,代表取締役の業務執行権のうち,執行役員に委託されたもの以外に,C代表取締役社長補佐の独自の業務執行権が存在したか否かなどの事実認定上の争点を含むものであるから,全体として,時機に後れた攻撃防御方法といえる。 イ原告は,控訴審において,対象攻撃防御方法と同一内容の主張を行い,同一の証拠を引用するとともに,控訴理由書において一部原審で主張されなかった事実も主張し,新たな証拠を提出する。しかし,原判決が対象攻撃防御方法を時機に後れたものとして正当に却下し,控訴審においても対象攻撃防御方法の提出を許すべき新たな事情が存在しない以上,これらの主張,証拠は時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである。 第3当裁判所の判断当裁判所は,控訴を棄却すべきものと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」欄の第3の1から6まで(原判決54頁4行目から76頁21行目)のとおりであるから引用する。ただし,原判決71頁8行目に「被告ら」とあるのを,「同被告」と改める。また,原判決76頁21行目の後に,行を改めて,「 (5)なお,平成22年3月31日が経過したため,原告の,被告らとの間において,本件合弁事業に属する事業のうち,本件実施許諾契約3条(別紙契約目録記載の契約。以下同じ。)に基づく事業についての原告の競業避止義務がないことの確認を求める請求は,理由がないこととなったが,民事訴訟法304条により,結論は変更されない。」と挿入する。 当審における判断(時機に後れた攻撃防御方法の却下について) (1)原審における攻撃防御方法の提出の可否に関する判断の当否について原告は,原審が対象攻撃防御方法の提出を却下した決定について,その取消しを求めるととも 後れた攻撃防御方法の却下について) (1)原審における攻撃防御方法の提出の可否に関する判断の当否について原告は,原審が対象攻撃防御方法の提出を却下した決定について,その取消しを求めるとともに,当審においても,同一の証拠方法について再度の申請をしている。したがって,当裁判所は,原審の証拠採否の判断の当否を判断する必要はなく,再度の証拠申請について判断をすれば足りるものと解する。 念のため,以下のとおり判断する。当裁判所は,原審第10回弁論準備手続期日(平成21年5月25日)の後に提出された対象攻撃防御方法を,時機に後れた攻撃防御方法として却下した原審の証拠採否の判断に違法はないと解する。その理由は,以下のとおりである。 ア原告は,対象攻撃防御方法の提出は時機に後れていないと主張する。 しかし,原告の主張は,採用できない。すなわち,記録によれば,原審において,平成21年3月25日の第8回弁論準備手続期日に原告が陳述した原告準備書面(6)には「訴状,原告準備書面(1)~(6)(各訂正書を含む。),反訴答弁書にて,本件本訴・本件反訴につき,主張・立証を尽くした。」と記載されていること,同年4月22日の第9回弁論準備手続期日に,受命裁判官が,本訴・反訴を通じ,原告,被告プランテックの書面提出期限を同年5月20日とし,被告らについて,原告の主張に対する反論の補充があれば同日までに提出するよう述べ,同月25日の第10回弁論準備手続期日に原告が陳述した原告準備書面(7)には,本件訴訟の争点につき,「SHI(判決注原告を指す。)は,原告準備書面(6)の全部,原告準備書面(5)の全部,原告準備書面(4)の全部,原告準備書面(3)の全部,原告準備書面(2)の全部,原告準備書面(1)の第1~第4において,SHIの主張を尽くしている。」と記載され )の全部,原告準備書面(5)の全部,原告準備書面(4)の全部,原告準備書面(3)の全部,原告準備書面(2)の全部,原告準備書面(1)の第1~第4において,SHIの主張を尽くしている。」と記載されていること,第11回弁論準備手続期日以降,同手続の終結に至るまでの間,準備書面の陳述及び証拠の取り調べはなされず,和解案の検討のみ が行われていること,同年11月13日の第2回口頭弁論期日において,裁判長が,対象攻撃防御方法の準備書面を含む未陳述の準備書面について,「本訴及び反訴当事者双方にこれ以上の主張・立証がないことを確認の後,和解の可能性を検討する期日において提出されたものである。」と述べていることが認められる。一方,原告準備書面(6)及び(7)の上記各部分が和解手続を促進する目的で陳述されたとか,受命裁判官が,原告に対し,和解が成立しなければ新たな攻撃防御方法の提出を許可する旨述べた等の事実を認めるに足りる資料は一切見当たらない。 以上の事情を総合すれば,原審の第10回弁論準備手続期日の時点において,担当裁判官及び原告を含む各当事者は,同期日までに争点及び証拠の整理を終え,その後の弁論準備手続では和解案の検討を行うとの認識で一致していたことは明らかであり,原告において,同期日までに対象攻撃防御方法を提出することが困難であったとの事情はうかがえない。そして,このことからすると,受命裁判官が,同年10月21日の第16回弁論準備手続期日において,「当事者双方に対し,主張立証の補充があれば,平成21年11月10日までに提出すること」を命じたのは,第10回弁論準備手続期日までに提出されなかった新たな主張やそれに関する証拠が提出されることを許容する趣旨ではないと解すべきである。したがって,原告が,第10回弁論準備手続期日の後に対象攻撃防御方 第10回弁論準備手続期日までに提出されなかった新たな主張やそれに関する証拠が提出されることを許容する趣旨ではないと解すべきである。したがって,原告が,第10回弁論準備手続期日の後に対象攻撃防御方法を提出したことは,時機に後れたものというべきである。 イまた,原告は,対象攻撃防御方法は,被告らの反論,反証も含めて,第2回口頭弁論期日で直ちに主張し,あるいは,取り調べることができたものであるから,その提出は訴訟の完結を遅延させていない旨主張する。 しかし,原告の上記主張も採用できない。すなわち,裁判所及び各当事者が,争点及び証拠の整理を終えたとの認識で一致したにもかかわらず,その後,裁判所が,一方の当事者からの新たな攻撃防御方法の提出を認め る場合には,反対当事者による反論やこれを裏付ける立証の機会を付与することによって,適正かつ公平な審理を確保することが必要となり,さらに,再反論及びこれを裏付ける立証の機会を付与することも必要となり,新たな攻撃防御方法の追加等の余地が生じ,訴訟の完結が遅延することになる。本件では,被告らから,平成21年7月8日付け「時機に後れた攻撃防御方法却下の申立書」が提出されており,裁判所が第2回口頭弁論期日において,対象攻撃防御方法の却下をも視野に入れた訴訟指揮を行った結果,同期日において弁論を終結した。本件の事案にかんがみ,対象攻撃防御方法の提出は訴訟の完結を遅延させると解するのが自然である。 ウさらに,原告は,当初から,被告プランテックにおいて,偏頗な執行役員制を導入し,Cから業務執行権を奪ったことが,平成15年合併契約及び平成16年運営契約に違反する債務不履行であることを争点としていたのであるから,対象攻撃防御方法の中で,被告らが,原告の指名した代表取締役から業務執行権を剥奪することとなる定款変更 5年合併契約及び平成16年運営契約に違反する債務不履行であることを争点としていたのであるから,対象攻撃防御方法の中で,被告らが,原告の指名した代表取締役から業務執行権を剥奪することとなる定款変更,執行役員規程制定及びそれらに沿った役員人事を実行した行為自体が,平成15年合併契約9条3項及び23条,並びに,平成16年運営契約8条1項にも違反する旨を争点とすることは,時機に後れた攻撃防御方法とはいえないと主張する。 しかし,この点の原告の主張も失当である。 対象攻撃防御方法における原告の主張は,執行役員制度の導入がCの業務執行権を剥奪することを前提とするものであるが,このような前提は,法律上当然に導かれるわけではなく,具体的な事実認定を要する問題である(被告らが,執行役員制度の導入によりCの業務執行権が剥奪されるとの事実を認めているともいえない。)。そうすると,原告の上記主張は,事実に関する主張を含むものであり,時機に後れて提出された場合,被告らに反論,反証の機会を与えない限り,適正かつ公平な判断を確保するこ とができないものであり,訴訟の完結が遅延するから,民事訴訟法157条1項による却下の対象になるというべきである。 エしたがって,原判決が,対象攻撃防御方法を時機に後れた攻撃防御方法として却下したことは正当と認められ,原告の主張は採用できない。 (2)当審における攻撃防御方法の提出の可否について原告は,当審において,対象攻撃防御方法と同一及び新たに付加した攻撃防御方法を提出する。 上記(1) と同様の理由により,対象攻撃防御方法と同旨の攻撃防御方法は,次のとおり,時機に後れたものとして却下する。 ア原告の控訴理由書のうち「第2章(平成15年合併契約9条3項及び平成16年運営契約8条1項違反)」(13~65 象攻撃防御方法と同旨の攻撃防御方法は,次のとおり,時機に後れたものとして却下する。 ア原告の控訴理由書のうち「第2章(平成15年合併契約9条3項及び平成16年運営契約8条1項違反)」(13~65頁),「第3章(平成15年合併契約7条及び平成16年運営契約14条,別紙2違反)の第2節,第3節」(88~129頁),準備書面(1)のうち「第1」,「第3」(1~40,44頁),準備書面(2)のうち「第2」(3頁)の各部分の主張,並びに,甲98の1・2から甲122は,いずれも却下する。 イ被告らの各準備書面のうち,次の各部分(上記アの原告の主張に対応する部分)の主張,及び,戊48から68(被告プランテック提出)は,いずれも職権により却下する。 (ア)a被告プランテック準備書面(1)の「第2の3」(24~41頁),「第2の4(2),5」(45~60頁),「第3の3」(63~66頁),「第3の5,6」(68~74頁),「第4」(84~90頁)b同準備書面(2)の「第1」(14~15頁),「第2の1」(15~30頁),「第2の3」(31~32頁),「第3の1」(33~39頁),「第3の3」(46~60頁)c同準備書面(3)の「第2の2」(3~4頁),「第3の2」(9 ~13頁)(イ)被告JFE第1準備書面の「三」(9~12頁),「四の第3,第4」(29~48頁)(ウ)被告日立準備書面(1)の「第2」(3~5頁),「第4」(5~14頁)」 当審における判断(原告のその他の主張について)(1)原告は,当審において,平成13年運営契約10条及び平成13年合併契約9条の文言,並びに,平成13年運営契約別添の「協議報告事項」の記載を根拠として,「母体3社は,平成13年合併契約9条の取締役会決議のうちの重要な協議事 成13年運営契約10条及び平成13年合併契約9条の文言,並びに,平成13年運営契約別添の「協議報告事項」の記載を根拠として,「母体3社は,平成13年合併契約9条の取締役会決議のうちの重要な協議事項が,平成13年運営契約10条,同契約別添記載の「事前協議」事項であることを確認したものであり,この「事前協議」事項については,原則として母体3社の承諾を要する事項であって,平成15年合併契約7条の「重要事項」と解すべきである」旨主張する。しかし,平成13年運営契約及び平成13年合併契約は,平成15年合併契約締結時には失効しているのであり,平成13年運営契約及び平成13年合併契約に基づく母体3社の確認を前提として,平成15年合併契約を解釈することはできないというべきであり,この点の原告の主張は失当である。 (2)原告は,当審において,平成14年運営契約17条,21条の文言,同契約別添の「協議報告事項」では平成13年運営契約別添の「協議報告事項」記載の「被告プランテックは,原則として,母体3社の承諾なしには該当行為を行うことはできない。但し,母体3社間において承諾の可否につき意見が分かれたときは,過半数の意見をもって母体3社の承諾とする。」との文言が削除されていること,及び,平成14年運営契約には,平成13年運営契約19条1項のような「見直し条項」がないことからすれば,平成15年合併契約において「全会一致ルール」が定められたことは明らかである旨主張する。しかし,仮に,上記の契約文言等を参酌しても,原判決65頁17 行目から66頁1行目までに記載のとおりであって,原告主張に係る事実を認めることはできない。 第4 結論 原告は,その他縷々主張するが,いずれも上記認定判断を左右しない。よって,本件控訴は理由がないから棄却することとして,主文 とおりであって,原告主張に係る事実を認めることはできない。 第4 結論 原告は,その他縷々主張するが,いずれも上記認定判断を左右しない。よって,本件控訴は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部裁判長裁判官飯村敏明裁判官齊木教朗裁判官武宮英子 別紙確認請求目録 原告と被告プランテックとの間において,原告が,被告プランテックに対し,別紙特許目録1(1) ,同3(1) ,及び同4(1) 記載の各特許権について,移転登録手続をする義務のないことを確認する請求 原告と被告プランテックとの間において,原告が,被告プランテックに対し,別紙特許目録1(2) ,同2,同3(2) 及び同4(2) 記載の各特許権のうち,原告の持分について,移転登録手続をする義務のないことを確認する請求 原告と被告プランテックとの間において,原告が,被告プランテックに対し,別紙特許目録6記載の各特許を受ける権利のうち,原告の持分について,移転手続に協力する義務のないことを確認する請求 原告と被告プランテックとの間において,原告に,別紙製品目録記載の製品に関する事業のうち,平成22年3月31日までの別紙契約目録記載の契約に基づく事業を除いて,その余の事業をしてはならないとの義務のないことを確認する請求 業のうち,平成22年3月31日までの別紙契約目録記載の契約に基づく事業を除いて,その余の事業をしてはならないとの義務のないことを確認する請求
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