- 1 -主文本件控訴を棄却する。 控訴費用は,控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1当事者の求めた裁判 控訴人(1)原判決を取り消す。 (2)被控訴人は、東京都豊島区に対し,5万9096円を支払え(請求の減縮。 )(3)訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 被控訴人主文第1項と同旨第2事案の概要原判決の「第二事案の概要」に記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決12頁9行目から13頁7行目までを以下のとおり改める。 「二)A小学校,B小学校及びC小学校に勤務する職員のうち別紙1記載の者は,平(成8年10月から平成9年2月までの間,その「超勤月日「超勤時間数」欄等記載のと」おり合計89時間のカラ残業をし,その時間外勤務手当相当額を受領した。 最低賃金法16条に基づき東京都労働局長の決定した最低賃金は,平成8年当時1時間664円であるから,上記カラ残業によって豊島区の被った損害は5万9096円を下らない。 664円/時間×89時間=59,096円」第3当裁判所の判断当裁判所も,控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は,以下に付加,訂正す,「」,。 るほか原判決の第三当裁判所の判断に記載のとおりであるからこれを引用する 原判決22頁2,3行目の「六七の1ないし3」の次に「,七六」を加える。 「」「,,,」。 原判決22頁4行目の一〇ないし一二の次に一三の1 一四を加える 原判決24頁2行目の「一定時間」の次に「まず年間の時間外勤務の時間が定めら(れ,次にその内訳となる各月単位の時間外勤務の時間が定められた」を加える。 。) 原判決25頁5行目の「記入していた」の次に「職員は,現実に時間外勤務をして。 も,前記庶務課記載の が定めら(れ,次にその内訳となる各月単位の時間外勤務の時間が定められた」を加える。 。) 原判決25頁5行目の「記入していた」の次に「職員は,現実に時間外勤務をして。 も,前記庶務課記載の時間外勤務の時間の範囲で超過勤務手当を取得し,現実の時間外勤務の時間に対応する超過勤務手当の請求手続をしなかった」を加える。 。 原判決26頁7行目の「表示されている」から8行目の「警備日誌」までを以下の。 とおり改める。 「表示されている。 ところで,本件各小学校においては,学校警備職員が,日付け,最終下校職員の氏名及,,,(,),び時刻異常の有無及び処理状況校舎校庭の開放団体代表者名及び利用時間等申し送り事項等を記載した「警備日誌」を作成し,翌朝教頭に提出していた。 上記「時間外勤務等命令簿兼報告書」と上記「警備日誌」」 原判決26頁11行目末尾に以下のとおり加える。 「,,「」これをより具体的にみると別紙2記載の者について時間外勤務等命令簿兼報告書- 2 -上,別紙2の各日付けごとに午後5時から所掲の時間までの間,時間外勤務をした旨記載されているが,これに対応する「警備日誌」をみると最終下校職員の下校時刻が所掲の時間である旨記載されている」。 原判決30頁2行目の「反映したものではないことは否定し難く」を「反映したも,のではなく,超過勤務手当の取得の上限を定める反面,現実に時間外勤務をしたかどうか,,,」にかかわらずこの上限の限度で超過勤務手当を取得することを認めるものでありかつと改める。 原判決33頁3行目から9行目までを次のとおり改める。 「しかし,①そもそも「警備日誌」上は最終下校職員が下校したとされている後にも,別紙2に付記したように,校舎,校庭が開放されて職員が残っていた蓋然 判決33頁3行目から9行目までを次のとおり改める。 「しかし,①そもそも「警備日誌」上は最終下校職員が下校したとされている後にも,別紙2に付記したように,校舎,校庭が開放されて職員が残っていた蓋然性が高く「警,備日誌」の最終下校職員の下校時間の記載自体必ずしも正確であるとは断じ難いこと,②その一方で,別表2のうちB小学校の平成8年11月7日及び11月18日分,A小学校の平成8年10月24日分及び平成9年2月6日分並びにC小学校の平成9年2月4日分については「時間外勤務等命令兼報告書」上の終業時間が「警備日誌」上の最終下校,職員の下校時間と一致している上,B小学校の平成9年1月10日及び2月20日分並びにA小学校の平成8年11月11日分及び平成9年2月27日分についても前者の終業時間と後者の下校時間が概ね一致していることに加えて,③さきに1(八)に認定した事実を総合すると,本件各職員が本件手当の支給対象月にある程度の時間外勤務をしたと認めるのが相当であるが,本件全証拠によってもどの程度の時間外勤務をしたかを確定することはできない。 控訴人はD作成の「陳述書(甲79)及びE作成の「陳述書(甲81)を提出する」」が,いずれも平成8年10月から平成9年2月までの時間外勤務に関する陳述ではなく,採用することができない」。 原判決34頁1行目の末尾に「なお,上記の認定説示は,控訴人が当審で強調する最低賃金の額を考慮したからといって左右されるものでないことは当然である。 また,本件の場合,損害が発生したと認めるには合理的な疑いが残るので,民事訴訟法 48条を適用して,相当な損害賠償額を認定することができるという余地もない」を加。 える。 「,」「。」 原判決34頁3行目の理由がないから棄却するがから10行目の判決するまで 法 48条を適用して,相当な損害賠償額を認定することができるという余地もない」を加。 える。 「,」「。」 原判決34頁3行目の理由がないから棄却するがから10行目の判決するまでを「理由がない」と改める。 。 第4 結論 よって,原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第10民事部裁判長裁判官増井和男裁判官佐藤武彦裁判官田代雅彦(原裁判例等の表示)- 3 -主文一原告の請求を棄却する。 二訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第一原告の請求被告は、東京都豊島区に対し、八六万二五〇〇円及びこれに対する平成一一年六月二六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 第二事案の概要本件は、東京都豊島区(以下「豊島区」という)の住民である原告が、豊島区教。 育委員会事務局庶務課長であった被告は、在任中、時間外勤務手当に関する支出負担行為者及び支出命令者として、豊島区の小学校に勤務する職員が真実は時間外勤務をしていないのに、各職員に時間外勤務手当の支給を受けさせ、これにより豊島区に右支給合計額相当額の損害を与えたと主張し、被告に対し、地方自治法(以下「法」という)二四二条の二第一項四号の規定に基づき、被告の在任期間中のうち平成八年。 一〇月から平成九年二月までの間の時間外勤務手当支給合計額相当額の損害及びこれに対する遅延損害金を豊島区に賠償するよう求めて提起した住民訴訟である。 一前提となる事実(甲一二、丁一、争いがない事実及び弁論の全趣旨) 原告は、豊島区内に住所を有する者である。 被告は、平成八年度において、豊島区教育委員会事務局庶務課(以下「庶務課」という)の課長の職にあった者である。 。 原告は、豊島区立A小学校、 ) 原告は、豊島区内に住所を有する者である。 被告は、平成八年度において、豊島区教育委員会事務局庶務課(以下「庶務課」という)の課長の職にあった者である。 。 原告は、豊島区立A小学校、B小学校及びC小学校(以下「本件各小学校」という)に勤務する給食調理、用務、学童養護及び事務職員の平成五年度から平成八。 年度までの超過勤務命令簿及び警備日誌を精査したところ、超過勤務命令簿には警備日誌上の最終退庁者以外の者がその退庁時刻以後も残業をしていた旨の記載があったことから、右各職員は、実際には時間外勤務をしていないのに、各職員に対し(「」。)、時間外勤務手当を支給していること以下カラ残業というが判明したとしこれにより豊島区は右支給合計額相当額の損害を被っているから、超過勤務命令権者かつ支出命令者である各学校の校長は右損害を賠償すべき責任があると主張して、右時間外手当支給合計額相当額の損害を補填させる措置を講ずべきことを求めて、平成九年一〇月七日、豊島区監査委員に対し監査請求をした。 豊島区監査委員は、平成九年一二月五日付けで、右監査請求のうち、平成八年一〇月七日以前の行為に関する部分については、当該行為があった時から一年を経過してされたものであり、また、監査請求期間を経過して請求したことについて「正当な理由」は見出せないとしてこれを却下し、その余の請求については、警備日誌の最終退庁者の記録が正確であるとは認められないから、豊島区に損害が発生していることが確認できず、また、時間外勤務手当の支出命令者は各校長ではなく庶務課長であるとして、これを棄却する決定をし、その旨を原告に通知した。 原告は、右監査結果を不服として、平成九年一二月二六日、法二四二条の二第一項四号の規定に基づき豊島区に代位して住民訴訟を提起した であるとして、これを棄却する決定をし、その旨を原告に通知した。 原告は、右監査結果を不服として、平成九年一二月二六日、法二四二条の二第一項四号の規定に基づき豊島区に代位して住民訴訟を提起した当庁平成九年行、、((- 4 -ウ)第○号事件。以下「旧事件」という。右訴訟における被告は、豊島区立小学。)校長四名(以下「被告学校長ら」という)及び豊島区の学校職員一名であった。 。 右訴訟において、原告は、被告学校長らの行う時間外勤務の命令をもって、時間外勤務手当の支出負担行為であると主張した。 これに対して、右訴訟の一審判決は「豊島区立の学校の校長は、当該学校に勤、務する学校職員に対する勤務時間命令を専決して行う権限を有していること(東京都豊島区立学校事案の専決に関する規程(昭和五四年教育委員会訓令第三号)二条五号、校長は毎月、学校職員に関する時間外勤務等命令簿を作成し、これを事務)」、「、局庶務課教職員係に提出して報告することになっているが豊島区においては東京都豊島区予算事務規則(昭和三九年規則第二一号)二〇条に基づき、支出負担行為手続規程が設けられ、同規程四条一項、別表第一の区分3によれば、支出負担行為者が支出負担行為として整理する時期は、職員手当については『支出決定のとき』とされている。そして、庶務課教職員係長は庶務課長に時間外勤務手当を含む給与に係る前渡金を請求するに際し、右給与の支出に関する原義書類を提出するものとされており、庶務課長は右原義書類に押印してその支出を専決した上、支出命令を発する仕組みになっていることが認められるが、学校職員に対する時間外手当を含む給与の支給に関しては、右原義書類の決済による支出の決定が支出負担行為に該当するものと解される」と判断し「被告校長らは、それぞれ本件各学校 っていることが認められるが、学校職員に対する時間外手当を含む給与の支給に関しては、右原義書類の決済による支出の決定が支出負担行為に該当するものと解される」と判断し「被告校長らは、それぞれ本件各学校の職。 、員に対する時間外勤務命令を専決して行う権限を有していたものであるが、右時間外勤務命令は時間外勤務手当の支給の契機となるものではあっても、それ自体同手当の支給義務を発生させる財務会計上の行為には該当しないものである。そして、豊島区立小学校の職員の時間外勤務手当の支給に関し、本来の権限者である区長から委任を受けるなどして財務会計上の行為を行う権限を有する者は庶務課長及び庶務課教職員係長であり、被告校長らがその権限を有するものでなかったことは右に説示したところから明らかである」旨判示し、被告学校長らに関しては、法二四。 二条の二第一項四号にいう「当該職員」に該当しないとの理由により、原告の訴えを却下した。 、、、、 原告は右判決を不服として控訴したが平成一一年二月九日控訴審において行政事件訴訟法一五条に基づき、被告学校長らを本件訴訟の被告ほか一名に変更する旨の申立てをしたところ、控訴審はこれを認める決定をするとともに、旧事件を当裁判所に対して移送した。なお、右決定により新たな被告とされた者二名のうち一名についての訴えは、後に取り下げられた。 二 争点 本件の争点は、①旧事件における被告変更許可決定に関与する機会がなかった被告は、本件訴訟において右変更についての適否を主張することができるか否か、②本件時間外勤務手当の支出に関する被告の責任の有無及び豊島区の損害の有無であり、これらに対する当事者の主張は以下のとおりである。 争点1について(被告の主張)原告は、旧事件において、学校長は、時間外手当の支出命令権者であるとして の責任の有無及び豊島区の損害の有無であり、これらに対する当事者の主張は以下のとおりである。 争点1について(被告の主張)原告は、旧事件において、学校長は、時間外手当の支出命令権者であるとして、- 5 -法二四二条の二第一項四号所定の当該職員に対する損害賠償代位請求として提訴した。ところで、本件訴訟に先立って原告が申し立てた監査請求の結果は、書面にされ公表されており、原告も内容を了知していることは明らかである。そして、右監査結果には、請求人たる原告が指摘する時間外手当の支出命令権者は「各校長ではなく教育委員会事務局庶務課長である」と明記してある。したがって、原告が、。 旧事件を提起するに当たり、支出命令権者が教育委員会事務局庶務課長であったことを熟知していたことは明らかである。このように、原告は、本件時間外手当の支出命令権者が教育委員会事務局庶務課長であることを知りながら、敢えて、小学校長等を被告として旧事件を提訴したものである。そうすると、原告は「故意」又は少なくとも「重大な過失」により、本来の被告以外の者(小学校長)を被告として旧事件を提起したものであり、行政事件訴訟法第一五条一項所定の「故意又は重大な過失によらないで被告とすべき者を誤ったとき」には該当しないことは明らかで。 、、、あるしかるところ被告は被告変更の可否についての審理には関与しておらず被告変更により初めて当事者としての地位を取得したものであるから、変更の可否について適否を主張する制度的機会は与えられていなかったものである。そして、住民訴訟は客観訴訟であり、法定の要件を満たした場合に限り特に提訴できるものであるところ、被告変更申立が却下され、原告が新規に被告を提訴したとすれば、提訴期間を徒過したものとして却下されることは明白である。そうすると、旧事件 法定の要件を満たした場合に限り特に提訴できるものであるところ、被告変更申立が却下され、原告が新規に被告を提訴したとすれば、提訴期間を徒過したものとして却下されることは明白である。そうすると、旧事件の被告らと何ら関係のない本件訴訟の被告に、右変更についての適否を主張する機会が与えられないと解するのは不当である。 以上のとおり、旧事件の被告変更の申立てに理由がなかったとすれば、原告は新訴訟を提起する他はなかった筈であり、その場合は出訴期間を徒過していることが明白であるから、本件訴訟はこれと同視して、却下されるべきである。 争点2について(原告の主張)(一)超過勤務手当は、本来、超過勤務の実績に基づいて支払われるものである。 しかるに、庶務課教職員係職員は、学校における区の職員が行うべき年間の残業時間を予め決定し、各学校の各職員に対するその割り振り表(甲第一一号証)を作成した上、本来は校長が作成すべき「勤務実績報告書」を作成していた。そして、これに基づいて、各学校の事務職員が、校長による実際の時間外勤務命令及び当該職員の実際の時間外勤務の実績とは無関係に、時間外勤務命令簿を作成していた。 被告は、右の事情を黙認していたのみならず、積極的に割り振り表を作成し、職員に対してカラ残業代を利益供与していたものである。 (二)A小学校、B小学校及びC小学校に勤務する職員で別表1の「職員名」欄に記載された者(以下「本件各職員」という)が、平成八年一〇月から平成九年。 二月までの間に行われたとされている残業は、同表記載のとおりであるところ、これらはいずれもカラ残業であり、その合計は三四五時間である。 右職員の一時間当たりの平均給与額は二五〇〇円と推定されるから、これに右のカラ残業の時間数を乗じて、右各学校において右期間のカラ残業に対して支払- 6 カラ残業であり、その合計は三四五時間である。 右職員の一時間当たりの平均給与額は二五〇〇円と推定されるから、これに右のカラ残業の時間数を乗じて、右各学校において右期間のカラ残業に対して支払- 6 -、。 われた時間外勤務手当の支給合計額を計算すると合計八六万二五〇〇円となる右とおり、カラ残業に対し時間外勤務手当が支給されたことにより、豊島区は八六万二五〇〇円の損害を被った。 (被告の主張)(一)時間外勤務手当の支出手続学校職員の給与手当に関する支出負担行為の専決権者は、庶務課長であるが、支出負担行為をする権限を有する者に損害賠償責任が発生するのはその者に故意または重大な過失がある場合に限られる(法二四三条の二第一項。支出負担行)為に必要な書類は、給与簿、諸手当簿、仕訳書であり、学校から提出された出勤状況報告書・勤務実績報告書(複写式の書類)に基づき、教職員係長が、所属職員をして右書類を作成させている。庶務課長は、右書類を纏めた「支出金額集計表」のみが添付された原議書の専決欄に決裁印を押捺しているが、支出金額集計表自体からは個々の職員の時間外勤務の時間数は判明しない。 学校職員の給与手当に関する支出命令の専決権者も、教育委員会事務局庶務課長である。同課長が支出命令をなすに当たって確認する文書は支出金額集計表のみである。 以上のとおり、被告は、本件における時間外勤務時間の確認に直接は関与しておらず、その内容を知る立場にはなかったのであるから、支出金額集計表のみに基づいて支出負担行為及び支出命令を行ったことに、少なくとも重大な過失はない。 (二)時間外勤務の実態について( )勤務時間 本件各職員の勤務時間は、午前八時から午後四時四五分までであり、途中に休憩四五分が挟まっている。 ( )時間外勤務の処理方法 豊島区では、 (二)時間外勤務の実態について( )勤務時間 本件各職員の勤務時間は、午前八時から午後四時四五分までであり、途中に休憩四五分が挟まっている。 ( )時間外勤務の処理方法 豊島区では、本件手当て支給当時、時間外勤務が、出勤時間前の勤務(いわゆる早出)の場合にも、書類上は、勤務時間終了後の時間外勤務として処理されていた。例えば、勤務時間前に三〇分の早出がなされた場合には、勤務時間終了後に一五分の休憩をとったことにし、一七時から一七時三〇分を時間外勤務とするような扱いである。 ( )学校現場での時間外勤務の必要性 学校現場では、次のような事情で、恒常的に時間外勤務が必要である。 ア給食調理員給食調理員については、昼の給食時間に間に合わせるために、早出をして湯沸かし、材料の冷蔵庫への搬入等の作業に取り掛かる必要がある。三〇分の早出が一週間に三回あれば、それで一時間半、一ケ月では六時間の時間外勤務となる。また、休憩時間四五分に休憩できず、食器不足に備える、スープなどをこぼした場合に清掃する等の作業に従事し、時間外勤務になる場合もある。勿論、勤務時間終了後の時間外勤務が必要となることもある。 イ用務員- 7 -、、、児童が通学する前に学校周辺の清掃をするための早出や休憩時間中に外部の客が来た場合の対応作業が必要となることもある。運動会等の行事の設備作成等のための勤務時間終了後に時間外勤務がされることもある。 (三)庶務課における時間外勤務の管理( )庶務課においては、一定時間以上の時間外勤務が必要と解される職場につ いても、予算上の観点から、時間外勤務を一定時間で押さえるように指導し、その月は欠勤していた等特段の事情が無い限り、その上限時間の時間外勤務がなされたとして手当を支給することとした。 この方針のもと いても、予算上の観点から、時間外勤務を一定時間で押さえるように指導し、その月は欠勤していた等特段の事情が無い限り、その上限時間の時間外勤務がなされたとして手当を支給することとした。 この方針のもと、行事などの要素を加味し、時間外勤務の上限時間を示す資料として、教職員係長の命を受けて係員が作成したのが甲第一一号証である。 教職員係長は、この資料に基づき、学校現場に関する組合員役員に、時間外勤務がこれ以上必要であっても、予算上は、この範囲での支給しか予定していないので、時間外勤務は、この時間までとするよう理解を求めていた。 ( )右のとおりであるから、学校現場での時間外勤務については、特段の事情 のない限り、教職員係長から示された上限を超える時間外勤務があったという方が実態である。そして、毎月の時間外勤務の上限時間は、一定ではないことと、学校現場から提出される書類には、往々にして誤記が存在することから、時間外勤務の時間を除く事項を記入させた勤務実績報告書とこれと複写式になっている出勤状況報告書を学校から提出させ、出勤状況報告書の出勤状況からみて特段の事情のない職員については、その月の上限の時間外勤務があったものとして、勤務実績報告書に時間外勤務の時間を記入していたものである。な、、。 お超過勤務命令簿は学校現場にあり教職員係のものが目にすることはない(四)以上のとおり、原告がカラ残業により時間外勤務手当を受領したと主張する、、、職員はいずれも時間外勤務をしたものであり現に時間外勤務が存在した以上豊島区には、何らの損害もなかったのである。 第三当裁判所の判断一争点1について 行政事件訴訟法一五条は、原告が故意又は重大な過失によらないで被告とすべき者を誤ったときは、裁判所は、原告の申立てにより、決定をもって被告を変更 である。 第三当裁判所の判断一争点1について 行政事件訴訟法一五条は、原告が故意又は重大な過失によらないで被告とすべき者を誤ったときは、裁判所は、原告の申立てにより、決定をもって被告を変更することを許すことができること(一項、右の決定があったときは、出訴期間の遵守)については、新たな被告に対する訴えは、最初に訴えを提起した時に提起されたものとみなすこと(三項、右決定に対しては不服を申立てることができないが(五))、()、項右申立てを却下する決定に対しては即時抗告をすることができること六項上訴審において右決定をしたときは、その訴訟を管轄裁判所に移送しなければならないこと(七項)を規定している。 右規定からすると、ひとたび上訴審においてその職権による調査に基づき被告の、、変更を許す決定がなされた場合移送を受けた管轄裁判所における審理においては最初の訴えが提起された時を基準として出訴期間の遵守につき判断するものとされており、新たな被告となった者において右と異なる時を基準として出訴期間の徒過を争う機会が認められていないことは、法律上、明白である。したがって、新たな- 8 -被告となった者は、前記職権調査の際に主張立証の機会を与えられなかったとしても、右決定後に、原告において故意又は重過失により被告とすべき者を誤ったことを主張立証することは許されないし、仮に、右決定後に提出された証拠上、原告において故意又は重過失により被告とすべき者を誤ったことが認められたとしても、移送を受けた裁判所が右証拠に基づき出訴期間の不遵守を認定して却下判決をすることは許されないと解すべきである。 よって、この点に関する被告の主張は採用できない。 二争点2について 事実関係証拠(甲九、一〇の1、一一ないし二三、二五ないし四二、六七の1 て却下判決をすることは許されないと解すべきである。 よって、この点に関する被告の主張は採用できない。 二争点2について 事実関係証拠(甲九、一〇の1、一一ないし二三、二五ないし四二、六七の1ないし3、丁三の1ないし7、四、五の1ないし4、八の1ないし3、九の1ないし4、一〇ないし一二)によれば、以下の事実が認められる。 (一)東京都豊島区会計事務規則七九条により、職員に係る給与等支払事務は、区長又は教育長により指定された給与取扱者が行い、給与取扱者は、各人別に支給額を明らかにした仕訳書を作成することとされている。 (二)平成九年三月以前、豊島区における学校の職員に対する時間外勤務手当の支払事務の概要は、以下のとおりであった。 ( )学校において「時間外勤務等命令簿兼報告書」が作成される。 、( )学校において、月ごとに「出勤状況報告書」及び「勤務実績報告書(警備 」主事分を除く)が作成され、庶務課長に報告される。 。 ( )給与取扱者である庶務課教職員係長は、右( )の報告に基づき、時間外勤務 時間の集計、時間外勤務手当の額の算定を行い、これに基づいて、庶務課長に時間外勤務手当を含む給与に係る前渡金の請求を行う。 ( )庶務課長は、庶務課教職員係長からの請求を受けて、時間外勤務手当を含 む給与に関する支出命令を発する。その際、庶務課長は、右給与の支出に関する原義書類(支出金額集計表」が添付されたもの)に押印する。 「。 (三)右手続において作成される勤務実績報告書は、その性質上、学校において、時間外勤務の点を含めて各職員の勤務の実績を確認して、これを忠実に記載すべ、、、。 きものであるが豊島区においては実際上以下のような運用が行われていた( )庶務課においては、予算上の観点から、時間外勤務を て各職員の勤務の実績を確認して、これを忠実に記載すべ、、、。 きものであるが豊島区においては実際上以下のような運用が行われていた( )庶務課においては、予算上の観点から、時間外勤務を一定時間で抑えるよ うに指導しており、各職員について、その月に欠勤していた等特段の事情が無い限り、一律に一定時間の時間外勤務がされたとして手当を支給することとしていた。 そして、庶務課教職員係の担当職員は、平成八年三月ころ、平成八年度分の時間外勤務手当を各月にどのように割り当てるかについて記載した「平成8年度時間外手当について(主事」と題する書面(甲第一一号証)を作成し、こ)れを組合の役員に対して示していた。右書面によれば、平成八年度一年間における、小中学校の調理又は用務職員の時間外勤務は、一人当たり合計四五時間とされており、各月について○ないし六時間の範囲で割り当てるものとなっていた。 - 9 -( )右の支給を行うため、勤務実績報告書については、学校から、時間外勤務 の欄を空欄のまま提出させ、庶務課において、出勤状況報告書の出勤状況を勘案して、一定の時間数の時間外勤務があったものとして、時間外勤務の時間を記入していた。他方、学校長においては、直接、職員に対して、超過勤務の日時や勤務内容を指定して超過勤務命令を出すことはせず、職員の時間外勤務については、その具体的内容を確認することなく、事務主事又は教頭が作成した「時間外勤務等命令簿兼報告書」の命令権者の欄に、一括して押印していた。 (四)本件各職員に関して作成された「時間外勤務等命令簿兼報告書」には、平成八年一〇月から平成九年二月までの間、別表1のとおりの時間数、時間外勤務が行われた旨の記載がある。本件各職員の右各月の時間外勤務の時間数は、甲第一一号証に表示されている各月への割 報告書」には、平成八年一〇月から平成九年二月までの間、別表1のとおりの時間数、時間外勤務が行われた旨の記載がある。本件各職員の右各月の時間外勤務の時間数は、甲第一一号証に表示されている各月への割り当て時間数とほぼ一致している。本件各職、(「」。)員は右記載に従った時間外勤務手当の支給以下本件手当の支給というを受けた。 右記載においては、本件各職員がした時間外勤務は、その開始時刻が一六時四五分又は一七時、超過勤務の時間数が一時間又は二時間、勤務内容が「給食室内外清掃「校舎内外清掃」などと表示されている。そして、右記載と、本件各小」学校の警備員が作成する「警備日誌」の「最終下校職員の氏名及び時刻」の欄とを比較すると、本件各職員が在校しているべき時刻において、本件各職員以外の教諭等が最終下校職員として記載されているものがある。 (五)平成九年三月ころ、庶務課においては、時間外勤務手当の処理方法を根本的に見直すこととし「時間外勤務手当の事務処理方法(案」と題する書面を作成、)した。右により、前記(二)及び(三)( )の手続は、以下のとおりに改められた。 ( )時間外勤務命令簿は、勤務命令ごとに、本人が作成する。 ( )学校長は、週ごとに「時間外勤務報告書」を作成し、超過勤務実績を庶務 課長に報告する。庶務課長は、これを精査し、内容に疑義がある場合は学校長から事情聴取の上、内容を修正する。 ( )学校長は、学校において、月ごとに「出勤状況報告書」及び「勤務実績報 告書」を作成し、庶務課長へ報告する。庶務課長は、右各報告書と時間外勤務報告書を照合・精査する。 (六)豊島区教育委員会事務局は、平成九年三月四日付けで、各小中学校(園)長宛に「区費職員の超過勤務について」と題する書面を発出した。右書面の内容、 報告書と時間外勤務報告書を照合・精査する。 (六)豊島区教育委員会事務局は、平成九年三月四日付けで、各小中学校(園)長宛に「区費職員の超過勤務について」と題する書面を発出した。右書面の内容、は、超過勤務命令及び手当の支給については、より一層適正な執行が図られるよう、超過勤務命令簿については、超過勤務従事者が正確かつ具体的に勤務内容を記入する処理を行うように依頼するものであった。 (七)平成九年度における、本件各職員(ただしその一部)の、勤務実績報告書に記載のある時間外勤務の状況(ただし本件と同時期の平成九年一〇月から平成一〇年二月におけるもの)は、別表2のとおりであった。 (八)本件各職員は、用務員又は給食調理員であり、その勤務時間は、午前八時から午後四時四五分までである。 もっとも、本件各小学校における用務員は、勤務時間前である午前七時三〇分- 10 -ころから出勤し、湯沸かし、机の清掃、前日の接待の片付け等を行うことが多かった。また、行事があるときには、午前七時ころに出勤して、校庭等の清掃を行、、。 うことがあり休憩時間に来客があったときにはその対応を行うことがあったまた、本件各小学校における給食調理員は、出勤時間前に食材の冷蔵庫への搬入をしたり、勤務時間後に、栄養士と献立相談や調理相談を行い、また、調理器具の清掃や修理のために居残りをすることがあった。 なお、本件各職員合計二〇名のうち八名は、当時、受け取った手当に見合う分以上の時間外勤務を行っていた旨の陳述書を作成している。 被告の責任(一)右で認定した事実を基に検討するに、本件手当の支給は、本件各職員が実際に行った時間外勤務を正確に反映したものではないことは否定し難く、実際に時間外勤務がされたか否か明らかでない日時を内容とする勤務命令がされており、そのよ 討するに、本件手当の支給は、本件各職員が実際に行った時間外勤務を正確に反映したものではないことは否定し難く、実際に時間外勤務がされたか否か明らかでない日時を内容とする勤務命令がされており、そのような勤務命令の瑕疵を看過し、勤務命令に応じた勤務がされたか否かを確認しないままに支出命令がされている点において、違法な財務会計行為と評価せざるを得ない。 このような便宜的な時間外勤務の管理方法は、単に財務会計法規に反するだけでなく、ややもすると単なる自発的労働を時間外勤務と評価し、さらには時間外勤務の有無にかかわらず手当を得られるものとの誤解を招くなどの弊害が生じがちであって、このことは、前記1で認定したとおり、豊島区において従前の取扱いを改めた後の平成九年一〇月から平成一〇年二月までとそれ以前の平成八年一〇月から平成九年二月までにおける本件各職員に係る時間外勤務の時間数を比較すると、前者が明らかに少ないことからも明らかである。 (二)被告の補助職員である教職員係の職員は、前記1(三)のとおり、以上のような財務会計行為の違法性を基礎付ける外形的行為を十分に知悉しながら、原義書類である支出金額集計表を作成し、被告の決裁を得ていたのであるから、被告に違法な財務会計行為をさせるについて故意又は重大な過失があったというべきである。そして、被告は、補助職員に専決権を与えたものでなく、単に自己の手足として補助職員を使用していたにすぎないから、補助職員に右のとおり故意又は重大な過失があった以上、自らもまた故意又は重大な過失があったものとして責。 、、を負うべきであるまた被告の補助職員に対する指揮監督という面から見ても右財務会計行為の違法性は、各学校からの勤務実績報告書を一見すれば、その時間外勤務の欄が空欄になっていることから容易に想到できるのである であるまた被告の補助職員に対する指揮監督という面から見ても右財務会計行為の違法性は、各学校からの勤務実績報告書を一見すれば、その時間外勤務の欄が空欄になっていることから容易に想到できるのであるから、被告がこのような書類を一切点検せず、補助職員の作成した支出金額集計表のみをみて支出命令の決裁を行っていたことは、補助職員に対する指揮監督上の注意義務を著しく怠るというほかなく、少なくともこの点につき重大な過失があったというべきである。 損害の有無前記の違法な財務会計行為によって豊島区に損害が発生したか否かは、本件各職員が本件手当の支給対象月のうちにこれに見合う時間外勤務を行ったか否かにかかるところ、原告は、前記1(四)の警備日誌の記載と本件各職員の時間外勤務等命令- 11 -簿の記載を比較することにより、本件手当の支給がすべていわゆるカラ残業に対するものであると主張する。 しかし、前記1(八)の事実によると、本件各職員が本件手当の支給対象月に全く時間外勤務をしなかったものとはいえず、むしろある程度の時間外勤務を行ったものと認めるのが相当である。その程度が本件手当の額に見合うものであるか否かについては、本件全証拠によっても明らかではないが、少なくともある程度の時間外勤務がされている以上、原告主張の損害額の全部を認定することはできないし、本件全証拠によってもある一定額以上の損害が発生していると認めることもできない。 そうすると、豊島区の損害の有無及びその程度は不明というほかなく、この点については原告に主張立証責任があるというべきである以上、豊島区に損害が発生したとの認定はできない。 三 結論 以上の次第で、原告の請求は理由がないから棄却するが、前記のとおり、被告の財務会計行為は違法なものであり、原告が住民監査請求においてその是正を求め 島区に損害が発生したとの認定はできない。 三 結論 以上の次第で、原告の請求は理由がないから棄却するが、前記のとおり、被告の財務会計行為は違法なものであり、原告が住民監査請求においてその是正を求めたにもかかわらず、豊島区監査委員はこの点を看過し、原告としては住民訴訟を提起するほかなかったこと、及び被告が損害の有無に関する前記二1(八)の事実を認定するに足りる証拠を提出したのは、訴え提起後二年半、被告変更許可決定後一年以上経過した本件第七回口頭弁論期日においてであることを考慮し、訴訟費用の負担については、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六二条の趣旨に則り、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第三部裁判長裁判官藤山雅行裁判官谷口豊裁判官加藤聡
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