令和6(行ケ)2 人口比例選挙請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年2月18日 福岡高等裁判所 那覇支部
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判決文本文23,287 文字)

主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 令和6年10月27日施行の衆議院議員総選挙の小選挙区選出議員選挙について、沖縄県第1区ないし同第4区における各選挙をいずれも無効とする。 第2 事案の概要 1 本件は、令和6年10月27日施行の衆議院議員総選挙(以下「本件選挙」という。)について、沖縄県第1区ないし同第4区(以下、併せて「本件各 選挙区」という。)の選挙人である原告らが、衆議院小選挙区選出議員の選挙(以下「小選挙区選挙」という。)の選挙区割りに関する公職選挙法の規定は憲法に違反して無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の小選挙区選挙のうち本件各選挙区における各選挙が無効であるなどと主張して提起した選挙無効訴訟である。 2 前提事実等(掲記の証拠(証拠の表記は枝番を含む場合がある。以下同じ。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実等)⑴ 当事者ア原告Aは沖縄県第1区、原告Bは同第2区、原告Cは同第3区、原告Dは同第4区の選挙人である。(弁論の全趣旨) イ被告は、本件各選挙区について、本件選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会である。 ⑵ 関係法令等ア公職選挙法は、衆議院議員の選挙制度につき、小選挙区比例代表並立制を採用しており、衆議院議員の定数(以下単に「議員定数」又は「定数」 ということがある。)は465人とされ、そのうち289人が小選挙区選 出議員、176人が比例代表選出議員とされている(同法4条1項)。 小選挙区選挙については、全国に289の選挙区を設け、各選挙区において1人の議員を選出するものとされ(公職選挙法13条1項、別表第1。 以下、後 6人が比例代表選出議員とされている(同法4条1項)。 小選挙区選挙については、全国に289の選挙区を設け、各選挙区において1人の議員を選出するものとされ(公職選挙法13条1項、別表第1。 以下、後記の改正の前後を通じてこれらの規定を併せて「区割規定」という。)、比例代表選出議員の選挙(以下「比例代表選挙」という。) については、全国に11の選挙区を設け、各選挙区において所定数の議員を選出するものとされている(同法13条2項、別表第2)。 総選挙においては、小選挙区選挙と比例代表選挙とを同時に行い、投票は小選挙区選挙及び比例代表選挙ごとに1人1票とされている(同法31条、36条)。 イ衆議院議員選挙区画定審議会設置法(以下、後記の改正の前後を通じて「区画審設置法」という。)2条は、衆議院議員選挙区画定審議会(以下「区画審」という。)は、衆議院小選挙区選出議員の選挙区(以下単に「選挙区」ということがある。)の改定に関し、調査審議し、必要があると認めるときは、その改定案(以下単に「改定案」という。)を作 成して内閣総理大臣に勧告するものと規定している。 ウ区画審は、令和4年6月16日、所要の調査審議を経た上で、区割改定案(以下「本件区割改定案」という。)を取りまとめ、内閣総理大臣に対して、本件区割改定案を内容とする勧告(以下「本件勧告」という。)を行った。 エ本件勧告を受け、本件勧告の内容のとおりに小選挙区の区割改定を行うことなどを内容とする「公職選挙法の一部を改正する法律」(令和4年法律第89号。以下「令和4年改正法」といい、同改正法による公職選挙法の改正を「令和4年改正」という。)が、第210回国会において令和4年11月18日に成立した。 オ令和4年改正法によって改正された区割規 令和4年改正法」といい、同改正法による公職選挙法の改正を「令和4年改正」という。)が、第210回国会において令和4年11月18日に成立した。 オ令和4年改正法によって改正された区割規定(以下「本件区割規定」 という。)により改定された選挙区の区割り(以下「本件選挙区割り」という。)の内容は、本件勧告のとおりいわゆるアダムズ方式(各都道府県の人口を一定の数値で除し、それぞれの商の整数に小数点以下を切り上げて得られた数の合計数が小選挙区選挙の定数と一致するようにする方式。 以下同じ。)を採用して初めての区割見直しを行い、いわゆる10増10 減の措置を講ずるとともに、25都道府県の合計140の小選挙区において区割を改めるというものである。(乙2、30、弁論の全趣旨)⑶ 本件選挙の概要ア令和6年10月9日に衆議院が解散され、本件選挙は、同月27日、令和4年改正による公職選挙法に基づく本件選挙区割りの下で施行された。 イ本件選挙当日の選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の較差(以下単に「較差」ということがある。)は、最大で選挙人数の最も少ない選挙区である鳥取県第1区と選挙人数が最も多い選挙区である北海道第3区との間で1対2.059(以下、較差に関する数値は、全て概数である。)であり、鳥取県第1区と比べてその較差が2倍以上となっている選 挙区が10選挙区であった。 なお、本件選挙において、原告らがそれぞれ属する本件各選挙区における較差は、鳥取県第1区を1とした場合に、沖縄県第1区が1.179、同第2区が1.321、同第3区が1.419、同第4区が1.333であった。(乙3、弁論の全趣旨) 3 争点及び争点に関する当事者の主張本件の争点は、本件選挙区割りが憲法の求める投票 第2区が1.321、同第3区が1.419、同第4区が1.333であった。(乙3、弁論の全趣旨) 3 争点及び争点に関する当事者の主張本件の争点は、本件選挙区割りが憲法の求める投票価値の平等に反し違憲であり、これにより本件選挙のうち本件各選挙区における各選挙が無効となるか否かである。 (原告らの主張) ⑴ 本件選挙は、選挙区間の議員1人当たりの選挙人数の較差が最大2.05 4倍(ただし、令和5年1月1日時点の住民基本台帳に基づく。)となっている。憲法56条2項は、両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決する旨規定しているところ、憲法前文第1文及び憲法1条は、主権が国民に存することを宣言するとともに、日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動するとし、憲 法43条1項は、両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する旨規定しているのであり、これらの規定は、「できる限りの1人1票等価値(=できる限りの人口比例選挙)」を要求しているものである。 しかるに、本件選挙区割りは、人口比例選挙によって保障される1人1票の投票価値の平等に違反するものであり、憲法56条2項、憲法前文第1文 及び憲法1条に違反し、憲法98条1項により無効である。 したがって、本件選挙区割りの下で行われた本件選挙の小選挙区選挙のうち本件各選挙区における各選挙は無効である。 ⑵ 平成28年法律第49号(以下「平成28年改正法」という。)による改正後の区画審設置法(以下、特に「新区画審設置法」ということがあ る。)3条1項は、選挙区の改定案の作成は、各選挙区の人口の均衡を図り、各選挙区の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が二以上 下、特に「新区画審設置法」ということがあ る。)3条1項は、選挙区の改定案の作成は、各選挙区の人口の均衡を図り、各選挙区の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が二以上とならないようにする旨規定しているにもかかわらず、区画審は、内閣総理大臣に対し、令和4年6月16日、選挙区間の最大較差が同日時点で2倍以上となる内容の本件区割改定案を内容とする本件勧告を行った。令 和4年改正法によって改正された本件区割規定に基づく本件選挙区割りは、本件区割改定案と同内容のものであり、これは新区画審設置法3条1項に違反する無効なものである。 また、区画審は、新区画審設置法3条1項、4条2項に基づき、①令和2年国勢調査の結果による人口の各選挙区間の最大較差が2倍未満となり、か つ、②令和2年国勢調査以降令和7年の簡易国勢調査(統計法5条2項ただ し書の規定により大規模国勢調査が行われた年から5年目に当たる年に行われる国勢調査をいう。以下同じ。)までの5年間全体を通じて、令和2年の見込人口(平成28年改正法の附則2条3項1号ロ)での各選挙区間の最大較差が2倍未満となるように区割改定案を作成し、勧告する義務を負うのであり、これらの規定によれば、本件区割規定による選挙区割りの改定時に各 選挙区間の最大較差が2倍未満であれば問題がないというものではなく、選挙当日においてもその最大較差が2倍未満でなければならない。そうすると、本件選挙の小選挙区選挙は、無効な本件選挙区割りの下で行われたものであるから、同選挙のうち本件各選挙区における各選挙は、新区画審設置法3条1項、4条2項に違反し無効なものである。 ⑶ 上記⑴及び⑵の主張が単独では認められないとしても、最高裁判所がした平成23年、平成25年、平成27年 挙区における各選挙は、新区画審設置法3条1項、4条2項に違反し無効なものである。 ⑶ 上記⑴及び⑵の主張が単独では認められないとしても、最高裁判所がした平成23年、平成25年、平成27年、平成30年及び令和5年の各大法廷判決に照らして、本件選挙は、憲法の投票価値の平等の要求に違反する状態に至っている上に、憲法上要求される合理的期間を既に徒過している。 したがって、本件選挙の小選挙区選挙のうち本件各選挙区における各選挙 は憲法98条1項により無効である。 (被告の主張)⑴ 憲法は、投票価値の平等を要求しているが、投票価値の平等は、選挙制度の仕組みを決定する唯一、絶対の基準ではなく、国会が正当に考慮することのできる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべ きものである。 そのため、国会において具体的な選挙区割りや、その前提となる区割規定を定めるに当たっては、投票価値の平等を最も重要かつ基本的な基準としつつも、較差という客観的かつ形式的な数値だけでなく、当該較差の数値の背後にある選挙制度の仕組みや、当該較差を生じさせる要因等も含めて種々の 政策的考慮要素を総合的に考慮した上で、国政遂行のための民意の的確な反 映の実現と、投票価値の平等の要請との調和を図ることが求められるが、選挙制度の仕組みの決定については、国会の広範な裁量に委ねられていることから、これらの調和が保たれる限り、当該選挙制度の仕組みを決定したことが、国会の合理的な裁量の範囲を超えるということにはならない。 したがって、選挙制度の憲法適合性は、以上のような国会に与えられた裁 量権の行使として合理性を有するといえるか否かによって判断されることになる。すなわち、国会が選挙制度の仕組みについて具体的に定 したがって、選挙制度の憲法適合性は、以上のような国会に与えられた裁 量権の行使として合理性を有するといえるか否かによって判断されることになる。すなわち、国会が選挙制度の仕組みについて具体的に定めたところが、憲法の投票価値の平等の要求に反するため、国会に認められる裁量権を考慮してもなおその限界を超えており、これを是認することができない場合に、初めてこれが憲法に違反することになると解すべきである。 ⑵ 本件区割規定の定める本件選挙区割りが、違憲状態に至っているか否かについて見ると、平成28年の改正後の新区画審設置法に基づく後記の新区割制度は、投票価値の平等の要請を、国会が正当に考慮することができる他の政策目的ないし理由との関連において調和的に実現させるとともに、これを安定的に継続させることのできるものであるから、合理的なものである。ま た、新区割制度の整備は、平成23年から平成27年までの各大法廷判決が国会に対して求めてきた立法措置の内容に適合するものであって、新区割制度が合理性を有することは、平成30年及び令和5年の大法廷判決も肯定しているところである。 このように合理性の認められる新区割制度により改定された選挙区割りに ついては、原則として憲法の投票価値の平等の要求に反するものとはいえず、各選挙区間の較差が憲法の投票価値の平等の要求と相いれない新たな要因によるものというべき事情や、較差の拡大の程度が当該制度の合理性を失わせるほど著しいものであるといった事情があるときに初めて憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至ったものというべきである。 しかし、新区割制度により改定された本件選挙区割りについて、上記のよ うな事情があるということはできない。 求に反する状態に至ったものというべきである。 しかし、新区割制度により改定された本件選挙区割りについて、上記のよ うな事情があるということはできない。 したがって、本件区割規定の定める本件選挙区割りが、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたということはできない。 ⑶ 最高裁判所の令和5年の大法廷判決は、令和3年の衆議院議員総選挙当時の選挙区割りについて憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったと はいえない旨判断している。本件選挙は、上記大法廷判決後に初めて行われた衆議院議員総選挙であり、令和3年の上記選挙施行後には、較差の是正のために令和4年改正が実施されていることも考慮すれば、仮に何らかの理由により本件区割規定の定める本件選挙区割りが、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていると判断されるとしても、国会において、そのこ とを認識すべき契機が存在したとはいえず、その状態を認識し得ない状況であったことは明らかである。 したがって、仮に本件選挙区割りが違憲状態に至っていたとしても、国会が、憲法上要求される合理的期間にその是正をしなかったということはできない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実等、後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実を認定することができる。 ⑴ 公職選挙法は、衆議院議員の選挙制度につき、小選挙区比例代表並立制を 採用しており、本件選挙当時、衆議院議員の定数は465人とされ、そのうち289人が小選挙区選出議員、176人が比例代表選出議員とされている(4条1項)。小選挙区選挙については、全国に289の選挙区を設け、各選挙区において1人の議員を選出するものとされ、総選挙においては、小選挙区選挙と比例 議員、176人が比例代表選出議員とされている(4条1項)。小選挙区選挙については、全国に289の選挙区を設け、各選挙区において1人の議員を選出するものとされ、総選挙においては、小選挙区選挙と比例代表選挙とを同時に行い、投票は小選挙区選挙及び比例代表 選挙ごとに1人1票とされている(同法31条、36条)。 ⑵ア平成24年法律第95号(以下「平成24年改正法」という。)による改正前の区画審設置法(以下「旧区画審設置法」という。)4条は、区画審による改定案の勧告について、①1項において、統計法5条2項本文の規定により10年ごとに行われる国勢調査(以下「大規模国勢調査」という。)の結果による人口が最初に官報で公示された日から1年以内に 行うものと規定し、②2項において、1項の規定にかかわらず、各選挙区の人口の著しい不均衡その他特別の事情があると認めるときは、これを行うことができると規定していた。 そして、旧区画審設置法3条は、改定案の作成の基準(以下、後記の改正の前後を通じて「区割基準」という。)について、①1項において、 改定案の作成は、各選挙区の人口の均衡を図り、各選挙区の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が2以上とならないようにすることを基本とし、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならないと規定するとともに、②2項において、改定案の作成に当たっては、各都道府県の区域内の選挙区の数は、各都道 府県にあらかじめ1を配当することとし(以下、このことを「1人別枠方式」という。)、この1に、小選挙区選出議員の定数に相当する数から都道府県の数を控除した数を人口に比例して各都道府県に配当した数を加えた数とすると規定していた(以下、この区割基準を「旧区割基 別枠方式」という。)、この1に、小選挙区選出議員の定数に相当する数から都道府県の数を控除した数を人口に比例して各都道府県に配当した数を加えた数とすると規定していた(以下、この区割基準を「旧区割基準」という。)。 イ平成21年8月30日施行の衆議院議員総選挙(以下「平成21年選挙」という。)は、平成24年改正法による改正前の区割規定(以下「旧区割規定」という。)の定める選挙区割りの下で行われたものであるところ、同日における選挙区間の選挙人数の最大較差は1対2.304であり、選挙人数が最も少ない選挙区と比べて較差が2倍以上となってい る選挙区は45選挙区であった。 ウ最高裁平成22年(行ツ)第207号同23年3月23日大法廷判決・民集65巻2号755頁(以下「平成23年大法廷判決」という。)は、平成21年選挙について、旧区画審設置法3条1項は投票価値の平等の要請に配慮した合理的な基準を定めたものであると評価する一方、同選挙時において、選挙区間の投票価値の較差が拡大していたのは、1人別枠方式 がその主要な要因となっていたことは明らかであり、かつ、人口の少ない地方における定数の急激な減少への配慮等の視点から導入された1人別枠方式は、既に立法時の合理性が失われていたものというべきであるから、旧区割基準のうち1人別枠方式に係る部分及び同基準に従って改定された旧区割規定の定める選挙区割りは、憲法の投票価値の平等の要求に反する 状態に至っていたと判示した。 そして、平成23年大法廷判決は、この状態につき憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず、旧区割基準を定めた規定及び旧区割規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するものということはできないとした上で、事柄の性質上必要とされ 要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず、旧区割基準を定めた規定及び旧区割規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するものということはできないとした上で、事柄の性質上必要とされる是正のための合 理的期間内に、できるだけ速やかに旧区割基準中の1人別枠方式を廃止し、旧区画審設置法3条1項の趣旨に沿って旧区割規定を改正するなど、投票価値の平等の要請にかなう立法的措置を講ずる必要があると判示した。 (以上につき、甲3、乙4~6、弁論の全趣旨)⑶ア平成23年大法廷判決を受けて、平成24年11月16日、旧区画審設 置法3条2項の削除及びいわゆる0増5減の措置を内容とする平成24年改正法が成立したが、同日に衆議院が解散されたため、同年12月16日施行の衆議院議員総選挙(以下「平成24年選挙」という。)は平成21年選挙と同じく旧区割規定の定める選挙区割りの下で行われた。 イ最高裁平成25年(行ツ)第209号、第210号、第211号同年1 1月20日大法廷判決・民集67巻8号1503頁(以下「平成25年 大法廷判決」という。)は、平成24年選挙について、同選挙時において旧区割規定の定める選挙区割りは平成21年選挙時と同様に憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったが、憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず、旧区割規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するものということはできないとした上で、国会に おいては今後も平成24年改正法による改正後の区画審設置法3条(旧区画審設置法3条1項と同内容の規定)の趣旨に沿った選挙制度の整備に向けた取組が着実に続けられていく必要があると判示した。 (以上につき、甲4、乙4、弁論の全趣旨)⑷ア平成24年改正法の附 画審設置法3条1項と同内容の規定)の趣旨に沿った選挙制度の整備に向けた取組が着実に続けられていく必要があると判示した。 (以上につき、甲4、乙4、弁論の全趣旨)⑷ア平成24年改正法の附則の規定に基づく区画審の勧告を受けて、平成2 5年6月24日、いわゆる0増5減の措置を前提に、選挙区間の人口の較差が2倍未満となるように17都県の42選挙区において区割りを改定することを内容とする同年法律第68号(以下「平成25年改正法」という。)が成立した。 イ平成25年改正法による改正後の平成24年改正法によって区割規定が 改正され、平成22年に行われた大規模国勢調査の結果によれば選挙区間の人口の最大較差は1対1.998となるものとされたが、同26年12月14日施行の衆議院議員総選挙(以下「平成26年選挙」という。)の当日においては、選挙区間の選挙人数の最大較差は1対2.129であり、選挙人数が最も少ない選挙区と比べて較差が2倍以上となっている選 挙区は13選挙区であった。 ウ最高裁平成27年(行ツ)第253号同年11月25日大法廷判決・民集69巻7号2035頁(以下「平成27年大法廷判決」という。)は、平成26年選挙について、0増5減の措置における定数削減の対象とされた県以外の都道府県について旧区割基準に基づいて配分された定数の見直 しを経ておらず、上記のような投票価値の較差が生じた主な要因は、いま だ多くの都道府県において1人別枠方式を定めた旧区画審設置法3条2項が削除された後の区割基準に基づいて定数の再配分が行われた場合とは異なる定数が配分されていることにあり、このような投票価値の較差が生じたことは、全体として平成24年改正法による改正後の区画審設置法3条の趣旨に沿った選挙制度の整備が 定数の再配分が行われた場合とは異なる定数が配分されていることにあり、このような投票価値の較差が生じたことは、全体として平成24年改正法による改正後の区画審設置法3条の趣旨に沿った選挙制度の整備が実現されていたとはいえないことの表れ というべきであるとして、平成25年改正法による改正後の平成24年改正法により改定された選挙区割りはなお憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったものといわざるを得ないと判示した。 そして、平成27年大法廷判決は、同条の趣旨に沿った選挙制度の整備については、漸次的な見直しを重ねることによってこれを実現していくこ とも国会の裁量に係る現実的な選択として許容されていると解されるとし、上記の選挙区割りの改定後も国会において引き続き選挙制度の見直しが行われていること等を併せ考慮すると、平成23年大法廷判決の言渡しから平成26年選挙までの国会における是正の実現に向けた取組は、立法裁量権の行使として相当なものでなかったということはできず、憲法上要求さ れる合理的期間内における是正がされなかったとはいえないと判示した。 (以上につき、甲6、乙5、7、8、弁論の全趣旨)⑸ア平成25年改正法の成立の前後を通じて、国会においては、今後の人口異動によっても憲法の投票価値の平等の要求に反する状態とならないようにするための制度の見直し等について検討が続けられ、平成26年9月以 降、有識者により構成される衆議院議長の諮問機関として設置された「衆議院選挙制度に関する調査会」において調査、検討等が行われた。 イ上記調査会は、平成28年1月14日、衆議院議長に対し、答申を提出した。同答申は、衆議院議員の定数を10削減して465人(小選挙区選出議員の定数につき6削減して289人、比例代表選出議員の定数 イ上記調査会は、平成28年1月14日、衆議院議長に対し、答申を提出した。同答申は、衆議院議員の定数を10削減して465人(小選挙区選出議員の定数につき6削減して289人、比例代表選出議員の定数につき 4削減して176人)とする案が考えられるとした上、投票価値の較差の 是正については、小選挙区選挙における各都道府県への議席配分方式が満たすべき条件として、比例性のある配分方式に基づいて配分すること、選挙区間の投票価値の較差を小さくするために各都道府県間の投票価値の較差をできるだけ小さくすること、各都道府県の配分議席の増減変動が小さいこと、一定程度将来にわたっても有効に機能し得る方式であることを挙 げ、これらの条件に照らして検討した結果として、各都道府県への議席配分をいわゆるアダムズ方式により行うものとした。 そして、同答申は、各都道府県への議席配分の見直しについて、制度の安定性を勘案し、10年ごとに行われる大規模国勢調査の結果による人口に基づき行うものとし、その中間年に行われる国勢調査の結果、選挙区間 の人口の較差が2倍以上の選挙区が生じたときは、区画審において、各都道府県への議席配分の変更は行うことなく、上記較差が2倍未満となるように関係選挙区の区画の見直しを行うものとした。 (以上につき、乙5、6、10~13、弁論の全趣旨)⑹ア上記⑸の答申を受けて、平成28年5月20日、衆議院議員の定数を1 0削減して465人(小選挙区選出議員の定数につき6削減して289人、比例代表選出議員の定数につき4削減して176人)とするとともに、各都道府県への定数配分の方式としてアダムズ方式を採用すること等を内容とする同年法律第49号(平成28年改正法)が成立した。 平成28年改正法による改正後の区画審 176人)とするとともに、各都道府県への定数配分の方式としてアダムズ方式を採用すること等を内容とする同年法律第49号(平成28年改正法)が成立した。 平成28年改正法による改正後の区画審設置法(新区画審設置法)4条 は、区画審による改定案の勧告について、①1項において、平成32年(令和2年)以降10年ごとに行われる大規模国勢調査の結果による人口が最初に官報で公示された日から1年以内に行うものと規定し、②2項において、1項の規定にかかわらず、統計法5条2項ただし書の規定により大規模国勢調査が行われた年から5年目に当たる年に行われる簡易国勢調 査の結果による各選挙区の日本国民の人口のうち、その最も多いものを最 も少ないもので除して得た数が2以上となったときは、当該国勢調査の結果による人口が最初に官報で公示された日から1年以内に、これを行うものと規定する。 そして、新区画審設置法3条は、区割基準について、①1項において、改定案の作成は、各選挙区の人口(最近の国勢調査の結果による日本国民 の人口をいう。以下同じ。)の均衡を図り、各選挙区の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が2以上とならないようにすることとし、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならないと規定するとともに、②2項において、同法4条1項の規定による勧告に係る改定案の作成に当たっては、各都道府県の区 域内の選挙区の数は、各都道府県の人口を小選挙区基準除数(その除数で各都道府県の人口を除して得た数(1未満の端数が生じたときは、これを1に切り上げるものとする。)の合計数が小選挙区選出議員の定数に相当する数と合致することとなる除数をいう。)で除して得た数(1未満の端数が生じたときは、これ た数(1未満の端数が生じたときは、これを1に切り上げるものとする。)の合計数が小選挙区選出議員の定数に相当する数と合致することとなる除数をいう。)で除して得た数(1未満の端数が生じたときは、これを1に切り上げるものとする。)とすると規定し (アダムズ方式)、③3項において、同法4条2項の規定による勧告に係る改定案の作成に当たっては、各都道府県の区域内の小選挙区選出議員の選挙区の数は変更しないものと規定する(以下、この区割基準を含む上記各規定による選挙区の改定の仕組みを「新区割制度」という。)。 イさらに、平成28年改正法は、アダムズ方式による各都道府県の選挙区 数の変更が行われるまでの投票価値の較差是正のための措置として、附則2条1項において、小選挙区選出議員の定数を6削減することを前提に、新区画審設置法4条の規定にかかわらず、区画審において平成27年に行われた簡易国勢調査(以下「平成27年国勢調査」という。)の結果に基づく改定案の作成及び勧告を行うこととした。 そして、同附則2条2項及び3項は、上記改定案の作成について、新区 画審設置法3条の規定にかかわらず、各都道府県の選挙区数につき、選挙区数の変更の影響を受ける都道府県を極力減らすことによって選挙制度の安定性を確保する観点から、いわゆる0増6減の措置を講じた上で、平成27年国勢調査の結果に基づく選挙区間の人口の較差が2倍未満となるようにし、かつ、次回の大規模国勢調査が実施される平成32年(令和2年) の見込人口に基づく選挙区間の人口の較差が2倍未満であることを基本とするとともに、各選挙区の平成27年国勢調査の結果による人口及び平成32年(令和2年)の見込人口の均衡を図り、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行うことと 未満であることを基本とするとともに、各選挙区の平成27年国勢調査の結果による人口及び平成32年(令和2年)の見込人口の均衡を図り、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行うこととした。 ウ区画審は、平成29年4月19日、内閣総理大臣に対し、いわゆる0増 6減の措置を講ずることを前提に、19都道府県の97選挙区において区割りを改めることを内容とする改定案の勧告を行った。これを受けて、平成29年6月9日、同年法律第58号(以下「平成29年改正法」という。)が成立し、同法による改正後の平成28年改正法によって区割規定が改正された。 (以上につき、甲81、乙6、10、11、13~17、20、弁論の全趣旨)⑺ア平成29年9月28日に衆議院が解散され、同年10月22日、上記改正後の区割規定の定める選挙区割りの下で衆議院議員総選挙(以下「平成29年選挙」という。)が行われた。 平成29年選挙当日における選挙区間の選挙人数の較差は、選挙人数の最も少ない選挙区と最も多い選挙区との間で1対1.979であり、選挙人数が最も少ない選挙区と比べて較差が2倍以上となっている選挙区は存在しなかった。 イ最高裁平成30年(行ツ)第153号同年12月19日大法廷判決・民 集72巻6号1240頁(以下「平成30年大法廷判決」という。)は、 平成29年選挙につき、同選挙当時の選挙区割りについて、各都道府県への定数配分を人口に比例した方式の一つであるアダムズ方式により行うことによって選挙区間の投票価値の較差を相当程度縮小させその状態が安定的に持続するよう立法措置を講じた上で、同方式による定数配分がされるまでの較差是正の措置として0増6減の措置や選挙区割りの改定を行うこ とにより、選 票価値の較差を相当程度縮小させその状態が安定的に持続するよう立法措置を講じた上で、同方式による定数配分がされるまでの較差是正の措置として0増6減の措置や選挙区割りの改定を行うこ とにより、選挙区間の選挙人数等の最大較差を縮小させたものであり、投票価値の平等を確保するという要請に応えつつ、選挙制度の安定性を確保する観点から漸進的な是正を図ったものと評価することができるとした。 そして、平成30年大法廷判決は、平成29年改正法までの立法措置の内容やその結果縮小した較差の状況を考慮すると、平成29年選挙におい て、1人別枠方式を含む旧区割基準に基づいて配分された定数に変更がなくこれとアダムズ方式により各都道府県の定数配分をした場合に配分されることとなる定数を異にする都道府県が存在していることをもって、平成29年選挙当時の選挙区割りが憲法の投票価値の平等の要求に反するということはできず、同選挙当時には新区画審設置法3条1項の趣旨に沿った 選挙制度の整備が実現されていたということができるから、平成28年改正法及び平成29年改正法による選挙区割りの改定等は、国会の裁量権の行使として合理性を有するというべきであり、平成27年大法廷判決が平成26年選挙当時の選挙区割りについて判示した憲法の投票価値の平等の要求に反する状態は、平成29年改正法による改正後の平成28年改正法 によって解消されたものと評価することができるとし、平成29年選挙当時の選挙区割りは憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったということはできないと判示した。 (以上につき、甲27、乙4、17、19、20、弁論の全趣旨)⑻ア令和3年10月14日に衆議院が解散され、同月31日、平成29年選 挙と同じ選挙区割りの下で衆議院議員総選挙(以下「令和3 (以上につき、甲27、乙4、17、19、20、弁論の全趣旨)⑻ア令和3年10月14日に衆議院が解散され、同月31日、平成29年選 挙と同じ選挙区割りの下で衆議院議員総選挙(以下「令和3年選挙」と いう。)が行われた。 令和3年選挙当時の選挙区割りの下では、令和3年選挙当日における選挙区間の選挙人数の較差は、選挙人数の最も少ない選挙区と最も多い選挙区との間で1対2.079であり、選挙人数が最も少ない選挙区と比べて較差が2倍以上となっている選挙区は29選挙区であった。 イ最高裁判所令和4年(行ツ)第130号同5年1月25日大法廷判決・民集77巻1号1頁(以下「令和5年大法廷判決」という。)は、令和3年選挙につき、同選挙は平成29年選挙と同じ選挙区割りの下で行われたものであるところ、その後、更なる較差是正の措置は講じられず、令和3年選挙当時には、選挙区間の較差は平成29年選挙当時よりも拡大し、 選挙人数の最大較差が1対2.079になるなどしていたことなどを指摘した上で、新区割制度は、選挙区の改定をしてもその後の人口異動により選挙区間の投票価値の較差が拡大し得ることを当然の前提としつつ、選挙制度の安定性も考慮して、10年ごとに各都道府県への定数配分をアダムズ方式により行うこと等によってこれを是正することとしているのであり、 新区割制度と一体的な関係にある上記選挙区割りの下で拡大した較差も、新区割制度の枠組みの中で是正されることが予定されているということができると判示した。 その上で、令和5年大法廷判決は、このような新区割制度に合理性が認められることは平成30年大法廷判決が判示するとおりであり、上記のよ うな令和3年当時の選挙区割りの下で較差が拡大したとしても、当該較差が憲法の投票価値の平 、このような新区割制度に合理性が認められることは平成30年大法廷判決が判示するとおりであり、上記のよ うな令和3年当時の選挙区割りの下で較差が拡大したとしても、当該較差が憲法の投票価値の平等の要求と相いれない新たな要因によるものというべき事情や、較差の拡大の程度が当該制度の合理性を失わせるほど著しいものであるといった事情がない限り、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至ったものということはできないと判示した。 そして、令和5年大法廷判決は、令和3年選挙当時における選挙区間の 投票価値の較差は、自然的な人口異動以外の要因によって拡大したものというべき事情はうかがわれないし、その程度も著しいものとはいえないから、上記の較差の拡大をもって、令和3年選挙当時の選挙区割りが同選挙当時において憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたものということはできないと判示した。 (以上につき、甲28、乙4、弁論の全趣旨)⑼ア令和3年選挙に先立つ令和3年6月25日に、令和2年10月1日を調査時とする大規模国勢調査(以下「令和2年国勢調査」という。)の結果(速報値)が官報で公示されたことを受け、区画審は、令和3年7月2日から区割改定案に係る審議を開始した。 区画審は、令和4年2月21日に区割改定案の作成方針を取りまとめたが、この作成方針には、各選挙区間の人口の較差を2倍未満とする旨の内容とともに、各都道府県知事から分割市区町の解消を望む意見が多数寄せられたこと等を踏まえ、市(指定都市では行政区)区町村の区域は一定の基準に当てはまらない限り分割しないことを原則とする旨の内容が含まれ ていたほか、行政区画に併せ地勢、交通、人口動向、改定に係る市区町村の数又は人口その他の自然的 行政区)区町村の区域は一定の基準に当てはまらない限り分割しないことを原則とする旨の内容が含まれ ていたほか、行政区画に併せ地勢、交通、人口動向、改定に係る市区町村の数又は人口その他の自然的社会的条件を総合的に考慮するに当たり、令和3年選挙における当日有権者数において較差2倍以上となっている選挙区が生じていた状況をも考慮するなどといった内容も含まれていた。 その後、区画審は、上記作成方針を踏まえて所要の調査審議を経た上で、 本件区割改定案を取りまとめ、令和4年6月16日、内閣総理大臣に対し、本件区割改定案を内容とする本件勧告を行った。 イ本件区割改定案は、アダムズ方式を採用して初めて選挙区の区割りの見直しを図ったもので、要旨、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県及び愛知県で定数を合計10増加させ(東京都は5増、神奈川県は2増、埼玉県、 千葉県及び愛知県は各1増)、宮城県、福島県、新潟県、滋賀県、和歌山 県、岡山県、広島県、山口県、愛媛県及び長崎県で定数を合計10減少(各1減)させるいわゆる10増10減の措置を講ずるとともに、上記の都県を含む25都道府県の合計140の選挙区において区割りを改めるものであった。 ウ本件勧告を受け、本件勧告(本件区割改定案)の内容のとおりに小選挙 区の区割改定を行うこと等を内容とする令和4年改正法が、第210回国会において令和4年11月18日に成立した。 エ令和4年改正による本件選挙区割りによって、令和2年国勢調査の結果に基づく日本国民の人口(令和3年11月30日公表に係る確定値(乙28の2、乙29)による。以下、令和2年国勢調査の結果は、いずれも確 定値に基づく。)を基準とした各都道府県間の議員1人当たりの人口の最大較差は1対1.697となった。 に係る確定値(乙28の2、乙29)による。以下、令和2年国勢調査の結果は、いずれも確 定値に基づく。)を基準とした各都道府県間の議員1人当たりの人口の最大較差は1対1.697となった。 また、人口の最も少ない選挙区と人口の最も多い選挙区との間における議員1人当たりの人口の最大較差は、令和4年改正による本件選挙区割りへの改定の前後で、鳥取県第2区と東京都第22区との間の1対2.09 6から、鳥取県第2区と福岡県第2区との間の1対1.999に縮小し、鳥取県第2区と比べて較差が2倍以上の選挙区は23区から0区となった。 なお、平成29年改正法による改正後の選挙区割りにおいては、分割市区町数が105であったところ、令和4年改正による本件選挙区割りにより、分割市区町数は32市区に減少した。 (以上につき、前提事実等、甲9、11、18、81、乙2、25~30、弁論の全趣旨)⑽ア令和6年10月9日、衆議院が解散され、同月27日、本件選挙区割りの下で、衆議院議員総選挙(本件選挙)が行われた。 イ本件選挙区割りの下では、本件選挙当日における選挙区間の選挙人数の 最大較差は、選挙人数が最も少ない選挙区(鳥取県第1区)と選挙人数が 最も多い選挙区(北海道第3区)との間の1対2.059であり、選挙人数が最も少ない選挙区(鳥取県第1区)と比べて較差が2倍以上となっている選挙区は10選挙区であった。 ウなお、本件選挙において、原告らがそれぞれ属する本件各選挙区における較差は、鳥取県第1区を1とした場合に、沖縄県第1区が1.179、 同第2区が1.321、同第3区が1.419、同第4区が1.333であった。 (以上につき、前提事実等、乙3、弁論の全趣旨)2⑴ 原告らは、本件選挙区割りは、人口比例選挙によ 1.179、 同第2区が1.321、同第3区が1.419、同第4区が1.333であった。 (以上につき、前提事実等、乙3、弁論の全趣旨)2⑴ 原告らは、本件選挙区割りは、人口比例選挙によって保障される1人1票の投票価値の平等に違反するものであり、憲法56条2項、憲法前文第1文 及び憲法1条に違反し、憲法98条1項により無効であるから、本件選挙区割りの下で行われた本件選挙の小選挙区選挙のうち本件各選挙区における各選挙は無効であると主張する。 ⑵ そこで、この点について判断するに、憲法は、選挙権の内容の平等、換言すれば投票価値の平等を要求しているものと解されるが、他方、投票価値の 平等は、選挙制度の仕組みを決定する絶対の基準ではなく、国会が正当に考慮することのできる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものであるところ、国会の両議院の議員の選挙については、憲法上、議員の定数、選挙区、投票の方法その他選挙に関する事項は法律で定めるべきものとされ(憲法43条2項、憲法47条)、選挙制度の仕組みの 決定について国会に広範な裁量が認められている。 衆議院議員の選挙につき全国を多数の選挙区に分けて実施する制度が採用される場合には、選挙制度の仕組みのうち定数配分及び選挙区割りを決定するに際して、憲法上、議員1人当たりの選挙人数ないし人口ができる限り平等に保たれることを最も重要かつ基本的な基準とすることが求められている というべきであるが、それ以外の要素も合理性を有する限り国会において考 慮することが許容されているものと解されるのであって、具体的な選挙区を定めるに当たっては、都道府県を細分化した市町村その他の行政区画などを基本的な単位として、地域の面積、人口密度、住民構成、交 慮することが許容されているものと解されるのであって、具体的な選挙区を定めるに当たっては、都道府県を細分化した市町村その他の行政区画などを基本的な単位として、地域の面積、人口密度、住民構成、交通事情、地理的状況などの諸要素を考慮しつつ、国政遂行のための民意の的確な反映を実現するとともに、投票価値の平等を確保するという要請との調和を図ることが 求められているところである。 したがって、このような選挙制度の合憲性は、これらの諸事情を総合的に考慮した上でなお、国会に与えられた裁量権の行使として合理性を有するといえるか否かによって判断されることになり、国会がこのような選挙制度の仕組みについて具体的に定めたところが、上記のような憲法上の要請に反す るため、上記の裁量権を考慮してもなおその限界を超えており、これを是認することができない場合に、初めてこれが憲法に違反することになるものと解すべきである(最高裁昭和49年(行ツ)第75号同51年4月14日大法廷判決・民集30巻3号223頁、最高裁昭和56年(行ツ)第57号同58年11月7日大法廷判決・民集37巻9号1243頁、最高裁昭和59 年(行ツ)第339号同60年7月17日大法廷判決・民集39巻5号1100頁、最高裁平成3年(行ツ)第111号同5年1月20日大法廷判決・民集47巻1号67頁、最高裁平成11年(行ツ)第7号同年11月10日大法廷判決・民集53巻8号1441頁、最高裁平成11年(行ツ)第35号同年11月10日大法廷判決・民集53巻8号1704頁、最高裁平成1 8年(行ツ)第176号同19年6月13日大法廷判決・民集61巻4号1617頁、平成23年大法廷判決、平成25年大法廷判決、平成27年大法廷判決、平成30年大法廷判決及び令和5年大法廷判決参照)。 (行ツ)第176号同19年6月13日大法廷判決・民集61巻4号1617頁、平成23年大法廷判決、平成25年大法廷判決、平成27年大法廷判決、平成30年大法廷判決及び令和5年大法廷判決参照)。 ⑶ そして、平成28年改正法による改正後の新区画審設置法の定める新区割制度については、選挙区の改定をしてもその後の人口異動により選挙区間の 投票価値の較差が拡大し得ることを当然の前提としつつ、選挙制度の安定性 も考慮して、10年ごとに各都道府県への定数配分をアダムズ方式により行うこと等によってこれを是正することとしているのであり、新区割制度と一体的な関係にある選挙区割りの下で拡大した較差についても、新区割制度の枠組みの中で是正されることが予定されているところ、このような新区割制度については、国会に与えられた裁量権の行使として十分合理性が認められ るから、当該選挙当時には、上記選挙区割りの下で較差が拡大していたとしても、当該較差が憲法の投票価値の平等の要求と相いれない新たな要因によるものというべき事情や、較差の拡大の程度が当該制度の合理性を失わせるほど著しいものであるといった事情がない限り、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至ったものということはできないものと解される(平成3 0年大法廷判決及び令和5年大法廷判決参照)。 ⑷ 上記判断枠組みを踏まえて本件選挙につき検討する。 ア本件選挙区割りの下で行われた本件選挙当日の選挙区間の選挙人数の最大較差は、選挙人数が最も少ない選挙区(鳥取県第1区)と選挙人数が最も多い選挙区(北海道第3区)との間の1対2.059であり、また、選 挙人数が最も少ない選挙区(鳥取県第1区)と比べて較差が2倍以上となっている選挙区は10選挙区であったことは、原告らの主張するとおりで (北海道第3区)との間の1対2.059であり、また、選 挙人数が最も少ない選挙区(鳥取県第1区)と比べて較差が2倍以上となっている選挙区は10選挙区であったことは、原告らの主張するとおりである。 イしかし、なるほど令和2年国勢調査の結果に基づく1対1.999の較差が本件選挙当日には1対2.059に拡大し、選挙人数が最も少ない選 挙区と比べて較差が2倍以上の選挙区も0区から10選挙区に拡大してはいるものの、本件全証拠に照らしても、上記較差の拡大が、本件選挙施行までの自然的な人口異動以外の要因によって拡大したものというべき事情はうかがわれず、これが憲法の投票価値の平等の要求と相いれない新たな要因によるものとはいえないし、かかる較差の拡大の程度は新区割制度の 合理性を失わせるほど著しいものであるともいえない。 なお、前記認定のとおり、本件選挙区割りは、新区割制度によりアダムズ方式を採用して初めて選挙区の区割りの見直しを図った令和4年改正法によるものであり、新区割制度に基づき、令和2年国勢調査の結果に基づく日本国民の人口を基準とした各都道府県間の議員1人当たりの人口の最大較差を1.697倍とし、人口の最も少ない選挙区と人口の最も多い選 挙区との間における議員1人当たりの人口の最大較差についても、令和4年改正による本件選挙区割りへの改定の前後で、鳥取県第2区と東京都第22区との間の1対2.096から、鳥取県第2区と福岡県第2区との間の1対1.999に縮小させ、鳥取県第2区と比べて較差が2倍以上の選挙区を23区から0区とするものであるが、このような新区割制度に合理 性が認められることは既に述べたとおりである。 ウまた、本件選挙当日における選挙区間の上記較差については、令和3年選挙当日における選挙 ら0区とするものであるが、このような新区割制度に合理 性が認められることは既に述べたとおりである。 ウまた、本件選挙当日における選挙区間の上記較差については、令和3年選挙当日における選挙区間の最大較差が1対2.079で、選挙人数が最も少ない選挙区と比べて較差が2倍以上となっている選挙区が29選挙区であったことと比較すると、その較差はむしろ縮小したものともいえるの であり、これは、新区割制度施行以降、アダムズ方式を採用して初めて選挙区の改定を行った本件選挙区割りによる効果であるということができる。 エこれらの事情を踏まえると、本件選挙区割りは、新区割制度に沿った合理的なものであり、憲法に適合するものということができるから、原告らの主張する較差をもって、本件選挙当日の本件選挙区割りが憲法の投票価 値の平等の要求に反する状態に至っていたということはできない。 オこの点に関して、原告らは、本件選挙区割りは、人口比例選挙によって保障される1人1票の投票価値の平等に違反するものであり、憲法56条2項、憲法前文第1文及び憲法1条に違反し、憲法98条1項により無効である旨主張する。 しかしながら、既に説示したとおり、憲法は、選挙権の内容の平等、換 言すれば投票価値の平等を要求しているものと解されるが、他方、投票価値の平等は、選挙制度の仕組みを決定する絶対の基準ではなく、国会が正当に考慮することのできる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものとしているのであって、衆議院議員の選挙につき全国を多数の選挙区に分けて実施する選挙制度の合憲性については、前 記⑵の諸事情を総合的に考慮した上でなお、国会に与えられた裁量権の行使として合理性を有するといえるか否かによって判 の選挙につき全国を多数の選挙区に分けて実施する選挙制度の合憲性については、前 記⑵の諸事情を総合的に考慮した上でなお、国会に与えられた裁量権の行使として合理性を有するといえるか否かによって判断されることになるものといわざるを得ず、国会がこのような選挙制度の仕組みについて具体的に定めたところが、上記の裁量権を考慮してもなおその限界を超えており、これを是認することができない場合に、初めて憲法に違反することになる ものと解される。 前記認定のとおり、本件選挙は、国会に与えられた裁量権の行使として合理性を有する新区割制度に基づく本件選挙区割りの下で行われたものであり、本件選挙当日の選挙区間の最大較差は1対2.059にとどまるもので、また選挙人数が最も少ない選挙区と比べて較差が2倍以上となって いる選挙区が10選挙区あったものの、令和3年選挙当日のそれらに比していずれも縮小したというものである。 そうすると、本件選挙区割りは、国会に与えられた裁量権を考慮すると、その限界を超えておりこれを是認することができない場合に当たるものと認めることはできない。 したがって、本件選挙区割りは、原告ら指摘の憲法の各条項等に違反するものとはいえず、憲法に反するものとは認められないから、その主張は採用することができない。 3⑴ 原告らは、①新区画審設置法3条1項が、選挙区の改定案の作成につき、各選挙区の人口の均衡を図り、各選挙区の人口のうち、その最も多いものを 最も少ないもので除して得た数が2以上とならないようにする旨を規定して いるにもかかわらず、区画審は、内閣総理大臣に対し、令和4年6月16日、選挙区間の最大較差が同日時点で2倍以上となる内容の本件区割改定案を内容とする本件勧告を行 いようにする旨を規定して いるにもかかわらず、区画審は、内閣総理大臣に対し、令和4年6月16日、選挙区間の最大較差が同日時点で2倍以上となる内容の本件区割改定案を内容とする本件勧告を行っており、令和4年改正法によって改正された本件区割規定に基づく本件選挙区割りは、本件区割改定案と同内容のものであることからすると、これは新区画審設置法3条1項に違反する無効なものである、 ②区画審は、平成28年改正により改正された新区画審設置法3条1項、4条2項に基づき、令和2年国勢調査の結果による人口の各選挙区間の最大較差が2倍未満とし、かつ、令和2年国勢調査以降令和7年の簡易国勢調査までの5年間全体を通じて、令和2年の見込人口(平成28年改正法の附則2条3項1号ロ)での各選挙区間の最大較差が2倍未満となるように区割改定 案を作成し、勧告する義務を負うのであり、これらの規定によれば、本件区割改定時に選挙区間の較差が2倍未満であれば問題がないというものではなく、選挙当日においてもその較差が2倍未満でなければならないとして、本件選挙区割りに基づき行われた本件各選挙区における各選挙は無効である旨それぞれ主張する。 ⑵ しかしながら、新区画審設置法3条1項は、同項に規定する各選挙区の人口の意義について、統計法5条2項の規定により行われる最近の国勢調査の結果による日本国民の人口をいう旨規定しているものであり、同調査時点以後の人口異動そのものについては何らの言及をしておらず、むしろ新区画審設置法4条2項において、同条1項に規定する大規模国勢調査が行われた年 から5年目に当たる年に行われる簡易国勢調査の結果、選挙区間の人口の較差が2倍以上となった場合には区割改定案を作成して勧告を行う旨規定しているものである。 このことからす 調査が行われた年 から5年目に当たる年に行われる簡易国勢調査の結果、選挙区間の人口の較差が2倍以上となった場合には区割改定案を作成して勧告を行う旨規定しているものである。 このことからすると、平成28年改正法による改正後の新区画審設置法の定める新区割制度においては、選挙区の改定後の人口異動によって選挙区間 の投票価値の較差が拡大し得ることを当然の前提としつつ、選挙制度の安定 性も考慮して、10年ごとの大規模国勢調査の結果によることを原則とし、5年ごとの簡易国勢調査の結果を適宜用いて、各都道府県への定数配分をアダムズ方式により行うこと等によって、選挙区間の較差が2倍以上とならないよう是正することを予定していると解されるのであり、原告らが主張するような、当該国勢調査以降、区画審の勧告時はもとより当該選挙の当日まで、 この間一貫して、選挙区間の最大較差が2倍以上とならないことまでを、新区画設置法が求めているとは解されない。 なお、平成28年改正法の附則2条3項柱書きが、平成27年国勢調査の結果に基づく選挙区の改定案の作成は、新区画審設置法3条の規定にかかわらず、次に掲げる基準によって行わなければならない旨規定していることか ら明らかなように、同項は、平成27年国勢調査の結果に基づく選挙区の改定案の作成についての特則を規定したにとどまるものと解される。そして、上記特則が規定された趣旨は、平成28年改正法による新区割制度が導入されるまでの間に緊急是正措置として行われる上記改定案の作成については、同改正法により選挙区間の投票価値の較差拡大の主要な要因となっていた一 人別枠方式が廃止されたことを受けて、選挙区間の投票価値の較差について特に配慮してこれを補完・是正することにあると解されるのであり、そうする 間の投票価値の較差拡大の主要な要因となっていた一 人別枠方式が廃止されたことを受けて、選挙区間の投票価値の較差について特に配慮してこれを補完・是正することにあると解されるのであり、そうすると、このような例外的な緊急是正措置に関する特則の趣旨が、新区割制度導入後の新区画審設置法3条1項に基づく選挙区の改定案の作成に直ちに妥当するものとは到底解することができない。 ⑶ 以上によれば、原告らの区画審設置法に関する主張はいずれも採用することができず、前記認定の事実に照らせば、本件選挙区割りが新区画審設置法3条1項などに違反する無効なものであるということはできないし、これに基づき行われた本件各選挙区における各選挙が無効であるということもできない。 4 よって、本件選挙区割りの下における選挙区間の投票価値の較差は憲法に違 反するとはいえないし、本件選挙区割りが新区画審設置法3条1項などに違反する無効なものともいえないから、原告らの請求はその余の点について判断するまでもなくいずれも理由がない。 第4 結論以上によれば、原告らの請求はいずれも理由がないからこれらを棄却するこ ととして、主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所那覇支部民事部 裁判長裁判官三浦隆志 裁判官小西圭一 裁判官吉賀朝哉

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