平成28(行ウ)281 政務活動費返還請求事件

裁判年月日・裁判所
平成30年8月28日 東京地方裁判所 その他
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判決文本文32,968 文字)

平成30年8月28日判決言渡平成28年(行ウ)第281号政務活動費返還請求事件主文 1 被告は,D議員に対し,13万3582円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求せよ。 2 被告がD議員に対し13万3582円の不当利得返還請求をすることを怠る事実が違法であることを確認する。 3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,これを3分し,その2を原告らの負担とし,その余は被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告は,D議員に対し,43万5994円及びこれに対する平成27年4月30日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求せよ。 2 被告がD議員に対し43万5994円の不当利得返還請求をすることを怠る 事実及びこれに対する平成27年4月30日から支払済みまで年5分の割合による金員の請求をすることを怠る事実がいずれも違法であることを確認する。 第2 事案の概要本件は,杉並区の住民である原告ら(いずれも選定当事者。なお,選定者も同区の住民である。)が,杉並区議会議員であるD議員が平成26年度に交付を受 けた政務活動費の一部について違法な支出があり,D議員は杉並区に対してその支出額に相当する金員を不当利得として返還すべきであるのに,杉並区の執行機関である被告はその返還請求権の行使を違法に怠っていると主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被告を相手に,D議員に対し上記不当利得返還請求及びこれに対する法定利息の支払請求をすることを求めるとともに,同 項3号に基づき,被告がこれらの請求権の行使を怠る事実が違法であることの確 認を求める事案である。 1 関係法令等 これに対する法定利息の支払請求をすることを求めるとともに,同 項3号に基づき,被告がこれらの請求権の行使を怠る事実が違法であることの確 認を求める事案である。 1 関係法令等の定め本件に関する地方自治法の定めは別紙3-1,「杉並区議会の会派及び議員に対する政務活動費の交付に関する条例」(乙1。平成13年条例第26号〔平成25年条例第1号による改正後のもの〕。以下「本件条例」という。)の定めは別 紙3-2,「杉並区議会の会派及び議員に対する政務活動費の取扱いに関する規程」(乙2。平成19年3月30日議長訓令甲第1号〔平成26年3月31日改正後のもの〕。以下「本件規程」という。)の定めは別紙3-3のとおりである。 2 杉並区議会における政務活動費の支出に関する処理基準について(1) 杉並区議会(以下,単に「区議会」ということがある。)事務局は,政務 活動費に関する本件条例及び本件規程の内容を要約するとともに,支出に当たっての留意事項等をまとめた冊子を毎年作成して議員の便宜に供しており,平成26年4月には,同年版の「政務活動費の支出に関する事務処理について」と題する冊子(甲1・115~145頁。以下「本件処理基準」という。)を作成している。 (2) 本件処理基準は,「政務活動費として支出できない経費」として,本件規程2条1項に掲げる各経費(選挙活動や政党活動に関する経費等)を挙げ,政務活動に要する経費とこれらの経費が混在する場合には「政務活動に要する経費相当分を区分して,政務活動費を支出しなければなりません。」と記載している(甲1・118頁)。 (3) 本件処理基準は,「支出にあたっての留意事項」として,区政報告の内容に関し,「選挙活動,政党活動,後援会活動などに関する記述 ればなりません。」と記載している(甲1・118頁)。 (3) 本件処理基準は,「支出にあたっての留意事項」として,区政報告の内容に関し,「選挙活動,政党活動,後援会活動などに関する記述がある場合は按分が必要です。」,「紙面に占める面積の割合での按分が合理的です。」,「当該号発行に要するすべての経費を按分します。」などと記載している(甲1・122頁)。 また,ホームページの運用管理経費に関し,「サイトに政務活動以外の内容 が含まれる場合は按分が必要です。」,「合理的な区分が困難な場合は社会通念上相当な割合で按分します。」などと記載している(同123頁)。 (4) 本件処理基準は,人件費に関し,「議員と生計を一にする親族は,職員として雇うことはできない 」と記載している(甲1・130頁)。 3 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨に より容易に認められる事実)(1) 政務活動費の交付及び収支報告についてア被告は,本件条例7条に基づき,平成26年4月1日付けで,D議員に対し,平成26年度分(同年4月分~平成27年3月分)の政務活動費192万円の交付を決定し,そのうち,平成26年4月9日に同月分~6月分(3 か月分の支出額は48万円。以下同じ)を,同年7月9日に同月分~9月分を,同年10月9日に同月分~12月分を,平成27年1月8日に同月分~3月分をそれぞれ支出した(乙3~乙7)。 イ D議員は,別表の1「パソコン関連費用」,2「区政報告関連費用」,3「ホームページ管理料」,4「会派区政報告製作料」の各表における「費用」 欄記載の各費用のうち,全部又は一部に相当する金額を上記アの政務活動費から支出した(以下「本件各支出」という。)。なお 「ホームページ管理料」,4「会派区政報告製作料」の各表における「費用」 欄記載の各費用のうち,全部又は一部に相当する金額を上記アの政務活動費から支出した(以下「本件各支出」という。)。なお,各費用の一部に相当する金額を政務活動費から支出した場合におけるその割合は同各表の「按分率」欄記載のとおりであり,政務活動費から支出した金額は同各表の「支出額」欄記載のとおりである。 ウ D議員は,平成27年4月6日,本件条例10条1項に基づき,政務活動費の収支を表す出納簿及び領収書等を添えて,杉並区議会議長に平成26年度分の政務活動費収支報告書(以下「収支報告書」という。)を提出した(甲2の1,乙8の1~乙10の2,乙12)。 エ平成28年5月18日,D議員は,議長に対し,訂正後の収支報告書を提 出した。訂正内容は,支出額合計140万8466円(広聴広報費76万0 598円)を,支出額合計138万5980円(広聴広報費73万8112円)に訂正するというものであり,広聴広報費の印刷・製本費のうち平成26年11月28日支払分に係る区政報告案内はがき代・印刷代(別表の2⑨)について,枚数を1280枚から580枚に訂正したものであった。(甲2の2) (2) 監査請求について(甲1)ア原告ら及び選定者らは,平成28年4月13日,杉並区監査委員に対し,D議員の平成26年度政務活動費のうち76万4687円の支出は違法又は不当にされたものであるとして,D議員に対して速やかにその返還を求めるように杉並区長(被告)に勧告することを求める住民監査請求(以下「本 件監査請求」という。)をした。 イ杉並区監査委員は,平成28年6月8日付けで,本件監査請求のうち,収支報告書及び出納簿の訂正(前記(1 )に勧告することを求める住民監査請求(以下「本 件監査請求」という。)をした。 イ杉並区監査委員は,平成28年6月8日付けで,本件監査請求のうち,収支報告書及び出納簿の訂正(前記(1)エ)により返還された支出に係る部分について却下し,その余の部分について棄却した。 ウ本件訴えの提起 原告らは,平成28年6月27日,本件訴えを提起した。 なお,原告らが本件訴訟で主張する不当利得返還請求権の金額は,別表の1~4の各表における「原告主張の不当利得額」欄記載のとおりであり,その合計金額は43万5994円であるが,原告ら主張の金額に計算の誤りがあると認められる箇所は網掛けで示したとおりである(具体的には,1①パ ソコン接続料の8月分は2249円ではなく2244円が正しい。また,2⑪区政報告礼状発送費は1062円ではなく1082円が正しい。)。 4 主たる争点本件の主たる争点は,被告のD議員に対する不当利得返還請求権及び法定利息支払請求権の成否であり,具体的には,次のとおりである。 (1) 本件各支出が違法であるか (2) D議員は悪意の受益者に当たるか 5 争点に関する当事者の主張の要旨争点に関する当事者の主張の要旨は,別紙4「当事者の主張の要旨」記載のとおりである(なお,別紙4において定義した略語は,本文中でも用いることとする。)。 第3 当裁判所の判断当裁判所は,政務活動費の支出としてされた本件各支出のうち,パソコン関連費用として支出された別表の1の各費用,区政報告関連費用として支出された別表の2の各費用及び会派区政報告製作料として支出された別表の4の費用の一部について,本件条例及び本件規程の定めに違反し,議員としての活動との間に 合理的関連性を有し 関連費用として支出された別表の2の各費用及び会派区政報告製作料として支出された別表の4の費用の一部について,本件条例及び本件規程の定めに違反し,議員としての活動との間に 合理的関連性を有しない違法な支出があり,杉並区は,D議員に対し,13万3582円の不当利得返還請求権を有するとともに,上記金額について,D議員が法律上の原因のない支出(利得)であることを確定的に認識することができる日である本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による法定利息の支払請求権を有するものと認められるから,原告らの請求は,被告に対し,D議 員に対する上記不当利得返還請求及び法定利息支払請求をすることを求め,また上記不当利得返還請求権の行使を怠る事実の違法確認を求める限度において理由があるからこれらを認容すべきものと判断し,その余の請求はいずれも理由がないから棄却すべきものと判断する。 その理由の詳細は以下のとおりである。 1 争点(1)(本件各支出が違法であるか)について(1)ア地方自治法100条14項は,普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し、政務活動費を交付することができ,この場合において,当該政務活動費の交付の対象,額及び交 付の方法並びに当該政務活動費を充てることができる経費の範囲は,条例で 定めなければならない旨規定しているところ,その趣旨は,議会の審議能力を強化し,議員の調査研究その他の活動の基盤の充実を図るため,議会における会派又は議員に対する調査研究の費用等の助成を制度化したものであると解される。そうすると,政務活動費を充てることが許される会派又は議員の調査研究その他の 他の活動の基盤の充実を図るため,議会における会派又は議員に対する調査研究の費用等の助成を制度化したものであると解される。そうすると,政務活動費を充てることが許される会派又は議員の調査研究その他の活動に係る経費に該当するためには,当該行為ないし 活動が,その客観的な目的や性質に照らし,議員としての活動との間に合理的関連性を有することを要するものと解される(最高裁平成22年(行ヒ)第42号同25年1月25日第二小法廷判決・裁判集民事243号11頁参照)。 イ本件条例は,地方自治法の上記規定を受けて,杉並区議会の議員の調査研 究その他の活動に資するため必要な経費の一部として,会派及び議員に対し,政務活動費を交付することに関し必要な事項を定めるものである(1条)。 本件条例9条は,政務活動費は,会派及び議員が行う調査研究,研修,広聴,広報,要請,陳情,各種会議への参加等,区政の課題及び区民の意思を把握し,区政に反映させる活動その他の区民福祉の増進を図るために必要な活動 (すなわち政務活動)に要する経費に対して交付するものとし,具体的には,本件条例別表で定める政務活動に要する経費に充てることができる旨規定し,本件条例12条は,区長は,会派及び議員がその年度において交付を受けた政務活動費の総額から,当該会派及び議員がその年度において本件条例9条に定める経費の範囲に従って支出した総額を控除して残余がある場合 は,当該残余の額に相当する額の政務活動費の返還を命ずることができる旨規定している。 そして,本件条例別表は、本件条例9条の政務活動費を充てることができる経費として,広聴広報費,事務費,人件費等をそれぞれ具体的に列挙して規定している。また,本件条例に定める政務活動費の取扱いについて地方自 治法104条に規定する 政務活動費を充てることができる経費として,広聴広報費,事務費,人件費等をそれぞれ具体的に列挙して規定している。また,本件条例に定める政務活動費の取扱いについて地方自 治法104条に規定する議長の権限に基づき必要な事項を定める本件規程 は,2条1項において,選挙活動・政党活動・後援会活動に関する経費などを政務活動に要する経費に該当しないものとして列挙した上,同条2項において,これらの経費のうちに政務活動に要する経費及びその他のものが含まれるときは,政務活動に要する経費を区分して支出しなければならないものとし,同条3項及び本件規程別表において,本件条例別表に定める各費目ご とに,政務活動に要する経費として支出すべきでない場合を挙げるほか,按分を要する場合及びその按分方法(支出割合の上限等)について定めているところ,これらの定めは,その内容等に照らして合理的なものであると認められる。さらに,杉並区議会事務局は,本件条例及び本件規程の内容を要約するとともに,政務活動費を支出するに当たっての留意事項等をまとめた冊 子を毎年作成しているところ,その平成26年版である本件処理基準は,本件条例及び本件規程における解釈の指針を示すものとして参考となるものである。 ウこのように,政務活動費が使途を限定して交付される公金であり,残余があれば返還を命ずることができるとされていることからすれば,政務活動費 を充てることが許される会派及び議員の調査研究その他の活動に係る経費に該当するためには,当該行為ないし活動に基づく支出が本件条例及び本件規程に則したものであることを要するものと解され,本件条例に基づき政務活動費の交付を受けた議員が,当該年度において交付を受けた政務活動費を本件条例及び本件規程の定めに違反する支出に充てた 例及び本件規程に則したものであることを要するものと解され,本件条例に基づき政務活動費の交付を受けた議員が,当該年度において交付を受けた政務活動費を本件条例及び本件規程の定めに違反する支出に充てた場合には,当該支出は, 議員としての活動との間に合理的関連性が認められない行為に関する経費に充てられた違法なものとなり,当該議員は,これらの支出に充てられた部分に相当する額を杉並区に対して不当利得として返還すべき義務を負うものというべきである。 そこで,以下,本件各支出について,その費目ごとに上記の観点に基づき 検討する。 (2) パソコン関連費用についてア認定事実前記前提事実,証拠(後掲の証拠に加え,甲1,2の1,乙16)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 (ア) D議員は,自宅に設置している本件デスクトップパソコンのほか,外 出時に使用するため本件ノートパソコンを所持しているところ,本件デスクトップパソコン及びこれに接続して使用するカラープリンターに関連する費用として,光回線の接続料(別表の1①),無線LAN料(別表の1②),名簿作成ソフトなどのソフトリース料(別表の1④),カラープリンター保守料(別表の1⑤)の各費用を支出するとともに,本件ノート パソコンに関連する費用として,無線LAN料(別表の1③)を支出し,それらの費用のうち,90%の按分率で計算した金額(別表の1における「支出額」欄記載の各金額)を政務活動費から支出した。 (イ) D議員が使用しているパソコンは,上記(ア)の本件各パソコンのほか,杉並区から貸与され区議会の会派控室に設置されているノートパソコン 1台を加えた3台であり,杉並区貸与に係るノートパソコンは会派控室でのみ使用している。 上記(ア)の本件各パソコンのほか,杉並区から貸与され区議会の会派控室に設置されているノートパソコン 1台を加えた3台であり,杉並区貸与に係るノートパソコンは会派控室でのみ使用している。 (ウ) D議員は,本件訴訟の係属後である平成29年9月21日,前記(ア)の費用のうち,本件デスクトップパソコンに関する費用として政務活動費から支出した25万5531円(別表の1①,②,④,⑤の各支出額の合 計)を杉並区に返還した(乙19)。 イ D議員は,本件監査請求の際,杉並区監査委員に対し,パソコン関連費用につき90%の按分率により政務活動費を支出した理由について,支出に係る本件各パソコンが政務活動専用であって実際にも政務活動のために9割使用しているためである旨説明していた(甲1・97頁)ところ,上記認定 事実によれば,D議員は本件各パソコン以外に,私用や選挙活動・政党活動 等に用いるためのパソコンを所有していなかったというのであるから,本件各パソコンが政務活動以外の活動に用いられていなかったとすることは不自然であり,また,政務活動のために使用された割合を9割とする合理的根拠も見出せない。被告は,上記のD議員の説明を前提に,政務活動とそれ以外の活動とでパソコンを使い分けることは合理的である旨主張するが,そも そもD議員が政務活動とそれ以外の活動とでパソコンを使い分けていた事実を認めることができないのであるから,被告の主張はその前提を欠くものであり採用することができない。 そして,本件条例別表によれば,議員が行う活動に係る事務の遂行に要するインターネット接続料等は,事務費として政務活動に要する経費に該当し, 本件規程別表によれば,インターネット接続料等の通信費は実態に則して按分すべきものとされ 行う活動に係る事務の遂行に要するインターネット接続料等は,事務費として政務活動に要する経費に該当し, 本件規程別表によれば,インターネット接続料等の通信費は実態に則して按分すべきものとされている。上記のとおり,D議員は,本件各パソコンについて,政務活動以外の活動にも用いていたものと認められるから,本件各パソコンに係るインターネット接続料等については,その使用実態に応じた支出割合の範囲内で政務活動費から支出することが許されるものと解される ところ,政務活動のための使用がそれ以外の活動のための使用を上回っていたことを認めるに足りる証拠がないことや,選挙活動・政党活動などの政務活動に当たらない活動のためにも,本件各パソコンを使用して行う事務作業の必要性が相応に認められることに照らせば,本件各パソコンに関する費用のうち,政務活動のために用いられた部分とそれ以外の活動のために用いら れた部分とは,同等の割合であったと推認するのが相当である。そうすると,本件各パソコンに関して支出された各費用のうち,少なくとも2分の1の割合を超えて政務活動費から支出された金額は,本件条例及び本件規程の定めに違反したものとして,議員としての活動との間に合理的関連性が認められない違法な支出であったといわざるを得ない。 ウもっとも,前記ア(ウ)のとおり,D議員は,本件訴訟の係属後である平成 29年9月21日,パソコン関連費用のうち,本件デスクトップパソコンに関して政務活動費から支出した別表の1①,②,④及び⑤の費用(合計25万5531円)を杉並区に対し全額返還したことにより,上記各支出に係る不当利得返還請求権は消滅した。 したがって,パソコン関連費用のうち,なお不当利得返還請求権が存在す るのは,本件ノートパソコンに関 1円)を杉並区に対し全額返還したことにより,上記各支出に係る不当利得返還請求権は消滅した。 したがって,パソコン関連費用のうち,なお不当利得返還請求権が存在す るのは,本件ノートパソコンに関して支出された別表1の③の費用に関する部分であり,その2分の1の割合を超えて政務活動費から支出された金額(不当利得額)は1万1172円である。 (3) 区政報告関連費用についてア区政報告の印刷及び送付に係る費用について (ア) 前記前提事実,証拠(甲1,2の1,乙8の1,2)及び弁論の全趣旨によれば,D議員は,本件各区政報告(乙8の1,2)を作成し区民に送付したところ,これらの作成及び送付等に要した費用のうち,①4000枚分の印刷費,②1711通分の送料及び③244通分の送料を広聴広報費として,④Eに対する事務手伝い報酬(時給900円,9時間)及び ⑤Fに対する事務手伝い報酬(時給900円,15.25時間)を区政報告の送付に係る人件費として,それぞれ政務活動費から支出し(按分率100%),その金額は,別表の2①~⑤の「支出額」欄記載のとおりであることが認められる(なお,本件各区政報告の発送作業は,平成26年8月22日,23日,27日,同年9月1~3日に行われており〔乙9の2, 乙10の2〕,本件各区政報告はその頃区民に送付されたものと認められる。)。 (イ) 本件各区政報告のうち,乙8の1の区政報告の表面(同号証1枚目の右半分)には,上部約3分の1にD議員の写真が掲載され,他の記載部分に比較して大きな文字によりD議員の氏名,所属政党及び「区政報告」の 文字が記載されており,残り3分の2には挨拶のほか,「私の区議会活動」 との標題の下,D議員の来歴や所信等が記載され,挨拶の中には,「早いもので 名,所属政党及び「区政報告」の 文字が記載されており,残り3分の2には挨拶のほか,「私の区議会活動」 との標題の下,D議員の来歴や所信等が記載され,挨拶の中には,「早いもので,私の,区議会活動は2期8年目を迎えております。来年の4月には3回目の統一地方選挙を迎えます。地域の皆様よりさらなるご親任を賜る事が出来る様,全力で区議会活動に邁進して参る所存です。」等の記載がある。 一方,これに続く部分(同号証の2枚目)には,「それでは,私の理念として示す地域の安心と安全とは,何か。」との標題の下,「喫緊の社会情勢から必要とされる施策は,就学前の子供たちの安心安全です。(中略)もう一点,小学生の放課後対策,学童の充実を図る為に声を届けて参る所存です。(中略)まちの安心安全を考える時に,区民皆様が暮らす地域の 区道,生活道路を安心して歩くことが出来る様にする為に,安全の施策として無電柱化を進め,狭い区道,生活道路の拡幅化を確りと行う事が必要です。(中略)私は,議会において,区の代表的な施策の一つである,交通不便地域を結ぶGの路線を先ず無電柱化すべきとの声を届けております。今後も,無電柱化の施策は訴え続けて参ります。」と記載されている ほか,「地域の健康とは,何か。」との標題の下,「杉並区には,スポーツ推進計画があり,例えば,高齢者の方には無理をせず楽しく歩く事を進めます。(中略)私が暮らすαを一例に挙げれば,まちづくりの中でβ遊歩道の整備を進める時に,遊歩道の半面を反発力のある素材ポリウレタン製のタータンを使用し,高齢者の方々が歩く事によりケガからの回復と予 防が可能になります。地域の生活に様々な形でスポーツを取り入れる施策が必要です。(中略)私は,自身のスポーツ界での経験を活かし,中学校・部活 し,高齢者の方々が歩く事によりケガからの回復と予 防が可能になります。地域の生活に様々な形でスポーツを取り入れる施策が必要です。(中略)私は,自身のスポーツ界での経験を活かし,中学校・部活の活性化と総合型地域スポーツクラブ設立に向け,議会で質問を続けています。」と記載されている。また,その余の部分(同号証の1枚目の左半分)も,「γ地域の区政報告」の標題で,γ地域のまちづくりに関す る課題等並びにこれに係る杉並区及びD議員の取組みの状況等が記載さ れている。このように,乙8の1の区政報告のほとんどの部分については,区政の現状に係るD議員の認識や議員としての活動状況等が記載されているものと認められるから,主として区政に関し区民に報告・説明をするものといえる。 (ウ) 次に,乙8の2の区政報告についてみると,その裏面(同号証の2枚 目)の左側3分の1には「日々挑戦」の文字が大きく記載され,残り3分の2にはD議員のプロフィールや所信,区議会における役職歴等が記載されている。一方,その表面(同号証の1枚目)にはD議員の区議会での質問等に関し,「都は,α〇丁目の土地を取得し,δ線沿道に残地として残るε地とを合わせて公園化する整備計画を進める事になりました。私は, αのホタル祭りの会場として活用できる整備と,杉並区の国内交流都市すべてにホタルの生息場所がありますので,整備される公園を活用し,ホタルサミットの開催を求める一般質問を行いました。」などと記載されている。これらの記載内容に加え,その記載部分の紙面全体に占める面積や位置等に照らすと,乙8の2の区政報告は,主として当該地域の整備計画に 関する区政の現状や議員としての活動状況等を区民に報告・説明するものであると認められる。 (エ) ところで,上 る面積や位置等に照らすと,乙8の2の区政報告は,主として当該地域の整備計画に 関する区政の現状や議員としての活動状況等を区民に報告・説明するものであると認められる。 (エ) ところで,上記(イ)及び(ウ)のように,区政の現状や議員としての活動状況等に関する報告・説明を主として記載する印刷物において,これと併せて当該議員の氏名や写真が大きく記載され,また,当該議員のプロフ ィールや所信等が相当のスペースを割いて記載されているとしても,これらをもって,直ちに,当該写真やプロフィール等の部分が選挙活動等に関するものと認めることはできない。なぜならば,区議会での質問その他の議員として行う活動は,当該議員のそれまでの活動歴や関心事項,信念等を基盤として展開していることが少なくなく,これらが理解されて初めて, 区政の現状に係る当該議員の認識や議員としての活動状況等が十分に理 解されることとなるという面もあるから,このような意味において,区政の現状や議員としての活動状況等に関する報告・説明と当該議員の経歴等の紹介とは必ずしも切り離すことができるものではなく,一体のものと評価される場合もあることを否定できない。 これを本件についてみると,本件各区政報告において紹介されているD 議員のスポーツ選手としての経験や,生まれ育った地域,区議会での委員会活動等(乙8の1,2)が,上記(イ)及び(ウ)で報告・説明されている区政の現状や議員としての活動状況等と密接に関連しているものといえるから,これらの経歴等の記載についても,上記の報告・説明と一体のものとして区政報告の一部をなすものと評価するのが相当である。 (オ) そして,本件条例別表によれば,議員が行う活動及び区政について区民に報告するために要する経費に の報告・説明と一体のものとして区政報告の一部をなすものと評価するのが相当である。 (オ) そして,本件条例別表によれば,議員が行う活動及び区政について区民に報告するために要する経費に係る印刷・製本費,文書通信費等は,広聴広報費として政務活動に要する経費に該当するから,区政報告関連費用のうち,別表の2①~③に係る費用の支出は,いずれも,議員としての活動との間に合理的関連性を有するものとして,適法な支出であるというべ きである。 なお,本件規程別表によれば,印刷・製本費及び広報紙等送料については,実態に即して按分するものとされ,本件処理基準は,区政報告について,紙面における面積の割合により按分することが合理的であるとしているが,このような按分の合理性が認められるのは,区政報告において政務 活動に係る記載の部分とそれ以外の部分とを明確に区分することができる場合であって,本件がこのような場合に当たらない(そもそも按分をすべき場合に当たらない)ことは上記(エ)のとおりであるから,本件において,紙面における面積の割合による按分をすべきものということはできない。 (カ) Eに対する人件費について 原告らは,D議員の近親者であるEに対し支払われた本件人件費(別表の2④)は,その全額が本件処理基準に適合しない旨を主張する。しかし,本件処理基準によれば,議員と生計を一にする親族は職員として雇うことはできないとされているところ(前記第2の2(4)),EはD議員の叔父の妻であり(乙16),同人がD議員と生計を一にしていることをうかが わせる証拠はないから,原告らの上記主張はその前提を欠くものであって採用することができない。 また,E及びFに対して支払われた人件費(別表の D議員と生計を一にしていることをうかが わせる証拠はないから,原告らの上記主張はその前提を欠くものであって採用することができない。 また,E及びFに対して支払われた人件費(別表の2④,⑤)は本件各区政報告の発送作業の対価として支払われたものであるところ,本件各区政報告が政務活動に関するものである以上,その発送作業に係る経費につ いても,その全額が政務活動に要する経費に当たるというべきである。 (キ) よって,D議員が本件各区政報告に関して政務活動費から支出した合計23万9988円(別表の2①~⑤)は,その全額について,議員としての活動と合理的な関連性を有する適法な支出であったというべきである。 イ区政報告会の開催に係る費用について(ア) 証拠(後掲の証拠に加え,甲1,2の1,乙16)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 aD議員は,平成26年11月21日に自宅で,同月29日に貸しホールで,それぞれ区政報告会(以下,同月21日開催のものを「本件報告 会A」,同月29日開催のものを「本件報告会B」という。)を開催した。 bD議員は,本件各報告会の開催に当たり,案内ハガキを作成して区民に送付するとともに,開催後には参加者等に対し礼状を送付した。本件各報告会の案内ハガキの文面には,「来年4月,私は,3回目の統一地 方選挙に挑戦を致します。3度,地域の声を区政に届けることが出来る 様,区議会活動の原点に戻り,区政報告会を下記日時に行います。」と記載されていた(甲1・78頁,乙13の1,2,14の1,2)。また,本件報告会Bの礼状には,「衆議院選挙と私自身が来年挑戦する統一地方選挙の話題が多くなってしまい,皆様へ区政についてお伝えする時 記載されていた(甲1・78頁,乙13の1,2,14の1,2)。また,本件報告会Bの礼状には,「衆議院選挙と私自身が来年挑戦する統一地方選挙の話題が多くなってしまい,皆様へ区政についてお伝えする時間が少なくなってしまった様に感じております。」と記載されていた (甲13)。 cD議員は,本件報告会Aの開催のため,ストーブ及びパイプ椅子のレンタルをした(なお,被告はパイプ椅子のレンタルをしたのは本件報告会Bの開催のためであったと主張する〔被告準備書面(5)2頁〕が,D議員の陳述書〔乙16・5頁〕によれば,D議員の自宅敷地において行 われた本件報告会Aの開催に当たり,自宅と隣家の間をテントで覆い,そのテント内にパイプ椅子を配置したというのであるから,本件報告会Aの開催にはパイプ椅子のレンタルが不可欠であったと認められる。これに加えて,レンタル業者作成の請求書〔甲44〕によればパイプ椅子につきレンタルがされたのは1回だけであると認められること,また, 貸しホールにはパイプ椅子も常備されていることが通常であることを考慮すれば,パイプ椅子のレンタルが本件報告会Bのためであったとする被告の上記主張は採用することができない。)。 dD議員が本件各報告会の開催に当たり支出した費目及びその支出日(いずれも平成26年)は,以下のとおりであり,それぞれの費用の額 は,別表の2⑥~⑪の「費用」欄記載のとおりである。 10月28日本件報告会A案内はがき印刷代(別表の2⑥)11月24日本件報告会A礼状発送費(同⑦)同月25日本件報告会B会場費(同⑧)同月28日本件報告会B案内はがき代・印刷代(同⑨) 同月29日本件報告会A椅子・ストーブレンタル料(同⑩) 12月 5日本件報告会B礼状 報告会B会場費(同⑧)同月28日本件報告会B案内はがき代・印刷代(同⑨) 同月29日本件報告会A椅子・ストーブレンタル料(同⑩) 12月 5日本件報告会B礼状発送費(同⑪)なお,原告らは,本件報告会B(午後6時から7時半まで開催)の会場費として,午後1時から8時までの時間に対応する使用料が支払われていること(甲39)につき,午後1時から5時までの使用料の支出は不要である旨主張するが,会場の設営や会の進行の準備のために,余裕 を持って午後いっぱいホールを借りておくことが不相当であるとは認め難いから,原告らの上記主張は採用することができない。 e 本件報告会Aには,D議員の所属する政党から衆議院議員1名の秘書,都議会議員2名が出席し,本件報告会Bには,上記衆議院議員本人と上記各都議会議員が出席し,いずれも会の冒頭でそれぞれ5分程度の挨拶 をした。本件各報告会の開会から閉会までの時間はいずれも約90分であった。なお,本件報告会Aの開催された平成26年11月21日に衆議院が解散され,その翌月には衆議院議員選挙(同年12月2日告示,同月14日投開票)が実施され,また,平成27年4月には,D議員も立候補した杉並区議会議員選挙が実施された。 fD議員は,本件各報告会のために支出した費用のうち80%に相当する金額(別表の2⑥~⑪の「支出額」欄記載のとおり)を広聴広報費として政務活動費から支出した。なお,按分率を80%とした根拠は,D議員の説明によれば,全体で約90分の会合のうち,都議会議員等の発言約15分程度を除いたものが政務活動に該当すると解したことによ るものであった。 (イ) 検討上記(ア)の認定事実によれば,本件各報告会は,D議員が立候補を予定していた区議会議員選挙 言約15分程度を除いたものが政務活動に該当すると解したことによ るものであった。 (イ) 検討上記(ア)の認定事実によれば,本件各報告会は,D議員が立候補を予定していた区議会議員選挙(平成27年4月)の約5か月前に開催されたものであり,D議員は,本件各報告会の案内に当たり,区議会議員選挙に自 ら立候補することに言及していた(前記(ア)b)。しかも,本件各報告会 の開催時期はいずれも衆議院議員選挙(平成26年12月)の直前であって,本件報告会Aについては,衆議院解散の前から準備されていたものではあったが,その開催日は解散の当日(同年11月21日)であったし,また,本件報告会Bについては,いずれも解散後に開催の費用が支出されており,解散がされたことを受けて準備されたものであったことがうかが われる。 以上に加え,本件各報告会には,D議員が所属する政党の都議会議員や衆議院議員の本人又は秘書が出席し,各会の冒頭において合計15分程度の挨拶をしていたこと,また,本件報告会Bの礼状に「衆議院選挙と私自身が来年挑戦する統一地方選挙の話題が多くなってしまい,皆様へ区政に ついてお伝えする時間が少なくなってしまった様に感じております。」と記載されていたこと(前記(ア)b,e)に照らせば,本件各報告会は,区政の現状や議員としての活動状況等について区民に報告・説明し,これらに関する区民からの要望や意見を聴取するという区政報告会としての実態のほかに,政務活動には含まれない選挙のための集会としての実態を併 せ有していたことが推認されるというべきである。 そして,上記のとおり都議会議員等の発言が各会の冒頭の15分程度にすぎないものであったとしても,本件各報告会が開催された時期が衆議院解散の日から選挙告示の日 いたことが推認されるというべきである。 そして,上記のとおり都議会議員等の発言が各会の冒頭の15分程度にすぎないものであったとしても,本件各報告会が開催された時期が衆議院解散の日から選挙告示の日までの間であったことや,各会の冒頭に衆議院議員の本人又は秘書を含む3名の議員等による発言があったことのイン パクトなどを考慮すると,このような状況下においては,議員としての活動状況等に係る報告・説明を行うこと自体が,当該議員やその所属する政党のPRとしての意味を帯びることを免れないから,本件各報告会が全体として選挙のための集会としての実態を併せ有することとなるものといえ,政務活動に当たる部分と,それ以外の部分とを明確に区分することは 困難であるといわざるを得ない。したがって,このような場合は,社会通 念に照らし,政務活動としての割合を2分の1と認めるのが相当である。 よって,本件各報告会に係る費用のうち,2分の1を超えて政務活動費から支出された部分については,本件条例及び本件規程の定めに違反した違法な支出であるというべきである(ただし,各費用の2分の1である12万0719円を超えた支出金額は7万2430円であるが,原告らの主 張する不当利得額である7万2410円の限度で請求を認容すべきである。)。 (4) ホームページ管理料ア証拠(甲1,2の1)及び弁論の全趣旨によれば,D議員は,本件ホームページを開設し,その維持管理費のうち別表の3における「支出額」欄記載 の費用(按分率70%)を政務活動費から支出したこと,乙15(枝番を含む。)によれば,本件ホームページは,トップ画面にD議員の写真及び氏名と「日々挑戦」の文字が記載された画像が掲載されており,その内容は,主たる項目として「ご挨拶」,「プロフィ こと,乙15(枝番を含む。)によれば,本件ホームページは,トップ画面にD議員の写真及び氏名と「日々挑戦」の文字が記載された画像が掲載されており,その内容は,主たる項目として「ご挨拶」,「プロフィール」,「定例区議会一般質問」,「区政報告」,「過去掲載記事一覧」,「リンク集」があるほか,これに付 随する項目として「H」,「J」,「K」,「M」などがあることが認められる。そして,その具体的記載をみると,区議会における質問内容等,区政の現状に係るD議員の認識や議員としての活動状況等を示すものも相当数見受けられる一方,「K」のように,D議員の近況や地域・社会一般の状況に関する所感等の記載が大半を占めている項目もあり,区政の現状や議員と しての活動状況等と直接関連しないものも相当数含まれている(甲11の1,乙15の1,4,8,9等)。 イところで,本件規程別表は,広聴広報費としてのホームページの作成及び維持管理の経費は,実態に則して按分するものと定め,本件処理基準は,サイトに政務活動以外の内容が含まれる場合には按分が必要であるとしつつ, 合理的な区分が困難な場合には社会通念上相当な割合で按分するものと定 めている。そこで,本件ホームページの構成をみると,その主たる項目中「ご挨拶」及び「リンク集」を除く4項目のうち,「定例区議会一般質問」及び「区政報告」という区政の現状や議員としての活動状況等を示すものがその半数を占めている上,残る項目中の「過去掲載記事一覧」も,その大半が過去の一般質問や区政報告を掲載したものである(乙15の6)。また,付随 する項目についても,「K」のように区政の現状や議員としての活動状況等に直接関連しない記載が大半を占めている項目がある一方で,「M」のようにこれらに直接関連する記載 (乙15の6)。また,付随 する項目についても,「K」のように区政の現状や議員としての活動状況等に直接関連しない記載が大半を占めている項目がある一方で,「M」のようにこれらに直接関連する記載が大部分を占めている項目も存在しており,本件ホームページを全体として見れば,これらに直接関連する部分が関連しない部分を大きく上回っているということができる。このことに照らせば,D 議員が,本件ホームページに係る管理料の支出について,その70%を政務活動に要する経費に当たるものとして政務活動費から支出したことが,社会通念上不合理であるとは認められず,他にこれを不合理とすべき事情も証拠上うかがわれないから,ホームページ管理料に係る支出が本件条例及び本件規程の定めに違反したものであったと認めることはできない。 ウこれに対し,原告らは,本件ホームページは,政治的な趣旨と政務活動との2種類の要素を併せ持ち,かつ,その区分は困難であるから,50%の按分とするのが適当である旨を主張するが,上記のような本件ホームページの構成及び記載内容に照らせば,ホームページ管理料に係る支出のうちその50%を超える部分について政務活動に要する経費に該当しないものとする ことは,本件ホームページの実態を反映しないものといわざるを得ないから,原告らの上記主張は採用することができない。 (5) 会派区政報告製作料D議員の陳述(乙16)によれば,本件会派報告(乙12)は,過去4年間の区政に関する会派の活動状況を総括するものとして平成27年1月に製作, 配布されたものであると認められるところ,その配布時期は,同年4月に実施 が予定されていた統一地方選挙(区議会議員選挙は,同月19日告示,同月26日投開票〔甲28〕)の約3か月前であ 配布されたものであると認められるところ,その配布時期は,同年4月に実施 が予定されていた統一地方選挙(区議会議員選挙は,同月19日告示,同月26日投開票〔甲28〕)の約3か月前であった。そして,本件会派報告の表面には,上部2分の1程度に所属政党の党名とD議員を含む所属議員12名の集合写真が掲載され,下部には,「私たちがこれまでの4年間に取り組んできた実績」と題して,政党所属議員が任期中に実施した区政に関する提言等の活動 の概要が,「区政運営」「防犯・防災」「教育」等の各分野につき箇条書きで記載されている。裏面には,上部2分の1程度に今後の区政に関する提言が記載されており,具体的には,「コミュニティバスをはじめとした交通網の更なる充実」「東京一を目指した総合的な子育て支援の拡充促進」といったスローガン的な表現を用いた記載がされている。また,下部には「議員紹介」として 「区政へのご意見・ご要望をお聞かせください」との記載の下に政党所属議員12名の氏名及び顔写真が掲載されるとともに,各自の役職及び連絡先が記載されている。 以上に照らせば,本件会派報告は,会派としての活動状況等を区民に対して報告・説明するものである実態を有すること自体は否定し難いものの,本件会 派報告が統一地方選挙の約3か月前という近接した時期に配布されていることや,その記載内容も,選挙が目前に迫った状況下では選挙に向けた政党所属議員のPRとしての印象を与えるような内容となっていることに鑑みると,選挙活動のためのものである実態を併せ有することを否定できないものといえる。 そうすると,本件会派報告は,全体として,会派としての活動状況等を報告・説明するという面と選挙に向けたPRとしての面を併せ有するものであるといえ,政務活動に当たる部 きないものといえる。 そうすると,本件会派報告は,全体として,会派としての活動状況等を報告・説明するという面と選挙に向けたPRとしての面を併せ有するものであるといえ,政務活動に当たる部分と,それ以外の部分とを明確に区分することは困難であるといわざるを得ない。したがって,このような場合には,社会通念に照らし,政務活動としての割合を2分の1と認めるのが相当である。 よって,会派区政報告製作料10万円について,その2分の1である5万円 を超えて政務活動費から支出したことは,本件条例及び本件規程の定めに違反した違法な支出であるというべきである。 (6) 小括以上によれば,本件各支出のうち,本件条例及び本件規程の定めに違反し,政務活動との合理的関連性を有さないものとして,D議員が杉並区に対し不当 利得返還義務を負うものと認められる金額は,以下のとおりである。 アパソコン関連費用(別表の1)のうち本件ノートパソコンの無線LAN料(同③)のうち,1万1172円イ本件各報告会の開催等に係る費用(別表の2⑥~⑪)のうち,7万2410円 ウ会派区政報告製作料(別表の4)のうち,5万円エ合計 13万3582円 2 争点(2)(D議員は悪意の受益者に当たるか)について民法704条の「悪意の受益者」とは,法律上の原因のないことを知りながら利得した者をいい,政務活動費からの各支出についていえば,議員としての活動 との間に合理的関連性が認められない支出(すなわち,本件条例及び本件規程の定めに違反した支出)であることについて認識していることをいうものと解すべきである。もっとも,議員としての活動との間に合理的関連性が認められるか否かは,法的評価に関わる問題で 本件条例及び本件規程の定めに違反した支出)であることについて認識していることをいうものと解すべきである。もっとも,議員としての活動との間に合理的関連性が認められるか否かは,法的評価に関わる問題であるから,当該支出が合理的関連性を有さないことが明らかな場合でない限り,合理的関連性が認められないことについて悪意で あると認めることはできないというべきである。 これを本件についてみると,前記1で議員としての活動との間に合理的関連性を有さない違法な支出であると認められた各支出は,いずれもそれ自体,合理的関連性を有さないことが明らかであるとまではいえないことから,D議員において,本件各支出の際に悪意であったと認めることはできない。 もっとも,上記の合理的関連性の有無は,最終的には裁判所の判断によって決 せられるものであることからすれば,本判決確定の日において,D議員は,前記1において認定された金額について,議員としての活動との間に合理的関連性を有さない違法な支出であると確定的に認識することができるから,本判決確定の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による法定利息の返還義務を負担するものというべきである。 第4 結論よって,原告らの請求は,被告に対し,D議員に対する13万3582円の不当利得返還請求及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による利息の支払請求をすることを求める限度において,また,上記不当利得返還請求権の行使を怠る事実の違法確認を求める限度において理由があ るからこれらを認容し,その余はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官清 水 知恵子 るからこれらを認容し,その余はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官清 水 知恵子 裁判官進 藤 壮一郎 裁判官池 田 美樹子(別紙1省略)(別紙2省略) (別表1省略) (別表2省略)(別表3省略)(別表4省略) (別紙4)当事者の主張の要旨 1 争点(1)(本件各支出が違法であるか)について(1) 原告らの主張の要旨 ア政務活動費の支出が認められるのは,政務活動の中でも,公金からの支出が許されるだけの実質を伴い,さらに必要かつ合理的な活動と認められる場合だけであり,政務活動費が支出された経費について,政務活動に要する経費以外の経費が混在する場合や,当該活動が政務活動以外の性格を併せ持っている場合は,按分その他の方法で政務活動に要する経費とそれ以外の経費とを区分し なければならず,このことは,本件規程2条2項が規定するとおりである。 そして,政務活動とそれ以外の活動とを合理的に区分することが困難である場合には,社会通念上相当な割合による按分をして,政務活動に要する経費の金額を確定しなければならない。このことは,杉並区が作成した「政務調査費検討会報告書」(甲46)にも記載されている。 ここで「社会通念上相当な割合」とは,議員活動が多種多様であることを踏まえれば,特段の事情がない限り2分の1とすべきであり,本件規程においても,固定電話代や事務所費 )にも記載されている。 ここで「社会通念上相当な割合」とは,議員活動が多種多様であることを踏まえれば,特段の事情がない限り2分の1とすべきであり,本件規程においても,固定電話代や事務所費について2分の1を支出割合の上限としていることは,杉並区における社会通念上相当な割合が2分の1であることを裏付けるものである。 イパソコン関連費用について(ア) D議員が使用していたパソコンは,自宅に設置されたデスクトップパソコン1台,持ち歩き用のノートパソコン1台及び杉並区から貸与され区議会の政党控室に設置されたノートパソコン1台のみである。このうち,デスクトップパソコン(以下「本件デスクトップパソコン」という。)及び持ち歩 き用のノートパソコン(以下,「本件ノートパソコン」といい,前者と併せ て「本件各パソコン」という。)に関連して,別表の1①~⑤の「支出額」欄記載の金額が政務活動費から支出され,D議員は90%という按分率をもって「相当の割合」としているが,パソコンは,その性質上,日常的に様々な用途に使用されることが推認され,私的な用途や政治・政党活動に関連するものが含まれているのは不可避であって(現に,D議員は,パソコンを用 いてそのホームページに選挙に関わる政治的な記述を掲載している。),その割合の程度を厳密に区別するのは困難であるから,社会通念上50%を超える部分を政務活動費として支出するのは妥当ではない(なお,杉並区は,政務活動費に関する使途細目において,事務所専用の固定電話に係る通信費の支出割合の上限を2分の1と定めている。)。 特に,別表の1②のパソコン無線LAN料は,D議員の自宅に設置した本件デスクトップパソコンのものであるとされるが,上記無線LAN料に係る契約は,建物内でパ 上限を2分の1と定めている。)。 特に,別表の1②のパソコン無線LAN料は,D議員の自宅に設置した本件デスクトップパソコンのものであるとされるが,上記無線LAN料に係る契約は,建物内でパソコン端末やゲーム端末,携帯電話端末を有線ケーブルなしでインターネット回線に接続することを可能とする無線ルータ機器の貸与を内容とするものであるところ,デスクトップ端末を使用する限りは, 必要のないものといわざるを得ず,デスクトップ端末の設置された部屋とは別の部屋で家人らがパソコン類を使用するために設置したものと推定され,政務活動以外の活動に用いられたことは明らかである。 したがって,パソコン関連費用(合計28万0668円)については,実費の50%を上限とすべきであり,上限額である15万5931円を超過し た12万4742円は違法な支出である。 (イ) 被告は,本件各パソコンは議員活動専用のパソコンである旨のD議員の説明をもとに議員活動とそれ以外の活動とでパソコンを使い分けることは合理的であるなどと主張する。 しかし,D議員が使用しているパソコンは本件各パソコンと区貸与のパソ コンのみであるところ,区貸与のパソコンは区議会定例会における一般質問 の原稿作成等の議員活動に使用されていたというのであり,本件各パソコン以外に議員活動と区別して政治的な活動や私的な活動のみに特定の端末を使っている事実はない。したがって,D議員が被告主張のようなパソコンの使い分けをしていた事実は認められない。 ウ区政報告関連費用について (ア) D議員は,区政報告の作成等に当たり支出した別表の2①~⑤の各支出について,按分を行わず,全てを政務活動に要する経費とし,また,区政報告会の開催に当たり支出した別表の2⑥~⑪の各支出につ (ア) D議員は,区政報告の作成等に当たり支出した別表の2①~⑤の各支出について,按分を行わず,全てを政務活動に要する経費とし,また,区政報告会の開催に当たり支出した別表の2⑥~⑪の各支出について,80%という按分率をもって「相当の割合」としているが,区政報告及び区政報告会の案内文には政治的な内容が随所に見られ,その多くがD議員の後援会(政治 団体)の会員など政治的賛同者又は支援者に送付されたものである。 (イ) 平成26年8月26日付けで支出された印刷費(別表の2①)は,2種類の区政報告(乙8の1及び2。以下「本件各区政報告」という。)を各2000部作成した際の印刷費である。平成27年4月の区議会議員選挙を前にしてD議員が所属政党から公認を受けたのは平成26年7月8日であっ たところ,本件各区政報告を作成したのは,D議員が自身の選挙に向けて本格的に動き始めた時期に当たる。 本件各区政報告のうち,乙8の1の区政報告はA4版4頁からなるところ,このうち1頁目は,全てが自己紹介であって政務活動とはいえない内容であり,「来年の4月には3回目の統一地方選挙を迎えます」との記載は選挙活 動又は政党活動に当たる。残りの頁についても,「私の理念」などと政治的信条を述べた部分がある。 本件各区政報告のうち乙8の2の区政報告は,A4版両面刷り3つ折りのパンフレットである。面積比で3分の1をD議員の名前や「日々挑戦」の大文字が埋めている。「日々挑戦」のロゴは選挙公報にも使用されているもの である。文面には政治信条と解し得る内容があり,「プロフィール」と題す る頁とそれに続く記事は,自身の経歴を縷々述べた内容であり,区政報告の趣旨は薄い。印刷物の面積だけでみれば,政務活動と言い得る部分は半分程度というべきであ り,「プロフィール」と題す る頁とそれに続く記事は,自身の経歴を縷々述べた内容であり,区政報告の趣旨は薄い。印刷物の面積だけでみれば,政務活動と言い得る部分は半分程度というべきである。 また,本件各区政報告には「公職選挙法を遵守して参ります。」,「政務活動費を適正に活用し,区政報告をお届けいたします」との注釈が付されて いる。このような自明のことをあえて記載するのは,本件各区政報告が政治的趣旨を多分に含んでいるために,公職選挙法に抵触しないよう注意を払ったものと考えられる。 元来,議員が広報誌を作成し,郵送等の方法で市民に交付する活動は,議員自らの議会活動,調査結果,政治・思想信条やその他の事情を市民に報告 することによって支援者を獲得,保持するなどの政治活動,後援会活動としての側面を必然的に有するものであり,政務活動に要する経費とそれ以外の経費とを明確に区分することは困難である。 したがって,社会通念上相当な割合による按分をすべきであり,その按分割合は2分の1とするのが適当である。 (ウ) さらに,区政報告会は,議員が主催する集会という性格上,政治的趣旨を相当な割合で帯びることは必然的である。D議員が別表の2⑥~⑪の費用を支出した2度の区政報告会(以下「本件各報告会」という。)は,いずれも会の冒頭で衆議院議員と都議会議員の発言が行われ,同議員らが専ら政治的な目的で区政報告会に参加したことは明らかである。また,本件各報告会 の案内状には「来年4月,私は,3回目の統一地方選挙に挑戦を致します」などと記載され,各区政報告会の礼状には,「当日は,衆議院解散総選挙と騒がしい1日になりました」,「衆議院選挙と私自身が来年挑戦する統一地方選挙の話題が多くなってしまい,皆様へ区政についてお伝えする時間が 記載され,各区政報告会の礼状には,「当日は,衆議院解散総選挙と騒がしい1日になりました」,「衆議院選挙と私自身が来年挑戦する統一地方選挙の話題が多くなってしまい,皆様へ区政についてお伝えする時間が少なくなってしまった様に感じております」などと記載されており,政治的な 色彩の濃い催しであったことが強く推認される。 なお,ホールの使用料として午後1時から8時までの時間に対応する料金が支払われているものの,報告会は午後6時から7時半までであったから,仮に準備に1時間を要するとしても,午後1時から5時までの使用料を公金から支出する理由は見当たらない。D議員は,椅子を搬入するために必要があったと陳述しているが,ホールに椅子が搬入された証拠はない。したがっ て,当該時間に対応する使用料1万4000円は,違法な支出であることが明白である。 以上のとおり,本件各報告会は,選挙活動,政党活動,後援会活動をはじめ,政務活動以外の活動を相当程度含んでいることは明らかであり,これらについて明確な区分は困難である。よって,社会通念上相当な割合の按分を すべきであるところ,その割合は2分の1とするのが適当である。 (エ) また,別表の2④の支出(以下「本件人件費」という。)については,D議員に経済的利益が環流する可能性を否定できないその近親者への支出であり,本件規程が明白に禁止していなくとも,政務活動費の趣旨に照らして著しく不適当であるから,全額違法である。 (オ) したがって,区政報告関連費用(合計48万1426円)のうち,本件人件費についてはその全額が不当利得となり,本件人件費を除くもの(別表の2①~③,⑤~⑪)については,実費の50%を上限とすべきであり,上限額である23万6661円を超過した19万6452円が 本件人件費についてはその全額が不当利得となり,本件人件費を除くもの(別表の2①~③,⑤~⑪)については,実費の50%を上限とすべきであり,上限額である23万6661円を超過した19万6452円が違法な支出となる。 エホームページ管理料についてD議員の開設するホームページ(以下「本件ホームページ」という。)の管理費として支出された別表の3の各支出について,D議員は70%という按分率をもって「相当の割合」としているが,かかる按分率を算出する具体的な根拠はなく,感覚で70%としたものにすぎない。 本件ホームページには政治・政党活動に当たるものや,政務活動に無関係な ものが含まれているところ,もとより,議員がホームページを作成し,有権者を含む不特定多数人に閲覧させる活動は,自らの議会活動,政治・思想信条や経歴等を報告することによって支援者を獲得,保持するという政治活動,後援会活動としての側面を必然的に有するものである。そうすると,このようなホームページの経費は,政務活動に要する経費以外の経費を相当割合含んでおり, かつ,明確な区分が困難なものであるから,その費用を按分すべき社会通念上相当な割合は2分の1とすべきである。 被告は本件ホームページをA4版の紙に印刷した物理的分量をもって,独自の基準により「適正な按分率」を算出しているが,ホームページは基本的にコンピュータなどの端末画面で見るものであるから,A4版の紙で印刷した場合 と表示のされ方や見た印象はかなり異なる。そもそも,政務活動とそれ以外の活動とを10%単位で区分することは無意味であり,本件ホームページは,政治的な趣旨と政務活動との2種類の要素を併せ持ち,かつ,その明確な区分が困難なのであるから,社会常識に照らし50%の按分とするのが適 とを10%単位で区分することは無意味であり,本件ホームページは,政治的な趣旨と政務活動との2種類の要素を併せ持ち,かつ,その明確な区分が困難なのであるから,社会常識に照らし50%の按分とするのが適当である。 よって,ホームページ管理料(合計32万4000円)については,実費の 50%を上限とすべきであり,上限額である16万2000円を超過した6万4800円が違法な支出となる。 オ会派区政報告費用についてD議員が会派区政報告製作料として支出した別表の4の費用は,その会派区政報告(乙12。以下「本件会派報告」という。)の内容及び性格からして, 政治・政党活動等の政務活動費が充てられるべきでない要素が含まれており,有権者を含む特定の多数人に議員名及び政党名の記載されたチラシ(本件会派報告)を送付すること自体が政治的意味を含むことは不可避である。具体的には,表面の記事は区政に触れてはいるものの,政策提言が含まれるほか,それまでの4年間の活動実績が記載され,任期満了目前であることをあえて強調し ており,3か月後の統一地方選挙に向けた政治活動のために印刷物を作成した ものとみられる。裏面には会派議員の氏名,顔写真等の記載と政策提言が記載され,区政報告の記載はない。上記費用が支出された平成28年1月末当時,本件会派報告に掲載されたD議員を含む会派議員12名のうち11名は約3か月後の区議会議員選挙に立候補予定であることを表明していた。本件会派報告の右上に「討議資料」と敢えて記載しているのも,公職選挙法に抵触しない よう配慮した結果であり,本件会派報告の配布の目的が政治的活動にあることを意識していたことを示している。 このように本件会派報告には政務活動といえない部分が含まれており,明確な区分が困難であるから よう配慮した結果であり,本件会派報告の配布の目的が政治的活動にあることを意識していたことを示している。 このように本件会派報告には政務活動といえない部分が含まれており,明確な区分が困難であるから,社会通念上50%を超える部分を政務活動費として支出するのは妥当ではない。 したがって,会派区政報告費用(10万円)については,実費の50%を上限とすべきであり,上限額である5万円を超過した5万円が違法な支出となる。 カ本件各支出がされた平成26年4月1日から平成27年3月31日の間には,杉並区長及び区議会議員補欠選挙(平成26年6月22日告示,同月29日投票),衆議院議員選挙(平成26年11月21日解散,同年12月2日告 示,同月14日投票)が執行され,また,D議員は,区議会議員選挙(平成27年4月19日告示,同月26日投票)に所属政党公認で立候補した。さらに,この区議会議員選挙は,D議員にとって重要な選挙であり,1年前から選挙に向けて政治的活動を活発化させている様子が新聞報道及び政党機関誌等から確認できる。D議員が杉並区選挙管理委員会に提出した選挙運動費用収支報告 書では,平成27年3月1日以降,選挙費用が計上されている。 これらの事実からすれば,本件各支出がされた期間中にD議員が行った議員活動の相当部分が,選挙などの政治的活動の趣旨を帯びていたことは明らかである。 (2) 被告の主張の要旨 ア政務活動費制度は,その支出が条例の認める経費に当たらないことが収支 報告書等の記載から明らかにうかがわれるような場合を除いては,区の執行機関が,実際に行われた政務活動の具体的な目的や内容等に立ち入ってその適合性を審査することを予定しているものではない(最高裁平成20年(行ヒ)第386号同21年1 れるような場合を除いては,区の執行機関が,実際に行われた政務活動の具体的な目的や内容等に立ち入ってその適合性を審査することを予定しているものではない(最高裁平成20年(行ヒ)第386号同21年12月17日第一小法廷判決・裁判集民事232号649頁参照)。 本件では,D議員から,収支報告書,出納簿及び領収書等が提出されるとともに,以下に述べるとおり,本件条例及び本件規程に基づいていずれも政務活動に要する経費として適正にされた支出であり,本件規程2条2項ないし同規程別表に従って適正に按分したものである旨の説明があった以上,杉並区としては,これを明確に否定する事情がない限りは,D議員の説明を前提として, 上記政務活動に要する経費としての支出であると判断せざるを得ないものである。 イパソコン関連費用について(ア) D議員の説明は次のとおりである(甲1・97頁)。 ・別表の1の①パソコン接続料とはNTTの光回線の利用料である。 ・ IT機器の情報流出等セキュリティに関して自己防衛ができるほどの知識が無く,別表の1の②無線ラン(インターネット機器),同④パソコンソフト(名簿作成ソフト)及び同⑤カラープリンターのリース,メンテナンス及びバックアップを含めた契約を締結している。 ・カラープリンターは,本件デスクトップパソコン上で地域の方への通知 を作成するときに資料などの印刷に用いている。 ・議員活動専用であり,政務活動への使用が9割を占めている。 また,別表の1の③ノートPC無線LAN料は,本件ノートパソコン用のモバイルアクセスポイントの利用契約によるものである。 (イ) D議員は,ノートパソコンとデスクトップパソコンの2台のパソコンを 使用しているところ,政務活動費の支出に係る本件各 パソコン用のモバイルアクセスポイントの利用契約によるものである。 (イ) D議員は,ノートパソコンとデスクトップパソコンの2台のパソコンを 使用しているところ,政務活動費の支出に係る本件各パソコンは,議員活動 専用のパソコンであり,その使用状況については,政務活動として用いる場合とそうでない場合とが混在しており,前者が9割を占めると説明している。 具体的には,本件各パソコンは,区政報告会の案内状,礼状,説明資料,区政報告原稿及び地域課題の資料の作成のほか,区民からの要望・意見のまとめ,区民説明資料及び区政や施策の研究等のためのインターネット利用,区 民,区議会事務局及び区所管課からのメールへの対応,ホームページへの書き込み,ホームページ掲載文の作成と掲載依頼のメール送信に使用しており,本件デスクトップパソコンは,以上の用途に加えて,区民への区政報告等の送付のための名簿管理に使用しているとのことである。パソコン関連費用のうち,①,②,④及び⑤は本件デスクトップパソコンに関連する費用であり, ③は本件ノートパソコンに関連する費用である。 情報流出が起きた場合の被害を考えれば,議員活動とそれ以外の活動とでパソコンを使い分けることは合理的であるし,また,同説明を疑わなければならない特段の事情もない。 (ウ) 以上のとおり,パソコン関連の経費の支出は,本件条例別表の「事務費」 に該当し,その使用実態は,9割が政務活動,その余が政務活動以外の議員としての活動であるから,政務活動費としての支出は実態に即して9割と按分されるべきところ,そのように按分されて支出されているから,適法な支出である。 (エ) なお,D議員は,平成29年9月21日,パソコン関連費用のうち,本 件デスクトップパソコンに関連する費用 されるべきところ,そのように按分されて支出されているから,適法な支出である。 (エ) なお,D議員は,平成29年9月21日,パソコン関連費用のうち,本 件デスクトップパソコンに関連する費用①,②,④及び⑤の合計25万5531円を杉並区長宛てに返還した。 D議員によれば,本件デスクトップパソコンは,D議員が議員活動を始める前から代表を務めるOの名義でリース契約を締結しているものであることから,Oの事業のために用いられているとの誤解を生じかねないため,返 還することとしたものである。一方,本件ノートパソコンは,前記の通り, 主に政務活動として使用していることに加え,D議員が議員活動を始めた後に,個人名義で契約を締結したものであるから,上記のような誤解が生じることもないため,デスクトップ関連の費用と取扱いを異にしたものである。 ウ区政報告関連費用について(ア) 区政報告費用について aD議員が作成してその費用を支出した本件各区政報告(乙8の1及び2)の内容は,D議員の区議会議員としての活動及び区政を区民に向けて報告しているものであり,それ以外を目的とする記載内容は見受けられないから,本件各区政報告は,その全体の内容が「議員が行う活動及び区政について区民に報告する」ものであるということができる。 したがって,本件各区政報告の印刷代及び発送費用(別表の2①~③)は,その全額が「議員が行う活動及び区政について区民に報告するために要する経費」に当たり,本件条例別表における広聴広報費に該当する。 b また,これを発送するための作業に人件費が支出されているが(別表の2④,⑤),その全額が本件各区政報告の発送の作業の人件費であると認 められる(乙9~10〔枝番を含む〕)。上述のとおり,本件 また,これを発送するための作業に人件費が支出されているが(別表の2④,⑤),その全額が本件各区政報告の発送の作業の人件費であると認 められる(乙9~10〔枝番を含む〕)。上述のとおり,本件各区政報告は,その全体の内容が「議員が行う活動及び区政について区民に報告する」ものであるから,これを発送する作業もまた政務活動に該当するというべきである。 したがって,同作業の人件費は,本件条例別表における「人件費」(会 派又は議員が行う活動を補助する職員を雇用する経費)に該当し,かつ,本件規程別表における「政務活動のみを補助する職員の賃金」に該当するものであるから,これら人件費の支出は適法である。 c 原告らは,本件人件費(別表の2④)に係るEにつき,議員に経済的利益が還流する可能性が否定できない近親者であり,同人に対する支出は全 額が違法であると主張する。 しかし,本件規程別表は,人件費について,「議員と生計を一にする親族は,職員として雇うことはできない」としているのみで,それ以外の者を雇うことは禁止されていない。 そして,Eは,D議員と生計を一にしている親族ではないから,同人に対する人件費の支出に違法な点はない。 (イ) 区政報告会費用についてaD議員は,平成26年11月21日に自宅において,同月29日に γ〇丁目所在の貸ホールにおいて,それぞれ区政報告会(本件各報告会)を行い,これに係る費用をいずれも80%の按分率をもって政務活動費から支出した。 区政報告会とは,議員が,自らの議員活動及び区政について区民に報告を行うための会合であり,かかる機会には,区民からの要望・意見を聴取することもできるから,区政報告会を開催することは,広聴広報活動の一つであるということができる。 b 動及び区政について区民に報告を行うための会合であり,かかる機会には,区民からの要望・意見を聴取することもできるから,区政報告会を開催することは,広聴広報活動の一つであるということができる。 bD議員の説明は次のとおりである(甲1・97~98頁)が,これを 疑うべき特段の事情はうかがわれない。 ・区政報告会は平成26年度以前から行っているものである。 ・本件各報告会はいずれも,D議員が議会報に記された区議会定例会における質問事項と答弁内容のコピーを配布し,質問と執行機関側の答弁を掘り下げて伝え,質問に対し,解説と回答を行うとともに,区議会議 員としての活動への思いを伝えたものであり,区政についての報告を主に行った。 c したがって,本件各報告会に係る経費(別表の2⑥~⑪)は,「議員が行う活動及び区政に対する区民からの要望及び意見の聴取,区民相談等の活動に要する経費」及び「議員が行う活動及び区政について区民に報告す るために要する経費」(いずれも本件条例別表における広聴広報費)に該 当するということができる。 そして,その実態は,D議員によれば,政務活動に関する内容とそうでない内容が混在しており,前者は8割程度であったというのであるから,実態にあわせて按分されるべきところ,政務活動に要する経費として8割が按分されて支出されている。 (ウ) したがって,区政報告関連費用は,いずれも適法な支出である。 (エ) 原告らは,①本件各報告会に国会議員及び都議会議員が出席したこと,②礼状に衆議院議員選挙と統一地方選挙の話題が多く,区政報告の時間が少なくなった旨記載されていることなどから,本件各報告会が政党活動としての性質を有する旨を主張する。 しかし, したこと,②礼状に衆議院議員選挙と統一地方選挙の話題が多く,区政報告の時間が少なくなった旨記載されていることなどから,本件各報告会が政党活動としての性質を有する旨を主張する。 しかし,①本件各報告会の開催及びその日程は専らD議員の意向により決定されたものであり,国会議員らは,本件各報告会の日程決定後に同一政党に所属する者から申出があり,出席することとなったもので,5分程度の発言をして退席したものにすぎず,②礼状の上記記載は国会議員らの発言により区政報告の時間が当初想定していたより少なくなったことを遺憾に思う 旨の記載である(本件各報告会の所要時間約90分のうち83.3%に当たる約75分はD議員による区政報告が行われた。)。 また,原告らは,区政報告会の案内文は支援者に送付されていることを指摘するが,D議員の説明によれば,支援者の中にはD議員の所属政党に属さない者も含まれているとのことであって,出席者の選定という観点からして も,本件各報告会が政治集会に類するようなものとはいえない。 したがって,本件各報告会は,D議員の議員活動又は区政に対する区民からの要望・意見の聴取及び区政報告がその大半を占めた会合であり,政党活動ないし選挙活動を目的としたものということはできない。 オホームページ管理料について (ア) D議員の説明によれば,本件ホームページには,自身の思い(感想等) を掲載している部分があり,当該部分がホームページ掲載の30%を占めているということである(甲1・98頁)。同説明の趣旨は,本件ホームページは,D議員が区議会議員として行っている活動を広く区民に発信するために作成されているものであることを当然の前提とした上で,政務活動には必ずしも当たらない感想等を掲載している部分が3 本件ホームページは,D議員が区議会議員として行っている活動を広く区民に発信するために作成されているものであることを当然の前提とした上で,政務活動には必ずしも当たらない感想等を掲載している部分が30%程度あるということ である。 (イ) 本件ホームページは,「ご挨拶」,「プロフィール」,「定例区議会一般質問」,「区政報告」,「K」,「M」等の内容によって構成されており(乙11参照),全体として,議員としての活動及び区政について区民に報告することを主な目的とするものとなっている。 このうち,「K」(その内容については,甲1・50~71頁参照)等には議員活動及び区政に関する政策以外の内容が含まれているが,これは,なるべく多くの区民に本件ホームページに対する関心を持ってもらい,読んでもらうための手段として掲載しているもので,結局は区政に関する報告のための手段となるものであるから,当該記事に係る経費に政務活動費を充てる ことも,合理的な範囲にとどまるものであって許されると解すべきである。 (ウ) そして,D議員自身は,本件ホームページに政務活動に該当しない掲載部分があることを認めた上で,同割合を3割というのであり,これを疑うべき特段の事情はない(平成26年度における本件ホームページの内容及びA4サイズの用紙に印刷した場合の枚数のうち,私的活動と評価し得る部分を 除いた記事〔政務活動の目的に合致しないとはいえない記事〕の割合は全体の86.8%であり,D議員の按分割合はこれを下回るものである。)。 したがって,ホームページ管理料は「議員が行う活動及び区政について区民に報告するために要する経費」(本件条例別表における広聴広報費)に該当し,実態に即して7割に按分した支出がされているものといえるから,適 法な支出であ 料は「議員が行う活動及び区政について区民に報告するために要する経費」(本件条例別表における広聴広報費)に該当し,実態に即して7割に按分した支出がされているものといえるから,適 法な支出である。 カ会派区政報告製作料について(ア) D議員の説明は次のとおりである(甲1・98~99頁)。 ・会派の総意で本件会派報告(乙12)を作成し,このうち10万円を(按分率を100%として)政務活動費から支出した。 ・作成に当たっての会派の打合せでは,選挙用の宣伝の目的にすることは 一切検討していない。 ・本件会派報告を新聞の折り込みにすることを考えて,一人でも多くの区民への周知度を高める観点から文字や写真を少しでも大きくとの思いがあった。 ・区民へのわかりやすさとの判断も十分にあったと理解している。 ・区民からの意見を求めている点を理解してほしい。 ・集合写真代は含まれていない。 (イ) 本件会派報告の表面(乙12・1枚目)は,上部に写真が掲げられ,中段に会派としての活動が総論的に記載されており,下段に会派としての取り組みの実績,すなわち会派としての活動の報告が記載されている。 そうすると,表面は,全体として会派が行う活動及び区政についての区民への報告を内容とするものといえる。 また,本件会派報告の裏面(乙12・2枚目)は,上半分に会派が取り組む区政の課題が記載され,中段には「区政へのご意見・ご要望をお聞かせください」と記載され,下半分では意見・要望の受け付け先として会派の連絡 先並びに会派に所属する各議員の住所及び電話番号が顔写真とともに掲載されている。そうすると裏面は,会派が行う活動及び区政に対する区民からの要望及び意見の聴取の活動等を内容とするもの 派の連絡 先並びに会派に所属する各議員の住所及び電話番号が顔写真とともに掲載されている。そうすると裏面は,会派が行う活動及び区政に対する区民からの要望及び意見の聴取の活動等を内容とするものということができる。 なお,仮に会派が行う政務活動に政治的な面が含まれていたとしても,政務活動であることが否定されるものではない。 (ウ) 以上のとおり,会派区政報告製作料は,「会派が行う活動及び区政に対 する区民からの要望及び意見の聴取,区民相談等の活動に要する経費」及び「会派が行う活動及び区政について区民に報告するために要する経費」(いずれも本件条例別表における広聴広報費)に該当するから,適法な支出である。 キよって,本件各支出は,いずれも本件条例別表並びに本件規程2条及び同規 程別表が定める目的及び割合で支出されていることから,適法である。 2 争点(2)(D議員は悪意の受益者に当たるか)について(1) 原告らの主張の要旨本件各支出がされたのは,D議員自身の選挙を含む複数の選挙の準備に大きな労力を割いている時期に当たり,D議員は,政務活動費から支出すべきでない経 費が含まれていることを明らかに承知していたといえるから,民法704条の悪意の受益者に当たる。 (2) 被告の主張の要旨D議員は本件各支出を適法なものと認識していたから,悪意の受益者(民法704条)には該当しない。 以上

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