1 主 文 被告人を懲役2年6月に処する。 未決勾留日数中60日をその刑に算入する。 この裁判確定の日から4年間その刑の執行を猶予する。 名古屋地方検察庁一宮支部で保管中の大麻草1袋(令和2年領第417号 符号1-1)を没収する。 理 由 (罪となるべき事実) 第1(令和2年11月10日付け起訴状記載の公訴事実(同月30日付け訴因変更 請求書による訴因変更後のもの)) 被告人は,中小企業庁が所管する国の持続化給付金制度を利用して同給付金 名目で現金をだまし取ろうと考え,分離前相被告人A及びBらと共謀の上,令 和2年5月23日,真実は,Bが個人事業者ではなく,同給付金の給付要件も 満たさないのに,Bが同要件を満たす個人事業者であるかのように装い,氏名 不詳者が,いずれかの場所において,インターネットに接続されたパソコン等 を使用して,インターネット上に開設された同給付金申請用ページに接続し, Bが美容業を営む個人事業者であり,前年の年間事業収入を239万2000 円,本年の売上減少対象月を4月,同月の月間事業収入を4万7100円,売 上減少対象月の前年度売上額を19万9333円などと入力するとともに,同 入力内容に沿う内容虚偽の所得税確定申告書の控え及び売上表等の画像データ 等を添付して同給付金の給付を申請し,同庁から同給付金の給付決定等につい て業務委託を受けた一般社団法人C協議会等から更に業務委託を受けたD株式 会社の審査担当者らを介し,同協議会持続化給付金事務局事務局長補佐Eに, 同給付申請が給付要件を満たす正当なものと誤信させてその給付を決定させ, よって,同年6月2日,同協議会から業務委託を受けた株式会社Fの担当者に, 株式会社G銀行H支店に開設されたB名義の普通預金口座に現金100万円を 2 振込入金させ,も てその給付を決定させ, よって,同年6月2日,同協議会から業務委託を受けた株式会社Fの担当者に, 株式会社G銀行H支店に開設されたB名義の普通預金口座に現金100万円を 2 振込入金させ,もって人を欺いて財物を交付させた。 第2(令和2年12月15日付け起訴状記載の公訴事実) 被告人は,中小企業庁が所管する国の持続化給付金制度を利用して同給付金 名目で現金をだまし取ろうと考え,氏名不詳者らと共謀の上,令和2年5月2 9日,真実は,被告人が個人事業者ではなく,同給付金の給付要件も満たさな いのに,被告人が同要件を満たす個人事業者であるかのように装い,氏名不詳 者が,いずれかの場所において,インターネットに接続されたパソコン等を使 用して,インターネット上に開設された同給付金申請用ページに接続し,被告 人がその他の洗濯・理容・美容・浴場業を営む個人事業者であり,前年の年間 事業収入を184万7200円,本年の売上減少対象月を4月,同月の月間事 業収入を3万6700円,売上減少対象月の前年度売上額を15万3933円 などと入力するとともに,同入力内容に沿う内容虚偽の所得税確定申告書の控 え及び売上管理表等の画像データ等を添付して同給付金の給付を申請し,同庁 から同給付金の給付決定等について業務委託を受けた前記一般社団法人C協議 会等から更に業務委託を受けた前記D株式会社の審査担当者らを介し,Eに, 同給付申請が給付要件を満たす正当なものと誤信させてその給付を決定させ, よって,同年6月5日,同協議会から業務委託を受けた前記株式会社Fの担当 者に,株式会社G銀行I支店に開設された被告人名義の普通預金口座に現金1 00万円を振込入金させ,もって人を欺いて財物を交付させた。 第3(令和2年11月20日付け起訴状記載の公訴事実第1) 被告人は,中小企業庁が所管する国の持 設された被告人名義の普通預金口座に現金1 00万円を振込入金させ,もって人を欺いて財物を交付させた。 第3(令和2年11月20日付け起訴状記載の公訴事実第1) 被告人は,中小企業庁が所管する国の持続化給付金制度を利用して同給付金 名目で現金をだまし取ろうと考え,A及びJらと共謀の上,令和2年5月30 日,真実は,Jが個人事業者ではなく,同給付金の給付要件も満たさないのに, Jが同要件を満たす個人事業者であるかのように装い,氏名不詳者が,いずれ かの場所において,インターネットに接続されたパソコン等を使用して,イン ターネット上に開設された同給付金申請用ページに接続し,Jが建設業を営む 3 個人事業者であり,前年の年間事業収入を203万3300円,本年の売上減 少対象月を4月,同月の月間事業収入を7万8680円,売上減少対象月の前 年度売上額を16万9441円などと入力するとともに,同入力内容に沿う内 容虚偽の所得税確定申告書の控え及び売上表等の画像データ等を添付して同給 付金の給付を申請し,同庁から同給付金の給付決定等について業務委託を受け た前記一般社団法人C協議会等から更に業務委託を受けた前記D株式会社の審 査担当者らを介し,Eに,同給付申請が給付要件を満たす正当なものと誤信さ せてその給付を決定させ,よって,同年6月5日,同協議会から業務委託を受 けた前記株式会社Fの担当者に,K信用金庫L支店に開設されたJ名義の普通 預金口座に現金100万円を振込入金させ,もって人を欺いて財物を交付させ た。 第4(令和2年11月20日付け起訴状記載の公訴事実第2) 被告人は,みだりに,令和2年9月29日,愛知県豊橋市(住所省略)被告 人方において,大麻を含有する植物片約0.153グラム(名古屋地方検察庁 一宮支部令和2年領第417号符号1-1はその鑑定残量)を所持 告人は,みだりに,令和2年9月29日,愛知県豊橋市(住所省略)被告 人方において,大麻を含有する植物片約0.153グラム(名古屋地方検察庁 一宮支部令和2年領第417号符号1-1はその鑑定残量)を所持した。 (量刑の理由) 本件は,共犯者らと共謀の上,国の持続化給付金制度を利用して同給付金名目で 現金をだまし取った詐欺3件,大麻を所持した大麻取締法違反の事案である。 詐欺については,被告人自身が持続化給付金不正受給者となり,また,被告人と 同じ大学の学生に声をかけて持続化給付金不正受給者となる者を探した上,各持続 化給付金不正受給者につき個人事業者と偽った虚偽の確定申告書を作成し,それを 使って中小企業庁のサイトから持続化給付金の申請を行い,同給付金を受領すると いうものであり,新型コロナウィルスにより所得が減った個人事業者などを支援す るための国の持続化給付金制度を悪用した巧妙かつ悪質な犯行である。被告人らは, 持続化給付金不正受給者の勧誘・斡旋をする役,確定申告書等を作成したり,持続 化給付金の申請手続を行ったりする役などそれぞれ役割を分担して各犯行に及んで 4 おり,組織的な犯行である。被告人は,持続化給付金不正受給者の勧誘,斡旋等を 行っており,担った役割は大きく,また,自身が持続化給付金不正受給者となった 場合には50万円,持続化給付金不正受給を斡旋した場合には1件につき8万円の 報酬を受け取っており,得た利得も小さくない。被告人は,かかる報酬欲しさに各 犯行に及んだものであり,そのような動機に酌むべき点はない。被害額は,合計3 00万円に及んでいる(なお,被告人以外の持続化給付金不正受給者らについては, 国に全額弁済している。)。被告人は,本件以外にも同種犯行に及んでおり,この 種事案に対する規範意識が鈍麻しているといわざるを得ない。 大麻取 (なお,被告人以外の持続化給付金不正受給者らについては, 国に全額弁済している。)。被告人は,本件以外にも同種犯行に及んでおり,この 種事案に対する規範意識が鈍麻しているといわざるを得ない。 大麻取締法違反については,自己使用目的で大麻草を所持していたものであり, そのような動機に酌むべき点はない。被告人は,令和元年12月頃から大麻を使用 するようになり,判示第4の犯行に至ったというのであるから,違法薬物に対する 親和性が認められる。 そうすると,被告人の刑事責任を軽視することはできないが,被告人が事実を認 め,反省の態度を示していること,被告人の父親が情状証人として出廷し,今後の 監督を約束していること,共犯者らがそれぞれ被害回復を図っており,被告人はそ の共犯者らに対し,自身が得た利得分につき,弁済をするとともに,自身が不正受 給した分について,国に全額弁済する準備をしていること,被告人が大学から退学 処分を受けるなど一定の社会的制裁を受けていること,被告人には前科前歴がない ことなど被告人のために酌むべき事情が認められ,これらの点を併せ考慮すると, 被告人に対しては,主文の懲役刑を科すものの,その執行については今回に限り猶 予するのが相当である。 (求刑 懲役2年6月,主文同旨の没収) 令和3年3月25日 名古屋地方裁判所一宮支部 裁判官 齊 一 美
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