【DRY-RUN】主 文 本件各上告を棄却する。 理 由 被告人らの弁護人吉田雄策、同新井章の上告趣意第一点のうち、判例違反をいう 点は、原判決は、本件ピケツテイングの違法性の
主 文 本件各上告を棄却する。 理 由 被告人らの弁護人吉田雄策、同新井章の上告趣意第一点のうち、判例違反をいう 点は、原判決は、本件ピケツテイングの違法性の判断は、基本となる争議行為その ものの違法性の判断とは別個の問題であり、本件ピケツテイングの具体的状況その 他諸般の事情を考察して、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものである か否かが検討されなければならないとしているのであつて、所論のいう趣旨の判断 を示したものでないことは明らかであるから、所論判例違反の主張は、前提を欠き、 その余は、憲法二八条違反をいう点もあるが、実質はすべて単なる法令違反の主張 であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 同第二点のうち、判例違反をいう点は、所論引用の各判例はいずれも事案を異に し本件に適切でなく、その余は、憲法二八条違反をいう点もあるが、実質はすべて 単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 同第三点ないし第五点は、いずれも単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、 適法な上告理由にあたらない。 よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官関根小郷、同坂本吉 勝の補足意見があるほか、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。 裁判官関根小郷、同坂本吉勝の上告趣意第五点についての補足意見は、次のとお りである。 多数意見が上告趣意第五点について刑訴法四二条の適用を認めなかつたことに同 調するものであるが、以下、意見を述べる。 鉄道営業法四二条一項の定める鉄道係員の排除権限は、対象者の違反行為の態様、 程度等に照らして真にやむをえない場合における必要最少限度の有形力の行使を含 - 1 - むとしても、対象者の身体に対する直接の実力行使による強制は許されず、これを 必要とする場合には 違反行為の態様、 程度等に照らして真にやむをえない場合における必要最少限度の有形力の行使を含 - 1 - むとしても、対象者の身体に対する直接の実力行使による強制は許されず、これを 必要とする場合には、警察官の援助を求めるべきであり、その余裕のないときには、 正当防衛又は緊急避難として法律上許される限度における実力行使であつて、はじ めて正当化されるものと解すべきである(最高裁昭和四三年(あ)第八三七号同四 八年四月二五日大法廷判決・刑集二七巻三号四一八頁における裁判官関根小郷、同 坂本吉勝の反対意見参照)。 ところで、本件における鉄道公安職員の組合員に対する排除行為につき、原判決 の確定した経過に徴すると、鉄道公安職員Aらは、急行第二一〇旅客列車「平戸」 号着機の前方に線路内を向いて軌条外側の枕木付近にスクラムを組んでいた組合員 に対し、鉄道係員として、同着機が安全に通行できる車両接触限界外まで両手など で押し下げ、更に組合員が近づかないように線路に沿つて並んだ(いわゆる逆ピケ) というのであつて、要するに、鉄道公安職員らの右行為は、人体による人垣を作つ て、ピケツテイングを行なつている組合員を軌条外に排除したにとどまり、その程 度は、有形力の行使ではあるがいまだ組合員の手足等をとつて引きずり出すなど、 積極的に組合員の身体に対する直接の実力行使をしたものとはいいがたい。したが つて、鉄道公安職員Aの右排除行為がその限度を超えた違法な職務の執行であると して、原判決中、判決に影響を及ぼすべき法令の違反があり、原判決を破棄しなけ れば著しく正義に反するものとすることは、できないのである。 昭和五〇年一一月二一日 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 関 根 小 郷 裁判官 天 野 武 いのである。 昭和五〇年一一月二一日 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 関 根 小 郷 裁判官 天 野 武 一 裁判官 坂 本 吉 勝 裁判官 江 里 口 清 雄 - 2 - 裁判官 高 辻 正 己 - 3 -
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