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主文 1 被告Cは,原告に対し,2865万8823円及びこれに対する平成10年12月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。2 被告A,同B,同E及び同Cは,原告に対し,連帯して3548万2352円及びこれに対する平成10年12月27日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。3 被告B,同F,同C,同G及び同Dは,原告に対し,連帯して2億0693万9087円及びこれに対する被告B,同C及び同Dにつき平成10年12月27日から,被告F及び同Gにつき同月28日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。5 訴訟費用は,(1) 原告と被告Aとの間では,原告に生じた費用の100分の1を同被告の負担とし,その余を各自の負担とし,(2) 原告と被告Bとの間では,原告に生じた費用の15分の1を同被告の負担とし,その余を各自の負担とし,(3) 原告と被告Cとの間では,原告に生じた費用の10分の1を同被告の負担とし,その余を各自の負担とし,(4) 原告と被告Eとの間では,原告に生じた費用の100分の1を同被告の負担とし,その余を各自の負担とし,(5) 原告と被告F,同G及び同Dとの間では,原告に生じた費用の各20分の1を同各被告の負担とし,その余を各自の負担とする。6 この判決の第1項ないし第3項は,仮に執行することができる。事実及び理由 第1 請求 1 被告Cは,原告に対し,2億円及びこれに対する平成10年12月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。2 被告A,同B,同E及び同Cは,原告に対し,連帯して3億円及びこれに対する平成10年12月27日から各支払済みまで年5分の割合による 2月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。2 被告A,同B,同E及び同Cは,原告に対し,連帯して3億円及びこれに対する平成10年12月27日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。2 被告A,同B,同E及び同Cは,原告に対し,連帯して3億円及びこれに対する平成10年12月27日から各支払済みまで年5分の割合による 2月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。2 被告A,同B,同E及び同Cは,原告に対し,連帯して3億円及びこれに対する平成10年12月27日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。3 被告B,同F,同C,同G及び同Dは,原告に対し,連帯して3億円及びこれに対する被告B,同C及び同Dにつき平成10年12月27日から,被告F及び同Gにつき同月28日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。第2 事案の概要本件は,経営破綻した株式会社北海道拓殖銀行(以下「拓銀」という。)から債権譲渡を受けた原告(平成11年4月1日の合併前においては株式会社整理回収銀行を指す。以下同じ。)が,債権の回収のために,拓銀の取締役であった被告らに対し,善管注意義務,忠実義務に違反する融資が数次にわたって実行された結果,拓銀が多額の損害を被ったと主張して,商法266条1項に基づく損害賠償として,損害額の内金及びこれに対する各訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求した事案である。1 前提となる事実(争いのない事実は証拠を掲記しない。)(1) 原告株式会社住宅金融債権管理機構は,平成11年4月1日,本件訴え提起当時の原告であった株式会社整理回収銀行を合併し,商号を現在の原告の商号に変更した。(2) 拓銀拓銀は,明治33年2月16日に北海道拓殖銀行法に基づき設立され,昭和25年に普通銀行に転換し,昭和30年に都市銀行に加入した。拓銀は,そのころから本州店舗の拡充を進め,昭和45年からは海外にも積極的に事業を展開した。拓銀は,昭和50年代には,国内外に200を超える拠点網を有し,北海道を中心とする業務だけでなく,都市銀行の一員として,銀行を始め 店舗の拡充を進め,昭和45年からは海外にも積極的に事業を展開した。拓銀は,昭和50年代には,国内外に200を超える拠点網を有し,北海道を中心とする業務だけでなく,都市銀行の一員として,銀行を始めとする金融システムの中で重要な位置を占めるようになったが,平成9年11月17日に経営破綻した(甲1)。 国内外に200を超える拠点網を有し,北海道を中心とする業務だけでなく,都市銀行の一員として,銀行を始め 店舗の拡充を進め,昭和45年からは海外にも積極的に事業を展開した。拓銀は,昭和50年代には,国内外に200を超える拠点網を有し,北海道を中心とする業務だけでなく,都市銀行の一員として,銀行を始めとする金融システムの中で重要な位置を占めるようになったが,平成9年11月17日に経営破綻した(甲1)。(3) 被告らの拓銀における地位ア被告Aは,昭和58年4月1日から平成元年3月31日まで代表取締役頭取の地位にあった。イ被告Bは,昭和61年4月1日から平成元年3月31日まで代表取締役副頭取,同年4月1日から平成6年6月28日まで代表取締役頭取の地位にあった。ウ被告Eは,昭和61年4月1日から昭和63年3月31日まで専務取締役,同年4月1日から平成2年6月27日まで代表取締役副頭取の地位にあった。エ被告Cは,昭和62年6月1日から平成元年3月31日まで専務取締役,同年4月1日から平成5年6月28日まで代表取締役副頭取の地位にあった。オ被告Dは,平成元年4月1日から平成4年6月25日まで常務取締役,同月26日から平成5年6月28日まで専務取締役,同月29日から平成6年6月28日まで代表取締役副頭取,同月29日から平成9年11月20日まで代表取締役頭取の地位にあった。カ被告Fは,昭和62年6月1日から平成元年3月31日まで専務取締役,同年4月1日から平成5年6月28日まで代表取締役副頭取の地位にあった。キ被告Gは,平成元年6月29日から平成3年6月26日まで専務取締役,同月27日から平成6年6月28日まで代表取締役副頭取の地位にあった。(4) 株式会社ミヤシタ株式会社ミヤシタ(以下「ミヤシタ」という。)は,昭和46年3月に設立され,北海道帯広市に本店を有し,内装,看板工事を主たる業務とする企業である。取の地位にあった。(4) 株式会社ミヤシタ株式会社ミヤシタ(以下「ミヤシタ」という。)は,昭和46年3月に設立され,北海道帯広市に本店を有し,内装,看板工事を主たる業務とする企業である。ミヤシタは,昭和53年以降,スーパーマーケットを経営する株式会社長崎屋(以下「長崎屋」という。)の内装工事指定業者となり,北海道における長崎屋及びその関連会社の工事のほとんどを受注して急激に売上げを延ばし,長崎屋の設備投資が大幅に減少した昭和59年(この年の年商は4億4900万円。 ヤシタ」という。)は,昭和46年3月に設立され,北海道帯広市に本店を有し,内装,看板工事を主たる業務とする企業である。ミヤシタは,昭和53年以降,スーパーマーケットを経営する株式会社長崎屋(以下「長崎屋」という。)の内装工事指定業者となり,北海道における長崎屋及びその関連会社の工事のほとんどを受注して急激に売上げを延ばし,長崎屋の設備投資が大幅に減少した昭和59年(この年の年商は4億4900万円。)を除き,昭和56年以降昭和63年までは年商8億円前後の安定した業績を上げていた。そして,平成元年から平成3年ころまでは,長崎屋の順調な出店に支えられ,年商12億円から14億円と大幅に業績を伸ばした(甲10,11,乙ロ15)。(5) 拓銀のミヤシタに対する融資経過ア拓銀とミヤシタとの従前の関係拓銀は,昭和46年10月から,ミヤシタに対し,授信取引を開始したが,当初から消極方針で対応し,長崎屋関連の商業手形割引を中心として,授信残高を抑制してきた。拓銀は,昭和62年11月,ミヤシタから,長崎屋の株の仕手戦に絡む防戦資金として20億円から30億円の借入申込みを受けたが,株の仕手戦に絡む資金の融資は社会的に問題があること,仕手戦株式は保全面において不安定であること等を理由に謝絶した。拓銀は,この際,ミヤシタの既往借入実績の7億円で運転資金限度枠を設け,事実上その範囲で株式購入資金に使途されることを容認し,昭和63年2月には,上記運転資金限度枠を9億円に増額した(以上につき,甲4の8,甲10,11,12の1,乙ロ15)。イミヤシタに対する小豆相場資金の貸付けミヤシタは,子会社である有限会社コウシン商事(以下「コウシン商事」という。)を介し た(以上につき,甲4の8,甲10,11,12の1,乙ロ15)。イミヤシタに対する小豆相場資金の貸付けミヤシタは,子会社である有限会社コウシン商事(以下「コウシン商事」という。)を介して昭和63年以降行っていた小豆相場取引を本格化するため,平成元年1月から2月にかけて,拓銀に対し,小豆相場転貸資金の融資を申し込んだ(甲10,11,12の1,乙ロ15)。これに対し,拓銀は,別紙小豆融資一覧表の番号1ないし8記載のとおり,ミヤシタに対し,合計27億5000万円の融資を実行した(甲4の1ないし甲7の10。以下,併せて「本件小豆融資」という。)。その後,本件小豆融資は,別紙小豆融資の推移表記載のとおり,一部弁済及び書換えが行われた(甲23の1ないし15,甲93の1,2,甲94の1ないし甲102,乙ロ15)。 し込んだ(甲10,11,12の1,乙ロ15)。これに対し,拓銀は,別紙小豆融資一覧表の番号1ないし8記載のとおり,ミヤシタに対し,合計27億5000万円の融資を実行した(甲4の1ないし甲7の10。以下,併せて「本件小豆融資」という。)。その後,本件小豆融資は,別紙小豆融資の推移表記載のとおり,一部弁済及び書換えが行われた(甲23の1ないし15,甲93の1,2,甲94の1ないし甲102,乙ロ15)。ミヤシタは,平成2年3月までに,小豆相場を手仕舞いしたが,16億5000万円の欠損を計上した(甲10,11,12の1,乙ロ15)。ウミヤシタに対する乾繭相場資金の貸付けミヤシタは,平成2年10月,小豆相場の損失を取り戻すため,乾繭相場取引を企図し,拓銀に対し,その資金の融資を申し込んだ。拓銀は,直接の融資は不可能と判断して,たくぎんファイナンスサービス株式会社(以下「たくぎんファイナンス」という。)に申入れをし,同月にたくぎんファイナンスから15億円の授信を開始させた。その後,平成3年2月には,たくぎんファイナンスのミヤシタに対する授信総額は,34億円にも上った。拓銀は,平成3年6月17日,たくぎんファイナンスとの融資時の約束により,たくぎんファイナンスのミヤシタへの融資残額である24億1500万円を肩代わりした。ミヤシタは,その後も,拓銀に対し,乾繭相場転貸資金の融資を申 ,たくぎんファイナンスとの融資時の約束により,たくぎんファイナンスのミヤシタへの融資残額である24億1500万円を肩代わりした。ミヤシタは,その後も,拓銀に対し,乾繭相場転貸資金の融資を申し込んだ(以上につき,甲10,11,12の1,乙ロ15。)。拓銀は,平成4年2月から同年3月にかけて,別紙乾繭融資一覧表の番号1ないし3記載のとおり,ミヤシタに対し,合計6億円の融資を実行した(甲8の1の1ないし甲9の12。以下,併せて「本件乾繭融資」という。)。エミヤシタの破綻ミヤシタは,平成4年4月17日,拓銀に対して利息及び元金の支払ができなくなって遅滞に陥り,現在事実上破綻し,支払不能の状態にあり,その結果,拓銀の融資残高の回収は,不能ないし著しく困難な状況にある(甲10,11,12の1,16の1,2,弁論の全趣旨)。(6) 拓銀における融資手続ア授信権限の範囲拓銀では,昭和59年7月1日から平成8年3月15日までの間,権限規程において,一般取引先について次のとおり授信権限の区分を定めていた(甲3の2の1,甲3の2の2,乙ロ8の2)。 なって遅滞に陥り,現在事実上破綻し,支払不能の状態にあり,その結果,拓銀の融資残高の回収は,不能ないし著しく困難な状況にある(甲10,11,12の1,16の1,2,弁論の全趣旨)。(6) 拓銀における融資手続ア授信権限の範囲拓銀では,昭和59年7月1日から平成8年3月15日までの間,権限規程において,一般取引先について次のとおり授信権限の区分を定めていた(甲3の2の1,甲3の2の2,乙ロ8の2)。(ア) 頭取,副頭取と担当取締役(又は担当本部長)の合議融資残高30億円超(イ) 担当本部長又は担当取締役融資残高20億円超30億円以下(ウ) 本部部長融資残高6億円超20億円以下(エ) 審査役融資残高6億円以下イ投融資会議拓銀では,「投融資会議について」と題する規程(昭和59年8月14日制定・実施)により,担当本部長の権限(同日から平成8年3月15日の規程改正までは同一人に対する授信残高30億円。)を超える案件 拓銀では,「投融資会議について」と題する規程(昭和59年8月14日制定・実施)により,担当本部長の権限(同日から平成8年3月15日の規程改正までは同一人に対する授信残高30億円。)を超える案件は,頭取,副頭取,担当本部長により構成される投融資会議において決定することとされていた(甲3の1)。ウ本件小豆融資及び本件乾繭融資に対する被告らの関与(ア) 被告Cは,拓銀の専務取締役業務本部長として,別紙小豆融資一覧表の番号1ないし4記載の各融資を決裁した。(イ) 被告A,同B,同E及び同Cは,別紙小豆融資一覧表の番号6ないし8記載の各融資を決定した際の投融資会議の構成員であった。(ウ) 被告B,同C,同D,同F及び同Gは,投融資会議の構成員として,本件乾繭融資を決裁した。(7) 債権譲渡拓銀の代表取締役は,平成10年11月11日,原告との間で資産買取契約を締結し,同月16日をもって,拓銀が有する債務不履行に基づく損害賠償請求権等を原告に譲渡した(以下「本件債権譲渡」という。)として,同年12月3日ころ,被告らに対し,その旨を通知した(甲2の1,甲2の2の1ないし7)。(8) 追認拓銀の監査役は,平成12年2月8日,拓銀の代表取締役のした本件債権譲渡及びそれに付随する一切の行為を追認し(以下「本件追認」という。),同月10日ころ,被告らにその旨通知した(甲24ないし31の2)。 拓銀が有する債務不履行に基づく損害賠償請求権等を原告に譲渡した(以下「本件債権譲渡」という。)として,同年12月3日ころ,被告らに対し,その旨を通知した(甲2の1,甲2の2の1ないし7)。(8) 追認拓銀の監査役は,平成12年2月8日,拓銀の代表取締役のした本件債権譲渡及びそれに付随する一切の行為を追認し(以下「本件追認」という。),同月10日ころ,被告らにその旨通知した(甲24ないし31の2)。2 争点(1) 本件債権譲渡の有効性等(被告A,同B,同C,同D,同F及び同Gの主張)会社が取締役に対して訴えを提起する場合,監査役が会社を代表する(商法275条の4)。取締役と会社とのなれ合いの防止という同条の趣旨を全うするためには,監査役が訴えを提起するかどうかを判断する権限を有する以上,会社の取締役に対する債権を処分する権 社を代表する(商法275条の4)。取締役と会社とのなれ合いの防止という同条の趣旨を全うするためには,監査役が訴えを提起するかどうかを判断する権限を有する以上,会社の取締役に対する債権を処分する権限もまた監査役が有すると解すべきである。本件では,拓銀の監査役が原告に対して債権を譲渡した事実はないから,原告は,原告適格を有しない,又はいまだ損害賠償請求権を取得していない。(被告A,同B,同C,同D及び同Eの主張)ア拓銀は,本件の損害賠償請求をするために必要な取締役会における審議及び被告らに対する請求等の手続を経ていないから,被告らに対する損害賠償請求権は,いまだ確立していない。イ拓銀は,平成10年6月に開催した臨時株主総会の特別決議により,平成11年3月をもって会社を解散し,清算手続に入る旨の決議をした。これにより,会社の存続の目的は,清算業務の遂行に限定される。ところが,拓銀は,平成10年9月の取締役会において,被告らに対して損害賠償を請求する旨の決議をした。このような取締役会決議は,前記の臨時株主総会決議に違反し,無効である。ウ本件の損害賠償債権のように,債務者の範囲及び請求金額等が確定していない債権は,そもそも譲渡の対象にできない債権である。エ拓銀の被告らに対する損害賠償請求権は,資本充実の原則に基づく拓銀の固有の権利であるから,他に譲渡することは許されない。オ金融機関が原告に譲渡できる債権は,金融債権に限られるところ(債権管理回収業に関する特別措置法2条),被告らに対する請求権は金融債権ではないから,本件債権譲渡は,同法に違反し,無効である。 ,債務者の範囲及び請求金額等が確定していない債権は,そもそも譲渡の対象にできない債権である。エ拓銀の被告らに対する損害賠償請求権は,資本充実の原則に基づく拓銀の固有の権利であるから,他に譲渡することは許されない。オ金融機関が原告に譲渡できる債権は,金融債権に限られるところ(債権管理回収業に関する特別措置法2条),被告らに対する請求権は金融債権ではないから,本件債権譲渡は,同法に違反し,無効である。カ本件債権譲渡は,譲渡と訴訟提起とが時間的に接近し,拓銀が訴訟当事者になることを回避し,原告に訴訟を行わせることを目的とするものであるから,訴訟信託に当たり,信託法11 法に違反し,無効である。カ本件債権譲渡は,譲渡と訴訟提起とが時間的に接近し,拓銀が訴訟当事者になることを回避し,原告に訴訟を行わせることを目的とするものであるから,訴訟信託に当たり,信託法11条に違反し,無効である。キ重要な営業用財産を譲渡する場合,株主総会の決議が必要であり(商法245条1項),拓銀の定款には,巨額の譲渡損失が生じる貸出債権を譲渡する場合,株主総会の承認を要すると定められている。拓銀が原告に譲渡した貸出債権は,総資産の約50パーセントに達する資産であるから,株主総会の決議が必要であるところ,その手続を経ていない。拓銀の原告に対する貸出債権の譲渡は,法令及び定款に違反し,無効であるから,これと一括してされた本件債権譲渡も無効である。ク被告らは,拓銀に対して主張できる抗弁を有するところ,本件の債権譲渡により,上記抗弁が事実上切断され,被告らの立場が著しく不利になる。したがって,本件債権譲渡は,権利の濫用に当たり,無効である。ケ被告らは,拓銀から1度も請求を受けたことがない上,拓銀の被告らに対する債権譲渡の通知書には,①損害賠償の発生日時及び金額の記載がない,②連帯債務であること及び他の連帯債務者の氏名を表示していない,③被告らの具体的加害行為の特定がないという欠陥があり,譲渡債権の特定を欠いているから,本件債権譲渡の通知は無効であり被告らに対抗できない。コ拓銀と原告との間の資産買取契約によって原告が譲り受けた債権は,貸出先に対する貸付債権及び同債権の回収に関する一切の権利であって,貸付債権の回収とは関係のない商法266条に基づく本件の損害賠償請求権は,これに含まれない。サ ①商法267条が,同法266条1項の取締役の責任を追及する権限のある者を限定しようとしていること,②同法266条1項は,会社が 債権譲渡の通知は無効であり被告らに対抗できない。コ拓銀と原告との間の資産買取契約によって原告が譲り受けた債権は,貸出先に対する貸付債権及び同債権の回収に関する一切の権利であって,貸付債権の回収とは関係のない商法266条に基づく本件の損害賠償請求権は,これに含まれない。サ ①商法267条が,同法266条1項の取締役の責任を追及する権限のある者を限定しようとしていること,②同法266条1項は,会社が 商法266条に基づく本件の損害賠償請求権は,これに含まれない。サ ①商法267条が,同法266条1項の取締役の責任を追及する権限のある者を限定しようとしていること,②同法266条1項は,会社が受けた損害を回復するための規定であるが,原告による訴訟の結果は,拓銀の利益にならないこと,③取締役に対する損害賠償請求権を会社が自由に処分できるとすると,株主代表訴訟の潜脱を招くこと,④債権譲受人が商法266条1項の請求権を行使できるとする法令上の根拠がないことに照らせば,拓銀以外の者は,その債権の内容が確定している場合を除き,同法266条1項に基づく請求権を行使できないと解すべきである。シ原告は,約32万円で債権譲渡を受けながら,被告らに対して合計約61億円を請求しており,このような請求は,権利の濫用に当たる。(原告の主張)ア商法275条の4の立法趣旨は,取締役と会社との間の利益の衝突及びなれ合い的訴訟追行の防止にあるところ,会社の取締役に対する損害賠償請求権が第三者に譲渡された場合には,債権者と債務者が別人格となるため,利益の衝突やなれ合い的訴訟追行はおこらないのであって,同法275条の4が,本件のような裁判外の債権譲渡について,代表取締役の代表権を排除した規定とは解されない。会社が有する債権の裁判外における処分は,会社の業務執行に属するから,商法上の明文の例外規定がない以上,取引の安全という観点からも,原則どおり代表取締役にその代表権があると考えるべきである。取締役とのなれ合いを招くような濫用的な債権譲渡に対しては,別途権利濫用等の一般法理をもって無効とすれば足りるし,監査役は,こうした債権譲渡に対する商法上の対抗手段を有しているから,上記のように解しても不都合はない。かえって,監査役に裁判外の処分権を広く認めると, 等の一般法理をもって無効とすれば足りるし,監査役は,こうした債権譲渡に対する商法上の対抗手段を有しているから,上記のように解しても不都合はない。 のなれ合いを招くような濫用的な債権譲渡に対しては,別途権利濫用等の一般法理をもって無効とすれば足りるし,監査役は,こうした債権譲渡に対する商法上の対抗手段を有しているから,上記のように解しても不都合はない。かえって,監査役に裁判外の処分権を広く認めると, 等の一般法理をもって無効とすれば足りるし,監査役は,こうした債権譲渡に対する商法上の対抗手段を有しているから,上記のように解しても不都合はない。かえって,監査役に裁判外の処分権を広く認めると,会社代表権の帰属が必要以上に分断され,会社の統一的な業務執行を阻害するおそれがあるので,妥当でない。イ拓銀が解散して清算手続に入るのは,平成11年3月であって,拓銀は清算中の会社には当たらないから,上記被告らの主張は,前提を欠くものである。また,会社の資産である債権の取立ては,当然に清算事務に含まれる。ウ本件の債権は,商法266条1項5号に基づく損害賠償請求権であり,損害賠償請求権が譲渡性を有することに争いの余地はない。エ原告は,破綻金融機関との合併により承継し,又は破綻金融機関から譲り受けた営業の整理を行い,並びに破綻金融機関から買い取った資産の管理及び処分を行うことを主たる目的とする銀行であり,預金保険法附則7条1項に定める協定銀行として業務を行っている。原告は,債権管理回収業に関する特別措置法の成立,施行以前に設立され,上記業務を行っており,上記特別措置法によって初めて債権回収業務を行うことを認められたものではないから,上記特別措置法の適用を受けるものではない。オ本件訴訟は,拓銀破綻という緊急事態に際して,金融システムを維持し,預金者を保護するという国の施策に基づき,原告が拓銀との資産買収契約によって譲り受けた資産の中に本件損害賠償請求権が含まれることから提起されたものであり,信託法11条が禁止する訴訟信託には当たらない。カ被告らが有する抗弁が債権譲渡により切断されるか否かは,民法468条2項に従って判断されるべきものであり,債権譲渡があるがゆえに被告らの立場が著しく不利になり,これが権利濫用に当たるとの上記被 カ被告らが有する抗弁が債権譲渡により切断されるか否かは,民法468条2項に従って判断されるべきものであり,債権譲渡があるがゆえに被告らの立場が著しく不利になり,これが権利濫用に当たるとの上記被告らの主張は失当である。 有する抗弁が債権譲渡により切断されるか否かは,民法468条2項に従って判断されるべきものであり,債権譲渡があるがゆえに被告らの立場が著しく不利になり,これが権利濫用に当たるとの上記被 カ被告らが有する抗弁が債権譲渡により切断されるか否かは,民法468条2項に従って判断されるべきものであり,債権譲渡があるがゆえに被告らの立場が著しく不利になり,これが権利濫用に当たるとの上記被告らの主張は失当である。キ仮に,本件債権譲渡に瑕疵があったとしても,本件追認により,瑕疵は治癒されているから,本件債権譲渡は有効である。(2) 銀行の取締役の注意義務(原告の主張)ア被告らは,拓銀の取締役として,善管注意義務(商法254条3項,民法644条)及び忠実義務(商法254条の3)を負う。銀行は,わが国の金融システムの中核に位置しており,銀行の行う預金,貸付け,為替取引等のサービスは,経済活動において重要な役割を担っている。このような銀行の機能と社会における役割を重視し,銀行法は,銀行業務の公共性を規定しており,同法によれば,銀行は,信用の維持,預金者の保護,金融の円滑のために,銀行の業務の健全かつ適正な運営をすることが期待されている。したがって,銀行の運営に当たっては,銀行の健全性,安全性の維持が最高の使命とされなければならない。そして,商法266条1項5号の「法令」には,銀行法も含まれると解すべきであるから,同法の要請する銀行の健全性,安全性維持の原則に反する行為をした取締役は,法令違反行為をした者として,同法266条1項5号に基づき会社に対する責任を問われることになる。また,銀行の取締役の経営判断に関する裁量は,銀行の健全性,安全性の原則から,一般の会社に比べて限定されるべきである。具体的には,銀行の取締役は,各融資に当たり,融資決定に至る手続が適正に機能しているか,リスク管理が十分に行われているかについて各自の立場から審査,監督し,銀行の健全性,安全性の維持に反する業務運営が行われないようにすべ は,各融資に当たり,融資決定に至る手続が適正に機能しているか,リスク管理が十分に行われているかについて各自の立場から審査,監督し,銀行の健全性,安全性の維持に反する業務運営が行われないようにすべき義務があるというべきである。イ本件において,被告らは,拓銀の投融資会議の構成員として,本件小豆融資及び本件乾繭融資(被告C以外の被告らはその一部)の決裁を行ったものであるところ,取締役である被告らのこの決裁は,拓銀内の権限規程に基づいて委任を受けて行う行為であるから,その決裁に当たっても当然に取締役としての善管注意義務及び忠実義務を負うと解すべきである。 維持に反する業務運営が行われないようにすべき義務があるというべきである。イ本件において,被告らは,拓銀の投融資会議の構成員として,本件小豆融資及び本件乾繭融資(被告C以外の被告らはその一部)の決裁を行ったものであるところ,取締役である被告らのこの決裁は,拓銀内の権限規程に基づいて委任を受けて行う行為であるから,その決裁に当たっても当然に取締役としての善管注意義務及び忠実義務を負うと解すべきである。 そして,投融資会議に付議される融資案件の決裁に当たり,投融資会議の構成員である取締役は,融資実行の適否について,融資当時のみならず,予想できる範囲内で将来の経済状況,景気の動向,資産の価格の動向を踏まえながら,融資先である個々の企業の業種,規模,業績,経営者の能力,経営状況,保有資産,事業の発展・衰退の見込み,希望する融資額,使途,融資の必要性,提供できる担保の内容・額,債務の内容・額,返済状況,返済資金の調達方法・見込み,融資の社会的な妥当性等の諸事情を考慮して判断する必要があり,融資を希望する個々の企業につきこれらの諸事情に関する情報を収集し,取締役間で十分な議論を行うとともに,銀行業務の公共性に照らして,銀行の健全性・安全性維持という要請に反しない範囲において合理的な判断をすべきである。(被告らの主張)ア 銀行の取締役が一般の株式会社の取締役に比べて重い注意義務を負担すると解すべきではない。また,銀行の取締役の経営判断に関する裁量が,一般の株式会社に比べて限定されると解すべきでもない。イ投融資会議は,常務会決議により実施されているもので,融資の可否を内部的に決定 きではない。また,銀行の取締役の経営判断に関する裁量が,一般の株式会社に比べて限定されると解すべきでもない。イ投融資会議は,常務会決議により実施されているもので,融資の可否を内部的に決定する代表取締役による日常業務執行の一部を担うものである。商法266条1項5号に基づく請求は,問題とされる取締役の行為が取締役会で決議すべき事項であった場合に限るものであるところ,取引先に対する融資の可否は取締役会で扱うべき事項ではない。したがって,投融資会議の構成員としての行為について取締役としての注意義務違反が生じる余地はない。(3) 本件小豆融資の違法性及び関与した取締役の責任(原告の主張)ア資金使途が投機資金であること(ア) 公共性と健全性をその責務とする銀行は,商品相場を始めとした投機目的への融資については,商品相場への投機の危険性を十分に勘案し,原則としてこのような融資を避け,仮に実行する場合でも,その保全を厳重に行うほか,厳格な方針で臨まなければならないところ,本件小豆融資の資金使途は,次に述べるとおり,危険性の高い小豆相場における投機資金にほかならない。 の責任(原告の主張)ア資金使途が投機資金であること(ア) 公共性と健全性をその責務とする銀行は,商品相場を始めとした投機目的への融資については,商品相場への投機の危険性を十分に勘案し,原則としてこのような融資を避け,仮に実行する場合でも,その保全を厳重に行うほか,厳格な方針で臨まなければならないところ,本件小豆融資の資金使途は,次に述べるとおり,危険性の高い小豆相場における投機資金にほかならない。(イ) 先物取引における投機目的のための現物受けミヤシタがコウシン商事を介して行った小豆相場取引が商品取引所における先物取引であったことは明らかである。商品取引所における小豆取引においては,毎月の納会で決済が行われるまでの間は,証拠金を預託するだけの信用によって取引を行うことができるが,納会までに同量の反対売買が行われなかった場合には,現物の受渡しと代金決済が行われる。そして,ミヤシタは,大量の「買い」を維持して「売り」の反対売買を行わないことによって,市場価格の高騰を狙い,高騰した時点で「売り」を行ってより多く った場合には,現物の受渡しと代金決済が行われる。そして,ミヤシタは,大量の「買い」を維持して「売り」の反対売買を行わないことによって,市場価格の高騰を狙い,高騰した時点で「売り」を行ってより多くの利益を得ようとして納会までに「売り」の反対売買を行わなかったため,小豆を現物受けすることになったものである。このように,ミヤシタは,小豆の集荷や現物の取得を目的として相場取引を行っていたものではなく,更なる価格高騰を狙って,投機目的で現物受けをしていたものである。(ウ) 違法な価格操作に加担する融資ミヤシタ及びコウシン商事は,小豆の買占めによる価格操作を狙っていたものである。このことは,ミヤシタが本件小豆融資に当たって拓銀に担保提供した小豆倉荷証券の合計が3353枚にも上り,これは日本の小豆の年間消費量の1割近くに相当するところ,ミヤシタが北洋銀行からも小豆相場資金の借入れを行っていたことからすれば,ミヤシタは,日本の年間消費量の1割を大幅に超える小豆をわずか1か月の間に買い受けたことになることから明らかである。ミヤシタ及びコウシン商事が行おうとしていたこのような買占めによる価格操作は,商品の価格形成の公正さ及び流通の円滑化を阻害し,商品取引所法1条の目的に反する行為であり,こうした行為に対して銀行が資金を供給すること自体,銀行の公共性に照らして許されるものではない。 行っていたことからすれば,ミヤシタは,日本の年間消費量の1割を大幅に超える小豆をわずか1か月の間に買い受けたことになることから明らかである。ミヤシタ及びコウシン商事が行おうとしていたこのような買占めによる価格操作は,商品の価格形成の公正さ及び流通の円滑化を阻害し,商品取引所法1条の目的に反する行為であり,こうした行為に対して銀行が資金を供給すること自体,銀行の公共性に照らして許されるものではない。(エ) 小豆相場の危険性小豆は,商品先物市場の中でも,天候や輸入量等の影響を受けやすく,相場における価格決定要因も多いという点で,価格変動が激しいほか,仕手筋の投機行為に利用されやすいなどの特徴を持ち,ハイリスク・ハイリターンの商品といわれていて,危険性が高いものである。イ過大な融資拓銀は,平 う点で,価格変動が激しいほか,仕手筋の投機行為に利用されやすいなどの特徴を持ち,ハイリスク・ハイリターンの商品といわれていて,危険性が高いものである。イ過大な融資拓銀は,平成元年1月から2月までのわずか1か月の間に,ミヤシタに対して合計27億5000万円もの小豆相場資金を融資しているが,ミヤシタは,内装,看板工事業者であり,昭和63年度の売上高は約8億3100万円,経常利益は約1000万円にすぎない。したがって,拓銀は,ミヤシタに対し,年間売上げの約3.5倍,年間利益の約275倍にも相当する金額をわずか1か月間に融資したことになるが,このような融資が,融資先の返済能力をはるかに超えた過大な融資であることは明らかである。銀行の融資実務において,担保は,本来の融資金回収手段が功を奏しなくなった場合に回収を図るための2次的回収手段であるとされ,担保がいかに融資金額に見合うものであっても,融資先の事業による返済能力が認められなければ融資すべきでないと考えられてきた。しかるに,本件小豆融資が,融資先であるミヤシタの返済能力をはるかに超えた過大な融資であることは,上記のとおりである。ウ保全が不十分であったこと(ア) 担保取得方法拓銀は,本件小豆融資に当たり,小豆倉荷証券を担保として取得しているが,上記倉荷証券は,正式担保ではなく,規程外の簡便な方法による添担保として取得されたものにすぎない。すなわち,拓銀の規程においては,倉荷証券を担保として受け入れる場合,担保実行時に自ら寄託品の引渡しを受け,確実に処分できるようにするため,①担保として受け入れる倉荷証券は,拓銀が担保取得に関する契約を取り交した契約倉庫会社が発行するものとすること,②倉荷証券の裏書交付を受けること,③倉庫会 しているが,上記倉荷証券は,正式担保ではなく,規程外の簡便な方法による添担保として取得されたものにすぎない。すなわち,拓銀の規程においては,倉荷証券を担保として受け入れる場合,担保実行時に自ら寄託品の引渡しを受け,確実に処分できるようにするため,①担保として受け入れる倉荷証券は,拓銀が担保取得に関する契約を取り交した契約倉庫会社が発行するものとすること,②倉荷証券の裏書交付を受けること,③倉庫会 しを受け,確実に処分できるようにするため,①担保として受け入れる倉荷証券は,拓銀が担保取得に関する契約を取り交した契約倉庫会社が発行するものとすること,②倉荷証券の裏書交付を受けること,③倉庫会社に対して担保品受入通知を行い,倉庫会社から承諾書を受領すること等が定められているにもかかわらず,本件小豆融資においては,担保として受け入れた倉荷証券は,拓銀の契約倉庫会社以外の発行した倉荷証券で,裏書が留保され,倉庫会社宛ての担保品受入通知及び倉庫会社からの承諾書の徴求を免除されていた。このため,拓銀は,自ら迅速かつ適切に担保を実行して融資金の回収をすることができず,ミヤシタの要請に基づいて倉荷証券を払い出し,これをミヤシタが売却して,その代金を拓銀に弁済するという方法により,回収せざるを得なかった。このように,本件小豆融資においては,担保取得方法自体が不十分かつ危険なものであった。(イ) 倉荷証券の担保評価本件小豆融資に当たって拓銀が担保取得した小豆倉荷証券は,その担保評価においても極めて不十分なものであった。小豆は,前記ア(エ)のとおり,投機行為の対象となる代表的商品であり,価格変動の激しい商品である。しかも,農産物としての性質上,長期間保有することができず,毎年10月ころに新穀が市場に出回り始めれば,相場価格より大幅に低額で処分せざるを得ない。また,日本の小豆消費量の1割近くにも上る大量の小豆を短期間で処分すれば,価格が暴落することは明らかである。したがって,担保評価に当たっては,低い掛目を設定するのが当然である。ところが,本件小豆融資においては,規程上の上限の掛目である80パーセントの掛目をそのまま適用しており,小豆の担保評価として合理性を欠き,銀行実務 は,低い掛目を設定するのが当然である。ところが,本件小豆融資においては,規程上の上限の掛目である80パーセントの掛目をそのまま適用しており,小豆の担保評価として合理性を欠き,銀行実務とおよそかけ離れた担保評価であることは明白である。 定するのが当然である。ところが,本件小豆融資においては,規程上の上限の掛目である80パーセントの掛目をそのまま適用しており,小豆の担保評価として合理性を欠き,銀行実務 は,低い掛目を設定するのが当然である。ところが,本件小豆融資においては,規程上の上限の掛目である80パーセントの掛目をそのまま適用しており,小豆の担保評価として合理性を欠き,銀行実務とおよそかけ離れた担保評価であることは明白である。エ融資経緯の異常性(ア) 消極方針から急激な融資拡大への転換拓銀は,ミヤシタに対する融資に関し,昭和47年4月の取引開始から昭和61年1月までの間においては,一貫して消極方針を採り,保全不足とならないように留意しつつ,ミヤシタの本業の運転資金に必要な範囲での融資に限り,授信残高を最高でも2億5900万円にとどめ,取引打切りの機会を狙うことを念頭に対応してきた。その後,同年2月からは,本業の運転資金とは異なる株式購入資金等の融資をするに至ったものの,7億円ないし9億円の融資限度枠を設定して対応し,ミヤシタから申込みのあった長崎屋株式の仕手戦資金20億円ないし30億円の融資を拒絶するなど,消極方針を維持してきた。ところが,平成元年1月の本件小豆融資からは,それまでの消極方針を一転させて融資拡大の一途をたどることになり,約1か月の間に,融資限度枠である9億円とは別に,27億5000万円の融資を行うに至った。このような融資方針の突然の転換は,異常なものといわざるを得ない。(イ) 被告Cの判断に基づく融資上記(ア)のような急激な融資拡大への転換は,銀行実務における従前の判断枠組みとは全く異質の作用として,被告Cの影響力が働いたためである。被告Cは,ミヤシタから本件小豆融資の申込みを最初に受け,業務本部第2支店部の部長及び審査役に対して指示し,自らミヤシタの状況について調査を行い,融資の方向性を実質的に決定す めである。被告Cは,ミヤシタから本件小豆融資の申込みを最初に受け,業務本部第2支店部の部長及び審査役に対して指示し,自らミヤシタの状況について調査を行い,融資の方向性を実質的に決定するなど,本件小豆融資に当たり,重要な役回りを果たした。被告Cが本件小豆融資のこのような方向性を実質的に決定したのは,ミヤシタのK社長と関係の深い雑誌「M」(以下,同雑誌を発行する株式会社Mについても,同様に称することがある。 る。被告Cは,ミヤシタから本件小豆融資の申込みを最初に受け,業務本部第2支店部の部長及び審査役に対して指示し,自らミヤシタの状況について調査を行い,融資の方向性を実質的に決定するなど,本件小豆融資に当たり,重要な役回りを果たした。被告Cが本件小豆融資のこのような方向性を実質的に決定したのは,ミヤシタのK社長と関係の深い雑誌「M」(以下,同雑誌を発行する株式会社Mについても,同様に称することがある。)が拓銀役員のスキャンダルに絡む記事の掲載を止めた見返りとして,ミヤシタに対する本件小豆融資を行わざるを得ないと考えたからである。(ウ) ダブルチェックの省略拓銀の規程においては,1億5000万円を超える無担保扱いの新規授信案件,3億円を超える有担保扱いの新規授信案件及び増額5億円を超える授信案件について,融資債権の健全性を確保し,リスク管理を行うため,融資部事業調査室がダブルチェックを行うこととされてきた。ところが,本件小豆融資に当たっては,ダブルチェックの対象案件であるにもかかわらず,「資料申受け及び案件に対する追加説明聴取の困難な先で本件も事実上ダブルチェックは実施できない。」という本来省略の理由とはなり得ない理由により,ダブルチェックが省略されており,これは,融資を行うという結論が先行していたことを物語るものである。オ被告らの責任(ア) 被告Cの責任被告Cは,K社長から本件小豆融資の申込みを最初に受け,直ちに前向きに検討することを決め,第2支店部の部長及び審査役に対して指示を行い,自らミヤシタに対する情報を収集し,帯広支店長に対して指示を行うなど,本件小豆融資の端緒からこれに深く関与し,本件小豆融資を開始する上で重要な役割を果たし 支店部の部長及び審査役に対して指示を行い,自らミヤシタに対する情報を収集し,帯広支店長に対して指示を行うなど,本件小豆融資の端緒からこれに深く関与し,本件小豆融資を開始する上で重要な役割を果たし,自ら率先して本件小豆融資をリードした。そして,被告Cは,自ら収集した情報から,ミヤシタが小規模の内装,看板工事業者であること,拓銀がミヤシタに対して約17年間にわたって消極方針を堅持してきたこと,小豆が価格変動の激しい商品であることを知っており,また,諸貸出申請書及び添付資料の記載等から,本件小豆融資の使途が,小豆先物市場における小豆価格の更なる高騰を狙うための現受け資金であり,投機による利益の獲得を企図したものであること,融資金の回収は担保処分によらざるを得ない担保依存の融資であるにもかかわらず,保全状況は大幅な担保不足であること,担保取得方法も拓銀の規程に従った正式担保ではなく,裏書留保による添担保であり,事実上ミヤシタの協力なくして担保処分し得ないことを十分に承知しながら決裁し,ダブルチェックの省略も承認している。 る小豆価格の更なる高騰を狙うための現受け資金であり,投機による利益の獲得を企図したものであること,融資金の回収は担保処分によらざるを得ない担保依存の融資であるにもかかわらず,保全状況は大幅な担保不足であること,担保取得方法も拓銀の規程に従った正式担保ではなく,裏書留保による添担保であり,事実上ミヤシタの協力なくして担保処分し得ないことを十分に承知しながら決裁し,ダブルチェックの省略も承認している。こうしたことからすれば,被告Cは,本件小豆融資が回収不能となることを十分に予見し,あるいは予見し得たにもかかわらず,本件小豆融資の決裁を自ら,あるいは投融資会議構成員として行っているのであり,取締役としての注意義務違反は明白である。(イ) 被告A及び同Bの責任被告A及び同Bは,投融資会議の構成員として,別紙融資残高一覧表(1)の番号5ないし7記載の合計13億円の融資を決裁した。被告A及び同Bは,諸貸出申請書及び添付資料の記載等から,ミヤシタが小規模の内装,看板工事業者であること,拓銀が半月の間に従来の授信残高の2倍もの金額を融資し,既に総授信残高が20億円近 被告A及び同Bは,諸貸出申請書及び添付資料の記載等から,ミヤシタが小規模の内装,看板工事業者であること,拓銀が半月の間に従来の授信残高の2倍もの金額を融資し,既に総授信残高が20億円近くに上っていること,資金使途が小豆先物市場における小豆価格の更なる高騰を狙うための現受け資金であり,投機による利益の獲得を企図したものであること,融資金の回収が担保処分によらざるを得ない担保依存の融資であるにもかかわらず,保全状況は大幅な担保不足であること,担保取得方法も拓銀の規程に従った正式担保ではなく,裏書留保による添担保であり,事実上ミヤシタの協力なくして担保処分し得ないことを十分に承知し,かつ,小豆が価格変動の激しい商品であることを容易に推認し得たにもかかわらず,80パーセントの掛目を適用して担保評価することを前提に,更に13億円もの過大な融資を決裁し,ダブルチェックの省略も容認している。これらの事実を総合すれば,被告A及び同Bは,本件小豆融資が回収不能となることを十分に予見し,あるいは予見し得たにもかかわらず,投融資会議構成員として融資決裁をしているのであって,取締役としての注意義務違反は明白である。(ウ) 被告Eの責任被告Eは,投融資会議の構成員として,別紙融資残高一覧表(1)の番号5ないし7記載の合計13億円の融資を決裁した。 融資を決裁し,ダブルチェックの省略も容認している。これらの事実を総合すれば,被告A及び同Bは,本件小豆融資が回収不能となることを十分に予見し,あるいは予見し得たにもかかわらず,投融資会議構成員として融資決裁をしているのであって,取締役としての注意義務違反は明白である。(ウ) 被告Eの責任被告Eは,投融資会議の構成員として,別紙融資残高一覧表(1)の番号5ないし7記載の合計13億円の融資を決裁した。被告Eは,昭和52年3月ころから昭和55年11月ころまでの間,審査第1部長としてミヤシタに対する融資決裁を担当し,その過程でミヤシタが特殊配慮を要する取引先であり,一貫して消極方針で臨んできた取引先であることを熟知していた。そして,被告Eは,諸貸出申請書及び添付資料の記載等から,ミヤシタが小規模の内装,看板工事業者であること,拓銀が半月の間に従 一貫して消極方針で臨んできた取引先であることを熟知していた。そして,被告Eは,諸貸出申請書及び添付資料の記載等から,ミヤシタが小規模の内装,看板工事業者であること,拓銀が半月の間に従来の授信残高の2倍もの金額を融資し,既に総授信残高が20億円近くに上っていること,資金使途が小豆先物市場における小豆価格の更なる高騰を狙うための現受け資金であり,投機による利益の獲得を企図したものであること,融資金の回収が担保処分によらざるを得ない担保依存の融資であるにもかかわらず,保全状況は大幅な担保不足であること,担保取得方法も拓銀の規程に従った正式担保ではなく,裏書留保による添担保であり,事実上ミヤシタの協力なくして担保処分し得ないことを十分に承知し,かつ,小豆が価格変動の激しい商品であることを容易に推認し得たにもかかわらず,80パーセントの掛目を適用して担保評価することを前提に,更に13億円もの過大な融資を決裁し,ダブルチェックの省略も容認している。これらの事実を総合すれば,被告Eは,本件小豆融資が回収不能となることを十分に予見し,あるいは予見し得たにもかかわらず,投融資会議構成員として融資決裁をしているのであり,取締役としての注意義務違反は明白である。これに対し,被告Eは,融資決裁権限は頭取に専属しており,投融資会議の構成員には何らの権限もなかった,あるいは,被告Eが諸貸出申請書に押印した時点では,既に融資実行されていたため,融資には関与していない旨主張する。 れば,被告Eは,本件小豆融資が回収不能となることを十分に予見し,あるいは予見し得たにもかかわらず,投融資会議構成員として融資決裁をしているのであり,取締役としての注意義務違反は明白である。これに対し,被告Eは,融資決裁権限は頭取に専属しており,投融資会議の構成員には何らの権限もなかった,あるいは,被告Eが諸貸出申請書に押印した時点では,既に融資実行されていたため,融資には関与していない旨主張する。しかし,権限規程において,構成員の協議は,決定に至る不可欠の過程と定められているのであるから,協議に関与する頭取以外の投融資会議構成員も,協議において明確な反対意見を述べてその旨留保しない限り,当該案件の決定に積極的に関与したとみ 議は,決定に至る不可欠の過程と定められているのであるから,協議に関与する頭取以外の投融資会議構成員も,協議において明確な反対意見を述べてその旨留保しない限り,当該案件の決定に積極的に関与したとみるべきであり,上記規程の文言上,頭取が決定すると定められていても,投融資会議構成員は,すべて当該案件の決定について責任を負うと解すべきである。また,仮に,被告Eが融資実行された後に融資の決裁を行っていたとしても,投融資会議構成員である取締役には,不適切な融資が実行されたことを発見すれば,直ちに頭取に意見を具申し,担当部署に融資金の回収を命じ,融資手続違背の原因究明と関係者の処分を指示するなど,損害発生と再発の防止に向けた適切な措置を講じるべき義務があったにもかかわらず,被告Eはこれを怠り,漫然と諸貸出申請書に押印したことになる。しかも,被告Eは,決裁権限を有する機関の決裁よりも前に融資を実行するという融資担当部署の手続違背を以前から容認しており,投融資会議の構成員が負うべき融資決定の手続が適正に運営されるよう注意すべき義務を怠り,銀行業務の健全性,安全性を維持するために用意された決裁システムを形骸化させていたのであるから,その責任を免れ得ない。(被告A,同B,同C及び同Eの主張)ア資金使途について原告は,本件小豆融資の資金使途が小豆相場における投機資金である旨主張する。しかし,コウシン商事は小豆の現物を買い取り,ホクレン等に売却する取引を行っていたもので,先物取引ではなく現物取引であるから,投機資金である旨の主張は事実に反する。現代の高度化した経済社会では,各種の商品について取引市場が形成されており,相場商品に対する融資だから不当であるとはいえない。 ,同C及び同Eの主張)ア資金使途について原告は,本件小豆融資の資金使途が小豆相場における投機資金である旨主張する。しかし,コウシン商事は小豆の現物を買い取り,ホクレン等に売却する取引を行っていたもので,先物取引ではなく現物取引であるから,投機資金である旨の主張は事実に反する。現代の高度化した経済社会では,各種の商品について取引市場が形成されており,相場商品に対する融資だから不当であるとはいえない。むしろ,北海道の重要な農 機資金である旨の主張は事実に反する。現代の高度化した経済社会では,各種の商品について取引市場が形成されており,相場商品に対する融資だから不当であるとはいえない。むしろ,北海道の重要な農産物の1つである小豆の売買に資金を提供することは,地場産業の発展に協力するという拓銀の使命ともいうべき業務の1つである。また,原告は,ミヤシタが小豆先物市場において価格操作を企図していた旨主張するが,コウシン商事が取り扱った小豆7920トンは,輸入小豆を含めた日本における小豆の総供給量(平成元年は13万7000トン)の約5.8パーセントであり,小豆の価格を左右できるほど大量の買付けではなく,現に小豆買付期間中に価格が急騰した事実はない。イ保全が十分であったこと(ア) 担保取得方法原告は,本件小豆融資に当たって拓銀が担保として取得した小豆倉荷証券は,正式担保として取得されたものではなく,規程外の簡便な方法による添担保として取得されたものであり,担保取得方法が不十分であったために損害が発生した旨主張する。しかし,添担保は,拓銀内部における授信権限分配上の扱いとして正式担保と区別されているだけのものであって,貸出業務取扱規程においても,審査及び決裁において実質的な価値を参酌するものと規定されているから,現実の担保価値は正式担保と何ら差異がない。拓銀が倉荷証券について担保権を実行する場合,ミヤシタによる裏書は不要であり,受領した被裏書人白地の倉荷証券を商品取引所の取次業者(商品取引員)を介して売却する方法によって簡単に実行できる。したがって,拓銀が倉荷証券を担保として取得するに当たり,ミヤシタの裏書を留保していたからといって,その担保価値には何ら欠けるところがないことは 引員)を介して売却する方法によって簡単に実行できる。したがって,拓銀が倉荷証券を担保として取得するに当たり,ミヤシタの裏書を留保していたからといって,その担保価値には何ら欠けるところがないことは明らかである。 )を介して売却する方法によって簡単に実行できる。したがって,拓銀が倉荷証券を担保として取得するに当たり,ミヤシタの裏書を留保していたからといって,その担保価値には何ら欠けるところがないことは 引員)を介して売却する方法によって簡単に実行できる。したがって,拓銀が倉荷証券を担保として取得するに当たり,ミヤシタの裏書を留保していたからといって,その担保価値には何ら欠けるところがないことは明らかである。また,倉庫業者に対する担保設定通知及び承諾手続を留保して倉荷証券を受け入れている点及び担保として拓銀契約倉庫以外の倉庫の倉荷証券を受け入れている点についても,法律的には譲渡担保の要件を問題なく満たしているし,倉庫業者の通知,承諾を要し,契約倉庫の倉荷証券に限るとする規程が実情に合っていないことから,倉庫業者の信用調査を進めた上で,担保として実効性があると判断して規程外取扱いとして担保取得を認めたものであるから,何ら担保価値を減殺するものではない。(イ) 担保評価平成元年2月14日付け融資後の総授信残高は,31億5000万円であるが,そのうち小豆買取資金関係貸出しは,22億5000万円である。これに対し,諸貸出申請書上の本件扱い後保全状況欄の倉荷証券の金額(担保掛目80パーセント)は,24億8100万円(時価換算すると31億0100万円),諸貸出申請書の添付書類中のミヤシタ保全状況欄記載の保全額は約32億8200万円であり,保全十分である。また,同月22日付け融資後の総授信残高は,36億5000万円であるが,そのうち小豆買取資金関係貸出しは,27億5000万円である。これに対し,諸貸出申請書上の本件扱い後保全状況欄の倉荷証券の金額(担保掛目80パーセント)は,30億4100万円(時価換算すると38億0125万円),諸貸出申請書の添付書類中のミヤシタ保全状況欄記載の保全額は約36億3882万円であり,同年3月6日に5000万円が返済される予定であったか 30億4100万円(時価換算すると38億0125万円),諸貸出申請書の添付書類中のミヤシタ保全状況欄記載の保全額は約36億3882万円であり,同年3月6日に5000万円が返済される予定であったから,保全十分である。原告は,80パーセントの担保掛目の不当性を主張するが,最高掛目を80パーセントとしている拓銀の貸出業務取扱規程に基づくもので,長い慣行取扱いによってできた経験則に則ったものであり,また,現実に過去3年間の価格変動(昭和61ないし62年では85パーセント,昭和62年ないし63年では79パーセント,昭和63年ないし平成元年では78パーセントの変動枠内であった。 済される予定であったから,保全十分である。原告は,80パーセントの担保掛目の不当性を主張するが,最高掛目を80パーセントとしている拓銀の貸出業務取扱規程に基づくもので,長い慣行取扱いによってできた経験則に則ったものであり,また,現実に過去3年間の価格変動(昭和61ないし62年では85パーセント,昭和62年ないし63年では79パーセント,昭和63年ないし平成元年では78パーセントの変動枠内であった。)に照らしても,80パーセントの担保掛目は合理的である。(被告A,同B及び同Cの主張)ア経営判断の原則いわゆる経営判断の原則は銀行においても妥当するものであり,取締役は,その融資判断について一見して明白な誤りや不合理な判断がない限り,広範な裁量が認められるべきであって,都市銀行という巨大組織にあっては,各担当者から上がってきた判断を所与のものとして判断すれば足りると解すべきである。また,取締役の善管注意義務違反,忠実義務違反の有無を判断するに当たっては,①当該行為が具体的な法令,定款に違反しているかどうか,②忠実義務に違反しているかどうか,③判断の前提となる事実の認識(及びそのための事実調査)に不注意な誤りがあったかどうか,④意思決定の過程,内容に著しく不合理な点があったかどうかを検討し,これらに当てはまらない限りは取締役の当該行為に係る経営判断は裁量の範囲を逸脱するものではなく,善管注意義務,忠実義務に違反しないというべきである。イ資金使途について銀行法が,銀行が相場取引を行うことを銀行業務とし 該行為に係る経営判断は裁量の範囲を逸脱するものではなく,善管注意義務,忠実義務に違反しないというべきである。イ資金使途について銀行法が,銀行が相場取引を行うことを銀行業務として認めていること,小豆の市場での取引が完全に合法であることに照らせば,銀行が,小豆の市場での買受資金を融資すること自体は何ら違法ではない。また,投機と投資には質的違いがあるものではなく,融資対象が投機的要素を含むものであったとしても,それが現物取引であるか信用取引であるか,十分な担保が確保できるか否かという諸要素との総合的な関連の中でその当否が判断されるべきである。ウ銀行の融資と担保企業金融においては,融資時点では担保が十分でなくても,当該企業の将来性,経営者の性格,能力,当該企業及び経営者の社会での影響力等を評価し,将来成長が見込まれる企業や地域経済に影響力のある経営者に融資することが認められる。 を含むものであったとしても,それが現物取引であるか信用取引であるか,十分な担保が確保できるか否かという諸要素との総合的な関連の中でその当否が判断されるべきである。ウ銀行の融資と担保企業金融においては,融資時点では担保が十分でなくても,当該企業の将来性,経営者の性格,能力,当該企業及び経営者の社会での影響力等を評価し,将来成長が見込まれる企業や地域経済に影響力のある経営者に融資することが認められる。エ被告Cとミヤシタとの関係本件小豆融資当時,Mと拓銀との関係は良好であり,拓銀役員のスキャンダルは,実態のない噂にすぎないのであって,これが原因で拓銀が融資をすることは考えられない。被告Cは,K社長から話を聞き,かつて帯広支店勤務時代に相場商品である農産物について倉荷証券を担保として融資した経験もあったことから,第2支店部に小豆の相場融資が可能であるかどうか調査検討を指示したものであり,融資する方向が既に決定済みであったということはない。オダブルチェックの省略に問題がないことダブルチェックは,保全面からみて回収に問題がないということから省略したものであって,何ら問題はない。(被告Aの主張)被告Aの融資判断には,善管注意義務違反がない。頭取 ダブルチェックは,保全面からみて回収に問題がないということから省略したものであって,何ら問題はない。(被告Aの主張)被告Aの融資判断には,善管注意義務違反がない。頭取は,自分が判断する上で必要な資料が足りなければその補充を求め,資料があれば,それが正しいものと信頼し,関与した各行員の融資についての判断も,それぞれの立場から忠実に行ったものと信頼して,融資判断をすることが許される。被告Aは,融資可と判断しやすい方向で起案された諸貸出申請書及びその添付書類を検討した結果,①ミヤシタ及びK社長が帯広の経済界で大きな影響力を持っていること,②担保もほぼ保全できていること,③小豆の仕入資金とはいえ,信用取引ではなく現物の取引であること,④7月までには手仕舞う予定であり,過去3年間の相場の動きでは,5月ないし7月は相場が高値に推移していること,⑤とりあえず5月までの融資であること,⑥今後も融資の申込みがあると思われるが,保全重視かつ使途回収財源を確認しつつ,是々非々の対応で臨むこと等の記載に基づき,支店,第2支店部が十分検討し,被告Cも融資を承認していると信頼して本件小豆融資の決裁をしたものであり,その判断に善管注意義務違反はない。 7月までには手仕舞う予定であり,過去3年間の相場の動きでは,5月ないし7月は相場が高値に推移していること,⑤とりあえず5月までの融資であること,⑥今後も融資の申込みがあると思われるが,保全重視かつ使途回収財源を確認しつつ,是々非々の対応で臨むこと等の記載に基づき,支店,第2支店部が十分検討し,被告Cも融資を承認していると信頼して本件小豆融資の決裁をしたものであり,その判断に善管注意義務違反はない。なお,被告Aは,K社長の人柄や,ミヤシタと被告Cとの関係について,報告を受けていなかった。(被告Eの主張)ア被告Eに決裁権限がないこと商法266条1項5号に基づく責任は,取締役の行為が取締役会で決議すべき事項であった場合に限って生じるものであるところ,投融資会議は,取締役会の委任により設置された機関ではなく,頭取の融資決裁業務を執行する機関にすぎない。「投融資会議について」という投融資会議の規程によれば,決裁について定足数がなく,裁 投融資会議は,取締役会の委任により設置された機関ではなく,頭取の融資決裁業務を執行する機関にすぎない。「投融資会議について」という投融資会議の規程によれば,決裁について定足数がなく,裁決方法の規定もなく,議事録等の反対意見を記録する規定もない。決定の方法は,頭取が他の構成員の意見を聞いて決定するというもので,決定権者は頭取のみに限られており,頭取以外の構成員に決裁権限はない。構成員は,案件について担当部の説明や資料を検討の上,意見があれば頭取に具申するなどして頭取の融資決裁判断を補佐するものとして位置付けられているにすぎない。投融資会議が持ち回り方式によって行われていたことは,投融資会議が決議機関ではなかったことを表している。イ被告Eは意思決定後に捺印したにすぎないこと被告Eは,昭和63年4月から本州営業店渉外専任副頭取として東京本部に駐在していて,本件小豆融資について,札幌在住の投融資会議構成員による協議及び頭取の決裁の後,ユーロ円貸出実行ないし実行手配を終えた後に諸貸出申請書に認印を求められたにすぎず,融資の決裁には一切関与していない。これに対し,原告は,頭取の決裁後ないしユーロ円貸出準備行為着手後であっても,投融資会議の構成員が問題のある融資だと判断すれば,融資実行を中止させることが可能である旨主張する。しかし,外国銀行との資金手当の契約は,貸主である外国銀行と借主であるミヤシタとの間の契約であって,後に延期,中止又は修正することが不可能であるし,頭取決裁により貸出実行が進んでいる状況下で融資を取り消すことは,拓銀の融資業務に大混乱を生じ,実際上あり得ないことである。 ロ円貸出準備行為着手後であっても,投融資会議の構成員が問題のある融資だと判断すれば,融資実行を中止させることが可能である旨主張する。しかし,外国銀行との資金手当の契約は,貸主である外国銀行と借主であるミヤシタとの間の契約であって,後に延期,中止又は修正することが不可能であるし,頭取決裁により貸出実行が進んでいる状況下で融資を取り消すことは,拓銀の融資業務に大混乱を生じ,実際上あり得ないことである。ウ被告Eの判断被告Eは,諸貸出申請書及び添付資料を検討した結果,①小豆商品現物の購入 状況下で融資を取り消すことは,拓銀の融資業務に大混乱を生じ,実際上あり得ないことである。ウ被告Eの判断被告Eは,諸貸出申請書及び添付資料を検討した結果,①小豆商品現物の購入資金であること,②貸出期限は平成元年5月31日までの約3か月間の短期ユーロ円貸付けであること,③小豆価格は堅調で,今後も上昇気配があること,④回収財源は明確に確保されていること,⑤倉荷証券担保による保全は十分にとられていること,⑥ミヤシタは,古くから取引のある会社で,事故歴もなく,グループ企業で資産を保有しているので,仮に損失が生じても返済に問題の生ずる懸念はないこと等により,融資採上げ可とする審査部判断は合理性があるものと判断した。エ被告Cとミヤシタとの関係を知らなかったこと原告は,本件小豆融資において,被告Cが,ミヤシタとの特別な関係に基づいて重要な役割を果たし,このような関係を被告らが知っていた旨主張する。しかし,本州営業店渉外業務に多忙を極めていた東京在住の被告Eは,ミヤシタと被告Cとの関係について全く知らなかったものであり,知り得べくもなかった。(4) 本件乾繭融資の違法性及び関与した取締役の責任(原告の主張)ア資金使途が投機資金であること(ア) 公共性と健全性をその責務とする銀行は,商品相場を始めとした投機目的への融資については,商品相場への投機の危険性を十分に勘案し,原則としてこのような融資を避け,仮に実行する場合でも,その保全を厳重に行うほか,厳格な方針で臨まなければならないところ,本件乾繭融資の資金使途は,次に述べるとおり,乾繭相場における投機資金にほかならない。(イ) 先物取引における損失確定回避のための現物受けミヤシタがコウシン商事を介 いところ,本件乾繭融資の資金使途は,次に述べるとおり,乾繭相場における投機資金にほかならない。 危険性を十分に勘案し,原則としてこのような融資を避け,仮に実行する場合でも,その保全を厳重に行うほか,厳格な方針で臨まなければならないところ,本件乾繭融資の資金使途は,次に述べるとおり,乾繭相場における投機資金にほかならない。(イ) 先物取引における損失確定回避のための現物受けミヤシタがコウシン商事を介 いところ,本件乾繭融資の資金使途は,次に述べるとおり,乾繭相場における投機資金にほかならない。(イ) 先物取引における損失確定回避のための現物受けミヤシタがコウシン商事を介して行った乾繭相場取引が商品取引所における先物取引であったことは明らかである。商品取引所における乾繭取引においても,小豆取引と同様に,決済日までに同量の反対売買が行われなかった場合には,現物の受渡しと代金決済が行われる。そして,ミヤシタは,市場において大量の「売り」を行えば,市場価格が下落することが明らかであり,下落した価格で「売り」を行えば,その時点で納会において決済すべき差金が確定し,損失が確定してしまうことから,これを避けるため,決済日までに「売り」の反対売買を行わず,これにより,乾繭を現物受けすることになったものである。ミヤシタ及びコウシン商事は,小豆相場で失敗したことから,乾繭相場で先物取引を行うことによって莫大な利益を上げてその損失の穴埋めをすることを狙っていたものであり,その目論見が外れつつある段階で,価格維持のための買受資金の融資として,本件乾繭融資が実行されたものである。(ウ) 違法な価格操作に加担する融資ミヤシタ及びコウシン商事は,小豆同様に,乾繭の買占めによる価格操作を狙っていたものである。本件乾繭融資の時点で,ミヤシタが拓銀に担保提供していた乾繭倉荷証券の合計は,3142枚にも上るところ,これは原料繭の年間供給量の2割に相当し,ミヤシタが乾繭先物市場において買占めによる価格操作を企図していたことは明らかである。ミヤシタ及びコウシン商事が行おうとしていた買占めによる価格操作は,商品の価格形成の公正さ及び流通の円滑化を阻害し,商品取引所法1条の による価格操作を企図していたことは明らかである。ミヤシタ及びコウシン商事が行おうとしていた買占めによる価格操作は,商品の価格形成の公正さ及び流通の円滑化を阻害し,商品取引所法1条の目的に反する行為であり,こうした行為に対して銀行が資金を供給すること自体,銀行の公共性に照らして許されるものではない。 としていた買占めによる価格操作は,商品の価格形成の公正さ及び流通の円滑化を阻害し,商品取引所法1条の による価格操作を企図していたことは明らかである。ミヤシタ及びコウシン商事が行おうとしていた買占めによる価格操作は,商品の価格形成の公正さ及び流通の円滑化を阻害し,商品取引所法1条の目的に反する行為であり,こうした行為に対して銀行が資金を供給すること自体,銀行の公共性に照らして許されるものではない。(エ) 小豆相場における失敗という経験を無視した融資本件乾繭融資は,平成4年2月から3月にかけて実行されたものであるが,ミヤシタの乾繭相場取引に対する融資は,平成2年10月から継続的に実行されてきたものであり,本件乾繭融資直前の同年8月には,ミヤシタが小豆相場取引を手仕舞いし,約16億5000万円の損失が確定したばかりである。ミヤシタは,この小豆相場取引の失敗による損失を取り戻すために乾繭相場取引に進出したのであり,乾繭相場の価格変動の大きさが小豆に匹敵することに鑑みれば,そのリスクの高さは,客観的に明らかであった。しかも,ミヤシタは,小豆相場取引で被った上記巨額の損失を取り戻すために乾繭相場取引に進出したのであるから,一発逆転を狙った投機行為というほかない。銀行が,小豆相場における失敗という先例を無視してリスクの高い投機行為に1度ならず2度までも融資することは,銀行業務に安全性,健全性が求められることに照らして許されるものではない。(オ) これに対し,被告らは,本件乾繭融資について,ミヤシタに乾繭相場取引を手仕舞いさせるために必要な資金を短期間融資したにすぎないとして,その正当性を主張する。しかし,相場における手仕舞いは,単に相場取引を中止すれば足りるはずであり,売買手数料,保管料等の経費も,商品の決済代金から支払えば足りるものであるから,本件乾繭融資 正当性を主張する。しかし,相場における手仕舞いは,単に相場取引を中止すれば足りるはずであり,売買手数料,保管料等の経費も,商品の決済代金から支払えば足りるものであるから,本件乾繭融資は,従来の融資と同様に,相場価格維持のために現受けする決済資金の融資にすぎず,当面の損失確定を先送りし,将来の相場の回復に賭ける危険な投機と評価せざるを得ない。したがって,本件乾繭融資が手仕舞いのための必要資金の融資として正当化されることはない。 場における手仕舞いは,単に相場取引を中止すれば足りるはずであり,売買手数料,保管料等の経費も,商品の決済代金から支払えば足りるものであるから,本件乾繭融資は,従来の融資と同様に,相場価格維持のために現受けする決済資金の融資にすぎず,当面の損失確定を先送りし,将来の相場の回復に賭ける危険な投機と評価せざるを得ない。したがって,本件乾繭融資が手仕舞いのための必要資金の融資として正当化されることはない。イ過大な融資拓銀のミヤシタに対する総授信残高は,本件乾繭融資前の段階で既に50億円近くに達していたところ,拓銀は,本件乾繭融資において,ミヤシタに対して更に6億円の乾繭相場資金を融資している。ミヤシタの本件乾繭融資当時(平成3年度)の売上高は約14億2500万円,経常利益は約1900万円にすぎなかったことを考えれば,更に6億円もの追加融資を行った本件乾繭融資が,融資先の返済能力を超えた過大な融資であることは明らかである。ウ保全が不十分であったこと(ア) 銀行融資における担保の位置付け銀行の融資実務において,担保は,本来の融資金回収手段が功を奏しなくなった場合に回収を図るための2次的回収手段であるとされ,担保がいかに融資金額に見合うものであっても,融資先の事業による返済能力が認められなければ融資すべきでないと考えられてきた。(イ) 担保取得方法拓銀は,本件乾繭融資に当たり,乾繭倉荷証券を担保として取得しているが,上記倉荷証券は,正式担保として取得されたものではなく,規程外の簡便な方法による添担保として取得されたにすぎない。すなわち,拓銀の規程においては,倉荷証券を担保として受け入れる場合,担 上記倉荷証券は,正式担保として取得されたものではなく,規程外の簡便な方法による添担保として取得されたにすぎない。すなわち,拓銀の規程においては,倉荷証券を担保として受け入れる場合,担保実行時に自ら寄託品の引渡しを受け,確実に処分できるようにするため,①倉荷証券の裏書交付を受けること,②担保取得に関する契約を取り交した契約倉庫会社の発行する倉荷証券を受け入れること,③倉庫会社に対して担保品受入通知を行い,倉庫会社から承諾書を受領すること等が定められているにもかかわらず,本件乾繭融資においては,倉荷証券の裏書が留保され,拓銀の契約倉庫会社以外の発行した倉荷証券の担保受入れを認め,倉庫会社宛ての担保品受入通知及び倉庫会社からの承諾書の受領を免除して担保受入れを行っている。 けること,②担保取得に関する契約を取り交した契約倉庫会社の発行する倉荷証券を受け入れること,③倉庫会社に対して担保品受入通知を行い,倉庫会社から承諾書を受領すること等が定められているにもかかわらず,本件乾繭融資においては,倉荷証券の裏書が留保され,拓銀の契約倉庫会社以外の発行した倉荷証券の担保受入れを認め,倉庫会社宛ての担保品受入通知及び倉庫会社からの承諾書の受領を免除して担保受入れを行っている。このため,拓銀は,自ら迅速かつ適切に担保を実行して融資の回収をすることができず,ミヤシタの要請に基づいて倉荷証券を払い出し,これをミヤシタが売却して,その代金を拓銀に弁済するという方法により,融資の回収をせざるを得なくなっている。このように,本件乾繭融資においては,担保取得方法自体が不十分かつ危険なものであった。これに対し,被告F及び同Gは,裏書を留保したまま倉荷証券を担保として取得しても,倉荷証券を処分するのに何ら法律上の制約はない旨主張する。しかし,担保提供者の裏書を得ないで倉荷証券を処分すれば,証券上,ミヤシタから取得した担保の処分として売却したことが表象されず,後日の紛議の可能性を残す等の不利な点があり,このため,倉荷証券担保においては,担保取得時に担保提供者の裏書を得ておくのが通常の取扱いとなっており,当時の当事者の意思としても,ミヤシタに念書を書かせる際,念書の記載からも明らかなとおり,担保 このため,倉荷証券担保においては,担保取得時に担保提供者の裏書を得ておくのが通常の取扱いとなっており,当時の当事者の意思としても,ミヤシタに念書を書かせる際,念書の記載からも明らかなとおり,担保提供者の裏書を得ないで倉荷証券を処分することは想定されていなかった。したがって,裏書を得ないで処分することは,およそ現実には採り得ない方法であった。(ウ) 倉荷証券の担保評価本件乾繭融資に当たって拓銀が担保取得した乾繭倉荷証券は,その担保評価においても極めて不十分なものであった。乾繭も,小豆と同様に,価格変動の激しい商品であり,性質上,長期間保有することにより品質の劣化が避けられない商品である。しかも,拓銀がミヤシタから担保取得した乾繭倉荷証券は,商品取引所が定める品質等級にして3等以下の品質の劣悪な乾繭が大半を占めており,相場における価格の基準となる標準品(2等)以上の乾繭は,10パーセント以下にすぎなかった。 荷証券は,その担保評価においても極めて不十分なものであった。乾繭も,小豆と同様に,価格変動の激しい商品であり,性質上,長期間保有することにより品質の劣化が避けられない商品である。しかも,拓銀がミヤシタから担保取得した乾繭倉荷証券は,商品取引所が定める品質等級にして3等以下の品質の劣悪な乾繭が大半を占めており,相場における価格の基準となる標準品(2等)以上の乾繭は,10パーセント以下にすぎなかった。さらに,原料繭の年間供給量の2割近くにも上る大量の乾繭を短期間で処分すれば,価格が暴落することは明らかであるにもかかわらず,担保評価に当たって売却時の価格暴落を全く考慮に入れていない。加えて,乾繭は,品質確認のために3か月に1度検定を受けて封印をしなければならず,検定手数料,封印合併代,入出庫料,倉荷証券料,倉庫会社に対する保管料等の費用を要するほか,売却には売付手数料,倉庫保管料等の費用を要するにもかかわらず,担保評価に当たってこれらの費用を全く考慮に入れていない。このように,本件乾繭融資における担保評価は,極めて不十分なものであったが,それでもなお,本件乾繭融資当時,大幅な保全不足の状態であったのであるから,保全は全くされていなかったに等し 。このように,本件乾繭融資における担保評価は,極めて不十分なものであったが,それでもなお,本件乾繭融資当時,大幅な保全不足の状態であったのであるから,保全は全くされていなかったに等しいというべきである。(エ) 生糸価格を基準とする担保評価の誤り被告らは,特定の融資とその際に取得した乾繭倉荷証券の担保価値とを比較して保全は十分であったと主張し,また,乾繭を生糸に加工した場合の価格を試算して融資金額を上回る担保を取得していたと主張する。しかし,銀行の融資業務の一環としてされた本件乾繭融資において,担保は,当然にすべての債権の根担保として取得されたものであるから,全授信残高に対する保全状況を検討すべきであり,特定の融資とその際に担保取得した乾繭倉荷証券だけを抽出して保全状況を検討することは失当である。また,被告らの試算においては,乾繭保管に要する費用,生糸に加工するための加工費用,生糸に加工後処分するための手数料等の必要経費が考慮されておらず,試算自体に大きな誤りが存在する。さらに,そもそもミヤシタが拓銀に担保差入れしていた乾繭は,大量のものであったから,加工業者の処理能力(1か月当たり倉荷証券にして約30枚)を考えれば,およそ非現実的な主張である。 抽出して保全状況を検討することは失当である。また,被告らの試算においては,乾繭保管に要する費用,生糸に加工するための加工費用,生糸に加工後処分するための手数料等の必要経費が考慮されておらず,試算自体に大きな誤りが存在する。さらに,そもそもミヤシタが拓銀に担保差入れしていた乾繭は,大量のものであったから,加工業者の処理能力(1か月当たり倉荷証券にして約30枚)を考えれば,およそ非現実的な主張である。加えて,被告F及び同Gは,乾繭1枚から40パーセントの生糸ができることを前提に試算しているが,ミヤシタが担保提供していた乾繭の大半が標準よりも品質の低いものであったことからすれば,乾繭1枚からとれる生糸量の割合も,40パーセント以下であることが容易に推認できる。(オ) 帯広市文化ホールの担保価値被告らは,平成4年2月19日及び同月27日実行の各融資の担保として,株式会社サンランド開 ,40パーセント以下であることが容易に推認できる。(オ) 帯広市文化ホールの担保価値被告らは,平成4年2月19日及び同月27日実行の各融資の担保として,株式会社サンランド開発(以下「サンランド開発」という。)が帯広市に文化ホールとして賃貸中の公会堂(以下「本件文化ホール」という。)を申し受けることが貸出条件とされていたことを根拠に,保全が十分であった旨主張する。しかし,本件文化ホールの担保価値について,起案備考には「実担ゼロ」と明記されていた上,サンランド開発と帯広市との間の本件文化ホールの賃貸借契約において,本件文化ホールに担保権の設定登記を付することが禁じられていたから,この点からも被告らの主張は成り立たない。エ融資経緯の異常性(ア) ミヤシタの属性拓銀は,昭和47年4月の取引開始以降,ミヤシタへの融資について一貫して消極方針を採ってきており,ミヤシタのK社長の人柄についても,消極的に評価していた。また,拓銀は,本件乾繭融資当時,ミヤシタを「指定管理先」という要注意先に指定していた。それにもかかわらず,拓銀は,ミヤシタに対して乾繭相場資金融資を繰り返し行って総授信残高を増額させた上,本件乾繭融資において合計6億円の融資を実行し,融資を行うごとに保全不足を拡大させており,このことは,ミヤシタに対する乾繭融資が極めて異常な経緯で実行されたことを端的に示すものである。(イ) 小豆相場取引の失敗後の融資また,本件乾繭融資は,ミヤシタが小豆相場取引において犯した失敗を乾繭相場取引においても再び繰り返し,乾繭相場取引においても損失が現実化しつつある状況の中であえて実行された融資であり,その点でも,融資経緯は,銀行の融資として極めて異常と 行うごとに保全不足を拡大させており,このことは,ミヤシタに対する乾繭融資が極めて異常な経緯で実行されたことを端的に示すものである。(イ) 小豆相場取引の失敗後の融資また,本件乾繭融資は,ミヤシタが小豆相場取引において犯した失敗を乾繭相場取引においても再び繰り返し,乾繭相場取引においても損失が現実化しつつある状況の中であえて実行された融資であり,その点でも,融資経緯は,銀行の融資として極めて異常と 取引において犯した失敗を乾繭相場取引においても再び繰り返し,乾繭相場取引においても損失が現実化しつつある状況の中であえて実行された融資であり,その点でも,融資経緯は,銀行の融資として極めて異常というべきである。(ウ) 被告Cとミヤシタとの関係被告Cは,前述のとおり,Mに対する見返りとして本件小豆融資を開始したものであるが,乾繭相場取引を開始する際も,ミヤシタから乾繭相場資金の融資の申込みを最初に受けており,その後も,ミヤシタに対して乾繭相場取引の手仕舞いを説得する際に,直接の説得役として交渉を依頼されるなどしていたことに照らせば,本件小豆融資開始時に築かれた被告Cとミヤシタとの関係は,乾繭相場取引資金の融資当時にも継続していたことは明らかである。したがって,本件乾繭融資を行うに当たり,被告Cとミヤシタとの強い関係に基づくミヤシタに対する特別の配慮があったというべきである。オ被告らの責任(ア) 被告Cの責任被告Cは,ミヤシタに対する一連の乾繭相場資金の融資に最初の段階から関与し,事情に精通していながら,投融資会議の構成員として本件乾繭融資を決裁している。被告Cは,本件乾繭融資に先立つ小豆相場資金の融資において主導的な役割を果たしており,乾繭相場取引を開始する際も,ミヤシタから乾繭相場資金の融資の申込みを最初に受け,その後も,ミヤシタに対して乾繭相場取引の手仕舞いを説得する際に,直接の説得役として交渉を依頼されるなど,小豆相場資金の融資から乾繭相場資金の融資に至るまで,一貫して拓銀のミヤシタ担当窓口として位置付けられていた。こうして,被告Cは,ミヤシタが小豆相場で失敗して巨額の損失を発生させたこと,たくぎんファイナンスの融資残高を拓銀が肩 至るまで,一貫して拓銀のミヤシタ担当窓口として位置付けられていた。こうして,被告Cは,ミヤシタが小豆相場で失敗して巨額の損失を発生させたこと,たくぎんファイナンスの融資残高を拓銀が肩代わりせざるを得なくなったこと,肩代わり後も数回にわたって乾繭相場資金の融資を繰り返しており,融資残高及び保全不足が共に拡大の一途をたどっていることを認識していた。 させたこと,たくぎんファイナンスの融資残高を拓銀が肩 至るまで,一貫して拓銀のミヤシタ担当窓口として位置付けられていた。こうして,被告Cは,ミヤシタが小豆相場で失敗して巨額の損失を発生させたこと,たくぎんファイナンスの融資残高を拓銀が肩代わりせざるを得なくなったこと,肩代わり後も数回にわたって乾繭相場資金の融資を繰り返しており,融資残高及び保全不足が共に拡大の一途をたどっていることを認識していた。また,被告Cは,諸貸出申請書及び添付資料の記載等から,本件乾繭融資を含む一連の乾繭相場資金の融資の使途が,乾繭先物市場における相場価格維持のための現受け資金であり,ミヤシタが,損失の確定を先送りし,将来の相場の回復に賭けてあわよくば損失の回復を狙うというリスクの高い投機行為を行っていること,融資金の回収が担保処分によらざるを得ない担保依存の融資であるにもかかわらず,保全状況は大幅な担保不足であること,担保取得方法も拓銀の規程に従った正式担保ではなく,裏書留保による添担保であり,事実上ミヤシタの協力なくして担保処分し得ないこと,乾繭が価格変動の大きい商品であり,品質維持が困難な上,保管費用等の諸費用も必要とする商品であるにもかかわらず,担保評価の掛目を80パーセントとしていること,ミヤシタが指定管理先という要注意先として指定されていたことを十分に承知しながら,本件乾繭融資の決裁を行っている。こうした事情を総合すれば,被告Cは,本件乾繭融資が回収不能となることを十分に予見し,あるいは予見し得たにもかかわらず,投融資会議の構成員として融資決裁をしているのであり,取締役としての注意義務違反は明白である。(イ) 被告Dの責任被告Dは,ミヤシタに対する一連の乾繭相場資金の融資に担当本部長として直接関与し,事情に精通していながら,投融資会議の 役としての注意義務違反は明白である。(イ) 被告Dの責任被告Dは,ミヤシタに対する一連の乾繭相場資金の融資に担当本部長として直接関与し,事情に精通していながら,投融資会議の構成員として本件乾繭融資を決裁している。被告Dは,平成元年4月1日に担当本部長に就任し,小豆融資についても書換え等に関与しており,たくぎんファイナンスの融資残高肩代わりの段階からその決裁を行い,一連の乾繭相場資金の融資すべてに決裁権者として関与し,また,平成4年2月28日の被告CとK社長との面談に立ち会うなど,担当本部長として,ミヤシタに関するすべての情報を知り得る立場にあった。 がら,投融資会議の構成員として本件乾繭融資を決裁している。被告Dは,平成元年4月1日に担当本部長に就任し,小豆融資についても書換え等に関与しており,たくぎんファイナンスの融資残高肩代わりの段階からその決裁を行い,一連の乾繭相場資金の融資すべてに決裁権者として関与し,また,平成4年2月28日の被告CとK社長との面談に立ち会うなど,担当本部長として,ミヤシタに関するすべての情報を知り得る立場にあった。また,被告Dは,諸貸出申請書及び添付資料の記載等から,ミヤシタが過去に小豆相場で失敗して多額の損失を発生させたこと,融資残高及び保全不足共に拡大の一途をたどっていること,本件乾繭融資を含む一連の乾繭相場資金の融資の使途が,乾繭先物市場における相場価格維持のための現受け資金であり,ミヤシタが,損失の確定を先送りし,将来の相場の回復に賭けてあわよくば損失の回復を狙うというリスクの高い投機行為を行っていること,融資金の回収が担保処分によらざるを得ない担保依存の融資であるにもかかわらず,保全状況は大幅な担保不足であること,担保取得方法も拓銀の規程に従った正式担保ではなく,裏書留保による添担保であり,事実上ミヤシタの協力なくして担保処分し得ないこと,乾繭が価格変動の大きい商品であり,品質維持が困難な上,保管費用等の諸費用も必要とする商品であるにもかかわらず,担保評価の掛目を80パーセントとしていること,ミヤシタが指定管理先という要注意先として指定されていたことを十分に認識しながら,本件乾繭融資の決裁を行っている。こうした事情を総合す ず,担保評価の掛目を80パーセントとしていること,ミヤシタが指定管理先という要注意先として指定されていたことを十分に認識しながら,本件乾繭融資の決裁を行っている。こうした事情を総合すれば,被告Dは,本件乾繭融資の融資金が回収不能となることを十分に予見し,あるいは予見し得たにもかかわらず,投融資会議の構成員として融資決裁をしているのであり,取締役としての注意義務違反は明白である。(ウ) 被告Bの責任被告Bは,ミヤシタに対する一連の乾繭相場資金の融資について,頭取である投融資会議の構成員として決裁している。被告Bは,平成3年9月以降のミヤシタに対する一連の乾繭相場資金の融資に決裁権者として関与しているところ,ミヤシタの乾繭相場取引における損失の発生が現実化しつつあったにもかかわらず,数回にわたって乾繭相場資金の融資を決裁して融資残高を拡大させた上,漫然と本件乾繭融資を決裁した。 ) 被告Bの責任被告Bは,ミヤシタに対する一連の乾繭相場資金の融資について,頭取である投融資会議の構成員として決裁している。被告Bは,平成3年9月以降のミヤシタに対する一連の乾繭相場資金の融資に決裁権者として関与しているところ,ミヤシタの乾繭相場取引における損失の発生が現実化しつつあったにもかかわらず,数回にわたって乾繭相場資金の融資を決裁して融資残高を拡大させた上,漫然と本件乾繭融資を決裁した。また,被告Bは,小豆融資の決裁にも投融資会議構成員として関与し,その経緯を熟知していた上,諸貸出申請書及び添付資料の記載等から,ミヤシタが過去に小豆相場で失敗して多額の損失を発生させたこと,融資残高及び保全不足共に拡大の一途をたどっていること,本件乾繭融資の使途が,乾繭先物市場における相場価格維持のための現受け資金であり,ミヤシタが,損失の確定を先送りし,将来の相場の回復に賭けてあわよくば損失の回復を狙うというリスクの高い投機行為を行っていること,融資金の回収が担保処分によらざるを得ない担保依存の融資であるにもかかわらず,保全状況は大幅な担保不足であること,担保取得方法も拓銀の規程に従った正式担保ではなく,裏書留保による添担保であり,事実上ミヤシタの協力なくして担保処分し得ないこと,乾繭が価格変動の もかかわらず,保全状況は大幅な担保不足であること,担保取得方法も拓銀の規程に従った正式担保ではなく,裏書留保による添担保であり,事実上ミヤシタの協力なくして担保処分し得ないこと,乾繭が価格変動の大きい商品であり,品質維持が困難な上,保管費用等の諸費用も必要とする商品であるにもかかわらず,担保評価の掛目を80パーセントとしていること,ミヤシタが指定管理先という要注意先として指定されていたことを十分に認識しながら,本件乾繭融資の決裁を行っている。こうした事情を総合すれば,被告Bは,本件乾繭融資が回収不能となることを十分に予見し,あるいは予見し得たにもかかわらず,投融資会議の構成員として融資決裁をしているのであり,取締役としての注意義務違反は明白である。(エ) 被告F及び同Gの責任被告F及び同Gは,ミヤシタに対する一連の乾繭相場資金の融資について投融資会議の構成員として決裁している。被告F及び同Gは,平成3年9月以降のミヤシタに対する一連の乾繭相場資金の融資に決裁権者として関与し,諸貸出申請書及び添付資料の記載等から,ミヤシタが過去に小豆相場で失敗して多額の損失を発生させたこと,融資残高及び保全不足共に拡大の一途をたどっていること,本件乾繭融資の使途が,乾繭先物市場における相場価格維持のための現受け資金であり,ミヤシタが,損失の確定を先送りし,将来の相場の回復に賭けてあわよくば損失の回復を狙うというリスクの高い投機行為を行っていること,融資金の回収が担保処分によらざるを得ない担保依存の融資であるにもかかわらず,保全状況は大幅な担保不足であること,担保取得方法も拓銀の規程に従った正式担保ではなく,裏書留保による添担保であり,事実上ミヤシタの協力なくして担保処分し得ないこと,乾繭が価格変動 受け資金であり,ミヤシタが,損失の確定を先送りし,将来の相場の回復に賭けてあわよくば損失の回復を狙うというリスクの高い投機行為を行っていること,融資金の回収が担保処分によらざるを得ない担保依存の融資であるにもかかわらず,保全状況は大幅な担保不足であること,担保取得方法も拓銀の規程に従った正式担保ではなく,裏書留保による添担保であり,事実上ミヤシタの協力なくして担保処分し得ないこと,乾繭が価格変動 にもかかわらず,保全状況は大幅な担保不足であること,担保取得方法も拓銀の規程に従った正式担保ではなく,裏書留保による添担保であり,事実上ミヤシタの協力なくして担保処分し得ないこと,乾繭が価格変動の大きい商品であり,品質維持が困難な上,保管費用等の諸費用も必要とする商品であるにもかかわらず,担保評価の掛目を80パーセントとしていること,ミヤシタが指定管理先という要注意先として指定されていたことを十分に認識しながら,本件乾繭融資の決裁を行っている。こうした事情を総合すれば,被告F及び同Gは,本件乾繭融資が回収不能となることを十分に予見し,あるいは予見し得たにもかかわらず,投融資会議の構成員として融資決裁をしているのであり,取締役としての注意義務違反は明白である。(オ) なお,本件乾繭融資は,決裁権限を有する投融資会議の決裁が行われる前に融資が実行されているが,本件乾繭融資以前に行われた一連の乾繭相場資金の融資の際にも同様に投融資会議の決裁前に融資が実行されているにもかかわらず,上記被告らは,再発防止と損害の発生防止のための有効な措置を採ることなく,その手続違背を漫然と黙認してきたものであり,本件乾繭融資の決裁に際して何らの措置を講じることもしていない。したがって,被告らが,投融資会議の構成員である取締役として,融資決定が実体的にも手続的にも適正に運営されるよう注意すべき義務に違反していたことは明白であるから,投融資会議の決裁前に融資が実行されたことをもって,上記被告らが責任を免れることはない。(被告B,同C,同D,同F及び同Gの主張)ア経営判断の原則取締役の善管注意義務違反,忠実義務違反を判断するに当たっては,経営判断の原則が妥当するから,①当該行為が具体的な法令,定款に違反してい D,同F及び同Gの主張)ア経営判断の原則取締役の善管注意義務違反,忠実義務違反を判断するに当たっては,経営判断の原則が妥当するから,①当該行為が具体的な法令,定款に違反しているかどうか,②忠実義務に違反しているかどうか,③判断の前提となる事実の認識(及びそのための事実調査)に不注意な誤りがあったかどうか,④意思決定の過程,内容に著しく不合理な点があったかどうかを検討し,これらに当てはまらない限りは取締役の当該行為に係る経営判断は裁量の範囲を逸脱するものではなく,善管注意義務,忠実義務に違反しないというべきであるところ,被告らにはそのような事情はない。 ,定款に違反しているかどうか,②忠実義務に違反しているかどうか,③判断の前提となる事実の認識(及びそのための事実調査)に不注意な誤りがあったかどうか,④意思決定の過程,内容に著しく不合理な点があったかどうかを検討し,これらに当てはまらない限りは取締役の当該行為に係る経営判断は裁量の範囲を逸脱するものではなく,善管注意義務,忠実義務に違反しないというべきであるところ,被告らにはそのような事情はない。銀行の経営に関する判断も,当該業界の状況,当該会社の事情,国内外の社会,経済,文化の状況等の諸事情に応じて流動的で複雑多様な諸要素を勘案して行われる専門的,予測的,政策的かつ総合的な判断であり,それは銀行以外の株式会社の経営に関する判断と同様である。したがって,銀行の経営に関する判断であっても,その性質上,取締役に広範な裁量が認められるべきであることは,何ら他の株式会社の場合と異なることはない。このように,銀行の取締役の経営判断における裁量が他の株式会社のそれよりも限定されているということはありえず,また,銀行の取締役に要求される善管注意義務のレベルが格別に厳格なものであるとすることもできない。なお,銀行の健全性とは,個別の融資判断を厳格化すべきであるということを意味するものではなく,基本的には倒産リスクを指しているのである。個別の融資の判断は,回収可能性の高低とそれによって銀行が得られる利益との比較考量によって決定されるものであるから,銀行の健全性の要請によって,個々の融資判断が左右されるものではない。イ資金使途について原告は, 低とそれによって銀行が得られる利益との比較考量によって決定されるものであるから,銀行の健全性の要請によって,個々の融資判断が左右されるものではない。イ資金使途について原告は,銀行が商品相場への投機資金を融資することは避けるべきである旨主張する。しかし,多様な相場商品が存在して取引市場が形成されている現代経済において,価格変動のある商品相場への投資及びそれに対する融資を禁止しては,銀行実務は成り立たない。また,乾繭(生糸)は,法律に基づく価格安定制度があり,その最低価格について公的保証のある商品であるから,商品相場特有の危険性は存在しない。ウ保全が十分であったこと(ア) 担保取得方法原告は,本件乾繭融資に当たって拓銀が担保として取得した乾繭倉荷証券は,正式担保として取得されたものではなく,規程外の簡便な方法による添担保として取得されたものであり,担保取得方法が不十分であったために損害が発生した旨主張する。 繭(生糸)は,法律に基づく価格安定制度があり,その最低価格について公的保証のある商品であるから,商品相場特有の危険性は存在しない。ウ保全が十分であったこと(ア) 担保取得方法原告は,本件乾繭融資に当たって拓銀が担保として取得した乾繭倉荷証券は,正式担保として取得されたものではなく,規程外の簡便な方法による添担保として取得されたものであり,担保取得方法が不十分であったために損害が発生した旨主張する。しかし,添担保は,拓銀内部における授信権限分配上の扱いとして正式担保と区別されているだけのものであって,添担保だから担保価値がないということにはならない。拓銀が倉荷証券について担保権を実行する場合,ミヤシタによる裏書は不要であり,受領した被裏書人白地の倉荷証券をそのまま商品取引所の取次業者(商品取引員)を介して売却する方法によって簡単に実行できる。また,倉荷証券の現物を預かることにより,金融機関は,債務者本人による商品の取戻し及び第三者への処分をいずれも完全に阻止することができるから,当該倉荷証券に係る商品を確実に支配することができる。したがって,拓銀が倉荷証券を担保として取得するに当たり,ミヤシタの裏書を留保していたからと 者への処分をいずれも完全に阻止することができるから,当該倉荷証券に係る商品を確実に支配することができる。したがって,拓銀が倉荷証券を担保として取得するに当たり,ミヤシタの裏書を留保していたからといって,その担保価値には何ら欠けるところがないことは明らかである。さらに,担保として拓銀契約倉庫以外の倉庫の倉荷証券を受け入れている点についても,拓銀の契約倉庫でなくても,保管,管理等に信頼性のある倉庫業者の発行する倉荷証券であれば,担保として特段問題がないはずであるし,そもそも本件は,倉庫業者に問題があって回収が困難になったという事例ではない。そして,倉庫業者に対する担保設定通知及び承諾手続を留保して倉荷証券を受け入れている点についても,倉庫業者への通知及び承諾は,法律上何ら意味のない手続であるから,何ら担保価値を減殺するものではない。(イ) 倉荷証券の担保評価拓銀は,平成4年2月19日及び27日に実行された各融資に当たり,乾繭倉荷証券333枚を担保取得し,同年3月17日に実行された融資に当たり,乾繭倉荷証券447枚を担保取得しているが,平成4年1月から3月当時の乾繭価格は,1キログラム当たり約3200円で推移していたから,上記乾繭倉荷証券の担保価値はそれぞれ約3億1968万円,約4億2912万円となり,借入金以上の価値を有していたことになる。 の担保評価拓銀は,平成4年2月19日及び27日に実行された各融資に当たり,乾繭倉荷証券333枚を担保取得し,同年3月17日に実行された融資に当たり,乾繭倉荷証券447枚を担保取得しているが,平成4年1月から3月当時の乾繭価格は,1キログラム当たり約3200円で推移していたから,上記乾繭倉荷証券の担保価値はそれぞれ約3億1968万円,約4億2912万円となり,借入金以上の価値を有していたことになる。また,乾繭は加工すると生糸になるところ,生糸は,当時の蚕糸価格安定法によって公的に価格管理されていたから,価格が暴落するおそれはなく,また,平成4年当時の生糸及び乾繭の価格は,最低価格(安定基準価格)以上で安定して推移していたから,拓銀が担保取得した乾繭倉荷証券は,借入金以上の価値を有していた。すなわち,生糸の最低価格は,平成元年から 成4年当時の生糸及び乾繭の価格は,最低価格(安定基準価格)以上で安定して推移していたから,拓銀が担保取得した乾繭倉荷証券は,借入金以上の価値を有していた。すなわち,生糸の最低価格は,平成元年から平成5年にかけて1キログラム当たり1万0400円とされており,これから計算した乾繭の最低価格は1キログラム当たり2640円であった。これに対し,原告は,乾繭倉荷証券を換金するには,手数料,加工賃等の経費が必要であることを看過しているなどと主張するが,このような経費は全体額からみれば極めて僅少であり,これらを考慮しても,拓銀が担保取得した倉荷証券が相当な価値を有していたことは明らかである。(ウ) 本件文化ホールの担保価値拓銀は,本件乾繭融資に当たり,本件文化ホールを担保として申し受けているが,本件文化ホールの時価は約42億円であり,その賃料に物上代位することだけでも,1年間で約4億円を回収することが可能であったから,本件乾繭融資が十分な担保を取得してされた融資であったことは明らかである。(エ) 追加融資について従前の融資に保全不足が発生しているからといって,十分な担保を取得した本件融資が義務違反となるわけではない。これに対し,原告は,従前の融資について保全不足がある状態で追加融資をすることは許されない旨主張する。しかし,そもそも保全十分でなければ融資をしてはいけないという規範は存在しないから,従前の融資について保全不足がある場合に追加融資をしてはいけないなどという規範もあり得ない。 エ) 追加融資について従前の融資に保全不足が発生しているからといって,十分な担保を取得した本件融資が義務違反となるわけではない。これに対し,原告は,従前の融資について保全不足がある状態で追加融資をすることは許されない旨主張する。しかし,そもそも保全十分でなければ融資をしてはいけないという規範は存在しないから,従前の融資について保全不足がある場合に追加融資をしてはいけないなどという規範もあり得ない。追加融資については,その追加融資の回収可能性と追加融資による銀行の利益とを比較考量してその可否を判断すべきである。(被告B,同C及び同Dの主張)ア経営判断の原則 もあり得ない。追加融資については,その追加融資の回収可能性と追加融資による銀行の利益とを比較考量してその可否を判断すべきである。(被告B,同C及び同Dの主張)ア経営判断の原則経営判断の原則は銀行においても妥当するものであり,取締役は,その融資判断について一見して明白な誤りや不合理な判断がない限り,広範な裁量が認められるべきであり,都市銀行という巨大組織にあっては,各担当者から上がってきた判断を所与のものとして判断すれば足りる。イ資金使途について投機と投資には質的違いがあるものではなく,融資対象が投機的要素を含むものであったとしても,それが現物取引であるか信用取引であるか,十分な担保が確保できるか否かという諸要素との総合的な関連の中でその当否が判断されるべきである。ウ銀行の融資と担保企業金融においては,融資時点では担保が十分でなくても,当該企業の将来性,経営者の性格,能力,当該企業及び経営者の会社での影響力等を評価し,将来成長が見込まれる企業や地域経済に影響力のある経営者に融資することが認められる。エ被告Cが,支店や審査担当部に圧力をかけ,本件乾繭融資を無理に採り上げさせたという事実はない。また,被告B,同C及び同Dは,たくぎんファイナンスが採り上げた乾繭相場資金24億円余りを拓銀が肩代わりした事実について報告を受けておらず,その経緯については承知していなかった。(被告F及び同Gの主張)ア経営判断の原則によれば善管注意義務違反,忠実義務違反がないこと(ア) 具体的な法令,定款に違反していないこと本件乾繭融資が具体的な法令,定款に違反していないことは,明らかである。(イ) 忠実義務に違反していないこと 反がないこと(ア) 具体的な法令,定款に違反していないこと本件乾繭融資が具体的な法令,定款に違反していないことは,明らかである。 については承知していなかった。(被告F及び同Gの主張)ア経営判断の原則によれば善管注意義務違反,忠実義務違反がないこと(ア) 具体的な法令,定款に違反していないこと本件乾繭融資が具体的な法令,定款に違反していないことは,明らかである。(イ) 忠実義務に違反していないこと 反がないこと(ア) 具体的な法令,定款に違反していないこと本件乾繭融資が具体的な法令,定款に違反していないことは,明らかである。(イ) 忠実義務に違反していないこと本件乾繭融資は,役員のスキャンダル隠しのため,又は被告Cとミヤシタが親しい関係にあるためという政策的判断から採り上げたというものではなく,むしろ,倉荷証券の問題性を意識して調査,検討を指示した上で実行されたものであって,忠実義務に違反する融資でないことは明らかである。特に,ミヤシタの案件は持ち回り形式で付議されていたから,東京駐在役員である被告F及び同Gは,回付されてきた諸貸出申請書及びその添付資料に記載された情報しか有していないのであって,仮に原告の主張するような背景事情があったとしても,全く関知できないのであるから,そのような事情を融資判断の要素に入れていないことは明らかである。(ウ) 前提事実の認識及びそのための事実調査に誤りがないこと被告F及び同Gは,本件乾繭融資に当たり,諸貸出申請書に記載されていたミヤシタの営業状況,資産状況,他からの借入れの有無等を踏まえた上,①これまで行ってきた乾繭取引の最終手仕舞いをするまでの間の当座の相場維持のための融資であること,②現物買付けであり,乾繭倉荷証券が入ってくること,③平成4年6月ないし7月には手仕舞いする予定であり,売却を進めて返済してもらうこと,④乾繭倉荷証券333枚のほか,本件文化ホールを担保に申し受けること,あるいは乾繭倉荷証券447枚を担保に申し受けること等の事情を勘案しているが,これらの前提事実には何ら誤りは存しないし,その点の調査にも誤りはない。被告F及び同Gは,ミヤシタに関する風評及びK社長の人柄等については全 に申し受けること等の事情を勘案しているが,これらの前提事実には何ら誤りは存しないし,その点の調査にも誤りはない。被告F及び同Gは,ミヤシタに関する風評及びK社長の人柄等については全く知らなかったものであって,諸貸出申請書上もこの点について記載がない以上,そのような悪しき風評等はないと考えて決裁するのは当然である。 にも誤りはない。被告F及び同Gは,ミヤシタに関する風評及びK社長の人柄等については全 に申し受けること等の事情を勘案しているが,これらの前提事実には何ら誤りは存しないし,その点の調査にも誤りはない。被告F及び同Gは,ミヤシタに関する風評及びK社長の人柄等については全く知らなかったものであって,諸貸出申請書上もこの点について記載がない以上,そのような悪しき風評等はないと考えて決裁するのは当然である。したがって,ミヤシタに関する風評及びK社長の人柄等は,被告F及び同Gの本件乾繭融資の判断の前提事実とはなり得ないし,その点を調査しなかったとしても,被告F及び同Gに不注意があったとはいえない。(エ) 意思決定の過程,内容に不合理な点がないこと本件乾繭融資は,持ち回り方式による投融資会議において承認されているところ,拓銀のような都市銀行においては,役員それぞれが担当する業務だけでも相当の量があるため,投融資会議の構成員が一堂に会する機会を設けることは困難であるから,担当役員の判断に応じて持ち回り方式と会議方式とに振り分ける方法は極めて合理的である。このように,本件乾繭融資は,拓銀における融資決裁手続に則って決裁されており,その手続は合理的であるから,その意思決定の過程に何ら不合理な点がないことは明らかである。なお,本件乾繭融資では,投融資会議構成員が申請書類を決裁する前に融資が実行されているが,これに関しては,融資実行予定日よりも相当期間前に審査して決裁書類を回すよう規程を作り,役員においても折に触れて注意していたのであって,その監督等に何ら問題はなかった。そして,被告F及び同Gは,諸貸出申請書及び添付書類の記載を検討した上,①ミヤシタはこれまで継続的に取引関係にあった融資先であること,②既に行ってきた乾繭取引の手仕舞いをするために融資を申請してきたものである F及び同Gは,諸貸出申請書及び添付書類の記載を検討した上,①ミヤシタはこれまで継続的に取引関係にあった融資先であること,②既に行ってきた乾繭取引の手仕舞いをするために融資を申請してきたものであること,③融資期間も1か月と短期であること,④融資金額を上回る担保を取得でき,その担保も価格の下支えのある乾繭倉荷証券及び本件文化ホールという回収に不安のない物件であったこと等の事情を踏まえ,本件各融資を実行する方が銀行の利益に合致すると考えて承認の判断をしたものであって,その意思決定の内容は極めて合理的である。 先であること,②既に行ってきた乾繭取引の手仕舞いをするために融資を申請してきたものであること,③融資期間も1か月と短期であること,④融資金額を上回る担保を取得でき,その担保も価格の下支えのある乾繭倉荷証券及び本件文化ホールという回収に不安のない物件であったこと等の事情を踏まえ,本件各融資を実行する方が銀行の利益に合致すると考えて承認の判断をしたものであって,その意思決定の内容は極めて合理的である。イ小豆市場における失敗を知らなかったこと被告F及び同Gは,ミヤシタが小豆取引で損害を出していたことを知らなかった。被告F及び同Gは,本件の諸貸出申請書に添付されていた資料の記載からも,ミヤシタが小豆取引で損害を出していたことを理解できるはずがない。ウ事後承認被告F及び同Gは,融資の実行が完了する平成4年2月27日までの間に融資を承認していないから,同月19日及び同月27日に実行された融資によって貸倒れ等の損害が発生したとしても,被告F及び同Gに責任はない。(5) 結果発生との因果関係(原告の主張)ア本件小豆融資について(ア) 債権が融資書換え後も同一性を維持して存続していること被告らは,本件小豆融資が一本化されて書き換えられた事実を捉え,平成元年5月31日の新たな融資によって,本件小豆融資が返済されたと主張する。しかし,平成元年5月31日の書換えは,ミヤシタに対する未回収金を目的とする準消費貸借にほかならず,同日以降の書換えも同様に解すべきであるから,本件小豆融資に関する債権債務は,同一性を維持しつつ存続しているというべきである。は,ミヤシタに対する未回収金を目的とする準消費貸借にほかならず,同日以降の書換えも同様に解すべきであるから,本件小豆融資に関する債権債務は,同一性を維持しつつ存続しているというべきである。すなわち,金融機関が行う融資の書換えを準消費貸借とみるべきか更改とみるべきかは,当事者の合理的意思解釈によるべきものと解されているところ,一般的に,特段の意思表示がされない限り,当事者が保証,担保まで消滅させる更改の意思を有しているとは解されないから,更改ではなくて準消費貸借とみるべきとされており,本件小豆融資においても,書換えは,実質的には従前の融資の更新,期限の延長にすぎないから,当事者の合理的意思解釈としても,更改ではなく準消費貸借とみるべきものである。また,本件小豆融資は,その融資当初からとりあえず形式的には弁済期を約3か月後と定めてはいるものの,実質的には書換えを行って更にそれ以降に弁済されることが予定されていたことは明らかである。 ,更改ではなくて準消費貸借とみるべきとされており,本件小豆融資においても,書換えは,実質的には従前の融資の更新,期限の延長にすぎないから,当事者の合理的意思解釈としても,更改ではなく準消費貸借とみるべきものである。また,本件小豆融資は,その融資当初からとりあえず形式的には弁済期を約3か月後と定めてはいるものの,実質的には書換えを行って更にそれ以降に弁済されることが予定されていたことは明らかである。したがって,被告らの本件小豆融資が返済された旨の主張は,成り立ち得ないものである。(イ) 回収業務の懈怠による因果関係の切断がないこと被告らは,本件小豆融資が回収不能となって損害が発生した原因は,融資後の回収業務に懈怠があったからであり,被告らの融資決定と損害発生との間には因果関係がない旨主張する。しかし,本件小豆融資は,リスクの大きい小豆相場への投機資金の融資であり,担保取得方法を始め保全状況も極めて不十分なまま実行された融資であるから,融資実行時点で既に損害発生の蓋然性が高かったのであって,回収担当者の判断によって回収の可否が分かれる余地はほとんどなかったというべきである。また,本件小豆融資は,とりあえず形式的には弁済期を平成元年 に損害発生の蓋然性が高かったのであって,回収担当者の判断によって回収の可否が分かれる余地はほとんどなかったというべきである。また,本件小豆融資は,とりあえず形式的には弁済期を平成元年5月31日と定めてはいるものの,実質的には担保差入れされた小豆倉荷証券をミヤシタが小豆先物市場で売却する時を弁済期として実行されたものである。すなわち,本件小豆融資は,ミヤシタが担保差入れした小豆倉荷証券を小豆先物市場で売却した売却代金を受領することによって回収することが当初から予定されていたものであり,かつ,それ以外に予定されていた回収業務というものは存在しなかった。したがって,回収業務に懈怠があったために損害が発生した旨の被告らの主張は理由がない。さらに,被告らは,平成元年の小豆先物市場の価格に基づき,平成元年7月ころまでに担保品である小豆倉荷証券が売却されていれば損害は発生しなかった旨主張する。しかし,本件小豆融資の担保として差し入れられた小豆は,日本の年間消費量の1割近くにも達する量であり,このような大量の小豆を市場で売却した場合,価格が暴落することは明らかであるから,その売却価格を現実の市場価格に基づいて算定すること自体が現実離れしている。 ,被告らは,平成元年の小豆先物市場の価格に基づき,平成元年7月ころまでに担保品である小豆倉荷証券が売却されていれば損害は発生しなかった旨主張する。しかし,本件小豆融資の担保として差し入れられた小豆は,日本の年間消費量の1割近くにも達する量であり,このような大量の小豆を市場で売却した場合,価格が暴落することは明らかであるから,その売却価格を現実の市場価格に基づいて算定すること自体が現実離れしている。加えて,商品先物市場における売買には売買手数料が当然必要になるほか,大量の小豆を長期間倉庫会社に委託して保管するには,1か月当たり1袋当たり129円もの保管料が必要となる。したがって,少なくとも担保差入れされた小豆の価格が10パーセント以上上昇した上で売却しなければ融資金の回収は見込めないところ,平成元年の小豆先物市場の価格推移をみても,本件小豆融資当時の価格から10パーセント以上価格が上昇したことはない。したがって,平成元年 上で売却しなければ融資金の回収は見込めないところ,平成元年の小豆先物市場の価格推移をみても,本件小豆融資当時の価格から10パーセント以上価格が上昇したことはない。したがって,平成元年の小豆先物市場の価格に基づき,平成元年7月ころまでに小豆倉荷証券が売却されていれば損害は発生しなかった旨の被告らの主張は理由がない。(ウ) 弁済充当について被告らは,本件小豆融資が回収不能になった原因は,担保倉荷証券の売却代金を,従前から融資していた運転資金等の融資金の弁済やたくぎんファイナンスからの融資金の弁済に充当したことにある旨主張する。しかし,拓銀が担保として取得した倉荷証券は,あくまで拓銀のミヤシタに対するすべての債権を担保する根担保として差し入れられたものであり,担保倉荷証券の売却代金が運転資金等の融資金に弁済されていたとしても,何ら問題がないことは,銀行取引約定に基づく実務においては当然である。また,原告は,本件小豆融資の残高を算定するに当たり,最も被告らに有利になるように,本件小豆融資後にミヤシタが拓銀に弁済した合計17億1040万円を,すべて本件小豆融資に弁済充当したものとして算定している上,本件訴訟において,本件小豆融資の残高の一部を請求しているにすぎない。したがって,本件小豆融資が回収不能になった原因は,担保倉荷証券の売却代金を本件小豆融資以外の弁済に充当したからである旨の被告らの主張は,理由がない。 融資の残高を算定するに当たり,最も被告らに有利になるように,本件小豆融資後にミヤシタが拓銀に弁済した合計17億1040万円を,すべて本件小豆融資に弁済充当したものとして算定している上,本件訴訟において,本件小豆融資の残高の一部を請求しているにすぎない。したがって,本件小豆融資が回収不能になった原因は,担保倉荷証券の売却代金を本件小豆融資以外の弁済に充当したからである旨の被告らの主張は,理由がない。イ本件乾繭融資について(ア) 回収業務の懈怠による因果関係の切断がないことa 被告らは,本件乾繭融資が回収不能となって損害が発生した原因は,融資後の回収業務に懈怠があったからであり,被告らの融資決定と損害発生との間には因果関係がない旨主張する。切断がないことa 被告らは,本件乾繭融資が回収不能となって損害が発生した原因は,融資後の回収業務に懈怠があったからであり,被告らの融資決定と損害発生との間には因果関係がない旨主張する。しかし,本件乾繭融資は,リスクの大きい乾繭相場への投機資金の融資であり,担保取得方法を始め保全状況も極めて不十分なまま実行された融資であるから,融資実行時点で既に損害発生の蓋然性が高かったのであって,回収担当者の判断によって回収の可否が分かれる余地はほとんどなかったというべきである。また,本件乾繭融資は,とりあえず形式的には弁済期を1か月後と定めてはいるものの,実質的には担保差入れされた乾繭倉荷証券をミヤシタが乾繭先物市場で売却する時を弁済期として実行されたものである。すなわち,本件乾繭融資は,ミヤシタが担保差入れした乾繭倉荷証券を乾繭先物市場で売却した売却代金を受領することによって回収することが当初から予定されていたものであり,かつ,それ以外に予定されていた回収業務というものは存在しなかった。なぜなら,平成4年2月の融資の時点におけるミヤシタに対する総授信残高は54億円余に達していたところ,かかる多額の融資がミヤシタの収益から弁済され得ないものであり,資金原資は乾繭倉荷証券の処分代金によらざるを得ないことは明らかであった上,担保品である乾繭倉荷証券は,裏書留保のまま添担保として差し入れられたものにすぎず,拓銀がミヤシタの協力なしに処分することは現実的には不可能であり,さらに,本件乾繭融資当時に添担保として提供を受けた本件文化ホールについても,その賃借人である帯広市との関係から,担保実行してこれから回収することは期待できないものであったからである。 金原資は乾繭倉荷証券の処分代金によらざるを得ないことは明らかであった上,担保品である乾繭倉荷証券は,裏書留保のまま添担保として差し入れられたものにすぎず,拓銀がミヤシタの協力なしに処分することは現実的には不可能であり,さらに,本件乾繭融資当時に添担保として提供を受けた本件文化ホールについても,その賃借人である帯広市との関係から,担保実行してこれから回収することは期待できないものであったからである。したがって,回収業務に懈怠が として提供を受けた本件文化ホールについても,その賃借人である帯広市との関係から,担保実行してこれから回収することは期待できないものであったからである。したがって,回収業務に懈怠があったために損害が発生した旨の被告らの主張は理由がない。b また,被告らは,平成4年4月の時点での乾繭先物市場の価格に基づき,乾繭倉荷証券の担保価値を試算し,平成4年4月ころまでに担保品である乾繭倉荷証券が売却されていれば損害は発生しなかった旨主張する。しかし,上記試算は,売却に必要な委託手数料,乾繭の検定手数料及び封印手数料,乾繭の保管料のほか,封印合併代,入出庫料,倉荷証券料等の費用をすべて無視した非現実的な試算である上,ミヤシタが拓銀に差し入れていた乾繭倉荷証券は,大半が商品取引所の基準とされる標準品よりも品質の劣る乾繭であるから,標準品の取引価格に基づく試算は無意味である。さらに,乾繭相場取引資金の担保として差し入れられた乾繭は,原料繭の年間供給量の2割にも達する量であり,このような大量の乾繭を市場で売却した場合,価格が暴落することは明らかであるから,その売却価格を現実の市場価格に基づいて算定すること自体が現実離れしている。したがって,平成4年4月の時点での乾繭先物市場の価格に基づき,平成4年4月ころまでに乾繭倉荷証券が売却されていれば損害は発生しなかった旨の被告らの主張は理由がない。c さらに,被告らは,乾繭は生糸に加工することによって蚕糸価格安定法の価格下支えがあるから担保価値が低下しない旨主張する。しかし,生糸に加工した上での処分には,乾繭売買に係る諸費用のほかに加工賃及び生糸の市場における売買手数料がかかる上,年間供給量の2割にも達する大量 ら担保価値が低下しない旨主張する。しかし,生糸に加工した上での処分には,乾繭売買に係る諸費用のほかに加工賃及び生糸の市場における売買手数料がかかる上,年間供給量の2割にも達する大量の乾繭を一時期に生糸に加工することを前提とする上記主張は非現実的である。 しかし,生糸に加工した上での処分には,乾繭売買に係る諸費用のほかに加工賃及び生糸の市場における売買手数料がかかる上,年間供給量の2割にも達する大量 ら担保価値が低下しない旨主張する。しかし,生糸に加工した上での処分には,乾繭売買に係る諸費用のほかに加工賃及び生糸の市場における売買手数料がかかる上,年間供給量の2割にも達する大量の乾繭を一時期に生糸に加工することを前提とする上記主張は非現実的である。なお,本件乾繭融資を含む乾繭融資の担保となった乾繭の倉荷証券は,平成5年3月10日までにすべて処分のために払い出され処分されたが,なお莫大な債務が残存している。d 加えて,被告らは,総授信残高から乾繭倉荷証券の売却価格を控除した残額を本件文化ホールから回収することを前提としているが,本件文化ホールの実質的担保価値はなく,このことは本件乾繭融資の諸貸出申請書にも明記されているから,被告らの上記主張は理由がない。(イ) 遅滞発生後の書換えがないこと被告らは,ミヤシタが遅滞を発生させた後である平成4年4月及び6月にも拓銀が再度貸付けを行っている旨主張する。しかし,被告らが再度の貸付けであると主張している同年4月及び6月の貸出申請は,いずれも同年4月17日の延滞発生によって結局廃案となり,実行されていないのであって,被告らの上記主張は,その前提たる事実を欠いている。(被告A,同B,同C及び同Eの主張)ア本件小豆融資が期限に清算されていること本件小豆融資は,短期ユーロ円貸出しであるところ,国際市場における取引としての債権は,それぞれ別個の独立した債権であって,先に借り入れた債権を返済するために別の債権を借り入れて返済に充当したとしても,それらの債権に同一性があることはあり得ない。したがって,本件小豆融資は,平成元年5月31日に一旦弁済され,新たな債権に切り替えられているから,その後 を借り入れて返済に充当したとしても,それらの債権に同一性があることはあり得ない。したがって,本件小豆融資は,平成元年5月31日に一旦弁済され,新たな債権に切り替えられているから,その後の回収不能という結果発生との間に因果関係はない。イ回収業務の懈怠拓銀は,平成元年12月及び平成2年3月の時点で,担保を確保しており,担保実行が即時かつ確実に行われていれば,未回収債権は生じなかったから,損害発生の原因が回収業務の懈怠にあることは明らかである。 の債権に同一性があることはあり得ない。したがって,本件小豆融資は,平成元年5月31日に一旦弁済され,新たな債権に切り替えられているから,その後の回収不能という結果発生との間に因果関係はない。イ回収業務の懈怠拓銀は,平成元年12月及び平成2年3月の時点で,担保を確保しており,担保実行が即時かつ確実に行われていれば,未回収債権は生じなかったから,損害発生の原因が回収業務の懈怠にあることは明らかである。ウ未回収金が不正な充当により発生したこと原告は,本件小豆融資の担保の処分代金7億7000万円を別口の運転資金の返済に充当しているが,これは,貸出条件及び規程に違反した不正な経理処理である。原告が正規に処理していれば,本件小豆融資は,担保処分により全額回収できたことは明らかであるから,原告の主張する損害と被告らの行為との間には因果関係がない。(被告A,同B及び同Cの主張)ア弁済又は更改による消滅平成元年5月31日以降の貸換えは,弁済又は更改に当たるから,被告らの決裁に係る債権は,弁済又は更改で消滅している。イ回収業務の懈怠本件小豆融資の弁済期は,平成元年5月31日であり,この時点で担保権を実行すれば全額回収することが可能であったところ,同日に別の決裁権者によって貸換えが行われており,回収不能の原因はこれにあるから,被告らの融資決裁と結果発生との間に因果関係はない。仮に,被告らの決裁に係る債権とその後の貸換え後の債権との同一性が認められるとしても,遅くとも平成元年8月末時点で回収すれば,回収不能は発生しなかったから,損害発生との間に因果関係はない。(被告B,同C,同D,同F及び同Gの主 の貸換え後の債権との同一性が認められるとしても,遅くとも平成元年8月末時点で回収すれば,回収不能は発生しなかったから,損害発生との間に因果関係はない。(被告B,同C,同D,同F及び同Gの主張)ア原告の損害立証が不十分であること原告は,本件乾繭融資に当たり拓銀が取得した担保について,いつ,いくらで処分し,その処分代金をどの債権に充当したのか,説明していない。しかし,本件乾繭融資に当たって取得した乾繭倉荷証券が換金されて従前の融資に対する返済に充てられている場合には,従前の融資によって被っていたはずの損害額が減少しているわけであるから,拓銀には本件乾繭融資によって新たに損害は生じていないというべきである。 が不十分であること原告は,本件乾繭融資に当たり拓銀が取得した担保について,いつ,いくらで処分し,その処分代金をどの債権に充当したのか,説明していない。しかし,本件乾繭融資に当たって取得した乾繭倉荷証券が換金されて従前の融資に対する返済に充てられている場合には,従前の融資によって被っていたはずの損害額が減少しているわけであるから,拓銀には本件乾繭融資によって新たに損害は生じていないというべきである。したがって,本件乾繭融資によって生じた損害の発生について主張,立証が尽くされているということはできない。イ損害発生の原因が回収等の不手際にあること拓銀の担保取得業務を担当していた帯広支店及び札幌第2支店部は,別紙乾繭融資一覧表3の融資の決裁条件とされている乾繭倉荷証券447枚を担保とすべきところ,うち422枚を担保としてとることなく貸出しを実行したという基本的ミスを犯した。また,ミヤシタが遅滞に陥った平成4年4月17日以後,銀行融資実務として当然取るべき回収作業を行っていれば,当然に乾繭取引に係る融資資金を全額回収できた。それにもかかわらず,第2支店部及び担当役員は,担保の実行を行わなかったばかりか,遅滞発生後の平成4年4月及び6月に再度ミヤシタに対する新たな貸付けに及んでいる。このように,本件乾繭融資につき損害が発生したのは,銀行実務からは考え難い数々のミスのために回収作業が遅れたことに原因があるのであって,本件乾繭融資承認の判断とは無関係に損害が発生し る。このように,本件乾繭融資につき損害が発生したのは,銀行実務からは考え難い数々のミスのために回収作業が遅れたことに原因があるのであって,本件乾繭融資承認の判断とは無関係に損害が発生したものであることは明らかである。(6) 過失相殺(被告Eの主張)仮に被告Eに過失があったとしても,他方で,被告Eが不在の間に被告Eの捺印もないまま本件小豆融資を実行した拓銀の担当職員の過失及び債権の回収を怠った者に対する責任追及を怠った過失も加わって,損害が発生したものであるから,賠償すべき損害の算定に当たっては,過失相殺すべきである。(7) 時効(被告A,同B,同C及び同Dの主張)ア商事消滅時効の援用拓銀は商人であるから,拓銀と被告らとの間の取締役任用契約は,付属的商行為である。したがって,委任契約の債務不履行に基づく損害賠償請求権は,商行為によって生じた債権として5年の商事消滅時効にかかる。 を怠った者に対する責任追及を怠った過失も加わって,損害が発生したものであるから,賠償すべき損害の算定に当たっては,過失相殺すべきである。(7) 時効(被告A,同B,同C及び同Dの主張)ア商事消滅時効の援用拓銀は商人であるから,拓銀と被告らとの間の取締役任用契約は,付属的商行為である。したがって,委任契約の債務不履行に基づく損害賠償請求権は,商行為によって生じた債権として5年の商事消滅時効にかかる。そして,時効の起算日は,最終融資日あるいは遅くとも弁済期と考えるべきであるところ,上記起算日から5年の経過により,消滅時効は完成している。よって,上記被告らは,商事消滅時効を援用する。イ民事消滅時効の援用(被告Dを除く。)仮に,商法266条1項の取締役の責任が民事債務であるとしても,上記アの起算日から10年の経過により,委任契約の債務不履行に基づく損害賠償請求権は,消滅時効が完成している。訴えの提起は時効中断事由となるが,本件訴えが提起された平成10年12月15日の時点で,原告は債権を有していなかったから,本件訴えの提起によって時効は中断せず,監査役の追認の意思表示の到達があるまで,時効は進行していたと解される。よって,上記被告らは,消滅時効 日の時点で,原告は債権を有していなかったから,本件訴えの提起によって時効は中断せず,監査役の追認の意思表示の到達があるまで,時効は進行していたと解される。よって,上記被告らは,消滅時効を援用する。(原告の主張)ア商事消滅時効の主張について善管注意義務や忠実義務に違反する取締役の行為は,本来の任用契約の趣旨を逸脱する行為であり,その責任原因の認識や確定に手間取ることが少なくないことからみて,これに基づく損害賠償請求権については商事消滅時効の趣旨は及ばないというべきである。また,任用契約が商行為であるとしても,これから派生する債務が一律に商事消滅時効の適用を受けるとは限らない。したがって,商法266条に基づく取締役の責任の時効期間は,一般の債権と同様に10年と考えるべきである。また,時効の起算点については,少なくとも損害発生についての認識可能性がなければ権利行使はできないから,当該融資の決裁の日ではなく,遅滞が発生した日と考えるべきである。イ時効の中断についてそもそも訴えの提起は,権利行使の意思表示を最も明確にするものであるがゆえに時効中断事由となるのであるから,訴えの提起が適法にされ,原告の請求する権利が主張された以上,その訴えが却下されるか取り下げられない限り,「裁判上の請求」として時効は中断すると解すべきである。 ついての認識可能性がなければ権利行使はできないから,当該融資の決裁の日ではなく,遅滞が発生した日と考えるべきである。イ時効の中断についてそもそも訴えの提起は,権利行使の意思表示を最も明確にするものであるがゆえに時効中断事由となるのであるから,訴えの提起が適法にされ,原告の請求する権利が主張された以上,その訴えが却下されるか取り下げられない限り,「裁判上の請求」として時効は中断すると解すべきである。第3 争点に対する判断 1 争点(1)(本件債権譲渡の有効性等について)(1) 後掲各証拠によれば,本件債権譲渡について,以下の事実を認めることができる。ア拓銀の代表取締役が平成10年11月11日付けで原告との間で締結した資産買取契約の契約書には,原告が拓銀から買い取る資産の移転時期について,同月16日とし,買取資産について とができる。ア拓銀の代表取締役が平成10年11月11日付けで原告との間で締結した資産買取契約の契約書には,原告が拓銀から買い取る資産の移転時期について,同月16日とし,買取資産について,拓銀が有する債務不履行に基づく損害賠償請求権及び事務管理,不当利得,不法行為その他契約以外の原因に基づいて拓銀が有する権利(現在及び過去における拓銀の役職員,拓銀の借り手その他の関係者に対し責任追及する一切の権利を含む。また,既に権利が確定しているもののほか,資産買取日においてその存在の確認若しくは内容の特定が未了であるものを含むものとする。)等とし,資産買取の対価について,1兆6163億4396万7439円とする旨の記載がそれぞれある(甲2の1)。イ(ア) 拓銀の代表取締役が同年12月3日付けで被告A及び同Eに対してした債権譲渡通知には,拓銀がミヤシタに①平成元年2月9日に4億円,②同月14日に4億円,③同月22日に5億円をそれぞれ貸し付けたことに関する,拓銀の被告A及び同Eに対する一切の損害賠償請求権を原告に譲渡したため,これを通知する旨の記載がある(甲2の2の1,3)。(イ) 拓銀の代表取締役が同年12月3日付けで被告Bに対してした債権譲渡通知には,拓銀がミヤシタに①平成元年2月9日に4億円,②同月14日に4億円,③同月22日に5億円,④平成4年2月19日に1億5000万円,⑤同月27日に1億円,⑥同年3月17日に3億5000万円をそれぞれ貸し付けたことに関する,拓銀の被告Bに対する一切の損害賠償請求権を原告に譲渡したため,これを通知する旨の記載がある(甲2の2の2)。 拓銀の代表取締役が同年12月3日付けで被告Bに対してした債権譲渡通知には,拓銀がミヤシタに①平成元年2月9日に4億円,②同月14日に4億円,③同月22日に5億円,④平成4年2月19日に1億5000万円,⑤同月27日に1億円,⑥同年3月17日に3億5000万円をそれぞれ貸し付けたことに関する,拓銀の被告Bに対する一切の損害賠償請求権を原告に譲渡したため,これを通知する旨の記載がある(甲2の2の2)。(ウ) 拓銀の代表取締役が同年12月3日付けで被告Cに対してした債権譲渡通知には,拓銀がミヤシタに①平成元年1月23日に5億円,②同年2 ,これを通知する旨の記載がある(甲2の2の2)。(ウ) 拓銀の代表取締役が同年12月3日付けで被告Cに対してした債権譲渡通知には,拓銀がミヤシタに①平成元年1月23日に5億円,②同年2月2日に3億5000万円,③同月6日に2億円,④同月9日に4億円,⑤同月14日に4億円,⑥同月22日に5億円,⑦平成4年2月19日に1億5000万円,⑧同月27日に1億円をそれぞれ貸し付けたことに関する,拓銀の被告Cに対する一切の損害賠償請求権を原告に譲渡したため,これを通知する旨の記載がある(甲2の2の4)。(エ) 拓銀の代表取締役が同年12月3日付けで被告F,同G及び同Dに対してした各債権譲渡通知には,拓銀がミヤシタに①平成4年2月19日に1億5000万円,②同月27日に1億円,③同年3月17日に3億5000万円をそれぞれ貸し付けたことに関する,拓銀の被告F,同G及び同Dに対する一切の損害賠償請求権を原告に譲渡したため,これを通知する旨の記載がある(甲2の2の5ないし7)。(2) 被告A,同B,同C,同D,同F及び同Gは,会社が取締役に対して訴えを提起する場合,監査役が会社を代表する(商法275条の4)から,会社の取締役に対する債権の処分というべき債権譲渡の権限もまた監査役が有すると解すべきである旨主張する。なるほど,商法275条の4は,会社と取締役との利益の衝突を調整し,いわゆるなれ合い訴訟を防止するために,代表取締役の権限を制限したものと解されるところ,その立法趣旨を徹底するとすれば,会社の取締役に対する債権の処分である債権譲渡を始めとして,その債権債務関係に関する一切の事項について,これを代表取締役の権限から除外することが必要ということになる。しかしながら,商法(平成13年法律第79号による改正前のもの,以下同 5条の4は,会社と取締役との利益の衝突を調整し,いわゆるなれ合い訴訟を防止するために,代表取締役の権限を制限したものと解されるところ,その立法趣旨を徹底するとすれば,会社の取締役に対する債権の処分である債権譲渡を始めとして,その債権債務関係に関する一切の事項について,これを代表取締役の権限から除外することが必要ということになる。しかしながら,商法(平成13年法律第79号による改正前のもの,以下同 譲渡を始めとして,その債権債務関係に関する一切の事項について,これを代表取締役の権限から除外することが必要ということになる。しかしながら,商法(平成13年法律第79号による改正前のもの,以下同じ。)は,代表取締役について,会社の営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をなす権限を有するものと定め(261条3項,78条1項),広範な権限を規定している。商法275条の4の規定は,代表取締役のその広範な権限を制限する法律上の例外規定であるが,同条は,会社と取締役との間の訴訟等については,同じく会社の機関である監査役に会社を代表する権限を委ねることとしており,内部的ななれ合い防止という観点からすれば,それほど徹底した方策を採るものでもなく(ただし,取締役の責任免除については法律上の制限がある。商法266条5項6項参照。),また,その適用場面を「訴えを提起する場合に於いては」と明示的に規定している。さらに,会社と取締役間の債権債務関係に関する会社の業務も,債権債務関係の発生から調査,審査,交渉を経て,請求,提訴,債権回収のほか,これに関しての告訴告発等に至るさまざまな場面において,多岐にわたることが想定される一方,代表取締役が権限を有するそれ以外の会社の業務との境界も,時として一義的には定まり難い場面も予想されるところである。こうした商法の規定の内容及び文言のほか,会社業務の多面性を考慮すると,法は,会社と取締役間の債権債務関係についてなれ合いが生じ得ることを考慮して,その防止のために,訴訟という典型的な紛争場面における行為(訴え提起の論理的な前提となる訴え提起の内部的な決定や訴え提起に通常随伴する事前の催告等の訴え提起に密接に関連する行為を含む。)に限って,代表取締役の一般的権限を制限すべきであるとの選択をしたものと解するのが相当であ 提となる訴え提起の内部的な決定や訴え提起に通常随伴する事前の催告等の訴え提起に密接に関連する行為を含む。 じ得ることを考慮して,その防止のために,訴訟という典型的な紛争場面における行為(訴え提起の論理的な前提となる訴え提起の内部的な決定や訴え提起に通常随伴する事前の催告等の訴え提起に密接に関連する行為を含む。)に限って,代表取締役の一般的権限を制限すべきであるとの選択をしたものと解するのが相当であ 提となる訴え提起の内部的な決定や訴え提起に通常随伴する事前の催告等の訴え提起に密接に関連する行為を含む。)に限って,代表取締役の一般的権限を制限すべきであるとの選択をしたものと解するのが相当である。したがって,拓銀の代表取締役には本件債権譲渡をする権限がないという被告らの主張は,採用することができない。また,仮に,会社の取締役に対する債権を処分する権限が監査役に専属すると解してみても,本件債権譲渡は,拓銀の代表取締役が拓銀を代表して行った無権代理行為ということになるが,拓銀の監査役が後に本件追認を行っていることは前記のとおりであり,これによって,本件債権譲渡は遡って効力を有することになり(民法116条本文),代理権の欠缺という瑕疵は治癒されたというべきである。被告Aは,その遡及効を否定すべきであるような主張をするが,債務者である被告らが民法116条ただし書きにいう第三者に当たらないことは明らかであるから,その主張は理由がない。したがって,上記被告らの上記主張は,いずれにせよ理由がない。(3)ア被告A,同B,同C,同D及び同Eは,拓銀が取締役会における審議及び被告らに対する請求等の手続を経ていないから,被告らに対する損害賠償請求権がいまだ確立していない旨主張する。その主張する趣旨は必ずしも明らかではないけれども,拓銀が取締役会における審議及び被告らに対する請求等の手続を経ていないとしても,このことをもって,本件債権譲渡の対象たる被告らに対する損害賠償債権が不特定であるとか,不確定であるとか,停止条件が成就していないとか,あるいは譲渡することができない障害があるとかいうことはできないから,上記被告らの上記主張は,理由がない。イ被告A,同B,同C,同D及び同Eは,拓銀が平成10年6月に開催した臨時株主総 か,あるいは譲渡することができない障害があるとかいうことはできないから,上記被告らの上記主張は,理由がない。イ被告A,同B,同C,同D及び同Eは,拓銀が平成10年6月に開催した臨時株主総会において,平成11年3月をもって会社を解散し,清算手続に入る旨の決議をしたことにより,会社の存続の目的が清算業務に限定されるから,被告らに対して損害賠償を請求する旨の平成10年9月の取締役会決議は無効である旨主張する。 るいは譲渡することができない障害があるとかいうことはできないから,上記被告らの上記主張は,理由がない。イ被告A,同B,同C,同D及び同Eは,拓銀が平成10年6月に開催した臨時株主総会において,平成11年3月をもって会社を解散し,清算手続に入る旨の決議をしたことにより,会社の存続の目的が清算業務に限定されるから,被告らに対して損害賠償を請求する旨の平成10年9月の取締役会決議は無効である旨主張する。しかし,拓銀が解散して清算手続に入るのは,平成11年3月であって,それまでは,会社の存続の目的が清算業務に限定されるものではないから,平成11年3月以前である平成10年9月の取締役会における上記決議が無効である旨の上記主張は,理由のないことが明らかである。ウ被告A,同B,同C,同D及び同Eは,本件の損害賠償請求権は,債務者の範囲及び請求金額が確定していないから譲渡の対象にできない債権である旨主張する。しかし,上記(1)アで認定したとおり,拓銀と原告との間の資産買取契約の契約書によれば,買取資産について,拓銀が有する債務不履行に基づく損害賠償請求権及び事務管理,不当利得,不法行為その他契約以外の原因に基づいて拓銀が有する権利(現在及び過去における拓銀の役職員,拓銀の借り手その他の関係者に対し責任追及する一切の権利を含む。また,既に権利が確定しているもののほか,資産買取日においてその存在の確認若しくは内容の特定が未了であるものを含むものとする。)旨の記載があり,本件に関していえば,譲渡の対象となる債権は,過去における拓銀の役職員に対し責任追及する一切の権利と掲げられていることとあいまち,上記のような記載によって,他の債権と識別可能な程度に特定されているということができるから,それ以上に債務者の ,過去における拓銀の役職員に対し責任追及する一切の権利と掲げられていることとあいまち,上記のような記載によって,他の債権と識別可能な程度に特定されているということができるから,それ以上に債務者の範囲や債権額,さらには損害賠償の対象となる作為ないし不作為等が具体的に確定していないからといって,債権譲渡の対象とすることができないというべきものではない。したがって,上記被告らの上記主張は,理由がない。エ被告A,同B,同C,同D及び同Eは,拓銀の被告らに対する損害賠償債権が資本充実の原則に基づく拓銀の固有の権利であるから,他に譲渡することはできない旨主張する。 ことができるから,それ以上に債務者の範囲や債権額,さらには損害賠償の対象となる作為ないし不作為等が具体的に確定していないからといって,債権譲渡の対象とすることができないというべきものではない。したがって,上記被告らの上記主張は,理由がない。エ被告A,同B,同C,同D及び同Eは,拓銀の被告らに対する損害賠償債権が資本充実の原則に基づく拓銀の固有の権利であるから,他に譲渡することはできない旨主張する。しかし,拓銀の被告らに対する商法266条1項に基づく損害賠償請求権は,それ自体が資本充実の原則に由来するものであるとはいえないし,それが金銭債権である以上は,債権発生当時の原債権者以外の者が行使し履行を受けたのでは,債権の本来の目的を実現し得ないとまでいうこともできないから,一身専属的で譲渡が制限される債権とは認めることができない。よって,上記被告らの上記主張は,理由がない。オ被告A,同B,同C,同D及び同Eは,債権管理回収業に関する特別措置法2条によれば,金融機関が原告に譲渡できる債権は金融債権に限られるから,本件債権譲渡は無効である旨主張する。しかし,債権管理回収業に関する特別措置法は,同法2条1項掲記の特定金銭債権の債権管理回収業を行う場合にこれを規制する法律であって,同法が規定する特定金銭債権以外の債権の譲渡についての効力を定めるものではない。また,弁論の全趣旨によれば,原告は,預金保険法附則7条1項所定の協定銀行として,同法附則8条に定める内容を含む協定に基づき整理回収業務を行っている銀行であると認められ,債権管 定めるものではない。また,弁論の全趣旨によれば,原告は,預金保険法附則7条1項所定の協定銀行として,同法附則8条に定める内容を含む協定に基づき整理回収業務を行っている銀行であると認められ,債権管理回収業に関する特別措置法に規定する法務大臣の許可を受けて債権管理回収業を営んでいる会社ではないから,同法の適用を受ける債権回収会社として,同法12条所定の業務制限を受けることはないというべきである。したがって,上記被告らの上記主張は,理由がない。カ被告A,同B,同C,同D及び同Eは,本件債権譲渡は,信託法11条が禁止する訴訟信託に当たるから,無効である旨主張する。信託法11条が訴訟信託を禁止する趣旨は,いわゆる非弁行為のように,他人の権利について訴訟行為をすることが許されない場合に,これを信託の形式を用いて回避しようとする弊害を防止することにあると解されるところ,本件全証拠によっても,本件債権譲渡が上記のような場合に当たるにもかかわらず行われたと認めることはできない。 同Eは,本件債権譲渡は,信託法11条が禁止する訴訟信託に当たるから,無効である旨主張する。信託法11条が訴訟信託を禁止する趣旨は,いわゆる非弁行為のように,他人の権利について訴訟行為をすることが許されない場合に,これを信託の形式を用いて回避しようとする弊害を防止することにあると解されるところ,本件全証拠によっても,本件債権譲渡が上記のような場合に当たるにもかかわらず行われたと認めることはできない。したがって,上記被告らの上記主張は,理由がない。キ被告A,同B,同C,同D及び同Eは,拓銀の原告に対する貸出債権の譲渡は,商法245条1項1号の営業譲渡に該当するにもかかわらず,株主総会の決議を経ていないから,無効である,又は,巨額の譲渡損失が生じる貸出債権を譲渡する場合に株主総会の承認を要する旨の定款に違反するから,無効であるので,上記貸出債権の譲渡と一括してされた本件債権譲渡も無効である旨主張する。しかし,商法245条1項1号にいう「営業の全部又は重要なる一部の譲渡」とは,一定の営業目的のために組織化され,有機的一体として機能する財産の全部又は重要な一部を譲渡し,これによって,譲渡会社がその財産によって営んで 1項1号にいう「営業の全部又は重要なる一部の譲渡」とは,一定の営業目的のために組織化され,有機的一体として機能する財産の全部又は重要な一部を譲渡し,これによって,譲渡会社がその財産によって営んでいた営業的活動の全部又は重要な一部を譲受人に受け継がせ,譲渡会社がその譲渡の限度に応じ法律上当然に競業避止義務を負う結果を伴うものをいうと解されるところ(最大判昭和40年9月22日民集19巻6号1600頁参照),拓銀が平成10年11月11日付けで原告との間で締結した資産買取契約は,一定の営業目的のために組織化され,有機的一体として機能する財産の全部又は重要な一部の譲渡とは認められないから,株主総会の決議を経ずに行われたとしても違法ではないし,また,上記資産買取契約が,拓銀の定款にいう巨額の譲渡損失が生じる貸出債権の譲渡に当たると認めるに足りる証拠もないから,上記被告らの上記主張は,理由がない。ク被告A,同B,同C,同D及び同Eは,本件債権譲渡により,被告らが拓銀に対して主張できる抗弁が事実上切断され,被告らの立場が著しく不利になるから,本件債権譲渡は,権利の濫用に当たり,無効である旨主張する。 議を経ずに行われたとしても違法ではないし,また,上記資産買取契約が,拓銀の定款にいう巨額の譲渡損失が生じる貸出債権の譲渡に当たると認めるに足りる証拠もないから,上記被告らの上記主張は,理由がない。ク被告A,同B,同C,同D及び同Eは,本件債権譲渡により,被告らが拓銀に対して主張できる抗弁が事実上切断され,被告らの立場が著しく不利になるから,本件債権譲渡は,権利の濫用に当たり,無効である旨主張する。しかし,本件債権譲渡により,被告らが拓銀に対して主張できる抗弁が切断されるか否かは,民法468条の規定に従い判断されるべきものであるところ,上記被告らが主張するところは,同条の規定の適用の結果不利益を被るか,あるいは単に事実上の不利益を被るというにすぎないのであって,それが権利の濫用に当たるといえるような事情を認め得る証拠もない。したがって,上記被告らの上記主張は,理由がない。ケ被告A,同B,同C,同D及び同Eは,被告らが拓銀から1度も請求を受けたことがない上,拓銀の被告らに対する債権譲渡の通知には,①損害賠 したがって,上記被告らの上記主張は,理由がない。ケ被告A,同B,同C,同D及び同Eは,被告らが拓銀から1度も請求を受けたことがない上,拓銀の被告らに対する債権譲渡の通知には,①損害賠償の発生日時及び金額の記載がないこと,②連帯債務であること及び他の連帯債務者の氏名を表示していないこと,③被告らの具体的加害行為の特定がないことという欠陥があり,譲渡債権の特定を欠いているから,債権譲渡の通知が無効であり,被告らに対抗できない旨主張する。しかし,上記(1)イで認定したとおり,拓銀が平成10年12月3日付けで各被告に対してした債権譲渡通知には,拓銀がミヤシタに貸し付けたことによる拓銀の各被告に対する一切の損害賠償請求権を譲渡したため,これを通知する旨の記載があり,上記貸付けの年月日及び貸付金額も記載されているのであるから,上記債権譲渡通知において,譲渡の対象となる債権は特定されているというべきであって,それ以上に損害賠償の発生日時,金額,連帯債務であること,他の連帯債務者の氏名及び被告らの具体的加害行為が記載されていなければ債権譲渡の通知における譲渡債権の特定ができないとはいえないから,上記被告らの上記主張は,理由がない。コ被告A,同B,同C,同D及び同Eは,拓銀と原告との間の資産買取契約によって原告が譲り受けた債権は,貸出先に対する貸付債権及び同債権の回収に関する一切の権利であって,貸付債権の回収とは関係のない本件の損害賠償請求権はこれに含まれない旨主張する。 者の氏名及び被告らの具体的加害行為が記載されていなければ債権譲渡の通知における譲渡債権の特定ができないとはいえないから,上記被告らの上記主張は,理由がない。コ被告A,同B,同C,同D及び同Eは,拓銀と原告との間の資産買取契約によって原告が譲り受けた債権は,貸出先に対する貸付債権及び同債権の回収に関する一切の権利であって,貸付債権の回収とは関係のない本件の損害賠償請求権はこれに含まれない旨主張する。しかし,上記(1)アで認定したとおり,上記資産買取契約の契約書には,買取資産の内容として,拓銀が有する債務不履行に基づく損害賠償請求権及び事務管理,不当利得,不法行為その他契約以外の原因に基づいて拓銀が有する権利(現在及び過去における拓 資産買取契約の契約書には,買取資産の内容として,拓銀が有する債務不履行に基づく損害賠償請求権及び事務管理,不当利得,不法行為その他契約以外の原因に基づいて拓銀が有する権利(現在及び過去における拓銀の役職員,拓銀の借り手その他の関係者に対し責任追及する一切の権利を含む。また,既に権利が確定しているもののほか,資産買取日においてその存在の確認若しくは内容の特定が未了であるものを含むものとする。)等と明記されており,この中に商法266条1項に基づく本件の損害賠償請求権が含まれていることは明らかであるから,上記被告らの上記主張は,理由がない。サ被告A,同B,同C,同D及び同Eは,拓銀以外の会社は,その債権の内容が確定している場合を除き,商法266条1項に基づく拓銀の取締役に対する請求権を行使できないと解すべきである旨主張する。しかし,民法は,原則として債権譲渡を当事者の自由に委ねており,当事者の意思の合致により債権譲渡が行われた以上は,債権譲受人がその債権を行使できることは当然のことであって,商法266条1項所定の損害賠償請求権についても別異に解すべき理由はなく,特にこれを制限するような法令上の規定もない。したがって,上記被告らの上記主張は,理由がない。シ被告A,同B,同C,同D及び同Eは,原告は,約32万円で債権譲渡を受けながら,被告らに対して合計約61億円を請求しており,このような請求は権利の濫用に当たる旨主張する。しかし,上記(1)アで認定したとおり,原告は,資産買取の対価を総額1兆6163億4396万7439円としているのであって,このうち取締役であった被告らに対する商法266条1項に基づく損害賠償請求権のみを取り上げて,その譲渡価格を32万円とすることは根拠に欠けるというべき は,約32万円で債権譲渡を受けながら,被告らに対して合計約61億円を請求しており,このような請求は権利の濫用に当たる旨主張する。しかし,上記(1)アで認定したとおり,原告は,資産買取の対価を総額1兆6163億4396万7439円としているのであって,このうち取締役であった被告らに対する商法266条1項に基づく損害賠償請求権のみを取り上げて,その譲渡価格を32万円とすることは根拠に欠けるというべき 3億4396万7439円としているのであって,このうち取締役であった被告らに対する商法266条1項に基づく損害賠償請求権のみを取り上げて,その譲渡価格を32万円とすることは根拠に欠けるというべきであり,また,本件の取締役に対する損害賠償請求権の存否,その実際の債権額及びその回収可能額が必ずしも明らかとはいえない段階で本件債権譲渡が行われたことを考慮すれば,低額で債権譲渡を受けた原告が,本件について,合計約61億円の請求をしているとしても(ただし,本件訴訟においては合計8億円。),このことのみによって,本件の請求が権利の濫用に当たると解することはできない。したがって,上記被告らの上記主張は,理由がない。(4) 以上によれば,本件債権譲渡は有効であり,争点(1)についての被告らの主張は,理由がない。2 争点(2)(銀行の取締役の注意義務)について(1) 取締役は,会社から委任を受けてその職務を行っており(商法254条3項),会社に対して善管注意義務及び忠実義務(民法644条,商法254条の3)を負っている。そして,商法266条1項5号は,法令に違反する行為をした取締役はそれによって会社の被った損害を賠償する責めに任じる旨を規定するところ,取締役を名宛人とし,取締役の受任者としての義務を一般的に定める商法254条3項(民法644条),商法254条の3の規定及びこれを具体化して取締役がその職務執行に際して遵守すべき義務を個別的に定める規定が,上記の規定にいう「法令」に含まれることは明らかであるが,さらに,商法その他の法令中の,会社を名宛人とし,会社がその業務を行うに際して遵守すべきすべての規定も上記の規定にいう法令に含まれるものと解するのが相当である(最判平成12年7月7日民集54巻6号1767頁参照)。,会社を名宛人とし,会社がその業務を行うに際して遵守すべきすべての規定も上記の規定にいう法令に含まれるものと解するのが相当である(最判平成12年7月7日民集54巻6号1767頁参照)。 が,さらに,商法その他の法令中の,会社を名宛人とし,会社がその業務を行うに際して遵守すべきすべての規定も上記の規定にいう法令に含まれるものと解するのが相当である(最判平成12年7月7日民集54巻6号1767頁参照)。,会社を名宛人とし,会社がその業務を行うに際して遵守すべきすべての規定も上記の規定にいう法令に含まれるものと解するのが相当である(最判平成12年7月7日民集54巻6号1767頁参照)。ところで,銀行法は,銀行を名宛人とし,銀行がその業務を行うに際して遵守すべきことを定めた規定を含む法令であるから,そのような銀行法の具体的規定に違反した銀行の取締役は,商法266条1項5号により,これによって銀行の被った損害を賠償する責任を負うこととなるというべきである。銀行法1条1項は,「この法律は,銀行の業務の公共性に鑑み,信用を維持し,預金者等の保護を確保するとともに金融の円滑を図るため,銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し,もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」と規定しているところ,同項にいう銀行の業務の公共性及びその健全かつ適切な運営を期すること等は,銀行法の目的を宣言的に規定しているにすぎず,それ自体が具体的規範性を有するとはいえないから,同項の規定は,銀行の取締役について,善管注意義務違反ないし忠実義務違反を問うことができるか否かを判断する上で1つの要素となり得るものであるとしても,これに反する行為を行ったからといって,当然に商法266条1項5号にいう法令違反の行為があったとすべきものではない。このように,銀行の取締役は,銀行の業務執行に関し,銀行法が宣言的に定める信用の維持,預金者等の保護,銀行業務の健全かつ適切な運営,国民経済の健全な発展に資することといった銀行の負う責務を果たすことが求められているのであるから,その職務を行うに当たっては,このような銀行の責務に反することのないように務めることがその職責上要請されており(銀行法が銀行の取締役について兼職や信用供与を制限している趣旨も(7条,14条),同様 その職務を行うに当たっては,このような銀行の責務に反することのないように務めることがその職責上要請されており(銀行法が銀行の取締役について兼職や信用供与を制限している趣旨も(7条,14条),同様の理由に基づくものと解される。),こうした観点に立つ限り,他の一般の株式会社における取締役の負う注意義務よりも厳格な注意義務を負い,あるいは経営判断における裁量が限定されるような場合も生じることが予想されるが,それは,銀行の取締役の委任された事柄の性質に由来するものなのであって,銀行の取締役について,その業務と関わりなく,特別な取扱いをすべきものとすることの結果なのではない。 (7条,14条),同様の理由に基づくものと解される。),こうした観点に立つ限り,他の一般の株式会社における取締役の負う注意義務よりも厳格な注意義務を負い,あるいは経営判断における裁量が限定されるような場合も生じることが予想されるが,それは,銀行の取締役の委任された事柄の性質に由来するものなのであって,銀行の取締役について,その業務と関わりなく,特別な取扱いをすべきものとすることの結果なのではない。原告のこの点に関する主張は,以上の限度で採用することができる。(2) 取締役は,取締役会の構成員として,取締役会を通じて会社の業務執行を決し,取締役の職務の執行を監督することとされているが(商法260条1項),このことは,取締役が取締役会を離れてその職務を行うことが許されないとか,取締役会における職務の執行以外の場面で,会社の業務に属する職務を行うに当たり,取締役としての善管注意義務及び忠実義務を負わないということを意味するものではない。すなわち,取締役は,取締役会から委任された事項を行うに当たっては,当然その善管注意義務及び忠実義務に沿った職務を執行する義務があるし,また,その職務執行の過程で,代表取締役が委任された権限を濫用して会社の業務を執行し,あるいはしようとしていることを知ったときには,直ちに代表取締役にその職務の執行を取りやめるよう求め,これを受け容れられない場合には取締役会の招集を求めるなどの措置を講ずべきであり,これらを懈怠した場合には,その善管注意義務及び忠実義務に反したものと評価すべきである。本件においては,被告らは,拓銀の投融資会議の構成 には取締役会の招集を求めるなどの措置を講ずべきであり,これらを懈怠した場合には,その善管注意義務及び忠実義務に反したものと評価すべきである。本件においては,被告らは,拓銀の投融資会議の構成員として,その職務を行うに当たってした行為について,取締役としての注意義務違反が問われている。証拠(甲3の1,乙ロ8の1,2,乙ロ27,28,被告E本人,被告A本人)によれば,拓銀の投融資会議は,昭和59年,取締役会規程9条に基づき設置された常務会の決議により設置された拓銀の内部機関であり,いずれも取締役である頭取,副頭取及び担当本部長をもって構成員とし,本部長の権限を超える案件を決定するための機関と定められていることが認められる。 た行為について,取締役としての注意義務違反が問われている。証拠(甲3の1,乙ロ8の1,2,乙ロ27,28,被告E本人,被告A本人)によれば,拓銀の投融資会議は,昭和59年,取締役会規程9条に基づき設置された常務会の決議により設置された拓銀の内部機関であり,いずれも取締役である頭取,副頭取及び担当本部長をもって構成員とし,本部長の権限を超える案件を決定するための機関と定められていることが認められる。したがって,被告らが,投融資会議の構成員として行う職務については,取締役としての職務に関する行為として,善管注意義務及び忠実義務に沿うことが要請されるものであり,これらの義務に反する職務を行った結果,拓銀に損害を与えた場合には,取締役としての損害賠償責任を負うことは当然のことというべきである。(3) 以上の説示に反する被告らの主張は,採用することができない。3 争点(3)(本件小豆融資の違法性及び関与した取締役の責任)について(1) 被告A,同B,同C及び同Eは,本件小豆融資について,投融資会議の構成員として(被告Cは担当本部長として,被告Aは決裁権者である頭取として),関与したものであるから(ただし,被告C以外は,別紙小豆融資一覧表の番号6ないし8のみ。),まず,投融資会議における協議の実情について検討する。前記前提となる事実(6)ア及びイのとおり,投融資会議は,担当本部長の権限を超える案件(平成8年以前である本件小豆融資及び本件乾繭融資の行われた当時においては,一般取引先授信権限区分によれ 前記前提となる事実(6)ア及びイのとおり,投融資会議は,担当本部長の権限を超える案件(平成8年以前である本件小豆融資及び本件乾繭融資の行われた当時においては,一般取引先授信権限区分によれば,同一人に対する諸貸出共通限度額が30億円を超えるもので,本来,権限規程によれば,頭取,副頭取及び担当本部長の合議により決するものとされている。)を決定するための機関であるところ,証拠(甲3の1,3の2の1,2,甲19の1,乙ロ8の2,証人H,証人J,被告A本人)及び弁論の全趣旨によれば,投融資会議においては,担当本部長が付議し,構成員の協議を経て頭取が決定することとされ,規程上は毎週1回定例的に開催されることとなっているが,通常の案件は書類の持ち回り協議で行うものとされ,実際の運用も持ち回り協議がほとんどであったこと,決定の方法は担当本部長が付議し,構成員の協議を経て頭取が決定することとされていること,持ち回り協議においては,投融資会議構成員に対し,「諸貸出申請書」と題する書類が送付されるところ,その書類中には,申請されている融資の内容が詳細に記載され,必要な資料が添付され,その融資についての担当支店と業務本部の審査役の意見が付されていること,投融資会議に付議される案件については,他の案件と同様に事前に審査役が審査を行っており,審査役の段階で承認すべきではないと判断される案件が投融資会議に付議されることはなく,また,投融資会議に付議される案件は,事前に審査役と担当本部長との協議等による根回しが行われることもあって,不承認とされたことはなかったこと,投融資会議の持ち回り協議は,その構成員が諸貸出申請書に押印をすることによって行うこととされており,札幌在住の構成員から東京在住の構成員に順次送られ,決裁の順序は,他の構成員の押印が揃ってか 承認すべきではないと判断される案件が投融資会議に付議されることはなく,また,投融資会議に付議される案件は,事前に審査役と担当本部長との協議等による根回しが行われることもあって,不承認とされたことはなかったこと,投融資会議の持ち回り協議は,その構成員が諸貸出申請書に押印をすることによって行うこととされており,札幌在住の構成員から東京在住の構成員に順次送られ,決裁の順序は,他の構成員の押印が揃ってか こと,投融資会議の持ち回り協議は,その構成員が諸貸出申請書に押印をすることによって行うこととされており,札幌在住の構成員から東京在住の構成員に順次送られ,決裁の順序は,他の構成員の押印が揃ってから頭取が決裁印を押捺することが例であり,また,拓銀の業務統括部が昭和61年に作成した融資マニュアルによれば,投融資会議付議案件の申請は11日前(ダブルチェック案件は更に十分な余裕をみる。)必着と定められているが,実際の申請は遅れる場合も少なくなく,特に急を要する場合や構成員の一部が出張中で融資予定時期までに帰朝しないような場合等には,頭取の決裁がおりた後に,追認の扱いで事後承認がされることもあったこと,なお,拓銀の融資案件について一定の金額以上の案件については,リスク管理のため,ダブルチェックと称して,融資部(事業調査室)が事前に申請書を検討して,その意見を付すこととなっていたが,リスクのないことが明白な場合には,担当本部長限りの判断によりこれを省略することができることとされていたことが認められる。(2) 次に,拓銀のミヤシタに対する融資経過について検討する。証拠(甲10,20,21,41,46,55ないし66,67の1,2,甲69,75の1ないし3,甲76ないし80,乙ロ15)によれば,以下の事実が認められる。アミヤシタは,内装,看板工事を主たる業務として,帯広市に本店を置く会社であるが,大手スーパー長崎屋の内装工事指定業者として,北海道東北地区における長崎屋とその関連会社の内装工事のほとんどを受注し,平成元年以降は年商12億円ないし14億円を挙げていた。イ拓銀は,昭和44年ころから,MのL社長の紹介で,ミヤシタとの取引を開始したが,K社長の人柄や言動から,昭和52年の時点で既に要注意先とし,以後,総じて消極的方針を ないし14億円を挙げていた。イ拓銀は,昭和44年ころから,MのL社長の紹介で,ミヤシタとの取引を開始したが,K社長の人柄や言動から,昭和52年の時点で既に要注意先とし,以後,総じて消極的方針を堅持してきたものである。 億円を挙げていた。イ拓銀は,昭和44年ころから,MのL社長の紹介で,ミヤシタとの取引を開始したが,K社長の人柄や言動から,昭和52年の時点で既に要注意先とし,以後,総じて消極的方針を ないし14億円を挙げていた。イ拓銀は,昭和44年ころから,MのL社長の紹介で,ミヤシタとの取引を開始したが,K社長の人柄や言動から,昭和52年の時点で既に要注意先とし,以後,総じて消極的方針を堅持してきたものである。例えば,ミヤシタは,昭和52年3月,拓銀に対し,手形割引資金として2億円の融資を求めたところ,帯広支店では,ミヤシタとの取引開始がMのL社長の紹介によるものであるため,従来の取引ぶり,業態及び同業者の風評から,基本的には消極方針の取引先であることを挙げつつ,融資の追認を求めた。その短期諸貸出申請書によると,帯広支店としては,このような取扱いは今回限りとするとの意向を示し,本部も,要望事項として,以後の授信は消極とすることを挙げている。この融資の申請書には,当時審査第一部長であった被告Eが押印をし,当時担当専務取締役であった被告Aも押印をしている。ミヤシタに対する消極方針は,その後の短期諸貸出申請書にも常に明記されており,昭和55年11月まで,審査第一部長であった被告Eが押印をしている。また,K社長は,昭和54年3月,拓銀に求めた融資を帯広支店長から謝絶されたことから,当時副頭取であった被告Aにまで電話をかけ,結局,当時審査第一部長であった被告EがK社長に電話をかけて事を納めるという騒動があった。さらに,ミヤシタは,昭和54年7月,北洋銀行が貸出利率を下げたことを理由に拓銀も同様に利率を下げるべきであると申し入れてきた。その際の拓銀の諸貸出利率変更申請書(追認扱い)には,本部記入欄に,「極めて不本意であるが,社長は筋論の通らぬ人物で無用のトラブルを回避するためやむを得ず応諾」と記載され,当時審査第1部長であった被告Eが押印をしている。昭和55年9月にも同様の理由により利率の引下げを求められたのに対し, 長は筋論の通らぬ人物で無用のトラブルを回避するためやむを得ず応諾」と記載され,当時審査第1部長であった被告Eが押印をしている。昭和55年9月にも同様の理由により利率の引下げを求められたのに対し,本部では,引下げの範囲を縮減して承認したことがあり,その当時の審査第一部長の被告Eが申請書に押印をしている。 った被告Eが押印をしている。昭和55年9月にも同様の理由により利率の引下げを求められたのに対し, 長は筋論の通らぬ人物で無用のトラブルを回避するためやむを得ず応諾」と記載され,当時審査第1部長であった被告Eが押印をしている。昭和55年9月にも同様の理由により利率の引下げを求められたのに対し,本部では,引下げの範囲を縮減して承認したことがあり,その当時の審査第一部長の被告Eが申請書に押印をしている。加えて,昭和51年及び昭和57年に作成された短期諸貸出申請書にも,本部記入欄として,K社長の人柄が悪く支店でも苦労している先であること,K社長は自称Mの「L社長の一の乾分」と称して怒鳴るゴネ屋で有名な人物であり,役員室とも通々であるなどと記載されている。このように,拓銀では,K社長の悪しき人物人柄等を考慮して,ミヤシタとの取引を極力消極にとどめる方針を採ってきたものであり,長崎屋関連の商業手形の割引に限定して授信残高を抑制してきた。さらに,拓銀は,昭和62年,ミヤシタから,長崎屋の株式のいわゆる仕手戦に絡む資金の融資を申し込まれたが,上記方針を堅持して,これを謝絶し,その代わりに7億円(昭和63年からは9億円)の運転資金限度枠を設けて,その範囲での融資を行うことにした。ウところが,拓銀は,平成元年1月,ミヤシタに対し,上記の運転資金限度枠外で,ミヤシタが昭和62年ころから子会社であるコウシン商事を介して行っていた小豆取引の資金を貸し付けるようになった。これが本件小豆融資の始まりである。エミヤシタは,平成2年3月までに,コウシン商事を介して行っていた小豆取引を手仕舞ったが,莫大な欠損を生じ,この時点で,拓銀に対して16億5000万円の債務が残った。そこで,K社長は,平成2年10月5日,被告Cを訪れ,小豆相場での失敗を取り戻すため,生糸の現物取引を行いたいので,その必要資金として総額15億円の融資を依頼した。被告C 0万円の債務が残った。そこで,K社長は,平成2年10月5日,被告Cを訪れ,小豆相場での失敗を取り戻すため,生糸の現物取引を行いたいので,その必要資金として総額15億円の融資を依頼した。被告Cは,K社長に対し,話の中味は分かったので,現地の支店長と良く話し合ってほしいと答え,帯広支店に対し,直ちにその旨を伝えた。ミヤシタの構想では,平成2年10月から平成3年春にかけて総額25億円(北洋銀行から10億円,拓銀から15億円)で乾繭現物の相場取引を行い,60パーセントの値上がりが見込めれば,本件小豆融資による損失のほとんどを返済することができるというものであった。 億円の融資を依頼した。被告Cは,K社長に対し,話の中味は分かったので,現地の支店長と良く話し合ってほしいと答え,帯広支店に対し,直ちにその旨を伝えた。ミヤシタの構想では,平成2年10月から平成3年春にかけて総額25億円(北洋銀行から10億円,拓銀から15億円)で乾繭現物の相場取引を行い,60パーセントの値上がりが見込めれば,本件小豆融資による損失のほとんどを返済することができるというものであった。この融資については,拓銀が自ら行わずに,子会社のたくぎんファイナンスが取り扱うことになり,平成2年10月23日,拓銀帯広支店からその旨の報告がされ,被告D,同C及び同Bがその報告書に押印をしている。たくぎんファイナンスは,ミヤシタに対し,乾繭相場資金の融資を行い,平成3年2月までに,総額34億円の授信をした。その後,拓銀は,たくぎんファイナンスとの約束に従い,平成3年6月,ミヤシタに対し,たくぎんファイナンスの融資残金24億1500万円を肩代わりするための融資をするとともに,平成4年3月までの間,8回にわたり,乾繭相場の資金として,総額15億2000万円の融資を実行した。本件乾繭融資は,その最後の3回分である。オミヤシタは,平成4年4月以降,延滞となり,平成5年3月時点での貸出残債務総額は,本件小豆融資に係る損失分の16億5000万円に加えて,本件乾繭融資分や前記たくぎんファイナンスの肩代わり分等総額47億円余に上り,担保にとった乾繭の倉荷証券の売却等を行っても,なお34億円余の欠損が生ずる見通しとなった。(3) そこで,本件小豆融資の決裁に至るまでの審査の経 ァイナンスの肩代わり分等総額47億円余に上り,担保にとった乾繭の倉荷証券の売却等を行っても,なお34億円余の欠損が生ずる見通しとなった。(3) そこで,本件小豆融資の決裁に至るまでの審査の経緯について検討する。証拠(甲18,32,乙ロ12,証人H,証人I,被告C本人)によれば,以下の事実が認められる。ア拓銀業務本部第2支店部は,札幌市内の店舗以外の北海道内の店舗を担当しており,その次長兼審査役をしていたHは,審査役として帯広地区を担当していた。イ Hは,平成元年1月,ミヤシタからの融資案件が担当支店である帯広支店から審査部に上がってくる直前のころ,業務本部第2支店部長であったIとともに,担当本部長であった被告Cから呼出しを受け,帯広にミヤシタという取引先があって,支店長が頑張っており,今回,小豆資金について融資案件があるので良く検討してほしいという話があった。 しており,その次長兼審査役をしていたHは,審査役として帯広地区を担当していた。イ Hは,平成元年1月,ミヤシタからの融資案件が担当支店である帯広支店から審査部に上がってくる直前のころ,業務本部第2支店部長であったIとともに,担当本部長であった被告Cから呼出しを受け,帯広にミヤシタという取引先があって,支店長が頑張っており,今回,小豆資金について融資案件があるので良く検討してほしいという話があった。Hは,このように個別の新規案件で事前に上司から話があるのは初めてのことであり,また,ミヤシタの案件を扱うのは初めてのことであったが,かねてK社長の悪評と拓銀としての消極方針を聞いていたので,担当の帯広支店がなぜミヤシタとの取引に積極的になったのか疑問に感じた。ウ Hは,小豆相場資金の案件を扱うのも初めてのことであったので,前後して帯広支店から上がってきた融資案件について,早速商品取引そのものの仕組から調査を行った。Hとしては,相場に絡む案件で,資金使途が問題であるし,保全面でも担保のほとんどが規程外の添担保(拓銀の貸出業務取扱規程155条によれば,授信権限上無担保として扱うが,審査及び決裁において,実質的な価値を参酌するとされている。)である商品の倉荷証券であることから,問題の多い案件と感じたが,当時の業容拡大の傾向や,被告Cから事前 ば,授信権限上無担保として扱うが,審査及び決裁において,実質的な価値を参酌するとされている。)である商品の倉荷証券であることから,問題の多い案件と感じたが,当時の業容拡大の傾向や,被告Cから事前の話があったことから,上司の政策的判断による融資と受け止め,形式的に保全の措置が講じられるように申請書をまとめていった。拓銀に長く勤務しその頭取まで務めた被告Aは,相場のある商品取引の買付資金を貸し付けることは異例なことであり,実際上相場資金の貸付けが行われたことはなく,単純な投機を目的とした完全な相場資金であれば,決裁をしなかったと思われる旨供述している。エ本件小豆融資のうち,別紙小豆融資一覧表の番号1ないし4の融資案件は,審査手続の過程でダブルチェックが省略されているが,これは,主として,新規案件としては異例なほど融資申請から実行までの日程が短期間であったことに加え,ダブルチェックによる融資部の審査が行われても,必要となる追加資料をミヤシタの側から提供を受けることを期待することができない状況にあったためである。 しなかったと思われる旨供述している。エ本件小豆融資のうち,別紙小豆融資一覧表の番号1ないし4の融資案件は,審査手続の過程でダブルチェックが省略されているが,これは,主として,新規案件としては異例なほど融資申請から実行までの日程が短期間であったことに加え,ダブルチェックによる融資部の審査が行われても,必要となる追加資料をミヤシタの側から提供を受けることを期待することができない状況にあったためである。オ担保にとる倉荷証券は,拓銀が提携する倉庫業者以外の倉庫業者の倉庫に保管された商品に係るものであり,その枚数が膨大で,逐一裏書を受けることが事務作業として大変であり,その時点ではミヤシタ側の協力も容易には得難いことから,倉荷証券への裏書を留保してこれを預かることにとどめ,必要となったときには,いつでも裏書に協力するとの念書をミヤシタ及び担保提供者となるコウシン商事から差し入れさせることとして,規程に定める倉庫業者への通知と承諾書の徴求も免除して添担保の扱いとしたものである。カ本店融資部(事業調査部)は,平成元年2月,このような巨額の融資についてダブルチェックを省略することに疑問を呈し,早急に 業者への通知と承諾書の徴求も免除して添担保の扱いとしたものである。カ本店融資部(事業調査部)は,平成元年2月,このような巨額の融資についてダブルチェックを省略することに疑問を呈し,早急に改善するよう求める意見書を作成している。(4) 次に,本件小豆融資の決裁状況について検討する。後掲各証拠によれば,以下の事実が認められる。ア別紙小豆融資一覧表の番号1及び2記載の融資について(ア) この融資に係る諸貸出申請書(申請日平成元年1月20日,本部起案日同月28日,決定通知書同年2月3日)をみると,限度額又は金額として5億円,実行予定日として平成元年1月23日以降,最終期限として同年4月25日,期間として93日,使途・貸出条件として,①資金使途は,コウシン商事の北海道産磨小豆買付資金への転貸資金6億4300万円に充当すること,②限度外扱いとすること,③保証人の保証限度を14億円に引き上げること,④証書(ユーロ円口)は,ロンドン支店,香港支店又はシンガポール支店を勘定店とする本部指示取引とすること,⑤担保条件として,北海道産磨小豆30キログラム詰め80袋の倉荷証券234枚(時価2億6808万円,実担価格2億1446万4000円)及び融資対象の倉荷証券である北海道産磨小豆30キログラム詰め80袋の倉荷証券554枚(時価6億3102万5000円,実担価格5億0481万7000円)を担保取得すること等が記載され,担保条件補記として,倉荷証券の担保取得方法は,倉荷証券への担保提供者であるコウシン商事の裏書を留保扱いとして,別途念書を申し受け,規程に定める拓銀の契約倉庫会社以外の倉庫会社の発行した倉荷証券を担保取得することを認め,規程に定める担保取得についても倉庫会社宛て通知及び倉庫会社の承諾申受けを免 554枚(時価6億3102万5000円,実担価格5億0481万7000円)を担保取得すること等が記載され,担保条件補記として,倉荷証券の担保取得方法は,倉荷証券への担保提供者であるコウシン商事の裏書を留保扱いとして,別途念書を申し受け,規程に定める拓銀の契約倉庫会社以外の倉庫会社の発行した倉荷証券を担保取得することを認め,規程に定める担保取得についても倉庫会社宛て通知及び倉庫会社の承諾申受けを免 扱いとして,別途念書を申し受け,規程に定める拓銀の契約倉庫会社以外の倉庫会社の発行した倉荷証券を担保取得することを認め,規程に定める担保取得についても倉庫会社宛て通知及び倉庫会社の承諾申受けを免除し,担保について一部規程外扱いがあることから添担保とすること等が記載されているほか,本件扱い後,総授信残高が14億円となり,本件扱い後の保全状況は,根抵当権1億4500万円を考慮すると12億5500万円の保全不足となり,これに加えて倉荷証券7億1900万円を考慮しても5億3600万円の保全不足となるが,このほかにも未登記扱いの9200万円の根抵当権が担保としてあり,保証人のK社長(保証限度14億円)には1800万円の預金(内定期預金が1700万円)がある旨の記載がある(甲4の1)。(イ) また,上記諸貸出申請書には,起案備考として,①本件は,ミヤシタの関連会社であるコウシン商事宛て転貸資金であり,その資金をもって小豆買付けをするもので,小豆については,相場商品であり,少なからずのリスクを伴うものであり,ミヤシタの相場観は,中国小豆の凶作や道内作付面積の減少等により相場は堅調推移と読んで買付している模様であること,②本件扱い後の総授信額が14億円であるところ,保全状況は,根抵当権(一部未登記を含む。)実担価格2億3800万円(時価2億6800万円),株式実担価格2億0800万円(時価2億5900万円),倉荷証券(添担保扱い)実担価格7億1900万円(時価8億9900万円)の合計11億6500万円と評価され,2億3500万円の保全不足となり,証書預りの通知預金及び定期預金1億7400万円を考慮しても,6100万円の保全不足となり,株式及び倉荷証券の価格変動リスクのある担保ながら,時価ベースでは資金に見合う担保をとっていること,③ り,証書預りの通知預金及び定期預金1億7400万円を考慮しても,6100万円の保全不足となり,株式及び倉荷証券の価格変動リスクのある担保ながら,時価ベースでは資金に見合う担保をとっていること,③既存の授信限度額9億円(株式投資枠,一部小豆買付け)及び本件の5億円の授信(小豆買付け)は,共に銀行融資の対象としては消極であるものの,ⅰ資金に見合う担保を申し受けしていること,ⅱ本件5億円については,融資対象倉荷証券の売却により回収し,ベッタリ化しない点につき申入れ済みであること,ⅲ経営者であるK社長については,本件文化ホール建設時や西帯ニュータウンへのスーパー出店時にもみられるように,地元での影響力,実力はかなり大きい人物であり,従来同様「保全重視」「使途,回収財源,保全を確認しつつの是々非々」の対応が必要であり,本件については保全より融資可と考えるという趣旨の記載がある(甲4の1,7)。 ,融資対象倉荷証券の売却により回収し,ベッタリ化しない点につき申入れ済みであること,ⅲ経営者であるK社長については,本件文化ホール建設時や西帯ニュータウンへのスーパー出店時にもみられるように,地元での影響力,実力はかなり大きい人物であり,従来同様「保全重視」「使途,回収財源,保全を確認しつつの是々非々」の対応が必要であり,本件については保全より融資可と考えるという趣旨の記載がある(甲4の1,7)。(ウ) さらに,上記諸貸出申請書には,営業店意見として,①本件は,ミヤシタの関連会社であるコウシン商事が,北海道産磨小豆を購入するに際し,資金調達力の弱い同社に購入資金を転貸するものであること,②ミヤシタは,長崎屋系列の内装工事関係を一手に受注しているが,当期は好調な個人消費に支えられ,同社系列会社の出店,改装が盛んであったことで,大幅増収となっており,2月決算時点では,売上高1億2000万円,経常利益1500万円を見込んでいること,③来期に向けても順調に受注が入っており,3ないし5月で5億5000万円の工事の受注があること,④保全不足が大きいが,業況好調であり,購入物件の売却も確定していることから,回収財源は確保されること等の記載がある(甲4の3)。(エ) 上記諸貸出申請書に添付されて被告Cに回付された資料の中には,ミヤシタの 業況好調であり,購入物件の売却も確定していることから,回収財源は確保されること等の記載がある(甲4の3)。(エ) 上記諸貸出申請書に添付されて被告Cに回付された資料の中には,ミヤシタの取引現況表があり,ミヤシタの業種が建設業で,主扱品が室内装飾,ディスプレイであり,昭和63年3月決算期の売上高が8億3100万円,経常利益が1000万円であることが記載されているほか(甲4の2,証人H),ミヤシタ関連預金明細と題する書面があり,これには,保全額は,証書預りの通知預金及び定期預金合計1億7383万7000円,根抵当権1億4578万4000円,未登記扱根抵当権9261万2000円,倉荷証券(既存分234枚)2億1446万4000円,倉荷証券(予定分554枚)5億0481万7000円及び有価証券2億0740万6000円,合計13億3892万円であり,総授信額14億円に対して6108万円の不足となる旨の記載がある(甲4の9)。(オ) 上記申請書には,本件につきダブルチェック案件であるが,省略協議済みと記載され,担当本部長決裁として,被告Cが押印をしている。 9261万2000円,倉荷証券(既存分234枚)2億1446万4000円,倉荷証券(予定分554枚)5億0481万7000円及び有価証券2億0740万6000円,合計13億3892万円であり,総授信額14億円に対して6108万円の不足となる旨の記載がある(甲4の9)。(オ) 上記申請書には,本件につきダブルチェック案件であるが,省略協議済みと記載され,担当本部長決裁として,被告Cが押印をしている。イ別紙小豆融資一覧表の番号3及び4記載の融資について(ア) この融資に係る諸貸出申請書(申請日平成元年2月1日,本部起案日同月2日,決定通知書同月9日)には,限度額又は金額として,それぞれ3億5000万円及び2億円,実行予定日としてそれぞれ平成元年2月2日及び同月6日,最終期限としていずれも同年5月31日,期間としてそれぞれ119日,115日,使途・貸出条件として,①コウシン商事への転貸資金であること,②限度外扱いとすること,③保証人の保証限度を19億5000万円に引き上げること,④証書(ユーロ円口)は,ロンドン支店,香港支店又はシンガポール支店を勘定店とす コウシン商事への転貸資金であること,②限度外扱いとすること,③保証人の保証限度を19億5000万円に引き上げること,④証書(ユーロ円口)は,ロンドン支店,香港支店又はシンガポール支店を勘定店とする本部指示取引とすること,⑤担保条件として,北海道産磨小豆30キログラム詰め80袋の倉荷証券1123枚(時価12億9895万6000円,実担価格10億3916万4000円),昭和63年産の中華人民共和国産天津赤小豆60キログラム詰め40袋の倉荷証券127枚(時価1億0186万円,実担価格8148万8000円)及び昭和63年産の中華人民共和国産東北赤小豆60キログラム詰め40袋の倉荷証券77枚(時価4620万円,実担価格3696万円)を担保取得することが記載され,担保条件補記として前記ア(ア)と同様の記載がされている。本件扱い後,総授信残高が19億5000万円となり,本件扱い後の保全状況は,根抵当権1億4500万円を考慮すると,18億0500万円の保全不足となるが,このほかにも未登記扱いの9200万円の根抵当権,18億7600万円の倉荷証券が担保としてあり,保証人のK社長(保証限度額19億5000万円)には1800万円の預金(内定期預金は1700万円)がある旨の記載があり,さらに,営業店意見として,①ミヤシタの子会社であるコウシン商事の小豆買付資金として本件申込みとなったこと,②保全は,1月納会で現物受けした小豆の倉荷証券計1327枚を添担保として申し受けすること,③コウシン商事では,専任のディーラーを設けて手広く商いを行っており,12月末の中間見通しでは,5ないし6億円の利益を上げていること,④添担保扱いではあるが,相応の保全がとれることから,採り上げたいことが,起案備考として,①コウシン商事の小豆買付資金であり,本件扱い後,小豆資金 金として本件申込みとなったこと,②保全は,1月納会で現物受けした小豆の倉荷証券計1327枚を添担保として申し受けすること,③コウシン商事では,専任のディーラーを設けて手広く商いを行っており,12月末の中間見通しでは,5ないし6億円の利益を上げていること,④添担保扱いではあるが,相応の保全がとれることから,採り上げたいことが,起案備考として,①コウシン商事の小豆買付資金であり,本件扱い後,小豆資金 見通しでは,5ないし6億円の利益を上げていること,④添担保扱いではあるが,相応の保全がとれることから,採り上げたいことが,起案備考として,①コウシン商事の小豆買付資金であり,本件扱い後,小豆資金の累計が10億5000万円になること,②本件の倉荷証券の時価が14億4700万円で,実担価格が11億5700万円であること,③保全より融資可と考えること等がそれぞれ記載されている(甲5の1,4)。(イ) 上記諸貸出申請書に添付されて被告Cに回付された資料の中には,主扱品を除き,上記ア(エ)と同旨の記載のあるミヤシタの取引現況表があるほか(甲5の3),ミヤシタ保全状況と題する書面があり,これには,保全額は,通知預金及び定期預金合計1億7383万7000円,根抵当権1億4578万4000円,未登記扱い根抵当権9261万2000円,倉荷証券(既存分788枚)7億1928万1000円,倉荷証券(今回分1327枚)11億5761万2000円及び有価証券2億0740万6000円,合計23億2269万5000円であり,総授信額19億5000万円を5億4653万2000円上回ることとなる旨の記載がある(甲5の7)。(ウ) 上記申請書には,担当本部長決裁として,被告Cが押印をしている。ウ別紙小豆融資一覧表5ないし7記載の融資について(ア) この融資に係る諸貸出申請書(申請日平成元年2月2日,本部起案日同月6日,決定通知書同月13日)には,限度額又は金額としてそれぞれ4億円を3口,実行予定日としてそれぞれ平成元年2月6日,同月9日,同月14日,最終期限としていずれも同年5月31日,期間としてそれぞれ115日,112日,107日,使途・貸出条件として,①コウシン商事への転貸資金であること,②限度外扱いとすること,③保証人の保証限度 4日,最終期限としていずれも同年5月31日,期間としてそれぞれ115日,112日,107日,使途・貸出条件として,①コウシン商事への転貸資金であること,②限度外扱いとすること,③保証人の保証限度を31億5000万円に引き上げること,④証書(ユーロ円口)は,ロンドン支店,香港支店又はシンガポール支店を勘定店とする本部指示取引とすること,⑤担保条件として,今回コウシン商事が現受けした小豆倉荷証券1111枚のうち700枚(推定時価7億5600万円,実担価格6億0400万円。 112日,107日,使途・貸出条件として,①コウシン商事への転貸資金であること,②限度外扱いとすること,③保証人の保証限度を31億5000万円に引き上げること,④証書(ユーロ円口)は,ロンドン支店,香港支店又はシンガポール支店を勘定店とする本部指示取引とすること,⑤担保条件として,今回コウシン商事が現受けした小豆倉荷証券1111枚のうち700枚(推定時価7億5600万円,実担価格6億0400万円。)を添担保として申し受けし,残りの411枚は後日申受け予定であることが記載され,担保条件補記として,前記ア(ア)と同様の記載がされているほか,本件扱い後,総授信残高が31億5000万円となり,本件扱い後の保全状況は,根抵当権1億4500万円を考慮すると30億0500万円の保全不足となるが,このほかにも,未登記扱いの9200万円の根抵当権,24億8100万円の倉荷証券があり,保証人のK社長(保証限度31億5000万円)には1800万円の預金(内定期預金は1700万円)がある旨の記載があり,さらに,営業店意見として,ⅰコウシン商事の小豆買付資金への転貸資金としての申込みであり,同社では,従来2222枚の倉荷証券を保有していたが(内拓銀入担2115枚),今回の現受けにより,保有倉荷証券は3333枚になったこと,ⅱ1月末時点でのミヤシタからコウシン商事への短期貸付金は36億円で,拓銀と株式会社北洋銀行からの借入金は26億円(商業手形を除く。)であるから,差額の10億円については別途調達している模様であり,小豆買付資金としての貸付けは29億2000万円で,大半は先物市場で運用されていること,ⅲコウシン商事では7月末で手仕舞う予定であるが,5ないし6月から売り始める意向であ 途調達している模様であり,小豆買付資金としての貸付けは29億2000万円で,大半は先物市場で運用されていること,ⅲコウシン商事では7月末で手仕舞う予定であるが,5ないし6月から売り始める意向であるので,本件の最終期日はとりあえず5月31日とすること,ⅳ市況は上昇気運にあり,回収財源が明確なことから採り上げたいことが記載されている(甲6の1,5)。(イ) 上記諸貸出申請書には,起案備考として,①ミヤシタ及びK社長については長崎屋と太いパイプがあり,ミヤシタが,長崎屋及びその系列会社の内装工事関係を一手に受注し,K社長が,長崎屋持株会の理事長を務めていること,②K社長が代表取締役を務めるサンランド開発が,帯広市民文化ホールのオーナーとなり,それを帯広市に賃貸していたり,西帯ニュータウンへのスーパー出店をめぐって地元企業グループと長崎屋系列のサンドールが競合し,結果的にサンドールの出店が決まったが,この背後にK社長の影響があったとされているなど,ミヤシタ及びK社長は地元で大きな影響力を有していること,③ミヤシタの系列会社には,不動産賃貸,管理業を行う株式会社ノアビルディング及びサンランド開発並びに穀物取扱いの仲介業のほか商品相場の取扱いを行うコウシン商事があること,④従前の小豆資金融資の経緯について,コウシン商事への転貸資金として,平成元年1月20日付けで5億円の証書貸付け,同月26日付けで5000万円の手形貸付け,同年2月1日付けで5億5000万円の証書貸付けが申請され,実行されてきたこと,⑤倉荷証券担保について,拓銀の規程では正式担保としているが,本件では,倉荷証券への裏書を留保扱いとして念書を申し受け,拓銀契約倉庫以外の発行した倉荷証券を担保取得することを認め,拓銀担保取得についての倉庫会社宛て通知及び倉庫会社の承諾 平成元年1月20日付けで5億円の証書貸付け,同月26日付けで5000万円の手形貸付け,同年2月1日付けで5億5000万円の証書貸付けが申請され,実行されてきたこと,⑤倉荷証券担保について,拓銀の規程では正式担保としているが,本件では,倉荷証券への裏書を留保扱いとして念書を申し受け,拓銀契約倉庫以外の発行した倉荷証券を担保取得することを認め,拓銀担保取得についての倉庫会社宛て通知及び倉庫会社の承諾 式担保としているが,本件では,倉荷証券への裏書を留保扱いとして念書を申し受け,拓銀契約倉庫以外の発行した倉荷証券を担保取得することを認め,拓銀担保取得についての倉庫会社宛て通知及び倉庫会社の承諾申受けを免除するという規程外扱いがあるため,添担保としているが,法律上は,譲渡担保として占有が第三者対抗要件であり,実際上も出庫には倉荷証券の呈示が必要なことから,担保としての効力は見込めるものの,担保価値については,価格変動リスクのある担保であり,安全性に若干欠けること,⑥本件扱い後の保全バランスについて,ミヤシタに対する融資のみについてみると,総授信額31億5000万円となるところ,正式担保は根抵当権1億4500万円で,30億0500万円の保全不足となるが,これに添担保(未登記扱いの根抵当権9200万円,倉荷証券24億8100万円,株式2億0700万円。)を含めて考慮すると,保全額合計は29億2500万円となり,2億2500万円の保全不足となり,さらに,時価ベースで考えると,根抵当権1億6700万円,未登記扱根抵当権9200万円,倉荷証券31億0200万円,株式2億9800万円,合計36億5900万円となり,保全額が総授信額を5億0900万円上回ること,⑦本件は,保全面については,倉荷証券を担保に申し受けることにより,裏付けはほぼ確保されていること,小豆相場の動向については,現時点で確固とした判断はできかねるが,過去の推移をみても,1袋の平均単価は1万3000円ないし1万4000円台で底堅い動きを示していること,季節的には5ないし6月がピークとなり,本年もある程度の高値が予想されることから,懸念は少ないと考えられること,借主は,7月に手仕舞う予定であり,比較的短期の取引であり,ベッタリ化しないこと,借主グループの資産状況からみて, となり,本年もある程度の高値が予想されることから,懸念は少ないと考えられること,借主は,7月に手仕舞う予定であり,比較的短期の取引であり,ベッタリ化しないこと,借主グループの資産状況からみて,万一損失が発生しても,補填については懸念ないものと判断されること,少なくとも,借主は従来拓銀に対して不義理はなかったことから,資金使途等若干問題はあるものの,採上げ可と考えること,⑧今後の対応方針について,借主から,今後の相場動向によっては,更に3ないし5億円程度の追加融資が発生する旨申入れがあるが,拓銀としては,保全重視,かつ,使途,回収財源を確認しつつ,是々非々の対応で臨むこと等が記載されている(甲6の2)。 ても,補填については懸念ないものと判断されること,少なくとも,借主は従来拓銀に対して不義理はなかったことから,資金使途等若干問題はあるものの,採上げ可と考えること,⑧今後の対応方針について,借主から,今後の相場動向によっては,更に3ないし5億円程度の追加融資が発生する旨申入れがあるが,拓銀としては,保全重視,かつ,使途,回収財源を確認しつつ,是々非々の対応で臨むこと等が記載されている(甲6の2)。(ウ) 上記諸貸出申請書の添付書類の中には,十勝産の小豆の現物取引の相場表があり,これによれば,昭和61年の相場は,1袋(30キログラム)当たり,高値が1万2000円(1月)から1万6800円(8月)までの間で,低値が1万1400円(1月)から1万5300円(9月)までの間で,平均値が1万1680円(1月)から1万5990円(9月)までの間でそれぞれ推移し,昭和62年の相場は,1袋(30キログラム)当たり,高値が1万3600円(1月)から1万5100円(11月)までの間で,低値が1万3000円(1月)から1万4400円(12月)までの間で,平均値が1万3430円(8月)から1万4620円(12月)までの間でそれぞれ推移し,昭和63年の相場は,1袋(30キログラム)当たり,高値が1万4200円(12月)から1万7600円(5月)までの間で,低値が1万3800円(11月及び12月)から1万6800円(5月)までの間で,平均値が1万4030円(12月)から1万7240円(5月)までの間でそれぞれ推移していたことが分かる。また の間で,低値が1万3800円(11月及び12月)から1万6800円(5月)までの間で,平均値が1万4030円(12月)から1万7240円(5月)までの間でそれぞれ推移していたことが分かる。また,上記添付書類には,北海道穀物商品取引所における先物取引約定値段(平均値)の表があり,これによれば,昭和63年5月限月分から平成元年7月限月分までの先物取引相場は,1袋当たり1万2640円から1万5580円までの間で推移していたことが分かる。上記添付書類の中には,小豆の年間国内消費量が150万俵ないし160万俵である旨の記載もある(甲6の2)。(エ) 上記諸貸出申請書の添付資料の中には,上記ア(エ)記載のミヤシタの取引現況表がある(甲6の3)ほか,ミヤシタ保全状況と題する書面があり,これには,保全額は,通知預金及び定期預金合計1億7383万7000円,根抵当権1億4578万4000円,未登記扱根抵当権9261万2000円,倉荷証券(既存分2115枚)18億7689万3000円,倉荷証券(2月8日予定分約700枚)約6億0400万円,倉荷証券(2月8日以降予定分約411枚)約3億5500万円及び有価証券2億0740万6000円,合計34億5553万2000円であり,総授信額31億5000万円を3億0553万2000円上回る旨の記載がある(甲6の7)。 当権1億4578万4000円,未登記扱根抵当権9261万2000円,倉荷証券(既存分2115枚)18億7689万3000円,倉荷証券(2月8日予定分約700枚)約6億0400万円,倉荷証券(2月8日以降予定分約411枚)約3億5500万円及び有価証券2億0740万6000円,合計34億5553万2000円であり,総授信額31億5000万円を3億0553万2000円上回る旨の記載がある(甲6の7)。(オ) 上記申請書には,一部追認扱いとの記載があり,担当本部長である被告C,副頭取である被告B及び被告E並びに頭取である被告Aがそれぞれ押印をしている。エ別紙小豆融資一覧表の番号8記載の融資について(ア) この融資に係る諸貸出申請書(申請日平成元年2月20日,本部起案日同月23日,決定通知書同年3月15日)には,限度額又は金額として5億円,実行予定日として同年2月21 の融資について(ア) この融資に係る諸貸出申請書(申請日平成元年2月20日,本部起案日同月23日,決定通知書同年3月15日)には,限度額又は金額として5億円,実行予定日として同年2月21日,最終期限として同年5月31日,期間として100日,使途・貸出条件として,①コウシン商事への転貸資金,②限度外扱いとすること,③保証人の保証限度を36億5000万円に引き上げること,④証書(ユーロ円)は,ロンドン支店,香港支店又はシンガポール支店を勘定店とする本部指示取引とすること,⑤担保条件として,北海道産磨小豆30キログラム詰め80袋の倉荷証券17枚(時価1970万円,実担価格1576万円)及び110枚(時価1億2400万円,実担価格9920万円)を担保取得することが記載され,担保条件補記として前記ア(ア)と同様の記載がされているほか,本件扱い後総授信残高が36億5000万円となり,本件扱い後の保全状況は,根抵当権1億4500万円を考慮すると35億0500万円の保全不足となるが,このほかにも,未登記扱いの9200万円の根抵当権,30億4100万円の倉荷証券が担保としてあり,保証人のK社長(保証限度36億5000万円)には,1800万円の預金(内定期預金は1700万円)がある旨の記載がある(甲7の1,4)。(イ) また,上記諸貸出申請書には,営業店の意見として,①コウシン商事の小豆買付資金への転貸資金としての申込みで,穀物取引所の2月納会が22日に予定されており,その決済資金として転貸するものであること,②ミヤシタの業況は,売上高順調に進展しており,決算では売上高12億円,経常利益1500万円を見込んでいること,③コウシン商事では,例年,現受けした小豆をホクレンに転売しており,現在のホクレンの買入価格は1万5500円前後で 請書には,営業店の意見として,①コウシン商事の小豆買付資金への転貸資金としての申込みで,穀物取引所の2月納会が22日に予定されており,その決済資金として転貸するものであること,②ミヤシタの業況は,売上高順調に進展しており,決算では売上高12億円,経常利益1500万円を見込んでいること,③コウシン商事では,例年,現受けした小豆をホクレンに転売しており,現在のホクレンの買入価格は1万5500円前後で 調に進展しており,決算では売上高12億円,経常利益1500万円を見込んでいること,③コウシン商事では,例年,現受けした小豆をホクレンに転売しており,現在のホクレンの買入価格は1万5500円前後で,ミヤシタの平均現受価格約1万4500円を上回っているが,ミヤシタとしては,中国産小豆不作,新天皇即位で今後一層の高値を予想しており,5ないし6月ころまで保有の後に売却する意向であること,④相応の保全が確保されており,引き続き支援したいことが記載されているほか,起案備考として,(1)コウシン商事の小豆買付資金としての申込みであり,本件により,小豆資金としての貸出額が累計で27億5000万円となること,(2)総授信額36億5000万円に対し,本件扱い後のミヤシタの保全状況は,時価ベースでは,根抵当権(未登記扱いを含む。)2億6800万円,株式2億2900万円,倉荷証券(合計3353枚)38億円,合計42億9700万円,実担価格ベースでは,根抵当権1億4500万円,未登記扱根抵当権9200万円,株式1億8300万円,倉荷証券(合計3353枚)30億3900万円,合計34億5900万円となること,(3)本件保全の大部分を占める倉荷証券には,ⅰ規程に定める拓銀契約倉庫以外の倉庫の発行する倉荷証券を担保として申し受けていること,ⅱ倉荷証券へのコウシン商事の裏書を留保していること,ⅲ倉庫会社と担保取得に関する契約を締結しないこと,ⅳ倉荷証券の担保申受けに当たり,担保品受入通知及び倉庫会社からの承諾書申受けを行わないこと,ⅴ商品価格が下落した場合に追担差入れも含め,ミヤシタがそれに耐え得るか疑問であること等の問題点を含むものであるが,法律的には,質権又は譲渡担保の場合でも,担保差入証を徴求し,譲渡裏書を求めて引渡しを受け,保管するのみで足り,倉庫会 も含め,ミヤシタがそれに耐え得るか疑問であること等の問題点を含むものであるが,法律的には,質権又は譲渡担保の場合でも,担保差入証を徴求し,譲渡裏書を求めて引渡しを受け,保管するのみで足り,倉庫会社への通知は要件ではないこと,裏書について念書を申し受けていることから,有効と解されるし,経済的には,時価ベースでは保全フルカバーであるが,価格の不安定な商品であるだけに,価格変動のリスクは避けられないものの,過去及び現状の値動きが堅調であること,先物でなく現物を確保していることから,懸念が少ないと考えられること,ⅳミヤシタに対する授信は財テクの一種であるが,商品担保申受けにより,保全が確保されていること,比較的短期の貸出しであること,K社長の実力があることから,採上げ可としたい旨の記載がある(甲7の2)。 では保全フルカバーであるが,価格の不安定な商品であるだけに,価格変動のリスクは避けられないものの,過去及び現状の値動きが堅調であること,先物でなく現物を確保していることから,懸念が少ないと考えられること,ⅳミヤシタに対する授信は財テクの一種であるが,商品担保申受けにより,保全が確保されていること,比較的短期の貸出しであること,K社長の実力があることから,採上げ可としたい旨の記載がある(甲7の2)。(ウ) 上記諸貸出申請書の添付資料の中には,前記ア(エ)と同旨の記載のあるミヤシタの取引現況表があるほか(甲7の3),ミヤシタ保全状況と題する書面があり,これには,保全額は,通知預金及び定期預金合計1億7383万7000円,根抵当権1億4578万4000円,未登記扱根抵当権9261万2000円,倉荷証券(既存分3226枚)29億2674万9000円,倉荷証券(新規127枚)11億4960万円,及び株式1億8487万9000円,合計36億3882万1000円であり,総授信額36億5000万円に対して1117万9000円の不足となるが,株式売却代金5400万円が流動性預金に滞留しており,3月6日期日の手形貸付け5000万円の返済に充当する予定であるので,実際は+3882万1000円となる旨の記載がある(甲7の6)。(エ) 上記申請書には,担当本部長である被告C,副頭取である被告B及び被告E並びに頭取である被告Aの各押印が 予定であるので,実際は+3882万1000円となる旨の記載がある(甲7の6)。(エ) 上記申請書には,担当本部長である被告C,副頭取である被告B及び被告E並びに頭取である被告Aの各押印がある。(5) 次に,銀行の融資に関与する取締役の注意義務について検討する。銀行は,大衆から広く預金を受け入れ,これを原資として,企業や個人等に対して必要な資金を供給するというわが国の経済活動の中枢を占める資金仲介機能を有することから,銀行法を始めとするさまざまな規制を受け,内閣総理大臣(平成元年当時は大蔵大臣)の免許を受けなければこれを営むことができないものとされている。したがって,銀行が,その業務として融資を行うに当たっては,株式会社としての営利性の観点に立って利潤の追求を図ることは当然のことではあるけれども,他方で,大衆から受け入れた莫大な資金を背景に免許を受けて貸付業を行うという側面からは,その業務内容そのもののほか,その業容や業績も公共の利害に深く関わっているというべきであり,このためその健全かつ適正な業務の運営が求められる結果,一般の企業と比べて安全性や確実性の要請が一層強く働くことは否めないところであるし,また,銀行業の免許を受けたわが国の代表的な金融業者としては,広く国民経済の健全な発展に寄与することが期待されているものということができる。 受けて貸付業を行うという側面からは,その業務内容そのもののほか,その業容や業績も公共の利害に深く関わっているというべきであり,このためその健全かつ適正な業務の運営が求められる結果,一般の企業と比べて安全性や確実性の要請が一層強く働くことは否めないところであるし,また,銀行業の免許を受けたわが国の代表的な金融業者としては,広く国民経済の健全な発展に寄与することが期待されているものということができる。特に全国規模でその営業活動を行っている都市銀行においては,そのような期待が一層強く寄せられており,銀行の側でもそのような期待に応えるべく,業務の健全性と信用の維持に務めてきたところと考えられる。そして,そのような役割が期待される銀行の取締役としては,当然,委任者である銀行が受けるそのような期待に応えるべく,その職務を行うことが求められていることはいうまでもない。もと えられる。そして,そのような役割が期待される銀行の取締役としては,当然,委任者である銀行が受けるそのような期待に応えるべく,その職務を行うことが求められていることはいうまでもない。もとより,株式会社の取締役は,経営の専門家として会社の経営を委任されている者であるから,その任務を遂行するため,専門的な知識と経験に基づき,合目的的で総合的,政策的な判断をすることが常に求められているのであって,その判断が広範な裁量に委ねられていることはいうまでもない。したがって,銀行の取締役が決裁した融資が,結果的に回収不能となり,銀行に損害をもたらしたとしても,それだけで直ちに取締役に善管注意義務違反ないし忠実義務違反があったということはできない。取締役の広範な裁量に照らせば,融資の時点における判断として,例えば,融資の相手方の信頼性や将来性が高く,また,融資対象である事業や設備投資の社会的有用性あるいは将来性が肯定されるといった場合には,将来の回収可能性に不安が残り,融資時点においては確実な担保を徴することができないときでも,広く産業を保護育成するという観点から,当該企業の将来性への投資という趣旨で,融資に踏み切ることも,その裁量の範囲内にある相当な判断ということができる場合が多いと思われる。他方,このような場合には当たらず,融資金の使途が本業外に関わるいわゆる財テクであって,社会的に有用な産業の保護育成に資することにもつながらず,しかも,本業での利益をもって回収に充てることができず,かつ,類型的に回収不能の危険性が少なくないと容易に予想することができるにもかかわらず,十分な担保を取ることなく融資を実行し,あるいはこれを知りながら放置するというようなことは,その裁量を逸脱した判断として,善管注意義務違反ないし忠実義務違反に当たるというべ に関わるいわゆる財テクであって,社会的に有用な産業の保護育成に資することにもつながらず,しかも,本業での利益をもって回収に充てることができず,かつ,類型的に回収不能の危険性が少なくないと容易に予想することができるにもかかわらず,十分な担保を取ることなく融資を実行し,あるいはこれを知りながら放置するというようなことは,その裁量を逸脱した判断として,善管注意義務違反ないし忠実義務違反に当たるというべ ができるにもかかわらず,十分な担保を取ることなく融資を実行し,あるいはこれを知りながら放置するというようなことは,その裁量を逸脱した判断として,善管注意義務違反ないし忠実義務違反に当たるというべきである。証拠(甲109の1,2)によれば,拓銀においては,平成2年4月24日付けで,従前の通牒を統合した「貸出運営上の留意点」と題する書面が作成されているところ,その内容に照らすと,その当時の拓銀における融資の基本的な姿勢を示すものと考えられる。この書面によれば,授信管理上の留意点として,借入申込みを受けたときは,貸出先の外見だけにとらわれず貸出先の信用力や将来性の調査の結果に基づき,企業内容,事業計画,資金使途,回収財源,商業手形の成因調査等に基づく判断を優先させ,担保や保証は補完的な判断材料とすることをもって基本姿勢とし,回収財源,返済能力の検討については,貸出金は貸出先から約束どおりに約定利息を含めて全額回収するものであり,運転資金は売上代金によって,設備資金は内部留保(純利益+減価償却等-配当・役員賞与等)によって回収することが基本であるとし,財テク,為替投機については,時として企業の死命を制するので,その規模が会社の体力を超えたものでないか,潜在的な損失を内包していないかなど十分な注意を払って調査をすべきであるとされている。拓銀に長年勤務し,融資の審査を行ってきた関係者も,融資は総合判断であり,融資先の人物の評価が重要であることを一致して供述している(証人J,被告A本人)。(6) 以上の認定判断に基づき,本件小豆融資に関係する被告らの責任について検討する。ア本件小豆融資の資金使途は,いずれもミヤシタの子会社であるコウシン商事の小豆買付資金への転貸資金であるところ,小豆は古くから投機性の高い相場商品として する被告らの責任について検討する。ア本件小豆融資の資金使途は,いずれもミヤシタの子会社であるコウシン商事の小豆買付資金への転貸資金であるところ,小豆は古くから投機性の高い相場商品として知られており,本件小豆融資の各諸貸出申請書からもその点を読み取ることができる。 の資金使途は,いずれもミヤシタの子会社であるコウシン商事の小豆買付資金への転貸資金であるところ,小豆は古くから投機性の高い相場商品として する被告らの責任について検討する。ア本件小豆融資の資金使途は,いずれもミヤシタの子会社であるコウシン商事の小豆買付資金への転貸資金であるところ,小豆は古くから投機性の高い相場商品として知られており,本件小豆融資の各諸貸出申請書からもその点を読み取ることができる。また,上記諸貸出申請書に添付されているミヤシタの取引現況表には,ミヤシタの業種が建設業であり,主扱品が室内装飾,ディスプレイであることが明記されているから,ミヤシタがコウシン商事を通じて行おうとしていた小豆買付けが,事業資金とか設備資金といった本来の業務に関わる使途なのではなく,小豆相場の変動を利用して,小豆を安価で買い付け,将来高値で転売して差額を利得するという意味での投機購買であることは明らかであった。また,上記取引現況表をみれば,ミヤシタが当時,売上高8億3100万円,経常利益1000万円の規模の会社であったことは明らかであったところ,ミヤシタに対しては,既に,融資枠として9億円の貸付けがありその使途も株式の購入と小豆資金に使用されているという状況のもとで,当初の5億円の融資(別紙小豆融資一覧表1及び2の融資)を行う時点ですら,既にミヤシタの年間売上高の半年分以上の,また,経常利益の50年分にも上る資金を,本業に関わりのない相場の投機資金として新たに融資しようとするものであり,その後の融資は,更にその融資金額を増大させていくもので,結局,本件小豆融資の額は,わずか1か月の間に,年間売上高の3倍以上,年間経常利益の実に275年分に当たる総額27億5000万円にも上る莫大な金額にまで達した。このように,本件小豆融資は,ミヤシタに対し,その年商及び経常利益をはるかに超える金融上の授信を行おうとするものであることに加え,目的となる小豆の相場の変動により 莫大な金額にまで達した。このように,本件小豆融資は,ミヤシタに対し,その年商及び経常利益をはるかに超える金融上の授信を行おうとするものであることに加え,目的となる小豆の相場の変動により,類型的に回収不能となる危険性の少なくない使途に係るものであることが明らかであったというべきであるから,融資を承認することは,十分な保全措置がない限り,取締役としての善管注意義務に抵触する行為であるというべきである。 莫大な金額にまで達した。このように,本件小豆融資は,ミヤシタに対し,その年商及び経常利益をはるかに超える金融上の授信を行おうとするものであることに加え,目的となる小豆の相場の変動により,類型的に回収不能となる危険性の少なくない使途に係るものであることが明らかであったというべきであるから,融資を承認することは,十分な保全措置がない限り,取締役としての善管注意義務に抵触する行為であるというべきである。イそこで,その保全状況をみると,当初の5億円の融資(別紙小豆融資一覧表1及び2の融資)については,既存の貸付分と併せて14億円の融資となる担保が13億3900万円とされ,そのうち7億1900万円分がミヤシタの買い付けた小豆の倉荷証券を担保とするものであり,この新たな5億円の貸付けに伴い追加取得した担保はすべて小豆の倉荷証券であった(K社長の個人保証の増額については,それに見合う裏付があると認め得る証拠はない。)。しかも,その際に担保として差し入れる倉荷証券は,554枚で,既存分を併せると788枚(1枚当たり2400キログラムなので,1891.2トン)にも上るところ,諸貸出申請書によると,当時の小豆の国内消費量が年間150ないし160万俵,すなわち1俵当たり60キログラムで計算すると9万ないし9万6000トンであったというのであるから,それを融資期間の3か月以内に売却処分するとすると,国内消費量の約8パーセント(1,891.2÷(90,000÷12×3))の小豆を市場に売りに出す計算となる。その後の融資は更に多くの小豆の倉荷証券のみを担保として受け入れるものであって,本件小豆融資により,拓銀が担保として取得した倉荷証券の数量は,最大で3353枚,8047.2トンの小豆にも相当し,最終融資分の融資期間である約4か月間にこ のみを担保として受け入れるものであって,本件小豆融資により,拓銀が担保として取得した倉荷証券の数量は,最大で3353枚,8047.2トンの小豆にも相当し,最終融資分の融資期間である約4か月間にこれをすべて売却処分すると考えると,国内消費量の約4分の1の小豆を市場に売りに出す計算となる(8,047.2÷(90,000÷12×4))。本件小豆融資は,ミヤシタの本業の資金の融資ではないから,その回収は挙げてその買付けに係る小豆の処分に係るところ,上記のような莫大な量に上る小豆を約定のような短期間のうちに処分するとすれば大幅な値崩れがおこることは必至というべきである。 融資期間である約4か月間にこれをすべて売却処分すると考えると,国内消費量の約4分の1の小豆を市場に売りに出す計算となる(8,047.2÷(90,000÷12×4))。本件小豆融資は,ミヤシタの本業の資金の融資ではないから,その回収は挙げてその買付けに係る小豆の処分に係るところ,上記のような莫大な量に上る小豆を約定のような短期間のうちに処分するとすれば大幅な値崩れがおこることは必至というべきである。融資金の返済は,担保としてとる小豆を売却換価して得た利益から行うことが予定されているわけであるが,その値下がりにより融資金の回収ができないという事態が生じた場合には,その担保そのものも値下がりをしているため,実質的には,担保としての機能を果たしていないというほかはないのである。また,小豆は,前記のとおり価格変動の大きい商品であり,その処分のためには,変動する相場の状況に応じた機敏な対応が必要となるにもかかわらず,前記のように担保に取得した小豆の倉荷証券については,コウシン商事から念書を徴求しているとはいえ,その裏書を留保する扱いとし,機敏な担保実行を困難とするような担保取得方法を容認しているのであって,後の回収作業を困難にさせる難題を残した取扱いであったといわざるを得ない。ウところで,銀行法10条2項は,銀行の行うことのできる付随業務として,投資の目的をもってする有価証券指数等先物取引や金融先物取引等の受託を挙げており,銀行が先物取引を行うことを禁じているわけではないことからして,また,銀行も営利会社であることからしても,投機目的の相場資金を貸し付け する有価証券指数等先物取引や金融先物取引等の受託を挙げており,銀行が先物取引を行うことを禁じているわけではないことからして,また,銀行も営利会社であることからしても,投機目的の相場資金を貸し付けることそのものが許されないということはできない。しかし,本業でもない投機相場への資金融資は,社会的に有用な産業の育成,あるいは国民経済への貢献といった本来都市銀行に強く期待される目的のための融資ではない以上,単なる利潤の追求という金融ビジネスの観点から,銀行としての回収の安全性や確実性の要請が一層強く働くところであり,特に本件のように経常利益を大幅に上回る金額に係る莫大な量の相場商品の買付代金の融資にあっては,それ自体の処分動向によってさえ買付商品の価値が大きく変動することも予想されなくはないのであって,その商品の担保価値を重視することはできず,それ以外の担保が相当程度にあるため相応の保全措置が講じられていると判断される場合に限って,融資を行うことが許されると解するのが相当である。 請が一層強く働くところであり,特に本件のように経常利益を大幅に上回る金額に係る莫大な量の相場商品の買付代金の融資にあっては,それ自体の処分動向によってさえ買付商品の価値が大きく変動することも予想されなくはないのであって,その商品の担保価値を重視することはできず,それ以外の担保が相当程度にあるため相応の保全措置が講じられていると判断される場合に限って,融資を行うことが許されると解するのが相当である。なお,上記の諸貸出申請書中の記載及び被告E本人の供述中には,平成元年当時あるいはそれ以前の小豆の相場は比較的安定をしていたとの部分があるが,本件小豆融資がされた当時のそれは,ミヤシタが買い付けた小豆が市場に出回らない状態での市場における価格にすぎないし,もともと相場取引自体が先行きが不透明で価格の大幅な変動を期待して投機が行われる傾向が強いことは公知の事実というべきであるから,結果として相場の変動が大きなものとはならなかったとしても,何ら前記判断を左右するものではない。エそうすると,本件小豆融資は,いずれも,本業での利益をもって回収に充てることができず,かつ,類型的に回収不能の危険が少なくないと容易に予想することができるような融資であ を左右するものではない。エそうすると,本件小豆融資は,いずれも,本業での利益をもって回収に充てることができず,かつ,類型的に回収不能の危険が少なくないと容易に予想することができるような融資であるにもかかわらず,十分な担保を取ることなく実行されたものということができるから,これを行うことは,取締役としての善管注意義務に反するというべきである。特に,被告Cは,担当本部長として,別紙小豆融資一覧表1ないし4の融資を専決したところ,本来要求されているダブルチェックを,主としてミヤシタが資料申受けや追加説明聴取の困難な先であるという不可解な理由で省略してまで決裁を急いだものであるが,むしろ,ミヤシタの本業でもない小豆の相場資金融資という使途に鑑みれば,一層の慎重な調査及び審査を求めるのがその職責に属することというべきであり,仮にその供述するようにK社長の悪評を知らなかったとしても,そのような慎重な調査を命じていれば,容易に過去の消極的な融資方針が判明し,引き続きミヤシタに対しては消極姿勢を貫くべきであることが明らかとなったと考えられるにもかかわらず,かえって,審査部局に圧力をかけたと受け取られかねない軽率な行動をとって,審査を督促したものであるから,その責任は重大である。 めるのがその職責に属することというべきであり,仮にその供述するようにK社長の悪評を知らなかったとしても,そのような慎重な調査を命じていれば,容易に過去の消極的な融資方針が判明し,引き続きミヤシタに対しては消極姿勢を貫くべきであることが明らかとなったと考えられるにもかかわらず,かえって,審査部局に圧力をかけたと受け取られかねない軽率な行動をとって,審査を督促したものであるから,その責任は重大である。また,被告A及び被告Eは,いずれも,昭和50年代にその業務を行う過程で,K社長の特異な言動に接し,その悪評を見聞しているのであるから,本件当時もその人物像を十分に知っていたか,仮に過去のこととして忘却していたとしても,本件の融資の目的及び金額自体が異例の内容であることに思いを致せば,融資先が過去に問題案件とされ,人物としても信を措けないK社長の経営に係るミヤシタであることは容易に想到することができたはずであり(そうでなければ,そのこと自体が,その経歴に照らし に思いを致せば,融資先が過去に問題案件とされ,人物としても信を措けないK社長の経営に係るミヤシタであることは容易に想到することができたはずであり(そうでなければ,そのこと自体が,その経歴に照らして職責を果たしていないと言っても過言ではない。),より慎重な検討を行うべきであったにもかかわらず,これを放置して融資を実行させ,あるいはこれを放置した責任は重大である。被告Bがミヤシタの悪評を耳にしていたことを直接示す証拠はないが,本件の融資の目的及び金額自体が異例の内容であることに照らせば,漫然と融資を承認したことの責任は大きいというべきである。オなお,被告Eは,被告Eが諸貸出申請書に押印をしたのは,既に融資のためのユーロ円の手配がされた後であり,また,頭取の決裁後であったから,その時点では当該貸出しの実行を中止させることは不可能であったと主張する。証拠(甲6の1,11,12の1ないし3,甲7の1,10,乙ロ24,25,被告E本人)によれば,被告Eが別紙小豆融資一覧表6ないし8の融資に係る諸貸出申請書に押印を求められた時点では,既に融資の原資となるユーロ円の手配がされていて,その時点ではこれを撤回修正することは拓銀の国際金融社会における信用を悪化させるため事実上不可能な状態であり,また,被告Eが出張中であったことから,既に頭取である被告Aの決裁が終わっていたことが認められるが,それらの融資を行うべきものではないことは上記のとおりであるから,被告Eは,上記融資に係る諸貸出申請書を見た時には,取締役として,代表取締役に対し,上記のような融資の問題点を指摘して,これを速やかに終了させるべく,早期の全額回収を指示させるなり,期限到来の際には必ず回収の措置を講じるように指示手配することを求めるべきであったと考えられるのに,何らの措置 被告Aの決裁が終わっていたことが認められるが,それらの融資を行うべきものではないことは上記のとおりであるから,被告Eは,上記融資に係る諸貸出申請書を見た時には,取締役として,代表取締役に対し,上記のような融資の問題点を指摘して,これを速やかに終了させるべく,早期の全額回収を指示させるなり,期限到来の際には必ず回収の措置を講じるように指示手配することを求めるべきであったと考えられるのに,何らの措置 融資の問題点を指摘して,これを速やかに終了させるべく,早期の全額回収を指示させるなり,期限到来の際には必ず回収の措置を講じるように指示手配することを求めるべきであったと考えられるのに,何らの措置を執ることなく漫然と事後承認の押印をしてこれを放置したのであるから,取締役としての善管注意義務違反の責めを免れることはできない。(7) 以上によれば,被告Cは,本件小豆融資の全部を,また,被告A,同B及び同Eは,別紙小豆融資一覧表の6ないし8を,それぞれ決裁し,あるいはこれを認め,あるいはこれを漫然放置して,取締役としての善管注意義務に違反したものというべきであるから,その各関与に係る融資によって,拓銀が被った損害を(別紙小豆融資一覧表6ないし8記載の融資については連帯して)賠償すべき責任を免れない。4 争点(4)(本件乾繭融資の違法性及び関与した取締役の責任)について(1) 本件乾繭融資の決裁状況について,後掲各証拠によれば,以下の事実が認められる。ア(ア) 別紙乾繭融資一覧表の番号1及び2記載の融資に係る諸貸出申請書には,限度額又は金額として2億5000万円,実行予定日として平成4年2月19日以降,最終期限及び期間として実行後1か月内,使途・貸出条件として,①コウシン商事への転貸資金であること,②貸出金額内の分割貸出しを認めること,③担保として不動産添担保(賃貸建物)を取得し,登記留保条項付扱いとすること,営業店意見として,ⅰコウシン商事への転貸資金申込みであること,ⅱ乾繭相場維持のため現物買付けをするものであること,ⅲ今回については,積増しではないため,乾繭証券現物が入ってくる予定(予定枚数333枚)であること,ⅳ乾繭相場については,今年になり,依然1キログラム3000円前後で変化のないこと,ⅴ今後現物での買取り については,積増しではないため,乾繭証券現物が入ってくる予定(予定枚数333枚)であること,ⅳ乾繭相場については,今年になり,依然1キログラム3000円前後で変化のないこと,ⅴ今後現物での買取りを進め,証券を確保し,本年6ないし7月までには投資を手仕舞いとする予定であること,ⅵ本件支援に当たり,本件文化ホール(建物のみ)を添担保として申し受けておくもので,今回の乾繭の証券と合わせ,保全をとるものであること,ⅶ極力今回をピークと考え,ミヤシタに念達し,早期売却を促すとともに回収を図ることが記載されているほか,本件扱い後,総授信残高が54億6000万円となり,本件扱い後の保全状況は,根抵当権1億8400万円及び有価証券8100万円を考慮すると51億9500万円の保全不足となり,これに加えて乾繭倉荷証券(添担保)23億4100万円を考慮しても28億5400万円の保全不足となる旨の記載がある。 のであること,ⅶ極力今回をピークと考え,ミヤシタに念達し,早期売却を促すとともに回収を図ることが記載されているほか,本件扱い後,総授信残高が54億6000万円となり,本件扱い後の保全状況は,根抵当権1億8400万円及び有価証券8100万円を考慮すると51億9500万円の保全不足となり,これに加えて乾繭倉荷証券(添担保)23億4100万円を考慮しても28億5400万円の保全不足となる旨の記載がある。そして,上記諸貸出申請書の表紙には,融資の相手方が要注意先である指定管理先(信用リスクが顕在化する懸念のある先,業況不透明先で所管部が指定した先)であることを示す記載がある(甲8の1の1,2,甲44の1,証人J)。(イ) また,上記諸貸出申請書には,起案備考として,①乾繭資金(増額扱い)で,現物を買い付けるものであること,②添担保として乾繭倉荷証券333枚(時価2億5800万円)及び本件文化ホール建物(実担価格ゼロ)を申し受けること,③拓銀として,ミヤシタに対し乾繭の最終手仕舞いをさせるために,本件を含む合計5億円を採上げとすること,④資金使途,保全面を勘案し,拓銀の支援は本件が限界(ピーク)であること及び早期に手仕舞いして返済してもらうことを平成4年2月28日にK社長に対して副頭取(被告C)より申入れして頂く予定であること,⑤ミヤシ ,保全面を勘案し,拓銀の支援は本件が限界(ピーク)であること及び早期に手仕舞いして返済してもらうことを平成4年2月28日にK社長に対して副頭取(被告C)より申入れして頂く予定であること,⑤ミヤシタの総借入額が,同社の年商14億円の7.4倍に相当する104億円に上ること,⑥北洋銀行への利払いがストップしている模様であることが記載されている(甲8の1の1,2)。(ウ) 上記諸貸出申請書の添付資料の中には,ミヤシタの取引現況表があり,ミヤシタの業種が建設業で,主扱品が内装・室内装飾工事及び看板工事であり,平成3年2月決算期の売上高が14億2500万円,経常利益が1900万円であることが記載されているほか(甲8の2),「(株)ミヤシタ乾繭倉荷受払,売買,保全状況」と題する資料があり,別紙乾繭融資一覧表の番号1及び2記載の融資の実行後,保全として預け入れられている乾繭倉荷証券の枚数は,3015枚で,時価23億4100万円であるから,28億5400万円の保全不足となる旨の記載がある(甲8の3)。 であり,平成3年2月決算期の売上高が14億2500万円,経常利益が1900万円であることが記載されているほか(甲8の2),「(株)ミヤシタ乾繭倉荷受払,売買,保全状況」と題する資料があり,別紙乾繭融資一覧表の番号1及び2記載の融資の実行後,保全として預け入れられている乾繭倉荷証券の枚数は,3015枚で,時価23億4100万円であるから,28億5400万円の保全不足となる旨の記載がある(甲8の3)。(エ) 上記諸貸出申請書の添付資料の中には,担保品カード(不動産)及びその付表があり,①不動産添担保として差し入れられた本件文化ホールは,登記留保条項扱いであること,②極度額は2億5000万円であるが,建物の時価は42億5033万7000円,40パーセントの担保掛目を適用した後の担保価格は17億0013万4000円であるところ,本件文化ホールについては,第1順位の担保権者として帯広市が63億4738万4000円の賃借権を有しているため,第2順位の拓銀が有する根抵当権の実効担保価格は0円となることが記載されている(甲8の5,6)。(オ) 上記諸貸出申請書及びその添付資料中には,賃借権者である帯広市が支払う賃料額の記載はない(甲8の 2順位の拓銀が有する根抵当権の実効担保価格は0円となることが記載されている(甲8の5,6)。(オ) 上記諸貸出申請書及びその添付資料中には,賃借権者である帯広市が支払う賃料額の記載はない(甲8の1の1ないし8の8)。イ(ア) 別紙乾繭融資一覧表の番号3記載の融資に係る諸貸出申請書には,限度額又は金額として3億5000万円,実行予定日として平成4年3月17日,最終期限として同年4月17日,期間として1か月,使途・貸出条件について,①コウシン商事への転貸資金(乾繭資金)であること,②乾繭売却によって回収すること,③添担保として,本件により買い取る乾繭倉荷証券447枚を申し受けること,④添担保として本件文化ホール(建物のみ)を申し受け,極度額3億5000万円で登記留保条項付扱いとすること,⑤保証人をミヤシタ代表取締役のK社長とし,一般限度44億円を9億5000万円増額して53億5000万円とすることが記載されており,また,営業店意見として,ⅰコウシン商事(子会社)への転貸資金であること,ⅱ本件は,例月の乾繭市場納会による先物決済資金であること,ⅲ買い取った乾繭は447枚で,倉荷別に分割され,拓銀に添担保として入担となること,ⅳ今後は,一部倉荷証券を生糸の加工業者へ回し,委託加工して製品とすること,ⅴ乾繭を加工することにより,在庫量の減少と乾繭の品質低下を抑え,乾繭の原価で2800円ないし3200円を維持できること,ⅵ乾繭保有数約3200枚(1枚60キログラム)からすると,キログラム当たりの平均投資額4800円で約46億円,現在の価格に換算してキログラム当たり2800円となり,約26億円で,損失分(含み損)約20億円程度となることが記載されているほか,本件扱い後,総授信残高が58億0900万円となり,本件扱い後の保全状況は,根 少と乾繭の品質低下を抑え,乾繭の原価で2800円ないし3200円を維持できること,ⅵ乾繭保有数約3200枚(1枚60キログラム)からすると,キログラム当たりの平均投資額4800円で約46億円,現在の価格に換算してキログラム当たり2800円となり,約26億円で,損失分(含み損)約20億円程度となることが記載されているほか,本件扱い後,総授信残高が58億0900万円となり,本件扱い後の保全状況は,根 換算してキログラム当たり2800円となり,約26億円で,損失分(含み損)約20億円程度となることが記載されているほか,本件扱い後,総授信残高が58億0900万円となり,本件扱い後の保全状況は,根抵当権1億8400万円及び有価証券8100万円を考慮すると55億4400万円の保全不足となり,これに加えて乾繭倉荷証券(添担保)25億9900万円を考慮しても29億4500万円の保全不足となる旨の記載がある。そして,上記諸貸出申請書の表紙には,融資の相手方が要注意先である指定管理先であることを示す記載がある(甲9の1)。(イ) また,上記諸貸出申請書には,起案備考として,①乾繭資金(増額扱い)であること,②添担保として,乾繭倉荷証券447枚(時価約3億6600万円)及び本件文化ホール建物のみ(実担ゼロ)を申し受けること,③資金の回収について,ミヤシタでは,今後乾繭の一部を生糸に加工し,回収に向ける意向であるが,従来から「本件限り」の約束の下で貸増しさせられてきた経緯にあり,今後の回収に問題を残していること,④乾繭を生糸に加工するメリットとして,品質保持が改善され,保管コストが軽減されることが記載されている(甲9の1)。(ウ) 上記諸貸出申請書の添付資料の中には,上記ア(ウ)記載のミヤシタの取引現況表があるほか(甲9の2),「(株)ミヤシタ乾繭倉荷受払,売買,保全状況」と題する資料があり,別紙乾繭融資一覧表の番号3記載の融資の実行後,保全として預け入れられている乾繭倉荷証券は,3174枚で,時価25億9900万円であるから,29億4500万円の保全不足となる旨の記載がある(甲9の10)。(エ) 上記諸貸出申請書の添付資料の中には,補申と題する資料があり,乾繭を生糸にする理由として,①月数の経っている繭については 500万円の保全不足となる旨の記載がある(甲9の10)。(エ) 上記諸貸出申請書の添付資料の中には,補申と題する資料があり,乾繭を生糸にする理由として,①月数の経っている繭については,品質保持のため,生糸に加工することにより,キログラム当たりの価格を維持できること,②安価で買い取った乾繭については,生糸加工により,値を上げることができること,③乾繭の現物の在庫減らしができること,④乾繭にて保管する場合,倉庫料がかかり,経費がかかるが,生糸の場合,現物ができ上がるまで加工業者預りとなり,その間,倉庫料がかからないこと,⑤生糸として製品となった場合,乾繭よりも保管料が極めて安く,諸経費が減少し,負担軽減となること等の記載があり,また,生糸加工による価格の増減について,①乾繭倉荷証券1枚(300キログラム)からとれる生糸の量は,平均すると,その40パーセントの120キログラムであること,②生糸の加工賃は1キログラム当たり3800円,120キログラムで45万6000円であること,③生糸の販売価格は,1キログラム当たり1万0700円から1万2000円,120キログラム当たり128万4000円から144万円であること,④生糸加工をすると,乾繭1キログラム当たり2760円から3280円の販売利益が見込めること,⑤乾繭より安定した価格で売買でき,市場面では,業者が多くなり,流通しやすくなること,⑥ミヤシタ保有の乾繭の平均価格は,1キログラム当たり4800円(諸経費を含む。 ること,③生糸の販売価格は,1キログラム当たり1万0700円から1万2000円,120キログラム当たり128万4000円から144万円であること,④生糸加工をすると,乾繭1キログラム当たり2760円から3280円の販売利益が見込めること,⑤乾繭より安定した価格で売買でき,市場面では,業者が多くなり,流通しやすくなること,⑥ミヤシタ保有の乾繭の平均価格は,1キログラム当たり4800円(諸経費を含む。)で,今後は諸経費部分が減少すること等の記載があるほか,「今,蚕糸繭業界及び繭糸相場市場が最も注目していること。」と題する添付資料には,豊橋,前橋両指定倉庫の在庫は約4000枚あり,これは1か月の製糸使用原料(乾繭使用量)に相当する旨の記載がある(甲9の3)。界及び繭糸相場市場が最も注目していること。」と題する添付資料には,豊橋,前橋両指定倉庫の在庫は約4000枚あり,これは1か月の製糸使用原料(乾繭使用量)に相当する旨の記載がある(甲9の3)。(2) そこで,以上の認定と前記3の認定判断に基づき,本件乾繭融資に関係する被告らの責任について検討する。ア本件乾繭融資の使途は,いずれもミヤシタの子会社であるコウシン商事の乾繭買付資金への転貸資金であるところ,乾繭も投機性のある相場商品として知られており,価格変動の危険の伴う商品であることは,上記諸貸出申請書の記載からもその点を読み取ることできる。また,上記諸貸出申請書に添付されているミヤシタの取引現況表には,ミヤシタの業種が建設業であり,主扱品が内装・室内装飾工事及び看板工事であることが明記されているから,ミヤシタがコウシン商事を通じて行おうとしていた乾繭買付けが,事業資金とか設備資金といった本来の業務に関わる使途ではなく,乾繭相場の変動を利用して,乾繭を安価で買い付け,将来高値で転売して差額を利得するという意味での投機購買であり,ミヤシタの本業から離れた取引であることは明らかであった。また,融資先であるミヤシタは,指定管理先とされる信用リスクが顕在化する懸念のある取引先で,当時売上高14億2500万円,経常利益1900万円の規模の会社にすぎないのに,本件乾繭融資は,当初の分が2億5000万円で,結局合計6億円もの金額を融資しようというもので,その結果総授信残高が58億0900万円にも上るという,その時点でさえ,既に,ミヤシタの年間売上高の4年分,経常利益の実に300年分にも上る莫大な授信行為を行おうとするものであった。 される信用リスクが顕在化する懸念のある取引先で,当時売上高14億2500万円,経常利益1900万円の規模の会社にすぎないのに,本件乾繭融資は,当初の分が2億5000万円で,結局合計6億円もの金額を融資しようというもので,その結果総授信残高が58億0900万円にも上るという,その時点でさえ,既に,ミヤシタの年間売上高の4年分,経常利益の実に300年分にも上る莫大な授信行為を行おうとするものであった。さらに,別紙乾繭融資一覧表の番号1及び2記載の融資の諸貸出申請書には,ミヤシタが北洋銀行に対する利払いを 売上高の4年分,経常利益の実に300年分にも上る莫大な授信行為を行おうとするものであった。さらに,別紙乾繭融資一覧表の番号1及び2記載の融資の諸貸出申請書には,ミヤシタが北洋銀行に対する利払いを停止している模様というミヤシタの信用不安の疑いが指摘されていたのである。イこのように,本件乾繭融資は,信用不安のあるミヤシタに対し,その年商及び経常利益をはるかに超える金融上の授信を行おうとするものであることに加え,目的となる乾繭の相場の変動により,類型的に回収不能となる危険性の少なくない使途に係るものであることが明らかであったというべきであるから,融資を承認することは,十分な保全措置がない限り,取締役としての善管注意義務に抵触する行為であるというべきである。なお,被告B,同C,同D,同F及び同Gは,乾繭は加工すると生糸になるところ,生糸は当時の蚕糸価格安定法によって公的に価格管理されていたから,価格が暴落するおそれはなく,また,平成4年当時の生糸及び乾繭の価格は最低価格以上で安定して推移していたと主張する。たしかに,生糸については当時施行されていた蚕糸価格安定法による価格の下支えがあったけれども,証拠(甲12の1,甲13の1,甲21,34,乙ニ2,3の1ないし5)によれば,蚕糸業振興審議会繭糸価格部会の答申に基づく平成元年3月から平成5年3月までの生糸の安定基準価格は1キログラム当たり1万0400円であるところ,被告F及び同Gの試算によれば,その基準価格から計算した乾繭の最低価格は1キログラム当たり2640円というのであるが,横浜商品取引所の発行に係る乾繭取引案内のパンフレットによると,横浜乾繭先限月足における1キログラム当たりの価格の状況をみても,昭和53年9月で6624円,昭和59年9月で3299円,平成元年6 月から平成5年3月までの生糸の安定基準価格は1キログラム当たり1万0400円であるところ,被告F及び同Gの試算によれば,その基準価格から計算した乾繭の最低価格は1キログラム当たり2640円というのであるが,横浜商品取引所の発行に係る乾繭取引案内のパンフレットによると,横浜乾繭先限月足における1キログラム当たりの価格の状況をみても,昭和53年9月で6624円,昭和59年9月で3299円,平成元年6 ,横浜商品取引所の発行に係る乾繭取引案内のパンフレットによると,横浜乾繭先限月足における1キログラム当たりの価格の状況をみても,昭和53年9月で6624円,昭和59年9月で3299円,平成元年6月で8163円,平成5年1月で1908円と大きな変動がみられ,生糸の基準価格を前提とする乾繭価格をも大きく下回ることもあったと認められること(ちなみに,甲8の3によれば,本件乾繭融資の当時,拓銀では,倉荷証券1枚300キログラム当たり77万6000円,すなわち1キログラム当たり2586円と評価していた。),実際,平成2年10月12日のたくぎんファイナンスの貸出稟議書にも,乾繭の市況について,対前年同期比較で45パーセント安の底値であるとの指摘がされていること,ミヤシタも乾繭相場を始めるに際して60パーセント以上の値上がりを期待していたこと,平成8年1月16日付け拓銀の稟議書は,本件乾繭融資による損失が発生した理由として,乾繭の整理に入った時期に相場が下落したことを挙げ,その理由について,市場で投機筋が所有していることが知れ渡ったため実業家が投げ売りを見込み,売りに転じたために相場が下落したとの新聞報道があると指摘していることが認められるから,生糸に対する下支えの措置が講じられていたからといって,その原料である乾繭自体の相場価格が安定したものであるとか,暴落するおそれがないなどとはいい難いのであって,上記被告らの主張は採用することができない。ウそこで,その保全状況をみると,その大部分が融資対象たる乾繭の倉荷証券を担保として取得するというもので(K社長の個人保証の増額については,それに見合う裏付があると認め得る証拠はない。),別紙乾繭融資一覧表の番号1及び2の融資の際に担保として預け入れる倉荷証券は333枚で,既存分と併せると約3 ので(K社長の個人保証の増額については,それに見合う裏付があると認め得る証拠はない。 用することができない。ウそこで,その保全状況をみると,その大部分が融資対象たる乾繭の倉荷証券を担保として取得するというもので(K社長の個人保証の増額については,それに見合う裏付があると認め得る証拠はない。),別紙乾繭融資一覧表の番号1及び2の融資の際に担保として預け入れる倉荷証券は333枚で,既存分と併せると約3 ので(K社長の個人保証の増額については,それに見合う裏付があると認め得る証拠はない。),別紙乾繭融資一覧表の番号1及び2の融資の際に担保として預け入れる倉荷証券は333枚で,既存分と併せると約3000枚(1枚当たり300キログラムなので,約900トン),同番号3の融資の際には担保として更に447枚の預入れを受けることとなっていたから,その総量は約3500枚(約1000トン)にも上る。横浜商品取引所の発行に係る平成11年ころにおけるパンフレット(甲34)によれば,前年における原料繭供給量は国内収繭量1979トン,外国産輸入繭2511トン,合計4490トンで,前年に比べて34パーセント減であったというのである。単純に毎年34パーセントの供給量減があったとみると平成4年当時の国内供給量は年間約5万4000トン,月間約4500トンという計算になり,拓銀が担保にとった総量約3500枚(約1000トン)の倉荷証券を融資期間の1か月以内に処分するため売却するとなると,国内供給量の2割以上(1,000÷4,500)の乾繭を市場に売りに出す計算となる(前記諸貸出申請書添付の補申(甲9の3)によれば,約4000枚の在庫は1か月の製糸使用原料に相当するとの記載がある。)。なお,乾繭は生糸に加工すれば,在庫量の減少による保管費用の軽減と品質低下を防ぐことができるのであるが,上記のように莫大な量の乾繭を短期間で生糸に加工できるとは到底考えられず,平成4年2月28日の段階で,K社長は,乾繭の早期処分を迫られて,その売却に努める一方,乾繭を毎月45枚ずつ生糸に加工して処分する意向を示していることからも,この点がうかがわれる(甲40)。本件乾繭融資は,ミヤシタの本業に係る資金の融資ではないから,その回収は挙げてその買付けに係る乾繭の処分に係るところ て処分する意向を示していることからも,この点がうかがわれる(甲40)。本件乾繭融資は,ミヤシタの本業に係る資金の融資ではないから,その回収は挙げてその買付けに係る乾繭の処分に係るところ,上記のような莫大な量に上る乾繭を約定のような短期間のうちに処分するとすれば大幅な値崩れがおこることは必至というべきである。 の本業に係る資金の融資ではないから,その回収は挙げてその買付けに係る乾繭の処分に係るところ て処分する意向を示していることからも,この点がうかがわれる(甲40)。本件乾繭融資は,ミヤシタの本業に係る資金の融資ではないから,その回収は挙げてその買付けに係る乾繭の処分に係るところ,上記のような莫大な量に上る乾繭を約定のような短期間のうちに処分するとすれば大幅な値崩れがおこることは必至というべきである。融資金の返済は,担保として取る乾繭を売却換価して得た利益から行うことが予定されているわけであるが,その値下がりにより融資金の回収ができないという事態が生じた場合には,その担保そのものも値下がりをしていることになるため,実質的には,担保としての機能を果たしていないというほかはない。また,乾繭も,小豆と同様,価格変動の大きい商品であって,その処分のためには,変動する相場の状況に応じた機敏な対応が必要となるにもかかわらず,担保として取得した乾繭の倉荷証券について,コウシン商事の裏書を留保する扱いをし,機敏な担保実行を困難にさせるような担保の取得方法を容認しているのであって,この点においても,後の回収作業を困難にさせる難題を残した取扱いであったといわざるを得ない。そして,本業でもない投機相場への資金融資は,社会的に有用な産業の育成,あるいは国民経済への貢献といった本来都市銀行に強く期待される目的のための融資ではない以上,単なる利潤の追求という金融ビジネスの観点から,銀行としての回収の安全性や確実性の要請が一層強く働くところであり,特に本件のように経常利益を大幅に上回る金額に係る莫大な量の相場商品の買付代金の融資にあっては,それ自体の処分動向によってさえ買付商品の価値が大きく変動することも予想されなくはないのであって,その商品の担保価値を重視することはできず,それ以外の担保が相当程度にあるため相応の保全措置が講じ ,それ自体の処分動向によってさえ買付商品の価値が大きく変動することも予想されなくはないのであって,その商品の担保価値を重視することはできず,それ以外の担保が相当程度にあるため相応の保全措置が講じられていると判断される場合に限って,融資を行うことが許されると解するのが相当である。エところで,本件乾繭融資に当たっては,添担保として,本件文化ホールに登記留保の条件で根抵当権の設定を受けているので,その根抵当権による回収可能性について検討をするに,証拠(甲81の1,甲84,85,87)によれば,以下の事実が認められる。 を重視することはできず,それ以外の担保が相当程度にあるため相応の保全措置が講じられていると判断される場合に限って,融資を行うことが許されると解するのが相当である。エところで,本件乾繭融資に当たっては,添担保として,本件文化ホールに登記留保の条件で根抵当権の設定を受けているので,その根抵当権による回収可能性について検討をするに,証拠(甲81の1,甲84,85,87)によれば,以下の事実が認められる。(ア) 本件文化ホールの敷地を所有する株式会社サンランドは,その土地上に本件文化ホールを建築し,これをK社長が代表者を務めるサンランド開発に代金35億円で売却した上,30年間その敷地を無償で使用させること,上記売買代金は16年半にわたる分割払いとし,サンランド開発が本件文化ホールを帯広市に賃貸して得る賃料について,その一部を株式会社サンランドが代理受領することにより決済すること,また,サンランド開発は株式会社サンランドの指定する金融機関が本件文化ホールに根抵当権を設定することに同意すること,サンランド開発は株式会社サンランドの承諾なくして本件文化ホールの所有権移転,賃借権設定,形状変更その他株式会社サンランドに損害を及ぼすべき行為をしてはならないことを合意した。(イ) 他方,サンランド開発は,帯広市との間で本件文化ホールの賃貸借契約を締結し,その中で,同社は,帯広市に優先する抵当権等の担保物権の登記をしてはならないものと定められている。(ウ) 株式会社サンランドが,上記売買代金の回収につき,本件文化ホールに担保権を設定せずに,代理受領の方法で帯広市の支払う賃料から回収することとしたのは,帯広市の側で,本件文化 定められている。(ウ) 株式会社サンランドが,上記売買代金の回収につき,本件文化ホールに担保権を設定せずに,代理受領の方法で帯広市の支払う賃料から回収することとしたのは,帯広市の側で,本件文化ホールに担保権が設定されることに反対をしたためである。上記事実に基づき検討すると,まず,本件文化ホールの敷地使用権は使用貸借とされていて,拓銀が同建物に根抵当権を設定することについて地主である株式会社サンランドの承諾を得たとの証拠はないから,根抵当権を実行した場合に,サンランド開発の有する敷地利用権を援用して地主に対抗することができない可能性があるなど,それ自体の担保価値には大いなる疑問があり,また,株式会社サンランドとサンランド開発との間の合意によれば,建物所有者であるサンランド開発は,株式会社サンランドの指定する金融機関が本件文化ホールに担保権を設定することを了解するとともに,その承諾なくして同社に損害を及ぼす行為をしないことを約しているのであるから,サンランド開発が,拓銀に対して本件文化ホールについて根抵当権を設定した場合でも,当事者間における内部的な効力にとどめ,対外的な効力を有することになる登記手続は行わないことを前提としていたものと考えられる。 者であるサンランド開発は,株式会社サンランドの指定する金融機関が本件文化ホールに担保権を設定することを了解するとともに,その承諾なくして同社に損害を及ぼす行為をしないことを約しているのであるから,サンランド開発が,拓銀に対して本件文化ホールについて根抵当権を設定した場合でも,当事者間における内部的な効力にとどめ,対外的な効力を有することになる登記手続は行わないことを前提としていたものと考えられる。拓銀側もこうした事情を承知の上で,登記留保の取扱いを了解し,また,本件文化ホールには帯広市の賃借権があることから,実質担保価値はゼロと査定したものと解される。実際,本件乾繭融資に係る諸貸出申請書においては,本件文化ホールの実質担保価値はゼロであることが明記され,関係被告らはそれを前提に,すなわち,本件文化ホールの実質的担保価値はないことを前提に決裁をしているのである。ところで,拓銀が本件文化ホールに根抵当権の設定を受けた場合には,根抵当権者の物上代位に基づき,賃借人である帯広市が わち,本件文化ホールの実質的担保価値はないことを前提に決裁をしているのである。ところで,拓銀が本件文化ホールに根抵当権の設定を受けた場合には,根抵当権者の物上代位に基づき,賃借人である帯広市がサンランド開発に支払う賃料を優先的に取得することができる効力があることになるが,上記のように,拓銀の側も,根抵当権について登記を経由してその権利を対外的に主張することができないことを承知の上で,担保取得したものと考えられるのであるから,その根抵当権をもって,第三者である株式会社サンランドに対抗することはできず,また,登記が経由されていないままにその物上代位権を行使しようとすることは,執行実務上も大きな障害を伴うものである。他方で,本件乾繭融資に係る諸貸出申請書には,帯広市が支払う賃料額の記載すらないことに照らすと,関係被告がその賃料の物上代位による保全の可能性を考慮して決裁をしたとは考えられない。したがって,本件文化ホールについて根抵当権の設定を受けたことは,本件乾繭融資の保全を検討するについては,特に関係被告らに有利な事情として考慮すべきものではないということになる。オそうすると,本件乾繭融資は,いずれも,本業での利益をもって回収に充てることができず,かつ,類型的に回収不能の危険が少なくないと容易に予想することができるような融資であるにもかかわらず,担保として取得するものは,実質的には担保価値のない本件文化ホールと,担保として考慮すべきではない相場商品である倉荷証券だけであったのであるから,実質的には何の担保を取ることもなく実行されたに等しく,これを行うことは,取締役としての善管注意義務に反するというべきである。 もって回収に充てることができず,かつ,類型的に回収不能の危険が少なくないと容易に予想することができるような融資であるにもかかわらず,担保として取得するものは,実質的には担保価値のない本件文化ホールと,担保として考慮すべきではない相場商品である倉荷証券だけであったのであるから,実質的には何の担保を取ることもなく実行されたに等しく,これを行うことは,取締役としての善管注意義務に反するというべきである。なお,本件乾繭融資は,いずれも事後決裁により処理されていたものであるところ,被告B,同F,同C,同G及び同Dは,いず しく,これを行うことは,取締役としての善管注意義務に反するというべきである。なお,本件乾繭融資は,いずれも事後決裁により処理されていたものであるところ,被告B,同F,同C,同G及び同Dは,いずれも,これについて,何の異議も述べることなく決済印を押捺しているのである。しかし,本件乾繭融資はいずれも行うことの許されないものであるから,別紙乾繭融資一覧表の番号1及び2の融資の追認を求められた上記被告らは,これを拒否し,代表取締役頭取であった被告Bにおいては,直ちにその早期回収を指示し,あるいはその弁済期には確実に回収をするよう指示するなどの措置を講じ,さらに,同種の融資申請については必ず事前の決裁を指示してこれを励行させ,もって,更なる不当な融資が事後決裁のもとに行われることのないようにすべきであり,被告F,同C,同G及び同Dにおいては,頭取である被告Bに対して,そのような措置を講じること求めるべきであった。しかるに,上記被告らは,そのような措置を講じることなく,漫然,融資を追認してこれらを放置したものであるから,本件乾繭融資の実施により拓銀が被った損害の賠償責任を免れるものではない。また,証拠(甲8の1の1,2,乙ニ10の1,2,乙ニ11,12の1,2,乙ニ13,被告F本人,被告G本人)によれば,被告F及び被告Gが別紙乾繭融資一覧表の番号1及び2の融資に係る諸貸出申請書に押印を求められた時点では,既に頭取である被告Bの決裁が終わっていたことが認められるが,前同様の理由により,その責任を免れる理由とはならない。(3) 以上によれば,本件乾繭融資の全部を容認してこれを放置し,その後の事後決裁をも放置した被告B,同F,同C,同G及び同Dは,取締役としての善管注意義務に違反したものというべきであるから,これによって,拓銀が被った損 の番号1及び2の融資に係る諸貸出申請書に押印を求められた時点では,既に頭取である被告Bの決裁が終わっていたことが認められるが,前同様の理由により,その責任を免れる理由とはならない。(3) 以上によれば,本件乾繭融資の全部を容認してこれを放置し,その後の事後決裁をも放置した被告B,同F,同C,同G及び同Dは,取締役としての善管注意義務に違反したものというべきであるから,これによって,拓銀が被った損 件乾繭融資の全部を容認してこれを放置し,その後の事後決裁をも放置した被告B,同F,同C,同G及び同Dは,取締役としての善管注意義務に違反したものというべきであるから,これによって,拓銀が被った損害を連帯して賠償すべき責任を免れない。特に,被告Cは,本件小豆融資のときからミヤシタの相場取引に関する融資に関与して,拓銀に回収不能の損害をもたらしたことを十分に承知していたのに,その損失を補填する目的でミヤシタが乾繭の相場取引をするという性懲りもない投機行為に走るのを止めることもせずにこれを推進すべく,帯広支店に連絡までして本件乾繭融資の道を開いたものであり,また,別紙乾繭融資一覧表の番号2の融資に当たっては,審査部局から,これを最後とすることをK社長に念を押すよう求められていたのに,結局は,同番号3の融資まで行うことを許容するなど,その責任は誠に重大である。また,被告Bも,本件小豆融資に関わった者であり,その回収が滞っていることを知った以上は,頭取として,それ以上のミヤシタに対する相場資金の供給を阻止すべきであるのに,漫然事後決裁を放置して融資を許容したもので,その責任は重い。被告F,同G及び同Dがミヤシタの悪評を耳にしていたことを直接示す証拠はないが,本件の融資の目的及び金額自体が異例の内容であることに照らせば,漫然と融資を放置し,事後決裁を放任していたことの責任は大きいというべきである。5 争点(5)及び(6)(結果発生との因果関係及び過失相殺)について(1) 上記認定によれば,本件小豆融資及び本件乾繭融資は,いずれも,関係被告がその取締役として負う善管注意義務に違反する行為の結果,貸付けが実行され,あるいは,これがそのまま放置されたものであるから,その義務違反行為によって貸付けが行われ, 乾繭融資は,いずれも,関係被告がその取締役として負う善管注意義務に違反する行為の結果,貸付けが実行され,あるいは,これがそのまま放置されたものであるから,その義務違反行為によって貸付けが行われ,あるいは,これが放置された時点で,拓銀には同額の損害が発生したと認められる。 違反する行為の結果,貸付けが実行され,あるいは,これがそのまま放置されたものであるから,その義務違反行為によって貸付けが行われ, 乾繭融資は,いずれも,関係被告がその取締役として負う善管注意義務に違反する行為の結果,貸付けが実行され,あるいは,これがそのまま放置されたものであるから,その義務違反行為によって貸付けが行われ,あるいは,これが放置された時点で,拓銀には同額の損害が発生したと認められる。したがって,その後,その融資に係る金員が現実に回収された場合に初めて,その損害が填補されたと解することができる。ところで,本件小豆融資及び本件乾繭融資のうち別紙乾繭融資一覧表の番号3を除く融資は,その融資期間が経過する際に,新たに貸付手続が行われているから,形式的にはその融資金は回収されたことになるわけであるが,実質的には拓銀がその融資による損害の補填を受けていない以上は,その損害が弁済されたと認めることはできない。新たな貸付けの決裁が行われたことは,その決裁に関与した者に別途責任が生ずる余地はあるが,そうであるからといって,そのことのゆえに,実際に本件の各融資の決裁に関与して,拓銀から現実の融資を実行することを許容した被告らが免責されるいわれはない。(2) 被告らは,拓銀に回収業務の懈怠があったことが,本件の各融資の回収不能を来した原因であり,被告らの義務違反と結果の発生との間には因果関係がないと主張するが,上記のとおり,被告らの各義務違反により,拓銀にその融資に係る金額相当の損害が発生したものであって,その後の回収の過程で不手際があったとしても,既に発生した損害に消長を来すものではない。(3) もっとも,証拠(甲23の6,7,乙ロ17の1ないし3)によれば,本件小豆融資に関し,平成元年12月21日には,本件小豆融資と平成元年5月31日に融資した2億円の合計25億5000万円の残高10億6000万円の債務と,貸付限度枠内の7億7000万円の によれば,本件小豆融資に関し,平成元年12月21日には,本件小豆融資と平成元年5月31日に融資した2億円の合計25億5000万円の残高10億6000万円の債務と,貸付限度枠内の7億7000万円の債務が残存し,その担保として,小豆の倉荷証券として処分前のものが13億9548万8000円分残っているほか,貸付限度枠の貸付けの際に担保として取った根抵当権や株式及び預金があったところ,平成2年3月20日の時点では,上記の10億6000万円の債務は8億4000万円と2億2000万円の減額となり,貸付限度枠の債務は限度廃止となって完済となっているところ,この間担保について,小豆の倉荷証券がすべて担保から除外されて処分済みとなっているのに,貸付限度枠内の債務に係る担保は特に減少した様子もないことが認められる。 付限度枠の貸付けの際に担保として取った根抵当権や株式及び預金があったところ,平成2年3月20日の時点では,上記の10億6000万円の債務は8億4000万円と2億2000万円の減額となり,貸付限度枠の債務は限度廃止となって完済となっているところ,この間担保について,小豆の倉荷証券がすべて担保から除外されて処分済みとなっているのに,貸付限度枠内の債務に係る担保は特に減少した様子もないことが認められる。この事実によれば,平成元年12月の時点で残っていた小豆の倉荷証券が売却され,その代金のうち2億2000万円が本件小豆融資に係る残債務に,うち7億7000万円が貸付限度枠内の債務全額に,それぞれ充当されたものと推認される。原告が主張するように,拓銀がミヤシタから徴した担保は,現在及び将来の債務を担保する根担保であるから,いずれの担保による処分代金をどの債務に充当しても,対債務者との関係では問題はないと考えられるけれども,小豆の倉荷証券は,本件小豆融資及び平成元年5月31日の2億円の融資(甲23の2)に際して新たに徴した担保であるとうかがわれる(甲4の1,9によれば,本件小豆融資に先立つ貸付限度枠内での融資に際して,小豆の倉荷証券を234枚担保に徴していることが認められるが,最も早い時期に徴した小豆の現物の担保であること,その後その限度枠の債務が1億3000万円減少していることに鑑みると,平成元年12月現在なお残存していた倉荷証券は,その債 ていることが認められるが,最も早い時期に徴した小豆の現物の担保であること,その後その限度枠の債務が1億3000万円減少していることに鑑みると,平成元年12月現在なお残存していた倉荷証券は,その債務以外の債務,すなわち,本件小豆融資に係る債務の担保として預け入れられたものと考えるのが相当である。)ことからすると,上記の限度枠内の債務に充当された弁済金は,本件小豆融資を実行したことから担保として差し入れられたもので,本件小豆融資がなければ,それによる弁済もなく,したがって,既に発生していた限度枠内の債務も弁済を受けることがなかったことになる筋合いのものであることを考えると,その内入金により拓銀には利得が生じていることから,被告A,同B,同C及び同Eの主張は,この趣旨における損益相殺の主張として,理由があるというべきである。そうすると,拓銀が本件小豆融資による回収不能とされた8億4000万円の債務のうち,原告が現在高であると主張する8億3960万円から上記の倉荷証券に係る小豆の売却代金7億7000万円を控除すると6960万円となり,これを,別紙小豆融資一覧表の番号1ないし4の融資金額合計10億5000万円(被告Cが責任を負うべき融資金)と同番号6ないし8の13億円(被告A,同B,同E及び同Cが連帯責任を負うべき融資金)及び平成元年5月31日の融資金2億円とに,その融資金元本額に応じて按分すると,別紙小豆融資一覧表の番号1ないし4の融資金の残金は,2865万8823円,同番号6ないし8の融資金の残金は3548万2352円となる。 れを,別紙小豆融資一覧表の番号1ないし4の融資金額合計10億5000万円(被告Cが責任を負うべき融資金)と同番号6ないし8の13億円(被告A,同B,同E及び同Cが連帯責任を負うべき融資金)及び平成元年5月31日の融資金2億円とに,その融資金元本額に応じて按分すると,別紙小豆融資一覧表の番号1ないし4の融資金の残金は,2865万8823円,同番号6ないし8の融資金の残金は3548万2352円となる。(4) また,証拠(甲9の1,甲10,証人H)によれば,本件乾繭融資のうち,別紙乾繭融資一覧表の番号3に係る融資の際,担保として徴することが約束されその旨諸貸出申請書にも明記されていた乾繭の倉荷証券44 た,証拠(甲9の1,甲10,証人H)によれば,本件乾繭融資のうち,別紙乾繭融資一覧表の番号3に係る融資の際,担保として徴することが約束されその旨諸貸出申請書にも明記されていた乾繭の倉荷証券447枚のうち422枚が担保として預け入れられていなかったことが認められる。これらの担保が貸出当時の条件どおり預け入れられていれば,一定の金額が回収されたであろうと考えられるから,この担保取得手続の不手際による損害まで,その融資の決裁に関与した被告らに負わせることは公平ではないから,過失相殺の法理に照らし,その回収可能と想定される金額については,上記被告らが負担すべき損害からこれを控除するのが相当である。さらに,本件乾繭融資に当たり預け入れられたその他の倉荷証券(前記の422枚を除くと,別紙乾繭融資一覧表の番号1及び2については333枚,同3については25枚。)についても,平成5年3月10日までにすべて,処分のために払い出され,処分されていることは原告の自陳するところであるから,それらについては,その処分価格について拓銀に弁済があったと推定されるので,小豆について説示したところと同様,損益相殺の法理に従い,上記被告らが負担すべき損害額から控除することが相当と判断する。そして,証拠(甲10)によれば,拓銀の帯広支店長が平成5年5月6日に審査第一部長宛てに作成した本件乾繭融資の顛末を報告する文書の中で,当時なお売却未了の乾繭について,今後の回収予定として一部生糸に加工することをも含め,2364枚の倉荷証券により総額11億8764万円の回収を見込んでいることが認められるから,上記の333枚及び447枚も同様の価格により回収できたものと推認して計算すると,その価格はそれぞれ,1億6729万4467円,2億2456万6446円となる。 に審査第一部長宛てに作成した本件乾繭融資の顛末を報告する文書の中で,当時なお売却未了の乾繭について,今後の回収予定として一部生糸に加工することをも含め,2364枚の倉荷証券により総額11億8764万円の回収を見込んでいることが認められるから,上記の333枚及び447枚も同様の価格により回収できたものと推認して計算すると,その価格はそれぞれ,1億6729万4467円,2億2456万6446円となる。したがって, ことが認められるから,上記の333枚及び447枚も同様の価格により回収できたものと推認して計算すると,その価格はそれぞれ,1億6729万4467円,2億2456万6446円となる。したがって,被告B,同F,同C,同G及び同Dが本件乾繭融資のうち,別紙乾繭融資一覧表の番号1及び2について,責任を負うべき損害額は,融資額2億5000万円につき現在高であると原告が主張する2億4920万円から1億6729万4467円を控除した8190万5533円,同番号3について責任を負うべき損害額は,融資額3億5000万円につき現在高であると原告が主張する3億4960万円から2億2456万6446円を控除した1億2503万3554円となり,以上の合計は2億0693万9087円となる。(5) 次に,被告Eは,過失相殺として,本件小豆融資を実際に決裁した代表者や回収を怠った者の過失があることから過失相殺を主張するが,被告Eが拓銀において副頭取の職務にあって頭取の職務を補佐するものと定められているのに(乙ロ8の1),被告Eは,本件小豆融資について何の行動も取っていないのであって,その業務の懈怠の責任が問われていること及び取締役の責任が連帯責任とされていることに照らすと,他の関係者の過失を斟酌して,その賠償額を軽減することは相当ではないというべきであり,被告Eの主張は理由がない。6 争点(7)(時効)について(1) 被告A,同B,同C及び同Dは,消滅時効を援用するので,以下,判断する。一般に,株式会社と取締役との間の取締役任用契約は,委任契約であり,商人である株式会社の付属的商行為ということができるところ,商法266条1項の定める取締役会の会社に対する責任は,委任契約に基づく取締役の善管注意義務及び忠実義務の不履行責任に基礎を置くものと解 り,商人である株式会社の付属的商行為ということができるところ,商法266条1項の定める取締役会の会社に対する責任は,委任契約に基づく取締役の善管注意義務及び忠実義務の不履行責任に基礎を置くものと解することができる。 る株式会社の付属的商行為ということができるところ,商法266条1項の定める取締役会の会社に対する責任は,委任契約に基づく取締役の善管注意義務及び忠実義務の不履行責任に基礎を置くものと解 り,商人である株式会社の付属的商行為ということができるところ,商法266条1項の定める取締役会の会社に対する責任は,委任契約に基づく取締役の善管注意義務及び忠実義務の不履行責任に基礎を置くものと解することができる。他方で,商法は,取締役の責任について特に規定を設け,266条1項各号において取締役が責任を負う場合を個別的に列挙して取締役の責任を明確化するとともに,その一部については無過失責任とした上,その責任は連帯して負うべきものとし,同条5,6項においては,その責任の免除を極めて厳格な手続のもとにのみ許容するなど,一般の債務不履行責任に比較して,極めて厳格な責任を定めていて,これらは,その規定の趣旨に照らして強行法規性を有するものと解される。このように商法が取締役に対する責任を厳格に定めていることからすると,その責任は,一般の債務不履行責任には止まらない特別の法定責任の性質をも有するものと考えられる。また,商法は,企業の取引活動の迅速性の要請から,短期消滅時効を規定しているが,会社の内部関係というべき取締役の会社に対する損害賠償責任に迅速性の要請が及ぶものとはいえないし,取締役の会社に対する責任は必ずしも容易に判明するわけでもなく,商法自身が取締役同士がなれ合う危険性のあることを想定していることは,監査役の訴訟権限について説示したとおりであるから,商法が特に取締役の責任を厳格に定め,その責任免除を厳しく制限して,責任追及の手続を実効あらしめるために諸々の規定をもって臨んでいるのに,このような取締役の会社に対する責任を短期の時効にかからせることは,そのような法の趣旨に明らかに反するものといわなければならない。したがって,商法266条1項各号に定める取締役の会社に対する責任は,商法が特に定めた法定責任とし 期の時効にかからせることは,そのような法の趣旨に明らかに反するものといわなければならない。したがって,商法266条1項各号に定める取締役の会社に対する責任は,商法が特に定めた法定責任として,一般債権の時効期間である10年の期間の経過によって時効により消滅すると解するのが相当である。(2) また,原告が本件訴えを提起したのが平成10年12月15日であることは,本件記録上明らかであり,本件債権譲渡が無権代理人によるものであるとしてみても,本件追認により,債権譲渡の効果は遡って有効となるから,いずれにせよ,本件の訴えの提起により,平成元年1月23日以降に実行された本件小豆融資及び本件乾繭融資のすべてについて,時効が中断していることは明らかである。 り消滅すると解するのが相当である。(2) また,原告が本件訴えを提起したのが平成10年12月15日であることは,本件記録上明らかであり,本件債権譲渡が無権代理人によるものであるとしてみても,本件追認により,債権譲渡の効果は遡って有効となるから,いずれにせよ,本件の訴えの提起により,平成元年1月23日以降に実行された本件小豆融資及び本件乾繭融資のすべてについて,時効が中断していることは明らかである。7 結論以上の認定判断によれば,原告の本件請求のうち,まず本件小豆融資に係るものは,別紙小豆融資一覧表の番号1ないし4について,被告Cに対し,2865万8823円,同番号6ないし8について,被告A,同B,同E及び同Cに対し3548万2352円,次に,本件乾繭融資に係るものは,別紙乾繭融資一覧表の番号1及び2については8190万5533円,同番号3については1億2503万3554円(なお,被告Cは,原告が被告Cに対してこの部分に係る請求を後に追加的に変更したことに異議を述べるが,その変更は,請求の基礎に変更がなく,また,著しく訴訟手続を遅滞させるものでもないから,理由がない。),以上の本件乾繭融資に係るものの合計2億0693万9087円とこれらに対する各訴状送達の日の翌日(被告A,同B,同C,同E及び同Dについては,平成10年12月27日,被告F及び同Gについては同月28日であることは本件記録上明らかである。なお,被告Cに対する訴えの追加的変更に係る請求部分は,連帯債務者 ,同B,同C,同E及び同Dについては,平成10年12月27日,被告F及び同Gについては同月28日であることは本件記録上明らかである。なお,被告Cに対する訴えの追加的変更に係る請求部分は,連帯債務者である被告B及び同Dに対する訴状の送達により遅滞に陥った。)から各支払済みまで,連帯して年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余は理由がない。よって,訴訟費用の負担について,民事訴訟法61条,64条,65条を,仮執行の宣言について同法259条を各適用して,主文のとおり判決する。札幌地方裁判所民事第5部裁判長裁判官佐藤陽一裁判官村田龍平裁判官坂田大吾は,外国出張中のため,署名押印することができない。裁判長裁判官佐藤陽一
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