平成26(ワ)162 職務発明対価請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年3月19日 東京地方裁判所
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判決文本文25,703 文字)

- 1 - 平成27年3月19日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成26年(ワ)第162号職務発明対価請求事件口頭弁論終結日平成27年1月20日判決東京都西多摩郡瑞穂町<以下略>原告 A同訴訟代理人弁護士寒河江孝允同訴訟復代理人弁護士戸田順也東京都新宿区<以下略>被告HOYA株式会社 同訴訟代理人弁護士永島孝明安國忠彦明石幸二郎朝吹英太安友雄一郎 主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,1億円及びこれに対する平成25年7月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,被告の従業員であった原告が,被告に在籍中,被告の業務範囲に属し,かつ,原告の職務に属する行為によってした発明(後記のとおり被告による特許出願に基づいて別紙本件各特許目録1~4項の各(1)記載の特許として - 2 - 設定登録された同各(2)記載のとおりの各請求項の発明。以下,上記各(1)記載の特許を順に「本件第1特許」,「本件第2特許」,「本件第3特許」及び「本件第7特許」と,各(2)記載の各請求項の発明を特許ごとにまとめて「本件第1発明」などという。また,上記特許及び発明をそれぞれ「本件各特許」及び「本件各発明」と総称する。)をし,それらについて特許を受ける権利を被 ,各(2)記載の各請求項の発明を特許ごとにまとめて「本件第1発明」などという。また,上記特許及び発明をそれぞれ「本件各特許」及び「本件各発明」と総称する。)をし,それらについて特許を受ける権利を被告に承継させたと主張して,被告に対し,① 本件第1発明,本件第2発明及び第7発明に関しては平成16年法律第79号による改正前の特許法35条(以下「旧35条」という。)3項に基づく相当の対価として,② 本件第3発明に関しては主位的に特許法(上記改正後のもの)35条(以下「現35条」という。)3項及び5項に基づく相当の対価として,予備的に後記被告特許規程及び現35条3項に基づく評価期間を平成25年度までとする実績報奨金として,これらの一部である1億円及びこれに対する請求の日の翌日である平成25年7月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア(ア) 被告は,光学技術を中心とした半導体関連製品,液晶パネル関連製品,光学レンズなどの情報通信分野,メガネレンズ,コンタクトレンズなどのアイケア分野,医療用内視鏡,白内障術後用眼内レンズなどのメディカル分野において製造,販売,サービスを行う総合光学メーカーである。 (イ) 弁論分離前の相被告AvanStrate株式会社(以下「AvanStrate」という。)は,被告の関連会社であり(被告は平成25年9月30日現在AvanStrateの発行済株式の46.57%を保有している。),液晶ディスプレイ・パネル用ガラス基板の製造・販売 - 3 - を主たる事業とする株式会社である。 イ原告は,昭和53年4月から平成21年10月までの間, 46.57%を保有している。),液晶ディスプレイ・パネル用ガラス基板の製造・販売 - 3 - を主たる事業とする株式会社である。 イ原告は,昭和53年4月から平成21年10月までの間,被告の従業員であった者であり,その後,同年11月から平成25年までAvanStrateに在職した。(甲A23)(2) 原告の職務発明及び特許を受ける権利の承継ア原告は,被告に在籍中,他の被告従業員とともに本件各発明をした。本件各発明は,被告の業務範囲に属し,かつ,発明をするに至った行為が被告における原告の職務に属するものであり,本件第1発明,本件第2発明及び本件第7発明は旧35条1項所定の,本件第3発明は現35条1項所定の職務発明に当たる。 イ被告は,後記被告特許規程に基づき,原告から本件各発明について特許を受ける権利を承継した。 (3) 被告の特許出願及び登録被告は,別紙本件各特許目録1~4項の各(1)に記載のとおり,本件各発明につき特許出願をし,特許登録を経た。本件各発明に係る本件各特許の特許請求の範囲の請求項の記載は,別紙本件各特許目録1~4項の各(2)に記載のとおりである。 (4) 被告の職務発明に関する規程の定め被告は,従業員が職務発明をした場合の取扱い等について「特許規程」及び「特許規程運用基準」を設けている。これらはいずれも度々改正されているが,改正の前後を通じ,以下の趣旨の定めが記載されている(甲4及び5の1及び2,乙A1,2。以下,これら特許規程等を「被告特許規程」と総称する。)。 ア被告は,従業員がした職務発明について特許を受ける権利を自動的に承継する。 イ被告は,職務発明をした従業員に対し,特許出願をしたときに出願報奨 - 4 - 金を,特許登録がされたときに登録報奨金を,被告が自ら 務発明について特許を受ける権利を自動的に承継する。 イ被告は,職務発明をした従業員に対し,特許出願をしたときに出願報奨 - 4 - 金を,特許登録がされたときに登録報奨金を,被告が自ら当該特許発明を顕著に実施し,又は第三者に実施許諾して収入等があったときに実績報奨金を支払う。 (5) 被告は,原告に対し,本件各発明を含む原告が職務発明としてした発明について,被告特許規程に基づく報奨金を支払った(ただし,原告は,支払を受けた時期及び額並びに対象とされた発明を明らかにしていない。)。 2 争点(1) 被告が支払うべき相当の対価の額(主位的請求)ア本件第1発明及び本件第3発明についての相当の対価の額イ本件第2発明についての相当の対価の額ウ本件第7発明についての相当の対価の額(2) 平成25年度までの本件第3発明の実施による実績報奨金の額(予備的請求) 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)ア(本件第1発明及び本件第3発明についての相当の対価の額)について(原告の主張)ア AvanStrateによる本件第1発明及び本件第3発明の実施本件第1発明及び本件第3発明は,平成3年の創業当時から変更されていないAvanStrateの基礎技術である。 ●(省略)●型番がNA45,NA35,NA32SGである製品を含むAvanStrate及びその海外子会社が現在及び過去に製造した全ての製品は,本件第1特許及び本件第3特許が実施された装置及び方法により製造されている。 原告は,平成3年頃からAvanStrateに出向し,更に平成21 - 5 - 年にはAvanStrateに転籍して,これらの炉において本件第1発明及び本件第3発明が実施されている様子を直接見聞している。 イ対価の額 rateに出向し,更に平成21 - 5 - 年にはAvanStrateに転籍して,これらの炉において本件第1発明及び本件第3発明が実施されている様子を直接見聞している。 イ対価の額本件第1発明及び本件第3発明により,板ガラスの反りと残留歪みを大幅に改善することができる。AvanStrateが採用しているダウンドロー法においては本件第1発明及び本件第3発明なくして平面なガラス板を作ることは不可能とさえいえ,これらの発明は事業上不可欠な発明である。 上記のとおり本件第1発明及び本件第3発明はAvanStrate及びその海外子会社が製造する全ての製品について実施されており,本件第1発明及び本件第3発明によって製造された製品の売上高は,AvanStrateの連結売上高に相当し,少なくとも年間400億円である。被告は,AvanStrate及びその海外子会社との間で何らかのライセンス契約を締結してライセンス料を得るか,特許権侵害に基づく損害賠償請求権を有しているものと考えられ,これが被告の独占の利益に相当する。 その額は,本件第1特許及び本件第3特許の重要性に鑑みると,それぞれ少なくとも上記AvanStrateの売上高の1%である4億円である。 これに加え,本件第1特許及び本件第3特許が20年間存続すること,本件第1発明及び本件第3発明についての被告の貢献度は30%を超えないこと,共同発明者との間での原告の貢献度は少なくとも80%であることから,被告が原告に対して支払うべき相当の対価は,本件第1発明及び本件第3発明それぞれにつき44億8000万円(400億円×1%×20年×(100-30)%×80%)となる。 (被告の主張)ア AvanStrateによる本件第1発明及び本件第3発明の実施については知らない。なお,被告がAv 000万円(400億円×1%×20年×(100-30)%×80%)となる。 (被告の主張)ア AvanStrateによる本件第1発明及び本件第3発明の実施については知らない。なお,被告がAvanStrate及びその海外子 - 6 - 会社に対して,本件第1特許及び本件第3特許を明示して実施許諾契約を締結した事実はない。 原告の主張は,本件第1発明及び本件第3発明を各ラインの名称ごとに分記しただけか,構成要件の一部が各ラインの徐冷炉で実施されていたと主張することで本件第1特許及び本件第3特許が実施されていたと結論付けるものであり,具体的な実施形態についての主張立証は全くなく,単に推認をするに止まるものである。 イ対価の額について否認ないし争う。いかなる算定方式によっても,またいかなる実施形態を前提としても,被告が本件第1発明及び本件第3発明により原告の主張するような利益を得たという事実は導き得ない。 (2) 争点(1)イ(本件第2発明についての相当の対価の額)について(原告の主張)ア本件第2発明の実施被告の昭島工場には,オプティクス事業部が製造に用いるラインとして,A棟に存するライン,B棟に存するライン,C棟に存するライン,D棟に存するライン及びMD事業部に向けて提供するためのラインが存在し,そのラインにはいずれも溶解炉のほか徐冷炉が含まれている。この徐冷炉に関しては,そのほとんどが共通性のある仕様になっており,便宜的に同じラインにある溶解炉の名称(例えばA-2)で特定されていた。 被告は,平成14年ないし15年以降,徐々に徐冷炉について本件第2特許を適用する改造を行った。特に,本件第2発明の請求項2及び3に係る熱処理装置については,消費電力が顕著に削減されたことから,投資効果があるものとされ,その 5年以降,徐々に徐冷炉について本件第2特許を適用する改造を行った。特に,本件第2発明の請求項2及び3に係る熱処理装置については,消費電力が顕著に削減されたことから,投資効果があるものとされ,その切替えは急速に進んだ。その結果,ほぼ全ての徐冷炉(平成16年4月時点で存在した徐冷炉のうち,A棟の徐冷炉(A-1,A-2,DL-2,LA-2,LA-3,SF-4及びSK-4), - 7 - B棟の徐冷炉(B-1,BL-3,COL-1,HP-4,HP-5及びNB-1),MD事業部に向けて提供する徐冷炉(MD-2)が含まれる。)において,本件第2発明(請求項2,3)の装置が,本件第2発明(請求項6,8)の製造方法が採用された。また,原告の退職前後,被告は昭島工場にあった設備を中国に移し,中国の現地子会社において同様の製造方法を実施していた。少なくとも,原告は,BL-3,NB-1,A-2,LA-3,LA-2,SK-4及びMD-3において本件第2発明が実施されたことは間違いないと認識している。上記のうち,BL-3炉における実施の状況は別紙「炉目録(BL-3炉)」記載のとおりであり,他の炉においてもこれと同様である。 これらのことは,下記のとおり被告が東京都に提出した地球温暖化対策報告書の記載内容からも明らかである。 被告は,本件第2発明の実施により,少なくとも,BACD16,BACD5,FC5,FCD1,FD60,FDS90,LAC13,LAC8,LAF3,NBFD13,TAF1,TAF3,TAFD30といった製品を製造した。 イ対価の額本件第2特許は「従来は設けていなかった断熱壁を設けたこと」,「従来は設けていなかった耐熱性の均等壁を設置したこと」及び「搬送分の復路の一部を炉内で移動させること」といった特徴点を有し,これによりガ 本件第2特許は「従来は設けていなかった断熱壁を設けたこと」,「従来は設けていなかった耐熱性の均等壁を設置したこと」及び「搬送分の復路の一部を炉内で移動させること」といった特徴点を有し,これによりガラスの徐冷においては消費電力を5分の1ないし10分の1以下にまで削減することが可能になった。被告の昭島工場は,平成17年度から平成21年度までの計画期間において,東京都の地球温暖化対策報告書制度に基づく地球温暖化対策報告書を公開しており,本件第2発明による消費電力の削減を提案している。また,本件第2発明はメッシュベルト循環式構造の熱処理炉であれば広く利用できる技術である。したがって,本件第2発明 - 8 - には技術的優位性があり,被告が上記のとおり中国の海外子会社に本件第2発明を実施させていたこと,他社に実施許諾していたことからしても被告は本件第2発明につき独占の利益を受けていた。 被告のオプティクス事業部(これに相当する過去の事業部も含む。)の連結売上高は全体で年間2000億円であり,このうち,本件第2発明に関する連結売上高は少なくともその90%である1800億円であり,連結売上高のうち被告単独の売上高は少なくともその50%である900億円であるから,上記独占の利益の額は少なくともその1%である9億円である。 これに加え,本件第2特許が20年間存続すること,本件第2発明についての被告の貢献度は30%を超えないこと,共同発明者との間での原告の貢献度は少なくとも80%であることから,被告が本件第2発明につき原告に対して支払うべき相当の対価は100億8000万円(2000億円×90%×50%×1%×20年×(100-30)%×80%)となる。 (被告の主張)ア本件第2発明の実施について上記(1)(被告の主張)アと同様, 価は100億8000万円(2000億円×90%×50%×1%×20年×(100-30)%×80%)となる。 (被告の主張)ア本件第2発明の実施について上記(1)(被告の主張)アと同様,原告の主張は,本件第2特許の請求項を転記しただけのものであり,具体的な実施態様について主張することもなく,漠然と被告の工場のラインで実施されていると述べているのみである。同主張は,あたかも具体的な実施形態について主張したような記載が散見されるものの,構成要件の充足性について何ら具体的な立証をすることもなく,構成要件に該当するように言い換えているだけである。 イ対価の額否認ないし争う。仮に東京都に対する地球温暖化対策報告書の記載内容が被告において本件第2発明を実施していたことを立証するものであった - 9 - としても,被告において消費電力削減効果は確認されていない。また,消費電力削減効果は周知技術により既に解決されているところであり,消費電力削減効果をもって本件第2発明の実施を主張する原告の主張は失当である。 (3) 争点(1)ウ(本件第7発明についての相当の対価の額)について(原告の主張)ア本件第7発明の実施について被告の昭島工場のタッピング装置は基本的にどのラインにおいても共通の部品で構成されており,平成15年頃から随時,本件第7発明を実施するためのタッピング装置の改修が行われ,タッピング装置の設置されたほぼ全てのラインにおいて本件第7特許が実施されていた。具体的には,平成16年4月時点で存在したラインでは,A棟のラインではA-1,A-2,DL-2,LA-2,LA-3,SF-4及びSK-4において,B棟のラインではB-1,BL-3,COL-1,HP-4,HP-5,NB-1,NB-2及びNB-3において,本件第 ンではA-1,A-2,DL-2,LA-2,LA-3,SF-4及びSK-4において,B棟のラインではB-1,BL-3,COL-1,HP-4,HP-5,NB-1,NB-2及びNB-3において,本件第7発明が実施された。また,原告の退職前後,被告は昭島工場にあった設備を中国に移し,中国の現地子会社において同様の製造方法を実施した。上記のうち,A-1炉における実施の状況は別紙「炉目録(A-1炉)」記載のとおりであり,他の炉においてもこれと同様である。 被告は,上記の本件第7発明の実施により,少なくともFD60,FDS90,LAC8,NBFD13といった製品を製造した。 イ対価の額について本件第7発明により,被告は,従来は実現できなかった薄さへのガラス板の肉薄化に成功し,かつ,カン,ワレなどの欠陥を発生させずに溶融ガラスから均一な厚みのガラス板を連続して成形することが可能になったのであり,上記のとおり中国の海外子会社に本件第7発明を実施させていた - 10 - ことからしても,原告は本件第7発明につき独占の利益を受けていた。 被告のオプティクス事業部の連結売上高は全体で年間2000億円であり,このうち,本件第7発明に関する被告の連結売上高は少なくともその50%である1000億円であり,連結売上高のうち被告単独の売上高は少なくとも50%である500億円であるから,上記独占の利益の額は少なくともその1%である5億円である。これに加え,本件第7特許が20年間存続すること,本件第7発明についての被告の貢献度は30%を超えないこと,共同発明者との間での原告の貢献度は少なくとも80%であることから,被告が本件第7発明につき原告に対して支払うべき相当の対価は56億円(2000億円×50%×50%×1%×20年×(100-30)%×80% との間での原告の貢献度は少なくとも80%であることから,被告が本件第7発明につき原告に対して支払うべき相当の対価は56億円(2000億円×50%×50%×1%×20年×(100-30)%×80%)となる。 (被告の主張)ア本件第7発明の実施原告の主張が本件第7特許の請求項を転記しただけのものであり,具体的な実施態様について主張することもなく,漠然と被告の工場のラインで実施されていると述べているのみであることは,上記(1)及び(2)の(被告の主張)各アと同様である。 イ対価の額否認ないし争う。本件第7特許には重大な問題点があり,技術的優位性がなく,被告において実施されてもいなかったことは原告自身が作成した資料(乙A17)において明確に記録されている。 (4) 争点(2)(平成25年度までの本件第3発明の実施による実績報奨金の額)について(原告の主張)本件第3発明に適用される被告特許規程によれば,発明者には,被告が実施した場合は100億円単位の売上げがあったとしてもそのわずか0.0 - 11 - 5%の,他社に実施許諾した場合は実施料のわずか10%の実績報奨金しか支払われない。また,実績報奨金の金額は発明者の事前の意見聴取を経ることなく一方的に決定され,発明者は支払後に算定根拠の開示と不服申立てができるにすぎない。原告も被告から意見聴取を受けていない。 したがって,被告特許規程に基づく対価の支払は不合理である。 仮に被告特許規程に基づき本件第3発明の対価が支払われるとしても,本件第3発明の実施による平成25年度までの実績報奨金の額は,権利存続期間(20年間)の相当の対価44億8000万円(前記(1)(原告の主張)参照)の8年分である17億9200万円となる。 (被告の主張)否認ないし争う。被告特許 までの実績報奨金の額は,権利存続期間(20年間)の相当の対価44億8000万円(前記(1)(原告の主張)参照)の8年分である17億9200万円となる。 (被告の主張)否認ないし争う。被告特許規程においては発明者に評価請求権を認めており,実績報奨金の算定に当たって発明者の関与は十分に認められている。さらに,被告は,被告特許規程の改正作業に当たり,予め改正案をイントラネット上で公表し,従業員に対する説明会を開催して従業員に対して意見を述べる機会を与えた。原告も平成20年6月9日に被告の昭島工場で行われた説明会に他の従業員と共に出席しているのであり,その際,原告は何も意見を述べなかった。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(被告が支払うべき相当の対価の額)について(主位的請求)(1) 原告は被告特許規程に基づき本件各発明について特許を受ける権利を被告に承継させたところ,このうち本件第1発明,本件第2発明及び本件第7発明については旧35条の規定が適用されるので,被告特許規程に基づき支払われた金銭の額が旧35条4項の規定に従って定められる対価の額に満たないときは,同条3項の規定に基づき,その不足する額に相当する対価の支払を求めることができ(最高裁平成15年4月22日第三小法廷判決民集57巻4号477頁参照),また,本件第3発明には現35条の規定が適用され - 12 - るので,被告特許規程の定めにより対価を支払うことが現35条4項の規定により不合理と認められる場合において,被告特許規程に基づき支払われた金銭の額が同条5項の規定に従って定められる対価の額に満たないときは,同条3項の規定に基づき,その不足する額に相当する対価の支払を求めることができると解される。もっとも,被告は,特許を受ける権利を承継しない場合でも本件各発明 って定められる対価の額に満たないときは,同条3項の規定に基づき,その不足する額に相当する対価の支払を求めることができると解される。もっとも,被告は,特許を受ける権利を承継しない場合でも本件各発明につき通常実施権を有するのであるから(旧35条1項,現35条1項),対価の額の算定に当たり考慮されるべき「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」(旧35条4項,現35条5項)とは,被告が通常実施権により得るべき利益を控除したもの,すなわち,特許発明の実施を排他的に独占することにより得るべき利益(以下「独占の利益」という。)をいうと解すべきものとなる。 そして,原告は,本件第1発明及び本件第3発明については被告から実施許諾を受けたAvanStrateが実施することにより(又は,実施許諾がないとすれば,被告がAvanStrateに対し特許権侵害による損害賠償請求権を行使し得ることにより),本件第2発明及び本件第7発明については被告が自ら実施することにより,被告が独占の利益を得ている旨主張し,AvanStrate及び被告の売上高を基礎として算定した相当の対価の支払を請求するものであるから,これを認めるためには,本件各発明の実施の事実並びに独占の利益の発生及びその額を主張し,立証しなければならないことになる。 (2) そこで判断するに,後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば以下のとおり解することができ,これによれば,本件第1発明,本件第3発明及び本件第7発明については実施の事実が認められず,また,本件第2発明については,実施に関する原告の主張を一部認め得るとしても,独占の利益があると認めるに足りないと判断するのが相当である。 ア本件各発明の実施の状況に関する原告の主張は,●(省略)●本件第2 - 13 - 発明は別紙「炉目録(BL- 得るとしても,独占の利益があると認めるに足りないと判断するのが相当である。 ア本件各発明の実施の状況に関する原告の主張は,●(省略)●本件第2 - 13 - 発明は別紙「炉目録(BL-3炉)」に記載されたようにBL-3炉等の各炉において実施され,本件第7発明は別紙「炉目録(A-1炉)」に記載されたようにA-1炉等の各炉において実施されており,原告はこれらが実施されている様子を被告又はAvanStrateの従業員として直接見聞したというものである。しかし,上記各別紙に記載された各炉の構成及びこれを用いた製造方法に関する説明は,炉の名称や仕様(大きさ,材質,炉室の数等)についてある程度具体的な特定はあるものの,要は,原告が実施を主張する本件各特許の請求項の記載に沿うように各炉の構成及び製造方法を特定して,当該請求項の文言を充足すると主張するにとどまるということができる。 イ原告の上記アの主張を裏付ける証拠として提出されているのは,本件第2発明に係る後記ウの書面を除き,いずれも原告自身の作成した陳述書等(本件第1発明及び本件第3発明につき甲A21,23~25,31,40。本件第2発明及び本件第7発明につき甲A20,22,23,26~29,32,33,40)であって,客観的な裏付けに乏しい上,その内容は,ガラス板の製造方法及び製造装置に関する一般的な技術説明や,本件各発明の効果,従来技術との相違点等に関する本件各特許の明細書の記載の域を出ないものであって,具体性を欠くというほかない。 ウ原告は,本件第2発明につき,被告が実施していたことは東京都に提出した報告書の記載等から明らかである旨主張するので,以下,検討する。 証拠(甲2,甲A30,乙A18)及び弁論の全趣旨によれば,① 本件第2発明は,従来技術と比べ小さなスペース たことは東京都に提出した報告書の記載等から明らかである旨主張するので,以下,検討する。 証拠(甲2,甲A30,乙A18)及び弁論の全趣旨によれば,① 本件第2発明は,従来技術と比べ小さなスペースで,しかも少ないエネルギーでガラスの加熱及び徐冷を可能とする加熱方法及び徐冷方法並びにガラス成形品の製造方法を提供することなどを目的とすること,② 被告は,平成18年頃,「省エネ型徐冷設備の導入」と題する書面を東京都に提出し,温室効果ガスの排出削減を目的として平成21年度までに被告の昭島工場に - 14 - 新たな徐冷設備を3台導入する計画がある旨申告するとともに,上記徐冷設備の構成として本件第2特許の特許公報の図面と同一のものを上記書面に掲載したこと,③ 被告は,平成22年6月30日付け「地球温暖化対策結果報告書」を東京都に提出し,上記徐冷設備の導入により推計313tの温室効果ガスの排出削減効果(削減率が1.19%)があったが,多額の費用が掛かり,全体が完了するまでには期間を要する旨報告したこと,以上の事実が認められる。 上記事実関係によれば,被告の工場内で本件第2発明が実施されていたとみることができるが,実施を認め得るのは,原告が実施を主張する多数の炉及び期間20年のうちごく一部の炉及び期間にとどまるものである。 さらに,被告が本件第2発明の実施により電気料金の低減といった利益を得ていたとしても,これは通常実施権によっても得ることのできる利益であり,被告が独占の利益を得ていたとは認められない。この点に関し,原告は,被告が子会社による実施を許諾し,又は他社に実施許諾し得ることを根拠に独占の利益がある旨主張するが,上記ア及びイによれば子会社による実施を認めることはできないし,他社への実施許諾の可能性が独占の利益の存在を直ちに基礎付 を許諾し,又は他社に実施許諾し得ることを根拠に独占の利益がある旨主張するが,上記ア及びイによれば子会社による実施を認めることはできないし,他社への実施許諾の可能性が独占の利益の存在を直ちに基礎付けるとはいえないから,原告の主張は失当と解すべきである。 (3) 付言するに,従業者が使用者に対し職務発明について相当の対価の支払を求める訴訟においては,一般に,使用者の側が実施の有無,独占の利益等に関する証拠を多数保有しているので,従業者の側で発明の実施,独占の利益の存在等を裏付ける事情をある程度具体的に示した場合であれば,使用者の側で実施の有無,独占の利益の存否等について積極的に開示すべきものと考えられる。ところが,本件において,原告は,本件各発明が被告又はAvanStrateの全て又は大半の製品について実施され,相当の対価の額は合計で約250億円に上ると主張し,その支払を請求(一部請求)するとい - 15 - うのであるから,訴え提起に先立って事実関係を十分に調査し,可能な限り証拠を収集して,訴状に具体的な請求原因事実を記載すべきところ(民事訴訟法2条,民事訴訟規則53条1項参照),本件の訴状には実施の状況に関して極めて漠然とした記載しかなく,当裁判所がこの点を明瞭にするよう再三求めたにもかかわらず,上記(2)の程度の主張立証しかされなかった(以上は当裁判所に顕著である。)。なお,原告は実施の事実を立証するためとして,被告及びAvanStrateの従業員の証人尋問並びに原告本人尋問と,AvanStrateに対する調査嘱託の申立てをしたが,以上の経過に照らすと原告の申立ては明らかに失当であるので,当裁判所はこれを採用しなかった。 (4) 以上によれば,原告の主位的請求はいずれも理由がない。 2 争点(2)(平成25年度までの が,以上の経過に照らすと原告の申立ては明らかに失当であるので,当裁判所はこれを採用しなかった。 (4) 以上によれば,原告の主位的請求はいずれも理由がない。 2 争点(2)(平成25年度までの本件第3発明の実施による実績報奨金の額)について(予備的請求)原告は,本件第3発明が実施されていることを前提に被告特許規程及び現35条3項に基づいて相当の対価の支払を請求するが,実施の事実が認められないことは前記1(2)のとおりであるから,原告の予備的請求も理由がない。 第4 結論よって,原告の請求をいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官長谷川浩二 裁判官髙橋彩 - 16 - 裁判官植田裕紀久(別紙一部省略) - 17 - 別紙本件各特許目録 1 本件第1特許(1) 特許番号特許第3875748号発明の名称ガラス板の製造方法及び製造装置出願日平成8年8月2日(特願平8-205051)登録日平成18年11月2日(2) 本件第1発明ア請求項8「 ダウンドロー方式の成形体の両側面に沿って流下してこの成形体下部で合流した熔融ガラスを板状に成形し,この板状ガラスを下方に引っ張りながら冷却することによって,ガラス板を製造するガラス板の製造装置であって,前記板状ガラスの進行方向に対して複数個に分割した室を設け,前記板状ガラスの進行方向に対して順次温度が下がるように前記各室毎に室温度を制御するヒーターを設け,前記板状ガラスを前記複数の室に順次進行させて段階的に冷却することを特徴とするガラス板の製造装置。」イ請求項 の進行方向に対して順次温度が下がるように前記各室毎に室温度を制御するヒーターを設け,前記板状ガラスを前記複数の室に順次進行させて段階的に冷却することを特徴とするガラス板の製造装置。」イ請求項1「 ダウンドロー方式の成形体の両側面に沿って流下してこの成形体下部で合流した熔融ガラスを板状に成形し,この板状ガラスを下方に引っ張りながら冷却することによって,ガラス板を製造するガラス板の製造方法であって,前記板状ガラスの進行方向に対して複数個に分割した室を設け,前記板状ガラスの進行方向に対して順次温度が下がるように前記各室毎に室温度を制御するヒーターを設け,前記板状ガラスを前記複数の室に順次進行させて段階的に冷却することを特徴とするガラス板の製造方法。」 - 18 - 2 本件第2特許(1) 特許番号特許第4027266号発明の名称ガラス物品の徐冷方法,ガラス物品の加熱方法,ガラス成形品の製造方法,及び熱処理装置出願日平成15年5月23日(特願2003-146325)登録日平成19年10月19日(2) 本件第2発明ア請求項1「 トンネル型の炉及び炉内部に沿って物品を搬送する搬送装置を有し,かつ炉外から導入した物品を,炉内を搬送しながら熱処理するための熱処理装置であって,前記物品の搬送を妨げないように炉内を物品の搬送方向に複数の熱処理室に仕切る断熱壁と,前記各熱処理室内の雰囲気温度を独立に設定するための雰囲気温度設定装置とを備えること,および断熱壁により仕切られた各熱処理室内の物品搬送経路の上方を覆うように耐熱性の均熱壁を配し,均熱壁を裏面から加熱する加熱装置を備え,前記加熱装置への入力を前記雰囲気温度設定装置により行うことを特徴とする熱処理装置。」イ請求項2 の物品搬送経路の上方を覆うように耐熱性の均熱壁を配し,均熱壁を裏面から加熱する加熱装置を備え,前記加熱装置への入力を前記雰囲気温度設定装置により行うことを特徴とする熱処理装置。」イ請求項2「 前記搬送装置は,連続循環式の搬送部を有し,炉内の入口側に往路・復路切り替え部分を有し,かつ搬送部の復路の一部は炉内を移動するように設けられている,請求項1に記載の熱処理装置。」ウ請求項3「 トンネル型の炉及び炉内部に沿って物品を搬送する搬送装置を有し,かつ炉外から導入した物品を,炉内を搬送しながら徐冷処理するための熱処理装置であって,前記物品の搬送を妨げないように炉内を物品の搬送方向に複数の熱処理 - 19 - 室に仕切る断熱壁と,前記各熱処理室内の雰囲気温度を独立に設定するための雰囲気温度設定装置とを備えること,断熱壁により仕切られた各熱処理室内の物品搬送経路の上方を覆うように耐熱性の均熱壁を配し,均熱壁を裏面から加熱する加熱装置を備え,前記加熱装置への入力を前記雰囲気温度設定装置により行うこと,および前記搬送装置は,連続循環式の搬送部を有し,炉内の入口側に往路・復路切り替え部分を有し,かつ搬送部の復路の一部は炉内を移動するように設けられていることを特徴とする熱処理装置。」エ請求項4「 前記均熱壁表面の放射率が0.9以上である請求項1~3のいずれかに記載の熱処理装置。」オ請求項5「 前記均熱壁表面に,放射率が0.9以上のセラミック塗料が塗布されている請求項4に記載の熱処理装置。」カ請求項6「 請求項1~5のいずれかに記載の熱処理装置を用いて,ガラス物品を搬送しながら徐冷するガラス物品の徐冷方法であって,前記ガラス物品を,隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室内を順番に,前記 求項1~5のいずれかに記載の熱処理装置を用いて,ガラス物品を搬送しながら徐冷するガラス物品の徐冷方法であって,前記ガラス物品を,隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室内を順番に,前記開口を通して搬送して徐冷し,隣り合う前記室は互いに断熱壁により断熱され,かつ前記室の雰囲気温度は独立に設定されていることを特徴とするガラス物品の徐冷方法。」キ請求項8「 熔融ガラス又は加熱,軟化したガラスを成形し,得られたガラス成形品を請求項1~5のいずれかに記載の熱処理装置を用いて連続的に搬送しながら徐冷するガラス成形品の製造方法であって, - 20 - 前記ガラス成形品を,隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室内を順番に,前記開口を通して搬送して徐冷し,隣り合う前記室は互いに断熱壁により断熱され,かつ前記室の雰囲気温度は独立に設定されていることを特徴とするガラス成形品の製造方法。」 3 本件第3特許(1) 特許番号特許第4918183号発明の名称板ガラスの製造装置及び製造方法,並びにガラス製品及び液晶ディスプレイの製造方法出願日平成18年9月29日(特願2006-268633)登録日平成24年2月3日(2) 本件第3発明ア請求項1「 溶融ガラスを鉛直方向に沿って引き下げながら板状に成形しつつ,徐冷する板ガラスの製造装置であって,成形途中の板ガラスが通過する複数の徐冷室を備えるとともに,前記徐令室を通過する前記板ガラスに対して所定のクリアランスをもって,前記板ガラスの幅方向両端側に設置された固定隔壁と,前記板ガラスを挟むように対向配置され,前記板ガラスの厚み方向に沿って水平にスライド可能となるように前記固定隔壁に支持された一対の可動隔壁とによ て,前記板ガラスの幅方向両端側に設置された固定隔壁と,前記板ガラスを挟むように対向配置され,前記板ガラスの厚み方向に沿って水平にスライド可能となるように前記固定隔壁に支持された一対の可動隔壁とにより,前記徐冷室が仕切られており,前記板ガラスの厚みに応じて前記可動隔壁をスライドさせることにより,前記板ガラスとの間に形成される隙間を極力小さくして,隣接する前記徐令室間相互の気流の流れを抑止しつつ,前記徐冷室の温度がそれぞれ独立して制御されるようにしたことを特徴とする板ガラスの製造装置。」イ請求項3 - 21 - 「 溶融ガラスを鉛直方向に沿って引き下げながら板状に成形しつつ,徐冷する板ガラスの製造方法であって,相互の気流の流れを抑止しつつ,それぞれ独立に温度制御された複数の徐冷室に,成形途中の板ガラスを通過させて徐冷するにあたり,前記徐令室を通過する前記板ガラスに対して所定のクリアランスをもって,前記板ガラスの幅方向両端側に設置された固定隔壁に,前記板ガラスの厚み方向に沿って水平にスライド可能となるように支持され,前記板ガラスを挟むように対向配置された一対の可動隔壁間の離間距離を,成形が安定してきた段階で,前記板ガラスとの間の隙間が極力小さくなるように調整することにより,隣接する前記徐令室間相互の気流の流れを抑止することを特徴とする板ガラスの製造方法。」ウ請求項5「 得ようとする板ガラスの厚さが1.5mm以下である請求項3~4のいずれか1項に記載の板ガラスの製造方法。」エ請求項6「 請求項3に記載の板ガラスの製造方法によって板ガラスを製造し,当該方法によって製造された板ガラスを分割することを特徴とするガラス製品の製造方法。」 4 本件第7特許(1) 特許番号特許第44672 ガラスの製造方法によって板ガラスを製造し,当該方法によって製造された板ガラスを分割することを特徴とするガラス製品の製造方法。」 4 本件第7特許(1) 特許番号特許第4467201号発明の名称ガラス板の製造方法,プレス成形用素材の製造方法,および光学部品の製造方法出願日平成13年3月9日(特願2001-66288)登録日平成22年3月5日(2) 本件第7発明ア請求項1 - 22 - 「 ガラス板の幅を規定する一対の対向する側壁と,前記ガラス板の対向する2つの主表面の一方を成形する底面を備えた鋳型内に,一定速度でオリフィスより流出する熔融ガラスを連続して鋳込み,前記両側壁に沿って鋳込まれたガラスを上流側から下流側へと移動させながら,冷却体により前記ガラスの上面を押圧しては前記冷却体をガラスの上面から離間する操作を反復することによって前記上面を冷却し,前記ガラスの移動方向に平板状のガラス板を連続して成形していくガラス板の製造方法であって,軟化状態にある前記ガラスの上面の前記側壁に近い部位ほど,より上流側から前記冷却を開始することを特徴とするガラス板の製造方法。」イ請求項3「 加熱された状態でプレスされ,ガラス成形品となるプレス成形用素材の製造方法において,請求項1または2に記載の方法によりガラス板を作製し,当該作製したガラス板を,複数個のガラス片に分割切断し,該ガラス片に研磨加工を施して前記素材を得ることを特徴とするプレス成形用素材の製造方法。」以上 - 23 - 別紙 炉目録(BL-3炉) 1 炉等の概要(1) 炉の名称BL-3炉(2) 炉の所在地被告HOYA昭島工場内(3) 実施された時期平成14年ころ以降 23 - 別紙 炉目録(BL-3炉) 1 炉等の概要(1) 炉の名称BL-3炉(2) 炉の所在地被告HOYA昭島工場内(3) 実施された時期平成14年ころ以降(4) 実施により製造された製品別紙製品型番目録記載の製品 2 図面の簡単な説明図1は、BL-3炉の徐冷炉の側面図である。 図2は、BL-3炉の徐冷炉の平面図である。 図3は、BL-3炉の徐冷炉の空間部の横断面図である。 3 符号の説明101…ガラス板102…メッシュベルト103…軸104…軸105…駆動モーター106…減速機107…制御回路断熱壁108…断熱ボード - 24 - 109…徐冷室110…上側加熱ヒーター111…下側加熱ヒーター112…均熱壁 4 炉の説明(1) BL-3炉の徐冷炉は、全長が20m程度であり、ガラス板101を徐冷する装置である。 徐冷炉の枠構造は、炉外の低温部は大半が軟鉄(SS410)の鋼材類の溶接構造で作られており、炉内で高温にさらされる部分は、SUS304製の平板や山型鋼(アングル)が用いられている。 (2) 徐冷炉の内部には、幅750mmから800mm、SUS304製のメッシュベルト102が、往路及び復路とも、高温部のステンレス製の軸103と低温部の軸104の間で循環しており、ガラス板101を高温側から低温側に搬送する。 循環の動力は、駆動モーター105及び減速機106により、メッシュベルト102に伝えられる。 (3) 徐冷炉の内部は、ガラス板の進行方向に垂直に、厚さ50mmのセラミックファイバーボード製の上下可動式の制御回路断熱壁107a、107b…及び断熱ボード108a、108b…により、幅がそれぞれ1.3mから2. 0m程度で、全 の進行方向に垂直に、厚さ50mmのセラミックファイバーボード製の上下可動式の制御回路断熱壁107a、107b…及び断熱ボード108a、108b…により、幅がそれぞれ1.3mから2. 0m程度で、全部で7ないし10個程度の徐冷室109a、109b…に区切られている。 制御回路断熱壁107a、107b…及び断熱ボード108a、108b…は、ガラス板101が通過するための最小限の隙間だけを残すよう調整されている。 (4) 各徐冷室109a、109b…内部には、メッシュベルト102の上の天井にニクロム製又は鉄クロム製の巻線をムライト製の熱板で固定した上側加 - 25 - 熱ヒーター110aa、110ab…が設置されている。 また、高温部にある各徐冷室109a、109b…の内部には、メッシュベルト102の下にニクロム製又は鉄クロム製の巻線をムライト製の熱板で固定した下側加熱ヒーター111aa、111ab…が設置されている。 各上側加熱ヒーター110aa、110ab…及び各下側加熱ヒーター111aa、111ab…は、各徐冷室109a、109b…ごとに独立して温度を制御することが可能である。 (5) 上側加熱ヒーター110aa、110ab…とメッシュベルト102の間には、各徐冷室109a、109b…ごとに、SUS304製の均熱壁112a、112b…が配置されている。 均熱壁112a、112b…には、セラミッション社製セラックα1500が表裏面に塗布されており、その放射率は0.92程度である。 (6) ガラス板101は、高温側の徐冷室109a、109b…から順に、各徐冷室109a、109b…の内部を搬送され、徐冷される。 5 本件第2特許への構成要件該当性(1) 本件第2特許請求項1への構成要件該当性ア BL-3炉の徐冷炉は図3 109b…から順に、各徐冷室109a、109b…の内部を搬送され、徐冷される。 5 本件第2特許への構成要件該当性(1) 本件第2特許請求項1への構成要件該当性ア BL-3炉の徐冷炉は図3からも明らかなように、トンネル状である。 したがって、当該徐冷炉は、①トンネル型の炉である。 イまた、「メッシュベルト102が」「ガラス板101を高温側から低温側に搬送する。」ことから、当該徐冷炉は、②炉内部に沿って物品を搬送する搬送装置を有するものである。 ウそして、「ガラス板101は、高温側の徐冷室109a、109b…から順に、各徐冷室109a、109b…を搬送され、徐冷される」ことから、 - 26 - 当該徐冷炉は、③炉外から導入した物品を、炉内を搬送しながら熱処理するための熱処理装置である。 エまた、「徐冷炉の内部は、ガラス板の進行方向に垂直に、厚さ50mmのセラミックファイバーボード製の上下可動式の制御回路断熱壁107a、107b…及び断熱ボード108a、108b…により、幅がそれぞれ1. 3mから2.0m程度で、全部で7ないし10個程度の徐冷室109a、109b…に区切られている」ことから、制御回路断熱壁及び断熱ボードは、④物品の搬送を妨げないように炉内を物品の搬送方向に複数の熱処理室に仕切る断熱壁であり、当該徐冷炉はこれを備えている。 オまた、「各徐冷室109a、109b…内部には、メッシュベルト102の上の天井にニクロム製又は鉄クロム製の巻線をムライト製の熱板で固定した上側加熱ヒーター110aa、110ab…が設置されている」こと、「高温部にある各徐冷室109a、109b…の内部には、メッシュベルト102の下にニクロム製又は鉄クロム製の巻線をムライト製の熱板で固定した下側加熱ヒ 10aa、110ab…が設置されている」こと、「高温部にある各徐冷室109a、109b…の内部には、メッシュベルト102の下にニクロム製又は鉄クロム製の巻線をムライト製の熱板で固定した下側加熱ヒーター111aa、111ab…が設置されている」こと、及び、「各上側加熱ヒーター110aa、110ab…及び各下側加熱ヒーター111aa、111ab…は、各徐冷室109a、109b…ごとに独立して温度を制御することが可能である」ことから、上部及び下部の加熱ヒーターは、⑤熱処理室内の雰囲気温度を独立に設定するための雰囲気温度設定装置であり、当該徐冷炉は、⑥加熱装置への入力を雰囲気温度設定装置により行うことを特徴とする - 27 - 熱処理装置である。 カそして、「上側加熱ヒーター110aa、110ab…とメッシュベルト102の間には、各徐冷室109a、109b…ごとに、SUS304製の均熱壁112a、112b…が配置されている」ことから、当該徐冷炉は、⑦断熱壁により仕切られた各熱処理室内の物品搬送経路の情報を覆うように耐熱性の均熱壁を配し、⑧均熱壁を裏面から加熱する加熱装置を備えている。 キ上記①から⑧までから明らかなように、BL-3炉の徐冷炉は、本件第2特許請求項1の構成要件に該当する。 (2) 本件第2特許請求項2への構成要件該当性ア BL-3炉の徐冷炉の内部では、「幅750mmから800mm、SUS304製のメッシュベルト102が、往路及び復路とも、高温部のステンレス製の軸103と低温部の軸104の間で循環して」いることから、当該徐冷炉のメッシュベルト、軸、駆動モーター及び減速機は、①連続循環式の搬送部を有し②炉内の入り口側に往路・復路切り替え部分を有し、③搬送部の復路の一部は炉内を移動 環して」いることから、当該徐冷炉のメッシュベルト、軸、駆動モーター及び減速機は、①連続循環式の搬送部を有し②炉内の入り口側に往路・復路切り替え部分を有し、③搬送部の復路の一部は炉内を移動するように設けられている搬送装置である。 イまた、上記(1)のとおり、当該徐冷炉は、④請求項1に記載の熱処理装置である。 ウ上記①から④までから明らかなように、BL-3炉の徐冷炉は、本件第2特許請求項2の構成要件に該当する。 - 28 - (3) 本件第2特許請求項3への構成要件該当性ア上記(1)のとおり、BL-3炉の徐冷炉は、①トンネル型の炉及び②炉内部に沿って物品を搬送する搬送装置を有し、③炉外から導入した物品を、炉内を搬送しながら徐冷処理するための熱処理装置であって、④物品の搬送を妨げないように炉内を物品の搬送方向に複数の熱処理室に仕切る断熱壁と、⑤熱処理室内の雰囲気温度を独立に設定するための雰囲気温度設定装置とを備え、⑥断熱壁により仕切られた各熱処理室内の物品搬送経路の情報を覆うように耐熱性の均熱壁を配し、⑦均熱壁を裏面から加熱する加熱装置を備え、加熱装置への入力を雰囲気温度設定装置により行う熱処理装置である。 イまた、上記(2)のとおり、当該徐冷炉は、⑧搬送装置は連続循環式の搬送部を有し⑨炉内の入り口側に往路・復路切り替え部分を有し、⑩搬送部の復路の一部は炉内を移動するように設けられていることを特徴とする熱処理装置である。 ウ上記①から⑩までから明らかなように、BL-3炉の徐冷炉は、本件第2特許請求項3の構成要件に該当する。 (4) 本件第2特許請求項4への構成要件該当性ア上記(1)から(3)までのとおり、BL-3炉の徐冷炉は、①請求項1、2及び3 -3炉の徐冷炉は、本件第2特許請求項3の構成要件に該当する。 (4) 本件第2特許請求項4への構成要件該当性ア上記(1)から(3)までのとおり、BL-3炉の徐冷炉は、①請求項1、2及び3に記載の熱処理装置 - 29 - である。 イまた、均熱壁の、「放射率は0.92程度である」ことから、②均熱壁表面の放射率が0.9以上であるといえる。 ウ上記①及び②から明らかなように、BL-3炉の徐冷炉は、本件第2特許請求項4の構成要件に該当する。 (5) 本件第2特許請求項5への構成要件該当性ア上記(4)のとおり、BL-3炉の徐冷炉は、①請求項4に記載の熱処理装置である。 イまた、均熱壁の、「均熱壁112a、112b…には、セラミッション社製セラックα1500が表裏面に塗布されており、その放射率は0.92程度である」ことから、②均熱壁表面に放射率が0.9以上のセラミック塗料が塗布されているといえる。 ウ上記①及び②から明らかなように、BL-3炉の徐冷炉は、本件第2特許請求項5の構成要件に該当する。 (6) 本件第2特許請求項6への構成要件該当性ア BL-3炉の徐冷炉によるガラス物品の徐冷は、上記(1)から(5)までのとおり、①請求項1、2、3、4及び5に記載の熱処理装置を用いて②ガラス物品を搬送しながら徐冷するガラス物品の徐冷方法である。 イまた、当該ガラス物品の徐冷は、「徐冷炉の内部は、ガラス板の進行方向に垂直に、厚さ50mmのセラミックファイバーボード製の上下可動式の制御回路断熱壁107a、107b…及び断熱ボード108a、108b - 30 - …により、幅がそれぞれ1.3mから2.0m程度で、全部で7ないし10個程度の徐冷室109a、109b…に区切られて」お 壁107a、107b…及び断熱ボード108a、108b - 30 - …により、幅がそれぞれ1.3mから2.0m程度で、全部で7ないし10個程度の徐冷室109a、109b…に区切られて」おり、「制御回路断熱壁107a、107b…及び断熱ボード108a、108b…は、ガラス板101が通過するための最小限の隙間だけを残すよう調整されている」徐冷室を「高温側の徐冷室109a、109b…から順に、各徐冷室109a、109b…の内部を搬送され、徐冷される」ことから、③ガラス物品を、隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室内を順番に、開口を通して搬送して徐冷するガラス板の徐冷方法である。 ウさらに、当該ガラス物品の徐冷は、「徐冷炉の内部は、ガラス板の進行方向に垂直に、厚さ50mmのセラミックファイバーボード製の上下可動式の制御回路断熱壁107a、107b…及び断熱ボード108a、108b…により、幅がそれぞれ1.3mから2.0m程度で、全部で7ないし10個程度の徐冷室109a、109b…に区切られている」ことから、制御回路断熱壁及び断熱ボードにより、④隣り合う室は断熱壁により断熱されているガラス板の徐冷方法である。 エまた、当該ガラス物品の徐冷は、「各上側加熱ヒーター110aa、110ab…及び各下側加熱ヒーター111aa、111ab…は、各徐冷室109a、109b…ごとに独立して温度を制御することが可能である」ことから、⑤室の雰囲気温度は独立に設定されていることを特徴とするガラス物品の徐冷方法である。 オ上記①から⑤までから明らかなように、BL-3炉の徐冷炉によるガラス物品の徐冷方法は、本件第2特許請求項6の構成要件に該当する。 - 31 - (7) 本件第2特許請求項8への構成要件該当 上記①から⑤までから明らかなように、BL-3炉の徐冷炉によるガラス物品の徐冷方法は、本件第2特許請求項6の構成要件に該当する。 - 31 - (7) 本件第2特許請求項8への構成要件該当性ア BL-3炉の徐冷炉によるガラス成形品の製造方法は、①熔融ガラス又は加熱、軟化したガラスを成形するガラス成形品の製造方法である。 イまた、当該ガラス成形品の製造方法は、上記(1)から(5)までのとおり、②請求項1、2、3、4及び5に記載の熱処理装置を用いている。 ウまた、当該ガラス物品の徐冷は、「徐冷炉の内部は、ガラス板の進行方向に垂直に、厚さ50mmのセラミックファイバーボード製の上下可動式の制御回路断熱壁107a、107b…及び断熱ボード108a、108b…により、幅がそれぞれ1.3mから2.0m程度で、全部で7ないし10個程度の徐冷室109a、109b…に区切られて」おり、「制御回路断熱壁107a、107b…及び断熱ボード108a、108b…は、ガラス板101が通過するための最小限の隙間だけを残すよう調整されている」徐冷室を「高温側の徐冷室109a、109b…から順に、各徐冷室109a、109b…の内部を搬送され、徐冷される」ことから、③連続的に搬送しながら徐冷するガラス成形品の製造方法であり、④ガラス成形品を、隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室内を順番に、開口を通して搬送して徐冷するガラス板の徐冷方法である。 エさらに、当該ガラス物品の徐冷は、「徐冷炉の内部は、ガラス板の進行方向に垂直に、厚さ50mmのセラミックファイバーボード製の上下可動式の制御回路断熱壁107a、107b…及び断熱ボード108a、108b…により、幅がそれぞれ1.3mから2.0m程度で、全部で7ないし10個程 厚さ50mmのセラミックファイバーボード製の上下可動式の制御回路断熱壁107a、107b…及び断熱ボード108a、108b…により、幅がそれぞれ1.3mから2.0m程度で、全部で7ないし10個程度の徐冷室109a、109b…に区切られている」ことから、 - 32 - 制御回路断熱壁及び断熱ボードにより、⑤隣り合う室は断熱壁により断熱されているガラス成形品の製造方法である。 オまた、当該ガラス物品の徐冷は、「各上側加熱ヒーター110aa、110ab…及び各下側加熱ヒーター111aa、111ab…は、各徐冷室109a、109b…ごとに独立して温度を制御することが可能である」ことから、⑥室の雰囲気温度は独立に設定されていることを特徴とするガラス成形品の製造方法である。 カ上記①から⑤までから明らかなように、BL-3炉の徐冷炉によるガラス物品の徐冷方法は、本件第2特許請求項8の構成要件に該当する。 以上 - 33 - 別紙 炉目録(A-1炉) 1 炉等の概要(1) 炉の名称A-1炉(2) 炉の所在地被告HOYA昭島工場内(3) 実施された時期平成17年ころ以降(4) 実施により製造された製品型番がFD60、FDS90、LAC8又はNBFD13である製品 2 図面の簡単な説明図1は、A-1炉のEバー成形装置の側面図である。 図2は、A-1炉のEバー成形装置の平面図である。 3 符号の説明101…板ガラス102…徐冷炉103…流出フィーダー104…Eバー成形金型105…底板106…鋳型ストッパー107…冷却板201…鋳型側壁 4 炉の説明 - 34 - A-1炉のEバー成形装置は、溶融ガラスを板ガラス101に成形 …Eバー成形金型105…底板106…鋳型ストッパー107…冷却板201…鋳型側壁 4 炉の説明 - 34 - A-1炉のEバー成形装置は、溶融ガラスを板ガラス101に成形し、徐冷炉102に搬入する装置である。 溶融ガラスは、流出フィーダー103から、鋳鉄製のEバー成形金型104の上に設置された人造黒鉛又は純ニッケル製の底板105の上に鋳込まれる。 底板には、側壁として軟鉄製の鋳型側壁201が、成形後の板ガラスの幅で対向して設置されるとともに、板ガラスの移動方向の反対側には、鋳鉄製の鋳型ストッパー106が、それぞれ設置されており、鋳込まれた溶融ガラスは、板ガラス101として徐冷炉102に搬入される。 溶融ガラスは、底板105の上に鋳込まれ、徐冷炉102に搬入される前かつその上面が完全に固化する前に、冷却板107の下面を板ガラス101の上面に押圧したり離間したりする冷却板107の上下運動、すなわち間欠殴打(タッピング)によって、上面が冷却されるとともに肉厚が均一化される。 冷却板107は鋳鉄製であり、その形状は図1及び図2のとおりである。冷却板107は、その内側から空気によって冷却されている。 徐冷炉により徐冷された板ガラス101は、同軸上に複数のダイヤモンドホイール刃が固定されたマルチ切断機で縦横に切断することで直方体の形状に分割され、バレル研磨され、プレス成型に適した温度に加熱され、プレス機によって成型される。 5 本件第7特許への構成要件該当性(1) 本件第7特許請求項1への構成要件該当性ア A-1炉によるガラス板の製造で用いられる鋳型は、「鋳鉄製のEバー成形金型104の上に設置された人造黒鉛又は純ニッケル製の底板105」が設置され、「側壁として軟鉄製の鋳型側壁201が、成形後の板ガラスの幅 よるガラス板の製造で用いられる鋳型は、「鋳鉄製のEバー成形金型104の上に設置された人造黒鉛又は純ニッケル製の底板105」が設置され、「側壁として軟鉄製の鋳型側壁201が、成形後の板ガラスの幅で対向して設置され」ている。 すなわち、当該鋳型は、①ガラス板の幅を規定する一対の対向する側壁と、 - 35 - ②ガラス板の対向する2つの主表面の一方を成形する底面を備えた鋳型である。 イまた、「溶融ガラスは、流出フィーダー103から、鋳鉄製のEバー成形金型104の上に設置された人造黒鉛又は純ニッケル製の底板105の上に鋳込まれる」ことから、当該ガラス板の製造方法は、③一定速度でオリフィスより流出する熔融ガラスを連続して鋳込む製造方法である。 ウさらに、「板ガラスの移動方向の反対側には、鋳鉄製の鋳型ストッパー106が、それぞれ設置されており、鋳込まれた溶融ガラスは、板ガラス101として徐冷炉102に搬入される」ことから、当該ガラス板の製造方法は、④両側壁に沿って鋳込まれたガラスを上流側から下流側へと移動させる製造方法である。 エそして、「溶融ガラスは、底板105の上に鋳込まれ、徐冷炉102に搬入される前かつその上面が完全に固化する前に、冷却板107の下面を板ガラス101の上面に押圧したり離間したりする冷却板107の上下運動、すなわち間欠殴打(タッピング)によって、上面が冷却されるとともに肉厚が均一化される」ことから、当該ガラス板の製造方法は、⑤冷却体によりガラスの上面を押圧しては冷却体をガラスの上面から離間する操作を反復することによってガラスの上面を冷却し、⑥ガラスの移動方向に平板状のガラス板を連続して成形していくガラス板の製造方法である。 オ冷却体の形状は、図1及び図2のとおり、板幅方向 する操作を反復することによってガラスの上面を冷却し、⑥ガラスの移動方向に平板状のガラス板を連続して成形していくガラス板の製造方法である。 オ冷却体の形状は、図1及び図2のとおり、板幅方向で、両縁近傍では冷却開始のタイミングはより上流から冷却を開始し、かつ冷却時間は短く、板幅中央に行くにしたがって冷却開始のタイミングを遅らせ、かつ冷却時 - 36 - 間を長くできるよう、ガラスの動きに対して前縁、後縁側で形状の異なる略放物線で構成されるものである。 したがって、当該冷却体を用いたガラス板の製造方法は、⑦軟化状態にあるガラスの上面の側壁に近い部位ほど、より上流側から冷却を開始することを特徴とするガラス板の製造方法である。 カ上記①から⑦までから明らかなように、A-1炉によるガラス板の製造方法は、本件第7特許請求項1の構成要件に該当する。 (2) 本件第7特許請求項3への構成要件該当性ア A-1炉によって作成されたガラス板は、「同軸上に複数のダイヤモンドホイール刃が固定されたマルチ切断機で縦横に切断することで直方体の形状に分割され、バレル研磨され」てプレス成型用素材となる。 したがって、当該Eバー材の製造方法は、①ガラス板を複数個のガラス片に分割切断し、②ガラス片に研磨加工を施してプレス成型用素材を得ることを特徴とするプレス成型用素材の製造方法である。 イそして、当該プレス成型用素材は、「プレス成型に適した温度に加熱され、プレス機によって成型される」ことから、当該プレス成型用素材の製造方法は、③加熱された状態でプレスされ、ガラス成形品となるプレス成型用素材の製造方法である。 ウそして、当該プレス成型用素材に用いられるガラス板は、上記(1)のとおり、④請求項1に記載の方法により 加熱された状態でプレスされ、ガラス成形品となるプレス成型用素材の製造方法である。 ウそして、当該プレス成型用素材に用いられるガラス板は、上記(1)のとおり、④請求項1に記載の方法により作製 - 37 - されている。 エ上記①から④までから明らかなように、A-1炉によるプレス成型用素材の製造方法は、本件第7特許請求項3の構成要件に該当する。 以上

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