-1-平成20年2月21日判決言渡東京簡易裁判所平成19年(少コ)第2453号不当利得返還等請求事件(通常手続移行)判決主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求被告は,原告に対し,14万6663円を支払え。 第2事案の概要 請求の原因の要旨(1)原告(会社)は,被告との間で,平成18年8月1日を契約開始日として,平成19年7月の決算期に一括して原告会社の決算処理をすることを主たる業務とする顧問契約を締結し(以下,当事者間で締結されている顧問契約を,「本件顧問契約」という。),被告に対し,同人の希望により毎月の通常業務分として,平成18年8月分から平成19年6月分まで,11か月分合計14万6663円(毎月1万3333円)を銀行引落しの方法で支払った。 (2)その後原告は,平成19年6月15日に本件顧問契約を解除し,被告もこれを了承した結果,同契約は,規定に基づき解約予告3か月後である同年9月14日まで有効となった。 (3)ところが,被告は,決算期である平成19年7月に決算処理業務を行わず,同年6月までの11か月間何らの業務もしなかった。よって,原告は被告に対し,既に支払った14万6663円の返還を求める。 被告の主張(1)原告との間で締結した本件顧問契約は平成18年8月1日から開始し,報-2-酬は,①通常顧問業務月額1万3333円,②決算料各期7万9999円(ただし,12か月の分割で支払う。),③消費税等申告料については発生の都度協議の上決定する,④その他は別料金という内容で,双方は,3か月前の予告ないしはやむを得ない事情が生じた場合には本件顧問契約を解除することができる,というものである。 (2)被告は,本件顧問契約に基づき,毎月,通常業務及び決算 料金という内容で,双方は,3か月前の予告ないしはやむを得ない事情が生じた場合には本件顧問契約を解除することができる,というものである。 (2)被告は,本件顧問契約に基づき,毎月,通常業務及び決算に備えて預かった資料を仮集計してきた。しかし,被告は,やむを得ない事情が生じたことを理由に,平成19年6月末をもって解除した。 (3)被告は,結局同年7月の決算処理をしなかったので,それまで原告が決算料として分割払してきた金員については返却したが,解約前の平成19年6月分までの顧問料については,それまで毎月通常顧問業務を行ったので原告に返却する必要がない。 争点 原告は,本件顧問契約で被告に対し,年一回の決算処理のみを依頼したものであり,毎月の通常顧問業務は依頼しておらず,現に毎月の業務はなされていないので,既に支払った当該顧問料の返還を求めると主張する。これに対し,被告は,本件顧問契約では,原告から年一回の決算処理の他毎月の通常顧問業務の依頼を受けその業務を行ったとし,返還の必要はない旨主張する。したがって,本件の争点は,本件顧問契約の内容,すなわち,被告の原告に対しなすべき業務が年一回の決算処理のみであったか,毎月の通常業務の処理も含んでいたか否かということである。 第3当裁判所の判断 争いのない事実①原告と被告との間で,平成18年9月27日,同年8月1日効力開始日として本件顧問契約が締結されていること,②原告は,平成19年6月15日に本件顧問契約を解除し,被告もこれを了承した結果,同契約は,規定に基づき-3-3か月後である同年9月14日まで有効となったこと,③前記解約がされた結果,被告は結局決算業務をしなかったので,それまで原告が決算料として分割払してきた7万9999円を返却したこと。 証拠によれば,以下の事実が認めら 14日まで有効となったこと,③前記解約がされた結果,被告は結局決算業務をしなかったので,それまで原告が決算料として分割払してきた7万9999円を返却したこと。 証拠によれば,以下の事実が認められ,これに反する原告代表者A及び訴外Bの供述はいずれも採用できない。 (1)原告代表者と被告事務所の職員であったBとは親戚関係であったことから,Bが原告を被告に紹介し,被告は,原告から個人の確定申告と会社の申告を依頼され,本件顧問契約を締結させ,B自らが原告の担当となり,原告の毎月の通常業務を担当した(被告本人)。 (2)後記顧問契約書(甲1)を作成するに当たって,前記Aは,Bから顧問料についての見積もり(甲2)を提示されている。それによれば,法人の項目として,顧問料,確定申告料,年末調整等に分け,それぞれ別個に料金が設定されている。 (3)その後本件顧問契約を締結した際,顧問契約書(甲1)が作成されている。 原告,被告ともBをよく知っていたのでその作成をBに任せており,報酬金額を決めさせていたこともあった。その関係もあって,顧問料等は比較的低い料金設定になっている。 顧問契約書第1条には税務・会計に関する委任業務の範囲が定められ,第3条(報酬の額)には,顧問料と決算料とは明確に区別され,①毎月の通常業務として月額1万3333円,②確定決算料として各期7万9999円(顧問料の6か月分),③消費税等申告料は発生の都度協議の上決定,④その他として,業務等が発生した場合には別料金とする,という内容となっており,その他,契約当事者双方は,互いに相手方に3か月前に予告するか,又はやむを得ない事情が生じた場合に限り契約を解除することができるとの規定がなされている。 (4)通常の場合,個人の顧問契約の場合は,例えば確定申告など年一の単発の-4-契約 月前に予告するか,又はやむを得ない事情が生じた場合に限り契約を解除することができるとの規定がなされている。 (4)通常の場合,個人の顧問契約の場合は,例えば確定申告など年一の単発の-4-契約はあるが,法人の顧問契約の場合,決算書作成のみを単発で行う契約はなく,本件でも決算書の作成と通常顧問業務に分けて契約したもので,通常業務の中には源泉納付書の作成や扶養控除の作成などがある。保険相談は別途の扱いである。本件では,原告側やBからも,決算書作成のみが契約内容であるとの説明は全くなかった(被告本人)。 以上によれば,本件顧問契約の内容は,単に決算処理のみでなく,通常顧問業務を含んでいるものと解するのが相当である。 この点に関し,原告代表者Aは,本件顧問契約の内容は,被告との関係では年1回の処理で十分対応可能なもので,決算処理と年末調整だけの年一形態をとり被告から毎月の通常業務の提示を受けていないと供述し(甲13),また,Bは,報酬の内容を二つに分けたのは単に自己の給与体系に良いことや,当時このような契約書しかなかったので便宜的に使ったもので,被告との間で報酬金額の内容についてあらかじめ相談しており,原告の巡回監査などの月々の業務はしていない旨供述する(甲8)。 しかしながら,証拠によれば,原告代表者は本件顧問契約に関してはBを信用し任せており,契約締結の際被告に対し,契約内容についての自己の意思を明確に表明していなかったことや,被告は税務・会計について原告から相談があれば受け得る態勢はできており,具体的に明確ではないものの,現に被告は原告に対し,本件顧問契約に基づき顧問業務である税務相談や指導を含め現実に通常の顧問業務も行っていることが認められ(乙1ないし7,被告本人),他に本件顧問契約の内容が決算処理のみであるとする主張を裏付ける 対し,本件顧問契約に基づき顧問業務である税務相談や指導を含め現実に通常の顧問業務も行っていることが認められ(乙1ないし7,被告本人),他に本件顧問契約の内容が決算処理のみであるとする主張を裏付ける証拠はなく,それに沿う原告代表者及びBの各供述は,前2の事実及び弁論の全趣旨を総合すれば採用できない。 以上の次第であるから,被告が本件顧問料として原告から支払を受けた金員14万6663円は,本件顧問契約に基づき,現実に被告が顧問業務を行ったことに対する報酬として相当であり,被告に何ら違法の点はなく同金員の返還-5-義務はないものと認められ,それによれば原告の請求は理由がないので,主文のとおり判決する。 東京簡易裁判所民事第9室裁判官中島寛
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