平成20(行ケ)10226 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成21年1月28日 知的財産高等裁判所 3部 判決 請求棄却
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判決文本文22,654 文字)

- 1 -平成21年1月28日判決言渡平成20年行ケ第10226号審決取消請求事件()平成20年11月27日口頭弁論終結判決原告X同訴訟代理人弁護士松本賢人被告株式会社三共同訴訟代理人弁理士深見久郎同森田俊雄同酒井將行同塚本豊同中田雅彦主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求特許庁が無効2007-800260号事件について平成20年5月8日にした審決を取り消す。 第2事案の概要 特許庁における手続の経緯被告は,発明の名称を「弾球遊技機の管理装置」とする特許第3342459号(平成5年8月31日出願の特願平5-216690号の一部を平成11年12月27日に分割出願,平成14年8月23日設定登録。以下「本件特許」といい,本件特許に係る明細書を「本件明細書」という。)の特許権者である(甲5)。 - 2 -原告は,平成19年11月21日,特許庁に対し,本件特許無効審判(無効2007-800260号事件)の請求をしたところ,特許庁は,平成20年5月8日,「本件審判の請求は成り立たない。」との審決をし,その謄本は同年5月20日,原告に送達された。 特許請求の範囲本件特許の請求項1,2に係る発明(以下「本件発明1」,「本件発明2」といい,本件発明1と本件発明2を併せて「本件各発明」という。)は,次のとおりである。 【請求項1】打玉を遊技領域に打込んで遊技が行なわれ,該遊技領域に設けられた始動入賞領域に打玉が入賞することにより可変表示動作を行なう可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報になった場合に,前記遊技領域に打込まれた打玉が入賞しやすい大当り状態になり,前記可変表示装置の表示結 打玉が入賞することにより可変表示動作を行なう可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報になった場合に,前記遊技領域に打込まれた打玉が入賞しやすい大当り状態になり,前記可変表示装置の表示結果が前記特定の識別情報となる確率が変動する弾球遊技機を管理する弾球遊技機の管理装置であって,前記確率変動時における大当り状態の発生を含むすべての大当り状態の発生履歴を各弾球遊技機毎に集計し,集計した大当り状態の発生履歴を発生順に示すとともに,前記確率変動時に発生した大当り状態の箇所を示して出力することを特徴とする,弾球遊技機の管理装置。 【請求項2】打玉を遊技領域に打込んで遊技が行なわれ,該遊技領域に設けられた始動入賞領域に打玉が入賞することにより可変表示動作を行なう可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報になった場合に,前記遊技領域に打込まれた打玉が入賞しやすい大当り状態になり,前記可変表示装置の表示結果が前記特定の識別情報となる確率が変動する弾球遊技機を管理する弾球遊技機の管理装置であって,前記大当り状態が発生したことを示す情報と,前記大当り状態の発生確率が変動したことを示す情報とが入力される情報入力部と,前記情- 3 -報入力部に入力された情報に基づいて,前記確率変動時における大当り状態の発生を含むすべての大当り状態の発生履歴を各弾球遊技機毎に集計する集計手段と,該集計手段による集計結果により,集計した前記大当り状態の発生履歴を発生順に示すとともに,前記確率変動時に発生した大当り状態の箇所を示して出力する出力手段とを備えていることを特徴とする,弾球遊技機の管理装置。 審決の内容別紙審決書の写しのとおりである。要するに,本件各発明は,特開平7-8620公報(甲1)の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された発明( とを特徴とする,弾球遊技機の管理装置。 審決の内容別紙審決書の写しのとおりである。要するに,本件各発明は,特開平7-8620公報(甲1)の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された発明(以下「先願発明」といい,先願発明が記載された明細書を「先願明細書」という。)と同一であるとはいえないので,特許法29条の2第1項の規定により無効とされるべきものではないとするものである。 審決は,上記結論を導くに当り,先願発明の内容並びに本件各発明と先願発明との一致点及び相違点を次のとおり認定し,先願発明と本件発明1との相違点について,次のとおり本件発明1と先願発明とは同一とはいえないと判断し,本件発明2についても同様であると判断した。 (1)先願発明の内容遊技玉を遊技領域に弾発して遊技が行なわれ,該遊技領域に設けられた始動入賞口64に遊技玉が入賞することにより特別図柄の内容が変化する可変表示器62を有する特別図柄表示装置63の作動結果が特定の利益状態である大当りのゾロ目状態になった場合に,変動入賞装置65を遊技玉を受け入れない第1の状態から受け入れ易い第2の状態に変動する大当り状態になり,大当り遊技終了後に大当り図柄の発生確率が低確率から高確率に変更されるパチンコ装置を管理するパチンコ装置の管理装置であって,前記管理装置は,ホールに設置されたパチンコ装置から大当りに関する各種情報を収集して,連続大当りの発生状態に対応させて所定の方式でデータを整理し,- 4 -大当りの発生回数,大当りの発生時刻,大当りの発生図柄,大当り確率が変動したケースである確変を含む大当りの発生状況を各パチンコ装置毎に演算処理する管理コンピュータ360と,該管理コンピュータ360による演算処理により,演算処理した大当りの発生状況を大当りの発生時刻である時間順に示 る確変を含む大当りの発生状況を各パチンコ装置毎に演算処理する管理コンピュータ360と,該管理コンピュータ360による演算処理により,演算処理した大当りの発生状況を大当りの発生時刻である時間順に示すとともに,前記大当り確率が変動したケースである確変欄には◎印が付された表を表示する管理コンピュータ360の画面又はプリント用紙に印刷するプリンタ362とを備えているパチンコ装置の管理装置。 ⑵一致点ア先願発明と本件発明1との一致点打玉を遊技領域に打込んで遊技が行なわれ,該遊技領域に設けられた始動入賞領域に打玉が入賞することにより可変表示動作を行なう可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報になった場合に,前記遊技領域に打込まれた打玉が入賞しやすい大当り状態になり,前記可変表示装置の表示結果が前記特定の識別情報となる確率が変動する弾球遊技機を管理する弾球遊技機の管理装置であって,前記確率変動時における大当り状態の発生を含むすべての大当り状態の発生履歴を各弾球遊技機毎に集計し,集計した大当り状態の発生履歴を発生順に示して出力する,弾球遊技機の管理装置である点。 イ先願発明と本件発明2との一致点打玉を遊技領域に打込んで遊技が行なわれ,該遊技領域に設けられた始動入賞領域に打玉が入賞することにより可変表示動作を行なう可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報になった場合に,前記遊技領域に打込まれた打玉が入賞しやすい大当り状態になり,前記可変表示装置の表示結果が前記特定の識別情報となる確率が変動する弾球遊技機を管理する弾球遊技機の管理装置であって,前記大当り状態が発生したことを- 5 -示す情報と,前記大当り状態の発生確率が変動したことを示す情報とが入力される情報入力部と,前記情報入力部に入力された情報に基づいて,前 の管理装置であって,前記大当り状態が発生したことを- 5 -示す情報と,前記大当り状態の発生確率が変動したことを示す情報とが入力される情報入力部と,前記情報入力部に入力された情報に基づいて,前記確率変動時における大当り状態の発生を含むすべての大当り状態の発生履歴を各弾球遊技機毎に集計する集計手段と,該集計手段による集計結果により,集計した前記大当り状態の発生履歴を発生順に示して出力する出力手段とを備えている,弾球遊技機の管理装置である点。 ⑶相違点(出力手段の)大当り状態の発生履歴の出力について,本件各発明は,「確率変動時に発生した大当り状態の箇所を示して」出力するのに対し,先願発明は,「大当り確率が変動したケースである確変欄には◎印が付された表」を出力するものである点。 ⑷相違点についての判断の要旨ア先願発明の管理装置が管理を行う対象となる弾球遊技機(パチンコ装置)は,前記のごとく,「大当りが2回セットというような遊技性台」又は「大当りが3回で1セットというような遊技性の台」のような「大当りを複数回保証する」パチンコ装置のみではない(以下「審決の判断①」という。)。 イ前記2種類のパチンコ装置だけをとってみても,当該◎印が付された大当りの次回の大当りが,「確率変動時に発生した大当り状態」であることはわかるとしても,さらにその次回の大当りとなると,「確率変動時に発生した大当り状態」であるかどうかは,出力されたものからは区別できない(以下「審決の判断②」という。)。 ウ先願明細書には,先願発明の管理装置が管理を行う対象となる弾球遊技機(パチンコ装置)として,「確率変動回数決定表示器92は確率変更決定表示器91の図柄が停止した後に図柄回転を開始し,こちらは確率変動回数の抽選をしてその確率変動回数を決定し,表示するものである 技機(パチンコ装置)として,「確率変動回数決定表示器92は確率変更決定表示器91の図柄が停止した後に図柄回転を開始し,こちらは確率変動回数の抽選をしてその確率変動回数を決定し,表示するものである。例え- 6 -ば,【7】が表示されると,確率変動回数が7回となり,【3】が表示されると,確率変動回数が3回となる。」というような,確率変動が発生しても,その確率変動回数が毎回一定の回数となるものではないものも含むことが記載されており,確率変動回数を一義的に特定することはできない(以下「審決の判断③」という。)。 エ「大当り終了後に4個の始動記憶内の始動動作中に大当りが連チャンしやすい状態」となる「記憶内連チャン」の処理を行なうときの大当りとなる確率の向上は相当大きいが,管理装置は,そのときに発生した大当りが,「確率変動時に発生した大当り状態」であるかどうかを特別視していない(以下「審決の判断④」という。)。 オ本件発明1は,あくまで,弾球遊技機を管理する弾球遊技機の管理装置に係る発明であって,管理装置の機能としてみると,先願発明の管理装置は,「確率変動時に発生した大当り状態の箇所を示して出力する」ことを直接的に行っているものではないし,前記のとおり,データ上,その大当り状態が確率変動状態中に発生したものであるか否かを分けて管理しているものでもないから,先願発明が,「大当り確率が変動したケースである確変欄には◎印が付され」て示されることをもって,「確率変動時に発生した大当り状態の箇所を示して」出力しているということはできず,本件発明1と先願発明とは,発明の構成要件を異にするものである(以下「審決の判断⑤」という。)。 第3取消事由に関する原告の主張審決は,取消事由1,2のとおり,本件各発明と先願発明との同一性に関する判断に誤りがあ 明とは,発明の構成要件を異にするものである(以下「審決の判断⑤」という。)。 第3取消事由に関する原告の主張審決は,取消事由1,2のとおり,本件各発明と先願発明との同一性に関する判断に誤りがあるので取り消されるべきである。 取消事由1(本件発明1と先願発明との同一性に関する判断の誤り)本件発明1と先願発明の相違点は,以下のとおり,課題解決のための具体的手段における微差にすぎず,新たな作用効果を奏するものではなく,本件発明- 7 -1と先願発明は実質的に同一であるから,審決の判断は誤りである。 ⑴大当り発生履歴の出力の同一性審決は,前記審決の判断①ないし⑤のとおり,先願発明は「確率変動時に発生した大当り状態の箇所を示して」いるとはいえないと判断したが,審決の同判断は,以下のとおり誤りである。 ア先願明細書の段落【0121】ないし【0123】には,図19(a)ないし(c)に示すように,大当りが発生すると,大当り確率がアップし,大当りを2回ないし3回保証するタイプのパチンコ機についての実施態様がそれぞれ記載されている。弾球遊技機を管理する上で,図20及び図25でデータを取得する対象となるパチンコ機が,確率変動大当り後,何回大当りを保証するものであるかをあらかじめ把握することは自明であるから,◎印以降の大当り状態のうち,どこまでの大当り状態が確率変動状態中に発生したかは特定されているといえる。すなわち,先願発明における確率変動が発生する図柄での大当り状態の箇所でマークを付した大当り状態の発生履歴の出力と本件発明1における確率変動状態中での大当り状態の箇所でマークを付した大当り状態の発生履歴の出力は,同一の内容を指すものというべきである。 イ審決の判断①に対して(ア)本件特許出願時の技術常識からしても,管理対象となるパチンコ装 大当り状態の箇所でマークを付した大当り状態の発生履歴の出力は,同一の内容を指すものというべきである。 イ審決の判断①に対して(ア)本件特許出願時の技術常識からしても,管理対象となるパチンコ装置が「大当りを複数回保証する」パチンコ装置のみではなく,「大当りを単数回保証する」パチンコ装置も存在するが,この場合は「0」回と一義的に特定できる。このように,先願発明の管理の対象が,「大当りを複数回保証する」パチンコ装置に加えて,「大当りを単数回保証する」パチンコ装置を含むものであっても,常に確率変動状態中に発生した大当りは,一義的に特定することができる。 したがって,先願発明の対象とする管理を行なうパチンコ装置が「大- 8 -当りを複数回保証する」パチンコ装置のみではないことは,確立変動状態中に発生した大当りが一義的に特定できないことを意味するものではないから,審決の判断①は失当である。 (イ)被告は,本件発明1が管理の対象とする「弾球遊技機」に確率変動回数不特定タイプが含まれるところ,この遊技機では先願発明によったのでは確率変動中での大当りを一義的に特定できないと主張する。 しかし,被告の上記主張は失当である。 すなわち,先願明細書には,①可変表示装置に表示される大当りの識別情報のみによっては,確率変動が生じるか否か不特定なタイプ(パチンコ機1)と,②確率変動の発生とその回数が特定できるタイプ(パチンコ機2)が記載されているところ,被告のいう「確率変動回数不特定タイプの遊技機」とはパチンコ機1のことである。これに対し,本件発明1は,「大当り状態になり・・確率が変動する」とされ,「大当りの表示が出ると,必ず,大当り状態となって,かつ,確率が変動する」というパチンコ機2のみを対象としている。よって,被告の主張は理由がない。 ウ審決の 状態になり・・確率が変動する」とされ,「大当りの表示が出ると,必ず,大当り状態となって,かつ,確率が変動する」というパチンコ機2のみを対象としている。よって,被告の主張は理由がない。 ウ審決の判断②に対して先願発明において,それぞれの台の大当り状態の発生履歴を示すコンピュータの画面又はプリンタで印刷された表は図20に対応するところ,先願明細書の段落【0126】に記載のとおり,確率変動後の大当りを1回保証するこの台は,「確変ナンバー」が「3」,「5」,「7」のいずれかがそろうと,いわゆる確率変動状態になる。例えば,午前10時30分に「3」がそろったので,その欄に◎が付与され,データとして出力される。次に,この台の次回当り「2」であるが,ここには◎印はないものの,前回「3」の◎に鑑みれば,「2」の当りは当然「確率変動状態」であることが容易に理解できる。また,2回保証であれば,次の「6」までが,- 9 -3回保証であればその次の「4」までが確率変動状態での大当りであることは一義的に特定できる。 したがって,「大当りが2回セットというような遊技性台」又は「大当りが3回で1セットというような遊技性の台」では,当該◎印が付された大当りの次々回の大当りが,「確率変動時に発生した大当り状態」であるかどうかを明確に区別できるので,審決の判断②は誤りである。 エ審決の判断③に対して確率変動回数が毎回一定となるものでなくても,確率変動回数に何らかの意味で限定し,大当りを複数回保証しているにすぎない点(つまり複数回の大当りがセットになっている点)では,毎回確率変動回数が一回となる場合と全く同一であり,確率変動状態での大当りを一義的に特定できる。 すなわち,先願発明において,それぞれの台の大当り状態の発生履歴を示すコンピュータの画面又はプリンタで印刷 確率変動回数が一回となる場合と全く同一であり,確率変動状態での大当りを一義的に特定できる。 すなわち,先願発明において,それぞれの台の大当り状態の発生履歴を示すコンピュータの画面又はプリンタで印刷された表を示す図20では,確変ナンバーが特定されている。 また,先願発明では,大当りの保証回数がパチンコ装置から信号として出力されて管理されることが前提となっており,確率変動回数が毎回一定とならない場合であっても,変動回数は自明であって,確率変動状態での大当りを一義的に特定できる。 先願発明において,その管理するパチンコ装置が,確率変動回数が毎回一定の回数とならない場合を含んでいたとしても,確率変動状態での大当りを一義的に特定できる。よって,確率変動状態での大当りを一義的に特定できないとする審決の判断③は誤りである。 オ審決の判断④について先願発明において,それぞれの台の大当り状態の発生履歴を示すコンピュータの画面又はプリンタで印刷された表から,一義的かつ明確に確率変動時の大当りが特定することができる。したがって,審決の判断④は,先- 10 -願発明と本件発明1との同一性を否定する根拠たり得ない。 カ審決の判断⑤について審決は,先願発明の管理装置が確率変動時に発生した大当り状態の箇所を示して出力することを直接行なっていない点において構成を異にする旨を判断する。しかし,「確率変動時に発生した大当り状態の箇所を示して出力することを直接行なっていない」との意味が,「先願明細書の請求項に記載されていない」との趣旨であるならば,本件発明1も相違しないし,また,「(確率変動時に発生した大当り状態の箇所を)示している」との趣旨であるならば,先願発明の出力からも確率変動時に発生した大当りを一義的に特定できる以上,本件発明1と相違しない。したがって,審 また,「(確率変動時に発生した大当り状態の箇所を)示している」との趣旨であるならば,先願発明の出力からも確率変動時に発生した大当りを一義的に特定できる以上,本件発明1と相違しない。したがって,審決の判断⑤は,先願発明と本件発明1との同一性を否定する根拠たり得ない。 ⑵作用効果の同一性本件発明1は,確率変動時に発生した大当り状態の箇所及び確率変動における大当り状態の発生回数を出力するが,それは遊技場経営者にとって最も重要な情報である確立変動を生じる大当りの回数を出力するためのものであって,作用効果において先願発明と異なるところはない。 取消事由2(本件発明2と先願発明との同一性に関する判断の誤り)審決は,先願発明と本件発明2の相違点は,本件発明1と先願発明との相違点と同じものであり,上記相違点についての検討について,本件発明1について検討した理由を援用し,実質的同一性を否定している。 しかし,先願発明と本件発明1の相違点についての主張と同様の理由により,審決の判断は誤りであり,先願発明と本件発明2の相違点は,単なる設計的事項での相違にすぎない。したがって,本件発明2と先願発明は実質的に同一である。 第4被告の反論原告の主張する取消事由には理由がなく,審決に誤りはない。 - 11 - 取消事由1(本件発明1と先願発明との同一性に関する判断の誤り)に対し⑴大当り発生履歴の出力の同一性についてア先願発明において,確率変動状態中に発生した大当りを一義的に特定するためには,先願明細書の図25の大当り発生データの印刷を見た人間に対し,対象となっているパチンコ機が確率変動大当り中何回大当りを保証するかという知識を要求し,さらに,その知識に基づいてその人間がどこまでの大当り状態が確率変動状態中に発生したかを推論して補完しなければなら となっているパチンコ機が確率変動大当り中何回大当りを保証するかという知識を要求し,さらに,その知識に基づいてその人間がどこまでの大当り状態が確率変動状態中に発生したかを推論して補完しなければならない。 これに対し,本件発明1は,管理装置内部において推論補完の結果を出力するものであり,人間の知的推論補完作業を装置側が行なうものである。 推論補完作業は一義的に特定できるものではなく,複雑の知的推論補完作業が要求される。 先願発明と本件発明1とは,推論補完作業を人間が行うか装置側が行なうかという構成において相違し,その相違点は課題解決のための具体的手段における微差とはいえず,実質的同一とはいえない。 イ審決の判断①に関する原告の主張に対し審決の判断①は,「大当りを複数回保証するタイプ」のみならず「確率変動回数不特定タイプ」のパチンコ装置も管理対象としているという点を示したものである。原告の主張は失当である。 ウ審決の判断②に関する原告の主張に対し先願明細書の図25で出力された表を見た者が,その出力対象の遊技機が何回保証のものであるかとの知識がなければ,先願の◎印が付された大当りの次々回の大当りが,「確率変動時に発生した大当り状態」であるか否かを判断できない。原告の主張は失当である。 エ審決の判断③に関する原告の主張に対し確率変動回数不特定タイプの遊技機は,特別図柄表示装置63の可変表- 12 -示器62L,62M,62Rの表示結果とは別の,確率変動回数決定表示器92の表示結果に応じて,確立変動回数が決まるものであり,上記可変表示器の表示結果からは確率変動回数が特定できない。また,大当りの保証回数の信号は,パチンコ装置から島設備500の連チャン表示装置620a,620bに出力されるだけであり,管理装置350に出力されて管理されるもの からは確率変動回数が特定できない。また,大当りの保証回数の信号は,パチンコ装置から島設備500の連チャン表示装置620a,620bに出力されるだけであり,管理装置350に出力されて管理されるものではなく(先願明細書の段落【0064】,【0167】,図5),図25の大当り発生データの集計出力を行う管理装置350は,大当りの保証回数を知得できない。原告の主張は失当である。 オ審決の判断④に関する原告の主張に対し先願発明において,記憶内連チャンは,大当りの発生確率が向上した状態であるから(先願明細書段落【0058】,【0078】ないし【0080】),実質的には確率変動時と同等の状態である記憶内連チャン時に発生した大当りを先願発明は特別視していないことは,先願明細書の記載から明らかである。これに対し,本件発明1の場合には,確率変動時と同等の状態である記憶内連チャン時に発生した大当りを特別視し,その発生した大当りの箇所を示して出力する。よって,「記憶内連チャン」時に発生した大当りが,「確率変動時に発生した大当り状態」であるかどうかを特別視する処理を行なっていないことは,先願発明と本件発明1との相違点といえる。原告の主張は失当である。 カ審決の判断⑤に関する原告の主張に対し本件発明1は,「確率変動時に発生した大当り状態の箇所を示して出力する」とされ,出力を直接行っていることは明確であるから,原告の主張は失当である。 ⑵作用効果の同一性について本件発明1の技術的思想は,確率変動時及び通常時を含めた全体での大当り状態の発生回数,大当り状態の発生状況を把握するに当たり,確率変動時- 13 -に発生した大当りと通常時に発生した大当りとを区別するようにした点にある。これに対し,先願発明の技術的思想は,確率変動状態や通常状態に関係なく,連チャン を把握するに当たり,確率変動時- 13 -に発生した大当りと通常時に発生した大当りとを区別するようにした点にある。これに対し,先願発明の技術的思想は,確率変動状態や通常状態に関係なく,連チャン大当り状態のデータを所定の方式で整理して表示するようにした点にある。このように,先願発明の場合には,連チャン大当り状態すなわち前回の大当りの終了後所定期間内に次の大当りが発生したか否かに関心が向けられた発明であり,現在の遊技状態が高確率状態であるか否かには何ら関心が向けられておらず,高確率状態中と通常状態中とに区分けしてデータを集計する発明ではない。 よって,本件発明1と先願発明とは作用効果が異なる。 取消事由2(本件発明1と先願発明との同一性に関する判断の誤り)に対し本件発明2は,本件発明1と同様の理由から,先願発明との実質的同一性が否定されるから,原告の主張は失当である。 第5当裁判所の判断当裁判所は,原告の主張する取消事由には理由がなく,審決の判断に誤りがないと判断する。以下理由を述べる。 本件発明1と先願発明との相違点は,前記第2,3(3)のとおりである。すなわち,大当り状態の発生履歴の出力について,本件発明1は,「確率変動時に発生した大当り状態の箇所を示して」出力するのに対し,先願発明は,「大当り確率が変動したケースである確変欄には◎印が付された表」を出力するものである点において相違する(争いはない)。そこで,上記相違点が,技術的な観点から実質的な相違点に当たるか否かを以下に検討する。 本件明細書の記載及び本件発明1の技術的意味⑴本件明細書の記載本件明細書(甲5)の発明の詳細な説明欄には,以下の記載がある。 ア【0002】【従来の技術】従来から一般的に知られている弾球遊技機は,たとえば,遊技領域に設けられた始動入賞領域に 本件明細書の記載本件明細書(甲5)の発明の詳細な説明欄には,以下の記載がある。 ア【0002】【従来の技術】従来から一般的に知られている弾球遊技機は,たとえば,遊技領域に設けられた始動入賞領域に打玉が入賞すること- 14 -により,複数種類の識別情報が可変表示する遊技の動作が行なわれる可変表示装置等からなる遊技装置が設けられ,その遊技装置の動作により行なわれる遊技の結果ある確率で発生する大当り状態が発生した場合に,可変入賞球装置を遊技者にとって有利な第1の状態に駆動する等して遊技領域に打込まれた打玉が入賞しやすい特別の遊技状態に制御するように構成されていた。そして,この従来の弾球遊技機においては,前記大当り状態が発生することにより打玉が入賞しやすい特別の遊技状態に制御されるため,遊技者は,その大当り状態の発生を目当てに遊技を行なっていた。このように,大当り状態の発生が遊技者の目当てとなり注目の的となっていることに鑑み,この従来の弾球遊技機においては,予め定められた確率変動条件の成立により前記大当り状態の発生確率を変動させるようにし,遊技を変化に富んだ面白味のあるものにしていた。 イ【0003】【発明が解決しようとする課題】このように,大当り状態の発生を目当てに遊技者が遊技を行なう関係上,大当り状態の発生状況は遊技場にとって重大な関心事であり,この大当り状態の発生状況を把握して遊技場経営に反映させたいというニーズが遊技場にある。 ウ【0012】遊技領域101内に打込まれたパチンコ玉が特別図柄用始動口109あるいは第1の状態となっている普通可変入賞球装置110内に入賞すれば,その始動入賞玉が始動入賞玉検出スイッチ113により検出され,その検出信号に基づいて可変表示装置102の特別図柄表示部103が可変開始された後停止制御される。 通可変入賞球装置110内に入賞すれば,その始動入賞玉が始動入賞玉検出スイッチ113により検出され,その検出信号に基づいて可変表示装置102の特別図柄表示部103が可変開始された後停止制御される。この特別図柄表示部103は,たとえば,液晶表示器の表示画面で構成されており,0~9,A~Eの15種類の識別情報を可変表示するものであり,その停止時の表示結果が予め定められた特定の識別情報の組合せ(たとえば777等の15通りのゾロ目)となれば,特定遊技状態が発生して特別可変入賞球装置114の開閉板116を開成して打玉が入賞しやすい遊技者にとって有利な第1の状- 15 -態とする大当り時の制御が行なわれる。 エ【0013】・・・特別図柄表示部103の可変停止時の表示結果が,予め定められた特別の識別情報の組合せ(たとえば333,777)で特定遊技状態が発生すれば,以降の特定遊技状態が発生する確率が向上するという確率変動制御が行なわれる。この確率変動制御は,初回の特定遊技状態の発生を含めて合計3回特定遊技状態が発生することにより通常の発生確率に復帰する。この特定遊技状態の発生確率は,通常時においては,後述するように3段階に可変設定可能となっており,設定1では,1/215,設定2では,1/230,設定3では,1/245の発生確率となる。一方,前述した確率変動時においては,設定1,2,3に関わらずすべて1/25の発生確率となる。 オ【0060】前述した各種遊技機1に設けられている遊技制御基板41,241,341は,それぞれに,前述したように,遊技装置の動作により行なわれる遊技の結果ある確率で発生する特定遊技状態が発生した場合に,前記遊技領域に打込まれた打玉が入賞しやすい特別の遊技状態に制御する機能を有しており,この遊技制御基板41,241または3 により行なわれる遊技の結果ある確率で発生する特定遊技状態が発生した場合に,前記遊技領域に打込まれた打玉が入賞しやすい特別の遊技状態に制御する機能を有しており,この遊技制御基板41,241または341により,前記遊技装置の動作により行なわれる遊技の結果が予め定められた特定遊技状態になった場合に,前記遊技領域に打込まれた打玉が入賞しやすい特別の遊技状態に制御可能な制御手段が構成されている。さらに,各遊技制御基板41,241,341は,前述したように,確率変動条件の成立により特定遊技状態の発生確率を変動させる機能を有しているのであり,この各遊技制御基板41,241あるいは341により,予め定められた確率変動条件の成立により前記特定遊技状態の発生確率を変動させる確率変動手段が兼用構成されている。 カ【0063】この各台の各データの出力操作に従って,ユニットナンバー0001のパチンコ遊技機に関する集計データの出力状態が図9に示さ- 16 -れている。図9に示すように,ユニットナンバー0001は,グループ1に属する1番台のパチンコ遊技機であり,機種コード01の第1種のパチンコ遊技機(図1に示したパチンコ遊技機)であり,ラッキーナンバーモードが01であるために可変表示装置の停止時の大当り図柄がラッキーナンバーの判断対象となる。そして,特定遊技状態の発生確率の設定値は01に設定されているために1/215の発生確率となっている。さらに持玉遊技開始ナンバーが3,5,持玉遊技終了ナンバーが4,9,終日無定量ナンバーが7に定められている。そして,図9に示すように,1993年8月15日(日)15時50分現在の本日の集計データが表の形で示されている。この表に従えば,一番左に大当り発生回数が示されており,その右側にそれぞれの発生時刻が示されている。その右 うに,1993年8月15日(日)15時50分現在の本日の集計データが表の形で示されている。この表に従えば,一番左に大当り発生回数が示されており,その右側にそれぞれの発生時刻が示されている。その右側の特図入賞とは,前述した特別図柄始動入賞情報に基づいて集計された特別図柄始動入賞個数データであり,本日の営業開始時点から1回目の大当りが発生するまでの特別図柄始動入賞個数が155,1回目の大当りの終了から2回目の大当りの発生までの特別図柄始動入賞個数が398となっている。 キ【0071】大当り図柄とは,特別図柄表示部103によりどの図柄(数字)のぞろめで大当りが発生したかを示しており,1回目の大当りの発生は「666」,2回目の大当りの発生は「555」のぞろめで大当りが発生している。なお,この大当り図柄の欄に示された○マーク,×マーク,星印マークは,それぞれ,持玉遊技開始ナンバー,持玉遊技終了ナンバー,終日無定量ナンバーが特別図柄表示部103により表示されたことを示している。この表によれば,2回目の大当りの発生により持玉遊技開始ナンバーである「555」により大当りが発生して持玉を用いて遊技を続行できる状態となったが,3回目の大当りの発生時に持玉遊技終了ナンバーである「999」が特別図柄表示部103により表示されたために,持玉を用いて遊技を続行できる状態が終了している。そして,8回目の大- 17 -当りの発生に伴って確率変動状態となり,9回目の大当りの発生に伴って終日無定量ナンバーである「777」が表示され,確率変動状態でなおかつ1日中,出玉を変換することなく遊技を続行できる状態となっていることがわかる。なお,表における大当りの欄における星印マークは,確率変動状態における大当り発生であることを示している。 ク【0092】【発明の効果】請 換することなく遊技を続行できる状態となっていることがわかる。なお,表における大当りの欄における星印マークは,確率変動状態における大当り発生であることを示している。 ク【0092】【発明の効果】請求項1および請求項2に記載の本発明によれば,大当り状態の発生履歴が発生順に示されるとともに,確率変動時に発生した大当り状態の箇所が示されて出力されるために,確率変動時および通常時を含めた全体での大当り状態の発生回数,確率変動時に発生した大当り状態の箇所,確率変動時における大当り状態の発生回数を,遊技場側が把握することができ,遊技場経営に利用することができる。 ⑵本件発明1の技術的意味以上によれば,本件発明1の「確率変動時に発生した大当り状態の箇所を示して」は,遊技機における大当り発生状況を把握し,遊技場の経営に反映させたいという課題を解決するために,確率変動時に発生した大当り状態の箇所にマークを付すなどして,これを示して出力する手段を備えることにより,確率変動時及び通常時を含めた遊技機全体での大当り状態の発生状況,発生確率が変動した時の大当りの発生状況を遊技場側が把握できるようにしたものと解される。 先願明細書の記載及び先願発明の技術的意味⑴先願明細書(甲1)には,以下の記載がある。 ア【0004】【発明が解決しようとする課題】ところで,大当り状態を連続して発生可能な遊技機においては,所定期間内に前記大当り状態が短い周期で連続して発生する俗にいう“連チャン大当り”状態が時々起こることがある。また,最近では大当り終了後確率が変動して連チャンの発生しやすい確率変動タイプの遊技機(例えば,CR機:後述の実施例参照)- 18 -もある。しかしながら,従来において各遊技機でのいわゆる“連チャン大当り”状態の発生状況を把握しようとする場合に 発生しやすい確率変動タイプの遊技機(例えば,CR機:後述の実施例参照)- 18 -もある。しかしながら,従来において各遊技機でのいわゆる“連チャン大当り”状態の発生状況を把握しようとする場合には,大当り状態時におけるアウト球数のデータと,通常の遊技状態におけるアウト球数のデータとをホールの管理装置で収集し,収集した当該各データをプリントアウトして,その印字結果を担当者が見てその相関関係を分析して“連チャン大当り”状態であるか否かを判断していた。すなわち,非常に手間がかかり現実的でなかった。 イ【0006】そこで本発明は,大当り状態が予め設定された期間内に連鎖状態で複数回に渡って発生するいわゆる“連チャン大当り”状態の発生状態に対応させて所定の方式で連チャン大当りデータを整理し,表示可能遊技機の集中管理装置を提供することを目的としている。 ウ【0021】ここで,大当り確率のアップとは,例えば大当り遊技終了後に大当り図柄の発生確率が低確率から高確率に変更されたときである。 また,確率アップ状態が繰り返して制御されているとき,確率変更が新たに始めから新規に繰り返して制御されるときの各態様を表示するようにしてもよい。 エ【0022】・・連チャン回数表示器47は,例えば7セグメントの発光ダイオードを用いて2列で構成され,一方の表示器で連チャン回数を表示し,他方の表示器で大当りの保証回数(連チャン大当りの残り回数)を表示する。なお,連チャン回数表示器47は連チャン回数と大当りの保証回数に分けて表示するのではなく,例えば2桁で連チャン回数を表示するようにしてもよく,あるいは2桁で大当りの保証回数を表示するようにしてもよい。 オ【0026】遊技盤の構成図2は遊技盤13を示す正面図である。図2において,遊技領域の周囲には弾発された玉を遊技 ようにしてもよく,あるいは2桁で大当りの保証回数を表示するようにしてもよい。 オ【0026】遊技盤の構成図2は遊技盤13を示す正面図である。図2において,遊技領域の周囲には弾発された玉を遊技領域の上方部まで案内したり,後述のアウト玉回- 19 -収口77まで案内するなどの機能を有するレール61が配置されている。 また,遊技領域のほぼ中央部には中央に機械的に変位可能な可動式の可変表示器62を有する特別図柄表示装置(いわゆる役物装置で,図柄表示装置に相当)63が配置されている。特別図柄表示装置63の下方には,チューリップタイプの普通電動始動口(以下,適宜,普電という)64が配置されるとともに,特別図柄表示装置63の作動結果によって遊技玉を受け入れない第1の状態から受け入れ易い第2の状態に変動する大入賞口としての変動入賞装置(大入賞口のことで,いわゆるアタッカー)65が配置されている。変動入賞装置65は,特別変動入賞装置に相当する。 カ【0027】普通電動始動口64の下部には普通図柄表示器(以下,適宜,普図表示器という)64aが配置されており,普通図柄表示器64aは9セグメントのLEDからなり,0~19の範囲で20種類の数字あるいは記号(A,B,C,・・・)等を表示可能である。普通図柄表示器64aは普通図柄表示装置に相当する。特別図柄表示装置63は普通電動始動口64に玉が入賞したとき(ただし,始動記憶のタイミングは後述する),可変表示器62の特別図柄の内容を変化させ,その図柄が特定の利益状態(すなわち,特別態様遊技状態で,例えば,大当りのゾロ目状態:「777」など)になると,変動入賞装置(アタッカー)65が開放するようになっている。変動入賞装置(アタッカー)65の開放は,特別変動入賞装置に関わる特別遊技状態を起生することに相当する ロ目状態:「777」など)になると,変動入賞装置(アタッカー)65が開放するようになっている。変動入賞装置(アタッカー)65の開放は,特別変動入賞装置に関わる特別遊技状態を起生することに相当する。なお,以下の説明では上記特定の利益状態を適宜単に大当り状態という。 キ【0034】確率変動決定表示器91および確率変動回数決定表示器92は通常は,以下のように大当り確率の変動制御を行う場合に使用される。 すなわち,確率変動決定表示器91は特別図柄表示装置63が大当り図柄になると同時に図柄回転を開始し,特定の数字(例えば,「7」,「3」)で停止すると,大当り確率の変動が決定されるような遊技を行う。 - 20 -特定の数字以外(例えば,「0」)で停止すると,大当り確率の変動は決定されない。一方,確率変動回数決定表示器92は確率変動決定表示器91の図柄が停止した後に図柄回転を開始し,こちらは確率変動回数の抽選をしてその確率変動回数を決定し,表示するものである。例えば,「7」が表示されると,確率変動回数が7回となり,「3」が表示されると,確率変動回数が3回となる。また,確率変動回数決定表示器92は確率変動回数の残り回数も表示可能で,例えば,確率変動決定回数が7回のとき,大当りが1回発生した後は残りの確率変動回数として「6」を表示する。 残りの確率変動回数が「0」になると,確率変動が停止し,元の低確率に戻る。 ク【0035】なお,上記のように確率変動決定表示器91および確率変動回数決定表示器92を別遊技手段93として用いて大当り確率の変動を決定する場合のみならず,例えば,これとは別の態様で特別図柄表示装置63の大当り図柄(例えば,ラッキー大当り図柄)によって大当り確率を変動させるような制御を行うときには,確率変動が決定されたことおよび確率変動回数 ならず,例えば,これとは別の態様で特別図柄表示装置63の大当り図柄(例えば,ラッキー大当り図柄)によって大当り確率を変動させるような制御を行うときには,確率変動が決定されたことおよび確率変動回数の表示手段として確率変動決定表示器91および確率変動回数決定表示器92をそれぞれ使用してもよい。この場合,各表示器91,92は単なる表示手段で別遊技手段ではなくなる。そして,特別図柄表示装置63が別遊技手段を構成することになる。そして,大当り確率を変動したときには,その変動の決定を確率変動決定表示器91によって表示する。例えば,大当り終了後に大当り確率をアップするときには,大当り発生と同時に確率変動決定表示器91に数字が表示される。この数字は大当り後に大当り確率がアップする変動回数を示す。また,確率変動回数は確率変動回数決定表示器92に表示される。一方,確率変動決定表示器91および確率変動回数決定表示器92と,特別図柄表示装置63との両方を使用して上記別遊技を実行することももちろん可能である。このときは両- 21 -方が別遊技手段を構成する。 ケ【0046】記憶内連チャン率設定装置326の記憶内連チャン設定スイッチは,例えば記憶内連チャン(すなわち,大当り終了後の始動回数が4回以内での連チャン)の発生率を1/10,1/20,1/40の3段階に外部から容易に変更できるように,3つの接点を有している。 コ【0047】セミ連チャン率設定装置327のセミ連チャン設定スイッチは,例えばセミ連チャン(すなわち,大当り終了後の始動回数が30回以内での連チャン)の発生率を1/50,1/100,1/150の3段階に外部から容易に変更できるように,3つの接点を有している。 サ【0118】次いで,ステップS1132で遊技機の種類別に連チャンデータを作成する )の発生率を1/50,1/100,1/150の3段階に外部から容易に変更できるように,3つの接点を有している。 サ【0118】次いで,ステップS1132で遊技機の種類別に連チャンデータを作成する。遊技機の種類とは,遊技機を分類するための基準であり,例えば遊技機の遊技種別,遊技機の機種別,遊技機の製造メーカー別がある。遊技機の遊技種別とは,例えばいわゆる第1種,第2種,第3種,他種の別をいう。遊技機の機種別とは,同じ遊技種別に属しながらもタイプが異なるものをいい,例えば第1種の遊技機ではα社の“花鳥風月”,β社の“麻王”というように分類される。遊技機の製造メーカーとは,同じ遊技種別に属しながらも(あるいは他の遊技種別でもよい),それらの遊技機を製造するメーカーが異なっているものをいう。 シ【0121】・・C.第2連チャン率第2連チャン率とは,大当りが2回で1セットというような遊技性の台での連チャン率をいい,通常の連チャン率と区別して用いる。例えば,確率変動の機種あるいは第3種に属する遊技機に多い。これらは大当りを複数回保証するようなタイプである。すなわち,図19(a)に示すようにタイミングcで大当りが発生すると,大当り確率がアップし,再び短期間に大当りが発生するため,この場合には連チャン0回と計数する。これは,大当りが2回で1セットというような遊技性になっているからである。 - 22 -ス【0122】D.大当りが3回で1セットというような遊技性の台も第2連チャン率の定義に従う。すなわち,図19(b)に示すように,例えばタイミングfで大当りが発生すると,大当りを3回保証するように大当り確率がアップし,短期間に大当りが都合3回連続して発生するが,このとき大当りが3回発生したにもかかわらず,この場合には連チャン0回と計数する。これは りが発生すると,大当りを3回保証するように大当り確率がアップし,短期間に大当りが都合3回連続して発生するが,このとき大当りが3回発生したにもかかわらず,この場合には連チャン0回と計数する。これは,大当りが3回で1セットというような遊技性になっているからである。 セ【0126】次に,図20は一例として台番号[256]のパチンコ装置について,大当りの発生状況を示すものである。図中の意味は以下の通りである。 確変ナンバー:大当り確率が高まる図柄(確変図柄)であり,「3」,「5」,「7」の図柄で大当りが発生すると,以後,大当り確率がアップする。 確率設定値:大当りの発生確率の設定値で,ここでは[設定値1]である。 連チャン設定値:連チャン発生率の設定値で,ここでは[設定値1]である。 回:大当りの発生回数時間:大当りの発生時刻図柄:大当りの発生図柄確変:大当り確率が変動(高確率になる)したケース始動回数:大当り発生までの特図の回った回数実稼働時間:大当り発生までにパチンコ装置が実際に稼働した時間(単位は分)連チャン1:[設定値1],すなわち大当り終了後の始動回数4回以内で連チャンが発生したもの連チャン2:[設定値2],すなわち大当り終了後の始動回数30回以内- 23 -で連チャンが発生したもの連チャン3:[設定値3],すなわち大当り終了後の実稼働時間10分以内で連チャンが発生したもの1+2+3:連チャン1,連チャン2および連チャン3を加算したものW:ダブルの連チャン発生T:トリプルの連チャン発生F:フォースの連チャン発生ソ【0134】図25,図26は管理コンピュータ360によって演算処理したデータをプリンタ362を用いてプリントアウトした場合の一例である。図25において,700はプリント用紙であり,プリント用紙700に 34】図25,図26は管理コンピュータ360によって演算処理したデータをプリンタ362を用いてプリントアウトした場合の一例である。図25において,700はプリント用紙であり,プリント用紙700には前述した図20に示すものと同様に台番号[256]のパチンコ装置に関して大当りの発生状況を示すデータがデータ欄701に印刷されている。 タ図20及び図25には,いずれも大当り確率が変動したケースである「確変」欄に◎印が付されている。 ⑵先願発明の技術的意味以上を総合すれば,先願発明の特徴につき,以下の点を指摘することができる。 すなわち,遊技機は,所定期間内に大当り状態が短い周期で連続して発生する「連チャン大当り」状態が時々起ることがあり,また大当り終了後に確率が変動して連チャンの発生しやすい確率変動タイプも存在するところ,先願発明は,そのような連チャン発生状態を把握し易くするために,連チャン大当りデータを整理し,表示可能な遊技機の集中管理装置を提供することを目的とするものである。そのために先願発明は,遊技機の大当りの発生状況を時刻順でリスト等に出力する機能を備え,また大当り確率が変動することになった大当り状態の箇所についての確変欄に,◎印を付すことにより,ど- 24 -の大当りがきっかけとなって確率変動が生じたかについて把握可能なものとしたものである。そして,遊技機には,①大当りが発生する際に,確率変動の有無とその維持回数が決定されるもの(段落【0034】,【0035】),②大当り発生後に確率を高くし,入賞回数が所定回数経る毎に確率を下げていくもの(段落【0046】,【0047】),③大当り発生後に2回,あるいは3回など,所定回数大当りが発生するまで確率の高い状態を維持するもの(段落【0121】,【0122】),等確率変動状態が適用 いくもの(段落【0046】,【0047】),③大当り発生後に2回,あるいは3回など,所定回数大当りが発生するまで確率の高い状態を維持するもの(段落【0121】,【0122】),等確率変動状態が適用される回数について異なる種類の遊技機が存在するところ,先願発明は,これら各種の遊技機を対象とするものである。 取消事由1(本件発明1と先願発明との同一性に関する判断の誤り)について⑴前記1,2のとおり,本件発明1は,確率変動時に発生した大当り状態の箇所にマークを付すなどして,これを示して出力するものである。これに対し,先願発明は,大当り確率が変動することになった大当り状態の箇所,すなわち確率変動が生じるきっかけとなった大当り状態の箇所にマークを付すなどしてこれを出力するものであり,本件発明1と先願発明とでは出力対象の大当り状態が異なるものである。また,先願発明が対象とする遊技機は,確率が変動した状態が適用される大当り等の回数について様々なタイプが想定されており,先願発明で出力されたリストにおいて,マークが付された確率変動のきっかけとなった大当り状態と,それに続く確率変動中に発生した大当り状態の関係は,様々な種類が存在することとなる。したがって,先願発明におけるマークが付された大当り状態が,「確率変動時に発生した大当り状態を示して」いるということはできず,本件発明1と先願発明は,実質的に同一の発明ということはできない。 ⑵原告の主張に対しア原告は,先願発明で出力されたリストを見れば,一義的に確率変動中の- 25 -大当りが定まるので,先願発明も「確率変動時に発生した大当り状態を示して」いる旨主張する。 しかし,前記のとおり,先願発明は,様々なタイプの遊技機を対象として想定しているものであり,出力されたリストだけではその対象となっ 願発明も「確率変動時に発生した大当り状態を示して」いる旨主張する。 しかし,前記のとおり,先願発明は,様々なタイプの遊技機を対象として想定しているものであり,出力されたリストだけではその対象となった遊技機の大当りに関する確率変動の維持回数を特定することはできず,出力されたリスト情報に他の情報を付加して解析しなければ,対象となる確率変動時の大当りを特定することができない。また,先願明細書には,大当りが発生する際に確率変動の有無とその維持回数が決定されるタイプの遊技機の場合,確率変動回数を管理装置で集計処理に用いることについての特段の記載もなく,出力されたリストからどの大当りが確率変動時に発生したものかを把握することは困難である。したがって,先願発明は「確率変動時に発生した大当りの状態の箇所を示して出力」しているとはいえない。原告の主張は理由がない。 イ原告は,本件発明1では,大当りが発生すると,必ず確率変動が発生する遊技機に特定されており,確率変動不特定タイプの遊技機は含まないものであって,これと共通する先願発明の遊技機において出力したリストでは,確率変動時に発生した大当りを一義的に特定できるから,本件発明1と先願発明は同一である旨主張する。 しかし,本件発明の請求項1は,「①・・特定の識別情報になった場合に,②前記遊技機領域に打込まれた打玉が入賞しやすい大当り状態になり,③前記可変表示装置の表示結果が前記特定の識別情報となる確率が変動する弾球遊技機」と記載されているとおり,①の場合に②と③の状態となることを示しているにとどまり,②の状態が生じれば必然的に③の状態となる場合のみを指すと限定的に理解することはできない。そして,前記1で認定した本件明細書の詳細な説明を参酌しても,確率変動条件が成立したときに初めて大当りの発生確率が変動 生じれば必然的に③の状態となる場合のみを指すと限定的に理解することはできない。そして,前記1で認定した本件明細書の詳細な説明を参酌しても,確率変動条件が成立したときに初めて大当りの発生確率が変動する従来の遊技機について記載され- 26 -ており,本件発明1は,このような遊技機の大当り状態の発生状況を把握して遊技場経営に反映させる管理装置を提供するものであるし,上記原告の主張する構成の遊技機に該当する実施例の記載はない。そうすると,本件発明1は,特定の識別情報になった場合に,大当り状態になるもので,そのような特定の識別情報となる確率が変動する機能を有する遊技機と解され,原告の主張する遊技機を対象としたものとは認められない。原告の主張は理由がない。 ウ作用効果の同一性について原告は,先願発明は一義的に確率変動中の大当りが特定できるから,本件発明と先願発明に作用効果において相違はない旨主張する。しかし,前記のとおり,先願発明が対象とする遊技機には,一義的に確率変動中の大当りを特定することが困難な遊技機も存在する。また,先願発明は,確率変動を維持する回数があらかじめ定まっている場合でも,他の情報をつき合わせながらリストを解析しなければ,確率変動時の大当りを特定することができないから,両者の作用効果が同じということはできない。原告の主張は理由がない。 取消事由2(本件発明2と先願発明との同一性に関する判断の誤り)について原告は,本件発明2は,本件発明1と同様の理由で,審決の判断は誤りである旨主張する。しかし,前記のとおり,本件発明1に関する審決の判断は誤りでないから,本件発明2についても,審決の判断に誤りがあるとはいえない。 結論 以上のとおり,原告の主張する取消事由はいずれも理由がない。原告は,その他縷々主張するが,審決を取 る審決の判断は誤りでないから,本件発明2についても,審決の判断に誤りがあるとはいえない。 結論 以上のとおり,原告の主張する取消事由はいずれも理由がない。原告は,その他縷々主張するが,審決を取り消すべきその他の誤りは認められない。 よって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 - 27 -知的財産高等裁判所第3部裁判長裁判官飯村敏明裁判官中平健裁判官上田洋幸

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