平成18(ネ)10031 商標権侵害差止等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成18年11月6日 知的財産高等裁判所 4部 判決 控訴棄却 横浜地方裁判所 平成15(ワ)3155
ファイル
hanrei-pdf-33770.txt

キーワード

判決文本文16,090 文字)

- 1 -平成18年(ネ)第10031号商標権侵害差止等請求控訴事件平成18年11月6日判決言渡,平成18年7月31日口頭弁論終結(原審・横浜地方裁判所平成15年(ワ)第3155号,平成18年2月22日判決)判決控訴人(原告)X訴訟代理人弁護士北本善彦,窪田耕一,弁理士高橋康夫被控訴人(被告)株式会社ビー・アンド・エム訴訟代理人弁護士岡部光平,飯田直久,三浦修,小山昌人,井澤秀昭,出光恭介主文本件控訴を棄却する。 控訴費用は,控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1控訴人の求めた裁判,,。 原判決中控訴人敗訴部分のうち損害賠償請求を棄却した部分を取り消す 被控訴人は控訴人に対し1000万円及びこれに対する平成18年8月1,,日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 仮執行宣言第2事案の概要,「」,「」,「」本判決においては原判決と同様に又はこれに準じて本件商標被控訴人標章1Y等の略称を用いる。 - 2 - 原審において,原告X(控訴人)は,被告(被控訴人)が本件登録商標と類似する標章を使用しているとして被告に対し①原判決別紙被告標章目録記載1,,ないし5の標章を付したウェットスーツの販売の差止め及び廃棄,②使用料相当損害金の支払いを求めた。また,原告A(以下「A」という)は,被告を退職する。 際の約定に基づく200万円の退職金の支払いを求めた。 これに対し,原判決は,Aの請求は理由があるとして認容したが,控訴人の請求については,①本件登録商標が被控訴人標章1ないし3,6に類似していることは明らかである,②これらの被控訴人標章は,商標法4条1項10号の「他人の業務に係る商品…を表示するもの」に当たる,③ の請求については,①本件登録商標が被控訴人標章1ないし3,6に類似していることは明らかである,②これらの被控訴人標章は,商標法4条1項10号の「他人の業務に係る商品…を表示するもの」に当たる,③本件商標登録は,不正競争の目的でこれを受けたものと認められるので,無効審判請求が除斥期間(商標法47条)の経過により妨げられることもないと判断して,これを棄却した。 そこで,控訴人は,原判決を不服として控訴をした。当審では,本件商標権に基づく損害賠償請求のみが審理の対象となり,主な争点は,①被控訴人標章1ないし3,6は,商標法4条1項10号の「他人の業務に係る商品…を表示するもの」に当たるかどうか,②本件商標登録は「不正競争の目的」でこれを受けたものかどうかである。 本件における当事者の主張は,次のとおり付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第5争点に関する当事者の主張(Aの請求に関する部分を除く)」。 のとおりであるから,これを引用する。 当審における控訴人の主張の要点(控訴理由の要点)(1)商標法4条1項10号の「他人の」という要件の充足性本件商標を含む「FUTURE」標章は,Aに帰属し,商標法4条1項10号の「他人の」という要件を満たさない。 Aは,被控訴人の事業が再開される平成元年より以前から「FUTURE」と,の表示に関心を抱き,これをウェットスーツのブランド名あるいは標章として用いることを検討してきた。そして,そのイメージを具体的にデザインしたり,ウェッ- 3 -トスーツに載せた構図を考えてきた。このように,Aは,被控訴人が事業を再開する以前から,独自に本件商標を含む「FUTURE」ブランドを完成させていた。 Aは被控訴人のパンフレットに自己の名前を載せ同社が販売するウェットスー,,ツに自己の名前を記載して販売 が事業を再開する以前から,独自に本件商標を含む「FUTURE」ブランドを完成させていた。 Aは被控訴人のパンフレットに自己の名前を載せ同社が販売するウェットスー,,ツに自己の名前を記載して販売し,被控訴人が事業を再開した後も,被控訴人の名前ではなく自己の名前で「FUTURE」標章のついた商品を販売するなど,本件商標を含む「FUTURE」標章をA自身のブランドとして使ってきた。これは,A自身が,本件商標を含む「FUTURE」標章を自己のものと認識していたことを示している。 被控訴人会社の代表者であるYは,控訴人が本件商標の出願を行っていることを知った上で,被控訴人を権利者として「FUTUREWAVE」という名前の商,標登録をしている。また,Yは,Aが退職する際に,Aに対し「AはFUTUR,Eの商標を持っているのだから,FUTUREをやればいい。俺はFUTUREWAVEの商標を持っているし,クラウンマークでやるから」と述べ,Aが退職し。 た後も,控訴人及びAに対し,今後は「FUTURE」のついた商標を使わないと約束している。Yのこのような言動は,本件商標を含む「FUTURE」標章がAのものであり,被控訴人はAから許諾を得てこれらの標章を使用しているにすぎないことをYが十分認識していたことを示している。 以上のとおり,本件商標を含む「FUTURE」標章がAに帰属していたことは明らかであり,Aは,生計をともにする控訴人の名義で自己の商標を登録したにす,「」。 ぎないのであるから商標法4条1項10号の他人のという要件を充足しない仮に,この要件に形式的に当たるとしても,Aから許諾を受けて「FUTURE」商標を使用していた被控訴人が,商標法4条1項10号に基づいて無効の主張をするのは信義則に反する。 (2)「不正競争の目的」の不存在 件に形式的に当たるとしても,Aから許諾を受けて「FUTURE」商標を使用していた被控訴人が,商標法4条1項10号に基づいて無効の主張をするのは信義則に反する。 (2)「不正競争の目的」の不存在本件において控訴人に「不正競争の目的」がないことは明らかである。 前記のとおり,本件商標を含む「FUTURE」標章は,Aに帰属する。本件商- 4 -標の出願登録は,Aにとっては,自己が創作し,自己の標章として扱っていた「FUTURE」標章を妻の名前で行ったにすぎず,Yも「FUTURE」の標章はAのものであるとの認識を有していたのであるから,控訴人が本件商標登録を受けたのは自己の法的権利を保護するためにすぎず「不正競争の目的」に基づくもので,はない。 本件商標出願は,不合理でワンマン的な経営を行うようになったYへの不信感を感じていたAが,過労のため体調を崩したことが契機である。Aは,自分自身や家族の将来について真剣に考え,その結果,自己が創作し,育ててきた唯一の財産ともいえる本件商標を含む「FUTURE」標章の権利をYに奪われないようにするため,妻である控訴人の名前で商標出願したものである。控訴人及びAは,自らの持つ標章を法的に保護するために,本件商標出願を行ったにすぎないのであり,被控訴人の標章を横取りし,又は競業を行うために商標登録を行ったのではない。 ,,,本件商標登録当時Yの不当な対応によりYに対するAの信用は失われておりAとYとは気軽に話のできるような間柄ではなく,また,AとYは,本件商標を含む「FUTURE」標章がAに帰属するという認識を共有していたため,Aは,本件商標登録について,酒席でYに伝えて了承を得たものである。 本件では,被控訴人が事業を再開して以来,控訴人が本件商標登録の出願をするまでに約9年間あったが,Yは「FUT を共有していたため,Aは,本件商標登録について,酒席でYに伝えて了承を得たものである。 本件では,被控訴人が事業を再開して以来,控訴人が本件商標登録の出願をするまでに約9年間あったが,Yは「FUTURE」標章等を被控訴人の商標として,出願登録しなかった。かえって,Yは,控訴人が本件商標出願を行っていることを,「」。 ,知りながらFUTUREWAVEという名前で商標登録を行っているYはAが退職した際も「俺はFUTUREWAVEの商標をもっているし,クラウン,マークでやる」などと述べているのであり,Aが被控訴人会社を退職した後も,控,「」。 訴人及びAに対し今後は被控訴人はFUTUREを使わないと約束しているYは,本件商標を含む「FUTURE」標章がAに帰属することを認識していたからこそ,被控訴人の商標として「FUTURE」を商標登録しなかったのである。 以上のとおり,本件商標登録が「不正競争の目的」をもってなされたものではな- 5 -いことは明らかである。 (3) 結論 本件商標登録が商標法4条1項10号に該当するとともに「不正競争の目的」,をもってされたものであるとの原判決の判断は誤りであり,控訴人の請求は認容されるべきである。 当審における被控訴人の主張の要点(1)商標法4条1項10号の「他人の」という要件の充足性控訴人は,商標として出願登録されていない被控訴人標章の帰属について縷々主張するが,商標として出願登録されていない標章に商標法は格別の保護を与えていないのであって,控訴人の主張は失当である。 また,控訴人が主張する事実は,そもそも存在しないか,存在したとしても,本件商標が控訴人にとって「他人の」商標ではなかったことを裏付ける事実であるとはいえない。控訴人は,被控訴人が事業を再開する前に,Aが独自に が主張する事実は,そもそも存在しないか,存在したとしても,本件商標が控訴人にとって「他人の」商標ではなかったことを裏付ける事実であるとはいえない。控訴人は,被控訴人が事業を再開する前に,Aが独自に本件商標を含む「FUTURE」ブランドを完成させていたと主張するが,そのような事実はない。また,パンフレットにAの氏名が掲載されたことはあるが,ウェットスーツの型をデザインした者として掲載されているにすぎず,製品の生産者ないし提供者としては,被控訴人名が記載されている。さらに,Aが,平成元年ころ,被控訴人に対して「FUTURE」という標章の使用を許諾したという事実もない。 平成14年末にAが被控訴人会社を退社する際のやりとりは,これを過大に評価すべきではなく,そのやりとりから,Aが,平成元年ころ,被控訴人に対して「FUTURE」標章の使用を許諾したという事実が認められるものではない。 したがって,商標法4条1項10号の「他人の」の要件を満たすとした原判決の判断は正当である。 (2)「不正競争の目的」の不存在原判決が正当に認定した事実によれば,控訴人は,Yについての不満をAから聞- 6 -かされていたところ,被控訴人が本件商標について商標登録をしていないことに目をつけたAと共謀して,将来Aが被控訴人会社を退社した際に,被控訴人が築き上げてきた本件商標に対する信用を利用してウェットスーツ販売を営もうと考え,Y。 ,に無断で本件商標の登録を思い立ち実行したものと認められるこのような目的はまさに「不正競争の目的」であり,その旨認定した原判決は正当である。 控訴人は,Yに対するAの信頼が失われたことなどの理由から,Aは,本件商標登録について酒席でYに伝えたと主張する。しかしながら,そのような重大な事柄を酒の席で話したというのはあまりにも不自然であり, 控訴人は,Yに対するAの信頼が失われたことなどの理由から,Aは,本件商標登録について酒席でYに伝えたと主張する。しかしながら,そのような重大な事柄を酒の席で話したというのはあまりにも不自然であり,Aの供述は信用できない。 AがYに不信感を募らせていたことに照らすと,Aは,被控訴人のためではなく,自分自身の利益のために本件商標登録に及んだと考えるのが自然であり「不正競,争の目的」を有していたことが推認できる。 したがって,本件商標登録について「不正競争の目的」があったと認定した原判決は正当である。 (3) 結論 以上のとおり,本件では,商標法4条1項10号の「他人の」という要件が充足していることは明らかであり,本件商標登録が「不正競争の目的」をもってされたものであるとの原判決の判断も正当である。 第3当裁判所の判断 当事者間に争いのない事実及び本件証拠により認定できる事実は,原判決の「事実及び理由」の「第3基礎となる事実」及び「第6当裁判所の判断「1本」引用部件の事実関係」記載のとおりであるから,下記のとおり,これを引用する(。 分には,本判決の表記方法等に合わせて変更した部分がある。以下同様。)(1)基礎となる事実「1被控訴人会社の設立A及び被控訴人会社の代表者であるY及び訴外B(以下「B」という)は,昭和61年4。 - 7 -月5日,ウェットスーツの製造,販売等を目的として被控訴人会社を設立した。 被控訴人の事業中断及び再開昭和62年になると,被控訴人はマリンレジャー商品の製造,販売等を行う株式会社ブルーマリンに事実上吸収合併されたような状態となり,A,Y及びBは同社に勤務することになったが,平成元年,AとYは同社を退社して,Aが100万円,Y及びその父が400万円を出資してAが取締役に,Yが代表取締役にそれぞれ就 合併されたような状態となり,A,Y及びBは同社に勤務することになったが,平成元年,AとYは同社を退社して,Aが100万円,Y及びその父が400万円を出資してAが取締役に,Yが代表取締役にそれぞれ就任して被控訴人の事業を再開した。事業再開後の被控訴人においては,Aがウェットスーツのデザインや型紙の製作を担当し,Yが営業を担当した。 なお,被控訴人は平成15年7月31日に有限会社から株式会社に組織変更した。 被控訴人の商標の使用被控訴人は,上記事業の再開に際して,その製造,販売するウェットスーツのブランド名として「FUTURE」を採用し,その直後から,被控訴人標章6(1)を付したサーファー向けのウェットスーツの製造販売を開始し平成9年までには上記標章とともに被控訴人標章1,,,ないし3及び6(2)の標章もその製造,販売するウェットスーツに付するようになった(甲28,乙4の1ないし5,20,A,被控訴人代表者。 ) 本件商標の登録控訴人は,平成9年6月4日,本件商標の登録を出願し,平成11年8月27日,以下のとおり,本件商標は登録された(甲3,4。 )(1)登録番号第4309285号(2)出願年月日平成9年6月4日(3)登録年月日平成11年8月27日(4)商品及び役務の区分第9類(5)指定商品理化学機械器具,測定機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工(。),,,,,,ガラス建築用のものを除く救命用具レコードメトロノームオゾン発生器電解槽遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シ- 8 -,,,,ミュレーター鉄道用信号機乗物の故障の警告用の三角標識発光式又は機械式の道路標識火災報知機,ガス漏れ警報器,消 ン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シ- 8 -,,,,ミュレーター鉄道用信号機乗物の故障の警告用の三角標識発光式又は機械式の道路標識火災報知機,ガス漏れ警報器,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,盗難警報器,保安用ヘルメット,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,計算尺,硬貨の計数又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,潜水用機械器具,レギュレーター,アーク溶接機,家庭用テレビゲームおもちゃ,金属溶断機,検卵器,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置(6)登録商標原判決別紙原告登録商標目録記載のとおり 被控訴人の商標登録被控訴人は,平成11年9月2日,原判決別紙被告登録商標目録記載1及び2の商標について商標登録を出願し平成12年7月21日以下のとおりこれらの商標は登録された乙11,,,(の1・2。 )(1)ア登録番号第4402426号イ出願年月日平成11年9月2日ウ登録年月日平成12年7月21日エ商品及び役務の区分第25類オ指定商品ウインドサーフィン用ウエットスーツ,その他の運動用特殊衣服,運動用特殊靴,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,その他カ登録商標原判決別紙被告登録商標目録記載1の 特殊衣服,運動用特殊靴,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,その他カ登録商標原判決別紙被告登録商標目録記載1のとおり(2)ア登録番号第4402427号イ出願年月日平成11年9月2日- 9 -ウ登録年月日平成12年7月21日エ商品及び役務の区分第25類オ指定商品ウインドサーフィン用ウエットスーツ,その他の運動用特殊衣服,運動用特殊靴,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,その他カ登録商標原判決別紙被告登録商標目録記載2のとおり Aの退職,,(,,,Aは平成14年12月20日被控訴人会社の取締役を辞任した甲28 乙20A,被控訴人代表者」)。 (2)本件の事実関係前記基礎となる事実に証拠甲2ないし47812ないし1726ないし2830「(,,,,,,,,,,,,)の1ないし4 乙1ないし12 24の1ないし4 A被控訴人代表者と弁論の全趣旨を合わせると,次の事実を認めることができる。 (1)被控訴人によるウェットスーツの販売開始被控訴人は,平成元年4月ころに事業を再開したが,その際に,ウェットスーツのブランド「」,,名をFUTUREとすることにして被控訴人標章6(1)を付したウェットスーツの製造販売を開始した。 被控訴人会社の代表者Yは,同月「FUTURE」という標章を商標登録できるかどうか,の調査を弁理士に依頼したところ,弁理士から「同一商標の登録はありませんので,使用しても商標権侵害が主張されるおそれはないものと思われますが,出願しても登録できるかど 標章を商標登録できるかどうか,の調査を弁理士に依頼したところ,弁理士から「同一商標の登録はありませんので,使用しても商標権侵害が主張されるおそれはないものと思われますが,出願しても登録できるかどうかについては多少疑問が残ります」との回答があったため,この時点で登録出願等はしなかっ。 た。 (2)被控訴人による本件商標等の使用及び広告宣伝アその後,被控訴人は,被控訴人標章1ないし3及び6を付したウェットスーツの製造,販売を継続し,平成9年までの取引先は1都1道1府22県に及んだ。被控訴人の平成8年度- 10 -の売上高は約1億1500万円に上りその大部分がウェットスーツの売上であり平成9年4,,月の時点では月200着以上のウェットスーツを販売するまでに至った。 イ被控訴人は,平成9年までの間に,主要なサーフィン雑誌に広告を掲載したり,国内外のプロサーファーと用品提供の契約を締結するなどして「FUTURE」ブランドの商品の,宣伝活動を行い,サーフィン雑誌に同ブランドの商品が紹介されることもあった。 例えば,被控訴人は,平成2年4月及び5月に開催された世界アマチュアサーフィン選手権大会のカタログに「FUTURE」ブランドのウェットスーツの広告を出したこと(乙5,)サーフィン雑誌SURFINLIFEの平成2年5月号6月号10月号平成3年6「’」,,,,,,,,月号平成4年6月号平成5年6月号平成6年11月号平成7年5月号ないし11月号平成8年5月号6月号11月号12月号に被控訴人標章12及び6等を付したウェッ,,,,,トスーツ等の商品の広告を掲載するなどしたこと(乙6の1ないし13,15ないし20,)サーフィン雑誌SURFERの平成2年2月号に被控訴人標章6(1)を び6等を付したウェッ,,,,,トスーツ等の商品の広告を掲載するなどしたこと(乙6の1ないし13,15ないし20,)サーフィン雑誌SURFERの平成2年2月号に被控訴人標章6(1)を付したウェットスー「」ツの広告を掲載したこと(乙7,サーフィン雑誌「Flipper」の平成7年5月号,7)月号,11月号,平成8年5月号に被控訴人標章1,2及び6(2)等を付したウェットスーツ等の商品の広告を掲載したこと(乙8の1ないし4,ボディーボード雑誌「BBlife)magazine」の平成8年5月号に被控訴人標章1,2及び6(2)を付した商品の広告を掲載したこと(乙9)といった事実を挙げることができる(控訴人が本件商標の登録出願した平成9年6月4日の時点でウェットスーツのブランドとしてFUTUREが我が国のサー「」ファー間に周知されていたことは当事者間に争いがない。 。)(3)本件商標の登録出願控訴人は,平成9年6月4日,本件商標の登録を出願したが,このことについて被控訴人会社の代表者であるYは控訴人及びAから何も聞いていなかった。なお,このころ,既にAは,報酬や仕事のやり方等についてYに対して不満を持つようになっていた。 (4)被控訴人各登録商標の登録出願被控訴人会社の代表者であるYは,平成11年8月,取引先から控訴人が本件商標の登録出願をしたことを聞いて,弁理士に対して,被控訴人でも「FUTURE」の標章について商標- 11 -登録ができるかどうかの調査を依頼したところ,弁理士からの回答は,同一の商標について他に先願者がいるので,今から出願しても登録を受けることはできないが「FUTURE」の,前後に何らかの文字を加えれば登録を受けることができるというものであった。 そこで,被控訴人会社の代表者は,同年9月2日, がいるので,今から出願しても登録を受けることはできないが「FUTURE」の,前後に何らかの文字を加えれば登録を受けることができるというものであった。 そこで,被控訴人会社の代表者は,同年9月2日,被控訴人各登録商標の登録を出願した。 (5)A退職時の話合い平成14年12月20日,Aは報酬額についての不満等から被控訴人会社を退職することになったが,その際に,YはAに対して「AはFUTUREの商標を持っているのだから,F,UTUREをやればいい。俺はFUTUREWAVEの商標を持っているし,クラウンマークでやるから」と話し,その結果として本件商標は控訴人及びAが使用し,被控訴人はブラ。 ンド名を「FUTUREWAVE」に変え,被控訴人各登録商標を使用して営業を続けるということになった。 (6)A退職後の経緯控訴人は,平成15年1月29日付けで,被控訴人に対し,本件商標の使用を中止するか,控訴人と使用許諾契約を締結するよう求める旨の通知書を送付した(甲12。 )これに対し,被控訴人は,同年2月3日付けの文書で,控訴人に対し,被控訴人は,同年1月より,本件商標は使用しないで被控訴人各登録商標を使用する準備を進めており,3か月前後で得意先や関連会社への告知をしながら使用商標を「FUTUREWAVE」に変更する旨通知した(甲13。 )Aは,同年6月3日から「FUTUREDESIGN」の商号で本件商標を付したウェッ,トスーツの販売を開始した。 (7)A退職後の被控訴人各商標等の使用状況ア被控訴人の平成14年度春夏用のカタログ(甲2の1)には,被控訴人標章1ないし3及び6を付した商品が掲載されており,被控訴人標章4及び5を付した商品は掲載されていなかった。 イ被控訴人の平成15年度春夏用のカタログ(甲2の2,8,30の1)には,被控訴人 訴人標章1ないし3及び6を付した商品が掲載されており,被控訴人標章4及び5を付した商品は掲載されていなかった。 イ被控訴人の平成15年度春夏用のカタログ(甲2の2,8,30の1)には,被控訴人標章1ないし3及び5を付した商品が掲載されており,被控訴人標章4及び6を付した商品は- 12 -掲載されていなかった。 ウ被控訴人の平成15年度秋冬用及び平成16年度春夏用のカタログ(甲30の2・3)には,その表紙に被控訴人標章6(2)を付したウェットスーツを着用したモデルの写真が掲載されているが,それ以外に被控訴人標章6を付した商品は掲載されておらず,被控訴人標章1ないし3及び5を付した商品が掲載されており,被控訴人標章4を付した商品は掲載されていなかった。 エ被控訴人の平成16年度秋冬用のカタログ甲30の4には被控訴人標章1ないし3(),及び5を付した商品が掲載されており,被控訴人標章4及び6を付した商品は掲載されていなかった。 オ平成17年度春夏用のカタログ(乙25)には,被控訴人標章1及び5を付した商品が掲載されており,被控訴人標章2ないし4,6を付した商品は掲載されていなかった」。 商標法4条1項10号の「他人の」という要件の充足性(1)商標法4条1項10号は「他人の業務に係る商品…を表示するものとして,需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって,その商品…又はこれらに類似する商品…について使用をするもの」については商標登録を受けることができないと定めている。 控訴人は,被控訴人標章1ないし3,6は「他人の業務に係る商品…を表示す,るもの」に該当しないと主張するが,上記認定事実によれば,被控訴人は,平成元年4月ころに事業を再開してから,被控訴人標章1ないし3,6を付したウェットスーツを製造, 人の業務に係る商品…を表示す,るもの」に該当しないと主張するが,上記認定事実によれば,被控訴人は,平成元年4月ころに事業を再開してから,被控訴人標章1ないし3,6を付したウェットスーツを製造,販売し,本件商標が出願された平成9年6月4日の時点では,これ,。 らの被控訴人標章は我が国のサーファー間に広く知られていたものと認められるこれらのウェットスーツが被控訴人の製造,販売する商品として表示されていたことは,乙1~9のパンフレット等からも明らかであり,需要者は,これらのウェットスーツを被控訴人の業務に係る商品を表示するものと認識していたものと認められる。 - 13 -控訴人は,被控訴人のパンフレットにAが自己の名前を掲載し(乙4の2,会),「」社が販売するウェットスーツに自己の名前を記載し自己の名前でFUTURE標章のついた商品を販売した(甲10の①)などと主張する。 しかしながら,乙4の2のパンフレットには,頁の中央右側に「B&Mco.,LTD」と記載され,その左下隅部分に,目を凝らして辛うじて見える程度の大きさで「PRODUCEB&Mco.,LTD, WETSUITSPATTERNERA, PHOTOGRAPHERC」などと記載されているにすぎず(しかも,この記載はパンフレットの制作,デザイン,写真に関するものと考えられる,この記載をもって,需要者が当該ウェットスーツを。)Aの業務に係る商品と認識するとは考えられない。 また,甲10の①は,水着のデザインが描かれた紙片にすぎず,Aが自らの名前で「FUTURE」標章のウェットスーツを需要者に販売したと認めるような記載はなく,他に,AがA又は控訴人の名前においてウェットスーツを製造販売し,あるいはA又は控訴人の名前が付されたウェットスーツを製造又は販売したと 章のウェットスーツを需要者に販売したと認めるような記載はなく,他に,AがA又は控訴人の名前においてウェットスーツを製造販売し,あるいはA又は控訴人の名前が付されたウェットスーツを製造又は販売したと認める証拠もない。したがって,この点でも「FUTURE」標章がAの業務に係る商,品として需要者に認識されていたということはできない。 (2)控訴人は,本件商標も含む「FUTURE」標章は,Aのものであり,Aが被控訴人にその使用を許諾したものであると主張する。控訴人の主張は,商標の出願以前の標章であっても,これを着想,デザイン化等した者に,排他的な使用権が発生し,本件では,そのような権利を有するAが被控訴人に使用許諾したとの主張と理解し得るが,Aが,被控訴人会社の取締役に就任する前に,又は被控訴人会社の取締役として,被控訴人が製造又は販売するウェットスーツの標章を着想し,デザインしたとしても,それによってAに同標章を排他的に使用する商標法上の権利が発生するものではないのであって,控訴人の主張は,その前提において失当である。また,控訴人が主張するような,Aに本件商標に関する何らかの権利のあることを前提とする使用許諾の合意の存在を認めるに足る証拠もない。 (3)したがって被控訴人標章1ないし36は商標法4条1項10号は他,,,,「- 14 -人の業務に係る商品…を表示するもの」に当たるということができる。 「不正競争の目的」の不存在(1)当裁判所は,原判決と同様,本件商標登録は「不正競争の目的で商標登録を受けた」ものであると判断するが,その理由は,原判決の「第6当裁判所の判断「2争点2(登録無効の抗弁の成否)について「(4)除斥期間について」記」」載のとおりであるので,下記のとおり,これを引用する。 「ア控訴人は,除斥期 その理由は,原判決の「第6当裁判所の判断「2争点2(登録無効の抗弁の成否)について「(4)除斥期間について」記」」載のとおりであるので,下記のとおり,これを引用する。 「ア控訴人は,除斥期間の経過により,被控訴人は本件商標の無効審判を請求することができず,したがって,本件訴訟においても本件商標登録に無効理由がある旨の抗弁を主張することはできないと主張する。 この点,商標法47条は,同法4条1項10号に違反してされた商標登録であっても,商標,,権の設定の登録の日から5年を経過した後は不正競争の目的で商標登録を受けた場合を除き商標登録の無効審判請求をすることができない旨規定しており,本件においては,本件商標が登録された日である平成11年8月27日から既に5年を経過していることは明らかである。 そこで,被控訴人は,本件商標登録を受けるについて控訴人には不正競争の目的があった旨主張するので,この点について検討する。 イ上記不正競争の目的とは,他人の信用を利用して不当な利益を得る目的をいうものと解されるので,本件に即していえば,控訴人が本件商標登録を受けるについて,被控訴人がそれまでに築いてきた「FUTURE」ブランドとしての信用を利用して不当な利益を得る目的があったかどうかが問題になるものと解される。 ウ控訴人は,本件商標の登録を出願した理由について,平成9年になってAが原因不明の病気となり,将来のことを心配したAが控訴人に本件商標に係る権利を譲渡してくれたので,これを保護するために出願したにすぎない旨主張している。 しかしながら,既に認定したとおり,被控訴人標章1ないし3及び6は,平成元年以来,被控訴人が使用してきており,控訴人が本件商標の登録を出願する平成9年までの間に,この点について格別の問題が生じていたようにもうかがえないことか とおり,被控訴人標章1ないし3及び6は,平成元年以来,被控訴人が使用してきており,控訴人が本件商標の登録を出願する平成9年までの間に,この点について格別の問題が生じていたようにもうかがえないことからすれば,控訴人による本件商標の登録出願は,いかにも唐突との感を免れないし,被控訴人に明確な説明もせずに登録出願- 15 -するということ自体が不自然というべきであって,上記控訴人の主張に沿う控訴人及びAの供述(甲28,31,A)は直ちには採用できない。 かえって,上記のように平成9年になって,突然,被控訴人にも明確に説明しないままに商標登録の出願をしたことの不自然さに加えて,本件では,①平成9年ころにはAはYの経営内容に対して不満を抱くようになっていたこと,②平成9年ころには「FUTURE」との,ブランド名は我が国のウェットスーツの需用者の間では周知されていたこと,③被控訴人は「FUTURE」の標章等について何の商標登録もしていなかったこと,④控訴人は被控訴人会社の取締役であるAの妻であり,本件商標の登録を出願するについては,上記①ないし③の事情はAから聞かされて知っていたと推認されること,⑤控訴人は,Aが被控訴人会社を退職した1か月後には被控訴人に対して本件商標の使用中止等を求める通知書を送付していること,⑥控訴人は,Aが被控訴人会社を退職するとすぐに,2人でウェットスーツを販売する事業を開始すべく準備を開始し,平成15年6月ころから「FUTUREDESIGN」の商号で,本件商標を付したウェットスーツの販売を開始したこと,等の事実が指摘できるのであってこれらの事実を総合してみると控訴人はFUTUREというブランドがウェッ,,,「」トスーツの需用者間で周知された存在であり,当該ウェットスーツには被控訴人標章1ないし3及び6が使用さ あってこれらの事実を総合してみると控訴人はFUTUREというブランドがウェッ,,,「」トスーツの需用者間で周知された存在であり,当該ウェットスーツには被控訴人標章1ないし3及び6が使用されていることを知りながらAが被控訴人会社を退職した場合には同じF,「UTURE」のブランド名でウェットスーツの販売等をするのに備えて本件商標の登録を出願したものと認められ,これによれば,控訴人には上記イで述べた不正競争の目的があったと認めるのが相当である。 控訴人は,本件商標の登録については被控訴人も許容していたから不正競争の目的はない旨主張するが,登録出願に先立って控訴人なりAが被控訴人にその旨の明確な説明をした事実の認められないことは既に述べたとおりであり,他に上記認定を左右し得る証拠は存しない。 したがって,本件商標登録については,なお無効審判を請求することが可能である」。 (2)控訴人は,本件商標出願は,被控訴人会社の代表者であるYへの不信感を感じていたAが,自分自身や家族の将来を考え,本件商標を含む「FUTURE」標章についての自己の権利をYに奪われないようにするため,妻の名前で商標出願- 16 -したにすぎないのであって,被控訴人の標章を横取りし,又は競業を行うために商標登録を行ったのではないと主張する。 しかしながら,Aは,本件商標の出願当時,被控訴人会社の取締役の地位にあったところ,一般に,取締役が,代表者と不和になったことから,自らの退職後のことや家族の生活のことを考え,当該会社が使用している周知標章又はそれと類似の標章が商標登録されていないことを利用して,当該代表者の同意を得ることなく妻の名義で商標出願することは,それ自体,不正な競争目的の存在を強く推認させるものというべきである。 本件では,Aが被控訴人会社の代表者のY されていないことを利用して,当該代表者の同意を得ることなく妻の名義で商標出願することは,それ自体,不正な競争目的の存在を強く推認させるものというべきである。 本件では,Aが被控訴人会社の代表者のYのやり方に対して不満を抱いていたこと,Aが自らや家族の将来のことを考えて妻である控訴人名義で本件商標出願に及び,控訴人もそのことを聞いていたこと,本件商標が被控訴人標章1ないし3,6と同一又は類似の「FUTURE」という文字からなるものであること,被控訴人標章1ないし3,6は本件商標の出願当時周知であったが,商標出願はされておらず,Aがそのことを知っていたことは明らかである。 また,前記判示のとおり,Aは,被控訴人会社を退職してまもなく,本件商標を用いてウェットスーツの販売を開始するとともに,控訴人は,被控訴人に対し,本件商標の使用中止等を求める通知書を送付しているとの事実が認められ,Aは,被控訴人会社を退職後に,本件商標を使用し,実際に被控訴人と競業関係にある事業を開始するに至ったものと認められる。 さらに,控訴人は,Aが,Yに対し,本件商標登録について酒席で伝え,その承諾を得た旨主張するが,被控訴人の使用している周知の被控訴人標章と同様の「FUTURE」という文字からなる商標の登録を取締役の妻の名義で行うというような重要な事柄について,AがYに酒席で伝え,その承諾を得たというのはいかにも不自然であり,Yもそのような話があったことを否定する証言をしている。本件商標出願当時のAとYの関係も考慮すると,Aが本件商標登録についてYに相談し,その承諾を得ていたとは到底認め難い。 - 17 -控訴人はAが退職した際にYがAに俺はFUTUREWAVEの商標をもっ,,「,」,,ているしクラウンマークでやるなどと述べAが被控訴人会社を退職した後 たとは到底認め難い。 - 17 -控訴人はAが退職した際にYがAに俺はFUTUREWAVEの商標をもっ,,「,」,,ているしクラウンマークでやるなどと述べAが被控訴人会社を退職した後も控訴人及びAに対し,今後は被控訴人は「FUTURE」を使わないことを約束し。 ,「」,,たとの事実を指摘する確かに前記1(2)の本件の事実関係によればYは本件商標登録について知りながら無効審判請求を提起するなどの行動をとらず,Aが退職する際も本件登録商標をAが使用することを容認するような発言しているが,他方で,本件商標登録の事実を知って弁理士と対応策を協議しているとの事実も認められるのであり,このような事実も考慮すると,Yが本件商標出願及び登録について事前に承諾していたとまでは認められない。 ,,以上によれば被控訴人会社の代表者であるYのやり方に不満を抱いていたAは被控訴人会社の取締役の地位にありながら,被控訴人が使用している周知の被控訴人標章1ないし3,6などが商標登録されていないことを利用して,自らが被控訴人会社を退職した後のことや家族のことを考え,Yの同意を得ることなく,妻の名義で商標出願をし,被控訴人会社を退職後は,本件商標を使用して,被控訴人と競争関係にある事業に及んでいるものと認められ,このような事実関係のもとにおいては,本件商標登録を受けるについて,控訴人には「不正競争の目的」があったというべきである。 結論 以上のとおり,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないので,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部- 18 -裁判長裁判官塚原朋一裁判官石原直樹裁判官佐藤達文 決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官 塚原朋一 裁判官 石原直樹 裁判官 佐藤達文

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る