平成27(行ケ)10162 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年12月25日 知的財産高等裁判所 3部 判決 請求棄却
ファイル
hanrei-pdf-85572.txt

キーワード

判決文本文20,614 文字)

平成27年12月25日判決言渡 平成27年(行ケ)第10162号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成27年11月30日判決 原告株式会社とうかい企画 訴訟代理人弁理士久保健 同川村恭子 同徳若拓也 被告特許庁長官 指定代理人田中幸一 同内山進 同根岸克弘 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が不服2015-3479号事件について平成27年7月7日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 (1) 原告は,平成26年3月4日,「Tiara」の欧文字を標準文字で表してなる商標(以下「本願商標」という。)について,第14類「身飾品(「宝飾品としてのティアラ」を除く。)」を指定商品として,商標登録出願(商願2014-16045号。以下「本願」という。)をした(甲25の1)。 (2) 原告は,平成26年11月28日付けの拒絶査定(甲29)を受けたので,平成27年2月24日,拒絶査定不服審判を請求するとともに(甲30の 45号。以下「本願」という。)をした(甲25の1)。 (2) 原告は,平成26年11月28日付けの拒絶査定(甲29)を受けたので,平成27年2月24日,拒絶査定不服審判を請求するとともに(甲30の1),同日付けの手続補正書により,指定商品を第14類「イヤリング,ネックレス,ブレスレット,ペンダント,宝石ブローチ,指輪,ピアス」に補正した(以下「本件補正」という。甲30の2)。 特許庁は,上記請求を不服2015-3479号事件として審理し,平成27年7月7日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,同月21日,その謄本は原告に送達された。 (3) 原告は,平成27年8月17日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりである。要するに,①本願商標「Tiara」は,「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」や「女性がつける王冠形の髪飾り」を意味する「ティアラ」の英語表記にすぎず,これに接する取引者,需要者は,「Tiara」との表示からごく自然に商品「ティアラ」を理解する,②商品「ティアラ」と本願商標の本件補正後の指定商品「イヤリング,ネックレス,ブレスレット,ペンダント,宝石ブローチ,指輪,ピアス」とは,共に,身に飾ることによって,直接的にその人の美しさを増すための身飾品であり,互いに類似する商品である,③本願商標「Tiara」(ティアラ)が表示していると通常理解される品質と本件補正後の指定商品の有する品質とが異なることは明らかで,しかも,商品「ティアラ」と本件補正後の指定商品とは,互いに類似する商品と認められるから,そのような指定商品に本願商標を付した場合には,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあり,本願商標は,商標 かで,しかも,商品「ティアラ」と本件補正後の指定商品とは,互いに類似する商品と認められるから,そのような指定商品に本願商標を付した場合には,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあり,本願商標は,商標法4条1項16号に該当するというものである。 - 3 - 3 原告主張の取消事由商標法4条1項16号該当性の判断の誤り第3 当事者の主張 1 原告の主張(1) 本願商標の認定の誤り本件審決は,本願商標「Tiara」は,「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」や「女性がつける王冠形の髪飾り」を意味する「ティアラ」の英語表記にすぎず,これに接する取引者,需要者は,「Tiara」との表示からごく自然に商品「ティアラ」を理解する旨認定したが,以下のとおり,本件審決の認定は誤りである。 ア 「Tiara」の語は,一般的に,「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」や「女性がつける王冠形の髪飾り」の意味を有する英語であることは認める。 しかしながら,「Tiara」の語の本来の意味は,女性皇族が宮中の行事で正装する際に身につける「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」である(甲1,8)。 そして,「Tiara」は,単なる装飾品とは異なり,「着ける女性皇族の身分と着ける場の格式」によってデザインが決められ,高級宝飾店が制作し,宮中に納品される1点限りのものである。 イ女性用被服類及び女性用アクセサリー類の業界で広く知られている株式会社メル・ローズ(以下「メル・ローズ」という。)は,メル・ローズ公式通販サイト「MELROSEONLINESTORE」(甲6)及び通販サイト「ZOZOTOWN」のTiara/ティアラの通販(甲7)において,「Tiara」の商標を使用した女性用被服類,バッグ類,靴類と共に,「ネックレス,ブレスレット STORE」(甲6)及び通販サイト「ZOZOTOWN」のTiara/ティアラの通販(甲7)において,「Tiara」の商標を使用した女性用被服類,バッグ類,靴類と共に,「ネックレス,ブレスレット」等を掲載して販売している。 また,株式会社シバタ(以下「シバタ」という。)は,「YAHOO! - 4 -JAPAN」のショッピングサイト「JewellerySHIBATA」(甲4)において,オリジナルブランドとして「ティアラ」の商標を使用して,「ホワイトゴールドダイヤモンドネックレス」や「ホワイトゴールドダイヤモンドリング」などを販売している。 さらに,「ティアラ」,「Tiara」及び「TIARA」は,各種商品に数多くの商標登録が存在し(甲9の1,2),原告においても,「ティアラ」,「ティアラ/TIARA」及び「Tiara」について商標登録を受けている(甲11ないし17)。 以上のような取引の実情によれば,取引者,需要者は,「Tiara」は,各種商品に使用されている商標とのみ認識し,また,「Tiara」から「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」とのみ想起されるものではなく,「高級な宝飾品」という抽象的な観念も生じるものといえる。 ウしたがって,本件審決における本願商標の認定は,「Tiara」の語の本来の意味を看過し,しかも,取引の実情にもそぐわないものであるから,誤りである。 (2) 「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」の判断の誤り本件審決は,本願商標「Tiara」(ティアラ)が表示していると通常理解される品質と本件補正後の指定商品の有する品質とが異なることは明らかで,しかも,商品「ティアラ」と本件補正後の指定商品とは,「互いに類似する商品」と認められるから,そのような指定商品に本願商標を付した場合には,商品の品質の誤 商品の有する品質とが異なることは明らかで,しかも,商品「ティアラ」と本件補正後の指定商品とは,「互いに類似する商品」と認められるから,そのような指定商品に本願商標を付した場合には,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから,本願商標は商標法4条1項16号に該当する旨判断したが,以下のとおり,本件審決の判断は誤りである。 ア(ア) まず,「商品が類似すること」は,商標法4条1項16号の「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」がある商標に該当することの要件ではないにもかかわらず,それが要件であることを前提に本願商標が同号に該- 5 -当するとした本件審決の判断は,誤りである。 (イ) この点に関し,被告は,「Tiara」(ティアラ)と本件補正後の指定商品とは,原材料,用途,生産販売部門,取引者及び需要者を共通にする「互いに関連する商品」である旨主張する。 しかしながら,被告が提出する乙11,13,14,17,19において示され,市中で販売されている「ティアラ」と称する商品は,いずれも,安価な原材料のイミテーションの宝石を用いたものであり,本物の宝石をちりばめたものではないから,「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」の範疇には含まれない。 また,被告が提出する乙6,8,9,10,12,15,18,20は,高級宝飾店として知られている店の「ティアラ」と称する商品に関するものであり,ほとんどがブライダル用であるところ,原材料については,ダイヤモンドなどの宝石が使用されている点において,本件補正後の指定商品と共通するが,生産販売部門及び用途については,ブライダル用のティアラはレンタル品であり,商品の流通過程に置かれて販売対象となる商品ではないのに対し,本件補正後の指定商品は,市中で自由に購入して日常身につけるものである点で異なり,また, ては,ブライダル用のティアラはレンタル品であり,商品の流通過程に置かれて販売対象となる商品ではないのに対し,本件補正後の指定商品は,市中で自由に購入して日常身につけるものである点で異なり,また,このような違いにより,取引者及び需要者も異なる。 したがって,被告提出の乙号各証に係る商品「ティアラ」と本件補正後の指定商品とは,その取引の実情において,原材料を除き,用途,生産販売部門,取引者及び需要者において共通する点はなく,互いに関連する商品でないことは明らかであり,被告の上記主張は失当である。 イ(ア) 次に,女性皇族が身につける「ティアラ」は,前記(1)アのとおり,「着ける女性皇族の身分と着ける場の格式」によってデザインが決められ,高級宝飾店が制作し,宮中に納品される1点限りのものであり,商品として流通するものではないから,本願商標を本件補正後の指定商品- 6 -「イヤリング,ネックレス,ブレスレット,ペンダント,宝石ブローチ,指輪,ピアス」に使用した場合に,商品の品質について誤認を生ずるおそれはない。 (イ) 前記(1)イのとおり,「Tiara」から「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」とのみ想起されるものではなく,「高級な宝飾品」という観念も生じるものといえるから,本願商標を本件補正後の指定商品「イヤリング,ネックレス,ブレスレット,ペンダント,宝石ブローチ,指輪,ピアス」に使用した場合,それぞれがどのような品質の商品であるかの識別は容易であって,需要者において,「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」であるかのごとく,商品の品質について誤認を生ずるおそれはない。 (ウ) さらに,前記(1)イのとおり,女性用被服類及び女性用アクセサリー類の業界で広く知られているメル・ローズは,ウェブサイトにおいて,「Tiara」の 品質について誤認を生ずるおそれはない。 (ウ) さらに,前記(1)イのとおり,女性用被服類及び女性用アクセサリー類の業界で広く知られているメル・ローズは,ウェブサイトにおいて,「Tiara」の商標を使用した女性用被服類,バッグ類,靴類と共に,「ネックレス,ブレスレット」等を掲載して販売していることからすると,取引者,需要者においては,「Tiara」をメル・ローズが使用する商標としてのみ認識するから,たとえ,「Tiara」が「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」の観念を有するとしても,本願商標を本件補正後の指定商品に使用した場合に,商品の品質について誤認を生ずるおそれはない。 (エ) 以上のとおり,本願商標を本件補正後の指定商品に使用しても,商品の品質について誤認を生ずるおそれはないから,これと異なる本件審決の判断は誤りである。 ウ本件審決は,商標の類否判断は,過去の登録例に拘束されることなく,当該商標の査定時又は審決時において,当該商標の構成態様やその指定商品の取引の実情などを考慮して,事案ごとに個別具体的に判断されるべき- 7 -ものであるから,「Tiara」及び「ティアラ」について原告が挙げる過去の商標登録例があるからといって,本願商標も商標登録ができるものではない旨判断した。 しかしながら,「Tiara」及び「ティアラ」の語が商標として機能するからこそ多くの商品を指定商品として商標登録が認められており,各種商品に「Tiara」及び「ティアラ」を商標として使用することが広く希望されているという取引の実情がある。 また,前記(1)イのとおり,現に,メル・ローズによる「Tiara」の商標の使用は,品質が異なる女性用被服類,バッグ類,靴類などに及び,上記使用により,同社の商品に対する信用が蓄積されており,これまでに ,前記(1)イのとおり,現に,メル・ローズによる「Tiara」の商標の使用は,品質が異なる女性用被服類,バッグ類,靴類などに及び,上記使用により,同社の商品に対する信用が蓄積されており,これまでに需要者が商品の品質を誤認するという混乱は全く生じていないという取引の実情がある。 さらに,本願商標の商標登録が認められない場合には,原告は,「ティアラ」の商標登録(甲11)を有しているにもかかわらず,これに称呼及び観念を共にし類似することが明らかな「Tiara」の第三者による無断使用に対して,法的手続を採り得ないこととなり,取引の安定を損ない,商標が保護されているとはいえないことになる。 本件審決は,このような本件補正後の指定商品に係る取引の実情を考慮することなく,本願商標についての個別具体的な判断もしていないから,本件審決の上記判断は誤りである。 エ以上によれば,本願商標は商標法4条1項16号に該当するとした本件審決の判断は誤りであるから,本件審決は取り消されるべきものである。 2 被告の主張(1) 本願商標の商標法4条1項16号該当性ア 「Tiara」の語の意味(ア) 本願商標は,「Tiara」の欧文字を標準文字で表してなるもの- 8 -であるところ,「Tiara」の欧文字は,「ティアラ:宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」,「(ローマ教皇の)三重冠,教皇冠」程の意味を有する英語として一般的な英語辞書等(甲32,甲34)に載録されており,また,当該欧文字の読みを表した「ティアラ」の片仮名も,「女性がつける王冠形の髪飾り」等,同義の語として,「tiara」の欧文字とともに,国語辞典,カタカナ語辞典等(甲33,乙1ないし4)に載録されている。 したがって,「Tiara(ティアラ)」の語は,「宝石をちりばめた婦人 等,同義の語として,「tiara」の欧文字とともに,国語辞典,カタカナ語辞典等(甲33,乙1ないし4)に載録されている。 したがって,「Tiara(ティアラ)」の語は,「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」,「女性がつける王冠形の髪飾り」,「(ローマ教皇の)三重冠,教皇冠」程の意味を有する語であるといえる。 (イ) 「Tiara(ティアラ)」及び本件補正後の指定商品についての雑誌,インターネット等の記事(乙5ないし21)によれば,本件審決時において,身飾品(宝飾品)を取り扱う業界では,「Tiara」の語及びその読みを表した「ティアラ」の語は,「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」や「女性がつける王冠形の髪飾り」といった商品を表す一般的な名称として認識され,取引上普通に使用されていたものである。 イ指定商品に係る取引の実情本件補正後の指定商品は,「イヤリング,ネックレス,ブレスレット,ペンダント,宝石ブローチ,指輪,ピアス」であるところ,これらと商品「ティアラ」とは,共に,主に女性の身を美しく飾ることを目的とした身飾品(宝飾品)の一種であって,商品「ティアラ」と本件補正後の指定商品とは,貴金属や宝石を原材料とし,貴金属の製造加工業者等により生産され,貴金属店や宝飾店で販売される商品であり,特に結婚式等で身に着ける商品として,両商品が併せて紹介され,展示され,販売されることも多いという取引の実情があるから(乙5,8ないし10,14ないし21),- 9 -その原材料,用途,生産部門,販売部門,取引者及び需要者の範囲を共通にしており,互いに関連する商品であるといえる。 ウ商品の品質の誤認を生ずるおそれ前記アのとおり,本願商標である「Tiara」の欧文字が表示していると通常理解されるのは,「ティアラ」すなわち「宝石 おり,互いに関連する商品であるといえる。 ウ商品の品質の誤認を生ずるおそれ前記アのとおり,本願商標である「Tiara」の欧文字が表示していると通常理解されるのは,「ティアラ」すなわち「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」や「女性がつける王冠形の髪飾り」といった商品であり,本件補正後の指定商品とは異なる。 そして,前記イのとおり,商品「ティアラ」と本件補正後の指定商品である「イヤリング,ネックレス,ブレスレット,ペンダント,宝石ブローチ,指輪,ピアス」とは,その原材料,用途,生産部門,販売部門,取引者及び需要者の範囲を共通にしており,互いに関連する商品である。 そうすると,本願商標を本件補正後の指定商品に使用した場合には,その指定商品に係る取引の実情の下で,取引者又は需要者において,本願商標が表示していると通常理解される商品「ティアラ」とその指定商品とが異なるため,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるというべきである。 したがって,本願商標が商標法4条1項16号に該当するとした本件審決の判断に誤りはない。 (2) 原告の主張に対しア本願商標の認定の誤りに対し(ア) 「Tiara」の語及びその読みを表した「ティアラ」の語は,広く知られた商品「ティアラ」の一般的な名称であるから,本願商標は,商品「ティアラ」を想起させるというのが自然であり,原告の主張するように,「Tiara」は,各種商品に使用されている商標とのみ認識されるものとはいえない。 (イ) また,原告は,「Tiara」の使用状況等から,「Tiara」の文字からは,「高級な宝飾品」の抽象的な観念も生じる旨主張するが,- 10 -商標を採択するに当たり,その商標に係る語が表す抽象的なイメージにより,需要者に販売に係る商品に対しても同様のイメージを抱いて は,「高級な宝飾品」の抽象的な観念も生じる旨主張するが,- 10 -商標を採択するに当たり,その商標に係る語が表す抽象的なイメージにより,需要者に販売に係る商品に対しても同様のイメージを抱いてもらう場合があるとしても,その抽象的イメージが当然に当該商標の特定の観念として認識されるものではない。 (ウ) 原告は,「Tiara」等に関する商標登録例を挙げるが,当該登録例の指定商品が,商品「ティアラ」と本件補正後の指定商品のように互いに関連する商品でない場合には,商品の品質の誤認を生ずるおそれはないから,本件とは事案を異にするものである。 また,原告が挙げる「ティアラ」の片仮名を標準文字で表してなる商標(甲11)と本願商標とでは,商標法4条1項16号該当性の判断基準時が異なり,取引の実情等も同一ということもできないから,本願商標と同列には当てはまらない。 (エ) 以上によれば,本願商標の認定の誤りをいう原告の主張は理由がない。 イ 「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」の判断の誤りに対し(ア) 本件審決は,「…共に,身に飾ることによって,直接的にその人の美しさを増すための身飾品であるから,互いに類似する商品と認められる」と,指定商品に係る商品の用途等の取引の実情をもとに商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあると判断したものであって,原告の主張するように,「商品が類似すること」を商標法4条1項16号の要件として判断したものではない。 (イ) 本願商標を本件補正後の指定商品に使用した場合には,その指定商品に係る取引の実情の下で,取引者又は需要者において,本願商標が表示していると通常理解される商品「ティアラ」とその指定商品とが異なるため,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあることは,前記(1)ウのとおりである。 - 11 - は需要者において,本願商標が表示していると通常理解される商品「ティアラ」とその指定商品とが異なるため,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあることは,前記(1)ウのとおりである。 - 11 -(ウ) メル・ローズによる「Tiara」の使用について,同社において需要者が商品の品質を誤認した事実を把握していないとしても,需要者が商品の品質の誤認を生ずるおそれがなかったとはいえないし,また,同社の事情は,個別具体的な一事情にすぎないから,仮に原告主張の事実があったとしても,本件補正後の指定商品に係る取引の実情に当たるものとはいえない。 (エ) 原告は,本願商標の商標登録が認められない場合には,原告が「ティアラ」の商標登録(甲11)を有しているにもかかわらず,「Tiara」の第三者による無断使用に対して,法的手続を採り得ないこととなり,取引の安定を損ない,商標が保護されているとはいえないことになる旨主張する。 しかしながら,原告の主張は,本願商標が商標法4条1項16号に該当するか否かとは別にすべき原告の事情にすぎないから,失当である。 ウ小括以上のとおり,原告の主張はいずれも理由がなく,本件審決が取り消されるべき理由はない。 第4 当裁判所の判断 1 商標法4条1項16号該当性について商標法4条1項16号が「商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標」について商標登録を受けることができないと規定しているのは,商標を構成する文字,図形等が直接的に特定の商品の特性を表示したものであるため,当該商標が特定の商品以外の商品に使用された場合に,取引者,需要者が商品の品質を誤認して,商品を購入することがないように取引者,需要者の保護を図ることにあるものと解される。 そうすると,本願商標が商標法4条1項16号に該当するというため 場合に,取引者,需要者が商品の品質を誤認して,商品を購入することがないように取引者,需要者の保護を図ることにあるものと解される。 そうすると,本願商標が商標法4条1項16号に該当するというためには,本件審決がされた平成27年7月7日の時点において,取引者又は需要者にお- 12 -いて,本願商標の構成から将来を含め一般に認識される特性を有する特定の商品と指定商品とが関連し,かつ,本願商標が表示している特定の商品の特性と指定商品が有する特性が異なるため,本願商標を指定商品に使用した場合に,本願商標が使用された「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」があることを要するものと解される。また,現実に商品の品質の誤認が生じている必要はなく,本願商標と商標が使用された商品との関係で客観的に誤認を生ずる蓋然性があれば,「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」があるということができるものと解される。 以上を前提に,本願商標が商標法4条1項16号に該当するかどうかについて判断する。 (1) 本願商標についてア本願商標は,「Tiara」の欧文字を標準文字で横書きに書してなる商標であり,本願商標からは「ティアラ」の称呼が生じる。 本願商標を構成する「Tiara」の語に関し,ランダムハウス英和大辞典第2版(平成6年1月1日発行。甲32)には,「1ティアラ:宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」との記載があり,ベーシックジーニアス英和辞典(平成14年11月25日発行。甲34)には,「1ティアラ《宝石をちりばめた女性用の冠形頭飾り》」との記載がある。 また,「Tiara」の語の称呼である「ティアラ」の語に関し,フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」(平成26年7月8日閲覧。甲1)には,「ティアラ(Tiara)とは頭頂部につける装飾品( Tiara」の語の称呼である「ティアラ」の語に関し,フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」(平成26年7月8日閲覧。甲1)には,「ティアラ(Tiara)とは頭頂部につける装飾品(アクセサリー)。冠の一種」,「日本においては,基本的に女性が用いるものが「ティアラ」と呼称される。舞台衣装・婚礼衣装を除くと,宮中での女性皇族が正装の際に身につける。単なる装飾品とは異なり,ティアラのデザインや高さは,着ける女性の身分と着ける場の格式によって決まる。」との記載があり,広辞苑第六版(平成20年1月11日発行。 - 13 -甲33)には,「女性がつける王冠形の髪飾り」との記載があり,大辞林第三版(平成18年10月27日発行。乙1)には「①宝石をちりばめた冠形の女性用髪飾り。」との記載がある。 イ(ア) 次に,各項末尾掲記の証拠によれば,「ティアラ」の語に関し,以下の記載があることが認められる。 a 「MISSWeddingJEWELRY 2014」(平成25年11月20日発行)には,ブライダル用の商品として,ダイヤモンドを使用した指輪とともに,ダイヤモンドやジルコニア等をちりばめた女性がつける王冠形の髪飾りの写真が多種掲載されており,その掲載頁には,「花嫁の主役感を引き立てる華麗に華やぐティアラで気分はロイヤルプリンセス…憧れの純白ドレスと靴,一生もののブライダルリング,そして,ティアラ…。」等の記載がある(乙5)。 b 株式会社TASAKI(以下「TASAKI」という。)の2015年(平成27年)1月15日現在の本体価格が示されている「TASAKIBRIDAL」のカタログにおいて,宝石を用いた指輪の写真とともに,パールのちりばめられた女性がつける王冠形の髪飾りの写真が掲載されており,「TIARACOLLECTI されている「TASAKIBRIDAL」のカタログにおいて,宝石を用いた指輪の写真とともに,パールのちりばめられた女性がつける王冠形の髪飾りの写真が掲載されており,「TIARACOLLECTION 心からの祝福を,輝きにかえて…すべてのティアラは専任のクラフツマンが,1点ずつ丁寧に作り上げています。」及び「TASAKIではエンゲージメントリングをご成約のお客様に,オリジナルパールティアラを無料でお貸出ししています。」の記載がある(乙8)。 cTASAKIの2015年(平成27年)1 月15日現在の本体価格が示されている「TASAKIBRIDALbellebouquet」のカタログにおいて,ダイヤモンドを使用したペンダントや指輪の写真とともに,ダイヤモンドや真珠がちりばめられた女性がつける王冠形の髪飾りの写真が「ティアラ」として掲載されており,- 14 -上記カタログに添付の価格表には,それぞれ「04-05 ribbonrose 1.リボンローズティアラ ¥4,300,00 0 ZID 0309 シルバー/ダイヤモンド 2.01ct」,「24-25 takeflight 3.テイクフライトティアラ ¥4,600,000 ZID 0310 シルバー/グレーダイヤモンド 5.26ct」,「26-27 bound 1. バウンドティアラ ¥940,000 ZID 0304 シルバー/ダイヤモンド 0.59ct」及び「30-31 petals1.ペタルティアラ ¥3,800,000 PMP15986 SAKURAゴールド/マベ真珠淡水真珠 ※チョーカーとしてもご使用いただけます。」の記載がある。また,指輪,イヤリング及びペンダントについても,複数の商品について写真,商品名及び価格が記載されており,例えば「0 ド/マベ真珠淡水真珠 ※チョーカーとしてもご使用いただけます。」の記載がある。また,指輪,イヤリング及びペンダントについても,複数の商品について写真,商品名及び価格が記載されており,例えば「02-03 ribbonrose 1. リボンローズエンゲージメントリング ¥500,000 RDP2136 ホワイトゴールドダイヤモンドセンター(トリリアントカット)0.09ct~ トータル0.60ct~」,「4.リボンローズイヤリング ¥320,000 EID 3737 ホワイトゴールド/ダイヤモンド 0.46ct」,「16-17 refinedrebellion 2.リファインドリベリオンペンダント ¥926,000~ PID 16065 プラチナ(Pt950) ダイヤモンド(リファインドリベリオンカット) 主体石0.50ct~ トータル0.60ct~」などとされている(乙9)。 d 「BRUGGEBRIDALACCESSORY」のウェブサイト(平成27年6月18日閲覧)において,商品ページ「ティアラ」の項には,「■挙式のシーンといえばティアラ挙式のシーン,凜と- 15 -した美しさを印象づけるヘッドピースはやっぱりティアラ。憧れの花嫁姿をティアラで手に入れる。」との記載とともに女性がつける王冠形の髪飾りの写真が多数掲載され,パールやビーズ等をちりばめた「ティアラ」が税抜きで6000円ないし1万8000円の値段で販売されている(乙11)。なお,同サイトでは,ネックレス,イヤリング及びブレスレットも併せて販売されている(乙11)。 e 「LoveTiara」のウェブサイト(平成27年6月23日閲覧)において,「Tiara&Crown」の項には,女性がつける王冠形の髪飾りの写真が一覧に掲載されており,そ ている(乙11)。 e 「LoveTiara」のウェブサイト(平成27年6月23日閲覧)において,「Tiara&Crown」の項には,女性がつける王冠形の髪飾りの写真が一覧に掲載されており,そのうちの「ノーブルフラワーパールティアラ・シルバー」には,「花模様のフェミニンなパールティアラ。当店のロングセラーアイテムです。」及び「価格 9,180円(税込)」の記載があるほか,「ティアラ」が税込みで5940円ないし4万3200円の値段で販売されている(乙13)。なお,同サイトでは,イヤリング,ネックレス及びピアスも併せて販売されている(乙13)。 f 「Amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて,「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日:2013/7/24」の商品として,「Rory ウェディング3点セット [ティアラ]Tiara ティアラ・スワロフスキーラインストーンネックレス&ピアス・イヤリング&ティアラの3点セット」の記載とともに女性がつける王冠形の髪飾り,ネックレス及びイヤリングの写真が掲載され,3点で1万2900円の価格で販売されている(乙14)。 g 「ジュエリー専門情報誌 JAPANPRECIOUS」のウェブサイトにおいて,2007年(平成19年)5月1日の記事として「『GINZATANAKA』より新作ダイヤモンドティアラが登場 …そのGINZATANAKAが新作のダイヤモンドティア- 16 -ラを製作。4月26日には,同ブランドが保有する3体のダイヤモンドティアラと合わせて,お披露目展示会が開催された…」,「新作のティアラにはネックレスとイヤリングもセットで製作。素材はPt950,ティアラ中央にセッティングされたペア・シェイプ・ダイヤモンドは3.11ct。参考価格はティアラ80,000,000 」,「新作のティアラにはネックレスとイヤリングもセットで製作。素材はPt950,ティアラ中央にセッティングされたペア・シェイプ・ダイヤモンドは3.11ct。参考価格はティアラ80,000,000円・ネックレス50,000,000円・イヤリング20,000,000円。貸し出し価格は30,000円~」の記載とともに,ダイヤモンドをちりばめた女性がつける王冠形の髪飾り,ネックレス及びイヤリングの写真が掲載されている(乙15)。 h 平成20年6月3日付け毎日新聞の地方版において,「ブライダル・ジュエリー:モデルも興奮,総額10億円--名古屋でショー /愛知」の見出しのもと,「名古屋市東区東桜の高級宝飾店「ハリー・ウィンストン」名古屋店で2日,ブライダル・ジュエリーのショーが開かれ,モデル6人が総額10億円の宝石を身につけて登場した。ダイヤモンドをデザインした指輪やティアラ,ネックレス,イヤリング,時計,ブレスレットなど20点を披露した。…」の記載がある(乙18)。 i 平成24年5月30日付け日経MJ(流通新聞)において,「ティアラ専門店(TRENDBOX)」の見出しのもと,「オリエンタルダイヤモンド(東京…)は5月28日,ブライダル用ティアラ専門店「ブライズティアラギンザ」を東京・銀座にオープン。王冠型など珍しいタイプも含め,6000~2万円のティアラ100種類をそろえ販売する。ティアラはこれまでリースやネット販売が中心で「数が限られていたり,実店舗ではないため試着できなかったりした」(同社)という。扱うのはイミテーションジュエリーのみで,ネットでの売れ筋を参考に価格帯を設定。ブライダル用ネックレスやイヤリング- 17 -などのアクセサリーも扱う。」の記載がある(乙19)。 (イ) 前記(ア)によれば,本件審決日(平成 のみで,ネットでの売れ筋を参考に価格帯を設定。ブライダル用ネックレスやイヤリング- 17 -などのアクセサリーも扱う。」の記載がある(乙19)。 (イ) 前記(ア)によれば,本件審決日(平成27年7月7日)当時,「ティアラ」の語が,「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」,「女性がつける王冠形の髪飾り」を示す用語として広く用いられていたことが認められる。 ウ前記ア及びイによれば,本件審決日当時,本願商標は,本件補正後の指定商品を取り扱う取引者や需要者である一般消費者に,「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」あるいは「女性がつける王冠形の髪飾り」の商品である「ティアラ」を一般に認識させるものであったものと認められる。 したがって,これと同旨の本件審決における本願商標の認定に誤りはない。 エこれに対し原告は,①「Tiara」の語の本来の意味は,女性皇族が宮中の行事で正装する際に身につける「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」である,②取引の実情によれば,取引者,需要者は,「Tiara」は,各種商品に使用されている商標とのみ認識し,また,「Tiara」から「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」とのみ想起されるものではなく,「高級な宝飾品」という抽象的な観念も生じるものであるとして,本件審決における本願商標の認定は,「Tiara」の語の本来の意味を看過し,しかも,取引の実情にもそぐわないものであるから,誤りである旨主張する。 しかしながら,原告の主張は,以下のとおり理由がない。 (ア) 原告が上記①の主張の根拠として挙げる甲1(フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」平成26年7月8日閲覧)には,前記アのとおり,「ティアラ(Tiara)とは頭頂部につける装飾品(アクセサリー)。冠の一種」,「日本においては, リー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」平成26年7月8日閲覧)には,前記アのとおり,「ティアラ(Tiara)とは頭頂部につける装飾品(アクセサリー)。冠の一種」,「日本においては,基本的に女性が用いるものが「ティアラ」と呼称される。舞台衣装・婚礼衣装を除くと,- 18 -宮中での女性皇族が正装の際に身につける。単なる装飾品とは異なり,ティアラのデザインや高さは,着ける女性の身分と着ける場の格式によって決まる。」との記載があり,甲39(フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」平成27年11月19日閲覧)にも,これと同旨の記載がある。 しかしながら,甲1の上記記載中に「舞台衣装・婚礼衣装を除くと,宮中での女性皇族が正装の際に身につける。」とあるように,上記記載は,「ティアラ」が「舞台衣装・婚礼衣装」として身につける場合があることを前提とするものであって,上記記載から「ティアラ」が女性皇族が宮中の行事で正装する際に身につけるものに限定される趣旨を読み取ることはできない。 また,原告が上記①の主張の根拠として挙げる甲8(「皇室」第65号(平成27年冬号)平成27年1月24日発行)には,ローブデコルテに勲章やティアラなどを着けて正装されたA内親王殿下などの写真及び記事が掲載されているが,「ティアラ」が女性皇族が宮中の行事で正装する際に身につけるものに限定されることを示した記載はない。 そうすると,甲1及び甲8から,「ティアラ」の本来の意味が女性皇族が正装の際に身につけるものであると一般に理解されているということはできないし,また,甲1及び甲8は,本願商標が本件審決日当時「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」あるいは「女性がつける王冠形の髪飾り」の商品である「ティアラ」を一般に認識させるものであった ことはできないし,また,甲1及び甲8は,本願商標が本件審決日当時「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」あるいは「女性がつける王冠形の髪飾り」の商品である「ティアラ」を一般に認識させるものであったことを否定する根拠となるものではない。 したがって,原告の上記①の主張は採用することができない。 (イ) 原告は,上記②の主張の根拠となる取引の実情として,メル・ローズが,ウェブサイトで,「Tiara」の商標を使用した女性用被服類,バッグ類,靴類と共に,「ネックレス,ブレスレット」等を掲載して販- 19 -売していること(甲6,7),シバタが,ウェブサイトで,「ティアラ」の商標を使用して,「ホワイトゴールドダイヤモンドネックレス」や「ホワイトゴールドダイヤモンドリング」などを販売していること(甲4),「ティアラ」,「Tiara」及び「TIARA」は,各種商品に数多くの商標登録が存在し(甲9の1,2),原告においても,「ティアラ」,「ティアラ/TIARA」及び「Tiara」について商標登録を受けていること(甲11ないし17)を挙げる。 しかしながら,原告が挙げるメル・ローズ及びシバタによるウェブサイトにおける上記各商品の販売事実から,「Tiara」は,各種商品に使用されている商標とのみ認識されるものとはいえないし,本願商標が本件審決日当時「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」あるいは「女性がつける王冠形の髪飾り」の商品である「ティアラ」を一般に認識させるものであったことが否定されるものともいえない。 次に,原告の挙げる「ティアラ」,「Tiara」及び「TIARA」に関する商標登録例に係る指定商品又は指定役務は,「高級な宝飾品」に関係のないものが多数含まれており,その具体的使用態様も,一部を除き明らかではないから,上記商標登録の iara」及び「TIARA」に関する商標登録例に係る指定商品又は指定役務は,「高級な宝飾品」に関係のないものが多数含まれており,その具体的使用態様も,一部を除き明らかではないから,上記商標登録の存在は,本願商標が本件審決日当時「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」あるいは「女性がつける王冠形の髪飾り」の商品である「ティアラ」を一般に認識させるものであったとの認定を左右するものではない。 したがって,原告の上記②の主張は採用することができない。 (ウ) 以上によれば,本件審決における本願商標の認定は,「Tiara」の語の本来の意味を看過し,しかも,取引の実情にもそぐわないものであるとの原告の主張は,その根拠を欠くものであって,理由がない。 (2) 「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」についてア本願商標の構成から一般に認識される「宝石をちりばめた婦人用の冠形- 20 -頭飾り」あるいは「女性がつける王冠形の髪飾り」の商品である「ティアラ」は,装飾のために身につける身飾品に属する商品であるといえる。 また,本件補正後の指定商品である「イヤリング,ネックレス,ブレスレット,ペンダント,宝石ブローチ,指輪,ピアス」は,いずれも装飾のために身につける身飾品に属するものであり,「ティアラ」とは,その形状,身に着ける部位等が異なる別の種類の身飾品であるといえる。 加えて,前記(1)イ(ア)によれば,「ティアラ」と本件補正後の指定商品とは,共に貴金属店や宝飾品店のみならず,インターネットでも販売される商品であること,特に結婚式等で身に着ける商品として,「ティアラ」と本願商品の指定商品とが併せて紹介され,展示又は販売されることが多く,また,貸し出されることもあること,そのため取引者,需要者が共通することを併せ考慮すると,「ティアラ」と 品として,「ティアラ」と本願商品の指定商品とが併せて紹介され,展示又は販売されることが多く,また,貸し出されることもあること,そのため取引者,需要者が共通することを併せ考慮すると,「ティアラ」と本件補正後の指定商品とは,互いに関連する商品であることが認められる。 イ前記アのとおり,「ティアラ」と本件補正後の指定商品とは,互いに関連する商品であるが,別の種類の身飾品であって,本願商標が表示している商品である「ティアラ」の特性と指定商品が有する特性が異なるため,本件審決がされた平成27年7月7日の時点において,取引者又は需要者において,本願商標を本件補正後の指定商品に使用した場合に,その商品が「ティアラ」の特性を有する商品であるかのように,「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」があるものと認められるから,本願商標は,商標法4条1項16号に該当するものと認められる。 ウこれに対し原告は,商品「ティアラ」と本件補正後の指定商品とは,「互いに関連する商品」ではないし,本願商標を本件補正後の指定商品「イヤリング,ネックレス,ブレスレット,ペンダント,宝石ブローチ,指輪,ピアス」に使用しても,取引者,需要者において,商品の品質について誤認を生ずるおそれはないから,本願商標は,商標法4条1項16号に該当- 21 -しない旨主張する。 しかしながら,原告の主張は,以下のとおり理由がない。 (ア) 原告は,市中で販売されている「ティアラ」と称する商品のうち,安価な原材料のイミテーションの宝石を用いたものは,本物の宝石をちりばめたものではないから,「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」の範疇には含まれないし,高級宝飾店によって販売されているものは,ほとんどがブライダル用のレンタル品であって,商品の流通過程に置かれて販売対象となる商品ではない 宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」の範疇には含まれないし,高級宝飾店によって販売されているものは,ほとんどがブライダル用のレンタル品であって,商品の流通過程に置かれて販売対象となる商品ではないのに対し,本件補正後の指定商品は,市中で自由に購入して日常身につけるものである点で異なり,また,このような違いにより,取引者及び需要者も異なるから,商品「ティアラ」と本件補正後の指定商品とは,「互いに関連する商品」ではない旨主張する。 しかしながら,前記ア認定のとおり,「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」あるいは「女性がつける王冠形の髪飾り」の商品である「ティアラ」と本件補正後の指定商品とは,いずれも身飾品に属する別の種類の商品であって,共に貴金属店や宝飾品店のみならず,インターネットでも販売される商品であること,特に結婚式等で身に着ける商品として,「ティアラ」と本件補正後の指定商品とが併せて紹介され,展示又は販売されることが多く,また,貸し出されることもあること,そのため取引者,需要者が共通することからすると「ティアラ」と本件補正後の指定商品とは,互いに関連する商品であることが認められるから,原告の上記主張は,採用することができない。 (イ) 次に,原告は,①女性皇族が身につける「ティアラ」は,「着ける女性皇族の身分と着ける場の格式」によってデザインが決められ,高級宝飾店が制作し,宮中に納品される1点限りのものであり,商品として流通するものではないこと,②「Tiara」から「宝石をちりばめた- 22 -婦人用の冠形頭飾り」とのみ想起されるものではなく,「高級な宝飾品」という観念も生じること,③女性用被服類及び女性用アクセサリー類の業界で広く知られているメル・ローズは,ウェブサイトにおいて,「Tiara」の商標を使用した女性用 れるものではなく,「高級な宝飾品」という観念も生じること,③女性用被服類及び女性用アクセサリー類の業界で広く知られているメル・ローズは,ウェブサイトにおいて,「Tiara」の商標を使用した女性用被服類,バッグ類,靴類と共に,「ネックレス,ブレスレット」等を掲載して販売していることからすると,取引者,需要者においては,「Tiara」をメル・ローズが使用する商標としてのみ認識することを根拠として挙げて,本願商標を本件補正後の指定商品「イヤリング,ネックレス,ブレスレット,ペンダント,宝石ブローチ,指輪,ピアス」に使用した場合,それぞれがどのような品質の商品であるかの識別は容易であって,需要者において,「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」であるかのごとく,商品の品質について誤認を生ずるおそれはない旨主張する。 しかしながら,原告が挙げる上記①の点は,「ティアラ」が女性皇族が宮中の行事で正装する際に身につけるものに限定されることを前提とするものと解されるが,前記(1)エ(ア)で述べように「ティアラ」はそのように限定されるものとはいえないから,本願商標を本件補正後の指定商品に使用した場合に,その商品が「ティアラ」の特性を有する商品であるかのように,「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」があることを否定する根拠となるものではない。 次に,前記(1)エ(イ)で述べたのと同様の理由により,原告の上記②の点は,本願商標を本件補正後の指定商品に使用した場合に,その商品が「ティアラ」の特性を有する商品であるかのように,「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」があることを否定する根拠となるものではない。 さらに,メル・ローズが,ウェブサイトにおいて,「Tiara」の商標を使用した女性用被服類,バッグ類,靴類と共に,「ネックレス,ブレスレット」等を掲載 あることを否定する根拠となるものではない。 さらに,メル・ローズが,ウェブサイトにおいて,「Tiara」の商標を使用した女性用被服類,バッグ類,靴類と共に,「ネックレス,ブレスレット」等を掲載して販売しているからといって,取引者,需要- 23 -者においては「Tiara」をメル・ローズが使用する商標としてのみ認識するということはできないし,メル・ローズによる上記販売の事実は,本願商標が本件審決日当時「宝石をちりばめた婦人用の冠形頭飾り」あるいは「女性がつける王冠形の髪飾り」の商品である「ティアラ」を一般に認識させるものであったことを否定する根拠となるものではないことは,前記(1)エ(イ)で述べたとおりであるから,原告の挙げる上記③の点も,これと同様である。 以上によれば,本願商標を本件補正後の指定商品に使用しても「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」がないとの原告の主張は理由がない。 (ウ) 原告は,本願に係る取引の実情として,①「ティアラ」,「Tiara」及び「TIARA」は,各種商品に数多くの商標登録が存在し,原告においても,「ティアラ」,「ティアラ/TIARA」及び「Tiara」について商標登録を受けていることは,「Tiara」及び「ティアラ」の語が商標として機能し,各種商品に「Tiara」及び「ティアラ」を商標として使用することが広く希望されていることを示すものであること,②メル・ローズによる「Tiara」の商標の使用は,品質が異なる女性用被服類,バッグ類,靴類などに及び,上記使用により,同社の商品に対する信用が蓄積されており,これまでに需要者が商品の品質を誤認するという混乱は全く生じていないこと,③本願商標の商標登録が認められない場合には,原告は,「ティアラ」の商標登録(甲11)を有しているにもかかわらず,これに り,これまでに需要者が商品の品質を誤認するという混乱は全く生じていないこと,③本願商標の商標登録が認められない場合には,原告は,「ティアラ」の商標登録(甲11)を有しているにもかかわらず,これに称呼及び観念を共に類似することが明らかな「Tiara」の第三者による無断使用に対して,法的手続を採り得ないこととなり,取引の安定を損ない,商標が保護されているとはいえないことを挙げて,本願商標を本件補正後の指定商品に使用しても「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」がない旨主張する。 しかしながら,原告が挙げる上記①及び③の点は,その主張自体,本- 24 -願商標を本件補正後の指定商品に使用した場合に,その商品が「ティアラ」の特性を有する商品であるかのように,「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」があることを否定することの根拠となるものではない。 また,「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」があるというためには,現実に商品の品質の誤認が生じている必要はないから,原告が挙げる上記②の点も,本願商標を本件補正後の指定商品に使用した場合に,その商品が「ティアラ」の特性を有する商品であるかのように,「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」があることを否定することの根拠となるものではない。 したがって,本願商標を本件補正後の指定商品に使用しても「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」がないとの原告の主張は理由がない。 (3) 小括以上のとおり,本願商標が商標法4条1項16号に該当するとした本件審決の判断に誤りはないから,原告主張の取消事由は理由がない。 2 結論以上の次第であるから,原告主張の取消事由は理由がなく,本件審決にこれを取り消すべき違法は認められない。 したがって,原告の請求は棄却されるべきものである。 知的財産高等裁判所第3部 以上の次第であるから,原告主張の取消事由は理由がなく,本件審決にこれを取り消すべき違法は認められない。したがって,原告の請求は棄却されるべきものである。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官大西勝滋 裁判官神谷厚毅

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る