【DRY-RUN】主 文 本件控訴を棄却する。 理 由 検察官木下猛雄の陳述した控訴趣意は原審検察官高橋嘉門名義の控訴趣意書の記 載と同一でおり被告人A、B、Cの弁護人真木桓の
主文 本件控訴を棄却する。 理由 検察官木下猛雄の陳述した控訴趣意は原審検察官高橋嘉門名義の控訴趣意書の記載と同一でおり被告人A、B、Cの弁護人真木桓の陳述した答弁は同弁護人名義の検察官の控訴趣意書に対する反駁上申書の記載と同一で、被告人D、E、Fの主任弁護人岡田実の陳述した答弁は同弁護人及び弁護人奥原喜三郎共同名義の答弁書の記載と同一で被告人Gの主任弁護人勅使河原直三郎の陳述した答弁は弁護人大嶺庫名義の答弁書の記載と同一であるから孰れも茲に夫れを引用する。 控訴趣意第一点について、所論は要するに原審検察官が刑事訴訟法第三百条の規定に基き同法第三百二十一条第一項第二号所定の書面の取調を請求した場合には裁判所は之を受理し該書面の証拠能力を取調べ然る後断罪の資料となすべきや否やを判定しなければならないのに原審は弁護人の意見を聴いたのみで決定をもつて検察官が取調請求をしたH、I、J、K、L、M、Nの検察官並に検察事務取扱検察事務官に対する供述調書の取調請求を却下したのは、採証の法則を誤り訴訟手続に法令の違反があるというのである。 よつて記録を精査し原審第十回及び第十一回公判調書の記載を調査するに、検察官は被告人D関係の証拠として検察事務官に対するHの供述調書、検察官に対するH(二通)I(第一、二回)の各供述調書、被告人A関係の証拠として検察事務官に対するHの供述調書、検察官に対するHの供述調書、被告人E関係の証拠として、検察事務官に対するH、Jの各供述調書、検察官に対するH(第一ないし第三回)J(第二、三回)の各供述調書、被告人O関係の証拠として検察事務官に対するH、Kの各供述調書、被告人G関係の証拠として検察事務官に対するIの供述調書、被告人F関係の証拠として検察官に対するJ(第一、二回) 二、三回)の各供述調書、被告人O関係の証拠として検察事務官に対するH、Kの各供述調書、被告人G関係の証拠として検察事務官に対するIの供述調書、被告人F関係の証拠として検察官に対するJ(第一、二回)H、Mの供述調書、検察官に対するJ、K(第一、二回)N、Lの各供述調書、被告人B関係の証拠として検察事務官に対するIの供述調書、検察官に対するI(二通)の供述調書、被告人C関係の証拠として検察事務取扱検察事務官に対するHの供述調書謄本を刑事訴訟法第三百二十一条第一項第二号の書面として他の書面と共に取調を請求したのに対し原審裁判所は夫々の弁護人より右列記の取調請求には任意性がない故証拠能力がない書面であるから異議がある旨の意見を聴いた上該書面の取調請求を却下した事実を確認しうる。しからば右却下決定は採証の法則に違反しているか否かを検討してみるに、刑事訴訟法第三百二十一条第一項第二号により証拠となるには(イ)検察官の面前における被告人以外の者の供述を録取した書面であること、従つて検察事務官の面前における供述録取書は茲には包含されないが検察事務取扱検察事務官の面前における供述録取書は検察官の面前における供述録取書として取扱うべきものと解する。(ロ)公判準備又は公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異つた供述をしたとき、(ハ)但し公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限るのであつて、是等の条件が具備しない限り証拠とすることは出来ないこと勿論である。しかして右(ロ)(ハ)の条件を具備しているか否かを判定するには其の内容を取調べ比較検討して始めてなしうるのであるから刑事訴訟法第三百二十一条第一項第二号の右(ロ)(ハ)の条件は一応検察官の見解に委ねるの外なく従つて検察官が同法第三百条の規定に基き之 するには其の内容を取調べ比較検討して始めてなしうるのであるから刑事訴訟法第三百二十一条第一項第二号の右(ロ)(ハ)の条件は一応検察官の見解に委ねるの外なく従つて検察官が同法第三百条の規定に基き之れが証拠調を請求した場合裁判所は常に必ず夫れを受理して取調をしなければならないか。当裁判所は必らずしも之を肯定しない。何とならば若し裁判所が事案の如何に拘らず証拠能力のない証拠でも其の証拠について内容を調査する義務があるとするならば既に夫れによつて心証が形成される危険が生ずる。 さればこそ刑事訴訟法は同法第二十条第七号、第二百五十六条第六項のような規定を設けてこの種危険防止に対処しているのであろう。この危険防止の精神に立脚して考量するに検察官より取求の前記供述調書が既に他の証拠により公判準備又は公判期日における供述より信用すべからざる情況が認め調請られる時は裁判所は其の取調をなすべき筋合に非ざることを容易に首肯しうるところでおる。 よつて本件につき是をみるに原審は検察官より前記各供述調書の取調請求前に当該本人を証人として尋問したことは勿論幾多の証拠の取調を行い之等の証拠によつて右請求にかかる調書は同人等の公判期日における供述よりも信用すべからざる情況の下に作成されたものとの心証がえられたので前叙のような却下決定がなされ<要旨>たことを窺知しうる。なお刑事訴訟法第三百条は同法第三百二十一条第一項第二号後段の規定により証拠とす</要旨>ることが出来る書面については検察官は必ずその取調を請求しなければならないと規定しているが右は裁判所に取調義務を命じた規定ではなく裁判所において前叙の如く信用すべき情況にないことが認められる検察官の面前における被告人以外の者の供述録取書の如きは之が取調請求を認容する限りでない。 されば原審がなした検察官の前記証拠の取 はなく裁判所において前叙の如く信用すべき情況にないことが認められる検察官の面前における被告人以外の者の供述録取書の如きは之が取調請求を認容する限りでない。 されば原審がなした検察官の前記証拠の取調請求を却下する旨の決定は相当であつて所論のような採証の法則違反の違法は存しない。論旨は理由がない。 同第二点について、所論は要するに原審検察官が刑事訴訟法第三百二十二条の規定に基き証拠能力ありとして取調を請求した被告人等の検察官や検察事務取扱検察事務官の面前における供述調書について裁判所は之を受理し該書面の証拠能力を取調べ然る後断罪の資料となすべきや否やを判定しなければならないのに原審は弁護人の意見を聴いたのみで決定をもつて直ちに之を却下したのは裁判の衡平の原則に違反し採証の法則に戻つた法令違反であるというのである。 よつて記録を調査するに原審第十回公判調書の記載によれば検察官は被告人D関係の証拠として検察官に対する同人の第一ないし第三回各供述調書。被告人A関係の証拠とし検察官に対する同人の第一ないし第三回の各供述調書被告人E関係の証拠として検察官に対する同人の第一ないし第七回の各供述調書、被告人O関係の証拠として検察官に対する同人の第一、二回の各供述調書、被告人G関係の証拠として司法警察員に対する同人の弁解録取書及び同人の第一ないし第三回の各供述調書、検察官に対する同人の供述調書、被告人F関係の証拠として検察官に対する同人の第一ないし第五回の各供述調書、被告人B関係の証拠として検察官に対する同人の供述調書を孰れも刑事訴訟法第三百二十二条にょり取調を請求し之に対し弁護人は被告人F関係は取調請求に異議あり、被告人G関係は弁解録取書を除き其の他の取調請求には異議なし、と述べた事実を認めうべく、原審第十一回公判調書の記載によれば検察官は被告 取調を請求し之に対し弁護人は被告人F関係は取調請求に異議あり、被告人G関係は弁解録取書を除き其の他の取調請求には異議なし、と述べた事実を認めうべく、原審第十一回公判調書の記載によれば検察官は被告人C関係の証拠として司法警察員に対する同人の第一、二回の各供述調書、検察官に対する同人の供述調書を刑事訴訟法第三百二十二条により取調を請求し裁判官は弁護人及び同被告人に意見を求めた上前記第十回及び第十一回の公判話で検察官が証拠の取調を請求した前記被告人等の各供述調書又は録取書は之を取調べる旨の決定を宣し適法な証拠調をして検察官より之を裁判所に提出せしめた事実を確認しうるのでおつて所論のように右取調請求を却下した形跡は全然存しないのであるから論旨は到底採用の限りでない。 同第三点について、所論は要するに被告人G、同E、同Cは孰れも公務員であるのに然らずとなした原判決は失当であるというのである。 よつて記録を調査するに昭和二十四年十一月一日原審第一回公判調書中の証人Pの供述記載によれば右被告人等が公訴事実記載の行為当時の身分は其の頃配炭公団では職員の資格審査や定員の問題等のため公団法規定の職員である一級二級三級の孰れかの職員に該当するかの辞令を出しえぬ結果、一応同法には存しない配炭公団の臨時職員として採用し同公団の臨時事務を委嘱した次第であつて公団法の職員ではない事実即ち公務員でない事実を認めるに足るべく、記録を精査するも同被告人等が公務員であつたと認むべき証拠はない、従つて同被告人等は行為当時刑法第七条にいわゆる法令により公務に従事する職員の範疇に属さないものというべきである。されば同被告人等において当時金品の収受或は饗応の事実があつたとしても之を収賄罪に問擬しえないこと無論であつて原判決の認定には何等の違法も存しない。論旨は理由がない。 属さないものというべきである。されば同被告人等において当時金品の収受或は饗応の事実があつたとしても之を収賄罪に問擬しえないこと無論であつて原判決の認定には何等の違法も存しない。論旨は理由がない。 以上のとおりであるから刑事訴訟法第三百九十六条に則り本件控訴を棄却すべきものとして主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官大野正太郎裁判官松村美佐男裁判官蓮見重治)
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