【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人諌山博の上告趣意第一点について。 所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に 当ら
主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人諌山博の上告趣意第一点について。 所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に 当らない。(公職選挙法二二五条三号の立法趣旨は、同条同号にいわゆる「特殊の 利害関係」を利用することにより選挙の自由が妨害されることを防止するにあるの であつて、該特殊利害関係はこれを利用する者と威迫される者との間に直接存する ものでなければならないと限定する理由はなく、また利用する者が威迫の内容を実 現する権能を有する者でなければならないと限定する理由もない。要は、いわゆる 「特殊利害関係」に対して何らかの影響力を与えうる者が該特殊利害関係を利用し て威迫することにより、相手方に不安困惑の念を生ぜしめその結果選挙の自由が妨 害されることにある。而して、原判決の適法に認定した事実によれば、被告人はA 地区労働組合協議会の会長たる地位を擁して同協議会をしてその傘下の各組合に働 きかけさせてチケツト制等の拒否の事態を招来させうる立場にあるのであり、原判 示チケツト販売制度の拒否、組合指定等の協力関係の停止の予告は、原判示商店経 営者らに不安困惑の念を抱かしめその結果選挙権の自由なる行使を妨害するに至る こと明らかである。されば、原審が被告人の行為を同条同号に該当するものと判断 したのは正当である。) 同第二点について。 論旨は、原判決は憲法二一条一項に違背する、と主張する。しかし、所論は、原 判決の、本件ビラの内容はB連盟C支部の原判示決定を批判抗議してこれに警告し、 自己の主張を八代市内の商店経営者らに訴え同支部の不当性を認識させようとした に止まるものとは認められない、旨の判示に対し、本件ビラの内容について右判示 - 1 - に副わない事項に立脚して所論違憲を主張するものである 市内の商店経営者らに訴え同支部の不当性を認識させようとした に止まるものとは認められない、旨の判示に対し、本件ビラの内容について右判示 - 1 - に副わない事項に立脚して所論違憲を主張するものであること明らかであるところ、 右原判示は証拠に照らし首肯するに足りるから、所論違憲の主張はその前提におい て既に失当であり、上告適法の理由とならない。 同第三点について。 論旨は、原判決は公職選挙法二二五条三号の「威迫」の解釈を誤りかつ判例に違 反する、と主張する。しかし、所論「威迫」とは特殊の利害関係を利用して相手方 に不安困惑の念を生ぜしめる行為であると解すべきであるところ、原判決はこれと 同趣旨に出でたものであること判文上明らかであるから、原判決には所論の違法は ない。また原判決は論旨引用の各大審院判例の趣旨と相反するものでない。論旨は すべて採用できない。 被告人本人の上告趣意について。 論旨は、原判決は憲法二一条一項、同二八条に違背する、と主張する。しかし、 憲法二一条一項違反の主張が不適法であることは、弁護人諌山博の上告趣意第二点 について説示したとおりであり、また同二八条違反の主張は、原判決のいかなる部 分がいかなる理由により違憲であるかを具体的に主張していないから、上告適法の 理由とならない。 また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。 よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。 昭和三六年一〇月三一日 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 高 橋 潔 裁判官 河 村 又 介 裁判官 垂 水 克 己 裁判官 石 坂 修 一 - 2 - 裁判官 河 村 又 介 裁判官 垂 水 克 己 裁判官 石 坂 修 一 - 2 - 裁判官 五 鬼 上 堅 磐 - 3 -
▼ クリックして全文を表示