令和4年5月26日判決言渡令和2年(ネ)第10069号特許法74条1項を原因とする特許権移転登録請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成30年(ワ)第22338号)口頭弁論終結日令和4年3月1日 判決 控訴人岡本レース株式会社 同訴訟代理人弁護士松田光代 村谷淳同補佐人弁理士岡倉誠 被控訴人松山毛織株式会社 同訴訟代理人弁護士川岸弘樹 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は、控訴人に対し、原判決別紙特許権目録記載の特許権につき、持分2分の1の移転登録手続をせよ。 第2 事案の概要(略称は、特に断りのない限り、原判決に従う。) 1 事案の要旨 本件は、控訴人が、被控訴人名義で設定登録された、発明の名称を「ラップネット及びその製造方法」とする特許(特許第5892637号。請求項の数11。以下、この特許を「本件特許」といい、本件特許に係る特許権を「本件特許権」という。)に係る発明(以下、請求項の番号に応じて、請求項1に係る発明を「本件発明1」等といい、これらを併せて「本件各発明」という。)は、控訴人代表者、甲(以下「甲」という。)及び被控訴人代表者の共同発明であり、控訴人は、控訴人代表者及び甲から本件各発明の特許を受ける権利の持分を譲り これらを併せて「本件各発明」という。)は、 控訴人代表者、甲(以下「甲」という。)及び被控訴人代表者の共同発明であり、控訴人は、控訴人代表者及び甲から本件各発明の特許を受ける権利の持分を譲り受けた旨主張して、被控訴人に対し、特許法74条1項に基づき、本件特許権の持分2分の1の移転登録手続を求める事案である。 原判決は、控訴人代表者及び甲は本件各発明の共同発明者であるとは認めら れないとして、控訴人の請求を棄却した。 控訴人は、原判決を不服として、本件控訴を提起した。 2 前提事実以下のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第2の1記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決2頁9行目の「甲(以下「甲」という。)」を「甲」と改める。 ⑵ 原判決3頁6行目の「イ」を「イ(ア)」と改め、同頁14行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「(イ) 先の出願1の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである(甲8)。 【請求項1】編地の長さ方向に並列した合成樹脂系繊維からなる経糸群が、それぞれ、当該長さ方向に連続したループにより複数の独立鎖編を形成し、前記独立鎖編の各ループが他の独立鎖編の他のループとセルロース系繊維からなる緯糸によって連結されてなる編地からなり、 前記経糸の糸強度が前記緯糸の糸強度より大きいことを特徴とするラ ップネット。 (ウ) 先の出願2の特許請求の範囲の請求項1及び6の記載は、次のとおりである(甲9)。 【請求項1】編地の長さ方向に並列した経糸群が、それぞれ、当該長さ方向に連続 したループにより複数の独立鎖編を形成し、前記独立鎖編の各ループが他の独立鎖 【請求項1】編地の長さ方向に並列した経糸群が、それぞれ、当該長さ方向に連続 したループにより複数の独立鎖編を形成し、前記独立鎖編の各ループが他の独立鎖編の他のループと緯糸によって連結されてなる編地からなり、前記経糸及び前記緯糸は、いずれも、セルロース系繊維からなり、且つ、前記経糸の糸強度が前記緯糸の糸強度より大きいことを特徴とする ラップネット。 【請求項6】経糸送出機構、緯糸供給機構、柄出し機構、編目形成機構、及び、巻取機構を備えた経編機を使用して、請求項1~5に記載のラップネットを連続して編成するラップネットの製造方法において、 前記編目形成機構から連続的に編出される前記ラップネットを前記巻取機構の巻上げローラで巻き取るにあたり、当該巻上げローラをその回転軸方向に所定の振幅で往復運動させることを特徴とするラップネットの製造方法。」⑶ 原判決3頁15行目の「12月頃」を「12月末までに」と、同頁16行 目の「(ラップネット)」の次に「及びラップネット関連製品」を加え、同頁18行目の「甲21」を「争いがない事実のほか、甲21」と改める。 ⑷ 原判決3頁19行目から6頁6行目までを次のとおり改める。 「エ(ア) 被控訴人は、平成26年4月23日、先の出願1及び2を優先権主張の基礎となる出願として優先権(優先日平成25年4月26日及 び同年7月22日、優先権主張国日本国)を主張して、特許出願(以 下「本件出願」という。)をし、平成28年3月4日、本件特許権の設定登録を受けた。本件特許に係る特許公報の「発明者」欄には、「乙」(被控訴人代表者)との記載がある(甲7の2)。 (イ) 本件特許の特 件出願」という。)をし、平成28年3月4日、本件特許権の設定登録を受けた。本件特許に係る特許公報の「発明者」欄には、「乙」(被控訴人代表者)との記載がある(甲7の2)。 (イ) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし11の記載は、次のとおりである(甲7の2)。 【請求項1】編地の長さ方向に並列したセルロース系繊維からなる経糸群が、それぞれ、編地の長さ方向に連続したループにより複数の独立鎖編を形成し、前記独立鎖編の各ループが他の独立鎖編の他のループとセルロース 系繊維からなる緯糸によって連結されてなる編地からなることを特徴とするラップネット。 【請求項2】前記経糸の糸強度が前記緯糸の糸強度より大きいことを特徴とする請求項1に記載のラップネット。 【請求項3】前記経糸は、綿繊維からなる5番手~20番手の短繊維紡績糸条の単糸の少なくとも2本以上の糸に撚りを掛けずに引き揃えた引き揃え糸であって、前記緯糸は、綿繊維からなる10番手~30番手の短繊維紡績糸条 の単糸であることを特徴とする請求項2に記載のラップネット。 【請求項4】前記経糸は、綿繊維からなる5番手~20番手の短繊維紡績糸条の単糸の少なくとも2本以上の糸を合撚した合撚糸であって、前記緯糸は、綿繊維からなる10番手~30番手の短繊維紡績糸条 の単糸であることを特徴とする請求項2に記載のラップネット。 【請求項5】編地の長さ方向に並列した合成樹脂系繊維からなる経糸群が、それぞれ、当該長さ方向に連続したループにより複数の独立鎖編を形成し、前記独立鎖編の各ループが他の独立鎖編の 編地の長さ方向に並列した合成樹脂系繊維からなる経糸群が、それぞれ、当該長さ方向に連続したループにより複数の独立鎖編を形成し、前記独立鎖編の各ループが他の独立鎖編の他のループとセルロース系繊維からなる緯糸によって連結されてなる編地からなり、 前記経糸の糸強度が前記緯糸の糸強度より大きいことを特徴とするラップネット。 【請求項6】前記経糸は、合成樹脂フィルムをスリットしてなる単糸繊度が200~2500デシテックスのスリットヤーンであって、 前記緯糸は、綿繊維からなる3番手~30番手の短繊維紡績糸条であることを特徴とする請求項5に記載のラップネット。 【請求項7】前記経糸は、生分解性樹脂からなることを特徴とする請求項6に記載のラップネット。 【請求項8】前記緯糸は、編地の長さ方向に対して下方から上方に伸びて前記独立鎖編を構成するループのニードルループと当該ループの真上のループのシンカーループとの交絡点で当該独立鎖編に挿入され、更に、上方に伸びて前記独立鎖編とこれに隣接する他の独立鎖編を 構成するループのニードルループと当該ループの真上のループのシンカーループとの交絡点で当該他の独立鎖編に挿入されることにより、前記独立鎖編とこれに隣接する他の独立鎖編とが連結して編地を編成することを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載のラップネット。 【請求項9】 経編機にて編密度が0.5~20コース/2.54cm、且つ、編地の長さ方向に連なる前記独立鎖編と隣接する他の独立鎖編との間隔が10cm以下となるように編成してなることを特徴とする請求項8 経編機にて編密度が0.5~20コース/2.54cm、且つ、編地の長さ方向に連なる前記独立鎖編と隣接する他の独立鎖編との間隔が10cm以下となるように編成してなることを特徴とする請求項8に記載のラップネット。 【請求項10】 編地の長さ方向に連なる前記独立鎖編と隣接する他の独立鎖編との間隔をAとし、各独立鎖編において、1つのループの伸長時の長さをBとしたときに、C=A/Bで表される編地の開口比率Cの値が、1~5の範囲内にあることを特徴とする請求項8に記載のラップネット。 【請求項11】経糸送出機構、緯糸供給機構、柄出し機構、編目形成機構、及び、巻取機構を備えた経編機を使用して、請求項1~10に記載のラップネットを連続して編成するラップネットの製造方法において、前記編目形成機構から連続的に編出される前記ラップネットを前記 巻取機構の巻上げローラで巻き取るにあたり、当該巻上げローラをその回転軸方向に所定の振幅で往復運動させることを特徴とするラップネットの製造方法。」⑸ 原判決6頁7行目の「本件特許権の持分」を「本件訴えの提起時までに、本件各発明の特許を受ける権利の持分」と改め、同頁9行目から10行目ま でを削る。 ⑹ 原判決6頁13行目の「厚さを均一にし巻取径を小さくするあや振り(トラバース)」を「厚さを均一にする「あや振り(トラバース)」(以下、この動作そのものを「あや振り」又は「綾振り」という場合がある。)」と、同頁15行目の「争いがない」を「甲77、乙9ないし11、57、62ないし6 5」と改める。 3 争点⑴ 控訴人代表者及び甲の共同発明者性(争点1)⑵ 控訴人代表者及び甲の本件各発明の特許を受け 争いがない」を「甲77、乙9ないし11、57、62ないし6 5」と改める。 3 争点⑴ 控訴人代表者及び甲の共同発明者性(争点1)⑵ 控訴人代表者及び甲の本件各発明の特許を受ける権利の持分割合(争点2)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(控訴人代表者及び甲の共同発明者性)について 次のとおり原判決を訂正し、当審における当事者の補充主張を付加するほか、原判決の「事実及び理由」の第2の2⑴記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決の訂正ア原判決7頁9行目の「に当たり」を「に係る」と、同頁10行目の「で あり」を「及び」と改める。 イ原判決9頁6行目の「特許出願」を「先の出願1」と改める。 ⑵ 当審における控訴人の補充主張控訴人代表者及び甲は、次のとおり、本件発明1及び11の特徴的部分の着想及びその具体化に関与したこと、本件発明2ないし4、8ないし10は、 本件発明1を特定事項に含むこと、本件発明5は本件発明1の発明過程でされた発明であることなどからすると、控訴人代表者及び甲は、本件各発明全体の共同発明者である。 ア本件発明1について(ア) 本件発明1の特徴的部分 本件出願の願書に添付した明細書(以下、図面を含めて「本件明細書」という。甲7の2)には、ポリエチレンフィルムのスリットヤーンを素材とする従来のラップネットには、切断除去が困難で、除去したラップネットの残滓が飼料に混入して家畜が病気等になる危険性があり、更に廃棄処理の労力やコストがかかるだけでなく、ラップネットの残滓によ って飼料の発酵処理時に発酵槽が詰まる等のトラブルが生じるという課 題があったこと、本件発明1は、上記課題を解決するための手段として 労力やコストがかかるだけでなく、ラップネットの残滓によ って飼料の発酵処理時に発酵槽が詰まる等のトラブルが生じるという課 題があったこと、本件発明1は、上記課題を解決するための手段として、ラップネットの経糸と緯糸にセルロール系繊維を使用する構成としたことによって、「家畜が残滓を食べても残滓が胃の中で分解されるため安全で、また、ラップネットの廃棄処理も土中廃棄や焼却が行えるため労力や処理コストが小さく、飼料の発酵処理時にラップネットの残滓が混入 していた場合でも飼料と一緒に分解できるためトラブルを生じない」という効果及び「ロールベールからラップネットを除去することなく、ロールベールと共にラップネットを細断して全量を家畜の飼料とし、或いは、発酵原料として利用できる」という効果を奏することの記載がある(【0008】ないし【0018】、【0029】ないし【0031】、【0 051】)。 そうすると、本件発明1の特徴的部分は、家畜の安全性や廃棄処理の労力・コスト、発酵処理時のトラブルの課題を解決するために、編地から成るラップネットの経糸及び緯糸に、消化性及び生分解性を有し、かつ、カーボンニュートラルなセルロース系繊維を使用した点にある。 (イ) 本件発明1の完成時期a 控訴人と被控訴人は、部分分解樹脂(生分解性樹脂)を用いたラップネットの開発をスタート地点として、その試作・試験で得られた新たな課題をクリアするためにハイブリッドのラップネットを開発し、更にその試作・試験で得られた新たな課題をクリアするために、綿ラ ップネットや綾振り技術を共同で開発した。かかる一連の共同開発の経過において、控訴人及び被控訴人の共同による別件出願1(甲19の2)、被控訴人による別件出願2(乙4)、先の出願1(甲8)、先 ップネットや綾振り技術を共同で開発した。かかる一連の共同開発の経過において、控訴人及び被控訴人の共同による別件出願1(甲19の2)、被控訴人による別件出願2(乙4)、先の出願1(甲8)、先の出願2(甲9)及び本件出願(甲7の2)がされた。控訴人及び被控訴人が共同でした別件出願1の明細書の記載中に表れている技術的思 想は、その後の被控訴人単独で出願した明細書にも明確に引き継がれ ている。 b 原判決は、本件発明1の完成時期に関し、本件発明1の特徴的部分は、先の出願2の請求項1に含まれること、本件発明1のラップネットに関する本件明細書の記載は、先の出願2の明細書の記載とほぼ同様であることによれば、本件発明1の特徴的部分は、先の出願2の出 願日である平成25年7月22日までに完成されていた旨認定したが、以下のとおり、本件発明1の完成時期は、平成26年3月19日と認定すべきであるから、原判決の認定は誤りである。 先の出願2の明細書の記載(【0017】ないし【0026】、【0039】)によれば、先の出願2の請求項1に係る発明(以下「先の出願 2の請求項1発明」という場合がある。)の特徴的部分は、編地の長さ方向に並列した独立鎖編を形成する経糸群及びこれら独立鎖編のループを連結する緯糸にそれぞれセルロース系繊維を使用し、更に経糸の糸強度が緯糸の糸強度よりも大きいラップネットを創作した点にある。 そして、本件発明1の特徴的部分と先の出願2の請求項1発明の特 徴的部分を比較すると、ラップネットの経糸及び緯糸にセルロース系繊維を使用する点で両者は共通しているものの、先の出願2の請求項1発明の特徴的部分に経糸の糸強度を緯糸の糸強度よりも大きくする構成が含まれている点で両者は異なる。また、本件発明1の作用・効 ロース系繊維を使用する点で両者は共通しているものの、先の出願2の請求項1発明の特徴的部分に経糸の糸強度を緯糸の糸強度よりも大きくする構成が含まれている点で両者は異なる。また、本件発明1の作用・効果と先の出願2の請求項1発明の作用・効果を対比すると、それぞれ の明細書に「家畜が残滓を食べても残滓が胃の中で分解されるため安全で、またラップネットの廃棄処理も土中廃棄や焼却が行えるため労力や処理コストが小さく、また飼料の発酵処理時にラップネットの残滓が混入していた場合でも飼料と一緒に分解できるためトラブルを生じない」という効果が記載されている点で両者は共通するが、先の出 願2の明細書には、本件明細書の【0030】記載の「ロールベール からラップネットを除去することなく、ロールベールと共にラップネットを細断して全量を家畜の飼料とし」という効果(以下「家畜の飼料に関する効果」という場合がある。)に該当する効果の記載はない点で両者の作用・効果は異なる。 そうすると、本件発明1は、先の出願2の出願日である平成25年 7月22日の時点では、未完成であった。 そして、本件発明1の家畜の飼料に関する効果は、「家畜の消化器官における綿ラップネットの消化特性」を利用したものであり、ラップネットの当業者において予測が極めて困難な生物分野の効果であること、上記効果は、畜産技術センターが綿ラップネットについて実施し た「木綿ネット消化性テスト」(甲62)で確認されたこと、この消化性テストのデータは、本件明細書の【0102】、表1及び図1ないし3に請求項1の作用効果を証するデータとして記載されていることからすると、本件発明1の完成時期は、上記効果が「木綿ネット消化性テスト」(甲62)により確認された平成26年3月19日である。 いし3に請求項1の作用効果を証するデータとして記載されていることからすると、本件発明1の完成時期は、上記効果が「木綿ネット消化性テスト」(甲62)により確認された平成26年3月19日である。 (ウ) 本件発明1の特徴的部分の完成に対する控訴人代表者及び甲の貢献a 本件明細書記載の本件発明1の課題は、被控訴人及び控訴人が共同でした別件出願1の明細書にも記載がある。この課題は、控訴人と被控訴人がラップネットの共同開発において一貫して取り組んだものであるから、本件発明1の課題は、別件出願1の出願日である平成25 年1月13日より前に、控訴人と被控訴人が共同で発見したものである。 本件明細書と別件出願1の明細書には、本件発明1のラップネットの組織の記載に関し、多くの共通点があること(例えば、別件出願1の【0059】、【0060】、【0067】等)からすれば、被控訴人 が、控訴人が検討して完成させたラップネットの組織に関する別件出 願1の明細書及び図面の内容を、先の出願1、2及び本件出願の明細書及び図面に流用したことは明らかである。 そして、本件発明1のラップネットに引き継がれた上記の内容は、別件出願1に際し、控訴人代表者及び甲が従来のラップネットの組織を分析した上でラップネットの機能を考慮して最適な組織を検討し、 繰り返し試作を行ったからこそ、なし得たものであるから、本件発明1の着想の具体化に控訴人及び甲の深い関与があった。 b 控訴人代表者及び甲は、平成25年1月24日、畜産試験場において牛の飼料に綿実を与えているという話を聞き、ラップネットに綿糸を使用することの着想を得て、この着想に基づき、同年3月中旬から、 経糸に生分解性スリットヤーン、緯糸に綿糸 日、畜産試験場において牛の飼料に綿実を与えているという話を聞き、ラップネットに綿糸を使用することの着想を得て、この着想に基づき、同年3月中旬から、 経糸に生分解性スリットヤーン、緯糸に綿糸を、同年4月上旬から、経糸にポリエチレンフィルムのスリットヤーン、緯糸に綿糸を用いる、いわゆるハイブリッドのラップネットの試作を開始した。 その後、同年5月9日にタカキタで行われた控訴人作成のハイブリッドのラップネットの試作品の評価において、同試作品は強度が弱か ったため、ハイブリッドのラップネットの開発は中止となった。 一方、その評価の際に行われた控訴人代表者、甲、被控訴人代表者及び丙が参加した協議の中で、丙が全部綿糸を用いたラップネットの制作を提案した。この提案を受けて、控訴人、被控訴人及びタカキタの三社の合意の下、控訴人は、同日から経糸及び緯糸に全部綿糸を用 いたラップネットの試作を開始した。 c 経糸及び緯糸に綿糸を用いるラップネットについては、専用の経編機が存在しなかったため、同ラップネットの製造を具体化するには、既存の経編機を改造して開発する必要があったところ、控訴人代表者がこれを行った。また、同ラップネットは、編みにくい素材である綿 糸を用いるものであり、編組織も非常に目が粗く一般的なものではな かったため、その編み立ては技術的に困難であったが、控訴人代表者は、経編機を改造し、編み方を工夫するなどして、その製造方法を具体化した。 d 控訴人、被控訴人及びタカキタは、平成25年5月31日に綿糸のラップネットの試作品評価を行って以降、本件発明1が完成した平成 26年3月19日までの間に、平成25年6月21日にタカキタでの作品評価、同月9月25日及び同年12月3日に改良ネットについて ラップネットの試作品評価を行って以降、本件発明1が完成した平成 26年3月19日までの間に、平成25年6月21日にタカキタでの作品評価、同月9月25日及び同年12月3日に改良ネットについての打合せ等を行い、互いに情報を共有していた。「木綿ネット消化性テスト」に使用された綿糸のラップネットも、控訴人が編み立てたものである。 したがって、控訴人代表者及び甲は、本件発明1の特徴的部分の着想及びその具体化に関与したから、本件発明1の発明者である。 イ本件発明11について(ア) 本件発明11の特徴的部分本件明細書には、ラップネットの経糸に綿紡績糸からなる太番手の単 糸、引き揃え糸あるいは合撚糸を使用した場合、従来のポリエチレンフィルムのスリットヤーンよりも糸の太さ(厚み)が大きいため、1本のロールに同じ長さのラップネットを巻き取った際に1本のロールの直径が大きくなる問題があり、また、1本のロールに巻き取るラップネットの長さを短くすると、ラップネットの交換作業が頻繁となり、ラッピン グ作業の作業性が大きく低下する問題があったこと、本件発明11は、上記課題を解決するための手段として、ラップネットを巻取機構の巻上げローラで巻き取るにあたり、巻上げローラをその回転軸方向に所定の振幅で往復運動させる構成としたことによって、独立鎖編の部分が重ならないように左右に均一に振り分けることができるため、同じ直径に巻 上げた場合でも、1本のロールに巻き取ることのできるラップネットの 長さを長くすることができるという効果及びラップネットを長く巻き取ることができるため、ロールの交換作業が頻繁とならず、ラッピング作業の作業性が低下しないという効果を奏することの記載がある(【0043】、【0044】、【0078 う効果及びラップネットを長く巻き取ることができるため、ロールの交換作業が頻繁とならず、ラッピング作業の作業性が低下しないという効果を奏することの記載がある(【0043】、【0044】、【0078】、【0079】ないし【0083】、【0086】)。 そうすると、本件発明11の特徴的部分は、経糸が太いラップネットを巻き取った際のロール径の課題を解決するために、ラップネットの独立鎖編が重ならないように経編機の巻上げローラをその回転軸方向に所定の振幅(独立鎖編と隣接する独立鎖編との間隔と同等或いは若干狭い)で往復運動させた点にある。 (イ) 本件発明11の完成時期控訴人は、平成25年5月頃、ラップネット製造機に綾振り技術を導入する必要があると考え、被控訴人に対し、同月9日にその技術内容を説明し、同月31日に綾振り技術を用いる旨伝えて、本件発明11を完成した。 その後、控訴人は、平成26年1月に新たな製造機を導入して、本件発明11を実用化した。 (ウ) 本件発明11の特徴的部分の完成に対する控訴人代表者及び甲の貢献本件明細書記載の本件発明11の経編機を用いたラップネットの編立 技術(【0026】、【0040】、【0064】、【0066】、【0071】、【0076】、【0089】、【0094】、【0106】、【0111】、【0147】、【0149】、【0158】、【0167】)について、控訴人及び被控訴人が共同でした別件出願1の明細書(甲19の2)にも、同様の内容の記載がある(【0012】、【0020】、【0028】、【0056】、 【0058】、【0059】、【0067】)ことからすれば、本件発明11 の製造方法は、別件出願1の出願時に開発されたラップネットの製造技術が応用されたもので 028】、【0056】、 【0058】、【0059】、【0067】)ことからすれば、本件発明11 の製造方法は、別件出願1の出願時に開発されたラップネットの製造技術が応用されたものである。 控訴人代表者及び甲は、別件出願1の出願日前に本件発明11の編立技術を着想し、その後のラップネットの試作、改良を繰り返すことで、その着想を具体化し、上記編立技術の完成に深く関与した。 また、本件発明11における綾振り技術の課題に関しても、上記経編機を利用したラップネットの製造において素材に綿糸を使用することで新たに発見した課題であり、その解決手段である巻上げローラを左右に振る方法も経編機の編立部分と一体不可分の解決手段であることからすると、本件発明11の着想及びその具体化に控訴人代表者及び甲が大き く貢献した。 ●(省略)●以上のとおり、控訴人代表者及び甲は、本件発明11の特徴的部分の着想及びその具体化に関与したから、本件発明11の発明者である。 (3) 当審における被控訴人の補充主張 ア本件発明1の主張に対し(ア) 本件発明1の特徴的部分について本件発明1の特徴的部分は、ラップネットにおいて従前、技術的課題であるとされていた作業性、家畜の安全性を確保するために、ラップネットの経糸及び緯糸のいずれにもセルロース系繊維を用いたことにある。 本件各発明においては、経糸・緯糸の強度も含め、従来のポリエチレン素材に代替できる綿等の素材の検討こそ技術的な枢要部分であり、本件各発明全体の特徴的部分は、請求項2(「前記経糸の糸強度が前記緯糸の糸強度より大きいことを特徴とする請求項1に記載のラップネット」)にある。これは、先の出願2の請求項1の「前記経糸及び前記緯糸は、 いずれも、セルロー 請求項2(「前記経糸の糸強度が前記緯糸の糸強度より大きいことを特徴とする請求項1に記載のラップネット」)にある。これは、先の出願2の請求項1の「前記経糸及び前記緯糸は、 いずれも、セルロース系繊維からなり、且つ、前記経糸の糸強度が前記 緯糸の糸強度より大きい」との構成と同様である。本件出願の段階で、請求項2の内容を設計変更することで特許権侵害を回避しようとする者が現れ、発明の趣旨が害される可能性があることを考慮し、請求項2を上位概念化した請求項1を追加したものである。 したがって、「経糸の糸強度が緯糸の糸強度よりも大きい」点こそが、 本件発明1の技術的思想の枢要部分である。 (イ) 本件発明1の完成時期について本件発明1の完成時期は、遅くとも本件共同開発契約締結前の平成25年9月であり、控訴人主張の平成26年3月19日ではない。 被控訴人代表者は、牛の飼料として「綿実」は広く利用されているこ と、綿糸の製造過程で発生する「落綿」(成分は綿糸と同じ)を工場で牛に食べさせている実績があることを知っていたため、平成25年1月24日以降ほどなく、ラップネットに綿糸を使用することを着想した。 被控訴人代表者は、ラップネットを除去しても飼料中に一定量の綿糸が混入するが、そうであっても従来のポリエチレン製のラップネットよ りは安全性が高いと考えており、遅くとも同年9月の時点では、タカキタに対し、綿糸のラップネットは牛が食しても胃の中の分解酵素で分解され安全である旨を伝えており、それ以前の段階で、本件発明1は完成していた。もっとも、この時点では、消化性テストを行うために必要な試験用牛の確保ができなかったため、すぐにはテストを実施できず、結 果が得られたのが、平成26年3月19日になったにすぎない。 (ウ) 。もっとも、この時点では、消化性テストを行うために必要な試験用牛の確保ができなかったため、すぐにはテストを実施できず、結 果が得られたのが、平成26年3月19日になったにすぎない。 (ウ) 本件発明1に係る控訴人代表者及び甲の共同発明者性について別件出願1に係る発明と本件発明1は、課題について概ね共通するものであっても、その解決手段、技術的思想が全く異なるものであり、本件発明1の課題の発見に対する控訴人代表者及び甲の関与は認められな い。 また、本件明細書、別件出願1の明細書、先の出願1及び2の各明細書に共通して記載されている内容は、控訴人代表者が関与したことによって記載されたものではなく、被控訴人代表者において独自に従前のポリエチレン製ラップネットの仕様を参考に検討した結果を記載したものである。 控訴人は、被控訴人からの指示に基づいて、従来型のポリエチレン製ラップネットと同じ仕様と編組織で生分解性スリットヤーンのネットを編立した限度で、本件発明1の特徴的部分の具体化に関与したにすぎず、かかる関与は創作的な関与ではない。 そして、平成25年9月以降は、被控訴人における綿ラップネットの 基本的な開発が完了し、今後、市場に送り出すための量産化や効率化も含めた生産技術の開発も進めていくために、被控訴人は、控訴人に対し、共同開発の話を持ちかけ、同年12月に本件共同開発契約が締結されるに至ったものであるが、それ以前の本件発明1の特徴的部分の具体化の過程において控訴人代表者及び甲が創作的に関与した事実はない。 以上によれば、控訴人代表者及び甲は、本件発明1の共同発明者であるとの控訴人の主張は、理由がない。 イ本件発明11の主張に対し本件発明11の特徴的部分は、本件発明1から10に係るラップ 以上によれば、控訴人代表者及び甲は、本件発明1の共同発明者であるとの控訴人の主張は、理由がない。 イ本件発明11の主張に対し本件発明11の特徴的部分は、本件発明1から10に係るラップネットの製造方法において「巻上げローラ」を回転軸方向に所定の振幅で往復運 動させて巻き取るという綾振り機構を適用した部分にある。 本件発明11は、先の出願2の出願日である平成25年7月22日までに完成していた(先の出願2の請求項6等)。 この点に関し控訴人は、同年6月21日までに本件発明11の巻上げローラを左右に動かしながら巻上げする方式の綾振り装置を使用して綿ラ ンプネットを製造していた旨主張するが、その主張を裏付ける客観的な証 拠は提出されておらず、先の出願2の出願日の前後を通じて控訴人の経編機に綾振り機構が導入されていたことを示す客観的な証拠はない。 また、被控訴人は、先の出願2の出願日までに、控訴人から、巻上げローラを左右に動かしながら巻上げする方式の綾振り装置を使用して綿ランプネットを製造していることを知らされていない。 したがって、控訴人代表者及び甲は、本件発明11の特徴的部分の着想及びその具体化に関与したとの控訴人の主張は、失当である。 2 争点2(控訴人代表者及び甲の本件各発明の特許を受ける権利の持分割合)について以下のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第2の2⑵記載の とおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決10頁4行目の「の大部分をした」を「の開発の大部分を担った」と、同頁7行目の「原告の持分」を「原告」と改める。 ⑵ 原判決10頁9行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 控訴人代表者及び甲は、本件各発明が完成した後、本件各発明の特許を 受ける権 、同頁7行目の「原告の持分」を「原告」と改める。 ⑵ 原判決10頁9行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 控訴人代表者及び甲は、本件各発明が完成した後、本件各発明の特許を 受ける権利の持分を控訴人に譲渡した。 よって、控訴人は、被控訴人に対し、特許法74条1項に基づき、本件特許権の持分2分の1の移転登録手続を求める。」第4 当裁判所の判断当裁判所も、控訴人代表者及び甲が本件各発明の共同発明者に該当するもの と認めることはできず、控訴人の特許権一部移転登録手続請求は棄却すべきものと判断する。その理由は、以下のとおりである。 1 認定事実以下のとおり訂正するほか、原判決「事実及び理由」第3の1記載のとおりであるからこれを引用する。 ⑴ 原判決10頁14行目冒頭に「⑴」を、同行目の「証拠(」の次に「後掲 の各証拠のほか、」を加え、同頁17行目の「⑴」を「ア」と改める。 ⑵ 原判決11頁8行目の「⑵」を「イ被控訴人は、平成24年10月」と改め、同頁15行目の「被告は、」の次に「同月末頃、」を、同頁18行目の「依頼した。」の次に「その際、被控訴人は、従来型のポリエチレン製のラップネット(甲85)をサンプルとして提供した。」を加え、同頁19行目の「一 般的な」を削る。 ⑶ 原判決11頁末行の「、乙48、49」を削る。 ⑷ 原判決12頁行目の「22」を「66、乙34、89」と改め、同頁5行目から11行目までを次のとおり改める。 「ウ(ア) 被控訴人は、タカキタに対し、控訴人が編布した生分解性スリッ トヤーンを用いたラップネットの試作品の評価を依頼し、タカキタは、平成25年1月8日、同試作品の評価を行った。同試作品については、作業が可能であったものの、機械でつかむ際 した生分解性スリッ トヤーンを用いたラップネットの試作品の評価を依頼し、タカキタは、平成25年1月8日、同試作品の評価を行った。同試作品については、作業が可能であったものの、機械でつかむ際に破断するとの問題があった(甲50、証人丙)。 (イ) 被控訴人及び控訴人は、平成25年1月13日、被控訴人代表者、 控訴人代表者及び甲を発明者として、発明の名称を「ラップネット」とする発明について、共同で特許出願(別件出願1)をした。 a 別件出願1の特許請求の範囲の請求項1、4及び5の記載は、次のとおりである(甲19の2)。 【請求項1】 合成樹脂からなるモノフィラメント糸条、マルチフィラメント糸条及び短繊維紡績糸条の群から選ばれる少なくとも1種の糸条を用いて、経編機にて編密度が0.5~20コース/2.54cm、且つ、編地の長さ方向に連なる編目と隣接する編目との間隔が10cm 以下となるように編成し、 編成後の編地の長さ方向の引張伸度が40~150%であることを特徴とするラップネット。 【請求項4】前記合成樹脂は、易分解性樹脂であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載のラップネット。 【請求項5】前記易分解性樹脂は、合成樹脂成分に生分解成分を混練してなることを特徴とする請求項4に記載のラップネット。 b 別件出願1の明細書には、次のような記載がある(甲19の2)。 【0011】 そこで、本発明は、以上のようなことに対処して、運搬・保管に有効なラップネットによるラッピングのメリットを維持し、且つ、ラッピングマシンによるラッピング作業の際には反 1】 そこで、本発明は、以上のようなことに対処して、運搬・保管に有効なラップネットによるラッピングのメリットを維持し、且つ、ラッピングマシンによるラッピング作業の際には反末の切断作業を容易に行うことができ、また、ロールベールからラップネットを除去する際には除去作業を容易に行うことができるラップネット を提供することを目的とする。また、本発明は、除去したラップネットの廃棄が容易でコストのかからないラップネットを提供することを目的とする。更に、本発明は、除去作業で誤って混入したラップネットを家畜が干草や藁と一緒に食べた場合でも、家畜に影響の少ないラップネットを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】【0012】上記課題の解決にあたり、本発明者らは、鋭意研究の結果、ラップネットの素材と編成とを検討することで上記目的を達成できることを見出し本発明の完成に至った。 【発明の効果】 【0020】上記構成によれば、本発明に係るラップネットは、合成樹脂からなるモノフィラメント糸条、マルチフィラメント糸条及び短繊維紡績糸条の群から選ばれる少なくとも1種の糸条を用いて経編機にて編成された経編ネットである。また、このラップネットは、編密 度が0.5~20コース/2.54cm、且つ、編地の長さ方向に連なる編目と隣接する編目との間隔が10cm以下となるように編成する。 【0021】このような経編ネットは、編地の長さ方向の強度を強く維持する ことができるので、ラッピングマシンで使用する際にも装置の張力にも耐えることができる。また、ラッピング後のロールベールの外周をしっかりと固定することができる。こ 長さ方向の強度を強く維持する ことができるので、ラッピングマシンで使用する際にも装置の張力にも耐えることができる。また、ラッピング後のロールベールの外周をしっかりと固定することができる。このことにより、本発明に係るラップネットは、従来のラップネットと同様に、運搬・保管に有効なラップネットによるラッピングのメリットを維持すること ができる。 【0022】また、上記構成によれば、編成後の編地の長さ方向の引張伸度が40~150%である。このことにより、ラッピングマシンでロールベールにラッピングする際の張力を従来よりも小さくすること ができる。また、ラッピングマシンによるラッピング作業の際には反末の切断作業を容易に行うことができる。更に、ラップネットを切断・除去して干草や藁などを解きほぐす作業の際に、ラップネットの伸度が大きいことにより、ラップネット自身が伸縮して除去作業を容易にする。また、冬場にロールベールの表面が凍っている場 合でも、ラップネット自身が伸縮して除去作業を容易にする。この ように除去作業が容易となることにより、除去したラップネットの一部が誤って家畜用飼料の中に混入することがなくなる。 【0028】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に係るラップネットは、合成樹脂からなるモノフィラメント糸条、マルチフィラメント糸条 及び短繊維紡績糸条の群から選ばれる少なくとも1種の糸条を用いて、所定の編密度に経編機にて編成される。つまり、本発明に係るラップネットは、使用される合成樹脂と、使用される糸条の物性と、経編という編成組織との相乗効果を利用することを特徴とする。 【0056】 次に、ラップネットを構成する編成組織について説明する。 される合成樹脂と、使用される糸条の物性と、経編という編成組織との相乗効果を利用することを特徴とする。 【0056】 次に、ラップネットを構成する編成組織について説明する。本発明において、ラップネットは、上述の少なくとも1種の糸条を用いて経編機にて編成される経編ネットである。ここで、経編とは、編地の長さ方向に並列した経糸群が編地の長さ方向に連続して編目(ループ)を形成する編み方であって、一般的に編地の長さ方向の 強度が大きいことを特徴とする。 【0057】経編の編組織としては、シングルデンビー、シングルコード、シングルアトラス、チェーンステッチ(鎖編み)などの基本組織を基にした各種編組織があり、本発明においては、これらに限定するも のではないが、例えば、チェーンステッチに横糸を挿入した編地なども使用される。 【0058】また、経編機としては、ラッシェル編機、トリコット編機などがある。本発明においては、どのような編機を使用してもよいが、一 般にラッシェル編機を使用することが生産性等の点で好ましい。 【0059】また、経編機にて編成される経編ネットの編密度は、0.5~20コース/2.54cmであることが好ましく、1~10コース/2.54cmであることがより好ましく、1.5~3コース/2. 54cmであることが更に好ましい。また、編地の長さ方向に連な る編目と隣接する編目との間隔が10cm以下であることが好ましく、5cm以下であることがより好ましい。なお、編目と編目との間隔は、編成する糸条の繊度と強度との関係を調整することにより、ラップネットとしての物性を維持できるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、2.5 とがより好ましい。なお、編目と編目との間隔は、編成する糸条の繊度と強度との関係を調整することにより、ラップネットとしての物性を維持できるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、2.5cm以下から0.5mm 程度とすることも可能である。 【0060】ラップネットの編密度が0.5~20コース/2.54cm、且つ、編地の長さ方向に連なる編目と隣接する編目との間隔が10cm以下であることにより、短くカットされた干草や藁などがラップ ネットの網目から脱落することがなく、且つ、ある程度の粗さを有することから、目付が小さく経済性のよいラップネットを構成することができる。 【0067】3.ラップネットの編成 ラップネットの編成には、ラッシェル編機を使用し、経糸及び緯糸にいずれも本実施例1の500デシテックス(dtex)のスリットヤーンを使用した。図1に本実施例1のラップネットの編組織の概略図を示す。この編組織は、経糸1で構成された複数のチェーンステッチ(鎖編み)の間を横糸2で連結した構成となっている。 本実施例1で編成されたラップネットの編密度は、2コース/2. 54cmであって、編地の長さ方向に連なるチェーンステッチと隣接するチェーンステッチとの間隔が2.5cmであった。また、ラップネットの目付は、10g/m2であった。」⑸ 原判決12頁12行目冒頭に「(ウ)」を加え、同行目の「同月」を「平成25年1月」と改め、同頁18行目の「、22」を削り、同頁19行目の「⑷」 を「エ」と改める。 ⑹ 原判決13頁3行目の「⑸」を「オ」と改め、同頁13行目の「ラップネットの」から15行目の「(後記⑹)。」までを削り、同頁21行目の「発明者とし 19行目の「⑷」 を「エ」と改める。 ⑹ 原判決13頁3行目の「⑸」を「オ」と改め、同頁13行目の「ラップネットの」から15行目の「(後記⑹)。」までを削り、同頁21行目の「発明者として、」の次に「発明の名称を」を、同頁22行目の「使用方法」」の次に「とする発明」を加える。 ⑺ 原判決14頁1行目の「⑹」を「カ(ア)」と改め、同頁19行目から15頁7行目までを次のとおり改める。 「 (イ) 先の出願1の明細書には、次のような記載がある(甲8)。 【0013】そこで、本発明は、以上のようなことに対処して、運搬・保管に有 効なラップネット及びラップフィルムによるラッピングのメリットを維持し、且つ、ラップネットの除去作業が容易になり、ラップネットの残渣が飼料に混入した場合でも、家畜に影響の少ないラップネットを提供することを目的とする。更に、本発明は、これらの特徴に加え除去作業後の廃棄処分が容易なラップネットを提供することを目的と する。 【0069】ラップネットの編成には、ラッシェル編機を使用し、上述の図1 に示す編成組織のラップネットを編成した。本実施例1 で編成されたラップネットの編密度は、2コース/2.54cmであって、編地の長 さ方向に連なるチェーンステッチ(ウェール)と隣接するチェーンス テッチ(ウェール)との間隔が2.5cmであった。また、ラップネットの目付は、10g/m2であった。 【0070】このようにして得られた本実施例1 のラップネット(幅:1m、目付は、10g/m2)を用いて、実際にラッピングマシンを使用してロ ールベールのラッピングを行った。その結果、従来のラップネット(経糸、緯糸共に高密度ポ 本実施例1 のラップネット(幅:1m、目付は、10g/m2)を用いて、実際にラッピングマシンを使用してロ ールベールのラッピングを行った。その結果、従来のラップネット(経糸、緯糸共に高密度ポリエチレン使用)と同様の高い装置張力にも耐えることができた。また、ラッピングされたロールベールの表面は、十分に硬くまかれており、実用的に満足するものであった。これらのことにより、従来のラップネットと同様に、運搬・保管に有効なラッ プネットによるラッピングのメリットを維持することができる。 キ前記オの被控訴人からの編布の依頼について、控訴人は、生分解性ポリエチレンフィルムを緯糸の綿糸に合うようにスリット加工することができなかったため、平成25年4月中旬頃、ポリエチレンフィルムのスリットヤーンを自ら調達してこれを経糸に使用し、被控訴人から提供 された綿糸を緯糸に使用して、ラップネットを試作した(甲33、66)。」(8) 原判決15頁14行目の「⑻」を「ク」と、同行目の「前記⑸で」を「前記オのとおり」と改め、同頁20行目の「3種類のラップネット試作品」を「3種類の綿糸を経糸に使用したラップネットの試作品」と改め、同頁末行の「甲22」の次に「50、59」を加える。 (9) 原判決16頁1行目の「(9)」を「ケ」と改め、同頁12行目から17行目までを次のとおり改める。 「コ控訴人は、ラップネットを製造する際の綾振りの仕方について検討し、平成25年6月以降、巻上げローラの前に綾振り装置を設置する方法によって綾振りを施すことを試みるようになった(控訴人代表者)。」 (10) 原判決16頁18行目の「(11)」を「サ(ア)」と、同頁19行目の「であ る。」を「である(甲9)。」と改める。 (11) 原判決17 るようになった(控訴人代表者)。」 (10) 原判決16頁18行目の「(11)」を「サ(ア)」と、同頁19行目の「であ る。」を「である(甲9)。」と改める。 (11) 原判決17頁14行目から19頁9行目までを次のとおり改める。 「(イ) 先の出願2の明細書には、次のような記載がある(甲9)。 【0001】本発明は、農畜産業などで使用されるラップネットに関するものであ り、特に、干草や藁などの牧草、或いは、河岸整備で刈り取られた草木をロールベールとして保管・運搬する際に使用されるラップネットに関するものである。また、本発明は、これらのラップネットの製造方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】従来から、畜産業においては、夏から秋にかけて収穫した干草や藁などの牧草を乾燥させた乾牧草や、この乾牧草を乳酸発酵させたサイレージを家畜の冬用飼料として保管・活用している。干草や藁などを乾牧草やサイレージにする際には、まず、ロールベーダー装置で干草や藁など をロール状に巻込み、円柱形に成形してロールベールを形成する。次に、このロールベールの形状が崩れないように、ラップネットなどで被覆して数日間放置する。その後、適度な乾燥状態となったロールベールに対して、ラップネットの上からラップフィルムを用いて厳重に被覆して運搬・保管する。 【0003】このようにして保管した牧草を飼料として使用する際には、ラップネット及びラップフィルムを除去し、攪拌機を用いて牧草を食べやすい状態の飼料とする。この際、除去されたラップネット及びラップフィルムは、産業廃棄物として処分されている。 【0004】 このように、ラップネットは、ロールベールの崩れを防止すると共に、通気 とする。この際、除去されたラップネット及びラップフィルムは、産業廃棄物として処分されている。 【0004】 このように、ラップネットは、ロールベールの崩れを防止すると共に、通気性が高く牧草の乾燥に最適な資材である。一方、ラップフィルムは、牧草への空気や水分の浸入を防止すると共に、ロールベールの強度を向上させる最適な資材である。このようなラップネットとラップフィルムを利用してロールベールをラッピングする方法は、牧草の運搬・保管に 適切であり、北海道をはじめ全国で普及し始めている。 【0005】一方、近年では、干草や藁などを乾牧草やサイレージとして利用するのではなく、カーボンニュートラルな燃料であるバイオエタノールの発酵原料として利用する事業が始まっている。また、干草や藁などに限ら ず河岸整備などで刈り取られた草木などもバイオエタノールの発酵原料として利用しようと考えられている。このように、発酵原料として干草や藁などを利用する場合にも、これらをロールベーダー装置でロール状に巻込み、円柱形のロールベールに成形して処理工場に運搬・保管することが有効である。 【0006】下記特許文献1或いは下記特許文献2などに示されるラッピングマシンは、ラップフィルムによるロールベールのラッピングを自動で効率良く行うための装置である。一方、ラップネットによるラッピングにおいても、これらのラッピングマシンが使用される。 【発明が解決しようとする課題】【0008】ところで、上記特許文献1或いは上記特許文献2などのラッピングマシンで使用されるラップネットやラップフィルムには、ポリエチレンなどの汎用合成樹脂が使用されている。また、ラップネットには、例えば、 経済性などの点から、ポリエチレンフィルム どのラッピングマシンで使用されるラップネットやラップフィルムには、ポリエチレンなどの汎用合成樹脂が使用されている。また、ラップネットには、例えば、 経済性などの点から、ポリエチレンフィルムを細長く裁断したスリット ヤーンが使用されている。このスリットヤーンは、ラップネットの物性(特に強度)を維持するため延伸された高密度ポリエチレン(HDPE)フィルムから形成されており、そのためラップネットの伸度は非常に小さなものである。 【0009】 実際の作業において、ロールベールにラップネットやラップフィルムをラッピングする際には、ラッピングマシンで大きな張力をかけてラッピングする。従って、ラップネット及びラップフィルムによりラッピングされたロールベールの外周には、大きな張力が掛かっており硬くしっかりと固定されている。 【0010】このように、運搬・保管に有効なラップネットとラップフィルムによるラッピングであっても、その後にロールベールを飼料として利用する際には、ラップネット及びラップフィルムを切断・除去して牧草を解きほぐす作業を行う。その際に、ラップフィルムは、シート状であり扱い 易く除去作業は容易である。これに対して、ラップネットは、伸度が小さなスリットヤーンが大きな張力で何本も重なってロールベールに巻き付いており、除去作業が難しいという問題があった。 【0011】例えば、ラップフィルムを除去した後のロールベールからラップネッ トを切断除去する際には強い力が必要であり、作業者が誤って刃物により身体を傷つけるという事故が多発している。また、ラップネットの切り残しを牧草の攪拌時に発見し、これを取り除こうとした作業者が機械に挟まれるという事故も発生している。 【0012】 また、ラ 体を傷つけるという事故が多発している。また、ラップネットの切り残しを牧草の攪拌時に発見し、これを取り除こうとした作業者が機械に挟まれるという事故も発生している。 【0012】 また、ラップネットの除去作業の難しさから、除去したラップネット の一部が家畜用飼料の中に混入するという問題があった。このように、家畜用飼料の中にラップネットの一部が混入すると、家畜が飼料と一緒に合成樹脂製のラップネットを食べてしまい、家畜が病気になり、或いは、死んでしまうという問題があった。 【0013】 更に、除去したラップネット及びラップフィルムには、上述のように、ポリエチレンなどの汎用合成樹脂が使用されている。従って、これらを産業廃棄物として処分しなければならず、農畜産業者にとってその労力と処理コストが大きいという問題があった。 【0014】 一方、バイオエタノールの発酵原料として干草や藁など、或いは、河岸整備などで刈り取られた草木などをロールベールにして運搬・保管した場合でも、発酵作業に入るときには、同様にラップネットを切断・除去して干草や藁などを解きほぐす作業が必要である。上述のように、ラップネットには、ポリエチレンなどの汎用合成樹脂が使用されている。 これらの汎用合成樹脂は、バイオエタノールの発酵原料として利用することができない。 【0015】ラップネットの除去作業の難しさは、農畜産業の場合と同様であり、除去したラップネットの一部がバイオエタノールの発酵原料の中に混入 するという問題が生じる。このように、バイオエタノールの発酵原料の中にラップネットの一部が混入すると、発酵槽が詰まる、或いは、混合装置に絡まるなどのトラブルが考えられる。 【0016】そこで、本発明は、以上のようなこ 、バイオエタノールの発酵原料の中にラップネットの一部が混入すると、発酵槽が詰まる、或いは、混合装置に絡まるなどのトラブルが考えられる。 【0016】そこで、本発明は、以上のようなことに対処して、運搬・保管に有効 なラップネットによるラッピングのメリットを維持し、且つ、ラップネ ットの除去作業が容易になり、ラップネットの残渣が飼料、或いは、発酵原料に混入した場合でも、家畜への影響が少なく、或いは、発酵装置がトラブルを生じないラップネットを提供することを目的とする。更に、本発明は、これらのラップネットの製造方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】【0017】上記課題の解決にあたり、本発明者は、鋭意研究の結果、ラップネットの構造を検討しラップネットの素材としてセルロース系繊維からなる2種類の糸を組み合わせることにより、上記目的を達成できること を見出し本発明の完成に至った。 【0018】即ち、本発明に係るラップネットは、請求項1 の記載によると、編地の長さ方向に並列した経糸群が、それぞれ、当該長さ方向に連続したループにより複数の独立鎖編を形成し、 前記独立鎖編の各ループが他の独立鎖編の他のループと緯糸によって連結されてなる編地からなり、前記経糸及び前記緯糸は、いずれも、セルロース系繊維からなり、且つ、前記経糸の糸強度が前記緯糸の糸強度より大きいことを特徴とする。 【発明の効果】 【0024】上記構成によれば、本発明に係るラップネットは、セルロース系繊維からなる経糸と緯糸(2種類の異なる糸)とで編成された編地からなる。 経糸は、編地の長さ方向に伸びる複数の独立鎖編を形成する。一方、緯糸は、独立鎖編の各ループと他の独立鎖編の ットは、セルロース系繊維からなる経糸と緯糸(2種類の異なる糸)とで編成された編地からなる。 経糸は、編地の長さ方向に伸びる複数の独立鎖編を形成する。一方、緯糸は、独立鎖編の各ループと他の独立鎖編の他のループとを連結して編 地を形成する。更に、この編地において、経糸の糸強度が緯糸の糸強度 より大きいことを特徴とする。 【0025】このことにより、使用後のラップネットを除去する際に緯糸が優先的に切断され、ラップネットの除去作業が容易になる。よって、除去作業の作業者が誤って刃物により身体を傷つけるという事故が生じない。 【0026】また、経糸と緯糸が共にセルロース系繊維からなることにより、家畜が飼料と一緒にセルロース系繊維からなるラップネットの一部を食べてしまっても、干草や藁などと同様の成分であり、家畜の体内で消化され家畜への影響が出ることがない。また、セルロース系繊維からなるラッ プネットの一部或いは全部が発酵原料に混入して発酵装置に入ってしまった場合でも、干草や藁などと同様に分解されてバイオエタノールの発酵原料となる。 【0029】また、経糸と緯糸が共に綿繊維からなることにより、家畜が飼料と一 緒に綿繊維からなるラップネットの一部を食べてしまっても、干草や藁などと同様の成分であり、家畜の体内で消化され家畜への影響が出ることがない。また、綿繊維からなるラップネットの一部或いは全部が発酵原料に混入して発酵装置に入ってしまった場合でも、干草や藁などと同様に分解されてバイオエタノールの発酵原料となる。 【0032】更に、上記構成によれば、本発明に係るラップネットの製造方法は、経糸送出機構、緯糸供給機構、柄出し機構、編目形成機構、及び、巻取機構を備えた経編 る。 【0032】更に、上記構成によれば、本発明に係るラップネットの製造方法は、経糸送出機構、緯糸供給機構、柄出し機構、編目形成機構、及び、巻取機構を備えた経編機を使用して、連続して編成するものである。また、この製造方法においては、編目形成機構から連続的に編出されるラップ ネットを巻取機構の巻上げローラで巻き取るにあたり、当該巻上げロー ラをその回転軸方向に所定の振幅で往復運動させるものである。 【0033】上述のように、本発明に係るラップネットは、セルロース系繊維からなる経糸と緯糸(2種類の異なる糸)とで編成された編地からなる。特に、緯糸に比べて経糸の強度を強くするために、経糸を綿の合撚糸とし た場合には、従来のポリエチレンフィルムのスリットヤーンに比べて経糸が太くなる。このように経糸と緯糸の太さが大きく異なる場合には、従来と同じ直径(装置の制約から25cm以下)のロール状に巻き取った場合、1本のロールに巻取れるラップネットの長さが短くなる。そこで、このように巻上げローラをその回転軸方向に所定の振幅で往復運動 させることにより、巻上げられる経糸の位置が常にずれて長尺のラップネットを1本のロールに巻取ることができる。 【0034】よって、本発明によれば、運搬・保管に有効なラップネットによるラッピングのメリットを維持し、且つ、ラップネットの除去作業が容易に なり、ラップネットの残渣が飼料、或いは、発酵原料に混入した場合でも、家畜への影響が少なく、或いは、発酵装置がトラブルを生じないラップネットを提供することができる。更に、本発明は、これらのラップネットの製造方法を提供することができる。 【0036】 以下、本発明を詳細に説明する。 は、発酵装置がトラブルを生じないラップネットを提供することができる。更に、本発明は、これらのラップネットの製造方法を提供することができる。 【0036】 以下、本発明を詳細に説明する。本発明に係るラップネットは、セルロース系繊維からなる経糸と緯糸(2種類の異なる糸)とで編成される。 本発明において、経糸及び緯糸に使用されるセルロース系繊維には、綿、麻などの天然セルロース系繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジックまたはテンセルなどの再生セルロース系繊維などが挙げられる。なお、麻 繊維としては、亜麻(リネン)、苧麻(ラミー)、大麻(ヘンプ)、黄麻(ジュ )などが挙げられる。 【0053】また、経編機としては、ラッシェル編機、トリコット編機などがある。 本発明においては、どのような編機を使用してもよいが、一般にラッシェル編機を使用することが生産性等の点で好ましい。 【0063】次に、ラップネットの製造方法について説明する。ラップネットの製造装置は、上述のように、通常の経編機を使用することができる。経編機としては、ラッシェル編機、トリコット編機などがあり、本発明においては、ラッシェル編機を使用することが好ましい。 これらの経編機は、経糸送出機構、緯糸供給機構、柄出し機構、編目形成機構、及び、巻取機構を備えている。 【0068】そこで、本発明に係るラップネットの製造方法においては、編目形成機構から連続的に編出されるラップネットを巻取機構の巻上げローラで 巻き取るにあたり、当該巻上げローラをその回転軸方向に所定の振幅で往復運動させる。また、巻上げローラを往復運動させるかわりに、巻上げローラの前に綾振り装置を設置する、或いは、巻取り台を移動するようにしてもよく、これらを組み合わせるようにしても 方向に所定の振幅で往復運動させる。また、巻上げローラを往復運動させるかわりに、巻上げローラの前に綾振り装置を設置する、或いは、巻取り台を移動するようにしてもよく、これらを組み合わせるようにしてもよい。 【0069】 本発明に係るラップネットは、上述のように、編地の長さ方向に連なる独立鎖編と隣接する独立鎖編との間隔が10cm以下であることが好ましく、5cm以下であることがより好ましい。このように、隣接する独立鎖編どうしの間隔が数cmあることにより、独立鎖編が存在する部分の厚さが厚いのに比べ、独立鎖編が存在しない編地部分の厚さは厚く ない。また、経糸と緯糸の太さが極端に異なる場合(一般に経糸が太い 場合)にも同様のことが生じる。 【0070】そこで、巻上げローラをその回転軸方向に所定の振幅(独立鎖編と隣接する独立鎖編との間隔と同等或いは若干狭いことが好ましい)で往復運動させることにより、独立鎖編の部分が重なることなく左右に均一に 振り分けられ、同じ直径に巻上げた場合でも、1本のロールに巻き取ることのできるラップネットの長さを長くすることができる。 【実施例】【0075】本実施例においては、ラップネットを構成するセルロース系繊維から なる経糸として、10番手の綿紡績糸を2本引き揃えて合撚した合撚糸(10/2双糸)を使用した。この綿10/2双糸の糸強度(引張強さ)は、14N/1本であった。一方、ラップネットを構成するセルロース系繊維からなる緯糸として、20番手の綿紡績糸を単糸のまま使用した。 この綿紡績糸の糸強度(引張強さ)は、3N/1本であった。なお、糸 の引張強伸度(引張強さ及び伸び率)の測定は、JIS-L1013に凖拠した。 【0076】ラップネットの編成には、ラッシェル編機を 糸の糸強度(引張強さ)は、3N/1本であった。なお、糸 の引張強伸度(引張強さ及び伸び率)の測定は、JIS-L1013に凖拠した。 【0076】ラップネットの編成には、ラッシェル編機を使用し、上述の図1に示す編成組織のラップネットを編成した。本実施例で編成されたラップネ ットの編密度は、2コース/2.54cmであって、編地の長さ方向に連なるチェーンステッチ(ウェール)と隣接するチェーンステッチ(ウェール)との間隔が2.5cmであった。また、ラップネットの目付は15g/m2であった。なお、ラップネットの両端(耳)の独立鎖編には、この独立鎖編に沿うようにして、ループを形成せずに独立鎖編を補強す る力糸を配するようにした。本実施例においては、力糸には、20番手 の綿紡績糸を単糸のまま使用した。 【0077】本実施例に係るラップネットは、図1に示す編成組織で編成されており、各チェーンステッチ(ウェール)は、経糸である綿10/2双糸が1つのループに対して、上下方向に3回走行(1.5往復)して形成さ れており、そのため、チェーンステッチ1本当たりの強度(引張強さ)は、綿10/2双糸の強度の約3倍にあたる40N/1本であった。 【0081】一方、本実施例においては、ラッシェル編機から連続的に編出されるラップネットを巻取機構の巻上げローラで巻き取るにあたり、当該巻上 げローラをその回転軸方向に2.5cmの振幅で往復運動させた。また、巻上げローラに対応したプレスローラーを採用し巻取り硬度を硬くするようにした。巻上げローラをその回転軸方向に往復運動させることにより、独立鎖編の部分が重なることなく左右に均一に振り分けられ、更にプレスローラーを採用して巻取り硬度を50g/cm2以上としたこと により 巻上げローラをその回転軸方向に往復運動させることにより、独立鎖編の部分が重なることなく左右に均一に振り分けられ、更にプレスローラーを採用して巻取り硬度を50g/cm2以上としたこと により、1本のロールに巻き取ったラップネットの長さは、1000m/本となった。このとき、直径7.5cmの紙管に巻き取ったラップネットの直径は、24cmとなり、巻取り硬度は55g/cm2であった。」⑿ 原判決19頁10行目冒頭に「(ウ)」を加え、同頁15行目の「⑿」を「シ」と改め、同行目の「綿糸」の次に「で作成されたラップネット」を加え、同 頁20行目の「タカキタは、」の次に「同月及び同年8月、」を加え、同頁22行目の「⒀」を「ス」と改め、同頁24行目から末行までを次のとおり改める。 「 被控訴人は、平成25年9月、綿糸はセルロース100%であり、牛が食しても胃の中の分解酵素で分解され安全であることをタカキタに連絡 した(甲21の別紙1)。 タカキタは、同年秋頃、広島県立総合技術研究所畜産技術センター(以下「畜産技術センター」という。)に対し、綿製のラップネットの試作品について牛の胃内での消化性に関し試験を行うことを依頼した(甲62)。」⒀ 原判決20頁7行目の「同月」を「平成25年12月」と、同頁9行目の「⒁」を「セ」と、同行目の「12月」を「12月頃」と改める。 ⒁ 原判決21頁1行目の「本件開発契約」の次に「の契約書(甲21)」を加え、同頁10行目の「⒂」を「ソ」と、同頁11行目の「ラップネット」を「綿製ラップネット」と、同頁14行目の「結果」を「「木綿ネット消化性テスト」の結果」と改める。 ⒂ 原判決21頁15行目から23頁8行目までを次のとおり改める。 「タ(ア) 被控訴人は ト」と、同頁14行目の「結果」を「「木綿ネット消化性テスト」の結果」と改める。 ⒂ 原判決21頁15行目から23頁8行目までを次のとおり改める。 「タ(ア) 被控訴人は、平成26年4月23日、先の出願1及び2を優先権主張の基礎となる出願として優先権(優先日平成25年4月26日及び同年7月22日)を主張して、本件出願をした(甲7の1及び2)。 (イ) 本件明細書には、次のような記載がある(甲7の2)。 【技術分野】 【0001】本発明は、農畜産業などで使用されるラップネットに関するものであり、特に、干草や藁などの牧草、或いは、河岸整備で刈り取られた草木をロールベールとして保管・運搬する際に使用されるラップネットに関するものである。また、本発明は、これらのラップネットの製 造方法に関するものである。 【背景技術】【0002】従来から、畜産業においては、夏から秋にかけて収穫した干草や藁などの牧草を乾燥させた乾牧草や、この乾牧草を乳酸発酵させたサイ レージを家畜の冬用飼料として保管・活用している。干草や藁などを 乾牧草やサイレージにする際には、まず、ロールベーダー装置で干草や藁などをロール状に巻込み、円柱形に成形してロールベールを形成する。次に、このロールベールの形状が崩れないように、ラップネットなどで被覆して数日間放置する。その後、適度な乾燥状態となったロールベールに対して、ラップネットの上からラップフィルムを用い て厳重に被覆して運搬・保管する。 【0003】このようにして保管した牧草を飼料として使用する際には、ラップネット及びラップフィルムを除去し、攪拌機を用いて牧草を食べやすい状態の飼料とする。この際、除去されたラ 【0003】このようにして保管した牧草を飼料として使用する際には、ラップネット及びラップフィルムを除去し、攪拌機を用いて牧草を食べやすい状態の飼料とする。この際、除去されたラップネット及びラップフ ィルムは、産業廃棄物として処分されている。 【0004】このように、ラップネットは、ロールベールの崩れを防止すると共に、通気性が高く牧草の乾燥に最適な資材である。一方、ラップフィルムは、牧草への空気や水分の浸入を防止すると共に、ロールベール の強度を向上させる最適な資材である。このようなラップネットとラップフィルムを利用してロールベールをラッピングする方法は、牧草の運搬・保管に適切であり、北海道をはじめ全国で普及し始めている。 【0005】一方、近年では、干草や藁などを乾牧草やサイレージとして利用す るのではなく、カーボンニュートラルな燃料であるバイオエタノールの発酵原料として利用する事業が始まっている。また、干草や藁などに限らず河岸整備などで刈り取られた草木などもバイオエタノールの発酵原料として利用しようと考えられている。このように、発酵原料として干草や藁などを利用する場合にも、これらをロールベーダー装 置でロール状に巻込み、円柱形のロールベールに成形して処理工場に 運搬・保管することが有効である。 【0006】下記特許文献1或いは下記特許文献2などに示されるラッピングマシンは、ラップフィルムによるロールベールのラッピングを自動で効率良く行うための装置である。一方、ラップネットによるラッピング においても、これらのラッピングマシンが使用される。 【発明が解決しようとする課題】【0008】ところで、上記特許 行うための装置である。一方、ラップネットによるラッピング においても、これらのラッピングマシンが使用される。 【発明が解決しようとする課題】【0008】ところで、上記特許文献1或いは上記特許文献2などのラッピングマシンで使用されるラップネットやラップフィルムには、ポリエチレ ンなどの汎用合成樹脂が使用されている。また、ラップネットには、例えば、経済性などの点から、ポリエチレンフィルムを細長く裁断したスリットヤーンが使用されている。このスリットヤーンは、ラップネットの物性(特に強度)を維持するため延伸された高密度ポリエチレン(HDPE)フィルムから形成されており、そのためラップネッ トの伸度は非常に小さなものである。 【0009】実際の作業において、ロールベールにラップネットやラップフィルムをラッピングする際には、ラッピングマシンで大きな張力をかけてラッピングする。従って、ラップネット及びラップフィルムによりラ ッピングされたロールベールの外周には、大きな張力が掛かっており硬くしっかりと固定されている。 【0010】このように、運搬・保管に有効なラップネットとラップフィルムによるラッピングであっても、その後にロールベールを飼料として利用 する際には、ラップネット及びラップフィルムを切断・除去して牧草 を解きほぐす作業を行う。その際に、ラップフィルムは、シート状であり扱い易く除去作業は容易である。これに対して、ラップネットは、伸度が小さなスリットヤーンが大きな張力で何本も重なってロールベールに巻き付いており、除去作業が難しいという問題があった。 【0011】 例えば、ラップフィルムを除去した後のロールベールからラップネッ が大きな張力で何本も重なってロールベールに巻き付いており、除去作業が難しいという問題があった。 【0011】 例えば、ラップフィルムを除去した後のロールベールからラップネットを切断除去する際には強い力が必要であり、作業者が誤って刃物により身体を傷つけるという事故が多発している。また、ラップネットの切り残しを牧草の攪拌時に発見し、これを取り除こうとした作業者が機械に挟まれるという事故も発生している。 【0012】また、ラップネットの除去作業の難しさから、除去したラップネットの一部が家畜用飼料の中に混入するという問題があった。このように、家畜用飼料の中にラップネットの一部が混入すると、家畜が飼料と一緒に合成樹脂製のラップネットを食べてしまい、家畜が病気にな り、或いは、死んでしまうという問題があった。 【0013】更に、除去したラップネット及びラップフィルムには、上述のように、ポリエチレンなどの汎用合成樹脂が使用されている。従って、これらを産業廃棄物として処分しなければならず、農畜産業者にとって その労力と処理コストが大きいという問題があった。 【0014】一方、バイオエタノールの発酵原料として干草や藁など、或いは、河岸整備などで刈り取られた草木などをロールベールにして運搬・保管した場合でも、発酵作業に入るときには、同様にラップネットを切 断・除去して干草や藁などを解きほぐす作業が必要である。上述のよ うに、ラップネットには、ポリエチレンなどの汎用合成樹脂が使用されている。これらの汎用合成樹脂は、バイオエタノールの発酵原料として利用することができない。 【0015】ラップネットの除去作業の難しさは、農畜産業の ンなどの汎用合成樹脂が使用されている。これらの汎用合成樹脂は、バイオエタノールの発酵原料として利用することができない。 【0015】ラップネットの除去作業の難しさは、農畜産業の場合と同様であり、 除去したラップネットの一部がバイオエタノールの発酵原料の中に混入するという問題が生じる。このように、バイオエタノールの発酵原料の中にラップネットの一部が混入すると、発酵槽が詰まる、或いは、混合装置に絡まるなどのトラブルが考えられる。 【0016】 そこで、本発明は、以上のようなことに対処して、運搬・保管に有効なラップネットによるラッピングのメリットを維持し、且つ、ラップネットの除去作業が容易になり、ラップネットの残渣が飼料、或いは、発酵原料に混入した場合でも、家畜への影響が少なく、或いは、発酵装置がトラブルを生じないラップネットを提供することを目的と する。更に、本発明は、これらのラップネットの製造方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】【0017】上記課題の解決にあたり、本発明者は、鋭意研究の結果、ラップネ ットの構造を検討し、ラップネットの素材としてセルロース系繊維からなる糸を組み合わせることにより、上記目的を達成できることを見出し本発明の完成に至った。 【0018】即ち、本発明に係るラップネットは、請求項1の記載によると、編 地の長さ方向に並列したセルロース系繊維からなる経糸群が、それぞ れ、編地の長さ方向に連続したループにより複数の独立鎖編を形成し、前記独立鎖編の各ループが他の独立鎖編の他のループとセルロース系繊維からなる緯糸によって連結されてなる編地からなることを特徴とする。 【0028】 により複数の独立鎖編を形成し、前記独立鎖編の各ループが他の独立鎖編の他のループとセルロース系繊維からなる緯糸によって連結されてなる編地からなることを特徴とする。 【0028】 また、本発明に係るラップネットの製造方法は、請求項11の記載によると、経糸送出機構、緯糸供給機構、柄出し機構、編目形成機構、及び、巻取機構を備えた経編機を使用して、請求項1~10に記載のラップネットを連続して編成するラップネットの製造方法において、前記編目形成機構から連続的に編出される前記ラップネットを前記 巻取機構の巻上げローラで巻き取るにあたり、当該巻上げローラをその回転軸方向に所定の振幅で往復運動させることを特徴とする。 【発明の効果】【0029】上記請求項1の構成によれば、本発明に係るラップネットは、セル ロース系繊維からなる経糸と緯糸とで編成された編地からなる。経糸は、編地の長さ方向に伸びる複数の独立鎖編を形成する。一方、緯糸は、独立鎖編の各ループと他の独立鎖編の他のループとを連結して編地を形成する。 【0030】 このように、経糸と緯糸が共にセルロース系繊維からなることにより、家畜が飼料と一緒にセルロース系繊維からなるラップネットの一部を食べてしまっても、干草や藁などと同様の成分であり、家畜の体内で消化され家畜への影響が出ることがない。また、セルロース系繊維からなるラップネットの一部が発酵原料に混入して発酵装置に入っ てしまった場合でも、干草や藁などと同様に分解されてバイオエタノ ールの発酵原料となる。更に、ロールベールからラップネットを除去することなく、ロールベールと共にラップネットを細断して全量を家畜の飼料とし、或いは、発酵原料と と同様に分解されてバイオエタノ ールの発酵原料となる。更に、ロールベールからラップネットを除去することなく、ロールベールと共にラップネットを細断して全量を家畜の飼料とし、或いは、発酵原料として利用することもできる。 【0031】また、上記請求項2の構成によれば、経糸の糸強度を緯糸の糸強度 より大きくしてもよい。このことにより、使用後のラップネットを除去する際に糸強度の弱い緯糸が優先的に切断され、ラップネットの除去作業が容易になる。よって、除去作業の作業者が誤って刃物により身体を傷つけるという事故が生じない。 【0032】 また、上記請求項3の構成によれば、経糸は、綿繊維からなる5番手~20番手の短繊維紡績糸条の単糸の少なくとも2本以上の糸に撚りを掛けずに引き揃えた引き揃え糸とし、緯糸は、綿繊維からなる10番手~30番手の短繊維紡績糸条の単糸としてもよい。このことにより、使用後のラップネットを除去する際に糸強度の弱い緯糸が優先 的に切断され、ラップネットの除去作業がより容易になる。 【0033】また、上記請求項4の構成によれば、経糸は、綿繊維からなる5番手~20番手の短繊維紡績糸条の単糸の少なくとも2本以上の糸を合撚した合撚糸とし、緯糸は、綿繊維からなる10番手~30番手の短 繊維紡績糸条の単糸としてもよい。このことにより、使用後のラップネットを除去する際に糸強度の弱い緯糸が優先的に切断され、ラップネットの除去作業がより容易になる。 【0034】また、上記請求項5の構成によれば、本発明に係るラップネットは、 上記請求項1の構成とは異なり、合成樹脂系繊維からなる経糸とセル ロース系繊維からなる緯糸とで編成された編地からなる また、上記請求項5の構成によれば、本発明に係るラップネットは、 上記請求項1の構成とは異なり、合成樹脂系繊維からなる経糸とセル ロース系繊維からなる緯糸とで編成された編地からなる。経糸は、編地の長さ方向に伸びる複数の独立鎖編を形成する。一方、緯糸は、独立鎖編の各ループと他の独立鎖編の他のループとを連結して編地を形成する。更に、この編地において、経糸の糸強度が緯糸の糸強度より大きいことを特徴とする。 【0035】このことにより、使用後のラップネットを除去する際に糸強度の弱い緯糸のみが切断され、ラップネットの除去作業が容易になる。よって、除去作業の作業者が誤って刃物により身体を傷つけるという事故が生じない。 【0036】また、上記請求項6の構成によれば、経糸は、合成樹脂フィルムをスリットしてなる単糸繊度が200~2500デシテックスのスリットヤーンとし、緯糸は、綿繊維からなる3番手~50番手の短繊維紡績糸条としてもよい。このことにより、使用後のラップネットを除去 する際に糸強度の弱い緯糸のみが切断され、ラップネットの除去作業がより容易になる。 【0037】また、上記請求項7の構成によれば、経糸の合成樹脂系繊維を生分解性樹脂としてもよい。緯糸はセルロース系繊維からなり、生分解性 を有している。このことにより、経糸と緯糸とが共に生分解性を有することとなり、農畜産業者が廃棄する際の労力と処理コストが低減できる。 【0038】また、上記請求項8の構成によれば、ラップネットの編成組織は、 緯糸が編地の長さ方向に対して下方から上方に伸びて独立鎖編を構成 するループのニードルループと当該ループの真上のループのシンカーループとの交 の構成によれば、ラップネットの編成組織は、 緯糸が編地の長さ方向に対して下方から上方に伸びて独立鎖編を構成 するループのニードルループと当該ループの真上のループのシンカーループとの交絡点で独立鎖編に挿入されるようにしてもよい。更に、この緯糸が上方に伸びて隣接する他の独立鎖編を構成するループのニードルループと当該ループの真上のループのシンカーループとの交絡点で当該他の独立鎖編に挿入されるようにしてもよい。 【0039】このことにより、独立鎖編とこれに隣接する他の独立鎖編とが連結して編地を編成すると共に、ラップネットの除去作業の際には糸強度の弱い緯糸のみが切断され各独立鎖編の除去作業がより容易になる。 【0040】 また、上記請求項9の構成によれば、ラップネットの編成は、経編機にて編密度が0.5~20コース/2.54cm、且つ、独立鎖編と隣接する他の独立鎖編との間隔が10cm以下となるように編成するようにしてもよい。このことにより、運搬・保管に有効なラップネットのメリットを維持すると共に、ラップネットの除去作業が容易に なる。 【0041】また、上記請求項10の構成によれば、編地の長さ方向に連なる前記独立鎖編と隣接する他の独立鎖編との間隔をAとし、各独立鎖編において、1つのループの伸長時の長さをBとしたときに、C=A/B で表される編地の開口比率Cの値が、1~5の範囲内にあるようにしてもよい。この開口比率Cの値が、1~5の範囲内にある場合には、編地の開口部分の形状が編地の長さ方向に対して、正方形或いは横長の長方形の状態となる。このことにより、編地の自由度が経方向に大きくなり、ラップネットの経方向の伸縮性が向上し、ラップネットの ラッピン 口部分の形状が編地の長さ方向に対して、正方形或いは横長の長方形の状態となる。このことにより、編地の自由度が経方向に大きくなり、ラップネットの経方向の伸縮性が向上し、ラップネットの ラッピング作業及び除去作業が容易になる。 【0042】更に、上記請求項11の構成によれば、本発明に係るラップネットの製造方法は、経糸送出機構、緯糸供給機構、柄出し機構、編目形成機構、及び、巻取機構を備えた経編機を使用して、連続して編成するものである。また、この製造方法においては、編目形成機構から連続 的に編出されるラップネットを巻取機構の巻上げローラで巻き取るにあたり、当該巻上げローラをその回転軸方向に所定の振幅で往復運動させるものである。 【0043】上述のように、本発明に係るラップネットは、経糸にセルロース系 繊維又は合成樹脂系繊維を使用し、緯糸にセルロース系繊維を使用して編成された編地からなる。特に、緯糸に比べて経糸の糸強度を強くする場合には、従来のポリエチレンフィルムのスリットヤーンに比べて経糸が太くなることがある。 【0044】 このように経糸と緯糸の太さが大きく異なる場合には、従来と同じ直径(装置の制約から25cm以下)のロール状に巻き取った場合、1本のロールに巻取れるラップネットの長さが短くなる。そこで、このように巻上げローラをその回転軸方向に所定の振幅で往復運動させることにより、巻上げられる経糸の位置が常にずれて重なることがな く、長尺のラップネットを1本のロールに巻取ることができる。 【0045】よって、本発明によれば、運搬・保管に有効なラップネットによるラッピングのメリットを維持し、且つ、ラップネットの除去作業が容易になり、 のロールに巻取ることができる。 【0045】よって、本発明によれば、運搬・保管に有効なラップネットによるラッピングのメリットを維持し、且つ、ラップネットの除去作業が容易になり、ラップネットの残渣が飼料、或いは、発酵原料に混入した 場合でも、家畜への影響が少なく、或いは、発酵装置がトラブルを生 じないラップネットを提供することができる。更に、本発明は、これらのラップネットの製造方法を提供することができる。 【0048】《第1実施形態》本第1実施形態は、セルロース系繊維からなる経糸と緯糸とで編成 されるラップネットについて説明する。本第1実施形態においては、経糸及び緯糸に使用されるセルロース系繊維には、綿、麻などの天然セルロース系繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジックまたはテンセルなどの再生セルロース系繊維などが挙げられる。なお、麻繊維としては、亜麻(リネン)、苧麻(ラミー)、大麻(ヘンプ)、黄麻(ジュー ト)などが挙げられる。 【0049】本第1実施形態においては、経糸と緯糸が共にセルロース系繊維からなることにより、ロールベールからラップネットを除去する際にラップネットの一部が残渣となって干草や藁などに混入した場合にも、 家畜への影響が少なく、或いは、発酵装置がトラブルを生じることがない。 【0050】即ち、ロールベールを家畜の飼料として利用する場合に、家畜が飼料と一緒にセルロース系繊維からなるラップネットの一部を食べてし まっても、干草や藁などと同様の成分であり、家畜の体内で消化され家畜への影響が出ることがない。また、ロールベールをバイオエタノールの発酵原料として利用する場合に、セルロース系繊維からなるラ まっても、干草や藁などと同様の成分であり、家畜の体内で消化され家畜への影響が出ることがない。また、ロールベールをバイオエタノールの発酵原料として利用する場合に、セルロース系繊維からなるラップネットの一部が発酵原料に混入して発酵装置に入ってしまった場合でも、干草や藁などと同様に分解されてバイオエタノールの発酵原 料となる。更に、ロールベールからラップネットを除去することなく、 ロールベールと共にラップネットを細断して全量を家畜の飼料とし、或いは、発酵原料として利用することもできる。 【0051】また、経糸と緯糸が共にセルロース系繊維からなることにより、ロールベールから除去したラップネットは、そのまま土中に埋めて廃棄 することができる。或いは、使用後のラップネットを焼却処分にする場合でも、従来の合成樹脂繊維に対して、カーボンニュートラルであり新たにCO2を排出することにはならない。よって、使用後のラップネットを廃棄する際の労力と処理コスト、及び、環境への影響が低減できる。 【0052】なお、本第1実施形態においては、上述のセルロース系繊維の中でも、天然セルロース系繊維を使用することが好ましく、更に、綿繊維を使用することが特に好ましい。綿繊維は、汎用繊維であり様々な太さの紡績糸を安価、且つ、容易に入手することができるからである。 【0063】一方、除去作業で切断された緯糸の多くは、独立鎖編の経糸に伴って除去される。但し、一部の緯糸は、残渣となってロールベールの乾牧草やサイレージに混入することとなる。しかし、これらの残渣は、セルロース系繊維からなり干草や藁などと同様の成分であり、家畜の 体内で消化され家畜への影響が出ることがない。また、ロ ベールの乾牧草やサイレージに混入することとなる。しかし、これらの残渣は、セルロース系繊維からなり干草や藁などと同様の成分であり、家畜の 体内で消化され家畜への影響が出ることがない。また、ロールベールをバイオエタノールの発酵原料として利用する場合に、セルロース系繊維からなるラップネットの一部が発酵原料に混入して発酵装置に入ってしまった場合でも、干草や藁などと同様に分解されてバイオエタノールの発酵原料となる。更に、ロールベールからラップネットを除 去することなく、ロールベールと共にラップネットを細断して全量を 家畜の飼料とし、或いは、発酵原料として利用することもできる。 【0066】また、経編機としては、ラッシェル編機、トリコット編機などがある。本第1実施形態においては、どのような編機を使用してもよいが、一般にラッシェル編機を使用することが生産性等の点で好ましい。 【0076】次に、ラップネットの製造方法について説明する。なお、本第1実施形態において説明するラップネットの製造方法は、本第1実施形態のみに関するものではなく本発明において共通するものである。ラップネットの製造装置は、上述のように、通常の経編機を使用すること ができる。経編機としては、ラッシェル編機、トリコット編機などがあり、本第1実施形態においては、ラッシェル編機を使用することが好ましい。これらの経編機は、経糸送出機構、緯糸供給機構、柄出し機構、編目形成機構、及び、巻取機構を備えている。 【0077】 経糸送出機構は、整経された複数本の経糸を編目形成に必要な長さだけ適切な張力で送出す機構である。緯糸供給機構は、編目形成に必要な緯糸を必要な長さだけ適切な張力で送出す機構で 経糸送出機構は、整経された複数本の経糸を編目形成に必要な長さだけ適切な張力で送出す機構である。緯糸供給機構は、編目形成に必要な緯糸を必要な長さだけ適切な張力で送出す機構である。柄出し機構は、給糸する編み針を選択する機構であり、筬の運動と編み針の運動を制御する編目形成機構と連動して編地を形成する。巻取機構は、 編目形成機構により形成された編地を一定速度で巻上げローラに巻き取る機構である。 【0078】本第1実施形態において、ラップネットの経糸に綿紡績糸からなる太番手の単糸、引き揃え糸或いは合撚糸を使用した場合には、この経 糸の太さが太く、従来のポリエチレンフィルムのスリットヤーンを使 用したラップネットの場合に比べ、編地の厚さが厚くなる。このことにより、1本のロールとして従来のスリットヤーンを使用したラップネットと同じ長さのラップネットを巻き取った場合には、1本のロールの直径が大きなものとなる。 【0079】 一方、現在多く使用されているラッピングマシンは、従来のスリットヤーンを使用したラップネットに対応して設計されている。従って、経糸に綿紡績糸からなる太番手の単糸、引き揃え糸或いは合撚糸を使用したラップネットを従来のスリットヤーンを使用したラップネットと同じ長さ巻き取ると、現在のラッピングマシンには装着することが できない。 【0080】そこで、1本のロールに巻き取るラップネットの長さを短くして従来と同じ直径とすることで対応する方法がとられる。一般に、従来のスリットヤーンを使用したラップネットは、1本のロールに1000 m巻き取られている。これに対して、例えば、10番手の綿紡績糸からなる引き揃え糸或いは双糸を使用し 法がとられる。一般に、従来のスリットヤーンを使用したラップネットは、1本のロールに1000 m巻き取られている。これに対して、例えば、10番手の綿紡績糸からなる引き揃え糸或いは双糸を使用したラップネットの場合、1本のロールに200m程度しか巻き取ることができない。このように、1本のロールに巻き取るラップネットの長さを短くすると、ラップネットの交換作業が頻繁となりラッピング作業の作業性が大きく低下する こととなる。 【0081】そこで、本第1実施形態に係るラップネットの製造方法においては、編目形成機構から連続的に編出されるラップネットを巻取機構の巻上げローラで巻き取るにあたり、当該巻上げローラをその回転軸方向に 所定の振幅で往復運動させる。また、巻上げローラを往復運動させる かわりに、巻上げローラの前に綾振り装置を設置する、或いは、巻取り台を移動するようにしてもよく、これらを組み合わせるようにしてもよい。 【0083】そこで、巻上げローラをその回転軸方向に所定の振幅(独立鎖編と 隣接する独立鎖編との間隔と同等或いは若干狭いことが好ましい)で往復運動させることにより、独立鎖編の部分が重なることなく左右に均一に振り分けられ、同じ直径に巻上げた場合でも、1本のロールに巻き取ることのできるラップネットの長さを長くすることができる。 【実施例1】 【0088】本実施例1においては、ラップネットを構成するセルロース系繊維からなる経糸として、綿紡績糸からなる10番手の単糸(10/-)を2本引き揃えて撚りを掛けないまま使用する引き揃え糸(10//2s)を使用した。この綿の引き揃え糸(12//2s)の糸強度(引 張強さ)は、14N/1本で からなる10番手の単糸(10/-)を2本引き揃えて撚りを掛けないまま使用する引き揃え糸(10//2s)を使用した。この綿の引き揃え糸(12//2s)の糸強度(引 張強さ)は、14N/1本であった。一方、ラップネットを構成するセルロース系繊維からなる緯糸として、綿紡績糸からなる20番手の単糸(20/-)を単糸のまま使用した。この綿の単糸(20/-)の糸強度(引張強さ)は、3N/1本であった。なお、糸の引張強伸度(引張強さ及び伸び率)の測定は、JIS-L1013に準拠した。 【0089】本実施例1においては、ラップネットの編成にラッシェル編機を使用し、上述の図1に示す編成組織のラップネットを編成した(図1においては簡便のため経糸を1本の線で記載しているが、実際には2本の引き揃え糸である)。本実施例1で編成されたラップネットの編密度 は、2コース/2.54cmであって、編地の長さ方向に連なるチェ ーンステッチ(ウェール)と隣接するチェーンステッチ(ウェール)との間隔が2.5cmであった。また、ラップネットの目付は、15g/m2 であった。なお、ラップネットの両端(耳)の独立鎖編には、この独立鎖編に沿うようにして、ループを形成せずに独立鎖編を補強する力糸を配するようにした。本実施例1においては、力糸には、2 0番手の綿紡績糸を単糸のまま使用した。 【0090】本実施例1に係るラップネットは、図1に示す編成組織で編成されており、各チェーンステッチ(ウェール)は、経糸である綿の引き揃え糸(10//2s)が1つのループに対して、上下方向に3回走行 (1.5往復)して形成されており、そのため、チェーンステッチ1本当たりの強度(引張強さ)は、綿の引き揃え糸(10//2s)の え糸(10//2s)が1つのループに対して、上下方向に3回走行 (1.5往復)して形成されており、そのため、チェーンステッチ1本当たりの強度(引張強さ)は、綿の引き揃え糸(10//2s)の糸強度の約3倍にあたる40N/1本であった。 【0094】一方、本実施例1においては、ラッシェル編機から連続的に編出さ れるラップネットを巻取機構の巻上げローラで巻き取るにあたり、当該巻上げローラをその回転軸方向に2.5cmの振幅で往復運動させた。また、巻上げローラに対応したプレスローラーを採用し巻取り硬度を硬くするようにした。巻上げローラをその回転軸方向に往復運動させることにより、独立鎖編の部分が重なることなく左右に均一に振 り分けられ、更にプレスローラーを採用して巻取り硬度を50g/cm2以上としたことにより、1本のロールに巻き取ったラップネットの長さは、1000m/本となった。このとき、直径7.5cmの紙管に巻き取ったラップネットの直径は、24cmとなり、巻取り硬度は55g/cm2であった。 【0095】 即ち、従来のポリエチレンフィルムのスリットヤーンを使用したラップネットの場合に比べ、同程度の長さを同程度の直径で巻き取ることができた。このことにより、従来のラッピングマシンを使用してラッピング作業を行う場合でも、ロールの交換作業が頻繁とならず、ラッピング作業の作業性が低下することがない。 【0096】このようにして得られた本実施例1のラップネット(幅:1m、目付:15g/m2)を用いて、実際にラッピングマシンを使用してロールベールのラッピングを行った。その結果、従来のラップネット(経糸、緯糸共に高密度ポリエチレン使用)と同様の高い装置張力にも耐 、目付:15g/m2)を用いて、実際にラッピングマシンを使用してロールベールのラッピングを行った。その結果、従来のラップネット(経糸、緯糸共に高密度ポリエチレン使用)と同様の高い装置張力にも耐 えることができた。また、ラッピングされたロールベールの表面は、十分に硬くまかれており、実用的に満足するものであった。これらのことにより、従来のラップネットと同様に、運搬・保管に有効なラップネットによるラッピングのメリットを維持することができる。 【0099】 ここで、本実施例1で作製した綿繊維からなるラップネットが家畜の体内に入った場合に、どの程度消化されるものであるかを消化試験により確認した。消化試験には、牛の第一胃内での試料の消化を確認する「ナイロンバッグ法」を採用し、広島県立総合技術研究所畜産技術センターにおいて実施した。 【0100】まず、綿繊維からなる本実施例1のラップネットをナイロンバッグに入れ、このナイロンバッグを牛の第一胃に投入した。投入後、1日(24時間)、2日(48時間)、3日(72時間)、4日(96時間)、5日(120時間)、6日(144時間)経過時に1バッグずつ取出し、 流水中で濁りがなくなるまで洗浄し、直ちに微生物の活性を停止させ るため-20℃ で凍結保存した。その後、凍結保存したナイロンバッグを解凍し家庭用洗濯機で水を5分ごとに入れ替えながら、計20分間洗浄した。これらの試料を60℃ 、48時間通風乾燥し、ナイロンバッグの内容物重量を計量し、乾物消失率(減量率%)を算出した。 なお、比較例1として飼料用稲(クサノホシ)の茎葉、比較例2とし て飼料用稲(たちすずか)の茎葉の消化試験を同時に行った。 【0101】ナイロンバッ 率(減量率%)を算出した。 なお、比較例1として飼料用稲(クサノホシ)の茎葉、比較例2とし て飼料用稲(たちすずか)の茎葉の消化試験を同時に行った。 【0101】ナイロンバッグ法による消化試験で得られた試験前(滞留時間0日)及び試験後(滞留時間1日~6日)の各試料の状態を図2の写真で示す。また、本実施例1のラップネット及び比較例1及び比較例2の消 化試験における第一胃内滞留時間と乾物消失率(減量率%)との関係を表1及び図3のグラフに示す。 【0104】このことにより、綿繊維からなる本実施例1のラップネットは、牛の第一胃内で飼料用稲の茎葉と同様或いはそれ以上に消化されやすい ことが分かる。よって、本第1実施形態に係るラップネットは、ロールベールから除去することなく、ラップネットをロールベールと共に細断して全量を家畜の飼料とし、或いは、発酵原料として利用することができる。」⒃ 原判決23頁9行目冒頭に「(ウ)」を加え、同頁13行目から14行目ま でを削り、同頁15行目冒頭に「チ」を加え、同頁24行目の「⒅」を「ツ」と改める⒄ 原判決24頁4行目の「同年秋から冬頃に」を「平成29年初め頃、」と、同頁5行目の「被告は、」を「その後、被控訴人は、」と改め、同頁7行目の「乙8」の次に「、22」を、同頁8行目の冒頭に「テ(ア)」を加え、同頁 9行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「(イ) 控訴人の代理人弁護士は、平成30年2月10日到達の内容証明郵便で、被控訴人に対し、被控訴人の本件出願は、共同出願違反に当たるものであり、法的手続も検討しているが、話合いによる解決として本件特許権の持分移転を求める旨を通知した(甲25の1及び2)。 これに対し、被控訴人 被控訴人の本件出願は、共同出願違反に当たるものであり、法的手続も検討しているが、話合いによる解決として本件特許権の持分移転を求める旨を通知した(甲25の1及び2)。 これに対し、被控訴人の代理人弁護士は、同年3月19日、控訴人の 代理人弁護士に対し、本件各発明は被控訴人代表者が単独でしたものであり、控訴人は共同発明者にはなり得ず、本件特許権の持分移転には応じられない旨回答した(甲27の1及び2)。 (ウ) 控訴人は、平成30年7月11日、本件訴訟を提起した。」⒅ 原判決24頁10行目の冒頭に「(ウ)」を加え、同頁16行目から17行 目までを削り、同頁18行目の「⒆」を「⑵」と改める。 ⒆ 原判決25頁10行目の「提案し」の次に「、綾振りの技術が必要となることに言及し」を加える。 ⒇ 原判決26頁12行目の「前記⑵、⑶」を「前記⑴イ、ウ」と、同頁15行目の「同⑶、⑸」を「同ウ、オ」と、同頁19行目の「前記⑸」を「同オ」 と、27頁5行目の「前記⑸」を「前記⑴オ、キ」と、同頁7行目の「同⑺」を「同キ」と、同頁9行目の「同⑸」を「同オ」と、同頁12行目の「同⑸、⑺」を「同オ、ク」、同頁末行の「前記⑻」を「前記⑴ク」と改める。 (21) 原判決28頁1行目から18行目までを次のとおり改める。 「 もっとも、経糸に綿糸を用いる場合には、強度を確保するため太い経糸 を用いることになるとラップネットを巻き取るに当たって嵩高になる部分が生じるところ、これを抑制する方法として綾振り(糸を左右に振る動作)を行うことが考えられるが、綾振り自体は繊維業界において広く用いられている基本的技術であって(前記第2の1⑵カ)、被控訴人代表者においても、従前から、綾振り機構を備えた整経機を日常的に用いており、 )を行うことが考えられるが、綾振り自体は繊維業界において広く用いられている基本的技術であって(前記第2の1⑵カ)、被控訴人代表者においても、従前から、綾振り機構を備えた整経機を日常的に用いており、綾 振りの技術自体を認識していたことが認められ(乙14ないし17、34)、 前記のとおり、被控訴人代表者は、同月9日頃には綾振りを行うことを指示した旨の供述をしている。 以上に照らせば、丙の証言のとおり、同月31日に綾振りの話がされた際に、控訴人代表者が綾振りを施して更にプレスをする旨の発言をしたという事実があったとしても、控訴人代表者が、同日までに、ラップネット の作成に綾振りの技術を採用することを独自に思い付いたとまでは認めることはできず、また、同月9日に綾振りの技術を提案した旨の控訴人代表者及び甲の前記供述等を採用することはできない。 また、甲がラップネットを作成するに当たって綾振りの技術を適用することを着想し、被控訴人に提案したことを認めるに足りる証拠はない。」 2 争点1(控訴人代表者及び甲の共同発明者性)について特許法2条1項は、「発明」とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」をいうと規定し、同法70条1項は、「特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。」と規定している。これらの規定によれば、特許発明の「発明者」といえるため には、特許請求の範囲の記載によって具体化された特許発明の技術的思想(技術的課題及びその解決手段)を着想し、又はその着想を具体化することに創作的に関与したことを要するものと解するのが相当である。 以上を前提に、控訴人代表者及び甲が本件各発明の発明者(共同発明者)に該当するかどうかについて判断する。 その着想を具体化することに創作的に関与したことを要するものと解するのが相当である。 以上を前提に、控訴人代表者及び甲が本件各発明の発明者(共同発明者)に該当するかどうかについて判断する。 ⑴ 本件発明1についてア本件発明1の技術的思想について本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載及び前記1⑴タ(イ)の本件明細書の記載事項を総合すれば、本件発明1の技術的思想は、家畜用飼料又はバイオエタノールの発酵原料となる干草や藁などの牧草をロール ベールとして保管・運搬する際に使用される従来のラップネットは、素材 としてポリエチレンフィルムを裁断したスリットヤーンが用いられ、その使用時には、伸度が小さなスリットヤーンが大きな張力で何本も重なってロールベールに巻き付いているため、その除去作業が難しいという問題があり、また、除去したラップネットの一部が家畜用飼料やバイオエタノールの発酵原料に混入し、家畜が食べて病気になる、バイオエタノールの発 酵槽が詰まる等の問題があったことから、本件発明1は、このような問題に対処して、運搬・保管に有効なラップネットによるラッピングのメリットを維持し、かつ、ロールベールからラップネットを除去する際にラップネットの残渣が飼料又は発酵原料に混入した場合でも、家畜への影響が少なく、あるいは発酵装置がトラブルを生じないラップネットを提供するこ とを課題とし、この課題を解決するための手段として、経糸と緯糸が共にセルロース系繊維からなる糸で編成された編地からなり、経糸は、編地の長さ方向に伸びる複数の独立鎖編を形成し、緯糸は、独立鎖編の各ループと他の独立鎖編の他のループとを連結して編地を形成する構成を採用することにより、家畜が飼料と一緒にラップネットの一部を食べてしまって 伸びる複数の独立鎖編を形成し、緯糸は、独立鎖編の各ループと他の独立鎖編の他のループとを連結して編地を形成する構成を採用することにより、家畜が飼料と一緒にラップネットの一部を食べてしまって も、干草や藁などと同様の成分であり、家畜の体内で消化され家畜への影響が出ることがなく、また、ラップネットの一部が発酵原料に混入して発酵装置に入ってしまった場合でも、干草や藁などと同様に分解されてバイオエタノールの発酵原料となり、更に、ロールベールからラップネットを除去することなく、ロールベールと共にラップネットを細断して全量を家 畜の飼料とし、あるいは、発酵原料として利用することもできるという効果を奏することにあるものと認められる(本件明細書の【0008】ないし【0010】、【0012】、【0014】ないし【0018】、【0029】、【0030】、【0049】、【0050】)。 イ本件発明1の完成時期について (ア) 本件出願の優先権主張の基礎となる先の出願2の請求項1に係る 発明の技術的思想は、ラップネットの残渣が飼料や発酵原料に混入した場合でも、家畜への影響が少なく、発酵装置にトラブルを生じないラップネットを提供することを課題とし、この課題を解決するための手段として、編地の長さ方向に並列した経糸群が、それぞれ、当該長さ方向に連続したループにより複数の独立鎖編を形成し、前記独立鎖編の各ルー プが他の独立鎖編の他のループと緯糸によって連結されてなる編地からなり、前記経糸及び前記緯糸は、いずれも、セルロース系繊維からなり、かつ、前記経糸の糸強度が前記緯糸の糸強度より大きいという構成を採用することにより、家畜が飼料と一緒にラップネットの一部を食べてしまっても、干草や藁などと同様の成分であり、家畜の体内で消化さ り、かつ、前記経糸の糸強度が前記緯糸の糸強度より大きいという構成を採用することにより、家畜が飼料と一緒にラップネットの一部を食べてしまっても、干草や藁などと同様の成分であり、家畜の体内で消化さ れ家畜への影響が出ることがなく、また、ラップネットの一部あるいは全部が発酵原料に混入して発酵装置に入ってしまった場合でも、干草や藁などと同様に分解されてバイオエタノールの発酵原料となるという効果を奏することにあるものと認められる(先の出願2の明細書の【0008】ないし【0010】、【0012】、【0014】ないし【001 8】、【0024】ないし【0026】、【0029】)。 先の出願2の請求項1に係る発明の技術的思想と本件発明1の技術的思想とを対比すると、発明の技術的課題、その解決手段としてラップネットの経糸及び緯糸のいずれにもセルロース系繊維からなる糸を用いる構成を採用した点、これにより、家畜が飼料と一緒にラップネット の一部を食べてしまっても、干草や藁などと同様の成分であり、家畜の体内で消化され家畜への影響が出ることがなく、また、ラップネットの一部あるいは全部が発酵原料に混入して発酵装置に入ってしまった場合でも、干草や藁などと同様に分解されてバイオエタノールの発酵原料となるという効果を奏する点において共通する。 他方、本件発明1の技術的思想に係るロールベールからラップネット を除去することなく、ロールベールと共にラップネットを細断して全量を家畜の飼料とし、あるいは、発酵原料として利用することもできるという効果を奏する点については、先の出願2の明細書には記載がなく、先の出願2の請求項に係る発明にはみられない効果である。 しかるところ、被控訴人が、平成25年9月に、綿糸がセルロース1 00%で う効果を奏する点については、先の出願2の明細書には記載がなく、先の出願2の請求項に係る発明にはみられない効果である。 しかるところ、被控訴人が、平成25年9月に、綿糸がセルロース1 00%であり、牛が食しても胃の中の分解酵素で分解され安全であることをタカキタに連絡していること(前記1⑴ス)からすれば、被控訴人は、同月までに上記効果について着想していたものと認められる。 加えて、経糸及び緯糸に綿糸を用いたラップネットの試作品自体は、同年5月31日のタカキタにおける試作品の評価までに作成されていた こと(前記1⑴ク)からすると、上記効果を含む本件発明1の技術的思想は、遅くとも、同年9月までに完成していたものと認められる。 (イ) これに対し、控訴人は、本件発明1は、先の出願2の出願日である平成25年7月22日の時点では未完成であり、本件発明1の家畜の飼料に関する効果は、畜産技術センターが綿ラップネットについて実施し た「木綿ネット消化性テスト」(甲62)で確認され、この消化性テストのデータは、本件明細書の【0102】、表1及び図1ないし3に請求項1の作用効果を証するデータとして記載されていることからすると、本件発明1の完成時期は、上記効果が上記消化性テストにより確認された平成26年3月19日である旨主張する。 しかしながら、上記消化性テストは、家畜の飼料に関する効果の裏付けをとるために行われたものであり、被控訴人代表者は、平成25年9月までに上記効果について既に着想していたこと、上記消化性テストの結果に基づいて、本件発明1の構成自体が変更されたことはうかがわれないことに鑑みると、控訴人の上記主張は、採用することができない。 ウ本件発明1に係る控訴人代表者及び甲の共同発明者性について 本件発明1の構成自体が変更されたことはうかがわれないことに鑑みると、控訴人の上記主張は、採用することができない。 ウ本件発明1に係る控訴人代表者及び甲の共同発明者性について (ア) 前記1⑴の認定事実によれば、以下の事実が認められる。 a 被控訴人は、平成25年3月中旬頃、控訴人に対し、素材となる糸を提供して、緯糸のみに綿糸を使用したラップネットの編布を依頼した。 控訴人は、同ラップネットを試作し、同年5月9日その評価がされ たが、同日、タカキタ、控訴人、被控訴人の関係者が集まった場において、タカキタの丙からラップネットの全部を綿糸で製造した方が安全でないかとの発言があった。 その後、被控訴人は、同年3月頃からラップネットの経糸に使用することを念頭において他の業者に対して依頼して製造していた複数の 種類の綿糸を、控訴人に提供して、経糸及び緯糸に綿糸を使用するラップネットの編布を依頼した。 b 控訴人は、平成25年5月9日以降、被控訴人から提供を受けた上記の複数の種類の綿糸を経糸及び緯糸に使用して、ラップネットの試作を行った。同月31日、タカキタは、その試作品の強度が十分であ ることを確認した。 c 被控訴人は、平成25年7月22日、先の出願2をした。 先の出願2の明細書の実施例には、経糸、緯糸に用いる具体的な綿糸の種類や、それを用いて、ラッシェル編機を使用してラップネットを製造した場合の編地の長さ方向に連なるチェーンステッチ1本当た りの具体的な強度(引っ張り強さ)が記載されている(【0075】ないし【0077】)。 d 被控訴人は、平成25年9月、綿糸はセルロース100%であり、牛が食しても胃の中の分解酵素で分解され安全であることをタカキタに連絡し されている(【0075】ないし【0077】)。 d 被控訴人は、平成25年9月、綿糸はセルロース100%であり、牛が食しても胃の中の分解酵素で分解され安全であることをタカキタに連絡した。 タカキタは、同年秋頃、畜産技術センターに対し、綿製のラップネ ットの試作品について牛の胃内での消化性に関し試験を行うことを依頼した。 その後、タカキタは,平成26年3月,畜産技術センターから,ラップネットの試作品について牛の胃内で分解されたとの結果を得た。 (イ) 前記(ア)認定の平成25年3月中旬頃から同年9月までの経過に おいて、控訴人代表者及び甲が本件発明1の技術的思想を着想したことを認めるに足りる証拠はない。 次に、控訴人は、同年5月9日から同年9月までの間、被控訴人から提供を受けた複数の種類の綿糸を経糸及び緯糸に使用して、ラップネットの試作品を作成していることは、前記(ア)認定のとおりである。 しかしながら、上記試作品に用いられた綿糸は、被控訴人が選択して控訴人に提供したものであったこと、上記試作品の編組織はラップネットの編組織として一般的なものであったこと、控訴人は、従前から保有していたラッシェル編機を用いて編布をしたものであることに照らすと、上記試作品の作成に係る控訴人の関与は、本件発明1の技術的思想の具 体化に対する創作的な関与であるものと認めることはできない。 (ウ) 以上によれば、控訴人代表者及び甲が、本件発明1の技術的思想を着想し、又はその着想を具体化することに創作的に関与したものと認めることはできないから、控訴人代表者及び甲は、本件発明1の発明者であるとは認められない。 エ当審における控訴人の補充主張について控訴人 化することに創作的に関与したものと認めることはできないから、控訴人代表者及び甲は、本件発明1の発明者であるとは認められない。 エ当審における控訴人の補充主張について控訴人は、控訴人代表者及び甲の本件発明1の技術的思想の着想及び具体化への創作的関与に係る事情として、①本件明細書記載の本件発明1の課題は、別件出願1の明細書にも記載があり、これは、別件出願1の出願日である平成25年1月13日より前に、控訴人と被控訴人が共同で発見 したものであること、②被控訴人は、控訴人が検討して完成させたラップ ネットの組織に関する別件出願1の明細書及び図面の内容を、先の出願1、2及び本件出願の明細書及び図面に流用しており、その内容は、別件出願1に際し、控訴人代表者及び甲が従来のラップネットの組織を分析、検討し、繰り返し試作を行ったからこそ、なし得たものであること、③控訴人代表者及び甲は、同月24日に畜産試験場において聞いた話から、ラップ ネットに綿糸を使用することの着想を得て、同年3月中旬以降ハイブリッドのラップネットの試作を開始し、同年5月9日にタカキタで行われた控訴人代表者、甲、被控訴人代表者及び丙が参加した協議の中で、丙が全部綿糸を用いたラップネットの制作を提案したことから、控訴人、被控訴人及びタカキタの三社の合意の下、控訴人が同日から全部綿糸を用いたラッ プネットの試作を開始したこと、④控訴人代表者が経編機を改造し、編み方を工夫するなどして、経糸及び緯糸に綿糸を用いるラップネットの製造方法を具体化したこと、⑤控訴人、被控訴人及びタカキタが、同月31日に綿糸のラップネットの試作品評価を行って以降、平成26年3月まで、試作品評価、改良ネットについての打合せ等を行い、互いに情報を共有し ていたこ 、⑤控訴人、被控訴人及びタカキタが、同月31日に綿糸のラップネットの試作品評価を行って以降、平成26年3月まで、試作品評価、改良ネットについての打合せ等を行い、互いに情報を共有し ていたことなどを主張する。 しかしながら、①については、本件明細書記載の本件発明1の課題と別件出願1の明細書記載の課題に共通点があるとしても、本件発明1と別件出願1の発明とではその課題の解決手段が異なるから、上記課題に共通点があるからといって、控訴人代表者及び甲が本件発明1の技術的思想を着 想したと認めることはできない。 ②については、ラップネットの組織に関し、本件明細書の記載と別件出願1の明細書の記載に共通する点があるとしても、その組織自体は、本件発明1の技術的思想に当たるものではないことからすれば、上記組織に共通点があるからといって、控訴人代表者及び甲が本件発明1の技術的思想 の具体化に創作的に関与したものと認めることはできない。 ③については、前記ウ(イ)のとおり、控訴人が平成25年9月までに綿糸を経糸及び緯糸に使用したラップネットの試作品を作成したことは、本件発明1の技術的思想の具体化に対する創作的な関与であるとはいえない。 ④については、控訴人が挙げる経編機の改造、編み方の工夫等は、本件 発明1の技術的思想そのものではなく、本件発明1を実施する製品を製造するに当たっての工夫等であるから、控訴人が上記改造、工夫等を行ったからといって、控訴人代表者及び甲が本件発明1の技術的思想の具体化に創作的に関与したものと認めることはできない。 ⑤については、本件発明1が完成した同年9月以前の事情としては、同 年6月21日のタカキタで行われた綿糸のラップネットの試作品評価があり(甲50)、ここで評価された試作品は控訴人が きない。 ⑤については、本件発明1が完成した同年9月以前の事情としては、同 年6月21日のタカキタで行われた綿糸のラップネットの試作品評価があり(甲50)、ここで評価された試作品は控訴人が作成したものと認められるが、控訴人がこの試作品を作成したことが本件発明1の技術的思想の具体化に対する創作的な関与と認めることはできない。 したがって、①ないし⑤は、いずれも、控訴人代表者及び甲が本件発明 1の技術的思想に着想し、その具体化に創作的に関与したことを基礎づける事情に当たらない。 よって、控訴人の上記主張は、前記ウ(イ)の判断を左右するものではない。 オ小括 以上によれば、控訴人代表者及び甲は、本件発明1の発明者に該当するものと認めることはできない。 ⑵ 本件発明11についてア本件発明11の技術的思想について本件特許の特許請求の範囲の請求項11の記載及び前記1⑴タ(イ)の 本件明細書の記載事項を総合すれば、本件発明11の技術的思想は、本件 発明1ないし10に係る経糸にセルロース系繊維又は合成樹脂系繊維を使用し、緯糸にセルロース系繊維を使用して編成された編地からなるラップネットにおいては、緯糸に比べて経糸の強度を強くする場合、従来のポリエチレンフィルムのスリットヤーンに比べて経糸が太くなり、1本のロールに巻き取れるラップネットの長さが短くなるという問題があったこ とから、本件発明11は、この課題を解決するための手段として、ラップネットの製造方法において、ラップネットを巻取機構の巻上げローラで巻き取るに当たり、当該巻き上げローラをその回転軸方向に所定の振幅で往復運動させる構成を採用することにより、長尺の上記ラップネットを1本のロールに巻き取ることができるという効果を奏することにある で巻き取るに当たり、当該巻き上げローラをその回転軸方向に所定の振幅で往復運動させる構成を採用することにより、長尺の上記ラップネットを1本のロールに巻き取ることができるという効果を奏することにあるものと 認められる(本件明細書の【0042】ないし【0044】、【0083】)。 イ本件発明11の完成時期について本件発明11に係る請求項11の記載は、「経糸送出機構、緯糸供給機構、柄出し機構、編目形成機構、及び、巻取機構を備えた経編機を使用して、請求項1~10に記載のラップネットを連続して編成するラップネット の製造方法において、前記編目形成機構から連続的に編出される前記ラップネットを前記巻取機構の巻上げローラで巻き取るにあたり、当該巻上げローラをその回転軸方向に所定の振幅で往復運動させることを特徴とするラップネットの製造方法。」であるのに対し、本件出願の優先権主張の基礎となる先の出願2の請求項6の記載は、「経糸送出機構、緯糸供給機構、 柄出し機構、編目形成機構、及び、巻取機構を備えた経編機を使用して、請求項1~5に記載のラップネットを連続して編成するラップネットの製造方法において、前記編目形成機構から連続的に編出される前記ラップネットを前記巻取機構の巻上げローラで巻き取るにあたり、当該巻上げローラをその回転軸方向に所定の振幅で往復運動させることを特徴とする ラップネットの製造方法。」であり、先の出願2の請求項6の記載は、本件 特許の請求項11の記載と同内容である。 加えて、本件明細書の【0042】ないし【0044】、【0083】及び【0094】の記載は、先の出願2の明細書の【0032】ないし【0034】、【0070】及び【0081】の記載と同内容であることからすると、先の出願2の請求項6に係る発明の 44】、【0083】及び【0094】の記載は、先の出願2の明細書の【0032】ないし【0034】、【0070】及び【0081】の記載と同内容であることからすると、先の出願2の請求項6に係る発明の技術的思想は、本件発明11の 技術的思想と同一であることが認められる。 そして、先の出願2の明細書の上記記載中には、巻上げローラを回転軸方向に往復運動させる振幅の数値、1本のロールに巻き取ったラップネットの長さ、その直径の数値、発明の効果等の記載があり、かかる記載によって、本件発明11の技術的思想は、先の出願2の請求項6に係る発明の 技術的思想において、既に具体化しているものと認められる。 そうすると、本件発明11は、遅くとも、先の出願2がされた平成25年7月22日には完成していたものと認められる。 ウ本件発明11に係る控訴人代表者及び甲の共同発明者性について(ア) 前記1⑴の認定事実によれば、控訴人代表者、甲及び被控訴人代表 者は、平成25年5月31日、タカキタにおいて、控訴人が作成したラップネットの試作品について評価を受け、同日、控訴人、被控訴人及びタカキタは、以後の予定として、同年6月中旬をめどに、ラップネットの巻取りの際に綾振りをするなどの仕様で試作品を製造することを確認したこと、控訴人は、同月以降、巻上げローラの前に綾振り装置を設置 する方法によって綾振りを施すことを試みていたことが認められる。 しかるところ、ラップネットの巻取りの際に綾振りをするなどの仕様でラップネットの試作品を製造することが確認された同年5月31日までに、控訴人代表者及び甲が、ラップネットの製造に当たり、綾振りの技術を適用することを着想して、被控訴人代表者に提案等をしたことを 認めるに足りる証拠がないことは、前記1⑵エの 年5月31日までに、控訴人代表者及び甲が、ラップネットの製造に当たり、綾振りの技術を適用することを着想して、被控訴人代表者に提案等をしたことを 認めるに足りる証拠がないことは、前記1⑵エのとおりである。 また、先の出願2の出願日である同年7月22日までに、控訴人が被控訴人に対し、控訴人が行っていたとする綾振りの方法に関する情報を提供したことを認めるに足りる証拠もない。 そうすると、本件発明11の技術的思想に係るラップネットを巻取機構の巻上げローラで巻き取るに当たり、当該巻き上げローラをその回転 軸方向に所定の振幅で往復運動させる構成について、控訴人代表者及び甲が着想したものであると認めることはできない。 (イ) 次に、控訴人が、平成26年1月頃に至るまで、被控訴人に対し、控訴人のラッシェル編機の稼働状況を見せたことがないことは、前記1(1)ソのとおりである。 そして、控訴人提出の控訴人のラッシェル編機に関する証拠をみると、①甲29の1は、平成30年11月1日に撮影された「プロトタイプ」に係る写真であるが、この写真によっても、巻上げローラが綾振りされていたのかを理解することは困難であること、②甲72は、控訴人代表者が、平成25年5月に作成したと主張する「プロトタイプ」のスケッ チであるが、そもそも、このスケッチが同月に作成されたことについては客観的な裏付けがないものであり、このスケッチに記載された構造が同年当時、控訴人が使用するラッシェル編機に現実に使用されていたことを認めるに足りる的確な証拠はないこと、③甲104、114は、巻上げローラの綾振りの方法についての説明図であるが、そもそも、これ らは綾振りの方法を説明するために控訴人が令和3年に作成したものであって、甲114に添付された写真( ③甲104、114は、巻上げローラの綾振りの方法についての説明図であるが、そもそも、これ らは綾振りの方法を説明するために控訴人が令和3年に作成したものであって、甲114に添付された写真(甲75、105)も、同年に撮影された張力調整機構等の写真であって、ラッシェル編機の綾振り機構を撮影したものではないことからすると、これらの説明図や写真から、平成25年当時、控訴人が巻上げローラを綾振りする方法でラップネット の試作品を作成していたことを認めることはできない。他にこれを認め るに足りる証拠はない。 そうすると、控訴人代表者及び甲が、本件発明11の技術的思想の具体化について創作的に関与したものと認めることはできない。 (ウ) 以上によれば、控訴人代表者及び甲が、本件発明11の技術的思想を着想し、又はその着想を具体化することに創作的に関与したものと認 めることはできないから、控訴人代表者及び甲は、本件発明11の発明者であるとは認められない。 エ当審における控訴人の補充主張について控訴人は、①本件明細書記載の本件発明11の経編機を用いたラップネットの編立技術(【0026】、【0040】、【0064】、【0066】、【0 071】、【0076】、【0089】、【0094】、【0106】、【0111】、【0147】、【0149】、【0158】、【0167】)について、控訴人及び被控訴人が共同でした別件出願1の明細書(甲19の2)にも、同様の内容の記載がある(【0012】、【0020】、【0028】、【0056】、【0058】、【0059】、【0067】)ことからすれば、本件発明11の 製造方法は、別件出願1の出願時に開発されたラップネットの製造技術が応用されたものであり、控訴人代表者 【0056】、【0058】、【0059】、【0067】)ことからすれば、本件発明11の 製造方法は、別件出願1の出願時に開発されたラップネットの製造技術が応用されたものであり、控訴人代表者及び甲は、別件出願1の出願日前に本件発明11の編立技術を着想し、その後のラップネットの試作、改良を繰り返すことで、その着想を具体化し、上記編立技術の完成に深く関与したといえること、②本件発明11における綾振り技術の課題に関しても、 上記経編機を利用したラップネットの製造において素材に綿糸を使用することで新たに発見した課題であり、その解決手段である巻上げローラを左右に振る方法も経編機の編立部分と一体不可分の解決手段であること、③控訴人による綾振り装置の具体的な開発経過(巻上げローラを左右に動かしながら巻上げする方式(偏芯平カムを上下に動かして使用)を採用 し、平成25年5月31日のサンプル(約200m~250m)を試作す る、巻上げローラを左右に動かしながら巻上げする方式(偏芯ドラムカムを使用)を採用し、同年6月21日の試験用サンプル(1000m)を試作する、同年7月6日以降、生地を左右に動かしながら巻上げする方式(偏芯平カムは㋐を再利用)を採用し、サンプルを試作する)によれば、控訴人代表者及び甲は、本件発明11の特徴的部分を着想し、その具体化 に創作的に関与した旨主張する。 しかしながら、①については、控訴人が指摘する別件出願1の明細書の記載は、いずれも、本件発明11の技術的思想に係るラップネットを巻取機構の巻上げローラで巻き取るに当たり、当該巻き上げローラをその回転軸方向に所定の振幅で往復運動させることに関係するものではないから、 上記記載と共通する記載が本件明細書にあるとしても、このことから 巻上げローラで巻き取るに当たり、当該巻き上げローラをその回転軸方向に所定の振幅で往復運動させることに関係するものではないから、 上記記載と共通する記載が本件明細書にあるとしても、このことから、控訴人代表者及び甲が本件発明11の技術的思想の具体化に創作的に関与したものと認めることはできない。 また、②及び③については、前記ウ(イ)の説示に照らすと、控訴人が、本件発明11が完成した同年7月22日までに、ラップネットの試作品の 作成において、控訴人が巻上げローラの綾振りを採用していたことを認めることはできない。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 オ小括以上によれば、控訴人代表者及び甲は、本件発明11の発明者に該当す るものと認めることはできない。 3 結論以上によれば、控訴人代表者及び甲が本件各発明の発明者に該当するものとは認められないから、その余の点について判断するまでもなく、控訴人の請求は理由がない。 したがって、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由 がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官小川卓逸 裁判官小林康彦は、転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官大鷹一郎
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