主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告が原告に対し,平成13年5月16日付け通知によりした別紙物件目録1ないし20記載の各土地についての特別土地保有税の税額を1461万4500円とする賦課決定処分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,被告が原告に対し,平成12年1月1日から同年12月31日までに別紙物件目録1ないし20記載の各土地(以下,個別には「本件土地1」のようにいい,まとめて「本件各土地」という。)を取得したことを理由に,前記特別土地保有税の賦課決定処分(以下「本件処分」という。)をしたところ,原告が,本件各土地は上記期間内に取得されたものでないなどと主張して,その取消しを求めた抗告訴訟である。 1 争いのない事実等(1) 当事者等原告は,産業及び一般廃棄物の処理等を業とする株式会社であり,産業廃棄物最終処分場用地として用いられた本件各土地を取得し(取得時期については争いがある。),平成13年1月1日時点において本件各土地を保有していた(甲3の1ないし20)。 (2) 本件各土地の取得の経緯等ア原告は,昭和62年6月24日,本件土地2ないし4(以下,まとめて「第二群土地」という。)外1筆の土地について,所有者のAとの間で農地法5条の許可を停止条件とする売買契約を締結し(乙1の2),その売買代金の支払期限である同年8月3日受付けで,同日売買を原因とする条件付所有権移転仮登記をそれぞれ経由した。また,第二群土地には,同日受付けで,原告を債務者として,株式会社名古屋相互銀行(現株式会社名古屋銀行)のために根抵当権設定登記(極度額6億円)が経由された。 イ原告は,昭和62年11月24日,平成3年法律第95号による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律( 古屋相互銀行(現株式会社名古屋銀行)のために根抵当権設定登記(極度額6億円)が経由された。 イ原告は,昭和62年11月24日,平成3年法律第95号による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「旧廃棄物処理法」といい,同改正後のものを「廃棄物処理法」という。)15条1項に基づき,愛知県知多保健所長に対し,本件各土地に隣接する愛知県常滑市金山(字名以下略)の土地について産業廃棄物最終処分場(管理型)の設置の届出をなし(乙4の1),昭和63年3月15日から同処分場の運用を開始した(乙4の2)。また,原告は,平成元年8月4日,同様に愛知県常滑市金山(字名以下略)外10筆の各土地について産業廃棄物最終処分場(安定型)の設置の届出をなし(乙4の11),同処分場の運用を開始した。 なお,原告は,農業委員会に対し,第二群土地について,平成元年10月20日から平成7年11月1日までの間に4回にわたって農地の一時転用許可申請をしてその許可を得ている。 ウ原告は,平成3年1月14日,本件土地1外1筆の各土地について,所有者のBとの間で,本件土地19(以下,本件土地1と併せて「第一群土地」という。)について,所有者のCとの間で,それぞれ農地法5条の許可を停止条件とする売買契約を締結し,同日売買を原因とする条件(農地法の許可)付所有権移転仮登記を経由した。 エ D株式会社(以下「D」という。)は,平成3年12月24日から平成7年9月18日までの間に,本件土地5ないし17及び20(以下,まとめて「第三群土地」という。)の各土地について,当時の所有者ないし共有者との間で順次売買契約ないし贈与契約を締結し,本件土地5ないし12,17,20については所有権又は持分全部移転登記を,本件土地13ないし16(当時の地目はいずれも畑)については農地法の許可を停止 者との間で順次売買契約ないし贈与契約を締結し,本件土地5ないし12,17,20については所有権又は持分全部移転登記を,本件土地13ないし16(当時の地目はいずれも畑)については農地法の許可を停止条件として条件付所有権移転仮登記をそれぞれ経由した。 オ Dは,平成4年2月19日,旧廃棄物処理法15条1項に基づき,愛知県知多保健所長に対し,本件土地17外6筆の各土地について産業廃棄物最終処分場(安定型)の設置の届出をなし(乙4の5ないし8),また,同年,廃棄物処理法15条1項に基づき,愛知県常滑市金山(字名以下略)外13筆の各土地について産業廃棄物最終処分場(安定型)の設置許可申請をなし,同年11月9日,その設置許可を得て(乙4の12),上記各処分場の運用をそれぞれ開始した。 カ原告は,平成9年10月6日解除を原因として第二群土地の条件付所有権移転仮登記をそれぞれ抹消し(同月7日受付),同月8日解除を原因として第一群土地の条件付所有権移転仮登記をそれぞれ抹消した(同月14日受付)。また,Dも,同月8日解除を原因として本件土地13ないし16の条件付所有権移転仮登記をそれぞれ抹消した(同月13日受付)。 キ原告及びDは,平成9年12月4日ないし9日,廃棄物処理法15条の2第3項(現行法では,15条の2の4第3項),9条3項に基づき,愛知県知事に対し,埋立完了を理由として本件各土地の産業廃棄物最終処分場を廃止する旨の届出をした(乙4の9ないし13)。 ク第一群土地,第二群土地及び本件土地13ないし16の各土地については,平成12年2月9日,その当時の所有者名義で農地法4条の許可を得た上,田ないし畑から山林へといずれも地目変更登記がされた(登記は同月28日)。そして,原告は,第一群土地のうち,本件土地1については平成12年4月27日売買,本件 の所有者名義で農地法4条の許可を得た上,田ないし畑から山林へといずれも地目変更登記がされた(登記は同月28日)。そして,原告は,第一群土地のうち,本件土地1については平成12年4月27日売買,本件土地19については同年5月31日売買を原因として,第二群土地及び第三群土地については同年7月21日売買(乙1の3)を原因として,本件土地18については同年8月25日売買(乙1の4,売買契約書の日付けは同年7月27日)を原因として,それぞれ所有権移転登記を経由した。 なお,その後,本件各土地について,いずれも平成13年2月26日売買を原因として,同日受付けで原告から株式会社ムラカムへの所有権移転登記が経由されている。 (3) 本件処分被告は,原告に対し,平成13年5月16日付け通知により,平成12年1月1日から同年12月31日までの本件土地1ないし20の取得について,法定納期限までに特別土地保有税の申告納付がなかったとして,取得価額の合計を4億8838万4319円,納付すべき税額を1461万4500円とする本件処分をした(甲1の1)。 (4) 異議申立て及び異議決定原告は,被告に対し,平成13年6月27日受付けで,本件処分について異議申立てをした(甲1の2)ところ,被告は,同年9月20日付けで,同異議申立てを棄却するとの決定をした(甲1の3)。 2 本件の争点及び争点についての当事者の主張被告が原告にした本件処分の適法性が本件の争点である。被告は,地方税法595条2号に基づき,基準日である平成13年1月1日の前の1年以内に原告が基準面積(5000平方メートル)を超える本件各土地を取得したとして,同法593条,594条,596条2号の各規定によって算出した1461万4500円の特別土地保有税の賦課決定をしたのに対し,原 が基準面積(5000平方メートル)を超える本件各土地を取得したとして,同法593条,594条,596条2号の各規定によって算出した1461万4500円の特別土地保有税の賦課決定をしたのに対し,原告は,本件各土地は,いずれも上記期間内に取得されたものではないなどとして争っている。 当事者双方の具体的主張は以下のとおりである。 (1) 原告が第一群土地を取得したのはいつか。 (被告の主張)ア登記簿から明らかなように,原告は,第一群土地について,平成3年1月14日受付けで,同日売買を原因として,農地法の許可を条件とする条件付所有権移転仮登記を経由したのみで,これに基づく所有権移転本登記がなされたことはなく,上記仮登記は,いずれも平成9年10月8日解除を原因として,同月14日受付けで抹消されている。したがって,原告が平成3年1月14日に第一群土地を取得したと認めることはできない。 原告は,第一群土地のうち,本件土地1については,平成12年4月27日売買,本件土地19については,同年5月31日売買を原因として,それぞれ所有権移転登記を経由しているから,原告は,上記各日にそれぞれ本件土地1及び19の所有権を取得したものである。 イ原告は,売買契約締結後,非農地化したので農地法所定の転用許可を待たずして同土地の所有権が原告に移転したと主張するが,農地法の目的は,自作農を創設・安定せしめ,農業生産力の維持向上を図ることにあり,同法はその目的を達成するために,農地の権利移転や転用を県知事等の許可にかからしめているのであるから,かかる立法目的にかんがみれば,無許可転用による非農地化によって所有権移転の効力が生じるといった脱法行為を防止する必要があり,本件のように,非農地化が買主である原告の責に帰すべき事由によりなされた場合には,所有権移転の効力 ば,無許可転用による非農地化によって所有権移転の効力が生じるといった脱法行為を防止する必要があり,本件のように,非農地化が買主である原告の責に帰すべき事由によりなされた場合には,所有権移転の効力は生じないというべきである。すなわち,本件の場合,原告自身,原告に所有権移転本登記を経由するためには,農地以外の地目への転用手続が必要であることを認識していたにもかかわらず,同土地を産業廃棄物処分場として埋め立てることにより,故意に非農地化させたのであり,原告の帰責性は明らかである。 (原告の主張)原告が第一群土地を購入したのは,平成3年1月14日である。購入当時の第一群土地の地目は農地であったため,原告に対する所有権移転登記を経由するためには,農地法所定の転用手続を経た上で,開発行為の許可を得る必要があったところ,既に既設処分場が満杯状態であったため,原告は,仮登記売買の方法により第一群土地を購入し,開発行為の許可申請のみを先行させることとし,売主には平成3年1月14日の時点で売買代金全額を支払い,所有権移転仮登記の経由,引渡しを受け,直ちに開発許可を得た上で,産業廃棄物最終処分場としての運用を開始している。したがって,上記の運用を開始した時点で,第一群土地の現況は既に非農地化し,これにより農地法所定の転用許可を待たずして同土地の所有権が原告に移転したから,この時点で特別土地保有税の関係での土地の取得があったというべきである。なお,第一群土地の売主らは,上記売買代金を各人の平成3年度の所得として申告している。 第一群土地の合計面積は,1169平方メートルであり,特別土地保有税の免税点(地方税法595条)を超えていない。 (2) 原告が第二群土地を取得したのはいつか。 (被告の主張)ア原告が第二群土地を取得したのは,いずれも平成1 9平方メートルであり,特別土地保有税の免税点(地方税法595条)を超えていない。 (2) 原告が第二群土地を取得したのはいつか。 (被告の主張)ア原告が第二群土地を取得したのは,いずれも平成12年7月21日である。登記簿から明らかなように,原告は,第二群土地について,昭和62年8月3日受付けで,同日売買を原因として,農地法5条の許可を条件とする条件付所有権移転仮登記を経由したのみで,これに基づく所有権移転本登記がなされたことはなく,上記仮登記はいずれも平成9年10月6日解除を原因として同月7日受付けで抹消されているから,原告が昭和62年8月3日に第二群土地を取得したことはない。 イ非農地化により原告への所有権移転の効力が生じないことについては,第一群土地と同様であるが,第二群土地については,原告自身が農業委員会に対し,平成元年10月20日から平成7年11月1日までの間に4回にわたって農地の一時転用許可申請をしてその許可を得ているところ,農地の一時転用は,転用期間終了後農地に戻すことを前提とした行為であり,一時的に非農地化したとしても農地に復元させるべきものであるから,農地法上の許可なく原告に所有権が移転する余地はないし,原告自身もこのことを当然認識していたのであるから,原告の主張自体矛盾があり,そのような主張は,信義則に反するものとして到底許されない。 (原告の主張)ア原告が第二群土地を取得したのは,昭和62年6月24日であるから,本件処分までに10年を超過している。原告が第二群土地を取得した当時の状況は,第一群土地を取得した際の状況とほぼ同様であり,仮登記売買の方法により取得した理由も同様である。原告は,昭和62年6月24日に旧地主との間で第二群土地についての売買契約を締結して売買代金全額を支払い,所有権移転仮登記を経由す 況とほぼ同様であり,仮登記売買の方法により取得した理由も同様である。原告は,昭和62年6月24日に旧地主との間で第二群土地についての売買契約を締結して売買代金全額を支払い,所有権移転仮登記を経由するとともに,株式会社名古屋相互銀行(現株式会社名古屋銀行)のために担保権を設定し,開発許可を得た上で,昭和63年3月15日から産業廃棄物最終処分場としての運用を開始している。したがって,上記の運用を開始した時点で,第二群土地は既に非農地化し,これにより農地法所定の転用許可を待たずして同土地の所有権が原告に移転したのであり,この時点で特別土地保有税の関係での土地の取得があったというべきである。なお,第二群土地の売主は,上記売買代金を昭和62年度の所得として申告している。 イ第二群土地の所有権移転仮登記は,いずれも平成9年10月6日解除を原因として同月7日受付けで抹消され,平成12年7月21日受付けで所有権移転本登記が経由されているが,これは以下の理由によるのであって,本登記経由時点で原告が同土地を取得したことにはならない。すなわち,平成9年後半に第二群土地の埋立処分が完了して同土地が遊休資産化したため,原告はこれを資産として確保するため,原告名義に本登記を経由する必要が生じた。ところが,農業者でない原告が本登記を経由するためには,地目を農地以外にする必要があるところ,農地法所定の転用許可申請は,当時の所有名義人である売主の名義で行わなければならなかった。また,県の農地課の指導では,第三者への仮登記や担保権の設定がなされたままの状態では上記申請は受理できないとのことであった。そこで,原告は,やむを得ず,これらをいったん解除した上で,売主の協力を得て上記申請を行い,その許可を受けて地目を山林に変更した後,費用を投じて整地,植樹をした上で,所有 理できないとのことであった。そこで,原告は,やむを得ず,これらをいったん解除した上で,売主の協力を得て上記申請を行い,その許可を受けて地目を山林に変更した後,費用を投じて整地,植樹をした上で,所有権移転本登記を経由したものである。 (3) 原告が第三群土地を取得したのはいつか。 (被告の主張)原告は,平成12年7月21日売買により第三群土地を取得したものであり,これらの売買が課税対象となることは明らかである。原告は,Dから形式的に所有権を移転したにすぎない旨主張するが,形式的な所有権移転とは,いかなる所有権移転を意味するものであるのか判然としないし,本件では形式的移転と認めるべき事情もない。原告とDとは別法人であり,短絡的に同一視できないのみならず,経済的利益の帰属とそのためにいかなる法形式を採用するかの問題は別次元の事柄であるから,第三群土地の取得が原告の運営する産業廃棄物処分場用地の確保を目的としてなされたものであったとしても,そのことをもって直ちにDによる同土地の取得が形式的なものにすぎず,実質的には原告が取得したとみなし得るものではない。 (原告の主張)第三群土地は,登記簿上,平成12年7月21日売買を原因として,Dから原告へ所有権移転登記がされているが,同登記は,真正なる登記名義回復の趣旨でなされたものであり,所有権の移転は形式的移転にすぎない。 すなわち,原告は,平成3年ころ,埋立容量が限界に近づいた産業廃棄物処分場の増設用地として第三群土地の買収交渉を進めていたが,当時の廃棄物処理法により,上記増設は県知事ではなく主務大臣への申請が必要な大規模開発となるため,所要のアセスメントの手続も考慮すると,許可が得られるまでに最低2,3年を要することが予想されたことから,原告が許可申請をした場合には,廃棄物の受入れを停 大臣への申請が必要な大規模開発となるため,所要のアセスメントの手続も考慮すると,許可が得られるまでに最低2,3年を要することが予想されたことから,原告が許可申請をした場合には,廃棄物の受入れを停止せざるを得ない状況であった。そこで,原告は,新規の処分場の開設を別法人で行うならば,その法人の単独開設であって大規模開発に当たらず,通常の県知事の許可のみで早期に開設することができるとの助言を受け,第三群土地の購入及び新規処分場開設を原告の系列会社であるDの名義を借用して行うこととし,株式会社名古屋銀行の了承を得て,形式上,原告が連帯保証人となり,Dが融資を受ける形で,D名義にて第三群土地を購入し,その取得後直ちに所有名義人であるDの名義をもって開発許可を受け,廃棄物処理の操業を開始した。当時の原告及びDの実質的な支配株主及び代表者は,いずれもE(原告代表者の父)であり,Dには固有の従業員,作業員はおらず,処分場の操業は第三群土地の実質的所有者である原告が全面的に行っていた。また,融資の返済は原告がDに代わって行っており,原告は,新規処分場に係る売上金から銀行返済分及び土地経費を控除した残額を維持管理費ないし委託費として取得し,これを原告の売上げとして納税していた。ところが,平成12年に至り,前記既設処分場及び新規処分場がその目的を達したため,原告は,両処分場の土地を売却しようとしたところ,担保権者である株式会社名古屋銀行から,売却に当たり所有名義を一本化してもらいたいとの要望を受けたこと及び第三群土地は既設の処分場の法面の形状をなし,単独では無価値に近かったことから,前記のとおり,第三群土地につきDから原告へ所有権移転登記を経由した上で第三者に売却したのである。その登記原因は「売買」とされているが,これは「真正なる登記名義の回復」を登記 価値に近かったことから,前記のとおり,第三群土地につきDから原告へ所有権移転登記を経由した上で第三者に売却したのである。その登記原因は「売買」とされているが,これは「真正なる登記名義の回復」を登記原因とした場合,課税当局に要らざる疑念を抱かれることを避けるためのものであり,その実体が真正な登記名義の回復であることは明らかである。 以上のことから,平成12年当時の第三群土地の取得は,特別土地保有税の課税対象たる土地の取得(地方税法585条1項)に該当しない。地方税法587条2項,73条の7,同法施行令54条の32は,形式的な所有権移転に係る土地の取得のうち,非課税となる場合を規定するが,非課税となる場合は,それらの場合のみに限定されるわけではない。 (4) 本件各土地の取得は,非課税となるか。 (原告の主張)本件各土地は,その取得時において,地方税法586条2項2号ヘが適用される土地であり,その取得に対しては,特別土地保有税を課することができないから本件処分は違法である。 また,本件各土地については,いずれも固定資産税が課税されていないところ,地方税法586条2項28号において,固定資産税が非課税とされる土地については特別土地保有税についても非課税と規定されているのであるから,この点からも本件処分は違法である。 (被告の主張)原告が本件各土地を取得したのは,前記のとおり平成12年であり,その時点における本件各土地の性状に照らせば,地方税法586条2項2号ヘの適用はない。 また,地方税法586条2項28号は,同法348条2項及び5項の規定の適用がある土地の取得に対しては,特別土地保有税を課することができない旨規定しているが,本件各土地のうちには同法348条2項及び5項の規定の適用がある土地は存在しない。すなわち,本件土地5な 規定の適用がある土地の取得に対しては,特別土地保有税を課することができない旨規定しているが,本件各土地のうちには同法348条2項及び5項の規定の適用がある土地は存在しない。すなわち,本件土地5ないし12,17,18,20については,固定資産税が課税されていなかったものの,これは,それらの土地に地方税法348条2項及び5項の規定が適用されたからではなく,単に課税標準が免税点以下のため課税しない取扱いとなっていたか,課税漏れとなっていたにすぎず,上記各土地の特別土地保有税が非課税となるものではない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1),(2)(第一群,第二群土地の取得時期)について特別土地保有税は,土地の投機的取引を抑制して地価の安定を図るとともに,保有土地の供給の促進に資することを目的として土地の取得と保有に対し課税する市町村税であるところ,同税のうち土地の保有に対して課せられるものは財産税的性格を有し,土地の取得に対して課せられるものは流通税的性格を有するが,いずれも土地の取得者がその土地を使用,収益,処分をすることにより得られるであろう利益に着目して課せられるものではなく,土地所有権の移転自体ないし移転後当該土地を引き続き保有すること自体に着目して課せられるものである。このような同税創設の立法目的及び性格に照らせば,地方税法585条1項にいう「土地の取得」とは,その取得の目的・理由のいかんを問わず,所有権移転の形式によって土地を取得するすべての場合を含むものであり,土地の「取得」時期は,契約内容その他の事情を総合して現実に所有権の移転があったと認められるときによるというべきであり,必ずしも所有権の取得に関する登記の有無によるものではない(もっとも,登記は記載事項について事実上の推定力を有することに照らすと,それと異なる事実 移転があったと認められるときによるというべきであり,必ずしも所有権の取得に関する登記の有無によるものではない(もっとも,登記は記載事項について事実上の推定力を有することに照らすと,それと異なる事実を主張する者が反証を行う必要があるというべきである。)。 これを本件についてみるに,前記第2の1(2)の事実のとおり,第一群土地は平成3年1月14日当時,第二群土地は昭和62年6月24日当時,いずれも農地であったところ,原告は,当時の所有者との間で,第一群土地及び第二群土地につき農地法5条の許可を停止条件とする売買契約を締結し,条件付所有権移転仮登記をそれぞれ経由しているが,その後,いずれの土地についても農地法5条の許可がなされないうちに,上記仮登記はいったん抹消され,売主名義で上記許可を得た後に本登記が経由されていることが明らかである。 ところで,転用を目的とする農地の売買契約は,農地法5条による都道府県知事の許可を受けなければその効力を生じないと解されるから,第一群土地及び第二群土地の上記売買契約については,売主名義で上記許可を受けるまで効力が生じておらず,上記の各売買契約成立時において,直ちに原告が第一群土地及び第二群土地の所有権を取得したと解することはできないというべきである。 この点,原告は,第一群土地及び第二群土地については,売買契約成立後,産業廃棄物の最終処分場として埋め立てられたことによって非農地化し,愛知県知事の許可を待たずして売買契約の効力が生じたので,その時点で原告がそれら各土地の所有権を取得したと主張する。 なるほど,農地が農地法5条の許可を受けることなく非農地化された場合であっても,これに至った事情を総合的に判断し,農地法の目的ないし趣旨に反しないと認められる場合は,その非農地化の時点で,これを対象とする売買契約 が農地法5条の許可を受けることなく非農地化された場合であっても,これに至った事情を総合的に判断し,農地法の目的ないし趣旨に反しないと認められる場合は,その非農地化の時点で,これを対象とする売買契約は完全に効力が生ずると解すべきところ,前記第2の1(2)の事実によれば,第一群土地及び第二群土地は,前記売買契約成立後,しばらくして,産業廃棄物最終処分場用地に供され,その運用に伴って次第に非農地化の程度が恒久化,固定化していったことが推認できる。 しかしながら,前記第2の1(2)の事実並びに証拠(甲3の1ないし20,4の1,2,甲6)及び弁論の全趣旨を総合すれば,原告が第一群土地及び第二群土地の売買契約を締結した当時,同各土地の地目は農地(田又は畑)であり,その周辺土地も同様であったこと,第一群土地及び第二群土地が非農地化したのは,原告がこれら各土地を産業廃棄物最終処分場用地として自ら埋め立てたためであるが,そのために原告は農業委員会に対し,第二群土地について,平成元年10月20日から平成7年11月1日までの間に4回にわたって農地の一時転用許可申請をしてその許可を得ていること,原告が第一群土地及び第二群土地について所有権移転登記を経由するに当たり,いったん経由した所有権移転仮登記を抹消し,売主が農地法4条の許可を得た上で地目変更登記をしていること,以上の事実が認められ,これらに照らせば,第一群土地及び第二群土地並びにその周辺土地は非農地化が進展していた地域ではなく,原告の埋立行為によって次第に非農地化が進行したものであって,原告自身も,第一群土地及び第二群土地が依然として農地法の規制対象であることを前提として所定の各手続を履践していたものであるから,これらの手続の効力をすべて覆して,それ以前の時点で既に前記売買契約の効力が完全に生じたと 地及び第二群土地が依然として農地法の規制対象であることを前提として所定の各手続を履践していたものであるから,これらの手続の効力をすべて覆して,それ以前の時点で既に前記売買契約の効力が完全に生じたとするのは,原告自身の取った手続からうかがわれる当時の原告の合理的意思に反し,かつ農地法の趣旨,目的にも反するというべきである。 したがって,原告が産業廃棄物の最終処分場として埋立てを開始した時点において,愛知県知事の許可を待たずして当該売買契約の効力が生じたとする原告の前記主張は採用できない。 そうすると,原告が第一群土地及び第二群土地の所有権を取得したのは,前記の事実経過に照らすと,これら各土地について所有権移転本登記が経由された日(第一群土地のうち,本件土地1については平成12年4月27日,本件土地19については同年5月31日,第二群土地については同年7月21日)であると認めるのが相当である。 2 争点(3)(第三群土地の取得時期)について前記第2の1(2)の事実によれば,第三群土地は,平成12年7月21日売買を原因として同日受付けでDから原告に所有権移転登記が経由されているから,この時点で原告は同各土地を取得したものと認められる。 この点につき,原告は,第三群土地について,平成12年7月21日のDから原告への所有権移転は形式的な所有権の移転であり,同日付けの所有権移転登記は,真正なる登記名義回復の趣旨でなされたものにすぎないと主張する。 しかしながら,原告の主張する事実,すなわち第三群土地の購入代金の融資を受けるに当たって,原告が連帯保証人となったこと,原告とDの代表者が共通であったこと,Dには固有の従業員はおらず,産業廃棄物処分場の業務は委託を受けた原告が行っていたこと,上記融資の返済は原告が代わって行い,維持管理費ないし委 証人となったこと,原告とDの代表者が共通であったこと,Dには固有の従業員はおらず,産業廃棄物処分場の業務は委託を受けた原告が行っていたこと,上記融資の返済は原告が代わって行い,維持管理費ないし委託費として取得した売上金の一部を納税していたことなどは,Dが第三群土地の所有者であったことと何ら矛盾せず,かえって,産業廃棄物処分場を増設するに際して,簡易な手続を選択するため,あえて別法人であるDを売買契約の買主とし,融資を受けるに当たって借主とし,その名義をもって開発許可を受け,原告に対して業務委託をしたというのであるから,Dによる所有権の取得が実質を伴わない形式的なものであったとは到底認め難く,したがって,その後のDから原告への所有権の移転も形式的なものとは認められない。 加えて,原告が平成12年7月21日に至って第三群土地の所有名義を取得した理由は,原告が自認するとおり,埋立完了によって遊休資産化した同土地を第一群土地及び第二群土地と併せて第三者に売却する前提として,名義を原告に一本化する必要があったことによるのであり,現に原告は名義を一本化した後,本件各土地を第三者(株式会社ムラカム)に売却することにより譲渡益を得ているのである。 このような経緯に照らせば,平成12年7月21日の所有権名義の移転は,同土地の所有権を原告に帰属させることによって,その後に予定された売却を容易に進めようとする意図に出たものであって,このような所有権移転について特別土地保有税を課することは,まさに同税の土地投機抑制の目的に合致するというべきである。 したがって,原告の前記主張はいずれの点からも採用の余地がない。 3 争点(4)(本件各土地の非課税性)について原告は,本件各土地には固定資産税が課税されておらず,地方税法586条2項28号,348条2項及 原告の前記主張はいずれの点からも採用の余地がない。 3 争点(4)(本件各土地の非課税性)について原告は,本件各土地には固定資産税が課税されておらず,地方税法586条2項28号,348条2項及び5項により特別土地保有税も非課税となるから,本件処分は違法であると主張する。 しかしながら,証拠(乙3の1ないし16)によれば,本件土地1ないし4,13ないし16及び19については平成9年度ないし同12年度まで固定資産税が課税されていること,本件土地18については,課税対象となっているものの,課税標準額が5133円で免税点以下であるため課税がされていなかったことが認められる。また,その他の本件土地5ないし12,17及び20の土地について,固定資産税が課税されていなかったことは当事者間に争いがないところ,これらの各土地が地方税法348条2項又は5項の適用を受ける土地でないことは明らかであり,現実に課税されていなかったのは,被告が自認するとおり,単なる課税漏れにすぎないと認められる。 この点,原告は固定資産税が課税されていない事実自体をもって,本件各土地が特別土地保有税の非課税土地になるかの如き主張をするが,地方税法586条2項28号が,同法348条2項及び5項の規定の適用がある土地,すなわち固定資産税が非課税となっている土地の取得に対しては特別土地保有税を課することができない旨を規定したのは,特別土地保有税が固定資産税と同じく土地の保有という事実に着目して課せられるという性質を有するため,土地保有に係る一般的な税である固定資産税について非課税事由のある土地に対しては,特別土地保有税も同様に非課税とするのが相当であると考えられたからであり,課税漏れにより現実に課税されていなかったこと自体をもって当該土地が非課税対象土地となるものでないことは ある土地に対しては,特別土地保有税も同様に非課税とするのが相当であると考えられたからであり,課税漏れにより現実に課税されていなかったこと自体をもって当該土地が非課税対象土地となるものでないことは明らかである。 よって,原告の前記主張は採用できない。 なお,原告が指摘する地方税法586条2項2号ヘは,公共の危害防止のために設置される産業廃棄物最終処分場の用に供する土地については非課税である旨規定するが,前記第2の1(2)の事実のとおり,原告による本件各土地の取得時において,本件各土地は既に産業廃棄物最終処分場の用に供する土地ではなくなっていたのであるから,本件各土地の取得について同規定の適用はないことも明らかである。 第4 結論以上の次第で,本件処分は適法であって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担については,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部裁判長裁判官加藤幸雄裁判官舟橋恭子裁判官富岡貴美(物件目録省略)
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