- 1 -平成18年7月20日判決言渡平成18年(行ク)第7号執行停止申立事件決定上記当事者間の執行停止申立事件(本案・平成18年(行ウ)第18号確認処分取消等請求事件)について,当裁判所は相手方の意見を聴いた上,次のとおり決定する。 主文 申立人らの本件申立てをいずれも却下する。 申立費用は,申立人らの負担とする。 事実 及び理由第1申立ての趣旨国土交通大臣が,平成17年9月30日付けでモーターボート競走法施行規則8条1項に基づき社団法人愛知県モーターボート競走会に対してなした確認処分(名称ボートピア名古屋所在地名古屋市港区名港1丁目地内(1301番1,1301番2,1302番,1303番,1308番,1309番))は,同処分について本案判決が確定するまで,その効力を停止する。 第2事案の概要本件は,国土交通大臣が,社団法人愛知県モーターボート競走会に対し,モーターボート競走法施行規則8条1項に基づく勝舟投票券の場外発売場に係る設置確認をしたことについて,周辺住民らである申立人らが,相手方に対し,行政事件訴訟法25条2項に基づいて,同設置確認の効力の停止を求めた事案である。 前提となる事実(1) 社団法人愛知県モーターボート競走会は,平成17年9月21日,国土交通大臣に対し,モーターボート競走法施行規則8条1項の規定に基づき,名称を「ボートピア名古屋」,所在地を名古屋市港区名港1丁目地内(130- 2 -1番1,1301番2,1302番,1303番,1308番,1309番)とする場外発売場(本件ボートピア)の設置確認を申請し(愛競総第49号。疎乙11号証),同月30日,国土交通大臣は同規則8条1項の規定に基づき,告示(平成15年国土交通省告示第1350号)で定める基準に適合するものであ ボートピア)の設置確認を申請し(愛競総第49号。疎乙11号証),同月30日,国土交通大臣は同規則8条1項の規定に基づき,告示(平成15年国土交通省告示第1350号)で定める基準に適合するものであることを確認して(以下「本件設置確認)という。),これを通知した(疎乙12号証)。 (2) 現行の法規等の定めアモーターボート競走法(以下「競走法」という。)1条この法律は,モーターボートその他の船舶,船舶用機関及び船舶用品の改良及び輸出の振興並びにこれらの製造に関する事業及び海難防止に関する事業の振興に寄与し,あわせて海事思想の普及及び観光に関する事業並びに体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興に資するとともに,地方財政の改善を図るために行うモーターボート競走に関し規定するものとする。 9条の3勝舟投票法は,単勝式,複勝式,連勝単式及び連勝複式の四種とし,各勝舟投票法における勝舟の決定の方法並びに勝舟投票法の種類の組合せ及び限定その他その実施の方法については,国土交通省令で定める。 26条この法律に定めるものの外,競走の実施に関する事務で地方公共団体が処理しなければならないものは政令で,競走に出場する選手,競走に使用するボート及びモーター,審判員並びに検査員の登録規準その他登録に関する事項その他この法律の施行に関し必要な事項(政令で定めるべきものを除く。)は国土交通省令で定める。 イモーターボート競走法施行規則(昭和26年7月9日運輸省令第59号,最終改正平成15年10月1日号外国土交通省令第101号,以下「本件規則」という。)- 3 -8条1項場外発売場を設けようとする者は,当該場外発売場がその位置,構造及び設備に関し,告示で定める基準に適合するものであることについて,国土交通大臣の確認を受けなければならない。 )- 3 -8条1項場外発売場を設けようとする者は,当該場外発売場がその位置,構造及び設備に関し,告示で定める基準に適合するものであることについて,国土交通大臣の確認を受けなければならない。 ウ場外発売場の位置,構造及び設備の基準(平成15年10月15日国土交通省告示1350号。本件規則8条1項の基準を定めたもので,以下「本件告示」という。疎乙3号証)場外発売場の位置,構造及び設備の基準は,次のとおりとする。 第1場外発売場の基準 場外発売場の位置場外発売場の位置は,文教施設及び医療施設から適当な距離を有し,文教上又は衛生上著しい支障をきたすおそれがないこと。 場外発売場の構造及び設備(省略) 勝舟投票券発売所(省略) 入場者の用に供する設備等(省略) その他管理運営に必要な設備等(省略)第2前売専用場外発売場の基準 前売専用場外発売場の位置前売専用場外発売場の位置については,第1の1を準用する。 (以下省略)エ場外発売場の位置,構造及び設備の基準の運用について(平成15年11月1日国海総第274号。国土交通省海事局長から各地方運輸局長等あて,以下「基準の運用」という。疎乙13号証)- 4 - 場外発売場の基準の運用については,次のとおりとする。 (1) 場外発売場の位置(告示第1の1)①文教施設とは,学問又は教育を行う施設であり,学校教育法第1条の学校(小学校,中学校,高等学校,中等教育学校,大学,高等専門学校,盲学校,聾学校,養護学校及び幼稚園)及び同法82条の2の専修学校をいう。 ②医療施設とは,医療法1条の5第1項の病院及び同条2項の診療所(入院施設を有するものに限る。)をいう。 ③「適当な距離」とは,場外発売場が設置されることにより,文教施設及び医療施設に著しい影響が 医療施設とは,医療法1条の5第1項の病院及び同条2項の診療所(入院施設を有するものに限る。)をいう。 ③「適当な距離」とは,場外発売場が設置されることにより,文教施設及び医療施設に著しい影響が及ぶと思われる範囲の距離を超える距離(著しい影響が及ばない範囲の距離)をいい,場外発売場の規模,位置,道路状況,周囲の地理的要因等により大きく異なる。 ④「著しい支障をきたすおそれがあるか否か」の判断は,当該設置場所が主たる通学路(学校長が児童又は生徒の登下校の交通安全の確保のために指定した小学校又は中学校の通学路をいう。)に面しているか否か,また,救急病院又は救急診療所(都道府県知事が救急隊により搬送する医療機関として認定したものをいう。)への救急車の主たる経路に面しているか否かの状況等を考慮して行うものとする。 (2) (以下省略) 争点 (1)本案訴訟が適法なものか否か(本件設置確認の行政処分性)(申立人らの主張)ア本件ボートピアで発売される勝舟投票券は,刑法187条にいう富くじに該当し,これを発売する行為は法律が特に許容する場合を除いて違法な行為となる。ところが,競走法には競走場外で発売されることを想定した- 5 -規定はなく,競走場内でのみ発売されることを前提として刑事罰の対象外とする趣旨の下で制定されたと解すべきである。 他の公営競技における場外発売場の設置について,制定当初は登録制又は報告制であったのに次第に許可制になってきたという経緯があることからすると,場外発売場の弊害が徐々に認識されてきたと受け止められるのであり,そのような経緯を踏まえつつ,競走法自体に場外発売場に関する規定が現在も何ら存在しないことからすれば,モーターボート競走においては場外発売場を認めない趣旨と解すべきである。もしもモーターボート競走 そのような経緯を踏まえつつ,競走法自体に場外発売場に関する規定が現在も何ら存在しないことからすれば,モーターボート競走においては場外発売場を認めない趣旨と解すべきである。もしもモーターボート競走において場外発売場を設置できるとするのであれば,他の競技の立法例と同様,国会の審議を経ない施行規則の改正ではなく,国会の審議を経て競走法を改正してその旨の規定を盛り込むのが当然であり,立法上の改正措置がなされていない以上,競走法自体は未だ場外発売場を原則的に禁止していると解さざるを得ない。 相手方は,競走法26条が場外発売場についての規制を省令に委任していると主張するが,上記のとおり,競走法は場外発売場を認めない趣旨であるから,同条の委任事項には場外発売場についての規制は含まれないと解すべきである。 したがって,本件規則8条1項は,競走法に違反しているから,同条項に基づいてなされた本件設置確認もまた競走法違反であり,違法である。 イ仮にそう解さない場合,場外発売場の確認処分は,告示ないし通達によって行われることになる。これらは行政庁が定める行政立法(法規命令・行政規則)であり,国会で定められる法律そのものではないが,法律では詳細な内容を規定しきれない場合にこれらに詳細な定めを委任するものであって,行政が関わる各分野においてごくありふれた法形式として一般的に認められている。そして行政立法の中にも,法律と同様,国民の権利義務を定める内容のものがあり,裁判の基準となり得るものも存在する。し- 6 -たがって,単に行政立法であることのみを理由として,それに違反しても違法にならないと結論づけるべきではない。 確認処分について,告示や通達の中で文教施設,医療施設からの距離や周辺住民との調整,地元との調整を盛り込んだ趣旨は,競走法や施行規則の制定時に比 違反しても違法にならないと結論づけるべきではない。 確認処分について,告示や通達の中で文教施設,医療施設からの距離や周辺住民との調整,地元との調整を盛り込んだ趣旨は,競走法や施行規則の制定時に比べ,国民の環境保護に対する関心が高まったことに鑑み,周辺地域の住民らの意見を無視して場外発売場を設置することのないようにしたと考えるべきである。そうであるなら,当該告示や通達は,競走法及び本件規則に基づいて場外発売場の設置確認処分を行う際に国土交通大臣が従うべき基準を規定したものであり,この基準に違反して確認処分がなされた場合,それはとりもなおさず競走法に違反する違法な処分であると考えるべきである。 このことは,設置確認を受けずに場外発売場を設置し,当該場外発売場が告示基準に適合しない場合には,施行者には競走場の改造命令や移転命令(競走法22条の11)や競走開催停止命令(同法23条1項)などを含む強力な手段が予定されており,もし施行者がこのような命令を受ければ,場外発売場の設置者にも当然具体的な不利益が及ぶことからも明らかである。 (相手方の主張)ア競走法自体には,①その目的規定(1条)等その他の関係規程を精査しても,競走場外における勝舟投票券の発売を禁止していると解し得る規定は全く存在しないこと,②競走法の制定当時の他の公営競技に関する法律(自転車競技法,競馬法,小型自動車競走法)は,いずれも,法律上,場外投票券発売場設置を認める趣旨の明文の規定がなくとも,競馬場ないし競走場外における投票券の発売を禁じていないことを前提としていると解されること,③自転車競技法においては昭和27年の法改正で,小型自動車競走法においては平成14年の法改正でそれぞれ場外発売場が許可制と- 7 -なっていることからすれば,競走法においても場外発売場の設置を と,③自転車競技法においては昭和27年の法改正で,小型自動車競走法においては平成14年の法改正でそれぞれ場外発売場が許可制と- 7 -なっていることからすれば,競走法においても場外発売場の設置を禁じておらず,その規制を競走法26条により省令に委任しているものと解される。 イ本件規則8条1項に基づく設置確認は,設置者の確認申請に対し,設置者が設けようとする場外発売場の位置,構造,設備につき,これが告示基準に適合するものであるという事実を国土交通大臣が確認するという純然たる事実行為にすぎず,取消訴訟の対象となる行政処分ではない。 すなわち,競走法及び本件規則は,設置確認については,これを受けた場合には,原則的に禁止されている場外発売場の設置を例外的に解除したり,これを受けない場合には,直接具体的な不利益を生じさせるような仕組みを採用しているわけではなく,その他,競走法及び本件規則が,設置確認が設置者などの権利義務その他の法的地位に直接具体的な影響を及ぼすものとしていることをうかがわせる規定もない。なお,設置確認を受けずに場外発売場を設置し,当該場外発売場が告示基準に適合しない場合には,施行者は競走法22条の11,同法23条1項の命令を受ける可能性があるが,これらはいずれも施行者に対して課される不利益であって,場外発売場の設置者を対象としたものではない上,上記各条項は,いずれも「することができる。」と規定しており,設置確認がされなかった場合にも,実際に生じた弊害の大きさ等,諸般の事情を考慮してこれらの命令を発するか否か,発するとしてもどのような命令を発するかを決するのであって,競走法の規定上,本件規則8条1項の設置確認の規定に違反したことが,直ちに上記各命令に直結するという仕組みにはなっていない。 そうすると,本件規則に基づく本件設置 な命令を発するかを決するのであって,競走法の規定上,本件規則8条1項の設置確認の規定に違反したことが,直ちに上記各命令に直結するという仕組みにはなっていない。 そうすると,本件規則に基づく本件設置確認は,設置者等の権利義務その他の法的地位に直接具体的な影響を及ぼすものではないから,行政処分に当たるものではない。 (2)申立人らは本件設置確認の取消しを求める原告適格を有するか否か- 8 -(申立人らの主張)ア競走法及び施行規則においては,確認処分に当たって考慮されるべき利益として周辺地域の環境保護は盛り込まれていないが,施行規則8条1項による委任を受けて規定された本件告示は,場外発売場の位置について「文教施設及び医療施設から適当な距離を有し,文教上又は衛生上著しい支障をきたすおそれがないこと」と規定し,場外発売場に係る各通達(平成12年6月30日海総第323号,平成10年3月31日海総第148号)の中で文教施設,医療施設からの距離や周辺住民との調整,地元との調整が繰り返し述べられていることからすれば,確認処分が違法になされた場合に周辺地域の環境,とりわけギャンブル施設設置により平穏な住環境が害されることを予想しており,そこで考慮されるべき利益として環境保護が念頭に置かれていることは明白である。 そうであれば,本件ボートピアの周辺地域に居住,通勤,通学する者はいうまでもなく,さらに医療施設に通院する者や地元商店街で商店を営む者やその購買者等も原告適格を有すると考えるべきである。 イそこで,本件申立人らについて検討する。 (ア) 申立人らは,いずれも本件ボートピアの周辺地域に居住する者であり,名古屋市港区名港1丁目内に居住する者,あるいは,名港1丁目以外に居住しているが通勤,通院,買物などで本件ボートピアの周辺地域を利用する者であ ,いずれも本件ボートピアの周辺地域に居住する者であり,名古屋市港区名港1丁目内に居住する者,あるいは,名港1丁目以外に居住しているが通勤,通院,買物などで本件ボートピアの周辺地域を利用する者である。 (イ) 申立人Aは「B」というパチンコ店を経営しており,その2階が住居である。ギャンブルという点では共通する職種でありながら,それでもなお本件ボートピアの悪影響を懸念している。申立人Cは「D」という美容院を経営しており,その2階が住居である。同美容院は商店街に面している。申立人Eは「Fほねつぎ」という接骨院を経営しており,その2階が住居である。申立人Gは「H」という電気店を経営しており,- 9 -その3階が住居である。 ウしたがって,本件申立人らはいずれも原告適格を有する。 (相手方の主張)ア本件設置確認の根拠法規である競走法及び本件規則は,モーターボート競走事業の様々な局面における公正・円滑な運用,安全・秩序を確保し,もって収益を公共的な目的に用いることを規定した法律であり,場外発売場の周辺住民ら個々人の個別的利益の保護を直接目的とした規定は置かれていない。また,競走法は,場外発売場の設置確認の具体的な基準は定めておらず,その基準を下位法令にゆだねている。その下位法令における設置基準(本件告示)をみても,場外発売場周辺に対する配慮を求めてはいるものの,これは,文教施設や医療施設に悪影響が及ぶことをできる限り回避し,それが社会的にも受容されて,モーターボート競走事業の円滑な運営に資することを目的とするものと解し得るにとどまり,周辺住民等の個別的利益までをも保護する趣旨を見いだすことはできない。さらに,上記文教施設や医療施設に対する悪影響によって,申立人らがいかなる文教上又は衛生上の著しい支障を被るのかについては何ら具体的な主張が 個別的利益までをも保護する趣旨を見いだすことはできない。さらに,上記文教施設や医療施設に対する悪影響によって,申立人らがいかなる文教上又は衛生上の著しい支障を被るのかについては何ら具体的な主張がない上,そもそも上記のような文教上又は衛生上の利益は,本来公益的な利益であって,最高裁判所平成17年12月7日大法廷判決が「関係地域」内に居住している者について認めた「騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を受けないという具体的利益」のような個別具体的な利益とは異なるものである。したがって,行政事件訴訟法9条2項に基づき検討をしても,申立人らには,本件設置確認の取消しを求めるにつき「法律上の利益」があるとは認められない。 イさらに,本件施設は,来場者用の駐車場を設置しておらず,公共交通機関による来場を周知徹底するとともに,違法駐車を防止するためガードマンを配置することとしており,交通渋滞や違法駐車は想定し難い上,周辺- 10 -地域においてもガードマンを適正に配置している。したがって,申立人らが何らかの損害を被ることがあるとしても,その損害の程度は相当に限定的なものにとどまるのであり,本件設置確認により,申立人らが主張するような重大な損害が生じるとは認められない。 ウ以上のとおり,行政事件訴訟法9条2項に基づき,競走法及びその下位法令の趣旨及び目的,本件設置確認において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮したとしても,競走法及びその下位法令が,申立人らが主張する生活及び教育環境上の利益を,周辺住民等の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むとは解されず,申立人らには,本件設置確認の取消しを求める法律上の利益はなく,原告適格は認められないというべきである。 (3) 執行停止の要件である重大な損害を避けるため緊急の必要 のとする趣旨を含むとは解されず,申立人らには,本件設置確認の取消しを求める法律上の利益はなく,原告適格は認められないというべきである。 (3) 執行停止の要件である重大な損害を避けるため緊急の必要があるときに当たるか否か(申立人らの主張)本案判決確定までの間に,本件設置確認に基づいて本件ボートピアの建設工事が進められることが予想され,このまま推移するときは,申立人らは,交通関係の被害,風紀・衛生面の被害,教育環境の破壊,生活環境の破壊,商店街の変貌,犯罪の発生・暴力団の進出,名古屋港のイメージダウンといった重大な損害を受けるに至るため,その損害を避けるために緊急にその効力を停止することが必要である。 (相手方の主張)本件設置確認により,申立人らに生活環境上の損害が生ずるとする主張自体,根拠のないものである上,仮に申立人らが何らかの損害を被ることがあるとしても,その損害の程度は相当に限定的なものにとどまるのであって,事後的な対応策の強化によって回復することは十分に可能と考えること,そもそもその損害の性質も公共的損害というべきものであることを踏まえると,- 11 -社会通念上申立人らにおいて受忍することができないような性質,程度の損害が生ずるものとはいい難い。 一方,本件設置確認は,モーターボート競走事業を実施するための施設の設置に関する確認であるから,同事業を推進する上で重要な意味を持つものであることはいうまでもなく,周辺住民に一定の影響が生ずることの一事をもって直ちに同確認の効力を停止することになれば,競走法が目的とする公益目的の実現が著しく害されるおそれがある。 したがって,本件設置確認により申立人らが被るおそれのある損害は,本件設置確認により維持される法の上記目的達成の必要性を一次的に犠牲にしてもなお,救済しなければならな が著しく害されるおそれがある。 したがって,本件設置確認により申立人らが被るおそれのある損害は,本件設置確認により維持される法の上記目的達成の必要性を一次的に犠牲にしてもなお,救済しなければならないほどの重大なものとはいえないから,本件設置確認の執行により申立人らに「重大な損害」(行政事件訴訟法25条2項)が生じるとはいえない。 第3当裁判所の判断 本件設置確認の行政処分性について(1) 相手方は,競走法は場外発売場を設置することを一般的に禁止せず,その規制を競走法26条により施行規則に委任する趣旨であると主張しており,これに対して申立人らは,競走法は,勝舟投票券を競走場内で発売することを前提としており,場外発売場を設置することを許容していないと主張する。 ア競走法の規定について競走法は,モーターボート競走を行う場所については,競走場で行わなければならないと規定しているものの(5条),勝舟投票券については,施行者が発売すること(8条),選手等の勝舟投票券の購入等の禁止(9条及び同条の2),勝舟投票法の種類やその実施の方法(9条の3)等を定めるのみで,その発売場所について何ら規定を設けておらず,そのほか競走法の規定上,競走場外における勝舟投票券の発売を禁止する趣旨のものは見いだせない。 - 12 -イ競走法の制定当時の施行規則8条は,「勝舟投票券の発売場は,当該競走場以外に設置してはならない」と規定していた。同規則は,その後,昭和57年4月28日運輸省令第10号によって,同規則8条に「施行者は,前項の規定にかかわらず,運輸大臣の承認を受けて,自己の施行に係る競走の実施に支障が生じない範囲において,かつ,当該競走の開催日に限り,当該競走場内に他の競走場で行われる競走の勝舟投票券の発売所を設置することができる。」と規定する2項 を受けて,自己の施行に係る競走の実施に支障が生じない範囲において,かつ,当該競走の開催日に限り,当該競走場内に他の競走場で行われる競走の勝舟投票券の発売所を設置することができる。」と規定する2項が新設され,さらに,昭和60年9月14日運輸省令第29号の改正によって,同規則8条1項は「施行者は,場外発売場を設けようとするときは,当該場外発売場がその位置,構造及び設備に関し,告示で定める基準に適合するものであることについて,運輸大臣の確認を受けなければならない。」と改正され,その後,平成12年6月30日運輸省令第24号によって現行の規定に改正され,施行者以外でも国土交通大臣(改正当時は運輸大臣)の確認を受けて場外発売場を設置することができる旨が規定された。これらの場外発売場に係る施行規則の改正は,競走法を改正することなく行われたものである。 上記のとおり競走法制定当初の施行規則8条が,場外発売場の設置を認めていなかったことについては,その規定のみからすれば,競走法は場外発売場の設置を許容しておらず,施行規則8条はこのことを注意的に規定したものにすぎないのか,あるいは,競走法は場外発売場の設置を禁止していないが,同規則8条によって場外発売場の設置を禁止したのかは,必ずしも明らかではない。 しかし,上記の同規則8条の改正経緯によれば,競走法制定当初,施行規則によって場外発売場の設置を禁止した背景としては,①モーターボート競走の重要な目的の一つに掲げられる,勝舟券購入者が実際にレースを見ることによって海事思想の普及に資することがあるが,当時の通信手段や映像媒体の状況では,購入者が競走場に来場しなければ,レースを見る- 13 -ことができなかったこと,②仮に場外発売を行ったとしても,集計伝達手段が未発達で,集計に多大な時間を要するため,発売 や映像媒体の状況では,購入者が競走場に来場しなければ,レースを見る- 13 -ことができなかったこと,②仮に場外発売を行ったとしても,集計伝達手段が未発達で,集計に多大な時間を要するため,発売締切時刻も相当早い時期にならざるを得ず,大きな売上成果を期待できない状況であったこと,③当初は,勝舟投票券の売上状況が厳しいことが予想されていたこと,これらの諸事情があったと認められ(疎乙1号証,2号証),こうした情況を踏まえて,本来競走法が許容していた場外発売場の設置を,施行規則によって見送ったものと解することも十分に可能である。 そして,その後の技術的,社会的な情勢の著しい変動,特に映像媒体,コンピュータシステムの驚異的な発展により上記①,②の障害等がなくなったこと,③の売上状況についての危惧もなくなったことから(疎乙1号証,2号証),施行規則8条が現行のとおり改正されて,競走法が元々許容していた場外発売場の設置が施行規則上においても具体化されたものと解するのが相当である。 ウ他の同種の競技に関する法律との比較なお,競走法の制定当時,他の公営競技に関する法律として,競馬法,自転車競技法,小型自動車競走法が存在しており,第10回国会衆議院運輸委員会及び同国会参議院運輸委員会において,競走法について「この法律案は,自転車及び小型自動車の競走と同一の仕組みで,地方公共団体がモーターボートの競走を施行し得る道を開くものであ」る旨の提案理由が述べられ,参議院本会議における運輸委員長報告においても同趣旨の発言がなされており,また,それぞれの公営競技は,勝敗を賭けて券を購入した者がその競技の結果に応じて払戻しを受けるという共通の構造を有しているから,競走法の解釈においても,他の公営競技に関する法律及び規則の規定を参酌することは不合理なことではない 敗を賭けて券を購入した者がその競技の結果に応じて払戻しを受けるという共通の構造を有しているから,競走法の解釈においても,他の公営競技に関する法律及び規則の規定を参酌することは不合理なことではない。 そこで,他の公営競技における場外発売場に係る法律の規定を見ると,自転車競技においては,昭和27年の法改正で場外発売場が許可制とされ- 14 -(昭和27年6月30日法律第220号による改正後の自転車競技法4条),小型自動車競走においては,平成14年の法改正で許可制とされ(平成14年3月31日法律第9号による改正後の小型自動車競走法6条の2)ている。競馬においては,競馬法には場外発売場の規定はなく,同法施行令2条で,競馬会が競馬場外の勝馬投票券発売所又は払戻金交付所を設置しようとするときは,農林水産大臣の承認を受けなければならない旨を規定している。 このように,自転車競技及び小型自動車競走においては,法律の明文において場外発売場の設置が認められているのであるから,同種の公営競技で共通の構造を有する競走法や競馬法が,場外発売場の設置を認めない趣旨で立法されたものと解することには合理的な理由がなく,そのように解すべきものとは認められない。 エしたがって,競走法は,場外発売場に関する明文の規定を置いていないものの,そのことから同法が場外発売場の設置を禁止していると解することはできない。 そして,競走法26条は,法律の施行に関し必要な事項を国土交通省令で定めるとして,包括的な委任規定を設けており,勝舟投票券をどのような場所で発売するかは,勝舟投票券の発売に関する同法8条ないし9条の3の規定の施行に関する事項であるから,場外発売場の設置に関する事項は,同法26条の委任事項に含まれるものと解することができる。 (2) 相手方は,本件設置確認は,設置 売に関する同法8条ないし9条の3の規定の施行に関する事項であるから,場外発売場の設置に関する事項は,同法26条の委任事項に含まれるものと解することができる。 (2) 相手方は,本件設置確認は,設置者等の権利義務その他の法的地位に直接具体的な影響を及ぼすものではないから,抗告訴訟の対象となる処分に当たらないと主張し,申立人らは,設置者が場外発売場を設置しようとする場合,告示で定める基準に適合するものを設けなければならず,設置確認を受けずに告示基準に適合しない場外発売場を設置した施行者は競走法22条の11,23条1項の命令を受ける可能性があるなどと主張して,相手方の主張を争- 15 -っている。 施行規則8条1項は「場外発売場を設けようとする者は,当該場外発売場がその位置,構造及び設備に関し,告示で定める基準に適合するものであることについて,国土交通大臣の確認を受けなければならない」と規定しており,この規定は,場外発売場を設けようとする者は,同確認を受けなければならず,その反対解釈として,同確認を受けない者に対しては場外発売場を設置することを禁止している趣旨と解するのが自然かつ合理的というべきであって,設置確認を受けない場合に場外発売場の設置それ自体が禁止される旨の明文の規定がなくとも,施行規則8条1項は上記のとおり解釈することが十分に可能であるというべきである。 すなわち,競走法は,場外発売場を一般的には禁止していないものの,それが公共的利害に影響を及ぼし得る施設であることにかんがみ,施行規則において,国土交通大臣の審査を経た上での設置を許容したものと解するのが相当であって,これを経ない設置は禁止されていると解すべきである。よって,これに反する相手方の主張は採用できない。 したがって,本件設置確認は,その行為により,場外発売場の確認申 したものと解するのが相当であって,これを経ない設置は禁止されていると解すべきである。よって,これに反する相手方の主張は採用できない。 したがって,本件設置確認は,その行為により,場外発売場の確認申請者に対し,直接権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法令上認められているものに当たり,抗告訴訟の対象たる処分性を有するものというべきである。 申立人らの原告適格について(1) 申立人らは,本件告示が「文教施設及び医療施設から適当な距離を有し,文教上又は衛生上著しい支障をきたすおそれがないこと」と規定し,「場外発売場の設置確認について」(平成10年海総第148号運輸省海上技術安全局総務課長から各地方運輸局船舶部長等あて)が地元の同意を要求しており,これらの規定は,本件ボートピアから半径2000メートル以内に住む者や「地元」に住む者の個別的利益を保護する趣旨であると解すべきである- 16 -から,申立人らは本件設置確認の取消しを求める原告適格(行政事件訴訟法9条)が認められると主張し,一方,相手方は,競走法及び本件規則等の下位法令の定めにおいて,場外発売場の設置確認につき,周辺住民等の生活及び教育上の利益を個別的利益として保護する趣旨・目的を見いだすことは困難であり,申立人らは本件設置確認の取消しを求める原告適格を有しないと主張している。 (2) 行政事件訴訟法9条は,取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいい,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれ され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいい,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項,最高裁判所平成17年12月7日大法廷判決参照)。 - 17 -(3) 競走法は,モーターボートその他の船舶,船舶用機関及び船舶用品の改良及び輸出の振興並びにこれらの製造に関する事業及び海難防止に関する事業の振興に寄与し,あわせて海事思想の普及及び観光に関する事業並びに体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興に資するとともに,地方財政の改善を図るために行うモーターボート競走に関し規定するものとされている(同法1条)。そして,同法2条から20条の2までの条項では,競走場の設置や競走の実施について規定し,公安上及びモーターボート競走の運 図るために行うモーターボート競走に関し規定するものとされている(同法1条)。そして,同法2条から20条の2までの条項では,競走場の設置や競走の実施について規定し,公安上及びモーターボート競走の運営上の基準の確保(同法4条4項),モーターボート競走の公正かつ安全な実施の確保(同法6条3項,16条ないし18条),モーターボート競走場内における秩序の維持(同法17条)に関する規定を置いている。また,同法21条以下においては,モーターボート競走会及び全国モーターボート競走会連合会に関する規定を置いている。 そうすると,競走法は,モーターボート競走における公正かつ安全な実施,競走場等での秩序の維持を確保することを規定しているといえるものの,その各条項からは,場外発売場の周辺住民ら個々人の個別的利益の保護を直接目的とした規定を見いだすことはできない。 (4)アまた,競走法の委任に基づいて場外発売場の設置を定めた本件規則や,本件告示が定める場外発売場の設置確認の申請手続及び審査基準は,以下のとおりである。 (ア) 申請手続場外発売場の設置確認を受けようとする者は,申請者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては代表者の氏名,場外発売場の設置を必要とする事由,場外発売場の位置その他所定の事項を記載した確認申請書を国土交通大臣に提出しなければならない(本件規則8条2項,2条1項1ないし5,7,8号)。 また,上記確認申請書には次の書類を添付しなければならない(本件- 18 -規則8条2項,2条2項1,2,4号)。 ①場外発売場付近の見取図(場外発売場の周辺から2000メートルの区域内にある文教施設及び医療施設については,その位置及び名称を明記すること。)。 ②場外発売場の設備の構造図及び配置図(1000分の1以上の縮尺による。)③場外発売場 から2000メートルの区域内にある文教施設及び医療施設については,その位置及び名称を明記すること。)。 ②場外発売場の設備の構造図及び配置図(1000分の1以上の縮尺による。)③場外発売場の経営に関する収支見積書(イ) 場外発売場の設置基準上記申請を受けた国土交通大臣は,当該場外発売場が本件告示に定める基準に適合するか否かを確認する。 本件告示に定める場外発売場の基準は,①位置,②構造及び設備,③勝舟投票券発売所,④入場者の用に供する設備等,⑤その他管理運営に必要な設備等についての諸基準から成っており,これら場外発売場の設置確認基準のうち,場外発売場の位置については,「文教施設及び医療施設から適当な距離を有し,文教上又は衛生上著しい支障をきたすおそれがないこと。」と定められている。 イこの位置基準は,場外発売場が設置され,それに近接する文教施設や医療施設に悪影響が及ぶことを回避することを目的とするものであるから,これらの施設に悪影響が及ぶことをできる限り回避するという一般的公益を保護するとともに,文教施設や医療施設の設置者の有する個別的利益を特に保護したものと解されるが,こうした規定から周辺住民の個々人の個別的利益を保護すべき趣旨を読み取ることは困難である。 申立人らのうち,申立人Eは「Fほねつぎ」を経営する者であるが,上記の医療施設に対する悪影響とは,救急車による患者の搬送に支障が生じ,入院中の患者の治療環境に影響を与え,そのほか衛生上の支障が生じることを意味するものと解され,当該医療施設とは,基準の運用が定めるよう- 19 -に,医療法1条の5第1項の病院及び同条2項の診療所(入院施設を有するものに限る。)を意味すると解されるから,同申立人の経営する施設は上記の医療施設には当たらないというべきである。 (5) なお, に,医療法1条の5第1項の病院及び同条2項の診療所(入院施設を有するものに限る。)を意味すると解されるから,同申立人の経営する施設は上記の医療施設には当たらないというべきである。 (5) なお,場外発売場の設置確認に際しては,次のとおり,周辺住民の同意を求める旨の通達及び行政指導がある。 ア「モーターボート競走法施行規則の一部を改正する省令の運用について」(平成12年6月30日海総第323号,同号の2,運輸省海上技術安全局長から各地方運輸局長等,全国モーターボート競走施行者協議会会長あて,甲4号証)では,「場外発売場を設けようとする者は,運輸大臣の確認を受けて場外発売場を設けることができることとなったが,これを設けるに当たっては,周辺住民等との調整が重要であるので,場外発売場は周辺地域と調和がとれ,できるだけ周辺住民の利便を増進するものとする。」,「また,場外発売場の所在地を管轄する警視庁又は道府県警察本部及び保健所と計画時から密接に連絡をとることを場外発売場で勝舟投票券の発売等を行う予定の施行者に,消防署等と計画時から密接に連絡をとることを場外発売場を設けようとする者に徹底されたい。」旨通達し,指示をしている。 また,「場外発売場の設置確認について」(平成10年3月31日海総第148号,海上技術安全局総務課長から各地方運輸局船舶部長等あて,甲5号証)では,「四地元との調整については,当該場外発売場の所在する市町村の自治会(又は町内会)の同意,市町村の長の同意及び市町村の議会が反対を議決していないことをもって,地元との調整がとれていることとする。」旨を通達している。 イこれらは,場外発売場の設置・運営に際して,周辺地域との調和,周辺住民の利便の増進又は警備,防犯上の観点等から,場外発売場の設置に先立って周辺住民との調整をする こととする。」旨を通達している。 イこれらは,場外発売場の設置・運営に際して,周辺地域との調和,周辺住民の利便の増進又は警備,防犯上の観点等から,場外発売場の設置に先立って周辺住民との調整をするよう通達し,また行政指導を行ったものと- 20 -解され,こうした周辺住民との調整は,周辺住民の一般的公益を保護することを目的としたものというべきであって,これらの通達又は行政指導が法令に当たらないことはもとよりのこと,それらから周辺住民個々人の個別的利益を保護すべきものとする趣旨を見いだすことはできない。 (6) また,原告適格の有無を判断するに際しては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきところ,申立人らは,本件ボートピアの設置により,交通渋滞が増え違法な路上駐車が横行する,地域の風紀が乱れ,教育環境が破壊される,ボートピアの来場客との間でトラブル・事故が発生するなど生活環境が破壊される,商店街の雰囲気が変貌する,犯罪の発生や暴力団の進出が懸念される,名古屋港が有する健全な娯楽が楽しめる場所としてのイメージが損なわれるなどと主張する。 一件記録に照らしても,本件ボートピアの設置ないしその運営によって上記のような利益が害されるかは必ずしも明らかとはいえないが,仮に,ボートピアへ多数の客が来場することに伴って交通,生活及び教育環境に一定程度の影響が及ぶことが予想できるとしても,申立人らが侵害されると主張する利益は,周辺住民としての交通,生活及び教育環境上の利益であって,本件ボートピアの設置ないしその運営によって,周辺住民の生命身体(健康)又は財産に重大な被害がもたらされるものとは解されず,結局,これらの交通,生活及び教育環境上の不利益は,一般的公 利益であって,本件ボートピアの設置ないしその運営によって,周辺住民の生命身体(健康)又は財産に重大な被害がもたらされるものとは解されず,結局,これらの交通,生活及び教育環境上の不利益は,一般的公益として保護されるにとどまり,それを超えて個々人の個人的利益としてこれを保護すべきものとする趣旨が競走法及びその下位法令等に含まれると解することは困難というべきである。 (7) そうすると,本件ボートピアの周辺住民は,本件設置確認の取消しを求める原告適格を有するとはいえず,このほかに,申立人らが本件設置確認の取消しを求める原告適格を有すると解すべき根拠は見当たらない。 - 21 - 以上のとおりであって,申立人らは,本件設置確認の取消しを求める原告適格を有しないから,本件執行停止申立ては,適法な本案訴訟の提起を前提とするものとはいえないのでこれを却下することとし,主文のとおり決定する。 平成18年7月20日名古屋地方裁判所民事第9部裁判長裁判官中村直文裁判官前田郁勝裁判官片山博仁
▼ クリックして全文を表示