主文 被告に所属する中央労働委員会が,中労委平成10年(不再)第34号不当労働行為再審査申立事件につき,平成17年5月11日付けでした命令のうち,主文Ⅰ項1の次の部分を取り消す。 原告の新幹線鉄道事業本部関西支社大阪第一車両所が,補助参加人分会の組合掲示板から,平成7年7月3日に別紙1の掲示物を撤去した行為,同月4日に別紙3の掲示物を撤去した行為,同月31日及び同年8月1日に別紙5の掲示物を撤去した行為,同月14日及び同月15日に別紙6,7の掲示物を撤去した行為,同月16日及び同月18日に別紙8の掲示物を撤去した行為,同8年4月30日及び同年5月1日に別紙9の掲示物を撤去した行為,同月14日及び同月15日に別紙11の掲示物を撤去した行為,同月16日に別紙12の掲示物を撤去した行為を,それぞれ労働組合法7条第3号に該当する不当労働行為であると認定し,原告において補助参加人らに対し,今後このような行為を繰り返さないとの謝罪文を手交することを命じた部分。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,補助参加によって生じた部分はこれを6分し,その1を原告の負担とし,その余を補助参加人らの負担とし,その余の費用はこれを6分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告に所属する中央労働委員会が,中労委平成10年(不再)第34号不当労働行為再審査申立事件につき,平成17年5月11日付けでした命令のうち,主文Ⅰ項1及びⅡ項を取り消す。 第2事案の概要本件は,補助参加人らが原告に対し,補助参加人分会の掲示板からの掲示物撤去が労働組合法7条第3号の不当労働行為に当たるとして求めた救済命令申立事 件において,中央労働委員会が,原告の不当労働行為を認め,原告に対し謝罪文の手交を命じたのは 人分会の掲示板からの掲示物撤去が労働組合法7条第3号の不当労働行為に当たるとして求めた救済命令申立事 件において,中央労働委員会が,原告の不当労働行為を認め,原告に対し謝罪文の手交を命じたのは違法であるとして,その取消しを求めた事案である。 争いのない事実等(証拠等により認定した事実は,当該証拠等を文章中及び文末の括弧内に記載した。)(1)当事者等ア原告等(ア)原告は,昭和62年4月1日,日本国有鉄道改革法等に基づき日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)が経営していた事業のうち,東海道新幹線,東海地方の在来線に係る事業を承継して設立された株式会社である。原告の本件初審審問終結時(平成9年4月)の従業員数は,約2万2600名であった。 (イ)原告は,地方機関として,大阪市内に新幹線鉄道事業本部関西支社(以下「関西支社」という。)を置き,関西支社の現業機関として大阪府摂津市の通称α車両基地(以下単に「α車両基地」という。)内に新幹線鉄道事業本部関西支社大阪第一車両所(以下「大一両」という。),同大阪第二車両所,同大阪第三車両所(以下「大三両」という。)を置いている。 (ウ)大一両は,所長の下,総務科,検修科,列車科及び新大阪支社を置き,新幹線車両の整備,点検等の業務を行っている。大一両の業務は,終日かつ年中無休であり,従業員が交替で勤務に就いている。大一両には,平成7年6月当時約280名,同8年12月当時約330名が勤務しており,所長以外は全員組合員資格を有していた。(乙80【8,9頁】)イ補助参加人ら(ア)補助参加人組合は,原告従業員で組織する労働組合であり,本件初審審問終結時の組合員数は,約1000名であった(弁論の全趣旨)。 (イ)補助参加人組合には,下部組織として,新幹線関西地方本部(以下「関西地 組合は,原告従業員で組織する労働組合であり,本件初審審問終結時の組合員数は,約1000名であった(弁論の全趣旨)。 (イ)補助参加人組合には,下部組織として,新幹線関西地方本部(以下「関西地本」という。)があり,更に下部組織として,大一両に所属する原告従業員で組織する補助参加人分会がある。補助参加人分会の本件初審審問終結時の組合員数は56名であった(弁論の全趣旨)。 ウ併存組合原告には,本件初審審問終結時,原告組合のほか,東海旅客鉄道労働組合(以下「JR東海労組」又は「東海ユニオン」という。),国鉄労働組合(以下「国労」という。)東海本部等の労働組合があり,これらの労働組合も大一両に下部組織を有していた。その組合員数は,平成8年12月当時,東海ユニオンの下部組織が約210名,国労の下部組織が約60名であった。(乙80【9,10頁】)(2)原告における組合掲示板の設置・使用ア補助参加人組合は,平成3年8月30日,原告との間で,組合掲示板の貸与について,基本協約(以下「本件基本協約」という。)を締結した。 そして,原告と補助参加人組合は,1年毎に同一内容で本件基本協約を更新していた。 イ本件基本協約には,以下の規定が存在する(なお,同規定中,「組合」とは補助参加人組合のことであり,「会社」とは原告のことである。以下,228条1項,229条所定の掲示物の撤去要件を「本件撤去要件」という。)。 第227条組合は,会社の許可を得た場合には,指定された掲示場所において,組合活動に必要な宣伝,報道,告知を行うことができる。 会社は,業務上の必要が生じた場合には,前項で指定した掲示場所の変更または取り消しをすることができる。 組合は,会社の指定した組合掲示場所以外の場所に,掲示類 を掲出してはならない。 第228条掲示類 務上の必要が生じた場合には,前項で指定した掲示場所の変更または取り消しをすることができる。 組合は,会社の指定した組合掲示場所以外の場所に,掲示類 を掲出してはならない。 第228条掲示類は,組合活動の運営に必要なものとする。また,掲示類は,会社の信用を傷つけ,政治活動を目的とし,個人を誹謗し,事実に反し,または職場規律を乱すものであってはならない。 掲示類には,掲示責任者を明示しなければならない。 第229条会社は,組合が前2条の規定に違反した場合は,掲示類を撤去し,掲示場所の使用の許可を取り消すことができる。 (3)大一両における組合掲示板の設置補助参加人分会は,本件基本協約及び労働関係事務取扱細則に基づき,大一両所長に対し,組合掲示板の設置許可願を提出しており,同所長はこれを許可する際,本件基本協約227条ないし229条と同様の条件を付していた。原告が補助参加人分会に対して貸与した組合掲示板は,当初,大一両の食堂に東海ユニオン及び国労東海本部の各下部組織の組合掲示板と並んで設置されていたが,平成7年10月25日,大一両の食堂工事があったため,各組合の掲示板は,大一両庁舎2階の検修員詰所の出入口外側通路に移設された。(乙41,42,47ないし49,64,65,99)(4)原告による補助参加人分会の掲示物の撤去(なお,後記本件掲示物①ないし⑧は,大一両の食堂に設置された組合掲示板に掲示されたものであり,同本件掲示物⑨ないし⑭は,移設後の組合掲示板に掲示されたものである。)ア平成7年7月3日の掲示物撤去(ア)補助参加人分会は,平成7年7月3日ころ,別紙1の掲示物(以下「本件掲示物①」という。)を組合掲示板に掲示した。 (イ)大一両総務科長P1(以下「P1総務科長」という。)及び同科助役P2(以下「P2助役」 人分会は,平成7年7月3日ころ,別紙1の掲示物(以下「本件掲示物①」という。)を組合掲示板に掲示した。 (イ)大一両総務科長P1(以下「P1総務科長」という。)及び同科助役P2(以下「P2助役」という。)は,平成7年7月3日午後6時4 5分ころ,本件掲示物①を組合掲示板から撤去した。 イ平成7年7月4日の掲示物撤去(ア)補助参加人分会は,平成7年7月4日ころ,別紙2,3の掲示物(以下,それぞれ「本件掲示物②」,「本件掲示物③」という。)をそれぞれ組合掲示板に掲示した。 (イ)P1総務科長及び大一両技術科長P3(以下「P3技術科長」という。)は,平成7年7月4日午後1時過ぎ,本件掲示物②,③を組合掲示板から撤去した。 ウ平成7年7月28日及び同月30日の各掲示物撤去(ア)補助参加人分会は,平成7年7月27日ころ,別紙4の掲示物(以下「本件掲示物④」という。)を組合掲示板に掲示した。 (イ)大一両検修科技術助役P4(後に同科長,以下「P4助役」「P4計画助役」又は「P4検修科長」という。)及び大一両助役P5(以下「P5助役」という。)は,平成7年7月28日午後6時30分過ぎ,本件掲示物④を組合掲示板から撤去した。 (ウ)補助参加人分会は,平成7年7月29日ころ,再度,本件掲示物④を組合掲示板に掲示した。 (エ)大一両助役P6(以下「P6助役」という。)及び同助役P7(以下「P7助役」という。)は,平成7年7月30日午前8時50分過ぎ,再度,本件掲示物④を組合掲示板から撤去した。 エ平成7年7月31日及び同年8月1日の各掲示物撤去(ア)補助参加人分会は,平成7年7月31日ころ,別紙5の掲示物(以下「本件掲示物⑤」という。)を組合掲示板に掲示した。 (イ)P3技術科長,P4助役及びP5助役は,平成7年7月31日午後7時 (ア)補助参加人分会は,平成7年7月31日ころ,別紙5の掲示物(以下「本件掲示物⑤」という。)を組合掲示板に掲示した。 (イ)P3技術科長,P4助役及びP5助役は,平成7年7月31日午後7時30分ころ,本件掲示物⑤を組合掲示板から撤去した。 (ウ)補助参加人分会は,平成7年8月1日,再度,本件掲示物⑤を組合 掲示板に掲示した。 (エ)P1総務科長及びP2助役は,平成7年8月1日午後2時15分ころ,再度,本件掲示物⑤を組合掲示板から撤去した。 オ平成7年8月14日及び同月15日の各掲示物撤去(ア)補助参加人分会は,平成7年8月10日ころ,別紙6の掲示物(以下「本件掲示物⑥」という。)及び別紙7の掲示物(以下「本件掲示物⑦」という。)を組合掲示板に掲示した。 (イ)P4助役は,平成7年8月14日午後6時20分ころ,本件掲示物⑥,⑦を組合掲示板から撤去した。 (ウ)補助参加人分会は,平成7年8月15日ころ,再度,本件掲示物⑥,⑦を組合掲示板に掲示した。 (エ)P1総務科長及びP2助役は,平成7年8月15日午前9時過ぎ,再度,本件掲示物⑥,⑦を組合掲示板から撤去した。 カ平成7年8月16日及び同月18日の各掲示物撤去(ア)補助参加人分会は,平成7年8月16日ころ,別紙8の掲示物(以下「本件掲示物⑧」という。)を組合掲示板に掲示した。 (イ)P1総務科長及びP3技術科長は,平成7年8月16日午後3時30分ころ,本件掲示物⑧を撤去した。 (ウ)補助参加人分会は,平成7年8月18日ころ,再度,本件掲示物⑧を組合掲示板に掲示した。 (エ)P1総務科長及びP2助役は,平成7年8月18日午前11時過ぎ,再度,本件掲示物⑧を組合掲示板から撤去した。 キ平成8年4月30日及び同年5月1日の各掲示物撤去(ア)補助参加人分会は,平成8 )P1総務科長及びP2助役は,平成7年8月18日午前11時過ぎ,再度,本件掲示物⑧を組合掲示板から撤去した。 キ平成8年4月30日及び同年5月1日の各掲示物撤去(ア)補助参加人分会は,平成8年4月30日ころ,別紙9の掲示物(以下「本件掲示物⑨」という。)を組合掲示板に掲示した。 (イ)P1総務科長及びP2助役は,平成8年4月30日午後6時35分 ころ,本件掲示物⑨を組合掲示板から撤去した。 (ウ)補助参加人分会は,平成8年5月1日,再度,本件掲示物⑨を組合掲示板に掲示した。 (エ)P2助役及び大一両助役P8(以下「P8助役」という。)は,平成8年5月1日午前11時30分過ぎ,再度,本件掲示物⑨を組合掲示板から撤去した。 ク平成8年5月14日及び同月15日の各掲示物撤去(ア)補助参加人分会は,平成8年5月14日ころ,別紙10,11の掲示物(以下,それぞれ「本件掲示物⑩」,「本件掲示物⑪」という。)をそれぞれ組合掲示板に掲示した。 (イ)P1総務科長及びP2助役は,平成8年5月14日午後6時35分ころ,本件掲示物⑩,⑪を組合掲示板から撤去した。 (ウ)補助参加人分会は,平成8年5月15日,再度,本件掲示物⑩,⑪を組合掲示板に掲示した。 (エ)P2助役及びP5助役は,平成8年5月15日午前10時20分過ぎ,再度,本件掲示物⑩,⑪を組合掲示板から撤去した。 ケ平成8年5月16日の掲示物撤去(ア)補助参加人分会は,平成8年5月16日ころ,別紙12の掲示物(以下「本件掲示物⑫」という。)を組合掲示板に掲示した。 (イ)P2助役,大一両助役P9(以下「P9助役」という。)及び同助役P10(以下「P10助役」という。)は,平成8年5月16日午後6時50分ころ,本件掲示物⑫組合掲示板から撤去した。 コ平成8年5月28日の掲示物 一両助役P9(以下「P9助役」という。)及び同助役P10(以下「P10助役」という。)は,平成8年5月16日午後6時50分ころ,本件掲示物⑫組合掲示板から撤去した。 コ平成8年5月28日の掲示物撤去(ア)補助参加人分会は,平成8年5月25日ころ,別紙13の掲示物(以下「本件掲示物⑬」という。)を組合掲示板に掲示した。 (イ)P6助役は,平成8年5月28日午前3時ころ,本件掲示物⑬を組 合掲示板から撤去した。 サ平成8年5月29日及び同月30日の各掲示物撤去(ア)補助参加人分会は,平成8年5月27日ころ,別紙14の掲示物(以下「本件掲示物⑭」という。)を組合掲示板に掲示した。 (イ)P6助役は,平成8年5月29日午後1時過ぎ,本件掲示物⑭を組合掲示板から撤去した。 (ウ)補助参加人分会は,平成8年5月30日,再度,本件掲示物⑭を組合掲示板に掲示した。 (エ)P2助役及び大一両助役P11(以下「P11助役」という。)は,平成8年5月30日午前10時20分ころ,再度,本件掲示物⑭を組合掲示板から撤去した。 (5)本訴提起に至る経緯ア補助参加人らは,平成7年12月1日(同8年7月4日追加申立て),大阪府地方労働委員会(以下「大阪府労委」という。)に対し,原告を被申立人として,本件掲示物の撤去について,大一両における組合掲示板から掲示物を撤去することの禁止,謝罪文の掲示を求める旨の不当労働行為救済申立てをした(大阪府労委平成7年(不)第78号事件)。大阪府労委は,平成10年9月29日,原告に対し,本件掲示物の撤去が不当労働行為(支配介入)に当たるとして,別紙15の謝罪文の補助参加人らへの手交を命じた(以下「本件初審命令」という。)。 イ原告は,平成10年10月12日,中央労働委員会(以下「中労委」という。)に対し,本件初 配介入)に当たるとして,別紙15の謝罪文の補助参加人らへの手交を命じた(以下「本件初審命令」という。)。 イ原告は,平成10年10月12日,中央労働委員会(以下「中労委」という。)に対し,本件初審命令の取消しを求めて再審査を申し立てた。 ウ中労委は,平成11年11月25日に審問を終え,同17年5月11日,本件初審命令を一部変更し,原告が本件掲示物②,④,⑩を撤去したことは支配介入に当たらないとする一方で,原告がその他の本件掲示物を撤去したことは,補助参加人らに対する不当労働行為(支配介入)に当たると して,原告に対し,別紙16の謝罪文の補助参加人らへ手交を命じ,その余の救済申立て及びその余の再審査申立てをいずれも棄却する旨の命令を発した(以下「本件命令」という。)。そして,本件命令は,平成17年6月14日,原告に送達された。(乙113)エ原告は,平成17年7月12日,本件命令のうち,再審査申立てを棄却し,原告に対し謝罪文の手交を命じた部分は違法であるとして,その取消しを求め,当裁判所に本訴を提起した。 争点及び当事者の主張前記争いのない事実等(5)ウ,エのとおり,本件命令のうち,本件掲示物②,④,⑩の撤去が支配介入に当たらないとの判断については,原告・被告間で争いがなく,この部分について補助参加人らからの取消請求もないことから,本訴における争点は,これらの掲示物撤去を除く,本件掲示物の撤去が,原告の補助参加人らに対する支配介入に当たるか否かという点である。この点についての原告,被告,補助参加人らの主張の要旨は,次のとおりである。 【原告】(1)本件掲示物の撤去は,本件基本協約第228条,229条に基づいて行った正当な行為であり,補助参加人らに対する支配介入には当たらない。補助参加人らは,原告と合意した範囲内で組合掲示板 【原告】(1)本件掲示物の撤去は,本件基本協約第228条,229条に基づいて行った正当な行為であり,補助参加人らに対する支配介入には当たらない。補助参加人らは,原告と合意した範囲内で組合掲示板の使用権限を有しているにすぎず,補助参加人らの掲示物が本件基本協約により許容されるか否かの判断にあたっては,同協約228条,229条の規定を客観的に解釈して判断すべきであり,組合活動の必要性と比較衡量するのは相当ではない。また,原告は,補助参加人組合中央本部との間で,掲示物の撤去に関する合意をしたのであって,大一両における勤務形態,組合掲示板の設置場所等の個別事情を殊更強調して,撤去要件を限定解釈すべきではない。さらに,本件基本協約228条は,企業秩序・職場規律の維持,原告及び個人の名誉・信用保護を図る目的で規定されたことに照らすと,一般公衆の目に触れる機会の大 小を考慮することも相当でない。 (2)原告は,施設管理者として,組合掲示板に掲示された掲示物が,本件基本協約に違反しているか否かを判断するのであって,これについて組合との協議や説明を行うべき義務はない。原告は,大一両において,組合掲示板の掲示物が本件基本協約に違反していると判断した場合,原則として各労働組合の下部組織に対し,通告を行っているが,これは無用なトラブルを避けるための配慮として行っているにすぎない。 (3)本件掲示物について本件掲示物は,以下のとおり,いずれも原告ないし個人の名誉・信用を毀損し,企業秩序遵守義務に違反するものであり,組合活動としての正当性も有していない。 ア本件掲示物①脱退者5名の個人名を挙げて,同人らを誹謗している。また,原告が補助参加人らの組合員に対し,脱退慫慂を行ったとの事実に反する記載をし,会社の信用を傷つけるものである。 イ本件掲示 ア本件掲示物①脱退者5名の個人名を挙げて,同人らを誹謗している。また,原告が補助参加人らの組合員に対し,脱退慫慂を行ったとの事実に反する記載をし,会社の信用を傷つけるものである。 イ本件掲示物③文書全体が,会社取締役個人を誹謗し,会社の信用を傷つけるものである。 ウ本件掲示物⑤本件掲示物④撤去の際の助役の発言等について事実に反する記載をし,管理者個人を誹謗し,会社の信用を傷つけるものである。 エ本件掲示物⑥補助参加人分会組合員の苦情申告,補助参加人分会役員と助役らとの間のやり取り,地方苦情処理会議の事前審理でのやり取りについて,事実に反する記載をし,管理者個人を誹謗し,会社の信用を傷つけるものである。 オ本件掲示物⑦ 原告新幹線鉄道事業本部東京第一車両所において60歳定年に関する協定に基づき「第三東海」に出向した社員について,事実に反する記載をし,会社の信用を傷つけるものである。 カ本件掲示物⑧本件掲示物⑥,⑦の撤去について,事実に反する記載をし,管理者個人を誹謗し,会社の信用を傷つけるものである。 キ本件掲示物⑨P3技術科長の私生活上の出来事について,事実に反する記載をし,同人を誹謗し,会社の信用を傷つけるものである。 ク本件掲示物⑪本件掲示物⑨の撤去の際の大一両と補助参加人分会との間のやり取りについて,事実に反する記載をし,会社の信用を傷つけるものである。また,P3技術科長及びP4科長を誹謗するものである。 ケ本件掲示物⑫大一両において平成8年3月30日に発生した暴力事件について,事実に反する記載をし,管理者個人を誹謗し,会社の信用を傷つけるものである。 コ本件掲示物⑬P4科長の私生活上の言動について,事実に反する記載をし,同人を誹謗し,会社の信用を傷つけるものである。 サ本件掲示物⑭P3技術 個人を誹謗し,会社の信用を傷つけるものである。 コ本件掲示物⑬P4科長の私生活上の言動について,事実に反する記載をし,同人を誹謗し,会社の信用を傷つけるものである。 サ本件掲示物⑭P3技術科長の私生活上の出来事について,事実に反する記載をし,同人を誹謗し,会社の信用を傷つけるものである。 【被告及び補助参加人ら】(1)ア使用者が組合に組合掲示板の使用を許可している場合には,掲示物撤去が支配介入に当たるか否かについては,その使用を許諾する際の使用者 と組合との間の合意内容を合理的に解釈して判断すべきである。この点,原告は,本件基本協約227条,228条により,予め指定した掲示場所において,組合活動に必要な宣伝,報道,告知を行うことを許諾している以上,組合活動としての必要性を十分考慮し,同協約229条の撤去要件に該当するか否かを判断する必要がある。そして,大一両では交代制勤務がとられており,組合ないし組合員にとって,組合掲示板による連絡・情報共有の必要性が強いこと,α車両基地は一般人の立入りが制限され,許可を受けた入構者であっても本件組合掲示板の設置場所を通行することは少なく,同掲示板の掲示物は一般公衆の目に触れる機会が少ないことなども考慮すると,当該掲示物の記載内容が,組合員の労働条件等,組合本来の関心事に関する事実の摘示ないし論評,批判であり,その主要な部分において真実であるか,真実と信じるにつき相当な理由があるときは,誹謗中傷の程度が行き過ぎていたり,個人のプライバシーに深く踏み込んでいるものでない限り,撤去要件には該当しないというべきである。 イ労働組合は,会社や併存組合から組織破壊攻撃を受けた場合,その事実経過や組合としての見解等を掲示の対象とするのは当然であるが,原告は,補助参加人分会が管理者らの組合脱退工作 いというべきである。 イ労働組合は,会社や併存組合から組織破壊攻撃を受けた場合,その事実経過や組合としての見解等を掲示の対象とするのは当然であるが,原告は,補助参加人分会が管理者らの組合脱退工作を明らかにするたびに,掲示物の撤去をエスカレートさせてきた。本件掲示物の撤去は,原告が補助参加人分会の組合活動を嫌悪し,これを弱体化させるために行ったものであり,補助参加人らに対する支配介入に当たる。 (2)使用者による組合掲示板からの掲示物撤去が撤去要件を満たさない場合であっても,これを撤去することが組合に対する支配介入に当たらない場合がないではない。すなわち,使用者が,労働組合に対し,撤去を求める理由を説明し,理解を得るよう努めたり,労働協約に違反すると判断する箇所を削除ないし訂正するよう求め,これについて労働組合に釈明の機会や相応の措置を取り得る時間的猶予を与える等の手続を履践している場合には,労使 関係上の配慮がされたものとして,支配介入に当たらないと解する余地がある。ところが,原告の本件掲示物の撤去における事前通告は,補助参加人らの抗議に対して当初から耳を傾ける態度を示すことなく行われ,具体的に掲示物のどの箇所がどのような理由で本件基本協約に違反するかを明示せず,時間的にも概ね1時間から半日後には撤去するというものであった。したがって,原告の本件掲示物の撤去における事前通告は,原告が掲示物を撤去することを決めたうえで,形式的に補助参加人らに通告したものと見るのが相当であり,支配介入の成立を否定するほどの労使関係上の配慮をしたということはできない。 (3)本件掲示物についてア本件掲示物①補助参加人らの組合員が脱退慫慂を受けたことに対する抗議の表明であり,記載のうち主要な点は事実に反せず,本件基本協約の撤去事由に該当する とはできない。 (3)本件掲示物についてア本件掲示物①補助参加人らの組合員が脱退慫慂を受けたことに対する抗議の表明であり,記載のうち主要な点は事実に反せず,本件基本協約の撤去事由に該当するとまではいえない。 イ本件掲示物③,⑦,⑨,⑬,⑭記載内容に不適切な表現や多少の誇張はあるが,概ね,補助参加人らの立場からの原告に対する批判や抗議の表明であって,本件基本協約の撤去事由に該当するとまではいえない。 ウ本件掲示物⑤,⑧,⑪管理者個人を誹謗する表現も認められるが,全体として,原告の掲示物撤去に対する補助参加人らの立場からの抗議の表明であって,一部事実に反する記載があったとしても,本件基本協約の撤去事由に該当するとまではいえない。 エ本件掲示物⑥,⑫個々の記載内容について必ずしも事実の証明があるとはいえず,個人に対する誹謗・中傷や原告の信用を傷つけるような表現が認められるものの, その主たる内容は,原告の労務政策に対する補助参加人らの立場からの批判と見ることができ,本件基本協約の撤去事由に該当するとまではいえない。 第3争点に対する判断 判断の枠組み(1)問題の所在本件は,原告と補助参加人らの間で本件基本協約に基づき,補助参加人らが原告の施設内で組合掲示板の設置使用を許されていたところ,原告が前記掲示板の掲示物を撤去したことが不当労働行為(支配介入)に当たるか否かが問題になっている事案である。このような事案において,被告は何を主張立証しなければならず,また,原告は何を主張立証しなければならないかが問題となる。 (2)被告において,最初に,主張立証すべき事項について本件は,被告に所属する中労委が発した救済命令の取消訴訟である。そうだとすると,取消訴訟を提起した原告は,中労委が本件命令を発し,これが原告に送達 被告において,最初に,主張立証すべき事項について本件は,被告に所属する中労委が発した救済命令の取消訴訟である。そうだとすると,取消訴訟を提起した原告は,中労委が本件命令を発し,これが原告に送達されたこと主張立証し,本件命令は違法であることを主張すれば足りる。そして,前記争いのない事実等(5)ウ,エによれば,原告はこれらの主張立証をしている。 原告の前記主張立証に対し,被告としては,原告の掲示物撤去が不当労働行為に当たることを主張立証しなければならない。すなわち,被告は,不当労働行為の要件として,①原告の行為が不当労働行為(支配介入)に当たる事実と,②前記①の行為が不当労働行為意思に基づくということを主張立証しなければならない。本件においては,補助参加人らが原告から設置使用を許可されている組合掲示板に自己の掲示物を掲示し,これを使用する行為は本来自由であり,当該掲示物(原告からみると他人物)を補助参加人らの承諾なく撤去する行為は,原則として,補助参加人の活動に対する支配介入が あったとみるのが相当である。そして,前記のとおり,客観的,外形的にみて,支配介入の事実が認められる場合には,特段の事情がない限り,当該支配介入は不当労働行為意思に基づいていると事実上推認するのが相当である。 なぜなら,客観的,外形的にみて支配介入が認められる事実には,通常,不当労働行為意思(支配介入の意思)が伴っていると見うるからである。 (3)原告において,主張立証すべき特段の事情について前記(2)でみたとおり,原告の補助参加人分会の組合掲示板からの本件掲示物の撤去行為には,一応,不当労働行為意思が事実上推認される。しかし,これはあくまでも事実上の推認であって,原告において,事実上の推認を覆すに足りる特段の事情を主張立証をすれば,前記推認は覆されたものと 撤去行為には,一応,不当労働行為意思が事実上推認される。しかし,これはあくまでも事実上の推認であって,原告において,事実上の推認を覆すに足りる特段の事情を主張立証をすれば,前記推認は覆されたものと認めるのが相当である。 ところで,労働組合による企業施設の利用は,本来,使用者との間の合意に基づいて行われるべきところ,原告と補助参加人らとの間では,原告施設内における,組合の掲示物の掲示について本件基本協約を締結している。そして,本件基本協約は,組合が,原告の許可を受けた場合,指定された掲示場所において,組合活動に必要な宣伝,報道,告知を行うことを認めるものの,他方,組合の行う掲示は組合活動の運営に必要なものに限り,掲示物が会社の信用を傷つけること,政治活動を目的とすること,個人を誹謗すること,事実に反すること,職場規律を乱すことを禁止するとともに,これに違反した場合には,原告自ら当該掲示物を撤去することを認める内容となっている(前記争いのない事実等(2))。また,本件基本協約等に基づく,大一両による補助参加人分会に対する設置許可においても,本件基本協約と同様の撤去要件が定められている(前記争いのない事実等(3))。 以上のような使用者と労働組合との間の企業施設の利用権限の関係,本件基本協約の規定内容及びこれに基づく使用許可の条件に照らすと,原告は,補助参加人らの掲示物が,原告の信用を傷つけ,政治活動を目的とし,個人 を誹謗し,職場規律を乱す場合などに該当すること(以下,これを便宜上「撤去要件該当性」という。)を主張立証すれば,一応,特段の事情があるものとして,原告の掲示物撤去行為には不当労働行為意思があったとの事実上の推認を覆すことに成功したものとみるのが相当である。 (4)被告において,更に,主張立証すべき事項について以上によれ があるものとして,原告の掲示物撤去行為には不当労働行為意思があったとの事実上の推認を覆すことに成功したものとみるのが相当である。 (4)被告において,更に,主張立証すべき事項について以上によれば,本件においては,前記(3)でみてきたとおり,原告が,本件掲示物①,③,⑤ないし⑨,⑪ないし⑭が,撤去要件該当性を満たしていることを主張立証すれば,不当労働行為の成否に決着がつくのかといえば,必ずしも,そうともいえないと解するのが相当である。なぜなら,原告の掲示物撤去行為が,権利濫用に当たるような特段の事情が認められる場合がないわけではなく,このような場合にまで原告の掲示物撤去行為を正当であると認めるのは相当ではないからである。そこで,被告が,当該掲示が正当な組合活動としてなされたものであること,当該掲示の協約違反の程度が軽微なものであること,当該掲示物の記載内容が真実であるか,真実であると信じるについて相当な理由があったこと,原告による掲示物の撤去が手続的相当性を欠くことなどの諸事実を総合し,原告の撤去行為に権利濫用であると認められるような特段の事情(以下,これを便宜上「権利濫用該当性」という。)があることについて主張立証がされた場合には,やはり,当初(前記(2))のとおり,原告の撤去行為は不当労働行為意思に基づくものであったと認定するのが相当である。 (5)被告及び補助参加人らの主張について被告及び補助参加人らは,本件基本協約の撤去要件に該当するか否かについては,組合の掲示板利用の必要性等を考慮したうえで,当該掲示物の記載内容が,組合員の労働条件等,組合本来の関心事に関する事実の摘示ないし論評,批判であり,その主要な部分において真実であるか,真実と信じるにつき相当な理由があるときは,誹謗中傷の程度が行き過ぎていたり,個人の プ 働条件等,組合本来の関心事に関する事実の摘示ないし論評,批判であり,その主要な部分において真実であるか,真実と信じるにつき相当な理由があるときは,誹謗中傷の程度が行き過ぎていたり,個人の プライバシーに深く踏み込んでいるものでない限り,撤去要件には該当しない旨主張する。しかし,被告及び補助参加人らの前記主張には賛成することができない。なぜなら,撤去要件に該当するか否かは客観的に判断すべき事柄であって,被告及び補助参加人らが主張するような事情は,当該掲示物の撤去が権利濫用であると認められるような特段の事情,すなわち権利濫用該当性の有無を検討するに当たって考慮すれば足りる事情と解するのが相当であるからである。 (6)小括以上によれば,本件においては,まず,本件掲示物①,③,⑤ないし⑨,⑪ないし⑭の各記載内容が,撤去要件該当性の要件を満たしているか否かを検討することになる。仮に,撤去要件該当性を満たしている場合には,次いで,権利濫用該当性の要件を満たしているか否かについて検討することになる。そこで,以下では,本件紛争に至る経緯等の前提事実を踏まえた上で,上記各掲示物ごとに,撤去要件該当性の有無,権利濫用該当性の有無について,順次検討していくことにする。 前提事実証拠(文章中,文末に掲記したもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(なお,当事者間に争いのない事実は,文末に証拠等を掲記しない)。 (1)原告組合結成の経緯アJR東海労組は,昭和62年9月,国鉄の分割・民営化推進の立場をとっていた国鉄動力車労働組合,鉄道労働組合等の原告内における各下部組織が統合して結成された。そして,JR東海労組は,結成と同時に,全日本鉄道労働組合総連合会(以下「JR総連」という。)に加盟した。(乙14,弁論の全趣旨)。 原告と 働組合等の原告内における各下部組織が統合して結成された。そして,JR東海労組は,結成と同時に,全日本鉄道労働組合総連合会(以下「JR総連」という。)に加盟した。(乙14,弁論の全趣旨)。 原告とJR東海労組は,平成2年6月8日,「国鉄改革の完遂に向け て」と題する共同宣言に調印した。同共同宣言は,安全・安定輸送確保の前提として,健全な労使関係の確立が何よりも重要であることを認識し,従来以上にその維持・発展に努めることなどを内容としていた。 イJR総連執行部は,平成2年6月17日から同月19日にかけて開催された第5回定期大会において,運輸省が原告に対して行った国鉄清算事業団職員の追加採用の要請が政治介入に当たるとして,加盟各労働組合の組織体制の強化のため,ストライキ権の確立・行使に向けた職場討議を行うことを提案した(以下「スト権論議」という。)。これを受けて,JR東海労組は,スト権論議を行ったが,論議すること自体に反対する意見もあった。原告は,スト権論議について,公共性の高い原告の輸送業務がストライキにより停滞することは,国民的批判を受け,ひいては原告の経営,組合員の雇用に悪影響を及ぼすので,ストライキ権の行使を必要とするような事態を発生させないよう労使が全力を尽くすことが重要であるとの見解であった。(乙14,15,弁論の全趣旨)ウJR東海労組は,平成3年6月ころ,中央執行委員会において,同年7月9日に開催予定の第7回定期大会の運動方針案を巡り,JR総連の方針に同調する中央執行委員長P12(以下「P12委員長」という。)らと,スト権論議自体に反対する中央執行副委員長P13(以下「P13副委員長」という。)らが対立し,運動方針案が採択できない状況となった。このため,P12委員長は,中央執行委員長の権限を行使するとして,第7回 論議自体に反対する中央執行副委員長P13(以下「P13副委員長」という。)らが対立し,運動方針案が採択できない状況となった。このため,P12委員長は,中央執行委員長の権限を行使するとして,第7回定期大会の開催を延期した。これに対し,P12委員長の方針に反対するP13副委員長ら中央執行委員等は,名古屋地方裁判所に対し,JR東海労組及びP12委員長を債務者として,臨時大会等の開催を求める仮処分を申し立てた。(乙14,38,弁論の全趣旨)エP12委員長らJR総連の方針に同調するJR東海労組の組合員約1300名は,平成3年8月11日,JR東海労組を脱退して補助参加人組合 を結成し,同年9月11日,JR総連に加盟した。他方,JR東海労組は,平成3年11月15日,JR総連を脱退し,同5年3月,東海鉄道産業労働組合と組織統一を行い,名称を東海ユニオンに変更した。なお,P13副委員長らは,P12委員長らのJR東海労組脱退後,前記ウの仮処分申立てを取り下げた。(乙14,38,72,弁論の全趣旨)(2)原告と補助参加人組合員らとの間の紛争アP12委員長及びJR総連は,平成4年5月15日,東京地方裁判所に対し,原告,P13副委員長らを被告として,P13副委員長が原告の指示を受けてP12委員長をJR東海労組から脱退のやむなきに至らしめたうえ,JR東海労組をJR総連から脱退させたとして,損害賠償請求訴訟を提起した。しかし,東京地方裁判所は,平成14年6月5日,前記訴訟について,P12委員長及びJR総連の請求をいずれも棄却する旨の判決をし,同判決は,控訴審,上告審を経て確定した。(甲3の1ないし3)イ原告は,300系新幹線の台車検査作業訓練に関する超勤命令に正当な理由なく従わなかったとして,社員4名(補助参加人組合員2名,国労組合員2名)を戒 審,上告審を経て確定した。(甲3の1ないし3)イ原告は,300系新幹線の台車検査作業訓練に関する超勤命令に正当な理由なく従わなかったとして,社員4名(補助参加人組合員2名,国労組合員2名)を戒告の懲戒処分とし,社員3名(補助参加人組合員2名,国労組合員1名)を懲戒処分に当たらない訓告とした。前記処分を受けた補助参加人組合員4名は,平成5年3月17日,大阪地方裁判所に対し,原告を被告として,処分無効確認請求訴訟を提起した。しかし,大阪地方裁判所は,平成10年3月25日,前記訴訟について,前記補助参加人組合員4名の請求をいずれも棄却する旨の判決をし,同判決は,控訴審,上告審を経て確定した(乙100,104,105)。 ウ補助参加人組合員らは,平成5年3月18日,大三両所長に対して前記イの訴状を手渡すことなどを目的としてα車両基地に侵入したところ,管理者らと衝突し,負傷者が発生した。原告は,平成5年9月10日,前記負傷事故について,補助参加人組合員2名を懲戒解雇,7名を出勤停止, 2名を戒告の懲戒処分とし,8名につき懲戒処分に当たらない訓告,14名を懲戒処分に当たらない厳重注意とした。これに対し,懲戒解雇とされた補助参加人組合員2名は,平成5年9月14日,大阪地方裁判所に対し,原告を債務者として,地位保全等仮処分を申し立てた。しかし,大阪地方裁判所は,平成10年3月31日,前記補助参加人組合員2名の申立てをいずれも却下する旨の決定をした。(乙101)(3)本件掲示板の設置場所についてα車両基地は,基地内で働いている原告社員,従業員証明書の交付を受けた関連会社の社員,その他守衛室で入構許可を受けた者以外は立ち入ることができない。α車両基地には,平成7年当時,社員646名,「従業員証明書」の交付を受けた関連会社社員・業者等が約4 書の交付を受けた関連会社の社員,その他守衛室で入構許可を受けた者以外は立ち入ることができない。α車両基地には,平成7年当時,社員646名,「従業員証明書」の交付を受けた関連会社社員・業者等が約450名いたほか,その都度入構手続を行う者が1か月当たり4000名以上いた。そして,補助参加人分会等の組合掲示板が当初設置されていた大一両の食堂は,多数の社員及び部外者が利用していた。また,移設後の補助参加人分会等の組合掲示板は,大一両庁舎2階検修員詰所の下駄箱室を出たところに設置されており,同所は多数の社員が通行する場所であった。さらに,大一両庁舎では,部外者は,通常,庁舎の正面玄関から入って,同玄関付近にある階段かエレベーターを利用するものの,作業内容によっては移設後の組合掲示板の側にあった階段を通ることもあり,同掲示板の掲示物を目にする機会もあった。(乙41,42,76【14,15頁】,77【35ないし38頁】,80【18,19頁】,106【3ないし5,40,41頁】,110【6ないし11頁】,ただし,乙76,77については前記認定に反する部分を除く。)(4)原告が組合の掲示物を撤去する場合の手続ア本件基本協約及び設置許可の条件等には,原告による組合の掲示物の撤去について,組合への通告義務を定めた規定は存在しない。しかし,原告は,組合の掲示物を撤去する場合には,無用な争いを避けるため,原則と して,補助参加人組合に対し,事前に通告するようにしていた(乙80【21,22頁】,83【19ないし22頁】)。 この点に関し,被告及び補助参加人らは,原告関西支社管理部人事課課長代理P14(以下「P14課長代理」という。)は,平成7年11月2日,苦情処理申告の事前審理において,補助参加人組合新幹線関西地方本部書記長P15(以下「P15関西 は,原告関西支社管理部人事課課長代理P14(以下「P14課長代理」という。)は,平成7年11月2日,苦情処理申告の事前審理において,補助参加人組合新幹線関西地方本部書記長P15(以下「P15関西地本書記長」という。)との間で,原告が掲示物を撤去する場合には補助参加人組合に通告するとの取決めをした旨主張し,これに沿う補助参加人分会執行委員P16(以下「P16執行委員」という。)の陳述ないし供述が存在する(乙27【13頁】,79【42頁】)。これに対し,原告は,被告及び補助参加人らが主張する取決めの存在を否認し,大一両所長P17(以下「P17所長」という。)は,P14課長代理は,P15関西地本書記長に対し,本件基本協約上,原告が掲示物を撤去する場合には補助参加人組合に通告するとの義務はないが,無用なトラブルを防止するため,予め通告するように配慮している旨説明したにすぎない旨供述している(乙80【21,22頁】,83【19ないし22頁】)。このようにP16執行委員とP17所長の供述は,相反しているところ,原告と補助参加人組合との間で,前記のような重要な取決めがされたのであれば,本件基本協約等で明示されるべきであるところ,そのように明記したものは存在せず,他に前記取決めの存在を認めるに足りる証拠も存在しない。よって,前記被告及び補助参加人らの主張ないし供述等は採用することができない。 イ原告は,補助参加人組合に対し,掲示物の撤去を通告したにもかかわらず,組合が撤去しない場合には,自ら掲示物を撤去し,これを総務科で保管していた。また,原告は,補助参加人組合が撤去された掲示物を取りに来た場合,これを返還していた。 本件各掲示物に関する撤去要件該当性,権利濫用該当性の有無について (1)本件掲示物①についてア認定事実前記争いの 参加人組合が撤去された掲示物を取りに来た場合,これを返還していた。 本件各掲示物に関する撤去要件該当性,権利濫用該当性の有無について (1)本件掲示物①についてア認定事実前記争いのない事実等,証拠(文末に掲記したもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(なお,当事者間に争いのない事実は,文末に証拠等を掲記しない)。 (ア)補助参加人分会は,平成7年7月3日ころ,本件掲示物①を組合掲示板に掲示した。 (イ)本件掲示物①には,概略,以下のような記載がされている。すなわち,「一切の組織破壊攻撃を絶対に許さない!!」との太字,大文字での見出しに続き,補助参加人分会組合員P18,P19,P20,P21,P22が,同組合に所属していると原告から差別されるという理由で脱退し,東海ユニオンに加入した旨の記載がされており,さらに,「ユニオン組合員が多数を占めるパートの中で,会社・ユニオン一体となった脱退勧誘に抗している組合員」「会社のデッチ上げ事件を口実にした家宅捜査,不当逮捕,不当解雇を含む不当処分を受けた組合員」「P20,P22は,1年前までは分会執行委員として組合員の先頭に立ち,組合員を組織化してきたにもかかわらず,『昇進できない』から脱退するといった行動は,犯罪行為であり,除名処分にも値いする。」「一連の脱退の中で,会社が直接介入していた事実が明らかとなった。」「P21の脱退時,大一両P8助役が『脱退届・加入届』をP21に渡したという事実が明らかになっている。」「P23(大一両・当直),P24・P25(関西支社・課員)は,同期生あるいは元同じ職場を口実に近づき,飲酒の場で,たびたび『東海労にいて大丈夫か』『考えた方がいい』と脱退工作をしていた。」「同期生の結婚を祝う会をP21が幹事で開催した席でも,P23・ )は,同期生あるいは元同じ職場を口実に近づき,飲酒の場で,たびたび『東海労にいて大丈夫か』『考えた方がいい』と脱退工作をしていた。」「同期生の結婚を祝う会をP21が幹事で開催した席でも,P23・P24・P25はP21に近づき,『大丈夫か』『考えた方がいい』と脱退工作をしていたのである。」「このよ うに,P21に対する一連の脱退工作は,会社・ユニオン一体となった脱退工作であり,断じて許すことはできない。」との記載がされている。 (ウ)P2助役は,平成7年7月3日午前10時ころ,所内巡回中に組合掲示板に本件掲示物①が掲示されているのを発見し,その内容を写し取ったうえ,P17所長に対し,その内容を報告した。P17所長は,本件掲示物①は本件基本協約第228条に違反すると判断し,P1総務科長に対し,補助参加人分会への撤去通告を指示した。これを受けて,P1総務科長は,平成7年7月3日午後5時35分ころ,総務科において,補助参加人分会執行委員長P26(以下「P26分会長」という。)に対し,本件掲示物①を同日午後6時30分までに撤去すること,撤去しない場合には原告側で撤去することを通告した。(乙62)(エ)補助参加人分会は,前記(ウ)の通告に従わなかった。そこで,P1総務科長及びP2助役は,平成7年7月3日午後6時45分ころ,本件掲示物①を組合掲示板から撤去し,これを総務科で保管した。(乙62)イ 判断 (ア)撤去要件該当性について前記ア(イ)によれば,本件掲示物①は,原告と東海ユニオンが一体となって補助参加人らの組合員に対し脱退工作を行っているとの事実を摘示しているが,かかる事実は,会社の信用を傷つけるとともに,東海ユニオンを誹謗していると評価することができる。また,本件掲示物①は,補助参加人分会執行委員であったP20及びP22の いるとの事実を摘示しているが,かかる事実は,会社の信用を傷つけるとともに,東海ユニオンを誹謗していると評価することができる。また,本件掲示物①は,補助参加人分会執行委員であったP20及びP22の脱退を「犯罪行為」との意見ないし論評をしているが,かかる内容は,同人らを誹謗していると評価することができる。さらに,本件掲示物①は,P21の脱退に当たり,P8助役が,脱退届及び加入届を渡し,P23,P24,P25が度々脱退工作をしていたとの事実も摘示しているが,かかる事 実は,P8助役,P23,P24,P25を誹謗していると評価することができる。 以上によれば,本件掲示物①は,撤去要件該当性の要件を満たしていることが明らかである。 (イ)権利濫用該当性についてそこで,続いて,本件掲示物①に関する権利濫用該当性の有無について検討することにする。 a記載内容の真実性についてP21の補助参加人組合からの脱退に関し,補助参加人らは,P8助役が,平成7年6月20日,P21に対し,脱退届及び加入届を渡したと主張し,補助参加人分会書記長P27(以下「P27書記長」という。)は,同月23日午前10時ころ,P21から,前記事実を聞いた旨供述している(乙19,76【1,3,4頁】)。しかし,原告は,P8助役が,P21に対し,脱退届及び加入届を渡したことを否認し,P17所長は,P8助役に前記事実を確認したところ,同人がこれを否定していたと供述する(乙80【27,28頁】)。このように,P27書記長とP17所長の供述は相反するところ,当事者であるP21及びP8助役について,証言ないし陳述書の提出もなく,他にP8助役が,P21に対し,脱退届及び加入届を渡したことを認めるに足りる証拠は存在しない。また,本件全証拠によるも,P23(大一両・当直),P24・ 助役について,証言ないし陳述書の提出もなく,他にP8助役が,P21に対し,脱退届及び加入届を渡したことを認めるに足りる証拠は存在しない。また,本件全証拠によるも,P23(大一両・当直),P24・P25(関西支社課員)が,飲酒の席や同期生の結婚を祝う会において,P21に対し,補助参加人組合からの脱退を慫慂していたと認めるに足りる証拠は存在しない。さらに,本件全証拠によるも,補助参加人らが,P21に対する脱退慫慂行為について,関係当事者から事実を確認するなどして裏付けを行ったとの事情もうかがえず,そうだとすると,補助参加人らにおいて, 前記事実を真実と信じるにつき相当な理由があったということは困難である。 b意見ないし論評について前記aのとおり,P21の補助参加人組合脱退に関し,P8助役,P23,P24,P25らが脱退慫慂を行ったと認めるに足りる証拠はなく,補助参加人らにおいて,これが真実であると信じるにつき相当な理由があったともいえない以上,かかる事実を前提に行った,原告と東海ユニオンが一体となって補助参加人らの組合員に対し脱退工作を行っているとの意見ないし論評も正当なものということはできない。また,補助参加人らは,P20及びP22の補助参加人組合からの脱退を「犯罪行為」との意見ないし論評をしているが,その前提事実についても,何ら主張・立証をしていない。 c手続的正当性について前記ア(ウ),(エ)によれば,原告は,本件掲示物①の撤去に当たり,補助参加人分会に対する事前通告を行うなどの手続を履践しており,本件掲示物①の撤去が手続的相当性を欠くものであったということはできない。 d以上,aないしcによれば,原告の本件掲示物①の撤去行為には,権利濫用該当性の要件を満たすまでの事情は存在しないということができる。 (ウ)小 相当性を欠くものであったということはできない。 d以上,aないしcによれば,原告の本件掲示物①の撤去行為には,権利濫用該当性の要件を満たすまでの事情は存在しないということができる。 (ウ)小括以上検討したとおり,原告の本件掲示物①の撤去は,撤去要件該当性の要件を満たしている。他方,本件掲示物①に記載された事実及び意見ないし論評の前提となる事実については,真実であるか,補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があったと認めることはできず,手続的相当性を欠くともいえず,同撤去は,その余の点について判断す るまでもなく,権利濫用該当性の要件を満たしているということはできない。そうだとすると,原告の本件掲示物①の撤去には,補助参加人らの活動に対する不当労働行為(支配介入)意思がなかったとの特段の事情が存在するというべきである。よって,原告の本件掲示物①の撤去行為は,不当労働行為には該当しない。 (2)本件掲示物③についてア認定事実前記争いのない事実等,証拠(文末に掲記したもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(なお,当事者間に争いのない事実は,文末に証拠等を掲記しない)。 (ア)補助参加人分会は,平成7年7月4日ころ,本件掲示物②,③をそれぞれ組合掲示板に掲示した。 (イ)本件掲示物②は,補助参加人組合の第8回定期大会の決議であるところ,概略,以下のような記載がされている。すなわち「企業内ファシズム=強権的社員管理をもくろむスキャンダルまみれのP28副社長の社長就任に反対する決議」との大文字での見出しに続き,P28副社長の社長就任に関し,「そもそもP28副社長の社長就任が『国鉄改革三羽カラス』の他の二人から数年も遅れたのはなぜでしょう。スキャンダルまみれで社長になる『資質』が社会的に問われたか 続き,P28副社長の社長就任に関し,「そもそもP28副社長の社長就任が『国鉄改革三羽カラス』の他の二人から数年も遅れたのはなぜでしょう。スキャンダルまみれで社長になる『資質』が社会的に問われたからです。」「愛人スキャンダルに端を発し,その強引なもみ消し工作が社会問題となり,さらに愛人からスキャンダルがもれるのを恐れ,愛人宅を会社の経費で警備させるなど数々の反社会的行為を行ってきたからです。」「P28副社長の社長就任は,企業内ファシズムといいうる異常な社員管理体制が完成に近づくことを意味します。」「P28社長のめざした国鉄改革とは,労働組合の私物化であり,命令と服従による労務管理の強化でした。」「P28社長こそ国鉄改革の裏切り者そのものといっていいでし ょう。」との記載がされている。 (ウ)本件掲示物③は,補助参加人組合の第8回定期大会の大会宣言であるところ,概略,以下のような記載がされている。すなわち「本部定期大会を成功裡に開催!!」との太字,大文字での見出しに続き,「この一年間私たちにたいして,JR東海経営陣は異常としかいいようのない組織破壊攻撃をあらゆる手段を用いてかけてきました。静岡地本や東京運転所などで,管理体制を組み直し,多数の組合員を一気に脱退させようという大掛かりな攻撃がかけられました。」「私たちはさらに,乗務員勤務改悪に反対し養殖組合=東海ユニオン幹部の早期妥結策動を許さず共に闘おうと,あらゆる職場で他労組組合員に粘り強く訴え討論を重ねてきました。」などと,原告及び東海ユニオンを批判する記載がされており,さらに,「P28にとって社長就任は花道であり,みずからの野望の実現といえるのでしょうか。断じて否です。東日本の社長になれなかったみじめな都落ち以外のなにものでもありません。みずからの野望のために無責任な施 P28にとって社長就任は花道であり,みずからの野望の実現といえるのでしょうか。断じて否です。東日本の社長になれなかったみじめな都落ち以外のなにものでもありません。みずからの野望のために無責任な施策をぶち上げてきた結果を,こともあろうに自分自身が処理しなければならないのです。だがP28は,JR東海に骨を埋め社会と社員のためにいい会社を作ろうなどと思っているでしょうか。 これまでがそうであったように,JR東海会社と社員の生活をめちゃくちゃにしてまでも己の私利私欲を求めようとすることは目に見えています。」との記載がされている。 (エ)P17所長は,平成7年7月4日,原告関西支社管理部人事課(以下「関西支社人事課」という。)との間で,本件掲示物②,③の取扱いについて協議した。関西支社人事課は,原告本社から本件掲示物②,③がいずれも本件基本協約第228条に違反するとの確認を受け,P17所長に対し,これらの撤去を指示した。これを受けて,P17所長は,P1総務科長に対し,補助参加人分会への撤去通告を指示した。P1総 務科長は,平成7年7月4日正午過ぎ,総務科において,補助参加人分会執行委員P29(以下「P29執行委員」という。)に対し,本件掲示物②,③を同日午後1時までに撤去すること,撤去しない場合には原告側で撤去することを通告した(なお,P1総務科長が,P29執行委員に対して撤去通告をしたのは,P26分会長,P27書記長の出勤が同日午後5時5分であり,P16執行委員が特休であったからである。)。(乙62)(オ)P1総務科長及びP3技術科長は,P29執行委員が独断ではできないので三役に相談させてほしいなどと述べて前記(エ)の通告に従わなかったため,平成7年7月4日午後1時過ぎ,本件掲示物②,③を組合掲示板から撤去し,これらを総務科で保 P29執行委員が独断ではできないので三役に相談させてほしいなどと述べて前記(エ)の通告に従わなかったため,平成7年7月4日午後1時過ぎ,本件掲示物②,③を組合掲示板から撤去し,これらを総務科で保管した。 イ 判断 前記のとおり,本件掲示物②の撤去については補助参加人らにおいて中労委の不当労働行為に当たらないとの判断を争っておらず,本訴では争点となっていないので,以下,同③の撤去の撤去要件該当性,権利濫用該当性について判断することにする。 (ア)撤去要件該当性について前記ア(ウ)によれば,本件掲示物③は,原告が,静岡及び東京運転所において,補助参加人組合に対し,大掛かりな脱退攻撃を行ってきたとの事実を摘示しているが,かかる事実は,会社の信用を傷つけていると評価することができる。また,本件掲示物③は,東海ユニオンを「養殖組合」であるとの意見ないし論評をしているが,かかる内容は,同組合を誹謗していると評価することができる。さらに,本件掲示物③は,原告の代表取締役であったP28(以下「P28社長」という。)について,原告の社長就任は「みじめな都落ち」である,これまで同様,原告とその社員の生活をめちゃくちゃにしてまでも私利私欲を求めるなどと の意見ないし論評をしているが,かかる内容は,会社の信用を傷つけ,P28社長を誹謗していると評価することができる。 以上によれば,本件掲示物③は,撤去要件該当性の要件を満たしていることが明らかである。 (イ)権利濫用該当性についてそこで,続いて,本件掲示物③に関する権利濫用該当性の有無について検討することにする。 a記載内容の真実性について補助参加人らは,本件掲示物③に記載された事実について,当該事実が真実であるか,真実と信じるについて相当な理由があるかについて何ら立証していない。そして,本件 にする。 a記載内容の真実性について補助参加人らは,本件掲示物③に記載された事実について,当該事実が真実であるか,真実と信じるについて相当な理由があるかについて何ら立証していない。そして,本件全証拠によるも,本件掲示物③に記載された事実が真実であるか,補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があるかについて,これを認めるに足りる証拠は存在しない。 b意見ないし論評について補助参加人らは,本件掲示物③に記載された意見ないし論評の前提となる事実について,真実であるか真実であると信じるについて相当な理由があるかについて,何ら立証していない。このように,補助参加人らが,根拠もなく,東海ユニオンを養殖組合と揶揄し,P28社長の社長就任についてみじめな都落ちなどと意見ないし論評することは,正当な組合活動とは認め難い。 c手続的正当性について前記ア(エ),(オ)によれば,原告は,本件掲示物③の撤去に当たり,補助参加人分会に対する事前通告を行うなどの手続を履践しており,本件掲示物③の撤去が手続的相当性を欠くものであったということはできない。 d以上,aないしcによれば,原告の本件掲示物③の撤去行為には,権利濫用該当性の要件を満たすまでの事情は存在しないということができる。 (ウ)小括以上検討したとおり,原告の本件掲示物③の撤去は,撤去要件該当性の要件を満たしている。他方,本件掲示物③に記載された事実及び意見ないし論評の前提となる事実については,真実であるか,補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があったと認めることはできず,手続的相当性を欠くともいえず,同撤去は,その余の点について判断するまでもなく,権利濫用該当性の要件を満たしているということはできない。そうだとすると,原告の本件掲示物③の撤去には,補助参 できず,手続的相当性を欠くともいえず,同撤去は,その余の点について判断するまでもなく,権利濫用該当性の要件を満たしているということはできない。そうだとすると,原告の本件掲示物③の撤去には,補助参加人らの活動に対する不当労働行為(支配介入)意思がなかったとの特段の事情が存在するというべきである。よって,原告の本件掲示物③の撤去行為は不当労働行為には該当しない。 (3)本件掲示物④,⑤についてア認定事実前記争いのない事実等,証拠(文末に掲記したもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(なお,当事者間に争いのない事実は,文末に証拠等を掲記しない)。 (ア)補助参加人分会は,平成7年7月27日ころ,本件掲示物④を組合掲示板に掲示した。 (イ)本件掲示物④には,概略,以下のような記載がされている。すなわち「不良管理者による一切の脱退工作・組織破壊攻撃を許さない!」との太字,大文字での見出しに続き,「会社は,今まさに職場の強権的支配体制の完成にむけて,あらゆる手段を使って,JR東海労組織の破壊に狂奔している。」「その一手段として,大一両の一部不良管理者は, 今もなお日常的にJR東海労組合員に対して,脱退→ユニオン加入の攻撃をなりふりかまわず行っている。それは,あたかも本人=JR東海労組合員の将来を心配しているかのごとき言動を吐きながら,しかし,実際は,JR東海労を脱退させることによって,不良管理者自身の点数稼ぎと,出世のために行っているだけにすぎない。」「職場では,この不良管理者は,管理者としての己の能力が他の管理者と比較して劣る傾向にあることが噂されているのだが・・・。」と記載されている。そして,「その手口は,例えば,」との大文字のリード部分に続き,「(1)ある管理者が,7月16日,JR東海労のA組合員に『そろ して劣る傾向にあることが噂されているのだが・・・。」と記載されている。そして,「その手口は,例えば,」との大文字のリード部分に続き,「(1)ある管理者が,7月16日,JR東海労のA組合員に『そろそろ考えてみーひんか』と,JR東海労脱退を慫慂している,(2)7月20日には,P4計画助役が,JR東海労のB組合員が仕事で出勤して自宅には不在である22時頃,自宅にTELして,奥さんに『甲子園の切符があるけど行きませんか』と言っている,等々ということを,大一両の一部不良管理者が,ごく最近,わがJR東海労組合員に言ってきている。」「また,6月23日にJR東海労を脱退したP21に,大一両・P8助役が,『JR東海労脱退届とユニオン加入届』を手渡していたことを,我々は,明らかにしてきた。」「我々は,まずもって,この不良管理者が行っている犯罪性について,ハッキリとさせておかなければならない。」「まず第一には,会社は,JR東海労の破壊を,不当にも史上命題にしているとはいえ,この不良管理者は,現場で噂されているように,管理者としての能力が劣る傾向にあるということである。その己の無能ぶりを省りみず,または己の『チョンボ』を帳消しにして,それをフォローし,自己の出世のために,あたりまえの労働組合=JR東海労からの脱退をそそのかしているのだ。」「第二には,そのために,不良管理者は,多くの場合,JR東海労組合員の不安を過剰にあおりつつ,会社組織内での管理者という地位・影響力を背景にして,利益誘導によって,組合組 織を脱退させようとしていることである。」との記載がされている。 (ウ)P17所長から所長代理の発令を受けていたP1総務科長は,本件掲示物④は,本件基本協約第228条に違反すると判断し,P4助役に対し,補助参加人分会への撤去通告を指示した。これを受 れている。 (ウ)P17所長から所長代理の発令を受けていたP1総務科長は,本件掲示物④は,本件基本協約第228条に違反すると判断し,P4助役に対し,補助参加人分会への撤去通告を指示した。これを受けて,P4助役は,平成7年7月28日午前零時35分ころ,仕業班詰所において,P16執行委員に対し,本件掲示物④を同日朝までに撤去するよう通告した(なお,P4助役がP16執行委員に対し撤去通告したのは,P26分会長及びP27書記長が年休で不在であったからである。)。また,P4助役は,平成7年7月28日午前8時40分ころ,P16執行委員に対し,再度,本件掲示物④を同日正午までに撤去するよう通告した。 さらに,P1総務科長は,平成7年7月28日午前11時20分ころ,P26分会長に対し,本件掲示物④を同日午後6時30分までに撤去すること,撤去しない場合には原告側で撤去することを通告した。(乙62,63)(エ)P4助役及びP5助役らは,補助参加人分会が前記(ウ)の通告に従わなかったため,平成7年7月28日午後6時30分過ぎ,本件掲示物④を組合掲示板から撤去し,これを総務科で保管した。 (オ)P26分会長は,前記(エ)の本件掲示物④の撤去の直後,P4助役に対し,同撤去について抗議したうえ,同掲示物の返還を求めた。これを受けて,P5助役は,P26分会長に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告したうえ,本件掲示物④を返還した(乙63)。 (カ)補助参加人分会は,平成7年7月29日ころ,再度,本件掲示物④を組合掲示板に掲示した。P6助役及びP7助役は,平成7年7月29日午後11時ころ,仕業班詰所において,P26分会長に対し,本件掲示物④を同月30日退出点呼から同日午前8時40分までの間に撤去すること,撤去しない場合には原告側で撤去することを通告した。 7月29日午後11時ころ,仕業班詰所において,P26分会長に対し,本件掲示物④を同月30日退出点呼から同日午前8時40分までの間に撤去すること,撤去しない場合には原告側で撤去することを通告した。さらに, P7助役は,平成7年7月30日午前8時30分ころ,検修員詰所において,P26分会長に対し,再度,本件掲示物④の撤去を通告をした。 P6助役及びP7助役は,補助参加人分会が前記撤去通告に従わなかったため,平成7年7月30日午前8時50分過ぎ,本件掲示物④を組合掲示板から撤去し,これを総務科で保管した。(乙62)(キ)補助参加人分会は,平成7年7月31日ころ,本件掲示物⑤を組合掲示板に掲示した。 (ク)本件掲示物⑤には,概略,以下のような記載がされている。すなわち「勝手に組合の掲示を外すな!!」との太字,大文字での見出しに続き,「またしても,大一両の現場管理者が,企業権力を盾にして,やりたい放題のことをやっている。勝手に・一方的に,組合の掲示を外し,持ち去っている。」「そもそも,この掲示は,『不良管理者による一切の脱退工作・組織破壊攻撃を許さない!』と題したものである。」「私たちJR東海労大一両分会は,この掲示を,7月27日(土),食堂の掲示板に張り出した。ところが,大一両の現場管理者は,この掲示を,2度にわたって勝手に外したのである。」「7月28日(金)0:30分頃P4計画助役が,仕事中の分会執行委員に,『管理者の名前の書いてある掲示を明日の朝,外して下さい』と一方的に言う。」「7月29日(土)23:15分頃P6助役とP7助役が,仕事中の分会長に『個人名が書いてあり,掲示としてふさわしくないので,7月30日の8時40分をもって外して下さい。外さない場合は,P7助役の責任において外し,保管します』」「大一両の現場管理者は, 仕事中の分会長に『個人名が書いてあり,掲示としてふさわしくないので,7月30日の8時40分をもって外して下さい。外さない場合は,P7助役の責任において外し,保管します』」「大一両の現場管理者は,『管理者の名前が書いてあるから』とか『個人の名前が書いてあるから』ということを『理由』にして,この掲示を2度にわたって,勝手に外した。(ちなみに,大一両の管理者は,P30係長の名前が書いてある掲示には,なんらケチをつけていない。このことは,管理者自身の自己保身でしかないこと を如実に示している)」「私たちJR東海労大一両分会は,満身の怒りをこめて,この暴挙を弾劾する!そして,大一両の現場管理者が,必死になってこの掲示を外そうとした真相を暴露する。」「そもそも,大一両の現場管理者が,ここで言っている『名前』とは,7月28日に掲示を外したP4計画助役その人であり,P4助役が,JR東海労の組合員......... が仕事で留守になった自宅に22時頃電話して,奥さんに「甲子園の切符がありますが行きませんか」と言っていたことや,P8助役が6月2.... 0日にJR東海労を脱退したP21に『JR東海労の脱退届とユニオンの加入届』を手渡していたこと,また,ある助役がある組合員にJR東海労の脱退を慫慂していた事実を,我々は明らかにした。」「つまり,大一両の現場管理者は『名前が書いているから』といいつつ,憲法で禁止されている“検閲”をやっているのだ」との記載がされている。 (ケ)P2助役は,所長代理であるP1総務科長が不在であったため,P4助役と協議のうえ,本件掲示物⑤は本件基本協約第228条に違反すると判断し,大一両助役P31(以下「P31助役」という。)に対し,補助参加人分会への撤去通告を指示した。これを受けて,P31助役は,平成7年7月31日午 件掲示物⑤は本件基本協約第228条に違反すると判断し,大一両助役P31(以下「P31助役」という。)に対し,補助参加人分会への撤去通告を指示した。これを受けて,P31助役は,平成7年7月31日午後5時40分ころ,仕業班詰所において,P16執行委員に対し,本件掲示物⑤を同日午後6時15分までに撤去すること,撤去しない場合には原告側で撤去することを通告した(なお,P31助役が,P16執行委員に対して撤去通告をしたのは,P26分会長が公休であり,P27書記長も非番で既に退社していたからであった。)。(乙62)(コ)補助参加人分会は,前記(ケ)の通告に従わなかった。そこで,P3技術科長,P4助役及びP5助役は,平成7年7月31日午後7時30分ころ,本件掲示物⑤を組合掲示板から撤去し,これを総務科で保管した。 (サ)P2助役は,平成7年8月1日午前8時50分ころ,本件掲示物①ないし⑤の返還を求めて総務科に赴いたP16執行委員に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告したうえ,同掲示物を返還した。(乙62)(シ)補助参加人分会は,平成7年8月1日,再度,本件掲示物⑤を組合掲示板に掲示した。P1総務科長及びP2助役は,平成7年8月1日午後2時15分ころ,再度,本件掲示物⑤を組合掲示板から撤去し,これを総務科で保管した。 (ス)P16執行委員は,平成7年8月1日午後5時ころ,総務課を訪れ,前記(シ)の本件掲示物⑤の撤去について抗議するとともに,関西支社設置の地方苦情処理会議(以下「苦情処理会議」という。)に対し,前記(ケ)の撤去通知が休憩時間中に行われ,休憩時間の自由利用を妨げられたとして,苦情申告票を提出した。その際,P2助役は,P16執行委員に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告したうえ,本件掲示物⑤を返還した。なお, 憩時間中に行われ,休憩時間の自由利用を妨げられたとして,苦情申告票を提出した。その際,P2助役は,P16執行委員に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告したうえ,本件掲示物⑤を返還した。なお,苦情処理会議幹事であるP15関西地本書記長とP14課長代理は,平成7年8月4日,前記苦情申告について事前審理を行い,同申告を却下する旨合意した。 イ 判断 前記のとおり,本件掲示物④の撤去については,補助参加人らにおいて中労委の不当労働行為に当たらないとの判断を争っておらず,本訴では争点となっていないので,以下,同⑤の撤去の撤去要件該当性,権利濫用該当性について判断することにする。 (ア)撤去要件該当性について前記ア(ク)によれば,本件掲示物⑤は,大一両の現場管理者であるP4助役,P6助役,P7助役らが,管理者や個人名の記載があるとの理由で,2度にわたり,勝手に,本件掲示物④を組合掲示板から外して持 ち去っているとの事実を摘示しているが,かかる事実は,会社の信用を傷つけるとともに,管理者個人を誹謗しているものと評価することができる。また,本件掲示物⑤は,このような掲示物撤去は,管理者自身の自己保身でしかないとの意見ないし論評をしているが,かかる内容は,同人らを誹謗しているものと評価することができる。さらに,本件掲示物⑤は,大一両の現場管理者が行っていることは憲法で禁止されている検閲に当たるとの意見ないし論評をしているが,かかる内容は,会社の信用を傷つけるとともに,現場管理者らを誹謗しているものと評価することができる。 以上によれば,本件掲示物⑤は,撤去要件該当性の要件を満たしていることが明らかである。 (イ)権利濫用該当性についてそこで,続いて,本件掲示物⑤に関する権利濫用該当性の有無について検討することにする。 a記載内容の真 ⑤は,撤去要件該当性の要件を満たしていることが明らかである。 (イ)権利濫用該当性についてそこで,続いて,本件掲示物⑤に関する権利濫用該当性の有無について検討することにする。 a記載内容の真実性について本件掲示物⑤は,大一両の現場管理者であるP4助役,P6助役,P7助役らが勝手に本件掲示物④を撤去したとの記載をしている。しかし,本件掲示物④の撤去の経緯は,前記ア(ウ)ないし(カ)のとおりである。すなわち,原告は,本件掲示物④が本件撤去要件に該当するため,P16執行委員ないしP26分会長に対し,3度にわたり,同掲示物の撤去を要請したが,同分会がこれに従わなかったため,自らこれを撤去したこと,P4助役は,撤去した同掲示物を返還する際,P26分会長に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告していたこと,原告は,補助参加人分会が前記通告に反して,再び,同掲示物を掲示したため,P26分会長に対し,2度にわたり,同掲示物の撤去を要請したが,同分会がこれに従わなかったため,自らこれを撤去 したことが認められる。このような,本件掲示物④の撤去の経緯に照らすと,P4助役,P6助役,P7助役らが,同掲示物を勝手に撤去したとの事実を認めることはできず,補助参加人らにおいて,これが真実であると信じるについて相当な理由も認められない。 b意見ないし論評について前記aのとおり,P4助役,P6助役,P7助役らが本件掲示物④を勝手に撤去したとの事実を認めることはできず,補助参加人らが本件掲示物⑤において,P4助役らが本件掲示物④を勝手に撤去したことを前提に,P4助役らの撤去を自己保身,検閲などと意見ないし論評したことは正当なものとはいえない。 c手続的正当性について証拠(乙84【19ないし23頁】)よれば,P31助役は,平成7年7月31日午後5 ,P4助役らの撤去を自己保身,検閲などと意見ないし論評したことは正当なものとはいえない。 c手続的正当性について証拠(乙84【19ないし23頁】)よれば,P31助役は,平成7年7月31日午後5時40分ころから,P16執行委員に対し,本件掲示物⑤の撤去について,事前通告を行ったが,同人が同日午後5時57分ころまで抗議を続けたため,同人の休憩時間内に本件掲示物⑤を撤去することが困難になったことが認められる。この点に関し,P16執行委員は,本件掲示物⑤の撤去通告を受けたのは,平成7年7月31日午後5時57分であったと供述する(乙27,78【14,15頁】)が,前記通告がされた仕業班詰所から本件掲示板が設置されている庁舎までは往復で約10分間かかるところ(乙78【15頁】),P31助役が通告からわずか15分間での撤去を通告したとは考え難く,前記P16執行委員の供述は採用することができない。 なお,仮に前記通告時間が,平成7年7月31日午後5時57分であったとしても,実際に撤去が行われたのは同日午後7時30分であり(前記ア(コ)),補助参加人分会として撤去通告に従う意思があれば,撤去が可能であったといえ,これをもって原告の撤去手続が不相当で あったとはいえない。 また,前記ア(シ)によれば,P1総務科長は,再度掲示された本件掲示物⑤について,発見後直ちに撤去したことが認められる。しかし,本件撤去要件に該当する掲示物の撤去について事前通告を定めた規定はないうえ(前記前提事実(4)ア),P2助役は,本件掲示物⑤の返還に際し,P16執行委員に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告していたのであるから(前記ア(サ)),原告の本件掲示物⑤の2度目の撤去手続が不相当であったとはいえない。 以上のとおり,本件掲示物⑤の2度の撤去は,手続的相当性を 同じものを掲示すれば撤去する旨通告していたのであるから(前記ア(サ)),原告の本件掲示物⑤の2度目の撤去手続が不相当であったとはいえない。 以上のとおり,本件掲示物⑤の2度の撤去は,手続的相当性を欠くものであったということはできない。 d以上,aないしcによれば,原告の本件掲示物⑤の撤去行為には,権利濫用該当性の要件を満たすまでの事情は存在しないということができる。 (ウ)小括以上検討したとおり,原告の本件掲示物⑤の撤去は,撤去要件該当性の要件を満たしている。他方,本件掲示物⑤に記載された事実及び意見ないし論評の前提となっている事実については,真実であるか,補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があったと認めることはできず,手続的相当性を欠くともいえず,同撤去は,その余の点について判断するまでもなく,権利濫用該当性の要件を満たしているということはできない。そうだとすると,原告の本件掲示物⑤の撤去には,補助参加人らの活動に対する不当労働行為(支配介入)意思がなかったとの特段の事情が存在するというべきである。よって,原告の本件掲示物⑤の撤去行為は不当労働行為には該当しない。 (4)本件掲示物⑥,⑦についてア認定事実 前記争いのない事実等,証拠(文末に掲記したもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(なお,当事者間に争いのない事実は,文末に証拠等を掲記しない)。 (ア)補助参加人分会は,平成7年8月10日ころ,本件掲示物⑥,⑦を組合掲示板に掲示した。 (イ)本件掲示物⑥には,概略,以下のような記載がされている。すなわち「もうガマンも限界だ!!」「地方苦情処理会議へ2件の苦情を申告!」との太字,大文字での見出しに続き,「(1)一件目は,P32執行委員が,7月29日『平成7年8月分,仕業班勤務指定表 いる。すなわち「もうガマンも限界だ!!」「地方苦情処理会議へ2件の苦情を申告!」との太字,大文字での見出しに続き,「(1)一件目は,P32執行委員が,7月29日『平成7年8月分,仕業班勤務指定表の8月12日分の勤務について』の苦情を申告した。」「なぜなら,①その背景・経過として,同執行委員は,6月分の勤務において6月10日の『公休』と6月11日の『日勤』の勤務変更をP6助役に申し出ていた。」「それにP6助役は,『それならば,6月11日の『日勤』を『年休』で申し込んで下さい』と言ってきた。一方,P33助役は,『変更は出来ません。勤務指定表通りです。』と,同執行委員の勤務変更の申し出を“拒否”したのであった。」「②その後,7月25日に発表された『8月分の勤務指定表』では,なんと同執行委員の8月11・12・13日の勤務は,11日『公』,12日『-』(非番),13日『年』というわけのわからない勤務になっていたのである。」「③・・・すると,同執行委員の8月11日『公休』,12日『非番』の出退時間や点呼場所等はどうなるのか?P8助役に聞いたが,何ら返答がない。そこで,地方苦情処理会議に苦情を申告したのである。」「(2)二件目は,P16執行委員が,8月1日『7月31日,17:30~18:15分までの休憩時間の取扱いについて』の苦情を申告した。」「仮に,『掲示を外す』としても,現場詰所から庁舎3F食堂の掲示板までは,徒歩で約5分,往復で約10分かかる。しかも,電車の入出庫にかかると,休憩時間が 終了する18:15分までに現場詰所に戻れないことが,充分想定できる。だから,同執行委員は,P4計画助役に『この場合,勤務時間中の組合活動としてひっかけるのか』と聞くと,同計画助役は,『それはそういうことになります』と,『勤務時間中の組合活動として処 分想定できる。だから,同執行委員は,P4計画助役に『この場合,勤務時間中の組合活動としてひっかけるのか』と聞くと,同計画助役は,『それはそういうことになります』と,『勤務時間中の組合活動として処分の対象にする』かのごとき言動を吐いているのだ。」「だから,同執行委員は,これらのことについて,苦情処理を申告したのである。」「関西支社,『現場を指導します』と回答!」「8月4日,JR東海労新幹線関西地本と関西支社との間で,この苦情処理の事前審議が行われたようである。 組合側からは,会社へ苦情申告に至る経過を告げた。それに会社側(P14人事課々長代理)からは,『掲示の取扱いには,労使双方見解の違いがある』が,この二件への現場管理者の対応を疑問視するようなことが言われたようだ。」「具体的には『P8助役とP4助役を指導します』ということらしい。『極めて質の低い不勉強な現場管理者に,口のきき方,協約協定の解釈のし方等,現場をしっかり指導します」というように。」との記載がされている。 (ウ)本件掲示物⑦は,補助参加人組合の機関誌「○○」№22号(1995年8月5日付け)であり,概略,以下のような記載がされている。 すなわち「“黒を白と言い張る”勤労情報NO11」との太字,大文字での見出しに続き,「会社は,P34さんと同じ職場(東一両)のP34さんより先輩の8名の他労組社員(P34さんはまだ54才になったばかりだが,8名の先輩の中にはすでに55才を過ぎ,85%賃金になっている人もいるのです。)には『出向先がない』と具体的な出向打診もせず,『第三東海』への出向を希望もしていないP34さんにだけ,『第三東海』への出向を強要してきたのです。」「P34さんは当然,『なぜ私なのですか?』『他に出向先がないのなら,私より先輩から話があって当然ではないのですか? を希望もしていないP34さんにだけ,『第三東海』への出向を強要してきたのです。」「P34さんは当然,『なぜ私なのですか?』『他に出向先がないのなら,私より先輩から話があって当然ではないのですか?」と,面談時に東一両副所長に質問し たのです。しかし,副所長は『P34さんが適任だ』と主張するのみで,P34さんの率直な質問にはまったく答えていないのです。」「これでは『特別意思表示期間を設けて,本人の進路希望を聞く』という協定議事録確認や,『合意云々とはならないが,理解を得る取り組みを行い,トラブルを起こさないようにする』という団交経過に反するものでしかありません。」「しかし,現実は,まったく正当な理由もなく(P34さんがJR東海労に所属していることだけが理由なのだ!),本人のみならず誰が見ても客観的におかしいP34さんへの出向命令を強引におこなったのです。」「協定・同議事録・団交経過を無視した一方的な差別出向・・・」との記載がされている。次いで,「JR東海会社の態度は許せない!」との太字,大文字でのリード部分に続き,「会社は,自らが協定・同議事録確認・団交経過を無視した無責任な態度をとっていながら,・・・」「このように,私たちJR東海労のごくあたりまえの主張を,JR東海会社は自分たちの都合がいいように歪曲・デッチ上げ・“黒を白と言い張り”自分たちのみが唯一正しいように主張しているのです。」との記載がされている。 (エ)P17所長は,P4助役及び関西支社人事課に事実を確認したうえ,本件掲示物⑥,⑦は,本件基本協約第228条に違反すると判断し,P4助役に対し,補助参加人分会への撤去通告を指示した。これを受けて,P4助役は,平成7年8月14日午後3時15分ころ,仕業班詰所において,P26分会長に対し,本件掲示物⑥,⑦を同日午後6時まで ,P4助役に対し,補助参加人分会への撤去通告を指示した。これを受けて,P4助役は,平成7年8月14日午後3時15分ころ,仕業班詰所において,P26分会長に対し,本件掲示物⑥,⑦を同日午後6時までに撤去すること,撤去しない場合には原告側で撤去することを通告した。 (乙62)(オ)補助参加人分会は,前記(エ)の通告に従わなかった。そこで,P4助役は,平成7年8月14日午後6時20分ころ,本件掲示物⑥,⑦を組合掲示板から撤去した。そして,P4助役は,その場にいたP26分 会長に対し,同じものを掲示すれば通告することなく撤去する旨通告したうえ,本件掲示物⑥,⑦を返還した。(乙62)(カ)補助参加人分会は,平成7年8月15日ころ,再度,本件掲示物⑥,⑦を組合掲示板に掲示し,P1総務科長及びP2助役は,同日午前9時過ぎ,再度,本件掲示物⑥,⑦を組合掲示板から撤去し,これらを総務科で保管した。 イ 判断 (ア)撤去要件該当性についてa前記ア(イ)によれば,本件掲示物⑥は,P14課長代理が,地方苦情処理会議の事前審理において,P8助役とP4助役ら極めて質の低い不勉強な現場管理者を指導するなどと述べていた事実を摘示しているが,かかる事実は,会社の信用を傷つけるとともに,P8助役らを誹謗していると評価することができる。 b前記ア(ウ)によれば,本件掲示物⑦は,原告が,東京第一車両所において,補助参加人組合員P34に対し,希望していないにもかかわらず,「第三東海」への出向を命じたこと,このような出向は,協定・同議事録確認・団交経過を無視しているとの事実を摘示するとともに,同出向は,正当な理由がなく,補助参加人組合に所属していることだけが理由の差別出向であるとの意見ないし論評をしているが,かかる事実ないし内容は,会社の信用を傷つけるもの との事実を摘示するとともに,同出向は,正当な理由がなく,補助参加人組合に所属していることだけが理由の差別出向であるとの意見ないし論評をしているが,かかる事実ないし内容は,会社の信用を傷つけるものであると評価することができる。 c以上によれば,本件掲示物⑥,⑦は,いずれも撤去要件該当性の要件を満たしていることが明らかである。 (イ)権利濫用該当性についてそこで,続いて,本件掲示物⑥,⑦に関する権利濫用該当性の有無について検討することにする。 a記載内容の真実性について(a)本件掲示物⑥の記載についてP16執行委員は,P14課長代理が地方苦情処理会議の事前審理において,P15関西地本書記長に対し,助役らを指導する旨述べていたことについて,P15関西地本書記長から聞いた旨供述している(乙78【17頁】,79【38頁】)。しかし,原告は,P14課長代理が,P15関西地本書記長に対し,助役らを指導する旨述べたことを否認し,P17所長は,P2助役をして,関西支社人事課に前記事実を確認させたところ,P14課長代理がそのような発言をしたことを否定していたと供述する。このように,P16執行委員とP17所長の供述は相反するところ,当事者であるP14課長代理及びP15関西地本書記長について,証言ないし陳述書の提出もなく,他にP14課長代理が,P15関西地本書記長に対し,助役らを指導する旨述べたと認めるに足りる証拠は存在しない。また,本件全証拠によるも,補助参加人らが,P14課長代理のP15関西地本書記長に対する発言について,関係当事者から事実を確認するなどして裏付けを行ったとの事情もうかがえず,前記事実を真実と信じるにつき相当な理由があったともいえない。 (b)本件掲示物⑦の記載について補助参加人らは,本件掲示物⑦に記載された事実 実を確認するなどして裏付けを行ったとの事情もうかがえず,前記事実を真実と信じるにつき相当な理由があったともいえない。 (b)本件掲示物⑦の記載について補助参加人らは,本件掲示物⑦に記載された事実について,当該事実が真実であるか,真実と信じるについて相当な理由があるかについて,何ら立証していない。そして,本件全証拠によるも,本件掲示物⑦に記載された事実が真実であるか,補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があるかについて,これを認めるに足りる証拠は存在しない。 b意見ないし論評について 前記a(b)のとおり,補助参加人らは,本件掲示物⑦に記載された意見ないし論評の前提となる事実について,真実であるか,真実であると信じるについて相当な理由があるかについて,何ら立証していない。このように,補助参加人らが,根拠もなく,原告が補助参加人組合員を差別出向させているなどと意見ないし論評することは,正当な組合活動とは認め難い。 c手続的正当性について前記ア(エ)によれば,原告は,本件掲示物⑥,⑦の1回目の撤去に当たり,補助参加人分会に対する事前通告を行っており,同掲示物の撤去が手続的相当性を欠くものであったということはできない。また,前記ア(カ)によれば,P1総務科長及びP2助役は,再度掲示された本件掲示物⑥,⑦について,発見後直ちに撤去したことが認められる。 しかし,本件撤去要件に該当する掲示物の撤去について事前通告を定めた規定はないうえ(前記前提事実(4)ア),P4助役は,本件掲示物⑥,⑦の返還に際し,P26分会長に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告していたのであるから(前記ア(オ)),原告の同掲示物の2回目の撤去手続が不相当であったということはできない。 以上のとおり,本件掲示物⑥,⑦の2度の撤去が手続的相当性を欠 を掲示すれば撤去する旨通告していたのであるから(前記ア(オ)),原告の同掲示物の2回目の撤去手続が不相当であったということはできない。 以上のとおり,本件掲示物⑥,⑦の2度の撤去が手続的相当性を欠くものであったということはできない。 d以上,aないしcによれば,原告の本件掲示物⑥,⑦の各撤去行為には,権利濫用該当性の要件を満たすまでの事情は存在しないということができる。 (ウ)小括以上検討したとおり,原告の本件掲示物⑥,⑦の各撤去は,いずれも撤去要件該当性の要件を満たしている。他方,本件掲示物⑥,⑦に記載された事実及び意見ないし論評の前提となる事実については,真実であ るか,補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があったと認めることはできず,手続的相当性を欠くともいえず,同撤去は,その余の点について判断するまでもなく,権利濫用該当性の要件を満たしているということはできない。そうだとすると,原告の本件掲示物⑥,⑦の各撤去には,補助参加人らの活動に対する不当労働行為(支配介入)意思がなかったとの特段の事情が存在するというべきである。よって,原告の本件掲示物⑥,⑦の各撤去行為は不当労働行為には該当しない。 (5)本件掲示物⑧についてア認定事実前記争いのない事実等,証拠(文末に掲記したもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(なお,当事者間に争いのない事実は,文末に証拠等を掲記しない)。 (ア)補助参加人分会は,平成7年8月16日ころ,本件掲示物⑧を組合掲示板に掲示した。 (イ)本件掲示物⑧には,概略,以下のような記載がされている。すなわち,「もう許せん!!」「無通告で組合掲示を撤去!」との太字,大文字での見出しに続き,本件掲示物⑥の要約として,「6月分の勤務でP33助役は『勤務変更は出来ません。 のような記載がされている。すなわち,「もう許せん!!」「無通告で組合掲示を撤去!」との太字,大文字での見出しに続き,本件掲示物⑥の要約として,「6月分の勤務でP33助役は『勤務変更は出来ません。勤務指定表通りです』と言っていたが,・・・」「7月31日,P31助役が・・・P16執行委員の・・・自由な休憩時間を規制し,かつ,組合活動へ不当に介入した。」「P4助役は,・・・仮に組合掲示を外したとしても『休憩時間が終了するまでに作業班現場詰所に戻らなければ,・・・処分の対象にする』かのごとき言動を吐いていた・・・」「関西支社のP14人事課々長代理は,事前審議において『極めて質の低い,不勉強な現場管理者に口のきき方,協約協定の解釈のし方等,現場をしっかり指導します』『P8助役とP4助役を指導します』と答えている。」などと記載されている。次いで, 「またまた,P4計画助役登場!」との大文字でのリード部分に続いて,「この掲示についても,いまや社員の間から『大一両のハネ上がり助役』と噂されているP4計画助役がまたまた登場し,規制を加えてきた。」「・・・P4計画助役と,その『腰巾着』と社員の間では噂されている若いP35助役が構内詰所にやってきた。」との記載がされている。さらに,「エスカレートする組合掲示の撤去!組合役員の目前で外す→無通告で外す→今後は誰が外したかを言わない!」との大文字でのリード部分に続いて,「昼には,無通告で外されていた。」「このような行為(掲示物を無断で外し,誰が外したかを言わない)を,世間では『泥棒』と言っている。」「もはや狂乱した大一両の管理者には,自分たちが『泥棒』という犯罪行為をしようとしていることが理解できなくなってしまっているのだ。」との記載がされている。最後に,「問題の核心は事実の隠蔽だ!」との大文字での 乱した大一両の管理者には,自分たちが『泥棒』という犯罪行為をしようとしていることが理解できなくなってしまっているのだ。」との記載がされている。最後に,「問題の核心は事実の隠蔽だ!」との大文字でのリード部分に続いて,「・・・なぜ大一両の管理者がこのような気違いじみた攻撃をかけてきているのかを,ハッキリさせておかなければならない。」「7月28日,P4計画助役らが,『不良管理者による一切の脱退工作・組織破壊攻撃を許さない!』という掲示を勝手に外したが,・・・」「私たちJR東海労は,こうした事実を隠蔽するための・泥棒まがいにエスカレートする組合掲示物の無断撤去を絶対に許さない。」との記載がされている。 (ウ)P17所長は,本件掲示物⑧は本件基本協約第228条に違反するうえ,従前撤去した本件掲示物④ないし⑥と同様な内容であったことから,P1総務科長に対し,本件掲示物⑧を直ちに撤去するよう指示した。 これを受けて,P1総務科長及びP3技術科長は,平成7年8月16日午後3時30分ころ,本件掲示物⑧を撤去したうえ,これを総務科で保管した。(乙62)(エ)P1総務科長は,平成7年8月16日午後6時5分ころ,総務科に 赴いたP27書記長に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告したうえ,本件掲示物⑥ないし⑧を返還した。 (オ)補助参加人分会は,平成7年8月18日ころ,再度,本件掲示物⑧を組合掲示板に掲示した。そこで,P1総務科長及びP2助役は,平成7年8月18日午前11時過ぎ,再度,本件掲示物⑧を組合掲示板から撤去し,これを総務科で保管した。 (カ)P2助役は,平成7年8月18日午後7時10分ころ,本件掲示物⑧の返還を求めて総務科に赴いたP16執行委員に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告したうえ,本件掲示物⑧を返還した。 (キ)P2 P2助役は,平成7年8月18日午後7時10分ころ,本件掲示物⑧の返還を求めて総務科に赴いたP16執行委員に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告したうえ,本件掲示物⑧を返還した。 (キ)P27書記長は,平成7年8月25日,苦情処理会議に対し,前記(オ)の本件掲示物⑧の撤去は無通告で行われたとの苦情申告票を提出した。 イ 判断 (ア)撤去要件該当性について前記ア(イ)によれば,本件掲示物⑧は,同⑥に記載されていたP14課長代理のP15関西地本書記長に対する発言を摘示しているが,かかる事実は,前記(4)で判断したと同様に,会社の信用を傷つけるとともに,個人を誹謗しているものと評価することができる。また,本件掲示物⑧は,P4助役を「大一両のハネ上がり助役」と,P35助役をその「腰巾着」と噂されているとの事実を摘示しているが,かかる事実は,同人らを誹謗しているものと評価することができる。さらに,本件掲示物⑧は,原告が補助参加人分会の掲示物を無断で外したとの事実を摘示するとともに,かかる撤去行為は狂乱した大一両管理者による泥棒である,気違いじみた攻撃であるなどとの意見ないし論評をしているが,かかる内容は,会社の信用を傷つけるとともに,管理者らを誹謗しているものと評価することができる。 以上によれば,本件掲示物⑧は,撤去要件該当性の要件を満たしていることが明らかである。 (イ)権利濫用該当性についてそこで,続いて,本件掲示物⑧に関する権利濫用該当性の有無について検討することにする。 a記載内容の真実性について(a)前記(4)イ(イ)a(a)のとおり,P14課長代理の苦情処理の事前審理におけるP15関西地本書記長に対する発言は,真実と認めるに足りる証拠はなく,補助参加人らにおいて,これを真実と信じるにつき相当な理由があった )a(a)のとおり,P14課長代理の苦情処理の事前審理におけるP15関西地本書記長に対する発言は,真実と認めるに足りる証拠はなく,補助参加人らにおいて,これを真実と信じるにつき相当な理由があったともいえない。 (b)補助参加人らは,P4助役を「大一両のハネ上がり助役」と,P35助役をその「腰巾着」と噂されているとの事実について,当該事実が真実であるか,真実と信じるについて相当な理由があるかについて,何ら立証していない。そして,本件全証拠によるも,本件掲示物⑧に記載された事実が真実であるか,補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があるかについて,これを認めるに足りる証拠は存在しない。 (c)前記(4)イ(イ)cによれば,原告の管理者らが,補助参加人分会の掲示物を無断で撤去したとの事実が真実であるとは認められず,また,補助参加人らにおいて,これを真実と信じるにつき相当な理由があったとは認められない。 b意見ないし論評について前記aのとおり,原告の管理者らが,補助参加人分会の掲示物を無断で撤去したとはいえないにもかかわらず,補助参加人らが,原告管理者による掲示物撤去を狂乱した大一両管理者による泥棒,気違いじみた攻撃などと意見ないし論評することは,正当な組合活動と認める ことは困難であり,また,大一両管理者を「泥棒」,「気違いじみた」と表現することも,正当な表現活動の域を超えているというべきである。 c手続的正当性について前記ア(ウ)によれば,原告は,本件掲示物⑧について,補助参加人分会に対する事前通告を行わずに1回目の撤去を行ったことが認められるものの,前記前提事実(4)アによれば,本件撤去要件に該当する掲示物の撤去について,原告から補助参加人らへの事前通告を定めた規定は存在せず,原告らが無用なトラブルを避ける 去を行ったことが認められるものの,前記前提事実(4)アによれば,本件撤去要件に該当する掲示物の撤去について,原告から補助参加人らへの事前通告を定めた規定は存在せず,原告らが無用なトラブルを避けるため原則として事前通告をしていたにすぎないことが認められる。そして,前記(4)ア(イ),(5)ア(イ)によれば,本件掲示物⑧は,本件掲示物⑥の要約を記載するとともに,同掲示物の撤去について意見ないし論評するものであって,原告は,本件掲示物⑧が同⑥と概ね同内容であったため,事前通告をすることなく撤去したものと認められる。そうだとすると,本件掲示物⑧の1回目の撤去が手続的相当性を欠くとまではいえない。 また,前記ア(エ)によれば,P1総務科長及びP2助役は,再度掲示された本件掲示物⑧について,発見後直ちに撤去したことが認められる。しかし,本件撤去要件に該当する掲示物の撤去について事前通告を定めた規定はないうえ(前記前提事実(4)ア),P1総務科長は,本件掲示物⑧の返還に際し,P27書記長に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告していたのであるから(前記ア(エ)),原告の2度目の本件掲示物⑧の撤去手続が不相当であったともいえない。 以上のとおり,本件掲示物⑧の2度の撤去が手続的相当性を欠くものであったということはできない。 d以上,aないしcによれば,原告の本件掲示物⑧の撤去行為には,権利濫用該当性の要件を満たすまでの事情は存在しないということが できる。 (ウ)小括以上検討したとおり,原告の本件掲示物⑧の撤去は,撤去要件該当性の要件を満たしている。他方,本件掲示物⑧に記載された事実及び意見ないし論評の前提となる事実については,真実であるか,補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があったと認めることはできず,手続的相当性を欠 いる。他方,本件掲示物⑧に記載された事実及び意見ないし論評の前提となる事実については,真実であるか,補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があったと認めることはできず,手続的相当性を欠くともいえず,同撤去は,その余の点について判断するまでもなく,権利濫用該当性の要件を満たしているということはできない。そうだとすると,原告の本件掲示物⑧の撤去には,補助参加人らの活動に対する不当労働行為(支配介入)意思がなかったとの特段の事情が存在するというべきである。よって,原告の本件掲示物⑧の撤去行為は不当労働行為には該当しない。 (6)本件掲示物⑨についてア認定事実前記争いのない事実等,証拠(文末に掲記したもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(なお,当事者間に争いのない事実は,文末に証拠等を掲記しない)。 (ア)補助参加人分会は,平成8年4月30日ころ,本件掲示物⑨を組合掲示板に掲示した。 (イ)本件掲示物⑨は,補助参加人分会青婦部の機関誌「○○」№4(1996.4.25付け)であるが,概略,以下のような記載がされている。すなわち「退職者まで利用するP3技術科長の意図は?!」との太字,大文字での見出し,「P3技術科長がH氏に行った『相談』とは!?』との大文字でのリード部分に続き,P3技術科長が,退職したかつての上司H氏を私的に訪ね,飲食した際の状況について,「なぜP3技術科長が下関まで行き,・・・H氏に会いに行ったのか?」「それは,H氏に 相談があったためであり,その相談とは,H氏がJR東海会社大一両列車班で働いていた当時,一緒に仕事をしていた『後輩二人』についてである。」「・・・P3技術科長が,この『後輩二人』の事を心配しているかのように装って,・・・」「具体的には『後輩二人』のことを『もったいない いていた当時,一緒に仕事をしていた『後輩二人』についてである。」「・・・P3技術科長が,この『後輩二人』の事を心配しているかのように装って,・・・」「具体的には『後輩二人』のことを『もったいない人材だ』『二人が心配』『出世させたい』『二人を遊ばせておくのはもったいない』『上に伸ばしたい』と話し,さらにH氏に『二人をどうかしてもらいたい』とまで言っている。」「・・・P3技術科長は『三人で会ったら危ない』『誰が見ているかわからん』と言い,・・・」との記載がされている。次に,「下関まで行ったP3技術科長の意図は!?」との大文字でのリード部分に続き,「『後輩二人』と会う“場”をH氏に設定させているのである。」「まさに,自己保身であり,なんとも汚いやり方ではないか!」「P3技術科長はA氏を誘い出す口実・キッカケを見つけるために下関まで行ったのか?A氏とB氏をJR東海労から脱退させるために,退職したH氏を利用しようとしたのか? と更に疑うばかりである?!」との記載がされている。 (ウ)P2助役は,平成8年4月30日午後3時ころ,組合掲示板に本件掲示物⑨が掲示されているのを発見し,P17所長が出張中であったため,P1総務科長に報告をした。これを受けて,P1総務科長は,P3技術科長に事実関係を確認したうえ,本件掲示物⑨は本件基本協約第228条に違反すると判断し,平成8年4月30日午後5時過ぎ,総務科において,P29執行委員に対し,同掲示物を同日午後6時30分までに撤去すること,撤去しない場合には原告側で撤去することを通告した(なお,P1総務科長がP29執行委員に対し撤去通告したのは,P26分会長が公休であり,P36副分会長及びP27書記長は非番で既に退社していたからであった。)。(乙62)(エ)補助参加人分会は,前記(ウ)の通告に従わなかった 行委員に対し撤去通告したのは,P26分会長が公休であり,P36副分会長及びP27書記長は非番で既に退社していたからであった。)。(乙62)(エ)補助参加人分会は,前記(ウ)の通告に従わなかった。そこで,P1 総務科長及びP2助役は,平成8年4月30日午後6時35分ころ,本件掲示物⑨を組合掲示板から撤去し,これを総務科で保管した。 (オ)P2助役は,平成8年5月1日午前9時40分ころ,本件掲示物⑨の返還を求めて総務科に赴いた補助参加人分会P32執行委員(以下「P32執行委員」という。),P37組合員,P38組合員に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告したうえ,同掲示物を返還した。 (カ)補助参加人分会は,平成8年5月1日ころ,再度,本件掲示物⑨を組合掲示板に掲示した。P2助役及びP8助役は,平成8年5月1日午前11時30分過ぎ,再度,本件掲示物⑨を組合掲示板から撤去し,これを総務科で保管した。 (キ)P2助役は,平成8年5月7日午前8時35分ころ,本件掲示物⑨の返還を求めて総務科に赴いた補助参加人分会青婦部事務長P39(以下「P39事務長」という。)に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告したうえ,同掲示物を返還した。 イ 判断 (ア)撤去要件該当性について前記ア(イ)によれば,本件掲示物⑨は,P3技術科長が,私的に元上司であるH氏(P40のこと)と飲食した際,補助参加人組合員の同組合からの脱退を相談したとの事実を摘示するとともに,これについて「なんとも汚いやり方」「A氏とB氏をJR東海労から脱退させるために,退職したH氏を利用しようとしたのか」などと意見ないし論評をしているが,かかる内容は,P3技術科長を誹謗しているものと評価することができる。そうだとすると,本件掲示物⑨は,撤去要件該当性の要件を満たしていると を利用しようとしたのか」などと意見ないし論評をしているが,かかる内容は,P3技術科長を誹謗しているものと評価することができる。そうだとすると,本件掲示物⑨は,撤去要件該当性の要件を満たしているということができる。 (イ)権利濫用該当性についてそこで,続いて,本件掲示物⑨に関する権利濫用該当性の有無につい て検討することにする。 a記載内容の真実性についてP39事務長は,P3技術科長とP40との会食の内容について,同人から電話で直接聞いた旨陳述する(乙94)。しかし,原告は,P3技術科長とP40が平成8年4月5日に会食したことは認めるものの,そこで本件掲示物⑨にあるような会話をしたことは否認し,P17所長は,P3技術科長に前記事実を確認したところ,同人が前記会話内容を否定していたと供述している(乙81【11ないし13頁】,106【19,20頁】)。このように,P39事務長の陳述とP17所長の供述は相反するところ,当事者であるP3技術科長及びP40について,証言ないし陳述書の提出もなく,他にP3技術科長が,P40に対し,補助参加人組合員の同組合からの脱退を相談したとの事実を認めるに足りる証拠は存在しない。また,本件全証拠によるも,補助参加人らが,P3技術科長とP40との会話内容について,関係当事者から事実の存否を確認するなどして裏付けを行ったとの事情もうかがえず,補助参加人らにおいて前記事実が真実であると信じるにつき相当な理由があったと認めるに足りる証拠は存在しない。 b意見ないし論評について前記aのとおり,P3技術科長が,P40に対し,補助参加人組合員の同組合からの脱退について相談したとの事実を認めるに足りる証拠はなく,補助参加人らにおいて,これが真実であると信じるにつき相当な理由があったともいえない以上,かかる事実を に対し,補助参加人組合員の同組合からの脱退について相談したとの事実を認めるに足りる証拠はなく,補助参加人らにおいて,これが真実であると信じるにつき相当な理由があったともいえない以上,かかる事実を前提に行った,「なんとも汚いやり方」「A氏とB氏をJR東海労から脱退させるために,退職したH氏を利用しようとしたのか」との意見ないし論評も正当なものということはできない。 c手続的正当性について 前記ア(ウ)によれば,原告は,本件掲示物⑨の1回目の撤去に当たり,補助参加人分会に対する事前通告を行っており,同掲示物の撤去が手続的相当性を欠くものであったということはできない。 また,前記ア(カ)によれば,P2助役は,再度掲示された本件掲示物⑨について,発見後直ちに撤去したことが認められる。しかし,本件撤去要件に該当する掲示物の撤去について事前通告を定めた規定はないうえ(前記前提事実(4)ア),P2助役は,本件掲示物⑨の返還に際し,P32執行委員に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告していたのであるから(前記ア(オ)),原告の2度目の同掲示物の撤去手続が不相当であったということはできない。 以上のとおり,本件掲示物⑨の2度の撤去が手続的相当性を欠くものであったということはできない。 d以上,aないしcによれば,原告の本件掲示物⑨の撤去行為には,権利濫用該当性の要件を満たすまでの事情は存在しないということができる。 (ウ)小括以上検討したとおり,原告の本件掲示物⑨の撤去は,撤去要件該当性の要件を満たしている。他方,本件掲示物⑨に記載された事実及び意見ないし論評の前提となっている事実については,真実であるか,補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があったと認めることはできず,手続的相当性を欠くともいえず,同撤去は,その余の点 及び意見ないし論評の前提となっている事実については,真実であるか,補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があったと認めることはできず,手続的相当性を欠くともいえず,同撤去は,その余の点について判断するまでもなく,権利濫用該当性の要件を満たしているということはできない。そうだとすると,原告の本件掲示物⑨の撤去には,補助参加人らの活動に対する不当労働行為(支配介入)意思がなかったとの特段の事情が存在するというべきである。よって,原告の本件掲示物⑨の撤去行為は不当労働行為には該当しない。 (7)本件掲示物⑩,⑪についてア認定事実前記争いのない事実等,証拠(文末に掲記したもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(なお,当事者間に争いのない事実は,文末に証拠等を掲記しない)。 (ア)補助参加人分会は,平成8年5月14日ころ,本件掲示物⑩,⑪をそれぞれ組合掲示板に掲示した。 (イ)本件掲示物⑩には,概略,以下のような記載がされている。すなわち「“スピーカー”P4検修科長による脱退工作を許すな!」との太字,大文字での見出し,「JR東海労組合員を強引に酒席に誘うP4検修科長!!」との大文字でのリード部分に続き,P4検修科長が補助参加人らの組合員であるA君と飲食を共にした状況について,「その酒席でのP4検修科長の話しは以下の通りである。」「○職場を離れたことだし,一個人,ユニオン組合員としてどうしても話しておきたいことがある」「○サービス班も人が増える,今候補として2名の(JR東海労組合員)の名前が上がっている」「○駅とか他系統への転勤は,いづれ戻ってこれるが,サービス班は片道切符だ」「○何とか助けたい,君には将来がある,もったいない」などと記載されている。さらに,「堂々と行われる不当労働行為」との大文字で 駅とか他系統への転勤は,いづれ戻ってこれるが,サービス班は片道切符だ」「○何とか助けたい,君には将来がある,もったいない」などと記載されている。さらに,「堂々と行われる不当労働行為」との大文字でのリード部分に続き,「・・・その背景には,明らかに会社管理者としての意志がそこに見られるのである。」との記載がされている。続いて,「いつから『教祖』になったの?P4検修科長!」との大文字でのリード部分に続き,P4検修科長の言動に関し,「そして,このP4検修科長の説教じみた話しはまだまだ続く。」「○君は何故(JR東海労に)執着するのか。何か引っかかることがあるのか」「・・・『所長・科長の会議の中でもB氏の名前が出た時,所長も顔をしかめていた』と,A君に漏らしてしまった。」「さら に,酒もまわり,喉の調子の良くなったP4検修科長は,『各課長でターゲットを決めて個別にあたっている』『私が何とかしたい人が他に5名程いる』・・・『P18君やP19君もこのような話しをして,変わっていったんだ』『どうするか判断するのは君しだいだ』と言った。」「このように,P4検修科長は,これまで会社が行ってきた不当労働行為を自慢し,嬉しそうに話していたのである。」「私たちは,このようなP4検修科長の脱退慫慂・組織破壊策動を断じて許すわけにはいきません,・・・裏ではルール無視の不当労働行為を行いつつ,それを通じて己の点数稼ぎのために奔走しているのです。」との記載がされている。 (ウ)本件掲示物⑪には,概略,以下のような記載がされている。すなわち「またしても組合掲示を一方的に撤去!」との太字,大文字での見出しに続き,平成8年4月30日の本件掲示物⑨の撤去について,「そして二度目の『会社による組合掲示物撤去』は,外す際に無通告で行われた!」「会社は,組合掲示物を外す際 撤去!」との太字,大文字での見出しに続き,平成8年4月30日の本件掲示物⑨の撤去について,「そして二度目の『会社による組合掲示物撤去』は,外す際に無通告で行われた!」「会社は,組合掲示物を外す際に,組合に対して,何も通告していない。」との記載がされている。また,本件掲示物⑪には,P3技術科長の発言として,「違うところが2・3カ所ある。みんな言えないので,ひとつだけ言う。」「私が誰と酒を飲もうと関係がない」「誰と酒を飲んで,話しをしようが関係ない」「『○○№4』で明らかにしてきたP3技術科長の一連の行動は,『己の点数稼ぎ』のための行動だったのか?!」との記載がされている。さらに,本件掲示物⑪には,P4検修科長が,本件掲示物⑨の感想を聞かれた際の発言として,『う~ん。技術科長の点数が上がったな』と,まるで見当違いの事を答えたそうである。」との記載がされており,続けて「・・・『不当労働行為紛いの事』をして,点数が上がる(会社・経営陣から見て評価が上がる?)会社とは,一体どんな会社なのであろうか?という疑問である!」「逆に言えば『己(=管理者)の点数稼ぎ』のために,JR東海労破壊に必死に なっているのか?ということである。」との記載がされている。 (エ)P17所長は,平成8年5月14日午前9時40分ころ,P4科長,P3技術科長及びP2助役から本件掲示物⑩,⑪記載の事実関係を確認したうえ,同掲示物は本件基本協約第228条に違反すると判断し,P1総務科長に対し,補助参加人分会への撤去通告を指示した。これを受けて,P1総務科長は,平成8年5月14日午後5時25分ころ,総務科において,P2助役立会のもと,P36副分会長に対し,本件掲示物⑩,⑪を同日午後6時30分までに撤去すること,撤去しない場合には原告側で撤去することを通告した。(乙62 日午後5時25分ころ,総務科において,P2助役立会のもと,P36副分会長に対し,本件掲示物⑩,⑪を同日午後6時30分までに撤去すること,撤去しない場合には原告側で撤去することを通告した。(乙62)(オ)補助参加人分会は,前記(エ)の通告に従わなかった。そこで,P1総務科長及びP2助役は,平成8年5月14日午後6時35分ころ,本件掲示物⑩,⑪を組合掲示板から撤去した。そして,P2助役は,この撤去の状況を写真撮影していたP41執行委員及びP39事務長に対し,撤去した本件掲示物⑩,⑪を返還しようとしたが,同人らは受取りを拒否した。(乙62)(カ)P2助役は,平成8年5月15日午前8時45分ころ,本件掲示物⑩,⑪の返還を求めて総務科に赴いたP36副分会長に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告したうえ,同掲示物を返還した。 (キ)補助参加人分会は,平成8年5月15日,再度,本件掲示物⑩,⑪を組合掲示板に掲示した。P2助役及びP5助役は,平成8年5月15日午前10時20分過ぎ,再度,本件掲示物⑩,⑪を組合掲示板から撤去し,これを総務科で保管した。 (ク)P2助役は,平成8年5月15日午後4時ころ,本件掲示物⑩,⑪の返還を求めて総務科に赴いたP27書記長に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告したうえ,同掲示物を返還した。 イ 判断 前記のとおり,本件掲示物⑩の撤去については,補助参加人らにおいて中労委の不当労働行為に当たらないとの判断を争っておらず,本訴では争点となっていないので,以下,同⑪の撤去の撤去要件該当性,権利濫用該当性について判断することにする。 (ア)撤去要件該当性について前記ア(ウ)によれば,本件掲示物⑪は,同⑨の撤去が無通告で行われたとの事実を摘示しているが,かかる事実は,会社の信用を傷つけるものと評価 ついて判断することにする。 (ア)撤去要件該当性について前記ア(ウ)によれば,本件掲示物⑪は,同⑨の撤去が無通告で行われたとの事実を摘示しているが,かかる事実は,会社の信用を傷つけるものと評価することができる。また,本件掲示物⑪は,P4助役は,青婦部役員(P39事務長のこと)に対し,同⑨で摘示されたP3技術科長の言動について,同人の点数が上がったなとの感想を述べていたとの事実を摘示するとともに,これについて,不当労働行為紛いのことをして,点数が上がる会社とは,一体どんな会社なのであろうかという疑問があること,管理者の点数稼ぎのために,JR東海労破壊に必死になっているのかなどとの意見ないし論評をしているが,かかる内容は,会社の信用を傷つけるとともに,管理者個人を誹謗しているものと評価することができる。 以上によれば,本件掲示物⑪は,撤去要件該当性の要件を満たしていることが明らかである。 (イ)権利濫用該当性についてそこで,続いて,本件掲示物⑪に関する権利濫用該当性の有無について検討することにする。 a記載内容の真実性について(a)前記(6)イ(イ)cによれば,原告の管理者らが,補助参加人分会の掲示物を無通告で撤去したとの事実が真実であるか,補助参加人らにおいて,これを真実と信じるにつき相当な理由があったとは認められない。 (b)補助参加人らは,P4検修科長が,P39事務長に対し,本件掲示物⑨で摘示されたP3技術科長の言動について,同人の点数が上がったなとの感想を述べていたと主張し,P39事務長はこれに沿う供述をしている(乙113【104,105頁】)。しかし,原告は,このような事実を否認し,P17所長は,P4検修科長に前記事実を確認したところ,同人は前記発言を否定し,これはP39事務長がしたものであると述べていた 113【104,105頁】)。しかし,原告は,このような事実を否認し,P17所長は,P4検修科長に前記事実を確認したところ,同人は前記発言を否定し,これはP39事務長がしたものであると述べていた旨供述する(乙106【27頁】)。このように,P39事務長とP17所長の供述は相反するところ,一方の当事者であるP4検修科長について,証言ないし陳述書の提出がない本件にあっては,P4検修科長が,青婦部役員に対し,本件掲示物⑨で摘示されたP3技術科長の言動について,同人の点数が上がったなとの感想を述べていたと認定するのが相当であり,他にこの認定を左右するに足りる証拠は存在しない。 b意見ないし論評について補助参加人らは,本件掲示物⑪において,前記a(b)のとおり,P4検修科長が,P39事務長に対し,本件掲示物⑨で摘示されたP3技術科長の言動について,同人の点数が上がったなとの感想を述べていたとの事実を前提に,不当労働行為紛いのことをして,点数が上がる会社とは,一体どんな会社なのであろうかという疑問である,管理者の点数稼ぎのために,補助参加人組合破壊に必死になっているのかなどとの意見ないし論評をしている。しかし,前記(6)イ(イ)aのとおり,P3技術科長が,P40に対し,補助参加人組合員の同組合からの脱退を相談したとの事実を認めることはできないところ,このような事実を記載した本件掲示物⑨について,P4検修科長が,P3技術科長の点数が上がったなとの感想を述べていたからといって,原告において,不当労働行為紛いの行為をしたら点数が上がる会社という ことを基礎付けることにはならないし,管理者が点数稼ぎのため補助参加人組合破壊に必死になっていることを基礎付けることにもならない。そうだとすると,本件掲示物⑪における補助参加人らの前記意見ないし論 ことを基礎付けることにはならないし,管理者が点数稼ぎのため補助参加人組合破壊に必死になっていることを基礎付けることにもならない。そうだとすると,本件掲示物⑪における補助参加人らの前記意見ないし論評は,事実に基づかずに行ったものというほかなく,組合活動として正当なものということはできない。 c手続的正当性について前記ア(エ)によれば,原告は,本件掲示物⑩,⑪の1回目の撤去に当たり,補助参加人分会に対する事前通告を行っており,同撤去が手続的相当性を欠くものであったということはできない。 また,前記ア(キ)によれば,P2助役は,再度掲示された本件掲示物⑩,⑪について,発見後直ちに撤去したことが認められる。しかし,本件撤去要件に該当する掲示物の撤去について事前通告を定めた規定はないうえ(前記前提事実(4)ア),P2助役は,本件掲示物⑩,⑪の返還に際し,P36副分会長に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告していたのであるから(前記ア(カ)),原告の2度目の同掲示物の撤去手続が不相当であったとはいえない。 以上のとおり,本件掲示物⑩,⑪の2度の撤去が手続的相当性を欠くものであったということはできない。 d以上,aないしcによれば,原告の本件掲示物⑪の記載内容には一部真実であるか,補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由がある部分があるものもあるが,そうでない部分も存在し,これら諸事実を総合すると,原告の本件掲示物⑪の撤去行為には,権利濫用該当性の要件を満たすまでの事情は存在しないというのが相当である。 (ウ)小括以上検討したとおり,原告の本件掲示物⑪の撤去は,撤去要件該当性の要件を満たしている。他方,本件掲示物⑪に記載された事実及び意見 ないし論評の前提となっている事実については,一部を除き,真実であるか,補助参加人らに 告の本件掲示物⑪の撤去は,撤去要件該当性の要件を満たしている。他方,本件掲示物⑪に記載された事実及び意見 ないし論評の前提となっている事実については,一部を除き,真実であるか,補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があったと認めることはできず,手続的相当性を欠くともいえず,同撤去は,その余の点について判断するまでもなく,権利濫用該当性の要件を満たしているということはできない。そうだとすると,原告の本件掲示物⑪の撤去には,補助参加人らの活動に対する不当労働行為(支配介入)意思がなかったとの特段の事情が存在するというべきである。よって,原告の本件掲示物⑪の撤去行為は不当労働行為には該当しない。 (8)本件掲示物⑫についてア認定事実前記争いのない事実等,証拠(文末に掲記したもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(なお,当事者間に争いのない事実は,文末に証拠等を掲記しない)。 (ア)補助参加人分会は,平成8年5月16日ころ,本件掲示物⑫を組合掲示板に掲示した。 (イ)本件掲示物⑫は,補助参加人分会の機関誌である「○○」№247(1996年5月15日付け)であり,大一両で発生した暴力事件について,概略,以下のような記載がされている。すなわち「N氏の『退職』を考えよう!」との太字,大文字での見出しに続き,「N氏は,いきなり相手方のP7助役を殴ったわけではない。P7助役の口汚い言動・対応に憤慨して,暴力行為を行ったのである。」「この背景には,3月ダイ改以降,大一両の管理者が,テープレコーダーを持つなどして,社員管理に血道をあげ,自由に物が言えないように職場を暗黒支配してきたこともある。」「“ケンカ両成敗”という対処の仕方があるが,今回のような現実をみる時,私たちは,P7助役や会社の気違いじみた社員管理に 理に血道をあげ,自由に物が言えないように職場を暗黒支配してきたこともある。」「“ケンカ両成敗”という対処の仕方があるが,今回のような現実をみる時,私たちは,P7助役や会社の気違いじみた社員管理にも,この暴力事件の原因があるように考える。」「N氏が『自 分はどの処分にあたるのか』とP17所長に聞くと,『懲戒解雇になる』と言われたそうである。」「私たちは,N氏が退職に追い込まれた,N氏自ら『依願退職=退職願いを提出』するように追い込まれたとしか思えないのです。」との記載がされている。 (ウ)P2助役は,平成8年5月16日午前9時35分ころ,組合掲示板に本件掲示物⑫が掲示されているのを発見し,P17所長が出張で不在であったため,P1総務科長に報告した。P1総務科長は,本件掲示物⑫は本件基本協約第228条に違反すると判断し,同日午後3時10分ころ,P16執行委員に対し,本件掲示物⑫を同日午後6時30分までに撤去すること,撤去しない場合には原告側で撤去することを通告した(なお,P1総務科長がP16執行委員に撤去通告をしたのは,P26分会長及びP27書記長が非番で午前中に退社しており,P36副分会長が公休で不在であったからである。)。(乙62)(エ)補助参加人分会は,前記(ウ)の通告に従わなかった。そこで,P2助役,P9助役及びP10助役は,平成8年5月16日午後6時50分ころ,本件掲示物⑫を組合掲示板から撤去し,これを総務課で保管した。 (オ)P1総務科長及びP2助役は,平成8年5月17日午前8時48分ころ,本件掲示物⑫の返還を求めて総務科に赴いたP16執行委員及びP41執行委員に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告したうえ,同掲示物を返還した。 イ 判断 (ア)撤去要件該当性について前記ア(イ)によれば,本件掲示物⑫は,東 に赴いたP16執行委員及びP41執行委員に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告したうえ,同掲示物を返還した。 イ 判断 (ア)撤去要件該当性について前記ア(イ)によれば,本件掲示物⑫は,東海ユニオン組合員であったN氏(P42のこと。)の退職について,同人のP7助役に対する暴力行為は,同人の口汚い言動・対応に憤慨して行ったものである,同暴力行為の背景には,大一両の管理者が,テープレコーダーを持つなどして, 社員管理に血道を上げてきたこともある,P17所長は,P42に対し,懲戒解雇になると告げたとの事実を摘示するとともに,同暴力行為はP7助役の言動や原告の気違いじみた社員管理にも原因がある,原告が自由にものが言えないように職場を暗黒支配している,P17所長の発言によりP42自ら退職願を提出するよう追い込まれたとの意見ないし論評をしているが,かかる内容は,会社の信用を傷つけるとともに,P7助役,P17所長,大一両管理者を誹謗しているものと評価することができる。 以上によれば,本件掲示物⑫は,撤去要件該当性の要件を満たしていることが明らかである。 (イ)権利濫用該当性についてそこで,続いて,本件掲示物⑫に関する権利濫用該当性の有無について検討することにする。 a記載内容の真実性について補助参加人らは,本件掲示物⑫の記載内容は,補助参加人組合員がP42から直接聞いた話である旨主張する。しかし,原告は,P7助役がP42に対して口汚い言動・対応をしたこと,P17所長が,P42に対し,懲戒解雇になると告げたことを否認し,P17所長がこれに沿う供述をしているところ(乙81【21ないし23頁】,110【39,40頁】),他に前記事実を認めるに足りる証拠は存在しない。また,本件全証拠によるも,補助参加人らが,P42のP7助役に対する に沿う供述をしているところ(乙81【21ないし23頁】,110【39,40頁】),他に前記事実を認めるに足りる証拠は存在しない。また,本件全証拠によるも,補助参加人らが,P42のP7助役に対する暴行,これに対するP17所長の発言等の事実について,関係当事者から事実を確認するなどして裏付けを行ったとの事情もうかがわれず,補助参加人らにおいて前記事実を真実と信じるにつき相当な理由があったともいえない。 b意見ないし論評について 前記aのとおり,P42のP7助役に対する暴力行為は,同人の口汚い言動・対応に憤慨して行ったものであること,同暴力行為の背景には,大一両の管理者が,テープレコーダーを持つなどして,社員管理に血道を上げてきたこともあること,P17所長は,P42に対し,懲戒解雇になると告げたことなどを認めるに足りる証拠はなく,補助参加人らにおいて,これが真実であると信じるにつき相当な理由があったともいえない以上,かかる事実を前提に行った,同暴力行為はP7助役の言動や原告の気違いじみた社員管理にも原因がある,原告が自由にものが言えないように職場を暗黒支配している,P17所長の発言によりP42自ら退職願を提出するよう追い込まれたとの意見ないし論評も正当なものとはいえない。また,原告の社員管理について,「気違いじみた」とか「暗黒支配」とか表現することは,表現としても正当な範囲を逸脱しているというほかない。 c手続的正当性について前記ア(ウ)によれば,原告は,本件掲示物⑫の撤去に当たり,補助参加人分会に対する事前通告を行っており,同撤去が手続的相当性を欠くものであったということはできない。 d以上,aないしcによれば,原告の本件掲示物⑫の撤去行為には,権利濫用該当性の要件を満たすまでの事情は存在しないということができる。 (ウ 手続的相当性を欠くものであったということはできない。 d以上,aないしcによれば,原告の本件掲示物⑫の撤去行為には,権利濫用該当性の要件を満たすまでの事情は存在しないということができる。 (ウ)小括以上検討したとおり,原告の本件掲示物⑫の撤去は,撤去要件該当性の要件を満たしている。他方,本件掲示物⑫に記載された事実及び意見ないし論評の前提となる事実については,真実であるか,補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があったと認めることはできず,手続的相当性を欠くともいえず,同撤去は,その余の点について判断す るまでもなく,権利濫用該当性の要件を満たしているということはできない。そうだとすると,原告の本件掲示物⑫の撤去には,補助参加人らの活動に対する不当労働行為(支配介入)意思がなかったとの特段の事情が存在するというべきである。よって,原告の本件掲示物⑫の撤去行為は不当労働行為には該当しない。 (9)本件掲示物⑬についてア認定事実前記争いのない事実等,証拠(文末に掲記したもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(なお,当事者間に争いのない事実は,文末に証拠等を掲記しない)。 (ア)補助参加人分会は,平成8年5月25日ころ,本件掲示物⑬を組合掲示板に掲示した。 (イ)本件掲示物⑬は,補助参加人分会の機関誌である「○○」№249(1996.5.23付け)であり,P4検修科長の脱退慫慂行為について,概略,以下のような本件掲示物⑩と同趣旨の記載がされている。 すなわち「元JR東海労組合員への脱退慫慂を自ら暴露したP4検修科長」との太字,大文字での見出しに続き,「大阪第一車両所・P4検修科長は,4月30日,JR東海労組合員A君を強引に酒席に誘い出し,不当にも脱退慫慂を行った。そして,『6月に異動がある』『 P4検修科長」との太字,大文字での見出しに続き,「大阪第一車両所・P4検修科長は,4月30日,JR東海労組合員A君を強引に酒席に誘い出し,不当にも脱退慫慂を行った。そして,『6月に異動がある』『サービス班は片道キップだ』「駅への転勤はいずれ戻ってこれる』と,A君の不案を煽り,他方では,『君には将来がある』『助けたい』『もったいない』などとあたかもA君を心配しているかのような素振りを見せている。 また,『人間関係や,しがらみがあるのか』と人間関係や,個人の付き合いまでも聞き出して,A君がJR東海労に加入している理由を把握し,分析するために活用しようとしている。」との記載がされている。そして,「明らかになった脱退工作!」との太字,大文字でのリード部分に 続き,「特にその酒席の中で,P4検修科長は,A君に対して,『P18君やP19君もこのような話しをして,変わっていったんだ』(両名は1995年4月1日にJR東海労を脱退)と,この間自ら行ってきた不当労働行為=脱退慫慂を認め,『自分たち』の成果のように語っているのである。」「その裏では,P4検修科長自ら『P18君やP19君もこのような話しをして,変わっていったんだ』とA君に漏らしてしまったように,会社管理者が大きく関与していたことが明らかとなった。」との記載がされている。続いて,「点数を競い合う各科長!」との太字,大文字でのリード部分に続き,「P4検修科長自らJR東海労組合員に対し『う~ん,技術科長の点数が上がったな』と言ったことからも明らかなように,『JR東海労組合員を何人脱退させるかが管理者の評価=点数となっている』ということである。」「この大一両管理者による不当労働行為は,JR東海労を脱退した5名の脱退問題が,その発端となっていることは言うまでもありません。」「今回,P4検修科 者の評価=点数となっている』ということである。」「この大一両管理者による不当労働行為は,JR東海労を脱退した5名の脱退問題が,その発端となっていることは言うまでもありません。」「今回,P4検修科長は,自らそのうちの2名に関与し,脱退慫慂をしていたことを暴露した。もはや,大一両管理者による不当労働行為は,明白な事実である。」との記載がされている。 (ウ)P17所長は,平成8年5月27日午前9時50分ころ,P2助役から組合掲示板に本件掲示物⑬が掲示されているとの報告を受けたところ,同掲示物は本件基本協約第228条に違反すると判断し,P1総務科長に対し,同掲示物の撤去を指示した。これを受けて,P1総務科長は,平成8年5月27日午後5時20分,P16執行委員に対し,本件掲示物⑬を同日午後6時30分までに撤去すること,撤去しない場合には原告側で撤去することを通告した(なお,P1総務科長がP16執行委員に撤去通告をしたのは,補助参加人分会三役がいずれも休みであったからである。)。(乙62) (エ)補助参加人分会は,前記(ウ)の通告に従わなかった。そこで,P6助役は,平成8年5月28日午前3時ころ,本件掲示物⑬を組合掲示板から撤去し,これを総務課で保管した。 (オ)P1総務科長及びP2助役は,平成8年5月28日午前8時50分ころ,本件掲示物⑬の返還を求めて総務科に赴いたP16執行委員,P41執行委員に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告したうえ,同掲示物を返還した。 イ 判断 (ア)撤去要件該当性について前記ア(イ)によれば,本件掲示物⑬は,P4検修科長が,補助参加人組合員A君(P43のこと。)を強引に酒席に誘い出し,同組合からの脱退を慫慂するような言動を行ったとの事実を摘示するとともに,P4検修科長ら大一両管理者による不当 物⑬は,P4検修科長が,補助参加人組合員A君(P43のこと。)を強引に酒席に誘い出し,同組合からの脱退を慫慂するような言動を行ったとの事実を摘示するとともに,P4検修科長ら大一両管理者による不当労働行為は明白な事実であるとの意見ないし論評をしているが,かかる内容は,会社の信用を傷つけるとともに,P4検修科長ら大一両管理者を誹謗しているものと評価することができる。 以上によれば,本件掲示物⑬は,撤去要件該当性の要件を満たしていることが明らかである。 (イ)権利濫用該当性についてそこで,続いて,本件掲示物⑬に関する権利濫用該当性の有無について検討することにする。 a記載内容の真実性について補助参加人らは,本件掲示物⑬に記載された事実はいずれも真実であると主張し,P41執行委員は,平成8年5月7日,P43から,前記事実を聞き,直ちに主な内容をメモし,その内容を補助参加人分会三役に報告したこと,P43の話をもとに掲示物を作成することに なったこと,掲示物の下書きをP43に見せて確認してもらったうえで,本件掲示物⑬を作成したこと供述する(乙35,95,108【57ないし59頁】,112【82ないし84頁】)。これに対し,原告は,P4検修科長がP43と飲食を共にしたことは認めるものの,そこで本件掲示物⑬に記載されているような会話があったことは否認し,P17所長は,P4検修科長に前記事実を確認したところ,同人がこれを否定していたと供述している(乙81【15ないし17,19,20頁】,83【27ないし30頁】,106【23,24頁】)。このように,本件掲示物⑬に記載されたP4検修科長とP43の会話の内容について,P41執行委員とP17所長の供述は相反している。この点に関し,当事者であるP4検修科長及びP43について,証言ないし陳述書 うに,本件掲示物⑬に記載されたP4検修科長とP43の会話の内容について,P41執行委員とP17所長の供述は相反している。この点に関し,当事者であるP4検修科長及びP43について,証言ないし陳述書の提出はないものの,前記のとおり,本件掲示物⑬は,P41執行委員が,P43自身からP4検修科長とのやりとりを聞いた直後にその内容をメモにしていること,その内容自体詳細かつ具体的なものであり,特段不自然な点や客観的事実と反する部分もないことが認められる。また,証拠(乙36,112【91,92頁】)及び弁論の全趣旨によれば,P43は,P4検修科長との話合いの約2か月後,補助参加人組合を脱退したい旨の意思表示をしたこと,これに対し,P39事務長は平成8年7月12日にP43と会い,組合からの脱退を思いとどまらせようと慰留したこと,P39事務長はこの時のP43とのやりとりを記載したメモを残していること,当該メモには,「P4に言われた事について,この時の話を後になって考えるほど色々と不安になってきた。東海労にいるだけで差別される。悪いのは会社の方だと思うが家庭をとる。」というP43の発言内容が残されており,当該メモの記載内容が虚偽であると認めるに足りる証拠は存在しない。そうだとすると,本件掲示物⑬に記載された 事実について,少なくとも補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があったということができ,他にこの認定を左右するに足りる証拠はない。 b意見ないし論評について本件掲示物⑬に記載されたP4検修科長とP43の会話内容からすれば,P4検修科長が東海ユニオン組合員であること(乙81【16頁】,106【24頁】)を考慮しても,同人が同組合員としてではなく,職制上の地位を利用して,脱退慫慂を行ったと評価する余地は十分にあり,前記事実を前提 が東海ユニオン組合員であること(乙81【16頁】,106【24頁】)を考慮しても,同人が同組合員としてではなく,職制上の地位を利用して,脱退慫慂を行ったと評価する余地は十分にあり,前記事実を前提に補助参加人らが,大一両管理者による不当労働行為が明白となったとの意見ないし論評をしたことは,組合活動として正当な範囲を逸脱したとまではいえない。 c手続的正当性について前記ア(ウ)ないし(オ)によれば,原告は,本件掲示物⑬の撤去に当たり,補助参加人分会に対する事前通告を行っており,同撤去が手続的相当性を欠くものであったということはできない。 d以上によれば,原告の本件掲示物⑬の撤去行為は手続的相当性を欠くものということはできない。しかし,本件掲示物⑬の記載内容は,少なくとも補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があり,また,その意見ないし論評も組合活動としての正当な範囲を逸脱したものであるということは困難である。これらの事実に,①原告組合結成の経緯(前記前提事実(1)),②原告と補助参加人組合員らとの間の紛争の存在(同(2)),③大一両の従業員は交替制で勤務していることから,組合掲示板を利用した情報伝達の必要性が大きいこと(前記争いのない事実等(1)ア(ウ),乙107【44,45頁】)などをも併せ考慮すると,原告の本件掲示物⑬の撤去行為は権利濫用該当性の要件を満たしているものと判断するのが相当である。 (ウ)小括以上検討したとおり,原告の本件掲示物⑬の撤去は,撤去要件該当性の要件を満たしている。しかし,本件掲示物⑬に記載された事実及び意見ないし論評の前提となる事実については,少なくとも補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があったと認めることができることなどの事情を考慮すると,同掲示物の撤去は,権利濫用該 た事実及び意見ないし論評の前提となる事実については,少なくとも補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があったと認めることができることなどの事情を考慮すると,同掲示物の撤去は,権利濫用該当性の要件を満たしているということができる。そうだとすると,原告の本件掲示物⑬の撤去には,補助参加人らの活動に対する不当労働行為(支配介入)意思が存在したというべきである。よって,原告の本件掲示物⑬の撤去行為は不当労働行為に該当すると解するのが相当である。 (10)本件掲示物⑭についてア認定事実前記争いのない事実等,証拠(文末に掲記したもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(なお,当事者間に争いのない事実は,文末に証拠等を掲記しない)。 (ア)補助参加人分会は,平成8年5月27日ころ,本件掲示物⑭を組合掲示板に掲示した。 (イ)本件掲示物⑭は,補助参加人分会青婦部の機関誌である「○○」№6(1996.5.27付け)であり,P3技術科長の平成8年5月5日のA氏に対する不当労働行為について,概略,以下のような記載がある。すなわち「P3技術科長による不当労働行為を許すな!」との太字,大文字での見出しに続き,「JR東海会社(=大一両管理者)によるJR東海労組合員に対する新たな不当労働行為=脱退慫慂が発覚した。」「今回,新たに発覚した不当労働行為=脱退慫慂を強行したのは,・・・あのP3技術科長である。」「P3技術科長:組合をかわったらどうか。・・・もう一度言う,組合を変わったらどうか。」以上の意味のよ うな事を,11時16分頃から25~26分間も話している。」と記載されている。次いで,「P3技術科長による不当労働行為を許すな!」とのリード部分に続き,「今回のP3技術科長がとった行動は,・・・『不当労働行為を行うキッカケ ら25~26分間も話している。」と記載されている。次いで,「P3技術科長による不当労働行為を許すな!」とのリード部分に続き,「今回のP3技術科長がとった行動は,・・・『不当労働行為を行うキッカケ』にしようとしていた『広島行き』を,A氏に断られた事とつながっている。」「会話の中で,最も悪質な部分は,P3技術科長は人事に対する影響力があることを明確にした上で,『組合をかわったらどうか』と言っている」事実である。」「人事に影響力がある会社管理者として行っており・・・会社による極めて悪質な脱退慫慂であると同時に不当労働行為にほかならない。」と記載されている。さらに,「すべての社員の皆さん!」とのリード部分に続き,「会社による人事権を盾にした脱退慫慂=不当労働行為を,あなたは社員として如何に感じられましたか?」「P3技術科長=会社管理者の卑劣極まりない脅しや,様々な形での不当労働行為に対して,満身の怒りをこめて抗議するとともに,あらゆる手段をもって闘っていく事を明らかにしておく!」との記載がされている。 (ウ)P17所長は,平成8年5月28日午前11時ころ,P3技術科長から本件掲示物⑭の事実関係を確認し,同掲示物は本件基本協約第228条に違反すると判断し,P1総務科長に対し,補助参加人分会への撤去通告を指示した。P1総務科長の指示を受けたP44助役は,平成8年5月28日午後4時30分ころ,P26分会長に対し,総務科に来るよう指示したが来なかったため,同月29日午前8時55分ころ,再度,同人に対し,総務科に来るよう指示したが来なかった。そこで,P2助役は,平成8年5月29日午前10時50分ころ,西電留線において,P16執行委員に対し,本件掲示物⑭を同日午後1時までに撤去すること,撤去しない場合には原告側で撤去することを通告した。(乙62) 助役は,平成8年5月29日午前10時50分ころ,西電留線において,P16執行委員に対し,本件掲示物⑭を同日午後1時までに撤去すること,撤去しない場合には原告側で撤去することを通告した。(乙62)(エ)補助参加人分会は,前記(ウ)の通告に従わなかった。そこで,P6 助役は,平成8年5月29日午後1時過ぎ,本件掲示物⑭を組合掲示板から撤去し,これを総務課で保管した。 (オ)P2助役は,平成8年5月30日午前8時45分ころ,本件掲示物⑭の返還を求めて総務科に赴いたP39事務長に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告したうえ,同掲示物を返還した。 (カ)補助参加人分会は,平成8年5月30日,再度,本件掲示物⑭を組合掲示板に掲示した。P2助役及びP11助役は,平成8年5月30日午前10時20分ころ,再度,本件掲示物⑭を組合掲示板から撤去し,これを総務科で保管した。 (キ)P2助役は,平成8年5月31日午前9時前,本件掲示物⑭の返還を求めて総務科に赴いたP39事務長に対し,同じものを掲示すれば撤去する旨通告したうえ,同掲示物を返還した。 イ 判断 (ア)撤去要件該当性について前記ア(イ)によれば,本件掲示物⑭は,P3技術科長が,補助参加人組合員であったA氏(P45のこと。)に対し,補助参加人組合からの脱退を慫慂したことについて,具体的に事実を摘示するとともに,これは原告による極めて悪質な脱退慫慂である,P3技術科長による卑劣極まりない脅しなどと意見ないし論評をしているが,かかる内容は,会社の信用を傷つけるとともに,P3技術科長を誹謗しているものと評価することができる。 以上によれば,本件掲示物⑭は,撤去要件該当性の要件を満たしていることが明らかである。 (イ)権利濫用該当性についてそこで,続いて,本件掲示物⑭に関する権利濫用 いるものと評価することができる。 以上によれば,本件掲示物⑭は,撤去要件該当性の要件を満たしていることが明らかである。 (イ)権利濫用該当性についてそこで,続いて,本件掲示物⑭に関する権利濫用該当性の有無について検討することにする。 a記載内容の真実性について補助参加人らは,本件掲示物⑭に記載された事実はいずれも真実であると主張し,P45作成の陳述書(乙93)を提出するほか,P39事務長は,平成8年5月5日,P45から電話をもらい,前記事実を聞き,その内容を補助参加人分会に報告し,同分会で本件掲示物⑭を作成したと供述している(乙94,109【65,66頁】,113【95ないし98頁】)。これに対し,原告は,P3技術科長がP45に会って話をしたことは認めるものの,そこで本件掲示物⑭に記載されているような会話があったことは否認し,P17所長は,P3技術科長に前記事実を確認したところ,同人がこれを否定していたと供述している(乙81【13ないし15頁】,106【20ないし23頁】)。このように,本件掲示物⑭に記載されたP3技術科長とP45の会話の内容について,P45作成の陳述書,P39事務長の供述とP17所長の供述は相反している。この点に関し,P45の陳述書はあるものの,一方当事者であるP3技術科長については,証言ないし陳述書の提出がなく,前記のとおり,本件掲示物⑭は,P39事務長が,P45自身から直後に話しを聞き,その報告を受けて補助参加人分会が作成していること,その内容自体詳細かつ具体的なもの(脱退慫慂を受けた時刻を11時27分,11時29分などと記載している。)であり,特段不自然な点や客観的事実と反する部分もないことからすれば,少なくとも補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があったということができ,他にこ ,11時29分などと記載している。)であり,特段不自然な点や客観的事実と反する部分もないことからすれば,少なくとも補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があったということができ,他にこの認定を左右するに足りる証拠はなく,これと相反するP17所長の供述は採用することができない。 b意見ないし論評について本件掲示物⑭に記載されたP3技術科長とP45の会話内容からす れば,P3技術科長が東海ユニオン組合員であること(乙81【12頁】,106【21,22頁】)を考慮しても,同人が同組合員としてではなく,職制上の地位を利用して,脱退慫慂を行ったと評価する余地はあり,前記事実を前提に補助参加人らが,これは原告による極めて悪質な脱退慫慂である,P3技術科長による卑劣極まりない脅しなどと意見ないし論評したことは,「卑劣極まりない脅し」という表現は適切さを欠くものの,P3技術科長による脱退慫慂が真実であると信じるについて相当な理由のある本件にあっては,組合活動として正当な範囲を逸脱したものであるとまで評価することは困難である。 c手続的正当性について前記ア(ウ)ないし(キ)によれば,原告は,本件掲示物⑭の撤去に当たり,補助参加人分会に対する事前通告を行っており,同撤去が手続的相当性を欠くものであったということはできない。 d以上によれば,原告の本件掲示物⑭の撤去行為には手続的相当性を欠くものということはできない。しかし,本件掲示物⑭の記載内容は,少なくとも補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があり,しかも正当な組合活動範囲を逸脱したものということはできない。 そして,これらの事実に,①原告組合結成の経緯(前記前提事実(1)),②原告と補助参加人組合員らとの間の紛争の存在(同(2)),③大一両の従業員は交替制で勤務し を逸脱したものということはできない。 そして,これらの事実に,①原告組合結成の経緯(前記前提事実(1)),②原告と補助参加人組合員らとの間の紛争の存在(同(2)),③大一両の従業員は交替制で勤務していることから,組合掲示板を利用した情報伝達の必要性が大きいこと(前記(9)イ(イ)d)などをも併せ考慮すると,原告の本件掲示物⑭の撤去行為は権利濫用該当性の要件を満たしているものと判断するのが相当である。 (ウ)小括以上検討したとおり,原告の本件掲示物⑭の撤去は,撤去要件該当性の要件を満たしている。しかし,本件掲示物⑭に記載された事実及び意 見ないし論評の前提となる事実については,少なくとも補助参加人らにおいて真実と信じるにつき相当な理由があること,本件掲示物⑭の掲示行為は正当な組合活動を逸脱したものということはできないことなどの事情を考慮すると,同掲示物の撤去は,権利濫用該当性の要件を満たしているということができる。そうだとすると,原告の本件掲示物⑭の撤去には,補助参加人らの活動に対する不当労働行為(支配介入)意思が存在したというべきである。よって,原告の本件掲示物⑭の撤去行為は不当労働行為に該当すると解するのが相当である。 (11)まとめ前記(1)ないし(10)によれば,原告による本件各掲示物の撤去のうち,本件掲示物⑬,⑭の撤去は,補助参加人らに対する不当労働行為(支配介入)に該当するが,その余の掲示物撤去は,不当労働行為(支配介入)には該当しないということになる。 本件の主文について(1)中労委の本件命令の趣旨前記争いのない事実等及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 補助参加人らは,原告を相手方として,大阪府労委に対し,原告が平成7年7月3日から同8年5月30日までの間に,補助参加人分会の掲示板に掲示し い事実等及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 補助参加人らは,原告を相手方として,大阪府労委に対し,原告が平成7年7月3日から同8年5月30日までの間に,補助参加人分会の掲示板に掲示した本件掲示物①ないし⑭を延べ18回にわたり撤去した行為が不当労働行為であるとしてその救済を求めた。大阪府労委は,延べ18回の撤去行為すべてを不当労働行為と認め,原告に対し,補助参加人らに別紙15の謝罪文の手交を命じた。原告がこれを不服として,中労委に対し,再審査請求をしたところ,中労委は,原告の前記撤去行為のうち,本件掲示物②,④,⑩の撤去は不当労働行為に当たらないが,残りの掲示物の撤去は不当労働行為に当たるとして,原告に対し,補助参加人らに別紙16の謝罪文の手交を命じた。 以上のとおり,中労委の命令の主文は1つであり,このような場合,中労委の行政処分は1つかのように見える。しかし,補助参加人らは,前記のとおり,本件掲示物①ないし⑭の撤去行為それぞれが不当労働行為に当たるとしてその救済を求めている。そして,中労委も,本件掲示物①ないし⑭の各撤去行為ごとに,それが不当労働行為に当たるか否かを審理,判断している。 そうだとすると,中労委の本件命令は,本件掲示物①ないし⑭に関する撤去行為のうち,本件掲示物②,④,⑩を除いた数だけ(11点について延べ16回)の別個独立の行政処分としての命令が,たまたま救済方法が謝罪文の手交という同一の方法であったために1通の命令書に,1つの主文として記載されたものと解することができる(今井功ほか「救済命令等の取消訴訟の処理に関する研究」18頁以下参照)。 (2)本件の主文について以上のとおり,中労委の本件命令は複数の不当労働行為について1通の命令書で行っているところ,前記3で判示したとおり,そのうち,本件掲示 処理に関する研究」18頁以下参照)。 (2)本件の主文について以上のとおり,中労委の本件命令は複数の不当労働行為について1通の命令書で行っているところ,前記3で判示したとおり,そのうち,本件掲示物⑬,⑭の原告の撤去行為を不当労働行為と認定し,謝罪文の手交を命じる処分は適法であるが,それ以外の掲示物の撤去行為を不当労働行為と認定した部分は誤りであり,取消しを免れない。よって,本件取消訴訟においては,中労委の命じた処分のうち,違法な処分について取消しをするのが相当である。 第4結語以上のとおり,本件命令のうち,本件掲示物①,③,⑤ないし⑨,⑪,⑫の原告の各撤去が補助参加人らに対する支配介入に当たるとして,原告に対して謝罪文の手交を命じた点は違法であるのでこれを取り消すこととし,その余の原告の請求(本件掲示物⑬,⑭の撤去が不当労働行為に当たるとする部分の取消しを求める部分)は理由がないのでこれを棄却するととし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第36部難波孝一裁判長裁判官福島政幸裁判官知野明裁判官
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