平成14(わ)81 廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反被告事件

裁判年月日・裁判所
平成15年5月15日 宇都宮地方裁判所 栃木支部
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判決文本文11,188 文字)

主文 被告会社A,被告人B,被告会社C及び被告人Dをいずれも罰金50万円に処する。 被告人B及び同Dにおいてその罰金を完納することができないときは,いずれも金5000円を1日に換算した期間,その被告人を労役場に留置する。 訴訟費用は被告会社A,被告人B,被告会社C及び被告人Dの連帯負担とする。 理由 【犯罪事実】第1 被告会社Aは,東京都調布市a町b丁目c番地dに本店を置き,産業廃棄物収集運送業等を営んでいたもの,被告人Bは,被告会社Aの代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが,被告人Bは,被告会社Aの業務に関し,別紙一覧表記載のとおり,平成10年9月30日ころから平成11年2月16日ころまでの間,栃木県知事から産業廃棄物の運搬の許可を受けておらず,かつ,法定の除外事由がないのに,産業廃棄物中間処理業者であるCから委託を受け,前後48回にわたり,東京都調布市a町b丁目e番f号及びg号に設けられた同会社の産業廃棄物中間処理場から排出された産業廃棄物である廃プラスチック類等合計約1057.5立方メートルを,代金合計120万円で,同処理場から栃木県小山市大字h・i番地j有限会社Eまで運搬し,もって無許可で産業廃棄物の運搬を業として行った。 第2 被告会社Cは,東京都世田谷区j・k丁目l番m号に本店を置き,一般廃棄物,産業廃棄物の収集,解体及び処理業等を営んでいたもの,被告人Dは,被告会社Cの取締役としてその業務全般を統括していたものであるが,被告人Dは,被告会社Cの業務に関し,別紙一覧表記載のとおり,平成10年9月30日ころから平成11年2月16日ころまでの間,第1記載の被告会社Cの産業廃棄物中間処理場において,栃木県知事から産業廃棄物の運搬の許可を受けておらず,かつ, 別紙一覧表記載のとおり,平成10年9月30日ころから平成11年2月16日ころまでの間,第1記載の被告会社Cの産業廃棄物中間処理場において,栃木県知事から産業廃棄物の運搬の許可を受けておらず,かつ,法律等によって産業廃棄物の運搬等の許可を要しないとされている者でないAに対し,前後48回にわたり,上記中間処理場から排出された産業廃棄物である廃プラスチック類等合計約1057.5立方メートルを,代金合計120万円で,同中間処理場から第1記載の有限会社Eまで運搬することを委託した。 【証拠の標目】省略【事実認定の補足説明】 1 弁護人は,被告会社Cが同会社の産業廃棄物中間処理場から排出した廃プラスチック類等の産業廃棄物を,栃木県知事から産業廃棄物の運搬の許可を受けていなかった被告会社Aの従業員が,同会社が所有する運搬車両に積載して,別紙一覧表記載のとおり,栃木県内に所在する有限会社Eに運搬した事実はあるが,それは,被告会社Cが,同会社で排出した産業廃棄物を,被告会社Aの従業員及び運搬車両を借り受けて,被告会社C自身の手によって運搬したもので,いわゆる「自社運搬」であって,被告会社Aに運搬を委託したものではないから,被告会社Aが無許可運搬したことには該当せず,また,被告会社Cの委託基準違反にも該当せず,被告会社ら及び被告人らはいずれも無罪である旨主張し,被告人らも,当公判廷において,いずれも同旨の供述をする。 2 そこで判断するに,関係証拠によれば以下の事実が認められ,これについては,弁護人も特に争ってはいない。 (1) 被告会社Cは,昭和60年に一般廃棄物及び産業廃棄物の収集,運搬等を目的として設立された会社で,平成9年10月に,東京都知事から東京都調布市所在の被告会社Cの処分場で産業廃棄物の中間処理(破砕)をする許可を受けてからは,産業廃棄 棄物及び産業廃棄物の収集,運搬等を目的として設立された会社で,平成9年10月に,東京都知事から東京都調布市所在の被告会社Cの処分場で産業廃棄物の中間処理(破砕)をする許可を受けてからは,産業廃棄物については,主にその所有する車両を用いて,各所の事業所から排出された廃プラスチック類等の産業廃棄物を収集して同処分場(中間処理場)に搬入し,同所において破砕処理し,これを再度中間処分場や最終処分場へ運搬するという業務を行っていた。 (2) 他方,被告会社Aは,食品運送業を主たる目的として昭和54年に設立された会社で,主に食品販売会社であるFから食品運搬の委託を受けて,その運搬業務等を行っていたが,平成9年ころ,Fの経営方針の変更により,Fからの運送依頼が減少し,売り上げも激減した。そのため,被告会社Aの代表取締役である被告人Bは,以前から面識のあった被告会社Cの代表取締役Gにその窮状を話し,被告会社Cの処分場と被告会社Aの本店事務所が隣接していたこともあって,同年11月から,被告会社Aは,被告会社Cの産業廃棄物の運搬も行うようになった。 (3) 被告会社Cと被告会社Aは,その取引開始に当たり,同年10月31日,産廃処理委託契約書(収集・運搬用)を作成して,これに調印したが,その契約書中には,「被告会社Cは,産業廃棄物を処理するに当たり,その収集・運搬業務を被告会社Aに委託する。」(2条1項),「被告会社Aは,この契約調印後遅滞なくその業務につき監督官庁の許可証の写しを被告会社Cに提出するものとする。」(同条2項),「被告会社Aは,被告会社Cから委託された産業廃棄物の収集・運搬業務を他人に委託してはならない。ただし,被告会社Aが事前に被告会社Cの承認を得て法令の定める委託基準に従い運搬業務を再委託する場合は,この限りではない。」(同条7項) された産業廃棄物の収集・運搬業務を他人に委託してはならない。ただし,被告会社Aが事前に被告会社Cの承認を得て法令の定める委託基準に従い運搬業務を再委託する場合は,この限りではない。」(同条7項),「収集・運搬及び積降作業の際に発生する事故については,事故の原因が被告会社Cの責に帰すべき場合を除き被告会社Aが責任を負担するものとする。」(3条2項3号),「被告会社Cの委託する産業廃棄物の収集・運搬に関する委託手数料及びその支払い方法については,被告会社Cと被告会社Aにおいて定めるものとする。」(4条1項),「この契約は,有効期間を平成9年11月1日から平成12年10月31日までとし,期間満了3ヶ月前までに,当事者の一方から相手方に対する書面による解約の申し入れがない限り,同一条件で更新,継続されたものとする。その後も同様とする。」(7条)などという規定があった。 (4) 被告会社Aは,上記契約に先立ち,被告会社Cの処分場や産業廃棄物の運搬先が所在する東京都及び埼玉県の各知事から,産業廃棄物の収集運搬業の許可を受け,上記契約に基づき,その許可証の写しを被告会社Cに提出していた。そして,被告会社Aは,自ら産業廃棄物収集運搬用の車両として,10トンアームロール車を購入し,それぞれ同会社の従業員である専属の運転手にこれを運転させて,同会社本店事務所の駐車場から被告会社Cの処分場へ赴かせ,同運転手らは,同センターにおいて,専ら被告会社Cの指示に従って,破砕された産業廃棄物が積み込まれたコンテナをコンテナごとアームロール車に積み込み,同会社が指定する運搬先まで運搬するという業務を繰り返し,一日の業務が終わると,被告会社Aの本店事務所の駐車場に同車を戻していた。被告会社Cが被告会社Aに代わってその運搬車両の整備や管理等を特別に行っていたような形跡 搬先まで運搬するという業務を繰り返し,一日の業務が終わると,被告会社Aの本店事務所の駐車場に同車を戻していた。被告会社Cが被告会社Aに代わってその運搬車両の整備や管理等を特別に行っていたような形跡は全くない。 (5) 被告会社Cが被告会社Aに産業廃棄物を運搬させていた運搬先の1つに,埼玉県深谷市に所在するH株式会社の中間処分(焼却処分)場があったが,平成10年8月ころ,H株式会社にその処理能力を超える産業廃棄物が業者から搬入されるようになっていた。そこで,同会社の取締役であるIは,被告人Dに対し,被告会社Cの産業廃棄物の搬入を今後断る旨申し入れ,その代わりに新たな搬入先として,栃木県小山市内に中間処理施設を持つ有限会社Eを紹介してきた。そこで,被告会社Cは,同月末ころ,有限会社Eとの間で産業廃棄物の処分委託契約を締結するに至り,同年9月5日から栃木県小山市所在の有限会社Eの中間処分場に産業廃棄物を搬入して,その処分を委託するようになった。 (6) 被告会社Cは,その当初は,有限会社Eへの産業廃棄物の搬入には,自社車両を用い,その従業員に運搬させていたが,大型アームロール車が1台しかなく,運搬が間に合わなかった。そこで,被告人Dは,同年9月末ころ,被告会社Aが栃木県知事から産業廃棄物の収集運搬業の許可を受けていないことを知っていたが,被告人Bに対し,H株式会社の代わりに有限会社Eへ産業廃棄物を運搬してほしい旨申し入れ,被告人Bも,被告会社Aが栃木県知事から産業廃棄物の収集運搬業の許可を受けていないことを知っていたが,これを承諾した。そして,以後被告会社Aは,栃木県知事から産業廃棄物の収集運搬業の許可を受けないまま,判示のとおり,同年9月30日ころから平成11年2月16日ころまでの間,前後48回にわたり,被告会社Cの産業廃棄物を被告会社 被告会社Aは,栃木県知事から産業廃棄物の収集運搬業の許可を受けないまま,判示のとおり,同年9月30日ころから平成11年2月16日ころまでの間,前後48回にわたり,被告会社Cの産業廃棄物を被告会社Cの処分場から栃木県小山市所在の株式会社Eの処分場まで運搬した。 (7) 被告人Bは,平成11年1月に至り,栃木県知事に対し,被告会社Aの産業廃棄物の収集運搬業の許可申請をし,被告会社Aは,同年2月17日にその許可を受けた。なお,被告会社Aが有限会社Eへ被告会社Cの産業廃棄物を運搬するようになるに当たり,被告人Dと同Bは,その運搬料金につき,H株式会社への運搬の場合と同様に,車両1台2万5000円とすることを取り決めたが(後に値上げされている。),それ以外の点については,被告会社Cと被告会社Aとの間で新たな取り決めをしたり,従前調印した産廃処理委託契約書(収集・運搬用)に変更を加えたりした形跡は全くなく,現実の運搬やその指示等の業務内容に関しても,運搬先の一部が変わった以外には,格別変わった点はなかった。 3 以上認定した事実によれば,被告会社Cは,平成9年10月にその処分場で産業廃棄物の破砕処理の中間処分を行うようになり,すなわち,自らも産業廃棄物の排出事業者になり,その後である同年11月から,被告会社Cがその処分場で排出する産業廃棄物を被告会社Aに運搬してもらうようになったが,その際の契約内容は,契約書の中に,上記2(3)記載の条項があるように,その産廃処理委託契約書(収集・運搬用)という表題どおり,正にその運搬を被告会社Aに「委託」したものであって,被告会社Cの「自社運搬」というような実態ではなかったことが明白である。被告会社Aが,前記認定のとおり,本件産業廃棄物の排出場所及び運搬先とされていた東京都及び埼玉県の各知事から,産業廃棄物の て,被告会社Cの「自社運搬」というような実態ではなかったことが明白である。被告会社Aが,前記認定のとおり,本件産業廃棄物の排出場所及び運搬先とされていた東京都及び埼玉県の各知事から,産業廃棄物の収集運搬業の許可を得ていたのも,その委託契約を前提に,廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の関係法令に従い,自ら主体となってその業務を行うために,これを取得していたものと認められるのである。 そして,上記契約の有効期間中である平成10年9月初めころ,被告会社Cがその排出する産業廃棄物を栃木県内の中間処分業者である有限会社Eの中間処分場まで搬送するようになり,被告会社Aにも同処分場まで運搬してもらうようになった際に,被告会社Cと被告会社Aとの間で,新たに取り決め等がなされた形跡はなく,従前の契約内容がそのまま踏襲されていたのであり,実際の業務についても,運搬先の一部が変更されただけで,それ以外には何ら変更はなかったというのであるから,その従前からの取引の経緯や本件当時の業務の実態から見て,本件運搬時における被告会社Cと被告会社Aの取引関係も,運搬の「委託」関係にあったものと認められるのである。 4 これに対し,弁護人は,前記のとおり,本件産業廃棄物の運搬の性質は,被告会社Cが,同会社で排出した産業廃棄物を,被告会社Aの従業員及び運搬車両を借り受けて,被告会社C自身の手によって運搬したもので,いわゆる「自社運搬」であって,被告会社Aに運搬を委託したものではない旨主張し,その主な根拠ないし証左として,①被告会社Cが,被告会社Aが所有する車両及び被告会社Aが雇用する従業員(J及びK)を使用していても,リースの車両を使用したり,派遣社員を使用したりすることが許されるように,それだけでは被告会社Cの自社運搬でないとは言えず,運搬回数に応じて運搬代金が支払 用する従業員(J及びK)を使用していても,リースの車両を使用したり,派遣社員を使用したりすることが許されるように,それだけでは被告会社Cの自社運搬でないとは言えず,運搬回数に応じて運搬代金が支払われても同様であること,②被告会社Cは,被告会社Aの車両並びにその従業員であるJ及びKを借り上げて,被告会社Cの「専属」としてこれを使用し,他の業務をさせていなかったこと,③J及びKは,マニュフェストの受取り,行き先,運搬する産業廃棄物の指定等の業務の指示をすべて被告会社Cから受けて,被告会社Cの指揮監督を受けていたこと,④J及びKが使用する被告会社A所有の車両は,被告会社Cが使用する車両と外観上極めて類似し,一般人には見分けることが困難であったことなどがあるとする。 しかし,被告会社Aが,本件運搬に際し,その所有する車両及び従業員を使用し,運搬回数に応じて運搬代金が支払われていたことは,通常は自らが主体となって運搬業務を行っていたことを推認させるものである。確かに,関係証拠によれば,J及びKが被告会社Aの車両を1台ずつあてがわれ,被告会社Cの産業廃棄物の運搬業務のみを専属で行っていたことは認められるが,そのように専属で業務を行っていたかどうかは,被告会社Cと被告会社Aが委託関係にあったか否かの決め手にはならないし,前記認定のとおり,本件で使用されていた被告会社Aの2台の車両は,業務終了後は被告会社A本店の駐車場に戻されていたのであり,その車両の管理や整備を被告会社Cが行っていたような形跡は全くなく,前記契約書3条2項3号に規定されているとおり,本件運搬時の事故については,原則として被告会社Aが責任を負担することになっていたのであり,被告会社Cが同車及び従業員を借り上げていたというような実態は認められない。また,産業廃棄物の運搬に当たり,マ 件運搬時の事故については,原則として被告会社Aが責任を負担することになっていたのであり,被告会社Cが同車及び従業員を借り上げていたというような実態は認められない。また,産業廃棄物の運搬に当たり,マニュフェストの受取り,行き先,運搬する産業廃棄物の指定等の業務の指示を,その運搬を依頼する側がするのはむしろ当然であって,そのことは,その運搬が委託契約ではなかったなどとする根拠にはならない。被告会社Aが使用する車両が,被告会社Cが使用する車両と外観上類似していたという点についても,確かに,関係証拠によれば,本件で被告会社Aが使用していた車両は,その車種,塗色等の外観が被告会社Cが使用していた車両とよく似ていることが認められるが,受託会社が委託会社のロゴ入りの車両を使って運搬したりする例もあるように,それだけでは委託契約でないことの理由には全くならないのである。 5 また,被告人Bは,当公判廷において,「被告会社Aによる本件産業廃棄物の運搬は,被告会社Cの指揮監督の下,被告会社Cの営業として運搬したものである。被告会社Aが被告会社Cから産業廃棄物の運搬を委託されているのではなく,あくまで被告会社Cの「自社運搬」であり,被告会社Aは,産業廃棄物の無許可運搬はしていない。」旨供述し,被告人Dも,当公判廷において,「私は,被告会社Aに対し,産業廃棄物の運搬を委託してない。被告会社Aが運搬したとされている行為は,すべて被告会社C自身の手による「自社運搬」であり,委託基準違反はない。」旨供述するが,その根拠としては,被告人Bは,「専属で運搬を行う場合は「自社運搬」になり,そうでない場合が他人への「委託」である。」などと,およそ理由にならない説明をするだけであり,到底にわかに信用できない。また,被告人Dも,その根拠として,「被告会社Cが責任を持って管理し 」になり,そうでない場合が他人への「委託」である。」などと,およそ理由にならない説明をするだけであり,到底にわかに信用できない。また,被告人Dも,その根拠として,「被告会社Cが責任を持って管理し,被告会社Cと同等の車両で,運行管理を被告会社Cがし,被告会社Cのゴミだけをやるという約束があった。」などと述べるが,被告会社Cが被告会社Aに対し,運搬すべき産業廃棄物やその運搬先の指示等はしていたが,それ以上に使用車両の運行管理全般を行っていたような実態は認められないし,その他の点については,上記のとおり,本件運搬行為が「自社運搬」であったとする根拠にはなり得ず,これについても到底にわかに信用できないのである。 逆に,被告人Bは,捜査段階においては,検察官に対する供述調書中において,「私は,被告会社Aの業務に関し,平成10年9月30日から同11年2月16日までの間,栃木県知事から産廃の運搬の許可を受けておらず,しかも,法律上特別に許可を受けなくてもよいとされる事情がなかったにもかかわらず,産廃の中間処理業者である被告会社Cから委託を受け,産廃を栃木県小山市内にある有限会社Eに運搬する業務を行いました。その事実に間違いはなく,弁解することは何もありません。私は,被告会社Aとして,被告会社Cから委託を受け,無許可で産廃を運搬したりすれば,法律に違反し,処罰されることも分かっていました。しかし,私は,被告会社Aとして,被告会社Cから産廃の運搬の委託を受けて,埼玉県深谷市内にある株式会社Hの中間処理場に産廃を運搬していましたし,また,その得意先である被告会社Cから,急遽,そのHの代わりに栃木県小山市内にあるEに産廃を運搬してほしいと委託されたことから,これを受けないわけにはいかなかったですし,被告会社Cから,とりあえず許可なしで運搬しても,早いう 社Cから,急遽,そのHの代わりに栃木県小山市内にあるEに産廃を運搬してほしいと委託されたことから,これを受けないわけにはいかなかったですし,被告会社Cから,とりあえず許可なしで運搬しても,早いうちに許可を受けるようにすれば問題ないだろうと言われていましたし,私も,許可を受けるまで少しくらいの間なら無許可で運搬しても大した問題にはならないだろうと思って,被告会社Cから委託を受けて,栃木県内にあるEに産廃を運搬したのです。」などと供述していたのであり,また,被告人Dも,捜査段階においては,検察官に対する供述調書中において,「私は,被告会社Cの業務に関し,平成10年9月30日ころから同11年2月16日ころまでの間,東京都調布市内にある中間処理場で,栃木県知事から産廃の運搬の許可を受けるなどしていない被告会社Aに合計48回にわたって,被告会社Cの中間処理場から排出した廃プラなど合計約1057.5立方メートルを,代金合計120万円で,栃木県小山市大字h内にある有限会社Eに向けて運搬するよう委託しました。その事実に間違いはなく,弁解することは何もありません。私は,被告会社Aに,被告会社Cの産廃を栃木県内にある有限会社Eへ運搬してもらうことを委託するに当たり,被告会社Aが栃木県知事から,産廃の収集運搬業の許可を受けていないことを知っていました。また,私は,被告会社Cで扱っていた産廃の種類からして,被告会社Aが専ら再生利用となる産廃を運搬するわけでも,その他許可を必要としない特別の事情があったわけでもないことも分かっていました。私は,それまでも,被告会社Aには,被告会社Cの産廃運搬の下請として,埼玉県深谷市内にある株式会社Hへ産廃を運搬してもらったりしていたことや,被告会社Cには,産廃を運搬するのに使う10トンの大型貨物自動車がたった1台しかなかった は,被告会社Cの産廃運搬の下請として,埼玉県深谷市内にある株式会社Hへ産廃を運搬してもらったりしていたことや,被告会社Cには,産廃を運搬するのに使う10トンの大型貨物自動車がたった1台しかなかったために,産廃の運搬については,その大型貨物自動車を2台保有していた被告会社Aに委託していたという事情があったことなどから,運搬先が埼玉県内のHから栃木県内のEに変更になったときに,つい,それまで産廃の運搬を委託していた流れで,被告会社Aが栃木県知事からの許可を受けていないことを知りつつ,Eへの産廃の運搬を被告会社Aに委託してしまったのです。」などと供述していたのであり,いずれも,その経緯や動機等も含めて,一貫して被告会社Cが被告会社Aに産業廃棄物の運搬を委託していたことを認める供述をしていたのであり,その供述の信用性に疑いを差し挟むような状況も窺われず,高度の信用性があると認められるのである。なお,被告会社C及び被告人Dに関しては,被告会社Cの代表取締役Gも,捜査段階においては,警察官に対する供述調書中において,本件が産業廃棄物の運搬の許可基準違反に該当することを認める供述をしていたもので,その信用性も高度のものがあると認められるのである。 6 よって,これらを総合すれば,判示のとおり,被告会社Aが無許可で本件産業廃棄物を運搬していたこと及び被告会社Cが被告会社Aに対し本件産業廃棄物の運搬を委託していたことを優に認めることができるのである。 【法令の適用】罰条第1の事実につき被告会社A及び被告人Bにつき,いずれも平成12年法律第105号による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律25条1号,30条2号,14条1項第2の事実につき被告会社C及び被告 成12年法律第105号による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律25条1号,30条2号,14条1項第2の事実につき被告会社C及び被告人Dにつき,いずれも包括して平成12年法律第105号による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律26条1号,30条2号,12条3項刑種の選択被告人らにつきいずれも罰金刑選択労役場留置被告人らにつきいずれも刑法18条訴訟費用の負担被告会社ら及び被告人らにつきいずれも刑事訴訟法181条1項本文,182条【弁護人の主張に対する判断】弁護人は,本件起訴は,産業廃棄物の無許可運搬あるいは委託基準違反の罪という廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反としては極めて軽微な違反である反面,それにより被告会社ら及び被告人らが有罪になった場合には,産業廃棄物処理業の許可を取り消されるとともに,産業廃棄物処理業者としての欠格事由になるなど,その被る不利益が限りなく大きいのに,検察官が起訴裁量権を逸脱してなされたものであり,その逸脱の程度は極限的であるから,公訴権の濫用として無効であり,棄却されるべきである旨主張する。 しかし,検察官の公訴の提起が,起訴裁量権を逸脱し,公訴権の濫用として無効になる場合があるとしても,それはその公訴提起自体が職務犯罪を構成するような極限的な場合に限られると解すべきところ,本件無許可運搬あるいは委託基準違反の罪は,その法定刑から見ても決して極めて軽微な犯罪であるということはできないし,また,その違反を犯して有罪判決を受けた者が,産業廃棄物処理業の許可を取り消されるとともに,産業廃棄物処理業者としての欠格事由となることは,もともと して極めて軽微な犯罪であるということはできないし,また,その違反を犯して有罪判決を受けた者が,産業廃棄物処理業の許可を取り消されるとともに,産業廃棄物処理業者としての欠格事由となることは,もともと廃棄物の処理及び清掃に関する法律が予定しているところのものであり,同罪で処罰された者がそれにより不利益を受けるからといって,そのことを理由に公訴提起が起訴裁量権を逸脱して許されなくなるなどとすることはできない。その他,本件公訴の提起が,起訴裁量権を逸脱し,かつ,その程度が職務犯罪を構成するような極限的な場合に当たるような事情は認められない。 よって,本件公訴提起を公訴権の濫用として無効とすべき理由はなく,弁護人の主張は採用することができない。 【量刑の理由】本件は,被告会社A及び被告人Bの産業廃棄物の無許可運搬並びに被告会社C及び被告人Dの産業廃棄物運搬のいわゆる委託基準違反の事案であり,いずれも約4か月間半に述べ48回にわたり,合計約1057.5立方メートルという大量の産業廃棄物を無許可運搬し,あるいは,不法に運搬委託していたものであり,犯情は悪質で,常習性も認められる。 被告会社ら及び被告人らは,いずれも産業廃棄物の処理業を営む会社として,あるいはその取締役等として,生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図るため,廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の関係法令を遵守して,誠実にその業務に当たるべき立場にありながら,これらを無視して,自らの企業利益等を優先させて,本件各犯行を敢行したものであって,強い非難を免れない。 加えて,被告人らは,いずれも,当公判廷において,不合理な弁解を繰り返し,有罪判決を受けて産業廃棄物処理業の許可の取消処分等を受けることを先延ばしにするための引き延ばし工作としか思えない訴訟態度に終始してきており,そこからは残念 当公判廷において,不合理な弁解を繰り返し,有罪判決を受けて産業廃棄物処理業の許可の取消処分等を受けることを先延ばしにするための引き延ばし工作としか思えない訴訟態度に終始してきており,そこからは残念ながら真摯な反省の情を汲み取ることはできない。 そこで,以上によれば,被告会社ら及び被告人らの刑責はいずれも軽くないものがある。 しかし,他方,被告会社ら及び被告人らには,いずれもこれまで前科前歴は全くないこと,被告人らは,捜査段階においては,いずれも今後は関係法令に違反することがないようにする旨述べて,それなりに反省,悔悟の情を示していたこと等の酌むべき事情もあるので,被告会社ら及び被告人らに対しては,いずれも主文のとおりの金額の罰金刑を科するのが相当である。 よって,主文のとおり判決する。 【求刑・被告会社ら及び被告人らにつきいずれも罰金50万円】平成15年5月15日宇都宮地方裁判所栃木支部裁判官山田敏彦【別紙一覧表】省略

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