- 1 -平成21年2月27日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成20年(ワ)第21018号商標権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成21年1月22日判決フランス国<以下略>原告アガタディフュージォン訴訟代理人弁護士佐藤雅巳同古木睦美横浜市<以下略>被告ア・スマート株式会社訴訟代理人弁護士池田博毅同橋本尚子同橋本訓幸主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。 事実 及び理由第1請求 被告は,別紙被告商品目録記載の商品の広告及び価格表を内容とする情報に別紙被告標章目録記載1ないし3の標章を付して,被告のウェブサイト(略)で提供してはならない。 被告は,原告に対し,1000万円及びこれに対する平成20年8月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要 事案の要旨- 2 -本件は,原告が,被告がインターネット上の被告のウェブサイトで別紙被告商品目録記載の商品(以下「被告商品」という。)の広告及び価格表を内容とする情報に別紙被告標章目録記載1ないし3の標章(以下,同目録記載1の標章を「被告標章1」,同目録記載2の標章を「被告標章2」,同目録記載3の標章を「被告標章3」という。)を付して提供する行為が,原告の登録商標と類似する商標の使用(商標法37条1号,2条3項8号)に当たり,原告の商標権を侵害する旨主張して,被告に対し,商標法36条1項に基づき上記提供する行為の差止めと不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。 争いのない事実(1)当事者ア原告は,宝石の小物,時計製造,流行のアクセサリーに関連する商品の卸・小 1項に基づき上記提供する行為の差止めと不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。 争いのない事実(1)当事者ア原告は,宝石の小物,時計製造,流行のアクセサリーに関連する商品の卸・小売業を業とするフランス法人である。 イ被告は,貴金属,宝石,服飾雑貨,衣料品,家具,インテリア雑貨,写真機材,食料品の輸出入及び販売等を業とする株式会社である。 (2)原告の商標権原告は,別紙商標目録記載の商標権を有している(以下,この商標権を「本件商標権」といい,その登録商標を「本件商標」という。)。 (3)被告による被告標章3の使用被告は,遅くとも平成18年10月10日から平成20年8月27日ころまでの間,インターネット上の被告のウェブサイト((略)。以下「被告ウェブサイト」という。)で,被告商品の広告を内容とする情報に被告標章3を付して提供していた。 争点 本件の争点は,被告による被告標章1ないし3の使用の有無及び期間(争点1),本件商標と被告標章1ないし3との類否(争点2),被告が賠償す- 3 -べき原告の損害額(争点3)である。 第3争点に関する当事者の主張 争点1(被告による被告標章1ないし3の使用の有無及び期間)(1)原告の主張被告は,設立当初(設立日平成15年11月7日)から,被告ウェブサイトで,被告商品の広告及び価格表を内容とする情報に被告標章1ないし3を付して提供している。 なお,被告が後記のとおり被告ウェブサイトで使用していたと主張する別紙被告標章目録記載Aの標章(以下「被告標章A」という。)及び同目録記載Bの標章(以下「被告標章B」という。)は,それぞれ被告標章1及び被告標章2と同一である。すなわち,被告標章Aは,地模様上に被告標章1を配したものであり,被告標章Bは青の地模様上に白抜きの被告標章2を 標章(以下「被告標章B」という。)は,それぞれ被告標章1及び被告標章2と同一である。すなわち,被告標章Aは,地模様上に被告標章1を配したものであり,被告標章Bは青の地模様上に白抜きの被告標章2を配したものであるが,地模様は「標章」を構成するものではない。 (2)被告の反論被告は,被告標章3を使用したことはあるが,現在では使用しておらず,また,被告標章1,2を使用したことはない。 すなわち,被告は,平成18年10月10日,被告ウェブサイトを開設し,ウェブサイトを通じた通信販売の方法によるアクセサリーの販売を開始し,同日から平成20年8月27日までの間,被告ウェブサイトで,上記アクセサリーの標章として被告標章3,被告標章A及び被告標章Bを使用したが,現在では使用していない。被告標章1と被告標章A,被告標章2と被告標章Bは,それぞれ背景色が異なる別個の標章である。 なお,被告標章3,被告標章A及び被告標章Bに係る「AgathaNaomi」の文字は,被告代表者(X)とインドネシア人の夫の間の娘「Y」のインドネシア名である「AgathaNaomi」(乙11)に由来するものである。 争点2(本件商標と被告標章1ないし3との類否)- 4 -(1)原告の主張ア類否判断の基準二つ以上の要素からなる結合商標においては,全体を一体としてのみ把握するという特段の事情がない限り,各要素が要部となり,その要部のいずれかが他の「商標」と類似するときは,当該結合商標は当該他の「商標」と類似するというべきである。 そして,被告標章1は,「Agatha」の文字部分と「Naomi」の文字部分の二つの要素からなる結合商標であって,二つの要素は構成上明確に分離し,また,「Agatha」は外国人の名前であり,「Naomi」は日本人の名前のローマ字表記であるから 分と「Naomi」の文字部分の二つの要素からなる結合商標であって,二つの要素は構成上明確に分離し,また,「Agatha」は外国人の名前であり,「Naomi」は日本人の名前のローマ字表記であるから,観念上,これらを常に一体としてのみ把握しなければならないという特段の事情はなく,これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものでもない。 したがって,「Agatha」の文字部分と「Naomi」の文字部分のそれぞれが被告標章1の要部となるから,被告標章1と本件商標との類否判断に当たっては,被告標章1の「Agatha」の文字部分と本件商標とを対比すべきである。 このことは,被告標章2及び被告標章3についても,同様に当てはまる。 イ被告標章1ないし3と本件商標との対比(ア)被告標章1と本件商標との対比a被告標章1の要部である「Agatha」の文字部分は,欧文字6字を横書きして成るのに対し,本件商標は,「AGATHA」の欧文字6字を横書きして成るから,被告標章1中の「Agatha」の文字部分と本件商標とは,外観において類似する。 b被告標章1中の「Agatha」の文字部分は,ローマ字読み又はフラ- 5 -ンス語読みで「アガタ」の称呼が生じ,英語読みで「アガサ」の称呼も生じる。 他方,本件商標も,ローマ字読み又はフランス語読みで「アガタ」の称呼が生じ,英語読みで「アガサ」の称呼も生じる。 したがって,被告標章1中の「Agatha」の文字部分と本件商標とは称呼において類似する。 c被告標章1中の「Agatha」の文字部分から「欧米人の女性の名前」の観念が生じ,また,「AGATHA」が原告の略称及びハウスマークとして需要者に周知であることから,「AGATHA」の別表記として,「Agatha」の文字部 a」の文字部分から「欧米人の女性の名前」の観念が生じ,また,「AGATHA」が原告の略称及びハウスマークとして需要者に周知であることから,「AGATHA」の別表記として,「Agatha」の文字部分から「原告,原告の商品」の観念が生じる。 他方,本件商標についても,「欧米人の女性の名前」の観念が生じ,また,本件商標が原告の略称及びハウスマークとして需要者に周知であることから,「原告,原告の商品」の観念が生じる。 したがって,被告標章1中の「Agatha」の文字部分と本件商標とは観念において類似する。 d以上によれば,被告標章1の要部である「Agatha」の文字部分は,本件商標と外観,称呼及び観念のいずれにおいても類似するから,被告標章1は,本件商標と類似する。 (イ)被告標章2及び被告標章3と本件商標との対比被告標章2の要部である「Agatha」の文字部分及び被告標章3の要部である「Agatha」の文字部分は,前記(ア)と同様の理由により,本件商標と外観,称呼及び観念のいずれにおいても類似するから,被告標章2及び被告標章3は,それぞれ本件商標と類似する。 (2)被告の反論ア類否判断の基準の主張に対し- 6 -複数の構成部分を組み合わせた結合商標について,その構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の「商標」と比較して「商標」そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別機能としての称呼,観念が生じないと認められる場合を除き,許されないというべきである。 そして,被告標章1は,「Agatha」の文字部分と「Naomi」の文字部分との間に若干の間隔はあるものの,全体として1行でまとまりよく表されているから れる場合を除き,許されないというべきである。 そして,被告標章1は,「Agatha」の文字部分と「Naomi」の文字部分との間に若干の間隔はあるものの,全体として1行でまとまりよく表されているから,被告標章1のうち「Agatha」の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構成されているものではない。また,被告は,被告標章1のうち「Agatha」の文字部分と「Naomi」の文字部分とを常に一体として用いており,「Agatha」の文字部分のみを独立して用いた事実はないから,被告標章1のうち「Agatha」の文字部分が,取引者や需要者に対して,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではない。 さらに,被告標章1のうち「Naomi」の文字部分は,「アクセサリーショップ」のような一般名称ではなく,人名であることが明らかであるから,この部分からも出所識別標識としての称呼,観念が生じている。 そうすると,被告標章1のうち「Agatha」の文字部分のみを抽出して,本件商標と対比すべきではないから,被告標章1と本件商標との類否判断に当たり,被告標章1の「Agatha」の文字部分と本件商標とを対比すべきであるとの原告の主張は,失当である。 イ被告標章1ないし3と本件商標との対比の主張に対し(ア)被告標章1と本件商標との対比a本件商標は,「AGATHA」という欧文字の大文字6字をArialBlack様の書体によって横書きして成る。 - 7 -これに対し被告標章1は,「AgathaNaomi」という欧文字11字を既製の書体ではなく独自に考案された書体によって横書きして成り,欧文字の大文字は1文字目の「A」と7文字目の「N」のみであり,その余は小文字であることや,書体や文字色において,本件商標と外観が異なる。 したがって,被告標章 案された書体によって横書きして成り,欧文字の大文字は1文字目の「A」と7文字目の「N」のみであり,その余は小文字であることや,書体や文字色において,本件商標と外観が異なる。 したがって,被告標章1の外観は,本件商標の外観とは類似していないことが明らかである。 b本件商標から「アガタ」又は「アガサ」の称呼が生じる。 他方,被告標章1から「アガサナオミ」の称呼を生じ,本件商標から生じる称呼よりも長音であり,称呼から受ける印象も全く異なるものである。 したがって,被告標章1の称呼は,本件商標の称呼とは類似していない。 c本件商標から「アガタ」という女性の名前の観念が生じるのに対し,被告標章1からは「アガサナオミ」という女性の名前の観念が生じる。そして,被告標章1は,本件商標の別表記であると容易に認識されるようなものではないから,「原告,原告の商品」といった観念は生じない。 したがって,被告標章1から生じる観念は,本件商標から生じる観念と類似していない。 d原告は,原告のウェブサイトにおいて上段が「AGATHA」の文字部分,下段が「PARIS」の文字部分から成る標章(甲1)を使用しているが,本件商標は使用していない。そうすると,原告は,「アガタ」ではなく,「アガタパリ」として,取引者,需要者に認識されており,「AGATHA」という文字部分のみで構成され,「PARIS」という文字部分を伴っていない本件商標は,原- 8 -告又は原告からの出所を表すものとして周知であるとはいえない。 また,原告の商品の主要な販売ルートが百貨店であるのに対し,被告商品の販売ルートはインターネット経由の通信販売である上,被告商品を紹介するウェブサイトは,被告の主たる業務であるアクセサリーパーツを販売するウェブサイトとリンクし,被告商品は,良質な天然石や金を 商品の販売ルートはインターネット経由の通信販売である上,被告商品を紹介するウェブサイトは,被告の主たる業務であるアクセサリーパーツを販売するウェブサイトとリンクし,被告商品は,良質な天然石や金をふんだんに用いたところに特徴があり,原告の商品とは全く異なるものである。 これらの事情を総合すれば,被告標章1によって,取引者,需要者が,被告商品の出所を原告であると誤認,混同するおそれはない。 e以上によれば,被告標章1は,本件商標と外観,称呼,観念のいずれにおいても類似しておらず,取引の実情からしても,被告標章1によって,取引者,需要者が,被告商品の出所を原告であると誤認,混同するおそれはない。 したがって,被告標章1は,本件商標と類似しない。 (イ)被告標章2及び被告標章3と本件商標との対比原告主張の被告標章2及び被告標章3は,前記(ア)と同様の理由により,いずれも本件商標と類似していない。 争点3(被告が賠償すべき原告の損害額)(1)原告の主張ア前記1(1)のとおり,被告は,設立当初(設立日平成15年11月7日)から,被告ウェブサイトで,被告商品の広告及び価格表を内容とする情報に被告標章1ないし3を付して提供する行為を行っているが,前記2(1)イのとおり,被告標章1ないし3は本件商標と類似するから,被告の上記行為は,本件商標権の侵害に当たる。 イ平成15年11月7日から平成20年7月30日(本件訴えの提起の- 9 -日)までの間における被告商品の売上高は,2億円を下らない。 そして,本件商標の使用料相当額は,被告商品の売上高の5%を下らない。 したがって,被告の本件商標権の侵害により,原告が受けた損害額は,商標法38条3項により,上記売上高の5%に相当する1000万円を下らない。 ウ以上によれば,原告は,被告に対し, %を下らない。 したがって,被告の本件商標権の侵害により,原告が受けた損害額は,商標法38条3項により,上記売上高の5%に相当する1000万円を下らない。 ウ以上によれば,原告は,被告に対し,本件商標権侵害の不法行為に基づく損害賠償として,1000万円及びこれに対する不法行為の後である平成20年8月28日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 (2)被告の反論原告主張の損害額は,否認する。 被告が被告商品の販売を開始したのは平成18年10月10日であり,同日から平成21年1月22日(本件口頭弁論終結日)までの間の被告商品の売上高は,合計4万4972円にすぎない。 第4当裁判所の判断 争点1(被告による被告標章1ないし3の使用の有無及び期間)について(1)ア前記争いのない事実と証拠(甲4,8,乙11)及び弁論の全趣旨を総合すると,被告は,平成18年10月10日から平成20年8月27日までの間,被告ウェブサイト(略)において,インターネットによる被告商品の通信販売を行い,その際,被告商品の広告や被告商品の材質,サイズ及び価格に関する情報に,被告標章1ないし3を付していたこと,被告標章1ないし3は,被告代表者(X)とインドネシア人の夫の間の娘「Y」のインドネシア名である「AGATHANAOMI」に由来することが認められる。 イこれに対し被告は,被告ウェブサイトで,被告標章1,2とは別個の- 10 -標章である被告標章A,Bを使用したことはあるが,被告標章1,2を使用したことはない旨主張する。 しかし,被告の主張は,以下のとおり採用することができない。 すなわち,被告標章1は文字から成る標章であるところ,被告主張の被告標章Aは被告標章1と同一の文字と緑色の地模 用したことはない旨主張する。 しかし,被告の主張は,以下のとおり採用することができない。 すなわち,被告標章1は文字から成る標章であるところ,被告主張の被告標章Aは被告標章1と同一の文字と緑色の地模様から構成されている。しかし,甲8に照らすと,被告標章Aにおける緑色の地模様部分は,文字部分の記載のない領域にも大きく広がっており,単なる背景模様であって文字部分と一体であるとはいえないから,被告標章Aは,被告標章1と同一の標章であると認められる。 次に,原告主張の被告標章2は,「白抜き」文字から成る標章であるところ,被告主張の被告標章Bは被告標章2と同一の白抜き文字から構成され,その背景色に格別の意味があるものとはいえないから,被告標章Bは,被告標章2と同一の標章であるものと認められる。 (2)以上によれば,被告は,平成18年10月10日から平成20年8月27日までの間,被告ウェブサイトにおいて,被告商品の広告及び価格表を内容とする情報に被告標章1ないし3を付して提供していたことが認められる。 なお,本件全証拠によっても,平成20年8月28日から本件口頭弁論終結日までの間に被告が被告ウェブサイトで被告標章1ないし3を使用していた事実を認めるに足りない。 争点2(本件商標と被告標章1ないし3との類否)について(1)被告標章1についてア商標法37条1号に係る商標の類否は,同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が,その外観,称呼,観念等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体として類似するかどうかを考察すべきものであ- 11 -り,複数の構成部分を組み合わせた結合商標についても,その構成部分全体を対比して類否を判断するのを原則とすべきものであって,結合商標の構 全体として類似するかどうかを考察すべきものであ- 11 -り,複数の構成部分を組み合わせた結合商標についても,その構成部分全体を対比して類否を判断するのを原則とすべきものであって,結合商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,許されないと解するのが相当である(最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。 これを本件についてみるに,原告が本件商標と類似すると主張する被告標章1は,「AgathaNaomi」という欧文字11字を装飾した書体で表した「」から成るものであって,「Agatha」の文字部分と「Naomi」の文字部分との二つの構成部分を有する結合商標(結合標章)であるものと認められる。 そして,被告標章1の「Agatha」の文字部分と「Naomi」の文字部分とは,書体,文字(大文字・小文字)の大きさ,色彩が同一であり,かつ,「Agatha」の文字部分の末尾の「a」と「Naomi」の文字部分の冒頭の「N」との間隔は小文字1字分程度であって,1行にまとまりよく横書きされていることに照らすならば,被告標章1から英語風の読みとして「アガサナオミ」の称呼が生じるものと認められる。 また,「アガサ・クリスティ」(AgathaChristie)が推理小説の外国人女性作家として著名であることや,「ナオミ」の読みを持つ女性の名前が一般に使用されていることに照らすならば,被告標章1の「Naomi」の文字部分から「ナオミ」の称呼が生じるととも が推理小説の外国人女性作家として著名であることや,「ナオミ」の読みを持つ女性の名前が一般に使用されていることに照らすならば,被告標章1の「Naomi」の文字部分から「ナオミ」の称呼が生じるとともに,女性の名前の観念が生じるものと認められる。そして,被告標章1全体から「アガサナオミ」という人名の観念が生じるものと認められる。 - 12 -そうすると,被告標章1は,その構成部分全体が商品の出所識別標識としての機能を有するものと認められるから,本件商標と被告標章1との類否を判断するに当たっては,その構成部分全体を対比するのが相当である。 イこれに対し原告は,二つ以上の要素からなる結合商標においては,全体を一体としてのみ把握するという特段の事情がない限り,各要素が要部となり,その要部のいずれかが他の「商標」と類似するときは,当該結合商標は当該他の「商標」と類似するというべきであり,被告標章1は,「Agatha」の文字部分と「Naomi」の文字部分の二つの要素からなる結合商標であって,上記特段の事情は存在しないから,「Agatha」の文字部分と「Naomi」の文字部分のそれぞれが被告標章1の要部となり,被告標章1と本件商標との類否判断に当たっては,被告標章1の「Agatha」の文字部分と本件商標とを対比すべきである旨主張する。 しかし,先に説示したとおり,結合商標についても,その構成部分全体を対比して類否を判断するのを原則とすべきものであって,結合商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き, の部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,許されないと解すべきであるから,原告の上記主張は,まず,その前提において採用することができない。 次に,本件全証拠によっても,被告標章1を構成する「Agatha」の文字部分のみから取引者,需要者に対し本件商標の指定商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであることを認めるに足りない。この点に関し原告は,「AGATHA」が原告の略称及びハウスマ- 13 -ークとして需要者に周知であり,「AGATHA」の別表記として,「Agatha」の文字部分から「原告,原告の商品」の観念が生じる旨主張し,上記主張の裏付けとして甲1(原告の日本の子会社アガタジャポンのウェブページ)を証拠として提出する。しかし,甲1から直ちに「AGATHA」が原告の略称及びハウスマークとして需要者に周知であるとまで認めることはできないし,また,被告標章1の「Agatha」の文字部分のみから取引者,需要者に対し本件商標の指定商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとまで認めることもできない。 さらに,前記アで認定のとおり,被告標章1を構成する「Naomi」の文字部分から「ナオミ」の称呼及び女性の名前の観念が生じるものと認められるから,被告標章1の構成部分のうち,「Agatha」の文字部分以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないとまで認めることはできない。 したがって,被告標章1と本件商標との類否判断に当たっては,被告標章1の「Agatha」の文字部分と本件商標とを対比すべきである旨の原告の主張は,理由がない。 ウそこで,被告標章1が本件商 ない。 したがって,被告標章1と本件商標との類否判断に当たっては,被告標章1の「Agatha」の文字部分と本件商標とを対比すべきである旨の原告の主張は,理由がない。 ウそこで,被告標章1が本件商標に類似する商標(商標法37条1号)に当たるかどうかについて判断する。 (ア)まず,外観についてみると,本件商標は,「AGATHA」の欧文字6字を黒色単色,ゴシック体様の太文字の書体で横書きして成るのに対し,被告標章1は,「AgathaNaomi」という欧文字11字を装飾した書体で横書きして成るものであるから(前記ア),文字数や書体等の点において,本件商標の外観と被告標章1の外観とが異なることは明らかである。 (イ)次に,称呼についてみると,本件商標は,フランス語風の読みとして「アガタ」の称呼が,英語風の読みとして「アガサ」の称呼が生- 14 -じるものと認められる。これに対し被告標章1は,英語風の読みとして「アガサナオミ」の称呼が生じるのであるから(前記ア),本件商標と被告標章1とは,称呼の点において異なることは明らかである。 (ウ)さらに,観念についてみると,原告が主張するように本件商標から「アガサ」又は「アガタ」という「欧米人の女性の名前」の観念や,「原告,原告の商品」の観念が生じるとしても,被告標章1から生じる観念は「アガサナオミ」という人名であって(前記ア),「アガサ」又は「アガタ」が「アガサナオミ」と同一の人名であるとは直ちにはいえないし,また,被告標章1の構成部分全体から「原告,原告の商品」の観念が生じるとまで認めることはできない。 したがって,本件商標と被告標章1とは,観念において異なるものである。 (エ)前記(ア)ないし(ウ)の認定事実を総合すれば,本件商標と被告標章1とは,外観,称呼,観念のいずれの点においても ない。 したがって,本件商標と被告標章1とは,観念において異なるものである。 (エ)前記(ア)ないし(ウ)の認定事実を総合すれば,本件商標と被告標章1とは,外観,称呼,観念のいずれの点においても異なるものであるから,本件商標及び被告標章1が同一又は類似の商品に使用された場合であっても,取引者,需要者が商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあると認めることはできず,本件商標と被告標章1とが全体として類似するものとまで認めることはできない。 そうすると,被告標章1が本件商標に類似する商標(商標法37条1号)に当たるものとは認められない。 (2)被告標章2についてア被告標章2は,「」の欧文字11字を白抜き文字,ゴシAgathaNaomiック体様の書体で横書きして成るものであって,「Agatha」の文字部分と「Naomi」の文字部分との二つの構成部分を有する結合商標(結合標章)であるものと認められる。 そして,被告標章2の「Agatha」の文字部分と「Naomi」の文字部分と- 15 -は,書体,文字(大文字・小文字)の大きさが同一であり,かつ,「Agatha」の文字部分の末尾の「a」と「Naomi」の文字部分の冒頭の「N」との間隔は小文字1字分程度であって,1行にまとまりよく横書きされていることに照らすならば,前記(1)アで説示したのと同様に,被告標章2は,その構成部分全体が商品の出所識別標識としての機能を有するものと認められるから,本件商標と被告標章2との類否を判断するに当たっては,その構成部分全体を対比するのが相当である。 イそして,前記(1)ウ(ア)ないし(ウ)と同様の理由により,本件商標と被告標章2とは,外観,称呼,観念のいずれの点においても異なるものであるから,本件商標及び被告標章2が同一又は類似の商品に使用され そして,前記(1)ウ(ア)ないし(ウ)と同様の理由により,本件商標と被告標章2とは,外観,称呼,観念のいずれの点においても異なるものであるから,本件商標及び被告標章2が同一又は類似の商品に使用された場合であっても,取引者,需要者が商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあると認めることはできず,本件商標と被告標章2とが全体として類似するものとまで認めることはできない。 そうすると,被告標章2が本件商標に類似する商標(商標法37条1号)に当たるものとは認められない。 (3)被告標章3についてア被告標章3は,「AgathaNaomi」という欧文字11字を装飾した書体で表した「」から成るものであって,「Agatha」の文字部分と「Naomi」の文字部分との二つの構成部分を有する結合商標(結合標章)であるものと認められる。 そして,被告標章3の「Agatha」の文字部分と「Naomi」の文字部分とは,書体,文字(大文字・小文字)の大きさ,色彩が同一であり,かつ,「Agatha」の文字部分の末尾の「a」と「Naomi」の文字部分の冒頭の「N」との間隔は小文字1字分程度であって,1行にまとまりよく横書きされていることに照らすならば,前記(1)アで説示したのと同様に,- 16 -被告標章3は,その構成部分全体が商品の出所識別標識としての機能を有するものと認められるから,本件商標と被告標章3との類否を判断するに当たっては,その構成部分全体を対比するのが相当である。 イそして,前記(1)ウ(ア)ないし(ウ)と同様の理由により,本件商標と被告標章3とは,外観,称呼,観念のいずれの点においても異なるものであるから,本件商標及び被告標章3が同一又は類似の商品に使用された場合であっても,取引者,需要者が商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがある は,外観,称呼,観念のいずれの点においても異なるものであるから,本件商標及び被告標章3が同一又は類似の商品に使用された場合であっても,取引者,需要者が商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあると認めることはできず,本件商標と被告標章3とが全体として類似するものとまで認めることはできない。 そうすると,被告標章3が本件商標に類似する商標(商標法37条1号)に当たるものとは認められない。 (4)まとめ以上によれば,被告標章1ないし3は,いずれも本件商標に「類似する商標」(商標法37条1号)に当たるものとは認められないから,被告による被告標章1ないし3の使用は,本件商標権の侵害に当たらない。 結論 以上によれば,原告の請求は,その余の点を判断するまでもなく,いずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部裁判長裁判官大鷹一郎裁判官関根澄子- 17 -裁判官古庄研- 18 -(別紙)被告商品目録 ブレスレット ネックレス ピアス チェーンゴールド チェーンシルバー925 ペンダントゴールド ペンダントシルバー アロマ・ジェム
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