昭和37(ネ)928 詐害行為取消等併合事件

裁判年月日・裁判所
昭和38年4月9日 大阪高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件控訴を棄却する。      控訴費用は控訴人の負担とする。          事    実  控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人の請求を棄却する。被控訴人が訴 外A

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判決文本文3,380 文字)

主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人の請求を棄却する。被控訴人が訴外Aとの間において昭和三二年三月九日原判決添付目録記載の物件についてなした代物弁済はこれを取り消す。被控訴人は控訴人に対し、右物件について大阪法務局昭和三二年三月二八日受付第七三四一号をもつてなした所有権移転登記の抹消登記手続をせよ。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、主文同旨の判決を求めた。 当事者双方の事実上の陳述、証拠の提出、援用、認否は、控訴代理人において、「本件家屋について、控訴人のため、大阪法務局昭和三二年一月一七日受付第六四七号をもつて、被控訴人主張は根抵当権設定登記がなされていることは認める。」と述べたほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する、 理由 第一、控訴人の請求について。 一、 成立に争いのない甲第六号証と原審での証人Bの証言により真正に成立したものと認める甲第一号証と同証人ならびに原審での証人Aの各証言によると、控訴人は、昭和三一年九月一七日、訴外Aとの間で、控訴人製造にかかる軽二輪自動車、二種原動機付自転車およびそれらの附属部品等の継続的売買契約を締結し、代金は商品引き渡しの月の末日払いと定め、右契約に基づき、同月一九日から同三二年二月二五日までの間に右商品を売り渡し、同日現在、同訴外人に対し、金四、〇九二、五四四円の売掛残代金債権を有すること、ならびに、同訴外人は、右取引当時、本件家屋のはかに債権の担保となる財産を殆んど有していなかつことが認められ、右認定に反する証拠はない。 二、 そして、訴外Aが、昭和三一年九月一〇日、訴外Cより 、ならびに、同訴外人は、右取引当時、本件家屋のはかに債権の担保となる財産を殆んど有していなかつことが認められ、右認定に反する証拠はない。 二、 そして、訴外Aが、昭和三一年九月一〇日、訴外Cより金七〇〇、〇〇〇円を、弁済期日同三二年三月七日、利息年六分、利息支払期日毎月末日の約で措り受け、その担保として、同三一年一〇月八日、本件家屋に順位一番の抵当権設定登記ならびに代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記をしたこと、および、被控訴人は、同三二年三月九日、右Cから、右仮登記上の権利を譲り受け、同日付代物弁済を原因として、同月二八日、本件家屋につき所有権取得登記をしたことは、当事者間に争いがない。 三、 被控訴人は、右代物弁済予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記は昭和三一年一〇月八日になされているが、右仮登記の原因をなす代物弁済の予約は、右仮登記より以前の同年九月二〇日、前記消費貸借契約成立と同時に訴外AとCとの間に成立したものであると主張するので判断するに、成立に争いのない甲第二号証と官署作成部分について成立に争いなくその余の部分について、原審での証人Aの証言により真正に成立したものと認める乙第一号証と同証人の証言を総合すると、被控訴人の右主張事実を認めることができ、これに反する証拠はない。よつて、訴外Aは、昭和三一年九月一〇日、訴外Cとの間で、前記消費貸借契約による債務担保のため、本件家屋につき、代物弁済の予約をなしたものである。 四、 さて、民法第四二四条の詐害行為取消権が成立するためには、債務者が債権者の共同担保たる債務者の財産について、債権者を害する法律行為すなわち詐害行為をしたこと(客観的要件)、債務者および受益者または転得者に、債権者を害するという詐害の認識があつたこと(主観的要件)を必要とする。したがつ 務者の財産について、債権者を害する法律行為すなわち詐害行為をしたこと(客観的要件)、債務者および受益者または転得者に、債権者を害するという詐害の認識があつたこと(主観的要件)を必要とする。したがつて、債務者の行為が債権者の債権を害するものとして、これについて、同条の適用があるとするには、時期的に、その行為が取消権を行使する債権者の債権発生以後になされたものでなければならない。けだし、いまだ発生しない債権が詐害の目的となるべき理はなく、そこに詐害の認識のあろうはずもないからである。 ところで、債権者が債権担保のため債務者所有の不動産について抵当権を設定させるとともに代物弁済の予約をなすときは、特段の事情のない限り、債権者のみが予経完結権を有するのが通例であつて、特段の事情の認められない本件においても、債権者である訴外Cのみが代物弁済の予約完結権を有していたことが認められる。そして、右のような債権者のみが予約完結権を有する代物弁済の予約がなされ、将来において確定すべき請求権として仮登記によつてその保全がはかられるときはその債権担保の機能は確実性と完全性を附与されることになるのである。さらに、将来債務の不払その他一定の事由が発生したときは、債権者の予約完結権の行使としての一方的意思表示により、直ちに本契約たる代物弁済契約は成立し、これとともに目的不動産の所有権は債権者に移転する効力を生ずる。右本契約の相立ならびに所有権の移転について、特にあらためて債務者の承諾その他の行為を要するものではない。そうだとすれば、詐害行為の成立のための前記客観的要件と主観的要件を判断するにあたつては、右のごとき債権の担保的機能を果す形成権を債権者に取得させた代物弁済の予約の締結についてこれを問題にするほかはないのである。すなわち代物弁済の予約の締結を原因とする 観的要件を判断するにあたつては、右のごとき債権の担保的機能を果す形成権を債権者に取得させた代物弁済の予約の締結についてこれを問題にするほかはないのである。すなわち代物弁済の予約の締結を原因とするその仮登記は、破産の場合においては否認の対象とされる場合があるが、それは詐害行為取消権の対象たりえないし、代物弁済契約の成立による所有権移転の時には問題とさるべき債務者の行為は全然存在しないので<要旨>ある。したがつて右の場合、詐害行為取消権行使の主体的要件としては、時期的に見て、その取消権を行使す</要旨>る債権者の債権は、代物弁済の予約による仮登記、もしくはその予約完結権の行使による所有権移転の効力発生以前において成立しているだけでは足りず、代物弁済の予約が成立する以前において成立していることを要するものと解するのが相当である。 ところが、本件の控訴人の有する債権は本件代物弁済の予約成立以前ではなく、その成立以後に成立したものであることは、前記一ないし三に判示したところにより明らかである。 五、 そうすると、控訴人が、民法第四二四条に基づき、被控訴人に対し、同人が訴外Aとの間において昭和三二年三月九日本件家屋についてなした代物弁済の取り消し、ならびに、同物件につき大阪法務局同月二八日受付第七三四一号をもつてなした所有権移転登記の抹消登記手続を求める請求は理由がないから、これを失当として棄却すべきである。 第二、被控訴人の請求について。 控訴人が、本件家屋こついて、昭和三二年一月一七日、大阪法務局受付第六四七号をもつて、根抵当権設定登記をしていることは当事者間に争いがない。しかしながら、前記第一の二に判示したとおり、本件家屋については、右根抵当権設定登記より以前の昭和三一年一〇月八日、所有権移転請求権保全の仮登記がなされ、被控訴人は、 ることは当事者間に争いがない。しかしながら、前記第一の二に判示したとおり、本件家屋については、右根抵当権設定登記より以前の昭和三一年一〇月八日、所有権移転請求権保全の仮登記がなされ、被控訴人は、右仮登記に基づき、昭和三二年三月二八日本件家屋につき所有権移転の本登記をしているから、控訴人の前記根抵当権は被控訴人に対抗できないものである。よつて、控訴人に対し、右根抵当権設定登記の抹消を求める被控訴人の請求は正当である。 第三、結論そうすると、以上と同趣旨の原判決は相当である、よつて、民事訴訟法第三八四条、第八九条を適用して主文のとおり判決する(裁判長判事平峯隆判事大江健次郎判事北後陽三)

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