- 1 -主文 原告らの各請求をいずれも棄却する。 訴訟費用(補助参加費用を含む)は原告らの負担とする。 。 事実及び理由 第1請求 被告は,aに対し,128万5000円及びこれに対する平成17年12月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 被告は,bに対し,36万5000円及びこれに対する平成17年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 被告は,cに対し,12万6000円及びこれに対する平成18年4月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 被告は,有限会社dに係る損失補償契約に基づき,e信用組合に対して公金を支出し,債務その他の義務を負担してはならない。 被告は,cに対し,1485万7500円及びこれに対する平成18年5月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 訴訟費用は被告の負担とする。 第2事案の概要本件は,旧緒方町等が合併して成立した豊後大野市の住民である原告らが,旧緒方町が,町議会の議決を経て,有限会社に町有地を無償で貸し付けたことが,地方財政法8条,地方自治法237条2項,96条1項6号に反する違法なものであるとして,被告に対し,町長の職にあった者らに対する賃料相当損害金等の損害賠償請求をすることを求め,また,上記会社がe信用組合(以下「本件信組」という)から建築資金の融資を受ける際に,旧緒方町が損失補。 償契約を締結したことについて,法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(以下「財政援助制限法」という)3条及び地方自治法232条の2に。 反し違法,無効であるとして,被告に対し,上記損失補償契約に基づく公金支- 2 -出の差止めを求め,さらに,豊後大野市の成立後に,その長 財政援助制限法」という)3条及び地方自治法232条の2に。 反し違法,無効であるとして,被告に対し,上記損失補償契約に基づく公金支- 2 -出の差止めを求め,さらに,豊後大野市の成立後に,その長の職務執行者が,上記貸付地の舗装工事費を暫定予算として計上,執行したことが,職務執行者の権限の範囲の逸脱ないし濫用に当たるとして,被告に対し,当該職務執行者に対する請負代金相当額の損害賠償等の請求をすることを求める事案である。 第3争いのない事実 当事者等( )原告らは,豊後大野市(平成17年3月31日,旧緒方町を含む大野郡 5町2村の合併(以下「本件合併」という)により成立した。以下,本件。 合併前の旧緒方町を「緒方町」といい,合併した他の町村も同様に表記する)の住民である。 。 ( )aは,平成17年4月24日以降,豊後大野市長の職にある者である。 ( )被告補助参加人b(以下「被告補助参加人」又は「b」という)は, 。 本件合併時点まで,緒方町長の職にあった者である。 ( )cは,平成17年3月31日から同年4月23日までの間,豊後大野市 長職務執行者の職にあった者である。 本件の経緯( )本件無償貸付契約及び本件損失補償契約の締結 ア平成16年12月3日,緒方町が所有していた別紙物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という)を本店所在地とする有限会社d(以下。 「本件会社」という)が設立され,その目的は,①店舗(テナント)。 の賃貸借並びにその管理・運営,②コンビニエンスストア,ドラッグストア及びビデオレンタルストアの経営などとされている。なお,本件会社の設立当初の役員には,f商工会(以下「商工会」という)会長や緒方。 町議会議長らがいた。 イbは,緒方町長として,緒方町議会の平成17年1月20日付議 ストアの経営などとされている。なお,本件会社の設立当初の役員には,f商工会(以下「商工会」という)会長や緒方。 町議会議長らがいた。 イbは,緒方町長として,緒方町議会の平成17年1月20日付議決(以下「本件議決」という)を経て,同年1月21日,本件会社に対し,平。 - 3 -成36年3月31日まで,緒方町の普通財産である本件土地を無償で貸し付ける契約(以下「本件無償貸付契約」という,及び別紙物件目録記。)載2の土地(以下「本件私有地」という)を賃料年49万3200円。 (ただし,平成16年度の賃料は41万0774円)で貸し付ける賃貸借契約を締結した。 ,,ウ本件議決の際に,緒方町の職員は「本件土地上には防犯灯が3個建ちこれの電気料が約1万8000円,それから公衆トイレの維持管理として水道料,それから集排の使用料,水道が1万1200円,集排が3万1560円,それからトイレ等の清掃委託料月額3万円程度で委託をしたいということで,これが36万円,それから植栽の維持管理が年間5万含めて47万0840円ということで・・・今の試算では47万ということであります」と説明し,かかる維持管理費用は実質的に賃料だとして,20。 年間は本件会社に維持管理をしてもらう考えだと説明している。 エ緒方町は,本件土地等の造成費用954万9000円のうち444万9000円につき,発電用施設周辺地域整備法等に基づく「電源立地地域対策交付金」制度を利用して県から交付を受けている。 この点に関し,緒方町の職員は,本件議決の前に開催された平成16年第4回緒方町議会定例会において,交付金の交付規則によれば「収益が出たら国にその収益部分相当額に当たる交付金を返還しなければならない」と説明した。 。 オbは,緒方町長として,平成17年1月31日,本件会社がテナ 定例会において,交付金の交付規則によれば「収益が出たら国にその収益部分相当額に当たる交付金を返還しなければならない」と説明した。 。 オbは,緒方町長として,平成17年1月31日,本件会社がテナントビル等を建設するための資金9450万円を本件信組から借り入れるに際し,本件信組との間で,損失補償契約(以下「本件損失補償契約」という)。 を締結した。 ( )本件合併 緒方町は,平成17年3月31日,三重町,清川村,朝地町,大野町,千- 4 -歳村及び犬飼町と合併した。合併協定書によれば,旧町村が所有する財産,公の施設及び債務は全て新市が承継することになっている。 ( )本件請負契約の締結及び代金支払 cは,豊後大野市長職務執行者として「平成17年度緒方町商業ゾーン,舗装工事(以下「本件舗装工事」という)の費用を豊後大野市の事業費」。 として暫定予算に計上し,平成17年4月12日,g株式会社(以下「g」という)との間で,本件舗装工事につき代金を1485万7500円とす。 る請負契約(以下「本件請負契約」という)を締結した。 。 aは,豊後大野市長として,平成17年5月2日,gとの間で,本件請負契約の代金を14万1750円増額する変更契約を締結した。 豊後大野市は,gに対し,本件請負契約及び上記変更契約に基づき,1499万9250円を支払った。 ( )監査請求 ア平成▲年(行ウ)第▲号事件原告らは,平成17年10月3日,本件無償貸付契約及び本件損失補償契約について監査請求を行ったところ,監査委員は,①本件無償貸付契約については,被告に対し,地価等勘案して適正賃料により有償へと変更契約すべきであることを勧告し,②本件損失補償契約については,監査請求を理由がないとしたものの,今後同様の損失補償契約をする場合には,議会に ,被告に対し,地価等勘案して適正賃料により有償へと変更契約すべきであることを勧告し,②本件損失補償契約については,監査請求を理由がないとしたものの,今後同様の損失補償契約をする場合には,議会に対しても十分な説明を行うよう要望した。 イ平成▲年(行ウ)第▲号事件原告らは,平成18年2月17日,本件請負契約について監査請求を行ったところ,監査委員は請求に理由がないとした。 第4 争点 本件無償貸付契約に関する不法行為責任の成否(原告らの主張)- 5 -( )本件無償貸付契約の違法性 ア本件事業に公益性がないこと本件会社が行う事業(以下「本件事業」という)とは,本件土地及び。 本件私有地を借り受けて,本件土地上にテナントビル及び本件私有地上にコンビニエンスストアを建設し,それぞれ事業主に貸し付けるというもので,一私企業による賃貸借に過ぎず,本件事業に公益性はない。 イ緒方町条例違反緒方町においては,緒方町有財産条例(昭和39年4月1日条例第85号,甲17,以下「本件条例」という)5条で「他の地方公共団体その。 他公共団体又は公共的団体において,公用若しくは公共用又は公共事業の用に供するとき」に「普通財産を無償又は時価よりも低い価額で貸し付けることができる」とされている。 しかるに,本件会社は,専ら商工会に所属するごく一部の個人事業主の私的利益を追求し,金融機関から融資を得るために設立されたもので,公共的団体ではない。また,前記のとおり本件事業に公益性はない。さらに,特定の住民に対してのみ無償貸与して他の住民との機会の平等に反する点でも公共性に欠ける。 以上のように,本件無償貸付契約は本件条例に違反するところ,これが議会の議決に基づく場合でも,条例よりも緩やかに許されることにはならない。 ウ本件議決の瑕疵本件議決 する点でも公共性に欠ける。 以上のように,本件無償貸付契約は本件条例に違反するところ,これが議会の議決に基づく場合でも,条例よりも緩やかに許されることにはならない。 ウ本件議決の瑕疵本件議決の基礎となった説明には,次のような瑕疵がある。 (ア)緒方町は,本件議決の際に本件無償貸付契約の貸付条件として説明した公衆トイレを設置しておらず,トイレは本件会社が自ら設置しており,緒方町議会に提示された貸付条件は事実に反するものであった。 (イ)電源立地地域対策交付金交付規則20条,大分県電源立地地域対策- 6 -交付金交付要綱12条によれば,電源立地地域対策交付金の利用によって収益が出ればこれを返還すれば足りるから,緒方町職員が,交付金を返還せずともよいような工夫をする必要がある旨述べた説明は,本件土地の無償貸付けを正当化する根拠とはならず,当該交付金制度の趣旨を誤解している。 エ以上からすれば,本件議決は,特定団体に対する過度の便宜供与を禁じた趣旨の地方財政法8条,及び適正な対価によらない普通財産の譲渡又は貸付けを議会の議決事項としてその必要性と妥当性を議会の判断に委ねた地方自治法237条2項,96条1項6号に反する違法無効なものであり,本件議決に基づく本件無償貸付契約も違法無効である。 ( )b,c及びaの故意・過失 地方公共団体の長は違法な議決があった場合にはこれを執行してはならない注意義務があるにもかかわらず,bは緒方町の町長として,cは豊後大野市長職務執行者として,及びaは豊後大野市長として,それぞれ本件議決が違法な決議であることを知りながら漠然と本件議決に従って本件無償貸付契約を締結ないし継続し,本件会社から適正賃料月額16万4000円の賃料を徴収しなかった点で,過失又は故意に準じる重大な過失がある。 ( )損害 ことを知りながら漠然と本件議決に従って本件無償貸付契約を締結ないし継続し,本件会社から適正賃料月額16万4000円の賃料を徴収しなかった点で,過失又は故意に準じる重大な過失がある。 ( )損害 bは,その在任中である平成17年1月21日から平成17年3月30日の間に合計36万5000円の,cは,その在任中である平成17年3月31日から平成17年4月23日までの間に合計12万6000円の,及びaは,その在任中である平成17年4月24日から平成17年12月22日までの間に合計128万5000円の各損害を,緒方町又は豊後大野市に与えた。 (被告及び被告補助参加人の主張)( )本件無償貸付契約の違法性 - 7 -ア本件事業の公益性商工会では,平成2年ころから町の活性化のため商業ゾーンつくり事業等の計画を練り,検討を続けていたところ,平成12年にh病院の新築が具体化された。 そこで,病院周辺地域の活用のため,緒方町及び商工会が参加して新商業ゾーン検討会が設立され,平成13年には緒方町が病院利用者らを商業ゾーンに誘い込み町の活性化を図る目的で「ケアミックスタウン基本計画」を作成し,本件土地及び本件私有地は新たな商業ゾーンとして策定された(以下,ケアミックスタウン基本計画に基づく商業ゾーン整備事業を「本件商業ゾーン整備事業」という。 。)本件商業ゾーン整備事業においては,当初,商工会が,本件土地の賃借・店舗建設等を行う予定であったが,大分県の補助金を得られず断念し,次いで出店希望者による協同組合が店舗の建設及び運営を行う方針に変更したが,協同組合の設立には半年以上の時間がかかるので断念し,平成16年10月22日に出店者を社員とする有限会社を設立して本件事業を行うことになった。 緒方町が,本件事業の一切を行い,自営業者が建物の一 が,協同組合の設立には半年以上の時間がかかるので断念し,平成16年10月22日に出店者を社員とする有限会社を設立して本件事業を行うことになった。 緒方町が,本件事業の一切を行い,自営業者が建物の一部を賃借する形式を採用しなかったのは,町が事業のリスクを全て負い事業費負担が大きくなることを避けるためであり,本件会社にもリスク負担させたことはむしろ町財政にも資するものである。 また,平成16年12月7日,大野郡5町2村合併協議会においても,本件商業ゾーン整備事業が,市町村の合併に資する事業として関係市町村が連絡調整して合併前に実施する事業として認められている。 以上のとおり,本件事業は,公益法人たる商工会及び緒方町が町の有効な過疎対策,振興策として主導してきたものであり,また,本件会社が行うこととなったのも協同組合設立が不可能となったこと及び町の事業リス- 8 -ク軽減の趣旨によるものであり,本件事業には公益性がある。 イ緒方町条例違反本件無償貸付契約は,地方自治法237条2項,96条1項6号による議会の議決に基づきなされており,本件条例に基づくものではない。よって,同条例違反の主張は失当である。 ウ本件議決の瑕疵本件議決の基礎となった説明については,当初,緒方町が公衆トイレを設置することになっていたが,平成16年6月10日の町と商工会との協議において,町が公衆トイレを設置しないとしたため,本件会社がトイレを設置することとなったのであり,緒方町議会で虚偽の事実を述べていない。 また,商業ゾーンができれば公衆トイレの必要性が増すところ,トイレの設置主体が本件会社に変更されたこと,本件会社が公衆トイレ及び防犯灯の維持管理及び経費を負担することから,本件土地の無償貸付けにより本件会社の財政負担の軽減を図り,これによって本件事業を町の過疎 の設置主体が本件会社に変更されたこと,本件会社が公衆トイレ及び防犯灯の維持管理及び経費を負担することから,本件土地の無償貸付けにより本件会社の財政負担の軽減を図り,これによって本件事業を町の過疎対策,振興策として十分機能させることができる。その結果として商業ゾーンが活性化し,町の財政に寄与するのだから緒方町に損害は発生せず,本件土地の無償貸付けについては必要性,妥当性がある。 さらに,本件議決については,緒方町の総務産業建設委員会,非公式の町議による全員協議会及び本議会において,本件賃貸借価格が適正な対価によらないものであることを前提に,本件事業の公益性,並びに本件土地の無償貸付けの必要性及び妥当性を十分審議された上で,平成17年第1回緒方町議会臨時会にて原案のとおり可決されたものである。 そもそも本件商業ゾーン整備事業の審議以前になされた町議会議長選挙の影響で,緒方町議会内には激しい対立構図が生じており,bも反対派からの責任追及のおそれがあった以上,虚偽の説明をすることは考えられず,- 9 -関係会議や町議会において,再三本件事業の趣旨を説明した上で本件議決はなされている。 エしたがって,本件議決は適法であり,本件議決に基づく本件無償貸付契約も適法である。 ( )b,c及びaの故意・過失 地方自治法96条1項6号所定の議会の議決は,地方公共団体の意思を決定するものだから,執行機関は原則としてその議決事項の執行を義務づけられる立場にあり,議会の議決に重大かつ明白な瑕疵があって無効な場合を除き,その議決に従った執行機関の行為は地方公共団体との関係において違法となることはない。 そして,本件議決に重大かつ明白な瑕疵はなく,これに従って本件無償貸付契約を締結ないし継続したb,c及びaに故意・過失はない。 ( )損害 争う。 団体との関係において違法となることはない。 そして,本件議決に重大かつ明白な瑕疵はなく,これに従って本件無償貸付契約を締結ないし継続したb,c及びaに故意・過失はない。 ( )損害 争う。 本件損失補償契約に基づく公金支出等の履行差止めの可否(原告らの主張)( )本件損失補償契約の無効 地方公共団体が法人の負担する債務につき保証契約をなすことは禁止されている(財政援助制限法3条。 )この点,本件損失補償契約は,主たる債務の存在を前提とし,また,補償限度額を貸付金元本相当額として,補償される損失を未収貸付金等相当額とし,さらに,貸付債権の回収不能が補償の要件とされていないなど,その機能実質や経済的意味において保証契約と異なるところはないので,同契約を締結することは,財政援助制限法3条を潜脱して違法である。 仮に本件損失補償契約が「保証」に当たらないとしても,公益性がない限り,地方公共団体が援助等をなすことはできない(地方自治法232条の- 10 -2)ところ,本件事業には,前記1( )アのとおり公益性がない。 よって,本件損失補償契約は無効である。 ( )本件損失補償契約により損害を受ける可能性 緒方町及び豊後大野市は,本件会社に出資しておらず,本件会社の財務状況については任意の報告がない限り知り得る立場にはない。そして,本件会社は平成17年4月ころには,営業を開始したが,既に事業主の一人が行方不明になるなど事業計画に齟齬が生じている。このため,損失補償が具体化することで,豊後大野市が損害を受ける可能性がある。 よって,本件損失補償契約に基づく公金の支出又は債務等義務の負担は差し止められるべきである。 (被告及び被告補助参加人の主張)( )本件損失補償契約の有効性について 損失補償契約は,財政援助制限法3条 本件損失補償契約に基づく公金の支出又は債務等義務の負担は差し止められるべきである。 (被告及び被告補助参加人の主張)( )本件損失補償契約の有効性について 損失補償契約は,財政援助制限法3条に違反しないし,地方自治法199条7項は地方公共団体が損失補償を行うことを予定している。 また,本件損失補償契約は,保証契約ではないし,寄付又は援助(地方自治法232条の2)でもない。 さらに,平成16年12月7日の緒方町定例会において,本件損失補償契約締結について可決されている。 仮に,本件損失補償契約を締結したことが財政援助制限法に違反したとしても,当然に当該契約が私法上無効とすべきではない。違法事由の明白性や契約相手方による当該違法事由の認識ないし認識可能性の有無及び程度,法令上当然に要求される契約締結に必要な手続の履践の有無などを基準にして無効となるか否か判断すべきである。この点,本件事業の公共性・公益性からは当該契約の違法性が明白とはいえないし,損失補償契約は,財政援助制限法3条に違反しないとの自治省行政課長による回答などの存在により違法性の認識可能性はなかったし,契約締結に必要な議会議決は経ている。 - 11 -よって,本件損失補償契約は有効である。 ( )本件損失補償契約により損害を受ける可能性について 争う。 本件請負契約締結による職務執行者の不法行為責任の成否(原告らの主張)普通地方公共団体の長の職務執行者(以下「職務執行者」という)は,予。 算成立までの間,必要な収支につき暫定予算の調製,執行をすることができる(地方自治法施行令2条。 )しかしながら,暫定予算とは,本予算成立までの行政の中断を防ぐためのものであり,そこで計上される費目は一般的には義務費的性質のものに限定され,政策面に属する事業費等は計上すべきでは 施行令2条。 )しかしながら,暫定予算とは,本予算成立までの行政の中断を防ぐためのものであり,そこで計上される費目は一般的には義務費的性質のものに限定され,政策面に属する事業費等は計上すべきではない。 また,職務執行者は,長が決定されるまでの間のつなぎの機関に過ぎず,長のように包括的な管理執行権限の規定がないので,その権限は暫定予算の範囲内のみと解すべきであるし,専決処分(地方自治法179条1項)としても当該案件につき急速に処理し施行しなければならない場合であることが必要である。よって,本件舗装工事のように急速の処理を要するものでなく,政策面に属する新規事業費を暫定予算として計上し,これを執行することは権限の範囲外である。 さらに,緒方町商業ゾーンの本件舗装工事については,緒方町議会及び本件合併に際して継続して開催された合併協議会においても,費用負担の議決がされたことがない。本件舗装工事を承認したとされる町村長連絡会にしても,合併後の新公共団体が執る施策,行う事業を決定する機関ではない。 にもかかわらず,cは,職務執行者の権限の範囲を逸脱して,必要性・緊急性もないのに本件舗装工事費用を事業費として予算計上して,漠然と本件請負契約を締結した結果,豊後大野市に請負代金相当額の損害を与えた。 なお,仮に本件請負契約締結が職務執行者の権限範囲内であったとしても,- 12 -cは,上記各事情や,議会の承認が得られずとも専決処分の効力に影響しないとの先例を知りつつ,本件会社に利得させ,又は新市に損害を生じさせる目的で専決処分を行ったのであり,権限の濫用に当たる。 また,専決処分について,豊後大野市議会臨時会において承認されたとしても,豊後大野市議会において,執行機関側から本件請負契約締結の法的問題について何ら説明がなされておらず,承認議決によって 当たる。 また,専決処分について,豊後大野市議会臨時会において承認されたとしても,豊後大野市議会において,執行機関側から本件請負契約締結の法的問題について何ら説明がなされておらず,承認議決によって違法性阻却や損害賠償義務免除の効果は生じない。 (被告の主張)暫定予算の内容について,政策的事業費を排除する法令上の制限はなく,暫定予算を組むに至った状況によっては,争いのない一定の政策的事業費を含む予算を組むことは職務執行者の権限の範囲内の行為である。 また,職務執行者は,当該普通地方公共団体の長の職務を行うものとされており,その期間が限定されているにすぎない(地方自治法施行令1条の2。 )さらに,平成16年12月8日,大野郡5町2村合併協議会は,本件工事を含む本件商業ゾーン整備事業を市町村の合併に資する事業であると認めており,本件舗装工事費用は,5町2村で争いのない政策的事業費である。 よって,豊後大野市長職務執行者が専決処分により本件舗装工事費用を暫定予算に組み込んだことは権限内の行為である。 仮に,職務執行者の権限外の行為であったとしても,上記暫定予算は第1回豊後大野市議会臨時会において承認されたのだから,その瑕疵は治癒されている。 したがって,cが本件舗装工事費用を暫定予算に計上して,本件請負契約を締結した行為は適法である。 第5当裁判所の判断 本件無償貸付契約に関する不法行為責任の成否について( )緒方町条例違反について - 13 -緒方町が,平成17年1月21日,本件会社に対し,貸付期間を同日から平成36年3月31日までとして,緒方町の普通財産である本件土地を無償で貸し付ける本件無償貸付契約を締結したことは前記第3の2( )イのとお りである。 そして,普通地方公共団体の財産は,行政財産の場合を除き,条例又は議会の ,緒方町の普通財産である本件土地を無償で貸し付ける本件無償貸付契約を締結したことは前記第3の2( )イのとお りである。 そして,普通地方公共団体の財産は,行政財産の場合を除き,条例又は議会の議決による場合でなければ,適正な対価なくしてこれを貸し付けることはできない(地方自治法237条2項)ところ,本件無償貸付契約は,緒方町議会の平成17年1月20日になされた本件議決に基づき締結されている。 この点,原告らは,本件無償貸付契約は,普通財産の無償貸付けについて,公共団体又は公共的団体において,公用若しくは公共用又は公共事業の用に供するときにのみ認めるものとした緒方町の本件条例に違反しており,たとえ議会の議決に基づく場合でも,条例よりも緩やかに許されることにはならない旨主張する。 しかしながら,地方自治法237条2項は,条例では一般的な取扱いのできるものを定めるものとし,それにより難いものは個別に議会の判断を求めたものと解され,条例の定める一般的基準に適合しない場合であっても議会の議決によって普通財産の無償貸付けがなされ得ることは当然に予定されているものというべきである。 よって,本件条例違背をもって,本件無償貸付契約が違法ということはできず,原告らの上記主張は採用できない。 ( )本件議決の瑕疵について ア次に,原告らは,本件議決の基礎となった説明に瑕疵があり,議会において適正な対価でないことを前提として審議,議決がなされたとはいえず,本件議決自体が違法,無効である旨主張する。 この点,適正な対価によらずに財産の貸付等を行う必要性や妥当性を議会において審議させ,当該貸付等を行うかどうかを議会の判断に委ねた地- 14 -方自治法237条2項,96条1項6号の趣旨に鑑みれば,同規定の議会の議決があったというためには,当該貸付等が適 を議会において審議させ,当該貸付等を行うかどうかを議会の判断に委ねた地- 14 -方自治法237条2項,96条1項6号の趣旨に鑑みれば,同規定の議会の議決があったというためには,当該貸付等が適正な対価によらないことを前提として審議された上,当該貸付等を行うことを認める趣旨の議決がされたことを要する(最高裁平成15年(行ヒ)第231号同平成17年11月17日第一小法廷判決・裁判所時報1400号2頁,判例タイムズ1198号128頁参照)ことはもとより,議会の審議においては,判断の基礎となる当該地方公共団体の首長らの説明が適正になされたことを要し,その説明に重大な瑕疵がある場合には,当該財産の貸付等について審議がなされたとはいえず,その議決は無効と評価すべきものと解される。 そこで,本件議決が地方自治法237条2項,96条1項6号に定める議会の議決として有効であったか否かを検討する。 イ前記第3の2( )及び証拠(甲5,6,乙62,63,証人i)によれ ば,以下の事実が認められる。 平成16年第4回緒方町議会定例会の開会中,同年12月15日に開かれた総務産業建設委員会において,本件損失補償契約にかかる一般会計補正予算案が審議される中で緒方町が本件土地の無償貸付けを予定していることが明らかとなり,議員から本件商業ゾーン整備事業の公共性,公益性のほか,町有地の無償貸付けについても疑問が提起された。その際,議員から「無償では,町民は納得しない」との意見が出されたことに対し,。 当時町長であった補助参加人が「私は納得すると思う」などと応答し,。 町有地の無償貸付けについて,緒方町が積極的に考えていることに言及がなされた。そして,本件商業ゾーン整備事業の公共用又は公益事業としての位置づけ及び本件損失補償契約の対象となる本件会社の債務につき本件 有地の無償貸付けについて,緒方町が積極的に考えていることに言及がなされた。そして,本件商業ゾーン整備事業の公共用又は公益事業としての位置づけ及び本件損失補償契約の対象となる本件会社の債務につき本件会社役員の連帯保証の有無の確認,並びに本件土地の貸付けに関する賃貸料・維持管理料の検討をするため,同議案の採決が保留された。 同月17日に開かれた総務産業建設委員会においては,説明資料(乙6- 15 -2)として,商工会作成の商工ゾーン建設取組みの経過をまとめた資料に加え,上記委員会の指摘事項に対する回答書面及び本件会社が店舗建設資金9450万円を借り入れるに際し,本件会社の取締役5名全員が連帯保証をすることを確認する書面等が提出された。 上記説明資料の中には,本件土地の無償貸付けに関する事項も含まれていたため,委員長の提案により,総務産業建設委員会を一旦中断し,議員全員が参加して非公式の全員協議会で審議することとなった。 議員全員の審議においては,まず,緒方町の職員から,配布された説明資料の説明がなされ,補足して,他町村で設置されている公設民営型共同店舗では,建物建設及び周辺整備に多額の費用がかかり,維持管理費用もかかること,土地建物の固定資産税が町に入らないこと,利用店舗の経営が厳しくなると安易に賃貸契約を解除し,空き店舗の発生率が高くなること,清川村の公設民営型共同店舗では,公衆トイレ等の周辺整備が県の補助事業等で実施されていることが説明された。 また,説明資料(総務産業委員会の指摘事項に対する回答書面)においては,本件商業ゾーン整備事業が,新病院の建設とあわせ,医療,福祉施設と商業施設の相互連携を目的として緒方町が策定したケアミックスタウン構想に基づく計画であり,本件土地を含む商業ゾーンを賑わいの場,交流の場として捉えていること,町 病院の建設とあわせ,医療,福祉施設と商業施設の相互連携を目的として緒方町が策定したケアミックスタウン構想に基づく計画であり,本件土地を含む商業ゾーンを賑わいの場,交流の場として捉えていること,町村合併による過疎化が懸念されるところ,新病院を中心とした商業施設,行政施設の集積を進めており,本件土地を含む商業ゾーンが将来的には地域の核になること,本件土地は誘致企業の建物跡地で,同企業撤退後は町職員の駐車場として利用しているところ,本件土地上に出店者が商業施設を建設することで,年間約71万円余の固定資産税の増加が期待できること,企業誘致の見通しは厳しく,それよりも地域の商店主の育成振興が地域振興につながること等が,本件土地の無償貸付けに公共性,公益性が認められる事由として挙げられていた。 - 16 -さらに,議員からの一部の事業者のみに対する援助となるとの指摘に対しては,商工会が全商工会員に出店希望を募ったが,結果的に5名にとどまったことが説明され,また,本件土地の賃料を無償とする理由として,無償貸付けにより本件会社の負担を軽減させ,本件商業ゾーン整備事業の目的とする過疎対策,町の振興を十分機能させ,町の財政にも寄与させること,商工会からは公設民営型による事業の要望を受けたが,財政的に厳しいので,出店者に建物建築はさせた上で,緒方町は周辺整備で可能な援助をすることにしたこと,及び当初公衆トイレ,防犯灯,植栽は緒方町が整備することを検討していたが,県の補助は受けられず,町が公衆トイレ等の設置を実施する財政的余裕もなかったため,本件会社が公衆トイレ等を設置することとなり,代わりに維持管理費用相当分は町が負担すべきであることなどの考えも説明された。 上記のような審議の後,最終的には,総務産業建設委員会に取扱いを任せることとなり,再開された同 等を設置することとなり,代わりに維持管理費用相当分は町が負担すべきであることなどの考えも説明された。 上記のような審議の後,最終的には,総務産業建設委員会に取扱いを任せることとなり,再開された同委員会において,本件損失補償契約に係る議案(一般会計補正予算)に関しては,修正案が提出されることもなく,原案どおり可決された。 そして,平成17年1月20日の緒方町議会臨時会において,本件会社に関係している町議会議長及び議員の合計2名が,直接の利害関係があるとの理由により除斥された後,審議がなされ,議員から,本件土地の無償貸付けの条件として本件会社が負担するとされた公衆トイレ,植栽及び防犯灯の維持管理費について明らかにするよう質問がなされたところ,緒方町の職員が改めて,本件土地上には防犯灯が3個建ち,その電気料が約1万8000円,公衆トイレの維持管理として水道料が1万1200円,集排の使用料が3万1560円,トイレ等の清掃委託料が月額3万円程度で年間36万円,植栽の維持管理が年間5万円で,年間合計47万0840円と試算している旨説明し,かかる維持管理費用は実質的に賃料だとして,- 17 -20年間は本件有限会社に維持管理をしてもらう考えだと説明し,加えて,地価や町有地の使用料,事業内容も加味しながら合併後の新市で再度見直しがなされる場合もある旨説明がなされた後,賛成多数で本件議決がなされた。 ウ(ア)以上の審議,議決の経過を踏まえれば,本件無償貸付契約の締結については,緒方町議会において,本件土地の貸付けが適正な対価によらないことを前提として審議された上で(トイレ等の維持管理費用は,無償を正当化する一つの理由であって,審議全体の経過を踏まえれば,同費用をもって適正な対価であるとの前提で議決がなされたとは到底いえない,当該貸付けを行う 議された上で(トイレ等の維持管理費用は,無償を正当化する一つの理由であって,審議全体の経過を踏まえれば,同費用をもって適正な対価であるとの前提で議決がなされたとは到底いえない,当該貸付けを行うことを認める趣旨の議決がされたものとい。)え,また,その審議においては,判断の基礎となる説明も十分になされたものというべきである。 (イ)この点,原告らは,本件無償貸付契約の貸付条件として説明した公衆トイレを緒方町が設置せず,本件会社が自ら設置しており,町議会に提示された貸付条件が事実に反するものであったとし,本件議決の無効を主張する。 しかしながら,証拠(乙40,52の1,55の9,証人i)及び弁論の全趣旨によれば,本件商業ゾーン整備事業において,元々県の補助事業として町が公衆トイレを設置することを検討していたこと,その後,平成16年6月ころには補助事業として公衆トイレを設置することはできず,本件会社が共同トイレを設置するのみとなることが確定し,町職員はそのことを前提に議会での説明をしていたこと,本件会社が建設した共同店舗には共同トイレが設置されたことが認められ,同トイレはその設置された場所,態様からして,公衆トイレが本件土地ないし本件私有地内に設置された場合と同様の機能を果たしていることが窺われる。 また,緒方町が議会に説明したトイレ等の維持管理費用の試算が不合理- 18 -であることを認めるに足りる証拠もない。 以上の事実からすれば,確かに本件会社の設置したトイレ等であれば,町がその維持管理費用を負担すべき義務はないものの,当初町が公衆トイレ等を設置し,当然その維持管理費用も町が負担することを予定していたのが頓挫し,本件会社が設置する共同トイレ等をもって代えることになったという経緯に照らせば,議会において本来町が維持管理費用を負 イレ等を設置し,当然その維持管理費用も町が負担することを予定していたのが頓挫し,本件会社が設置する共同トイレ等をもって代えることになったという経緯に照らせば,議会において本来町が維持管理費用を負担すべきと説明したことが本件無償貸付契約の妥当性を基礎づける理由の一つとして全く根拠のないものとまでいうことはできず,これをもって本件議決を無効と評価すべき重大な瑕疵があったということはできない。 (ウ)また,原告らは,平成16年第4回緒方町議会定例会において,本件土地の貸付けを無償とした理由として,本件商業ゾーン整備事業では電源立地地域対策交付金を受けたことから,本件土地の貸付けに当たって交付金を返還せずともよいような工夫をする必要がある旨説明がなされていることについて,当該交付金制度の趣旨を誤解するもので,本件土地の無償貸付けを正当化する根拠とはならない旨主張する。 この点,緒方町が,本件土地等の造成費用の一部につき,県から電源立地地域対策交付金の交付を受けていたところ,上記定例会において,町職員が,交付金の交付規則によれば「収益が出たら国にその収益部分相当額に当たる交付金を返還しなければならない」と説明したことは。 前記第3の2( )エのとおりである。また,電源立地地域対策交付金交 付規則20条,大分県電源立地地域対策交付金交付要綱12条によれば,電源立地地域対策交付金の交付対象となった事業により収益が生じた場合には,知事が,当該収益から必要な経費を控除した額(交付金の額を超えない範囲に限る)の納付を命ずることができるものとされている。 ところ(甲10,11,確かに,このことをもって,ただちに本件土)- 19 -地の貸付けを無償にすべき理由となるものではない。 しかしながら,証拠(甲6,乙62,63,証人i)及び前記イで認定し ところ(甲10,11,確かに,このことをもって,ただちに本件土)- 19 -地の貸付けを無償にすべき理由となるものではない。 しかしながら,証拠(甲6,乙62,63,証人i)及び前記イで認定した本件無償貸付契約に関する審議,議決の経過によれば,町議会においては,貸付けを有償にしたとしても交付金事業にかかる収益の返還があり得ることは前提にして,本件土地を無償で貸し付けることについて,その必要性や妥当性が審議されていたものといえるし,上記各証拠によれば,収益が出ても返還することになるので貸付収入ではなく税等で対応できないか検討していると町職員が説明したことも認められるが,その当否はともかくとして,同説明が虚偽のものであるともいえない。 したがって,上記交付金制度に関する説明をもって,本件議決を無効と評価すべきほどの重大な瑕疵があるということはできない。 (エ)以上からすれば,緒方町議会においては,本件土地の貸付けが適正な対価によらないことを前提として審議された上,当該貸付けを行うことを認める本件議決がなされ,その審議においては,判断の基礎となる緒方町長及び職員らの説明に重大な瑕疵があったということもできないのであって,本件議決は,地方自治法237条2項,96条1項6号に定める議会の議決として有効になされたものといえる。 ( )公益性の欠如等による裁量権の逸脱・濫用について アさらに,原告らは,本件無償貸付契約は特定の住民で構成される一私企業への貸付けに過ぎず,本件事業に公益性はないから,本件無償貸付契約が,地方財政法8条等に違反する旨主張する。 ところで,前記( )( )の判示のとおり,本件無償貸付契約は,地方自治 法237条2項の議会による有効な議決に基づくものであるが,同議決は,地方公共団体の長に,財産処分の権限を付与 張する。 ところで,前記( )( )の判示のとおり,本件無償貸付契約は,地方自治 法237条2項の議会による有効な議決に基づくものであるが,同議決は,地方公共団体の長に,財産処分の権限を付与する許可的なものであるから,同議決に従ったというだけで,地方公共団体の長の行為が全て適法になるものではなく,地方公共団体の長は,同法ほか他の法令が定める地方公共- 20 -団体の財産の管理処分等に関する規定を遵守し,その裁量の範囲内で財産の管理処分をしなければならず,裁量を逸脱,濫用すれば違法の評価を受けることがあり得るところである。そして,本件無償貸付契約の対象となった本件土地は,緒方町の普通財産であったことは,前記第3の2( )イ のとおりであるところ,普通財産は,普通地方公共団体において,公用又は公共用に供し,又は供することを決定した財産である行政財産以外の一),切の公有財産であり(地方自治法238条3項,4項,その使用目的が行政執行上の直接の物的手段とされないもので,主としてその経済的価値を発揮することにより間接的に行政に貢献する財産であるから,地方公共団体の長が貸付けを行う場合は,適正な価格による場合が原則であり,適正な価格によらない場合は,その貸付けが「寄付又は補助(同法232」条の2)と同様の効果を生じさせるものであることから,当該貸付けに公益上の必要性が要求されると解される。もっとも,公益上の必要性といっても,事柄の性質上,一義的にその内容,程度等を決定することは困難であり,それぞれの地方公共団体が置かれた社会的,経済的,地域的諸事情の下においてその要求される内容,程度等について判断せざるを得ないし,地方公共団体の長の権限や役割に照らせば,公益上の必要性の他に,当該貸付けの目的,規模,効果のほか,当該財産の従前の 地域的諸事情の下においてその要求される内容,程度等について判断せざるを得ないし,地方公共団体の長の権限や役割に照らせば,公益上の必要性の他に,当該貸付けの目的,規模,効果のほか,当該財産の従前の利用状況等諸般の事情を考慮して,当該貸付けを行った地方公共団体の長の判断が,著しく不合理で,裁量権の逸脱,濫用がある場合にのみ,当該貸付けが違法となると解するのが相当である。 イそこで,本件事業及びそのために本件無償貸付契約を締結することについての公益上の必要性の欠如等,補助参加人に権限を逸脱,濫用したと認められる事情があったかを検討するに,証拠(甲2,19,20,26,乙1,3ないし9,15ないし59,62ないし67,丙1,2,6(枝番のあるものは,枝番を全て含む,証人i,同b)及び弁論の全趣旨。)- 21 -によれば,以下の事実が認められる。 (ア)商工会による商業ゾーンづくり事業商工会では,平成2年ころ,緒方町の活性化のために,商業ゾーンづくり事業等の計画が練られ,検討が進められていた。平成9年ごろから平成11年ころまでは,青写真ではなく,具体的な施策の検討が始まり,平成9年には,商工会と緒方町との懇談会が開催され,平成10年度には,商業ゾーンイメージ図の作成,消費者への購買アンケートの実施,商工会員へ出店についてのアンケート調査などが行われたが,建設費が多大なため,実現には至らなかった。 (イ)ケアミックスタウン基本計画本件会社が本件土地及び本件私有地を借り受けて,共同店舗及びコンビニエンスストアを建設し,それぞれ事業主に貸し付けるという本件事業は,緒方町において策定されたケアミックスタウン基本計画を基にした本件商業ゾーン整備事業によるものである。 ケアミックスタウン基本計画は,平成12年にh病院の新築が具体化されたこ けるという本件事業は,緒方町において策定されたケアミックスタウン基本計画を基にした本件商業ゾーン整備事業によるものである。 ケアミックスタウン基本計画は,平成12年にh病院の新築が具体化されたことから,平成13年から,医療,福祉施設と商業施設を相互連携し,病院利用者らを商業ゾーンに誘い込むなどして町の活性化を図る目的で検討され,緒方町が,商工会,設計業者とも頻繁に打合会を行った上で,平成14年に策定したものである。同計画では,新病院を中心とした医療・福祉ゾーン,町役場を中心とした行政サービスゾーン,国道や町役場前通りに面した商業ゾーン等,地域を6つのゾーンに分けた町づくりが計画され,商業ゾーンについては,既存スーパーが建ち並ぶ役場通りに面した現商業ゾーン及び駅前の商店街ゾーンに加え,新病院に隣接する場所に病院との関連の強い施設を出店させる新商業ゾーン及び新病院の南側の地域で,緒方町の主要幹線道路である国道α線に隣接し,もっとも通行量の多い道路に面した利点を生かして観光客や通行客- 22 -に対するサービス施設を誘致する沿道サービスゾーンが計画された。なお,本件事業が行われている本件土地及び本件私有地は,上記新商業ゾーンないし沿道サービスゾーンとして計画された場所にある。 (ウ)本件商業ゾーン整備事業実施の経過新病院の開設を契機とした商業ゾーンの整備については,商工会においても断続的に検討が行われ,緒方町への要望もなされていたが,商工会では既存商店街のあるβ駅周辺での開発を重視する声も強く,本件土地等における本件商業ゾーン整備事業が具体化したのは,新病院が開設される平成16年になってからである。 既存商店街は,新病院及びその南側にある国道とは鉄道を挟んで反対側である北側の駅前通りに位置していたところ,人口の減少や大型店の近隣市 化したのは,新病院が開設される平成16年になってからである。 既存商店街は,新病院及びその南側にある国道とは鉄道を挟んで反対側である北側の駅前通りに位置していたところ,人口の減少や大型店の近隣市町への進出により町内での購買が減少を続けていたことに加え,鉄道の南側(新病院の西側)にある町役場付近への農協の移転及びスーパーの出店等により衰退傾向にあり,従前商店街の北側にあった町立病院の移転後は人通りもまばらになっていた。また,商工会においても,平成17年に予定される本件合併後は人や物の流れが大きく変わり,新市の庁舎所在地以外の町村では役場職員の流出や出店企業の減少・減員等により購買力が大きく落ち込むことが予想され,新市移行前に新商業ゾーンの計画を具体化させる必要性が認識されていた。 本件土地及び本件私有地が本件商業ゾーン整備事業の対象地とされたのは,ケアミックスタウン基本計画において病院を核とした町づくりが構想され,町民や病院来訪者の利便性を考慮し,病院の側で,国道に面した本件土地及び本件私有地が商業ゾーンに適するものと考えられたからであり,商工会においても,出店場所としては条件の良い場所と考えられていた。また,本件土地は,以前に緒方町が誘致した企業の建物跡地であり,同企業が撤退した後,本件事業が開始されるまでの約10年- 23 -間,町職員の駐車場として利用されており,国道に近接するなど立地条件がよいにもかかわらず,賃料等の収益や固定資産税等の税収が全く得られない土地であるとされていたし,本件私有地は水田となっていた。 商工会からは,当初,町が店舗を建設して出店者に貸し出す公設民営方式が要望されていたが,町の負担が大きく,入居の保証もなかったので,事業者にリスクを負担させるべく,町としては,店舗の建設は出店者に行わせる方針の下で本 町が店舗を建設して出店者に貸し出す公設民営方式が要望されていたが,町の負担が大きく,入居の保証もなかったので,事業者にリスクを負担させるべく,町としては,店舗の建設は出店者に行わせる方針の下で本件商業ゾーン整備事業が進められた。 そして,商工会は,出店希望者が協同組合を設立し,共同店舗を建設して運営するとの方針の下,平成16年4月,全商工会員に対して出店希望者を募集した。当時の説明会には8名が参加したが,同年9月の説明会では7名の参加となり,その後,6名の出店希望者らが協同組合を設立することが検討されたが,1名は辞退し,また,協同組合設立では時間がかかり,借入等に支障が生じるため,結局,同年11月には,出店希望者5名が本件会社を設立することとなり,同年12月3日,本件会社が設立された。なお,現在は本件会社取締役のうち4名が,本件会社が本件土地上に建設した共同店舗で営業している。 他方,緒方町では,ケアミックスタウン基本計画を踏まえ,ファミリーレストランやガソリンスタンド等に対して本件土地等への出店を打診するなどする一方で,商工会との間で協議を重ねていたが,平成16年2月には,商工会から本件土地等への出店希望者がいるとして,用地の整備等の要望が出されたため,本件私有地所有者との間で借地交渉を進めるなど,出店計画を具体化させる商工会の動向や要望を把握しながら,それに対応する取組みを進めていった。また,町議会も商工会から本件土地等の借用及び造成を要望され,商工会において出店計画が具体化した同年11月には,本件土地等の造成工事予算が町議会で承認された。 平成17年1月21日,緒方町と本件会社との間で,本件土地の本件- 24 -無償貸付契約及び本件私有地を緒方町が所有者から賃借したのと同額の賃料で貸し付ける賃貸借契約が締結され,上記造成工事 た。 平成17年1月21日,緒方町と本件会社との間で,本件土地の本件- 24 -無償貸付契約及び本件私有地を緒方町が所有者から賃借したのと同額の賃料で貸し付ける賃貸借契約が締結され,上記造成工事が完成後,本件会社が共同店舗等を建設して開業し,その後,被告において舗装工事が実施されるに至った。 (エ)本件会社による本件事業の内容・実績本件会社は,本件土地及び本件私有地を借り受けた上で,本件土地上に,最大8店舗が入居可能な共同店舗用建物を,本件私有地上に,コンビニエンスストア用建物をそれぞれ建設した。共同店舗用建物には,本件会社の取締役4名が出店し,酒店や薬局,花屋,食堂を営業しているが,うち2名が本件会社から2店舗分の建物を賃借することで,空き店舗はない状態となっている。また,コンビニエンスストア用建物も賃借され,平成17年3月31日に開店し,24時間営業がなされている。 上記のとおり,コンビニエンスストアが入居し,共同店舗にも空き店舗がないため,その賃料収入により本件会社の現在の財務状態は安定しており,第2期(平成17年4月1日から平成18年3月31日まで)に比べて,第3期(平成18年4月1日から平成19年3月31日まで)は,販売費及び一般管理費における租税公課に違いはあるものの,損益計算書上の状況は好転しており,出店している店舗の経営状態にも格別問題は窺われない。 また,町職員の駐車場として利用されていた本件土地の代わりに他の町有地が代わりの駐車場とされたため,この点での緒方町の負担増はなく,かえって,本件私有地が水田から宅地へと変わり,本件土地に共同店舗も建てられたため,固定資産税だけでも年間約88万円となるなど税収は増加している。 (オ)本件無償貸付契約の内容前記第3の2( )イのほか,本件無償貸付契約においては,以下 り,本件土地に共同店舗も建てられたため,固定資産税だけでも年間約88万円となるなど税収は増加している。 (オ)本件無償貸付契約の内容前記第3の2( )イのほか,本件無償貸付契約においては,以下の内 - 25 -容の合意がなされている。 第4条(貸付料及びその改定) 貸付料は無料とする。 緒方町は,関係法令の改正,貸付財産の状況の変化,その他正当な理由があると認めた時は,前項の貸付料を改正することができる。 第6条(監理義務) 公衆トイレ,植栽及び防犯灯の維持管理及びその経費については,本件会社の負担とする。 本件会社は,貸付財産の使用により,第三者に損害を及ぼすおそれのある場合は,本件会社の責任において損害を防止し,第三者に損害が発生した場合は,本件会社の責任において賠償しなければならない。 第7条(調査協力義務)緒方町は,貸付財産について,随時その使用状況を現地にて調査することができる。 第8条(契約の解除)緒方町は,本件会社がこの契約に定める義務を履行しないときは,催告をしないでこの契約を解除することができる。 ウ以上の事実からすれば,商業ゾーン計画自体は,公益法人である商工会が長年取り組んできた課題であるところ,緒方町が,商工会とも頻繁に打合せの上,ケアミックスタウン基本計画という総合的な町づくりの基本計画を策定したのであり,その内容やこれに基づき町づくりを進めること自体に公共性,公益性があることは明らかであり,結果として本件事業における商工会の出店者が現在4名にとどまるとしても,当該特定の出店者の利益のみを考慮して本件商業ゾーン整備事業が計画されたとは到底いえない。また,本件合併を控え,町の更なる過疎化が懸念される中で,地域の- 26 -中核病院の開設を契機として,新病院を中心とした商業施設,行政施 慮して本件商業ゾーン整備事業が計画されたとは到底いえない。また,本件合併を控え,町の更なる過疎化が懸念される中で,地域の- 26 -中核病院の開設を契機として,新病院を中心とした商業施設,行政施設の集積を進めて町の振興を図り,その一環として,事実上遊休地となっていた国道沿いの本件土地等において,町による造成工事や無償の町有地貸付等によって支援しながら商業施設を整備することを企図したことが,ただちに公益性を欠いた不当なものとまではいえない。 そして,本件無償貸付契約は,貸付料が無償であることから,その面だけでみれば,緒方町に負担を強いていることは否定できないものの,本件事業全体としては,遊休不動産ともいえる普通財産の有効活用になっており,税収面での利益が期待されたほか,店舗の建設を出店者に負わせるなど,緒方町の経済的負担を軽減する配慮がなされたものであった。また,契約自体においても,貸付料を無償とする代わりに,本件会社に対し,トイレや植栽等の維持管理などの負担を負わせているほか,貸付料も,状況の変化によっては,変更があり得ることを謳うなど(例えば,出店者や本件会社の財務状況がさらに好転し,本件信組への返済が順調になされる状況が続けば,変更等の検討はあり得なくはないと推測される,緒方町。)の利益が過度に害されないような工夫がいくつもなされている。さらに,本件事業の実際の内容・実績は,今のところ比較的順調なものであって,本件事業や本件無償貸付契約が,緒方町による町づくりや本件商業ゾーン整備事業の一内容として問題のあるものであったという評価は,現段階では到底できないというべきである。 したがって,本件商業ゾーン整備事業及びこれに基づき本件事業の実施主体となる本件会社に対して本件土地を無償で貸し付けることに公益上の必要性があることは否 ,現段階では到底できないというべきである。 したがって,本件商業ゾーン整備事業及びこれに基づき本件事業の実施主体となる本件会社に対して本件土地を無償で貸し付けることに公益上の必要性があることは否定できないし,本件土地の従前の利用状況,上記貸付けの内容,規模,効果等のほか,本件無償貸付契約を含む本件事業全体の内容等を総合考慮すれば,緒方町の長らの判断には,著しく不合理なものがあったということはできないのであって,その裁量権の逸脱,濫用は- 27 -認められず,原告らの主張は採用できない。 本件損失補償契約に基づく公金支出等の履行差止めの可否( )前記第3の2( )オのとおり,緒方町長は,平成17年1月31日,本件 会社が共同店舗等を建設するための資金9450万円を本件信組から借り入れるに際し,本件信組との間で,本件損失補償契約を締結している。 また,前記1( )イ及び証拠(甲6,28,乙2,62,68,69,証 人i,同b)によれば,以下の事実が認められる。 本件損失補償契約では,本件信組が本件会社に9450万円を貸付けしたことによって受けた損失を緒方町が補償するものとされている(第1条,第2条。具体的には,返済期限の到来後1年を経過した時点での未回収元金)及び利子並びに当該1年間の違約損害金の未回収額について,本件信組から緒方町へ請求すれば,請求書受理後365日以内に上記金員を支払うものとされる(第3条。 )また,本件損失補償契約では,本件信組は,損失補償金を受領後も善良な管理者の注意をもって当該貸付金にかかる債権の回収に努めなければならないとされ(第6条,損失補償金受領後に当該貸付金にかかる債権の回収を)得たときは,その回収金額から債権行使に必要な経費を控除した額を当該貸付金について損失補償を受けない損失の補填 めなければならないとされ(第6条,損失補償金受領後に当該貸付金にかかる債権の回収を)得たときは,その回収金額から債権行使に必要な経費を控除した額を当該貸付金について損失補償を受けない損失の補填に充当し,更に残額を生じたときは,受領した損失補償金額に達するまでの金額を緒方町に納付しなければならないとされている(第7条。 )なお,本件会社・本件信組間での契約では,借入金の返済期限は平成32年6月10日とし,元金は平成17年7月10日から毎月10日限り52万5000円ずつ分割返済し,利息は同年1月31日を第1回として以後毎月10日限り,年1.65パーセントの割合で支払い,遅延損害金は年18. 25パーセントの割合とされている。また,本件会社の債務については,本件信組に対し,本件会社の代表取締役であるjが連帯保証している。 - 28 -本件損失補償契約は,商工会の要望も踏まえ,本件会社が本件信組から低利で融資を受けるためになされたものであり,平成16年第4回緒方町議会定例会において本件損失補償契約にかかる補正予算案が審議され,本件事業の公益性,公共性や本件会社役員の連帯保証の有無等が確認された上で,原案どおりに議決されている。 ( )原告らは,本件損失補償契約が,地方公共団体が法人の負担する債務に つき保証契約をなすことを禁止した財政援助制限法3条に違反して無効である旨主張する。 確かに,財政援助制限法3条は,地方公共団体が法人の負担する債務につき保証契約をなすことを禁止しているが,一方で,地方自治法上は,地方公共団体が損失補償を行うことを予定し(同法199条7項参照,借入金債)務の保証と損失補償とを区別している(同法221条3項参照)ところ,財政援助制限法3条は文言上,禁止対象として保証契約しか挙げておらず,損失補償は,同条に違 定し(同法199条7項参照,借入金債)務の保証と損失補償とを区別している(同法221条3項参照)ところ,財政援助制限法3条は文言上,禁止対象として保証契約しか挙げておらず,損失補償は,同条に違反しないとの自治省行政課長による昭和29年5月12日付の回答もあって,多数の地方公共団体で,保証契約と類似する損失補償がなされてきたことが窺われる一方で,これに対応する立法措置も講じられていないことも考慮すれば,元々同条において損失補償を含めて禁止する趣旨と解することもできない(甲9,24,25,丙1,3,証人b,弁論の全趣旨。そして,財政援助制限法3条の規定は存在するものの,同法制定)当時(昭和21年9月25日)には存在しなかった地方自治法がその後制定され,損失補償を含めて,地方公共団体の財務は,議会の議決に基づいて行われることになっており,地方公共団体の財政基盤を揺るがす危険については,議会の監督下に置かれることになっているのであるから,財政援助制限法3条の趣旨を潜脱する目的が明らかであるならともかくとして,一応保証契約と法的に区別される損失補償契約であれば,経済的,法的効果の面において,保証契約と類似する面があったとしても,そのことだけで,財政援助- 29 -制限法に違反して無効であるとまではいえないと解される。 これを本件についてみるに,確かに本件損失補償契約は,前記( )のとお り,本件会社の債務の存在を前提とし,補償の範囲も本件会社の債務の範囲内にとどまり,補償金請求につき必ずしも本件会社に対する貸付金が回収不能の状態になったことまでは要件とされていないものと解され,経済的な効果のみならず,その法的効果の面においても保証契約と類似する点があることを否定することはできないものといえる。 ,しかしながら,前記( )のとおり,本 では要件とされていないものと解され,経済的な効果のみならず,その法的効果の面においても保証契約と類似する点があることを否定することはできないものといえる。 ,しかしながら,前記( )のとおり,本件損失補償契約における補償対象は 返済期限の到来後1年を経過した時点での未回収額とし,本件会社が本件信組に負う債務と同一とまではしていない(民法446条,447条1項,448条等参照)上,本件信組に本件会社からの回収義務を課し,回収額が経費や補償されない損失額を上回るときは緒方町に納付することとされ,緒方町が本件信組に損失補償したとしても,本件信組の本件会社への貸付金債権は消滅せず,緒方町に代位されることもなく,結局,緒方町の求償権の発生も想定されていないこと(同法459条ないし462条参照)が窺われるなど,典型的な保証契約とは明らかに法的効果を異にする契約といえる。本件損失補償契約書(乙2)上,緒方町が本件信組に対し,催告及び検索の各抗弁権を有することを想定していないこと(同法452条,454条)や,jと緒方町の間で,分別の利益が想定されていないこと(同法456条参照)なども,同様である。 そうすると,本件損失補償契約には,一般的な保証契約とは法的内容・効果を明らかに異にする面も少なからずあることからすれば,本件損失保証契約は,法的に保証契約とは区別できるものであり,ただちに財政援助制限法3条を潜脱するまでのものともいえない。 したがって,本件損失補償契約の締結をもって,財政援助制限法3条に違反するとはいえないし,仮に多少の疑義があるとしても,上記のような諸事- 30 -情を考慮すれば,違反事由の明白性や,本件信組による違反事由の認識又は認識可能性があったとはいいがたいし,地方自治法上の議会の議決が行われていることも併せ考慮すると,本 記のような諸事- 30 -情を考慮すれば,違反事由の明白性や,本件信組による違反事由の認識又は認識可能性があったとはいいがたいし,地方自治法上の議会の議決が行われていることも併せ考慮すると,本件損失補償契約が,私法上無効とはいえず,結局,いずれの点からしても,原告らの主張は採用できない。 ( )なお,本件損失補償契約の締結についても,たとえ財政援助制限法3条 に違反せずとも,本件無償貸付契約と同様に,地方自治法232条の「寄付又は補助」と同様の効果があることから,公益上の必要性がなければならないものと解されるところ,前記1( )ウで判示したとおり,緒方町が,本件 損失補償契約を締結して,本件会社が低利融資を受けることを可能にさせるなどの支援をしながら本件商業ゾーン整備事業を進めたことがただちに公益性を欠いた不当なものとまではいえないし,本件損失保証契約を締結した緒方町の長らの判断に,その裁量権の逸脱,濫用は認められない。 また,緒方町議会において,本件損失補償契約にかかる補正予算案が審議された際には,本件会社の取締役5名全員が連帯保証人となる意向を確認する旨の書面が提出されていたにもかかわらず,実際に連帯保証人となったの),はjのみであることが認められる(甲28,乙62,68,69。この点上記書面で債務保証の意向を明らかにしておきながら,本件会社の取締役として出店しているj以外の者らが何故連帯保証人となっていないのかは明らかではないが,議会への説明当時から,緒方町執行部があえて虚偽の説明をしたことを認めるに足りる証拠もなく,上記取締役らの連帯保証の意向表明との齟齬がただちに緒方町と本件信組との間の本件損失補償契約の有効性に影響を与えるものともいえない。 ( )したがって,本件損失補償契約は有効に成立したものといえ,原告ら 締役らの連帯保証の意向表明との齟齬がただちに緒方町と本件信組との間の本件損失補償契約の有効性に影響を与えるものともいえない。 ( )したがって,本件損失補償契約は有効に成立したものといえ,原告らの 主張は採用できない。 本件請負契約締結による職務執行者の不法行為責任の成否( )cは,本件合併により,平成17年3月31日から同年4月23日まで - 31 -の間,豊後大野市長職務執行者の職にあったところ,本件舗装工事の費用を豊後大野市の事業費として予算計上し,同年4月12日,gとの間で,本件舗装工事代金を1485万7500円として本件請負契約を締結したことは,前記第3の1( ),同2( )のとおりである。本件舗装工事においては,既に 本件私有地上のコンビニエンスストア周辺の駐車場等の舗装工事がなされていた中で,未舗装となっていた本件土地上の共同店舗周囲の敷地部分が舗装された(甲A3,4。そして,本件請負契約締結に関する暫定予算は,平)成17年豊後大野市議会臨時会において,cが職務執行者として行った他の専決処分と共に承認された(甲18,A4,乙A4,5。 )( )この点,原告らは,職務執行者が,本件舗装工事のように急速の処理を 要するものでなく政策面に属する新規事業費を暫定予算として計上して,これを執行することは,職務執行者の権限の範囲外である旨主張する。 しかしながら,職務執行者は,予算成立までの間,必要な収支につき暫定予算の調製,執行をすることができるものとされており(地方自治法施行令2条,暫定予算の内容についても,その性質上,一般的には義務的経費や)調整済みの継続事業のみ計上されることが適当であるとはいえようが,職務執行者が暫定予算に政策的事業費を含ませることが法令上禁止されているものとまで解することはで の性質上,一般的には義務的経費や)調整済みの継続事業のみ計上されることが適当であるとはいえようが,職務執行者が暫定予算に政策的事業費を含ませることが法令上禁止されているものとまで解することはできず,本件請負契約の締結が,政策的事業費に当たる可能性があるという一事をもって,職務執行者の権限の範囲外の行為であったということはできない。 ( )アまた,原告らは,本件舗装工事については,必要性・緊急性もなく, 緒方町議会及び本件合併に際して継続して開催された合併協議会においても,費用負担の議決がされたことがない等の事情や,議会の承認が得られずとも専決処分の効力に影響しないとの先例を知りつつ,cは,本件会社に利得させ,又は新市に損害を生じさせる目的で専決処分を行ったのであり,職務執行者の権限の濫用に当たる旨主張する。 - 32 -しかしながら,証拠(甲12,13,A4,乙A1の1,A3,丙1,証人b)によれば,本件合併に参加する町村における平成16年度からの新規事業については,大野郡5町2村合併協議会に置かれた合併関係町村の長で構成する町村長連絡会において協議されていたところ,平成16年12月7日開催の町村長連絡会において,本件商業ゾーン整備事業に関する資料も提出され,本件舗装工事を含む本件商業ゾーン整備事業は,他町村の新規事業と共に承認されていたことが認められ,上記町村長連絡会で提出された資料では,本件商業ゾーン整備事業について,造成工事及び舗装工事を内容とすること,平成16年度を開始年度とし,平成17年度を終了年度とすることに加え,各年度の事業費やその内訳,実施状況等が明らかにされていた。 また,緒方町においても,平成16年12月開催の第4回緒方町議会定例会において,町職員から,舗装工事は平成17年度に実施する予定である旨説明さ の事業費やその内訳,実施状況等が明らかにされていた。 また,緒方町においても,平成16年12月開催の第4回緒方町議会定例会において,町職員から,舗装工事は平成17年度に実施する予定である旨説明されており,工事費用の積算等,入札に向けた準備を本件合併前に進めていた(甲6,乙A1の1,証人b。 )さらに,コンビニエンスストア周辺の駐車場等の舗装工事については,同店舗が平成17年3月31日に開業する前に本件会社によって先行実施されていたものの,未舗装となっていた共同店舗の敷地部分についても,大量の客が見込まれる5月の連休前に完成させることが望まれていたことが窺われ,本件請負契約締結当時,工期は同年4月25日までとされた(甲A1,3,4。 )以上からすれば,cは,町村長連絡会での協議等に基づき,各町村で平成16年度からの新規事業として実施することが承認された事業の一つとして,本件請負契約を締結したものと推認され,上記のとおり,未舗装となっていた本件土地上の共同店舗周囲の敷地部分を舗装するという本件請負工事の内容からしても,既に造成工事の実施されていた本件商業ゾーン- 33 -整備事業と一体をなす事業と捉えたことが不合理とはいえず,また,工事完成を急いだこともただちに不当とまではいえない。そして,前記( )の とおり,本件請負契約締結に関する暫定予算が平成17年豊後大野市議会臨時会において承認されたことからして,同市長及び同市議会としても本件舗装工事を実施する必要性・妥当性を認め,職務執行者の措置を是認していることも踏まえれば,本件請負契約の締結をもって,職務執行者としての権限を濫用したものと評価することはできない。 イこの点,原告らは,町村長連絡会は合併後の新公共団体が行う事業を決定する機関ではないとも主張するところ,確かに町村長 締結をもって,職務執行者としての権限を濫用したものと評価することはできない。 イこの点,原告らは,町村長連絡会は合併後の新公共団体が行う事業を決定する機関ではないとも主張するところ,確かに町村長連絡会は,大野郡5町2村合併協議会規約12条で設置された任意的設置機関であり,協議会に付議する事項等を審議する機関にすぎない(甲12,13。 )しかしながら,合併関係町村の長で構成する町村長連絡会において,本件舗装工事を含む本件商業ゾーン整備事業を実施することが承認され,これが合併協議会で覆されてもいないことからすれば,新市移行後の市長又は議会において反対の判断がなされると容易に予想されるような事情でもない限り,職務執行者が新市においても当該事業は継続して実施すべき事業と判断したとしても不合理とはいえない。そして,本件全証拠によっても,新市の市長ないし議会において反対の判断がなされると容易に予想されるような事情があったことも窺われないし,本件請負契約締結に関する暫定予算も新市の議会において承認されている。 よって,町村長連絡会での承認に何らの法的拘束力がないことをもって,cの本件請負契約の締結行為に権限濫用があったと評価することはできない。 ウまた,原告らは,豊後大野市議会において,執行機関側から本件請負契約締結の法的問題について何ら説明がなされていないとも主張するが,平成17年第1回豊後大野市議会臨時会において,本件商業ゾーン整備事業- 34 -については,平成16年度及び平成17年度の各事業費や各事業内容等が説明されていることが認められ(甲18,平成17年度の本件請負工事)にかかる暫定予算が政策的経費になり得ることは明らかにされていたものといえるところ,議会においてより詳細な説明を求めることが困難であった事情も窺われず,他の専決 18,平成17年度の本件請負工事)にかかる暫定予算が政策的経費になり得ることは明らかにされていたものといえるところ,議会においてより詳細な説明を求めることが困難であった事情も窺われず,他の専決処分と一括して承認されたことをもってただちに当該承認議決に瑕疵があるということもできない。 ( )したがって,cが本件舗装工事費用を暫定予算に計上して,本件請負契 約を締結した行為に,職務執行者としての権限の範囲の逸脱,濫用は認められず,当該行為は適法といえ,原告らの主張は採用できない。 第6 結論 よって,その余の点について判断するまでもなく,原告らの各請求は,いずれも理由がないので棄却することとし,主文のとおり判決する。 大分地方裁判所民事第1部裁判長裁判官浅見宣義松川充康裁判官力元慶雄裁判官
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