主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 控訴人(1)原判決を取り消す。 (2)東京都渋谷都税事務所長が控訴人に対して平成19年2月9日付けでした原判決別紙1物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という。)に係る平成17年度及び同18年度の固定資産税及び都市計画税(以下,固定資産税と都市計画税を併せて「固定資産税等」という。)の各賦課処分(以下「本件各処分」という。)をいずれも取り消す。 (3)訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 被控訴人主文同旨第2事案の概要 本件は,処分行政庁である東京都渋谷都税事務所長が控訴人に対して平成19年2月9日付けでした本件土地に係る平成17年度及び同18年度の固定資産税等の各賦課処分(本件各処分)について,地方税法349条の3の2及び地方税法施行令52条の11第2項1号並びに地方税法702条の3各所定の住宅用地に対する固定資産税等の課税標準の価格を軽減する特例(以下,これらの規定を「本件特例規定」といい,これに係る特例を「本件特例」という。)のうち,その面積が200㎡以下である「小規模住宅用地」に対する特例が適用されなかったため,これを不服とする控訴人が,被控訴人に対し,本件各処分の取消しを求めた事案である。 原審は,本件特例の適用を認めず,控訴人の請求を棄却した。 控訴人はこれを不服として控訴をした。 本件に関する前提事実は,原判決「事実及び理由」の「第2事案の概要」の1に記載のとおりであるから,これを引用する。但し,原判決7頁5行目の次に行を改めて,次のとおり加える。 「(14)本件土地上には,その後居住用建物は建築されず,平成20年10月2日現在も居住用家屋は存在しない。」 るから,これを引用する。但し,原判決7頁5行目の次に行を改めて,次のとおり加える。 「(14)本件土地上には,その後居住用建物は建築されず,平成20年10月2日現在も居住用家屋は存在しない。」 争点及び争点に関する当事者の主張は,次項において当審における当事者の主張を付加するほか,原判決「事実及び理由」の「第2事案の概要」の2に記載のとおりであるから,これを引用する。 当審における当事者の主張(控訴人)(1)原判決は,賦課期日において居住用家屋が現に存在していなくても,居住用家屋の建替え工事中の場合には本件特例規定の適用を認めるべきであるとしながらも,上記建替え工事中の場合のすべてにおいて認めるのか,それとも例外的な場合のみに認めるのか,また,例外的な場合のみに限定するのであれば,それはどのような要件が必要であるのかを全く明らかにしていないし,その点について合理的な理由付けもしていない。建替えに関する例外を認めるのであれば,建替え工事中であれば,本件特例規定の適用を認めるべきであり,建替え工事中でも本件特例規定の適用のない場合が存在するのであれば,本件特例規定の適用について具体的な要件を明らかにしなければ,地方税法の解釈をしたとは到底いえるものではない。 原判決は,全く理由なく本件通達の取扱いは合理的な根拠があると結論付けていることになり,理由不備の違法がある。 (2)本件特例は,当該年度の賦課期日における客観的な利用状況(本件においては現実に当該土地上に居住用家屋を建築中であるという利用状況)で判断すべきであり,かかる客観的な利用状況が,建物の完成や建物の完成時期 により,遡及的に変更になることは固定資産税等に関する地方税法の解釈としてはあり得ないことである。しかるに,本件通達の「当該年度の前年に係る賦課期日にお な利用状況が,建物の完成や建物の完成時期 により,遡及的に変更になることは固定資産税等に関する地方税法の解釈としてはあり得ないことである。しかるに,本件通達の「当該年度の前年に係る賦課期日における建替え前の住宅の所有者と建替え後の住宅の所有者が同一であること」とする要件は,住宅完成について期間制限を定めていることになり極めて不合理である。例えば,平成18年10月に建替えを始めて平成20年3月に完成したとすると,平成19年1月1日時点では既に建物は解体されているので,「当該年度の前年に係る賦課期日における建替え前の住宅」は存在しないことになるため,上記要件は充足されないことになり,現実に当該土地上に居住用家屋を建築中であるという利用状況に変わりはないのに,建築期間の長短や,建築時期により,本件特例規定が適用されたり,されなかったりすることになり明らかに不当である。 また,本件通達の上記要件では,新家屋の完成が要件となっており,不当である。すなわち,賦課期日において居住用家屋を建築中であるという客観的な利用状況が事後的な事情で遡及的に変更されることなどあり得ないにもかかわらず,その後の建物の不完成という特別な事情により,本件特例が遡及的に適用されなくなるのは不当である。また,賦課期日において建築中であった居住用家屋が,その後建築が請負業者の債務不履行で中断し,完成が不可能となった場合や,何らかの理由で完成前に当該土地を手放さなければならなくなった場合,施主としては当該賦課期日に外形的にも自宅の建替えをしていたものであり,かつ,当該土地から収益も取得しておらず,また,当該土地の固定資産税について事業経費の中から支払われるという事情も存在しないから,そのような場合に本件特例を適用しないことは,住宅政策上の観点から設けられた同規定の立法趣 も取得しておらず,また,当該土地の固定資産税について事業経費の中から支払われるという事情も存在しないから,そのような場合に本件特例を適用しないことは,住宅政策上の観点から設けられた同規定の立法趣旨にも反する結果となる。 (3)原判決は,本件通達の取扱いに関して,「このような例外的事情がある場合に限って本件特例を適用するものと取り扱うことは,その適用対象となる土地であるか否かが外形的及び類型的な事実から判断されることになるた め,短期間に大量の土地について評価をしなければならない固定資産税等の課税の実情にも合致するものといえる。」と判示するが,課税に関する事項は,すべて短期間に大量の処理をしなければならないのであり,これを理由として課税に関する通達等の違法,適法を論ずることはナンセンスである。 また,本件通達が定める新旧家屋の所有者の同一性などの要件を外すことで大量処理はより迅速になることは明らかである。 (被控訴人)本件各処分において,本件特例の適用に関する本件通達の適用を取り消した理由としては,建築主の変更により控訴人名義の新家屋が建築されないこと(家屋所有者の同一性の要件を満たさないこと)のみならず,処分庁が現地調査の結果,新築工事は中断しその進捗が認められず,本件土地は本件通達が対象とする住宅建替え中の土地といえないことにより,本件通達の適用対象といえないことも含まれていた。 第3当裁判所の判断 当裁判所は,本件各処分において本件特例の適用はなく,控訴人の請求は理由がないものと判断する。その理由は,次項以下において当審における当事者の主張に対する判断を付加するほか,原判決「事実及び理由」の「第3 争点 に対する判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 当審における当事者の主張について(1)控訴人は,原判決を 事者の主張に対する判断を付加するほか,原判決「事実及び理由」の「第3 争点 に対する判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 当審における当事者の主張について(1)控訴人は,原判決を批判した上,建替えに関する例外を認めるのであれば,建替え工事中であれば,本件特例規定の適用を認めるべきであり,建替え中でも本件特例規定の適用のない場合が存在するのであれば,本件特例規定の適用について具体的な要件を明らかにしなければ,地方税法の解釈をしたとは到底いえるものではないなどと主張する。 そこで検討するに,前記判示のとおり(原判決を引用。),本件特例規定によれば,本件特例の適用要件は,当該土地が「居住用家屋の敷地の用に供 されている土地」であることであり,原則として土地上に居住用家屋が存在することが必要である。そうすると,居住用家屋を建て替える場合は,本来建替え期間中は本件特例の適用がないということなるが,建替え中のみ急激に課税負担を増加させることは,本件特例の住宅用地について税負担の増加をできるだけ緩和するという住宅政策上の趣旨に照らして望ましくない。そして,固定資産税等は,短期間に大量の土地について評価をしなければならないという技術的な見地から賦課期日を定め(地方税法359条),その日を基準に上記要件を判断することとしているが,新家屋が通常必要と認められる工事期間内に敷地上に建築されている以上,その完成時期が翌年度の賦課基準日以前か以後かという事情によって本件特例の適否に差を設けることは,上記技術的な限界に起因して差を設けることになり,課税の公平上望ましくない。したがって,本件通達のように,当該土地が前年度の賦課期日において住宅用地であり,居住用建物の建替えの前後で当該建物の所有者が同一で,通常必要と認められる工事期間内に新家屋 税の公平上望ましくない。したがって,本件通達のように,当該土地が前年度の賦課期日において住宅用地であり,居住用建物の建替えの前後で当該建物の所有者が同一で,通常必要と認められる工事期間内に新家屋が建築される(住宅の建設が当該年度の賦課期日において着手されており,翌年度に係る賦課期日までに完成する)場合に,例外的に当該土地は「居住用家屋の敷地の用に供されている」と解することは,本件特例規定の趣旨に沿い,課税の公平にもかなうもので,同規定の解釈として合理的であり,本件規定に反し違法とするには及ばないものと解されるのである。これに対して,賦課期日において居住用家屋が建替え工事中でありさえすれば,本件特例規定の適用を認めるべきとする控訴人の上記主張は,本件特例規定の文言を理由もなく必要以上に拡大解釈するもので,同規定の趣旨にも沿わないから,採用できない。 (2)控訴人は,本件特例の適否は,当該年度の賦課期日における土地の客観的な利用状況で判断すべきであり,かかる客観的な利用状況が,建物の完成や建物の完成時期により,遡及的に変更になることは固定資産税等に関する地方税法の解釈としてはあり得ないことであるにもかかわらず,「当該年度 の前年に係る賦課期日における建替え前の住宅の所有者と建替え後の住宅の所有者が同一であること」とする要件は,住宅完成について期間制限を定め,また新家屋完成を要件とすることになり極めて不合理であると主張する。 しかしながら,前記(1)判示のとおり,本件通達は課税の公平上是認できないとして,居住用建物が建て替えられ,建替えの前後を通じて居住用建物の敷地として利用されている場合に,たまたま賦課期日に工事中であって建物が存在しなくとも,例外として建物の敷地として利用されているものと認めようとするものであるから,建物の完成,建 通じて居住用建物の敷地として利用されている場合に,たまたま賦課期日に工事中であって建物が存在しなくとも,例外として建物の敷地として利用されているものと認めようとするものであるから,建物の完成,建築期間の長短を問題とすべきことは当然であり,このような場合に限定して当該土地を「居住用家屋の敷地の用に供されている」と解することにより,本件特例規定の解釈上合理性が認められるものである。控訴人の上記主張は,賦課期日において居住用家屋が建替え工事中であれば,一律に本件特例規定の適用を認めるべきとする見解を前提とするもののようであるが,これが採用できないことは前記(1)判示のとおりである。 そして,本件通達の適用基準を充足する場合に本件特例を例外的に適用することができると解する以上,賦課基準日後の事情の変更によって本件通達の適用基準が欠けるに至った場合に本件特例の適用を見直すべきことは当然であるから,控訴人の上記主張は理由がない。 確かに,本件では,居住用家屋の建築中に請負業者の債務不履行により建築が中断し,完成が不可能となったもので,控訴人が主張するように当該土地から収益も取得していないとすると気の毒な面がないとはいえないが,もともとの本件特例の適用要件は,当該土地が「居住用家屋の敷地の用に供されている土地」であることであり,そのような要件から著しく乖離した場合を本件特例の適用対象とすることはできない。 (3)控訴人は,短期間に大量の処理をしなければならないことを理由として課税に関する通達等の違法,適法を論ずることはナンセンスであり,本件通 達が定める新旧家屋の所有者の同一性などの要件を外すことで大量処理はより迅速になるなどと主張する。 しかしながら,新旧家屋の所有者の同一性が認められない場合に本件特例の適用を認めることは,前記(1)判示の める新旧家屋の所有者の同一性などの要件を外すことで大量処理はより迅速になるなどと主張する。 しかしながら,新旧家屋の所有者の同一性が認められない場合に本件特例の適用を認めることは,前記(1)判示のとおり,同規定の文言を必要以上に拡大解釈することになるばかりでなく,同規定の趣旨にも反するものであり,大量処理が迅速に行われることになったところで意味がないから,控訴人の上記主張は理由がない。 (4)本件各処分においては,前記判示のとおり(原判決を引用。),本件特例の適用に関する本件通達の適用を取り消した理由として,本件土地は本件通達が対象とする住宅建替え中の土地といえないことも含むと解されるところ,本件土地上には平成17年1月1日以降平成20年10月2日に至っても居住用の建物は建築されておらず,本件土地は平成17年度及び同18年度において「居住用家屋の敷地の用に供されている土地」と解することはできないから,本件特例を適用する余地はなく,いずれにしても本件各処分は適法である。 結論 よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第14民事部裁判長裁判官房村精一 裁判官窪木稔裁判官脇博人(原裁判等の表示)主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求東京都渋谷都税事務所長が原告に対して平成19年2月9日付けでした別紙1物件目録記載1の土地に係る平成17年度及び同18年度の固定資産税及び都市計画税の各賦課処分をいずれも取り消す。 第2事案の概要本件は,処分行政庁である東京都渋谷都税事務所長が原告に対して平成19年2月9日付けでした別紙1物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という。) 税の各賦課処分をいずれも取り消す。 第2事案の概要本件は,処分行政庁である東京都渋谷都税事務所長が原告に対して平成19年2月9日付けでした別紙1物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という。)に係る平成17年度及び同18年度の固定資産税及び都市計画税(以下,固定資産税と都市計画税を併せて「固定資産税等」という。)の各賦課処分(以下,これらを併せて「本件各処分」という。)について,これを不服とする原告が,被告に対し,本件各処分の取消しを求める事案である。 前提事実本件の前提となる事実は,次のとおりである。いずれも当事者間に争いのない事実であるか,証拠等により容易に認めることのできる事実であるが,括弧内に認定根拠を付記している。 (1)原告は,平成16年1月1日,本件土地及びこれを敷地とする別紙1物件目録記載2の建物(以下「本件建物」という。)を所有していた。(甲1の1及び2)地方税法359条及び702条の6によれば,固定資産税等の各賦課期日は,「当該年度の初日の属する年の1月1日」とされているところ,本件土地は,「専ら人の居住の用に供する家屋」(以下「居住用家屋」という。)である本件建物の敷地の用に供されていたことから,平成16年度の固定資産税等賦課処分においては,同法349条の3の2及び地方税法施行令52条の11第2項1号並びに地方税法702条の3各所定の住宅用地に対する固定資産税等の課税標準の価格を軽減する特例(以下,これらの規定を「本件特例規定」といい,これに係る特例を「本件特例」という。)のうち,その面積が200㎡以下である「小規模住宅用地」に対する特例が適用された。 (乙6)(2)原告は,A株式会社(以下「訴外会社」という。)との間で,本件建物を取り壊し,本件土地上に家屋の新築工事をする旨の工事請負契約を平成 ある「小規模住宅用地」に対する特例が適用された。 (乙6)(2)原告は,A株式会社(以下「訴外会社」という。)との間で,本件建物を取り壊し,本件土地上に家屋の新築工事をする旨の工事請負契約を平成15年12月28日付けで締結していたところ,訴外会社は,同16年7月26日,本件建物を取り壊した。そして,処分行政庁は,同日,東京法務局渋谷出張所から,原告が本件建物を取り壊した旨の登記済通知書を受領した。 (甲1の2,甲2)(3)処分行政庁は,平成16年12月22日,本件土地の現地調査をし,本件建物が取り壊されたこと,本件土地上に新たな家屋が建築されようとしていること,本件土地に設置されていた建築計画の看板には,同年7月26日から同17年5月31日までを工事予定期間として,原告を建築主とする専用住宅(以下,原告が建築を予定していた建物を「新家屋」という。)の建築工事中である旨の表示がされていることなどを確認した。(乙7)(4)平成17年1月1日,新家屋は建築工事中であった。(乙8) (5)処分行政庁は,平成17年6月1日,同14年12月6日付けの各都税事務所長あて東京都主税局資産税部長通達である「住宅建替え中の土地に係る住宅用地の認定について(通達)」(14主資評第123号。以下「本件通達」という。)の定める適用基準を満たすものとして,本件特例を適用した上,原告に対し,本件土地に係る同17年度の固定資産税等賦課処分(以下「本件17年度当初処分」という。)をした。なお,本件通達の定めは,下記のとおりである。(乙5,乙9)記 住宅建替え中の土地に係る住宅用地の認定の取扱い既存の住宅に替えて住宅を新築する土地のうち,下記2(1)から(4)の適用基準全てに該当するもの(以下「住宅建替え中の土地」という。)について,住宅が完成する え中の土地に係る住宅用地の認定の取扱い既存の住宅に替えて住宅を新築する土地のうち,下記2(1)から(4)の適用基準全てに該当するもの(以下「住宅建替え中の土地」という。)について,住宅が完成するまでに通常必要と認められる工事期間は,従前の住宅用地の認定を継続するものとする(以下,この取扱いを「本取扱い」という。)。 適用基準(1)当該土地が,当該年度の前年度に係る賦課期日において住宅用地であったこと。 (2)住宅の新築が,建替え前の住宅の敷地と同一の敷地において行われるものであること。(以下省略)(3)当該年度の前年度に係る賦課期日における建替え前の住宅の所有者と建替え後の住宅の所有者が同一であること。(以下省略)(4)当該年度に係る賦課期日において,次のいずれかに該当していること。 ア住宅の新築工事に着手していること。(以下省略)イ住宅の新築について,建築主事の確認済証(建築基準法第6条第1項)または,指定確認検査機関の確認済証(建築基準法第6条の 2第1項)の交付を受けており,かつ,直ちに住宅の新築工事に着手するものであること。 ウ住宅の新築について,建築主事または,指定確認検査機関に確認申請書を提出していること。 ただし,確認申請に基づく確認済証の交付後,直ちに住宅の新築工事に着手するものであること。(以下省略) 事務処理((1)から(4)まで省略)(5)完成した家屋が住宅であること及びその所有者が当該年度の前年度に係る賦課期日における建替え前の住宅の所有者と同一であることを当該家屋の家屋課税台帳又は家屋補充課税台帳に登録された所有者の氏名及び家屋の種類により検証を行う。(以下省略)(6)検証の結果,上記2の適用基準を満たさないことが判明した土地については,本取扱いの適用を取り消す旨を,所 家屋補充課税台帳に登録された所有者の氏名及び家屋の種類により検証を行う。(以下省略)(6)検証の結果,上記2の適用基準を満たさないことが判明した土地については,本取扱いの適用を取り消す旨を,所有者に通知する。 (以下省略)(6)平成18年1月1日,新家屋は建築工事中であった。(乙10)(7)ところで,新家屋の建築工事については,平成17年2月ころ,地下1階部分のコンクリート工事がほぼ終了した時点で,多数の瑕疵が存在するこかしとが判明した。訴外会社は,原告に対し,同年10月6日,上記地下1階部分を解体して新家屋の建築工事を継続する旨約したが,その後,近隣住民の反対等により工事が進ちょくしないまま,同18年2月ころ,本件土地及びその上に建築途中の新家屋を買い取りたいとの申入れをした。 そこで,原告と訴外会社とは,平成18年4月14日,上記申入れに係る和解契約を締結し,本件土地は訴外会社に譲渡された。 処分行政庁は,平成18年5月8日,東京法務局渋谷出張所から,本件土地の所有権が売買を原因として原告から訴外会社へ移転した旨の登記済通知 書を受領した。 (甲1の1,甲3ないし5)(8)処分行政庁は,平成18年6月1日,本件通達の定める適用基準を満たすものとして,本件特例を適用した上,原告に対し,本件土地に係る同年度の固定資産税等賦課処分(以下「本件18年度当初処分」という。)をした。 (乙11)(9)処分行政庁は,平成18年7月27日,同年10月21日及び同19年1月15日,本件土地の現地調査をし,いずれの日においても,新家屋が完成していないこと,新家屋の建築工事が中断されている状態であることを確認した。(乙12)(10)処分行政庁は,平成19年1月31日,新家屋が通常必要と認められる工事期間内に建築されなかったこと, 成していないこと,新家屋の建築工事が中断されている状態であることを確認した。(乙12)(10)処分行政庁は,平成19年1月31日,新家屋が通常必要と認められる工事期間内に建築されなかったこと,及び本件土地の所有権が訴外会社に移転し,建築主が変更されたことにより,原告名義で新家屋が建築されないことが明白となったことから,前記(5)の記2(3)の基準を満たさないことが明らかになったとして,本件土地に対する本件通達の取扱いを取り消すとともに,同17年度及び同18年度の本件土地の価格等を修正し,これらを原告に通知した。(甲9,甲10,乙13)(11)処分行政庁は,平成19年2月9日,原告に対し,本件17年度当初処分及び本件18年度当初処分の税額(当初確定額)と前記(10)の修正に基づく税額(確定額)との差額について,別紙2及び3のとおり、本件各処分をした。(甲7,甲8,乙14,乙15)(12)原告は,平成19年3月20日,東京都知事に対し,本件各処分を不服として審査請求をしたが,同知事は,同年7月25日,これを棄却した。 (甲6)(13)原告は,平成20年1月25日,本件訴えを提起した。(当裁判所に顕著な事実) 争点 本件の争点は,本件土地に係る平成17年度及び同18年度の固定資産税等の各賦課処分について本件特例が適用されるべきであるか否かであり,これに関する当事者の主張の要旨は,次のとおりである。 (被告の主張)(1)本件土地については,本件通達の定める基準に該当する余地があったことから本件17年度当初処分及び本件18年度当初処分がされたのであるが,その後,新家屋が通常必要と認められる工事期間内に建築されず,新家屋が完成する前の平成18年4月14日に本件土地の所有権が原告から訴外会社に移転され,建築主が変更されたこ 初処分がされたのであるが,その後,新家屋が通常必要と認められる工事期間内に建築されず,新家屋が完成する前の平成18年4月14日に本件土地の所有権が原告から訴外会社に移転され,建築主が変更されたことにより,原告が建替え後の家屋の所有者とならないことが明白となり,建替え前と建替え後の家屋の所有者が異なることが確定した結果,両家屋の所有者が同一であることを求める本件通達の基準を満たさないことが明らかとなった。そこで,処分行政庁は,本件土地が本件通達の定める「住宅建替え中の土地」に該当せず,本件特例規定所定の居住用家屋の敷地の用に供されている土地である「住宅用地」と認定することはできないとして,本件通達における事務処理の定めに基づき,本件土地に対する本件通達の適用を取り消した上,本件各処分をしたものである。 (2)したがって,平成17年度及び同18年度の固定資産税等の各賦課処分について本件特例が適用されるべきではなく,本件各処分は適法である。 (原告の主張)(1)本件特例規定によれば,居住用家屋の「敷地の用に供されている土地」である「住宅用地」については,固定資産税等の課税標準の価格が軽減され,その面積が200㎡以下である「小規模住宅用地」については,同価格が更に軽減されているところ,この居住用家屋の敷地の用に供されている土地とは,各都道府県知事あて自治庁次長通達である「地方税法の施行に関する取扱について(市町村税関係)」(昭和29年自乙市発第22号自治庁通達。 なお,同通達は累次の改正を経ているが,それらの改正の前後を問わず,以下,これを「取扱通知」という。)第3章第2節第1の20(1)が定めるとおり,「特例対象となる家屋を維持し又はその効用を果たすために使用されている一画地の土地で賦課期日現在において当該家屋の存するもの又はその 「取扱通知」という。)第3章第2節第1の20(1)が定めるとおり,「特例対象となる家屋を維持し又はその効用を果たすために使用されている一画地の土地で賦課期日現在において当該家屋の存するもの又はその上に既存の当該家屋に代えてこれらの家屋が建設中であるもの」をいう。 本件土地は,平成17年1月1日及び同18年1月1日において,上記の「その上に既存の当該家屋に代えてこれらの家屋が建設中であるもの」に当たるのであるから,その後の事情の変化等は考慮されるべきではなく,上記各日を賦課期日とする固定資産税等については,本件特例が適用されるべきである。 (2)被告は,本件通達に従って本件特例を適用しないことにした旨主張するが,本件通達は租税法の法源ではなく,また,そもそも本件通達は,住宅を建て替えるときに通常たどる経過を前提としたものであって,本件のように,建替えの工事中,その瑕疵が発覚したため,やむにやまれず土地を譲渡した場合まで想定したものではない。本件においてこのような事情があることについて,被告は容易に調査ができたはずであり,このような場合にまで本件通達に従い本件特例を適用しないとすることは,地方税法に反する運用となる。 (3)したがって,平成17年度及び同18年度の固定資産税等の各賦課処分について本件特例が適用されるべきであり,これを適用しなかった本件各処分は違法である。 第3争点に対する判断 本件特例規定は,居住用家屋の敷地の用に供されている土地である「住宅用地」について固定資産税等の課税標準の価格を軽減し,その面積が200㎡以下である「小規模住宅用地」について同価格を更に軽減しているところ,これらは,住宅用地について税負担の増加をできるだけ緩和することが住宅政策上 の見地から必要であるという考慮に基づいて設けられたものであ 「小規模住宅用地」について同価格を更に軽減しているところ,これらは,住宅用地について税負担の増加をできるだけ緩和することが住宅政策上 の見地から必要であるという考慮に基づいて設けられたものであり,特に小規模住宅用地に対する特例は,居住者の日常生活において,居住用家屋の敷地が最小限度必要と考えられることなどから設けられたものである。 したがって,居住用家屋の敷地の用に供されている土地とは,本件特例規定の文言及びその趣旨に照らし,居住者の日常生活に必要な居住用家屋を維持し,又はその効用を果たすため現実に使用されている土地,すなわち固定資産税等の賦課期日において現に居住用家屋の存する土地をいうものと解するのが相当であり,この点については,平成6年自治市第36号による改正前の取扱通知第3章第2節第1の20(1)も,「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例における『敷地の用に供されている土地』とは,特例対象となる家屋を維持し又はその効用を果たすために使用されている一画地の土地で賦課期日現在において当該家屋の存するもの」をいうと定めていたところである。そして,これによれば,本件特例の適用対象となる土地であるか否かは,現実に居住用家屋の敷地として利用されているか否かという外形的及び類型的な事実から判断されるため,短期間に大量の土地について評価をしなければならない固定資産税等の課税の実情にも合致するものといえる。(乙3,乙4の1及び2,乙16) そうすると,居住用家屋の建設予定地及び居住用家屋が建設されつつある土地は,いずれも「住宅用地」には当たらないことになる(このような土地についても本件特例の適用対象とするのであれば,本件特例規定において居住用家屋の「敷地とする目的で所有されている土地」というような文言が用いられるはずである。)とこ らないことになる(このような土地についても本件特例の適用対象とするのであれば,本件特例規定において居住用家屋の「敷地とする目的で所有されている土地」というような文言が用いられるはずである。)ところ,既存の居住用家屋を取り壊し,それに代えてその敷地上に新たに居住用家屋を建築しようとする場合において,固定資産税等の賦課期日の時点で既存の居住用家屋が取り壊され,新たな居住用家屋がいまだ完成していないときは,同賦課期日において現に居住用家屋は存しないのであるから,当該土地は,本件特例規定の文言上,「住宅用地」に該当しないこととな り,実際,平成6年度に至るまでは,自治省から各地方団体に対し,そのような土地は非住宅用地として課税することとなる旨の指導がされてきたところである。(乙16)ただし,これによると,例えばある年度の固定資産税等の賦課期日において既存の居住用家屋が存することから本件特例の適用を受けた後,既存の居住用家屋が建替えのために取り壊され,通常必要と認められる工事期間内に,その敷地上に新たな居住用家屋が建築されたという場合においても,翌年度における固定資産税等の賦課期日以前に新たな居住用家屋が完成したときと,同賦課期日より後に新たな居住用家屋が完成したときでは,同賦課期日において,前者については本件特例の適用を受けることができるが,後者についてはその適用を受けることができないこととなる。しかしながら,両者について,既存の居住用家屋を取り壊し,新たな居住用家屋の建築工事をして,その完成に至るという経過は同一であり,また,敷地の利用状況に特段の差異はないのであるから,前者と後者で本件特例の適用不適用を区別する取扱いは,実質的な合理性に疑いを生じさせかねない。そして,後者について,その敷地は,建替えの工事期間を含め,全体として, に特段の差異はないのであるから,前者と後者で本件特例の適用不適用を区別する取扱いは,実質的な合理性に疑いを生じさせかねない。そして,後者について,その敷地は,建替えの工事期間を含め,全体として,居住用家屋の敷地として利用されていたと評価することも不可能ではないとすると,後者に限って本件特例が適用されず,固定資産税等の税負担が急激に増加することが避けられないとするのでは,本件特例規定の趣旨である住宅政策上の見地からの疑問も生ずることになる。 そこで,取扱通知については,平成6年自治市第36号により,平成6年4月1日をもって,前記1記載の定めに「又はその上に既存の当該家屋に代えてこれらの家屋が建設中であるものをいうものであること」,「なお,この既存の当該家屋に代えてこれらの家屋が建設中である土地の具体的な取扱いに当たっては,別途『住宅建替え中の土地に係る固定資産税及び都市計画税の課税について』(平成6年2月22日付自治固第17号)を参照されたいこと」という定めが追加され,これに関連して,上記「住宅建替え中の土地に係る固定資 産税及び都市計画税の課税について」(以下「自治省通知」という。)は,下記①のとおり定め,また,自治省通知の具体的運用に当たっての留意事項として,同年2月22日付けの各都道府県総務部長及び東京都総務・主税局長あて自治省税務局固定資産税課長内かんには,下記②のとおりの記載があるところ,前記前提事実(5)のとおり,本件通達は,これらと同趣旨の定めを置いたものと解することができる。(乙4の1及び2,乙16)記①自治省通知 既存の住宅(法349条の3の2第1項に規定する家屋をいう。以下同じ。)に代えて住宅を建設している土地で次に掲げる要件を満たすものについては,同項に規定する住宅用地(以下「住宅用地」という。)と 既存の住宅(法349条の3の2第1項に規定する家屋をいう。以下同じ。)に代えて住宅を建設している土地で次に掲げる要件を満たすものについては,同項に規定する住宅用地(以下「住宅用地」という。)として取り扱って差し支えないものであること。 (1)当該土地が,当該年度の前年度に係る賦課期日において住宅用地であったこと。 (2)当該土地において,住宅の建設が当該年度に係る賦課期日において着手されており,当該住宅が当該年度の翌年度に係る賦課期日までに完成するものであること。 (3)住宅の建替えが,建替え前の敷地と同一の敷地において行われるものであること。 (4)当該年度の前年度に係る賦課期日における当該土地の所有者と,当該年度に係る賦課期日における当該土地の所有者が,原則として同一であること。 (5)当該年度の前年度に係る賦課期日における当該住宅の所有者と,当該年度に係る賦課期日における当該住宅の所有者が,原則として同一であること。 上記1の取扱いは,平成6年度分の固定資産税及び都市計画税から行 うものであること。(以下省略)②自治省税務局固定資産税課長内かん完成した家屋が住宅以外のものであった場合,当該年度の翌年度に係る賦課期日までに住宅が完成しなかった場合等については,当該年度分の固定資産税又は都市計画税について,改めて非住宅用地として課税することとなります。 このように,本件特例規定は,固定資産税等の賦課期日において現に居住用家屋の存する土地を対象とするものではあるものの,取扱通達,自治省通知及び本件通達は,それらの定める基準に該当する場合には,現に居住用家屋の存する土地でなくても,本件特例を適用するものとしており,そのような取扱いは,前記2のとおり,上記賦課期日までに新たな居住用家屋が完成していなかったとし める基準に該当する場合には,現に居住用家屋の存する土地でなくても,本件特例を適用するものとしており,そのような取扱いは,前記2のとおり,上記賦課期日までに新たな居住用家屋が完成していなかったとしても,現に居住用家屋が存する場合と同視し得る事情が存するものとして合理的な根拠があると認めることができるから,それらの趣旨に照らし,本件特例規定が許容し得るところの納税者にとって有利な解釈又は行政先例として,本件特例規定に反し違法とするには及ばないものと解するのが相当である。そして,通達によって,このような例外的事情がある場合に限って本件特例を適用するものと取り扱うことは,その適用対象となる土地であるか否かが外形的及び類型的な事実から判断されることになるため,短期間に大量の土地について評価をしなければならない固定資産税等の課税の実情にも合致するものといえる。 そうすると,他方において,取扱通知,自治省通知及び本件通達の定める基準に該当しないものについては,上記の解釈又は行政先例が考慮されないことは,本件特例の本来の適用対象からして,むしろ当然のことであり,このことは,上記の基準に該当しないこと,又は当初は該当するに至る余地があったものの,その後該当するに至らなかったことの理由又は事情のいかんにより左右されるものではない。 これを本件についてみるに,平成17年度及び同18年度の固定資産税等の賦課期日において本件土地上に現に居住用建物が存しなかったことは当事者間に争いがなく,このような場合,そもそも本件特例が適用されないことは前記1のとおりである。そして,前記前提事実によれば,本件では,本件通達における前記前提事実(5)の記2(3)の基準(当該年度の前年度に係る賦課期日における建替え前の住宅の所有者と建替え後の住宅の所有者が同一であるこ る。そして,前記前提事実によれば,本件では,本件通達における前記前提事実(5)の記2(3)の基準(当該年度の前年度に係る賦課期日における建替え前の住宅の所有者と建替え後の住宅の所有者が同一であること)を満たす余地がなくなったと認めることができるのであるから,前記3で述べたところに従い,本件土地に係る同17年度及び同18年度の固定資産税等について本件特例は適用されない。 したがって,争点に関する原告の主張には理由がなく,その他弁論の全趣旨によれば,本件各処分はいずれも適法にされたものと認めることができる。 結論 よって,原告の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部杉原則彦裁判長裁判官品田幸男裁判官島村典男裁判官
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