平成3(オ)589 立替金請求再審

裁判年月日・裁判所
平成4年9月10日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 高松高等裁判所 平成2(ネ)233
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      本件を高松高等裁判所に差し戻す。          理    由  上告代理人大神周一の上告理由第一点について  一 本件は、上告人に被上告人への

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判決文本文2,767 文字)

主    文      原判決を破棄する。      本件を高松高等裁判所に差し戻す。          理    由  上告代理人大神周一の上告理由第一点について  一 本件は、上告人に被上告人への金員の支払を命ずる確定判決につき、上告人 に対する訴状の送達がなかったことが民訴法四二〇条一項三号の事由に該当すると して申し立てられた再審事件である。原審が確定した事実関係の大要は、次のとお りである。  1 右確定判決は、昭和五四年ころ、上告人の妻であった訴外D(以下「D」と いう。)が、上告人の名で被上告人の特約店から買い受けた商品の代金の立替払を 被上告人に委託し、これに応じて右代金を立て替えて支払った被上告人が上告人に 対して立替金及び約定手数料の残額並びにこれに対する遅延損害金の支払を求めた 訴え(以下「前訴」という。)に対するものである。  2 上告人の四女(昭和四七年一二月三〇日生・当時七歳九月)は、昭和五五年 一〇月四日、上告人方において前訴の訴状及び第一回口頭弁論期日の呼出状の交付 を受けたが、上告人に対し、右各書類を交付しなかった。  3 上告人が前訴提起の事実を知らないまま、その第一回口頭弁論期日に欠席し たところ、口頭弁論は終結され、上告人において被上告人の主張する請求原因事実 を自白したものとして、被上告人の請求を認容する旨の判決が言い渡された。  4 Dは、上告人方においてその同居者として、昭和五五年一一月三日に右判決 の言渡期日(第二回口頭弁論期日)の呼出状の、同月一七日に判決正本の各交付を 受けたが、この事実を上告人に知らせなかったため、上告人が右判決に対して控訴 することなく、右判決は確定した。 - 1 -  5 上告人は、被上告人から、平成元年五月、本件立替金を支払うよう請求され て調査した結果、前訴の確定判決の存在を知った。  二 原審は 判決に対して控訴 することなく、右判決は確定した。 - 1 -  5 上告人は、被上告人から、平成元年五月、本件立替金を支払うよう請求され て調査した結果、前訴の確定判決の存在を知った。  二 原審は、右事実関係の下において、次の理由で本件訴えを却下した。  1 前訴の訴状及び第一回口頭弁論期日の呼出状の交付を受けた上告人の四女は、 当時七歳であり、事理を弁識するに足るべき知能を備える者とは認められないから、 右各書類の交付は、送達としての効力を生じない。  2 しかし、前訴の判決正本は上告人の同居者であるDが交付を受けたのであり、 本件においては、右判決正本の送達を無効とすべき特段の事情もないから、民訴法 一七一条一項による補充送達として有効である。  3 そうすると、上告人は右判決正本の送達を受けた時に1記載の送達の瑕疵を 知ったものとみられるから、右瑕疵の存在を理由とする不服申立ては右判決に対す る控訴によってすることができたものというべきである。  4 それにもかかわらず、上告人は控訴することなく、期間を徒過したから、本 件再審の訴えは、適法な再審事由の主張のない訴えであって、その欠缺は補正する ことができないものである。  三 しかしながら、原審の右判断を是認することはできない。その理由は、次の とおりである。  1 民訴法一七一条一項に規定する「事理ヲ弁識スルニ足ルヘキ知能ヲ具フル者」 とは、送達の趣旨を理解して交付を受けた書類を受送達者に交付することを期待す ることができる程度の能力を有する者をいうものと解されるから、原審が、前記二 1のとおり、当時七歳九月の女子であった上告人の四女は右能力を備える者とは認 められないとしたことは正当というべきである。  2 そして、有効に訴状の送達がされず、その故に被告とされた者が訴訟に関与 する機会が与えられないまま判決が であった上告人の四女は右能力を備える者とは認 められないとしたことは正当というべきである。  2 そして、有効に訴状の送達がされず、その故に被告とされた者が訴訟に関与 する機会が与えられないまま判決がされた場合には、当事者の代理人として訴訟行 - 2 - 為をした者に代理権の欠缺があった場合と別異に扱う理由はないから、民訴法四二 〇条一項三号の事由があるものと解するのが相当である。  3 また、民訴法四二〇条一項ただし書は、再審事由を知って上訴をしなかった 場合には再審の訴えを提起することが許されない旨規定するが、再審事由を現実に 了知することができなかった場合は同項ただし書に当たらないものと解すべきであ る。けだし、同項ただし書の趣旨は、再審の訴えが上訴をすることができなくなっ た後の非常の不服申立方法であることから、上訴が可能であったにもかかわらずそ れをしなかった者について再審の訴えによる不服申立てを否定するものであるから である。これを本件についてみるのに、前訴の判決は、その正本が有効に送達され て確定したものであるが、上告人は、前訴の訴状が有効に送達されず、その故に前 訴に関与する機会を与えられなかったとの前記再審事由を現実に了知することがで きなかったのであるから、右判決に対して控訴しなかったことをもって、同項ただ し書に規定する場合に当たるとすることはできないものというべきである。  4 そうすると、上告人に対して前訴の判決正本が有効に送達されたことのみを 理由に、上告人が控訴による不服申立てを怠ったものとして、本件再審請求を排斥 した原審の判断には、民訴法四二〇条一項ただし書の解釈適用を誤った違法があり、 右違法が判決に影響することは明らかであるから、論旨は理由があり、原判決は破 棄を免れない。そして、本件においては、なお前訴の請求の当否について審理する 必 条一項ただし書の解釈適用を誤った違法があり、 右違法が判決に影響することは明らかであるから、論旨は理由があり、原判決は破 棄を免れない。そして、本件においては、なお前訴の請求の当否について審理する 必要があるので、これを原審に差し戻すこととする。  四 よって、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとお り判決する。      最高裁判所第一小法廷          裁判長裁判官    大   堀   誠   一             裁判官    橋   元   四 郎 平 - 3 -             裁判官    味   村       治             裁判官    小   野   幹   雄             裁判官    三   好       達 - 4 -

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