平成20(行コ)189 更正処分等取消請求控訴事件(原審・さいたま地方裁判所平成16年(行ウ)第35号)

裁判年月日・裁判所
平成20年10月8日 東京高等裁判所 租税
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判決文本文40,256 文字)

- 1 -主文 原判決中被告敗訴部分を取り消す。 原告の請求をいずれも棄却する。 原告の本件控訴を棄却する。 訴訟費用は,第1,2審とも原告の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原告原判決を次のとおり変更する。 川口税務署長が平成15年3月11日付けで原告に対してした(1)原告の平成11年分の所得税に係る更正処分のうち,総所得金額314万3222円,納付すべき税額1万6000円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分(平成15年8月4日付異議決定により一部取り消された後のもの)(2)原告の平成12年分の所得税に係る更正処分のうち,総所得金額316万7433円,納付すべき税額10万2500円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分(平成15年8月4日付異議決定により一部取り消された後のもの)(3)原告の平成13年分の所得税に係る更正処分のうち,総所得金額668万5385円,納付すべき税額38万4200円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 被告主文第1,2項と同旨第2事案の概要本件事案の概要は,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」- 2 -中「第2事案の概要」に記載のとおりであるから,これを引用する。 「,, 原判決7頁15行目から16行目にかけての川口税務署長西川口税務署浦和税務署及び越谷税務署に対し」を「川口税務署,西川口税務署,浦和税務署及び越谷税務署の各税務署長に対し」に,17行目の「本件各係争年分ごとに」を「本件各係争年分について」にそれぞれ改める。 原判決8頁4行目の「川口税務署長は」を「川口税務署,西川口税務署,浦和税務署及び越谷税務署の各税務署長は」に改める。 原判決10頁末行及び18頁3行目の次にい 分について」にそれぞれ改める。 原判決8頁4行目の「川口税務署長は」を「川口税務署,西川口税務署,浦和税務署及び越谷税務署の各税務署長は」に改める。 原判決10頁末行及び18頁3行目の次にいずれも行を改めて次のように加える。 「なお,原判決別表4のうち平成13年分の雑費のうち,同年10月29日,11月27日及び12月15日に株式会社P37に対して支出した金物資材保管の倉庫使用料各1万0500円は,地代家賃に計上すべきものであるが,必要経費であることは間違いない。 また,原告は,賃貸アパート39mのうち6畳一間(9.72m)を専用 の事務所として使用していたのであるから,その賃貸アパートの水道光熱費のうち,電気代,ガス代及び水道代の各30%を必要経費と認めるべきであり,原判決別表4に加えて,水道光熱費として平成12年分6万9139円,平成13年分7万2203円が計上されるべきである(当審における追加主張」)。 第3当裁判所の判断 争点1(推計の必要性)及び争点2(推計の合理性)について原判決26頁20行目の「関東信越国税局長が,川口税務署管轄の個人事業者のうち」を「関東信越国税局長から報告を求められたため,川口税務署並びに同税務署と隣接する西川口税務署,浦和税務署及び越谷税務署の各税務署長が,各税務署管内の個人事業者のうち」に改めるほかは,原判決の「事実及び理由」中「第3当裁判所の判断」のうち1及び2(原判決18頁5行目~28頁15行目)に記載のとおりであるから,これを引用する。 - 3 - 争点3(原告の主張する事業所得の金額は実額と認められるか)について(1)実額反証の程度について原告は,本件においては,直接資料によって認められる実額をもって課税されるべきであり(実額反証,その反証の程度は,原告がその主 所得の金額は実額と認められるか)について(1)実額反証の程度について原告は,本件においては,直接資料によって認められる実額をもって課税されるべきであり(実額反証,その反証の程度は,原告がその主張額に対)応する証拠を提出して被告の課税処分の適法性に対する疑義を生じさせれば足りる旨主張する。 しかし,前記1(上記のとおり補正の上引用の原判決18頁5行目~28頁15行目)に認定説示のとおり,本件各係争年分の所得税に係る本件各更正処分について,所得税法156条所定の推計課税の必要性及び合理性が認められるのであるから,原告は,実額反証によって推計課税の適法性を覆すためには,その主張する所得額が真実に合致することを主張立証する責任を負うものというべきであり,その主張する所得額が真実に合致すると認められるためには,その主張する収入及び経費の各金額が存在すること,その主張する収入金額がすべての取引先から発生したすべての収入金額(総収入金額)であること,その主張する経費がその収入金額と対応するものであることの三点につき,合理的な疑いを容れない程度に証明される必要があると解するのが相当である。 (2)原告の主張する収入金額について原告は,本件各係争年分の総収入金額(売上高)は原判決別表4のとおりである旨主張しその売上高を立証するためP5等に対する請求書控え甲,,(8の1~5,預金取引明細表及び預金通帳(甲9~11,72の1~4,)99,注文書(甲100,101)のほか,本件各係争年分に係る決算書)(甲5~7,68~70。以下「本件各決算書」という)を提出する。そ。 して原告は平成19年11月16日付け訴えの変更申立書兼準備書面同,,(年12月12日受付のもの)において,本件各決算書のうち,平成11年と同13年の各売上高勘定に計 いう)を提出する。そ。 して原告は平成19年11月16日付け訴えの変更申立書兼準備書面同,,(年12月12日受付のもの)において,本件各決算書のうち,平成11年と同13年の各売上高勘定に計上漏れがあり,平成11年9月13日のP12- 4 -に対する25万6000円(甲10の1枚目,平成13年12月1日の株)式会社P15(以下「P15」という)に対する35万1750円(甲8。 の5・12頁,同月12日のP14株式会社(以下「P14」という))。 に対する53万5000円(甲8の5・9頁,同月18日のP14に対す)る4万6830円(甲8の5・14頁,同月16日のP39に対する12)万1905円(甲8の5・13頁,P18株式会社に対する7万5289)円(甲8の5・15頁,同年11月27日入金の共済給付金2万6000)円及び4万2500円を売上高として追加する旨主張している。 しかし,本件各決算書の会計内容は,原告が本件訴訟提起後の平成17年3月1日,一括して作成を完了したものであることがその「処理日付」自体により明らかであって,日々継続的に記帳していたものではない(原告本人・調書3-9頁。そして,本件各決算書の売上高勘定のうち,平成11年)4月30日の有限会社P11(以下「P11」という)に対する43万2。 000円,同年8月10日のP12に対する25万6000円,平成12年9月15日のP13株式会社(以下「P13」という)に対する28万5。 495円,平成13年1月10日のP5に対する16万5000円,同年2月15日のP5に対する2万円,同年4月15日のP5に対する18万円,同年5月10日のP5に対する298万円,同年6月10日のP14に対する16万5900円,同月15日のP15に対する5250円,同年9月13日 に対する2万円,同年4月15日のP5に対する18万円,同年5月10日のP5に対する298万円,同年6月10日のP14に対する16万5900円,同月15日のP15に対する5250円,同年9月13日のP15に対する6万1660円同年10月1日のP16株式会社以,(下「P16」という)に対する40万円,同月10日のP5に対する1万。 5000円についてはこれらに対応する請求書控えが提出されておらず甲,(68~70,原告は,上記のうちP11及びP13に対する売上げに関し)て請求書を作成していないことを自認しているほか(原告本人・調書1-11・12頁,2-1頁,P12に対する売上の計上漏れがあったことを自)(())。 認している平成19年11月28日付け準備書面最終の30・31頁- 5 -なお,上記P16に対する売上高40万円については,被告の反面調査の結果(乙15)と合致するが,同社は平成13年9月13日に一括現金決済と回答しているものであるところ,原告はこれを売掛金として処理し(甲70の37・48頁,現金勘定に計上していない。他方,平成11年6月12)日付けP5に対する請求書控え(甲8の2・13頁,P5が被告に提出し)(),(,た同日付け請求書乙17の1・14頁原告本人の供述調書1-6頁3-10~13頁)及び弁論の全趣旨によれば,原告がP5に対する売上げとして32万円を請求し,P5がその出来高を28万円と査定したと認めることのできる売上げが存在するが,平成11年の決算書にはその売上げに対(,)。 ,(,,,,応する記載がない甲5 さらに 証拠 甲9乙8 16,原告本人・調書1-3・4頁)によれば,原告は,売上金を預金口座への入金だけではなく,上記のとおり現金や小切手 ,,,,応する記載がない甲5 さらに 証拠 甲9乙8 16,原告本人・調書1-3・4頁)によれば,原告は,売上金を預金口座への入金だけではなく,上記のとおり現金や小切手で受領したものもあると認められるが,原告がそのような売上金の処理について日々記帳等の記録化をしていたと認めるに足りる証拠は存在しない。そうすると,原告は,その取引において,そのすべての売上高を網羅する売上帳や現金出納帳,請求書控えや伝票等の原資料を作成し保管していなかったものというほかない。以上によれば,本件各決算書には,真実存在していた原告の収入が記載されていないという合理的な疑いがあることを否定することはできない。 次に,原告名義の普通預金口座の預金通帳(甲72の3)によれば,平成11年中に同口座に「P17」から合計97万円が振込入金されたと認められるところ,原告は,当該入金は貸金の返還を受けたものである旨主張するが(平成20年8月18日付け控訴理由書3の13頁,その主張事実を裏)付けるに足りる証拠は存在しないから,当該入金に対応する売上高について計上漏れの疑いが残るというべきである。 また,原告が平成11年10月15日付けで「P12」に対して発行した仕切書控え甲63の2・15頁にはP6δ残金42000P(),「」,「- 6 - 工事1式190000」と記載され「P40工事1式19000,0」に係る外注工賃に対応する同月12日付け請求書控え(甲8の2・27頁)が存在する。しかし「P6δ残金42000」に係る外注工賃に,ついては,これに対応する売上げに関する請求書控えは提出されておらず,原告は「判らない。関係記録が存在しない」と主張するにとどまっている,こと(平成19年2月23日付け準備書面5の2頁) 賃に,ついては,これに対応する売上げに関する請求書控えは提出されておらず,原告は「判らない。関係記録が存在しない」と主張するにとどまっている,こと(平成19年2月23日付け準備書面5の2頁)に照らし,これに対応する売上高について計上漏れの疑いを否定することができない。 さらに,預金取引明細表(甲9)によれば,平成12年6月27日,原告名義の預金口座に19万9500円の入金があるところ当該入金は他券小,(切手等)入金であるから売上金の入金と推認される。この点,原告は,同年3月31日の有限会社P41(以下「P41」という)に対する売上高4。 2万円(相手勘定は売掛金。甲69)について,同社が倒産したため親会社から19万9500円の入金があったものであり,売上高の計上漏れではない旨主張するが(平成20年8月18日付け控訴理由書3の14頁,P4)1が倒産したことや,平成12年6月27日の入金が同社に対する売上金42万円の一部について親会社から入金されたものであることを裏付けるに足りる証拠は存在せず,原告は,本人尋問において(調書4-2頁,小切手)の処理方法が分からなかったため売上げに計上しなかった旨供述するにとどまっているから,原告の主張は直ちに採用することができず,上記19万9500円の入金に対応する売上高について計上漏れの疑いがあるというべきである。さらに,上記P41に対する売上高42万円(甲69)に対応する同年3月31日付け請求書控え(甲8の3・5頁)には「ζマンションP,42」として合計10万円「P43JVP42×F○○内金」として,各10万円(合計30万円)と記載されており,後者については,当該工事の残代金が存在することがうかがわれるが,その残代金に対応する請求書控え等の原資料は提出されていないから,その残代 金」として,各10万円(合計30万円)と記載されており,後者については,当該工事の残代金が存在することがうかがわれるが,その残代金に対応する請求書控え等の原資料は提出されていないから,その残代金相当額の売上高について- 7 -計上漏れの疑いがある。 また,原告が提出した仕切書には,平成11年8月28日付けの株式会社P44に対する「納品書・請求書(甲63の2・1頁)と平成12年1月」15日付けの同社に対する請求書(甲63の2・26頁。ただし,書損処理されたもの)が混入しているところ,その請求書等は同社に対して蛍光灯の納品及びその代金請求をする体裁のものであり,マンション内装の造作工事を主としているという原告の業務(甲64)との関連性が推認される。この点,原告は,知り合いである同社に依頼されて蛍光灯の器具を購入し,そのまま渡したものであり,事業との関連性はなく,求められて請求書を起こしたが,仕切書と同一の用紙を使用した旨主張する(平成20年8月18日付け控訴理由書3の15頁。しかし,その主張事実を裏付けるに足りる証拠)は存在しない上,仮に原告が言われるままにその請求書等を作成したというのであれば,原告提出の他の資料についてもその内容の信用性に疑念を生じさせることにならざるを得ないというべきである。そうすると,上記「納品書・請求書」に対応する売上高について計上漏れの疑いがあるというべきである。 加えて,前記1(前記のとおり補正の上引用の原判決27頁)に認定説示のとおり,原告のP5に対する売上高は同社の「取引金額等についての回答書(乙8)に記載のとおりであると認めるのが相当である。この点,原告」は,P5の保管している請求書(乙17の1~3)は,書換えや偽造によるものであって,上記回答書(乙8)によって原告のP5に対する売上高を把 に記載のとおりであると認めるのが相当である。この点,原告」は,P5の保管している請求書(乙17の1~3)は,書換えや偽造によるものであって,上記回答書(乙8)によって原告のP5に対する売上高を把握することはできない旨主張する(平成20年8月18日付け控訴理由書3の7~9頁。しかし,原告は,P5に対する売上高について,現場によっ)ては出来高払とされ,時には査定される場合もあり(原告本人・調書1-6頁,かつ,P5から振込入金された金額を確認し,請求した金額と違って)いても不足分は値引きさせられたものと理解していたというのであるから- 8 -(原告本人・調書3-10~13頁,P5の保管している請求書(乙17)の1~3,22の1~3)が書き直されているのはその査定に基づくものと考えるのが合理的である上,仮に真実原告の主張する売上高があったのにP5が一方的にそれを減額したというのであれば,原告が何ら異議を唱えることなく値引きさせられたと理解していたというのは不自然であって,原告の上記主張は採用することができない。そうすると,原告の主張するP5に対する売上高には計上漏れがあるという合理的な疑いがある。 以上によれば,原告の主張する収入金額がすべての取引先から発生したすべての収入金額(総収入金額)であることが合理的な疑いを容れない程度に証明されたとは到底いうことができない。 (3)原告の主張する経費と収入との対応関係についてなお,原告は,本件各係争年分の必要経費は原判決別表4のとおりである旨主張し(ただし,前記のとおり,平成12年分及び平成13年分の水道光熱費については当審において主張を追加した,その経費の額を立証する。),,(,,ため本件各決算書のほか領収証等甲13の1~2329の1~4345の1~62,83の 年分の水道光熱費については当審において主張を追加した,その経費の額を立証する。),,(,,ため本件各決算書のほか領収証等甲13の1~2329の1~4345の1~62,83の1~7,仕切書(甲63の1~5,支払明細書))(甲74の1~11,出面メモ(甲102)等を提出する。 )しかし,平成11年の決算書の外注工賃勘定のうち,同年9月24日のP19に対する11万5000円,同年12月18日の同人に対する7万5000円については,これらに対応する領収証又は振込送金控え等が提出されておらず(甲68,その支出があったと認めることはできない。また,本)件各決算書の外注工賃勘定のうち,平成11年6月2日のP21に対する30万9000円,平成12年7月24日のP22に対する9150円,同年10月16日のP23に対する14万円,同年12月31日のP24に対する4万円(相手勘定は未払金,平成13年2月15日のP25に対する3)5万円,同日のP26に対する35万円,同年4月11日のP27に対する- 9 -5000円,同年5月10日のP28に対する44万円,同年6月11日の同人に対する31万3000円,同日のP29に対する42万1330円,同日のP30に対する48万0600円,同年12月13日のP31に対する23万8000円,同日のP32に対する2万円については,これらに対応する仕切書が提出されておらず(甲63の1~5,68~70,74の1),,(。 ~11かつ平成13年6月1日以降の現場に係る出面メモ甲102それ以前の出面メモは存在しない)にもこれらに対応する仕事内容の記載。 がないから,これらの外注工事の内容が分からず,原告の説明(甲75~78)を考慮しても,どの収入に対応するのかが必ずしも明らかでない。そ の出面メモは存在しない)にもこれらに対応する仕事内容の記載。 がないから,これらの外注工事の内容が分からず,原告の説明(甲75~78)を考慮しても,どの収入に対応するのかが必ずしも明らかでない。そして,前記(2)のとおり,原告が平成11年10月15日付けで「P12」に対して発行した仕切書控え(甲63の2・15頁)に記載された「P6δ残金42000」に係る外注工賃については,これに対応する売上高が計上されておらず,原告の収入との対応が不明であって,必要経費としての適格性を認め難い。 そのほか,原告の主張する必要経費のうち,租税公課,損害保険料,修繕費,減価償却費及び車両費については,その対象とされた車両が特定できないものであって,業務関連性が明らかとはいえず,水道光熱費については原告の主張する経費算入割合の根拠が明らかではなく,旅費交通費,通信費,接待交通費,消耗品費及び福利厚生費についてはその業務関連性を認めるに足りる証拠が不十分である。 以上によれば,原告の主張する経費がその収入金額と対応するものであることが合理的な疑いを容れない程度に証明されたとは到底いうことができない。 (4)したがって,原告の主張する所得金額が実額であるとは到底認めることができないものである。以上と異なる原告の主張はいずれも採用することができない。 - 10 - 争点4(納付すべき税額等)について上記補正の上引用の原判決の「第3当裁判所の判断」の2(原判決26頁)(,,,8行目~28頁15行目に認定の事実に証拠甲107~109乙5 7の1~4,8~16)及び弁論の全趣旨を総合すれば,原告の本件各係争年分の所得税に係る納付すべき税額等は,前記のとおり引用の原判決の「第2事案の概要」の4(4)の(被告の主張)欄のア及びイ(原判決16頁 ~4,8~16)及び弁論の全趣旨を総合すれば,原告の本件各係争年分の所得税に係る納付すべき税額等は,前記のとおり引用の原判決の「第2事案の概要」の4(4)の(被告の主張)欄のア及びイ(原判決16頁8行目~17頁23行目)に記載のとおり認めることができる。 ,。 そうすると本件各更正処分及び本件各賦課決定処分はいずれも適法である 結論 ,,以上によれば原告の本件請求はいずれも理由がないから棄却すべきでありこれと異なる原判決は相当でない。 よって,被告の本件控訴に基づき,原判決中被告敗訴部分を取り消し,同部分に係る原告の請求をいずれも棄却し,原告の本件控訴は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第22民事部裁判長裁判官石川善則裁判官菊池洋一裁判官徳増誠一(原裁判等の表示)主文- 11 - 川口税務署長が平成15年3月11日付で原告に対してした(1) 原告の平成11年分の所得税に係る更正処分のうち,総所得金額592万5856円,納付すべき税額23万8600円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち,加算税額2万2000円を超える部分(2) 原告の平成12年分の所得税に係る更正処分のうち,総所得金額645万8232円,納付すべき税額46万7600円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち,加算税額3万6000円を超える部分をいずれも取り消す。 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,これを4分し,その3を原告の,その余を被告の負担とする。 事実 及び理由第1請求川口税務署長が平成15年3月11日付で原告に対してした(1) 原告の平成11年分の所得税に係る更正処分のうち,総所得金額314万3222円,納付すべ 担とする。 事実 及び理由第1請求川口税務署長が平成15年3月11日付で原告に対してした(1) 原告の平成11年分の所得税に係る更正処分のうち,総所得金額314万3222円,納付すべき税額1万6000円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分(平成15年8月4日付異議決定により一部取り消された後のもの)(2) 原告の平成12年分の所得税に係る更正処分のうち,総所得金額316万7433円,納付すべき税額10万2500円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分(平成15年8月4日付異議決定により一部取り消された- 12 -後のもの)(3) 原告の平成13年分の所得税に係る更正処分のうち,総所得金額668万5385円,納付すべき税額38万4200円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 第2事案の概要 事案の要旨,,本件は大工工事業を営む個人事業者でいわゆる白色申告者である原告が川口税務署長から推計の方法により平成11年分ないし平成13年分(本件各係争年分)の所得税に係る各更正処分(本件各更正処分)及び各過少申告加算税賦課決定処分(本件各賦課決定処分。本件各更正処分と併せて「本件各課税処分」という)を受けたため,被告に対し,本件各更正処分は,推計。 の必要性も合理性もないのに原告の所得を推計し,実額よりも過大な所得金額を認定したもので違法である等と主張して,本件各課税処分の取消しを求めた事案である。 争いのない事実等(証拠により容易に認定できる事実は,括弧内に証拠を示す)。 (1) 当事者ア原告は「P1」の屋号で大工工事業を営む個人事業者で,いわゆる白,色申告者である。原告は,本件各係争年分において,埼玉県川口市α×番21号β(事業場)を納税地としていたところ,平成1 当事者ア原告は「P1」の屋号で大工工事業を営む個人事業者で,いわゆる白,色申告者である。原告は,本件各係争年分において,埼玉県川口市α×番21号β(事業場)を納税地としていたところ,平成19年8月27日,川口税務署長に対し,納税地を東京都足立区γ×番21号(住所地)とする旨の届出書を提出した。 イ被告は,本件各課税処分につき,権限を承継した税務署長である(平成16年法律第84号改正前の行政事件訴訟法11条1項ただし書参照。 )(2) 本件各課税処分に至る経緯- 13 -ア原告は,別表1の各「確定申告」欄記載のとおり,本件各係争年分における所得税について,同表「年月日」欄記載の年月日に「総所得金額」及び「納付すべき税額」欄記載の各金額を記載した青色申告書以外の各確定申告書をいずれも法定申告期限内に川口税務署長に提出した。 イ川口税務署個人課税部門のP2上席国税調査官(P2係官)らは,原告の本件各係争年分の所得税及び消費税等の申告内容について調査(本件税務調査)を行うこととし,平成14年7月24日,同年9月13日及び平成15年2月6日,原告宅に臨場し,また,平成14年10月4日及び平成15年2月20日,川口税務署において原告と面接するなどしたが,原告からその事業に関する帳簿書類その他の物件の提示を受けることはなかった。 ウ川口税務署長は,かかる状況の下では,原告の事業所得の金額を実額で把握することは不可能であるとして,原告の取引先を調査することにより川口税務署長が把握し得た原告の本件各係争年分の事業所得に係る総収入金額に,同年分の大工工事業の類似同業者の所得率を乗ずる方法により,原告の事業所得の金額を推計した。 エ川口税務署長は,上記のとおり推計した原告の事業所得の金額を基にして,平成15年3月11日付で別表1の各「 分の大工工事業の類似同業者の所得率を乗ずる方法により,原告の事業所得の金額を推計した。 エ川口税務署長は,上記のとおり推計した原告の事業所得の金額を基にして,平成15年3月11日付で別表1の各「更正」欄記載のとおり,本件各課税処分をした。 (3) 本件訴えに至る経緯原告は,平成15年5月7日,川口税務署長に対し,本件各課税処分を不服として異議申立てをしたが,同署長は,同年8月4日付で,平成11年分及び平成12年分の所得税の各更正処分及び各過少申告加算税賦課決定処分の一部を取り消し,平成13年分に係る申立てを棄却する旨の決定をした。 原告は,同年9月1日,国税不服審判所長に対し,審査請求をしたが,同所長は,平成16年6月17日付で,上記審査請求をいずれも棄却する旨の決- 14 -定をした。 そこで,原告は,平成16年9月15日,本件訴えを提起した。 争点 (1) 本件において推計の必要性が認められるか(争点1)(2) 本件における推計方法は合理的か(争点2)(3) 原告の主張する事業所得の金額は実額と認められるか(争点3)(4) 納付すべき税額(争点4) 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(本件において推計の必要性が認められるか)について(被告の主張)ア所得税法156条は,税務署長が,納税義務者の財産若しくは債務の増減の状況,収入若しくは支出の状況又は生産量,販売量その他の取扱量,従業員数その他事業の規模によりその者の各年分の各種所得の金額又は損失の金額を推計して所得税につき更正又は決定(すなわち推計課税)をすることができる旨規定している。 納税義務者又はその取引関係者が調査に協力しなそして,推計課税は,いため,直接資料が入手できない場合(調査非協力)には,許されると解される。 イ原告は,本件税務調査として行われ 旨規定している。 納税義務者又はその取引関係者が調査に協力しなそして,推計課税は,いため,直接資料が入手できない場合(調査非協力)には,許されると解される。 イ原告は,本件税務調査として行われた臨場調査の際には,調査理由の開示や第三者の立会いを条件とするなどして正当な理由なく帳簿書類等を提示せず,P2係官の再三の要請にもかかわらず,帳簿書類等を提示することはなかった。 また,原告は,平成14年7月24日付けの「所得税及び消費税の調査について」と題する文書で所得税及び消費税の調査があることを了知した以降は,同年9月13日に臨場調査を行うこと自体には応じたものの,調査に協力せず,その後も原告自身が合意した調査予定日当日になって合理- 15 -的な理由もなくこれを取り消すなど,6か月以上の長期間にわたり,本件税務調査の進行に協力する姿勢を見せなかった。 ウ以上から,本件において,原告には上記調査非協力の事実が認められるのであるから,推計の必要性が認められる。 (原告の主張)ア税務調査は,その公益的必要性と納税者の私的利益の保護との衡量において社会通念上相当と認められる範囲で,納税者の理解と協力を得て行うものであり,反面調査は客観的にみてやむを得ないと認められる場合に限って行うべきである。そして,調査現場での裁量が認められるにしても,税務職員は,納税者の理解と協力を得るために可能な限り,親切丁寧に調査の理由を説明し,また,当該納税者の具体的事情を前提に調査への第三者の立会いを認めるか否かを判断しなければならない。 イ原告は,P2係官と事前調整の上,調査期日として平成14年9月13日を設定し,同日,領収証,請求書の類や帳簿が記録されていたパソコン等を準備した上で,原告の所属するε民主商工会(ε民商)の事務局員であり,原告の帳簿の記 調整の上,調査期日として平成14年9月13日を設定し,同日,領収証,請求書の類や帳簿が記録されていたパソコン等を準備した上で,原告の所属するε民主商工会(ε民商)の事務局員であり,原告の帳簿の記帳補助者であるP3,P4らとともに原告宅で待機していた。 原告は,調査当日,事前に受領した調査を行う旨の文書に調査理由の記載がなかったことから,P2係官に対し,原告を調査対象に選んだ理由を告げるよう要請したが,同係官は,所得の確認に来たなどと理由にならない理由を繰り返し述べるだけで,その説明義務を果たさなかった。また,原告は,記帳補助者であるP3らの立会いを認めることを要請したが,P2係官は,守秘義務があるから税理士資格のない第三者の立会いは一切認めないなどと繰り返し述べるだけで,P3らが立会いを認めるべき記帳補助者に当たるかどうかの具体的な確認すら行わなかった。 原告は,上記各要請をした上で,調査に協力する姿勢を示し,その後も- 16 -,,,,P2係官に対し調査に入るよう求め続けたが同係官は調査に入らず計ったように原告宅に50分間在室した後辞去した。 そして,川口税務署長は,その直後の9月20日ころには原告の取引銀行への反面調査を開始したのである。 ウ以上のとおり,P2係官は,原告が調査に応じる意思を有し,調査のための帳簿書類等を用意していたことを認識していたのに,税務職員に求められる説明義務を果たさず,また,その裁量を逸脱して記帳補助者の本件税務調査への立会いを認めないまま,やむを得ない理由もないのに直ちに反面調査に入ったものであるから,本件税務調査は,社会通念上相当性を欠く違法なものである。 そうすると,本件において,原告が調査に協力しなかったとはいえず,推計の必要性は認められない。 (2) 争点2(本件における推計方法は から,本件税務調査は,社会通念上相当性を欠く違法なものである。 そうすると,本件において,原告が調査に協力しなかったとはいえず,推計の必要性は認められない。 (2) 争点2(本件における推計方法は合理的か)について(被告の主張)ア川口税務署長は,原告の取引先を調査することにより同署長が把握し得た原告の本件各係争年分についての事業所得に係る総収入金額(別表2の「合計」欄記載の各金額)に,比準同業者の平均所得率を乗じて,本件各係争年分の事業所得の金額を算出したものであるところ,上記比準同業者は次のとおり抽出された。 関東信越国税局長は,川口税務署長,西川口税務署,浦和税務署及び越谷税務署に対し,各税務署管内において所得税の納税地を有する個人事業者のうち,本件各係争年分ごとに次の(ア)ないし(オ)の要件のすべてに該当する者の報告を求めたところ,別表3の1ないし3のとおりの報告があった。 ,(。)(ア) その年分の暦年を通じて大工工事業仕入金額のあるものを除くを継続して営んでいる者であること。 - 17 -(イ) (ア)以外の事業を兼業していない者であること。 (ウ) 所得税の申告において青色申告の承認を受けており,青色申告決算書を提出している者であること。 (エ) 年間の売上(収入)の金額が,次の範囲内にある者であること。 平成11年分755万7179円以上3022万8718円以下平成12年分1207万8959円以上4831万5836円以下平成13年分2298万3852円以上9193万5410円以下(オ) 災害等により,経営状態が異常であると認められる者でないこと等。 以上のとおり川口税務署長は本件各係争年分ごとに上記(ア)ないし(オ)イ,,の抽出要件をすべて満たしている者を機械的に抽出したものであり,同署長の恣意が 異常であると認められる者でないこと等。 以上のとおり川口税務署長は本件各係争年分ごとに上記(ア)ないし(オ)イ,,の抽出要件をすべて満たしている者を機械的に抽出したものであり,同署長の恣意が介在する余地はない。また,上記抽出基準により,原告と業種業態が同一であり,その事業所が近接し,事業規模も近似している比準同業者を抽出することができるから,同基準は,原告の同業者を判別する上で合理的な基準である。さらに,上記抽出基準に基づいて抽出された大工工事業の比準同業者は,青色申告により所得税の申告をしている者であることを条件としていることから,同業者の売上(収入)金額及び必要経費の額の算出根拠となる資料の正確性は担保されている。加えて,上記抽出基準により抽出された原告の同業者の件数は,平成11年分が46件,同12年分が23件,同13年分が10件であるところ,これらの件数は,同業者間に通常存在する程度の営業条件等の個別性を捨象し,平均化するに足りる件数であるというべきである。 ウよって,本件における推計方法は合理的である。 (原告の主張)原告の取引先を調査することにより被告が把握し得た原告の本件各係争ア年分についての事業所得に係る総収入金額が不正確な場合には,これを前提とした推計の結果も不正確となり,推計課税の合理性を欠くものという- 18 -べきである。 本件において,被告は株式会社P5(P5)が保管していたとする原告からの請求書を根拠として収入を認定しているが,同請求書は,P5において書き換えられたり,新たに作られたりされたものであって原告の収入と一致するものではない。したがって,P5から提出された資料をもって原告の収入を把握することはできない。 イまた,原告は,受注したマンション内装工事については多数の職人に外注しており,外 告の収入と一致するものではない。したがって,P5から提出された資料をもって原告の収入を把握することはできない。 イまた,原告は,受注したマンション内装工事については多数の職人に外注しており,外注依存度が売上高の7割前後と極めて高い。他方,川口税務署長の抽出した比準業者の経費率をみると,売上高の多い個人事業者は外注に頼る部分が多くなり,その外注依存度やそれを反映した経費率が高いのに対し,売上高の少ない個人事業者は請け負った工事を自己が中心となって行う一人親方形態が多く,その外注依存率やそれを反映した経費率が低いことが分かる。したがって,外注依存度の多寡は,経費率つまり所得率に大きな影響を与えるといえる。しかしながら,川口税務署長は,この点を考慮することなく,倍半基準により機械的に比準業者を抽出した結果,特に原告の売上高が相対的に少ない平成11年分と平成12年分について,原告の事業形態とは異なる,外注依存度の低い業者を多数抽出することとなった。原告の売上総利益に占める外注工賃の率は,平成11年分で約66パーセント,平成12年分で約75パーセント,平成13年分で約72パーセントであるところ,被告の主張する経費率は,平成11年分で50.12パーセント,平成12年分で65.3パーセント,平成13年分で76パーセントであるから,外注工賃だけで,平成11年分ないし平成12年分については,推計課税は真実の所得金額を反映しない不合理なものとして否定される。 ウ以上のとおり,川口税務署長の推計は,収入の把握において不正確であるだけでなく,その方法も,比準業者の抽出基準も,外注依存率という重- 19 -要な条件を考慮しない不合理なものである。 (3) 争点3()について原告の主張する事業所得の金額は実額と認められるか(原告の主張),,, 業者の抽出基準も,外注依存率という重- 19 -要な条件を考慮しない不合理なものである。 (3) 争点3()について原告の主張する事業所得の金額は実額と認められるか(原告の主張),,,ア仮に推計課税が認められるとされた場合であっても本件においては直接資料によって認められる実額をもって課税されるべきである(実額反証。 )課税処分の違法性が争われる場合,その適法性の主張立証責任は被告が負う。推計か実額かは所得の認定方法の別を意味しているに過ぎないのであるから,被告の推計課税の主張に対して原告が実額反証を行う場合にその反証の程度は,原告は主張とこれに対応する証拠を提出して,被告の課税処分の適法性に対する疑義を生じさせれば足りるというべきである。 そうすると,被告によって,収入金額が実額で主張され,原告がこれを争わないことで確定した部分については,立証責任の問題は発生せず,原告はその収入金額が当該年度のすべての収入であることまでを立証する必要はない。また,収入についての実額の主張が一致している場合に,その必要経費の額が当該年度のどの収入に対応するかまでを論じる意味はなく,事業所得をあげる上で必要な経費であることさえ明らかであれば足りる。 イところで,原告は,本件各係争年分において,その事業の収支の動きを原則として請求書,領収証等の書類の現物をそのまま保管するという方法で管理していたところ,原告が簡易な記帳方法を前提とするいわゆる白色申告で確定申告を行っていたこと,平成11年分及び同12年分の原告の事業における所得金額が年300万円に満たなかったことからすれば,原告には所得税法上帳簿作成義務はないのであるから,原告の実額反証は,原資料の証明力そのものによって判断されるべきである。 なお,原告は,本訴のため,現物で保管していた に満たなかったことからすれば,原告には所得税法上帳簿作成義務はないのであるから,原告の実額反証は,原資料の証明力そのものによって判断されるべきである。 なお,原告は,本訴のため,現物で保管していた請求書,領収証,銀行- 20 -口座の収支の動き等を基礎に,改めて総勘定元帳を作成し,平成11年分ないし平成13年分の決算書(甲5ないし7,甲68ないし70)として提出した。 ウ原告が本訴で主張する原告の本件各係争年分における「総収入金額(売)」,「」,「」,「」「」,上高消耗品費減価償却費外注工賃等の必要経費の額及び「事業所得の金額」は別表4のとおりである。 エ原告の主張する売上高の額が被告の主張額と異なるのは,被告のP5関係の主張額が不正確であることと,原告の主張額がより網羅的であることによる。 また,原告は,外注工賃の支払にあたり,毎月各支払先毎に支払うべき工賃額,支払対象の工事名,期間等を記載して,仕切書を作成していると,,,,,ころこれら仕切書によって外注工賃に係る支払先支払金額現場名,。 ,,,発注内容単価等が明確となっているそして各支払の事実は領収証送金記録によって裏付けられている。 その他の経費については,支出の記録により証明し,その事業関連性については支出項目自体で立証されるものがほとんどである。また,原告の主張する水道光熱費,通信費,減価償却費,地代家賃に係る経費算入割合は合理的な基準に基づくものである。 オ以上の事実からすると,原告の主張する事業所得の金額は実額と認められる。 (被告の主張)ア実額反証が認められるためには,①その主張する収入及び必要経費の各金額が存在すること,②その収入金額がすべての取引先から発生したすべての収入金額であること(総収入金 められる。 (被告の主張)ア実額反証が認められるためには,①その主張する収入及び必要経費の各金額が存在すること,②その収入金額がすべての取引先から発生したすべての収入金額であること(総収入金額,③その経費がその収入金額と対)応すること(必要経費)の3点を主張立証しなければならず,それらの立証がない限り,所得金額が実額であると認めることはできない。そして,- 21 -実額反証をする原告は,この3点を「合理的な疑いを容れない」程度に立証しなければならない。そのためには,正規の簿記の原則に則した組織的な帳簿資料等によって,その取引の網羅性,帳簿の組織性を明らかにすることが必要である。 イ原告は,本訴提起後に作成した決算書以外に,事業に関する帳簿を作成していない。そして,原告が本訴において証拠として提出した原始記録のみでは,それが総収入金額及び必要経費の額を基礎付けるすべての資料かどうか等につき,信用性の担保された会計帳簿(日々継続して記帳されることによりその信用性が担保される)との照合により,これらを検証す。 ることすらできない。そうすると,本件においては,真実の所得金額を把握し,あるいはこれを検証することは極めて困難なことと言わざるを得ない。なお,原告がいわゆる白色申告者であることは,実額反証の際の立証の程度を緩和する理由とはならない。 そして,以下のとおり,原告の実額反証は,およそ立証不十分である。 (ア) 総収入金額本件においては,総勘定元帳の売上高勘定に計上されるものの,これに対応する請求書(控)の提出されていない取引が複数存在し,原告はこの一部については,請求書を作成しなかったことを認めている。 ところで,P5に対する売上高に関し,原告の提出した請求書(控)と被告が提出したP5が保存する原告からの請求書の間には相違する し,原告はこの一部については,請求書を作成しなかったことを認めている。 ところで,P5に対する売上高に関し,原告の提出した請求書(控)と被告が提出したP5が保存する原告からの請求書の間には相違する部分があるが,かかる相違は,P5において,原告から交付を受けた請求書をその査定に基づき訂正したことによる。また,原告自身も,P5の査定額を通帳の入金額で確認していたというのであるから,原告の提出するP5への請求書(控)が,原告とP5との間の取引金額の正確な資料とはいえない。 また,原告の預金通帳には,平成12年6月27日,売上高と推認さ- 22 -れる小切手による19万9500円の入金記録があるが,原告は,これを売上高に計上していない。さらに,原告は,P6δに係る工事について,外注工賃を経費に計上しているのに,当該工事に対応する売上高を計上していない。 以上のとおり,原告の提出する請求書(控)は,その主張する総収入,,,金額の存在を証明するものではなくその他の証拠によっても原告はその主張する収入金額が,すべての取引について補足漏れのない総収入金額であることを合理的な疑いを容れない程度に立証し得ているとはいえない。 (イ) 必要経費の各項目については,次のとおりである。 a外注工賃について,その支出を裏付ける領収証の提出されていないものがある。また,領収証の提出はあるものの,仕切書の提出がないものが複数存在する。さらに,前記(ア)のとおり,原告は,P6δに係る工事について,外注工賃を経費に計上しているのに,当該工事に対応する売上高を計上していないのであるから,同経費は収入に対応するとはいえない。 b減価償却費について,原告は,パソコンの減価償却費を計上しているところ,パソコンの事業関連性が明らかでない。なお,原告は,平成13年分 いないのであるから,同経費は収入に対応するとはいえない。 b減価償却費について,原告は,パソコンの減価償却費を計上しているところ,パソコンの事業関連性が明らかでない。なお,原告は,平成13年分の雑費としてパソコン代24万9637円を計上するが,当該経費は,その事業関連性に疑義がある上,事業関連性が認められたとしても,取得価額は10万円を超えるものであるから,全額を同年分の経費に算入することはできない。 また,原告の主張する車両運搬具に係る減価償却費は,平成13年,。 ,,分を除き原告が総勘定元帳に計上した額と異なる原告はバイク○○,○○を取得したとして,その減価償却費が経費となる旨主張するが,その取得年月日や取得価額を裏付ける証拠を提出していない。 - 23 -また,総勘定元帳上の車両運搬具勘定の計上額は,原告の主張する取得価額と一致しない上,原告が確定申告をするに当たって作成した算定方法に誤りがある減価償却費計算書における取得価額とも異なる。 さらに,上記総勘定元帳上の計上額と同額の領収証をみても,車種や車名を特定できない。なお,原告は,車両運搬具は全て業務用である旨主張しながら,総勘定元帳の車両運搬具勘定においては,その一部を家事関連費として処理し,また,減価償却費計算書については,○○の事業専用割合を50パーセントとして算定するなど,原告の主張立証は一貫性を欠く。 c租税公課について,原告の提出した減価償却費計算書を見る限り,登録番号「○○VV」の車両に該当する車両は計上されていない。また,原告は,登録番号「○○WW」の車両について,その車種や車名,。 ,を含め事業関連性についての明確な主張立証をしていないこれが○○であるとしても,前記bのとおり,その事業専用割合は的確に立証されていない。さらに,原告は,登 車両について,その車種や車名,。 ,を含め事業関連性についての明確な主張立証をしていないこれが○○であるとしても,前記bのとおり,その事業専用割合は的確に立証されていない。さらに,原告は,登録番号「○○XX」の車両は事業専用車両であるとし,登録番号「○○YY」の車両と同一のものであると主張するが,その車種や車名を特定できる客観的な証拠を提出していないため,上記両車両が同一車両であることが確認できない。 d水道光熱費について,原告は預金取引明細表のみ提出するが,これだけでは,原告の事業との関連性が不明である。また,原告が電気代及びガス水道代の経費算入割合をそれぞれ30パーセント,20パーセントとしたことには根拠がない。 e旅費交通費については,夜間駐車料金や日曜祝日に係る駐車料金などが複数あり,その事業関連性について疑義があるところ,原告は領収証しか提出しないのであるから,その事業関連性を判断できない。 f通信費について,原告は,事業関連性や事業用按分割合を立証すべ- 24 -きところ,これをしない。原告提出の預金取引明細表のみでは,事業関連性を確認できない。 g接待交際費について,原告は,飲食店等の領収証を提出するが,宛名がP1となっている以外に,事業関連性を窺わせるものがない。また,総勘定元帳上に接待の対象者が記載されている支出でさえ,収入との関係が不明なものがある。 h損害保険料のうち,原告は,P7に対して支払ったとする保険料について,預金取引明細表の提出をするのみで,保険種類,対象物件等,。 ,,を明らかにしないからその事業関連性が不明であるまた原告は自動車保険にかかる保険料の支出事実の裏付けとして当該保険料の領,,,収証を提出するが当該領収証のみでは対象車両が特定できない上前記bのとおり,原 らその事業関連性が不明であるまた原告は自動車保険にかかる保険料の支出事実の裏付けとして当該保険料の領,,,収証を提出するが当該領収証のみでは対象車両が特定できない上前記bのとおり,原告の車両運搬具に係る事業専用割合に関する立証。 ,,は的確にされていないまた動産総合保険及び傷害保険の保険料は家事上の支出である疑いもある。 i修繕費について,原告の提出する領収証のみでは,対象車両が特定できないことに加え,前記bのとおり,原告の車両運搬具に係る事業専用割合に関する立証は的確にされていない。 j消耗品費について,原告の提出する領収証には,単に品代とのみ記載されたものや品名の記載のないものが多数存在するのであり,その内容が不明である以上,当該領収証の提出のみでは,原告の消耗品費として合理的な立証がされたものとはいえない。また,食材購入費,スーツ代,株式会社P8宛の支払は,事業関連性がない。クレジットカードによる支出についても,消耗品であるとする根拠がない。 k福利厚生費のうち,職人の残業時食事代等は,原告が従業員を雇用していないことが明らかであるからこれを福利厚生費とすることは誤りであり,これをおいても,原告の提出する領収証のみでは,事業関- 25 -連性が明らかでない。健康診断料については,家事上の支出である疑,,。 いがあり建設埼玉共済の掛金についても事業関連性の立証がないl地代家賃について,原告は,不動産賃貸借契約書等を提出せず,原告名義の振込専用通帳でP9に対し各月7万8000円の振込を行った事実や,P10氏に一定の金額を支払った事実を証明するのみであり,それが地代家賃に当たるとの立証がない。 ウまとめ以上のとおり,原告が提出する原始記録等では,その主張する収入金額が補足漏れのないものであることや, 一定の金額を支払った事実を証明するのみであり,それが地代家賃に当たるとの立証がない。 ウまとめ以上のとおり,原告が提出する原始記録等では,その主張する収入金額が補足漏れのないものであることや,その主張する必要経費が存在し,収入金額と対応するものであることを証明できないことは明らかである。 (4) 争点4(納付すべき税額等)について(被告の主張)ア本件各更正処分被告が,本訴において主張する原告の本件各係争年分の所得税に係る納付すべき税額等は,次のとおりであるところ,これらの税額は,本件各更正処分における納付すべき税額(平成15年8月4日付異議決定により一部取り消された後のもの。別表1の各「更正」又は「異議決定」欄の「区分」欄中の「納付すべき税額」欄記載の金額)と同額かこれを上回る。 (ア) 平成11年分a事業所得に係る総収入金額1511万4359円b事業所得の金額753万9042円c総所得金額753万9042円d所得控除の合計額294万2254円e課税される所得金額459万6000円f差引所得税額58万9200円11万7840円g定率減税額- 26 -h納付すべき税額47万1300円(イ) 平成12年分a事業所得に係る総収入金額2415万7918円b事業所得の金額752万2797円c総所得金額752万2797円d所得控除の合計額188万5000円e課税される所得金額563万7000円f差引所得税額79万7400円g定率減税額15万9480円h納付すべき税額63万7900円(ウ) 平成13年分a事業所得に係る総収入金額4596万7705円b事業所得の金額1017万2249円c総所得金額1017万2249円d所得控除の合計額 63万7900円(ウ) 平成13年分a事業所得に係る総収入金額4596万7705円b事業所得の金額1017万2249円c総所得金額1017万2249円d所得控除の合計額188万2000円e課税される所得金額829万0000円f差引所得税額132万8000円g定率減税額25万円h納付すべき税額107万8000円イ本件各賦課決定処分被告が,本訴において主張する原告に課されるべき所得税に係る過少申告加算税の額は,次のとおりであるところ,これらの額は,本件各賦課決平成15年8月4日付異議決定により一部取り消された後の定処分の額(別表1の各「更正」又は「異議決定」欄の「区分」欄中の「過少申もの。 告加算税の額」欄記載の金額)と同額である。 (ア) 平成11年分4万5000円- 27 -(イ) 平成12年分5万4500円(ウ) 平成13年分9万6500円(原告の主張)。 ,被告の主張を争う原告の本件各係争年分の各総収入金額及び必要経費は別表4の「総収入金額(売上高」及び「必要経費」欄記載の金額のとおり)であり,事業所得の金額及び納付すべき税額は,同表「事業所得の金額」及び「納付すべき税額」欄記載の金額である(ただし,平成13年分の納付すべき税額は38万4200円である。 。)第3当裁判所の判断 争点1(本件における推計の必要性)について所得金額は,収入金額から必要経費を控除して計算されるものであり,(1)その計算は,本来,帳簿書類等の直接資料に基づき実額により行われるべきものである。 しかしながら,納税義務者が税務署長の行う税務調査に非協力的であることにより,所得金額を実額で算定することが不可能又は著しく困難な場合には,各種の間接資料から所得金額を推計して課税することも許 る。 しかしながら,納税義務者が税務署長の行う税務調査に非協力的であることにより,所得金額を実額で算定することが不可能又は著しく困難な場合には,各種の間接資料から所得金額を推計して課税することも許容されると解される。 そして,上記のような推計の必要性がないにもかかわらず,推計により所得金額を計算して更正処分を行った場合には,当該更正処分は,適法要件を欠くものとして違法になる場合があり得るというべきである。 (2) そこで,本件において推計の必要性が認められるか否かを検討する。 前記争いのない事実等,証拠(甲107ないし甲109,乙1ないし3,乙8ないし16,証人P3,証人P2,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア本件税務調査に至る経緯大工工事業を営む個人事業者で,いわゆる白色申告者である原告は,川- 28 -口税務署長に対し,本件各係争年分の各所得税の各確定申告書をそれぞれ法定申告期限内に提出したが,これら確定申告書には事業所得算定の基礎となる収入金額の記載がなく,かつ,事業所得の「収支内訳書」の添付がなかったことなどから,川口税務署長は,P2係官に対し,本件税務調査を命じた。 イ本件税務調査に係る経緯(ア) P2係官ら2名は,平成14年7月24日,原告宅に臨場したが,原告が不在であったことから,所得税及び消費税等の調査のため,同年8月2日に再度訪問の予定であり,当日都合がつかない場合は連絡してほ()。 しいと記載された文書乙1を原告宅郵便受けに差し置いて辞去した原告は,同年8月1日,P2係官に代わって電話を受けた川口税務署係官に対し,同年8月は土曜日である17日以外は都合がつかず,同年9月13日であれば都合がつくとの連絡をした。そこで,P2係官は,,,,原告との間で同月2日調査日を同年9月 を受けた川口税務署係官に対し,同年8月は土曜日である17日以外は都合がつかず,同年9月13日であれば都合がつくとの連絡をした。そこで,P2係官は,,,,原告との間で同月2日調査日を同年9月13日とすることに合意しその際,原告に対し,平成11年分ないし平成13年分の所得税及び消費税の申告内容を確認するため,これに係る帳簿書類等を用意しておいて欲しい旨依頼した。 (イ) P2係官らは,平成14年9月13日午後2時,原告宅へ臨場したところ,原告宅には,原告のほかε民商の役員であるP3ら10人前後の立会人(立会人ら)が待機していた。 P2係官らは,原告に対し,それぞれ身分証明書及び質問検査章を提示の上,所属及び氏名を告げた後,原告に対し,平成11年分ないし平成13年分の所得税と消費税の調査に来たこと,調査年分については,更に遡る場合もあり得ることを説明し,帳簿書類等の提示を求めた(原告は,P2係官から帳簿書類等を見せて欲しいと言われたことはない旨供述するが,そもそも税務調査の目的が帳簿書類等の調査であることは- 29 -明らかである上,証人P3は,P2係官から帳簿等の提示要請があり,その際,原告はP2係官に対し帳簿書類等は用意してあると伝えた旨供述するのであるから,原告の上記供述は採用できない。また,P2。)係官は,立会人らの中に税理士資格を有する者がいないことを確認したが,立会人らの中に原告の記帳補助者がいるかどうかについては確認しないまま,その立会いを認めないと言うこともないまま,税務職員には守秘義務があり,調査に関係のない第三者の立会いがあると調査を進めることができない旨述べて,原告に対し,立会人らを退席させるよう要請した。 原告は,P2係官らに対し,調査の対象に原告を選んだ理由を告げるよう要請するとともに,原告の申告 の立会いがあると調査を進めることができない旨述べて,原告に対し,立会人らを退席させるよう要請した。 原告は,P2係官らに対し,調査の対象に原告を選んだ理由を告げるよう要請するとともに,原告の申告には問題がない,パソコンを利用して記帳している,原告宅にはパソコンがある(ただし,パソコンの画面に帳簿は表示されていなかった,立会人らは原告の要請により来て。)いる,守秘義務は税務署の問題である,調査理由の開示があり,立会いが認められれば,調査に応じるなどと言った。 これに対し,P2係官は,調査理由は申告の確認であるなどと応答をしながらも,守秘義務の観点から,立会人らがいては帳簿書類の確認ができない旨を説明し,立会人らを退席させた上で調査に協力するよう要請した。しかし,原告は,調査理由の開示を重ねて要請し,自己の申告,,が正しいことを主張するのみで立会人らに退席を要請することはなくまた,立会人らが退席することもなかった。 そこで,P2係官は,原告に対し,川口税務署で調査を進めざるを得ないことを告げるとともに,原告が立会人らを同席させないところで帳簿書類等を提示する意思があれば連絡するよう要請し,午後2時50分ころ,原告宅を辞去した。 (ウ) 原告は,P3と共に,同日,川口税務署を訪れ,納税者支援調整官に- 30 -上記臨場調査に係る苦情を申し立て,同調整官は,そのころ,P2係官に対し調査の経過を確認した。 P2係官らは,平成14年9月18日ころ,原告の取引金融機関に対し,原告の家族名義口座を含む預金取引照会を行うなど,原告の取引先に対し反面調査を行った。 原告は,P3と共に,平成14年10月4日,川口税務署を訪れ,P2係官と面接した。原告は,同係官が原告の取引金融機関に対し,その家族名義を含めた預金取引照会を行ったことに対し抗議をし 調査を行った。 原告は,P3と共に,平成14年10月4日,川口税務署を訪れ,P2係官と面接した。原告は,同係官が原告の取引金融機関に対し,その家族名義を含めた預金取引照会を行ったことに対し抗議をした。これに対し,P2係官は,預金取引照会はその必要が認められたので実施した旨を説明し,原告に対し,立会人らのいないところで帳簿書類を提示する意思があるかどうかを確認したところ,原告は,調査理由を言えば見せる,立会いを認めよなどと述べたが,同年10月7日に調査日程を連絡する旨約して帰宅した。 原告は,平成14年10月7日,P2係官に対し,調査日程について,。 ,,,は再度連絡することとしたい旨の連絡をしたなおこの際原告は税務調査を1対1でやればいい旨述べ,立会人らのいないところでの帳簿書類の提示に応じる姿勢を見せた。 原告は,平成14年10月29日,川口税務署係官に対し,調査の日程は11月末か12月初旬になる旨の申し出をした。そこで,P2係官は,同月30日,具体的調査日程を調整するため,原告に電話をかけたが,原告は日にちを特定できないとのことであったため,早めの調査日程の連絡をするよう要請するとともに,その際には,立会人のいないところで帳簿書類等を提示するよう要請したところ,原告はこれらの要請を了承した。 原告は,平成14年12月3日,川口税務署係官に対し,調査日程を同月13日としたい旨の電話をした。しかし,原告は,当日になって,- 31 -P2係官に対し,調査には応じられず,応じられるのは平成15年1月以降になるとの電話をした。これに対し,P2係官は,川口税務署で調査を進めざるを得ないことを告げるとともに,調査日時を早期に連絡すること,その際には立会人らのいないところで帳簿書類等を提示することを要請し,原告はこれを了承し れに対し,P2係官は,川口税務署で調査を進めざるを得ないことを告げるとともに,調査日時を早期に連絡すること,その際には立会人らのいないところで帳簿書類等を提示することを要請し,原告はこれを了承した。 原告は,平成14年12月26日,P2係官に対し,原告の取引金融機関に対し原告の家族名義の預金照会を行ったことはプライバシーの侵害ではないかと抗議した。これに対し,P2係官は,調査上必要なので預金照会を行った旨説明した。そして,P2係官が,調査日程を確保できたかどうかを確認したところ,原告は,平成15年3月15日までに何とかしたいこと,民主商工会の事務局員を1,2名立ち会わせたいことを申し立てたため,P2係官は,記帳補助者であれば,立会人を認める場合もあるが,立ち会わせる必要があるかどうかは調査担当者が判断することを説明し,立会人らのいない状況で帳簿書類を確認させて欲しい旨改めて要請した。その結果,原告は,P2係官1名で調査に来るのであれば,立会人らを同席させずに,同年1月半ばに調査に応じる姿勢を見せた。調査日時は,平成14年12月27日に原告からP2係官へ連絡することとなった。 その後も原告から連絡がなかったことから,P2係官は「所得税及,」()び消費税の調査についてと題する文書を平成15年1月20日乙2に原告宅に郵送して,調査への協力を要請し,同係官に連絡するよう依。 ,,,,頼したそうしたところ原告は同月24日P2係官に電話をかけ調査日時がまだ決まっていないなどと申し立てたため,P2係官は,帳簿書類等を提示できるようであれば早期に連絡して欲しい旨依頼した。 その後も原告から連絡がなかったことから,P2係官は,平成15年2月6日,原告の取引先等の調査の結果に基づく現段階の調査結果につ- 32 -いて説明をし うであれば早期に連絡して欲しい旨依頼した。 その後も原告から連絡がなかったことから,P2係官は,平成15年2月6日,原告の取引先等の調査の結果に基づく現段階の調査結果につ- 32 -いて説明をしようと原告宅へ臨場したが原告が不在であったので所,,「得税及び消費税について」と題する文書(乙3)を原告宅のポストへ差し置いて,調査の結果を説明する必要があるので同月12日に来庁するよう要請した。 同日まで原告から連絡がなかったことから,P2係官は,平成15年,,,2月12日原告に電話をかけ調査結果及びその内容を説明するため来署を要請した。 そこで,原告は,平成15年2月20日,P3と共に川口税務署において,P2係官と面接した。P2係官が原告に対し,調査に関係のない第三者の退席を求めたところ,原告は,立会いがだめならビデオカメラかテープを持ってくると申し立てた。その後,P3は退席したが,原告は,数字を言うなら帰るなどと述べ,調査結果やその内容の説明を聞くことなく川口税務署を辞去した。 その後川口税務署長は平成15年3月11日付で本件課税処分た,,(だし,同署長は,平成11年分及び平成12年分に係る本件課税処分については,平成15年8月4日付異議決定によりその一部を取り消した)を行った。 。 (3) 判断係官らは,平成14年7月24日に原告宅に臨場しア以上によれば,P2て以来,平成15年2月20日に至るまで,原告宅への臨場を3回行い,原告が不在であった場合には,日時を指定して再訪問する旨や,調査担当者への連絡を依頼する旨記載した文書を原告宅のポスト等へ2回にわたり差し置き,これらを受けた原告との間で調査日程等の調整に係る電話でのやりとりを多数回行い,調査日程等の調整を試み,その間,調査への協力要請を継続して行うなど,原 文書を原告宅のポスト等へ2回にわたり差し置き,これらを受けた原告との間で調査日程等の調整に係る電話でのやりとりを多数回行い,調査日程等の調整を試み,その間,調査への協力要請を継続して行うなど,原告に対し本件税務調査への協力を繰り返し促したこと,それにもかかわらず,原告は,この間,平成14年9月13日- 33 -の臨場調査では原告宅に待機しながら,P2係官による帳簿書類等の提示要請や第三者である立会人らの立退き要請に応じないという非協力的な態度を取り続け,P2係官と合意した平成14年12月13日の調査は当日になって取り消し,結局,本件税務調査において,確定申告の基となった帳簿書類等を提示することはなかったものであって,これらの事実に鑑み義務者である原告が税務調査に非協力的であることると,本件は,納税により,所得金額を実額で算定することが不可能又は著しく困難な場合該当するというべきである。 にイ本件において,川口税務署長は,原告が調査に協力をしそうすると,なかったことから,その正確な所得金額を実額で把握することはできなかったというべきであり,推計の必要性は認められる。 ウこれに対し,原告は,P2係官らは,原告が調査に応じる意思を有し,調査のための資料を用意していたことを認識していたのに,説明義務を果たさず,また,その裁量を逸脱して記帳補助者の立会いを認めないまま,やむを得ない理由もないのに直ちに反面調査に入ったもので,本件税務調査は社会通念上相当性を欠く違法なものであるから,本件においては,原告が調査に協力しなかったとはいえず,推計の必要性は認められない旨主張する。 ところで,所得税法234条による質問検査の範囲,程度,時期,場所等の実定法上特段の定めがない実施の細目については,質問検査の必要があり,かつ,必要性と相手方の の必要性は認められない旨主張する。 ところで,所得税法234条による質問検査の範囲,程度,時期,場所等の実定法上特段の定めがない実施の細目については,質問検査の必要があり,かつ,必要性と相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまる限り,これを権限有る税務職員の合理的な選択に委ねたものと解するのが相当である。 そこで,検討するに,まず,説明義務の点であるが,前記認定事実によ,,,ればなぜ原告個人が選ばれたのかという原告の問いに対しP2係官は直接答えていないと認められる。しかしながら,前示のとおり,P2係官- 34 -は調査期間や調査対象の税目を告げて,原告の申告内容を確認しに来たと述べたのであるから,理由の告知自体は行ったといい得る上,原告は,各年度の所得税の確定申告書に収入金額の記載をせず,収支内訳書も添付し,,なかったのであるからこのような状況とP2係官の応答を併せ考えれば原告は自身が調査対象となった事情を知り得たといえ,P2係官の上記対応が社会通念上相当な限度を超えていたとはいえない。 次に,税務調査時における税理士資格のない第三者の立会いについてみるに,前記認定事実によれば,P2係官は,原則として税理士資格を持たない第三者の立会いを認めない方針で税務調査に臨んでいることが認められ,また,証拠(甲98の1ないし3,証人P3)及び弁論の全趣旨によれば,税理士資格のない第三者の立会いを認める扱いをする税務署が存在することが認められるが,このことから直ちに本件税務調査が違法になるものではない。さらに,記帳補助者の立会いの関係についてみるに,前示のとおり,P2係官らは,平成14年9月13日の調査日において,記帳補助者の立会いを認めないと言ったことはなく,同年12月27日,原告に対し記帳補助者を税務調査に立 立会いの関係についてみるに,前示のとおり,P2係官らは,平成14年9月13日の調査日において,記帳補助者の立会いを認めないと言ったことはなく,同年12月27日,原告に対し記帳補助者を税務調査に立ち会わせる場合があり得ることを説明したのであるから,P2係官は,本件税務調査において,一律に記帳補助者の立会いを排除してはおらず,記帳補助者にかかる同係官の対応は社会通念上相当な限度内にとどまるというべきである。 そして,前示のとおり,原告の各年度における所得税の確定申告書には総収入金額の記載がなく,収支内訳書等の添付がなかったこと,原告が最初に受け入れた調査日はP2係官が調査を行いたいと連絡をしてから約2か月後であった上,調査当日においても原告は本件税務調査に非協力的な姿勢を示したこと,その後も,原告が本件税務調査に協力する姿勢を示さなかったため,川口税務署長は反面調査に着手したことが認められ,これらの事情に反面調査は,そもそも納税者本人に対する調査とは一応別個の- 35 -ものであることを併せ考慮すると,P2係官が平成14年9月18日ころ原告の了解を得ずにその取引先に対する反面調査を行ったことが社会的に相当な限度を超えたものであったとまではいえない(なお,証人P2及び原告本人によれば,原告の家族名義口座には,原告の事業に係る取引は含まれていなかったことが認められるから,結果的には原告の家族名義口座の反面調査の必要性はなかったといえるが,上記川口税務署長の調査に関する違法性の判断は,このような事後に判明した事柄によって左右されるものではない。 。)以上のとおり,本件税務調査は,社会通念上相当とされる範囲を逸脱した違法なものであるとは認められず,これを前提とする原告の主張は採用できない。 争点2(本件における推計の合理性)について 。)以上のとおり,本件税務調査は,社会通念上相当とされる範囲を逸脱した違法なものであるとは認められず,これを前提とする原告の主張は採用できない。 争点2(本件における推計の合理性)について(1) 所得の推計は,当該事案において得られた資料を基礎として実額に近似する所得を推測する算出方法であるから,その性質上,絶対的な合理性を要求することはできず,一応の合理性が認められれば足りる。もっとも,これは一応の合理性であるから,納税者は,被告の主張する合理性を基礎付ける事実に対し反証を提出して争ったり,例えば,同業者比率が平均値をもって推計されているときは,納税者には上記平均値に吸収され得ないような特殊事情があることを主張立証することにより,その合理性を覆すことができると考えられる。 (2) これを本件についてみると,証拠(乙4ないし乙17の3,乙22の1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,川口税務署長は,原告の取引先を調査することにより原告の本件各係争年分の事業所得の総収入金額を把握したこと,関東信越国税局長が,川口税務署管轄の個人事業者のうち,大工工事業を営んでいる青色申告事業者(仕入金額のあるものを除く)で,年間の売。 上が,川口税務署長の反面調査により把握した原告の事業所得の総収入金額- 36 -(平成11年1511万4359円,平成12年2415万7918円,平成13年4596万7705円)の2分の1から2倍の範囲内の者(いわゆる倍半方式)を機械的に抽出して調査したところ,平成11年分は46件,平成12年分は23件,平成13年分は10件の件数が得られ,これら同業者の平均所得率は平成11年49.88パーセント,平成12年34.7パーセント,平成13年24.00パーセントであったこと,川口税務署長は上記原告の総収入金額に上記 10件の件数が得られ,これら同業者の平均所得率は平成11年49.88パーセント,平成12年34.7パーセント,平成13年24.00パーセントであったこと,川口税務署長は上記原告の総収入金額に上記同業者所得率を乗じて原告の本件各係争年分における事業所得の金額を推計したことが認められる。 (3) 以上の推計方法は,業種の同一性,場所の近接性,規模の近似性など同業者の類似性が確保され,また,抽出された者は青色申告者であることなど基礎となる資料の正確性が担保されているものである上,要件を満たす事業者を単純に選定したもので課税庁の思惑や恣意が介在する余地がなく,また,集められた同業者数が個別性を捨象し,平均化するに足る件数であり,さらに,同業者の平均所得率は,平成11年の平均約50パーセントから平成13年の24パーセントと開きがあるものの,川口税務署長の把握した原告の総収入金額が平成11年から平成13年にかけて約1500万円から4500万円に増加していることに鑑みると,個人事業者である比準業者の売上の増加に伴う外注費等の経費率の増加に伴う変化であると考えられ,そうすると,同業者の抽出基準や抽出過程,選択件数,平均所得率の内容に照らし,一応合理的なものと認められる。 (4) これに対し,原告は,川口税務署長が把握し得た総収入金額はP5の不正確な資料を基礎に補足したものであって推計課税の根拠とはなり得ない旨主張する。しかしながら,P5は,原告に対する支払の都度,支払明細書(乙22の1ないし3)を原告に送付し,当該支払明細書上の支払額から相殺金()(,)額乙8を控除した後の金額を原告名義の普通預金口座甲11甲12に振り込んでいたのであるから,P5からの資料に基づき川口税務署長の把- 37 -握する額が,原告のP5に対する売上金額 ,)額乙8を控除した後の金額を原告名義の普通預金口座甲11甲12に振り込んでいたのであるから,P5からの資料に基づき川口税務署長の把- 37 -握する額が,原告のP5に対する売上金額であると認めるのが相当である。 また,原告は,被告の推計方法は比準業者の抽出基準において所得率に顕著な影響を与える外注依存率を考慮しない不合理なものである旨主張する。 確かに,原告の外注工賃の売上高に占める比率は,原告の主張を前提とすれば,平成11年分で約65パーセント,平成12年分で約75パーセント,平成13年分で約72パーセントであり,平成11年分及び平成12年分に,。 ついていえば外注工賃だけで被告主張の経費率を上回ることが認められるしかしながら,前記外注工賃率は,原告の主張する売上高及び外注工賃の額を前提とするもので,これらの実額を検証しなければ正確な数字を算定できない性質のものである上,外注工賃は特に売上の少ない事業者において事業経営上不可欠な経費とはいえず,その多寡は個別事情に依存する部分が多いものであり,青色申告決算書においても,その具体的内容を明らかにできない性質の金額であるから,外注工賃も収入に対応する経費の一種であるとして,実額によって把握した収入金額から,所定の割合による経費を控除して所得金額を算出することはやむを得ないものであり,また,必ずしも外注依存度の差異が当該推計を不合理にする程度になりうるとも認められない。 そうすると,上記各事情をもって,被告の推計方法の合理性を覆す事情とみることはできず,原告の主張を採用することはできない。 争点3(原告の主張する事業所得の金額は実額と認められるか)について(1) 推計課税が問題となる事件においては,帳簿等の不備や調査非協力など納税義務者に起因する理由で,推計の必要性が認め ない。 争点3(原告の主張する事業所得の金額は実額と認められるか)について(1) 推計課税が問題となる事件においては,帳簿等の不備や調査非協力など納税義務者に起因する理由で,推計の必要性が認められることから,やむを得ず推計課税がされるものであること,そして,所得税法27条2項は,事業所得金額を,その年中の総収入金額から必要経費を控除したものとすると規定し,同法37条1項は必要経費を売上原価その他当該収入金額を得るために直接要した費用及び所得を生ずべき業務について生じた費用の額とすると規定していることに照らすと,課税庁の側で推計の方法による所得税を課し- 38 -たのに対し,納税者の側で実額を主張して反証しようという場合には,収入及び経費の双方について主張立証する必要があり,具体的には,当該収入金額が当該年中における総収入金額であることと,その主張に係る経費が上記収入を得るために直接ないし間接に要したものであること,即ち収入と経費との対応性を立証しなければならないことになる。しかし,推計の方法による課税は所得額を算出するための方法の一つに過ぎず,実額によって算出された所得額を上回ることはできないことは明らかである。そうであれば,実額として主張された収入金額が当該年度の総収入金額と認められない場合,すなわち他に収入金額が認められる場合であっても,少なくともそれを含めた金額を総収入金額とし,実額によって認められる経費の額を基礎として所得額を算出した結果,その所得額が推計によって得られたそれを下回る場合には,推計によって得られた所得額を維持することはできず,その部分については取消しを免れないというべきである。 ,,,(2) そこでまず本件各係争年分における原告の総収入金額について検討し次いでその必要経費について検討する。 ア総 ることはできず,その部分については取消しを免れないというべきである。 ,,,(2) そこでまず本件各係争年分における原告の総収入金額について検討し次いでその必要経費について検討する。 ア総収入金額(ア) 原告は,売上高を立証する資料として,P5等に対する請求書(控)(甲8の1ないし5,各種預金取引明細(甲9ないし甲11,甲72)の1ないし4,甲99,注文書(甲100,甲101)を提出する。 )そして,原告は,本訴を提起した後,上記売上高を総勘定元帳(決算書(甲5ないし7,甲68ないし70)において整理した。 )(イ) そこで検討すると,P5との取引における請求書の金額は,そこから減額ないし増額されるものであると認められるところ(乙22の1ないし3,原告本人,原告は,その差額や精算結果を継続的に記録した資)(,,),,料を保管していないこと甲64原告本人弁論の全趣旨原告は請求書ではなく,通帳の入金額でP5に対する売上を最終的に把握して- 39 -いたこと(原告本人,原告が本訴で売上高があることを主張する有限)会社P11(平成11年4月30日の43万2000円,P12(平)成11年8月10日の25万6000円,P13株式会社(平成12)年9月15日の28万5495円,P5(平成13年1月10日の1),,,6万5000円同年2月15日の2万円同年4月15日の18万円同年5月10日の298万円,同年10月10日の1万5000円,)P14株式会社(平成13年6月10日の16万5900円,株式会)社P15(同年6月10日の16万5900円,同年9月13日の6万1660円,P16株式会社(平成13年10月1日の40万円)に)関する請求書は提出されていない上(甲5ないし甲7,甲8の1ないし5, 15(同年6月10日の16万5900円,同年9月13日の6万1660円,P16株式会社(平成13年10月1日の40万円)に)関する請求書は提出されていない上(甲5ないし甲7,甲8の1ないし5,甲68ないし甲70,原告は,上記取引の一部(P11,P12)及びP13宛のもの)につき,請求書を作成していないことを自認していることが認められる(原告本人,弁論の全趣旨。 )また,原告名義普通預金口座の記録(甲9)によれば,平成12年6月27日に19万9500円の入金があり,当該入金については,他券(),,小切手等入金であることから売上金額と推認されるところ原告はかかる入金は売上の計上漏れとなるか分からないなどと述べ,その額を売上高に計上していない。 さらに,証拠(甲9,乙8,乙10,乙15,乙16,原告本人)によれば,原告は,売上を口座への入金のほか,現金や小切手等で受領したり,相殺したりしていたものと認められ,そうであれば,原告としては,これらの受領,精算結果を継続的に記録すべきところ,原告は,こ,,。 れをしていないしその他受領精算結果に係る資料も保管していない加えて,原告の主張する平成11年分の外注工賃には,対応する売上(。 ),が明らかでない現場名のものがあることP6δ 甲63の2の15頁原告は,平成11年分の確定申告書の基にした自主計算書において,同- 40 -年1月を除く各月の売上額の合計額に何らかの理由で200万円を上乗せしていること(甲89,さらに,原告は,平成11年中のP17か)らの入金97万円(甲72の3)を貸金の返還と主張するものの,これを裏付ける客観的資料を提出していない。 以上の事実に照らすと,原告の主張する売上高には計上漏れがあると言わざるを得ない。 (ウ) しかしながら,他方,原告のP5 )を貸金の返還と主張するものの,これを裏付ける客観的資料を提出していない。 以上の事実に照らすと,原告の主張する売上高には計上漏れがあると言わざるを得ない。 (ウ) しかしながら,他方,原告のP5に対する売上高には反面調査の結果(乙8,乙17の1ないし3,乙22の1ないし3)がある上,他の取引先に係る請求書のない売上については,前示のとおり,いずれも取引額が比較的少額であったり,継続的でないものである。また,本件各係争年において,原告がP16からの受領したとする19万4080円以外に原告が現金取引を行っていたとする証拠はなく,この取引についても,残額の20万5920円については銀行預金口座への入金記録があること(甲70,甲72の1ないし4,乙15,原告本人,原告が前)記19万9500円以外に小切手を取引に使用していたとする証拠はないこと(甲9ないし甲11,甲72の1ないし4,甲99,乙8ないし乙16,原告本人,前記外注工賃と対応する売上のない現場であるP)6δについては,外注工賃の支払額が4万2000円と比較的少額であること(ただし,残額との付記がある,川口税務署長が原告の家族。)名義の銀行預金口座を調べた結果でも原告がその事業に係る収入を家族(,)名義口座に入金した事実が認められなかったこと証人P2原告本人(なお,原告は,平成19年11月28日付最終準備書面添付別表1の売上高につき,平成11年分のP12に対する売上として25万6000円を追加計上しているが,原告は,甲68(48頁)において,既にP12に対する売上25万6000円を計上しているのであるから,同。 ,,),額を二重計上していると認められる甲10甲68弁論の全趣旨- 41 -以上の事実が認められ,そうであれば,原告が実額反証として主張立証 00円を計上しているのであるから,同。 ,,),額を二重計上していると認められる甲10甲68弁論の全趣旨- 41 -以上の事実が認められ,そうであれば,原告が実額反証として主張立証した総収入のほかに一定程度の収入があると認められ(上記19万9500円,97万円,その点を考慮に入れたとしても,原告の総収入金)額は,別表5の各合計欄の裁判所認定欄記載の金額にとどまるというべきである(なお,原告が主張する売上原価(仕入高)については,売上高を算定するに当たって考慮した。また,上記原告最終準備書面添付別表3のP18株式会社7万5289円に対する売上は,請求書(甲8の5)の日付によると,平成14年分のものと認められる。 。)イ必要経費(ア) 外注工賃a原告は,外注工賃を立証する資料として,領収証(甲13の1ないし23,甲29の1ないし43及び甲45の1ないし62,甲83の1ないし7)及び仕切書(原告が外注明細として作成し,その一枚を支払先に交付していたもの。甲63の1ないし5,甲74の1ないし11,出面帳(甲102,単価表(甲86ないし甲88,甲10))3ないし甲106)を提出する。 b原告の外注工賃欄には,その支出を裏付ける領収証の提出されていないものがある(平成11年9月24日のP19に対する11万5000円,同年12月18日同人に対する7万5000円,平成13年12月31日のP20に対する45万8300円。また,領収証の)提出はあるものの,仕切書の提出がないものもある(平成11年6月2日P21に対する30万9000円,平成12年7月24日P22に対する9150円,同年10月16日のP23に対する14万円,同年12月31日P24に対する4万円,平成13年2月15日P25に対する35万円,同日P26に対 000円,平成12年7月24日P22に対する9150円,同年10月16日のP23に対する14万円,同年12月31日P24に対する4万円,平成13年2月15日P25に対する35万円,同日P26に対する35万円,同年3月12日同人に対する28万円,同年4月11日P27に対する5000円,- 42 -同年5月10日P28に対する44万円,同年6月11日P29に対する42万1330円,同日P30に対する48万0600円,同年12月13日P31に対する23万8000円,同日P32に対する2万円。さらに,原告の外注工賃には,当該外注工賃に対応する現)場に係る売上が不明なものもある(平成11年10月15日のP12に対する23万1265円のうち4万2000円分。 )以上より,上記額を原告の主張する外注工賃から控除した別表6の各外注工賃欄記載の金額を経費として認めるのが相当である。 (イ) その他の必要経費a租税公課について,原告は領収証等(甲9の3頁,甲35の8頁及び9頁,甲36の4頁,甲51の14頁ないし16頁,甲67の1及,),「」,び2甲71の1及び2を提出するところ登録番号○○VV「○○WW」及び「○○ZZ」の各車両については,業務関連性が不明であるが「○○XX」及び「○○YY」の車両については,その,登録番号及び自動車税額から,業務用車両であると推認される(地方税法147条1項参照。また,事業税,印紙代は事業に関連する支)出と認められる。そうすると,原告の租税公課については,別表6の各「租税公課」欄記載の各金額を経費として認めるのが相当である。 ,(),b水道光熱費について原告は預金取引明細表甲9を提出するがその事業専用割合を判断する前提となる証拠を提出しない。また,原告は,水道光熱費につき, 費として認めるのが相当である。 ,(),b水道光熱費について原告は預金取引明細表甲9を提出するがその事業専用割合を判断する前提となる証拠を提出しない。また,原告は,水道光熱費につき,平成11年分についてのみ主張し,平成1,。 ,2年分平成13年分については主張しないなど一貫しないよって水道光熱費を経費として計上することはできない。 c旅費交通費について,原告は各領収証を提出するが,その中には夜間駐車料金(甲16の4頁,甲32の3頁,甲38の2頁,甲38の9頁,甲52の9頁,甲56の18頁,甲57の5頁,甲58の15- 43 -頁,甲52の8頁,甲62,弁論の全趣旨)や日曜祝日に係る駐車料金(甲19の2頁,甲51の1頁,現場との対応関係が不明な高速)道路料金(甲21の6頁,甲55の1頁ないし3頁,その他事業関)連性が不明なタクシー代(甲50の2頁)やハイウェイカード代がある。もっとも,原告の事業形態からすると,原告やその外注先が現場に赴くにあたって,一定の旅費交通費が発生すると推認されるのであるから,原告の旅費交通費については,上記の費用を控除した別表6の各「旅費交通費」欄記載の各金額を経費として認めるのが相当である。 d通信費について,原告は,預金通帳の取引明細(甲9)を提出するのみで,その事業専用割合を立証しない。よって,通信費を経費として計上することはできない。 ,,,e接待交際費について原告は飲食店等の領収証を提出するところ原告のような事業において,一定程度の接待交際費が生じるのは通常であるから,接待等の相手方が明確にされ,かかる接待等に事業関連性が認められる場合には,経費算入を認めるべきである。もっとも,平成11年分及び平成13年分の「P33氏,平成11年分の「P」34氏」については売 待等の相手方が明確にされ,かかる接待等に事業関連性が認められる場合には,経費算入を認めるべきである。もっとも,平成11年分及び平成13年分の「P33氏,平成11年分の「P」34氏」については売上との関連で事業関連性が不明である。そうすると,原告の接待交際費については,別表6の「接待交際費」欄記載の各金額を経費として認めるのが相当である(甲15の5頁,甲23,,,,の7頁甲25の10頁甲68の62頁以下甲69の60頁以下甲70の61頁以下。 )f損害保険料について,原告は,P7に支払ったとする保険料について,保険種類,対象物件等を明らかにしないが,2台の車両に係る保険料を支払っているものと認められる。そして,上記aのとおり,そのうち1台分については,業務用車両に係る損害保険料であると推認- 44 -でき,平成11年9月5日に購入した車両(甲23の4頁)が業務用車両であると認めるに足りる証拠はないから,これと近接した時期に契約され,毎年9月3日に更新されている自動車保険に係る保険料は業務用車両に係るものではないと考えられ,そうすると,毎年10月23日に更新されている保険にかかる保険料を業務用車両に係るものと認めるのが相当である。また,動産保険,傷害保険については事業関連性の立証がない。そうすると,原告の損害保険料については,別表6の「損害保険料」欄記載の各金額を経費として認めるのが相当である(甲24の1頁,甲40の9頁,甲55の15頁,甲68ないし甲70。 )g修繕費について,原告は領収証等を提出するが,修繕対象等の車両を特定できない支出については,事業関連性を確認できない。そうすると,原告の修繕費については,別表6の「修繕費」欄記載の各金額を経費として認めるのが相当である(甲41の2頁。 )h消耗品費につ を特定できない支出については,事業関連性を確認できない。そうすると,原告の修繕費については,別表6の「修繕費」欄記載の各金額を経費として認めるのが相当である(甲41の2頁。 )h消耗品費について,原告は,領収証等を提出するが,購入品等を特定できない支出については,その事業関連性を確認することができない反面,購入品,宛名等が特定されていて,事業関連性を確認できる支出については,経費性を認めるのが相当である(なお,株式会社P35の甲60の1ないし8については内容が明らかでないが,同社の他の領収書の記載内容から事業関連性が認められる。他方,ガソ。)リン代,洗車代及びウォッシャー液,甲41の6頁のソフト代,甲49の2頁,甲52の1頁,甲58の18頁の携帯電話代,甲56の19頁のスーツ代,甲58の20頁の○○については,事業関連性が明らかでない。そうすると,原告の消耗品費については,別表6の「消耗品費」欄記載の各金額について経費性を認めるのが相当である(甲16の3頁,甲16の4頁,甲18の6頁,甲21の3頁,甲21の- 45 -7頁,甲21の8頁,甲22の2頁,甲28の1ないし3,甲28の5,甲28の7ないし12,甲34の5頁,甲44の1ないし48,甲48の2頁,甲51の12頁,甲52の10頁,甲57の3頁,甲58の1頁及び19頁,甲60の1ないし29。 )i減価償却費について,原告は,平成11年分のパソコン及び本件各係争年分につき車両2台ないし3台分の減価償却費を計上する。証拠(甲74の1ないし11)によれば,原告は,平成13年ころからパソコンを使い始めたものと認められるので,平成11年分のパソコン代については事業関連性が明らかでない。車両について,原告は,○○,○○及びバイクに係る減価償却費を計上している旨主張するが, からパソコンを使い始めたものと認められるので,平成11年分のパソコン代については事業関連性が明らかでない。車両について,原告は,○○,○○及びバイクに係る減価償却費を計上している旨主張するが,○○及びバイクについては,事業関連性が明らかでなく,また,いずれの車両についても,その取得価額,取得年月日が明らかでない(なお,原告は,車両に係る領収証(甲23の4頁)を提出するが,かかる領収証からは購入した車両を特定できない。よって,減価償却。)費を経費として計上することはできない。 j福利厚生費について,原告は,領収証等を提出するが,原告が職人の残業食事代と主張する支出については相手先等が不明であり,その事業関連性が不明である。建設埼玉共済の掛金についても,事業関連性が明らかでないが,職長教育受講料及び健康診断料については,領(),。 ,収証の発行元P36から事業関連性が認められるそうすると原告の福利厚生費については,別表6の「福利厚生費」欄記載の各金額を経費として認めるのが相当である(甲25の1頁,甲35の10頁,甲41の1頁。 )k利子割引料について,原告は,融資通知書(甲79の1,同計算)書(甲79の2,領収証(甲23の1頁及び4頁)を提出するが,)これら証拠からは,かかる融資と原告の事業との関連性が明らかでな- 46 -い。 l地代家賃について,原告は,原告名義の振込専用通帳(甲65,甲66)やP37の預り証やP10氏からの領収証(甲53の26頁,甲81の1及び2)を提出する。しかしながら,預り金は経費とは認められない性質の支出である上,原告は,これらに係る不動産賃貸契約書等の関連資料を提出せず,また,事業関連割合の立証もしない。 よって,地代家賃を経費として計上することはできない。 m支払手数 は認められない性質の支出である上,原告は,これらに係る不動産賃貸契約書等の関連資料を提出せず,また,事業関連割合の立証もしない。 よって,地代家賃を経費として計上することはできない。 m支払手数料について,原告は,預金取引明細や振込金受取書等を提,,出するが平成11年8月31日付け印紙代・保証料2万4428円平成12年7月26日付け保証料や,P38信用金庫に対する各支払(甲9)については,事業関連性が明らかでないが,その他P5等の取引先に対する各支払手数料,振込手数料については事業関連性が認められる。そうすると,原告の支払手数料については,別表6の「支払手数料」欄記載の各金額を経費として認めるのが相当である(甲9ないし12,甲14の1ないし3,甲72の1ないし4。 )n車両費について,原告は,軽油代,ガソリン代の領収証等を提出するが,いずれも事業関連性が明らかでない。 o雑費については,民主商工会費等(甲27の1ないし11,甲43の1ないし12,甲56の9頁(うち800円,甲59の1ないし)12,P5に対する安全協力費,平成13年分に計上されたパソコ)ン代24万9637円(甲57の12頁)のうち,当該年度に計上すべき減価償却費9361円(耐用年数4年,2か月分)及びプリンター代3万1500円(甲58の7頁)について事業関連性が認められる。そうすると,原告の雑費については,別表6の「雑費」欄記載の各金額を経費として認めるのが相当である。 争点4(納付すべき税額)について- 47 -そうすると,原告の本件各係争年分における事業所得の金額及び納付すべき金額は,別表6記載の各「事業所得の金額」欄及び各「納付すべき税額」欄記載の金額であり,これによれば,原告の事業所得の金額は,平成11年分592万5856円,平成12年分 業所得の金額及び納付すべき金額は,別表6記載の各「事業所得の金額」欄及び各「納付すべき税額」欄記載の金額であり,これによれば,原告の事業所得の金額は,平成11年分592万5856円,平成12年分645万8232円,平成13年分1058万9554円であり,納付すべき税額は,平成11年分23万8600円,平成12年分46万7600円,平成13年分116万1400円であるから,原告の平成11年分及び平成12年分の所得税に係る各更正処分については,これらを超える部分をいずれも取り消し,さらに,平成11年分及び平成12年分の各過少申告加算税賦課決定処分については,平成11年分につき加算税額2万2000円,平成12年分につき加算税額3万6000円を超える部分をいずれも取り消すことが相当である。 結論 よって,主文のとおり判決する。 さいたま地方裁判所第4民事部裁判長裁判官遠山廣直裁判官富永良朗裁判官櫻井進

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