令和6(わ)117 建造物侵入、強盗、銃砲刀剣類所持等取締法違反、器物損壊、住居侵入

裁判年月日・裁判所
令和7年2月6日 山形地方裁判所
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判決文本文2,405 文字)

主文 被告人を懲役3年に処する。 未決勾留日数中80日をその刑に算入する。 この裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予する。 被告人をその猶予の期間中保護観察に付する。 理由 (罪となるべき事実)第1 被告人は、令和6年8月26日午前8時5分頃、山形県西置賜郡(以下省略)所在のA簡易郵便局において、同郵便局局長Bが所有する同郵便局2階和室南側腰高窓のガラスをカッターの持ち手部分でたたいて割り(損害額合計1万980 0円)、もって他人の物を損壊した上、その頃、正当な理由がないのに、同腰高窓の施錠を解いて、前記Bが看守する同郵便局に侵入し、同日午前8時22分頃、同郵便局内において、同所に設置されたC株式会社D営業所所長Eが所有する防犯カメラにスプレー式赤色塗料を吹き付けて汚損し(損害額合計21万2300円)、もって他人の物を損壊した。 第2 被告人は、正当な理由がないのに、同日午前10時1分頃から同日午前10時34分頃までの間に、山形市(以下省略)所在のF方に、無施錠の1階北側裏口引き戸から侵入した。 第3 被告人は、現金を強取する目的で、同年9月12日午前8時2分頃から同日午後2時46分頃までの間に、前記A簡易郵便局に、2階和室南側腰高窓から侵 入し、その頃、同所において、前記Bに対し、手に持った包丁(刃体の長さ約16.7センチメートル)を示しながら「これに金を入れろ」などと言って同人を脅迫し、その反抗を抑圧した上、同人管理の現金100万円を強取した。 第4 被告人は、業務その他正当な理由による場合でないのに、同日、前記A簡易郵便局 しながら「これに金を入れろ」などと言って同人を脅迫し、その反抗を抑圧した上、同人管理の現金100万円を強取した。 第4 被告人は、業務その他正当な理由による場合でないのに、同日、前記A簡易郵便局において、前記包丁1本を携帯した。 (量刑の理由) 強盗の犯行の態様は、包丁を被害者の至近に示して脅迫するというもので、危険である。突如として恐怖にさらされた被害者の処罰感情が強いことも当然のこととして理解できる。被害金額は100万円もの高額に及んでおり、財産的被害はもとより大きい。そして、本件強盗に至る経緯をみると、本件強盗の犯行が強い犯意に基づくものであることが明らかである。すなわち、被告人は、本件強盗の犯行に及 ぶ2週間ほど前に、金銭を盗む目的で同じ郵便局と民家に連続的に侵入したものの(判示第1、第2)、金銭を盗むことができなかったことから、まとまった現金を得るためには強盗をするしかないなどと決意して、包丁を用意して携帯するとともに(判示第4)、自身の犯行であることが発覚しないよう帽子やマスク、手袋を着用するなどして判示郵便局に侵入し、数時間にわたり身を潜めて犯行の機会をうかがっ た上で強盗に及び、現金100万円を強取したものである。被告人は、大工の仕事が激減したため生活費に窮し、犯行に及んだ旨を供述するが、家族や行政に相談することもなく、犯罪によって現金を得ようと考えて判示第1及び第2の各犯行に及び、さらに強盗にまで及んだことは、安易かつ短絡的で自己中心的というほかなく、酌量の余地はない。判示第1の犯行が金額に引き直して合計23万2100円に及 ぶ損害をもたらしたこと、判示第2の犯行が安心して過ごせるはずの住居の平穏を害した程度は決して軽視できないことを併せ、犯情は総じて悪いといわなければならない き直して合計23万2100円に及 ぶ損害をもたらしたこと、判示第2の犯行が安心して過ごせるはずの住居の平穏を害した程度は決して軽視できないことを併せ、犯情は総じて悪いといわなければならない。被告人の行為責任は重い。 しかしながら、被告人は、逮捕後、犯した罪の重さに思い至り、反省するとともに、判示第3の強盗の犯行により得た100万円全額及び判示第1の窓ガラスの損 害相当額1万9800円を弁償し、防犯カメラの損害についても弁償を申し入れるなど、自らがもたらした被害の事後的な回復に努めている。この点は、実際に被害弁償がされた範囲においては、強盗及び器物損壊の各財産犯的側面に関し、応報としての刑を科す必要性を事後的に低減させ得るものとして犯情評価に影響する事情として位置付けられ、被害弁償に至っていない範囲においても、被告人の反省の度 合いを示すものとして、量刑上考慮され得べき事情である。そして、被告人は、公 判廷においても、犯した罪と真摯に向き合う姿勢とともに更生意欲を明らかにしているところ、被告人に前科前歴がないことや、被告人の妻が息子とともに被告人の更生に協力する旨を誓約していることに照らすと、被告人が自力更生を果たす余地は十分に残されているといえる。 そこで、被告人に対しては、酌量減軽を施し、主文の刑を科して、その刑事責任 の重さを改めて銘記させた上で、今回に限り、その刑の執行を猶予して、社会内で自力更生を図る機会を与えることとする。もっとも、仕事がなくなり生活費に窮したのに、家族や行政等に相談することなく一人で悩みを抱え込み、挙句、安易かつ短絡的に本件の各犯行に及んだという経緯や、被告人の年齢等に照らすと、被告人の更生を確実なものとする見地からは、執行猶予の期間を法律上許される最長の5 年間 人で悩みを抱え込み、挙句、安易かつ短絡的に本件の各犯行に及んだという経緯や、被告人の年齢等に照らすと、被告人の更生を確実なものとする見地からは、執行猶予の期間を法律上許される最長の5 年間とした上で、その猶予の期間中保護観察に付して、被告人の更生を公的に支援する枠組みを設けるのが相当である。 (求刑懲役5年6月)令和7年2月6日山形地方裁判所刑事部 裁判官佐々木 公

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