平成25年2月7日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成23年(ワ)第10693号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成24年11月5日判決 原告株式会社和泉利器製作所 同訴訟代理人弁護士平松耕吉 被告株式会社リバーライト(以下「被告リバーライト」という。) 同訴訟代理人弁護士岡田暢雄同今西一男同山本正同遠藤憲子同岡田尚人同佐藤賢紀 被告株式会社タカツ(以下「被告タカツ」という。) 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告リバーライトは,別紙物件目録記載の製品(以下「被告製品」という。)を製造し,譲渡等(譲渡又は貸渡し)をし,譲渡等の申し出をしてはならない。 2 被告タカツは,被告製品を譲り受け,譲渡等をし,譲渡等の申し出をしてはならない。 3 被告らは,被告製品を廃棄せよ。 4 被告リバーライトは,原告に対し,金1億2490万円及びこれに対する平成23年10月15日から支払済みまで年6分の割合による金員(ただし,第5項の金員の限度で被告タカツと連帯して)を支払え。 5 被告タカツは イトは,原告に対し,金1億2490万円及びこれに対する平成23年10月15日から支払済みまで年6分の割合による金員(ただし,第5項の金員の限度で被告タカツと連帯して)を支払え。 5 被告タカツは,原告に対し,被告リバーライトと連帯して,金2810万円及びこれに対する平成23年10月15日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,発明の名称を「鍋」とする特許第4562094号の特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が,被告製品の製造販売等をする被告らに対し,以下の請求をする事案である。 (1) 被告リバーライトに対する請求(下記ア,イの請求は重なり合う限度で選択的併合である。また,下記ア(イ),イの支払は,いずれも下記(2)イの限度で,被告タカツとの連帯支払である。)ア特許権侵害に基づく請求(ア) 特許法100条1項,2項に基づく,被告製品の製造販売等の差止め及び廃棄請求(イ) 特許権侵害の不法行為に基づく,損害賠償金4227万5000円及びこれに対する平成23年10月15日から支払済みまで商事法定利率の年6分の割合による遅延損害金の支払請求イ一般不法行為又は下請製造契約違反に基づく請求一般不法行為又は下請製造契約違反に基づく,損害賠償金1億6830万円のうち1億2490万円及びこれに対する平成23年10月15日から支払済みまで商事法定利率の年6分の割合による遅延損害金の支払請求(2) 被告タカツに対する請求(下記イの支払は,被告リバーライトとの連帯支払である。)ア特許法100条1項,2項に基づく,被告製品の販売等の差止め及び廃棄請求イ被告タカツが,被告リバーライトと共同して被告 対する請求(下記イの支払は,被告リバーライトとの連帯支払である。)ア特許法100条1項,2項に基づく,被告製品の販売等の差止め及び廃棄請求イ被告タカツが,被告リバーライトと共同して被告製品を販売した特許権侵害の不法行為に基づく,損害賠償金2810万円及びこれに対する平成23年10月15日から支払済みまで商事法定利率の年6分の割合による遅延損害金の支払請求 2 判断の基礎となる事実以下の事実については,当事者間に争いがないか,掲記の各証拠又は弁論の全趣旨より認められる。 (1) 当事者ア原告は,各種刃物類の製造販売等を営む株式会社である(甲1)。 イ被告リバーライトは,家庭用金物の製造販売等を営む株式会社である(甲7)。 ウ被告タカツは,家庭用金物の販売等を営む株式会社である(甲10)。 (2) 原告による原告製品の販売原告は,遅くとも平成8年6月頃,「堺刀司スチールテック」として,後記本件発明と技術的に同一の製品である鉄製の鍋やフライパン等の販売を開始した(甲3の1・2,24。以下「原告製品」という。)。 原告製品は,当初,伊勢工業株式会社(以下「伊勢工業」という。)で製造されたが,その後伊勢工業は債務超過となり,平成16年11月頃から,伊勢工業に代わって,被告リバーライトで製造されるようになった(甲19参照。伊勢工業は,平成17年5月27日付けで破産開始決定を受けている。 乙2)。なお,原告製品の高温特殊熱処理(以下「ナイトロテック処理」という。)は,当初から現在まで,株式会社東洋金属熱錬工業所(以下「東洋金属熱錬」という。)で行われている。 (3) 本件特許権ア原告は,本件特許権を有しており,その内容は下記のとおりである(以下,下記の特許を「本件特許」という 錬工業所(以下「東洋金属熱錬」という。)で行われている。 (3) 本件特許権ア原告は,本件特許権を有しており,その内容は下記のとおりである(以下,下記の特許を「本件特許」という。また,下記特許請求の範囲の【請求項1】記載の発明を「本件発明」といい,本件特許に係る明細書を「本件明細書」という。)。 記登録番号第4562094号発明の名称鍋出願日平成18年12月21日登録日平成22年8月6日特許請求の範囲【請求項1】 「鍋本体が軟鉄で形成され,鍋本体の表面にガス軟窒化処理による窒化物層を有し,且つその窒化物層の表面に酸化処理による酸化物層を有し,酸化処理後に油/水エマルジョンで急冷処理がされていることを特徴とする鍋」イ本件発明は,次の構成要件に分説することができる(以下記号に従い「構成要件A」などという。)。 A 鍋本体が軟鉄で形成され,B 鍋本体の表面にガス軟窒化処理による窒化物層を有し,C 且つその窒化物層の表面に酸化処理による酸化物層を有し,D 酸化処理後に油/水エマルジョンで急冷処理がされていることE を特徴とする鍋である。 (4) 被告らの行為被告リバーライトは,遅くとも平成18年8月22日頃,被告製品を百貨店に出荷するようになり,その後,カタログによる通信販売もするようになった(乙8~10)。 被告タカツは,平成10年頃,通信販売を行うウェブサイト「フライパン倶楽部」を開設し,平成21年以降,同サイトで被告製品の通信販売を行っている(甲11の1~4)。 3 争点(1) 特許権侵害に基づく請求(被告らに対する請求)ア被告製 ト「フライパン倶楽部」を開設し,平成21年以降,同サイトで被告製品の通信販売を行っている(甲11の1~4)。 3 争点(1) 特許権侵害に基づく請求(被告らに対する請求)ア被告製品は本件発明の技術的範囲に属するか (争点1)イ本件特許は特許無効審判により無効とされるべきか(争点2)(ア) 新規性欠如 (争点2-1)(イ) 進歩性欠如 (争点2-2)(ウ) 冒認出願 (争点2-3)(エ) 明確性要件違反 (争点2-4)(オ) 実施可能要件違反 (争点2-5)ウ先使用による通常実施権の有無 (争点3)(2) 一般不法行為又は下請製造契約違反に基づく請求(被告リバーライトに対する請求)被告リバーライトによる被告製品の製造販売に一般不法行為又は下請製造契約違反が成立するか (争点4)(3) 原告の損害 (争点5)第3 争点に係る当事者の主張 1 争点1(被告製品は本件発明の技術的範囲に属するか)について【原告の主張】(1) 被告製品の構成は以下のとおりである。 a 鍋本体が炭素含有率は0.03%以下の鉄で形成されb 鍋本体の表面に,熱処理温度を600ないし650度とするガス軟窒化処理による窒化物層を有し,c 且つその窒化物層の表面に酸化処理による酸化物層を有しd 酸化処理後に油/水エマルジョンで冷却する処理がされていることe を特徴とする鍋なお,上記構成aは,原告が入手した被告製品の定量分 且つその窒化物層の表面に酸化処理による酸化物層を有しd 酸化処理後に油/水エマルジョンで冷却する処理がされていることe を特徴とする鍋なお,上記構成aは,原告が入手した被告製品の定量分析の結果に基づくものである(甲39,44)。 (2) 被告製品が構成要件B,C,Eを充足することは明らかであるところ,以下のとおり構成要件A,Dも充足することから,被告製品は本件発明の技術的範囲に属する。 ア構成要件Aについて「軟鉄」とは炭素含有率が0.45%以下の場合をいい(甲42の2~8),被告製品は構成要件Aを充足する(仮に,被告製品の炭素含有率が被告らの主張するとおり0.12%より大きく0.15%以下であったとしても,構成要件Aを充足する。)。 なお,被告らの主張する「軟鉄」の解釈を前提としても,被告製品の炭素含有率は0.03%以下であるから,構成要件Aを充足する。 イ構成要件Dについて「急冷処理」の前提となる熱処理の温度は,本件明細書で,好ましい熱処理温度域は550度から700度とされているとおりであって(段落【0013】),被告製品の熱処理は600度から650度であることから,構成要件Dを充足する。 原告が拒絶査定不服審判で「焼入れ」と主張したのは,油/水エマルジ ョンによる急冷処理で窒化物層の組成を変化させ,硬度をより高める特徴を表現したものであり,被告らが主張する意味で述べたものではない。 【被告らの主張】(1) 被告製品の構成原告が主張する被告製品の構成のうち,構成bないしeは認め,構成aは否認する。 被告製品の材質は冷間圧延磨き鋼板であるところ(甲9の1・6頁),これはJIS規格にいうSPCCであって(乙12,13),その炭素含有率は,0.12%より大きく0 しeは認め,構成aは否認する。 被告製品の材質は冷間圧延磨き鋼板であるところ(甲9の1・6頁),これはJIS規格にいうSPCCであって(乙12,13),その炭素含有率は,0.12%より大きく0.15%以下である(乙14)。 (2) 被告製品の構成要件充足性被告製品が構成要件B,C,Eを充足することは争わないが,以下のとおり構成要件A,Dを充足せず,したがって,被告製品は本件発明の技術的範囲に属しない。 ア構成要件Aの「軟鉄」とは炭素含有率が0.03%以下の場合をいうところ(乙11,甲42の1・2枚目参照),被告製品の炭素含有率は0.12%より大きく0.15%以下であるから,被告製品は構成要件Aを充足しない。 原告は,「軟鉄」について,主にゴルフクラブヘッドに関する特許公報の記載を根拠に炭素含有率が0.45%以下の場合をいうと主張するが(甲42の2~8),ゴルフクラブ商品市場では,「軟鉄アイアン」という商品名が広く認知されており,ここでの「軟鉄」とは,ゴルフクラブ商品市場特有の事情を反映した用語選択であるため,一般化することはできない。 イ構成要件Dの「急冷処理」について,原告は,拒絶査定不服審判で「当業者にとって焼入れとは包丁などの刃物に行うものであると認識されているだけであり,鍋の焼入れは当業者の頭の中に全く浮かぶことのない考えでした」(甲2の5・3頁),「本発明者は,鍋を焼入れすることに着目し,自動車部品の技術分野では公知である油/水エマルジョンによる焼入れを鍋に行うことを考え出したのであります」(同4頁)と主張しており,「急冷処理」とは「焼入れ」を指すと解釈すべきである。 「焼入れ」とは,金属熱処理のうち,鋼を高温状態(約800度)から急冷して硬化させる処理のことをいうが, であります」(同4頁)と主張しており,「急冷処理」とは「焼入れ」を指すと解釈すべきである。 「焼入れ」とは,金属熱処理のうち,鋼を高温状態(約800度)から急冷して硬化させる処理のことをいうが,727度以下の加熱ではどんなに早く冷やしても焼きは入らないとされている(乙16,17)。被告製品の熱処理温度は600度ないし650度であることから(乙18),被告製品に「焼入れ」は施されておらず,被告製品は構成要件Dを充足しない。 2 争点2(本件特許は特許無効審判により無効とされるべきか)について(1) 争点2-1(新規性欠如)について【被告らの主張】本件発明は,後記伊勢工業製品と同一であって,特許出願前に日本国内で公然知られた又は公然実施されたものであって,新規性を欠く(特許法29条1項2,3号)。 ア本件発明について本件発明における熱処理は,「機械技術者のためのナイトロテック処理」(乙23。以下「乙23文献」という。)に記載されたナイトロテック処理である。 イ伊勢工業製品について東洋金属熱錬は,イギリスのルーカス社の日本代理店との間で,ナイトロテック処理技術導入契約を締結して同技術の拡販活動をしており,平成6年9月頃,伊勢工業に対し,フライパンにナイトロテック処理を施すことを提案した。 伊勢工業は,上記提案を受け,ナイトロテック処理を施したフライパンの開発を行い,遅くとも平成7年5月頃には,ナイトロテック処理を施したフライパン等を「高温特殊熱処理スチール・テック」のブランド名で販売するようになった(以下「伊勢工業製品」という。)。 上記経過からも明らかなとおり,本件発明は,平成7年5月頃には,伊勢工業製品において実施されていた。 ウ本件発明が特許出願前に日本国内 で販売するようになった(以下「伊勢工業製品」という。)。 上記経過からも明らかなとおり,本件発明は,平成7年5月頃には,伊勢工業製品において実施されていた。 ウ本件発明が特許出願前に日本国内で公然知られた又は公然実施されたものであること(ア) ナイトロテック処理については,平成元年10月9日付けのナイトロテック処理に関する特許公報(乙22)及び平成4年3月発行の乙23文献により,本件発明の特許出願前から公知であった。 (イ) 東洋金属熱錬は,ナイトロテック処理の知名度を上げるために,伊勢工業製品を用いることとし,取引先への贈呈又は販売のために,平成6年11月11日から平成17年2月4日までの間,伊勢工業製品2455個を仕入れている(乙78)。 そして,東洋金属熱錬は,平成6年10月25日から平成10年2月末日までの間,モニター用として,伊勢工業製品合計1102個を,ナイトロテック処理技術の新規受注が期待される得意先に頒布した(乙54,79)。 東洋金属熱錬は,モニター用の伊勢工業製品の頒布に当たり,フライパンの持ち手に「ナイトロテック処理」と表記したシール(乙80。以下「本件シール①」という。)を貼付し,同社が作成した「ナイトロテック処理(耐摩耗,耐腐食,耐熱,遠赤外線放射)鉄製フライパンの特長」と題する書面(乙55の7,81。以下「本件説明書面」という。),「鉄を超えた“鉄”,新登場」と記載された伊勢工業製品のパンフレット(乙55の6,82。以下「本件パンフレット」という。)を添付した。なお,東洋金属熱錬がモニター用として頒布をした後,伊勢工業製品の注文がなされることもあり,平成7年4月29日から平成10年12月19日までの間,東洋金属熱錬から注文主に対し,少なくとも1083個が販売され として頒布をした後,伊勢工業製品の注文がなされることもあり,平成7年4月29日から平成10年12月19日までの間,東洋金属熱錬から注文主に対し,少なくとも1083個が販売された(乙83)。これらの販売品についても,上記モニター用と同様,本件シール①の貼付,本件説明書面,本件パンフレットの添付がされた。 (ウ) 東洋金属熱錬の労働組合は,平成7年10月10日頃,同組合員ら約350名に対し,同組合結成20周年の記念品として,持ち手に「ナイトロテック」と表記したシール(乙35。以下「本件シール②」という。)が貼付された伊勢工業製品(以下「本件記念品」という。)を配布した。 同組合が発行する当時の機関誌には,「東熱の貴重な『自社製品』を記念品としてお届けすることが出来ます。」,「この度,お届けする東熱の商品は,伊勢工業さんを通じてですが,初めて,家庭で手に取り目で確かめられる家族に説明のできる『自社製品』であると言えます。」などと記載されていた(乙36)。 エ小括以上の事実に照らすと,伊勢工業製品においてナイトロテック処理が施されていることは,本件特許出願前において,不特定多数の者により現実に知られた公知の発明であるとともに,公然実施された発明であるといえ,本件発明は新規性がない。 【原告の主張】ア本件発明は鍋の製造方法に関するものであるところ,単に,製品の特徴や長所等を記した簡易な商品説明を添付したり,製品に処理方法の名称を記載したシールを貼付したりしたのみでは,製造方法の技術内容まで公然と知り得る状況であったとはいえない。また,一般人が「ナイトロテック処理」との表示を見たとしても,乙23文献に結び付く理由はなく,一般人が知る内容はせいぜい東洋金属熱錬がウェブサイトで紹介している概要 る状況であったとはいえない。また,一般人が「ナイトロテック処理」との表示を見たとしても,乙23文献に結び付く理由はなく,一般人が知る内容はせいぜい東洋金属熱錬がウェブサイトで紹介している概要(甲58)の程度であって,これによって本件発明が公然知られたことにはならない。 イ被告らは,本件シール①を1万枚用意したと主張するが,同枚数はモニター用として頒布した個数ともかけ離れており,むしろ東洋金属熱錬が,金属部品を主とするナイトロテック処理製品全般に貼付するために準備したものと解するのが合理的である。また,東洋金属熱錬がナイトロテック処理製品に個別にシールを貼付することは,多大な手間を生じることから通常は考えられず,むしろこれらの製品の相当数をまとめて入れた搬送用の箱等に,未処理品や他の熱処理製品と区分けする目的でシールを付したものと考えられる。 さらに,本件記念品に貼付されたシール(本件シール②)は,本件シール①とは異なるというのも不自然である。 ウまた,被告らが添付したと主張する本件説明書面(乙55の7,81)には,使用方法として「1.最初は軽く空焼きした後,油をなじませてからお使い下さい。2.使用毎に薄く油をなじませてお使い下さい。」等と記載されているが,同じく添付していたと主張する本件パンフレット(乙55の6,82)には,「高温特殊熱処理-スチールテック」,「ほとんどサビず」,「油ならし不要」,「カラ焼きや油ならしもいらず」と異なる説明が記載されていることからすれば,そもそもこのような説明書面,パンフレットが添付されていたとは解されない。 なお,本件説明書面,本件パンフレットには製造方法に関する記載は認められない。エ以上によれば,本件発明について,特許出願前に日本国内で公然知られた ットが添付されていたとは解されない。 なお,本件説明書面,本件パンフレットには製造方法に関する記載は認められない。エ以上によれば,本件発明について,特許出願前に日本国内で公然知られた又は公然実施されたものであるとは認められない。 (2) 争点2-2(進歩性欠如)について【被告らの主張】本件発明は,乙23文献に記載された発明により容易に想到できたものであり,進歩性を欠く(特許法29条2項)。 ア乙23に基づく主張乙23文献にはナイトロテック処理について記載されているところ,本件発明と乙23文献に記載された発明(以下「乙23発明」という。)を比較すると,相違点は,本件発明は,油/水エマルジョンによる急冷処理を鍋に適用している点(構成要件D)のみである。 この点,乙23文献には「ナイトロテック処理によって形成される窒化鉄(…)および,酸化鉄(…)は,『食品衛生法』での規制対象物質でないために,食品加工装置の部品にも利用できる」旨の記載があるところ,フライパン本体は食品加工装置の部品に該当することから,同文献には,油/水エマルジョンによる急冷処理を鍋に適用すること(構成要件D)が示唆されていたといえる。 したがって,本件発明は,乙23発明に基づいて当業者が容易に想到できたものであることから,進歩性がない。 イ乙21に基づく主張(ア) 本件発明と昭和56年7月24日に公告された特許公報(乙21。以下「乙21文献」という。)に記載された発明(以下「乙21発明」という。)を比較すると,両者は,軟窒化物処理により形成した窒化物層の表面に酸化物層を形成する点で一致し,以下の点で相違する。 ① 乙21発明では「SPCC等の炭素鋼」が用いられる 発明」という。)を比較すると,両者は,軟窒化物処理により形成した窒化物層の表面に酸化物層を形成する点で一致し,以下の点で相違する。 ① 乙21発明では「SPCC等の炭素鋼」が用いられるのに対し,本件発明では「軟鉄」が用いられる点② 乙21発明では「加熱用調理容器」であるのに対し,本件発明では「鍋」である点③ 乙21発明では「油/水エマルジョン」が施されていないのに対し,本件発明では施される点(イ) ここで,原告が主張する「軟鉄」の定義によれば,SPCC等の炭素鋼も軟鉄に含まれることになるので,乙21発明の「SPCC等の炭素鋼」と本件発明の「軟鉄」は実質的に同一といえる。 また,本件発明の「鍋」は「加熱用調理容器」の一種であるから,乙21発明の「加熱用調理容器」を「鍋」に置換することは当業者が容易に想到できることである。 さらに,乙21発明では「油/水エマルジョン」が施されていないが,平成元年10月9日に公告された特許公報(乙22。以下「乙22文献」という。)には,非合金鋼部品を窒化処理して形成された窒化物層の表面に酸化物層を形成した後に,「該部品を550℃以上から油/水エマルジョン中に焼入れすること」が記載されている。したがって,乙21発明に乙22文献に記載された「油/水エマルジョン」による焼入れを適用することにより,本件発明を容易に想到することができる。なお,「油/水エマルジョン」を含むナイトロテック処理が食品加工装置の部品にも利用できることは,上記アのとおり乙23文献に記載されていることから,当業者が,乙21発明の「加熱用調理容器」に,乙22文献に記載された「油/水エマルジョン」による焼入れを組み合わせる動機付けを有していたことも明らかである。また,原告は,拒絶査定不服審判 ことから,当業者が,乙21発明の「加熱用調理容器」に,乙22文献に記載された「油/水エマルジョン」による焼入れを組み合わせる動機付けを有していたことも明らかである。また,原告は,拒絶査定不服審判で,本件発明の作用に関し,「油/水エマルジョンによる急冷は,水を使用したときのように一気に温度が下がらないので鍋に歪みが生じません。」と主張しているところ,当該作用についても,乙22文献の「油/水エマルジョン内での焼入れの間蒸気がエマルジョン内で部品の周りで小さなポケットとして作られ冷却速度を与える。これは歪みのない最大の特性(…)を有する部品を与える」との記載により示唆されている。 (ウ) したがって,本件発明は,乙21発明に基づいて当業者が容易に想到できたものであることから,進歩性がない。 【原告の主張】ある分野における公知技術であっても,従前その利用が考え難かった新分野への活用ないし応用を工夫し,その効果・効用を十全に発揮させることや,新分野における利便が格段に高められる場合には,その進歩性は否定し難い。 本件発明は,鍋製品にナイトロテック処理を適用することによって,「軟鉄」という安価な素材について,鋼(スチール)と同様の高温でも堅牢であることや,油になじみやすく調理しやすい表面処理を実現するとともに,ダーク・グレーの美しい色彩・光沢を備えた手頃で高品質な製品を実現し,家庭や調理業界における広範な社会的利便性を多大に向上させる結果をもたらしたものであって,進歩性は否定されない。 (3) 争点2-3(冒認出願)について【被告らの主張】本件発明の真の発明者は,原告代表者ではなく,東洋金属熱錬のP 1(以下「P1顧問」という。)であることから,本件特許は,特許法123 2-3(冒認出願)について【被告らの主張】本件発明の真の発明者は,原告代表者ではなく,東洋金属熱錬のP 1(以下「P1顧問」という。)であることから,本件特許は,特許法123条1項6号の無効理由を有する。 ア本件発明の経緯について本件発明は,以下の経緯によってなされたものである。 (ア) 東洋金属熱錬において金属熱処理技術の開発業務に従事していたP1顧問は,昭和62年9月に参加したセミナーなどをきっかけとして,ナイトロテック処理技術の導入を検討し,東洋金属熱錬は,同年11月末,日本ナイトロテック株式会社との間で,ナイトロテック処理技術供与契約を締結し(乙59),昭和63年4月,ナイトロテック処理炉を大阪工場に設置し,試運転を開始した。 (イ) 東洋金属熱錬は,昭和63年3月,松下電器から,ホットプレートにナイトロテック処理を施すことについての食品衛生法上の問題や見積もりについて検討するように要請を受けた(乙60)。 これをきっかけとして,P1顧問は,ホットプレートと同様に食品を焼くフライパンにナイトロテック処理を適用することを考案し,その後,ナイトロテック処理の耐食性向上などを目指して,実験・研究を実施した(乙53,61~73)。 また,P1顧問は,P2らが共同執筆した乙23文献の作成の際に,参考資料を提供したり,ナイトロテック処理によって形成される窒化鉄及び酸化鉄は,食品衛生法上の規制対象物質でないために食品加工装置にも利用できることを掲載するように進言したりした。 (ウ) P1顧問は,平成6年9月頃,フライパン専業メーカーとして高い知名度を有していた伊勢工業に対し,フライパンにナイトロテック処理を施すことを提案して了承され,同月以降,本格的な試 。 (ウ) P1顧問は,平成6年9月頃,フライパン専業メーカーとして高い知名度を有していた伊勢工業に対し,フライパンにナイトロテック処理を施すことを提案して了承され,同月以降,本格的な試作及び社内テストの実施を重ねて商品化に成功した(乙24~31,74,75)。 イ本件発明の発明者がP1顧問であること以上の経緯によれば,本件発明は,東洋金属熱錬に勤務していたP1顧問によって完成されたものである。 原告は,上記経緯によってなされた本件発明を実施した伊勢工業のフライパンの木柄に焼き印を付して原告製品として販売していたに過ぎない。 原告は,特殊熱処理をするための熱処理炉等の設備を保有しておらず,フライパン製造のための金型すら保有していない。また,原告代表者は,金属熱処理工学を専門的に研究した形跡がないところ,本件発明は,そのような専門的設備や知識を有しない者が頭の中の思考実験でできるほど容易なものではなく,原告が本件発明の発明者ではない。 【原告の主張】本件発明の発明者は,原告代表者であって,東洋金属熱錬のP1顧問ではない。 ア本件発明の経緯について(ア) 原告代表者は,平成4,5年頃,伊勢工業の技術担当者に,原告の創業190周年にふさわしい鍋の新製品開発を相談するなどしていたが,油の付着がよく焦げ付きを少なくするには,鍋内で肉が摺動しやすくする必要があることから,自動車シャフトの表面処理技術を試すことを思い付き,平成6年6月頃までに,東洋金属熱錬から乙23文献,「ナイトロテック法について」(甲57)を取り寄せて検討した結果,ナイトロテック処理によるガス軟窒化が,新しい鍋製品の表層処理に最適の技術ではないかと考え,同年9月頃,伊勢工業を通じて,東洋金属 ,「ナイトロテック法について」(甲57)を取り寄せて検討した結果,ナイトロテック処理によるガス軟窒化が,新しい鍋製品の表層処理に最適の技術ではないかと考え,同年9月頃,伊勢工業を通じて,東洋金属熱錬にナイトロテック処理による鍋製品の試作を申し入れるに至った。 (イ) 原告は,伊勢工業を通じ,東洋金属熱錬のナイトロテック処理による鍋製品の試作を重ね,平成6年11月初旬までに,原告製品の製品化に至り,同月14日頃,食品衛生法に基づく製品試験を検査機関に依頼し,カドミウムや鉛の溶出の懸念がなく適合している旨の検査結果(甲17の1)を得た。 イ発明者が原告代表者であること以上の経緯によれば,本件発明は,原告代表者によるものである。 被告らは,本件発明は,東洋金属熱錬のP1顧問によるものであると主張するが,P1顧問が,そのきっかけとなったセミナーに出席していたとは認める証拠はなく(乙52参照),また,P1顧問が乙23文献作成に当たりその利用を進言したとされるホットプレートは「食品加工装置」に当たるものではない。さらに,P1顧問はフライパンへの適用を思い立ってから試作までに6年間を要するなど不自然な点もあって,上記主張は到底認められない。 (4) 争点2-4(明確性要件違反)について【被告らの主張】 本件発明の「油/水エマルジョン」,「急冷処理」,「軟鉄」の用語の解釈は,本件明細書に記載されていない不明確なものであり,特許法36条6項2号に違反する不備がある。 ア 「油/水エマルジョン」原告は,拒絶査定不服審判では,油/水エマルジョンによる急冷は,水を使用したときのように一気に温度が下がらないので鍋に歪みを生じさせることがなく,油を使用したときのように緩慢 油/水エマルジョン」原告は,拒絶査定不服審判では,油/水エマルジョンによる急冷は,水を使用したときのように一気に温度が下がらないので鍋に歪みを生じさせることがなく,油を使用したときのように緩慢な冷却でないので十分な硬度を得ることを可能にすることなどを理由に進歩性を主張していたものである(甲2の5・3頁)。 しかし,そのような役割を果たす「油/水エマルジョン」を特定するには,水と混合する油の化学構造,製造方法や,油と水の混合体積比率等,その組成の具体的内容が明らかにされなければならないところ,本件明細書には「油と水の混合液」である旨の記載しかなく,その化学構造,製造方法はもちろん,油と水の混合体積比率も不明である。 イ 「急冷処理」原告は,拒絶査定不服審判では,包丁等の細長い物と異なり,たらいのように水の上に浮かせることもできる形状の鍋を冷却液の中に一気に浸けるという発想は簡単には出てくるものではなく,鍋の製造においてどのように急冷すると不良品の発生を減少させるかということを当業者はまったく考えないことなどを理由に進歩性を主張していたものである(甲2の5・2,3頁)。 しかし,「急冷処理」について,本件明細書には「油と水の混合液である油/水エマルジョンで急冷する。」と記載されているだけで,上記のとおり「油/水エマルジョン」の意味内容それ自体が不明確であるばかりか,鍋を冷却液の中に一気に浸ける具体的手段についても,何ら記載されていない。 ウ 「軟鉄」原告は,本件発明の「軟鉄」は,特許出願時の技術常識である「炭素含有量が0.03%以下の純鉄に近いもの」(乙11)とは異なるものであるとして,主としてゴルフクラブに関する特許公報(甲42の2~8)に記載された「軟鉄」と同義である旨主張する。しかし である「炭素含有量が0.03%以下の純鉄に近いもの」(乙11)とは異なるものであるとして,主としてゴルフクラブに関する特許公報(甲42の2~8)に記載された「軟鉄」と同義である旨主張する。しかし,本件明細書にはこのような意味の「軟鉄」について,まったく説明がされていない。 【原告の主張】本件明細書では,引用技術,公知技術の内容も含め,当業者であれば実施できる程度の具体性をもってその内容が明確にされており,明確性要件違反はない。 (5) 争点2-5(実施可能要件違反)について【被告らの主張】上記(4)【被告らの主張】のとおり,本件明細書における「油/水エマルジョン」,「急冷処理」,「軟鉄」の記載は不明確であって,正しい条件を当業者が見出すには過度の負担を要するものであり,当業者が実施することができるだけの記載がない。 したがって,本件明細書の発明の詳細な説明の記載には,特許法36条4項1号に違反する不備がある。 【原告の主張】本件明細書では,引用技術,公知技術の内容も含め,当業者であれば実施できる程度の具体性をもってその内容が明確にされており,実施可能要件違反はない。 3 争点3(先使用による通常実施権の有無)について【被告らの主張】(1) 被告リバーライトは,平成9年頃には,複数の金属熱処理企業の検討を経て東洋金属熱錬のナイトロテック処理に行きつき,東洋金属熱錬から,本件発明に係る内容を知得して同社での試作を開始し,平成12年10月6日には既に東洋金属熱錬で得意先登録を受けていた(乙4)。 (2) また,被告リバーライトは,本件発明の特許出願がなされた平成18年12月21日に先立つ平成16年2月16日頃には,被告製品の最終工 日には既に東洋金属熱錬で得意先登録を受けていた(乙4)。 (2) また,被告リバーライトは,本件発明の特許出願がなされた平成18年12月21日に先立つ平成16年2月16日頃には,被告製品の最終工程である表面仕上げに目途をつけ,平成18年7月10日,百貨店向けキッチン用品の大手問屋に対する最終見本納品を行い(乙8),同年8月22日,被告製品の正式出荷を開始したものであり(乙9),本件特許出願の際には現に日本国内において被告製品の製造販売を実施していた。 (3) したがって,被告リバーライトは,本件発明について先使用による通常実施権を有しており,被告製品の製造販売は,かかる通常実施権行使の範囲内の適法な行為である(特許法79条)。 【原告の主張】被告リバーライトは,原告製品の下請け試作や下請け製造の過程で原告製品の技術的知見を取得することにより,被告製品の開発に至ったものである。 したがって,被告リバーライトは,「特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をした者から知得し」た者(特許法79条)には当たらず,先使用よる通常実施権は成立しない。 4 争点4(被告リバーライトによる被告製品の製造販売に一般不法行為又は下請製造契約違反が成立するか)について【原告の主張】(1) 原告は,平成15年11月頃,被告リバーライトと原告製品の下請製作,組立納入の継続的取引契約を締結し,その後,同被告が下請製作,組立納入した原告製品を販売し続けてきた(甲19,36,37)。 (2) 被告リバーライトは,原告製品の下請け製造により利益を上げる一方で,原告製品の熱処理発注や磨き工程まで委ねられた立場に乗じ,平成18年7月頃から,原告製品のデザイン等を模倣した製品で,熱処理工程も原告製品と同じく東洋金属熱 利益を上げる一方で,原告製品の熱処理発注や磨き工程まで委ねられた立場に乗じ,平成18年7月頃から,原告製品のデザイン等を模倣した製品で,熱処理工程も原告製品と同じく東洋金属熱錬でなされた被告製品の販売を開始し,これについて「夢の鉄フライパン」,「究極の鉄フライパン」などと宣伝して拡販を続け(甲9の1,11の2),原告製品の市場を侵害し,原告に損害を与えた。 また,被告リバーライトは,平成21年には,本件発明と重なる発明についてあえて特許出願をしたり(甲51の1~4),本件特許権を侵害する中国製窒化鉄鍋の廉価販売をしたりするなど(甲66の1~4),意図的に原告製品の市場を侵害した。 (3) 上記のとおり,被告リバーライトは終始背信性の強い行為を繰り返したのであり,一般不法行為又は下請製造契約違反が成立する。 被告リバーライトは,平成9年頃から被告製品の試作を検討していたと主張するが,被告製品が平成18年8月22日に出荷開始されていることとあまりに不自然な間隔があり,信用できない。また,被告リバーライトは,原告製品のデザインは同被告のオリジナルである旨主張するが,事実に反する。 なお,伊勢工業は,平成7年5月頃から,伊勢工業製品を製造販売しており,原告は後日このことに気づいたが,伊勢工業は,原告製品の開発に協力しており,原告は原告製品の販売についても伊勢工業と協力して市場を開拓していくのが適切と考えたこと,伊勢工業製品の販売量は少なく原告製品の販売に影響を与えるものではなかったことなどから,その製造販売に異議を述べなかったものである。 【被告リバーライトの主張】(1) 本件特許には無効理由があり,原告が被告リバーライトに本件特許権を行使することが許されないことについては,上 製造販売に異議を述べなかったものである。 【被告リバーライトの主張】(1) 本件特許には無効理由があり,原告が被告リバーライトに本件特許権を行使することが許されないことについては,上記のとおりである。 また,原告が大阪デザインセンターに出品した各商品のデザインは,全て被告リバーライトが自らデザインして図面を作成し,自らの費用で製作した金型による同被告創業以来のオリジナルデザインである上,原告製品の木柄の取り付け方を説明した文書(甲59)も,同被告が昭和56年9月頃から商品に添付していた被告オリジナルの説明パンフレット(乙1)の内容の一部とほぼ一致している。 原告は,フライパンの製造及びその熱処理に関する技術・情報・設備もなく,フライパンの金型も所有していないにもかかわらず,被告リバーライトによる「模倣品」「特許侵害品」の「製造・拡販の不法が極めて著しい」旨主張するが,原告の主張には何ら客観的根拠がなく,到底認められるものではない。 (2) また,原告は,被告リバーライトが数多く有する製品販売先の一つに過ぎず,原告及び被告リバーライトの間に下請製造取引契約なるものが存在したことはない。 (3) したがって,被告リバーライトに一般不法行為又は下請製造契約違反は成立しない。 5 争点5(原告の損害)について【原告の主張】(1) 被告リバーライトについてア特許権侵害の不法行為に基づく損害被告リバーライトによる平成22年8月以降の被告製品の販売については,特許権侵害が成立する。 被告リバーライトによる被告製品の販売額について,平成22年8月から同年12月までの間は3320万円と認められ(甲20の2),平成23年1月から9月までの間は,平成21,22年の 成立する。 被告リバーライトによる被告製品の販売額について,平成22年8月から同年12月までの間は3320万円と認められ(甲20の2),平成23年1月から9月までの間は,平成21,22年の販売額(甲20の1・2)を基にした月平均販売額の9か月分に当たる1億3590万円と推定される。 原告の損害は,上記販売額の合計1億6910万円の25%である4227万5000円を下らない。 イ一般不法行為に基づく損害被告リバーライトによる平成18年7月以降の被告製品の販売については,一般不法行為が成立する。 被告リバーライトによる被告製品の販売額について,平成18年7月から同年12月までの間は上記月平均販売額の6か月分の4分の1に当たる2265万円,平成19年は上記月平均販売額の12か月分の3分の1に当たる6040万円,平成20年は上記月平均販売額の12か月分の2分の1に当たる9060万円と推定される。また,平成21年は2億0870万円,平成22年は1億5500万円と認められ(甲20の1・2),平成23年1月から9月までの間は上記アのとおり1億3590万円と推定される。 原告の損害は,上記販売額の合計6億7320万円の25%である1億6830万円を下らない(そのうち,1億2490万円を一部請求する。)(2) 被告タカツについて被告タカツは,平成22年8月以降に被告リバーライトが販売した被告製品の3分の2を下らない数を,被告リバーライトと共に販売した。 原告の損害額は,平成22年8月から平成23年9月までの被告リバーライトの販売額の合計1億6910万円の3分の2である1億1270万円の25%である2810万円を下らない。 (3) 連帯支払なお,被告リバーライトに対 成23年9月までの被告リバーライトの販売額の合計1億6910万円の3分の2である1億1270万円の25%である2810万円を下らない。 (3) 連帯支払なお,被告リバーライトに対する損害額と被告タカツに対する損害額は,重なり合う限度で連帯支払となる。 【被告リバーライトの主張】否認し争う。 【被告タカツの主張】不知ないし否認する。 第4 当裁判所の判断 1 争点2-1(新規性欠如)について当裁判所は,本件特許は,特許法29条1項2号の無効理由を有するため,特許無効審判により無効にされるべきものであると思料する。以下,その理由を述べる。 (1) 事実関係掲記の各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア本件発明について本件発明は,鍋本体について,軟鉄で形成した上で,自動車のシャフト等の鉄鋼製部品に用いられる熱処理技術であるナイトロテック処理を適用した発明である(甲57,58,乙22,23,56~58)。 ナイトロテック処理とは,イギリスの大手の自動車,航空宇宙用機器メーカーであるルーカス社が開発した鉄鋼製部品等の熱処理方法であり,同部品に対し,①窒素ガス雰囲気炉で550℃ないし700℃の温度で熱処理をする軟窒化処理を行って,同部品の表面に窒化物層を形成し,②次に,同部品に酸化処理を行って,その最表面に四三酸化鉄(Fe304)の被膜を形成し,③最後に,油と水の混合液(エマルジョン液)で急冷することを基本内容とするものであり,これによって表面硬化と耐食性を持つという複合効果が得られる。 ナイトロテック処理の名称は,「NITRiding」(窒化),「Oxidising」(酸化),「proTECti 内容とするものであり,これによって表面硬化と耐食性を持つという複合効果が得られる。 ナイトロテック処理の名称は,「NITRiding」(窒化),「Oxidising」(酸化),「proTECtion」(防食保護)の3語による造語であること(乙23),ルーカス社の特許は,昭和58年に既に国内で出願公開されていること(乙43),平成4年の時点で技術文献(乙23,甲57)が作成されていることからすれば,ナイトロテック処理が,前述した処理内容,すなわち①ガス軟窒化処理,②酸化処理,③油と水のエマルジョン液による急冷を内容とするものであることは,後記ウないしオの伊勢工業製品の販売,頒布,原告製品の販売の時点において,既に公知であったと認められる。 イ東洋金属熱錬における試作等東洋金属熱錬は,昭和62年11月30日,日本ナイトロテック株式会社との間で,ナイトロテック技術供与契約を締結してナイトロテック技術を導入し,ナイトロテック処理の委託を受けるようになった(乙59)。 平成6年9月頃,当時関西のフライパンのトップメーカーであった伊勢工業は,東洋金属熱錬に対し,フライパンにナイトロテック処理を行うことを依頼し,同月以降,東洋金属熱錬は,フライパン等にナイトロテック処理を行った試作品を伊勢工業に納品するようになった(乙24~26)。 伊勢工業は,同年12月,その製造販売するフライパン,北京鍋,玉子焼き器合計1800個について,平成7年2月までに東洋金属熱錬にナイトロテック処理を委託する旨を決めた(乙24~26,72~75)。 ウ伊勢工業における販売伊勢工業は,遅くとも平成7年5月21日以降,自社で製造するフライパン等に,東洋金属熱錬においてナイトロテック処理を行った製品について,「スチール・ 。 ウ伊勢工業における販売伊勢工業は,遅くとも平成7年5月21日以降,自社で製造するフライパン等に,東洋金属熱錬においてナイトロテック処理を行った製品について,「スチール・テック」(SteelTec)との商品名を付して,一般向けに販売するようになった(「伊勢工業製品」)。その際,伊勢工業は,同商品の広告に「鉄を超えた“鉄”」の文言を付し,鉄の表面を高温特殊熱処理により強化したこと,従来の鉄より5倍以上も硬い酸化層ができたこと等の説明を付した(乙3の1,3の2の1~5)。 伊勢工業製品は,軟鉄で形成された,本件発明と技術的に同一の製品である(弁論の全趣旨)。 エ東洋金属熱錬における頒布(ア) 東洋金属熱錬は,平成6年10月25日から平成10年2月末日までの間,ナイトロテック処理を適用した伊勢工業製品合計1102個を,モニター用として多数の取引先担当者等に進呈した(乙54,79)。 東洋金属熱錬は,モニター用の伊勢工業製品の頒布に当たり,フライパンの持ち手に「ナイトロテック処理」と表記した本件シール①(乙80)を貼付するほか,「ナイトロテック処理(耐摩耗,耐腐食,耐熱,遠赤外線放射)鉄製フライパンの特長」と題する本件説明書面(乙55の7,81)を添付するなどして,ナイトロテック処理を適用した製品であることを明示していた(後記イウのとおり,東洋金属熱錬は,伊勢工業製品がナイトロテック処理を適用した製品であることを秘密にはしておらず,ナイトロテック処理をアピールする目的でモニターとして進呈していたのであるから,上記のとおり認められる。)。(イ) 東洋金属熱錬は,伊勢工業製品の特別斡旋販売も行い(乙55の1),平成7年4月29日から平成10年12月19日までの でモニターとして進呈していたのであるから,上記のとおり認められる。)。(イ) 東洋金属熱錬は,伊勢工業製品の特別斡旋販売も行い(乙55の1),平成7年4月29日から平成10年12月19日までの間,多数の取引先や東洋金属熱錬の労働組合等に伊勢工業製品合計1083個を販売した(乙83)。東洋金属熱錬を発売元として作成された伊勢工業製品の購入申込書には,「スチールテックフライパン(ナイトロテック処理)の特別斡旋販売のご案内」などと,ナイトロテック処理によることが明記されたものもあった(乙55の4)。 (ウ) 東洋金属熱錬の労働組合は,平成7年10月10日頃,同組合員ら約350名に対し,同組合結成20周年の記念品として,持ち手に「ナイトロテック処理」と表記した本件シール②を貼付し,伊勢工業製品(「本件記念品」)を配布した。同組合が発行する当時の機関誌には,「東熱の貴重な『自社製品』を記念品としてお届けすることが出来ます。」,「この度,お届けする東熱の商品は,伊勢工業さんを通じてですが,初めて,家庭で手に取り目で確かめられる家族に説明のできる『自社製品』であると言えます。」などと記載されていた(乙35,36)。 オ原告製品の販売原告は,遅くとも平成8年6月までに,伊勢工業が製造し,東洋金属熱錬がナイトロテック処理を行ったフライパン,ディープパン,北京鍋,広東鍋等に,スチールテック(SteelTech)の商品名を付し,持ち手に「堺刀司」の焼き印を入れた原告製品を販売するようになった(甲24)。 原告は,原告製品のカタログに,「鉄を超えた鉄」との宣伝文句を付し,鉄の表面を高温特殊熱処理により強化したこと,従来の鉄よりも5倍以上も硬い酸化層ができたこと等の説明を付した(甲3の1・2,24 原告は,原告製品のカタログに,「鉄を超えた鉄」との宣伝文句を付し,鉄の表面を高温特殊熱処理により強化したこと,従来の鉄よりも5倍以上も硬い酸化層ができたこと等の説明を付した(甲3の1・2,24)。 (2) 評価ア前記認定した平成7年5月以降,伊勢工業が販売したフライパン等(伊勢工業製品),平成6年10月以降,東洋金属熱錬が頒布したフライパン等(前同)及び平成7年10月頃に同社の労働組合が配布したフライパン(前同)は,いずれも本件発明と技術的に全く同一であり,原告は,その内容について,平成18年12月に至って特許出願したことになる。 イ被告らは,上記フライパン等の販売,頒布等が特許法29条1項2号の公然実施に当たると主張するのに対し,原告は,上記フライパンの販売,頒布等によって,本件発明の内容が公然に知られ得る状態にはなく,公然実施には当たらないと主張する。 そこで検討するに,ナイトロテック処理の内容が前記(1)アで述べたとおりのものであることを前提とすると,本件発明は,もともと鉄鋼製部品等に適用することを予定していたナイトロテック処理を,軟鉄製の鍋に適用したものということができる。ここにいう「軟鉄」の意義については,本件明細書には明確な記載はないものの,原告及び被告リバーライトが提出する各文献等(甲28の1・2,30の1,42の1~8,乙15)からは炭素含有量が少ない鉄を意味するといえるところ,上記フライパン等の炭素含有量は,定量分析をすることによって判明するため(甲39,44参照),これらの販売,頒布等によって,公然に知られ得る状態にあった ということができる。 一方,ナイトロテック処理が行われたことについては,ナイトロテック処理の内容自体は,前述のとお 販売,頒布等によって,公然に知られ得る状態にあった ということができる。 一方,ナイトロテック処理が行われたことについては,ナイトロテック処理の内容自体は,前述のとおり公知であったものの,伊勢工業によって販売された伊勢工業製品については,前述のとおり「鉄を超えた」,「高温特殊熱処理」の文言が付されているに止まり,これから直ちにフライパン等にナイトロテック処理が行われていると了解し得るものではない。 しかしながら,本件では,上記(1)のとおり,本件特許出願前である平成6年10月25日以降,東洋金属熱錬が伊勢工業製品を取引先の担当者等に頒布するに当たって,ナイトロテック処理によるものであることを明示していたことが認められ,また,平成7年10月10日頃,東洋金属熱錬の労働組合が伊勢工業製品を組合員等に配布するに当たって,ナイトロテック処理によるものであることをフライパンに明示していたことが認められることからすれば,伊勢工業製品が,通常のフライパンにナイトロテック処理を行ったものであることは,不特定かつ多数の者が知り得る状態にあったものといえる。 ウ原告は,一般人が「ナイトロテック処理」との表示を見たとしても,同処理の内容を具体的に認識することはできないと主張するが,公然実施について,当該発明の内容を現実に認識したことまでは必要ではなく,知り得る状況で実施されていれば足りると解すべきであり,また,その判断の基準は一般人ではなく当業者と解すべきである。そして,これを前提とした場合にその要件を満たすことは上記のとおりであるから,原告の主張には理由がない。 エ以上のとおり,本件発明は,東洋金属熱錬及び同社の労働組合が,上記態様において伊勢工業製品を頒布したことにより,本件特許出願前に公然実施されていた あるから,原告の主張には理由がない。 エ以上のとおり,本件発明は,東洋金属熱錬及び同社の労働組合が,上記態様において伊勢工業製品を頒布したことにより,本件特許出願前に公然実施されていたといえることから,新規性がなく(特許法29条1項2号),本件特許は特許無効審判により無効とされるべきものである。 (3) 小括したがって,被告らに対する特許権侵害に基づく請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がない。 2 争点4(被告リバーライトによる被告製品の製造販売に一般不法行為又は下請製造契約違反が成立するか)について(1) 事実関係掲記の各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア原告及び被告リバーライトについて原告は,もともと堺市において堺刀司の屋号で刃物類の製造販売を行っていたが,昭和42年に法人成りした頃から鍋製品の取扱いも行うようになった(甲1)。もっとも,実際の鍋製品の製造は他の業者に下請させるなどしており,原告自身が鍋製品の製造を行っていたことを認めるに足りる証拠はない。 被告リバーライトは,昭和51年に設立され,当初から木製の柄を特徴とするフライパンの製造販売し,焼印名入れサービスも行うなどしていた(乙1)。また,同被告は,平成12年10月に東洋金属熱錬内で得意先として登録されている(乙4)。 イ原告と被告リバーライトの関係原告代表者は,平成13,14年頃,知人の紹介で被告リバーライト代表者と知り合いになり,平成15年8月頃,伊勢工業の代わりに原告製品の製造先を探す必要が生じた際に,被告リバーライト代表者にこれを依頼した(甲77)。 被告リバーライトはこれに応じ,平成15年8月頃から原告に試作 なり,平成15年8月頃,伊勢工業の代わりに原告製品の製造先を探す必要が生じた際に,被告リバーライト代表者にこれを依頼した(甲77)。 被告リバーライトはこれに応じ,平成15年8月頃から原告に試作品を提供するようになり(甲19),平成16年11月末頃,原告及び被告リバーライトは,①被告リバーライトが原告製品を製造し,継続的に原告に納品すること,②発注数量,代金額,納期はその都度打ち合わせること,③代金の支払方法は毎月20日締めの翌月10日払いとすること,④製造工程については,被告リバーライトが鉄板部材から鍋本体の部位を打ち抜いたものに,東洋金属熱錬がナイトロテック処理を施し,被告リバーライトが鍋本体を磨き上げて木製の柄や金具を取り付けるなどした上で原告に納品し,原告が木製の柄に「堺刀司」の焼き印を押して完成品とすることとされた(甲13,32の1~9,77)。東洋金属熱錬に対する支払は,原告から直接されていたが(甲34,35),原告製品に色むら等が生じた場合,東洋金属熱錬は,原告ではなく被告リバーライトに原因の説明などをしていた(甲22)。 なお,原告は,被告リバーライトには,原告製品の仕様,形状,品質,価格につき,伊勢工業が製造した製品と変わらないものを製造するよう指示しており,被告リバーライトは原告製品の製造の下請けをしていたに過ぎないと主張する。この点,原告が伊勢工業の代わりに被告リバーライトに依頼した経緯からすれば,原告が東洋金属熱錬でナイトロテック処理を行うことを指示したことは優に認められるが,それ以上に原告が原告製品のデザイン等を具体的に指示したことについてはこれを認めるに足りる証拠はない。むしろ,被告リバーライトが,平成15年9月頃,原告製品の試作品を製造していた段階で,東洋金属熱錬でナイトロテッ 原告製品のデザイン等を具体的に指示したことについてはこれを認めるに足りる証拠はない。むしろ,被告リバーライトが,平成15年9月頃,原告製品の試作品を製造していた段階で,東洋金属熱錬でナイトロテック処理がされていた製品は「オムレツパン」,「チャイナパンウッドハンドル」,「チャイナパンスチールハンドル」,「エッグパン」,「ザ・オムレツ」,「ステーキパン」,「マイティパン」であり(甲34の1,35の1の1),これらはいずれも被告リバーライトが当時既に販売していた製品であることからすれば(乙6),原告製品の試作は被告リバーライト製品を元に進められていたというべきである。また,その後,原告製品として「フライパン」,「ディープパン」,「北京鍋」,「広東鍋」,「天ぷら鍋」,「すき焼き鍋」,「楕円型フライパン」,「玉子焼き」,「ステーキパン」が販売されているが(甲3の1),これらの製品の直径,深さ,板厚は,被告リバーライトが当時既に販売していた製品である「オムレツパン」,「マイティパン」,「チャイナパンウッドハンドル」,「チャイナパンスチールハンドル」,「天ぷらセット」,「すきやきセット」,「ステーキパン」,「エッグパン」におけるもの(乙6)とそれぞれ共通しており(なお,原告製品の「ステーキパン」に対応する被告リバーライトの製品のみ見当たらない。),被告リバーライトが長年自身でフライパンの製造販売を行っていたことも考慮すると,被告リバーライトが製造する原告製品のデザインは,被告リバーライトが当時既に販売していた製品を元に作られたと認めるのが相当である。 ウ被告製品の販売について被告リバーライトは,被告製品について,平成16年2月に,フライパン美装梨地テスト加工などを行った上で(乙5),平成18年8月,上記のとおり,本 るのが相当である。 ウ被告製品の販売について被告リバーライトは,被告製品について,平成16年2月に,フライパン美装梨地テスト加工などを行った上で(乙5),平成18年8月,上記のとおり,本件発明の技術的範囲に属する被告製品を,百貨店向けのキッチン用品等を取り扱う大手問屋の株式会社ワイ・ヨットに販売した(乙8,9)。なお,被告製品についても,東洋金属熱錬でナイトロテック処理がされている。 (2) 評価原告は,被告リバーライトは,原告製品の下請け製造を行う立場であったにもかかわらず,その立場を利用して,原告製品のデザインを模倣し,ナイトロテック処理を適用した製品を販売したことが,一般不法行為又は下請製造契約違反を構成すると主張する。 しかしながら,原告製品の形状(直径,深さ,板厚)自体は,上記のとおり,被告リバーライトがそれ以前から製造販売していた製品を元に作られたといえるのであって,被告リバーライトがこれと同じ形状の製品を製造販売してはならないとされるいわれはない。また,ナイトロテック処理については,被告リバーライトは,原告との取引をきっかけに同処理を適用した製品を製造販売するようになった可能性はあるが,既に述べたとおり本件発明は当時既に公然実施されていたこと,被告リバーライトは,原告との取引以前から東洋金属熱錬との取引関係があったと認められること,原告と被告リバーライト間では,明確に同種製品の製造販売を禁止する旨の合意がされていたとも認められないこと,原告は,従前の製造元である伊勢工業が伊勢工業製品を製造販売することについては,これを認識しつつ異議を述べたりしていないことなどの事情を考慮すると,被告リバーライトによる被告製品の製造販売が,一般不法行為又は下請製造契約違反を構成する 勢工業製品を製造販売することについては,これを認識しつつ異議を述べたりしていないことなどの事情を考慮すると,被告リバーライトによる被告製品の製造販売が,一般不法行為又は下請製造契約違反を構成するとは認められない。 さらに,そのほかの点について,原告製品の製造について原告が指示した内容を,被告リバーサイトが被告製品に利用したことの具体的な主張立証がされているわけでもなく,被告製品の販売態様が,ことさら悪質であることなどの事情が主張立証されているわけでもない。 なお,原告は,被告リバーライトが製造し,東急ハンズで販売されている中国製の「から焼き不要鉄フライパン」(甲66の1~4)も,原告製品の模倣品であると主張するが,同フライパンにおいてナイトロテック処理がされていると認めるに足りる証拠はないし,仮に同処理が適用されているとしても,これが一般不法行為又は下請製造契約違反を構成すると認められないことは上記のとおりである。また,被告リバーライトは,平成21年7月6日,発明の名称を「から焼きが不要で,錆びにくくて,熱変形に強い鉄鍋の製造方法」とする特許出願を行い,平成23年1月20日に出願公開され,同年8月4日に審査請求がされたが,同年11月24日に同出願は取り下げられたことが認められるものの(甲51の1~4),この点が,原告に対する一般不法行為を構成するともいえない。 (3) 小括したがって,被告リバーライトに対する一般不法行為又は下請製造契約違反に基づく請求についても理由がない。 第5 結語以上のとおり,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく全て理由がないから,これをいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 以上のとおり,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく全て理由がないから,これをいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官谷有恒 裁判官松川充康 裁判官網田圭亮 別紙物件目録 被告リバーライト製造販売に係る「極シリーズ」鉄フライパン製品一切(極フライパン,極炒め鍋,極たまご焼き,極クレープパン,極ソテーパン,極ザ・オムレツ,極すき焼き鍋(餃子兼用),極天ぷら鍋,極ステーキパン,極北京鍋,極中華鍋,極アジア鍋など)以上
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