主文 被告人を懲役1年6月に処する。 未決勾留日数中150日をその刑に算入する。 この裁判確定の日から4年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、令和元年6月15日から令和4年6月18日までの間、A市PTA協議会の会長として同協議会を代表するとともに、同協議会の資産を管理するなどの職務に従事していたもの、分離前相被告人Bは、同協議会の元会長であり、被告人の前任であるが、被告人は、B及びCと共謀の上、さいたま市(住所省略)所在の 株式会社D銀行E支店に開設された同協議会互助会名義の普通預金口座の預金を被告人が同協議会のため業務上預かり保管中、令和4年4月11日、同銀行同支店において、被告人及びBの用途に充てる目的で、同普通預金口座から現金100万円を出金して着服するとともに、同普通預金口座から株式会社F銀行G支店に開設されたCが管理する株式会社H名義の普通預金口座に現金385万円を振込送金 し、もって横領したものである。 (量刑の理由)本件は、当時、A市PTA協議会(A市PTA)の会長であった被告人が、同協議会の会長を務めたこともあるB(共犯者B)等と共謀し、自己らの用途に費消するため、同協議会名義の預金口座から現金100万円を出金して着服するとともに、 現金385万円を判示保険代理店H名義の口座に振込送金して横領したという業務上横領の事案である。 本件に先立つ経緯をみると、A市PTAでは、「児童・生徒ワイド補償制度」を損害保険会社に委託して行っていたところ、共犯者Bは、令和2年10月ころには、防災事業委託費の名目でA市PTAから同保険代理店に振込送金し、送金した金員 をこの保険代理店から自身に交付させていたとの事情が に委託して行っていたところ、共犯者Bは、令和2年10月ころには、防災事業委託費の名目でA市PTAから同保険代理店に振込送金し、送金した金員 をこの保険代理店から自身に交付させていたとの事情がある。また、被告人は、令 和3年頃に、自身が営む農業での資金繰りが苦しくなったために共犯者Bに相談したところ、共犯者BからA市PTAの防災事業委託費として保険代理店に振込送金した金員を得ることを持ち掛けられ、この方法によることとして金員を得て、自己の用途に充てるなどしたことがあった。その後、共犯者Bから同様に持ち掛けられ、被告人自身も金員が必要であったこともあってこれに加わることとして、本件犯行 に及んだものである。一時的に借りてもすぐ返せば問題ない、防災事業を行う前までに返金すればよいなどと考えたと被告人は述べるのであるが、金員の性質等に照らし、このような考えはあってはならないものであり、かつ、被告人は当時、現職のA市PTAの会長であり、A市PTA名義の預金口座の管理者であったのであるから、動機や経緯は、立場を忘れた非常に身勝手なものである。しかも、被告人は、 実際に振込送金や現金の出金手続を共犯者Bと一緒に行い、実行行為を担っているのであるから、関わり方も深い。公訴事実に係る本件被害は合計485万円とかなりの高額である。これも含めて、A市PTAでは1000万円を超える使途不明金が生じていたところ、被告人及び共犯者Bは借り入れを行い、これを全額返金したとの事情があり、この点は酌むべき事情といえる。しかし、このような状態を作り 出したこと自体、A市PTAの事務に大きな影響を与えており、また、A市PTA関係者、あるいは、公的団体であるA市PTAに対する関係者や社会の信頼を損ねるものであった。 ところで、このような方法を 出したこと自体、A市PTAの事務に大きな影響を与えており、また、A市PTA関係者、あるいは、公的団体であるA市PTAに対する関係者や社会の信頼を損ねるものであった。 ところで、このような方法を思い立ち、また、金員を必要としていた被告人に対し、この方法を示して持ち掛けたのは共犯者Bであった。また、実際に被告人が手 にした金額は120万円程度であった。このような点に照らすと、被告人に関する犯情は、共犯者Bとの関係で相対的に軽い評価となる。しかし、現職の会長であった被告人がこのような犯行に関与し、しかも実行行為に関わるなどした点は厳しく非難される。被告人の刑事責任は重いものである。 一般情状について検討する。被告人にはこれまでに前科はなく、公訴事実を認め て反省の態度を示している。前記のとおり、本件横領被害については、使途不明と された金額の全てについて返金をしたとの事情がある上、その借り入れについて、被告人は、本件で身柄を拘束されるまでに毎月10万円ほどを支払ってきたが、今後社会復帰した後にも同様の支払いを続けていくとの意向を示した。このような被告人のために酌むべき事情も認められる。 そこで、これらの諸事情を考慮し、被告人を主文に掲げたとおりの刑に処した上、 今回はその刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。なお、犯情に鑑み、その猶予期間を判示のとおり定めることとした。 よって、主文のとおり判決する。 (求刑懲役1年6月)令和7年3月26日 さいたま地方裁判所第3刑事部 裁判官金子大作 官金子大作
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