昭和22(れ)271 強盗、住居侵入

裁判年月日・裁判所
昭和23年6月30日 最高裁判所大法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件各上告を棄却する。          理    由  被告人A弁護人高安安寿上告趣意第一点について。  原判決は原審公判廷における被告人の自白の外に第一審相被告人B及び同C

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判決文本文3,262 文字)

主    文      本件各上告を棄却する。          理    由  被告人A弁護人高安安寿上告趣意第一点について。  原判決は原審公判廷における被告人の自白の外に第一審相被告人B及び同Cの第 一審第二回公判調書の供述記載、Dの第一審第五回公判調書の供述記載並にEの強 盗被害届を証拠として挙示していることは明白で、十分な補強証拠であるから、被 告人の自白を唯一の証拠として断罪したものではない。論旨は、それ故に理由なき ものである。  同第二点について。  憲法第三八条第二項において「不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白はこ れを証拠とすることができない」と規定している趣旨は、単に自白の時期が不当に 長い抑留又は拘禁の後に行われた一切の場合を包含するというように形式的、機械 的に解すべきものではなくして、自白と不当に長い抑留又は拘禁との間の因果関係 を考慮に加えて妥当な解釈を下すべきものと考える。さればといつて、(一)不当 に長い抑留又は拘禁による自白であることが明かな場合すなわち自白の原因が不当 に長い抑留又は拘禁によること明かである場合を包含することは当然であるが、か かる場合のみに限ると解することは、被告人に対する保護としては余りに狭きに失 する嫌がある。次に、(二)不当に長い抑留又は拘禁によるか否かが明かでない自 白の場合すなわち自白の原因が不当に長い抑留又は拘禁であるか否かが不明である 場合をも包含するものと解すべきである。なぜならば、かかる自白に証拠力がない とするために、被告人は常に因果関係の存在を立証することを要するものとすれば、 それは被告人に難きを強ゆるものでむしろ酷に過ぎることとなり被告人の人権を保 護するゆえんではないからである。それ故、かかる因果関係の不明な自白は、因果 - 1 - 関係の存することが明白な自白と共に、おしなべて証拠力 きを強ゆるものでむしろ酷に過ぎることとなり被告人の人権を保 護するゆえんではないからである。それ故、かかる因果関係の不明な自白は、因果 - 1 - 関係の存することが明白な自白と共に、おしなべて証拠力を有しないと解すべきで ある。しかしながら、(三)既に第一審公判廷においてした自白をそのまま第二審 公判廷においても繰返している場合が往々存するのであるが、第一審公判廷におけ る自白当時には未だ不当に長い抑留又は拘禁が存しなかつたときはその自白は前記 条項に包含されないことは勿論、引続きその自白を繰返している第二審公判廷にお ける自白当時には仮に不当に長い抑留又は拘禁が実存していたとしてもこの自白は、 特別の事情がない限りその原因が不当に長い抑留又は拘禁によらないことが明かと 認められるから、前記条項に包含されないものと解すべきである。言いかえれば、 自白と不当に長い抑留又は拘禁との間に因果関係の存しないことが明かに認め得ら れる前記場合においては、かかる自白を証拠とすることができると解釈するを相当 と考える。  さて、本件において原判決が証拠として採つた被告人の自白は、昭和二二年六月 一九日原審第二回公判廷においてなされたものであるが、被告人は昭和二一年一一 月二〇日勾留に附せられ既に昭和二二年一月二八日第一審第二回公判廷において同 様の自白をしている。本件は最初四名の共同被告があり相当複雑な事件で又相被告 人の不出頭病気、延期申請等の事由で審理が延びたのであつて、必ずしも不当に長 い拘禁の後に原審自白がなされたとはいえないのであるが、仮にそう言い得るとし ても、前記のごとく第一審公判廷における自白がなされた当時においては不当に長 い拘禁は実存しなかつたのであるら、結局前記解釈の示すとおり本件原審の自白は 前記条項に該当しないものである。されば論旨は理由がない。  同第三点に 審公判廷における自白がなされた当時においては不当に長 い拘禁は実存しなかつたのであるら、結局前記解釈の示すとおり本件原審の自白は 前記条項に該当しないものである。されば論旨は理由がない。  同第三点について。  刑訴応急措置法第一二条は、証人その他の者の供述を録取した書類又はこれに代 わるべき書類は、被告人の請求があるときは、その供述者又は作成者を公判期日に おいて訊問する機会を被告人に与えなければ、これを証拠とすることができない旨 - 2 - を定めているが、その趣旨は被告人の請求があることを前提とするに過ぎないもの であつて、必ずしも常に裁判所が積極的に被告人に対してかかる書類の供述者又は 作成者を証人として訊問することを得る旨を告げることを義務として要請するもの と解すべき理由は存しないのである。従つて論旨は採用するに足りない。  被告人C弁護人高安安寿上告趣意第一点について。  原判決は、原審公判準備手続における被告人の自白の外に被告人Aの原審におけ る供述記載第一審相被告人B及び被告人Dの第一審における供述記載並にEの強盗 被害届を証拠として挙示していることは明白であるから、被告人の自白を唯一の証 拠として断罪したものではない。論旨は、それ故に理由なきものである。  同第二点について。  本件において原審が証拠として採つた被告人の自白は、昭和二二年九月一二日原 審公判準備手続においてなされたものであるが、被告人は昭和二一年一一月二〇日 勾留に附せられ、既に昭和二二年一月二八日第一審第二回公判廷において同様の自 白をしている。本件は最初四名の共同被告があり相当複雑な事件で又相被告人の不 出頭、延期申請、被告人の病気等の理由で審理が延びたのであつて、事案の性質そ の他諸般の事情から言えば必ずしも不当に長い拘禁の後に原審自白がなされたとは いえないのであるが、仮にそう言 で又相被告人の不 出頭、延期申請、被告人の病気等の理由で審理が延びたのであつて、事案の性質そ の他諸般の事情から言えば必ずしも不当に長い拘禁の後に原審自白がなされたとは いえないのであるが、仮にそう言い得るとしても、前記のごとく第一審公判廷にお ける自白がなされた当時においては不当に長い拘禁は実存しなかつたのであるから、 上掲憲法第三八条第二項の解釈の示すとおり本件原審の自白は、結局同条項に該当 しないものである。されば論旨は理由がない。  よつて、裁判所法第一〇条第一号、刑訴第四四六条に従い主文のとおり判決する。  この判決は裁判官全員の一致した意見であつて、真野裁判官の起草したものであ る。  検察官 宮本増蔵関与 - 3 -   昭和二三年六月二三日      最高裁判所大法廷          裁判長裁判官    塚   崎   直   義             裁判官    長 谷 川   太 一 郎             裁判官    沢   田   竹 治 郎             裁判官    霜   山   精   一             裁判官    井   上       登             裁判官    栗   山       茂             裁判官    真   野       毅             裁判官    島           保             裁判官    斎   藤   悠   輔             裁判官    藤   田   八   郎             裁判官    岩   松   三   郎  裁判官庄野理一は差支のため署名捺印することができない。          裁判長裁判官    塚   崎   直   義 - 4 - 松   三   郎  裁判官庄野理一は差支のため署名捺印することができない。          裁判長裁判官    塚   崎   直   義 - 4 -

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