- 1 -平成26年6月6日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成23年(ワ)第29178号損害賠償等請求事件口頭弁論終結日平成26年3月12日判決東京都港区<以下略>原告株式会社コナミデジタルエンタテインメント同訴訟代理人弁護士高 橋 雄一郎同北島志保同訴訟復代理人弁理士望月尚子東京都港区<以下略>被告株式会社gloops同訴訟代理人弁護士 田和彦同高石秀樹同訴訟代理人弁理士中村佳正 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告は,原告に対し,5595万1875円及びこれに対する平成23年9月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 仮執行宣言第2 事案の概要 1 本件は,名称を「ネットワークゲーム用サーバ装置,ネットワークゲーム進行制御方法及びネットワークゲーム進行制御プログラム」とする特許権を有する原告が,被告の提供・配信するゲームのアプリケーションがインストールさ- 2 -れたサーバ装置が上記特許権に係る特許発明の技術的範囲に属すると主張して,被告に対し,特許権侵害による不法行為に基づく損害賠償請求として5595万1875円及びこれに対する平成23年9月21日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 2 前提事実(証拠を掲げていない事実は当事者間に争いがない これに対する平成23年9月21日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 2 前提事実(証拠を掲げていない事実は当事者間に争いがない。)(1) 当事者ア原告は,電子応用機器関連のソフトウェアとハードウェアの製造及び販売並びに通信回線を利用したソフトウェアの提供及び販売等を業とする株式会社である。 イ被告は,インターネットを活用した情報提供サービス業,インターネットを利用したコンテンツの制作,インターネットを媒介としたコンテンツ配信,コンピュータシステムの企画,開発,販売及び保守に関する業務等を業とする株式会社である。 (2) 原告の有する特許権ア原告は,次の特許権を有している(以下「本件特許権」といい,本件特許権に係る特許を「本件特許」という。)。 発明の名称ネットワークゲーム用サーバ装置,ネットワークゲーム進行制御方法及びネットワークゲーム進行制御プログラム特許番号第3454357号出願日平成13年7月5日登録日平成15年7月25日イ本件特許の特許請求の範囲,明細書及び図面の内容は,別紙特許公報(甲2)記載のとおりである(ただし,後記(4)記載の訂正がされる前のもの。以下,上記明細書及び図面を「本件明細書等」という。)。 ウ本件特許の特許請求の範囲- 3 -本件特許の特許請求の範囲における請求項の数は6であるが,そのうち請求項1の記載は,別紙特許公報の特許請求の範囲【請求項1】記載のとおりである(以下「本件発明」という。)。 (3) 本件発明の構成要件本件発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,それぞれの記号に従い,「構成要件A」などという。)。 A ネットワークを介してユー 「本件発明」という。)。 (3) 本件発明の構成要件本件発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,それぞれの記号に従い,「構成要件A」などという。)。 A ネットワークを介してユーザが使用する端末装置との間でデータの送受信を行い所定の価値を有する対価データをユーザに獲得させるゲームを進行させるネットワークゲーム用サーバ装置であって,B 複数のゲームの中から1つのゲームをユーザに実行させるためのゲーム実行手段と,C-1 前記ゲーム実行手段によってユーザが行ったゲームの結果に応じて当該ユーザに所定のポイントを付与するポイント付与手段と,D-1 前記ポイント付与手段によってユーザに付与されたポイントに応じて所定の価値を有する対価データを当該ユーザに付与する対価データ付与手段と,E 前記端末装置を使用するユーザに関連付けて当該ユーザが獲得したポイント及び対価データを管理するユーザ情報管理手段と,F 前記端末装置から対価データの付与を要求する対価データ付与要求を受信する対価データ付与要求受信手段と,G 前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データと当該対価データに対応して定められたポイントとの交換を要求するポイント交換要求を前記端末装置から受信するポイント交換要求受信手段とを備え,D-2 前記対価データ付与手段は,前記ユーザ情報管理手段によって管理されているポイントが所定条件を満たす場合に,前記対価データ付与要求に応じて前記対価データをユーザに付与するとともに,付与された対価デ- 4 -ータに対応して定められたポイントを減少させ,C-2 前記ポイント付与手段は,ポイント交換要求に応じて前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データを消去するとともに,当該対価データに相当するポイントを められたポイントを減少させ,C-2 前記ポイント付与手段は,ポイント交換要求に応じて前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データを消去するとともに,当該対価データに相当するポイントをユーザに付与することを特徴とするネットワークゲーム用サーバ装置。 (4) 本件訂正請求ア原告は,被告が提起した特許無効審判請求事件(無効2013-800190号)において,平成25年12月19日付けで,本件特許の請求項1について訂正請求をした(以下「本件訂正」といい,本件訂正後の請求項1の発明を「本件訂正発明」という。)。本件訂正発明の内容は次のとおりである(下線部が訂正箇所)。〔乙42,43〕「ネットワークを介してユーザが使用する端末装置との間でデータの送受信を行い,所定の価値を有する対価データをユーザに獲得させるゲームであってかつ前記価値が異なる複数の対価データが存在するゲームを進行させるネットワークゲーム用サーバ装置であって,前記対価データを獲得するために必要とされるポイントの獲得が可能な複数のゲームの中から1つのゲームをユーザに実行させるためのゲーム実行手段と,前記ゲーム実行手段によってユーザが行ったゲームの結果に応じて当該ユーザに所定のポイントを付与するポイント付与手段と,前記ポイント付与手段によってユーザに付与された現在のポイントを表すポイント表示部と,対価データ付与を行うかどうかを選択するメニュー選択部とを含む意思確認画面を前記端末装置に表示するためのデータを前記端末装置に送信してこれを表示させた後に,前記ポイント付与手段によってユーザに付与されたポイントに応じて所定の価値を有する対価データを当該ユーザに付与する対価データ付与手段であって,該対価データの獲得に必要なポイントが前記対価データの価値に応じて異なる対価デ よってユーザに付与されたポイントに応じて所定の価値を有する対価データを当該ユーザに付与する対価データ付与手段であって,該対価データの獲得に必要なポイントが前記対価データの価値に応じて異なる対価データ付与手段と,前記端末装置を使用す- 5 -るユーザに関連付けて当該ユーザが獲得したポイント及び対価データを管理するユーザ情報管理手段と,前記端末装置から対価データの付与を要求する対価データ付与要求を受信する対価データ付与要求受信手段と,前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データの1つを指定するデータを受信し,指定された対価データに対応したポイントを表示するポイント表示部とポイント交換を行うかどうかを選択するメニュー選択部とを含むポイント表示画面を前記端末装置に表示するためのデータを前記端末装置に送信してこれを表示させた後に,前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データと当該対価データに対応して定められたポイントとの交換を要求するポイント交換要求を前記端末装置から受信するポイント交換要求受信手段とを備え,前記対価データ付与手段は,前記ユーザ情報管理手段によって管理されているポイントが前記獲得に必要なポイント以上であることを条件として,前記対価データ付与要求に応じて前記対価データをユーザに付与するとともに,付与された対価データの価値に応じて定められたポイントを減少させ,前記ポイント付与手段は,ポイント交換要求に応じて前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データを消去するとともに,当該対価データに相当するポイントをユーザに付与することを特徴とするネットワークゲーム用サーバ装置。」イなお,本件において,本件訂正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって,訂正要件を全て満たすことについて当事者間に争いは ーザに付与することを特徴とするネットワークゲーム用サーバ装置。」イなお,本件において,本件訂正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって,訂正要件を全て満たすことについて当事者間に争いはない。 (5) 本件訂正発明の構成要件の分説本件訂正発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,それぞれの記号に従い,「構成要件A’」などという。)。 A’ ネットワークを介してユーザが使用する端末装置との間でデータの送受信を行い,所定の価値を有する対価データをユーザに獲得させるゲ- 6 -ームであってかつ前記価値が異なる複数の対価データが存在するゲームを進行させるネットワークゲーム用サーバ装置であって,B’ 前記対価データを獲得するために必要とされるポイントの獲得が可能な複数のゲームの中から1つのゲームをユーザに実行させるためのゲーム実行手段と,C’-1 前記ゲーム実行手段によってユーザが行ったゲームの結果に応じて当該ユーザに所定のポイントを付与するポイント付与手段と,D’-1 前記ポイント付与手段によってユーザに付与された現在のポイントを表すポイント表示部と,対価データ付与を行うかどうかを選択するメニュー選択部とを含む意思確認画面を前記端末装置に表示するためのデータを前記端末装置に送信してこれを表示させた後に,前記ポイント付与手段によってユーザに付与されたポイントに応じて所定の価値を有する対価データを当該ユーザに付与する対価データ付与手段であって,該対価データの獲得に必要なポイントが前記対価データの価値に応じて異なる対価データ付与手段と,E’ 前記端末装置を使用するユーザに関連付けて当該ユーザが獲得したポイント及び対価データを管理するユーザ情報管理手段と,F’ 前記端末装置から対価データの付与を要求する対価 データ付与手段と,E’ 前記端末装置を使用するユーザに関連付けて当該ユーザが獲得したポイント及び対価データを管理するユーザ情報管理手段と,F’ 前記端末装置から対価データの付与を要求する対価データ付与要求を受信する対価データ付与要求受信手段と,G ’ 前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データの1つを指定するデータを受信し,指定された対価データに対応したポイントを表示するポイント表示部とポイント交換を行うかどうかを選択するメ- 7 -ニュー選択部とを含むポイント表示画面を前記端末装置に表示するためのデータを前記端末装置に送信してこれを表示させた後に,前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データと当該対価データに対応して定められたポイントとの交換を要求するポイント交換要求を前記端末装置から受信するポイント交換要求受信手段とを備え,D’-2 前記対価データ付与手段は,前記ユーザ情報管理手段によって管理されているポイントが前記獲得に必要なポイント以上であることを条件として,前記対価データ付与要求に応じて前記対価データをユーザに付与するとともに,付与された対価データの価値に応じて定められたポイントを減少させ,C’-2 前記ポイント付与手段は,ポイント交換要求に応じて前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データを消去するとともに,当該対価データに相当するポイントをユーザに付与することを特徴とするネットワークゲーム用サーバ装置。 (6) 被告の行為ア被告は,別紙物件構成説明書記載の被告のサーバ装置(以下「被告サーバ装置」という。)を使用して,平成23年8月18日頃から,株式会社ディー・エヌ・エー(以下「DeNA」という。)が運営する携帯電話等のプラットフォームである「Mobage」におい (以下「被告サーバ装置」という。)を使用して,平成23年8月18日頃から,株式会社ディー・エヌ・エー(以下「DeNA」という。)が運営する携帯電話等のプラットフォームである「Mobage」において,プロ野球カードを題材としたSNSゲームである「大熱狂!!プロ野球カード」(以下「本件ゲーム」という。)を提供・配信している。 イ被告は,平成25年2月19日,本件ゲームをリニューアルした。 その内容は,別紙物件構成説明書記載の被告サーバ装置の構成と対比すると,「強化ポイント」が存在せず,2枚の同一選手の選手カードを- 8 -融合して強化する場合も何らの「ポイント」も消費しない,というものである。 (7) 被告サーバ装置における本件発明の構成要件充足性被告サーバ装置は本件発明の構成要件C-1を充足する。 (8) 被告サーバ装置における本件訂正発明の構成要件充足性被告サーバ装置は本件訂正発明の構成要件C’-1を充足する。 (9) 本件発明に先立つ公知技術本件発明に先立つ公知技術が記載された刊行物として,以下の文献が存在する。 ア発行所を株式会社エニックスとする「iモード公式ゲームナビ」と題する文献(平成12年10月13日発行。乙3。以下「乙3文献」といい,同文献に係る発明を「乙3発明」という。)イ発行所をソフトバンクパブリッシング株式会社とする「DIABLOⅡ公式ガイド日本語版対応」と題する文献(平成12年10月31日発行。 乙25。以下「乙25文献」といい,同文献に係る発明を「乙25発明」という。)ウ発行所をソフトバンクパブリッシング株式会社とする「ウルティマオンラインザ・セカンドエイジ公式ガイドルネッサンス・エディション対応版(第4版)」と題する文献(平成13年4月22日刊行。乙26。 発行所をソフトバンクパブリッシング株式会社とする「ウルティマオンラインザ・セカンドエイジ公式ガイドルネッサンス・エディション対応版(第4版)」と題する文献(平成13年4月22日刊行。乙26。 以下「乙26文献」といい,同文献に係る発明を「乙26発明」という。)エ発行所を株式会社勁文社とする「ウルティマオンラインルネッサンス・エディションオフィシャルガイドブック」と題する文献(平成12年9月10日刊行。乙28。以下「乙28文献」といい,同文献に係る発明を「乙28発明」という。)オ特開2000-116952号公報(平成12年4月25日公開。乙29。以下「乙29文献」といい,同文献に係る発明を「乙29発明」とい- 9 -う。) 3 争点(1) 被告サーバ装置が本件発明の技術的範囲に属するかア文言侵害の成否(ア) 構成要件A,D-1,E,F,G,D-2,C-2における「対価データ」の充足性(イ) 構成要件Bにおける「複数のゲーム」の充足性イ均等侵害の成否(2) 本件特許は,特許無効審判により無効にされるべきものかア乙3文献による新規性欠如(特許法29条1項3号)イ乙3文献を主引例とする進歩性欠如(同法29条2項)ウ乙25文献による新規性欠如(同法29条1項3号)エ乙25文献を主引例とする進歩性欠如(同法29条2項)オ乙26,乙28及び乙29発明をそれぞれ主引例とする進歩性欠如(同法29条2項)カ実施可能要件(同法36条4項)違反キサポート要件(同法36条6項1号)違反(3) 本件訂正による対抗主張の成否ア本件訂正により争点(2)の無効理由を解消することができるかイ被告サーバ装置が本件訂正発明の技術的範 ト要件(同法36条6項1号)違反(3) 本件訂正による対抗主張の成否ア本件訂正により争点(2)の無効理由を解消することができるかイ被告サーバ装置が本件訂正発明の技術的範囲に属するか(ア) 構成要件A’における「価値が異なる複数の対価データが存在するゲーム」の充足性(イ) 構成要件D’-2における「付与された対価データの価値に応じて定められたポイントを減少させ」の充足性(ウ) 構成要件B’における「複数のゲーム」の充足性(4) 損害発生の有無及びその額- 10 -第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)ア(被告サーバ装置が本件発明の技術的範囲に属するか・文言侵害の成否)について〔原告の主張〕(1) 被告サーバ装置の構成について別紙物件構成説明書記載の被告サーバ装置の構成のうち,本件発明ないし本件訂正発明と関連する部分の構成は,次のとおりである。 a ネットワークを介してユーザが使用する携帯電話との間でデータの送受信を行い,「強化された選手カード」をユーザに獲得させるゲームを進行させるネットワークゲーム用サーバ装置であって,b 「リーグ」,「ミッション」を含む複数の遊びの要素を含む手段の中から一つの遊びの要素を含む手段をユーザに実行させるための「ゲーム実行部」と,c-1 前記「ゲーム実行部」によってユーザが行ったゲームの結果に応じて当該ユーザに「強化ポイント」を付与する「ポイント付与処理部」と,d-1 前記「ポイント付与処理部」によって当該ユーザに付与された「強化ポイント」から,当該ユーザによって「ベースカード」に設定された「選手カード」の強化に必要とされる「必要強化ポイント」を減少させることにより,当該ユーザによって「ベースカード」に設定された「選手カード」 ント」から,当該ユーザによって「ベースカード」に設定された「選手カード」の強化に必要とされる「必要強化ポイント」を減少させることにより,当該ユーザによって「ベースカード」に設定された「選手カード」に,当該「ベースカード」の所持カードIDと関連付けられて記憶されているカード経験値を,当該ユーザによって選択された「アシストカード」による強化によって上昇するカード経験値の分だけ増加させ,強化後のベースカードのカード経験値がレベルアップに必要な閾値に達したときは,当該ベースカードのカードレベルを上昇させ,当該ベースカードのカードレベルが上昇したときは,当該ベースカードのユーザ所持カードテーブルの現在打力,現在走力,現在守備,現在球威,現在制球及び現在投力など- 11 -の能力値を上昇させることによって「強化された選手カード」を生成し,当該「強化された選手カード」を当該ユーザに付与する「強化処理部」と,e 前記端末装置を使用するユーザに関連付けて当該ユーザが獲得した「強化ポイント」及び「強化された選手カード」を管理する「ユーザ情報管理部」と,f 前記端末装置から「選手カードの強化」の実行指示を受信する「通信部」と,g 前記「ユーザ情報管理部」によって管理されている「強化された選手カード」と当該「強化された選手カード」の固定選手カード情報テーブルに固定カードIDと関連付けられて記憶されている売却価格に対応して定められている「売却強化ポイント」との交換を要求する「カード売却」の実行指示を前記端末装置から受信する「通信部」とを備え,d-2 前記「強化処理部」は,前記「ユーザ情報管理部」によって管理されている「強化ポイント」が,「消費強化ポイント」以上である場合に,前記「選手カードの強化」の実行指示に応じて前記「強化された選手カード 前記「強化処理部」は,前記「ユーザ情報管理部」によって管理されている「強化ポイント」が,「消費強化ポイント」以上である場合に,前記「選手カードの強化」の実行指示に応じて前記「強化された選手カード」をユーザに付与するとともに,当該ユーザによって「ベースカード」に設定された「選手カード」の強化に必要とされる「必要強化ポイント」を減少させ,c-2 前記「ポイント付与処理部」は,「カード売却」の実行指示に応じて前記「ユーザ情報管理部」によって管理されている「強化された選手カード」を消去するとともに,当該「強化された選手カード」の固定選手カード情報テーブルに固定カードIDと関連付けられて記憶されている売却価格に相当する「売却強化ポイント」をユーザに付与することを特徴とするネットワークゲーム用サーバ装置。 (2) 被告サーバ装置が本件発明の構成要件を充足すること以下のとおり被告サーバ装置は,本件発明の構成要件をいずれも充足する- 12 -から,本件発明の技術的範囲に属する。 ア構成要件Aについて(ア) 構成要件Aの「対価データ」は,「ポイント」の対価となる(代償として受け取る)「データ」と解されるべきである。構成要件Aの「所定の価値を有する対価データ」も上記「対価データ」と同じ意味と解されるべきである。 (イ) 本件ゲームにおいて,「ポイント」の代償としてユーザが受け取る関係にあるカードは,ユーザが「強化」において,所定の「強化ポイント」を消費して獲得することができる「強化された選手カード」のみである。 本件ゲームにおける「強化された選手カード」の画像の範囲は,選手の写真画像のみならず,カードレベル(「Lv」),「成長」のパーセントを示す数値とグラフ,「球威」「制球」「投力」等のパラメータを表示する画像部分も含ま 「強化された選手カード」の画像の範囲は,選手の写真画像のみならず,カードレベル(「Lv」),「成長」のパーセントを示す数値とグラフ,「球威」「制球」「投力」等のパラメータを表示する画像部分も含まれるのであり(下図の赤の破線で囲まれた部分),以上の表示が「強化された選手カード画像データ」,「強化された選手カード画像」に該当する。 【図】(省略)すなわち,本件ゲームでは,「強化」によって,ユーザは自己の所持する「強化ポイント」から,当該ユーザが「ベースカード」に設定した「選手カード」の強化に必要とされる「必要強化ポイント」を失うが,その代わりに,当該ユーザが「ベースカード」に設定した「選手カード」のカード経験値が増加し,さらに,強化後のカード経験値が閾値に達したときには,当該ベースカードのカードレベルが上昇して,当該ベースカードの「球威」「制球」「投力」等のパラメータが上昇する,という対価を得る。そして,これらの対価は,「強化された選手カード」において,「成長」の数値やグラフとして表示され,「Lv」(カードレベル)や,「球威」「制球」「投力」等が「A」,「B」,「C」等の画- 13 -像として,選手の写真画像とともに表示される。このように,ユーザは「必要強化ポイント」を失う代わりに,新たに「強化された選手カード画像データ」,「強化された選手カード画像」を獲得する。 この「強化された選手カード画像データ」,「強化された選手カード画像」が,本件発明の「対価データ」,「所定の価値を有する対価データ」に該当する。 よって,被告サーバ装置は,本件発明の構成要件Aを充足する。 (ウ) また,本件ゲームがプロ野球カードゲームを題材とするSNSゲームであることに鑑みても,本件ゲームにおける「強化された選手カード」の画像の範囲は,選手の写真 本件発明の構成要件Aを充足する。 (ウ) また,本件ゲームがプロ野球カードゲームを題材とするSNSゲームであることに鑑みても,本件ゲームにおける「強化された選手カード」の画像の範囲は,選手の写真画像のほか,カードレベル(「Lv」),「成長」のパーセントを示す数値とグラフ,「球威」「制球」「投力」等のパラメータを表示する部分も含まれるということができる。 すなわち,カードゲームでは紙などでできた「カード」が実在し,これがユーザ(プレイヤー)に付与されるが,本件ゲームはカードゲームを題材とするSNSゲームであり,上記カードに記載されるべき内容がデジタルデータ化された「強化された選手カード」としての画像データが存在し,これがユーザに付与される。カードゲームにおける「カード」には,カード面上に,イラストが記載されるほか,当該カードの名称,当該カードのレベル(例えば,星印の数で表示される。),「攻撃力」や「守備力」といった数値等が記載される。これらの記載は,カードゲームがユーザ(プレイヤー)間において互いに所持するカードで対戦するという性質のゲームであることから,「カード」の内容及び価値を特定するものとして重要な要素である。また,トレーディングカードゲームにおけるトレーディングカードとしてみても,それらの記載は,コレクションの対象となる「カード」の視覚的情報に当たるものである。 本件ゲームの「強化された選手カード」にも,①選手の写真画像のみ- 14 -ならず,②選手名や「グレート」等のカードの種類,所属するチーム名,さらに,③カードのレベル(「Lv」),「成長」のパーセントを示す数値とグラフ,「球威」「制球力」「投力」等のカードの現在の能力値を示す値が記載されている。 本件ゲームでは,上記③の記載は,その数値等が「強化」によって可変 Lv」),「成長」のパーセントを示す数値とグラフ,「球威」「制球力」「投力」等のカードの現在の能力値を示す値が記載されている。 本件ゲームでは,上記③の記載は,その数値等が「強化」によって可変するため,「強化された選手カード」を強化される前の選手カードと区別する特徴的部分となっている。本件ゲームでは,ユーザが所持する選手カードが一覧表示される際には,選手の写真画像とともに上記③の記載が表示される。ユーザは,同じ選手の写真画像であっても上記③の記載が異なれば,「強化された選手カード」は強化される前の選手カードとは別のカードと捉えて然るべきである。 また,本件ゲームでは,被告サーバ装置は,ユーザが所持する選手カードの管理のために「固定カードID」のほかに「所持カードID」を設けており,「所持カードID」ごとに,当該選手カードの上記③の記載に係る現在の数値等を記録・管理している。このことは,本件ゲームが上記③の記載に係る数値等を選手カードの内容として不可欠な情報としていることを示している。 (エ) 本件明細書等の記載を参酌して,本件発明の「対価データ」を「画像データ」又は「カード画像」に限定して解釈するとしても,本件明細書等に記載の「画像データ」又は「カード画像」は,ユーザが使用する端末装置においてユーザが取得したカード画像を表示するカード画像表示部に表示され,ユーザが端末装置のモニタ等から確認できるものをいうから,選手の写真画像に限定されるものではない。 本件明細書等の図8の「獲得カード画像表示画面410」には,「画像表示部412」の範囲内に,★マーク(星印)二つで「このカード画像の取得難度」,「カードのランク」,又は「カード画像の獲得困難度- 15 -(レア度)」を表わすための「カード画像取得難度表示部413」が記載されて 囲内に,★マーク(星印)二つで「このカード画像の取得難度」,「カードのランク」,又は「カード画像の獲得困難度- 15 -(レア度)」を表わすための「カード画像取得難度表示部413」が記載されている(段落【0105】)。この「カード画像取得難度表示部413」は,選手の写真画像以外にも,記号やマークといった情報も,「獲得カード画像」として表示されるカードの「画像」に含まれることを示している。 さらに,本件明細書等には,カード画像の獲得困難度(レア度)を表わすものは上記「カード画像取得難度表示部413」が示すマーク(★マーク)等に限定されず,例えば他のマークやカード画像表示部412の背景色を変える等によるものであってもよく,また,マークのカード画像上の位置は限定されておらず,ユーザが携帯電話機のモニタ等から確認できるものであればよい旨の記載がある(段落【0106】)。 以上の記載のとおり,「カード画像取得難度表示部413」の表示形式に限定はなく,本件明細書等に記載された「他のマーク」や背景色の変化は星印以外の表示形式の例示にすぎないから,「カード画像取得難度表示部413」は,被告ゲームの「強化された選手カード画像」に表示される「球威」「制球」「投力」等を表す数値等である「B」「E」「C」等のマークを示す画像,及び「球威」,「618」等の文字形式で表示される情報も含むということができる。 よって,被告ゲームの「強化された選手カード画像」の範囲から,「B」「E」「C」等のマーク画像や「球威 618」等の文字が表示される範囲が除外されるべきではない。 そして,上記段落【0106】の記載によれば,「カード画像取得難度表示部413」が配置されるカード画面上の位置も限定されないから,被告ゲームにおいてプロ野球選手の写真画像が表示される部分に ない。 そして,上記段落【0106】の記載によれば,「カード画像取得難度表示部413」が配置されるカード画面上の位置も限定されないから,被告ゲームにおいてプロ野球選手の写真画像が表示される部分に重ならない位置に「B」「E」「C」等のマーク画像や「球威 618」等の文字が表示されてもよいと解される。 - 16 -また,本件明細書等の段落【0066】には,ユーザはいつでも取得した「プロ野球選手のカード画像データ」を携帯電話機のモニタ等で電子アルバムのように閲覧することが可能であるとしか記載されていないから,本件明細書等は,「対価データ」に相当する上記「プロ野球選手のカード画像データ」について,携帯電話機のモニタ等で閲覧することが可能なデータであること以外に何ら限定を加えていないと解される。 この点,本件明細書等の段落【0064】には,「携帯電話機3で送受される画像データは例えばGIF形式で圧縮された後,パケットで通信される。」と記載されているが,サーバの送受信制御部が携帯電話機等のユーザ端末との間でデータをどのような形式で送受信するかは本件特許発明の内容と関係がない。また,上記段落【0064】には,「例えば」と記載されていて例示にすぎないことが明らかであるから,同段落の記載をもって本件発明の「対価データ」の範囲から文字列を除外することはできない。 (オ) 以上のとおり,本件ゲームにおける「強化された選手カード」の画像の範囲は,選手の写真画像のみならず,当該選手カードの現在の価値,内容を示す可変の値等が表示された部分,すなわち,カードレベル(「Lv」),「成長」のパーセントを示す数値とグラフ,「球威」「制球」「投力」等のパラメータを表示する部分が含まれる。 イ構成要件D-1について被告サーバ装置の構成d-1では,選手カード ル(「Lv」),「成長」のパーセントを示す数値とグラフ,「球威」「制球」「投力」等のパラメータを表示する部分が含まれる。 イ構成要件D-1について被告サーバ装置の構成d-1では,選手カードごとにその選手カードを強化するために必要な(強化によって消費される)「強化ポイント」が設定されている。この「強化ポイント」に応じて,「ベースカード」に設定された「選手カード」に,「能力を引き継ぐカード」に選択された「選手カード」の能力を引き継がせることによって「強化された選手カード」が生成されるため,構成d-1の「強化処理部」は構成要件D-1の「対価- 17 -データ付与手段」に相当する。 よって,被告サーバ装置は,本件発明の構成要件D-1を充足する。 ウ構成要件Eについて被告サーバ装置の構成eの「強化ポイント」は構成要件Eの「ポイント」に相当し,構成eの「強化された選手カード」は構成要件Eの「対価データ」に相当する。 よって,被告サーバ装置は本件発明の構成要件Eを充足する。 エ構成要件Fについて本件発明の構成要件Fは,「前記端末装置から対価データの付与を要求する対価データ付与要求を受信する対価データ付与要求受信手段と」というものである。 これに対し,被告サーバ装置の構成fは「前記端末装置から『選手カードの強化』の実行指示を受信する『通信部』と」というものであり,この『通信部』はユーザ端末からの実行指示を受信する。 よって,被告サーバ装置は本件発明の構成要件Fを充足する。 オ構成要件Gについて(ア) 本件発明の構成要件Gは,「前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データと当該対価データに対応して定められたポイントとの交換を要求するポイント交換要求を前記端末装置から受信するポイント交換要求受信手段とを備え」 「前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データと当該対価データに対応して定められたポイントとの交換を要求するポイント交換要求を前記端末装置から受信するポイント交換要求受信手段とを備え」というものである。 これに対し,被告サーバ装置の構成gは,「前記『ユーザ情報管理部』によって管理されている『強化された選手カード』を含む『選手カード』と当該『強化された選手カード』を含む『選手カード』に対応して定められている『売却強化ポイント』との交換を要求する『カード売却』の実行指示を前記端末装置から受信する『通信部』とを備え」というものであり,被告サーバ装置の「通信部」はユーザ端末から「強化された選- 18 -手カード」の売却のような実行指示を受信する。 よって,被告サーバ装置は本件発明の構成要件Gを充足する。 (イ) 構成要件Gは,ユーザが「対価データ」を売却し,「ポイント」を得る場面について規定したものであり,ユーザが「対価データ」を売却する場合,売却される「対価データ」の価値と,売却によって得られる「ポイント」との間に相関関係がある。 この点に関して被告は,本件ゲームについて,いくら選手カードを強化しても,その選手カードの売却価格は強化する前と変わらないと主張する。 しかし,本件ゲームでは,固定カードIDごとに,「コスト」やレア度といった各カードの価値に応じて,売却によって得られる「ポイント」が複数の異なる数値に設定されているから,売却される「対価データ」の価値と,売却によって得られる「ポイント」との間に相関関係がある。 構成要件Gは,売却される「対価データ」の価値を,どのように評価するかについてまで限定するものではなく,対価データの価値を「コスト」やレア度によって評価する場合も含むから,売却によって得られる「ポイ 成要件Gは,売却される「対価データ」の価値を,どのように評価するかについてまで限定するものではなく,対価データの価値を「コスト」やレア度によって評価する場合も含むから,売却によって得られる「ポイント」に,売却される対価データのために消費された強化ポイントの数が反映されないとの一事をもって,売却される「対価データ」の価値と,売却によって得られる「ポイント」との間の相関関係を否定することはできない。 カ構成要件D-2について本件発明の構成要件D-2は,「前記対価データ付与手段は,前記ユーザ情報管理手段によって管理されているポイントが所定条件を満たす場合に,前記対価データ付与要求に応じて前記対価データをユーザに付与するとともに,付与された対価データに対応して定められたポイントを減少させ」というものである。 - 19 -これに対し,被告サーバ装置の構成d-2は,「前記『強化処理部』は,前記『ユーザ情報管理部』によって管理されている『強化ポイント』が,『消費強化ポイント』以上である場合に,前記『選手カードの強化』の実行指示に応じて前記『強化された選手カード』をユーザに付与するとともに,前記『強化された選手カード』に対応して定められた『消費強化ポイント』を減少させ」というものである。 よって,被告サーバ装置は本件発明の構成要件D-2を充足する。 キ構成要件C-2について本件発明の構成要件C-2は,「前記ポイント付与手段は,ポイント交換要求に応じて前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データを消去するとともに,当該対価データに相当するポイントをユーザに付与することを特徴とするネットワークゲーム用サーバ装置」というものである。 これに対し,被告サーバ装置の構成c-2は,「前記『ポイント付与処理部』は,『カード売却』の 相当するポイントをユーザに付与することを特徴とするネットワークゲーム用サーバ装置」というものである。 これに対し,被告サーバ装置の構成c-2は,「前記『ポイント付与処理部』は,『カード売却』の実行指示に応じて前記『ユーザ情報管理部』によって管理されている『強化された選手カード』を消去するとともに,当該『強化された選手カード』に相当する『売却強化ポイント』をユーザに付与することを特徴とするネットワークゲーム用サーバ装置」というものである。 よって,被告サーバ装置は,本件発明の構成要件C-2を充足する。 ク構成要件Bについて(ア) 本件発明の構成要件Bは,「複数のゲームの中から1つのゲームをユーザに実行させるためのゲーム実行手段と」というものである。 本件発明の「ゲーム」とは,「所定の価値を有する対価データを獲得するために必要とされるポイントの獲得が可能なゲーム」をいうのであり,勝負の要素を含むことは必要とされていない。 - 20 -すなわち,「ゲーム」という用語は,一次的には,「あそび。遊戯。」又は「遊びごと。遊戯。」を意味している。同用語には他に,勝負の要素を含む用法もあるが,本件特許の出願時における当業者の認識に関して当時のテレビゲーム業界をみると,「SLG/シュミレーション」や「ETC(エトセトラ/その他)」など必ずしも勝負の要素を含まないジャンルにおいてゲームが存在していたのであり,本件特許の出願時のゲーム業界においては,勝負の要素を含まないものも「ゲーム」として認識されていたものである。 したがって,本件発明の「ゲーム」は,上記のとおり「あそび」の意味で理解されることが通常といえる。 (イ) 本件ゲームにおいて,「強化された選手カード画像」を獲得するために必要とされるポイントは「強化ポイント」であり,この「 ム」は,上記のとおり「あそび」の意味で理解されることが通常といえる。 (イ) 本件ゲームにおいて,「強化された選手カード画像」を獲得するために必要とされるポイントは「強化ポイント」であり,この「強化ポイント」はユーザが本件ゲームにおける「試合」(「リーグ」)又は「ミッション」を行うことによって獲得することできる。 したがって,本件ゲームにおける「ミッション」及び「試合」(リーグ)は,それぞれ本件発明の「ゲーム」に該当する。 よって,被告サーバ装置は本件特許発明の構成要件Bを充足する。 (ウ) この点に関して被告は,本件ゲームにおける「ミッション」及び「リーグ」は,一つのゲームとして有機的一体を構成するものであり,それらを単体で「ゲーム」とみることはできないと主張する。 しかし,本件ゲームにおける「ミッション」及び「リーグ」は,それぞれ単体としてユーザが実行することができる手段であって,それぞれの手段を実行した結果としてユーザが強化ポイントを獲得するものであるから,それらが不可分一体の関係にあるということはできない。 〔被告の主張〕(1) 被告サーバ装置の構成に対する認否- 21 -ア構成aにつき本件ゲームが「強化された選手カード」をユーザに獲得させる,という点は否認し,その余は認める。本件ゲームの「強化された選手カード」は,ユーザが獲得済みの選手カードについて,その経験値を上げて強化するものであり,ユーザが「強化」により獲得するものではない。 イ構成bにつき否認する。本件ゲームにおいて「リーグ」,「ミッション」はいずれも単体では「ゲーム」と呼び得るものではない。また,本件ゲームにおける「ゲーム」は,勝負の要素を含むものであり,「遊びの要素を含む」とするのは誤りである。 ウ構成c-1につき認める。 ずれも単体では「ゲーム」と呼び得るものではない。また,本件ゲームにおける「ゲーム」は,勝負の要素を含むものであり,「遊びの要素を含む」とするのは誤りである。 ウ構成c-1につき認める。 エ構成d-1につき「強化された選手カード」を生成し,当該「強化された選手カード」をユーザに付与する,という点は否認し,その余は認める。上記アのとおり,本件ゲームの「強化された選手カード」は,ユーザが「強化」により獲得するものではない。 オ構成eにつき「強化された選手カード」が獲得されたものとして管理される,という点は否認し,その余は認める。上記アのとおり,本件ゲームの「強化された選手カード」は,ユーザが「強化」により獲得するものではない。 カ構成fにつき「選手カードの強化」の実行指示について,当該実行指示が原告の主張する「強化された選手カード」の付与を要求するものである点は否認し,その余は認める。当該実行指示は,ユーザが獲得済みの選手カードについて付与された経験値を上昇させる処理を要求するものである。 - 22 -キ構成gにつき「強化された選手カード」が獲得されたものとして管理される,という点は否認し,その余は認める。上記アのとおり,本件ゲームの「強化された選手カード」は,ユーザが「強化」により獲得するものではない。 ク構成d-2につき「選手カードの強化」の実行指示に応じて「強化された選手カード」をユーザに付与する,という点は否認し,その余は認める。上記アのとおり,本件ゲームの「強化された選手カード」は,「強化」によりユーザに新たに付与するものではない。 ケ構成c-2につき「強化された選手カード」が獲得されたものとして管理される,という点は否認し,その余は認める。上記アのとおり,本件ゲームの「強化され りユーザに新たに付与するものではない。 ケ構成c-2につき「強化された選手カード」が獲得されたものとして管理される,という点は否認し,その余は認める。上記アのとおり,本件ゲームの「強化された選手カード」は,ユーザが「強化」により獲得するものではない。 (2) 被告サーバ装置の構成要件充足性につき以下のとおり,被告サーバ装置は,本件発明の構成要件を文言充足しないから,本件発明の技術的範囲に属するとは認められない。 ア構成要件Aにつき(ア) 本件ゲームには「対価データ」が存在しないから,被告サーバ装置は本件発明の構成要件Aを充足しない。 (イ) 本件発明における「対価データ」とは,選手カード,アイドル歌手等の画像データ(又はカード画像)を意味し,これ以外のものは含まず,例えば数字や文字列といったものは上記「対価データ」に該当しない。 本件明細書等の発明の詳細な説明をみれば,そのことは明らかである。 すなわち,その段落【0042】に「対価データ(カード画像)」と,段落【0067】に「カード画像(対価データ)」と記載され,「対価データ」が画像データと等価のものであることを示している。また,段- 23 -落【0064】には,画像データがGIF形式で通信されることが記載されており,「対価データ」が画像データであって数字や文字列といったものを含まないことを示している。 (ウ) 本件ゲームにおいて本件発明の「画像データ(又はカード画像)」に該当するものは,選手の写真画像のみであり(前記〔原告の主張〕(2)ア記載の図の黄色の破線で囲まれた部分),経験値や「球威」「制球」「投力」のようなパラメータは,上記「画像データ(又はカード画像)」に該当しない。 本件ゲームにおいてユーザが選手カードを獲得する手段は,「ミッション」,「 まれた部分),経験値や「球威」「制球」「投力」のようなパラメータは,上記「画像データ(又はカード画像)」に該当しない。 本件ゲームにおいてユーザが選手カードを獲得する手段は,「ミッション」,「ガチャ」及び「ギフト」等であるが,これらの手段において,強化ポイントが消費されることはない。 そして,「強化」では,ユーザは「強化ポイント」を消費するが,ユーザは「強化された選手カード」を獲得するのではなく,獲得済みの選手カードを強化する。すなわち,ユーザは「強化ポイント」を消費して,ベースカードとして選択した選手カードのカード経験値を上昇させるのであり,さらにカード経験値が閾値に達したときには,当該選手カードのカードレベルが上昇して「球威」「制球」「投力」等のパラメータが上昇するが,当該選手カードの画像データや選手カード画像は同一のままである。 このように,本件ゲームは,ユーザが「強化」において「強化された選手カード」を獲得するものではないのであり,したがって,本件ゲームにおいて,選手カード画像は強化ポイントの代償としてユーザに付与されることはない。 (エ)a この点に関して原告は,本件明細書等の図8には,★マーク(星印)が「このカード画像の取得難度」,「カードのランク」,又は「カード画像の獲得困難度(レア度)」を表わすためのものとして,「カー- 24 -ド画像取得難度表示部413」が記載されている(段落【0105】)ことを根拠に,同「カード画像取得難度表示部413」も「獲得カード画像」として表示されるカードの「画像」に含まれるから,選手の写真画像に限らず,記号やマークといった情報も,「獲得カード画像」として表示されるカードの「画像」に含まれると主張する。 しかし,本件明細書等の段落【0106】の記載によれば,「カード画像の獲得 写真画像に限らず,記号やマークといった情報も,「獲得カード画像」として表示されるカードの「画像」に含まれると主張する。 しかし,本件明細書等の段落【0106】の記載によれば,「カード画像の獲得困難度(レア度)」は画像データである「対価データ」とは区別されており,「対価データ」とは別物であることが明らかであるから,原告の上記主張は前提を欠き,失当である。 b また,原告は,カードゲームにおけるカードの記載に照らして「画像」の範囲が上記のとおりであると主張する。 しかし,当該カードは,ゲームを通じて得られるポイントを消費することによって獲得できるものではなく,本件発明の「対価データ」とは位置付けが全く異なるから,原告の上記主張は失当である。 c さらに,原告は,本件ゲームにおいて固定カードIDのほかに所持カードIDも存在することをもって強化処理によって新たに「強化された選手カード」がユーザに付与されると主張する。 しかし,本件ゲームにおいては,ユーザが同一の選手カードを複数枚所持することができるため,選手カードがユーザに付与されると,付与された選手カードごとに個別に所持カードIDが生成されるのであり,強化処理によって所持カードIDが生成されたり,変更されたりすることはないから,原告の上記主張は失当である。 (オ) 以上のとおり,本件ゲームは,ユーザが「強化ポイント」を消費して「強化された選手カード」を獲得するものではない。本件ゲーム,ひいては,被告のサーバ装置には,「『ポイント』の『対価』である(代償として受け取る)『画像データ(又はカード画像)』)」である「対価- 25 -データ」は存在しない。 イ構成要件D-1につき前記アのとおり,本件ゲームには「対価データ」は存在しないから,被告サーバ装置は,「所定の価値を有する ード画像)』)」である「対価- 25 -データ」は存在しない。 イ構成要件D-1につき前記アのとおり,本件ゲームには「対価データ」は存在しないから,被告サーバ装置は,「所定の価値を有する対価データを当該ユーザに付与する対価データ付与手段」を備えるものではなく,本件発明の構成要件D-1を充足しない。 ウ構成要件Eにつき前記アのとおり,本件ゲームには「対価データ」は存在しないから,被告サーバ装置は,ユーザが獲得した「対価データを管理」するものではなく,本件発明の構成要件Eを充足しない。 エ構成要件Fにつき被告サーバ装置の通信部は,ユーザが操作する端末装置から,DeNAが管理するGadgetサーバを経由して,「選手カードの強化」の実行指示を受信するが,その指示は,ユーザが保有する「選手カード」について既に付与された経験値を上昇させる旨の指示であり,「(強化された)選手カード」(対価データ)の付与の要求ではない。 よって,被告サーバ装置は,本件発明の構成要件Fを充足しない。 オ構成要件Gにつき(ア) 前記アのとおり,本件ゲームには「対価データ」は存在しないから,被告サーバ装置は,「対価データと当該対価データに対応して定められたポイントとの交換を要求するポイント交換要求手段」を備えるものではない。 (イ) また,本件ゲームにおいては,選手カードを売却することによって得られる強化ポイントは,固定選手カードごとに固定の値であり,同一の種類の選手カードであれば,強化によりカード経験値やカードレベルが違うものであっても売却価格は同一である。すなわち,本件ゲームでは,- 26 -いくら選手カードを強化しても,その選手カードの売却価格は,強化前から変わることがなく,強化によって上昇した経験値やカードレベルと ても売却価格は同一である。すなわち,本件ゲームでは,- 26 -いくら選手カードを強化しても,その選手カードの売却価格は,強化前から変わることがなく,強化によって上昇した経験値やカードレベルとは無関係に定められている。 よって,被告サーバ装置は,本件発明の構成要件Gを充足しない。 カ構成要件D-2につき前記アのとおり,本件ゲームには「対価データ」は存在しないから,被告サーバ装置は,「前記対価データ付与要求に応じて前記対価データをユーザに付与する」ものではない。 よって,被告サーバ装置は,本件発明の構成要件D-2を充足しない。 キ構成要件C-2につき前記アのとおり,本件ゲームには「対価データ」は存在しないから,被告サーバ装置は,本件発明の構成要件C-2を充足しない。 ク構成要件Bにつき(ア) 本件発明における「ゲーム」とは,プレイヤーの選択によって勝負(勝ち負け。より具体的には,プレイヤーの行動に応じて一定の良い結果又は悪い結果が生じること)の要素を含むものと解されるべきである。 これを本件ゲームについてみると,「ミッション」は,強化ポイントや選手カードをユーザに獲得させる機能にすぎず,勝負の要素が存在しない。ユーザは,単に当該機能を実行させるだけであり,そこに判断や選択の要素は存在せず,したがって,ユーザの選択や判断に応じて一定の良い結果又は悪い結果が生じることがない。 (イ) また,本件発明における「ゲーム」とは,互いに独立してそれ自体が完結したゲームをいい,他のゲームの不可分な一部分をなすにすぎないものを含まない。本件発明の構成要件Bに係る特許請求の範囲の記載をみると「複数のゲーム」との用語が用いられており,当該用語から,本件発明の「ゲーム」とは,数えることができるもので,一個のゲームと ものを含まない。本件発明の構成要件Bに係る特許請求の範囲の記載をみると「複数のゲーム」との用語が用いられており,当該用語から,本件発明の「ゲーム」とは,数えることができるもので,一個のゲームと- 27 -呼び得る程度に他から独立したものと解されるから,ゲームのうちあるゲームの不可分な一部分にすぎず,それ自体を一個のゲームと呼び得る程度に他から独立したものでないようなものは,本件発明の「ゲーム」に該当しない。 本件ゲームにおける「試合」及び「ミッション」は,本件ゲームを構成する有機的一体の一部であり,いずれも独立した1個のゲームとみることはできない。 したがって,被告のサーバ装置は,複数のゲームの中から一つのゲームをユーザに実行させるためのゲーム実行手段を有しているとはいえない。 (ウ) よって,本件ゲームには「複数のゲーム」が存在しないから,被告サーバ装置は,本件発明の構成要件Bを充足しない。 2 争点(1)イ(被告サーバ装置が本件発明の技術的範囲に属するか・均等侵害の成否)について〔原告の主張〕(1) 仮に,被告サーバ装置が進行させる本件ゲームにおいて,「強化された選手カード画像」が本件発明の「対価データ」に文言上当たらないとしても,上記「強化された選手カード画像」は本件発明の「対価データ」という構成と均等なものとして,その技術的範囲に属する。 ア被告サーバ装置と本件発明の相違点が非本質的部分であること本件発明の本質的部分は,対価データを扱うネットワークゲームにおいて次のようなゲーム構造にした点にある。すなわち,サーバ装置が提供するものは,ユーザに直接対価を付与するゲームとはせず,対価を獲得するために必要なポイントの獲得が可能なゲームとし,これによって,ユーザによる対価データの無断複製 にある。すなわち,サーバ装置が提供するものは,ユーザに直接対価を付与するゲームとはせず,対価を獲得するために必要なポイントの獲得が可能なゲームとし,これによって,ユーザによる対価データの無断複製・改竄等の不正行為を確実に防止し,ゲームを円滑に運営する,というものである。 - 28 -そして,本件発明の「対価データ」という構成を,本件ゲームにおける「強化された選手カード画像」に置き換えたとしても,本件発明の上記本質的部分に差異はない。 したがって,本件発明における「対価データ」の内容は,本件発明の本質的部分ではない。 イ置換可能性本件発明の目的は,ネットワークゲームとして,ユーザに対価データの獲得を容易に行わせることができるとともに,ユーザに継続的にゲームを行わせることができるものとし,かかるネットワークゲーム用のサーバ装置,進行制御方法及び進行制御プログラムを提供することにある。 本件発明の作用効果は,ユーザが獲得可能なものをポイント(所定の価値を有する対価データを獲得するために必要とされるポイント)とするゲームが複数提供されるため,ユーザに対して対価データの獲得方法を複数提供できること,前記アのゲーム構造により,ユーザはゲームを行うことで,対価データを直接付与されるのではなく,対価データを獲得するために必要なポイントを付与されるため,ゲーム進行度合いに応じて対価データの獲得率が向上する等の期待感を高めていくことができるとともに,ユーザ側での複製及び改竄等の不正行為を防止して,ユーザのカード画像に対する所有意識を満足させながら,ゲームを円滑に運営できる,というものである。 本件発明における「対価データ」の内容を本件ゲームの「強化された選手カード画像」に置き換えて のカード画像に対する所有意識を満足させながら,ゲームを円滑に運営できる,というものである。 本件発明における「対価データ」の内容を本件ゲームの「強化された選手カード画像」に置き換えても,同一の作用効果を奏するから,その置換は可能である。 ウ置換容易性本件発明の「対価データ」の内容が「選手の絵や写真」等に限定されるとして,その内容と,経験値等のパラメータ表示を含む本件ゲームの「強- 29 -化された選手カード画像」とは,ともにユーザがポイントと交換して獲得できる対価として共通する。また,本件ゲームの提供時点である平成23年8月18日頃において,トレーディングカードゲームで,カードの表示に,人物等の絵や写真のほかに,カードレベルや能力等のパラメータも含まれているものは,周知であった。 そうすると,当業者にとって,本件ゲームの提供時点において,本件発明における「対価データ」を本件ゲームの「強化された選手カード画像」に置き換えることは,容易に想到することができたものである。 エ被告サーバ装置は,本件発明の特許出願時における公知技術と同一のものではないし,公知技術から容易に想到できるものでもない。 オ被告サーバ装置は,本件発明の出願手続において,意識的に除外されたものであるなどの特段の事情はない。 (2) 以上のとおり,前記第2,1(6)の被告の行為は本件特許権を侵害する。 〔被告の主張〕(1) そもそも,均等侵害に関する原告の主張は,その前提として,本件ゲームが,「強化」により,選手の写真画像のほかに経験値等のパラメータ等を含む「強化された選手カード画像」をユーザに付与するものであることを前提とするものである。 しかし,本件ゲームは,強化によって新たな選手カードをユーザ 選手の写真画像のほかに経験値等のパラメータ等を含む「強化された選手カード画像」をユーザに付与するものであることを前提とするものである。 しかし,本件ゲームは,強化によって新たな選手カードをユーザに付与するものとしていないのであり,「強化された選手カード画像」がユーザに「付与」されることはない。 したがって,原告の主張は,前提を欠き,失当である。 (2) また,以下のとおり,本件ゲームの「強化された選手カード」が本件発明の「対価データ」と均等なものとして,本件発明の技術的範囲に属するものではない。 ア発明の本質的部分につき- 30 -本件発明は,最終目標を画像データの獲得・収集とするゲームにおいて,ユーザにゲームをする動機付けをすることを目的とするから,本件発明における「対価データ」は,その収集が最終目標となるような画像データであることを,その本質的部分とする。 これに対して本件ゲームにおいては,「強化された選手カード」は,それらを収集することが最終目標とされておらず,それらをさらに強化することが想定されており,本件発明の「対価データ」とはその本質的部分において異なる。 イ置換可能性につき本件発明の作用効果は,ユーザをして,画像データの獲得・収集を最終目標とするゲームを継続的に行わせることにある。 これに対して,本件ゲームは,「強化された選手カード」を獲得・収集することに止まらず,さらに強化することが想定されており,ユーザが「ミッション」をより多く行うことがあるとしても,それは,既に有している選手カードを強化するために行うものであり,上記の本件発明の作用効果とは本質的に異なるものである。 ウ本件ゲーム,ひいては被告サーバ装置は,本件発明の特許出願時における公知技術から容易に推考できたものである。 3 争点( うものであり,上記の本件発明の作用効果とは本質的に異なるものである。 ウ本件ゲーム,ひいては被告サーバ装置は,本件発明の特許出願時における公知技術から容易に推考できたものである。 3 争点(2)ア(乙3文献による新規性欠如)について〔被告の主張〕以下のとおり,本件発明は,本件発明の特許出願日(平成13年7月5日)より前である平成12年10月13日に頒布された刊行物である乙3文献に記載された乙3発明と同一の発明であって,新規性を欠くから,特許法29条1項3号により特許を受けることができず,本件特許は同法123条1項2号により特許無効審判により無効とされるべきものである。 (1) 乙3発明の内容- 31 -乙3文献には,以下の発明が記載されている。 「ユーザが使用する携帯電話及びネットワークを介して前記携帯電話との間でデータの送受信を行うサーバ装置からなる,『グランカジノ』や『カードのほこら』を含む『ドラゴンクエストNET』を進行させるネットワークゲーム用システムであって,クレーンで吊り上げるスライムの色を予想し,予想を当てると一定のゴールドを手に入れることができる『スライムキャッチャー』,ゴールドを払ってモンスターと戦い,勝利を収めると一定のゴールドを手に入れることができる『格闘場』,カードを購入したり,手カードを売りに出せる『のみの市』,カードの売買やカードを見ることができる『グランマーズの館』,今自分がどれだけゴールドを持っているか,プレイを始めて何日たったかなどの情報を見ることができる『ランキング』,いつ登場するかわからない『隠しゲーム』,賭け金を消費して絵柄を揃えると一定のゴールドを手に入れることができる『モンスターロット』,賭け金を消費してモンスターが唱える呪文の合計値が15を超えるか つ登場するかわからない『隠しゲーム』,賭け金を消費して絵柄を揃えると一定のゴールドを手に入れることができる『モンスターロット』,賭け金を消費してモンスターが唱える呪文の合計値が15を超えるかを予想し,予想が当たると一定のゴールドを手に入れることができる『ホイミでHI&LOW』,賭け金を消費してモンスターの隠れ場所を予想し,予想が当たると一定のゴールドを手に入れることができる『スライムハット』の各機能を実現する手段を備えたネットワークゲーム用システム。」(2) 本件発明と乙3発明との対比ア構成要件Aについて乙3発明の「携帯電話」は,本件発明の「端末装置」に,乙3発明の「ゴールド」は本件発明の「ポイント」に,乙3発明の「カード」は本件発明- 32 -の「所定の価値を有する対価データ」及び「対価データ」にそれぞれ相当する。 したがって,乙3発明のサイト「ドラゴンクエストNET」(以下「乙3サイト」という。)の「ネットワークを介してユーザが使用する携帯電話との間でデータの送受信を行うネットワークゲーム用サーバ装置」は,本件発明の構成要件Aの「ネットワークを介してユーザが使用する端末装置との間でデータの送受信を行い所定の価値を有する対価データをユーザに獲得させるゲームを進行させるネットワークゲーム用サーバ装置」に相当する。 イ構成要件Bについて乙3サイトは,「スライムキャッチャー」を含む「グランカジノ」や,「格闘場」を含む「カードのほこら」の各ネットワークゲームをユーザに提供するものであり,乙3サイトの「ネットワークゲーム用サーバ装置」は,本件発明の構成要件Bの「複数のゲームの中から1つのゲームをユーザに実行させるためのゲーム実行手段」に相当する。 ウ構成要件C-1について乙3発明の「格闘場」は ゲーム用サーバ装置」は,本件発明の構成要件Bの「複数のゲームの中から1つのゲームをユーザに実行させるためのゲーム実行手段」に相当する。 ウ構成要件C-1について乙3発明の「格闘場」は,携帯電話を使用するユーザが「モンスターと戦い,勝利を収めると一定のゴールドを手に入れることができる」ものであり,これを実現する手段を備える乙3サイトの「ネットワークゲーム用サーバ装置」は,本件発明の構成要件C-1の「前記ゲーム実行手段によってユーザが行ったゲームの結果に応じて当該ユーザに所定のポイントを付与するポイント付与手段」に相当する。 エ構成要件D-1について乙3発明の「のみの市」や「グランマーズの館」は,携帯電話を使用するユーザがカードを購入することができ,カードを購入する際にゴールドを用いるものであることは明らかであり,これを実現する手段を備える乙- 33 -3サイトの「ネットワークゲーム用サーバ装置」は,本件発明の構成要件D-1の「前記ポイント付与手段によってユーザに付与されたポイントに応じて所定の価値を有する対価データを当該ユーザに付与する対価データ付与手段」に相当する。 オ構成要件Eについて乙3サイトの「ネットワークゲーム用サーバ装置」は,ゲームプログラムに利用される各種データ(ユーザ情報や,ユーザ情報に関連付けられたゲームデータ等)を管理する。かかる「ネットワークゲーム用サーバ装置」は,本件発明の構成要件Eの「前記端末装置を使用するユーザに関連付けて当該ユーザが獲得したポイント及び対価データを管理するユーザ情報管理手段」に相当する。 カ構成要件Fについて乙3発明の「のみの市」や「グランマーズの館」は携帯電話を使用するユーザがカードを購入することができるものであり,その操作情報は乙3サイトの「ネット 理手段」に相当する。 カ構成要件Fについて乙3発明の「のみの市」や「グランマーズの館」は携帯電話を使用するユーザがカードを購入することができるものであり,その操作情報は乙3サイトの「ネットワークゲーム用サーバ装置」が受信する。かかる「ネットワークゲーム用サーバ装置」は,本件発明の構成要件Fの「前記端末装置から対価データの付与を要求する対価データ付与要求を受信する対価データ付与要求受信手段」に相当する。 キ構成要件Gについて乙3発明の「のみの市」や「グランマーズの館」は携帯電話を使用するユーザがカードを売却してゴールドに戻すことができるものであり,その操作情報は乙3サイトの「ネットワークゲーム用サーバ装置」が受信し,また,ユーザと関連付けられたゴールドやカード等のデータを当該「ネットワークゲーム用サーバ装置」が管理している。かかる「ネットワークゲーム用サーバ装置」は,本件発明の構成要件Gの「前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データと当該対価データに対応して定めら- 34 -れたポイントとの交換を要求するポイント交換要求を前記端末装置から受信するポイント交換要求受信手段」に相当する。 ク構成要件D-2及びC-2について乙3発明の「のみの市」や「グランマーズの館」は携帯電話を使用するユーザがカードを購入することができ,その際にゴールドを用いるものであり,また,自身の所持するカードの中から売却したいカードを所定の値段で売却してゴールドに戻すことができるものである。そして,ユーザと関連付けられたゴールドやカード等のデータを乙3サイトの「ネットワークゲーム用サーバ装置」が管理している。かかる「ネットワークゲーム用サーバ装置」は,本件発明の「対価データ付与手段」であり,構成要件D-2の「前記ユーザ情報管理手段 データを乙3サイトの「ネットワークゲーム用サーバ装置」が管理している。かかる「ネットワークゲーム用サーバ装置」は,本件発明の「対価データ付与手段」であり,構成要件D-2の「前記ユーザ情報管理手段によって管理されているポイントが所定条件を満たす場合に,前記対価データ付与要求に応じて前記対価データをユーザに付与するとともに,付与された対価データに対応して定められたポイントを減少させ」る機能を備える。また,当該「ネットワークゲーム用サーバ装置」は,本件発明の「ポイント付与手段」であり,構成要件C-2の「ポイント交換要求に応じて前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データを消去するとともに,当該対価データに相当するポイントをユーザに付与する」機能を備える。 〔原告の主張〕(1) 被告の主張に対する認否被告の主張は否認ないし争う。 (2) 本件発明と乙3発明との対比ア構成要件Aにつき乙3文献には,「ドラゴンクエストNET」が「サーバ装置」であること,及び「ドラゴンクエストNET」のサーバ側や携帯端末側でどのような情報処理が行われているかについては記載されていない。 - 35 -したがって,乙3文献には,携帯電話の端末側からの操作情報をネットワークを介して受信し,前記操作情報に基づいてゲームプログラムを実行し,前記実行した結果をネットワークを介して携帯電話の端末側に出力し,前記ゲームプログラムに使用される各種データ(ユーザ情報や,ユーザ情報に関連付けられたゲームデータ等)を管理するという動作が「ドラゴンクエストNET」のサーバ側で管理・実行されていることは記載されていない。 また,本件発明の「所定の価値を有する対価データ」及び「対価データ」とは,本件発明の「ポイント」の対価としてユーザに付与されるものをいい, サーバ側で管理・実行されていることは記載されていない。 また,本件発明の「所定の価値を有する対価データ」及び「対価データ」とは,本件発明の「ポイント」の対価としてユーザに付与されるものをいい,「ポイント」を対価として消費することなくユーザに付与され得るものを含まないから,本件発明における「対価データ」は,「ポイント」を獲得するための「ゲーム」を行うことで直接付与されるものを含まない。 これに対し,乙3文献には,例えばユーザが「カードのほこら」でフィールドを探索しているときに遭遇したモンスターと戦い,勝つことによって,ユーザは「ゴールド」を対価として消費することなく,「カード」を直接付与されることが記載されている。しかし,このようにゲームを行うことで直接付与される「カード」は本件発明の「対価データ」に当たらない。 したがって,乙3発明の「カード」は本件発明の「所定の価値を有する対価データ」及び「対価データ」に当たらない。 よって,乙3文献には本件発明の構成要件Aに相当する構成が開示されていない。 イ構成要件Bにつき本件発明に記載された「ゲーム」においては,ユーザに直接付与するのは中間物である「ポイント」とし,ユーザが最終的に獲得を目指す対象である「対価データ」は,ユーザが集めた「ポイント」との交換によってのみ獲得することができる,という構造を有するゲームである。これに対し,- 36 -乙3発明において,ユーザは「ポイント」の交換によらずに「カードのほこら」でカードを直接獲得できる。したがって,乙3発明には上記「ゲーム」に当たらない。 よって,乙3文献には,本件発明の構成要件Bに相当する構成が開示されていない。 ウ構成要件E及びGにつき以下のとおり,乙3文献には本件発明の構成要件E及びGに相当する構成が開示されてい 。 よって,乙3文献には,本件発明の構成要件Bに相当する構成が開示されていない。 ウ構成要件E及びGにつき以下のとおり,乙3文献には本件発明の構成要件E及びGに相当する構成が開示されていない。 (ア) 乙3文献に開示されている「のみの市」や「グランマーズの館」で行うことができる「カードの売買」という処理は,単に乙3発明において「ドラゴンクエストNET」側でユーザの情報とカードの情報とが対応付けられていることを開示するにすぎず,「ドラゴンクエストNET」のサーバ側で「当該ユーザが獲得したポイント及び対価データを管理する」ことについては開示されていない。 乙3発明の「ドラゴンクエストNET」において提供されるコンテンツはiモードゲームであるところ,本件特許出願当時のiモードゲームには,ユーザがプレイしたいゲームのコンテンツを最初に一括して自己の携帯電話にダウンロードし,その後はユーザの携帯電話にダウンロードされ保存されたゲームコンテンツの範囲内でユーザがゲームを実行することができ,再度コンテンツの提供を受けたサイトに接続する必要のないゲームが多く存在した。このことに照らすと,乙3発明の「ドラゴンクエストNET」において提供されるコンテンツも,上記のようなiモードゲームであった可能性は否定できない。 本件発明は,構成要件Eを備えることによって,「ユーザが獲得した」「ポイント」のみならず,「対価データ」もサーバ装置側で「管理」することによって,対価データの複製及び改竄等のユーザの不正行為を確- 37 -実に防止し,ネットワークゲームを円滑に運営することができる,という本件発明に特有の効果を奏する。これに対して,乙3文献には,ユーザが獲得した「カード」をユーザ側で複製及び改竄する等の不正行為を確実に防止することができる程度 ムを円滑に運営することができる,という本件発明に特有の効果を奏する。これに対して,乙3文献には,ユーザが獲得した「カード」をユーザ側で複製及び改竄する等の不正行為を確実に防止することができる程度の「管理」が「ドラゴンクエストNET」のサーバ側で行われていることは開示されていない。 したがって,乙3文献には,本件発明の構成要件Eに対応する構成が開示されていない。 (イ) 同様に,乙3文献には,本件発明の構成要件Gのうち,「前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データ」という構成が開示されていない。また,本件発明の構成要件Gには,「対価データと当該対価データに対応して定められたポイントとの交換を要求する」という記載があり,対価データとの交換において必要とされるポイントの数が,対価データに対応して定められていることが規定されている。しかし,乙3発明では,「グランマーズの館」では,カードの種類に関わらず全てのカードが一律のポイント数でサーバ側で買い取ってもらう構成となっており,「のみの市」では,売値が言い値で決定される構成となっており,いずれも対価データの価値がポイントに基づいて評価されていない。 したがって,乙3文献には,本件発明の構成要件Gに対応する構成が開示されていない。 エ構成要件Fにつき乙3文献には,「のみの市」や「グランマーズの館」でカードの売買を行うことができるとの記載があるとはいえ,その記載のみでは,「対価データ付与要求受信手段」がサーバ上に備えられていることは明らかでない。 したがって,乙3文献には,本件発明の構成要件Fに対応する構成が開示されていない。 - 38 -オ構成要件D-2及びC-2につき乙3文献の上記エの記載のみでは,「対価データ付与手段」及び「ポイント付与手段」が構成要件D- 明の構成要件Fに対応する構成が開示されていない。 - 38 -オ構成要件D-2及びC-2につき乙3文献の上記エの記載のみでは,「対価データ付与手段」及び「ポイント付与手段」が構成要件D-2及びC-2に記載の各機能を備えていることは明らかでない。 したがって,乙3文献には,本件発明の構成要件D-2及びC-2に対応する構成が開示されていない。 カ小括よって,本件発明は乙3発明と同一ではない。 4 争点(2)イ(乙3文献を主引例とする進歩性欠如)について〔被告の主張〕(1) 仮に本件発明に乙3文献に記載のない事項があるとしても,本件発明は,乙3発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,進歩性を欠くから,本件特許は特許法29条2項により特許を受けることができず,同法123条1項2号により特許無効審判により無効とされるべきものに当たる。 ア乙3発明の内容乙3発明の内容は,前記3(1)記載のとおりである。 イ乙3発明と本件発明との対比(ア) 構成要件Aについて乙3発明の「携帯電話」は本件発明の「端末装置」に,乙3発明の「ゴールド」は本件発明の「ポイント」に,乙3発明の「カード」は本件発明の「所定の価値を有する対価データ」及び「対価データ」にそれぞれ相当する。 他方,乙3発明の「ドラゴンクエストNET」が携帯電話及び前記携帯電話との間でネットワークを通じてデータの送受信を行うサーバ装置からなるネットワークゲーム用システムによって実現されるが,乙3発- 39 -明のネットワークゲーム用システムが本件発明の「ゲームを進行させるネットワークゲーム用サーバ装置」に相当し得るか否かは,乙3文献の記載のみからは明らかではない。 (イ) 構成要件B,C-1,D-1,E,F,G,D-2 ム用システムが本件発明の「ゲームを進行させるネットワークゲーム用サーバ装置」に相当し得るか否かは,乙3文献の記載のみからは明らかではない。 (イ) 構成要件B,C-1,D-1,E,F,G,D-2及びC-2について構成要件A以外の構成要件B,C-1,D-1,E,F,G,D-2及びC-2について,乙3発明がそれぞれの構成要件に対応する構成を備えていることは,前記3〔被告の主張〕(2)のとおりである。 ウ乙3発明と本件発明の相違点上記イのとおり,乙3発明と本件発明に相違点があるとすれば,次のとおりである。 【相違点1】本件発明では,ネットワークゲーム用サーバ装置が「ゲーム実行手段」,「ポイント付与手段」,「対価データ付与手段」,「ユーザ情報管理手段」,「対価データ付与要求受信手段」及び「ポイント交換要求受信手段」を備えているが,これに対して乙3発明では,ネットワークゲーム用システムのうち,サーバ装置がこれらの手段を全て備えるのか,それとも,これらの手段のうち一部を,サーバ装置でなくユーザが使用する端末装置が備えるのかについて特定していない点。 【相違点2】本件発明では,「端末装置を使用するユーザに関連付けて当該ユーザが獲得したポイント及び対価データを管理するユーザ情報管理手段」を備え,「端末装置から対価データの付与を要求する対価データ付与要求を受信する対価データ付与要求受信手段と,ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データと対価データに対応して定められたポイントとの交換を要求するポイント交換要求を端末装置から受信するポイント交換要求受信- 40 -手段とを備え」るのに対して,乙3発明ではそのような構成が備わっているのか不明であり,また,本件発明では,「前記対価データ付与手段は,前記ユーザ情報管理手段によっ ポイント交換要求受信- 40 -手段とを備え」るのに対して,乙3発明ではそのような構成が備わっているのか不明であり,また,本件発明では,「前記対価データ付与手段は,前記ユーザ情報管理手段によって管理されているポイントが所定条件を満たす場合に,前記対価データ付与要求に応じて前記対価データをユーザに付与するとともに,付与された対価データに対応して定められたポイントを減少させ,前記ポイント付与手段は,ポイント交換要求に応じて前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データを消去するとともに,当該対価データに相当するポイントをユーザに付与する」のに対して,乙3発明には,ポイント及び対価データが前記ユーザ情報管理手段によって管理されているとの構成が存在しない点。 エ相違点1の検討以下のとおり,上記ウの相違点に係る構成は,乙8の8ないし24に記載されているように周知技術にすぎず,乙3発明に同相違点に係る構成を備えるようにすることは当業者が容易に想到できたというべきである。 すなわち,本件特許の出願日(平成13年7月5日)以前において,ゲーム実行手段と,当該ゲーム実行手段による対価の獲得と,当該対価を管理するユーザ情報管理手段と,当該対価を処理する手段がいずれもサーバ装置に備わったネットワークゲームとして,「ウルティマオンライン」が,発行所をソフトバンクパブリッシング株式会社とする「ウルティマオンラインザ・セカンドエイジ公式ガイドルネッサンス・エディション対応版」と題する文献(平成12年11月17日発行。乙8の8。以下「乙8の8文献」という。)に記載されるとともに,乙3文献の発行日以前に運用され,当業者に広く知られていた。また,上記各手段をサーバ装置に備えたネットワークゲームである「DIABLO Ⅱ」が,発行所をソフトバ 献」という。)に記載されるとともに,乙3文献の発行日以前に運用され,当業者に広く知られていた。また,上記各手段をサーバ装置に備えたネットワークゲームである「DIABLO Ⅱ」が,発行所をソフトバンクパブリッシング株式会社とする「DIABLO Ⅱ 公式ガイド日本語版対応」と題する文献(平成12年10月31日発行。乙8の14。 - 41 -以下「乙8の14文献」という。)に記載されるとともに,乙3文献の発行日以前に運用され,当業者に広く知られていた。ほかに,「聖魔大戦ミスティック・グラップル」が,発行所を株式会社エニックスとする「iモード公式ゲームナビ」と題する文献(平成12年10月13日発行。乙3の2。以下「乙3の2文献」という。)に記載されるとともに,乙3文献の発行日以前に運用され,当業者に広く知られていた。さらに,上記ゲーム以外にも,ネットワークゲームにおいてゲームの進行とデータの管理をサーバで行う構成は,当業者に広く知られていた。加えて,本件特許の出願日より前に,ネットワークゲームにおいてゲームの進行とデータ管理をサーバで行う構成は,多数の特許文献に開示されていた。したがって,上記各手段をサーバ装置に備えたネットワークゲームは,当業者にとって周知であった。 そうすると,当業者であれば,ネットワークゲームにおいて,上記各手段を全てネットワークゲーム用サーバ装置に備えるようにすることは,当業者が容易に想到できる。 オ相違点2の検討サーバ側でゲームの処理を行う際には,サーバに対してゲームのユーザが複数となることから,サーバ側にユーザに関連付けて当該ユーザが獲得したポイント及び対価データを管理するユーザ情報管理手段を備えるとともに,対価データ付与要求受信手段やポイント交換要求受信手段をサーバ側に備えることは自明であるから, ザに関連付けて当該ユーザが獲得したポイント及び対価データを管理するユーザ情報管理手段を備えるとともに,対価データ付与要求受信手段やポイント交換要求受信手段をサーバ側に備えることは自明であるから,それらの手段をサーバ側に設けることは当業者が容易に想到することができる。併せて,ポイントと対価データについても,ユーザ情報管理手段により管理される構成とすることも当業者が容易に想到することができる。 (2) 小括以上のとおり,本件発明は乙3発明及び当業者に周知な技術事項に基づい- 42 -て当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件特許は特許法29条2項に違反し,同法123条1項2号により特許無効審判により無効とされるべきものに当たる。 〔原告の主張〕(1) 本件発明と乙3発明との間で,乙3発明の「スライムキャッチャー」等が本件発明の「ゲーム」に,「ゴールド」が「ポイント」にそれぞれ相当することは認め,その余は否認ないし争う。 (2) 相違点1につきア被告が主張する相違点1について,当該相違点に係る構成は周知技術ではない。 すなわち,乙8の8文献には,ユーザに付与された「ポイント」に応じて「戦利品」,「宝」,「宝箱」,「財宝」又は「アイテム」等の対価がユーザに付与されることは記載されていない。乙8の14文献も同様に,ユーザに付与された「ポイント」に応じて「経験値」,「ゴールド」,「アイテム」等の対価データがユーザに付与されることは記載されていない。 また,乙3の2文献には,ユーザに付与された「ポイント」に応じて「資金」がユーザに付与されることは記載されておらず,ユーザに付与された「資金」,「アイテム」又は資金によって購入した「必殺技」等のデータ情報や,「エリアマスター」ではないプレイヤーの情報等がサーバ装置側で ユーザに付与されることは記載されておらず,ユーザに付与された「資金」,「アイテム」又は資金によって購入した「必殺技」等のデータ情報や,「エリアマスター」ではないプレイヤーの情報等がサーバ装置側で管理されているかどうかは記載されていない。加えて,ユーザが「ポイント」を消費して「資金」を購入する処理や,ユーザが「資金」を売却して「ポイント」に戻す処理がいずれも記載されていない。 被告が提出する以上三つの文献にはいずれも,ポイントとの交換によってユーザに対価データを付与する,という本件発明に係るゲーム構造が記載されておらず,対価データがサーバ側で管理保存されることが開示されていない。 - 43 -その余の被告が提出する文献を見ても,ポイントとの交換によってユーザに対価データを付与するという本件発明に係るゲーム構造が記載されておらず,ユーザが「ポイント」を消費して「対価データ」を購入する処理や,ユーザが「対価データ」を売却して「ポイント」に戻す処理も記載されていない。 したがって,ネットワークゲームについて,ネットワークゲーム用サーバ装置が「ゲーム実行手段」,「ポイント付与手段」,「対価データ付与手段」,「ユーザ情報管理手段」,「ポイント交換要求受信手段」及び「対価データ付与要求受信手段」の六つの各手段をいずれも備えたものが,当業者にとって周知であったとは認められない。 イよって,当業者は乙3発明に基づいて,上記各手段をいずれもネットワークゲーム用サーバ装置に備える構成とすることは想到できない。 (3) 相違点2につきアまた,被告が主張する相違点2が存在するとしても,以下のとおり,乙3文献を主引例とする進歩性欠如は認められない。 イ 「カードのほこら」(その中に含まれる「のみの市」及び「グランマーズの館」)はカードを売るこ 主張する相違点2が存在するとしても,以下のとおり,乙3文献を主引例とする進歩性欠如は認められない。 イ 「カードのほこら」(その中に含まれる「のみの市」及び「グランマーズの館」)はカードを売ることができるものであるが,カードの価値に応じたゴールドを付与しないので,本件発明のように「・・・対価データに相当するポイントをユーザに付与」するものではない。ほかに,本件発明の「対価データ」や「ゲーム」に相当するものは乙3発明には存在しない。 ウさらに,被告が主張する周知技術を前提にし,乙3発明に当該周知技術を組み合わせたとしても,本件発明のように「対価データ」をサーバ側で管理保存するかどうかが明らかでない,という相違点(以下「相違点A」という。)が残る。 すなわち,ネットワークゲームにおいて,サーバ側でゲームの処理を行うことが本件特許の出願時に公知であったとして,それでもなお,「対価- 44 -データ」をサーバ側で管理保存するか,端末装置側で管理保存するかという選択肢が残されている。本件特許の出願時の貧弱な通信環境においては,端末装置側で管理保存することが自然であり,当時の公知技術で「対価データ」をサーバ側で管理保存する例は存在しなかった。本件発明のようにユーザが多種多様の「対価データ」を獲得・保存することが予定されている場合には,サーバ側で「対価データ」を管理保存することは,「対価データ」の一覧性を実現するには困難が生じる。 したがって,当業者において相違点Aを埋めることはできず,本件発明の進歩性を否定することはできない。 エまた,乙3発明は,「グランマーズの館」におけるカードの売却価格は一律であり,「のみの市」では言い値であり,本件発明のように「対価データに相当するポイント」がユーザに付与されない。 したがって,乙3発明のゲ 発明は,「グランマーズの館」におけるカードの売却価格は一律であり,「のみの市」では言い値であり,本件発明のように「対価データに相当するポイント」がユーザに付与されない。 したがって,乙3発明のゲームは,「ポイント交換要求に応じて前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データを消去するとともに,当該対価データに相当するポイントをユーザに付与する」構成を備えていない。 そうすると,乙3発明は,「ユーザに付与されたポイントに応じて所定の価値を有する対価データを当該ユーザに付与する対価データ付与手段」も存在せず,よって,「対価データをユーザに獲得させるゲーム」,「対価データ付与手段」,「ユーザ情報管理手段」,「対価データ付与要求受信手段」,「ポイント交換要求受信手段」の全てが欠如している(以下,この相違点を「相違点B」という。)。 そして,本件発明は,その構成により,作用効果として,ユーザがゲーム進行度合いに応じて対価データの獲得率が向上する等の期待感を高めていくことができ,さらにポイントを貯めて所望のカード画像を獲得しようという動機付けになる,といった顕著な効果を奏するようにしたものであ- 45 -る。 したがって,当業者において相違点Bに係る構成を容易に想到することはできず,本件発明の進歩性を否定することはできない。 5 争点(2)ウ(乙25文献による新規性欠如)について〔被告の主張〕以下のとおり,本件発明は,本件発明の特許出願日(平成13年7月5日)より前である平成12年10月31日に頒布された刊行物である乙25文献に係る発明である乙25発明と同一の発明であって,新規性を欠くから,特許法29条1項3号により特許を受けることができず,本件特許は同法123条1項2号により特許無効審判により無効とされるべきものに当た 係る発明である乙25発明と同一の発明であって,新規性を欠くから,特許法29条1項3号により特許を受けることができず,本件特許は同法123条1項2号により特許無効審判により無効とされるべきものに当たる。 (1) 乙25文献には,本件発明の構成要件の全てに相当する構成が記載されている。 すなわち,乙25発明と本件発明を対比すると,乙25発明の「アイテム」は本件発明の「対価データ」に相当し,以下同様に,サーバ「Realm(レルム)」(以下「乙25サーバ」という。)によって,複数の街やダンジョンを舞台に少なくとも21のクエストをゲームとしてユーザに提供する「ディアブロⅡ」(以下「乙25ゲーム」という。)は「ネットワークを介してユーザが使用する端末装置との間でデータの送受信を行い所定の価値を有する対価データをユーザに獲得させるゲーム(大)」に,上記の21のクエストの各々は,「ゲーム(小)」に,「ゴールド」は「ポイント」にそれぞれ相当する。さらに,「売買画面」を介したアイテム等の売買処理は,購入する場合は手持ちのゴールドが購入できる程度に十分ある場合にゴールドをアイテムの対価として支払うことになるから,そのことはシステムとして「ポイントが所定条件を満たす場合に」「対価データをユーザに付与するとともに,付与された対価データに対応して定められたポイントを減少させ」る点に,「売買画面」を介したアイテム等の売買処理は,アイテムを売ることが- 46 -できるものであり,そのことはシステムとして「ポイント交換要求に応じて」「対価データを消去するとともに対価データに相当するポイントをユーザに付与」する点に,それぞれ相当する。 さらに,乙25発明は,乙25ゲームが乙25サーバによって提供されるゲームであることから,サーバ装置に「ゲーム実行手段」を備えてい タに相当するポイントをユーザに付与」する点に,それぞれ相当する。 さらに,乙25発明は,乙25ゲームが乙25サーバによって提供されるゲームであることから,サーバ装置に「ゲーム実行手段」を備えている。また,乙25ゲームは,ユーザがゴールドを手に入れることができるから,乙25発明では,サーバ装置に「ポイント付与手段」を備えることは明らかであり,ユーザがゴールドによりアイテムを購入し,またアイテムを売却してゴールドに替えることができるから,乙25発明では,サーバ装置に「対価データ付与手段」,並びに,アイテム売却による「ポイント付与手段」を備えることも明らかである。 よって,乙25発明は,本件発明の構成要件の全てに相当する構成を備えている。 (2) また,乙25発明は, 乙25サーバによって提供されるネットワークゲームのシステムであるから,本件発明の「ネットワークゲーム用サーバ装置」と「ネットワークゲーム用システム」である点で共通する。なお,念のために言及すると,乙25発明においても,ユーザに対価データの獲得を容易に行わせるとともに,ユーザに継続的にゲームを行わせることができるネットワークゲーム用サーバ装置等を提供できるという作用効果を奏する。 (3) そうすると,本件発明が乙25発明と同一であることは明らかである。 〔原告の主張〕上記〔被告の主張〕のうち,乙25発明と本件発明の対比のうち,「クエスト」が「ゲーム(小)」に,「ゴールド」が「ポイント」にそれぞれ相当すること,「アイテム」が「対価データ」に該当することは認め,その余は全て否認する。 乙3発明と本件発明の対比と同様,本件発明では「対価データ」がサーバ- 47 -側で管理保存されるが,乙25発明はそのような構成ではない(相違点A)。 すなわち,乙25ゲームでは「アイテ する。 乙3発明と本件発明の対比と同様,本件発明では「対価データ」がサーバ- 47 -側で管理保存されるが,乙25発明はそのような構成ではない(相違点A)。 すなわち,乙25ゲームでは「アイテム」はPC上で管理・保管される。 乙25サーバは,あくまで対戦サービスを提供するだけであり,「売買画面」が同サーバによって生成されないから,同サーバに「ポイント付与手段」,「対価データ付与手段」,「ユーザ情報管理手段」,「対価データ付与要求受信手段」,「ポイント交換要求受信手段」は存在しない。 よって,本件発明と乙25発明とは相違点Aにおいて相違する。 また,乙25ゲームの各「クエスト」は「複数のゲーム」ではない。 よって,乙25発明には本件発明の構成要件Bが記載されていない(相違点B)。 6 争点(2)エ(乙25文献を主引例とする進歩性欠如)について〔被告の主張〕仮に乙25発明と本件発明に相違点が見出されるとすれば,後記10〔被告の主張〕(1)記載の本件訂正発明の【要点1】ないし【要点4】であると想定される。しかし,それらの相違点については,乙25文献や,乙26文献,乙28文献,乙29文献に記載されているか,あるいはそれらから導き出される周知技術にすぎない。 以上のとおり,本件発明は当業者にとって容易に想到できたものであるから,少なくとも進歩性を欠如しており,特許法29条2項に違反し,本件特許は同法123条1項2号により特許無効審判により無効とされるべきものである。 〔原告の主張〕被告の主張は否認ないし争う。 被告の主張する相違点については,本件訴訟に提出された全ての証拠を精査しても,当業者が同相違点に係る構成を想到することはできない。 7 争点(2)オ(乙26,乙28及び乙29文献を主引例とする進歩性欠如)について- いては,本件訴訟に提出された全ての証拠を精査しても,当業者が同相違点に係る構成を想到することはできない。 7 争点(2)オ(乙26,乙28及び乙29文献を主引例とする進歩性欠如)について- 48 -〔被告の主張〕後記10〔被告の主張〕のとおり,本件訂正発明が乙26文献,乙28文献及び乙29文献を主引用例として進歩性欠如が認められるから,訂正前の発明である本件発明もまた当然に,進歩性欠如が認められる。 〔原告の主張〕被告の主張は否認ないし争う。 8 争点(2)カ(実施可能要件違反)について〔被告の主張〕仮に前記の新規性欠如及び進歩性欠如の主張がいずれも理由がないとして,被告は,予備的に,次のとおり本件発明は実施可能要件違反によって特許無効審判により無効とされるべきものであると主張する。 すなわち,本件明細書等では,対価データの複製及び改竄等のユーザの不正行為を確実に防止する方法については,対価データの送信前又は送信時に画像データに対して行われる「所定のデータ処理」と抽象的に記載されるのみで(段落【0103】,【0128】,【0159】),それを具現すべき具体的手段については,本件明細書等に何ら記載されていない。 したがって,当業者であっても,「複製及び改竄の容易な対価データを扱うネットワークゲームを円滑に運営することができる管理」が,本件発明の構成要件Eの「ユーザ情報管理手段」との関係でどのように具体的に実現されるのか,本件明細書等の発明の詳細な説明に基づいても理解することができず,本件発明を実施することができない。 〔原告の主張〕被告の主張は争う。 9 争点(2)キ(サポート要件違反)について〔被告の主張〕また,仮に前記の新規性欠如及び進歩性欠如の主張がいずれも理由がないと- 49 -し 〔原告の主張〕被告の主張は争う。 9 争点(2)キ(サポート要件違反)について〔被告の主張〕また,仮に前記の新規性欠如及び進歩性欠如の主張がいずれも理由がないと- 49 -して,被告は,予備的に,次のとおり,本件発明はサポート要件違反によって特許無効審判により無効とされるべきものであると主張する。 すなわち,本件明細書等では,対価データの複製及び改竄等のユーザの不正行為を確実に防止する方法については,対価データの送信前又は送信時に画像データに対して行われる「所定のデータ処理」と記載されるのみで,ほかに何ら記載されていない。 よって,当業者は,本件明細書等の発明の詳細な説明の記載に接して,本件特許の出願時の技術常識を参酌しても,原告が主張する「複製及び改竄の容易な対価データを扱うネットワークゲームを円滑に運営することができる管理」の実現という課題を,本件発明によって解決できるか否かを理解することができない。 したがって,本件発明は,発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものである。 〔原告の主張〕被告の主張は争う。 10 争点(3)ア(本件訂正により争点(2)の無効理由を解消することができるか)について〔原告の主張〕以下のとおり,本件訂正により争点(2)の無効理由は解消されるから,本件特許権の行使は,何ら制約されるものではない。 (1) 本件訂正発明においては,ゲームには「価値が異なる複数の対価データが存在する」こと,「該対価データの獲得に必要なポイントが前記対価データの価値に応じて異なる対価データ付与手段」を有すること等が規定された。 すなわち,本件訂正発明においては,異なる価値を有する複数種類の対価データが存在し,かつ,それらの対価データの獲得に必要なポイントが対価データの価値に応じて異な 手段」を有すること等が規定された。 すなわち,本件訂正発明においては,異なる価値を有する複数種類の対価データが存在し,かつ,それらの対価データの獲得に必要なポイントが対価データの価値に応じて異なる。 - 50 -さらに,本件訂正発明においては,「対価データを獲得するために必要とされるポイントの獲得が可能な複数のゲームの中から1つのゲームをユーザに実行させるためのゲーム実行手段」を有することが規定された。 そのため,対価データの獲得の困難性が対価データの価値に応じて変化する。 また,ユーザが対価データを獲得するためにはポイントを貯める必要があるところ,そのポイントを獲得する手段として複数のゲームが用意されている。 その結果,本件訂正発明においては,本件明細書等の段落【0004】記載のとおり,「ユーザに対価データの獲得を容易に行わせることができるとともに,ユーザに継続的にゲームを行わせることができる」との効果が生じる。 以上の点については,乙3発明には一切記載されていない。乙3発明には,貯めたゴールドと引き替えにカードを獲得する手段として「グランマーズの館」が用意されているが,その「グランマーズの館」には,カードの獲得の困難性に応じて必要なゴールドが異なることは記載されておらず,むしろ,カードの獲得困難性に関わりなく,カードの購入に必要なゴールドが一定値に設定されていることが推察される。さらに,他に提出された全ての証拠を精査しても,上記構成が記載されたものはなく,上記構成に想到することは当業者といえども不可能である。 (2) さらに,本件訂正発明は,「前記ポイント付与手段によってユーザに付与された現在のポイントを表すポイント表示部と,対価データ付与を行うかどうかを選択するメニュー選択部とを含む意思確認画面を前記端末装置に表示するた 正発明は,「前記ポイント付与手段によってユーザに付与された現在のポイントを表すポイント表示部と,対価データ付与を行うかどうかを選択するメニュー選択部とを含む意思確認画面を前記端末装置に表示するためのデータを前記端末装置に送信してこれを表示させた後に,前記ポイント付与手段によってユーザに付与されたポイントに応じて所定の価値を有する対価データを当該ユーザに付与する対価データ付与手段」を有している。 この点についても,乙3発明には記載されていない。さらに,他に提出された全ての証拠を精査しても,上記構成が記載されたものはなく,上記構成に想到することは当業者といえども不可能である。 - 51 -(3) 本件訂正発明は,「前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データの1つを指定するデータを受信し,指定された対価データに対応したポイントを表示するポイント表示部とポイント交換を行うかどうかを選択するメニュー選択部とを含むポイント表示画面を前記端末装置に表示するためのデータを前記端末装置に送信してこれを表示させた後に,前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データと当該対価データに対応して定められたポイントとの交換を要求するポイント交換要求を前記端末装置から受信するポイント交換要求受信手段」を有しているが,この点についても,乙3発明には記載されていない。 本件訂正発明は,上記の構成を有することによって,「価値が異なる複数の対価データ」のうち,ユーザが一つの対価データを指定すると,その対価データの売却価格をユーザに把握させることが可能となり,本件明細書等の段落【0103】記載のとおりユーザの「対価データ」に対する「所有意識を満足させながら,ゲームを円滑に運営することができる。」という作用効果を奏する。 また,「ユーザ情報管理手 り,本件明細書等の段落【0103】記載のとおりユーザの「対価データ」に対する「所有意識を満足させながら,ゲームを円滑に運営することができる。」という作用効果を奏する。 また,「ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データの1つを指定するデータを受信し」た場合に,その「指定された対価データに対応したポイント」,すなわち指定された一つの対価データと引き換えに得られるポイント(売却価格)をネットワークゲーム用サーバ装置から端末装置に送信する構成としたため,いずれの対価データも売却候補として選択されていない前の段階から,それぞれの対価データに対応したポイントの全てを特定してサーバ装置から端末装置に送信する場合と比較して,ポイントの特定の処理に要するサーバ装置の負担を軽減でき,特定されたポイントを端末装置に送信する際の通信量を削減でき,その通信量の削減に伴って端末装置における受信データの処理の負担も軽減できるという効果も得られる。 さらに,端末装置の表示面積,解像度に限りがあることを考慮すれば,一つ- 52 -の対価データを指定した後の段階で,その対価データに対応したポイントを端末装置に送信して表示させる場合には,対価データの指定前に対価データごとのポイントを送信して対価データの情報とともに表示させる場合と比較して,表示されるべき情報の煩雑化を抑え,対価データの売却時の画面構成をユーザにとってよりわかりやすいものに設定することができる。 これらの効果は,「ポイント交換要求受信手段」を上記のように構成したことによって導き出される固有の効果に他ならないところ,そのような構成及び効果を示唆するものは乙3発明に存在しない。 (4) そして,他に提出された全ての証拠を精査しても,この点に関する構成が記載されているものはない。乙3発明のよう 他ならないところ,そのような構成及び効果を示唆するものは乙3発明に存在しない。 (4) そして,他に提出された全ての証拠を精査しても,この点に関する構成が記載されているものはない。乙3発明のように,売却価格が一律の値に設定されているものは,サーバ装置が対価データの売却によって得られるポイントを対価データごとに特定する処理は不要であり,かつ,売却で得られるポイントを特定する情報をサーバ装置から端末装置に対して対価データごとに送信する必要もなく,さらには,売却で得られるポイントを対価データごとに端末装置の画面に表示させる必要もない。 これに対して本件訂正発明では,上記のように,対価データを獲得するために必要とされるポイントが対価データの価値によって異なるという対価データのいわば購入価格(獲得に必要なポイント)に多様性,柔軟性を与えたため,「対価データに相当するポイント」も,対価データの獲得困難性に応じた多様性,柔軟性が予定される。その場合,サーバ装置にて対価データごとのポイントを特定し,ポイントを特定する情報を対価データごとに送信し,あるいは端末装置にて対価データごとのポイントを表示させるものとすれば,サーバ装置における処理の負担増,サーバ装置から端末装置への情報の通信量が増大し,あるいは端末装置における処理の負担増,あるいは表示の煩雑化といった課題が新たに生じることになる。 しかし,乙3発明及びその他の全ての証拠を精査しても,本件訂正発明の- 53 -特徴である,「対価データ付与手段」において「対価データの獲得に必要なポイント」が対価データの「価値」に応じて異なるという構成を示唆するものすら存在しない以上,このような構成に伴って生じる新たな課題を示唆するものが全ての証拠に存在しないことは明らかである。 したがって,上記構成を想 ータの「価値」に応じて異なるという構成を示唆するものすら存在しない以上,このような構成に伴って生じる新たな課題を示唆するものが全ての証拠に存在しないことは明らかである。 したがって,上記構成を想到することはいかなる当業者といえども不可能である。 (5) この点に関して被告は,本件発明に乙25発明等を組み合わせることは当業者にとって何ら困難ではないから,本件発明と同様に進歩性を有しないと主張する。 アしかし,乙25ゲームは「アイテム」がPC上で管理・保存されるゲームであるから,乙25文献には【要点3】及び【要点4】が記載されていない。また,乙25ゲームにはクエストが複数あるとはいえ,それらは順次クリアしていくべき同一のゲームの個々の面(ステージ)であり,冒険をしてモンスターを倒すという一つのゲームの一部であるにすぎず,複数のゲームが存在しないから,【要点2】も記載されていない。そして,【要点2】ないし【要点4】はいずれも周知技術ではない。さらに,乙3発明と本件発明は相違点A及び相違点Bにおいて相違するが,相違点Aは乙25文献には記載されておらず,周知技術でもない。 よって,乙3発明と乙25発明を組み合わせても,当業者は本件発明を想到することができない。 イまた,乙26文献には,「ウルティマオンライン」が「アイテム」がPC上で管理・保存されるゲームであり,そもそも意思確認画面や売買画面(ポイント表示画面)が全く記載されていないから,【要点3】及び【要点4】が記載されていない。また,同ゲームにおける複数の街やダンジョン,複数の大陸はキャラクターが冒険をする一つの仮想世界の一部分ないし冒険をしてモンスターを倒すという一つのゲームの一部分であるにすぎ- 54 -ず,複数のゲームが存在しないから,【要点2】も記載されていない。そ ャラクターが冒険をする一つの仮想世界の一部分ないし冒険をしてモンスターを倒すという一つのゲームの一部分であるにすぎ- 54 -ず,複数のゲームが存在しないから,【要点2】も記載されていない。そして,【要点2】ないし【要点4】はいずれも周知技術でもない。さらに,乙3発明と本件発明とは相違点A及び相違点Bにおいて相違するが,相違点Aは乙26文献には記載されておらず,周知技術でもない。 よって,乙3発明と乙26発明を組み合わせても,当業者は本件発明を想到することができない。 ウ乙28文献も,「ウルティマオンライン」に関するものであり,「アイテム」はPC上で管理・保存されるから,【要点3】及び【要点4】は記載されていない。また,「複数のゲーム」が存在しないから【要点2】も記載されていない。そして,乙26文献と同様,乙3発明と乙28文献に係る発明を組み合わせても,当業者は本件発明を想到することができない。 エ乙29文献では,ユーザがバーチャルマネーを用いてバーチャルエレメントを獲得する際,管理ステーションのコンピュータが送信するのは,バーチャルエレメント価格と当該ユーザ保有のバーチャルマネー量のみであり,意思確認画面ではない。また,ユーザがバーチャルエレメントを売却してバーチャルマネーを獲得する際,上記コンピュータが送信するのは,ユーザ保有の全てのバーチャルエレメントについてのバーチャルエレメントの種類,数量を表すデータと,当該ユーザ保有のバーチャルエレメントの各々のバーチャルエレメント価格を表すデータであって,意思確認画面ではない。 以上のとおり乙29発明では,意思確認画面もポイント表示画面もサーバによって送出されない。 したがって,乙29文献には,【要点3】及び【要点4】は記載されていない。また,乙29文献には,バーチャルマ 上のとおり乙29発明では,意思確認画面もポイント表示画面もサーバによって送出されない。 したがって,乙29文献には,【要点3】及び【要点4】は記載されていない。また,乙29文献には,バーチャルマネーがどのように獲得されるのかについて一切記載されておらず,「ポイントの獲得が可能な複数のゲーム」が存在せず,「複数のゲームの中から1つのゲームをユーザに実- 55 -行させるためのゲーム実行手段」も存在しないから,【要点2】も記載されていない。さらに,乙3発明と本件発明とは相違点A及び相違点Bにおいて相違するが,相違点A及びBは乙29文献には記載されておらず,周知技術でもない。 よって,乙3発明と乙29発明を組み合わせても,当業者は本件発明を想到することができない。 〔被告の主張〕本件訂正発明は,本件発明に後記【要点1】ないし【要点4】の各構成要件を付加したものであるが,付加された要件はいずれも本件発明の出願時に存在した同一技術分野に属する周知技術であったものであり,特に,乙25文献,乙26文献に全て記載ないし示唆されており,さらに乙28文献,乙29文献にも記載ないし示唆されており,当業者にとって組み合わせることは何ら困難ではないから,本件発明と同様に進歩性を有しない。 したがって,本件訂正により少なくとも争点(2)イ及びエの無効理由は解消されない。 (1) 本件訂正発明の訂正の具体的内容は,次の4点(要点1ないし要点4)である。 【要点1】複数ある対価データはそれぞれ異なる価値を有し,対価データ獲得の困難性であるところの獲得に必要なポイントも異なることを明確にしたこと(構成要件A,D-1の後半部分及びD-2の訂正),【要点2】複数のゲームはポイントの獲得が可能であること(構成要件Dの訂正),【要点3】ポイント 要なポイントも異なることを明確にしたこと(構成要件A,D-1の後半部分及びD-2の訂正),【要点2】複数のゲームはポイントの獲得が可能であること(構成要件Dの訂正),【要点3】ポイントを用いて対価データを獲得する際の意思確認画面を端末装置に表示するためのデータがサーバによって送出されることに限定したこと- 56 -(構成要件D-1の前半部分の訂正),【要点4】対価データをポイントに交換する際のポイント表示画面を端末装置に表示するためのデータがサーバによって送出されることに限定したこと(構成要件Gの訂正)。 (2) 乙25文献につき乙25発明において,乙25ゲームは,本件発明と同様,サーバ上でのゲーム進行及びデータ保存を行うネットワークゲーム用サーバ装置で実施される。そして,乙25文献には,同ゲームについて,本件訂正発明の上記【要点1】ないし【要点4】の記載がある。 すなわち,乙25文献には,①同ゲームには,豊富にアイテムが用意され,基本的には,アイテムは強力なものほど高価になり,装備するために必要なステータスも高く設定されている(【要点1】),②複数のクエストが用意され,クエストでモンスターを倒すとゴールドやアイテムを獲得でき,強いモンスターやレアなモンスターを倒すとレアアイテム等の良いアイテムを獲得できることが多い(【要点2】),③アイテム売買画面において,ユーザは買いたいアイテムの内容と金額を確認してから,アイテムを獲得する構成になっており,かかるアイテム売買画面を端末装置に表示するためのデータがサーバによって送出される(【要点3】),また,アイテム売買画面において,ユーザが所持するアイテムを売りたいときも同様の構成になっていて,かかるアイテム売買画面を端末装置に表示するためのデータがサーバによって送 送出される(【要点3】),また,アイテム売買画面において,ユーザが所持するアイテムを売りたいときも同様の構成になっていて,かかるアイテム売買画面を端末装置に表示するためのデータがサーバによって送出される(【要点4】),以上のことが記載されている。 したがって,本件訂正発明の【要点1】ないし【要点4】はいずれも乙25文献に記載されている。また,万が一記載されていない事項があるとしても,後述の乙26文献,乙28文献,乙29文献に基づき周知技術であるから,進歩性が認められない。 - 57 -(3) 乙26文献につき乙26文献に記載された「ウルティマオンラインザ・セカンドエイジ」は,本件発明と同様,サーバ上でのゲーム進行及びデータ保存を行うネットワークゲーム用サーバ装置で実施される。そして,乙26文献には,同ゲームについて,本件訂正発明の上記【要点1】ないし【要点4】の記載がある。 すなわち,乙26文献には,①同ゲームでは,アイテム作成の原材料は比較的よく売れるが,武器・防具等は高級品でないと売るのは難しい,アイテムの基準価格は,アイテムの効力,素材,魔法のチャージ数等に左右され,製造に必要な天然素材がその地域で豊富に入手できるかによって調整される(【要点1】),②ユーザは冒険をして戦利品を得るほか,アイテムを作成してこれをNPCショップへ売却したり,他のプレイヤーに販売することができ,冒険については,(旧)大陸のほかに新大陸が舞台とされ,複数の街やダンジョンが用意されているほか,”プリスナー・クエスト”や”トレジャーハント”といったものも用意されている(【要点2】),③ユーザはアイテムをNPCと売買するとき,システムによって上記②の価格変動要素によって価格が取り決めされる(【要点3】【要点4】),以上のことが記載されている。 も用意されている(【要点2】),③ユーザはアイテムをNPCと売買するとき,システムによって上記②の価格変動要素によって価格が取り決めされる(【要点3】【要点4】),以上のことが記載されている。 (4) 乙28文献につき乙28文献に記載された「ウルティマオンラインルネッサンス・エディション」は,本件発明と同様,サーバ上でのゲーム進行及びデータ保存を行うネットワークゲーム用サーバ装置で実施される。そして,乙28文献には,同ゲームについて,本件訂正発明の上記【要点1】ないし【要点4】の記載がある。 すなわち,乙28文献には,①同ゲームでは,生産系キャラクターであれば,製作活動に励んでスキルを磨けば,よりいいアイテムを作成できるようになり,冒険者ならば,鍛錬を積んでより強力になれば,モンスターを倒す- 58 -などしてアイテムを獲得することができ,アイテムには,武器・防具といったものが多数用意され,より強力なモンスターほど貴重なアイテムや多くのgpを獲得することができる(【要点1】),②ユーザは上記2種類のキャラクターを選択でき,複数の街やダンジョンが用意され,街には冒険や商売に欠かせない材料やアイテムが売られ,ダンジョンにはモンスターが生息し,強力なモンスターほど倒したときに貴重なアイテムや多くのgpを獲得することができる(【要点2】),③ユーザはNPCベンダーとの間で,アイテムを購入したり,所持するアイテムを売却してgpを得ることができる(【要点3】,【要点4】),以上のことが記載されている。 (5) 乙29文献につき乙29発明は,管理ステーション側で管理されているバーチャルエレメント(対価データ)とユーザの保有するバーチャルエレメント及びバーチャルマネー(ポイント)を記憶管理し,かかる管理ステーションにユーザがユーザ は,管理ステーション側で管理されているバーチャルエレメント(対価データ)とユーザの保有するバーチャルエレメント及びバーチャルマネー(ポイント)を記憶管理し,かかる管理ステーションにユーザがユーザステーションを介してアクセスすることにより,バーチャルエレメントとバーチャルマネーとの相互交換(売買)処理を行うものである。そして,乙29発明は,ネットワークゲーム上のアイテム交換を前提としている。さらに,乙27発明を踏まえると,乙29発明がサーバ上で進行が行われるゲーム上で獲得されたポイントがアイテムとの相互交換(売買)も想定していることは明らかである。そうすると,本件訂正発明の上記【要点1】及び【要点2】は前提条件である。 そして,乙29文献には,バーチャルマネー(ポイント)を用いてバーチャルエレメント(アイテム)を獲得する際(アイテムの購入時),意思確認画面を端末装置に表示するためのデータがサーバによって送出される旨記載があり(【要点3】),バーチャルエレメント(対価データ)をバーチャルマネー(ポイント)に交換する際に,バーチャルエレメント及びそれに対応するバーチャルエレメントの価格,及びユーザの保有するバーチャルマネー- 59 -の量を確認可能に構成された売買画面(ポイント表示画面)を端末装置に表示するためのデータがサーバによって送出される旨記載がある(【要点4】)。 (6) 以上のとおり,本件訂正発明の【要点1】ないし【要点4】は全て周知技術であるといわざるを得ない。そして,当業者にとって,本件発明に組み合わせることは何ら困難ではない。 したがって,本件訂正発明は,本件発明と同様に進歩性を有しない。 11 争点(3)イ(被告サーバ装置は本件訂正発明の技術的範囲に属するか)について〔原告の主張〕(1) 以下のとおり,被告 したがって,本件訂正発明は,本件発明と同様に進歩性を有しない。 11 争点(3)イ(被告サーバ装置は本件訂正発明の技術的範囲に属するか)について〔原告の主張〕(1) 以下のとおり,被告サーバ装置は,本件訂正発明の構成要件をいずれも文言充足するから,本件訂正発明の技術的範囲に属する。 ア本件訂正発明の構成要件A’について(ア) 被告サーバ装置が提供する本件ゲームでは,「強化された選手カード」を獲得するのに必要とされる必要強化ポイントは,選手カードごとに,そのレア度(選手カードの貴重さの度合いを示す固定の値)を用いて計算される。 本件ゲームの「強化された選手カード」が「対価データ」に該当することを前提にすると,本件ゲームは,「前記価値が異なる複数の対価データが存在するゲーム」に当たる。 よって,被告サーバ装置は,本件訂正発明の構成要件A’を充足する。 (イ) この点に関して被告は,同構成要件の「対価データが存在するゲーム」とは,「対価データが予め用意されている」ものに限ると限定解釈して,本件ゲームはこれに当たらないと主張して,同構成要件の充足性を否定する。 しかし,「対価データが存在するゲーム」とは,ゲームのどこかの段階で「対価データ」がユーザに提供できればよく,ユーザがポイントを- 60 -消費する選択をした後に存在するに至るかどうかとは無関係である。 仮に被告の上記主張を前提にしても,本件ゲームにおいては,対価データに相当する「強化された選手カード」を構成する個々の要素,すなわち,カード画像の要素画像,選手カードの球威,制球,投力といったパラメータを生成する計算式等が予めプログラムの形で用意されており,「強化された選手カード」を得るために必要な強化ポイントが提示された後,ユーザは強化ポイントの消費を ードの球威,制球,投力といったパラメータを生成する計算式等が予めプログラムの形で用意されており,「強化された選手カード」を得るために必要な強化ポイントが提示された後,ユーザは強化ポイントの消費を選択しているのであるから,「強化された選手カード」はポイントの消費を選択する前に予め用意されている,すなわち,存在している。したがって,被告の主張を前提にしても構成要件充足性は否定されない。 イ本件訂正発明の構成要件D’-1について本件ゲームでは,ユーザが「強化」を行うことにより,被告サーバ装置が「強化された選手カード」をユーザに付与するから,被告サーバ装置は,「前記ポイント付与手段によってユーザに付与されたポイントに応じて所定の価値を有する対価データを当該ユーザに付与する対価データ付与手段」に当たる。 本件ゲームでは,「強化」をする前に,「強化画面」を表示するデータが被告サーバ装置から端末装置に送信される。この「強化画面」には,「[ポイント数1](ユーザに付与された現在)→[ポイント数2]」旨の表示とともに,「強化開始」ボタンが表示される。 本件ゲームの「強化画面」は,ユーザに付与された現在のポイントを表す「ポイント表示部」と強化開始をするかどうかを確認する「メニュー選択部」を含んでいるから,この「強化画面」は「意思確認画面」に該当する。 本件ゲームの「強化された選手カード」が「対価データ」に該当することを前提にすると,被告サーバ装置は,「前記ポイント付与手段によって- 61 -ユーザに付与された現在のポイントを表すポイント表示部と,対価データ付与を行うかどうかを選択するメニュー選択部とを含む意思確認画面を前記端末装置に表示するためのデータを前記端末装置に送信してこれを表示させた後に」「対価データを付与する」構成を備えている 対価データ付与を行うかどうかを選択するメニュー選択部とを含む意思確認画面を前記端末装置に表示するためのデータを前記端末装置に送信してこれを表示させた後に」「対価データを付与する」構成を備えている。 前記アによれば,本件ゲームは,「該対価データの獲得に必要なポイントが前記対価データの価値に応じて異なる」ものである。 よって,被告サーバ装置は,本件訂正発明の構成要件D’-1を充足する。 ウ本件訂正発明の構成要件E’について被告サーバ装置には,ユーザ情報テーブル,ユーザ所持カード情報テーブル及び固定選手カード情報テーブルが存在し,それらのテーブルで「強化ポイント(「所持強化P」)」,「強化された選手カード」にかかる「所持カードID」及び「レア度」が管理されている。 本件ゲームの「強化された選手カード」が「対価データ」に該当することを前提にすると,それらのテーブルは「ユーザ情報管理手段」に該当する。 よって,被告サーバ装置は,本件訂正発明の構成要件E’を充足する。 エ本件訂正発明の構成要件F’について被告サーバ装置は,「強化画面」の「強化開始」ボタンが押されると,その旨の要求(「前記端末装置から対価データの付与を要求するタイかデータ付与要求」)を受信する。 本件ゲームの「強化された選手カード」が「対価データ」に該当することを前提にすると,被告サーバ装置は本件訂正発明の構成要件F’を充足する。 オ本件訂正発明の構成要件G’について本件ゲームの「強化された選手カード」が「対価データ」に該当するこ- 62 -とを前提にすると,本件ゲームにおいては,ユーザは「強化された選手カード」を「売却」することにより,「強化ポイント」を得る。 本件ゲームにおいて,端末装置で特定の選手カードを「売却する」よう指示すると,被告サ ると,本件ゲームにおいては,ユーザは「強化された選手カード」を「売却」することにより,「強化ポイント」を得る。 本件ゲームにおいて,端末装置で特定の選手カードを「売却する」よう指示すると,被告サーバ装置では,売却対象とされた選手カードに係る固定カードIDに関連付けられている売却価格を,固定選手カード情報テーブルからデータとして取得する。 そして,「売却画面」を表示するデータが被告サーバ装置から端末装置に送信される。この「売却画面」には,売却価格を示すところの[ポイント数3]「強化Pで売却します」「よろしいですか?」の表示とともに,「売却する」ボタンが表示される。上記[ポイント数3]は,「指定された対価データに対応したポイント」に対応する。 「売却画面」は,売却対象として指定された選手カードの売却価格であるポイントを表示する「ポイント表示部」と,売却するかどうかを選択する「メニュー選択部」を含んでいるから,「ポイント表示画面」に該当する。 よって,被告サーバ装置は,本件訂正発明の構成要件G’を充足する。 カ本件訂正発明の構成要件D’-2について(ア) 本件ゲームの「強化された選手カード」が「対価データ」に該当することを前提にすると,本件ゲームにおいては,「強化」によって「強化された選手カード」がユーザに付与され,ユーザの強化ポイントが減少する。 上記前提の下では,本件ゲームは,「前記ユーザ情報管理手段によって管理されているポイントが前記獲得に必要なポイント以上であることを条件として,前記対価データ付与手段に応じて前記対価データをユーザに付与する」構成を備えている。 本件ゲームにおいて,「強化」に必要な「必要強化ポイント」は,レ- 63 -ア度を用いて計算されるから,本件ゲームは,「付与された対価データの価値に応 タをユーザに付与する」構成を備えている。 本件ゲームにおいて,「強化」に必要な「必要強化ポイント」は,レ- 63 -ア度を用いて計算されるから,本件ゲームは,「付与された対価データの価値に応じて定められたポイントを減少させ」る構成を備えている。 よって,被告サーバ装置は,本件訂正発明の構成要件D’-2を充足する。 (イ) この点に関して被告は,本件ゲームでは「強化ポイント」によってユーザが保有する「選手カード」が変更されるだけであり,「強化された選手カード」を獲得するものではないと主張して,同構成要件の充足性を否定する。 しかし,本件ゲームでは,「強化された選手カード」は,ベースカードに対して,カード画像のうち選手画像部分は共通であるとしても,パラメータ部分が相違しており,客観的には,同カードと別物のカードであり,かつ,より高いパラメータに強化されていて,消費した「強化ポイント」に応じて高い価値を有するカードである。さらに,ユーザの主観から見て,「強化された選手カード」はそのパラメータが強化されていることによりベースカードよりも価値が高く,かつ消費した「強化ポイント」に応じて高い価値を有するカードとして,区別され得る。したがって,本件ゲームは「強化された選手カード」を「獲得」するものであり,被告の上記主張は誤っている。 また,被告は,本件ゲームは,「強化ポイント」を消費して既に保有する「選手カード」を変更するものにすぎず,消費する「強化ポイント」は売買のように新たな「選手カード」を獲得する対価ではなく,既に保有する「選手カード」を変更するための費用にすぎないと主張する。 しかし,本件ゲームは,上記のとおり「強化された選手カード」を「獲得」するものであり,ユーザが消費する「強化ポイント」は, く,既に保有する「選手カード」を変更するための費用にすぎないと主張する。 しかし,本件ゲームは,上記のとおり「強化された選手カード」を「獲得」するものであり,ユーザが消費する「強化ポイント」は,新たに獲得する「強化された選手カード」の対価であるから,被告の上記主張は誤っている。 - 64 -加えて被告は,本件ゲームでは,「強化された選手カード」と消費される「強化ポイント」には関連性がない旨主張する。 しかし,本件ゲームでは,「強化」において,これにより生成される可能性のある強化された選手カード(群)があり,その中から特定の「強化された選手カード」が選択,ユーザに獲得される。つまり,ベースカードとアシストカードの組み合わせにより,消費される「強化ポイント」が一義的に定まるとともに,「強化された選手カード」(群)も一義的に定まる。「強化された選手カード」(群)は同じ「価値」を有するから,「強化された選手カード」(群)の「価値」と消費される「強化ポイント」とは一対一対応している。さらに,「強化された選手カード」の「価値」は「強化された選手カード」(群)の「価値」であるから,「強化された選手カード」の「価値」と消費される「強化ポイント」とは一対一対応している。この点,ユーザが「強化された選手カード」(群)から「強化された選手カード」を獲得することは,本件発明の実施例と完全に同一である。そもそも,本件訂正発明の構成要件D’-2は,ある価値を有する「対価データ」を取得するのに,その価値に応じて定められたポイント数を減少させ,その価値に応じて定められたポイント数以外のポイント数を減少させることはないことを規定したものであり,一物一価が厳密に規定されてはいない。 したがって,被告の上記主張は失当である。 さらに, に応じて定められたポイント数以外のポイント数を減少させることはないことを規定したものであり,一物一価が厳密に規定されてはいない。 したがって,被告の上記主張は失当である。 さらに,被告は,本件ゲームでは「強化」の際に,「強化された選手カード」が未だ存在しないと主張する。 しかし,「強化」の際に,「ベースカード」と「アシストカード」は既に存在し,この合成をするために必要な「強化ポイント」に応じた価値を有する「強化された選手カード」が生まれることは予め決まっている。したがって,強化によって消費される「強化ポイント」が「ベース- 65 -カード」と「アシストカード」によって算定されるとしても,「強化ポイント」に応じて「強化された選手カード」を獲得できるのであるから,「強化ポイント」は「強化された選手カード」の価値に応じたものであることにほかならない。 したがって,被告の上記主張も失当である。 キ本件訂正発明の構成要件C’-2について本件ゲームの「強化された選手カード」が「対価データ」に該当することを前提にすると,被告サーバ装置は,本件訂正発明の構成要件C’-2を充足する。 ク本件訂正発明の構成要件B’について本件ゲームでは,ユーザは,「ミッション」や「リーグ」を行うことによって「強化ポイント」を取得することができ,この「強化ポイント」を消費して「強化された選手カード」を取得することができる。 したがって,本件ゲームの「ミッション」や「リーグ」は,「前記対価データを獲得するために必要とされるポイントの獲得が可能な複数のゲーム」に当たる。 よって,被告サーバ装置は,本件訂正発明の構成要件B’を充足する。 (2) したがって,前記第2,1(6)の被告の行為は本件特許権を侵害する。 〔被告の主張〕 得が可能な複数のゲーム」に当たる。 よって,被告サーバ装置は,本件訂正発明の構成要件B’を充足する。 (2) したがって,前記第2,1(6)の被告の行為は本件特許権を侵害する。 〔被告の主張〕(1) 以下のとおり,被告サーバ装置は,本件訂正発明の構成要件を文言充足しないから,本件訂正発明の技術的範囲に属するとは認められない。 ア本件訂正発明の構成要件A’につき本件訂正発明は,「価値が異なる複数の対価データが存在するゲームを進行させるネットワークゲーム用サーバ装置であって,前記対価データを獲得するために必要とされるポイント」を複数のゲームを通じて獲得していくことがクレームされており(構成要件A’及びB’),本件訂正発明- 66 -のネットワークゲーム用サーバが進行させるゲームは,ポイントを消費して獲得する複数の「対価データ」が存在する,すなわち「対価データ」が予め用意されたゲームであって,そのような「対価データ」をポイントと引き換えに獲得するゲームである。 そして,本件明細書等の発明の詳細な説明及び図面を参酌すると,本件訂正発明が,予め用意されている(存在する)画像データ(対価データ)をユーザに付与することを前提としていることは明らかである。 その他,本件明細書等の発明の詳細な説明中の実施例及び図面を精査しても,実施態様として,ポイントを消費して獲得する複数の「対価データ」が予め用意されておらず,ユーザがポイントを消費する選択をした後に「対価データ」が作成されるようなものは,全く開示されていない。 したがって,実施態様として,ポイントを消費して獲得する複数の「対価データ」が存在せず(予め用意されておらず),ユーザがポイントを消費する選択をした後に「対価データ」が作成されるものは,本件訂正発明の技術的範囲に 態様として,ポイントを消費して獲得する複数の「対価データ」が存在せず(予め用意されておらず),ユーザがポイントを消費する選択をした後に「対価データ」が作成されるものは,本件訂正発明の技術的範囲に属しない。 これを前提に本件訂正発明の構成要件A’と本件ゲームを対比すると,本件ゲームでは,「強化」においてユーザが強化ポイントを消費することを承諾する旨の画面表示を選択するまで,「強化された選手カード」は存在しないから,「価値が異なる複数の対価データが存在する」との構成を有しない。 よって,被告サーバ装置は,本件訂正発明の構成要件A’を充足しない。 イ本件訂正発明の構成要件D’-2につき(ア) 本件訂正発明は,対価データを「獲得」するために必要とされる「ポイント」と「対価データ」とを,相互に等価交換できるゲームに関する発明である。 特許請求の範囲の記載に即して説明すると,構成要件G’及びC’-- 67 -2は,「対価データ」を売却して仮想通貨である「ポイント」が付与される場合について規定しており,具体的には,構成要件G’は,ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データ(ユーザが保有している対価データ)と当該対価データに対応して定められたポイントとの交換について,構成要件C’-2は,ポイント交換要求に応じて,前記の対価データを消去して,当該対価データに相当するポイントをユーザに付与することをそれぞれ規定している。 同様に,構成要件D’-1,F’及びD’-2は,仮想通貨である「ポイント」を支払って「対価データ」を「獲得」(購入)する場合について規定しており,具体的には,構成要件D’-1は「対価データ付与手段」を規定しており,構成要件Fは「対価データ付与要求」の受信を規定している。そして,構成要件D’-2は,対 」(購入)する場合について規定しており,具体的には,構成要件D’-1は「対価データ付与手段」を規定しており,構成要件Fは「対価データ付与要求」の受信を規定している。そして,構成要件D’-2は,対価データを「獲得」するために必要なポイント以上のポイントを有することを条件として,「付与された対価データの価値に応じて定められたポイントを減少させ」ることを規定している。 このように,本件訂正発明は,構成要件G’及びC’-2が「対価データ」の売却時の動作を規定し,構成要件D’-1,F’及びD’-2が「対価データ」の「獲得」(購入)時の動作を規定することにより,全体として仮想通貨である「ポイント」を使用して「対価データ」を売買することができる仮想市場をクレームした発明である。 特に構成要件D’-2についていえば,その「対価データの…『獲得』に必要なポイント」以上のポイントを保有していることを条件として「付与された対価データの価値に応じて定められたポイントを減少させ」るとの文言を自然に解釈すれば,仮想通貨である「ポイント」を支払って「対価データ」を「獲得」(購入)することが想定されていることは明らかであり,「付与された対価データの価値」と等価の「ポイント」を減少させることを- 68 -意味すると解される。 そして,本件明細書等の発明の詳細な説明及び図面を参酌すると,本件訂正発明が,ユーザが保有していない新たな画像データ(対価データ)を獲得することを前提としており,発明の詳細な説明中の実施例及び図面を見ても,ユーザが新たにカードを入手する態様のみが説明されている。その一方で,実施態様として,ユーザが既に保有する「対価データ」が変更されるにすぎず,消費される「ポイント」が「対価データ」を変更するための費用にすぎないようなものは,全く開示され 説明されている。その一方で,実施態様として,ユーザが既に保有する「対価データ」が変更されるにすぎず,消費される「ポイント」が「対価データ」を変更するための費用にすぎないようなものは,全く開示されていない。 そうすると,本件訂正発明の構成要件D’-2の「対価データの・・・獲得に必要な・・・付与された対価データに対応して定められたポイント」とは,新たに入手したカードの画像データ(対価データ)の価値と等価なポイントを意味すると解される。 したがって,実施態様として,仮想通貨である「ポイント」を消費して「対価データ」を獲得(購入)する場合に,売買のように「ポイント」と「対価データ」とが相互に等価交換されるのではなく,ユーザが既に保有する「対価データ」が変更されるにすぎず,消費される「ポイント」が「対価データ」を変更するための対価にすぎないものは,本件訂正発明の技術的範囲に属しない。 これを前提に本件訂正発明の構成要件D’-2と本件ゲームを対比すると,本件ゲームは,「強化ポイント」を消費して既に保有する「選手カード」を変更するものにすぎず,消費する「強化ポイント」は売買のように新たな「選手カード」を獲得する対価ではなく,既に保有する「選手カード」を変更するための費用にすぎない。したがって,本件ゲームの「強化ポイント」は,新たに入手したカードの画像データ(対価データ)の価値と等価なポイントではないから,「対価データの・・・獲得に必要な・・・付与された対価データに対応して定められたポイント」- 69 -が存在しない。 (イ) また,本件訂正発明の構成要件D’-2には,「対価データ」の獲得に必要なポイントは「付与された対価データの価値に応じて定められた」ことが規定されており,その文言から,「対価データ」の獲得に必要なポイントは, 訂正発明の構成要件D’-2には,「対価データ」の獲得に必要なポイントは「付与された対価データの価値に応じて定められた」ことが規定されており,その文言から,「対価データ」の獲得に必要なポイントは,既に保有しているカードの画像データ(対価データ)の価値に応じて定められるものではなく,新たに「付与」されるカードの画像データ(対価データ)の価値に応じて定められるものである。 そして,本件明細書等の発明の詳細な説明中の実施例及び図面を見ても,画像データ(対価データ)をユーザに付与する構成において,ユーザは,新たに「付与」される画像データ(対価データ)のランク(=価値)に応じて定められたポイントを消費しており,当該ポイントはユーザが既に保有する画像データ(対価データ)のランク(=価値)とは無関係なものである。 これを前提に本件訂正発明の構成要件D’-2と本件ゲームを対比すると,本件ゲームでは,「強化」により選手カードを「強化された選手カード」に変更する以前は,「強化された選手カード」は未だ存在せず,すなわち予め用意されておらず,ユーザが強化ポイントを消費する選択をした後に初めて「強化された選手カード」が作成される。したがって,「強化」により消費する「強化ポイント」が未だに存在しない「強化された選手カード」の価値に応じて定められる,ということはおよそ観念し得ない。 (ウ) さらに,本件訂正発明の構成要件D’-2には,「対価データ」の獲得に必要なポイントは「付与された対価データの価値に応じて定められた」ことが規定されており,その「定める」及び「応じて」という用語の意味から,同構成要件の「対価データ」の獲得に必要なポイントは,「付与された対価データの価値」に応じて消費ポイントが一義的に定められるものであると解される。 - 70 -これを前提 という用語の意味から,同構成要件の「対価データ」の獲得に必要なポイントは,「付与された対価データの価値」に応じて消費ポイントが一義的に定められるものであると解される。 - 70 -これを前提に本件訂正発明の構成要件D’-2と本件ゲームを対比すると,本件ゲームにおいては,「強化」において消費される「強化ポイント」は,ユーザが既に保有する選手カードから選択される「ベースカード」及び「アシストカード」のパラメータに応じて,その都度決定されるものであり,「強化された選手カード」のランク(=価値)に応じて一義的に定められるものではない。 (エ) 以上のとおり,被告サーバ装置は,本件訂正発明の構成要件D’-2を充足しない。 ウ本件訂正発明の構成要件Bにつき本件訂正発明には,対価データを獲得するために必要とされるポイントを獲得することができる「複数のゲーム」が用意されており,「ゲーム」として対価データを獲得するために必要とされるポイントを獲得することができるものが1つしかないものは,本件訂正発明の技術的範囲に属しない。 本件ゲームはかかる「ゲーム」を1つしか有しないから,本件訂正発明の構成要件Bの「複数のゲーム」に有しない。 よって,被告サーバ装置は,本件訂正発明の構成要件Bを充足しない。 (2) したがって,この点においても,原告の訂正の対抗主張は理由がない。 12 争点(4)(損害発生の有無及びその額)について〔原告の主張〕被告は,被告サーバ装置を使用して,平成23年8月18日以降,DeNAが運営する携帯電話等のプラットフォーム「mobage」を通じて本件ゲームをユーザに提供・配信している。 そして,本件ゲームの提供・配信による平成23年8月18日から同年9月7日までの売上は9187万5000円を下らない。 そ ォーム「mobage」を通じて本件ゲームをユーザに提供・配信している。 そして,本件ゲームの提供・配信による平成23年8月18日から同年9月7日までの売上は9187万5000円を下らない。 その金額から経費であるキャリア課金手数料13%を控除し,その控除額から,DeNAへ支払う手数料30%を控除すると,5595万1875円となり,被- 71 -告は少なくとも同額の利益を上げた。 他方,原告は,被告が本件ゲームを提供・配信するより前の平成23年4月18日から,プロ野球カードを題材とするSNSゲームである「プロ野球ドリームナイン」(以下「原告ゲーム」という。)を提供・配信してきた。原告ゲームと本件ゲームはSNSゲーム市場において競合している。 したがって,被告による本件特許の侵害により原告の受けた損害額は,少なくとも,被告の受けた利益額である5595万1875円と推定される(特許法102条2項)。 〔被告の主張〕否認ないし争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件発明の意義本件明細書等の【発明の詳細な説明】の段落【0001】ないし【0009】,【0066】,【0099】ないし【0102】,【0125】ないし【0128】,【0179】,【0183】及び図7,図8,図10,図12によれば,本件発明は,ネットワークを介して端末装置とネットワークゲーム用サーバ装置との間でデータの送受信を行うことで実行されるネットワークゲームに関し,従来のネットワークゲームにあった課題,すなわち,例えば公知のくじ引きゲーム(当たりが出た場合には画像データ〔対価データ〕をユーザに付与するサービスを提供するもの)では,画像データの獲得はくじ引きという一つのゲームを行うことによるほかないため,ユーザは画像データの獲得方法が制限され,また,くじ引き ータ〔対価データ〕をユーザに付与するサービスを提供するもの)では,画像データの獲得はくじ引きという一つのゲームを行うことによるほかないため,ユーザは画像データの獲得方法が制限され,また,くじ引きという当たり又は外れによる偶然性に基盤が置かれることによって,ユーザはゲームの進行度合いに応じて画像データの獲得率が向上する等の期待感が高まることがないため,ユーザに継続的にゲームを行わせることが困難である,という課題があったが,かかる課題を解決するため,複数のゲームの中から一つのゲームをユーザが- 72 -実行すると,ユーザが行ったゲームの結果に応じて当該ユーザに所定のポイントが付与され,付与されたポイントに応じて所定の価値を有する対価データが当該ユーザに付与される,という構成を採用することにより,ユーザに対して対価データの獲得方法を複数提供することができ,また,ユーザがゲーム進行度合いに応じて対価データの獲得率が向上する等の期待感を高めていくことができ,もって,ユーザに対価データの獲得を容易に行わせるとともに,ユーザに継続的にゲームを行わせることができる,という効果を奏する発明であると認められる。 2 争点(1)ア(ア)(構成要件A,D-1,E,F,G,D-2,C-2における「対価データ」の充足性)について(1) 本件特許の特許請求の範囲請求項1には,上記「対価データ」につき,「所定の価値を有する対価データ」(構成要件A),「前記ポイント付与手段によってユーザに付与されたポイントに応じて所定の価値を有する対価データ」(構成要件D-1),「前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データ」(構成要件G)等の記載はあるものの,同各記載からその意義が明確に理解できるものとはいえないから,本件明細書等の記載を参酌して,その意義を 「前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データ」(構成要件G)等の記載はあるものの,同各記載からその意義が明確に理解できるものとはいえないから,本件明細書等の記載を参酌して,その意義を明らかにする必要があるところ,本件明細書等には,次の記載がある。 (従来の技術)・「従来,インターネット等のネットワークを利用したネットワークゲームとして,例えばユーザが携帯電話機等の端末装置を用いてくじ引きゲームを行い,当たりが出た場合にアイドル歌手等の画像データ(対価データ)をユーザに付与するサービスを提供するものが知られている。」(段落【0002】)(発明が解決しようとする課題)・「しかしながら,上記くじ引きゲームは,当たり又は外れによる偶然性に- 73 -基盤をおいた1つのゲームの結果に基づいてユーザに画像データを付与するものである。そのため,ユーザは,このゲームを行うことでしかゲームを行う目的である画像データの獲得ができず,画像データの獲得方法が制限されている。また,上記くじ引きゲームは,ユーザにとって,ゲーム進行度合いに応じて画像データの獲得率が向上する等の期待感が高まるというものではなく,ユーザに継続的にゲームを行わせることが困難である。」(段落【0003】)(発明の実施の形態)・「対価データ記憶部21は,携帯電話機3に対し閲覧提供するための対価データ(カード画像)を対応するポイントに関連付けて記憶するものである。対価データ記憶部21は,対価データをチーム毎・カードランク毎に記憶可能に構成されている。」(段落【0056】)・「送受信制御部308は,無線公衆回線からの着信,送信の回線制御及び音声データの送受信の他,インターネット等のネットワークを経由するなどして用いられる電子メールにおけるデータ送受信を処 56】)・「送受信制御部308は,無線公衆回線からの着信,送信の回線制御及び音声データの送受信の他,インターネット等のネットワークを経由するなどして用いられる電子メールにおけるデータ送受信を処理するもので,送受信データはアンテナ306を介して授受される。携帯電話機3で送受される画像データは例えばGIF形式で圧縮された後,パケットで通信される。」(段落【0064】)・「ここで,ネットワークゲームサーバ1により行われる処理手順の説明に先だって本実施形態におけるゲーム進行の概要について説明する。本実施形態におけるゲーム進行の概要は,メインゲームとしてプロ野球の試合結果を予想するゲームとミニゲームとなるカードめくりゲームとをユーザが行うことでポイントを蓄積していき,このポイントに応じてユーザがプロ野球選手等のカード画像を取得(獲得)していくというものである。また,ユーザは,取得したプロ野球選手等のカード画像データとポイントとを交換することも可能である。また,ユーザは,いつでも取得したプロ野球選- 74 -手のカード画像データを携帯電話機3のモニタ等で電子アルバムのように閲覧することが可能である。」(段落【0066】)・「図8に示すように,カードGET画面400は,現在選択されているメニューを表示する選択メニュー表示部401と,ユーザの現在の獲得ポイントを表わすポイント表示部402と,「カードGET!」の内容を簡単に説明したガイド部403と,カードGETの実行を行うための「カードを引く」ボタン404とを含んで構成されている。」(段落【0098】)・「メニュー画面400の「カードを引く」で示される実行ボタン404が押されたことを携帯電話機3から受けて,ネットワークゲームサーバ1は,通信部11によって,カードGETの実行指示を携帯 98】)・「メニュー画面400の「カードを引く」で示される実行ボタン404が押されたことを携帯電話機3から受けて,ネットワークゲームサーバ1は,通信部11によって,カードGETの実行指示を携帯電話機3から受信する(ステップST24)。ネットワークゲームサーバ1は,ユーザ情報管理部16によって,ユーザの現在獲得しているポイントをユーザ情報記憶部22から読み出し,所定ポイント以上あるか否かを判断する(ステップST25)。」(段落【0099】)・「また,ネットワークゲームサーバ1は,ユーザ情報管理部16によって,ユーザの現在のポイントが所定ポイント以上あると判断した場合(ステップST25でYES),対価データ付与処理部15によって,対価データ記憶部21に記憶されている対価データの中からランダムに1つの対価データを抽出し,抽出した対価データをユーザ情報記憶部22にユーザに関連付けて記憶し,付与した対価データに対応して定められたポイントをユーザ情報記憶部22から減算する(ステップST27)。」(段落【0101】)・「カード画像取得難度表示部413は,例えば画像表示部412に表示されているカード画像の右上に表示されている星印2つ等によって示され,この画像データの取得難度を示すものである。例えば星印が1つの場合が,ノーマルカードであり,星印が2つの場合が,レアカードであり,星印が- 75 -3つの場合が,ウルトラレアカードであることを示している。従って,星印の数が多いほど,ユーザにとって獲得が困難であるカードであることを示している。各カードのランクも3ランクに限定されず,それ以上又はそれ以下であってもよい。」(段落【0105】)・「なお,カード画像の獲得困難度(レア度)を表わすものは上記カード画像取得難度表示部413が示すマーク のランクも3ランクに限定されず,それ以上又はそれ以下であってもよい。」(段落【0105】)・「なお,カード画像の獲得困難度(レア度)を表わすものは上記カード画像取得難度表示部413が示すマーク等に限定されるものではなく,例えば他のマークやカード画像表示部412の背景色を変える等によるものであってもよい。また,ユーザが携帯電話機3のモニタ等から確認できるものであれば,マークのカード画像上での位置も限定されない。」(段落【0106】)・「このように,数量の少ないすなわちレアなカード画像を獲得することに対する困難性が味わうことができるので,ゲームの興趣性をより向上することができるとともに,ユーザにゲームを継続して行う動機付けを与えることができるので,ゲームを継続して円滑に運営することができる。」(段落【0107】)・「なお,図8に示す獲得カード画像表示画面410のメニュー選択部415の「コレクション」ボタンが選択されたことを携帯電話機3から受けて,ネットワークゲームサーバ1は,図8に示すカードアルバム画面420を表示するためのデータを携帯電話機3に送信し,これを表示させる。」(段落【0109】)・「図8に示すように,カードアルバム画面420は,現在選択されているメニューを表示する選択メニュー表示部421と,ユーザの現在の獲得しているカード画像の一覧リストを表わす獲得カードリスト表示部422と,所定の区分(例えば,チーム別等)でグループ化されているカード画像のグループを指定するグループ指定部423と,前画面へ戻るための「戻る」ボタン424とを含んで構成されている。」(段落【0110】)- 76 -・「獲得カードリスト表示部422は,現時点でのユーザの獲得しているカード画像の一覧を表示するものを表示するものである。AAAは 424とを含んで構成されている。」(段落【0110】)- 76 -・「獲得カードリスト表示部422は,現時点でのユーザの獲得しているカード画像の一覧を表示するものを表示するものである。AAAは,例えばプロ野球球団名を示すものである。また,収集率が13(分子)/40(分母)で示されている場合,分母の部分は,ネットワークゲームサーバ1側で予め管理しているチームAAAの選手のカード画像の総数を示している。分子の部分は,ユーザが現時点で獲得しているチームAAAの選手のカード画像の獲得総数を示している。」(段落【0111】)・「また,獲得カードリスト表示部422で,0040×××~0049‐‐‐の部分は,×××は選手名を示しており,‐‐‐の部分はユーザが現時点でまだこの識別番号のカード画像を獲得していないことを示すものである。このため,携帯電話機3に表示される画面に収集率表示を含めているので,ユーザは,例えば一覧することで収集できていないカード画像を把握することができる。また,各プロ野球球団ごとに収集率を表示することで,ユーザは,チームごとの収集状況を容易に把握することができる。」(段落【0112】)・「ここで,メニュー選択部514で表示されている「ノーマルカード」,「レアカード」及び「ウルトラレアカード」は,獲得に必要なポイントに応じてランク分けされている。例えば,メニュー選択部514に表示されいているように,「ノーマルカード」が5ポイント,「レアカード」が60ポイント,及び「ウルトラレアカード」が300ポイントというように順に獲得するために多くのポイントが必要となるものである。このため,ユーザは,カード画像の価値を容易にイメージできるとともに,さらにポイントを貯めて所望のカード画像を獲得しようという動機付けになる。」(段落【0 ために多くのポイントが必要となるものである。このため,ユーザは,カード画像の価値を容易にイメージできるとともに,さらにポイントを貯めて所望のカード画像を獲得しようという動機付けになる。」(段落【0122】)・「ネットワークゲームサーバ1は,メニュー画面200のメニュー選択部202から「■カードアルバム」を選択する選択指示を携帯電話機3から受- 77 -信すると(ステップST63),通信部11によって,図14に示す獲得カードリスト画面600を表示するためのデータを携帯電話機3に送信し(ステップST64),これを表示させる。」(段落【0151】)・「図14に示すように,獲得カードリスト画面600は,現在選択されているメニューを表示する選択メニュー表示部601と,ユーザの現在のカード画像の収集率を表わす収集率表示部602と,チーム毎に区分されたカード画像を選択するためのチーム選択部603とを含んで構成されている。」(段落【0152】)・「収集率表示部602は,現時点でのユーザの獲得しているカード画像の収集状況を表示するものである。収集率が82(分子)/1080(分母)で示されている場合,分母の部分は,ネットワークゲームサーバ1側で予め管理しているカード画像の総数を示している。分子の部分は,ユーザが現時点で獲得しているカード画像の収集総数を示している。また,チーム選択部603で,T1~T10は,プロ野球球団名を示すものである。」(段落【0153】)・「ネットワークゲームサーバ1は,獲得カードリスト画面600のチーム選択部603の「T8」に関するカード画像データの閲覧要求を携帯電話機3から受信すると(ステップST65),ユーザ情報管理部16によって,ユーザ情報記憶部22に記憶している閲覧要求に対応するユーザの収集済みのカード 8」に関するカード画像データの閲覧要求を携帯電話機3から受信すると(ステップST65),ユーザ情報管理部16によって,ユーザ情報記憶部22に記憶している閲覧要求に対応するユーザの収集済みのカードデータを読み出し,図14に示すチーム別カードリスト画面610を表示するためのデータを携帯電話機3に送信し(ステップST66),これを表示させる。」(段落【0154】)・「図14に示すように,チーム別カードリスト画面610は,現在選択されているメニューを表示する選択メニュー表示部611と,ユーザの現在のチーム別のカード画像の収集率を表わすチーム別収集率表示部612と,ユーザからの閲覧要求に対応するチームのカードをカテゴリ別に項目- 78 -で区分したカテゴリ項目表示部613と,前画面に戻るための「戻る」ボタン614とを含んで構成されている。」(段落【0155】)・「チーム別収集率表示部612は,現時点でのユーザの獲得しているカード画像の収集状況を表示するものである。収集率は,35(分子)/90(分母)で示されている場合,分母の部分は,ネットワークゲームサーバ1側で予め管理しているユーザの閲覧要求に対応するチームのカード画像の総数を示している。分子の部分は,ユーザが現時点で獲得しているチームのカード画像の収集総数を示している。カテゴリ項目表示部613は,例えば「球団マスコット・旗」,「選手・DB選手」及び「パワプロくん」等のカード画像の種類を示している。」(段落【0156】)・「ネットワークゲームサーバ1は,チーム別カードリスト画面610のカテゴリ項目表示部613の「選手・DB選手」を選択する選択指示を携帯電話機3から受信すると,図14に示すカテゴリ別収集状況表示画面620を表示するためのデータを携帯電話機3に送信し,これを表示する。 テゴリ項目表示部613の「選手・DB選手」を選択する選択指示を携帯電話機3から受信すると,図14に示すカテゴリ別収集状況表示画面620を表示するためのデータを携帯電話機3に送信し,これを表示する。」(段落【0157】)・「図14に示すように,カテゴリ別収集状況表示画面620は,現在選択されているメニューを表示する選択メニュー表示部621と,ユーザにより選択されたチームの現在の収集率を表わすチーム別収集率表示部622と,各カードごとの収集枚数を表示する収集枚数表示部623と,識別番号に対応するカードごとの収集枚数を表示させるための選択部624と,前画面に戻るための「戻る」ボタン625とを含んで構成されている。 収集枚数表示部623において「0046×××2/2 枚」とカード画像の取得枚数を表示することにより,ユーザは,重複しているカード画像を容易に把握できる。」(段落【0158】)・「図14に示すように,カード画像表示画面630は,現在選択されているメニューを表示する選択メニュー表示部631と,ユーザが閲覧要求し- 79 -たカード画像を表示するカード画像表示部632と,取得したカード画像の識別番号と選手名等を表示するカード識別情報表示部634と,前画面に戻るための「戻る」ボタン634とを含んで構成されている。カードランクマーク633(星印)は,カード画像表示部632に表示されているカード画像の右上に表示されており,この画像データの取得難度を示すものである。ここでは,星印が2つあるので,レアカードを表わしている。」(段落【0160】)・【図8】 (2) 「対価データ」及び「対価データ付与手段」の意義ア 「対価データ」について(ア) 本件特許の特許請求の範囲請求項1の記載は前記第2,2(2)ウ(別紙特許公報の特許 ・【図8】 (2) 「対価データ」及び「対価データ付与手段」の意義ア 「対価データ」について(ア) 本件特許の特許請求の範囲請求項1の記載は前記第2,2(2)ウ(別紙特許公報の特許請求の範囲【請求項1】)記載のとおりであり,本件明細書等には上記(1)のとおりの記載があるところ,本件発明の「対価データ」は,データであって,かつ,ポイント付与手段によってユーザに付与されたポイントに応じて所定の価値を有するものである(構成要件A,D-1)とともに,ユーザ情報管理手段によって管理されているものであり,当該対価データに対応して定められたポイントと交換されるもの- 80 -であること(構成要件G),前記1で検討したとおり,本件発明がユーザのゲーム進行度合いに応じて対価データの獲得率の向上への期待感を高めることにより,ユーザに継続的にゲームを行わせることができるとの作用効果を奏するものであることからすると,本件発明の「対価データ」とは,実施例に開示された選手の写真画像を例とした写真画像に加え,予め定められた選手の属性に関する情報,及び対価データの獲得困難度の表示ないし獲得困難度の情報それ自体をいうものと解される。 この点につき,選手の写真画像がこれに該当することは当事者間に争いがないが,原告が「カード画像取得難易度表示部」が示すマーク(★マーク〔星印〕。以下「★印」という。)も「対価データ」に該当すると主張し,被告はこれを否定する。 以下,この点について検討する。 (イ) 上記(ア)で検討したとおり,本件発明の「対価データ」は所定の価値を有するものであるところ,前記(1)のとおり,本件明細書等の記載によれば,★印はカードの取得難度(レア度)を示すものであり,例えば,★印の数が多いほど,ユーザにとって獲得が困難であるカードで 値を有するものであるところ,前記(1)のとおり,本件明細書等の記載によれば,★印はカードの取得難度(レア度)を示すものであり,例えば,★印の数が多いほど,ユーザにとって獲得が困難であるカードであることを示していること(段落【0105】),★印の表示位置は,カード画像上で特に限定がなく,例えば,【図8】では画像表示部に表示されている選手の写真画像(カード画像)の右上部分に表示されていること(段落【0105】,【0106】),ユーザは収集したカード画像をカード画像表示画面で確認することができ,その際,当該画面のカード画像表示部には選手の写真画像(カード画像)とともに★印が表示されること(段落【0160】)が認められる。 (ウ) 上記(イ)のように,カード画像の獲得困難度(レア度)を画面に表示すれば,段落【0107】記載のように,ユーザは数量の少ないレアなカードを獲得することに対する困難性を味わい,困難性を克服し- 81 -た満足感を得ることができ,もってゲームの興趣性をより向上して,ユーザにゲームを継続して行う動機付けを与えることができる。 すなわち,本件発明を,画像データをユーザに付与するというサービスである点からみると,かかるサービスにおいて,ユーザの興味関心の対象となるのは,端末装置の画面上に表示される画像がどのようなものか,であるということができる。そのことは,特に,トレーディングカードゲームのように,レア度の高いものを多く収集することに趣向のあるゲームにおいて明らかである。 本件発明におけるゲームのようにユーザがカード画像を収集するものにおいては,カード画像の獲得難度(レア度)を画面に表示し,しかも,レア度の高さを視覚的にかつ瞬時に判別できるものとすることは,ゲームユーザの精神的満足度を高くすることができ,また,他の 集するものにおいては,カード画像の獲得難度(レア度)を画面に表示し,しかも,レア度の高さを視覚的にかつ瞬時に判別できるものとすることは,ゲームユーザの精神的満足度を高くすることができ,また,他のユーザに対してレア度の高い対価データの収集状況を容易に端的に示すことができる,という利点がある。本件発明における★印は,これが画面上に表示されるとき,その数量で取得難度の高さを表しており,ユーザが取得難度を一目で即座に判断できるものであって,まさに上記の利点を活かすものといえる。 そうすると,本件発明において★印は,ゲームの興趣性をより向上して,ユーザにゲームを継続して行う動機付けを与えるものとして,重要であるということができる。 (エ) 以上の本件発明における★印に関する本件明細書等の記載の内容や,ゲームにおける意義に鑑みると,★印は,「対価データ」の有する価値を表すものと解されるから,「対価データ」とは,単なる選手の写真画像のみでなく,同画像に★印のようなカード画像の獲得難度の表示ないし獲得困難度の情報をも加えて構成されるものをいうと解するのが相当である。よって,「カード画像取得難度表示部」(★印)- 82 -も「対価データ」に該当すると解するのが相当である。 この点に関して被告は,★印は本件明細書等の記載で画像データと区別されていると主張する。 しかし,上記(ウ)で判示したとおり,★印はユーザにゲームを継続して行う動機付けを与えるものとして重要なものであるから,単に画像の一部をなすものではないことを理由として,あえて「対価データ」から除外すべき合理的理由は何ら見出せないというべきである。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (オ) また,本件発明の「対価データ」は,前記(ア)で検討したとおり,予め定められ ら除外すべき合理的理由は何ら見出せないというべきである。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (オ) また,本件発明の「対価データ」は,前記(ア)で検討したとおり,予め定められた対価データの獲得困難度の表示ないし獲得困難度の情報それ自体をいうものと解されるところ,本件特許の特許請求の範囲請求項1の記載には,「カード画像取得難度表示部」(★印)についてその個数が変化することについて記載されていないこと,本件明細書等にもそのことについて何ら記載されておらず,示唆もされていないことから,事後的に増減するような可変する表示ないし情報については,上記「カード画像取得難度表示部」(★印)に該当せず,上記「対価データ」に該当しないものと解される。 イ構成要件D-1の「対価データ付与手段」について本件発明は,「前記ポイント付与手段によってユーザに付与されたポイントに応じて所定の価値を有する対価データを当該ユーザに付与する対価データ付与手段と,」(構成要件D-1),「前記対価データ付与手段は,前記ユーザ情報管理手段によって管理されているポイントが所定条件を満たす場合に,前記対価データ付与要求に応じて前記対価データをユーザに付与するとともに,付与された対価データに対応して定められたポイントを減少させ,」(構成要件D-2)と記載されるものであり,それらの記載から,「対価データ」は,ユーザが獲得又はサーバが付与するものであ- 83 -り,かつそのために「ポイント」を必要とするものであることが明らかである。 そして,本件発明の構成要件D-1の記載には,「ポイントに応じて」所定の価値を有する「対価データを」「付与する」との文言があるところ,それらの文言については,本件明細書等には,段落【0093】ないし【0108】にネットワーク -1の記載には,「ポイントに応じて」所定の価値を有する「対価データを」「付与する」との文言があるところ,それらの文言については,本件明細書等には,段落【0093】ないし【0108】にネットワークゲーム用サーバが行う対価データ付与の処理であるメニュー「カードGET!」に関して記載されており,その記載が本件発明の構成要件D-1の上記文言に当たるものと考えられる。本件明細書等の段落【0098】,【0099】には,「カードGET!」は,ユーザがメニュー「カードを引く」を選択することでネットワークゲーム用サーバによって実行される旨記載されており,その記載から上記「カードGET!」の実行場面が具体的には「カードを引く」ものであると認められるから,上記「付与する」とは,ユーザがネットワークゲーム用サーバから新規にカードを獲得するものであると解するのが相当である。 この点に関して本件明細書等には,ユーザが「カードGET!」により新規にカードを獲得した際の処理に関して,段落【0101】には,ネットワークゲーム用サーバが,対価データ付与処理部によって,対価データ記憶部に記憶されている対価データの中からランダムに一つの対価データを抽出し,抽出した対価データをユーザ情報記憶部にユーザに関連付けて記憶するものとされる旨記載されている。また,獲得したカードを一覧する処理に関して,段落【0157】,【0158】には,ネットワークゲーム用サーバが携帯電話機にカテゴリ別収集状況表示画面を表示するためのデータを送信してこれを表示するものとされ,カテゴリ別収集状況表示画面には,各カードとの収集枚数を表示する収集枚数表示部が含まれており,その収集枚数表示部には,例えば「0046×××2/2 枚」のように,カード画像の取得枚数が表示される旨記載されている。 - 84 は,各カードとの収集枚数を表示する収集枚数表示部が含まれており,その収集枚数表示部には,例えば「0046×××2/2 枚」のように,カード画像の取得枚数が表示される旨記載されている。 - 84 -以上の記載から,本件発明では,ユーザが対価データを獲得した際の処理は,対価データがユーザに付与されると,当該対価データが新規のものである場合には,対価データを管理するテーブルに新たに当該対価データに係るレコードが追加され,当該対価データが当該ユーザの獲得済みのものと重複する場合には,獲得済みの対価データに係るレコードのうち枚数フィールドの値のみが増加される,というものであることが認められる。 そうすると,本件発明は,ユーザが所持するポイントを消費することによって,選手カードを新たに獲得し,ユーザが獲得した選手カードが新規のものである場合と重複するものである場合とに応じて,サーバにおいて,新規のレコードを作成又は既存のレコードの「枚数」を管理するフィールドが変更されるものである,と認められる。 したがって,本件発明の構成要件D-1の「対価データ付与手段」は上記認定した処理を行う構成を備えるものであると解するのが相当である。 (3) 構成要件D-1の「対価データ付与手段」の充足性ア本件ゲームの構成について別紙物件構成説明書及び証拠(甲9,乙1)によれば,本件ゲームは次のとおりであると認められ,同認定を覆すに足りる的確な証拠はない。 (ア) 「ガチャ」とは,選手カードを入手するための手段であり,「ミッション」とは,選手カードや強化ポイントを入手するための手段であり,「ギフト」とは,ユーザが他のユーザからその所持する選手カード(新規の選手カードのこともあれば,当該他のユーザにより強化されて既にカード経験値及びカードレベルが上昇済みのこ 手するための手段であり,「ギフト」とは,ユーザが他のユーザからその所持する選手カード(新規の選手カードのこともあれば,当該他のユーザにより強化されて既にカード経験値及びカードレベルが上昇済みのこともある。)を提供されて獲得する手段であり,「トレード」とは,ユーザが所持する選手カードを,他のユーザが所持する選手カードや本件ゲームを有利に進めるためのアイテムと交換するための手段である。 (イ) ユーザが所持する選手カードは,ユーザ所持カード情報テーブルの形- 85 -式で,記憶・管理されている。ユーザ所持カード情報テーブルのうち,「所持カードID」(user_equip_card_id)は,被告サーバ装置が所持選手カードごとに一意となるように付与するIDであり,「ユーザID」(uid)は,本件ゲームを利用するユーザごとに付される固有のIDであり,「固定カードID」(equip_id)とは,選手カードのうち,選手名,所属球団,コスト,レア度,ポジションが全く同じものごとに付与される一意のIDである。 また,「レア度」(rank)とは,選手カードの貴重さの度合いを示す値であり,「コスト」(cost)とは,ユーザが選手カードを保有するためのコストとして,固定カードIDごとに定められた値であり,これらの数値は固定のものである。 ほかに,「カードレベル」(level)とは,ユーザが所持する選手カードの現在のカードレベルを示す値であり,「カード経験値」(exp)とは,ユーザが所持する選手カードの獲得経験値の累積値であり,「現在打力」(f_batting),「現在走力」(f_run),「現在守備」(f_guard),「現在球威」(p_fast),「現在制球」(p_control),「現在投力」(p_pitching)とは,野手ないし投手とし ng),「現在走力」(f_run),「現在守備」(f_guard),「現在球威」(p_fast),「現在制球」(p_control),「現在投力」(p_pitching)とは,野手ないし投手としての能力を示す値であり,これらの数値は可変のものである。 (ウ) 本件ゲームでは,前記のとおり,ユーザが「ガチャ」のほか,「ミッション」,「ギフト」等を行うことにより,選手カードを獲得することができるが,ユーザが選手カードを獲得したとき,被告サーバ装置は,獲得した選手カードのレコードを新規に作成して,これをユーザ所持カード情報テーブルに記憶する。その際,当該ユーザのユーザIDが,当該選手カードの所持カードIDに関連付けて記憶される。 (エ) 本件ゲームでは,「ガチャ」はユーザが「所持ガチャポイント」を,- 86 -「ミッション」はユーザが「体力」を消費して実行するものであり,いずれの場合でも,ユーザが所持する強化ポイントを消費することはない。 また,「ギフト」等の場合も,ユーザが所持する強化ポイントを消費することはない。 (オ) 「強化」とは,ユーザが所持する選手カードを強化するための手段であり,ユーザが所持する「強化ポイント」と引き換えに行うものである。 能力を引き継ぐものとして「ベースカード」を,能力を引き継がせるものとして「アシストカード」を設定しており,ユーザは,所持する選手カードの中から「ベースカード」と「アシストカード」とするものを選択して,「強化」を行うと,「アシストカード」とされた選手カードが消滅し,「ベースカード」とされた選手カードのカード経験値が上昇する。上昇した結果は,「強化された選手カード」には,「成長」の数値やグラフとして表示される。また,「強化」によりカード経験値が一定の閾値に達したとき,被告サーバ装置は,同 ードのカード経験値が上昇する。上昇した結果は,「強化された選手カード」には,「成長」の数値やグラフとして表示される。また,「強化」によりカード経験値が一定の閾値に達したとき,被告サーバ装置は,同選手カードのカードレベルを上昇させる。併せて,被告サーバ装置は,選手カードの現在打力,現在走力,現在守備,現在球威,現在制球及び現在投力を上昇させる。上昇した結果は,「強化された選手カード」上に,上昇後のそれらの数値が,「球威」,「制球」,「投力」等が数値と「A」,「B」,「C」等の画像として表示される。 したがって,それらの数値等の画面表示は,現在値によって変わることになる。 なお,被告サーバ装置は,カード経験値が一定の閾値に達したときであっても,同選手カードについて,その所持選手カードIDを変更したり,ユーザ所持カード情報テーブルにレコードを追加したりすることはしない。また,同選手の写真画像部分を変更することもしない。 イ本件ゲームにおける「強化された選手カード」の画像部分の範囲- 87 -(ア) 本件ゲームにおいて,ユーザ所持カード情報テーブルにレコードが追加されるのは「ガチャ」や「ミッション」等の手段を実行したときであるが,それらの手段では「強化ポイント」を必要としない。 その一方で,「強化」は,これを実行するためにはユーザが「強化ポイント」を一定値所持して,これを消費することになる。 (イ) そこで,「強化」における「強化された選手カード」についてみると,原告は本件発明の「対価データ」に★印も含まれることを根拠に,「強化された選手カード」の経験値の数値やグラフの画像部分,並びに「球威」,「制球」,「投力」のようなパラメータを表示する数値及び「A」,「B」,「C」といった画像部分も「対価データ」に該当すると主張するので 選手カード」の経験値の数値やグラフの画像部分,並びに「球威」,「制球」,「投力」のようなパラメータを表示する数値及び「A」,「B」,「C」といった画像部分も「対価データ」に該当すると主張するので,これについて検討する。 前記ア(エ)で検討したとおり,事後的に増減するような可変する表示ないし情報については,「カード画像取得難度表示部」(★印)に該当せず,本件発明の「対価データ」に該当しないものと解されるから,「強化された選手カード」においては,選手の写真画像とともに表示されるパラメータのうち,不変のもの,すなわち,選手名,所属球団,レア度,ポジション,コストについては,本件発明の「対価データ」に該当し,その一方で,「強化」により可変するもの,すなわち,「成長」の数値やグラフ,「Lv」(カードレベル)や,「球威」,「制球」,「投力」等を示す数値や「A」,「B」,「C」等の画像部分については,本件発明の「対価データ」に該当しないと認めるのが相当である(下図参照)。 - 88 - 【図】(ウ) この点に関して原告は,本件ゲームがカードゲームを題材とするSNSゲームであることに鑑みて,上記可変するものについても,カードの内容及び価値を特定するものとして重要な要素であり,本件発明の「対価データ」に含まれるべきであると主張する。 しかし,前記ア(エ)のとおり,本件特許の特許請求の範囲請求項1の記載には,「カード画像取得難度表示部」(★印)についてその個数が変化することについて記載されていないこと,本件明細書等にもそのことについて何ら記載されておらず,示唆もされていないことから,事後的に増減するような可変する表示ないし情報については,「カー- 89 -ド画像取得難度表示部」(★印)に該当せず,本件発明の「対価データ」に該当し 載されておらず,示唆もされていないことから,事後的に増減するような可変する表示ないし情報については,「カー- 89 -ド画像取得難度表示部」(★印)に該当せず,本件発明の「対価データ」に該当しないものと解されるのであり,原告の上記主張は採用することができない。 (エ) よって,本件ゲームについて本件発明の構成要件D-1の充足性について検討するに際し,「対価データ」の充足性判断に当たっては,「強化された選手カード」の画像部分については,選手の写真画像とともに表示されるパラメータのうち,不変のもの,すなわち,選手名,所属球団,レア度,ポジション,コストについては,本件発明の★印と対比されるべきものであり,その一方で,「強化」により可変するものである,「成長」の数値やグラフ,「Lv」(カードレベル)や,「球威」,「制球」,「投力」等を示す数値や「A」,「B」,「C」等の画像部分については,本件発明の★印と対比されるべきものではないとするのが相当である。 ウ充足の成否上記ア及びイのとおり,本件ゲームでは,選手カードの画像は固定カードIDと関連付けられており,固定カードIDは,コスト,レア度,ポジション等が同一であるもの(「固定選手カード」)ごとに付与され,これらコスト,レア度,ポジションといったパラメータはいずれも固定値であり,「強化」の前後で変化することがなく,また,本件ゲームでは,「強化」によって被告サーバ装置が「強化された選手カード」について新たな所持カードIDのレコードを追加することはなく,「ベースカード」について枚数フィールドの値が変動することもない。 このように,本件ゲームは,「強化」により「強化ポイント」を使用するが,そのことによっても,「対価データ」と対比すべき画像部分においては「強化」の前後を通じて変動がな ドの値が変動することもない。 このように,本件ゲームは,「強化」により「強化ポイント」を使用するが,そのことによっても,「対価データ」と対比すべき画像部分においては「強化」の前後を通じて変動がなく同一であり,また,サーバにおいても,新規のレコードを作成又は既存のレコードの「枚数」を管理するフ- 90 -ィールドが変更されるといった処理が行われない構成を採用するものであるということができる。 そうすると,本件ゲームにおける選手カードは強化ポイントを消費することで新たに獲得するものとはいえないから,本件ゲームは,前記(2)イで認定した本件発明の構成要件D-1の「対価データ付与手段」を備えていないと認めるのが相当である。 エよって,本件ゲームは,本件発明の構成要件D-1を充足しない。 (4) 構成要件A,E,F,G,D-2,C-2における「対価データ」の充足性上記(3)のとおり,本件ゲームにおける「強化された選手カード」は,強化ポイントを消費して「強化」を行ってユーザが所持するものではあるが,「強化」により新たに獲得されるものではない。 また,本件ゲームにおいて,ほかに「強化ポイント」を消費して獲得する「選手カード」はない。 したがって,本件ゲームには本件発明の「対価データ」に該当するものは存在しないと認定するのが相当である。 よって,被告サーバ装置は,本件発明の構成要件A,E,F,G,D-2,C-2の「対価データ」を備えていないと認めるのが相当であり,本件発明の上記各構成要件を充足しない。 3 争点(1)ア(イ)(構成要件Bにおける「複数のゲーム」の充足性)について(1) 本件明細書等には,前記2(1)のほか,次の記載がある。 (発明の属する技術分野)・「本発明は,ネットワークを介して端末装置とネットワークゲーム ける「複数のゲーム」の充足性)について(1) 本件明細書等には,前記2(1)のほか,次の記載がある。 (発明の属する技術分野)・「本発明は,ネットワークを介して端末装置とネットワークゲーム用サーバ装置との間でデータの送受信を行うことで実行されるネットワークゲームに関するものである。」(段落【0001】)(発明が解決しようとする課題)- 91 -・「本発明は,ユーザに対価データの獲得を容易に行わせることができるとともに,ユーザに継続的にゲームを行わせることができるネットワークゲーム用サーバ装置,ネットワークゲーム進行制御方法及びネットワークゲーム進行制御プログラムを提供することを目的とする。」(段落【0004】)(課題を解決するための手段)・「このようにして,所定の価値を有する対価データを獲得するために必要とされるポイントの獲得が可能なゲームとして複数のゲームが提供されるので,ユーザに対して対価データの獲得方法を複数提供することができる。」(段落【0008】)・「また,ユーザに対してゲームを行うことで直接対価データを付与するのではなく,対価データを獲得するために必要なポイントが付与されるので,ユーザは,ゲーム進行度合いに応じて対価データの獲得率が向上する等の期待感を高めていくことができる。」(段落【0009】)(発明の実施の形態)・「なお,以下の説明では,ユーザにポイントを獲得させるための複数のゲームとして,プロ野球試合結果予想ゲーム(第1のゲーム)とカードめくりゲーム(第2のゲーム)を例にとり,これらのゲームをユーザに実行させることでネットワークゲームサーバ1が行う種々の処理等について適宜図面を参照しながら説明する。また,ユーザにポイントを獲得させるためのゲームは,3 種類以上あってもよい。」(段落 をユーザに実行させることでネットワークゲームサーバ1が行う種々の処理等について適宜図面を参照しながら説明する。また,ユーザにポイントを獲得させるためのゲームは,3 種類以上あってもよい。」(段落【0035】)・「特に,プロ野球の試合結果予想ゲームでは,プロ野球の試合結果を端末装置である携帯電話機等を使用するユーザに予想させることを想定して説明するが,本発明は,この例に特に限定されず,将来発生する現実の事象に対する予想として結果がネットワークゲームサーバ1(ネットワークゲーム用サーバ装置)によって取得できるものであれば,他の事象を予想- 92 -させるようにしてもよい。例えば,スポーツ,格闘技,レース,新曲のヒットチャート予想等に適用することができ,特に勝敗や順位が結果として判明するものが好適であるが,気象データ,海洋データ,政治データ及び経済データ等の予想等にも適用可能である。」(段落【0036】)・「ゲーム実行部18は,CPU等がゲーム実行プログラム等を実行することによって実現される。ゲーム実行部18は,プログラム記憶部30に含まれる記録媒体31に記憶されている複数のゲームプログラムの中から1つのゲームプログラムによって実行可能なゲームをユーザに実行させるものである。ゲーム実行部18は,所定期間継続してユーザにプロ野球試合結果予想ゲームを実行させる機能(第1のゲーム実行手段)及びプロ野球試合結果予想ゲームより短期間でゲームが完結するカードめくりゲームをユーザに実行させる機能(第2のゲーム実行手段)を有する。また,ゲーム実行部18は,プロ野球試合結果予想ゲームプログラムを実行する場合,上述した登録処理部12及び結果データ処理部13を用いてプロ野球試合結果予想ゲームを実行する。」(段落【0053】)・「本実施形態において は,プロ野球試合結果予想ゲームプログラムを実行する場合,上述した登録処理部12及び結果データ処理部13を用いてプロ野球試合結果予想ゲームを実行する。」(段落【0053】)・「本実施形態において,複数のゲームプログラムとして,プロ野球試合結果予想ゲームをユーザに実行させるためのプログラムと,カードめくりゲームをユーザに実行させるためのプログラムとがプログラム記憶部30の記憶媒体31に含まれている。」(段落【0054】)・「ここで,ネットワークゲームサーバ1により行われる処理手順の説明に先だって本実施形態におけるゲーム進行の概要について説明する。本実施形態におけるゲーム進行の概要は,メインゲームとしてプロ野球の試合結果を予想するゲームとミニゲームとなるカードめくりゲームとをユーザが行うことでポイントを蓄積していき,このポイントに応じてユーザがプロ野球選手等のカード画像を取得(獲得)していくというものである。また,ユーザは,取得したプロ野球選手等のカード画像データとポイントとを交- 93 -換することも可能である。また,ユーザは,いつでも取得したプロ野球選手のカード画像データを携帯電話機3のモニタ等で電子アルバムのように閲覧することが可能である。」(段落【0066】)・「プロ野球の試合結果予想ゲームとは,ゲームへの参加を希望するユーザが,実際のプロ野球の試合結果に対する予想を立てて登録を行う。そして,実際のプロ野球の試合が行われた後に試合結果が出ると,予想登録を行ったユーザに対し,試合結果に応じてポイントを付与される。ユーザは,予想的中を繰り返していくことでポイントが累積して溜めていき,このポイントに応じてユーザがプロ野球選手等のカード画像(対価データ)を取得していくというものである。また,プロ野球試合結果予想ゲームは,所定 中を繰り返していくことでポイントが累積して溜めていき,このポイントに応じてユーザがプロ野球選手等のカード画像(対価データ)を取得していくというものである。また,プロ野球試合結果予想ゲームは,所定期間継続してユーザに実行させることでユーザにポイントを獲得させるゲームである。」(段落【0067】)・「カードめくりゲームとは,プロ野球試合結果予想ゲームよりも短期間でゲームが完結するものであり,ユーザが,携帯電話機3等のモニタ上に表示される画面上のカードを1枚ずつ選択して得たポイントを蓄積していき,プロ野球選手等のカード画像の取得するためのポイント獲得のための補完方法として機能するものである。また,カードめくりゲームとは,プロ野球試合結果予想ゲームよりも短期間でゲームが完結するものである。 (段落【0068】)・「「応援球団」123とは,各ユーザが登録したプロ野球の応援球団のことであり,本実施形態において,この応援球団が勝利することで所定のポイントを付与される。なお,応援球団は,他のユーザと同じ応援球団となってもよい。「ライバル球団」124とは,各ユーザが登録したプロ野球のライバル球団であり,本実施形態において,このライバル球団が負けることで所定のポイントを付与される。なお,応援球団と同様に,他のユーザと同じライバル球団となってもよい。」(段落【0079】)- 94 -・「このように,勝敗予想に対する現実の試合結果によって応援球団の勝敗予想が外れたとしても,ライバル球団の勝敗予想を当てることによってユーザはポイントの付与を受けることが可能となるので,弱い応援球団を応援するユーザに対してもポイントを取得する機会を充分に付与することができるとともに,ユーザの関心事とゲームの内容を連動させることができるので,ゲームの興趣性をより向上す となるので,弱い応援球団を応援するユーザに対してもポイントを取得する機会を充分に付与することができるとともに,ユーザの関心事とゲームの内容を連動させることができるので,ゲームの興趣性をより向上することができる。」(段落【0080】)・「つづいて,ネットワークゲームサーバ1が行うミニゲームをユーザに行わせることでポイントの付与を行う処理手順について説明する。」(段落【0161】)・「上述してきたように,図15及び図16では,ネットワークゲームサーバ1は,ゲーム実行部18によって,プログラム記憶部30に含まれる記録媒体31に記憶されているカードめくりゲーム実行プログラムによって実行可能なカードめくりゲーム(ミニゲーム)をユーザに実行させることでポイントを獲得させるゲームの進行を行っている。」(段落【0178】)・「以上のように,本発明によれば,ユーザに対してカード画像の獲得方法を複数提供することができるため,ユーザに対してカード画像の獲得を容易に行わせることができるとともに,ユーザはゲーム進行度合いに応じて所望するカード画像の獲得率が向上する等の期待感を高めていくことができるため,ユーザに対して継続的にゲームを行わせることができる。」(段落【0179】)・「また,ユーザは自分の好みや都合等に応じて所望するタイプのゲームを選ぶことができるため,ゲームが単調とならず,ユーザに継続的にゲームを行わせることができる。」)(段落【0180】)・「また,2つのゲームの中のうちの一方のゲームに他方のゲームにおける- 95 -ゲームの実行不能な期間を補完する役割を持たせることができるため,ユーザは継続的にゲームを実行することができる。」(段落【0181】)・「また,例えばプロ野球の試合結果の勝敗予想等の現実世界における複雑かつ 不能な期間を補完する役割を持たせることができるため,ユーザは継続的にゲームを実行することができる。」(段落【0181】)・「また,例えばプロ野球の試合結果の勝敗予想等の現実世界における複雑かつ予想困難な事象に対してユーザが予想を行うことができるとともに,最終的に付与されるカード画像の獲得に対するユーザの期待感を向上することができるので,ゲーム自体の興趣性を向上することができ,また,ユーザはポイントを継続的に増加させて所望するカード画像を獲得できるので,ゲームの進行度合いに応じて所望するカード画像を獲得できるという期待感を継続的にユーザに与えることができる。」(段落【0182】)(2) 「複数のゲーム」の意義ア以上を前提に,本件発明の「複数のゲーム」の意義について検討する。 本件発明の構成要件Bにかかる特許請求の範囲には,「複数のゲームの中から1つのゲームをユーザに実行させるためのゲーム実行手段」と記載されていることから,この「複数のゲーム」は,ユーザに実行されるゲームであると解される。さらに,本件発明の構成要件C-1に「前記ゲーム実行手段によってユーザが行ったゲームの結果に応じて当該ユーザに所定のポイントを付与する」と記載されていることから,上記「複数のゲーム」は,その結果に応じて当該ユーザにポイントが付与される,というゲームであると認められる。 イこの点に関して被告は,本件発明における「ゲーム」とは,互いに独立してそれ自体で完結するゲームをいうのであり,他のゲームと不可分な関係にあってその一部をなすにすぎないものは当たらないと主張する。 この点,本件発明の構成要件Bに「複数のゲーム」と記載されていることから,当該「ゲーム」が互いに独立しており,その数を換算することが可能なものとしてのゲームであることは明らかである。 と主張する。 この点,本件発明の構成要件Bに「複数のゲーム」と記載されていることから,当該「ゲーム」が互いに独立しており,その数を換算することが可能なものとしてのゲームであることは明らかである。 次に,本件発明の構成要件Aに「所定の価値を有する対価データをユー- 96 -ザに獲得させるゲーム」と記載されていることから,この「ゲーム」と構成要件Bの「複数のゲーム」とがいかなる関係にあるのかについて,以下検討する。 まず,本件発明の構成要件Aの「ゲーム」については,同構成要件の上記記載のほかに,本件明細書等の段落【0097】,【0098】,【0101】に,ユーザが「カードGET!」のメニューを選択すると,ネットワークゲーム用サーバにおいて当該ユーザが所定のポイント以上のポイントを有すると判断したとき,対価データの中からランダムに一つの対価データを抽出してこれを当該ユーザに付与し,付与した対価データに対応して定められたポイントを当該ユーザの有するポイントから減算する旨記載されているから,構成要件Aの「ゲーム」とは,ユーザがポイントを使用することでランダムに選ばれた対価データであるカード画像を取得するものであると解される。 また,本件発明の構成要件Bの「複数のゲーム」についてみると,本件明細書等には,「所定の価値を有する対価データを獲得するために必要とされるポイントの獲得が可能なゲームとして複数のゲーム」が提供され,これによってユーザに対して対価データの獲得方法を複数提供することができること(段落【0008】),ゲーム実行部は,所定期間継続してユーザにプロ野球試合結果予想ゲームを実行させる機能(第1のゲーム実行手段),及びプロ野球試合結果予想ゲームより短期間でゲームが完結するゲームである,カードめくりゲームを,ユーザに実行させる機 してユーザにプロ野球試合結果予想ゲームを実行させる機能(第1のゲーム実行手段),及びプロ野球試合結果予想ゲームより短期間でゲームが完結するゲームである,カードめくりゲームを,ユーザに実行させる機能(第2のゲーム実行手段)を有しており,上記のプロ野球試合結果予想ゲームをメインゲームとし,上記のカードめくりゲームをミニゲームとして,ユーザはそのいずれかを行って,ポイントを獲得,蓄積していき,このポイントに応じてプロ野球選手等のカード画像を取得(獲得)していくこと(段落【0053】,【0066】)が記載されている。 - 97 -さらに,本件明細書等には,本件発明は,ユーザに対してカード画像の獲得方法を複数提供することができるところ,ユーザは自分の好みや都合等に応じて所望するタイプのゲームを選択できるため,ゲームが単調とならないし,二つのゲームの中のうちの一方のゲームに他方のゲームにおけるゲームの実行不能な期間を補完する役割を持たせることができるため,ユーザに継続的にゲームを行わせることができること(段落【0179】ないし【0181】),ユーザはポイントを継続的に増加させて所望するカード画像を獲得できるので,ゲームの進行度合いに応じて所望するカード画像を獲得できるという期待感を継続的にユーザに与えることができること(段落【0182】)が記載されている。 以上の本件明細書等の記載によると,構成要件Bの「複数のゲーム」は,所定の価値を有する対価データを獲得するために必要とされるポイントを蓄積するためにユーザによって行われるものであり,メインゲームとミニゲームとからなるものであると認められる。 そうすると,ポイントを蓄積するためのゲームである「複数のゲーム」(構成要件B)と,対価データを取得する「ゲーム」(構成要件A)とは,ポイントがな とミニゲームとからなるものであると認められる。 そうすると,ポイントを蓄積するためのゲームである「複数のゲーム」(構成要件B)と,対価データを取得する「ゲーム」(構成要件A)とは,ポイントがないと対価データを取得するゲームができない,という点で,「ポイント」により関連付けられていると認められる。 その一方で,「複数のゲーム」におけるメインゲームとミニゲームとの間には,それらのゲームが内容や所要時間の異なるものとされ,そのためにユーザが自由に選択でき,結果としてゲームが単調とならずにユーザに継続的にゲームを行わせることができるものとされていることに鑑みると,それらのゲームの間には関連付けがされておらず,個々のゲームで内容が完結するものであると認定するのが相当である。 そして,本件発明の目的が,本件明細書等の段落【0004】の記載から,継続的にユーザに対価データを収集させることであると認められるこ- 98 -とに鑑みると,構成要件Aの「ゲーム」と構成要件Bの「複数のゲーム」の関係は,前者は上記目的を達するための直接の手段として主たるゲームに位置付けられ,後者は上記目的を達するためにポイントを獲得する手段としての予備的ゲームに位置付けられると認定するのが相当である。 (3) 被告サーバ装置の構成要件充足性上記(2)イを前提に,本件ゲームにおける「ミッション」及び「リーグ」(試合)が構成要件Bの「複数のゲーム」に該当するか,以下,検討する。 別紙物件構成説明書によれば,本件ゲームにおける選手カードの獲得手段は「ガチャ」であり,獲得した選手カードの強化手段は「強化」であり,その強化には所持強化ポイントを必要とし,所持強化ポイントをユーザが獲得するには,「ミッション」を行うか,所持する選手カードを売却することによることが認められる。 カードの強化手段は「強化」であり,その強化には所持強化ポイントを必要とし,所持強化ポイントをユーザが獲得するには,「ミッション」を行うか,所持する選手カードを売却することによることが認められる。 そのうち,「ミッション」についてみると,証拠(甲9)によれば,本件ゲームの「ヘルプ」メニューのうち「ミッションって何?」に「ミッション」の概要として,「日本各地をまわりながら,選手の調査を行います。ミッションを実行する事で,選手カード,経験値,強化Pが入手出来ます。」と記載されており,「ミッション」は単一のゲームからなるものであり,ユーザはかかる「ミッション」を繰り返し実行して,選手カードや強化ポイント等を獲得していくことが認められる。 そして,本件ゲームでは,「リーグ」においてユーザは他のユーザと試合を行うことができ,この「試合」とは,ユーザが集めた選手カード(ユーザが「強化」により強化した選手カードであることもあれば,「強化」しないで獲得したままの選手カードであることもある。)からオーダーを組み,他のユーザがオーダーを組んだチームと対戦する,というものであることが認められる。 この点に関して,本件ゲームの「ヘルプ」メニューのうち「大熱狂!!プ- 99 -ロ野球選手カードについて」に本件ゲームの概要として,「大熱狂!!プロ野球カードは,プロ野球選手カードを集めて,育成・強化し,自分だけのベストナインを作り上げるゲームです。」「お気に入りの選手を集め,育成し,最強のチームをつくりあげましょう!!」(甲9)と記載されており,その記載によれば,本件ゲームの主たる目的は,最終的には,他のユーザに試合で勝つことであると認定するのが相当である。 そこで,「リーグ」(試合)と「ミッション」の関係についてみると,上記認定した本件ゲームの主たる目 本件ゲームの主たる目的は,最終的には,他のユーザに試合で勝つことであると認定するのが相当である。 そこで,「リーグ」(試合)と「ミッション」の関係についてみると,上記認定した本件ゲームの主たる目的に照らすと,本件ゲームにおいて,上記主たる目的を達するための直接の手段として主たるゲームに位置付けられるのは,ユーザがそのチームで他のユーザと対戦するゲームである「リーグ」(試合)であるといえるから,「リーグ」(試合)が本件ゲームの主たるゲームに位置付けられると認められる。これに対して「ミッション」は,これを行うことでユーザが選手カードや,その強化に必要な所持強化ポイントを獲得することができるゲームであるから,かかる「ミッション」は,ユーザが「リーグ」(試合)で勝利する準備として行うものであるといえるから,「リーグ」(試合)に対する予備的ゲームに位置付けられると認めることができる。 そうすると,本件ゲームにおいて「リーグ」(試合)と「ミッション」とは,主たるゲームと予備的ゲームとして関連付けられたゲームであると認められ,「ミッション」はそれ自体で内容が完結するゲームであると認めることはできない。 したがって,本件ゲームの「リーグ」(試合)と「ミッション」とをもって本件発明の構成要件Bの「複数のゲーム」に当たるものではないと認めるのが相当である。 また,「ミッション」は前記認定したとおり,単一のゲームからなるものであり,それ自体が複数のゲームからなるものではないから,「ミッション」- 100 -単体で構成要件Bの「複数のゲーム」に当たることもないと認定するのが相当である。 よって,本件ゲームは,「複数のゲーム」を備えておらず,被告サーバ装置は本件発明の構成要件Bの「複数のゲーム」を充足しない。 4 争点(1)イ(均等侵害の成否)に ないと認定するのが相当である。 よって,本件ゲームは,「複数のゲーム」を備えておらず,被告サーバ装置は本件発明の構成要件Bの「複数のゲーム」を充足しない。 4 争点(1)イ(均等侵害の成否)について(1) 均等侵害の判断基準特許請求の範囲に記載された構成中に対象製品等と異なる部分が存する場合であっても,①上記部分が特許発明の本質的部分ではなく,②上記部分を対象製品等におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって,③上記のように置き換えることに,当業者が,対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり,④対象製品等が,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから上記出願時に容易に推考できたものではなく,かつ,⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは,上記対象製品等は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属するというべきである(最高裁判所平成10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁参照)。 (2) 相違点が非本質的部分であるか否かについて上記(1)に判示した均等侵害の成立要件のうち①の要件に関し,特許発明の本質的部分とは,特許請求の範囲に記載された特許発明の構成のうち,公開された明細書や出願関係書類の記載から把握される当該特許発明特有の課題解決手段を基礎付ける技術的思想の中核をなす特徴的部分をいうと解するのが相当である。 これを本件発明についてみると,本件発明は,従来のネットワークゲームにあった課題,すなわち,くじ引きゲームのようなゲームでは,くじ引き- 101 -という当たり又は外れによる偶然性に基盤 ある。 これを本件発明についてみると,本件発明は,従来のネットワークゲームにあった課題,すなわち,くじ引きゲームのようなゲームでは,くじ引き- 101 -という当たり又は外れによる偶然性に基盤が置かれるため,ユーザはゲームの進行度合いに応じて画像データの獲得率が向上する等の期待感が高まることがないため,ユーザに継続的にゲームを行わせることが困難である,という課題を解決するため,ユーザに「対価データ」の獲得を容易に行わせるとともに,ユーザに継続的にゲームを行わせるために,ユーザに対してゲームを行うことで直接に「対価データ」を付与するのではなく,「対価データ」を獲得するために必要な「ポイント」を付与するものとし,「対価データ」はその「ポイント」の対価としてユーザが獲得するものとした構成が採用されたのであり,これが本件発明の課題解決手段を基礎付ける技術的思想の中核をなす特徴的部分であるというべきである。そうすると,本件発明と被告サーバ装置との間において構成の異なる部分のうち,構成要件A,D-1,E,F,G,D-2,C-2における「対価データ」を備える構成は,本件発明の本質的部分であるというべきである。 他方,前記3のとおり,本件ゲームにおいては,「対価データ」に相当するものはなく,原告が主張する「強化された選手カード画像」は,強化ポイントによって新たにユーザに付与されるものではないから,本件発明の「対価データ」と本件ゲームの「強化された選手カード画像」の相違点は発明の非本質的部分と認めることはできない。 したがって,均等侵害の成立要件の①の要件を充たさないというべきである。 (3) 以上のとおり,その余の点について判断するまでもなく,被告サーバ装置は,本件発明の構成と均等なものということはできない。 5 争点(2)イ(乙3文献を 要件を充たさないというべきである。 (3) 以上のとおり,その余の点について判断するまでもなく,被告サーバ装置は,本件発明の構成と均等なものということはできない。 5 争点(2)イ(乙3文献を主引例とする進歩性欠如)について事案に鑑み,争点(2)イについて判断する。 (1) 乙3文献の記載ア本件特許の出願前である平成12年10月13日に頒布された刊行物で- 102 -ある乙3文献には,次の記載がある。 ・ 「どんなゲーム?」「エニックスが提供する『ドラゴンクエストNET』。このコンテンツでは,『グランカジノ』と『カードのほこら』という,2種類のゲ-ムを遊ぶことができる。・・・しかも,この2つのゲームでは,カードとゴールドが共通。つまり,『グランカジノ』でゴールドを稼ぎ,『カードのほこら』でカード購入することができるのだ。さらに,稼いだゴールドやメダルの数によって,レアなグッズが当たるぞ。」(4頁中央部)・ 「グランカジノ」「『グランカジノ』では,『スライムキャッチャー』,『モンスタースロット』,『ホイミでHI&LOW』,『スライムハット』,『モンスターのたまご』の5種類のゲームで遊ぶことができる。この他にもVIPゲームやめったに登場しない隠しゲームなどがあるのだ。」(5頁上部)・ 「カードのほこら」「『カードのほこら』は,カードを集めるためにドラゴンクエストの世界を冒険するゲームだ。フィールドを探索しながら,遭遇したモンスターと戦い,勝つとモンスターがカードに変身する。こうやって,ドンドンカードを集めていくのだ。カードはのみの市やグランマーズの館などで売買も可能なので,上手に利用してカードを集めよう。」,「勝利カードをGET!! 戦闘に勝つと,モンスターはカード変化し,手に ドンカードを集めていくのだ。カードはのみの市やグランマーズの館などで売買も可能なので,上手に利用してカードを集めよう。」,「勝利カードをGET!! 戦闘に勝つと,モンスターはカード変化し,手に入れることができる。」(5頁中央部)・ 「この他に,2種類のVIPゲームといつ登場するかわからない隠しゲームで遊ぶことができる。」(6頁上部)・ 「スライムキャッチャー」「掛け金 0G 配当 50G~」,「クレーンで吊り上げるスライムの色を当てるゲーム。予想を当てると,50Gもらえる。ゲームを遊ぶの- 103 -にゴールドは必要ない。まれにキングスライムを吊り上げることがあり,その場合は多めのゴールドとカードが入手できるのだ。」(6頁中央部)・ 「モンスタースロット」「賭け金 100G 配当 250G~5000G」,「いわゆるスロットゲームだ。そろった絵柄によって,配当金額が変わってくる。一番大きな配当額だと,5000Gもあり,一攫千金にはもってこいのゲームだ。」(6頁下部)・ 「ホイミでHI&LOW」「賭け金 100G 配当 200G」,「ホイミスライムが3回,回復の呪文を唱え,その合計が,15を超えるかどうかを予想するゲーム。」,「配当金は地味だが,比較的当てやすい」(7頁上部)・ 「スライムハット」「賭け金 100G 配当 300G」,「スライムが1匹,3個あるハットの中に隠れており,どこにスライムがいるかを当てるゲームだ。 ・・・時々びっくりするような配当になることもあるのだ。」,「難しいわりに配当金が低い。しかし,時にはびっくりするような大当たりも」(7頁中央部)・ 「●ロトチャレンジ」「当たればでかい宝くじ」,「VIPゲームとして,いろいろなゲームが用 りに配当金が低い。しかし,時にはびっくりするような大当たりも」(7頁中央部)・ 「●ロトチャレンジ」「当たればでかい宝くじ」,「VIPゲームとして,いろいろなゲームが用意されている。そのうちの1つロトチャレンジは,3ケタの数字の組み合わせを当てるゲームだ。見事3ケタをすべて当てると,配当金を手にすることができる。」(7頁下部)・ 「カードのほこら紹介」「バトルフィールド上を移動していると,モンスターと遭遇することがある。遭遇すると逃げることはできず,必ず戦うことになる。」,「モンスターと- 104 -遭遇バトル勝つとカードをゲット」(8頁中央部),「格闘場格闘場では,ゴールドを払ってモンスターと戦い,勝利を収めると一定のゴールド手に入れることができる。通常参加料は100Gで,勝利すると500Gもらうことができる。時々,闘技会が開催され,この時は参加料が200Gになり,勝利すると1200Gもらえるのだ。」(8頁左下部)・ 「カードのトレーディング」「冒険で手に入れたカードは,『のみの市』で売りに出すことができる。 『カードを飛ばす』では,合い言葉を入力することで,友達にカードを渡すことができる。また,グランマーズの館や旅の商人・・・でもカードの売買をすることができる。」(9頁上部)・ 「■のみの市」「のみの市では,カードを購入したり,手カードを売りに出せる。売りに出すときの値段はプレイヤーの言い値だ。」,「●カードを購入する場合よくあるカードレア度の低いカードばかり。値段も安い。 ちょい珍しいレア度が中くらいのカードが主。 これは珍しい珍しいカードばかり。値段もびっくり。」,「●カー くあるカードレア度の低いカードばかり。値段も安い。 ちょい珍しいレア度が中くらいのカードが主。 これは珍しい珍しいカードばかり。値段もびっくり。」,「●カードを売却したい場合「出品したいカードのNoを入れる。」,「出品したカードの値段を入れる。」(9頁中央部)・ 「グランマーズの館グランマーズの館では,カードの売買やカードを見ることができる。売却価格は,一律100G。」(11頁左上部)イ乙3文献の奥付には「iモード公式ゲームナビ」と記載されているから,- 105 -乙3に記載されたものは各ゲームを実現する手段を備えたiモードシステムであると認められる。 ウ以上認定した乙3文献の記載によれば,乙3文献には以下の発明(乙3発明)が記載されていると認められる。 「複数のゲームを遊ぶことができる『ドラゴンクエストNET』のiモードシステムであって,当該複数のゲームは,フィールドを探索しながら,遭遇したモンスターと戦い,勝つとモンスターがカードに変身してカードをGETできる『カードのほこら』,0Gの掛け金でクレーンで吊り上げるスライムの色を予想し,予想を当てると一定のゴールドを手に入れることができる『スライムキヤツチャー』,通常参加料100G,闘技会の参加料200Gのゴールドを払ってモンスターと戦い,勝利を収めると一定のゴールドを手に入れることができる『格闘場』,100Gの賭け金を払って絵柄をそろえると一定のゴールドを手に入れることができる『モンスタースロット』,100Gの賭け金を払ってモンスターが唱える呪文の合計値が15を超えるかを予想し,予想が当たると一定のゴールドを手に入れることができる『ホイミでHI&LOW』,100Gの賭け金を払ってモ 』,100Gの賭け金を払ってモンスターが唱える呪文の合計値が15を超えるかを予想し,予想が当たると一定のゴールドを手に入れることができる『ホイミでHI&LOW』,100Gの賭け金を払ってモンスターの隠れ場所を予想し,予想が当たると一定のゴールドを手に入れることができる『スライムハット』,ゴールドによりカードを購入したり,手カードを売りに出せる『のみの市』,ゴールドによるカードの売買やカードを見ることができる『グランマーズの館』,いつ登場するかわからない『隠しゲーム』であり,各ゲームを実現する手段を備えた- 106 -『ドラゴンクエストNET』のiモードシステム」(2) 本件発明との対比ア乙3発明と本件発明を対比すると,以下のとおりである。 すなわち,乙3発明の「カード」は本件発明の「対価データ」に相当し,以下同様に,乙3発明の「ドラゴンクエストNET」は本件発明の「ネットワークを介してユーザが使用する端末装置との間でデータの送受信を行い所定の価値を有する対価データをユーザに獲得させるゲーム」に,乙3発明の「カードのほこら」,「スライムキヤツチャー」,「格闘場」,「モンスタースロット」,「ホイミでHI&LOW」,「スライムハット」,「のみの市」,「グランマーズの館」及び「隠しゲーム」は,本件発明の「ゲーム」に,乙3発明の「ゴールド」は本件発明の「ポイント」にそれぞれ相当する。 さらに,乙3発明の「のみの市」,「グランマーズの館」は,カードを購入することができるものであり,ユーザがカードを購入できる程度に手持ちのゴールドを所持する場合に限りゴールドをカードの対価として支払うことになるから,そのことはシステムとしては本件発明の「ポイントが所定条件を満たす場合に」「対価データをユーザに付与す る程度に手持ちのゴールドを所持する場合に限りゴールドをカードの対価として支払うことになるから,そのことはシステムとしては本件発明の「ポイントが所定条件を満たす場合に」「対価データをユーザに付与するとともに,付与された対価データに対応して定められたポイントを減少させ」る点に相当し,また,乙3発明の「のみの市」及び「グランマーズの館」は,ユーザが所持するカードを売ることができるものであり,そのことはシステムとしては本件発明の「ポイント交換要求に応じて」「対価データを消去するとともに対価データに相当するポイントをユーザに付与」する点に相当する。 加えて,乙3発明では,「カードのほこら」,「スライムキヤツチャー」等を行う手段があることは自明であるから,乙3発明は「ゲーム実行手段」を有する。また,乙3発明では,ユーザはゴールドを手に入れることができるから,乙3発明は,「ポイント付与手段」に相当する構成を有するとともに,ゴールドによりカードを購入,売買できるのであるから,「対価データ- 107 -付与手段」に相当する構成も有すると認められる。 また,乙3発明の「『ドラゴンクエストNET』のiモードシステム」はネットワークゲームのシステムであるから,本件発明1の「ネットワークゲーム用サーバ装置」とは「ネットワークゲーム用システム」である点で共通する。 イ上記アによれば,本件発明と乙3発明の一致点は,次のとおりであると認められる。 「ネットワークを介してユーザが使用する端末装置との間でデータの送受信を行い所定の価値を有する対価データをユーザに獲得させるゲームを進行させるネットワークゲーム用システムであって,複数のゲームの中から一つのゲームをユーザに実行させるためのゲーム実行手段と,前記ゲーム実行手段によってユーザが行ったゲーム 獲得させるゲームを進行させるネットワークゲーム用システムであって,複数のゲームの中から一つのゲームをユーザに実行させるためのゲーム実行手段と,前記ゲーム実行手段によってユーザが行ったゲームの結果に応じて当該ユーザに所定のポイントを付与するポイント付与手段と,前記ポイント付与手段によってユーザに付与されたポイントに応じて所定の価値を有する対価データを当該ユーザに付与する対価データ付与手段とを備え,前記対価データ付与手段は,ポイントが所定条件を満たす場合に,対価データ付与要求に応じて前記対価データをユーザに付与するとともに,付与された対価データに対応して定められたポイントを減少させ,前記ポイント付与手段は,ポイント交換要求に応じて対価データを消去するとともに,当該対価データに相当するポイントをユーザに付与することを特徴とするネットワークゲーム用システム。」ウそして,前記アによれば,乙3発明と本件発明の相違点は,次のとおりであると認められる。 (ア) 相違点1- 108 -本件発明では,「ネットワークゲーム用システム」が「ネットワークゲーム用サーバ装置」であって,「ネットワークゲーム用サーバ装置」が,「ゲーム実行手段」,「ポイント付与手段」,「対価データ付与手段」を備えるのに対して,乙3発明ではそのような構成か不明である点。 (イ) 相違点2本件発明では,「端末装置を使用するユーザに関連付けて当該ユーザが獲得したポイント及び対価データを管理するユーザ情報管理手段」を備え,「端末装置から対価データの付与を要求する対価データ付与要求を受信する対価データ付与要求受信手段と,ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データと対価データに対応して定められたポイントとの交換を要求する ら対価データの付与を要求する対価データ付与要求を受信する対価データ付与要求受信手段と,ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データと対価データに対応して定められたポイントとの交換を要求するポイント交換要求を端末装置から受信するポイント交換要求受信手段とを備え」るのに対して,乙3発明ではそのような構成か不明であり,また,本件発明では,「前記対価データ付与手段は,前記ユーザ情報管理手段によって管理されているポイントが所定条件を満たす場合に,前記対価データ付与要求に応じて前記対価データをユーザに付与するとともに,付与された対価データに対応して定められたポイントを減少させ,前記ポイント付与手段は,ポイント交換要求に応じて前記ユーザ情報管理手段によって管理されている対価データを消去するとともに,当該対価データに相当するポイントをユーザに付与する」のに対して,乙3発明にはポイント及び対価データが「ユーザ情報管理手段」により管理されるものとする構成が備わっていない点。 (3) 相違点の検討そこで,上記相違点1,2について検討する。 ア相違点1について(ア) 乙8の8文献は,「ウルティマオンラインのプレイは,インターネット上のゲームサーバに接続することが前提となっている」(10頁),「ウ- 109 -ルティマオンラインのすべての処理を行っているのが,ゲームサーバ・・・である。」(11頁)の記載からすれば,同文献には,ネットワークゲームにおいてその処理の全てを行うゲームサーバが開示されているものと認められる。 また,乙8の14文献は,「ゲーム自体Blizzardのサーバ上で行われる。」(22頁),「Realm(レルム)とはBlizzardの用意したゲームサーバであり,このサーバ上でゲームをしたり」,「それぞれのサーバは独立し 「ゲーム自体Blizzardのサーバ上で行われる。」(22頁),「Realm(レルム)とはBlizzardの用意したゲームサーバであり,このサーバ上でゲームをしたり」,「それぞれのサーバは独立した環境にあるため,異なるRealm(レルム)のキャラクター同士でネットワークプレイはできない。」の記載からすれば,同文献にも,ゲームの進行を行うオンラインゲーム用サーバ装置が開示されているものと認められる。 ほかに,発行を株式会社ティーツー出版とする「iモードゲーム完全攻略ガイド」と題する文献(平成12年8月15日発行。乙5の2。以下「乙5の2文献」という。)には,携帯電話端末を用いたネットワークゲームである「聖魔大戦ミスティック・グラップル」につき,「どんな仕組み? サーバー上の闘技場でバトルを行うプレイヤーは携帯を介し,サーバー上にある闘技場や試練の場で,他のプレイヤーなどと戦って資金を獲得。」の記載があり,同記載からすれば,同文献には,オンラインゲームにおいて「闘技場」等での他のプレイヤーとの対戦を進行するサーバ装置が開示されているものと認められる。 (イ) 上記(ア)で認定した乙8の8文献,乙8の14文献,乙5の2文献の内容に照らせば,ネットワークゲームにおいてサーバ側でゲームの処理を行うという技術は,周知技術であると認めることができる。 そして,その周知技術を乙3発明に適用することについて,本件で提出された全証拠を精査しても,本件特許の出願時における通信環境に関して原告が主張するような阻害要因となるべきものは認められない。 - 110 -(ウ) 以上のとおり,ネットワークゲームにおいてサーバ側でゲームの処理を行うことは,当業者にとって周知技術であると認められるから,乙3発明について,これをサーバ側でゲームの処理 - 110 -(ウ) 以上のとおり,ネットワークゲームにおいてサーバ側でゲームの処理を行うことは,当業者にとって周知技術であると認められるから,乙3発明について,これをサーバ側でゲームの処理を行うものとして具体化することは,当業者にとって容易になし得るものであるということができる。そして,上記具体化に併せて,前記(2)アで乙3発明が有すると認定したゲーム実行手段,ポイント付与手段,対価データ付与手段につき,これらをいずれもサーバ側に設ける構成とすることは,当業者であれば容易に想到することであるということができる。 イ相違点2についてサーバ側でゲームの処理を行うとしたとき,一つのサーバに対してゲームをプレイするユーザが複数となることから,サーバには,端末装置を使用するユーザに関連付けて当該ユーザが獲得したポイント及び対価データを管理するユーザ情報管理手段が必要となることは自明であり,さらに,当該サーバには,対価データ付与要求受信手段やポイント交換要求受信手段等の情報交換機構の一部も必要となることも自明であるから,相違点1の構成の具体化に伴って,これらの手段をいずれもサーバ側に設けることは当業者であれば容易に想到することであるということができる。加えて,「ユーザ情報管理手段」は,「ポイント及び対価データを管理」するものであるから,対価データ付与手段やポイント付与手段が関係するポイントと対価データについても,サーバ側に「ユーザ情報管理手段」を設けてこれにより管理されるものとすることは,当業者であれば極めて容易に想到することであるということができる。 (4) この点に関して原告は,本件発明の「対価データに対応して定められたポイント」との構成は,売買時に必要な「ポイント」が「対価データ」により異なるものであるから,乙 あるということができる。 (4) この点に関して原告は,本件発明の「対価データに対応して定められたポイント」との構成は,売買時に必要な「ポイント」が「対価データ」により異なるものであるから,乙3文献の「グランマ-ズの館における売却価格は,一律100G」とする構成は,必要なポイント数が当該対価データの価値に応じて- 111 -設定されていないから異なるものであり,乙3文献の「のみの市における言い値」とも,同様に異なるものであると主張する。 しかし,原告の上記主張を前提としても,特開2000-116952号公報(乙29文献)には,「バーチャルエレメント価格表手段Bとしての,サーバ上のバーチャルエレメント価格表対応の記憶領域に記憶されている当該ユーザ保有のバーチャルエレメントの各々のバーチャルエレメント価格を表すデータ」の記載があり,同記載からすれば,バーチャルエレメント価格をバーチャルエレメントごとに設定することが開示されており,交換するポイントを対価データごとに様々な値に決めておくことは当業者にとって周知技術であると認めることができる。そうすると,かかる構成とすることは当業者が容易に想到することであるということができるから,原告の上記主張は失当である。 (5) 以上のとおり,本件発明は,乙3発明及び当業者に周知な技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということができるから,特許法29条2項に違反し,特許無効審判により無効とされるべきものと認められる。 6 争点(3)イ(本件訂正による対抗主張の成否・被告サーバ装置が本件訂正発明の技術的範囲に属するか)について訂正の対抗主張が成立するためには,訂正審判あるいは訂正請求が適法に行われることによって特許の無効理由が解消されることの他に,被告の製 サーバ装置が本件訂正発明の技術的範囲に属するか)について訂正の対抗主張が成立するためには,訂正審判あるいは訂正請求が適法に行われることによって特許の無効理由が解消されることの他に,被告の製品若しくは方法が訂正後の特許発明の技術的範囲に属することを要すると解すべきであるところ,本件においては,仮に本件訂正により争点(2)の無効理由を全て解消することができるとしても,本件訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから,前記2及び3のとおり,そもそも被告サーバ装置が本件訂正前の本件発明の技術的範囲に属さない以上,本件訂正発明の技術的範囲にも属さないことは明らかである。 したがって,原告の本件訂正による対抗主張は理由がないというべきである- 112 -が,事案に鑑み,以下,訂正の対抗主張の成否に関する争点(3)イにつき,判断する。 7 争点(3)イ(ア)(構成要件A’における「価値が異なる複数の対価データが存在するゲーム」の充足性)について(1) 「価値が異なる複数の対価データが存在するゲーム」の意義原告は,「価値が異なる複数の対価データが存在するゲーム」について,ゲームのどこかの段階で「対価データ」をユーザに提供できれば,「存在する」というものと解されるのであり,被告が主張するように「対価データ」が予め用意されているのか,あるいは,ユーザがポイントを消費する選択をした後に「対価データ」が存在するに至るか,といった点は関係がないと主張する。そこで,以下,この点について検討する。 本件訂正発明の構成要件A’に係る特許請求の範囲には「所定の価値を有する対価データ」,「前記価値が異なる複数の対価データ」と記載されており,本件訂正発明の構成要件D’-2にかかる特許請求の範囲に「付与された対価データの価値に応じて定めら の範囲には「所定の価値を有する対価データ」,「前記価値が異なる複数の対価データ」と記載されており,本件訂正発明の構成要件D’-2にかかる特許請求の範囲に「付与された対価データの価値に応じて定められたポイント」と記載されていることから,「価値」と「ポイント」は対応付けられたものであり,「対価データ」は「ポイント」と対応付けられたものであると解される。 そして,複数の対価データが存在するゲームにおいて,複数の対価データを管理保存するに当たり,対価データ一つに対して複数の価値を付す構成を取ることは複数の対価データの円滑な管理保存の妨げとなるから,かかる技術常識を考慮すると,当業者は,かかる構成をあえて採用することはせず,「対価データ」がその対応する「価値」ごとに予め分類されていると考えるのが通常であり,そのためには対価データが予め用意されていなければならないと考えると認められる。 そうすると,「対価データ」は,予め用意されて「ポイント」に対応付けがされたものであると解するのが相当である。 - 113 -したがって,本件訂正発明の構成要件A’の「価値が異なる複数の対価データが存在するゲーム」とは,対価データの価値に応じてポイントに対応付けがされた対価データが予め用意されていることを前提としたゲームであると解するのが相当である。 以上の特許請求の範囲の記載の解釈は,本件明細書等の記載に裏付けられているということができる。すなわち,本件明細書等の段落【0122】には,対価データである選手カードには,「ノーマルカード」,「レアカード」及び「ウルトラレアカード」の三つのランクで分類され,各分類に応じて必要なポイントが定められており,例えば,「ノーマルカード」が5ポイント,「レアカード」が60ポイント,「ウルトラレアカード」が300ポイント ラレアカード」の三つのランクで分類され,各分類に応じて必要なポイントが定められており,例えば,「ノーマルカード」が5ポイント,「レアカード」が60ポイント,「ウルトラレアカード」が300ポイントと,獲得難度が上がるにつれて順に必要なポイントが高くなるように定められることが記載されている。また,同段落には,「獲得に必要なポイント」,「さらにポイントを貯めて所望のカード画像を獲得しようという動機付けになる。」とあり,「対価データ」はユーザが獲得するものであることが記載されている。さらに,【図10】には,ユーザがカードショップでカードを購入する手順として,符号514で「■レアカード」を,符号520で「■購入する」を順次選択して,符号530で取得したカード画像が表示されることが記載されている。 【図10】- 114 -また,本件明細書等の上記段落【0122】を含む段落【0114】ないし【0129】には,ネットワークゲーム用サーバが行う対価データとポイントとの交換に基づく処理手順に関する説明が記載されているところ,それらの記載には,どの段階で選手カードが用意されるかについて何ら記載がないことが認められる。 さらに,ネットワークゲーム用サーバが行うユーザからの対価データの閲覧要求に基づく処理手順に関して,【図14】に示すように,本件明細書等の段落【0152】には,「獲得カードリスト画面600」は,「ユーザの現在のカード画像の収集率を表す収集率表示部602」を含む構成となっていることが,段落【0153】には,上記「収集率表示部602」が現時点でのユーザの獲得しているカード画像の収集状況を表示するものであり,例えば,収集率が「82(分子)/1080(分母)」で示されている場合には,上記分母が,ネットワークゲーム用サーバにおいて「予め管 でのユーザの獲得しているカード画像の収集状況を表示するものであり,例えば,収集率が「82(分子)/1080(分母)」で示されている場合には,上記分母が,ネットワークゲーム用サーバにおいて「予め管理している」カード画像の総数を,上記分子が,ユーザが現時点で獲得しているカード画像の収集状況を示していることが,また,段落【0155】には,「チーム別カードリスト画面610」は,「ユーザの現在のチーム別のカード画像の収集率を表すチーム別収集率表示部612」を含む構成となっていることが,段落【0156】には,上記「チーム別収集率表示部612」が現時点でのユーザの獲得しているカード画像の収集状況を表示するものであり,例えば,収集率が「35(分子)/90(分母)」で示されている場合には,上記分母が,ネットワークゲーム用サーバにおいて「予め管理している」ユーザの閲覧要求に対応するチームのカード画像の総数を,上記分子が,ユーザが現時点で獲得しているチームのカード画像の収集総数を示していることが,それぞれ記載されている。 - 115 - 【図14】以上の本件明細書等の記載内容等を総合すると,本件訂正発明では,例えば本件明細書等に記載された実施例として,1080枚の選手カードが予め用意され,個別にレア度が設定されるとともにそのレア度に対応したポイントが設定されているように,複数のカード画像が予め用意され,個別に価値とポイントが対応付けされ,それら複数のカード画像がネットワークゲーム用サーバにおいて管理され,ユーザがあるカード画像を獲得すると,そのカード画像はユーザが現時点で獲得しているカード画像として管理されるものと認めることができる。 また,前記1のとおり本件発明が,対価データの獲得を目的とするゲームを提供するものであり,そのことは本件訂正 画像はユーザが現時点で獲得しているカード画像として管理されるものと認めることができる。 また,前記1のとおり本件発明が,対価データの獲得を目的とするゲームを提供するものであり,そのことは本件訂正発明も同じであり,対価データが予め用意されていることは前提とされているということができるが,本件明細書等に,どの段階で選手カードが用意されるかについて何ら記載がないことから,本件訂正発明では,ユーザがゲームを始める当初の段階において既に,選手カードが個別に価値とポイントを対応付けされて用意されていると解するのが相当である。 以上のとおり,本件訂正発明の構成要件A’の「価値が異なる複数の対価- 116 -データが存在するゲーム」とは,対価データの価値に応じてポイントに対応付けがされた対価データが予め用意されていることを前提としたゲームであると解するのが相当である。 (2) 充足の成否アこれを本件ゲームについてみると,別紙物件構成説明書及び証拠(乙1,30,31,37)によれば,本件ゲームは次のとおりであると認められ,同認定を覆すに足りる的確な証拠はない。 (ア) 「強化経験値」(mix_exp)とは,選手カードを「引継ぐカード」として「強化」に用いることにより上昇するカード経験値を計算するために用いる固定の数値である。 (イ) 「強化」とは,ユーザが,所持強化ポイントを消費して,そのユーザが所持する所持選手カードの中から「ベースカード」と「アシストカード」を選択し,「ベースカード」に「アシストカード」の能力を引き継がせ,これによってベースカードの経験値を上昇させることができる。 その際,被告サーバ装置は,ベースカードの強化に必要とされる強化ポイント(「必要強化ポイント」)を計算し,そのユーザの所持強化ポイントから計算値を減算する。 カードの経験値を上昇させることができる。 その際,被告サーバ装置は,ベースカードの強化に必要とされる強化ポイント(「必要強化ポイント」)を計算し,そのユーザの所持強化ポイントから計算値を減算する。 その計算式は,別紙強化ポイント計算表のとおりである。 また,「強化」により能力を引き継いだ「強化された選手カード」については,そのファクターは所定の計算式により計算される。その計算式は,別紙強化ポイント計算表のとおりである。 例えば,rank が9,コストが20の「林昌範」の選手カードであれば,これをアシストカードにして「強化」を行うとき,ベースカードに付与される経験値は,1800(=9×20×10)となり,rank が9,コストが20の「木田優夫」の選手カードをアシストカードにしたときも,ベースカードに付与される経験値は,同じく1800となり,rank が10,- 117 -コストが18の「山口鉄也」の選手カードをアシストカードにしたときも,ベースカードに付与される経験値は,1800(=10×18×10)となるが,消費する「所持強化ポイント」は,同一のベースカードであれば,上記「林昌範」の選手カードと上記「木田優夫」の選手カードは,同じランクであるから同じ値となるが,上記「山口鉄也」の選手カードは,ランクが一つ上回ることからさらに100が必要となる。 (ウ) さらに,被告サーバ装置では,選手の写真画像と各能力値のパラメータとを紐付けして別々に記憶しており,それらを予め合成した画像は記憶していない。被告サーバ装置は,ユーザに選手カードの情報を送信するとき,写真画像とパラメータをそれぞれ記憶領域から取り出して,それらを合成して画像を作成し,その画像をユーザに送信する。 イ上記アのとおり,本件ゲームでは,消費される「所持強化ポイント」 送信するとき,写真画像とパラメータをそれぞれ記憶領域から取り出して,それらを合成して画像を作成し,その画像をユーザに送信する。 イ上記アのとおり,本件ゲームでは,消費される「所持強化ポイント」は,「ベースカード」と「アシストカード」を特定して初めて,強化に必要とされる強化ポイントが定められるということができる。そうすると,本件ゲームでは,消費される「所持強化ポイント」は,予め,「強化された選手カード」の価値に応じて定められたものではなく,「所持強化ポイント」に対応付けられて予め用意されている選手カードは存在しないということができる。 ウこの点に関して原告は,本件ゲームでは別紙強化ポイント計算表の計算式が用意されており,「強化された選手カード」を得るために必要な強化ポイントが提示された後,ユーザは「所持強化ポイント」の消費を選択しているから,「強化された選手カード」はユーザが上記選択する前に予め用意されているといえるのであって,選手カードは「所持強化ポイント」に対応付けられて予め用意されているということができると主張する。 しかし, 前記(1)のとおり,本件訂正発明の構成要件A’の「対価データ」は,ユーザがゲームを始める当初の段階において既に,選手カードが- 118 -個別に価値とポイントを対応付けされて用意されているものと解するのが相当であるところ,原告が上記主張する「強化された選手カード」は,たとえ計算表の計算式が用意されていたとしても,実際に計算がされるまでは,ユーザがゲームを始める当初の段階において既に,個別に特定の数値でポイントが対応付けされているものとはいえないことは明らかである。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (3) 以上のとおり,本件ゲームの「強化」は,本件訂正発明の構成要件A’の ポイントが対応付けされているものとはいえないことは明らかである。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (3) 以上のとおり,本件ゲームの「強化」は,本件訂正発明の構成要件A’の「価値が異なる複数の対価データが存在するゲーム」に該当せず,被告サーバ装置は本件訂正発明の構成要件A’を充足しない。 8 争点(3)イ(イ)(構成要件D’-2における「付与された対価データの価値に応じて定められたポイントを減少させ」の充足性)について(1) 前記7(1)のとおり,本件訂正発明の「対価データ」は,ポイントと対応付けされて予め用意されているものであるから,本件訂正発明の構成要件D’-2の「付与された対価データの価値に応じて定められたポイントを減少させ」とは,「付与された対価データの価値」と等価のポイントを減少させることを意味し,「対価データ」と予め個別に対応付けされているポイントとが一対一対応で交換されることを意味すると解するのが相当である。 この点に関して原告は,本件訂正発明の構成要件D’-2は,ある価値を有する「対価データ」を取得するのに,その価値に応じて定められたポイント数を減少させ,その価値に応じて定められたポイント数以外のポイント数を減少させることはないことを規定したものであり,一物一価が厳密に規定されてはいないと主張する。 しかし,前記2(3)ア(オ)によれば,本件ゲームでは,「強化」によって,ユーザ所持カード情報テーブルにレコードが追加されることはなく,各パラメータが所定の条件に従って加算される。したがって,本件ゲームの「強化」は,ユーザがこれを行うことにより選手カードを新たに獲得するのではなく,- 119 -所持する選手カードのパラメータを変更するものということができ,「強化された選手カード」と消費され ムの「強化」は,ユーザがこれを行うことにより選手カードを新たに獲得するのではなく,- 119 -所持する選手カードのパラメータを変更するものということができ,「強化された選手カード」と消費される「所持強化ポイント」が一対一対応で交換されているものではないと認めるのが相当である。 (2) また,上記(1)のとおり,本件ゲームの「強化ポイント」は,新たに入手したカードの画像データの価値と等価なポイントということはできず,本件ゲームでは,「強化された選手カード」と消費される「強化ポイント」が一対一対応で交換されているものではないから,「強化ポイント」は「強化された選手カードの価値に応じ」たものであるとはいえない。 この点に関して原告は,本件ゲームでは,「強化」により生成される可能性がある「強化された選手カード」の群があり,その中から特定の「強化された選手カード」が選択,ユーザに獲得されるから,上記の一対一対応の交換が行われていると主張する。 しかし,原告の主張は,群についてはポイントとの対応付けがされているとしても,群を構成する「強化された選手カード」は「生成される可能性がある」もので,ユーザがゲームを始める当初から予め用意されていることを前提としていないから,群を構成する「強化された選手カード」が個々にポイントと予め対応付けされているとはいえない。 (3) 以上のとおり,被告サーバ装置は本件訂正発明の構成要件D’-2の「付与された対価データの価値に応じて定められたポイントを減少させ」を充足しない。 9 結論以上のとおり,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 - 120 - 裁判長裁判官 主文 ついて判断するまでもなく,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 理由 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 東海林保 裁判官 今井弘晃 裁判官 実本滋 (別紙)特許公報(省略) (別紙)物件構成説明書(省略) (別紙)強化ポイント計算表(省略)
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