【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理 由 上告代理人木梨芳繁の上告理由第一点について。 論旨は、原判決が、本件選挙の
主文本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理由上告代理人木梨芳繁の上告理由第一点について。 論旨は、原判決が、本件選挙の事務を委嘱された長洲町役場総務課の職員らにおいて、不在者投票の管理にあたり候補者Dへの投票の勧誘その他選挙管理に関し不公正の措置をとつた旨の上告人らの主張を排斥したのは、論旨に挙示したような各事実を考慮せず、有力な証拠を看過したもので、審理不尽ないし理由不備の違法をおかしたものという。 しかし、原判決が上告人らの右の主張を排斥したのは、関係各証拠を検討した結果と認められ、その主張事実を肯認するに足りる証拠のないことは、原判示のとおりである。論旨は原審の専権に属する証拠の取捨ないし事実の認定を非難するに帰し、採用しがたい。 同第二点の二について。 論旨は、原判決は不在者投票手続における投票立会人に関し、公職選挙法三八条、同法施行令五六条一項、二項の解釈適用を誤つたものという。 しかし、右施行令五六条二項の規定は、公職選挙法四九条の委任に基づき不在者投票手続における投票立会人につき特別の定めをしたものであつて、同項によれば、当該市町村の選挙人名簿に登録された者を立ち合わすべきものとするだけであるから、その立会人は一名でも足りると解するのを相当とする。従つて、原判決に所論の違法は存しない。論旨引用の当裁判所の判例は、違法管理の存在を前提とするもので、この場合には妥当しない。 同第二点の三および六について。 - 1 -論旨は、町選挙管理委員会書記で本件不在者投票管理にあたつた訴外Eが不在者投票用封筒、同証明書等を焼却したこと、原判決が無効と認めた不在者投票六票は右焼却を免れた第三投票所の分一八票の中にあつたこと、その他所論の事由から、不在者 件不在者投票管理にあたつた訴外Eが不在者投票用封筒、同証明書等を焼却したこと、原判決が無効と認めた不在者投票六票は右焼却を免れた第三投票所の分一八票の中にあつたこと、その他所論の事由から、不在者投票中に違法管理された無効投票は相当多数にのぼることが容易に推認されるのにかかわらず、原審がこれらの点を審究しなかつたのは、審理不尽ないし理由不備の違法があるというのである。 本件不在者投票用封筒、同証明書等を前記Eが焼却させたことは、公職選挙法施行令四五条に違反するにしても、それが証拠湮滅など他意あつてなされたものと認めるに足りる証拠のないことは、原判決の判示するところであり、いかなる点において不在者投票につき管理に瑕疵があるか具体的に証明されないかぎり、みだりに管理規定違反を推認することは許されない。原判決が本件に六票の無効の不在者投票があるとしても、そのことから本件不在者投票をすべて無効とはなしがたく、また、そのように疑わしめる事由を認めるに足りる証拠はなんら存しない旨を判示したのは、失当とはいいがたく、論旨引用の当裁判所の判例も、右の場合に適切ではない。 なお論旨は、前記不在者投票用封筒等の焼却をEがなんら他意なくしたものと認定した原判示を経験則違背であるというが、所論は、首肯しうべき根拠に乏しく、ひつきよう、原審の事実認定を非難するにすぎず、採用できない。 同第二点の四について。 論旨は、原判決が、不在者投票管理者は不在者投票を直ちにその選挙人の属する投票区の投票管理者に送致すべき旨を定めた公職選挙法施行令六〇条を訓示的規定とし、本件不在者投票を選挙期日の正午頃まで各投票所の投票管理者に送致していなかつたとしても同条違反とならないと解したのをもつて、法令の解釈を誤つたものという。 - 2 -しかし、同条が投票管理者への不在者投 者投票を選挙期日の正午頃まで各投票所の投票管理者に送致していなかつたとしても同条違反とならないと解したのをもつて、法令の解釈を誤つたものという。 - 2 -しかし、同条が投票管理者への不在者投票の送致を速かにさせようとするのは、投票所閉鎖時刻までに投票管理者に送致されない不在者投票は、投票中に加えられない関係上(同令六二条、六三条、六五条参照)、それに間に合わないことのないようにする配慮に出たものにほかならず、従つて、直ちに送致しないことをもつて違法としても、それによつて不在者投票管理者のもとに存した不在者投票で投票所閉鎖時刻までに投票管理者に送致されなかつたもののない本件においては、それが選挙の結果に異動を及ぼす虞のないことはいうまでもなく、論旨は理由がない。 同第二点の五について。 論旨は、原判決が不在者投票用封筒の紙質が投票用紙の記載内容を容易に透視しうるものであつた旨の上告人らの主張につき、証拠に徴しても、それが選挙の秘密、公正を害するような紙質のものでないと判断したのを失当とし、所論の事実を総合すれば、本件不在者投票がすりかえられたと合理的に疑われるに十分な根拠となるものという。 しかし、右不在者投票の紙質に関する原判決の判断は正当であり、所論のような不在者投票すりかえの事実の推認しがたいことは、原判決がその理由の二の(二)の(3)のイおよびホにおいて詳細説示しているところであつて、それらの認定、判断につき違法と目すべき点は存しない。論旨は採用できない。 同第二点の七について。 論旨は、原判決が、本件不在者投票の管理に関し、設備にやや不完全なものの存した事実、手続に多少疎漏の嫌いのあつた事実、あるいは法令に違反する事実などを指摘しながら、なお、右不在者投票全部の無効ないし本件選挙の無効を認めなかつたのを、審理不尽 、設備にやや不完全なものの存した事実、手続に多少疎漏の嫌いのあつた事実、あるいは法令に違反する事実などを指摘しながら、なお、右不在者投票全部の無効ないし本件選挙の無効を認めなかつたのを、審理不尽、理由不備と主張する。 しかし、原判決は、所論の各事実のいちいちにつき、あるいは選挙の規定違背にあたらないこと、あるいは選挙の規定に違反するにしても選挙の結果に異動を及ぼ- 3 -す可能性をもつものでないことを正当に説示しているのであるから、論旨の失当なことはいうまでもない。なお論旨は、前叙の事実に加えて、本件選挙において真実投票していない選挙人が投票したように処理されている事実、無資格者の投票のあつた事実、無資格者が多数基本選挙人名簿に登録されている事実、選挙人一名の二重投票の事実、町民税申告書の焼却された事実等をあげ、これら事実からも選挙全般にわたつて違法管理の疑が十分あるものと論ずる。 しかし、投票したように処理されている者のうちに真実投票をしていない者があつたとしても、それは原判決が理由の二の(二)の(3)のへに説示するような事実に原因すると認められ、また、無資格者の投票、無資格者の名簿登録の事実も、それが選挙人名簿の調製が杜撰であつたことによる以外に別段の違法管理に原因することの主張立証のない本件においては、選挙の無効をきたす事由となるものではない。二重投票は、原審において主張されていない事実であるのみならず、仮にそれが違法管理によるものとしても、一票の問題にすぎない。その町民税申告書の焼却などの事実のごときも、所論の推測の根拠とはなしがたい。ひつきよう、所論から本件選挙の結果に異動を及ぼす虞のあるような違法管理は推認しがたく、当裁判所の判例の引用も相当でない。論旨は理由がない。 同第三点について。 論旨は、上告人らが本件選挙 たい。ひつきよう、所論から本件選挙の結果に異動を及ぼす虞のあるような違法管理は推認しがたく、当裁判所の判例の引用も相当でない。論旨は理由がない。 同第三点について。 論旨は、上告人らが本件選挙における無資格者の投票を証するためa町の町民税課税台帳を証拠として提出したのに対し、原判決がその証明力を考慮することなく、これを採用しなかつたのは、審理不尽ないし理由不備の違法をおかすものという。 しかし、右課税台帳はもとより登載者の選挙資格を証明する目的で調製、整理されているものではなく、右課税台帳と選挙人名簿との間に記載の一致しないものの存することは当然であり、原判決は被上告人の自認した九四名の無資格者はともかく、それ以外の者に対しては、右課税台帳の記載だけでは、選挙人名簿に法定の手- 4 -続を経て登載された者の無資格を確認するのになお不十分としたものであつて、所論のように証拠として提出された右課税台帳の存在を全く考慮の外に置いたものとは認めがたく、これを違法とすることはできない。のみならず、上告人らの無資格者投票の主張は、それが選挙管理機関の管理執行に関する規定違反の行為に原因することについて、なんら具体的な主張を含むものではない。従つて選挙無効原因の主張としてはそれを理由のないものといわなければならない。また、選挙人名簿に多数の無資格者が誤載されていたとしても、法定の手続を経て適法に確定した名簿がそのために無効とされることはない。従つてそのような名簿によつて本件選挙が施行されたとしても、右選挙の管理執行手続に違法があるものといえないことは、原判決の判示するとおりである。論旨引用の当裁判所の判例も、本件と事情を異にするものであり、所論は到底採用しがたい。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官田中 原判決の判示するとおりである。論旨引用の当裁判所の判例も、本件と事情を異にするものであり、所論は到底採用しがたい。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官田中二郎裁判官五鬼上堅磐裁判官柏原語六裁判官下村三郎- 5 -
▼ クリックして全文を表示