令和3(行ウ)122 死刑の執行告知と同日の死刑執行受忍義務不存在確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年4月15日 大阪地方裁判所
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判決文本文25,679 文字)

主文 1 本件各訴えのうち、死刑執行告知と同日にされる死刑執行を受忍する義務がないことの確認を求める部分をいずれも却下する。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は、原告Aに対し、金1100万円及びこれに対する令和3年11月16日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 被告は、原告Bに対し、金1100万円及びこれに対する令和3年11月1 6日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 3 原告らには死刑執行告知と同日にされる死刑執行を受忍する義務がないことを確認する。 第2 事案の概要本件は、死刑確定者である原告らが、被告に対し、死刑執行告知と同日にさ れる死刑執行が違法である旨主張して、①行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)4条後段の実質的当事者訴訟として、死刑執行告知と同日にされる死刑執行を受忍する義務がないことの確認を求めるとともに(請求3項。以下「本件確認の訴え」という。)、②死刑執行に関わる公務員らは、死刑確定者に対し、死刑執行告知と同日に死刑執行を行うという執行方法による死刑執行をし てはならない義務を負うにもかかわらず、同義務に違反し、このような死刑執行方法を維持していることにより原告らが精神的苦痛を被っている旨主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害金各1100万円(慰謝料各1000万円及び弁護士費用各100万円)及びこれに対する不法行為の後の日で訴状送達の日の翌日である令和3年11月16日から各支払済みまで民法所定の年3% の割合による遅延損害金の支払を求める(請求1項及び2項。以下「本件各賠 償請求」という。)事案である。 1 前 の翌日である令和3年11月16日から各支払済みまで民法所定の年3% の割合による遅延損害金の支払を求める(請求1項及び2項。以下「本件各賠 償請求」という。)事案である。 1 前提事実(争いのない事実、顕著な事実及び後記の証拠(枝番号がある書証については特に明記しない限り枝番号を含む。)により容易に認められる事実)(1)原告らの来歴等ア原告Aは、●●●●年生まれの●●であり、原告Aを死刑に処する旨の 有罪判決(●●●●年●月●●日確定)を受けて、現在、死刑確定者として●●●●●に収容されている。(争いのない事実)イ原告Bは、●●●●年生まれの●●であり、原告Bを死刑に処する旨の有罪判決(●●●●年●月●●日確定)を受けて、現在、死刑確定者として●●●●●に収容されている。(争いのない事実) (2) 死刑執行に係る関係法令の定め等死刑執行に係る関係法令の定めは、以下のとおりである。 ア死刑は、刑事施設内の刑場において、絞首して執行され(刑法11条1項、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(以下「刑事収容施設法」という。)178条1項)、その執行方法は、明治6年太政官布告6 5号の定めによる。 イ死刑の言渡しを受けた者は、その執行に至るまで刑事施設に拘置される(刑法11条2項)。 ウ刑訴法472条の規定により刑の執行指揮をすべき検察官の属する検察庁の長は、死刑の判決が確定したときは、法務大臣に対し、死刑執行上申 書に刑事確定訴訟記録及びその裁判書の謄本2部を添えて提出し、死刑執行に関する上申をする(執行事務規程(平成25年3月19日法務省刑総訓第2号。以下「執行事務規程」という。)9条)。 エ死刑の執行は、法務大臣の命 その裁判書の謄本2部を添えて提出し、死刑執行に関する上申をする(執行事務規程(平成25年3月19日法務省刑総訓第2号。以下「執行事務規程」という。)9条)。 エ死刑の執行は、法務大臣の命令による(刑訴法475条1項)。同命令は、判決確定の日から6か月以内にこれをしなければならない(同条2項本文)。 また、法務大臣が死刑の執行を命じたときは、5日以内にその執行をしな ければならない(同法476条)。 オ刑訴法475条1項の規定により法務大臣から死刑執行の命令があったときは、検察官は、死刑執行指揮書により刑事施設の長に対し死刑の執行を指揮する(執行事務規程10条1項)。 (3) 死刑執行の告知時期に係る運用 ア刑事施設の長は、死刑執行に先立ち、死刑確定者本人に対して死刑執行の告知を行う運用を行っているところ、一般的な取扱いとして、上記死刑執行の告知は、死刑執行の当日に行われている(以下「本件運用」という。)。 イ従前、死刑確定者本人に対する死刑執行の告知は、死刑執行の当日より前に行われることもあったが、死刑執行の前日にその告知を受けた死刑確 定者が自殺した事件を受けて、全ての事案につき、刑事施設の長による死刑確定者本人に対する死刑執行の告知は、死刑執行の当日に行うという本件運用に改められた。(甲A1から5、甲E8、乙1、2、6から8)ウ被告は、C衆議院議員の提出に係る国際人権(自由権)規約に定める死刑囚の裁判を受ける権利に関する質問主意書に対する答弁書(平成12年 6月2日付け)において、「死刑執行の事実を当日より前に告知することについては、死刑の執行を受ける者の心情の安定を著しく害する等の弊害があり、適切ではないと考えている。」旨答弁している。また、D衆議院議員 付け)において、「死刑執行の事実を当日より前に告知することについては、死刑の執行を受ける者の心情の安定を著しく害する等の弊害があり、適切ではないと考えている。」旨答弁している。また、D衆議院議員の提出に係る死刑執行告知時期等に関する質問主意書に対する答弁書(平成25年3月5日付け)において、本件運用につき説明した上で、「現時点 において、このような取扱いを変更する予定はない。」旨答弁している。 (甲A1、2、乙1)(4) 原告らは、令和3年11月4日、本件訴えを提起した。 2 争点本件確認の訴えとの関係で下記(1)から(4)が、本件各賠償請求との関 係で下記(5)及び(6)が問題となっている。 (1)本件確認の訴えが法律上の争訟に該当するか否か(2)本件確認の訴えを行政事件訴訟で争うことができるか(刑事訴訟と行政事件訴訟との峻別)(3)確認の利益の有無(4)原告らに死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし 利益があるか否か(5)本件各賠償請求の可否(6)本件各賠償請求権の成否 3 争点に関する当事者の主張(1)本件確認の訴えが法律上の争訟に該当するか否か (被告の主張)裁判所法3条1項にいう法律上の争訟とは、(1)当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、(2)それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られる。そして、上記(1)の要件は、①当事者間に具体的な紛争が存在すること、②それが権利義務ないし 法律関係の存否に関するものであることの2つの要件に分けられる。 本件確認の訴えは、死刑確定者である原告らが、憲法や市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下 ②それが権利義務ないし 法律関係の存否に関するものであることの2つの要件に分けられる。 本件確認の訴えは、死刑確定者である原告らが、憲法や市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「自由権規約」という。)の規定によれば、原告らは死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益が保障されている旨主張し、このような法的地位等が死刑執行の告知を死刑執 行の当日に行うという本件運用により現に侵害されている旨主張して、原告らには本件運用に基づく死刑執行を受忍する義務がないことの確認を求めているものである。 しかしながら、死刑確定者本人に対する死刑執行の告知をいつ行うかについては法令等に特別の定めはないし、刑事収容施設法及びその関係法令にお いても、死刑確定者が、国又は刑事施設の長に対し、死刑執行に係る事前告 知を求める具体的な請求権を有することの根拠となり得る規定はない。また、逆に、死刑執行の告知について、それを行う時期も含めて国又は刑事施設の長になにがしかを義務付ける旨の規定も存在しない。そうすると、上記(1)②の要件に関し、死刑執行について当日より前に告知を受けるべき法的権利ないし法的に保護された利益をおよそ観念することはできないから、原告らの 請求は、結局のところ、死刑執行の告知に関して、原告らの望む時期に実施してほしい旨、執行実施機関に対し、事実上の便宜を図るよう求めるものにすぎない。 よって、本件確認の訴えは、具体的な権利ないし法律上保護された利益の存否を離れて抽象的に、死刑執行の告知を執行当日に行う運用が刑訴法50 2条の異議申立権を侵害し違憲、違法である旨判断するよう、死刑確定者である国民としての立場で求めるものにすぎないから、当事者間の具体的な権利義務ない 行の告知を執行当日に行う運用が刑訴法50 2条の異議申立権を侵害し違憲、違法である旨判断するよう、死刑確定者である国民としての立場で求めるものにすぎないから、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争とはいえず、法律上の争訟には当たらない。 (原告らの主張) 本件確認の訴えは、死刑確定者である原告らが死刑執行告知と同日にされる死刑執行を受忍する義務がないことの確認を求めるものであるところ、原告らは、上記義務が存在しないことの理由として、憲法13条、31条及び自由権規約等に基づいて、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益がある旨主張し、被告はこれについて争っている。 このような当事者の主張の状況からすると、本件確認の訴えは、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する現実の紛争ということができる。また、上記義務の存否は、法令の解釈、運用によって解決することができるものである。よって、本件確認の訴えは法律上の争訟に該当する。 (2)本件確認の訴えを行政事件訴訟で争うことができるか(刑事訴訟と行政事 件訴訟との峻別) (被告の主張)ア最高裁昭和36年12月5日第三小法廷判決・民集15巻11号2662頁(以下「昭和36年12月判決」という。)の射程について(ア)昭和36年12月判決は、死刑について「現在の法令による執行方法が違法であると主張するのであれば、かかる執行方法を前提とする刑事 判決については刑訴法所定の方法によって争うべく、このことなく、もしくはこのことのほかに更に行政事件訴訟特例法によって死刑執行方法を争うのは、結局、実質上において、行政事件訴訟をもって刑事判決の取消変更を求めることに帰し、か 法によって争うべく、このことなく、もしくはこのことのほかに更に行政事件訴訟特例法によって死刑執行方法を争うのは、結局、実質上において、行政事件訴訟をもって刑事判決の取消変更を求めることに帰し、かかる訴訟は許されない」旨判示しており、およそ死刑を言い渡す判決は、裁判所が法律に従い当該事件につき 国が具体的に現行法所定の死刑執行方法により当該被告人に対し死刑を執行すべき権利を有し被告人はこれを甘受すべき義務があることを当然予定し肯定した上で死刑に処すべきことを命ずる趣旨のものであることを理由として現行の死刑執行方法の適法性を行政事件訴訟により争う訴えを不適法としている。よって、現行の死刑執行方法の適法性について は、「刑訴法所定の方法」、すなわち刑事裁判手続によってのみ争うことができる。 そして、昭和36年12月判決にいう「現在の法令による執行方法」とは、法律で定められた基本的事項とそれ以外の細目の双方を指し、基本的事項は法律で定め、それ以外の細目については、法律で定められた 基本的事項に反するものでないこと(すなわち、法律上許されたものであること)を前提に、現実に行われている執行方法の全て(法律で定められた基本的事項及び運用に委ねられた執行方法の細目)が含まれる。 後者の細目(行政運用)について、「現在の法令による執行方法」から除外され、あるいはこれと区別されると解すべき合理的な理由は見い出し 難く、運用に委ねられた執行方法の細目が不当である旨をいうことは、 おのずからその前提となる基本的事項(法律事項)が不当であるか、細目が基本的事項(法律事項)に適合しないことをいうことにほかならない。 また、刑訴法所定の手続に関し、同法所定の救済手続のほかに、別途行政事件訴訟により争う 律事項)が不当であるか、細目が基本的事項(法律事項)に適合しないことをいうことにほかならない。 また、刑訴法所定の手続に関し、同法所定の救済手続のほかに、別途行政事件訴訟により争うことを認めることについては、刑事判決と行政 事件判決との矛盾抵触等の問題が生じることが避けられないが、現行法上、そうした事態を念頭に置いた調整規定等は置かれていない。そうすると、刑訴法所定の救済手続が存在する場合に、別途行政事件訴訟により争うことを認めることはそもそも法律上想定されていないというべきである。昭和36年12月判決が前提とする刑事訴訟と行政事件訴訟の 峻別(役割分担)に係る問題意識は、同判決後の最高裁判決でも繰り返し示されている。 (イ)本件確認の訴えは、わが国の現行の死刑制度において、死刑執行当日に執行を告知し、即日死刑が執行される運用が行われていることを前提に、このような死刑執行方法に係る運用を論難して、本件運用によって 死刑執行を受忍する義務がないことの確認を行訴法上の当事者訴訟の形式で求めるものであり、その適否は専ら刑事裁判において審理・判断されるべき事柄である。死刑の執行は現行法規に基づいて行われており、死刑執行の告知を含む死刑の執行に係る運用に委ねられた執行方法の細目は現行法規を前提とするものである。そのため、死刑執行の告知の当 否につき検討することは、おのずからこれらの法規の当否及びその適合性を検討することを意味する。運用に委ねられた死刑執行方法の細目について、別途行政事件訴訟で争うことを許容した場合、刑事判決と行政事件判決とで判断が区々になる事態を許す結果となる。 (ウ)そうすると、その適否を行政事件訴訟によって争おうとする本件確認 の訴えは、昭和36年12月判決の射程 した場合、刑事判決と行政事件判決とで判断が区々になる事態を許す結果となる。 (ウ)そうすると、その適否を行政事件訴訟によって争おうとする本件確認 の訴えは、昭和36年12月判決の射程内のものであり不適法である。 イ昭和36年12月判決は変更されるべきか否か昭和36年12月判決は、現行死刑制度による死刑の執行については、憲法上又は法律上特定の国家機関の専権事項とされ、あるいは特別の司法救済手続が認められているために、法律上定められた救済手続以外の訴訟の中で裁判所がその適否の審査を行うことができないという考え方に基づ くものであるところ、前記アのとおり、このような考え方は最高裁判決の中で一貫している。そうすると、昭和36年12月判決の判例部分は、今なおこれを変更すべきものとは認められない。 (原告らの主張)ア昭和36年12月判決の射程について (ア)死刑は生命を奪う刑罰であり、執行されてしまえばその執行過程等における誤りに対する救済は不可能であり、救済の必要性の高さからすれば、昭和36年12月判決の射程は限定的に解釈されなければならない。 昭和36年12月判決にいう「現在の法令による執行方法」とは、文理上、法令に定めがある執行方法ということになるから、死刑の執行方 法に関する基本的事項を意味し、昭和36年12月判決が直接的には「絞首」という執行方法についてのみ判断していることからすると、その射程は法律で定められた基本的事項である絞首という執行方法の違憲性・違法性を争う場合についてのみ及び、基本的事項以外の執行方法の細目はこれに含まれないと解すべきである。 (イ)本件確認の訴えの対象である死刑執行の告知時期は法令で定められているものではなく、被告の行 う場合についてのみ及び、基本的事項以外の執行方法の細目はこれに含まれないと解すべきである。 (イ)本件確認の訴えの対象である死刑執行の告知時期は法令で定められているものではなく、被告の行政運用(細目)のひとつにすぎず、法律で定められた基本的事項に該当しないから、上記判決にいう「現在の法令による執行方法」には該当しない。 仮に本件運用が違憲、違法としても、死刑という刑罰自体を否定する ことにはならないし、原告らを死刑に処する旨の確定した刑事判決を否 定することにもならない。本件運用が違憲、違法であることは、刑事裁判において死刑に処する旨の判決を下すことの妨げにならない以上、刑事裁判手続において審理・判断の対象として予定されている事項であったとはいえないから、原告らが各自の刑事裁判で本件運用の問題を争うことは無意味であり実益もなかったといえる。 (ウ)以上によれば、本件運用の是非を問う本件確認の訴えには、昭和36年12月判決の射程は及ばない。 イ昭和36年12月判決は変更されるべきか否か昭和36年12月判決の射程が本件確認の訴えに及ぶとしても、同判決は本件確認の訴えを適法とするよう変更されなければならない。すなわち、 現在の死刑執行方法に対する不服申立ての方法としては、刑事判決に対する上訴のみが許されるとした点については、当時から行政事件訴訟で争い得るようにすべきとの批判があった。更に、昭和36年12月判決は行政事件訴訟特例法時代のものであるところ、行政事件訴訟法が整備されたことで、行政による侵害から国民の権利利益を救済する必要性に大きな変化 が生じており、同判決は変更されるべきである。 (3)確認の利益の有無(被告の主張)ア対象選択の適否原告らは死刑 よる侵害から国民の権利利益を救済する必要性に大きな変化 が生じており、同判決は変更されるべきである。 (3)確認の利益の有無(被告の主張)ア対象選択の適否原告らは死刑執行告知と同日にされる死刑執行を受忍する義務がないこ との確認を求めているところ、原告らの主張する憲法13条、31条及び自由権規約6条1項、7条、10条1項等により死刑執行告知と同日に死刑執行されない法的地位ないし利益が保障されているということはできない。そもそも死刑執行の告知は、法令の規定に基づいてされているものではなく、執行実施機関(刑事施設の長)が、執行の便宜のために事実上行 っているものにすぎず、法的効果のない事実行為であるから、仮に、刑事 施設の長が、死刑確定者に対し、死刑を執行する旨の告知を行わなかったとしても、何ら違法のそしりを受けるものではないし、死刑確定者に対していつ死刑の執行を告知するかは、刑事施設の長に委ねられている。そうすると、原告らには、死刑の執行について当日より前に告知を受けることを求め得る法的地位ないし利益を有するものではないから、本件確認の訴 えの対象となる権利関係ないし法的地位自体が認められず、確認対象として不適切である。 イ紛争の成熟性原告らは、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益が本件運用により現に侵害されている旨主張するところ、原告ら に上記法的地位ないし利益を観念することはできない上、それが原告らに対して未だ個別に適用されていない行政運用によって現に侵害されているともいえない。 ウ方法選択の適否公法上の法律関係に関する確認の訴えにおいても、確認の利益が認めら れるためには、他の法的手段ではな い行政運用によって現に侵害されているともいえない。 ウ方法選択の適否公法上の法律関係に関する確認の訴えにおいても、確認の利益が認めら れるためには、他の法的手段ではなく当該確認の訴えを選択したことが適切といえる必要がある。そして、本件確認の訴えのように死刑執行方法に係る行政運用を論難して、本件運用を前提とする執行方法による死刑執行を受忍する義務のないことの確認を求める訴えは、本来、刑事裁判における上訴手続によるべきものとして許され得ないことは前記(2)(被告の主 張)アのとおりである。 原告らは、死刑執行と同日にその告知がされる本件運用の下では、原告らの死刑執行の時点で実質的に刑訴法502条の異議申立てができないから、本件確認の訴えが認められるべきである旨主張する。 しかし、死刑執行告知と同日にされる死刑執行が違憲、違法であること を異議事由として刑訴法502条の異議申立てを行おうとした場合、この ような主張は同条所定の異議事由に該当しないというべきである。すなわち、最高裁昭和36年8月28日第一小法廷決定・刑集15巻7号1301頁(以下「昭和36年8月決定」という。)は、「刑訴法502条の異議において、裁判の内容そのものの不当を主張し、あるいは現行刑罰制度ないし行刑制度を非難する如きは許されない」旨の原審の判断を是認してお り、原告らの死刑執行告知と同日にされる死刑執行が違憲、違法である旨の原告らの主張も、現在の法令による執行方法あるいはこれに内在する手続に違憲、違法がある旨をいうものにほかならず、「現行刑罰制度ないし行刑制度を非難する」ものとして同条所定の異議事由に該当しない。 また、原告らにおいて、具体的な異議事由を想定することなく、一般的・ 抽象的に異議申立 うものにほかならず、「現行刑罰制度ないし行刑制度を非難する」ものとして同条所定の異議事由に該当しない。 また、原告らにおいて、具体的な異議事由を想定することなく、一般的・ 抽象的に異議申立権が侵害されるおそれがある旨をいうのであれば、それだけでは、原告らが異議申立権を行使する具体的蓋然性が認められず、その他、裁判の内容に反したり、執行指揮固有の違法事由が生じる具体的なおそれは何らうかがわれない。よって、死刑執行の時点で刑訴法502条の異議申立てが実質的にできず、他に適切な救済方法がないから本件確認 の訴えを認めるべきとする原告らの主張は理由がない。 (原告らの主張)ア対象選択の適否原告らは、憲法13条、31条、自由権規約等に基づき死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益が導かれ本件運用に よりこれが侵害されている旨主張し、被告はこれを争っている。これらの主張の対立状況からすれば、死刑執行告知と同日にする執行に応じる義務の存否を判断することは、当事者間の具体的紛争の解決にとって有効かつ適切であり、本件確認の訴えの対象の選択は適切である。 イ紛争の成熟性 原告らを死刑に処する旨の判決は既に確定し、かつ判決確定から既に6 か月以上経過している以上、原告らはいつ死刑を執行されてもおかしくない立場にある(刑訴法475条2項参照)。そして、被告は現在に至るまで、一貫して死刑執行当日に告知をする本件運用を維持しており、かつ、本件運用を変更する予定がない旨明言している。よって、将来の原告らに対する死刑執行時においても本件運用に変更はない蓋然性が高いから、現時点 において、原告らにつき死刑執行告知と同日にする死刑執行を受忍する義務の存否について確認 している。よって、将来の原告らに対する死刑執行時においても本件運用に変更はない蓋然性が高いから、現時点 において、原告らにつき死刑執行告知と同日にする死刑執行を受忍する義務の存否について確認することが必要かつ適切であり、紛争の成熟性も認められる。 ウ方法選択の適否死刑執行と同日にその告知がされる本件運用の下では、原告らの死刑執 行の時点で実質的に刑訴法502条の異議申立てができないから、本件確認の訴えが認められるべきである。すなわち、刑訴法502条の異議申立ては、不適法のみならず、著しく不当な処分についてもできると解されるところ、本件運用を前提とする執行を念頭においた執行指揮処分が違憲、違法であることは同条所定の異議事由に該当する。 また、その他にも、再審請求中の死刑確定者に対する執行指揮処分、あるいは他事考慮によって死刑を執行する者を選別し、その者に対して執行指揮処分を行うことも著しく不当なものとして異議事由に該当し得る。しかし、これらの著しく不当な処分の有無は、実際に執行指揮がされなければ判断することができないところ、本件運用の下では、その違憲性・違法 性を異議申立ての方法で争うことは現実的に不可能であり、救済を求める権利が実際上剥奪されている。その上、検察官による死刑執行の指揮に対しては、その執行指揮をする前に異議申立てをすることもできない(昭和36年8月決定参照)。 よって、本件確認の訴えは方法選択としても適切といえる。 (4)原告らに死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし 利益があるか否か(原告らの主張)以下の憲法や自由権規約の規定から、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益が導出される。 のない法的地位ないし 利益があるか否か(原告らの主張)以下の憲法や自由権規約の規定から、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益が導出される。 ア憲法13条 憲法13条の根底にあるのは人間の尊厳であるところ、自分に訪れる死が確実である場合に、残された時間をどのように過ごすか自分で決めることは人格権に基づく自己決定権の現れといえる。死刑確定者であっても、尊厳ある人間として自らの死を受容するために、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益が憲法13条により保障され ている。 イ憲法31条、刑訴法502条死刑執行の告知時期は、死刑執行手続の基本的部分であるから、これを法律で定めずに、原告らに対する告知を死刑執行の当日にすることは憲法31条が定める適正手続に反する。また、刑訴法502条は、死刑の執行 指揮処分に対する異議申立ての権利を保障しているところ、死刑執行と同日に告知する本件運用の下では、実際上死刑確定者が上記権利を行使できないことは自明である。よって、憲法31条及び刑訴法502条からも、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益が導出されるというべきである。 ウ自由権規約自由権規約6条1項は、「何人も、恣意的にその生命を奪われない」旨を、同7条は、「何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない」旨を定め、同10条1項は、「自由を奪われたすべての者は、人道的にかつ人間の固有の尊厳を尊重して、取り扱わ れる」旨定める。自由権規約委員会の一般的意見や我が国に対する総括所 見によれば、死刑確定者に対し適切な時に 奪われたすべての者は、人道的にかつ人間の固有の尊厳を尊重して、取り扱わ れる」旨定める。自由権規約委員会の一般的意見や我が国に対する総括所 見によれば、死刑確定者に対し適切な時に執行の日時を知らせないことは、通例、虐待の一形態となり、その後の死刑執行が自由権規約7条に違反し、同6条1項及び10条1項にも違反することは明らかであり、よって同2条1項、3項(a)及び14条1項にも違反することになる。これら自由権規約の規定によれば、死刑確定者について、死刑執行告知と同日に死刑 執行されることのない法的地位ないし利益が保障されているというべきである。 (被告の主張)原告らの主張する憲法や自由権規約の規定から、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益が導出されるということはでき ない。 ア憲法13条原告らが主張する「死刑執行と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益」は死刑確定者にしか観念し得ず、生来的なものとみることはできない。そして、憲法13条は、同条によって尊重される生命に対す る国民の権利といえども、公共の福祉という基本的原則に反する場合には、立法上制限ないし剥奪されることを当然予想しており、さらに、憲法31条は、国民個人の生命の尊貴といえども、法律の定める適正手続によってこれを奪う刑罰を科せられることを想定している。すなわち、憲法は、刑罰としての死刑の存置を想定し是認していると解すべきであるから(最高 裁昭和23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁参照)、原告らが主張するような法的地位等が憲法上保障されているとみることはできない。 イ憲法31条、刑訴法502条憲法31条は、死刑確定者が死刑執行当日よりも 巻3号191頁参照)、原告らが主張するような法的地位等が憲法上保障されているとみることはできない。 イ憲法31条、刑訴法502条憲法31条は、死刑確定者が死刑執行当日よりも前に死刑執行告知を受 ける権利や法的地位にあることを定めたものではない。また、原告らの異 議申立権(刑訴法502条)侵害の主張も、飽くまで観念的に異議申立権の侵害があり得る旨の主張にとどまっており、請求原因としての具体性を欠く。 ウ自由権規約自由権規約6条1項は、「何人も、恣意的にその生命を奪われない」旨定 め、同7条は、「何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない」旨定めているところ、これらの規定は死刑執行の告知について直接規定したものではないし、その文理上、本件で原告らの主張する地位や利益を保障するものと解することもできない。 そして、これらの規定から死刑確定者に適切な時に死刑執行の告知を受け る利益又は法的地位を保障しているものと解することができない以上、同2条1項、3項(a)及び14条1項違反があるということもできない。 (5)本件各賠償請求の可否(被告の主張)本件各賠償請求は、刑事判決確定後に執行される死刑の執行方法の違憲、 違法を主張するものではあるが、前記(2)(被告の主張)アのとおり、死刑に処する旨の刑事判決は、当然に、現在行われている死刑執行方法を前提としており、運用に委ねられた執行方法の細目に含まれる死刑執行の告知もこれに含まれるのであるから、結局、本件各賠償請求で本件運用の違法を主張して死刑の執行方法を争うことは、刑事裁判手続によらず、刑事判決の結論 自体を損害として争う訴訟にほかならず、刑事訴訟手続 れに含まれるのであるから、結局、本件各賠償請求で本件運用の違法を主張して死刑の執行方法を争うことは、刑事裁判手続によらず、刑事判決の結論 自体を損害として争う訴訟にほかならず、刑事訴訟手続の意義を失わせることになるばかりか、刑事裁判における結論の安定を損なうことになり、又は、刑事裁判の結果を実質的に無意味にする内容の訴訟であるから、許されない。 したがって、本件各賠償請求には理由がない。 (原告らの主張) 死刑として定められている同じ絞首刑でも、事前告知による絞首刑と即日 告知による絞首刑とでは、死刑確定者が受ける心理的苦痛や恐怖は全く異なることは明らかである。本件各賠償請求は、絞首刑そのものの残酷性による恐怖とは異なる、即日告知で余分に加わった恐怖を、本件運用による固有の損害と捉えて、その慰謝料を請求するものである。将来死刑に処せられること自体に精神的苦痛が生じているという主張に基づくものではないから、刑 事裁判手続によらず、刑事判決の結論自体を損害として争うものであるとの被告の主張は失当である。 (6)本件各賠償請求権の成否(原告らの主張)ア原告らの権利ないし法律上保護された利益侵害の有無 前記(4)(原告らの主張)のとおり、原告らには、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない利益があり、本件運用によりこれが侵害されている。 イ本件運用による死刑執行をしてはならない義務違反の有無本件運用が違憲、違法である以上、大阪地方検察庁検事正、大阪地方検 察庁の執行指揮検察官及び大阪拘置所長等の死刑執行に関わる公務員らは、死刑確定者に対し、違法な本件運用による死刑執行をしてはならない義務を負う。 そして、これら公務員が、上記 検 察庁の執行指揮検察官及び大阪拘置所長等の死刑執行に関わる公務員らは、死刑確定者に対し、違法な本件運用による死刑執行をしてはならない義務を負う。 そして、これら公務員が、上記義務に違反して本件運用を維持していることは、原告らに対する不法行為を構成する。 ウ損害の発生及び金額原告らは、死刑確定者として、被告が本件運用を維持していることにより、苦痛に満ちた毎日を送ってきた。その期間は、本件訴えの提起時までで、原告Aについては約●●、原告Bについては約●●●●●の長きにわたる。原告らの苦痛は現在も続いており、被告が違法な本件運用を改める まで存続する。 原告らの精神的苦痛を慰謝するための慰謝料は、各原告一人当たり1000万円を下らない。また、原告らは、弁護士に委任して本件訴訟を提起せざるを得なくなったところ、その弁護士費用は各100万円である。 エ小括したがって、原告らは、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損 害金各1100万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めることができる。 (被告の主張)いずれも争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件確認の訴えが法律上の争訟に該当するか否か)について(1)裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」とは、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する現実の紛争であって、かつ、それが法令の適用により終局的に解決できるものをいうものと解すべきである(最高裁昭和41年2月8日第三小法廷判決・民集20巻2号196頁、最高裁昭和 56年4月7日第三小法廷判決・民集35巻3号443頁、最高裁平成14年7月9日第三小法廷判決・民集56巻6号1134 裁昭和41年2月8日第三小法廷判決・民集20巻2号196頁、最高裁昭和 56年4月7日第三小法廷判決・民集35巻3号443頁、最高裁平成14年7月9日第三小法廷判決・民集56巻6号1134頁等参照)。 本件確認の訴えは、死刑確定者である原告らが、死刑執行告知と同日にされる死刑執行を受忍する義務がないことの確認を求めるものであるところ、原告らは、上記義務の不存在の確認を求める根拠として、原告らには刑訴法 502条、憲法13条、31条及び自由権規約等に基づいて死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益がある旨主張し、被告は上記法的地位ないし利益はない旨主張して争っている。そうすると、上記義務の存否を争う本件確認の訴えは、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する現実の紛争といえ、かつ、法令の解釈、適用によって 終局的に解決することができるものといえる。 (2)被告は、原告らが主張する死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益というものはおよそ観念できるものではないとした上で、最高裁昭和27年10月8日大法廷判決・民集6巻9号783頁、最高裁昭和39年4月21日第三小法廷判決・集民73号317頁、最高裁平成3年4月19日第二小法廷判決・民集45巻4号518頁を指摘して、本件 確認の訴えは、具体的な権利ないし法律上保護された利益の存否を離れて抽象的に、死刑執行の告知を死刑執行の当日に行うという本件運用が違憲、違法である旨の判断を求めるものにすぎないから、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争とはいえない旨主張する。 しかし、原告らが主張する上記法的地位ないし利益が認められるか否かは 本案において判断されるべき問題であ 間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争とはいえない旨主張する。 しかし、原告らが主張する上記法的地位ないし利益が認められるか否かは 本案において判断されるべき問題であるといえ、上記各判例は、いずれも本件とは事案を異にし、本件に適切でないというべきである。そうすると、本件確認の訴えが、原告らが具体的な権利ないし法律上保護された利益の存否を離れて抽象的に、死刑執行の告知を執行当日に行う運用の違憲、違法の判断を求めるものということはできないから、上記被告の主張を採用すること はできない。 (3)したがって、本件確認の訴えは、裁判所法3条1項にいう法律上の争訟に該当する。 2 争点(2)(本件確認の訴えを行政事件訴訟で争うことができるか(刑事訴訟と行政事件訴訟との峻別))について (1)昭和36年12月判決の射程についてア(ア)昭和36年12月判決に先行する最高裁昭和36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁(以下「昭和36年7月判決」という。)は、現在の死刑の執行方法は法令上の根拠があり憲法31条に違反するものではない旨判断しているところ、これは、被告人に死刑を言い渡す刑事 判決は、当然に、現在行われている死刑執行方法を前提とするものであり、 もし現在行われている死刑執行方法が違憲であれば、刑事判決自体が違憲、違法となることから、現在の死刑執行方法に対する不服については、必ずしも刑事判決そのものに対する不服とはいえないものの、刑事裁判手続における適法な上告理由として取り上げたものと解される。 そして、昭和36年12月判決も、「およそ死刑を言い渡す判決は、裁 判所が法律に従い当該事件につき国が具体的に現行法所定の(中略)死刑執行方法により当該被告人に して取り上げたものと解される。 そして、昭和36年12月判決も、「およそ死刑を言い渡す判決は、裁 判所が法律に従い当該事件につき国が具体的に現行法所定の(中略)死刑執行方法により当該被告人に対し死刑を執行すべき権利を有し被告人はこれを甘受すべき義務(ないし受けるほかない法律関係)あることを当然予定し肯定した上死刑に処すべきことを命ずる趣旨のものである」ことを理由にしていることからすれば、昭和36年12月判決は、死刑を言い渡す 判決は、その刑の選択において、死刑執行方法を含む現行の死刑制度が考慮の前提とされており、現在行われている死刑執行方法が違憲、違法であれば当然に死刑を言い渡す判決そのものが違法となるとの前提に立った上で、現在行われている死刑執行方法に対する不服申立ての方法としては刑事判決に対する上訴のみが許されることを前提にするものと解される。 そうすると、現在行われている死刑執行方法に関する違憲・違法性については、かかる死刑執行方法を前提とする刑事判決の刑事裁判手続において争うべきであり、かつ争うことが可能であるというべきである(昭和36年7月判決、昭和36年12月判決参照)。 (イ)また、昭和36年12月判決は、現在の法令による死刑執行方法の違法 は、かかる執行方法を前提とする刑事判決を刑訴法所定の方法によって争うべきであり、行政事件訴訟において死刑執行方法を争うのは、結局、実質上において、行政事件訴訟をもって刑事判決の取消変更を求めることに帰することを理由に、行政事件訴訟において現在の法令による死刑執行方法の違法を主張して、死刑を執行される義務を負わないことの確認を求め る訴えを不適法としたものである。そうすると、昭和36年12月判決は、 行政事件訴訟における判断をもって、確定し 法の違法を主張して、死刑を執行される義務を負わないことの確認を求め る訴えを不適法としたものである。そうすると、昭和36年12月判決は、 行政事件訴訟における判断をもって、確定した刑事判決との矛盾抵触が生じる事態を避けるために、行政事件訴訟において、現在行われている死刑執行方法の違法を主張して死刑執行を受忍する義務のないことの確認を求める訴えを不適法としたものであると解される。 したがって、行政事件訴訟において死刑の執行方法を争う訴訟は、行政 事件訴訟における判断をもって、確定した刑事判決との矛盾抵触が生じることになる場合には許されないというべきである(昭和36年12月判決、最高裁昭和38年4月19日第二小法廷判決・集民65号605頁参照)。 イ本件確認の訴えは、現在行われている死刑執行方法について、死刑執行の告知を死刑執行の当日に行うという本件運用が違憲、違法であり、原告 らは、本件運用を前提とする死刑執行方法による死刑執行を受忍する義務がないことの確認を求めるものである。 本件運用は、前記前提事実(3)のとおり、運用として行われているものではあるものの、現行法所定の死刑執行に至るまでの手続の一環として、現在行われている死刑執行方法の一部を構成するものである。そうすると、 本件運用を含めた現在行われている死刑執行方法に関する違憲・違法性については、かかる死刑執行方法を前提とする刑事判決の刑事裁判手続において争うべきであり、かつ争うことが可能であるといえる。また、行政事件訴訟において、本件運用を前提とする死刑執行方法による死刑執行を受忍する義務がないことを確認することは、確定した刑事判決が命じた死刑 の執行、すなわち本件運用を含めた現在行われている死刑執行方法による死刑執行を許さな 提とする死刑執行方法による死刑執行を受忍する義務がないことを確認することは、確定した刑事判決が命じた死刑 の執行、すなわち本件運用を含めた現在行われている死刑執行方法による死刑執行を許さないという効果を生じさせるものにほかならないから、確定した刑事判決との矛盾抵触を生じさせることになる。 したがって、行政事件訴訟において本件運用を前提とする死刑執行方法による死刑執行を受忍する義務がないことの確認を求めることは、確定し た刑事判決との矛盾抵触を生じさせることになることから、本件確認の訴 えは許されないというべきである。 ウ原告らの主張について(ア)原告らは、①昭和36年12月判決は直接的には「絞首」という執行方法についてのみ判断しているのであって、「現在の法令による執行方法」は、文理上、法令に定めがある死刑の執行方法に関する基本的事項のみ を意味し、行政運用(細目)のような基本的事項以外の事項はこれに含まれないと解すべきであるところ、死刑執行の告知時期は法令に定めのない行政運用にすぎないから、昭和36年12月判決にいう「現在の法令による執行方法」には該当しないこと、②仮に本件運用が違憲、違法としても、原告らを死刑に処する旨の確定した刑事判決を否定すること にはならず、実質において行政事件訴訟をもって確定した刑事判決の取消変更を求めることにはならないことから、本件確認の訴えに昭和36年12月判決の射程は及ばない旨主張する。 しかし、上記①の点については、前記ア(イ)のとおり、昭和36年12月判決の趣旨が、行政事件訴訟における判断をもって、確定した刑 事判決に基づく死刑執行との矛盾抵触が生じる事態を避けるために、行政事件訴訟において、現在行われている死刑執行方法の違法を主張して死刑執 趣旨が、行政事件訴訟における判断をもって、確定した刑 事判決に基づく死刑執行との矛盾抵触が生じる事態を避けるために、行政事件訴訟において、現在行われている死刑執行方法の違法を主張して死刑執行を受忍する義務のないことの確認を求める訴えを不適法としたものであることからすれば、昭和36年12月判決が「現在の法令による執行方法」という用語を用いたのは、現在行われている死刑執行方法 が法令上の根拠を有することを示したにとどまり、現在行われている死刑執行方法のうち、法令上の定めがある基本的事項と、法令上直接の定めのない行政運用(細目)とを区別し、あえて後者を除外し、行政事件訴訟において基本的事項である前者の違法を争うことができないにもかかわらず、細目である後者の違法であれば争うことができるとする趣旨 ではないというべきである。 また、上記②の点については、原告らは死刑執行の告知を死刑執行の当日に行うという本件運用が違憲、違法である旨主張し、死刑執行告知と同日にされる死刑執行を受忍する義務がないことの確認を求めているところ、本件運用も現在行われている死刑執行方法の一部を構成するものであることは前記イのとおりである。原告らは死刑執行を受忍する義 務を負っていることは争わないと述べる一方で、本件確認の訴えにおいて、本件運用が改まらない限り原告らについて死刑執行を受忍する義務がないことの確認を求めていることからすれば、本件確認の訴えは、結局、本件運用を含めた現在行われている死刑執行方法による死刑執行を許さないという効果を生じさせるものであるから、その実質において、 原告らを死刑に処する旨の確定した刑事判決の取消変更を求めることに帰する点で、昭和36年12月判決の判例に抵触し、あるいは同判例の趣旨が及び許 を生じさせるものであるから、その実質において、 原告らを死刑に処する旨の確定した刑事判決の取消変更を求めることに帰する点で、昭和36年12月判決の判例に抵触し、あるいは同判例の趣旨が及び許されないというべきである。 このように解したとしても、前記イのとおり、現在行われている死刑執行方法に係る違憲・違法性については、かかる死刑執行方法を前提と する刑事判決の刑事裁判手続において争うことが可能である。また、実際にも、本件運用を前提とする死刑執行方法について、死刑執行の告知が当日にされるために死刑囚が執行の恐怖に直面し続ける点が憲法36条にいう残虐な刑罰に当たる旨主張して争われた事案において、死刑に関して憲法36条違反をいう点は判例に照らして理由がないとした最高 裁平成11年3月9日第三小法廷判決・集刑275号293頁が存在するように、死刑執行の告知を死刑執行の当日に行うという本件運用を前提とする死刑の執行方法が違憲、違法である旨主張して刑事裁判手続においてこれを争うことを期待することが不当とまではいえない。 (イ)原告らは、昭和36年12月判決は、「現在の法令による執行方法が違 法であると主張するのであれば、かかる執行方法を前提とする刑事判決 については刑訴法所定の方法によって争う」べきであるとしており、上記「刑訴法所定の方法」には刑訴法502条の異議申立ても含まれるところ、本件運用(死刑執行の告知を死刑執行の当日に行うという運用)の違憲・違法性は同条所定の異議事由に該当するにもかかわらず、本件運用自体によって上記異議申立てが実質的にできない状態にあるから、 本件確認の訴えには昭和36年12月判決の射程が及ばない旨主張する。 しかし、刑訴法502条の異議申立ては、確定した刑事判決によって確定 って上記異議申立てが実質的にできない状態にあるから、 本件確認の訴えには昭和36年12月判決の射程が及ばない旨主張する。 しかし、刑訴法502条の異議申立ては、確定した刑事判決によって確定されたところに反する刑の執行がされること等を防止するため、裁判の執行を受ける者が、裁判の執行に関する検察官のした処分を不当とするときに救済を求める手続であるから、刑訴法502条の異議におい て、裁判の内容そのものの不当を主張し、あるいは現行刑罰制度ないし行刑制度を非難することは許されないものと解するのが相当である(昭和36年8月決定参照)。そして、本件運用も現在の法令による死刑執行方法の一部を構成するものであることは前記イのとおりであるから、結局、本件運用の違憲・違法性は、現行刑罰制度ないし行刑制度を非難す る旨をいうものにほかならず、同条所定の異議事由には該当しないというべきである。 したがって、原告らが本件運用の違憲・違法性を主張する点については、刑訴法502条所定の異議事由に該当しないと解するのが相当であり、刑訴法502条の異議申立てにおいて本件運用の違憲・違法性を争 うことができない以上、原告らの上記主張はその前提を欠くというべきである。 したがって、原告らの上記主張は採用することができない。 (2)昭和36年12月判決は変更されるべきか否かア原告らは、昭和36年12月判決は行政事件訴訟特例法時代のものであ るところ、行政事件訴訟法が整備されたことで、行政による侵害から国民 の権利利益を救済する必要性に大きな変化が生じており、同判決は変更されるべきである旨主張する。 イしかし、刑事裁判手続において、死刑制度については、死刑の執行方法を含め、憲法31条、36条の規定に違反しな する必要性に大きな変化が生じており、同判決は変更されるべきである旨主張する。 イしかし、刑事裁判手続において、死刑制度については、死刑の執行方法を含め、憲法31条、36条の規定に違反しないというのが確立した判例であり、現在までかかる判例は変更されていないというべきであるところ (最高裁昭和23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁、最高裁昭和30年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663頁、最高裁昭和36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁、最高裁平成28年2月23日第三小法廷判決・集刑319号1頁参照)、これは、死刑制度及び死刑の執行方法に係る合憲性判断の基礎となる事情に変更が生じてい ないことによるものと解される。そして、昭和36年12月判決は、前記(1)アのとおり、死刑執行方法を含む現行の死刑制度の適法性は刑事裁判手続で争うべきことを前提として、行政事件訴訟によって死刑執行方法を争うのは、結局、実質において、行政事件訴訟をもって刑事判決の取消変更を求めることに帰し許されない旨判断したものである。そうすると、 死刑制度及び死刑の執行方法に係る合憲性判断の基礎となる事情に変更が生じていない以上、昭和36年12月判決が判断の基礎とした事情に変更はないというべきであり、昭和36年12月判決の考え方は、行政事件訴訟法の施行後及び平成16年法律第84号による改正後の行政事件訴訟法の施行後においても妥当するものといえる。 ウしたがって、昭和36年12月判決の上記判断を変更すべき事情があるとは認められず、上記原告らの主張を採用することはできない。 (3)小括以上によれば、本件確認の訴えは、その余の点(争点(3)、(4))について判断するまでもなく、許されないから、不適法である られず、上記原告らの主張を採用することはできない。 (3)小括以上によれば、本件確認の訴えは、その余の点(争点(3)、(4))について判断するまでもなく、許されないから、不適法であるというべきである。 3 争点(5)、(6)(本件各賠償請求の可否及び本件各賠償請求の成否)につい て(1)本件各賠償請求は、死刑確定者である原告らが、(ア)①刑訴法502条に基づく異議申立権、②憲法13条により保障された人間の尊厳、③憲法31条が定める法律の定める手続によらなければその生命を奪われない権利利益、及び④自由権規約2条1項、3項(a)、6条1項、7条、10条1項及び1 4条1項により保障された適切な時に死刑執行告知を受ける権利利益に基づいて、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益を有している旨主張し、(イ)これを前提に、本件運用(死刑執行の告知を死刑執行の当日に行うという運用)が違法であり、違法な本件運用によって上記法的地位ないし利益が侵害され、原告らが、死刑執行がいつ行われるか予 測がつかないという恐怖が継続することにより精神的苦痛を被っている旨主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求めるものである。 (2)本件各賠償請求の可否(上記(1)(イ)の点)について前記2(1)のとおり、死刑を言い渡す判決は、その刑の選択において、 死刑執行方法を含む現行の死刑制度が考慮の前提とされているところ、本件運用は、現行法所定の死刑執行に至るまでの手続の一つとして、現在行われている死刑執行方法の一部を構成するものである。そして、原告らは、本件運用を含む現在行われている死刑執行方法による死刑の確定判決を受けたものである。そうすると、前記2(1)イの つとして、現在行われている死刑執行方法の一部を構成するものである。そして、原告らは、本件運用を含む現在行われている死刑執行方法による死刑の確定判決を受けたものである。そうすると、前記2(1)イのとおり、現在行われている死刑執 行方法が違憲、違法であれば、当然に死刑に処する旨の確定した刑事判決そのものも違法となる関係にあるから、原告らが現在行われている死刑執行方法の一部である本件運用による権利侵害を主張することは、実質的には、原告らが、自らが受けた死刑に処する旨の確定した刑事判決そのものの違法性及びその執行による権利侵害を主張し、当該刑事判決の結果自体を損害とみ て、被告に対し損害の賠償を求めるものにほかならないといえる。 よって、本件各賠償請求は、原告らを死刑に処する旨の確定した刑事判決の結果を実質的に無意味にすることを求めるものであるから、そのような請求は許されないというべきである。 (3)本件各賠償請求の成否(上記(1)(ア)の点)についてア上記(2)の点を措くとしても、およそ死刑を言い渡す判決は、裁判所 が法律に従い当該事件につき国が具体的に現行法所定の死刑執行方法により当該被告人に対し死刑を執行すべき権利を有し被告人はこれを甘受すべき義務(ないし受けるほかない法律関係)があることを当然予定し肯定した上で死刑に処すべきことを命ずる趣旨のものである(昭和36年12月判決)。そして、前記2(1)のとおり、本件運用は、現行法所定の死刑執 行に至るまでの手続の一つとして、現在の法令による死刑の執行方法の一部を構成するものである。そうすると、原告らは、本件運用を含めた現在の法令による死刑執行方法による死刑執行を甘受すべき義務を負う立場にあるというべきであるから、上記執行方法の一部である本件運用 の一部を構成するものである。そうすると、原告らは、本件運用を含めた現在の法令による死刑執行方法による死刑執行を甘受すべき義務を負う立場にあるというべきであるから、上記執行方法の一部である本件運用のみを取り出して、本件運用を受忍すべき義務がないということはできないという べきである。 したがって、原告らにおいて、上記義務と矛盾する、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益を有するものとは認められない。 イ原告らは、前記(1)(ア)①ないし④に基づき死刑執行告知と同日に死 刑執行されることのない法的地位ないし利益を有している旨主張する。 しかし、前記(1)(ア)①(刑訴法502条に基づく異議申立て)については、前記前提事実(3)によれば、そもそも死刑執行の告知は、刑事施設の長が、死刑確定者の心情の安定への配慮に加え円滑な死刑執行並びに刑事施設の規律及び秩序の維持等(刑事収容施設法32条1項、73条、 74条参照)の観点を考慮して、運用として実施しているものであり、死 刑確定者に対し、刑訴法502条に基づく異議申立ての機会を付与する趣旨でされているものではない。そして、本件運用も、死刑執行の前日にその告知を受けた死刑確定者が自殺した事件を受けて死刑執行の告知を死刑執行の当日に行うように改められた経緯があるというのであり、死刑の執行を受ける者の心情の安定への配慮に加え、円滑な死刑執行や刑事施設の 規律及び秩序の維持等の観点から一定の合理性を有するものであると認められる(前記前提事実(3))。 一方、死刑執行との関係における刑訴法502条の位置付けをみると、同条の趣旨は、検察官が、刑事判決によって確定されたところに反する刑の執行を行うこと等を防止するものであると解されるところ、同 )。 一方、死刑執行との関係における刑訴法502条の位置付けをみると、同条の趣旨は、検察官が、刑事判決によって確定されたところに反する刑の執行を行うこと等を防止するものであると解されるところ、同条の異議 の申立ては、検察官が死刑の執行指揮その他の処分をする以前にはすることができない一方で、法務大臣が死刑の執行を命じたときは5日以内にその執行をしなければならないにもかかわらず(同法476条)、上記異議の申立てがされたことが死刑の執行停止事由とされておらず(同法479条参照)、異議申立ては裁判の執行が終了するまでの間しか行うことができず、 執行が終了した後は異議申立ての利益が失われると解されている。そうすると、刑訴法上、死刑執行との関係において同法502条所定の異議申立制度がこのような位置付けにとどまることからすれば、上記のように刑事施設の長が死刑の執行を受ける者の心情の安定への配慮や円滑な死刑執行等の観点を考慮して合理的に行うべき死刑執行の告知について、死刑執行 と同日に行わないことが、少なくとも刑訴法上要請されているということはできない。そうすると、原告らの主張するように刑訴法502条に基づく異議申立権から、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益を導くことはできないというべきである。 また、前記(1)(ア)②(憲法13条)について、原告らは、人間の尊 厳を保障した憲法13条により、自らに訪れる確実な死の時期を事前に知 り、その間自分がどのように生きるかを決めるという自己決定権(人格権)が保障され、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益は、かかる人格権の一内容として保障されている旨主張する。しかし、本件において、原告らは、前記アのとおり、死刑に処する 権)が保障され、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益は、かかる人格権の一内容として保障されている旨主張する。しかし、本件において、原告らは、前記アのとおり、死刑に処する旨の確定した刑事判決を受け、本件運用を含めた現在行われている死刑執行方法に よる死刑執行を甘受すべき義務を負う立場にあるものであって、現行の死刑制度上、現実に死刑執行を受ける時期について自ら決定することはできないというべきである。そうすると、原告らについて、現行の死刑制度上、死刑執行を受ける時期についての自己決定権が認められない以上、その執行時期を事前に知り、その間自分がどのように生きるかを決めるという自 己決定権(人格権)が権利ないし法的利益として保障されているということもできない。 さらに、前記(1)(ア)③(憲法31条)については、前記2(2)イのとおり、死刑制度については、死刑の執行方法を含め、憲法31条、36条の規定に違反しないというのが確立した判例であり、同判例は、本件 運用を含めた現在行われている死刑執行方法を前提としたものであるから、憲法31条の規定から、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益を導くことはできない。 前記(1)(ア)④(自由権規約)について、原告らは、死刑執行日時に関する合理的な事前告知がないことが、虐待の一形態となり(自由権規約 6条1項)、非人道的な取扱いに当たり(自由権規約7条)、人間の固有の尊厳を侵害する(自由権規約10条1項)から、自由権規約の上記各規定により、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益が保障されている旨主張する。しかし、自由権規約6条1項、7条、10条1項の文理から、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない り、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益が保障されている旨主張する。しかし、自由権規約6条1項、7条、10条1項の文理から、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない 法的地位ないし利益が保障されていることが具体的に定められているもの と解することはできない。そして、自由権規約6条1項、7条、10条1項により上記法的地位ないし利益が保障されているとはいえない以上、原告らが、自由権規約2条1項、3項(a)にいう「この規約において認められる権利又は自由を侵害された者」に当たるということもできない。また、本件運用を前提とする死刑の執行方法の違憲・違法性を刑事裁判手続 において争うことが可能であることは前記2(1)イのとおりであるから、自由権規約14条1項にいう「公平な裁判所による公正な公開審理を受ける権利」が侵害されているということもできない。そうすると、自由権規約の上記各規定から、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益を導くことはできない。原告らは、自由権規約の上記各 規定に関し自由権規約委員会の一般的意見や我が国に対する総括所見の存在を指摘するが、原告らが指摘する上記一般的意見や総括所見はいずれも法的拘束力を有するものではなく、上記判断を左右するものとはいえない。 ウしたがって、原告らにおいて、死刑執行告知と同日に死刑執行されることのない法的地位ないし利益を有するものとは認められない。 (4)以上によれば、本件各賠償請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。 4 その余の原告らの主張も前記認定判断を左右するものではない。 第4 結論よって、本件確認の訴えはいずれも不適法であるからこれを却下し、本件各 賠償請求はいず 主文 よって、本件確認の訴えはいずれも不適法であるからこれを却下し、本件各賠償請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 理由 なく理由がない。 その余の原告らの主張も前記認定判断を左右するものではない。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官横田典子 裁判官森文弥 裁判官立仙早矢 (別紙の掲載省略)

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