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昭和30(ネ)739 約束手形金請求事件

裁判所

昭和36年2月28日 東京高等裁判所

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20,509 文字

主文 原判決を取消す。被控訴人は控訴人に対し金三百万円及びこれに対する昭和二十八年六月五日から支払ずみに至るまで年六分の割合による金員を支払え。訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする。この判決は控訴人において金百万円の担保を供するときは仮に執行することができる。事実 控訴代理人は主文第一ないし第三項同旨の判決竝びに仮執行の宣言を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。当事者双方の事実上の主張及び証拠の関係は次に記載するものの外、原判決の事実摘示と同一であるからこれを引用する。(一) 控訴代理人は、(1) 原判決二枚目表五行目に「満期の翌日」とあるのは「訴状送達の翌日」の、同二枚目表八行目に「裏書の依頼」とあるのは「割引の依頼」の、同二枚目表九行目に「南部銀行」とあるのは「南都銀行」の各誤記につきこれを訂正する。(2) 控訴人が昭和二十八年二月九日支払場所に本件手形を呈示した旨の主張はこれを撤回する。(3) 昭和二十八年六月五日以降完済に至る年六分の割合による金員の請求は商法所定の右割合による損害金の支払を求める趣旨である。(4) 本件手形の第一裏書は訴外Aが訴外Bをして自己の氏名を代署させ且その名下にAが日常使用していた印章を押捺せしめたものである。右A名下の印影は被控訴人のいうように国際航空観光株式会社という表示であるけれども記名捺印の場合の印は必ずしも記名者名義を表示するものであることを要するものではなく、本件手形は何等裏書の連続に欠くるところはない。 (5) 被控訴人主張の後記(3)ないし(8)の抗弁事実はいずれもこれを争い、(9)の債権拠棄の事実は否認する。と述べ、(二) 被控訴代理人は、(1) 原判決二枚貝裏七行 るところはない。 (5) 被控訴人主張の後記(3)ないし(8)の抗弁事実はいずれもこれを争い、(9)の債権拠棄の事実は否認する。と述べ、(二) 被控訴代理人は、(1) 原判決二枚貝裏七行目に「原告が訴外Aに宛て」とあるのは「被告が訴外Aに宛て」の誤記につき訂正する。 し(8)の抗弁事実はいずれもこれを争い、(9)の債権拠棄の事実は否認する。と述べ、(二) 被控訴代理人は、(1) 原判決二枚貝裏七行 るところはない。 (5) 被控訴人主張の後記(3)ないし(8)の抗弁事実はいずれもこれを争い、(9)の債権拠棄の事実は否認する。と述べ、(二) 被控訴代理人は、(1) 原判決二枚貝裏七行目に「原告が訴外Aに宛て」とあるのは「被告が訴外Aに宛て」の誤記につき訂正する。(2) 控訴人が株式会社南都銀行C支店で本件手形の割引を受けたこと、控訴人が訴外Dに対し金百八十万円を交付したこと、昭和二十七年四月十二日控訴人とC支店間の右手形割引が解約せられ控訴人が同支店から本件手形の返還を受けた旨の控訴人主張事実はいずれもこれを否認する。又控訴人主張の前記(4)の事実は不知である。(3) 本件手形(甲第一号証の一)には控訴人よりC支店に対する裏書の記載があるが(但し現在抹消せられていることは後記の通りである。)、控訴人は真実裏書をしたものでなくDとC支店の支店長代理Eの依頼によりDが同支店から本件手形の割引を受けるについて同支店における控訴人の割引の枠を使用させるために単に形式的に裏書人名義を貸したものに過ぎず、従つて控訴人はC支店に対する関係において裏書人としての責任を負わないものである。控訴人は昭和二十八年二月二十日以後において、さきにC支店が真実の割引依頼者であるDに対し支払つた金額(控訴人はこの金額を百八十万円と主張するが被控訴人はこれを争う。右金額は六十五万円又は九十万円であり、仮にそうでないとしても金百八十万円以下である。)を同支店に支払つて同支店から本件手形の交付を受けたのであるが、もともと控訴人は同支店に対し裏書人としての責任を負うものではないのであるから、控訴人が右の如く同支店に対し金員を支払つて本件手形の交付を受けたとしてもそれは手形の裏書人が遡求義務を履行して手形を受戻した場合にはあたらないから、控訴人はこれ 任を負うものではないのであるから、控訴人が右の如く同支店に対し金員を支払つて本件手形の交付を受けたとしてもそれは手形の裏書人が遡求義務を履行して手形を受戻した場合にはあたらないから、控訴人はこれにより本件手形上の権利を取得するものではない。(4) 仮に、控訴人が(3)に記載したようにC支店に金員を支払つて同支店から本件手形の交付を受けることにより本件手形関係に入つたものと解するとすれば、それはその時に既存のDの裏書が控訴人に対する裏書としての効力を生じ控訴人はその裏書により本件手形を取得したものと解するの外なく、その時期は前記の通り昭和二十八年二月二十日以後のことであるから、結局控訴人は本件手形の拒絶証書作成期間経過後にDから裏書譲渡をうけたことになるわけである。 載したようにC支店に金員を支払つて同支店から本件手形の交付を受けることにより本件手形関係に入つたものと解するとすれば、それはその時に既存のDの裏書が控訴人に対する裏書としての効力を生じ控訴人はその裏書により本件手形を取得したものと解するの外なく、その時期は前記の通り昭和二十八年二月二十日以後のことであるから、結局控訴人は本件手形の拒絶証書作成期間経過後にDから裏書譲渡をうけたことになるわけである。しかるにDは訴外Aが被控訴会社から本件手形を詐取したことを知りながらこれを取得した悪意の取得者であり、仮にDがそのことを知らなかつたとすればそれは同人の重過失によるものというべく、重過失のある善意の取得者は悪意の取得者と同様これを保護すべき何等の理由もないから、いずれにしてもDは本件手形上の権利を取得しうべきものではない。そして期限後の裏書は指名債権の譲渡の効力を有するに過ぎないから前記の如くDから期限後の裏書を受けたと解すべき控訴人もまた本件手形上の権利を取得すべき理由はない。(5) 仮に、控訴人が本件手形に裏書することにより裏書人としての責任を負担したものとすれば、それは実質的にはDのC支店に対する債務を保証する趣旨であつたと解すべきである。そして控訴人が、前記(3)に記載の如く、C支店がさきにDに払出した金額を同支店に支払い本件手形の交付を受けたことは、すなわち右保証債務を履行して本件手形を受戻したものに外ならない。しかしながら本件手形は呈示期間内に支払のための の如く、C支店がさきにDに払出した金額を同支店に支払い本件手形の交付を受けたことは、すなわち右保証債務を履行して本件手形を受戻したものに外ならない。しかしながら本件手形は呈示期間内に支払のための呈示がなされていないのであるから、控訴人はこれを受戻すべき責任がなく、たといこれを受戻したとしても手形上の権利を取得するものではない。のみならず仮に控訴人が受戻しにより何等かの権利を取得するとしても、その範囲は、手形法第四十九条の定めるところに従い、控訴人が右受戻しのためにC支店に現実に支払つた前記の金額及びこれに対する支払後年六分の割合による利息の範囲に止まるべきである。(6) 又控訴人がC支店に金員を支払つたのは、これを実質的にみればDのための保証債務を履行したものであり、その結果控訴人はDに対し同金額の求債権を取得し、その求債権の担保のために本件手形を所持しているものというべく、そうだとすれば控訴人はDに対し右求債権の範囲を超えて手形金の請求をなしえない筋合である。 に現実に支払つた前記の金額及びこれに対する支払後年六分の割合による利息の範囲に止まるべきである。(6) 又控訴人がC支店に金員を支払つたのは、これを実質的にみればDのための保証債務を履行したものであり、その結果控訴人はDに対し同金額の求債権を取得し、その求債権の担保のために本件手形を所持しているものというべく、そうだとすれば控訴人はDに対し右求債権の範囲を超えて手形金の請求をなしえない筋合である。そしてこのような場合本件手形金額のうち右求償額を超える部分については実質上控訴人がDから取立委任を受けた関係にあるというべきであるから、その部分については被控訴人はDに対抗しうるすべての抗弁を以て控訴人に対しても対抗できることはいうまでもない。ところが、前記(4)に記載の通り、Dは悪意又は重過失により本件手形を取得したものであるのみならず仮にそうでないとしてもDは本件手形が融通手形として振出されたものであること、同手形による金融が未だなされていないことを知つてこれを取得し、しかもD自身においても全然金融をしなかつたのであるから、いずれにしても被控訴人はDに対し本件手形金を支払う義務はなく、従つて被控訴人は控訴人に対しても前記求債権の範囲を超える手形金の請求についてはDに対 自身においても全然金融をしなかつたのであるから、いずれにしても被控訴人はDに対し本件手形金を支払う義務はなく、従つて被控訴人は控訴人に対しても前記求債権の範囲を超える手形金の請求についてはDに対すると同一の抗弁を以て対抗しこれに応ずる義務はないわけである。なお仮に控訴人のC支店に対する本件手形の裏書が前記の如きDの債務を保証する趣旨に止まらず控訴人は右裏書によりC支店から本件手形の割引を受けその割引金を以てDに対し貸付をしたものと解せられるとしても、控訴人が本件手形を所持することはDに対する右貸付金の担保とする趣旨に外ならないから本件手形金額のうち右貸付額を超える部分については実質上控訴人がDから取立委任を受けた関係にあるものと解すべきこと、従つてその部分につき被控訴人はDに対抗しうると同一の抗弁を以て控訴人にも対抗できることはさきに(6)の前段で主張した場合と同様である。(7) 更に、仮に控訴人はDに対し本件手形を割引いたものとしても、Dが右割引により取得した金員は前記の通り金六十五万円であり、仮にそうでないとしても金九十万円であり、更にそうでないとしても百八十万円を超えるものではないからDは控訴人に対し本件手形金から右割引金を差引いた残額である二百三十五万円又は二百十万円又は百二十万円以上の金員が未交付であるとの抗弁を主張しうることはいうまでもなく、又被控訴人はDに対し前記(6)において主張した通りの抗弁を以て対抗できる関係にあるのであるから、かような場合には被控訴人はDに対抗できる抗弁の限度においてDが控訴人に対し有する右の抗弁を以て直接に控訴人に対し対抗できるものと解するのが相当である。 対し本件手形金から右割引金を差引いた残額である二百三十五万円又は二百十万円又は百二十万円以上の金員が未交付であるとの抗弁を主張しうることはいうまでもなく、又被控訴人はDに対し前記(6)において主張した通りの抗弁を以て対抗できる関係にあるのであるから、かような場合には被控訴人はDに対抗できる抗弁の限度においてDが控訴人に対し有する右の抗弁を以て直接に控訴人に対し対抗できるものと解するのが相当である。そうすれば本件手形金額のうち右割引金残額に相当する部分については右の理由からしても控訴人の請求は失当である。(8) 本件手形は昭和二 て直接に控訴人に対し対抗できるものと解するのが相当である。そうすれば本件手形金額のうち右割引金残額に相当する部分については右の理由からしても控訴人の請求は失当である。(8) 本件手形は昭和二十八年二月九日南都銀行より株式会社千代田銀行に取立委任裏書され、同月十九日千代田銀行より支払のために手形交換所に呈示されたが、支払がなかつたので、南都銀行に返還され、控訴人はその後裏書抹消の方法により南都銀行から受戻した。被控訴人は、その時に既存のDの裏書が控訴人に対する裏書としての効力を生じ控訴人はその裏書により本件手形を取得したものと解するのである(前記(4))が、仮に然らずとすれば、裏書抹消も亦戻裏書の一方法であることに着目し、控訴人は南都銀行から本件手形を譲受けたものであり、それは期限後の譲受でもあるから指名債権の譲渡の効力のみを有するに過ぎず、控訴人は南都銀行が本件手形によつてDに請求し得るその払出金六十五万円を超えて被控訴人に手形金の支払を請求することができない。(9) 仮に以上の主張がすべて理由ないとしても、控訴人及び南都銀行は昭和二十七年四月二十一日被控訴会社の社員F等に対しDの承諾を条件に本件手形債権を拠棄することを約し手形をF等に返還した。次いで被控訴会社はDと交渉の結果Dにおいて本件手形問題を解決することを約しその方法として同人は同年七月十二日大阪市西区a町所在のG(同人はDの兄である)所有の土地建物につき南都銀行の代理人Eの名義で債権額九十万円の抵当権設定登記及び代物弁済予約による所有権移転請求権保全の仮登記をし、これにより控訴人及び南都銀行に対する本件手形に関する問題は一切解決し控訴人及び南都銀行は同日本件手形債権を拠棄したのである。 控訴会社はDと交渉の結果Dにおいて本件手形問題を解決することを約しその方法として同人は同年七月十二日大阪市西区a町所在のG(同人はDの兄である)所有の土地建物につき南都銀行の代理人Eの名義で債権額九十万円の抵当権設定登記及び代物弁済予約による所有権移転請求権保全の仮登記をし、これにより控訴人及び南都銀行に対する本件手形に関する問題は一切解決し控訴人及び南都銀行は同日本件手形債権を拠棄したのである。なおその後同年九月十一日頃DはEの承諾の下に右の土地建物を他に売却しその代金中 り控訴人及び南都銀行に対する本件手形に関する問題は一切解決し控訴人及び南都銀行は同日本件手形債権を拠棄したのである。なおその後同年九月十一日頃DはEの承諾の下に右の土地建物を他に売却しその代金中より金六十五万円をEに支払い本件手形に関する一切の問題を解決ずみとしたから、おそくともこの時以後控訴人及び南都銀行は本件手形について何等の権利をも有しないものである。と述べ、立証として新たに、控訴代理人はさきに提出した甲第三号証を撤回して新たに甲第三号誕(受取書)を提出し、当審における証人D(第一回)、A、Eの各証言及び控訴本人尋問の結果を援用し、乙第五号証の二及び同第七号証中の各郵便官署の作成部分竝びに同第八号証の一、二の各成立を認め、同第五号証の二及び第七号証中のその余の部分竝びに同第五号証の一、第六、第九号証の成立はいずれも不知と述べ、なお乙第二、第三号証に対する認否を同各号証中確定日附の部分の成立を認めその余の部分の成立は不知と訂正すると述べ、被控訴代理人は乙第五号証の一、二、第六、第七号証、第八号証の一、二、第九号証を提出し、当審における証人F、H、I、J、D(第二回)の各証言を援用し、控訴人が当審で折に提出した甲第三号証の成立を認める、と述べた。理由 一、 被控訴人が昭和二十七年三月七日訴外Aに宛てて金額三百万円、満期同年五月三十日、支払地、支払場所、振出地をいずれも控訴人主張の如く定めた本件約束手形一通を振出して同訴外人に交付したこと、同訴外人が白地式で同手形の裏書人欄に裏書人として記名したこと、訴外Dが白地式で同手形に裏書をしたことはいずれも当事者間に争いなく、この争いない事実と成立に争いない甲第一号証の一、二、同第二ないし第七号証、乙第一号証、同第四号証の一ないし五(但し乙第四号証の五は甲第 百万円、満期同年五月三十日、支払地、支払場所、振出地をいずれも控訴人主張の如く定めた本件約束手形一通を振出して同訴外人に交付したこと、同訴外人が白地式で同手形の裏書人欄に裏書人として記名したこと、訴外Dが白地式で同手形に裏書をしたことはいずれも当事者間に争いなく、この争いない事実と成立に争いない甲第一号証の一、二、同第二ないし第七号証、乙第一号証、同第四号証の一ないし五(但し乙第四号証の五は甲第 白地式で同手形に裏書をしたことはいずれも当事者間に争いなく、この争いない事実と成立に争いない甲第一号証の一、二、同第二ないし第七号証、乙第一号証、同第四号証の一ないし五(但し乙第四号証の五は甲第六号証と同一のもの)、原審証人Fの証言により成立を認めうる乙第二号証(但し確定日附の部分の成立は当事者間に争いがない。)当審証人Dの証言により成立を認めうる乙第六号証、原審及び当審証人E、H、F、原審証人K、L、当審証人A、D(第一、二回)の各証言竝びに原審及び当審における控訴本人尋問の結果(但し甲第四号証の供述記載竝びに原審及び当審証人F、原審証人Lの各証言中後記措信しない部分を除く)を綜合すれば次の事実を認めることができる。被控訴会社は昭和二十七年三月初頃被控訴会社の監査役であつたHを代理人として訴外Aに金融の斡旋を依頼したところ、Aは被控訴会社振出の手形があればこれを第三者に頼んで割引いてもらうことができるとのことであつたので、被控訴会社は同年三月七日本件約束手形一通の外額面三百万円の約束手形四通を右A宛に振出し翌八日これらの手形五通を前記割引依頼の趣旨でAに交付し、なお同時に、Aの要求により、これらの手形がいずれも被控訴会社よりAに対する商品代金の支払のために振出された商業手形であるかのような外観をととのえるために被控訴会社は同年二月七日附でAから高速度鋼二種丸四〇糎のもの十屯を代金四百万円で買受けその代金の内三百万円は現物受領と同時に期間九十日の約束手形で支払い残代金百万円は一ケ月以内の現金払とする旨の架空のA宛注文書五通(甲第二号証はそのうちの一通である。)及び同年三月五日附で右売買物件を受領した旨の架空のA宛受取書五通(甲第三号証はそのうちの一通である。)を被控訴会社名義で作成し、これらの書類を前記五通の約束手形と共にAに交 のうちの一通である。)及び同年三月五日附で右売買物件を受領した旨の架空のA宛受取書五通(甲第三号証はそのうちの一通である。 払い残代金百万円は一ケ月以内の現金払とする旨の架空のA宛注文書五通(甲第二号証はそのうちの一通である。)及び同年三月五日附で右売買物件を受領した旨の架空のA宛受取書五通(甲第三号証はそのうちの一通である。)を被控訴会社名義で作成し、これらの書類を前記五通の約束手形と共にAに交 のうちの一通である。)及び同年三月五日附で右売買物件を受領した旨の架空のA宛受取書五通(甲第三号証はそのうちの一通である。)を被控訴会社名義で作成し、これらの書類を前記五通の約束手形と共にAに交付した。そこでAは右五通の手形にそれぞれ被裏書人を指定しないで自己の裏書(この裏書については後に四にもいて詳説する)をした上右の注文書及び受取書と共にこれらの手形を訴外B及びMに交付してその割引を依頼し、B等は更にこれらの手形及び書類を割引依頼の趣旨で訴外Nに交付したところ、Nはこれらの手形のうち本件手形一通と他の一通の手形に前記注文書及び受取書各一通の外その頃前記Hから受取つていた被控訴会社監査役H名義の支払保証書(甲第一号証の二)一通を添付してこれを訴外Dに交付しその割引を依頼した。DはNから受取つた手形のうち本件手形一通を自己の遠縁にあたる訴外Eに示し同人の勤務先である南都銀行C支店においてこれを割引いてほしい旨を申入れたところ、同人はDの信用では割引困難であるが古くから同支店と取引のある控訴人の裏書があれば割引は可能であるといつてDを控訴人に紹介してやつた。Dは同年三月下旬頃控訴人と面接し本件手形とこれに添附の前記注文書(甲第二号証)受取書(甲第三号証)及び支払保証書(甲第一号証の二)を示し同手形の割引を求めた。控訴人は本れ手形には右の如く被控訴会社名義の注文書、受取書及び支払保証書が添附されているのみならずEに問合した結果によれば被控訴会社は信用のある一流会社であるとのことであつたので、本件手形は純然たる商業手形でこれを割引いても大丈夫であると考えDに対し本件手形を割引くことを承諾した。もつともその際控訴人としては右割引によりDから取得すべき本件手形により更に自己名義で前記銀行C支店から割引を受けその割引代金を以てDに対する割引代金 ると考えDに対し本件手形を割引くことを承諾した。もつともその際控訴人としては右割引によりDから取得すべき本件手形により更に自己名義で前記銀行C支店から割引を受けその割引代金を以てDに対する割引代金の支払にあてることとし、そのことにつきあらかじめ同銀行支店及びDの諒解を得た。 ては右割引によりDから取得すべき本件手形により更に自己名義で前記銀行C支店から割引を受けその割引代金を以てDに対する割引代金 ると考えDに対し本件手形を割引くことを承諾した。もつともその際控訴人としては右割引によりDから取得すべき本件手形により更に自己名義で前記銀行C支店から割引を受けその割引代金を以てDに対する割引代金の支払にあてることとし、そのことにつきあらかじめ同銀行支店及びDの諒解を得た。かくしてDは本件手形のAの裏書欄に被裏書人として自己の氏名を補充し且これに次ぐ裏書欄に控訴人を被裏書人とする自己の裏書をなした上同月三十一日同手形と前記添附書類とを一括して控訴人に交付し、控訴人は即日同手形に前記銀行支店を被裏書人とする自己の裏書をして同支店に交付したので、同支店はその割引代金として手形金額から割引利息を差引いた残額を同支店における控訴人の預金口座に組入れた。そして控訴人は同日頃から同年四月上旬頃までの間三回に亘り合計金百八十万円を自己の右預金中から引出した上同支店を通じこれをDに対する本件手形の割引代金として同人に交付した。C支店は右割引後その旨を本店に通知したところ、同年四月十一日頃になつて本店からC支店に対し本件手形の第一裏書人Aの信用状態がよくないから控訴人との割引契約を解消し既に払出した金員は控訴人に対する貸付金として処理するよう指示して来たので、その頃同支店と控訴人は協議の上控訴人と同支店間の割引契約を解約しDに支払ずみの百八十万円は同支店から控訴人に貸付けたこととし、控訴人は右百八十万円の借受金の担保として本件手形を引続き同支店に預けておく外なお別こ自己振出しの金額百八十万円の約束手形を同支店に差入れ、同時に同支店はさきて控訴人の口座に組入れた本件手形の割引代金に相当する預金のうちDに支払ずみの金百八十万円を差引いた残額を同口座から減額した。一方被控訴会社においては前記の如くA等に割引を依頼した本件手形を含む五通の手形の割引が所期 本件手形の割引代金に相当する預金のうちDに支払ずみの金百八十万円を差引いた残額を同口座から減額した。一方被控訴会社においては前記の如くA等に割引を依頼した本件手形を含む五通の手形の割引が所期の如く進まず同年四月上旬頃までの間に僅かに百数十万円の割引金を入手できたに過ぎない状況であつたので漸く不安を感じ、A等に対し割引依頼の取消を通告すると共に前記五通の手形の回収を始めるに至つた。 手形の割引が所期 本件手形の割引代金に相当する預金のうちDに支払ずみの金百八十万円を差引いた残額を同口座から減額した。一方被控訴会社においては前記の如くA等に割引を依頼した本件手形を含む五通の手形の割引が所期の如く進まず同年四月上旬頃までの間に僅かに百数十万円の割引金を入手できたに過ぎない状況であつたので漸く不安を感じ、A等に対し割引依頼の取消を通告すると共に前記五通の手形の回収を始めるに至つた。そして調査の結果本件手形が控訴人から南都銀行C支店に渡つていることが判明したので被控訴会社の社員F外一名が同年四月二十一日頃控訴人方で同人及び南都銀行C支店の代理人であるEに面接し本件手形の交付を求めた。但しその際F等は本件手形振出の事情等を詳細に説明することなく単に本件手形を呈示されては困るとか被控訴会社において調査の要があるとかの理由で二、三日間本件手形を貸してほしい旨を申出でたので控訴人及びEは一応躊躇したけれども結局右申出を承諾し、二、三日後には必ず返還を受ける約束でF等から南都銀行C支店E宛の預り証を徴した上本件手形をF等に交付し、かくして本件手形は被控訴会社の占有するところとなつた。控訴人及びE等はその後本件手形の返還を再三被控訴会社に請求したが被控訴会社において右の約旨に反しこれに応じないので、E名義で右F外一名を検察庁に告訴した結果、昭和二十八年二月になつて本件手形は被控訴会社から検察庁を通じてC支店に返還されたので、同支店は同月九日同手形を取立委任のために株式会社千代田銀行O支店に裏書譲渡し同支店は同月十九日支払場所に同手形を呈示し支払を求めたが拒絶せられた。そこで千代田銀行O支店は本件手形をC支店に返還し、C支店は前記貸付金の弁済を控訴人から受けたので右の取立委任裏書及び控訴人の裏書を各抹消した上本件手形を控訴人に返還し爾来控訴人は同 が拒絶せられた。そこで千代田銀行O支店は本件手形をC支店に返還し、C支店は前記貸付金の弁済を控訴人から受けたので右の取立委任裏書及び控訴人の裏書を各抹消した上本件手形を控訴人に返還し爾来控訴人は同手形を所持しているのである。以上認定の事実関係によれば、控訴人はDの依頼により同人との間において被控訴会社が振出しAの裏書のある本件手形を割引くことを約すると共に他方南都銀行C支店との間において控訴人が同支店から本件手形の割引を受けることを約し、右各契約に基いて昭和二十七年三月三十一日先ずDから同手形の裏書譲渡を受けた上同日これを控訴人からC支店に裏書譲渡し、同支店はその割引代金として手形金額から割引利息を差引いた金額を同支店における控訴人の預金口座に組入れ、控訴人は同日から同年四月上旬頃までの間に右預金のうちから合計金百八十万円を引出してこれをDに対する割引代金として同人に支払つたこと、その後控訴人とC支店間の割引契約はこれを合意解除し控訴人がDに支払うために右預金から引出した金百八十万円はあらためて控訴人が同支店から借受けたこととし、その債務の担保のために本件手形を引続き同支店に預けておいたこと、その後本件手形は前記の如き経緯により一旦被控訴会社の占有に移つたが再びC支店に返還せられたところ、控訴人はC支店に対し前記借受金債務を弁済し担保の事田が消滅したので、同支店は控訴人の裏書及びその後の裏書を抹消した上本件手形を控訴人に返還したものであることを各認めるに十分である。 百八十万円はあらためて控訴人が同支店から借受けたこととし、その債務の担保のために本件手形を引続き同支店に預けておいたこと、その後本件手形は前記の如き経緯により一旦被控訴会社の占有に移つたが再びC支店に返還せられたところ、控訴人はC支店に対し前記借受金債務を弁済し担保の事田が消滅したので、同支店は控訴人の裏書及びその後の裏書を抹消した上本件手形を控訴人に返還したものであることを各認めるに十分である。二、 被控訴人はDと控訴人間及び控訴人と南都銀行C支店間にそれぞれ右の如き手形割引の趣旨で本件手形が順次裏書譲渡された事実を否認し、控訴人は単に形式的に裏書人名義を貸しただけで真実Dから本件手形の裏書譲渡を受けたものでもないし又これをC支店に裏書譲渡したものでもない き手形割引の趣旨で本件手形が順次裏書譲渡された事実を否認し、控訴人は単に形式的に裏書人名義を貸しただけで真実Dから本件手形の裏書譲渡を受けたものでもないし又これをC支店に裏書譲渡したものでもないこと、仮に控訴人が本件手形関係に入つたことがあるとしてもそれは控訴人がC支店に対し同支店がさきにDに払出した金額を支払つて同支店から本件手形の交付を受けたとき、すなわち昭和二十八年二月二十日以後のことであつて、そのときに控訴人に対するDの裏書が効力を生じたものと解すべきこと、又仮に控訴人がC支店に対し裏書責任を負担したとすれば、その実質はDがC支店に対し本件手形の割引により負担する債務を控訴人において保証する趣旨であり従つて控訴人が右の如くC支店に金員を支払つて本件手形の交付を受け現にこれを所持することはすなわちDに対する求債権の担保として所持するものと解すべきこと、更に仮に控訴人が真にC支店から割引を受けるために本件手形に裏書をしたものとしても、控訴人は右割引により得た金員をDに対し貸付けたものであるから控訴人が本件手形を所持するのはすなわちDに対する貸金債権の担保のためであると解すべきこと、等を主張し、右の如き事実ないし解釈を前提として理論を展開し被控訴人は控訴人に対し本件手形金を支払う義務はなく、仮にありとするもその額はDがC支店から払出を受けた金額を超えるものではないと抗争する(本判決事実の部(二)の(3)ないし(6)参照)。しかしながら、右に認定した通り、控訴人はDとの契約に基き割引のえめに同人から本件手形の裏書譲渡を受けた上更に南都銀行C支店との契約に基き同手形を割引のために同支店に裏書譲渡し同支店から支払を受けた割引金のうちからDに対し割引代金として合計金百八十万円を支払つたのであるから、控訴人のC支店に対する裏書が単に形式的 た金額を超えるものではないと抗争する(本判決事実の部(二)の(3)ないし(6)参照)。しかしながら、右に認定した通り、控訴人はDとの契約に基き割引のえめに同人から本件手形の裏書譲渡を受けた上更に南都銀行C支店との契約に基き同手形を割引のために同支店に裏書譲渡し同支店から支払を受けた割引金のうちからDに対し割引代金として合計金百八十万円を支払つたのであるから、控訴人のC支店に対する裏書が単に形式的 支店との契約に基き同手形を割引のために同支店に裏書譲渡し同支店から支払を受けた割引金のうちからDに対し割引代金として合計金百八十万円を支払つたのであるから、控訴人のC支店に対する裏書が単に形式的に裏書名義を貸しただけのものであるとし、或いはDがC支店から割引を受けたことにより同人が同支店に対し負担するに至つた債務を控訴人において保証する趣旨でなされたものであるとする被控訴人の主張は到底肯認し難い。前記甲第四号証(控訴人の検事に対する供述調書)中には控訴人の供述として「自分はEからDが本件手形を割引くについて名前を貸してやつてくれとの依頼を受けたので私は自分の名前で南都銀行に対しその手形の割引を依頼することを承諾した。私はそのことについて経済的利益は全くなくEに対する単なる好意から承諾したのである」旨の記載があるけれども、原審及び当審における控訴本人尋問の結果こ徴するときは右の供述記載は必ずしも真実を伝えるものではないと認められるし、原審及び当審証人F、原審証人Lの各証言中右被控訴人の主張に沿う趣旨の供述部分は前記控訴本人尋問の結果と対照して遽かに措信し難く、甲第七号証、乙第二号証同第四号証の一及び四、同第六号証その他被控訴人の全立証によるも被控訴人の右主張を認めて前段認定を覆すに足りない。又前記認定の通り、控訴人は一旦本件手形を割引のためにC支店に裏書譲渡したがその後同支店との間において右割引契約を合意解除し既に同支店が割引代金として支出していた金百八十万円はあらためて控訴人が同支店から貸付を受けたこととしその担保として本件手形を控訴人の裏書を存したまま同支店に預けておいたところ、その後C支店は控訴人から右貸付金の弁済を受けたので控訴人の裏書を抹消の上本件手形を控訴人に交付したのであつて、この交付はすなわちC支店が本件手形に対する担 を存したまま同支店に預けておいたところ、その後C支店は控訴人から右貸付金の弁済を受けたので控訴人の裏書を抹消の上本件手形を控訴人に交付したのであつて、この交付はすなわちC支店が本件手形に対する担保権の消滅に伴いその担保の目的物を返還する趣旨でなされたものというべく、被控訴人の主張するようにこの交付のときにDの裏書が効力を生じたとし、そのときにはじめて控訴人が本件手形を取得したものと解することは当事者の意思に反し正当でない。 おいたところ、その後C支店は控訴人から右貸付金の弁済を受けたので控訴人の裏書を抹消の上本件手形を控訴人に交付したのであつて、この交付はすなわちC支店が本件手形に対する担保権の消滅に伴いその担保の目的物を返還する趣旨でなされたものというべく、被控訴人の主張するようにこの交付のときにDの裏書が効力を生じたとし、そのときにはじめて控訴人が本件手形を取得したものと解することは当事者の意思に反し正当でない。又手形の割引は後に説明する如く手形の売買を意味し単に手形を債務の担保に供する場合と法律関係を異にすることはいうまでもなく、控訴人はDとの間に締結した手形割引契約、換言すれば手形の売買契約に基き本件手形を取得したものであつて、単にDに対する求償権又は貸金債権の担保とする趣旨でこれを取得したというような関係でないことは前段説明の事実門係に徴し明らかである。これを要するに、被控訴人の上叙各主張はいずれも当裁判所が認定した事実と異る事実又は当裁判所の首肯し難い解釈を前提とするものでのるから、その余の点について判断をなすまでもなく失当であるというべきである。三、 次に、本判決事実の部(二)の(7)に摘示の主張こついて審究する。一般に手形の割引というときは手形の売買を意味し、割引により手形を取得することはすなわち売買により手形債権を取得することを意味するものと解すべきところ、本件において、控訴人はさきに説明した通りDとの契約に基き割引のために同人から本件手形の裏書譲渡を受けたのであるから、特別の事情の認められない限り控訴人はDから本件手形を買受けてこれを取得したものと認むべく、又さきに説明した如く控訴人がDに対し合計金百八十万円を支払つたのはすなわち右売買代金として支払つたものと認めるべきである。控訴人とDとの割引契約に ら本件手形を買受けてこれを取得したものと認むべく、又さきに説明した如く控訴人がDに対し合計金百八十万円を支払つたのはすなわち右売買代金として支払つたものと認めるべきである。控訴人とDとの割引契約において定められた割引代金が右の金百八十万円であつたか或いはこれを超えるものであつたかは本件にあらわれたすべての証拠によるもこれを確認し難いのであるが、仮に被控訴人の主張するように、控訴人はDに対し割引代金の一部を支払つたのみでDはなお控訴人に対し残代金の支払を請求できる関係にありとするも、Dにおいてその不払を理由に控訴人との割引契約を解除したような場合は格別、そのような事実のない限り、―本件においてかかる事実の主張立証はない―Dが控訴人に対しなした本件手形の裏書譲渡の効力には何等の影響なく、唯右の如き未払代金の存することは右裏書譲渡の原因関係換言すればDと控訴人間の割引契約に基く法律関係として右両者間において問題とすべき事項に過ぎないものと解すべきである。 できる関係にありとするも、Dにおいてその不払を理由に控訴人との割引契約を解除したような場合は格別、そのような事実のない限り、―本件においてかかる事実の主張立証はない―Dが控訴人に対しなした本件手形の裏書譲渡の効力には何等の影響なく、唯右の如き未払代金の存することは右裏書譲渡の原因関係換言すればDと控訴人間の割引契約に基く法律関係として右両者間において問題とすべき事項に過ぎないものと解すべきである。被控訴人は、Dに対しその主張の如き抗弁を以て対抗することができるとし、Dはまた控訴人に対し右の如き未払代金のあることを主張しその範囲において本件手形金の請求を拒否できるわけであるから、かかる場合には被控訴人もまたDの有する抗弁を以て控訴人に対抗し控訴人の本訴請求中右割引残金に相当する部分はこれが支払を拒否できる筋合であると主張するが、被控訴人のいう割引残金が仮にありとするも、それはさきにも述べた通りDと控訴人間における本件手形譲渡の原因関係に基く法律関係として右再考間においてのみ問題となるべき事項であつて、右原因関係の当事者でない被控訴人に対する手形金の請求に対し被控訴人がD対控訴人間の右法律関係を援用しこれを以て控訴人に対抗するようなことは許されないものと解すべく、このことは被控訴人がD あつて、右原因関係の当事者でない被控訴人に対する手形金の請求に対し被控訴人がD対控訴人間の右法律関係を援用しこれを以て控訴人に対抗するようなことは許されないものと解すべく、このことは被控訴人がDに対しその主張の如き抗弁を以て対抗できる場合であると否とにより結論を異にすべきものではない。けだし、もしこれを反対に解しこの点に関する被控訴人の主張を是認するときは、その理論構成をどのようにするにせよ、結局において被控訴人のDに対する人的抗弁を以てその後者である控訴人に対しその善意悪意を問わず対抗できることを認める結果となり約束手形に準用される手形法第十七条の法意に反することとなるからである。従つて被控訴人の右主張もまた失当である。本判決事実の部(二)の(3)に摘示の主張は、南都銀行とDとの間に被控訴人主張のような関係の存しないことが前記一認定の事実から明らかであるから、これを採用し難い。四、 次に本件手形になされたAの裏書は同人の捺印を欠くが故に無効であり、従つて本件手形は裏書の連続を欠くとの被控訴人の主張について審究する。 準用される手形法第十七条の法意に反することとなるからである。従つて被控訴人の右主張もまた失当である。本判決事実の部(二)の(3)に摘示の主張は、南都銀行とDとの間に被控訴人主張のような関係の存しないことが前記一認定の事実から明らかであるから、これを採用し難い。四、 次に本件手形になされたAの裏書は同人の捺印を欠くが故に無効であり、従つて本件手形は裏書の連続を欠くとの被控訴人の主張について審究する。<要旨第一>前記甲第一号証の一及び当審証人Aの証言によれば、Aは本件手形に裏書をするにあたり訴外大</要旨第一>塚博国をして同手形の裏書人欄に自己の氏名を代書させその名下にA自ら捺印したこと、右印影は国際航空観光株式会社代表取締役と表示されたものであるが、Aは当時同会社の資金部長であつた関係からこの印を会社用に使用する外個人として手形等に捺印する場合にもこれを自己の印として使用していたことを各認めることができ、他にこの認定を覆すべき資料はない。手形の裏書は裏書人が手形に署名又は記名捺印してなすことを要するのであるが、この場合捺印は裏書人が自己の印として使用するものを押捺すれば足り、その印影が裏書人の氏名を表示し 定を覆すべき資料はない。手形の裏書は裏書人が手形に署名又は記名捺印してなすことを要するのであるが、この場合捺印は裏書人が自己の印として使用するものを押捺すれば足り、その印影が裏書人の氏名を表示し或いはその氏名と牽連性のある文字を表示するものであることは必ずしも必要ではないと解するを相当とし、従つて本件手形の裏書人A名下の印影が前記の如くその氏名と牽連性がないも<要旨第二>のであつても、そのために裏書の方式を欠き無効の裏書であるとすべきではない。又裏書が連続するや否やは</要旨第二>もつぱら手形面の記載に基き外観的に判断すべきものであつて、前記甲第一号証の一によれば、本件手形の第一裏書欄には裏書人として「A」という氏名が手書されており、(この氏名はAがBに代書させたものであることはさきに説明した。)一方本件手形には受取人として「A」と記載されてあつて両者が一致することは一見して明らかであるから、たとい裏書人名下の印影が前記の如きものであつてもなお手形面の記載上両者が同一人を表示するものと認めるに十分であるというべく、従つてその間に裏書の連続は存するものと解するのが相当である。 書欄には裏書人として「A」という氏名が手書されており、(この氏名はAがBに代書させたものであることはさきに説明した。)一方本件手形には受取人として「A」と記載されてあつて両者が一致することは一見して明らかであるから、たとい裏書人名下の印影が前記の如きものであつてもなお手形面の記載上両者が同一人を表示するものと認めるに十分であるというべく、従つてその間に裏書の連続は存するものと解するのが相当である。なお右甲第一号証の一によれば本件手形の第一裏書欄の被裏書人Dと第二裏書欄の裏書人とが同一人であること及び第二裏書欄の被裏書人が控訴人であることは手形面の記載上明らかであり、又第三及び第四の裏書がいずれも抹消されていることも明らかである。抹消された裏書は裏書の連続ないし所持人の形式的資格においてはその記載がないものとみなされるのであるから結局本件手形において受取人Aから最後の被裏書人である控訴人に至る間の裏書の連続及び所持人たる控訴人の形式的資格には何等欠けるところはないというべきである。従つて被控訴人の右主張もまた採用の限りでない。五、 次に、被控訴人は、本件 の被裏書人である控訴人に至る間の裏書の連続及び所持人たる控訴人の形式的資格には何等欠けるところはないというべきである。従つて被控訴人の右主張もまた採用の限りでない。五、 次に、被控訴人は、本件手形は被控訴会社がAに詐取された融通手形であること、D及び控訴人はいずれも何等の対価を支払うことなく右の事実を知りながら本件手形を取得した悪意の取得者であること、被控訴人は本訴において右手形振出行為を取消したことを主張し、これを理由に控訴人の本訴請求に応ずる義務はないと主張する。前記一において説明した事実関係と成立に争いない乙第四号証の三及び五、原審証人Hの証言により成立を認めうる乙与三号証竝びに原審及び当審証人Hの証言を綜合すれば、被控訴会社はAに金融の斡旋を依頼する趣旨で本件手形及びその外同様の約束手形四通この額面額いずれも金三百万円のものを振出してこれをAに交付したのであるが、Aとしてはもともとこれらの手形により短期間内に被控訴会社のために金融を受けうべき確実な見込もないに拘らずあたかもこれあるが如く詐言を用い被控訴会社を代理して接渉に当つんHをしてその旨誤信せしめよつて被控訴会社から本件手形の外前記四通の約束手形を騙取したものであることを推認するに難くないけれども、控訴人が前記説明の如く昭和二十七年三月三十一日Dから本件手形の裏書譲渡を受けた当時、同手形が右の如き事情で振出されん融通手形であり、又被控訴会社がAのために騙取された手形であることを知つていたことは被控訴人の提出援用にかかるすべての証拠によるもこれを認め難いのみならず、却て、さきに説明した通り、控訴人はDから本件手形の割引を求められた際同手形には被控訴会社名義の注文書、受取書及び被控訴会社監査役H名義の支払保証書が添附されていたこととEに問合せた結果によれば被控訴会社は信用 時、同手形が右の如き事情で振出されん融通手形であり、又被控訴会社がAのために騙取された手形であることを知つていたことは被控訴人の提出援用にかかるすべての証拠によるもこれを認め難いのみならず、却て、さきに説明した通り、控訴人はDから本件手形の割引を求められた際同手形には被控訴会社名義の注文書、受取書及び被控訴会社監査役H名義の支払保証書が添附されていたこととEに問合せた結果によれば被控訴会社は信用 説明した通り、控訴人はDから本件手形の割引を求められた際同手形には被控訴会社名義の注文書、受取書及び被控訴会社監査役H名義の支払保証書が添附されていたこととEに問合せた結果によれば被控訴会社は信用のある一流会社であるとの回答であつたこと等から本件手形を純然たる商業手形であり割引いても大丈夫と考えてその割引を承諾し、Dから同手形の裏書譲渡を受けた上その割引代金として百八十万円を同人に支払つた経緯に鑑みるときは、控訴人としては割引当時前記のような本件手形振出の際の事情は固よりこれを知らなかつたものと認めるのが相当である。そうすれば本件手形の振出がたとい右の如くAの詐欺によるものであつても被控訴人は善意の第三者と認むべき控訴人に対しては右振出行為の取消を以て対抗することができない筋合であり、このことは控訴人の前者であるDが右の詐欺その他の事情を知つていたと否とにより結論を異にすべきものではないから、同人の善意悪意につき判断をなすまでもなく被控訴人の前記主張は失当である。六、 更に被控訴人は昭和二十七年七月十二日頃或いはおそくとも同年九月十一日頃控訴人及び南都銀行とD間において本件手形に関する一切の問題を解決ずみとし控訴人及び南都銀行は被控訴人に対し本件手形債権を抛棄したと主張下るのでこの点につき審究する。前記一において説明した通り昭和二十七年四月二十一日頃控訴人及び南都銀行C支店を代理するEは被控訴会社の社員F外一名に対し本件手形を一時被控訴会社に預けることを承諾し本件手形を右F等に渡したことがあるのであるが、その際控訴人及びEがDの承諾を条件に本件手形上の権利を抛棄する意思を表示したことは原審及び当審証人F、原審証人Lの各証言その他被控訴人の全立証によるもこれを認め難い。又成立に争いのない乙第四号証の二、同第八号証の一、二及び当審 条件に本件手形上の権利を抛棄する意思を表示したことは原審及び当審証人F、原審証人Lの各証言その他被控訴人の全立証によるもこれを認め難い。 右F等に渡したことがあるのであるが、その際控訴人及びEがDの承諾を条件に本件手形上の権利を抛棄する意思を表示したことは原審及び当審証人F、原審証人Lの各証言その他被控訴人の全立証によるもこれを認め難い。又成立に争いのない乙第四号証の二、同第八号証の一、二及び当審 条件に本件手形上の権利を抛棄する意思を表示したことは原審及び当審証人F、原審証人Lの各証言その他被控訴人の全立証によるもこれを認め難い。又成立に争いのない乙第四号証の二、同第八号証の一、二及び当審証人F、I、J、Dの各証言によれば、被控訴会社が本件手形と同時に振出してAに交付した本件外の約束手形四通のうち一通はDの裏書を経て訴外中川商事株式会仕に譲渡せられ同会社においてこれを所持していることが被控訴会社の調査の結果判明したので、昭和二十七年五月頃被控訴会社は同会社及びD等と交渉の末被控訴会社において右訴外会社の所持する手形金を支払い示談解決することとなつたのであるが、その際右関係者の間においてさきにDから同訴外会社に担保として提供してあつた大阪市西区a町所在のG所有の不動産について担保の解除を受けこの不動産を南都銀行に提供し本件手形の問題についても解決を図る様努力する旨の話合がなされたこと、その後同年七月十二日右の不動産につきEのために債権額九十万円の抵当権設定登記竝びに代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記がなされたこと、及び更にその後同年九月十日頃右不動産は第三者に売却せられたことをそれぞれ認めうるけれども(右不動産を第三者に売却した際その代金中より金六十五万円をDが本件手形の一部支払としてEに交付した事実は乙第九号証その他被控訴人の全立証によつても未だ認めるに足りない)、被控訴人の主張するように右の不動産につきE名義に前記の如き登記がなされた時、或いは不動産を第三者に売却した当時本件手形に関する一切の問題を解決ずみとし控訴人が本件手形債権を抛棄し或いはEが南都銀行又は控訴人を代理して回様抛棄の意思表示をしたような事実は、この点に関する当審証人Dの証言は当審における控訴本人尋問の結果と対照して遽かに措信し難く、乙第 人が本件手形債権を抛棄し或いはEが南都銀行又は控訴人を代理して回様抛棄の意思表示をしたような事実は、この点に関する当審証人Dの証言は当審における控訴本人尋問の結果と対照して遽かに措信し難く、乙第九号証その他被控訴人の全立証によるも右の事実を認めるに足る資料はない。 て回様抛棄の意思表示をしたような事実は、この点に関する当審証人Dの証言は当審における控訴本人尋問の結果と対照して遽かに措信し難く、乙第 人が本件手形債権を抛棄し或いはEが南都銀行又は控訴人を代理して回様抛棄の意思表示をしたような事実は、この点に関する当審証人Dの証言は当審における控訴本人尋問の結果と対照して遽かに措信し難く、乙第九号証その他被控訴人の全立証によるも右の事実を認めるに足る資料はない。のみならず控訴人が南都銀行から本件手形を受戻し現にこれを所持している事実と右控訴本人尋問の結果とに徴するときは、控訴人は被控訴会社とD及び訴外会社間の前記示談交渉に関係したことはなく、又E名義で前記の如き登記のなされたことも当時控訴人の関知しなかつたことで控訴人が本件手形債権を抛棄したようなことはないと認めるのが相当である。被控訴人の右主張もまた採用の限りでない。 七、 以上の通り、被控訴人が控訴人の本訴請求を拒否する理由として主張するところはいずれも理由なく、控訴人が本件手形の正当な所持人として振出人である被控訴人に対し本件手形金三百万円及びこれに対する本件訴状送達の翌日であることが記録上明かな昭和二十八年六月五日以降支払ずみに至るまで商法所定の年六分の割合による損害金の支払を求める本訴請求は理由ありとして認容すべきである。右請求を棄却した原判決は不当であるからこれを取消し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九十六条第八十九条を、仮執行の宣言につき同法第百九十六条を各適用し主文の通り判決する。 (裁判長判事奥田嘉治判事岸上康夫判事下関忠義)

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