- 1 -平成22年3月3日宣告平成21年(わ)第312号等強盗致死,死体遺棄被告事件判決主文被告人を懲役28年に処する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,第1貴金属の売買取引を仮装して取引相手であるAらから現金を強取しようと企て,B及びCと共謀の上,平成19年6月29日午後10時20分ころ,静岡県a市b番地所在の貸別荘において,A(当時52歳)に対し,Cが改造空気銃により金属球を1回発射してAの後頸部に命中させ,その後,被告人が仰向けに倒れたAの頸部を右手で強く圧迫する暴行を加え,同人の反抗を抑圧した上,同人らが所有又は管理する現金1900万円在中のショルダーバッグ1個を強取し,上記頸部圧迫の暴行により,そのころ,同所において,同人を死亡させ,第2Cと共謀の上,同年6月29日午後10時20分ころから翌30日午前2時ころまでの間,Aの死体を普通貨物自動車に載せて前記貸別荘から同県c町d番地先道路上まで運搬した上,同所において,上記死体を崖下に投棄し,もって,死体を遺棄したものである。 (証拠の標目)省略(確定裁判)被告人は,平成19年11月30日静岡地方裁判所沼津支部で傷害罪により懲役1年10月に処せられ,その裁判は同年12月15日確定したものであって,この事実は検察事務官作成の捜査報告書によって認める。 - 2 -(法令の適用)被告人の判示第1の所為は刑法60条,240条後段に,判示第2の所為は同法60条,190条にそれぞれ該当するところ,判示第1の罪について所定刑中無期懲役刑を選択し,以上の各罪と前記確定裁判があった傷害罪とは同法45条後段により併合罪の関係にあるから,同法50条によりまだ確定裁判を経ていない判示各罪について更に処断することとし,なお,判示各罪もまた同法45条前段により併合罪の 定裁判があった傷害罪とは同法45条後段により併合罪の関係にあるから,同法50条によりまだ確定裁判を経ていない判示各罪について更に処断することとし,なお,判示各罪もまた同法45条前段により併合罪の関係にあるが,判示第1の罪について無期懲役刑を選択したので,同法46条2項本文により他の刑を科さないこととし,なお後記の犯情を考慮し,同法66条,71条,68条2号,14条1項を適用して酌量減軽をした刑期の範囲内で被告人を懲役28年に処し,訴訟費用は,刑訴法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。 (量刑の事情)本件は,被告人が,共犯者と共謀して,被害者に対し,改造空気銃で金属球を発射し,その後頸部に命中させ,その後,頸部を右手で強く圧迫する暴行を加えて被害者を頸部圧迫の暴行により死亡させるとともに,被害者及び同伴者から現金1900万円を強取し,さらに,被害者の死体を山中に遺棄したという,強盗致死,死体遺棄の事案である。 まず,強盗致死の事案を見ると,被告人が所属する暴力団組長が中心となって,犯行計画を練り,組員らで役割分担をした上,貴金属の売買を装って買い手である被害者らを東京都内からa市内の貸別荘に移動させ,同所において,あらかじめ準備した改造空気銃を使用するなどして被害者らが持参した多額の買付金を強奪したものであり,組織的かつ計画的な犯行である。 また,凶器である改造空気銃の威力は相当強かったところ,至近距離から後頸部に向けて発射しており,さらに,逃げようとする被害者を捕らえて馬乗りになり,その頸部をのど輪の形で片手で圧迫し,その手に体重をかけたというのであるから,強盗の態様は危険かつ残忍というほかない。 - 3 -その結果は重大である。被害者は買付け予定の時計を鑑定するために妻子を残して韓国から来日したところ,異 ,その手に体重をかけたというのであるから,強盗の態様は危険かつ残忍というほかない。 - 3 -その結果は重大である。被害者は買付け予定の時計を鑑定するために妻子を残して韓国から来日したところ,異国の地で苦しみながら絶命したのであり,その無念さは察して余りある。しかも,被告人らは,被害者の死体を山中の崖下に投棄して証拠隠滅を図っており,死者の尊厳を冒とくする行為である。被害者の妻は,安否を気遣った挙げ句,約2年後に白骨化して変わり果てた夫と対面したというのであって,家族の精神的苦痛は大きく,当公判廷で厳しい被害感情を表明しているのも当然である。また,被告人らによって強取された現金は多額であり,この点からも結果は重大である。 これに関し,弁護人は,被害者は,韓国人の暴力団関係者に同行し,自ら日本の暴力団との危険な取引に関与したのであって,暴力団組織とは無縁の一般市民を巻き込んだ犯罪と比べ,被告人には酌むべき事情があると主張する。しかしながら,本件は,被告人らが取引を装って被害者らをおびき出し犯行に及んだ一方的なものであるから,弁護人の上記主張は前提を欠き採用できない。 そこで,被告人の行為等について具体的に見ると,まず,被告人は,被害者死亡に直結する頸部の圧迫行為をしたことを指摘しなければならない。しかも,被害者は,先にCが改造空気銃で発射した金属球を後頸部に受けて倒れるなどして抵抗力を喪失し,現場から逃げようとしていたのに,被告人が捕らえて上記暴行に及んだのである。また,被告人は,犯行の準備段階で,貸別荘の予約や改造空気銃の用意等をし,実行段階では,自ら千枚通しを持ってCと共に被害者らに向かって行き,同伴者から多額の現金が在中していると目されたショルダーバッグを奪い取っている。さらに,被告人は,Cに援助を求めて死体遺棄も実行している。こ では,自ら千枚通しを持ってCと共に被害者らに向かって行き,同伴者から多額の現金が在中していると目されたショルダーバッグを奪い取っている。さらに,被告人は,Cに援助を求めて死体遺棄も実行している。このように,被告人は,犯行に欠くことのできない重要な役割を積極的に果たしたといい得る。 ところが,被告人は,犯行後逃走しており,被害弁償は全くしていない。 加えて,被告人は,本件当時,大麻取締法違反の罪により懲役8月,4年間保護観察付き執行猶予中の身であり,自己を戒め慎重な行動が求められていたにもかかわらず本件に及んでいること,暴行罪による罰金前科2犯を有していたことを考慮- 4 -すると,被告人が法を守ろうとする意識に欠けていたことは明らかである。 これに対し,弁護人は,被告人の公判廷での弁解に基づき,①被害者の同伴者からショルダーバッグは奪っていない,②死体遺棄をCに提案していないと主張する。 しかしながら,①のショルダーバッグを奪ったのが被告人である点は,共犯者であるCのほか,被害にあった同伴者も明言していること,被告人は,犯行前に組長から確実に成功させるよう命じられ,犯行後には自ら組長に強取した現金を手渡していることから,現金強取の意思が強固であったと認められること等に照らして,被告人の弁解は信用できない。次に,②の死体遺棄を被告人が提案した点は,Cがそのように述べている上,被告人には自ら惹起した犯罪の証拠隠滅という動機があること,被告人は捜査段階と公判で異なる供述をしていることに照らして,被告人の弁解は信用できない。したがって,弁護人の主張は採用できない。 また,弁護人は,被告人はやくざ社会において共犯者の組長及びCに絶対服従の立場であって,自ら望んで積極的に犯行に関わったものではない旨強調する。確かに,被告人が組長の指示に従っていた面は認 きない。 また,弁護人は,被告人はやくざ社会において共犯者の組長及びCに絶対服従の立場であって,自ら望んで積極的に犯行に関わったものではない旨強調する。確かに,被告人が組長の指示に従っていた面は認められるが,前記のとおり自ら実行行為を行っている以上,従属的立場にあったことを過度に強調するのは相当でない。 以上によれば,被告人の刑事責任は誠に重大であるといわざるを得ない。 他方,強盗致死の事案で被告人は首謀者ではなく,実行役の中心はCであったこと,被害者の頸部を圧迫した行為について,被告人は,被害者から左手親指をかまれ,これを止めさせるために被害者の顔面等を複数回こぶしで殴ったものの,なお止めさせられなかったために,窮余及んだというのであって,自ら招いたこととはいえ,偶発的な側面があること,捜査段階から公訴事実自体は認めており,反省の言葉を述べていること,弁護人を通じて被害者の遺族に対し謝罪文を送っていること,所属していた暴力団に対し脱退届を送ったこと,母親が当公判廷で遺族への謝罪の意思を表明するとともに,被告人の帰りを待つと述べていること等の酌むべき事情も認められる。 これらの事情を十分考慮し量刑の動向も検討すると,強盗致死罪の法定刑のうち- 5 -無期懲役刑を選択し,そのまま維持することにはちゅうちょせざるを得ないのであり,酌量減軽をするのが相当と認められる。そこで,当裁判所は,主文の量刑を定めたものである。 (求刑無期懲役)平成22年3月4日静岡地方裁判所沼津支部刑事部裁判長裁判官片山隆夫裁判官松岡崇裁判官西谷大吾 申し訳ありませんが、提供されたテキストが不完全なため、整形を行うことができません。完全なテキストを提供していただければ、整形を行います。
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