平成30(ワ)336 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年5月17日 福岡地方裁判所
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判決文本文16,570 文字)

主文 1 被告国立大学法人九州大学は、原告らそれぞれに対し、3850万1371円ずつ及びこれに対する平成28年9月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告らの被告国立大学法人九州大学に対するその余の請求及び被告Aに対す る請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、原告らに生じた費用の2分の1と被告国立大学法人九州大学に生じた費用については、その合計の5分の1を原告らの負担とし、その余を被告国立大学法人九州大学の負担とし、原告らに生じたその余の費用と被告Aに生じた費用については、全て原告らの負担とする。 4 この判決は、第1項及び第3項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告らは、原告らそれぞれに対し、連帯して4572万7926円ずつ及びこれに対する平成28年9月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を 支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、被告国立大学法人九州大学(以下「被告法人」という。)が設置する九州大学の生徒であったBが、同大学が開講したプログラムに参加中、その実 施場所である河川で溺死した事故(以下「本件事故」という。)について、Bの相続人(両親)である原告らが、同プログラムの担当教員であった同大学教授の被告Aに対しては民法709条に基づき、被告法人に対しては、同法715条(主位的)若しくは国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項(予備的)又は安全配慮義務の債務不履行に基づき、それぞれ、Bの逸失利益、死亡慰謝 料等の損害賠償金及びこれに対する本件事故日から支払済みまで平成29年法 律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。 2 前提 料等の損害賠償金及びこれに対する本件事故日から支払済みまで平成29年法 律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。 2 前提事実以下の事実は、当事者間に争いがないか、後掲証拠(枝番号の記載のないものはその全てを含む。以下同じ。)により容易に認められる。 ⑴ 当事者等(争いがない。)ア Bは、平成28年4月に九州大学文学部に入学し、1年生として在学中(当時19歳)の同年9月6日(以下「本件当日」という。)、後記⑵のプログラム参加中に本件事故によって死亡した。 原告C及び原告Dは、Bの父及び母であり、Bの本件事故に係る損害賠 償請求権を2分の1ずつの割合により相続した。 イ被告法人は、九州大学を設置する国立大学法人である。 ウ被告Aは、本件事故当時、九州大学農学研究院に所属する教授であり、後記⑵のプログラムの担当教員を務めていた。 ⑵ 本件プログラムの概要(甲1) ア九州大学は、平成11年度から、基幹教育科目のうち総合科目(オープン科目)の一つとして、「フィールド科学研究入門」を開講していた。これは、様々な学部の低年次学生を対象に、フィールドで起こる諸現象を総合的に把握し、複雑な相互作用を持つ諸要素をその関連性を含めて解析し、ある一定の法則性や理論、解決策等を導き出すための基礎を、実際の野外 での体験や専門の異なる学部又は他大学の学生との交流を通じて身に着けさせることを目的とするものであり、農学系附属施設等において、それぞれの専門に応じたプログラムが合宿方式で実施されていた。 イ 「フィールド科学研究入門」のうち「屋久島プログラム」(以下「本件プログラム」という。)は、屋久島(鹿児島県熊毛郡屋久島町)に赴き、同島 専門に応じたプログラムが合宿方式で実施されていた。 イ 「フィールド科学研究入門」のうち「屋久島プログラム」(以下「本件プログラム」という。)は、屋久島(鹿児島県熊毛郡屋久島町)に赴き、同島 の自然に触れ、その素晴らしさを感じるとともに、フィールドでの研究に ついて理解を深めることを目的として、平成18年から平成28年まで毎年開講されており、被告Aは、その開講時から担当教員を務めていた。 ウ平成28年の本件プログラムは、9月6日(本件当日)から同月9日までの3泊4日の日程で、1日目に「安房川での体験」が、2日目以降に「屋久島環境文化研修センターが実施する研修」がそれぞれ予定され、担当教 員である被告Aの引率の下、Bを含む九州大学又は他大学の学生23名(以下「参加学生」と総称する。)が参加したほか、九州大学の准教授(以下「同行教員」という。)1名が参加した。 なお、安房川は、標高1936mの宮之浦岳を源とし、流路延長約20㎞、流域面積86.2㎢を経て河口につながる屋久島最大の河川であり、 河口から13.2㎞までが鹿児島県の管理区間である。 ⑶ 本件事故の発生に至る経緯(甲1、22、37)ア被告Aは、本件プログラムの一環である「安房川での体験」を実施すべく、本件当日午後3時頃、参加学生を安房川河口付近の北東側の岸(以下「左岸」という。)に集合させると、そこから安房川に入水するよう指示し た。 イ被告Aは、参加学生が安房川への入水を始めた頃には、同人らに向かって、「で、あの、適当に泳いでください。」、「えー、泳ぎに自信がある人は向こうまで行くことは可能です。」、「ただし、気を付けないといけないのは、こう、流れがあるので、案外きつい。」、「去年、えっと、行ったんです 適当に泳いでください。」、「えー、泳ぎに自信がある人は向こうまで行くことは可能です。」、「ただし、気を付けないといけないのは、こう、流れがあるので、案外きつい。」、「去年、えっと、行ったんですけど、 結局、あのカヌーの辺まで流されちゃって、みんなひーひー言ってましたね。」、「ので、気を付けないといけない。」、「案外、こう、静かに見えますけど、案外流れはあります。」、「ということで、えーと、自由に遊んでください。」などと伝えた(以下、併せて「本件現場指示」という。)。 なお、被告Aは、「安房川での体験」に先立って救命胴衣を準備し、入水 しようとする参加学生に着用させることはしておらず、その他の救命具等 の準備もしていなかった。 ウその後、7名の参加学生及び同行教員が、約80m先の対岸(以下「右岸」という。)に向かって順次遊泳を始め、B及び男子学生1名もそれに続いて遊泳を始めたが、右岸近くに至ったところでBら2名が溺れ始めた。 男子学生1名はその場で救助されたが、Bは救助されず、約1時間後に安 房川の下流で発見されたが、搬送先の病院において死亡が確認された。 3 争点⑴ 本件事故に関する被告Aの過失の有無(争点1)⑵ 被告Aの個人責任の有無(被告法人に対する国賠法1条1項の適用の有無)(争点2) ⑶ 本件事故に関する被告法人固有の過失の有無(争点3)⑷ 過失相殺の可否(争点4)⑸ 損害額(争点5) 4 争点に関する当事者の主張⑴ 本件事故に関する被告Aの過失の有無(争点1)について (原告らの主張)被告Aは、本件プログラムの担当教員として、参加学生が安房川で遊泳すれば溺水等の水難事故が発生することを予見し得たのであるから、本件プログラムの一環として参加学生を安房川 (原告らの主張)被告Aは、本件プログラムの担当教員として、参加学生が安房川で遊泳すれば溺水等の水難事故が発生することを予見し得たのであるから、本件プログラムの一環として参加学生を安房川に入水させるに当たり、参加学生に対し、安房川での遊泳を禁止するか、遊泳を許可するのであれば救命胴衣を準 備して着用させるなどして、参加学生による水難事故を未然に防止し、その安全を確保すべき義務を負っていたにもかかわらず、安房川での遊泳を禁止することも、救命胴衣を準備して着用させることもしなかった。 したがって、被告Aには、本件事故の発生につき過失が認められる。 (被告法人の主張) 本件事故の発生につき被告Aに一定の過失があったことは否定しないが、 本件事故現場である安房川河口付近は、本件事故が発生した当時、管理者である鹿児島県が遊泳禁止措置を講じていたわけではなかったように、何人にとっても遊泳が危険な場所とまでは認識されておらず、本件当日も遊泳を危険に感じるような状況ではなかったこと、被告Aは、参加学生に対し、安房川の危険性についてある程度の説明は行ったこと、本件プログラムの内容に 安房川への入水は含まれていたが、遊泳までは含まれておらず、被告Aは、参加学生に対し、自由行動の一環として安房川での遊泳を容認していたにとどまり、これを指示ないし強制してはいないことからすると、本件事故に関する被告Aの過失の程度は必ずしも重大とはいえない。 (被告Aの主張) 被告法人の主張とおおむね同旨であり、被告Aによる本件事故発生の予見可能性は相対的に低かったというべきである。 もっとも、被告Aが、安房川への入水とその後の自由時間における遊泳とを区別せずにまとめて「泳ぐ」という表現で説明した上、安房川での遊泳を禁止し 生の予見可能性は相対的に低かったというべきである。 もっとも、被告Aが、安房川への入水とその後の自由時間における遊泳とを区別せずにまとめて「泳ぐ」という表現で説明した上、安房川での遊泳を禁止しなかったことが過失を構成することは否定しない。 ⑵ 被告Aの個人責任の有無(被告法人に対する国賠法1条1項の適用の有無)(争点2)について(原告らの主張)ア国立大学法人が行う研究・教育活動と私立大学におけるそれとの間に質的な差異はないこと、そもそも研究・教育活動は非権力的な事実行為その ものであり、国立病院の医師による医療行為と同様に国賠法の適用を受けるべき合理的理由がないことに加え、国立大学法人の職員による研究・教育活動について国賠法が適用されるとなると、違法行為を行った職員に対する損害賠償請求が認められず、本件において原告らが望むような原因解明といった要請に応えることが困難となることに鑑みると、国立大学法人 は、「公共団体」には該当せず、その職員の研究・教育活動における過失に よる不法行為については、国賠法1条1項は適用されないものと解すべきである。 イそうすると、本件の被告法人の責任については民法715条が適用されることになるから、被告Aは、本件事故に関する民事上の個人責任を免れない。 (被告Aの主張)本件事故は、国立大学法人の職員である被告Aがその職務を行う中で発生したものであり、被告法人の責任については国賠法1条1項が適用されるから、被告Aは、民事上の個人責任を負うものではない。 ⑶ 本件事故に関する被告法人固有の過失の有無(争点3)について (原告らの主張)被告法人は、フィールドワーク教育を始めとした大学教育における安全管理体制を構築すべき立場にあり、学生らとの 本件事故に関する被告法人固有の過失の有無(争点3)について (原告らの主張)被告法人は、フィールドワーク教育を始めとした大学教育における安全管理体制を構築すべき立場にあり、学生らとの間で締結した在学契約から導かれる安全配慮義務として、学生らの生命、身体、健康を守るために安全管理体制を構築すべき義務を負っていた。 ところが、被告法人は、本件プログラムにおいて被告Aが安房川で参加学生を遊泳させること、これにより参加学生が溺水し死亡するような重大事故が発生することにつき予見可能であったにもかかわらず、被告Aに対して危機管理の研修の受講を義務付けるとともに、九州大学農学部の定めた「安全の指針」を遵守するよう指導するなどの義務を怠り、また、本件プログラム の引率補助者の人数や救命胴衣等の装備品について、被告Aに報告させてこれを確認する義務を怠った。 (被告法人の主張)本件プログラムの担当教員である被告Aに対する指導、監督が十分でなく、本件プログラムの問題点を十分に把握できるような管理体制を構築できなか ったという点で、被告法人に注意義務違反があることは否定しない。 しかし、本件においては、九州大学農学部の定めた「安全の指針」に基づいて救命胴衣の着用さえ行っていれば、本件事故は発生しなかったと考えられることからすれば、本件事故の発生と因果関係が認められる被告法人の注意義務違反は、屋外のプログラムであるために危険を伴いがちな本件プログラムを被告Aが適切に運用しているか否かを覚知できるような管理体制を整 備すべき義務の違反に限定されるというべきである。 ⑷ 過失相殺の可否(争点4)について(被告らの主張)ア前記⑴の被告らの主張のとおり、安房川での遊泳は本件プログラムに組み込まれてお 備すべき義務の違反に限定されるというべきである。 ⑷ 過失相殺の可否(争点4)について(被告らの主張)ア前記⑴の被告らの主張のとおり、安房川での遊泳は本件プログラムに組み込まれておらず、被告Aが遊泳を指示したり強制したりしたこともなか ったところ、そのような中で現に10名以上の参加学生が遊泳しなかったにもかかわらず、Bが自らの判断で遊泳したことに照らせば、Bにはその判断の誤り等につき過失が認められるし、それが過失相殺を否定するほどに小さかったとまではいえない。 イ一方、前記⑴の被告らの主張のとおり、本件事故の発生に関する被告A の過失の程度は、少なくともBの上記過失に基づく過失相殺を一切否定するほど重大であったとはいえない。また、本件事故の発生という結果に対して因果関係が認められる被告法人の注意義務違反は、上記⑶の被告法人の主張のとおり限定されるところ、このような被告法人固有の注意義務違反は、本件事故の発生に対して間接的なものにとどまり、少なくとも被告 Aの上記過失を前提とする被告法人の責任よりも重くなるものではない。 ウ以上によると、本件においては、少なくとも2割の過失相殺がされるべきである。 (原告らの主張)そもそも、本件プログラムにおける「安房川の体験」に安房川での遊泳が 含まれていたことは明らかであるところ、Bはフィールドワーク初心者であ り、被告Aの引率と指導を信頼し、頼らなければならない状態にあった。ところが、被告Aは、Bを含む参加学生に対し、「流れがあるので案外きつい。」、「みんなひーひー言っていましたね。」、「で、適当に泳いでください。泳ぎに自信がある人は向こうまで行くことは可能です。」などと抽象的に述べるにとどまり、水深、水温、川幅等の安房川特有の危険 い。」、「みんなひーひー言っていましたね。」、「で、適当に泳いでください。泳ぎに自信がある人は向こうまで行くことは可能です。」などと抽象的に述べるにとどまり、水深、水温、川幅等の安房川特有の危険性を認識するための情報 を提供しなかった。本件プログラムは、学生の能動的な学修への参加を取り入れたアクティブ・ラーニングの性質を帯びた授業であって、これを履修する学生には、能動的に体験し学び取ることが学修態度として望まれていたのであり、このような本件プログラムの性質からして、他の参加学生が対岸に向けて泳ぎ始める中、Bが自らそれを辞退したり、遊泳範囲を制限したりす ることは期待できず、被告Aの指示を信頼し、抽象的な情報を頼りに遊泳するとの判断をさせられたものである。 このようなBの判断につき過失を認めることは許されないというべきであるし、仮にそうでないとしても、本件事故の発生につき被告Aの注意義務違反の程度が著しいことに鑑みると、公平の見地から過失相殺は認められるべ きではない。 ⑸ 損害額(争点5)について(原告らの主張)Bの損害は、死亡慰謝料3000万円、逸失利益5765万1182円(基礎収入648万7100円、生活費控除率50%、労働能力喪失期間45年 間(ライプニッツ係数17.7741)として算定)及び葬儀費用等380万4670円の合計9145万5852円である。 (被告らの主張)損害の発生は争わないが、その額は争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実 ⑴ 安房川及びその河口付近の状況ないし特徴(甲1、18、19、34、35)ア安房川は、多雨地である高山から約20㎞を一気に流れ下ることから、峡谷地形が発達しているといわれ、水温は通常の河川よりも低い。 また、本件事故 状況ないし特徴(甲1、18、19、34、35)ア安房川は、多雨地である高山から約20㎞を一気に流れ下ることから、峡谷地形が発達しているといわれ、水温は通常の河川よりも低い。 また、本件事故現場である安房川河口付近は、上層に河川水が、底層に 海水がそれぞれ進入する汽水域に位置しているため、通常の河川とは異なり、底層よりも上層の方が水温が低いという特徴がある。 イ近隣の小中学校では、屋久島町校外生活指導連絡協議会及び同町交通事故・水難事故防止対策連絡会との協議により、安房川につき遊泳禁止の措置が取られている。また、地元公共機関、民間業者、近隣住民等は、本件 事故後の鹿児島県警による事情聴取や、被告法人が設置した屋久島フィールドワーク学生事故調査委員会による調査に対し、安房川及びその河口付近の状況ないし特徴につき、以下のように述べている。 屋久島の他の河川に比べて流れが速い。河口付近は海水と淡水が混ざっているので、上が穏やかでも下が動いているなど、上と下で流れが違 うことがある。見た目では全然流れていなくても、実際には流れている箇所があり、それを知らなければ流されることがある。 南の島というイメージで川に入るとものすごく冷たく、急激に体温が下がっていく。 川底が平坦でなく峡谷(Ⅴ字谷)のようになっており、下流に近いと ころは水深が深い。 左岸から中心部にかけては緩やかに深くなっており、水温も高いが、右岸から中心部にかけては急に深くなっており、深いところは水温も低いし、左岸側よりも流れが速い。 入水時にはライフジャケットを着用する必要があるのではないか。ラ イフジャケットがないと怖い。 ⑵ 過去の本件プログラムの実施状況及び被告Aを含む参加者の認識等(甲1、20、55~ にはライフジャケットを着用する必要があるのではないか。ラ イフジャケットがないと怖い。 ⑵ 過去の本件プログラムの実施状況及び被告Aを含む参加者の認識等(甲1、20、55~57、被告A本人)ア被告Aは、本件事故発生前から、安房川河口付近の状況について、水深が胸辺りまでの箇所は流れも穏やかで比較的安全だが、それ以上深い箇所は流れが速くなるため危険な場所であること、時間と場所により水の流れ が速いところとそうでないところがあること、水面が一見穏やかであっても水の中の流れは予想以上に速い場合があること、右岸側には水深4.5mもある深い場所があることなどを認識しており、溺れた場合の危険を考慮し、1人で泳ぐ際は左岸から右岸まで泳ぐことはなかった。 イ被告Aは、平成18年から、本件プログラムのうち「安房川の体験」に おいて、参加した学生を安房川河口付近の左岸から入水させ、中心部に向けて進ませることにより、上層に冷たい河川水が、底層に暖かい海水が進入する汽水域の特徴を体感させていた。その際に学生に対して遊泳を指示したり勧めたりしたことはなかったが、自己判断により遊泳することを禁じたこともなく、学生が入水する際には、流れがあるため右岸まで遊泳す ることは簡単ではないこと、1人では遊泳しないことなどを注意していた。 なお、平成24年に本件プログラムに参加した学生がプログラム終了後に提出したレポートには、安房川河口付近を遊泳した際の感想として、「1日目に河で泳いだけど、上層の水は冷たく、下層は温かいというのを体感できて良かったです。…しかし、結構潮の流れも速く、危なそうなので海 で泳ぐことにしてはいかがでしょうか。」、「プールや海水浴場のような管理されてないところで泳ぐのは少し怖かった。…川で向こう できて良かったです。…しかし、結構潮の流れも速く、危なそうなので海 で泳ぐことにしてはいかがでしょうか。」、「プールや海水浴場のような管理されてないところで泳ぐのは少し怖かった。…川で向こう岸までがんばって泳いだが、その途中で…力つきそうで、だが立ち止まったら死ぬので必死に泳いだ。」との記載があり、被告Aはこれらのレポートに目を通していた。 ウ本件事故の前年である平成27年には、本件プログラムに参加した学生 のうち5名程度が、安房川河口付近を左岸から右岸に向けて遊泳を始め、被告Aもこれに続いたところ、うち2名の学生が下流に流されて溺れそうになり、被告Aも同様に下流に流されて相当に体力を消耗したことがあった。 同年に参加した学生がプログラム終了後に提出したレポートには、「例え ば初日の安房川流れ。一見穏やかでほとんど流れはないかのように見えた。 もともと水泳が得意なほうの私は簡単に向こう岸まで泳ぎきれると思っていたが、気付いたら下流のほうへ流されていて、まったく対岸に近づいている気配がなかった。どんどん体が重くなっていき、一瞬本当に溺れてしまうかもしれないと感じるほどだった。」、「私は小さいころ水泳を習っ ていたが、川はプールと違って、流れがあり自分の身長よりも深く、危うく溺れるところであった。」との記載があり、被告Aはこれらのレポートに目を通していた。 エなお、被告Aが所属する九州大学農学部が作成した「安全の指針11年改訂版」には、本件プログラムのようなフィールド科目に関する「野 外(学外)作業での安全対策」のうち「河川での調査」の項目に、①ウェットスーツ又はライフジャケットの着用が必須であること、②川は常に水の流れを伴うことに十分な配慮を持つべきであり、遊泳に自信のある者 外(学外)作業での安全対策」のうち「河川での調査」の項目に、①ウェットスーツ又はライフジャケットの着用が必須であること、②川は常に水の流れを伴うことに十分な配慮を持つべきであり、遊泳に自信のある者でも流れの速い場所などで溺死することもあるため、溺れないための装備が必要不可欠であること、③流水域の調査では不測の事態はつきものであっ て、大学の研究の中で人命が失われたケースもあり、不測の事態ではすぐに救助を要請できるだけの人員体制で臨むことなどの記載が存在する。 ⑶ 本件当日の事実経過(甲1、22、32、38~46、49、55、57、被告A本人。この項における時刻の表記は、本件当日の時刻である。)ア被告Aは、午後1時40分頃、本件当日の宿泊先である安房川近くの民 宿の玄関先に参加学生を集合させ、本件プログラムに関する資料を交付し、 簡単な説明や一般的な注意事項を伝えるなどした後、午後2時45分に再度集合するよう指示した上で、「実はその後すぐに泳ぎに行くので、泳ぎができるような状況にしてここに集まること。泳ぐのはその裏の川、ぜひ楽しんでください。それまでは部屋でゆっくりすること。」などと伝えた。なお、その時点で参加学生のほとんどは、前日夜から高速バス及びフェリー を乗り継ぎ、約1時間前に屋久島に到着したばかりであった。 イ被告Aは、午後2時45分頃、上記民宿の玄関先において、集合した参加学生に対し、上部が真水で冷たく、下部が海水で温かいという安房川の特徴を説明した上で、ちゃんと準備運動をして、その特徴を身体で感じ取るよう伝えた。続いて被告Aは、川泳ぎの経験がある者に挙手を求めたと ころ、半数程度の参加学生が挙手したが、被告Aはそれ以上に尋ねることはなく、参加学生の健康状態等を確認することもなかっ じ取るよう伝えた。続いて被告Aは、川泳ぎの経験がある者に挙手を求めたと ころ、半数程度の参加学生が挙手したが、被告Aはそれ以上に尋ねることはなく、参加学生の健康状態等を確認することもなかった。 ウ被告Aは、午後3時頃までに全員を民宿近くの安房川河口付近の左岸に移動させると、安房川の水流がいかに珍しいかを再度説明した後、荷物はその辺に置いて準備運動をし、身体で屋久島を感じてほしいと伝え、参加 学生が安房川への入水を始めた頃には本件現場指示をしたが、それに先立って救命胴衣を準備して着用させたり、その他の救命具等を準備したりはしていなかった(前提事実⑶ア、イ)。なお、午後3時頃時点の屋久島の天候は曇り又は晴れ、気温は約28度、湿度は80%前後であり、風速2m前後の軽風が吹いていた。 エその後、左岸から約80m先の右岸に向かって、まず男子学生1名が、続いて女子学生1名が遊泳を始めると、続いて男子学生2名、女子学生2名及び同行教員が遊泳を始め、更に男子学生1名が、それにやや遅れてB及び男子学生1名が遊泳を始めた。左岸付近の大石に腰掛けて入水する参加学生を見ていた被告Aは、最初に男子学生1名が遊泳を始めた際には、 なるべく複数で泳ぐよう声をかけたが、続いて同行教員を含む複数名が遊 泳を始めたため、まだ10名以上の参加学生が残っている左岸付近に目を向けていた。 オ先に遊泳を始めた参加学生7名及び同行教員は、その後右岸に到着したが、Bと男子学生1名は、右岸から約10m手前(水深約2.5m)付近で溺れ始めた。被告A、参加学生及び同行教員は、Bらを救助しようとし、 男子学生1名はその場で救助することができたが、Bを救助することはできず、その約1時間後に安房川の下流で発見されたが、搬送先の病院で死 。被告A、参加学生及び同行教員は、Bらを救助しようとし、 男子学生1名はその場で救助することができたが、Bを救助することはできず、その約1時間後に安房川の下流で発見されたが、搬送先の病院で死亡(溺死)が確認された(前提事実⑶ウ)。 2 争点1(本件事故に関する被告Aの過失の有無)について⑴ 上記1に認定したとおり、本件事故現場である安房川河口付近は、その状 況ないし特徴から遊泳が危険視されていた場所であって、被告A自身も、過去の経験等から抽象的にせよその危険性を認識しており、特に、本件事故の前年に本件プログラムを実施した際には、学生のみならず被告A自身も下流に流されたことがあり、その後に学生が提出したレポートに安房川で溺れそうになった旨の記載があることも認識していた。 しかるに、被告Aは、本件プログラムの初日に屋久島に到着して間もない参加学生に対し、安房川の水流の特徴や「安房川の体験」の意義を説明するに際し、「実はその後すぐに泳ぎに行く」、「泳ぐのはその裏の川、ぜひ楽しんでください。」、「適当に泳いでください。」、「自由に遊んでください。」などの表現を用いて説明し、その際に参加学生の健康状態を確認することも、水泳 経験や能力を具体的に確認することもなく、救命胴衣等の救命具の準備もしないまま、従前同様に水難事故は発生しないものと軽信し、安房川への入水を指示したものである。このような被告Aの一連の指示、指導等は、本件プログラムの担当教員かつ引率責任者として参加学生の安全を確保すべき注意義務を怠ったものと評価せざるを得ない。 ⑵ なお、被告Aは、参加学生が右岸に向かって遊泳を始める前に、本件現場 指示において、前年度に参加学生が下流まで流されたことに言及した上で、「流れがあるので、案外き ない。 ⑵ なお、被告Aは、参加学生が右岸に向かって遊泳を始める前に、本件現場 指示において、前年度に参加学生が下流まで流されたことに言及した上で、「流れがあるので、案外きつい。」、「静かに見えますけど、案外流れはあります。」、「気を付けないといけない。」などと、安房川の危険性について一定の説明は行っている(前提事実⑶イ)。しかし、上記⑴のようなその余の被告Aの発言内容や、当時の音源(甲22)によって認められる被告Aの説明の仕 方や口調等を併せ考えれば、被告Aの上記説明は、参加学生に安房川の危険性を伝えるに十分なものであったということはできず、これをもって参加学生の安全に配慮する措置を講じたものと評価することはできない。 ⑶ 以上によれば、被告Aには本件事故の発生に関する過失が認められる(なお、被告らも、被告Aの過失自体は基本的に争っていない。)。 3 争点2(被告Aの個人責任の有無(被告法人に対する国賠法1条1項の適用の有無))について原告らは、主位的には、被告法人は本件事故の発生につき民法715条1項に基づく責任を負うから、被告A個人も同法709条に基づく責任を負う旨を主張するのに対し、被告Aは、被告法人の責任については国賠法1条1項が適 用される旨を主張して個人責任を争うので、以下において検討する。 ⑴ 被告法人に対する国賠法1条1項の適用の有無アそもそも国立大学法人は、国立大学法人法によって、大学の教育研究に対する国民の要請に応えるとともに、我が国の高等教育及び学術研究の水準の向上と均衡ある発展を図るために設置された法人であり(同法1条、 2条1項、6条)、その成立時に国が有する国立大学の業務に関する権利義務を承継し(同法附則9条)、承継する権利に係る財産の価額と承継す 均衡ある発展を図るために設置された法人であり(同法1条、 2条1項、6条)、その成立時に国が有する国立大学の業務に関する権利義務を承継し(同法附則9条)、承継する権利に係る財産の価額と承継する義務に係る負債に基づいて定められた金額が政府から出資があったものとされてその資本金とされ(同法附則9条2項、同法7条1項)、その役員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない義務を負い(同 法18条)、刑法その他の罰則の適用については法令により公務に従事する 職員とみなされ(同法19条)、その業務に関して国から一定の関与を受けるものとされている(同法22条2項)。 これらの事実に鑑みれば、国立大学法人は、国賠法1条1項の「公共団体」に該当し、国立大学法人の教職員は、同項の「公務員」に該当すると解すべきであるから、被告法人は「公共団体」に該当し、その教職員であ る被告Aは「公務員」に該当することになる。 イそして、「公権力の行使」(国賠法1条1項)とは、国又は公共団体の作用のうち純然たる私経済作用及び同法2条の営造物の設置管理作用を除く全ての作用であり、国立大学における教育研究活動もこれに含まれるものと解されるところ、上記2において判示した被告Aの過失は、九州大学が 開講している本件プログラムの担当教員としての職務を遂行する中で生じたものであるから、被告Aは、公権力の行使に当たる公務員として、その職務を行うについてBに損害を加えたものといえる。 ウしたがって、被告法人は、上記2の被告Aの過失について、国賠法1条1項に基づく賠償責任を負うものと解される。 ⑵ 被告Aの個人責任の有無国又は公共団体が国賠法1条1項に基づく賠償責任を負う場合には、公務員個人はその責任を負うものではな て、国賠法1条1項に基づく賠償責任を負うものと解される。 ⑵ 被告Aの個人責任の有無国又は公共団体が国賠法1条1項に基づく賠償責任を負う場合には、公務員個人はその責任を負うものではない(最高裁昭和30年4月19日第三小法廷判決・民集9巻5号534頁参照)。本件においては、上記⑴のとおり、被告法人が国賠法1条1項に基づく賠償責任を負うのであるから、被告Aは、 被告法人とは別個に個人責任を負うものではない。 4 争点4(過失相殺の可否)について被告らは、本件事故に関する被告Aの過失を前提としつつも、被告Aは遊泳を指示したり強制したりしていなかったにもかかわらず、Bが自らの判断で遊泳を始めて本件事故に至ったことにつき過失が認められるとして、過失相殺を 主張するので、以下において検討する。 ⑴ Bは、本件事故当時、19歳の大学1年生であり(前提事実⑴ア)、その場の状況や自身の運動能力等を鑑みつつ自身の安全を確保すべく行動するための基本的な能力は有していたものと認められるところ、被告Aは、本件現場指示において、Bら参加学生に対し、「泳ぎに自信がある人は向こうまで行くことは可能です。」と述べ、右岸まで遊泳するか否かは参加学生の判断に委ね る姿勢をとった上、前年度に参加学生が下流まで流されたことの説明と併せて、「流れがあるので、案外きつい。」、「静かに見えますけど、案外流れはあります。」、「気を付けないといけない。」などと説明したことや、Bは、高校時代からの友人2名と共に本件プログラムに参加していたところ、その友人1名がまず遊泳を始め、それに続いてもう1名の友人と共に遊泳を始めたと の経緯(甲1、41、44)に鑑みると、Bは、安房川で遊泳することの危険性を認識し、又はこれを認識し得たにもかか その友人1名がまず遊泳を始め、それに続いてもう1名の友人と共に遊泳を始めたと の経緯(甲1、41、44)に鑑みると、Bは、安房川で遊泳することの危険性を認識し、又はこれを認識し得たにもかかわらず、自身の判断において遊泳を開始したものと評価する余地もあるように思われる(原告らは、本件プログラムの性質からBが遊泳を辞退したり遊泳範囲を制限したりすることは期待できなかったなどと主張するが、参加学生の半数以上が遊泳していな いこと(前記1⑶エ)に照らすと、かかる主張は理由がない。)。 ⑵ しかし、被告Aは教授職にあって、それまで長年にわたって屋久島の自然環境等を調査、研究し、本件プログラムの開始に際しても、参加学生に対し自身と屋久島との関わりについて説明するなどしていたのであり(甲1、57)、その直前に屋久島に到着したばかりの参加学生としては、自身の安全を 確保すべく行動するために必要な情報についても、主に被告Aから得ることが想定されていたといえるし、それらの情報を提供する際の被告Aの言動から、情報の意義や重要性を判断していくような状態にあったということができる。 そうであるにもかかわらず、被告Aは、前記2のとおり、本件現場指示を 含む一連の指示、指導等において、参加学生に対して安房川の危険性を的確 に伝えることができておらず、これによりBは、安房川を右岸まで遊泳することの危険性を十分に認識することができなかった可能性があるし、かえってその危険性はさほど大きくないものと誤解した可能性すら否定することができない。そのような状況において、被告Aは、Bを含む参加学生の健康状態を確認することも、水泳経験や能力を具体的に確認することもなく、救命 胴衣等の救命具の準備もしないまま安房川への入水を指示したもの い。そのような状況において、被告Aは、Bを含む参加学生の健康状態を確認することも、水泳経験や能力を具体的に確認することもなく、救命 胴衣等の救命具の準備もしないまま安房川への入水を指示したものであって、その過失は重大であったといわざるを得ない。 ⑶ そうすると、仮に、安房川で遊泳することの危険性を認識し、又は認識し得たにもかかわらず、あえて遊泳を始めたBの判断について、何らかの過失を観念し得るとしても、損害の公平な分担との観点に鑑みれば、それに先立 つ重大な過失が認められる被告Aや同人が所属する被告法人との関係においては、損害賠償額の減額を正当化するほどの事情とみることはできないというべきである。 したがって、本件において過失相殺をすることは相当でなく、この点に関する被告らの主張は理由がない。 5 争点5(損害額)について被告らは、本件事故によってBに逸失利益、死亡慰謝料及び葬儀費用等の損害が発生し、原告らがこれを2分の1ずつの割合により相続したことは争わないものの、それぞれの額を争うので、以下において本件事故によるBの損害額を検討する。 ⑴ 逸失利益Bが本件事故当時に19歳の大学1年生であったこと(前提事実⑴ア)に照らすと、Bの逸失利益を算定するために用いる基礎収入としては、原告らの主張する648万7100円を下回ることはないものと解されるから、これを基礎収入とすることが相当である。そして、生活費控除率は50%とす るのが相当である。 また、Bの就労可能期間は、大学卒業見込み時である22歳から67歳までの45年(ライプニッツ係数は、19歳から67歳まで(48年)の18. 0772から、19歳から22歳まで(3年)の2.7232を控除した15.3540とする。)として算出す ある22歳から67歳までの45年(ライプニッツ係数は、19歳から67歳まで(48年)の18. 0772から、19歳から22歳まで(3年)の2.7232を控除した15.3540とする。)として算出するのが相当である。 そうすると、Bの逸失利益は、4980万1466円と認められる。 ⑵ 死亡慰謝料Bは、本件事故当時19歳の大学1年生であり(前提事実⑴ア)、大学に進学した最初の夏休みに発生した本件事故によって将来の可能性を奪われたものであって、その無念さは計り知れない。かかる事情に、既に判示した被告Aの過失の内容、程度その他の本件に現れた一切の事情を併せ考慮した上で、 Bの死亡慰謝料としては、2500万円を相当と認める。 ⑶ 葬儀費用等ア Bが本件事故後に屋久島徳洲会病院に搬送された際の治療費として、3万7570円の支出を要したことが認められるところ(甲7)、これは、被告Aの過失と相当因果関係がある損害と認められる。 イまた、Bの葬儀に関する費用(遺体搬送料を含む。)として、合計322万2783円の支出を要したことが認められるところ(甲3、8~12、16)、Bの死亡原因、死亡地、死亡時の年齢等を含む本件に現れた一切の事情を考慮すると、うち180万円の限度で本件と相当因果関係がある損害と認めるのが相当である。 ウさらに、本件事故の連絡を受けた原告Cが出張先のヨーロッパから帰国するための費用等として23万8716円の支出を要し、原告ら及びその子らが本件事故の翌日に鹿児島県警に出向いた際の交通費及び宿泊費として合計12万4990円の支出を要したことが認められるところ(甲3~6、弁論の全趣旨)、これらも、被告Aの過失と相当因果関係がある損害と 認めるのが相当である。 エ一方、原告 合計12万4990円の支出を要したことが認められるところ(甲3~6、弁論の全趣旨)、これらも、被告Aの過失と相当因果関係がある損害と 認めるのが相当である。 エ一方、原告らは、Bが本件プログラムに参加した際の経費2万3000円(甲1)も本件の損害として主張するが、その支出については、被告Aの過失と相当因果関係がある損害と認めることは困難というべきである。 また、原告らは、本件事故後に原告ら及びその長男が事故現場の見分を実施した際に要した交通費及び宿泊費(甲13~15)についても本件の 損害として主張するようであるが、原告らによる現場見分の必要性ないしそのための費用を支出する必要性を裏付ける証拠はないから、これらについても、被告Aの過失と相当因果関係がある損害と認めることはできない。 ⑷ 原告らの損害額以上によれば、本件事故によるBの損害は、合計7700万2742円と 認められるから、原告らは、その請求権につき3850万1371円ずつ相続したことになる。 6 結論以上のとおり、原告らの被告Aに対する請求は理由がなく、原告らの被告法人に対する国賠法1条1項に基づく請求は、原告らそれぞれにつき3850万 1371円及びこれに対する遅延損害金の限度で理由がある(なお、仮に被告法人固有の過失(争点3)が認められたとしても、原告らの損害額が上記認定額を上回ることはないから、この点については判断を要しない。)。 よって、主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官日景 聡 裁判官森 幸督 裁判官瀧 澤 孝太郎 日景聡 裁判官森幸督 裁判官瀧澤孝太郎

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