- 1 -主文原決定を破棄する。 本件を東京高等裁判所に差し戻す。 理由 抗告代理人佐藤孝幸の抗告理由について 本件は,抗告人の株主である相手方らが,抗告人の業務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを疑うべき事由があるとして,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの。以下同じ。)294条1項に基づき抗告人の検査役選任の申請をする事案である。 原審の確定した事実関係の概要は,次のとおりである。 抗告人の株主である相手方らが商法294条1項に基づき原々審に抗告人の検査役選任の申請をした平成17年7月29日の時点では,相手方らは合計して抗告人の総株主の議決権の約3.2%を有していたが,平成12年に抗告人が発行した新株引受権付社債を有していた者の新株引受権の行使を受けて,抗告人が新株を発行したことにより,平成17年8月17日以降は,相手方らは合計しても抗告人の総株主の議決権の約2.97%しか有しないものとなった。 上記事実関係の下において,原審は,相手方らが原々審に抗告人の検査役選任の申請をした時点では,相手方らは合計して抗告人の総株主の議決権の100分の3以上を有していたのであるから,その後,抗告人が新株を発行したことにより,相手方らが合計しても抗告人の総株主の議決権の100分の3未満しか有しないものとなったとしても,相手方らの検査役選任の請求権は消滅しないと判示して,相手方らが上記新株発行により上記請求権を失っているとして上記申請を却下- 2 -した原々決定を取り消し,検査役選任の要否等につき更に審理を尽くさせるために,本件を原々審に差し戻す旨の決定をした。 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。 株式会社の株主が商法294条1項に基 き更に審理を尽くさせるために,本件を原々審に差し戻す旨の決定をした。 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。 株式会社の株主が商法294条1項に基づき裁判所に当該会社の検査役選任の申請をした時点で,当該株主が当該会社の総株主の議決権の100分の3以上を有していたとしても,その後,当該会社が新株を発行したことにより,当該株主が当該会社の総株主の議決権の100分の3未満しか有しないものとなった場合には,当該会社が当該株主の上記申請を妨害する目的で新株を発行したなどの特段の事情のない限り,上記申請は,申請人の適格を欠くものとして不適法であり却下を免れないと解するのが相当である。 前記事実関係によれば,抗告人の株主である相手方らは,原々審に抗告人の検査役選任の申請をした時点では,合計して総株主の議決権の約3.2%を有していたが,その後,抗告人が新株引受権付社債を有していた者の新株引受権の行使を受けて新株を発行したことにより,合計しても総株主の議決権の約2.97%しか有しないものとなったというのであるから,抗告人が相手方らの上記申請を妨害する目的で上記新株を発行したなどの特段の事情のない限り,上記申請は,申請人の適格を欠くものとして不適法であり却下を免れないというべきである。 以上と異なる原審の判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原決定は破棄を免れない。そして,上記特段の事情の有無等について更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 - 3 -(裁判長裁判官島田仁郎裁判官横尾和子裁判官甲斐中辰夫裁判官泉徳治裁判官才口千晴) 員一致の意見で,主文のとおり決定する。 - 3 -(裁判長裁判官島田仁郎裁判官横尾和子裁判官甲斐中辰夫裁判官泉徳治裁判官才口千晴)
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