平成14(行ウ)155 監査委員報酬返還請求事件

裁判年月日・裁判所
平成18年7月7日 大阪地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文39,036 文字)

主文 本件訴えのうちA医療保健センターの監査委員に対する平成9年4月分から平成13年3月分までの報酬の支給に関し地方自治法243条の2第3項の規定による賠償の命令をすることを求める部分及び不当利得返還の請求をすることを求める部分を却下する。 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求 被告は,Bに対し8万4000円及びこれに対する平成14年8月14日から支払済みまで年5分の割合による金員,Cに対し22万4000円及びこれに対する平成14年8月14日から支払済みまで年5分の割合による金員並びにDに対し12万6000円及びこれに対する平成14年8月14日から支払済みまで年5分の割合による金員の各支払を求める地方自治法243条の2第3項の規定による賠償の命令をせよ。 被告は,Eに対し38万円及びこれに対する平成14年8月14日から支払済みまで年5分の割合による金員,Fに対し1万6000円及びこれに対する平成14年8月14日から支払済みまで年5分の割合による金員,Gに対し12万8000円及びこれに対する平成14年8月14日から支払済みまで年5分の割合による金員並びにHに対し8000円及びこれに対する平成14年8月14日から支払済みまで年5分の割合による金員の各支払を求める請求をせよ。 第2事案の概要 本件は,旧南河内郡α(現堺市)の住民である原告が,大阪狭山市と旧αで組織するA医療保健センターの監査委員は,長年にわたり,地方自治法に基づくA 医療保健センター監査委員条例の規定に違反して,毎月20日に例月出納検査を実施しないで,2か月に1度ないし4か月に1度検査を実施し,年間12回の検査のうちおよそ6回分を省略する違法な手抜き監査を実施してきたから,平成9年度か 例の規定に違反して,毎月20日に例月出納検査を実施しないで,2か月に1度ないし4か月に1度検査を実施し,年間12回の検査のうちおよそ6回分を省略する違法な手抜き監査を実施してきたから,平成9年度から平成13年度までの間に同センターの監査委員2名に支給された報酬(月額合計1万4000円の5年分である84万円)のうち少なくとも半額の42万円は,何ら正当な理由のない不当利得であるなどとして,当時の医療保健センターの管理者,支出責任者及び監査委員等すべての関係者に対し同センターの損害を回復させることなど必要な措置を講ずることを求める勧告をすることを求める住民監査請求をしたが,同センター監査委員は同請求を棄却し,さらに,原告は,同様の理由により,平成14年4月以降の手抜き監査期間中同センターの監査委員2名に支給された報酬のうち半額の4万2000円は何ら正当な理由のない不当利得であるなどとして,当時の同センターの管理者,支出責任者及び監査委員等すべての関係者に対し同センターの損害を回復させることなど必要な措置を講ずることを求める勧告をすることを求める住民監査請求をしたが,同センター監査委員は,地方自治法の規定により監査することができないものとして,同請求を受理しなかったため,原告が,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,同センター管理者である被告に対し,不法行為に基づく損害賠償として,監査委員に対する報酬の支払担当者であったBに対し8万4000円及びこれに対する平成14年8月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員,Cに対し22万4000円及びこれに対する平成14年8月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員並びにDに対し12万6000円及びこれに対する平成14年8月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合に 0円及びこれに対する平成14年8月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員並びにDに対し12万6000円及びこれに対する平成14年8月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員の各支払を求める地方自治法243条の2第3項の規定による賠償の命令をすることを求めるとともに,同センターの監査委員であったEに対し不当利得の返還として38万円及びこれに対する平成14年8月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員,Fに対し不当利得の返還として1万6000円及びこれに対する平成14年8月14日から支払済みまで 民法所定の年5分の割合による金員,Gに対し不当利得の返還として12万8000円及びこれに対する平成14年8月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員並びにHに対し不当利得の返還として8000円及びこれに対する平成14年8月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員の各請求をすることを求めた事案である。 法令の規定(1)地方自治法195条1項は,普通地方公共団体に監査委員を置く旨規定し,同条2項は,監査委員の定数は,都道府県及び政令で定める市にあっては4人とし,その他の市にあっては条例で定めるところにより3人又は2人とし,町村にあっては2人とする旨規定している。 同法196条1項は,監査委員は,普通地方公共団体の長が,議会の同意を得て,人格が高潔で,普通地方公共団体の財務管理,事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有する者及び議員のうちから,これを選任し,この場合において,議員のうちから選任する監査委員の数は,監査委員の定数が4人のときは2人又は1人,3人以内のときは1人とするものとする旨規定し,同条4項は,識見を有する者のうちから選任される監査委員は,これを常 ,議員のうちから選任する監査委員の数は,監査委員の定数が4人のときは2人又は1人,3人以内のときは1人とするものとする旨規定し,同条4項は,識見を有する者のうちから選任される監査委員は,これを常勤とすることができる旨規定し,同条5項は,都道府県及び政令で定める市にあっては,識見を有する者のうちから選任される監査委員のうち少なくとも1人以上は,常勤としなければならない旨規定している。 (2)地方自治法199条1項は,監査委員は,普通地方公共団体の財務に関する事務の執行及び普通地方公共団体の経営に係る事業の管理を監査する旨規定し,同条3項は,監査委員は,同条1項の規定による監査をするに当たっては,当該普通地方公共団体の財務に関する事務の執行及び当該普通地方公共団体の経営に係る事業の管理が同法2条14項及び15項の規定の趣旨にのっとってなされているかどうかに特に意を用いなければならない旨規定し,同法199条4項は,監査委員は,毎会計年度少なくとも1回以上期日を定めて同条1項の規定による監査をしなけれ ばならない旨規定し,同条9項は,監査委員は,監査の結果に関する報告を決定し,これを普通地方公共団体の議会及び長並びに関係のある教育委員会,選挙管理委員会,人事委員会若しくは公平委員会,公安委員会,地方労働委員会,農業委員会その他法律に基づく委員会又は委員に提出し,かつ,これを公表しなければならない旨規定している。 (3)地方自治法235条の2第1項は,普通地方公共団体の現金の出納は,毎月例日を定めて監査委員がこれを検査しなければならない旨規定し,同条3項は,監査委員は,同条1項の規定による検査の結果に関する報告を普通地方公共団体の議会及び長に提出しなければならない旨規定している。 (4)地方自治法203条1項は,普通地方公共団体は,その 同条3項は,監査委員は,同条1項の規定による検査の結果に関する報告を普通地方公共団体の議会及び長に提出しなければならない旨規定している。 (4)地方自治法203条1項は,普通地方公共団体は,その議会の議員,委員会の委員,非常勤の監査委員その他の委員,自治紛争処理委員,審査会,審議会及び調査会等の委員その他の構成員,専門委員,投票管理者,開票管理者,選挙長,投票立会人,開票立会人及び選挙立会人その他普通地方公共団体の非常勤の職員(再任用短時間勤務職員を除く。)に対し,報酬を支給しなければならない旨規定し,同条2項は,同条1項の職員の中議会の議員以外の者に対する報酬は,その勤務日数に応じてこれを支給するが,条例で特別の定めをした場合は,この限りでない旨規定し,同条3項は,同条1項の者は,職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる旨規定し,同条5項は,報酬,費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法は,条例でこれを定めなければならない旨規定している。 (5)地方自治法292条は,地方公共団体の組合については,法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか,都道府県の加入するものにあっては都道府県に関する規定,市及び特別区の加入するもので都道府県の加入しないものにあっては市に関する規定,その他のものにあっては町村に関する規定を準用する旨規定している。 前提となる事実等(1)平成17年2月1日,南河内郡αが廃され,その区域が堺市に編入された (以下,廃止前の南河内郡αを「旧α」という。)。 原告は,旧αの住民であった者であり,旧αの堺市への編入後は堺市の住民である。 (2)A医療保健センター(以下「医療保健センター」という。)は,住民の健康の保持及び増進を図るため,A医療保健センター設置条例(昭和54年条例第4号 ,旧αの堺市への編入後は堺市の住民である。 (2)A医療保健センター(以下「医療保健センター」という。)は,住民の健康の保持及び増進を図るため,A医療保健センター設置条例(昭和54年条例第4号)に基づいて設置された一部事務組合である(同条例1条)。 同組合は,大阪狭山市及び旧αをもって組織され(A医療保健センター規約2条),住民の健康の保持及び増進を図るため,休日において急病人の診療を行うための医療保健センターの設置,運営及び管理に関する事務を共同処理するものとされ(同規約3条),医療保健センターは,日曜日及び国民の祝日に関する法律に規定する休日並びに年末年始等(管理者が定める日)における急患診療その他必要な事業を行い(同条例3条),大阪狭山市及び旧αに居住する者並びに管理者が適当と認めた者が医療保健センターを使用することができるものとされている(同条例6条)。 医療保健センターにおいては,内科及び小児科のみが設けられ,日曜日及び休日並びに年末年始等にのみ診療業務を行っている(弁論の全趣旨)。 (3)一部事務組合としての医療保健センターの議会の議員の定数は11人とされ,大阪狭山市の議会においてその議会の議員の中から6人,旧αの議会においてその議会の議員の中から5人を選挙により選出するものとされている(A医療保健センター規約5条,6条)。また,同組合に管理者,副管理者及び収入役を置くほか(同規約9条),吏員その他の職員を置き,管理者がこれを任免するものとされている(同規約13条)。 (4)一部事務組合としての医療保健センターに監査委員2人を置くものとされ,監査委員は,管理者が組合の議会の同意を得て,地方自治法196条1項に規定する識見を有する者及び組合の議員のうちからそれぞれ1人を選任するものとされ,監査委員の任期は,識見を有する者 くものとされ,監査委員は,管理者が組合の議会の同意を得て,地方自治法196条1項に規定する識見を有する者及び組合の議員のうちからそれぞれ1人を選任するものとされ,監査委員の任期は,識見を有する者のうちから選任された者にあっては4年とし, 組合の議員のうちから選任された者にあっては,組合の議員としての任期によるものとされている(A医療保健センター規約12条)。 (5)A医療保健センター監査委員条例(昭和53年条例第6号。以下「監査委員条例」という。)1条は,監査委員の定数は2人とする旨規定し,同条例3条は,地方自治法235条の2による出納の検査は,毎月20日に行うものとするが,その日が日曜日又は休日に当たるときその他やむを得ない理由により検査を行うことができないときは,その期日を変更することができる旨規定している(3条)。 (6)A医療保健センター議会議員等の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和53年条例第4号。以下「報酬条例」という。)2条1項は,監査委員の報酬について,識見選出委員は月額1万円,議会選出委員は月額4000円と定め,同条2項は,同条1項の報酬の支払期日は管理者が別に定めるものと規定し,同条3項は,月の途中において就職又は退職したときは,日割り計算により支給するが,同日付けの場合は就職の翌日から計算する旨規定している。 なお,報酬条例の制定当初においては,議会議員の報酬も監査委員の報酬も年額で定められ,当該年度末に支給するものと規定され,年度の途中において就職又は退職したときの日割り計算等による支給に関する規定は置かれていなかったが(甲18),昭和57年条例第1号による改正により,議会議員の報酬及び監査委員の報酬が年額の定めから月額の定めに変更され(乙11),平成8年条例第3号による改正(同年4月1日施行)により,監査 たが(甲18),昭和57年条例第1号による改正により,議会議員の報酬及び監査委員の報酬が年額の定めから月額の定めに変更され(乙11),平成8年条例第3号による改正(同年4月1日施行)により,監査委員の報酬の額が識見選出委員につき月額1万円,議会選出委員につき月額4000円に改められ(乙13),平成14年条例第1号による改正(同年4月1日施行)により,議会議員の報酬及び監査委員の報酬について,報酬の支払期日は管理者が別に定めるものとされるとともに,月の途中において就職又は退職したときは日割計算により支給する旨の規定が設けられた(乙14)。なお,上記のとおり平成14年4月1日前においては監査委員に対する報酬は年度末に支払うものとされていたが,現実には報酬は年2回支払われていた。 (7)Eは平成9年4月1日から平成14年11月当時まで,Hは平成14年4月1日から同年11月当時まで,Gは平成9年10月15日から平成14年3月31日まで,Fは平成9年4月1日から同年10月14日まで,Iは平成7年5月31日から平成9年3月31日まで,それぞれ医療保健センターの監査委員であった。 これらのうち,Eは地方自治法196条1項にいう識見を有する者のうちから選任された監査委員であり,H,G,F及びIは議員のうちから選任された監査委員である。 (8)Jは平成8年2月1日から平成9年1月31日まで医療保健センターの副管理者であり,同年2月1日から平成17年2月1日まで医療保健センターの管理者であった。 Bは平成11年4月25日から平成14年11月当時まで医療保健センターの副管理者であった。 Cは平成11年4月1日から平成13年3月31日まで医療保健センターの事務局長であった。 Dは平成13年4月1日から平成14年9月30日まで医療保健センターの事務局長 センターの副管理者であった。 Cは平成11年4月1日から平成13年3月31日まで医療保健センターの事務局長であった。 Dは平成13年4月1日から平成14年9月30日まで医療保健センターの事務局長であり,平成17年2月1日以降,医療保健センターの管理者である。 (9)平成9年2月から平成14年8月にかけて,医療保健センターの監査委員に対する報酬として,次のとおりそれぞれ公金が支出された(甲10,弁論の全趣旨)。 ア支払対象期間平成9年4月ないし平成9年9月支出負担行為日平成9年7月19日支出命令日平成9年8月1日支出日平成9年8月1日支払担当者副管理者K支払相手方及び支払金額E6万円 F2万4000円イ支払対象期間平成9年10月ないし平成10年3月支出負担行為日平成10年2月14日支出命令日平成10年2月16日支出日平成10年2月16日支払担当者副管理者K支払相手方及び支払金額E6万円G2万4000円ウ支払対象期間平成10年4月ないし平成10年9月支出負担行為日平成10年8月1日支出命令日平成10年8月14日支出日平成10年8月14日支払担当者副管理者K支払相手方及び支払金額E6万円G2万4000円エ支払対象期間平成10年10月ないし平成11年3月支出負担行為日平成11年2月3日支出命令日平成11年2月18日支出日平成11年2月18日支払担当者副管理者K支払相手方及び支払金額E6万円G2万4000円オ支払対象期間平成11年4月ないし平成11年9月 支出負担行為日平成11年10月29日支出命令日平成11年11月5日支出日平成11年11月5日支払担当者副管理者B支払相手方及び支払金額E6万円G2万4000円 11年9月 支出負担行為日平成11年10月29日支出命令日平成11年11月5日支出日平成11年11月5日支払担当者副管理者B支払相手方及び支払金額E6万円G2万4000円カ支払対象期間平成11年10月ないし平成12年3月支出負担行為日平成12年2月17日支出命令日平成12年2月25日支出日平成12年2月25日支払担当者副管理者B支払相手方及び支払金額E6万円G2万4000円キ支払対象期間平成12年4月ないし平成12年9月支出負担行為日平成12年10月1日支出命令日平成12年10月16日支出日平成12年10月16日支払担当者事務局長C支払相手方及び支払金額E6万円G2万4000円ク支払対象期間平成12年10月ないし平成13年3月支出負担行為日平成13年2月1日支出命令日平成13年2月16日 支出日平成13年2月16日支払担当者事務局長C支払相手方及び支払金額E6万円G2万4000円ケ支払対象期間平成13年4月ないし平成13年9月支出負担行為日平成13年10月21日支出命令日平成13年10月21日支出日平成13年10月25日支払担当者事務局長D支払相手方及び支払金額E6万円G2万4000円コ支払対象期間平成13年10月ないし平成14年3月支出負担行為日平成14年2月6日支出命令日平成14年2月6日支出日平成14年2月15日支払担当者事務局長D支払相手方及び支払金額E6万円G2万4000円サ支払対象期間平成14年4月ないし平成14年9月支出負担行為日平成14年8月1日支出命令日平成14年8月1日支出日平成14年8月7日支払担当者事務局長D 支払相手方及び支払金額 支払対象期間平成14年4月ないし平成14年9月支出負担行為日平成14年8月1日支出命令日平成14年8月1日支出日平成14年8月7日支払担当者事務局長D 支払相手方及び支払金額E6万円H2万4000円なお,A医療保健センター事務決裁規程(平成12年規程第1号。平成12年4月1日から施行)によれば,予算の範囲内で定期定例の報酬,給料,諸手当,共済費,賃金,旅費,費用弁償その他諸給与の支出に係る支出負担行為及び50万円未満の支出命令を行うことは事務局長が専決することができる事項とされている(乙2)。 (10)医療保健センターにおいては,業務量が比較的少ないことから,監査委員による地方自治法235条の2第1項の規定による現金出納の検査(以下「例月出納検査」ということがある。)を次のとおり数か月分をまとめて実施していた(甲2,9,弁論の全趣旨)。 ア検査対象月平成8年10月ないし12月検査実施日平成9年1月23日イ検査対象月平成9年1月及び2月検査実施日平成9年3月19日ウ検査対象月平成9年3月ないし5月検査実施日平成9年6月26日エ検査対象月平成9年6月及び7月検査実施日平成9年8月18日オ検査対象月平成9年8月及び9月検査実施日平成9年10月30日カ検査対象月平成9年10月及び11月検査実施日平成9年12月22日キ検査対象月平成9年12月及び平成10年1月検査実施日平成10年2月27日 ク検査対象月平成10年2月及び3月検査実施日平成10年4月24日ケ検査対象月平成10年4月及び5月検査実施日平成10年6月30日コ検査対象月平成10年6月及び7月検査実施日平成10年8月27日サ検査対象月平成10年8月及び9月検査実施日平 検査対象月平成10年4月及び5月検査実施日平成10年6月30日コ検査対象月平成10年6月及び7月検査実施日平成10年8月27日サ検査対象月平成10年8月及び9月検査実施日平成10年10月28日シ検査対象月平成10年10月及び11月検査実施日平成10年12月25日ス検査対象月平成10年12月及び平成11年1月検査実施日平成11年2月26日セ検査対象月平成11年2月及び3月検査実施日平成11年4月28日ソ検査対象月平成11年4月及び5月検査実施日平成11年6月30日タ検査対象月平成11年6月ないし8月検査実施日平成11年10月7日チ検査対象月平成11年9月ないし平成12年1月検査実施日平成12年3月30日ツ検査対象月平成12年2月ないし5月検査実施日平成12年6月29日テ検査対象月平成12年6月ないし8月検査実施日平成12年9月29日ト検査対象月平成12年9月ないし11月検査実施日平成12年12月21日 ナ検査対象月平成12年12月及び平成13年1月検査実施日平成13年2月23日ニ検査対象月平成13年2月及び3月検査実施日平成13年4月27日ヌ検査対象月平成13年4月及び5月検査実施日平成13年6月29日ネ検査対象月平成13年6月ないし9月検査実施日平成13年10月25日ノ検査対象月平成13年10月及び11月検査実施日平成13年12月12日ハ検査対象月平成13年12月及び平成14年1月検査実施日平成14年2月15日ヒ検査対象月平成14年2月及び3月検査実施日平成14年4月25日フ検査対象月平成14年4月及び5月検査実施日平成14年6月28日ヘ検査対象月平成14年6月及び7月 年2月15日ヒ検査対象月平成14年2月及び3月検査実施日平成14年4月25日フ検査対象月平成14年4月及び5月検査実施日平成14年6月28日ヘ検査対象月平成14年6月及び7月検査実施日平成14年8月27日ホ検査対象月平成14年8月検査実施日平成14年9月27日マ検査対象月平成14年9月検査実施日平成14年10月30日ミ検査対象月平成14年10月検査実施日平成14年11月22日(11)医療保健センターにおける例月出納検査は,次の手続で行われていた(乙6ないし9,15ないし17)。 ア医療保健センター事務局員があらかじめセンター会計出納報告書,現金・預金残高内訳書,センター会計月別収支表,歳入歳出外現金出納報告書,歳入歳出外現金・預金残高内訳書,銀行残高証明書,歳入歳出外現金収支明細表,センター会計日計表を作成し,例月出納検査実施日の約1週間前に監査委員に送付する。また,検査当日,事前に伝票,銀行振込受付書,日計表,現金出納簿,歳入歳出差引簿,通帳,現金,休日診療業務関係帳簿(出勤簿,薬剤保管状況に関係する書類),公債費償還台帳等を整理し,監査委員が確認できるようにしておく。 イ検査当日,収入役,センター事務局長及び事務局員の3名が立会し,事務局員において監査委員に対し事前配布したセンター会計出納報告書に基づきセンター会計の歳入歳出の内容について報告,説明する。また,現金・預金残高内訳書の普通預金,定期預金,センター金庫の額と銀行残高証明書,現金(釣り銭用)とが同額であること等を報告する。 ウ上記報告を受けて,監査委員は,まず,数字の照合,現金や預金残高の確認をした上,次に,伝票を確認して報告書に記載されている歳入歳出額が正確であるか否か確認し,さらに,普通預金通帳による現金の 。 ウ上記報告を受けて,監査委員は,まず,数字の照合,現金や預金残高の確認をした上,次に,伝票を確認して報告書に記載されている歳入歳出額が正確であるか否か確認し,さらに,普通預金通帳による現金の収支状況の確認や定期預金通帳による運用状況の確認などを行う。そのほか,帳簿書類の確認として現金出納簿,歳入歳出差引簿,歳入歳出外現金簿,銀行振込受付書,日計表等を確認する。 エ監査委員は,例月出納検査結果報告書を作成する。 (12)平成14年8月27日,医療保健センターにおいて監査委員による地方自治法199条4項の規定に基づく監査(以下「定期監査」ということがある。)が行われ,報告書が作成されたが,医療保健センターにおいて定期監査の報告書が作成されたのはこれが初めてであった。 (13)原告は,平成14年8月14日,医療保健センターの監査委員は,長年にわたり,地方自治法に基づく監査委員条例の規定に違反して,毎月20日に例月出納検査を実施しないで,2か月に1度ないし4か月に1度検査を実施し,年間12回の検査のうちおよそ6回分を省略する違法な手抜き監査を実施してきたから,平 成9年度から平成13年度までの間に医療保健センターの監査委員2名に支給された報酬(月額合計1万4000円の5年分である84万円)のうち少なくとも半額の42万円は,何ら正当な理由のない不当利得であるなどとして,当時の医療保健センターの管理者,支出責任者及び監査委員等すべての関係者に対し医療保健センターの損害を回復させることなど必要な措置を講ずることを求める勧告をすることを求める住民監査請求(以下「本件監査請求①」という。)をした(甲1の1ないし4)。 医療保健センター監査委員(H)は,平成13年8月より前については地方自治法242条2項所定の正当な理由は認められないとして, 監査請求(以下「本件監査請求①」という。)をした(甲1の1ないし4)。 医療保健センター監査委員(H)は,平成13年8月より前については地方自治法242条2項所定の正当な理由は認められないとして,平成13年8月から平成14年3月を監査対象期間とした上,医療保健センターにおける当該期間の例月出納検査回数は条例に則したものとはいえないが,その対象となる各月分の出納検査実施の事実は確認することができ,原告の主張する不当利得は出納検査そのものを怠って生じているとはいい難く,例月出納検査回数が少ないからといって医療保健センターに損害が生起したとは考えられないなどとして,本件監査請求①を棄却した(なお,識見を有する者のうちから選任された監査委員に関しては平成9年4月1日以降当時も医療保健センターの監査委員の職にあるから地方自治法199条の2により監査することができないものとされた。)(甲2)。 (14)原告は,平成14年11月8日,本件監査請求①と同旨の理由により,同年4月以降の手抜き監査期間中医療保健センターの監査委員2名に支給された報酬のうち半額の4万2000円は何ら正当な理由のない不当利得であるなどとして,当時の医療保健センターの管理者,支出責任者及び監査委員等すべての関係者に対し医療保健センターの損害を回復させることなど必要な措置を講ずることを求める勧告をすることを求める住民監査請求(以下「本件監査請求②」という。)をしたが,医療保健センター監査委員は,地方自治法199条の2により監査することができないものとして,本件監査請求②を受理しなかった(甲3の1,2,弁論の全趣旨)。 (15)原告は,平成14年11月9日,本件訴えを提起した。 争点及び争点に関する当事者の主張(1)本案前の争点(被告の主張)ア原告が本件監査請求 甲3の1,2,弁論の全趣旨)。 (15)原告は,平成14年11月9日,本件訴えを提起した。 争点及び争点に関する当事者の主張(1)本案前の争点(被告の主張)ア原告が本件監査請求①をしたのは平成14年8月14日であるから,本件監査請求①のうち医療保健センター監査委員に対する平成9年4月分から平成13年7月分までの報酬の支給(公金の支出)に係る部分は,地方自治法242条2項所定の監査請求期間を経過した後にされたものである。 しかるところ,医療保健センター事務局は,例月出納検査の実施状況について,住民から照会があればいつでも応じる準備があった。また,医療保健センター事務所には,例月出納検査実施についての事務連絡票,監査委員等へ宛てた例月出納検査実施案内,例月出納検査報告書を備置しており,一部事務組合としての医療保健センターの住民であれば何人でもこれらを閲覧することができる状態にあった。さらに,そもそも,監査委員が例月出納検査を毎月1回行うことは,法令に定めのある事柄であり,住民も当然に知り得べきことである。そうであるとすれば,原告を含めた住民は,医療保健センター事務局に問い合わせるだけで,本件監査請求①に係る例月出納検査の実施状況等を容易に知り得たものである。したがって,本件監査請求①のうち医療保健センター監査委員に対する平成9年4月分から平成13年7月分までの報酬の支給(公金の支出)に係る部分についても,当該地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くすことで客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在又は内容を知ることができたというべきである。 また,原告は,平成13年10月12日の第6回α議会(臨時会)において,医療保健センター議会議員に選出されているところ,同議会において,例月出納検査の実績の集 容を知ることができたというべきである。 また,原告は,平成13年10月12日の第6回α議会(臨時会)において,医療保健センター議会議員に選出されているところ,同議会において,例月出納検査の実績の集約である決算審査の報告がされ,その承認を経ているのであるから,少なくとも原告は住民監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在又は内容を知っていたことは明らかである。 以上によれば,本件監査請求①のうち医療保健センター監査委員に対する平成9年4月分から平成13年7月分までの報酬の支給(公金の支出)に係る部分については,地方自治法242条2項所定の正当な理由がないから,当該部分は適法な住民監査請求を経ていないことになり,したがって,当該部分に関する本件訴えは,不適法である。 なお,本件監査請求①及び本件訴えは,医療保健センターの監査委員に地方自治法235条の2及び監査委員条例に違反する行為があり,そのような場合,報酬条例は報酬の支給を予定していないにもかかわらず,監査委員に対し違法に報酬を支給したという,当該公金の支出の違法を理由とするものであるから,最高裁平成10年(行ヒ)第51号同14年7月2日第三小法廷判決・民集56巻6号1049頁の射程外にあることが明らかである。 イ本件訴えのうち医療保健センター監査委員に対する平成14年4月分から同年7月分までの報酬の支給(公金の支出)に係る部分は,原告が平成14年11月8日付け住民監査請求書により本件監査請求②をし,これに対する監査委員による監査が全くされていないにもかかわらず,その翌日である同月9日に本件訴えを提起したものであるから,地方自治法242条の2第1項所定の要件に該当せず,不適法である。 (原告の主張)ア医療保健センターの監査関係文書はαの行政文書ではないから,αの住民がα情報公 件訴えを提起したものであるから,地方自治法242条の2第1項所定の要件に該当せず,不適法である。 (原告の主張)ア医療保健センターの監査関係文書はαの行政文書ではないから,αの住民がα情報公開条例の規定に基づく情報公開請求など相当の注意力をもって調査したとしても,医療保健センターの監査委員が例月出納検査を怠っている事実その他監査の実施状況を知ることはできない。また,医療保健センターは,現在に至るまで情報公開条例の制定を怠っており,公文書の保存期間を定める規則,文書分類表の整備もされておらず,どのような公文書が保管されているのかも明記されていない。 したがって,医療保健センターの住民であれば何人でも例月出納検査報告書等の監査関係文書を閲覧することができるということはできない。さらに,法律上閲覧請 求権が認められている公文書である医療保健センター議会議事録には例月出納検査についての記載はなく,例月出納検査,定期監査を怠る事実についてその存在の有無等を知る端緒すらうかがえない。なお,医療保健センターは,原告による後記議会における質疑や本件監査請求①の後に急きょその窓口に医療保健センターの例月出納検査状況及び定期監査結果報告等を閲覧することができる旨の掲示をしたが,原告が医療保健センター議会の議員に就任した平成13年10月にはこのような掲示はなく,医療保健センターにおいて例月出納検査の実施状況について住民から照会があればいつでも応じる準備があったということはできない。 医療保健センターの監査委員が例月出納検査や定期監査を怠っている事実について知り得るようになったのは,少なくとも,平成14年8月11日,L新聞が「大阪府内事務組合出納検査を手抜き6割以上の30団体監査委員には毎月報酬」との見出しの下に,「監査委員の手抜き監査の実態」を り得るようになったのは,少なくとも,平成14年8月11日,L新聞が「大阪府内事務組合出納検査を手抜き6割以上の30団体監査委員には毎月報酬」との見出しの下に,「監査委員の手抜き監査の実態」を報道した時である。また,原告は,医療保健センター監査委員のE,H作成の「平成13年(2001年度)A医療保健センター歳入歳出決算及び基金の運用状況審査意見の提出について」があまりにも粗略な監査意見報告書であったので,実施した監査手法そのものに疑問を持ち,平成14年第2回医療保健センター議会定例会において,同年8月7日,一般質問を行い,医療保健センター監査委員が例月出納検査を怠っている事実を把握したものである。したがって,平成14年8月11日あるいは同月7日を起算日として考えたとしても,原告は,その後,同月14日に本件監査請求①をしているから,原告は,当該行為を知ることができた時から相当期間内に本件監査請求①をしたということができる。 イ本件監査請求①及び②は,医療保健センターの監査委員がその職務を怠り,重要な監査手続である例月出納検査及び定期監査を怠るという行為が不法行為法上違法の評価を受けるものであり,監査委員の不当利得により医療保健センターに損害が発生していることは確定しているのであるから,監査委員が怠る事実の監査を遂げるために当該行為が財務会計法規に違反して違法であるか否かの判断をしなけ ればならない関係にはないのであって,地方自治法242条2項の監査請求期間の制限の適用を受けない。 ウ本件監査請求②は,請求当時の医療保健センター監査委員であるH及びEに対する報酬の支給を対象とするものであるから,地方自治法199条の2によりH及びEは監査することができないことは明らかであり,当然に,監査委員が請求をした日から60日を経過しても監 であるH及びEに対する報酬の支給を対象とするものであるから,地方自治法199条の2によりH及びEは監査することができないことは明らかであり,当然に,監査委員が請求をした日から60日を経過しても監査又は勧告を行わない場合(同法242条の2第2項3号)に該当するから(なお,H又はEが原告が本件監査請求②をした日から60日が経過するまでの間に監査委員を退任し両名以外の者が監査委員に就任した事実はない。),同号の類推適用により,本件訴えのうち本件監査請求②に係る医療保健センター監査委員に対する平成14年4月分から同年7月分までの報酬の支給(公金の支出)に関する部分も適法である。 (2)例月出納検査の適否(原告の主張)例月出納検査は,事務処理を早い時期に実施するから,不正,事故の防止として意義があるのであり,それが遅れることは,問題点の発見が遅れ,その役目を十分果たすことができなくなる。しかるところ,前提となる事実等(10)のとおり,医療保健センター監査委員は,事務方の都合により,検査資料の作成が遅れ,又は他の監査が忙しいといった事情がないにもかかわらず,地方自治法235条の2第2項により毎月行わなければならないと規定されている例月出納検査を計画的ないし意図的におおむね2か月ないし4か月(中には5か月)に1度しか行っていなかったのであり,同項の定める監査業務を怠っていたことは明らかである。 (被告の主張)医療保健センター監査委員は平成9年4月から平成14年7月まで地方自治法及び条例に定める毎月20日に行うべき例月出納検査を毎月実施していなかったが,実施された例月出納検査自体はすべての期間を対象として適正に行われている。また,釣り銭用現金4万円についても,監査委員は少なくとも例月出納検査実施日に は現実に現金の残高を確認しており,例月出 実施された例月出納検査自体はすべての期間を対象として適正に行われている。また,釣り銭用現金4万円についても,監査委員は少なくとも例月出納検査実施日に は現実に現金の残高を確認しており,例月出納検査実施日の間も現金4万円が存在したことが合理的に推認され,また,検査の対象は釣り銭用の少額の現金であるから,濫用の危険は少なく,そうであるとすれば,現金4万円についても,例月出納検査を行っていたと評価すべきである。 少なくとも,以上のとおり実施された例月出納検査自体はすべての期間を対象として適正に行われており,原告が主張するような弊害が生じていない場合には,監査委員の報酬を減額すべき実質的な理由はないというべきである。 (3)定期監査の適否(原告の主張)ア地方自治法199条1項は,監査委員は,普通地方公共団体の財務に関する事務の執行及び普通地方公共団体の経営に係る事業の管理を監査する旨規定しており,例月出納検査を始めとする種々の監査業務はいずれも監査の内容の種別にすぎず同項に包含されるものである。しかるところ,原告は,本件監査請求①及び②に係る各住民監査請求書において,「言うまでもなく,これは同センター条例に従って,同センターの財務に関する事務の執行及び経営に関する事業の管理を監査委員が適正に監査し,大阪狭山市並びにαの住民より期待された役割を果たしたときの報酬であって」と記載することにより,監査委員の同項所定の職務内容を前提に,一つの具体例として,例月出納検査を2か月に1度ないし4か月に1度実施し,検査回数年12回のおよそ6回も省略して,違法な手抜き監査を実施していることを指摘しているのである。したがって,例月出納検査以外の監査業務に関する原告の主張は,監査請求前置主義を満たすものである。 イ医療保健センター監査委員は,地方自治法 法な手抜き監査を実施していることを指摘しているのである。したがって,例月出納検査以外の監査業務に関する原告の主張は,監査請求前置主義を満たすものである。 イ医療保健センター監査委員は,地方自治法199条1項,4項の規定する定期監査を平成14年8月27日に初めて実施したものであり,同各項の定める監査業務を怠っていたことは明らかである。 (被告の主張)ア原告は,医療保健センター監査委員に対する報酬の支給が違法な行為である として住民監査請求(本件監査請求①及び②)をしたものであるところ,本件監査請求①及び②のように報酬支給行為の違法性を検討する場合には,監査委員のすべての行為についての検討が必要となるという特殊性があり,一つの違法事由に基づく住民監査請求を経れば住民訴訟においていかなる違法事由を主張しようとも住民監査請求の対象と住民訴訟の対象の同一性の要件が満たされているとすれば,あまりに一般的,網羅的となって,当該行為又は怠る事実の違法,不当を当該地方公共団体の自治的,内部的処理によって予防,是正させるという住民監査請求制度の趣旨,目的に反し,また,住民監査請求及び住民訴訟の提起に期間制限を設けた法の趣旨をも没却することになる。したがって,本件のように報酬支給行為の違法性が問題となっている場合は,違法事由ごとに別個の住民監査請求及び住民訴訟であると解すべきであり,住民監査請求において主張した違法事由及びそれに関連する事由以外は住民訴訟において主張することができないものというべきである。しかるところ,原告は,本件監査請求①及び②においては,監査委員に対する報酬支給行為の違法事由として,監査委員が毎月1回行うものとされている例月出納検査を毎月行っていないことのみを主張するにすぎないから,定期監査の懈怠については,本件訴えにおいて主 ,監査委員に対する報酬支給行為の違法事由として,監査委員が毎月1回行うものとされている例月出納検査を毎月行っていないことのみを主張するにすぎないから,定期監査の懈怠については,本件訴えにおいて主張することができないというべきである。 イ地方自治法199条4項は,監査委員は,毎会計年度少なくとも1回以上期間を定めて第1項の規定による監査をしなければならない旨規定するところ,同条1項は,監査委員は,普通地方公共団体の財務に関する事務の執行及び普通地方公共団体の経営に係る事業の管理を監査する旨規定し,このいわゆる財務監査をするための監査委員の職務権限として,地方自治法は,決算審査(233条2項),例月出納検査(235条の2第1項),公金の収納等の監査(同条2項)等を定めている。しかるところ,本件においては,医療保健センター監査委員は,定期監査の報告書を作成したのは平成14年が初めてであるが,それ以前にも上記のとおり例月出納検査等を行っており,これと決算審査を合わせれば定期監査を行っていたと評価することができる。したがって,監査委員の報酬を減額すべき理由はないとい うべきである。 (4)不当利得の成否(原告の主張)給与は勤務に対する対価であるから,勤務の実態に応じて給与の態様も変わるべきものであり,非常勤の職員に対して通常の常勤の職員と同様に月給を支給するのは本来的ではない。地方自治法203条2項は,非常勤の職員が行う勤務に対する反対給付を常勤の職員に対する給料と区別して報酬として規定したものであり,同項ただし書は,非常勤職員に対する報酬を日割り計算とするという原則を堅持しつつ,勤務の実情等特別の事情がある場合には,特に条例でもって規定することにより勤務日数によらないで月額又は年額によって報酬を支給することができるものとし,地方公 日割り計算とするという原則を堅持しつつ,勤務の実情等特別の事情がある場合には,特に条例でもって規定することにより勤務日数によらないで月額又は年額によって報酬を支給することができるものとし,地方公共団体が特定の職員について実情によって特別な扱いをすることができるようにしたものであって,具体的には,常勤的な色彩を帯びる勤務実態を有する行政委員会の実態を想定していたものである。そして,同項の趣旨からすれば,月額支給の報酬は当該月に勤務の実態等が必要であり,年額支給の報酬は当該年に年間を通じて勤務の実態等が必要であり,日額支給であればその日に勤務の実態等が必要であって,同項は,監査委員という地位に就いたという事実やその職責というような勤務の実態等を伴わない抽象的なものに対して報酬を支払うことを認めたものではない。 以上のような地方自治法203条2項の規定の立法趣旨に照らすと,報酬条例は,医療保健センターの監査委員については少なくとも月1回は例月出納検査の遂行という監査業務があるという勤務実態に応じて報酬の月額支給を定めたことが明らかである。 しかるに,医療保健センターにおける監査業務の実績は,同センターの開設から現在に至るまで,定期検査,公金の出納又は支払事務に関する監査,住民監査請求に基づく監査,例月出納検査,決算審査及び基金の運用状況審査しか存在していない。本件監査請求①及び②に係る期間において,被告の主張する不定期,受働的に 行う事務の実績はなく,その実態がなかった。したがって,医療保健センターの監査委員が例月出納検査や定期監査や公金出納監査を放棄した月については,監査委員の職務実績は皆無であり,勤務の実態は存在していないから,当該月については,監査委員に対し報酬を支払う必要はない。監査委員は,医療保健センターから受け取った報酬を 査を放棄した月については,監査委員の職務実績は皆無であり,勤務の実態は存在していないから,当該月については,監査委員に対し報酬を支払う必要はない。監査委員は,医療保健センターから受け取った報酬を不当利得として返還すべきである。 (被告の主張)ア地方自治法203条2項は,「議会の議員以外の者に対する報酬は,その勤務日数に応じてこれを支給する。」旨規定するが,ただし書において「条例で特別の定をした場合は,この限りでない。」として,地域の実情に応じて条例で例外を定めることができる旨規定している。前提となる事実等(6)のとおり,医療保健センターにおいては,報酬条例の制定以来,監査委員の報酬については議会の議員の報酬と同様の定め方がされてきており,両者を区別していない。しかるところ,報酬条例は,監査委員の報酬について,月額支給を規定しており,月の途中から就任あるいは月の途中で退任した場合は報酬を日割り計算で支給する旨の規定がある以外に月額報酬を減額する規定はない。これらからすれば,監査委員の報酬については,報酬条例により,議会の議員と同様に,勤務日数に応じた支給ではなく,その地位にある限り,その職責に対する対価として報酬を支給する旨の「特別の定」がされているものというべきである。 そうであるとすれば,仮に監査委員に勤務実態のない場合であっても,報酬条例の定めに従って月額報酬を全額支給すべきであり,勤務怠慢等については解任等に対処すべきである。仮に原告が主張するように勤務実態に応じて月額報酬を減額することができるとすれば,数日の欠勤がある場合にどの程度報酬を減額すべきか不明となり,これも日割り計算するのであれば,日額支給者との違いがなくなるため,条例が日額支給と月額支給とを区別する趣旨に反する。 イ前記(2)のとおり,実施された例月出納検査自 報酬を減額すべきか不明となり,これも日割り計算するのであれば,日額支給者との違いがなくなるため,条例が日額支給と月額支給とを区別する趣旨に反する。 イ前記(2)のとおり,実施された例月出納検査自体はすべての期間を対象として適正に行われており,原告が主張するような弊害が生じていない場合には,監査委 員の報酬を減額すべき実質的な理由はないというべきである。例月出納検査を毎月行うことができなかった原因が医療保健センター事務局の都合により検査資料の作成が遅れたことによるような場合にはなおさら報酬を減額すべき理由はないというべきである。 ウ前記(3)イのとおり,医療保健センターの監査委員は,定期監査の報告書を作成したのは平成14年が初めてであるが,それ以前にも上記のとおり例月出納検査等を行っており,これと決算審査を合わせれば定期監査を行っていたと評価することができるから,監査委員の報酬を減額すべき理由はないというべきである。 エ監査委員は,次のような事務等を行う職責を負っている。 定期監査(地方自治法199条4項)随時監査(同条5項)行政監査(同条2項)財政援助団体等に対する監査(同条7項)公金の収納又は支払事務に関する監査(同法235条の2第2項)住民の直接請求に基づく監査(同法75条)議会の要求に基づく監査(同法98条2項)請願の措置としての監査(同法125条)長の要求に基づく監査(同法199条6項)住民監査請求に基づく監査(同法242条)長の要求に基づく職員の賠償責任に関する監査(同法243条の2第3項)共同設置機関の監査(同法252条の11第4項)例月出納検査(同法235条の2第1項)決算審査(同法233条2項)基金の運用状況審査(同法241条5項)以上のとおり,定期的,能動的に行う事務や,不定期,受働的に行う事務等 52条の11第4項)例月出納検査(同法235条の2第1項)決算審査(同法233条2項)基金の運用状況審査(同法241条5項)以上のとおり,定期的,能動的に行う事務や,不定期,受働的に行う事務等,監査委員の職責は多岐にわたっており,特に,住民監査請求に基づく監査のように不 定期,受働的に行う事務の場合,住民からの監査請求等がない限り監査委員として行うべき具体的事務がないため,一見何ら事務を行っていないようにみえるが,監査委員に就任し,いつでも住民からの監査請求に応じる準備をしておくことで監査委員としての職責を全うするものであるから,報酬を減額すべき理由にはならず,したがって,監査委員の行うべき事務の一つにすぎない例月出納検査を行っていない月があるからといって,報酬全額を支給しない理由とはなり得ない。 オ原告は,監査委員の報酬は労働の対価であるから,報酬が月額で定められている場合,監査委員が行うべき監査は月単位でみるべきであって,当該月に行うべき監査業務を確定し,これを怠れば報酬を減額すべきである旨主張するが,例えば住民監査請求が行われた場合,当該月の監査業務は多大なものとなるにもかかわらず,監査委員の報酬は定額とされているのであって,原告の主張は,この点からも,採用することができない。 第3争点に対する判断 本案前の争点(争点(1))について(1)本件監査請求①及び②の内容は前提となる事実等(13)及び(14)のとおりであり,これに加えて本件訴えの内容にかんがみると,本件監査請求①は,医療保健センターの監査委員に対する報酬条例に基づく平成9年4月から平成14年3月までの月額報酬の支給のうち少なくともその半額が違法又は不当な財務会計上の行為(公金の支出)であるとして,当該行為によって医療保健センターの被った損害を補填する 基づく平成9年4月から平成14年3月までの月額報酬の支給のうち少なくともその半額が違法又は不当な財務会計上の行為(公金の支出)であるとして,当該行為によって医療保健センターの被った損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求する内容のものであり,本件監査請求②は,医療保健センターの監査委員に対する報酬条例に基づく平成14年4月から同年10月までの月額報酬の支給のうち少なくともその半額が違法又は不当な財務会計上の行為(公金の支出)であるとして,当該行為によって医療保健センターの被った損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求する内容のものであり,本件訴えは,医療保健センターの監査委員に対する報酬条例に基づく平成9年4月から平成14年10月までの月額報酬の支給のうち少なくともその半額が 違法な財務会計上の行為(公金の支出)であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,当該報酬の支払担当者,すなわち,当該報酬の支給に係る支出負担行為ないし支出命令を行った者(当該職員)であるB(当時の副管理者),C(当時の事務局長)及びD(当時の事務局長)に対する損害賠償の請求をすることを内容とする同法243条の2第3項の規定による賠償命令をすることを求めるとともに,当該報酬の支給(当該行為)の相手方であるE,F,G及びH(いずれも当時の監査委員)に対し,不当利得返還の請求をすることを求めるものであると解される。 (2)ところで,本件監査請求①の対象である監査委員に対する報酬の支給に係る支出負担行為及び支出命令の各日は前提となる事実等(9)アないしコのとおりであり,本件監査請求①は平成14年8月14日にされているから,これによれば,本件監査請求①のうち前提となる事実等(9)アないしクの各報酬の支給(平成9年4月分から平成13年 9)アないしコのとおりであり,本件監査請求①は平成14年8月14日にされているから,これによれば,本件監査請求①のうち前提となる事実等(9)アないしクの各報酬の支給(平成9年4月分から平成13年3月分までの報酬の支給)に係る部分は,当該行為のあった日から1年を経過してされたものである。 そこで,上記部分につき地方自治法242条2項ただし書にいう「正当な理由」があるか否かにつき検討する。 前提となる事実等(13)のとおり,本件監査請求①は,医療保健センター監査委員は,長年にわたり,地方自治法に基づく監査委員条例の規定に違反して,毎月20日に例月出納検査を実施しないで,2か月に1度ないし4か月に1度検査を実施し,年間12回の検査のうちおよそ6回分を省略して,違法な手抜き監査を実施しているから,報酬条例に基づく平成9年4月から平成14年3月までの月額報酬の支給のうち少なくともその半額が違法又は不当な財務会計上の行為(公金の支出)であるとするものであるところ,前記のとおり,監査委員の職務は地方自治法により明文の規定(199条等)をもって定められており,例月出納検査についても,地方自治法235条の2第1項において,普通地方公共団体の現金の出納は,毎月例日を定めて監査委員がこれを検査しなければならないとされ,監査委員条例において, 例月出納検査は原則として毎月20日に行うものとする旨規定された上,地方自治法235条の2第3項において,監査委員は同条1項の規定による結果に関する報告を普通地方公共団体の議会及び長に提出しなければならないと規定され,定期監査についても,同法199条4項において,監査委員は毎会計年度少なくとも1回以上期日を定めて同条1項の規定による監査(普通地方公共団体の財務に関する事務の執行及び普通地方公共団体の経営に係る事業の管 査についても,同法199条4項において,監査委員は毎会計年度少なくとも1回以上期日を定めて同条1項の規定による監査(普通地方公共団体の財務に関する事務の執行及び普通地方公共団体の経営に係る事業の管理の監査)をしなければならないとされた上,同条9項において,監査委員は,監査の結果に関する報告を決定し,これを普通地方公共団体の議会及び長並びに関係のある教育委員会等に提出し,かつ,これを公表しなければならないと規定され,これらの規定は,同法292条により地方公共団体の組合についても準用されているのである。しかるところ,前提となる事実等及び弁論の全趣旨によれば,原告は,平成13年10月ころから旧α議会議員の職にあり,平成13年10月12日の第6回旧α議会(臨時会)において,医療保健センター議会の議員に選出されている事実が認められる。そうであるとすれば,医療保健センターにおいて同センターの保有する情報の公開に関する条例がいまだ制定されていないとしても,法令上議会に認めれている調査権(地方自治法100条1項)等にも照らすと,原告は,少なくとも医療保健センター議会の議員に選出された後においては,例月出納検査の結果に関する報告ないし定期監査の結果に関する報告の有無及び内容等を極めて容易に知ることができたはずであり,これを手掛りとして,医療保健センターにおける監査委員の職務の遂行の実態を容易に調査し知ることができたものと認められる。しかるに,前記のとおり,原告が本件監査請求①をしたのは平成14年8月14日であって,原告が医療保健センター議会の議員に選出されてから10か月が経過しているというのであるから,地方公共団体の執行機関,職員の財務会計上の行為は,たといそれが違法,不当なものであったとしても,いつまでも住民監査請求ないし住民訴訟の対象となり得るも ら10か月が経過しているというのであるから,地方公共団体の執行機関,職員の財務会計上の行為は,たといそれが違法,不当なものであったとしても,いつまでも住民監査請求ないし住民訴訟の対象となり得るものとしておくことが法的安定性を損ない好ましくないとして監査請求の期間を定めている地方自治法242条2項本文の趣旨にかんがみても,前提となる事実等 (9)アないしクの各報酬の支給(平成9年4月分から平成13年3月分までの報酬の支給)を対象とする住民監査請求(本件監査請求①)が当該行為の日から1年を経過した後にされたことについて正当な理由があるということはできない。 (3)なお,原告は,本件監査請求①及び②は,医療保健センターの監査委員がその職務の遂行を怠り,重要な監査手続である例月出納検査及び定期監査を怠るという行為が不法行為法上違法の評価を受けるものであり,監査委員の不当利得により医療保健センターに損害が発生していることは確定しているのであるから,監査委員が怠る事実の監査を遂げるために当該行為が財務会計法規に違反して違法であるか否かの判断をしなければならない関係にはないのであって,地方自治法242条2項の監査請求期間の制限の適用を受けない旨主張する。 しかしながら,本件監査請求①及び②に係る住民監査請求書及びその添付書類(甲1の1ないし4,甲3の1,2)の記載内容,特に,住民監査請求書において監査委員に支給された報酬のうち半額が不当利得である趣旨を明記しているところからして,本件監査請求①及び②が,監査委員がその職務の遂行を違法に怠り,医療保健センターに監査委員への支給に係る報酬の半額相当の損害を与えたという不法行為に基づく医療保健センターの監査委員に対する損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象とする趣旨のものであると読み取ることは困難である ターに監査委員への支給に係る報酬の半額相当の損害を与えたという不法行為に基づく医療保健センターの監査委員に対する損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象とする趣旨のものであると読み取ることは困難である。また,本件監査請求①及び②の対象に監査委員に対する報酬の支払担当者が違法に報酬の支給を行い,医療保健センターに当該報酬の半額相当の損害を与えたという不法行為に基づく医療保健センターの支払担当者に対する損害賠償請求権の行使を怠る事実が含まれていると解する余地があるとしても,当該損害賠償請求権は,正に,監査委員に対する報酬の支給(これに係る支出負担行為ないし支出命令)という財務会計上の行為が財務会計法規に違反して違法であるからこそ発生する実体法上の請求権にほかならず,当該行為が違法とされて初めて当該請求権が発生するのであるから,監査委員は当該行為が違法であるか否かを判断しなければ当該怠る事実の監査を遂げることができないという関係にあり,これを客観的,実質的にみれば,当該行為を 対象とする監査を求める趣旨を含むものとみざるを得ず,当該行為のあった日又は終わった日(監査委員に対する報酬の支給に係る支出負担行為ないし支出命令がされた日)を基準として地方自治法242条2項の規定を適用すべきである。 以上のとおりであるから,原告の上記主張は採用することができない。 (4)前記のとおり,本件監査請求②は,医療保健センターの監査委員に対する報酬条例に基づく平成14年4月から同年10月までの月額報酬の支給のうち少なくともその半額が違法又は不当な財務会計上の行為(公金の支出)であるとして,当該行為によって医療保健センターの被った損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求する内容のものであるところ,前提となる事実等によれば,本件監査請求②がされた当時( の支出)であるとして,当該行為によって医療保健センターの被った損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求する内容のものであるところ,前提となる事実等によれば,本件監査請求②がされた当時(平成14年11月8日)の医療保健センターの監査委員(E及びH)は,いずれも,平成14年4月から継続して監査委員の職にあったというのであるから,本件監査請求②はE及びHにとって地方自治法199条の2にいう自己の従事する業務に直接の利害関係のある事件に該当し,したがって,E及びHは,いずれも,同条の規定により,本件監査請求②について監査をすることができない。そして,地方自治法195条2項,監査委員条例1条によれば,医療保健センターの監査委員の定数は2名とされ,また,地方自治法197条によれば,監査委員の任期は,識見を有する者のうちから選任される者にあっては4年とし,議員のうちから選任される者にあっては議員の任期によるものとして,任期制がとられており,さらに,地方自治法197条の2第2項によれば,監査委員は,同条1項の規定による場合を除くほか,その意に反して罷免されることがないとされていることなどにもかんがみると,本件監査請求②がされた当時,同請求の対象とされた財務会計上の行為については,客観的にみて監査委員による監査を行うことができない状態にあったものということができる。 ところで,住民監査請求の制度は,住民訴訟の前置手続として,まず監査委員に住民の請求に係る財務会計上の行為又は怠る事実について監査の機会を与え,当該行為又は怠る事実の違法,不当を当該普通地方公共団体の自治的,内部的処理によ って予防,是正させることを目的とするものであるところ,住民の請求に係る財務会計上の行為又は怠る事実について当該普通地方公共団体の監査委員全員が地方自治法1 方公共団体の自治的,内部的処理によ って予防,是正させることを目的とするものであるところ,住民の請求に係る財務会計上の行為又は怠る事実について当該普通地方公共団体の監査委員全員が地方自治法199条の2の規定に該当するなど客観的にみて監査委員による監査を行うことができない状態にある場合は,そもそも,監査委員に当該行為又は怠る事実について監査の機会を与える前提を欠くから,上記のような住民監査請求の制度の目的に照らしても,住民は,当該財務会計上の行為又は怠る事実について住民監査請求を経ることなく直ちに住民訴訟を提起することができるものと解するのが相当である(その場合の住民訴訟の出訴期間については,正当な理由があるときを除いて,当該行為のあった日又は終わった日から1年以内と解するのが相当である。)。もっとも,住民の請求に係る財務会計上の行為又は怠る事実について当該普通地方公共団体の監査委員全員が地方自治法199条の2の規定に該当するなど客観的にみて監査委員による監査を行うことができない状態にあることが当該住民にとって必ずしも明らかでないことも少なくないと考えられることなどからすれば,上記のように客観的にみて監査委員による監査を行うことができない状態にある場合においても,住民が当該行為又は怠る事実を対象とする住民監査請求をすることも妨げられないと解すべきである。そして,住民監査請求をした場合における住民訴訟の出訴期間については,監査委員が当該住民監査請求につき監査を行うことができないことを理由としてこれを却下した場合は,地方自治法242条の2第2項1号に準じ,却下の通知があった日から30日以内と解し,それ以外の場合は,同項3号により,請求をした日から60日を経過した日から30日以内と解するのが相当である。 これを本件についてみると,前記の 1号に準じ,却下の通知があった日から30日以内と解し,それ以外の場合は,同項3号により,請求をした日から60日を経過した日から30日以内と解するのが相当である。 これを本件についてみると,前記のとおり,本件監査請求②がされた当時,同請求の対象とされた財務会計上の行為については,客観的にみて監査委員による監査を行うことができない状態にあったものということができるところ,前提となる事実等によれば,原告は,当該財務会計上の行為について本件監査請求②をしたが,医療保健センターの監査委員は,地方自治法199条の2の規定により監査するこ とができないものとして,同請求を受理しなかったため,原告は,同請求の翌日に本件訴えを提起したというのである。これによれば,本件監査請求①について監査委員により却下の通知がされた場合と少なくとも同視することができるから,同法242条の2第2項1号所定の期間内に提起された本件訴えは,出訴期間の遵守に欠けるところはないというべきである。 (5)以上によれば,本件監査請求①のうち医療保健センター監査委員に対する平成9年4月分から平成13年3月分までの報酬の支給を対象とする部分は地方自治法242条2項本文の監査請求期間を経過した後にされたものであって,本件訴えのうち上記部分に係る部分は,適法な住民監査請求を経ていない不適法なものというべきである。 例月出納検査の適否(争点(2))について前記のとおり,地方自治法235条の2第1項は,普通地方公共団体の現金の出納は,毎月例日を定めて監査委員がこれを検査しなければならない旨規定している(この規定は同法292条により地方公共団体の組合に準用される。)。同法235条の2第1項の定める監査委員による現金出納の検査は,現金出納機関の毎月の事務処理の適正を客観的に保障するとと 定している(この規定は同法292条により地方公共団体の組合に準用される。)。同法235条の2第1項の定める監査委員による現金出納の検査は,現金出納機関の毎月の事務処理の適正を客観的に保障するとともに,現金保管に係る事故を防止することを目的とするものであって,同項において文理上「監査」とせずに「検査」と規定したのは,現金の出納の性質及び重要性にかんがみ,監査よりも具体的に詳細に調べるという意を表す趣旨に出たものと解される。同項が現金の出納は毎月例日を定めてこれを検査しなければならない旨明文でもって定めていることに加えて上記のような同項の定める監査委員による現金出納の検査の目的及び趣旨をも併せ考えると,同項は,監査委員が,現金の出納の検査を,毎月例日を定めて,記帳されたところと現金の所在とを突合するなどして確実に行うことを当然の前提として規定していることは明らかというべきであって,数か月分の現金の出納をまとめて検査を行うことは,現金出納機関の当該月の事務処理量のいかんにかかわらず,およそ同項の予定しないところというべきである。 しかるところ,前提となる事実等(10)によれば,医療保健センターにおいては,少なくとも平成9年1月から平成14年7月まで,業務量が比較的少ないことから,監査委員は,2か月分ないし5か月分をまとめて地方自治法235条の2第1項の現金の出納の検査(例月出納検査)を行っていたというのであるから,このような検査は,同項の規定及び監査委員条例の規定(3条)に違反し,違法というべきである。 定期監査の適否(争点(3))について(1)被告は,本件監査請求①及び②のように報酬支給行為の違法性が問題となっている場合は,監査委員のすべての行為についての検討が必要となるという特殊性があり,一つの違法事由に基づく住民監査請求 て(1)被告は,本件監査請求①及び②のように報酬支給行為の違法性が問題となっている場合は,監査委員のすべての行為についての検討が必要となるという特殊性があり,一つの違法事由に基づく住民監査請求を経れば住民訴訟においていかなる違法事由を主張しようとも住民監査請求の対象と住民訴訟の対象の同一性の要件が満たされているとすれば,あまりに一般的,網羅的となって,当該行為又は怠る事実の違法,不当を当該地方公共団体の自治的,内部的処理によって予防,是正させるという住民監査請求制度の趣旨,目的に反し,また,住民監査請求及び住民訴訟の提起に期間制限を設けた法の趣旨をも没却することになるから,住民監査請求において主張した違法事由及びそれに関連する事由以外は住民訴訟において主張することができないものというべきであり,原告は,本件監査請求①及び②において,監査委員に対する報酬支給行為の違法事由として,監査委員が毎月1回行うものとされている例月出納検査を毎月行っていないことのみを主張するにすぎないから,定期監査の懈怠については,本件訴えにおいて主張することができないというべきである旨主張する。 しかしながら,住民監査請求の制度は,普通地方公共団体の財政の腐敗防止を図り,住民全体の利益を確保する見地から,普通地方公共団体の長その他の財務会計職員の違法又は不当な財務会計上の行為又は怠る事実について,その監査と予防,是正等の措置とを監査委員に請求する権能を住民に与えたものであり,また,住民監査請求の制度は,住民訴訟の前置手続として,まず当該普通地方公共団体の監査 委員に住民の請求に係る行為又は怠る事実について監査の機会を与え,当該行為又は怠る事実の違法又は不当を当該普通地方公共団体の自治的,内部的処理によって予防,是正させることを目的とするものである。このよ 員に住民の請求に係る行為又は怠る事実について監査の機会を与え,当該行為又は怠る事実の違法又は不当を当該普通地方公共団体の自治的,内部的処理によって予防,是正させることを目的とするものである。このような住民監査請求制度の趣旨,目的にかんがみ,監査委員は,住民の請求を端緒として,住民監査請求の対象とされた行為又は怠る事実につき,住民が主張する事由以外の点にわたって監査することができるものとされているのであり,他方で,当該行為又は怠る事実について住民監査請求を経た以上,住民監査請求の対象とした当該行為又は怠る事実と同一の行為又は怠る事実を対象とする住民訴訟において,住民が住民監査請求の理由として主張した事由以外の違法事由を主張することは何ら禁止されていないと解されるのである(最高裁昭和57年(行ツ)第164号同62年2月20日第二小法廷判決・民集41巻1号122頁参照)。そして,以上のような住民監査請求制度の趣旨,目的からすれば,本件のように監査委員に対する報酬の支給を対象とする住民監査請求及び住民訴訟における監査委員の監査の範囲及び違法事由の主張について上記と異なって解すべき根拠は見いだせず,当該行為(報酬の支給)について住民監査請求を経た以上,住民訴訟において住民監査請求の理由として主張した事由以外の違法事由を主張することは何ら禁止されていないと解すべきである。 以上のとおりであるから,その余の点について判断するまでもなく,被告の上記主張は採用することができない。 (2)前記のとおり,地方自治法199条1項,4項及び9項において,監査委員は,毎会計年度少なくとも1回以上期日を定めて,普通地方公共団体の財務に関する事務の執行及び普通地方公共団体の経営に係る事業の管理の監査をした上,当該監査の結果に関する報告を決定し,これを普通地方公共団体 会計年度少なくとも1回以上期日を定めて,普通地方公共団体の財務に関する事務の執行及び普通地方公共団体の経営に係る事業の管理の監査をした上,当該監査の結果に関する報告を決定し,これを普通地方公共団体の議会及び長並びに関係のある教育委員会,選挙管理委員会,人事委員会若しくは公平委員会,公安委員会,地方労働委員会,農業委員会その他法律に基づく委員会又は委員に提出し,かつ,これを公表しなければならない旨規定されているのであり,これらの規定は,同法292条により地方公共団体の組合について準用されている。 しかるところ,前提となる事実等並びに甲9,16及び弁論の全趣旨によれば,同法199条1項の規定による監査(医療保健センターの財務に関する事務の執行及び医療保健センターの経営に係る事業の管理の監査)が同条4項の規定に基づき期日を定めて行われ,当該監査の結果について同条9項所定の報告が作成,提出されたのは,平成14年8月27日に行われた平成14年度の定期監査が初めてであり,それ以前においては,同法199条1項の規定による監査が期日を定めて行われ,当該監査の結果について報告が作成,提出されたことはなかった事実が認められ,この認定を左右するに足りる証拠はない。この点,被告は,医療保健センターの監査委員は,平成13年度以前においても,同法233条2項に基づく決算の審査及び同法235条の2第1項に基づく現金出納の検査(例月出納検査)等を行っていたのであるから,定期監査を行っていたと評価することができる旨主張するが,同法がいわゆる定期監査に関する199条1項,4項及び9項の規定とは別に決算の審査に関する233条の規定及びいわゆる例月出納検査等に関する同法235条の2の規定を置いているところからしても,決算の審査及び例月出納検査等をもって同法199条4項 項及び9項の規定とは別に決算の審査に関する233条の規定及びいわゆる例月出納検査等に関する同法235条の2の規定を置いているところからしても,決算の審査及び例月出納検査等をもって同法199条4項所定の定期監査を行っていたと同視することができないことはいうまでもない。 以上のとおりであるから,医療保健センターの監査委員は,平成9年度から平成13年度にかけて,同法199条4項に基づくいわゆる定期監査を怠っていたものというべきである。 不当利得の成否(争点(4))について(1)以上認定説示したところによれば,医療保健センターの監査委員は,少なくとも平成9年1月から平成14年7月まで,地方自治法235条の2第1項及び監査委員条例3条の規定に違反して,2か月分ないし5か月分をまとめて地方自治法235条の2第1項の現金出納の検査(例月出納検査)を行っていたほか,平成9年度から平成13年度にかけて,同法199条4項に基づく定期監査を怠っていたものということができる。しかるところ,原告は,同法203条2項の趣旨からす れば,月額報酬を支給するためには当該月に勤務の実態等が存することが必要であり,報酬条例は,医療保健センターの監査委員については少なくとも月1回は例月出納検査の遂行という監査業務があるという勤務実態に応じて報酬の月額支給を定めたことが明らかであるところ,医療保健センターの監査委員が例月出納検査や定期監査等を放棄した月については,監査委員の職務実績は皆無であり,勤務の実態は存在していないから,当該月については,監査委員に対し報酬を支払う必要はなく,監査委員は,医療保健センターから受け取った報酬を不当利得として返還すべきである旨主張する。 (2)地方自治法は,普通地方公共団体の常勤の職員及び短時間勤務職員に対しては,普通地方公共 要はなく,監査委員は,医療保健センターから受け取った報酬を不当利得として返還すべきである旨主張する。 (2)地方自治法は,普通地方公共団体の常勤の職員及び短時間勤務職員に対しては,普通地方公共団体は,給料及び旅費を支給しなければならず(204条1項),また,条例で,扶養手当,地域手当,住居手当,初任給調整手当,通勤手当,単身赴任手当,特殊勤務手当,特地勤務手当(これに準ずる手当を含む。),へき地手当(これに準ずる手当を含む。),時間外勤務手当,宿日直手当,管理職員特別勤務手当,夜間勤務手当,休日勤務手当,管理職手当,期末手当,勤勉手当,期末特別手当,寒冷地手当,特定任期付職員業績手当,任期付研究員業績手当,義務教育等教員特別手当,定時制通信教育手当,産業教育手当,農林漁業普及指導手当,災害派遣手当(武力攻撃災害等派遣手当を含む。)又は退職手当を支給することができ(同条2項),さらに,退職年金又は退職一時金を受けることができる(205条)としているのに対し,普通地方公共団体の非常勤の職員(短時間勤務職員を除く。)に対しては,普通地方公共団体は,報酬を支給しなければならず(203条1項),非常勤の職員の中議会の議員以外の者に対する報酬は,その勤務日数に応じてこれを支給するが,条例で特別の定めをした場合はこの限りでないとし(同条2項),非常勤の職員は,職務を行うため要する費用の弁償を受けることができ(同条3項),普通地方公共団体は,条例で,その議会の議員に対し,期末手当を支給することができる(同条4項)として,普通地方公共団体の常勤の職員と非常勤の職員とで給与その他の給付の支給につき異なった規制をしている(地方自治法 のこれらの規定は,同法292条により,地方公共団体の組合に準用されている。)。地方自治法が普通地方公共団体の非常勤の 勤の職員とで給与その他の給付の支給につき異なった規制をしている(地方自治法 のこれらの規定は,同法292条により,地方公共団体の組合に準用されている。)。地方自治法が普通地方公共団体の非常勤の職員について上記のとおり給与の支給方法等につき常勤の職員と異なった規制をしているのは,勤務に対する対価(反対給付)としての給与の性格上,勤務の態様に応じて給与の態様も異なるべきところ,常勤の職員に対する給与(給料)は,勤務に対する反対給付であると同時に当該職員及びその家族の生活を支える生活給としての意味を有するものであるのに対し,非常勤の職員に対する給与(報酬)については,その勤務の態様からして,一般にこのような生活給的意味はなく,純然たる勤務に対する反対給付としての性格のみを有するものとするのが相当であるとする趣旨に出たものと解される。そして,同法203条2項本文は,普通地方公共団体の非常勤の職員の中議会の議員以外の者に対する報酬は,その勤務日数に応じてこれを支給する旨規定することにより,この趣旨を明確にし,これをもって非常勤の職員に対する報酬の支給の原則とするとともに,非常勤の職員のうちにも勤務の実態がほとんど常勤の職員と異ならず,常勤の職員と同様に月額ないし年額をもって支給することが合理的であるものや,勤務日数の実態を把握することが困難であり,月額支給等による以外に支給方法がないものなど,特殊な場合も予想されることから,同項ただし書において,条例で特別の定めをした場合はこの限りでない旨規定したものと解される。 (3)ところで,前記のとおり,監査委員条例により,医療保健センターの監査委員の定数は2人とされ,地方自治法及びA医療保健センター規約により,監査委員は識見を有する者及び議員のうちからそれぞれ1人ずつを選任するものとされ,識見を有 委員条例により,医療保健センターの監査委員の定数は2人とされ,地方自治法及びA医療保健センター規約により,監査委員は識見を有する者及び議員のうちからそれぞれ1人ずつを選任するものとされ,識見を有する者のうちから選任される者の任期は4年,議員のうちから選任される者の任期は議員の任期によるものとされ,弁論の全趣旨によれば,識見を有する者のうちから選任される監査委員についても非常勤とされている。そして,報酬条例において,監査委員の報酬は,識見選出委員につき月額1万円,議会選出委員につき月額4000円と定められ(2条1項),月の途中において就職又は退職したときは日割り計算により支給する旨規定されている(同条3項。なお,この規定は,平 成14年条例第1号による改正により設けられたものである。)。これによれば,監査委員の報酬に関する報酬条例の規定は,地方自治法203条2項ただし書にいう特別の定めに該当するものということができる。 そこで,医療保健センターの監査委員の報酬について地方自治法203条ただし書の規定に基づき報酬条例で月額支給とする旨規定した趣旨について検討する。 (4)監査委員は,地方自治法199条により,その職務として,普通地方公共団体の財務に関する事務の執行及び普通地方公共団体の経営に係る事業の管理を監査するものとされ(同条1項),同条1項の規定による監査については,毎会計年度少なくとも1回以上期日を定めてこれをしなければならないほか(同条4項。定期監査),必要があると認めるときは,いつでもこれをすることができるものとされ(同条5項),また,必要があると認めるときは,普通地方公共団体の事務の執行について監査をすることができるが(同条2項),当該普通地方公共団体の長から当該普通地方公共団体の事務の執行に関し監査の要求があったときは また,必要があると認めるときは,普通地方公共団体の事務の執行について監査をすることができるが(同条2項),当該普通地方公共団体の長から当該普通地方公共団体の事務の執行に関し監査の要求があったときは,その要求に係る事項について監査をしなければならず(同条6項),さらに,必要があると認めるとき,又は普通地方公共団体の長の要求があるときは,当該普通地方公共団体が補助金,交付金,負担金,貸付金,損失補償,利子補給その他の財政的援助を与えているもの等の出納その他の事務の執行で当該財政的援助に係るもの等を監査することができる(同条7項)ものとされている。そのほか,地方自治法上,監査委員は,同法75条1項に基づく普通地方公共団体の事務の執行に関する監査の請求があったときは,当該請求に係る事項について監査をしなければならず(同条3項),普通地方公共団体の議会から当該普通地方公共団体の事務に関する監査の請求があっときは,当該監査をするものとされ(同法98条2項),普通地方公共団体の長から付された決算及び証書類等を審査しなければならず(同法233条2項),普通地方公共団体の現金の出納を毎月例日を定めて検査しなければならず(同法235条の2第1項。例月出納検査),必要があると認めるとき,又は普通地方公共団体の長の要求があるときは,指定された金融機関が取り扱う当該普通地 方公共団体の公金の収納又は支払の事務について監査することができ(同条2項),普通地方公共団体が基金を設けた場合には,普通地方公共団体の長から付された当該基金の運用の状況を示す書類の審査をしなければならず(同法241条5項),同法242条1項の規定による住民監査請求があったときは,監査を行わなければならず(同条4項),同法243条の2第3項の規定に基づく普通地方公共団体の長の請求があった ばならず(同法241条5項),同法242条1項の規定による住民監査請求があったときは,監査を行わなければならず(同条4項),同法243条の2第3項の規定に基づく普通地方公共団体の長の請求があったときは,当該職員の賠償責任の有無及び賠償額の決定をしなければならない(同項)などとされている(地方自治法のこれらの規定は,同法292条により,地方公共団体の組合に準用されている。)。 以上のとおり,監査委員の職務には,地方自治法199条4項に基づく同条1項の規定による財務に関する事務の執行等の監査(定期監査),同法233条2項の規定による決算等の審査,235条の2第1項の規定による現金出納の検査(例月出納検査)等のように,毎月ないし毎会計年度これを行うことが法令により規定されているもののほかに,地方自治法199条2項の規定による事務の執行の監査,同条5項の規定に基づく同条1項の規定による財務に関する事務の執行等の監査,同条7項の規定による財政的援助を与えているもの等に対する監査,同法235条の2第2項の規定による公金の収納等の監査等のように,監査委員が必要があると認めるときにこれを行うことができるとされているもの,及び同法75条3項の規定による事務監査請求に係る事務の執行に関する監査,同法98条2項の規定による普通地方公共団体の議会の請求に係る事務に関する監査,同法199条6項の規定による普通地方公共団体の長の要求に係る事項についての監査,同条7項の規定による普通地方公共団体の長の要求に基づく財政的援助を与えているもの等に対する監査,同法235条の2第2項の規定による普通地方公共団体の長の要求に基づく公金の収納等の監査,同法242条4項の規定による住民監査請求に係る監査,同法243条の2第3項の規定による当該職員の賠償責任の有無及び賠償額の決定 2項の規定による普通地方公共団体の長の要求に基づく公金の収納等の監査,同法242条4項の規定による住民監査請求に係る監査,同法243条の2第3項の規定による当該職員の賠償責任の有無及び賠償額の決定等のように,住民等による請求又は普通地方公共団体の長若しくは議会の要求があった場合にこれを行うものとされているものがある。そして,監査委員は,その職 務を遂行するに当たっては,常に公正不偏の態度を保持して,監査をしなければならないものとされ(同法198条の3),他方で,監査委員は,地方公務員法上の特別職とされ(同法3条3項1号),普通地方公共団体の長が当該監査委員が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき,又は当該監査委員に職務上の義務違反その他監査委員たるに適しない非行があると認めるときは,議会の同意を得て罷免することができるが(地方自治法197条の2第1項),この場合を除いて,その意に反して罷免されることがない(同条2項)とされている。以上のような監査委員の職務の内容,職務上の義務及び地位は,常勤の監査委員(同法196条4項,5項)と非常勤の監査委員とで法令上異なるところがない(なお,同法196条4項及び5項は,監査委員の常勤化により継続的な監査体制を確保しようとする趣旨に出たものであり,同条5項は,地方公共団体の規模に応じて監査の事務量も異なることにかんがみ,一定規模以上の地方公共団体に限って監査委員の常勤化を義務付けたものであると解される。)。 以上のような監査委員の職務の内容,職務上の義務及び地位等にかんがみると,非常勤の監査委員についても,その報酬をその勤務日数に応じて支給するものとせず,その職務及び責任に対する対価として,常勤の職員と同様に月額ないし年額をもって支給するものとすることは,不合理ということはできないので 員についても,その報酬をその勤務日数に応じて支給するものとせず,その職務及び責任に対する対価として,常勤の職員と同様に月額ないし年額をもって支給するものとすることは,不合理ということはできないのであって,条例で非常勤の監査委員に対する報酬を月額支給と定めること自体は,地方自治法203条2項ただし書の趣旨に反するものではないと解される。 前記のとおり,医療保健センターは,住民の健康の保持及び増進を図るため,A医療保健センター設置条例に基づいて設置された一部事務組合であって,大阪狭山市及び旧αをもって組織され,日曜日及び国民の祝日に関する法律に規定する休日並びに年末年始等(管理者が定める日)における急患診療その他必要な事業を行い,大阪狭山市及び旧αに居住する者並びに管理者が適当と認めた者が医療保健センターを使用することができるものとされており,医療保健センターにおいては,内科及び小児科のみが設けられ,日曜日及び休日並びに年末年始等にのみ診療業務を行 っている。このような医療保健センターの事業の内容及び財務の規模等にかんがみると,確かに,医療保健センターの監査委員については,原告の主張するとおり,地方自治法199条1項,4項に基づく財務に関する事務の執行等の監査(定期監査),同法233条2項の規定による決算等の審査,235条の2第1項の規定による現金出納の検査(例月出納検査)等のように,毎月ないし毎会計年度これを行うことが法令により規定されている職務を除いて,法令により規定されたその余の職務を遂行することが必要となる事態はさほど多くないものということができる。 しかしながら,そうであるからといって,医療保健センターの監査委員の職務の内容,職務上の義務及び地位は,普通地方公共団体の監査委員のそれと法令上何ら異なるところはない。このことに加え ことができる。 しかしながら,そうであるからといって,医療保健センターの監査委員の職務の内容,職務上の義務及び地位は,普通地方公共団体の監査委員のそれと法令上何ら異なるところはない。このことに加えて,報酬条例において平成14年条例第1号による改正により月の途中で就職又は退職した場合における日割り計算による報酬の支給の規定が設けられたほか監査委員の在職中報酬を増額又は減額することができる旨の規定が置かれていないこと及び報酬条例において定められている監査委員に対する報酬の金額(識見選出委員につき月額1万円,議会選出委員につき月額4000円)にもかんがみると,報酬条例は,監査委員の職務の内容,職務上の義務及び地位等にかんがみ,医療保健センターの監査委員の報酬を,その職務及び責任に対する対価として,月額をもって支給する旨定めたものと解されるのであって,その趣旨からすれば,報酬条例の当該規定は,地方自治法203条2項の趣旨に反するということはできない。 (5)以上のとおり,報酬条例は,監査委員の職務の内容,職務上の義務及び地位等にかんがみ,地方自治法203条2項ただし書に基づき,医療保健センターの監査委員の報酬を,その職務及び責任に対する対価として,月額をもって支給する旨定めたものと解される。このような監査委員に対する報酬の月額支給を定めた報酬条例の規定の趣旨に加えて,報酬条例において平成14年条例第1号による改正により月の途中で就職又は退職した場合における日割り計算による支給の規定が設けられているほか監査委員の在職中報酬を増額又は減額することができる旨の規定が 置かれていないことにもかんがみると,監査委員が地方自治法235条の2第1項の規定により毎月例日を定めてしなければならないとされている現金出納の検査(例月出納検査)を怠るなど職務の 旨の規定が 置かれていないことにもかんがみると,監査委員が地方自治法235条の2第1項の規定により毎月例日を定めてしなければならないとされている現金出納の検査(例月出納検査)を怠るなど職務の遂行の実績が全くない月が存したとしても,監査委員の当該所為が職務上の義務違反として地方自治法197条の2第1項の規定に基づく罷免の対象となる余地があることは別として,職務の遂行の実績が全くないことを理由に当該期間(月)について直ちに報酬条例により定められた月額報酬を支給しないものとしたりこれを減額支給したりすることはできないものと解すべきである(なお,月の途中で就職又は退職した場合における日割り計算による報酬の支給の規定は,報酬条例の定める監査委員の報酬がその職務及び責任に対する対価としての性格を有するものであることにかんがみ,当該職務及び責任を果たすべきものとしての監査委員の職にある期間について報酬を支給する趣旨を明確にしたものと解されるのであって,その趣旨からすれば,当該規定を根拠に職務の遂行の実績のない期間について報酬を支給しないものとしたりこれを減額支給したりすることもできないものと解すべきである。)。 もっとも,前記のとおり,報酬条例が,地方自治法203条2項ただし書に基づき,医療保健センターの監査委員の報酬を,その職務及び責任に対する対価として,月額をもって支給する旨定めた趣旨からすれば,当該報酬は,その職務と責任に応ずるものでなければならず(一般職に属する地方公務員に適用される地方公務員法24条1項参照),監査委員が監査等の手続に自らは全く関与せず事務局の作成した報告等に形式的に記名押印するにすぎないなど,監査委員に選任された者が実質的にみて法令により規定された職務及び責任を全く果たしていないと評価し得るような場合には,監査委員 く関与せず事務局の作成した報告等に形式的に記名押印するにすぎないなど,監査委員に選任された者が実質的にみて法令により規定された職務及び責任を全く果たしていないと評価し得るような場合には,監査委員に対する月額報酬の支給は,地方自治法203条2項及び報酬条例が前提とする給与の根本基準に反し,違法となると解すべきである。 そこで,これを本件についてみると,前記のとおり,医療保健センターの監査委員は,少なくとも平成9年1月から平成14年7月まで,地方自治法235条の2第1項及び監査委員条例3条の規定に違反して,2か月分ないし5か月分をまとめ て地方自治法235条の2第1項の規定による現金出納の検査(例月出納検査)を行っていたほか,平成9年度から平成13年度にかけて,同法199条4項に基づく定期監査を怠っていたものということができるものの,監査委員が行っていた例月出納検査の内容は前提となる事実等(11)のとおりである上,甲9及び弁論の全趣旨によれば,同法233条2項の規定による決算等の審査は毎会計年度これを行っていた事実が認められるのであり,医療保健センターの事業の内容及び財務の規模等をも併せ考えると,平成9年4月から平成14年10月までの間,医療保健センターの監査委員が実質的にみて法令により規定された職務及び責任を全く果たしていなかったとまで評価することはできないというべきであり,監査委員に支給された報酬の額に照らしても,上記の期間に係る監査委員に対する報酬の支給が地方自治法203条2項及び報酬条例が前提とする給与の根本基準に反し違法とまでいうことはできない。 (6)以上のとおりであるから,医療保健センターの監査委員が例月出納検査や定期監査等を放棄した月については,監査委員に対し報酬を支払う必要はなく,監査委員は,医療保健センターから受 とはできない。 (6)以上のとおりであるから,医療保健センターの監査委員が例月出納検査や定期監査等を放棄した月については,監査委員に対し報酬を支払う必要はなく,監査委員は,医療保健センターから受け取った報酬を不当利得として返還すべきである旨の原告の主張は,採用することができない。 結論 以上によれば,本件訴えのうち医療保健センター監査委員に対する平成9年4月分から平成13年3月分までの報酬の支給に関し地方自治法243条の2第3項の規定による賠償の命令をすることを求める部分及び不当利得返還の請求をすることを求める部分は,不適法であるから,これを却下し,原告のその余の請求は,いずれも理由がないから,これを棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官西川知一郎裁判官和久一彦裁判官田中健治は,転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官西川知一郎

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