令和7年4月25日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和5年(ワ)第70563号特許侵害差止等請求事件口頭弁論終結日令和7年2月20日判決 原告株式会社キーソフト(以下「原告会社」という。) 原告甲i (以下「原告甲i」という。)上記両名訴訟代理人弁護士上山 浩正司佳樹同補佐人弁理士塩野谷英城 (登記簿上の住所 ) 被告株式会社サンカクキカク 同訴訟代理人弁護士田中規平同補佐人弁理士宇野智也 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は、原告会社に対し、1100万円及びこれに対する令和5年10月1 3日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 2 被告は、原告甲iに対し、550万円及びこれに対する令和5年10月13日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 3 被告は、別紙被告システム目録記載のシステムを使用してはならない。 第2 事案の概要等 1 事案の要旨本件は、発明の名称を「取引管理システムおよび取引管理プログラム」とする特許第6675598号の特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)の特許権者である原告らが、被告に対し、別紙被告システム目録記載のシステム(以下「被告システム する特許第6675598号の特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)の特許権者である原告らが、被告に対し、別紙被告システム目録記載のシステム(以下「被告システム」という。)が、本 件特許の請求項1記載の発明(以下「本件発明」という。)の技術的範囲に属し、被告による被告システムの使用が本件発明の実施に該当すると主張して、特許法100条1項に基づき、被告システムの使用の差止めを求めるともに、民法709条に基づき、原告会社に対しては損害金1100万円(特許法102条2項により算定される損害額1000万円及び弁護士費用100万円)、 原告甲iに対しては損害金550万円(同条3項により算定される損害額500万円及び弁護士費用50万円)及びこれらに対する訴状送達の日の翌日である令和5年10月13日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による金員の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨によ り容易に認められる事実)⑴ 当事者原告会社は、コンピューターソフトウェアの開発等を行う株式会社であり、原告甲iは、原告会社の代表取締役である。 被告は、ウェブサイトの企画、立案、製作等を行う株式会社である。 ⑵ 本件特許 原告らは、平成28年2月1日、本件特許に係る特許出願(特願2016-17574号。以下「本件出願」という。)をし、令和2年3月13日、本件特許権の設定の登録(請求項の数11)を受けた(甲1、2。本件出願の願書に添付した明細書及び図面を併せて「本件明細書」という。また、明細書の発明の詳細な説明中の段落番号を【0001】などと記載する。)。 ⑶ 本件特許に係る特許請求の範囲 2。本件出願の願書に添付した明細書及び図面を併せて「本件明細書」という。また、明細書の発明の詳細な説明中の段落番号を【0001】などと記載する。)。 ⑶ 本件特許に係る特許請求の範囲本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載は以下のとおりである。 下流取引者からの発注を受け、前記下流取引者を特定するための情報と、前記発注された商品を特定するための情報とに基づき、前記下流取引者から中間取引者へ宛てた第1の発注情報を作成する手段と、 前記中間取引者から上流取引者へ宛てた第2の発注情報を、前記第1の発注情報に基づき前記第1の発注情報の作成と連動して自動的に作成する手段とを含む、前記下流取引者のコンピュータ、前記中間取引者のコンピュータ、複数の前記上流取引者のコンピュータのそれぞれに、ネットワークを介して接続さ れる取引管理システム。 ⑷ 構成要件の分説本件発明の請求項は、次の構成要件に分説することができる(以下、各構成要件につき、「構成要件A」、「構成要件B」及び「構成要件C」という。)。 A 下流取引者からの発注を受け、前記下流取引者を特定するための情報と、 前記発注された商品を特定するための情報とに基づき、前記下流取引者から中間取引者へ宛てた第1の発注情報を作成する手段と、B 前記中間取引者から上流取引者へ宛てた第2の発注情報を、前記第1の発注情報に基づき前記第1の発注情報の作成と連動して自動的に作成する手段とを含む、 C 前記下流取引者のコンピュータ、前記中間取引者のコンピュータ、複数 の前記上流取引者のコンピュータのそれぞれに、ネットワークを介して接続される取引管理システム。 ⑸ ふるさと納税制度等について(乙1、2、4)ふるさと納税制度とは、都 ータ、複数 の前記上流取引者のコンピュータのそれぞれに、ネットワークを介して接続される取引管理システム。 ⑸ ふるさと納税制度等について(乙1、2、4)ふるさと納税制度とは、都道府県・市区町村(以下「地方団体」という。)に対してふるさと納税(その性質は、経済的利益の無償の供与としての寄附) をすると、その寄附金のうち一定額を超える部分について、所定の上限額まで、原則として所得税・個人住民税から全額が控除されるというものである(地方税法37条の2第1項1号、314条の7第1項1号)。 また、地方団体は、ふるさと納税に係る寄附金の受領に伴い、ふるさと納税制度における税制上の措置とは別の独自の取組として、当該寄附金を支出 した者に対し、御礼(返礼)としての物品、役務等を提供することがある(地方税法37条の2第2項柱書、314条の7第2項柱書参照。以下、提供される対象を物品、役務を問わず「返礼品」という。)。 ⑹ 被告の行為被告は、「店舗型ふるさと納税ふるさとズ」という名称のふるさと納税 及び同制度に係る返礼品についてのサービス(以下「被告サービス」という。)を提供するために、被告システムを使用している。 3 争点⑴ 被告システムが本件発明の技術的範囲に属するか(争点1)ア被告システムは「中間取引者」に相当する構成を備えているか(構成要 件AないしC。争点1-1)イ被告システムは、「前記中間取引者から上流取引者へ宛てた第2の発注情報を、前記第1の発注情報に基づき前記第1の発注情報の作成と連動して自動的に作成する手段」に相当する構成を備えているか(構成要件B。 争点1-2) ウ被告システムは「取引管理システム」に相当する構成を備えているか (構成要件C 報の作成と連動して自動的に作成する手段」に相当する構成を備えているか(構成要件B。 争点1-2) ウ被告システムは「取引管理システム」に相当する構成を備えているか (構成要件C。争点1-3)⑵ 差止めの必要性(争点2)⑶ 損害の発生及び額(争点3)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(被告システムが本件発明の技術的範囲に属するか)について ⑴ 争点1-1(被告システムは「中間取引者」に相当する構成を備えているか(構成要件AないしC))について(原告らの主張)ア被告システムの利用者は、ふるさと納税制度を利用する寄附者(以下「寄附者」という。)、寄附を受ける地方団体及び返礼品を提供する事業者 (以下「事業者」という。)の三者から構成されているところ、ふるさと納税に係る返礼品の提供に関する取引の流れは次のとおりである。 まず、寄附者は特定の地方団体を選択し、当該地方団体が提供する複数の返礼品の中から特定の返礼品を選択して寄附の申込みをし、その結果、返礼品を提供する事業者が決まる。次いで、当該地方団体が当該事業者に 対して返礼品を発注し、返礼品の対価の請求・支払も両者間で行われる。 そして、返礼品は、直接、事業者から寄附者に対して発送・提供される。 このように、ふるさと納税に係る返礼品の提供に関する取引においては、①寄附者と地方団体、②地方団体と事業者という二段階の取引が行われているのであって、寄附者は「下流取引者」、地方団体は「中間取引者」、事 業者は「上流取引者」にそれぞれ該当するものといえる。 したがって、被告システムは「中間取引者」に相当する構成を備えているといえる。 イなお、本件明細書において、「中間取引者」を「卸業者」、「小売業者」又は「 れ該当するものといえる。 したがって、被告システムは「中間取引者」に相当する構成を備えているといえる。 イなお、本件明細書において、「中間取引者」を「卸業者」、「小売業者」又は「販売仲介者」に限定する旨の記載はないから、本件発明の「中間取 引者」とは、上記以外の主体も含まれるものと解される。 (被告の主張)原告らは、本件発明の「中間取引者」の意義について何ら明らかにしていないが、本件明細書には、「下流取引者」について商品の最終消費者又は発注者を指すものと考えられる記載があり(【0002】)、本件発明に係る「中間取引者」について商品の「卸業者」、「小売業者」又は「販売仲介者」 を指すものと考えられる記載がある(【0003】、【0007】)。 これに対し、被告システムは、ふるさと納税制度に係る返礼品の管理のためのシステムであるところ、ふるさと納税制度において、寄附金は経済的利益の無償の供与とされ、返礼品の送付は対価の提供ではないとされている以上、被告システムにおいて、「卸業者」、「小売業者」及び「販売仲介者」と いった「中間取引者」という概念を観念する余地はない。 したがって、被告システムは「中間取引者」に相当する構成を備えていない。 ⑵ 争点1-2(被告システムは、「前記中間取引者から上流取引者へ宛てた第2の発注情報を、第1の発注情報に基づき前記第1の発注情報の作成と連 動して自動的に作成する手段」に相当する構成を備えているか(構成要件B))について(原告らの主張)ア本件発明において、「中間取引者」自身が「前記中間取引者から上流取引者へ宛てた第2の発注情報」を「上流取引者」に送付することは求めら れておらず、「取引管理システム」が「第2の発注情報」を作 本件発明において、「中間取引者」自身が「前記中間取引者から上流取引者へ宛てた第2の発注情報」を「上流取引者」に送付することは求めら れておらず、「取引管理システム」が「第2の発注情報」を作成すれば足りるものといえる。 また、本件発明において、「第1の発注情報」及び「第2の発注情報」は、「下流取引者」がシステムに入力した発注情報に基づいて、自動的に連動して作成されれば良い。 イそして、被告システムにおいては、寄附者が入力した情報(寄附者名、 地方団体の名称、返礼品の受注番号、事業者名)をデータベースに記憶した上で、その情報を地方団体及び事業者にメールで通知する形になっているところ、被告システムが地方団体に送付するメールには、寄附者と返礼品を特定する情報が記載されており、このメールに記載された情報は「第1の発注情報」に該当する。 また、被告システムが事業者に送付するメールには、寄附者と返礼品を特定する情報のほか、地方団体から新しい申込みが存在する旨の記載があることからすれば、このメールに記載された情報は「第2の発注情報」に該当し、この情報は「第1の発注情報」に基づき作成されたものである。 さらに、被告システムは、上記の情報をデータベースに記憶することで、 「第1の発注情報の作成」を行うとともに、自動的に「第2の発注情報」であるメールを送付しているから、「第2の発注情報」を、「第1の発注情報に基づき前記第1の発注情報の作成と連動して自動的に作成」している。 ウしたがって、被告システムは、「前記中間取引者から上流取引者へ宛てた第2の発注情報を、第1の発注情報に基づき前記第1の発注情報の作成 と連動して自動的に作成する手段」に相当する構成を備えている。 (被告の主張)ア本件発明 間取引者から上流取引者へ宛てた第2の発注情報を、第1の発注情報に基づき前記第1の発注情報の作成 と連動して自動的に作成する手段」に相当する構成を備えている。 (被告の主張)ア本件発明において、「上流取引者」とは、商品の「メーカ」又は「商品提供者」を(【0002】ないし【0007】)、「中間取引者から上流取引者へ宛てた第2の発注情報」とは「商品提供者への注文伝票」に関する情 報をそれぞれ意味するものと解される。 その上で、仮に寄附を受ける地方団体が「中間取引者」に、返礼品を送付する事業者が「上流取引者」にそれぞれ該当するとしても、被告システムは、地方団体及び事業者に対して、寄附者が入力した寄附に関する情報をそれぞれ通知するにとどまるから、この通知を「中間取引者から上流取 引者へ宛てた第2の発注情報」と解することはできない。 イまた、本件発明は、「中間取引者から上流取引者へ宛てた第2の発注情報」を、「下流取引者から中間取引者へ宛てた」「第1の発注情報に基づき」「自動的に作成する手段」であるところ、被告システムにおいて地方団体及び事業者に通知される内容は、いずれも寄附者が寄附者入力画面に入力した情報に基づき作成されるものであって、寄附者から地方団体に宛てた メールで通知されている情報に基づき作成されるものではないから、「第2の発注情報」を「第1の発注情報に基づき」「自動的に作成する手段」を含むものではない。 ウこのように、被告システムは、段階的な複数の取引を前提に、「第1の発注情報」及び「第2の発注情報」を作成することを想定しておらず、 「前記中間取引者から上流取引者へ宛てた第2の発注情報を、第1の発注情報に基づき前記第1の発注情報の作成と連動して自動的に作成する手段」に相当する構成 情報」を作成することを想定しておらず、 「前記中間取引者から上流取引者へ宛てた第2の発注情報を、第1の発注情報に基づき前記第1の発注情報の作成と連動して自動的に作成する手段」に相当する構成を備えていない。 ⑶ 争点1-3(被告システムは「取引管理システム」に相当する構成を備えているか(構成要件C))について (原告らの主張)前記⑴及び⑵(原告の主張)のとおり、被告システムは、本件発明における「取引管理システム」といえるから、これに相当する構成を備えているといえる。 (被告の主張) 前記⑴及び⑵(被告の主張)のとおり、被告システムは、本件発明が想定する「取引管理システム」ではないから、これに相当する構成を備えているとはいえない。 2 争点2(差止めの必要性)について(原告らの主張) 本件においては、被告による被告システムの使用の差止めをする必要がある。 (被告の主張)否認ないし争う。 3 争点3(損害の発生及び額)について(原告らの主張)⑴ 原告会社の損害額 ア特許法102条2項による損害額の算定令和3年11月2日から現在に至るまでの被告システムを使用した被告サービスの売上高は5000万円を下回ることはなく、被告は被告サービスの提供によって1000万円の利益を得ている。 したがって、特許法102条2項により算定される損害額は1000万 円となる。 イ弁護士費用に係る損害額本件と相当因果関係のある弁護士費用に係る損害額は、前記アの損害額の1割に相当する100万円である。 ウまとめ 以上によれば、原告会社に生じた損害額は1100万円を下回ることはない。 ⑵ 原告甲iの損害額 損害額は、前記アの損害額の1割に相当する100万円である。 ウまとめ 以上によれば、原告会社に生じた損害額は1100万円を下回ることはない。 ⑵ 原告甲iの損害額ア特許法102条3項による損害額の算定前記⑴アのとおり、被告サービスに係る売上高は5000万円を下回ら ないところ、本件発明に係る実施料率は10パーセントを下回ることはないから、特許法102条3項により算定される損害額は500万円となる。 イ弁護士費用に係る損害額本件と相当因果関係のある弁護士費用に係る損害額は、前記アの損害額の1割に相当する50万円となる。 ウまとめ 以上によれば、原告甲iに生じた損害額は550万円を下回ることはない。 (被告の主張)否認ないし争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件明細書の記載事項等⑴ 本件明細書(甲2)の「発明の詳細な説明」には、以下の記載がある。 ア 【背景技術】【0002】商品の流通には、たとえば商品のメーカ等の生産者から末端消費者ま での間に、卸業者や小売業者等が介在し、複数の取引者が段階的に関与することが多い。複数の取引者が段階的に商品の流通に関与する場合、各取引者間の取引状態を容易に把握可能とすることや、商品の流通経路を簡易に把握できる仕組みが求められる。 【0003】 また、近年、商品を購入したい発注者が、ネットワークを介して自分の端末装置から発注先のサーバ等にアクセスし、商品の発注を行う処理がさかんに行われている。このような処理は、発注先と発注者との2者間の処理だけでなく、たとえば実際に商品を 、ネットワークを介して自分の端末装置から発注先のサーバ等にアクセスし、商品の発注を行う処理がさかんに行われている。このような処理は、発注先と発注者との2者間の処理だけでなく、たとえば実際に商品を提供する業者、それを仲介する業者、および商品を購入する顧客の三者間で行われることもある。 【0004】たとえば、特許文献1(特開2007-172081号公報)には、…、販売仲介者ホームページに商品提供者ホームページのリンクを含めることにより、販売仲介者が販売に用いるホームページについて、その更新手間を削減しかつ最新情報を顧客に提供することができるとされて いる。また、販売仲介者用サーバシステムは、商品の発注者である顧客 からの注文データに基づき、商品提供者への注文伝票データを生成する構成となっている。 イ 【発明が解決しようとする課題】【0006】しかし、特許文献1に記載された技術では、販売仲介者用サーバシス テムは、顧客からの注文内容および発送先のデータを商品提供者のサーバシステムに仲介しているだけであり、販売仲介者と商品提供者との商品の取引に関する処理が自動的に行われる構成とはなっていない。そのため、注文処理は行うことができても、実際の取引の伝票管理は別途行う必要があり、依然として管理に手間がかかるという問題があった。 【0007】本発明の目的は、上述した課題である、段階的な複数の取引者間での商品の取引の伝票管理を簡易にすることができる取引管理システムおよび取引管理プログラムを提供することにある。 ウ 【課題を解決するための手段】 【0008】本発明によれば、中間取引者の中間取引者IDおよび商品IDに対応づけて、当該中間取引 管理プログラムを提供することにある。 ウ 【課題を解決するための手段】 【0008】本発明によれば、中間取引者の中間取引者IDおよび商品IDに対応づけて、当該中間取引者が当該商品IDで特定される商品を購入する上流取引者IDを記憶する取引設定情報記憶部と、 商品IDおよび上流取引者IDに対応づけて上流取引者IDで特定される上流取引者による商品の販売価格である第1の販売価格を記憶するとともに、商品IDおよび中間取引者IDに対応づけて当該中間取引者による商品の販売価格である第2の販売価格を記憶する価格記憶部と、中間取引者が商品を販売する下流取引者から、商品ID、当該下流取 引者の下流取引者ID、および商品の発注数量の入力とともに、中間取 引者への商品の発注を受け付ける発注管理部と、発注管理部が受け付けた発注数量および第2の販売価格に基づき、下流取引者から中間取引者への発注伝票を発行するとともに、発注管理部が受け付けた発注数量および第1の販売価格に基づき、中間取引者から上流取引者への発注伝票を発行する伝票発行処理部と、 を含む取引管理システムが提供される。 【0009】このように、商品IDで特定されるある商品について、ある中間取引者がその商品を購入する先の上流取引者およびその上流取引者が当該商品を販売する第1の販売価格を取引設定情報記憶部および価格記憶部に 登録しておくことにより、取引管理システムは、下流取引者から発注があった場合に、中間取引者と上流取引者との間の商品の販売価格も把握することができる。そのため、下流取引者から中間取引者への発注伝票を発行するだけでなく、中間取引者から上流取引者への発注伝票も自動的に発行することができる。たとえば、下流取引者と中間取 売価格も把握することができる。そのため、下流取引者から中間取引者への発注伝票を発行するだけでなく、中間取引者から上流取引者への発注伝票も自動的に発行することができる。たとえば、下流取引者と中間取引者、中間 取引者と上流取引者という3者以上の間で段階的な取引が行われる際に、取引される商品の発注数量が変化しない場合に、下流取引者から入力される商品の発注数量に基づき、上流取引者による第1の販売価格を用いて、上流取引者への発注伝票を容易に発行することができる。 【0016】 このように、本発明に係る取引管理システムは、商品受取者と商品発送者を末端として、その間に所定数の取引仲介業者を挿入した取引パターンを設けることにより、この取引パターンを単位として発注管理、納品管理、請求管理、商品の品質管理、商品の物流管理を効率的に行うことができる。すなわち、取引管理情報記憶部のこのパターン化された簡 便なデータ構造によって、これらの管理を可能にしたのが、本発明の大 きな特徴の一つと言える。 エ 【発明の効果】【0020】本発明によれば、段階的な複数の取引者間での商品の取引の伝票管理を簡易にすることができる。 オ 【発明を実施するための形態】【0040】なお、本明細書中で「上流」および「下流」とは、商品の流れに対応し、商品は上流取引者から下流取引者の方向に流通される。 【0044】 (発注処理)…本実施の形態の取引管理システム10における発注処理手順を説明する。 …発注管理部118は、取引者であるユーザから商品の発注指示を受け付けると、その発注指示に基づく発注処理を管理する。以下、最初に 商品の発注指示を行う取引者を下流取引者、その下 。 …発注管理部118は、取引者であるユーザから商品の発注指示を受け付けると、その発注指示に基づく発注処理を管理する。以下、最初に 商品の発注指示を行う取引者を下流取引者、その下流取引者の発注先の取引者を中間取引者、さらにその中間取引者の発注先の取引者を上流取引者として説明する。発注管理部118は、ある下流取引者から商品の発注指示があった場合に、発注先である中間取引者がさらに上流側の上流取引者に商品を発注するか否かを判定する。発注管理部118は、上 流側の上流取引者に商品を発注すると判定した場合、その上流側の上流取引者への発注処理も行う。 【0045】…発注管理部118は、ログインした下流取引者が発注指示を行うと、下流取引者が入力する発注情報を受け付ける。本実施の形態において、 発注管理部118は、発注者である下流取引者の下流取引者ID、発注 する商品の商品ID、および発注する商品の発注数量の入力を受け付ける。発注管理部118は、下流取引者の下流取引者IDおよび商品IDをキーとして、取引設定情報記憶部144および価格記憶部146から、その商品を当該下流取引者に販売する発注先の中間取引者の中間取引者IDおよび販売価格も発注情報として取得する。 ⑵ 前記⑴の記載事項によれば、本件明細書には、本件発明に関し、以下のとおりの開示があると認められる。 ア商品の流通には、商品の生産者から末端消費者までの間に、卸業者や小売業者等が介在し、複数の取引者が段階的に関与することが多いところ、従来の販売仲介者用システムでは、顧客からの注文内容及び発送先のデー タを仲介しているだけであり、販売仲介者と商品提供者との商品の取引に関する処理が自動的に行われる構成とはなっておらず、注 、従来の販売仲介者用システムでは、顧客からの注文内容及び発送先のデー タを仲介しているだけであり、販売仲介者と商品提供者との商品の取引に関する処理が自動的に行われる構成とはなっておらず、注文処理は行うことができても、実際の取引の伝票管理は別途行う必要があり、依然として管理に手間がかかるという問題があった(【0002】、【0006】)。 イ本件発明は、段階的な複数の取引者間での商品の取引の伝票管理を簡易 にすることができる取引管理システムを提供するために、取引者であるユーザから商品の発注指示を受けると、その発注指示に基づく発注処理を管理することになり、下流取引者が入力する発注情報を受け付けると、当該下流取引者を特定するための情報、発注された商品を特定するための情報等を受け付け、発注数量や販売価格等を包含する発注情報を作成するなど といった手段を用いることで、下流取引者から中間取引者へ宛てた第1の発注情報を作成し、また、当該第1の発注者情報に基づくことで、その作成と連動させて自動的に中間取引者から上流取引者へ宛てた第2の発注情報を作成するものであり、これらをネットワークを介して行うことができるようにしたものということができる(【0007】、【0008】、【00 44】、【0055】)。 ウこのようなシステムによって、下流取引者から発注があった場合に、中間取引者と上流取引者との間の商品の販売価格も把握することができ、下流取引者から中間取引者への発注伝票を発行するだけでなく、中間取引者から上流取引者への発注伝票も自動的に発行することができ、段階的な複数の取引者間での発注管理等、商品の取引の伝票管理を簡易にすることが できる(【0009】、【0016】、【0020】)。 2 争点1(被告システ 注伝票も自動的に発行することができ、段階的な複数の取引者間での発注管理等、商品の取引の伝票管理を簡易にすることが できる(【0009】、【0016】、【0020】)。 2 争点1(被告システムが本件発明の技術的範囲に属するか)について⑴ 争点1-1(被告システムは「中間取引者」に相当する構成を備えているか(構成要件AないしC))についてア 「中間取引者」の解釈 本件特許の特許請求の範囲及び本件明細書には、「中間取引者」の明確な定義は存在しない。 もっとも、前記1⑴に認定した本件明細書の記載によれば、本件発明は、「商品のメーカ等の生産者から末端消費者までの間に、卸業者や小売業者等が介在し、複数の取引者が段階的に関与する場合が多い。」(【000 2】)、「発注先と発注者との2者間の処理ではなく、たとえば実際に商品を提供する業者、それを仲介する業者、および商品を購入する顧客の三者間で行われることもある。」(【0003】)といった商品取引の実態を踏まえ、「なお、本明細書中で「上流」および「下流」とは、商品の流れに対応し、商品は上流取引者から下流取引者の方向に流通される。」(【004 0】)、「商品受取者と商品発送者を末端として、その間に所定数の取引仲介業者を挿入した取引パターンを設けることにより、この取引パターンを単位として発注管理、納品管理、請求管理、商品の品質管理、商品の物流管理を効率的に行うことができる」(【0016】)といった観点から「中間取引者」を規定するものであるから、本件発明における「中間取引者」 とは、商品受取者である「下流取引者」及び商品発送者である「上流取引 者」という各末端取引者の中間に介在して商品取引をする者であると解することができる。 また 間取引者」 とは、商品受取者である「下流取引者」及び商品発送者である「上流取引 者」という各末端取引者の中間に介在して商品取引をする者であると解することができる。 また、中間者として行う商品取引の性質という観点からみると、本件明細書における上記記載に加え、「商品IDおよび上流取引者IDに対応づけて上流取引者IDで特定される上流取引者による商品の販売価格である 第1の販売価格を記憶するとともに、商品IDおよび中間取引者IDに対応づけて当該中間取引者による商品の販売価格である第2の販売価格を記憶する価格記憶部と、…発注管理部が受け付けた発注数量および第2の販売価格に基づき、下流取引者から中間取引者への発注伝票を発行する」(【0008】)、「商品IDで特定されるある商品について、ある中間取引 者がその商品を購入する先の上流取引者およびその上流取引者が当該商品を販売する第1の販売価格を取引設定情報記憶部および価格記憶部に登録しておくことにより、取引管理システムは、下流取引者から発注があった場合に、中間取引者と上流取引者との間の商品の販売価格も把握することができる。そのため、下流取引者から中間取引者への発注伝票を発行する だけでなく、中間取引者から上流取引者への発注伝票も自動的に発行することができる。」(【0009】)、「発注管理部118は、下流取引者の下流取引者IDおよび商品IDをキーとして、取引設定情報記憶部144および価格記憶部146から、その商品を当該下流取引者に販売する発注先の中間取引者の中間取引者IDおよび販売価格も発注情報として取得する。」 (【0045】)等の記載を併せ考慮すれば、本件発明における商品取引においては、下流者から上流者の間において特定の商品について段階的な売買取 者IDおよび販売価格も発注情報として取得する。」 (【0045】)等の記載を併せ考慮すれば、本件発明における商品取引においては、下流者から上流者の間において特定の商品について段階的な売買取引が行われることを前提に、当該取引段階ごとに商品情報と価格情報が一体となった発注情報を作成することが想定されていると解することができる。 したがって、これらの各記載からすれば、本件発明において「中間取引 者」とは、商品受取者である「下流取引者」及び商品発送者である「上流取引者」という各末端取引者の中間に介在して、特定の商品について段階的な売買取引、すなわち下流取引者から対象商品の売買について発注を受け、それを踏まえて上流取引者に当該商品の売買について発注を行う者のことを意味するということができる。 イ被告システムの構成及び当てはめ前提事実⑸及び⑹とおり、被告システムはふるさと納税制度に係るものであるところ、証拠(甲3、14、乙1、2、5)及び弁論の全趣旨によれば、被告システムは、寄附者が、寄附をする地方団体及び返礼品を選択した上で、寄附者入力画面に寄附者情報(寄附者の氏名、メールアドレス、 電話番号、住所等)を入力して寄附の申込みを行うと、地方団体及び事業者にそれを通知するメールを送付するとともに、寄附者に寄附の申込みが完了した旨のメールを送付するものであること、上記の地方団体及び事業者に送付されるメールには、寄附者情報、返礼品の情報及び寄附額等が記載されていること、また、上記の地方団体及び事業者に送付されるメール を受信後、地方団体は、寄附者へ寄附金の受領書等を郵送する事務処理を行い、事業者は、寄附者に返礼品を引き渡す準備をするものとされているのに対し、地方団体から事業者に対して格別の通知を行 ール を受信後、地方団体は、寄附者へ寄附金の受領書等を郵送する事務処理を行い、事業者は、寄附者に返礼品を引き渡す準備をするものとされているのに対し、地方団体から事業者に対して格別の通知を行うことは予定されていないことが認められる。 ところで、前提事実⑸で認定したとおり、ふるさと納税制度とは、本来 地方税法上の税制上の措置であり、ふるさと納税として行われる寄附も、経済的利益の無償の供与という性質を有するものであるから、それ自体が商品取引を意味するものでないことは明らかである。また、ふるさと納税に係る寄附金の受領に伴い行われる返礼品の提供についても、ふるさと納税制度における税制上の措置とは別に、地方団体が、寄附者に対するいわ ば御礼(返礼)として、物品、役務等の提供を行うものであって、その性 質は寄附金と対価関係を有しない無償行為にとどまるというほかなく、寄附者との間に返礼品について売買取引(ないし少なくともその他の有償取引)があると認めることはできない。 そうである以上、地方団体は、寄附者との間で特定の商品について売買取引、すなわち下流取引者から対象商品の売買について発注を受ける中間 取引者に該当するということはできない。 また、以上の点をおき、前記被告システムの内容からすれば、寄附者の申込により寄附者情報、返礼品の情報及び寄附額等が記載されたメールが地方団体及び事業者に送付されているところ、仮にこれらのメールをもって商品の発注指示が含まれるものと解したとしても、被告システムにおい ては、地方団体が当該発注情報を受領した上で事業者に対して通知等を行うことは予定されていない。そうすると、寄附者による発注指示を受けて、当該メールを受領した事業者において寄附者に商品提供するという関 ては、地方団体が当該発注情報を受領した上で事業者に対して通知等を行うことは予定されていない。そうすると、寄附者による発注指示を受けて、当該メールを受領した事業者において寄附者に商品提供するという関係が認められるとしても、これに加えて、地方団体が、寄附者と事業者との中間に介在して、寄附者からのメールを踏まえて事業者に対して商品の発注 指示を行うものと認めることはできない。 したがって、被告システムの具体的内容に照らしても、地方団体は、「下流取引者」からの発注指示を受けて「上流取引者」に発注指示を行う段階的な商品取引者ということはできず、本件発明の「中間取引者」に該当すると認めることはできない。 以上によれば、被告システムが「中間取引者」に相当する構成を備えているとは認められない。 ウ原告らの主張についてこれに対し、原告らは、ふるさと納税に係る返礼品の提供に関する取引においては、①寄附者と地方団体、②地方団体と事業者という二段階の取 引が行われており、地方団体は「中間取引者」に該当すると主張する。 しかしながら、原告らが主張する前記①の寄附者と地方団体との関係とは、前記のとおり、経済的利益の無償の供与である寄附金と、これと対価関係を有しない無償行為としての返礼品の交付をする関係であるのに対し、前記②の地方団体と事業者との関係とは、受取人を寄附者とする返礼品の売買取引を行うという異質の関係であって、両者が段階的な売買取引の関 係にあるということはできない。そうすると、上記①及び②のような関係を踏まえても、地方団体が本件発明における「中間取引者」に該当するということはできない。 なお、原告らは、本件明細書において、「中間取引者」を「卸業者」、「小売業者」又は「販売仲介者」に限定する旨の 踏まえても、地方団体が本件発明における「中間取引者」に該当するということはできない。なお、原告らは、本件明細書において、「中間取引者」を「卸業者」、「小売業者」又は「販売仲介者」に限定する旨の記載はないこと、本件明細書には、「中間取引者」が商品の送付に直接関与しない実施例も記載されていることから、本件発明の「中間取引者」とは、上記以外の主体も含まれる概念であるとも主張するが、「中間取引者」の意義については前記アで説示したとおりであって、原告らの指摘する本件明細書の記載を考慮に入れても、地方団体が「中間取引者」に含まれると解すべき理由はない。 したがって、原告らの上記主張は採用することができない。 ⑵ 小括以上によれば、被告システムは、構成要件AないしCを充足するとは認められないから、本件発明の技術的範囲に属するということはできない。 第5 結論 よって、その余について判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 澁谷勝海 裁判官 塚田久美子 裁判官木村洋一は、転補につき署名押印することができない。 裁判長裁判官 澁谷勝海 (別紙)被告システム目録被告の「店舗型ふるさ 判官 澁谷勝海 (別紙)被告システム目録 被告の「店舗型ふるさと納税®ふるさとズ」の事業に使用される情報システム。
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