19む1177千葉地裁平成19・7・27316条の20第1項棄却 主文 本件裁定の申立てを棄却する。 理由 申立ての趣旨及び理由本件裁定の申立ての趣旨及び理由は,弁護人ら作成の証拠開示命令請求書記載のとおり(ただし,同書面「請求の理由」第1記載のビデオテープについては,裁定請求が取り下げられている。)であり,その要旨は,A及びBに対する各不起訴裁定書(以下「本件各不起訴裁定書」という。)がいずれも刑事訴訟法(以下,単に「法」という。)316条の20第1項に該当するが,検察官がその開示に応じていないので,上記各証拠の開示を求めるというものである。 当裁判所の判断(1)弁護人らは,本件公判前整理手続において,検察官は,A及びBを不起訴処分として釈放すれば両名が国外退去することを十分に予見しながら,ことさらそのような事態を利用しようとして,両名を不起訴処分としたものであるから,その各検察官面前調書は,法321条1項2号前段書面として証拠請求することが手続的正義の観点から公正さを欠くと認められ,証拠能力が認められない(最高裁判所平成7年6月20日判決・刑集49巻6号741頁参照),両名の第1回公判期日前の各証人尋問調書についても,上記最高裁判例の趣旨にかんがみ証拠能力が認められない旨主張し,上記主張の根拠の1つとして,検察官が,A及びBに対する覚せい剤取締法違反等の嫌疑が明白かつ十分であり,重大なものであったにもかかわらず,両名を不起訴処分とした事実を主張し,これに対し検察官は,両名の供述状況を公訴維持上の観点を含めて検討した結果不起訴としたもので,ことさらに両名の強制退去を利用しようとして上記各調書を作成したものではない旨主張している。 そして,一件記録及び当事者の主張に照らすと,A及びBが,いずれも平成1 めて検討した結果不起訴としたもので,ことさらに両名の強制退去を利用しようとして上記各調書を作成したものではない旨主張している。 そして,一件記録及び当事者の主張に照らすと,A及びBが,いずれも平成18年11月11日に逮捕され,翌同月12日に勾留されたこと,同月27日にはBの,翌同月28日にはAの取調べがそれぞれ行われてそれぞれその検察官面前調書が作成されたこと,その後,検察官が上記両名を不起訴処分とし,同年12月1日,両名を釈放して同日東京入国管理局に引き渡したことについては,いずれも動かし難い事実として各当事者が前提としている。したがって,A及びBの出国に至るまでの客観的外形的事実は,当事者の攻防の対象となっていない。 (2)アそこで,(1)の諸点をもとに,本件申立ての当否について検討するに,まず,Aは,本件で共犯者として公訴事実に掲げられているにもかかわらず不起訴処分となっていることからすると,検察官の起訴裁量の内容が,弁護人の前記・の主張に関連して問題となることは否定できず,一般に不起訴裁定書が不起訴処分に伴う検察官その他の処分の結果及び指揮の内容を明らかにするものであることからすると,Aに関する不起訴裁定書が弁護人の上記主張に関連しないということはできない。 他方,Bは本件の公訴事実に共犯者として掲げられておらず,Aとの処遇の違いも考慮すると,嫌疑なし,ないしは嫌疑不十分として不起訴処分となったことが優にうかがわれるのであり,そうすると,検察官の起訴裁量の余地は乏しく,その内容が弁護人の前記主張に関連する程度は極めて低いといわざるを得ない。 イところで,Aに関する不起訴裁定書に相応の関連性が認められるとしても,同不起訴裁定書はあくまでもAに対する不起訴処分の内容が記載されたものであり,被告人に対する捜査及び公訴維持の方針等が ない。 イところで,Aに関する不起訴裁定書に相応の関連性が認められるとしても,同不起訴裁定書はあくまでもAに対する不起訴処分の内容が記載されたものであり,被告人に対する捜査及び公訴維持の方針等が直接に記載されているものとは考えられないから,その内容は,特段の事情のない限り,弁護人らの防御に資する事情とはならないというべきであり,この点はBに関する不起訴裁定書についても同様である。 また,A及びBの不起訴処分に至る経緯については,両名の担当検察官を検察官が証人申請していて,これが取り調べられる見込みであり,その証人尋問が被告人に対する捜査及び公訴維持の方針等に関する最も直接的な証拠となるべきものであることからすれば,それ以上に本件各不起訴裁定書についてまで開示する必要性は乏しいといわざるを得ない。 ウ加えて,本件各不起訴裁定書は検察の内部資料として本来的に開示が予定されているものではなく,捜査の秘密や,A及びBを含む関係者のプライバシーに関する情報が記載されている可能性があることからすると,これらを開示した場合に生じるおそれのある弊害も軽視することができない。 (3)以上検討したとおり,弁護人の主張との関連性の程度,必要性の程度及び開示することにより生じるおそれのある弊害等を考慮すると,本件各不起訴裁定書を開示することが相当とは認められないので,法316条の20第1項の要件を満たさない。 よって,本件裁定の申立てには理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官・彦坂孝孔,裁判官・鈴木雄輔,裁判官・山岸秀彬)
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