- 1 - 主文 1 原告が、被告に対し、期間の定めのない労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告は、原告に対し、531万0441円及びうち別表「賃金額」欄記載の 各金員に対する同「支払日」欄記載の各日(ただし「6月10日」を「6月28日」と訂正する。)の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は、原告に対し、令和2年1月17日以降本判決確定に至るまで毎月17日(同日が国民の祝日に当たるときはその翌日)限り37万1576円及び これに対する各支払日の翌日から各支払済みまで支払日の翌日が同年4月1日より前の場合は年5分の割合による、支払日の翌日が同日以降の場合は年3パーセントの割合による金員を支払え。 4 被告は、原告に対し、令和2年6月30日以降本判決確定に至るまで毎年6月30日限り76万9130円及び毎年12月10日限り82万5551円並 びにこれに対する各支払日の翌日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 5 原告のその余の請求を棄却する。 6 訴訟費用は、被告の負担とする。 7 この判決は、第2項ないし第4項に限り仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 主文第1項及び第4項同旨 2 被告は、原告に対し、531万0441円及びうち別表「賃金額」欄記載の各金員に対する同「支払日」欄記載の各日の翌日から支払済みまで年5分の割 合による金員を支払え。 - 2 - 3 被告は、原告に対し、令和2年1月17日以降本判決確定に至るまで毎月17日限り37万1576円及びこれに対する各支払日の翌日から各支払済みまで支払日の翌日が 金員を支払え。 - 2 - 3 被告は、原告に対し、令和2年1月17日以降本判決確定に至るまで毎月17日限り37万1576円及びこれに対する各支払日の翌日から各支払済みまで支払日の翌日が同年4月1日より前の場合は年5分の割合による、支払日の翌日が同日以降の場合は年3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は、被告との間で有期労働契約を締結し教育職員として勤務していた原告が、被告に対し、①契約期間が満了した平成29年3月1日以降引き続き労働に従事したことから、民法629条1項前段により期間の定めのない労働契約として法定更新された、②上記法定更新により3年間の有期労働契約として 法定更新されたとしても、令和2年3月1日からの期間の定めのない労働契約締結の申込みをしたから、労働契約法(以下「労契法」という。)18条1項により期間の定めのない労働契約へ転換された、③上記労働契約につき2年間の有期労働契約として更新の合意がされたとしても、同法19条2号により平成31年3月1日から2年間の有期労働契約として更新され、その後、令和3 年3月1日からの期間の定めのない労働契約締結の申込みをしたから、同法18条1項により期間の定めのない労働契約へ転換されたなどと主張して、次の各請求をする事案である。 ⑴ 期間の定めのない労働契約上の権利を有する地位にあることの確認請求(請求1、主文第1項) ⑵ 上記労働契約及び民法536条2項に基づくア別表記載の平成31年3月から同年12月までの本給と期末手当等の合計531万0441円の賃金請求及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで平成29年法律第44号に基づく改正前の民法(以下「改正前民法」という。) 3月から同年12月までの本給と期末手当等の合計531万0441円の賃金請求及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで平成29年法律第44号に基づく改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求(請 求2) - 3 -イ令和2年1月以降本判決確定まで毎月17日限り37万1576円の本給の賃金請求及び令和2年4月1日より前に支払日が到来する賃金に対する改正前民法所定の年5分の割合による、同日以降に支払日が到来する賃金に対する民法所定の年3%の割合による遅延損害金請求(請求3)ウ令和2年6月以降本判決確定まで毎年6月30日限り76万9130円 及び毎年12月10日限り82万5551円の期末手当等の賃金請求及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金請求(請求1、主文第4項) 2 前提事実(争いのない事実並びに各掲記の証拠〔枝番があるものは、特記しない限り枝番を含み、被告提出の書証は「乙1」等と表記する。以下同じ。〕 及び弁論の全趣旨により認定した事実) 当事者等ア被告等 被告は、平成16年4月1日に設立された国立大学法人である。 原告の雇用に関係する時期の被告の医学部長は、次のとおりである (甲9)。 平成21年4月1日~平成25年3月31日 B教授(以下「B教授」、「B医学部長」等といい、被告関係者を初出後同様に表記する。)同年4月1日~平成29年3月31日 C教授同年4月1日~令和元年9月30日 D教授 イ原告 原告は、●●国籍の男性であり、昭和60年9月、カリフォルニア大学ロサンゼルス校言語学部を 3月31日 C教授同年4月1日~令和元年9月30日 D教授 イ原告 原告は、●●国籍の男性であり、昭和60年9月、カリフォルニア大学ロサンゼルス校言語学部を卒業し、言語学学士の学位を取得した(甲7、44、95)。 原告は、平成元年に日本人と婚姻し、平成6年2月頃から日本に居住 し、平成19年2月に永住許可を得た。原告は、来日後、妻と共に喫茶 - 4 -店や英語教室を経営し、平成12年9月に有限会社E(以下「E社」という。)を設立して、代表取締役として上記業務に従事していた。(甲6、44、126) 原告は、後記⑵のとおり、平成23年3月1日から平成31年2月28日までの間、被告医学部において、教育職員(助教)として勤務した (甲1~3)。 ⑵ 労働契約の締結及び更新状況ア労働契約の締結被告は、平成23年3月1日、B医学部長から原告に対し、労働条件通知書(甲1の1)、同英訳文(甲1の2)及び人事異動通知書(甲1の3) を交付し、原告と被告との間で、次の内容を含む労働契約(以下「本件労働契約」という。)を締結した(甲1)。 契約期間a 平成23年3月1日~平成26年2月28日b 契約更新しない なお、労働条件通知書には、不動文字で、契約を更新する場合の判断基準として、①契約期間満了時の業務量、②勤務成績等、③大学の経営状況、④特定の研究計画に基づき雇用された者にあっては当該研究経費の予算状況が記載されているが、英訳文には、対応する記載はない。 就業場所(当面の場所) 長崎大学助教大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座 業務内容(当面の 経費の予算状況が記載されているが、英訳文には、対応する記載はない。 就業場所(当面の場所) 長崎大学助教大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座 業務内容(当面の内容) 配属部署において提示 勤務時間等a フレックスタイム制 b 休日等土曜日、日曜日、祝日法による休日、12月29日~1月 - 5 -3日(休日を除く。) 給与a 61号俸(詳細は長崎大学職員給与規程による。)b 諸手当扶養手当、地域手当、住居手当、通勤手当、単身赴任手当等(詳細は長崎大学職員給与規程による。) c 給与締切日毎月末日d 給与支払日毎月17日(詳細は長崎大学給与の支払に関する細則による。) 試用期間採用の日から6月(試用期間中の給与は同額)イ平成26年3月1日付け更新(甲2) 原告と被告は、平成26年3月1日付けで、契約期間を同日から平成29年2月28日まで(契約更新しない)として、本件労働契約を更新した(以下「1回目更新」という。)。労働条件等は、勤務時間が裁量労働制となり、長崎大学助教大学院医歯薬学総合研究科生命医科学講座に配置換えされたほかは、上記アと同様である。 被告は、1回目更新の際、原告に対し、労働条件通知書及び人事異動通知書(以下「労働条件通知書等」という。)を交付したが、英訳文は添付しなかった。 ウ平成29年3月1日付け更新(甲3、4) 被告は、原告に対し、平成29年3月1日付け労働条件通知書(甲3 の1)及び人事異動通知書(甲3の2)を交付した。同労働条件通知書には、契約期間につき同日から平成3 新(甲3、4) 被告は、原告に対し、平成29年3月1日付け労働条件通知書(甲3 の1)及び人事異動通知書(甲3の2)を交付した。同労働条件通知書には、契約期間につき同日から平成31年2月28日まで(契約更新しない)と記載され、同人事異動通知書には、任期を平成31年2月28日までとして、雇用を更新する旨が記載されている。 本件労働契約は、平成29年3月1日から更新され(以下「2回目更 新」という。ただし、法定更新によるか合意更新によるか、更新後の期 - 6 -間の定めの有無及び期間については、当事者間に争いがある。)、原告は、平成29年4月1日付けで、長崎大学助教生命医科学域に配置換えされた(甲4)。 ⑶ 本件労働契約の更新拒絶等ア更新拒絶の通知 被告は、平成30年11月13日、D医学部長から、原告に対し、「英語学習プログラムをe ラーニングに替えるので、あなたの契約は更新されず、来年2月28日が最後の就労日になる。あなたはとてもいい仕事をしていると聞いていたので、とても残念です。」などと告げ、平成31年3月1日以降、本件労働契約を更新しない旨(以下「本件雇止め」という。) を通知した。 イ労働契約更新に向けた交渉原告は、平成31年1月頃、長崎大学教職員組合(以下「教職員組合」という。)に加入し、同組合は、同年2月19日及び同月26日、原告の雇用の継続を求めて団体交渉した。また、同組合は、同年3月12日、被 告に対し、原告が本件雇止めは無効であり出勤したいと考えている旨を通知した(甲39)。 ⑷ 期間の定めのない労働契約締結の申込み(労契法18条1項、顕著な事実)ア原告は、被告に対し、令和2年1月15日送達の本件訴状をもって、 出勤したいと考えている旨を通知した(甲39)。 ⑷ 期間の定めのない労働契約締結の申込み(労契法18条1項、顕著な事実)ア原告は、被告に対し、令和2年1月15日送達の本件訴状をもって、本件労働契約につき、同年3月1日からの期間の定めのない労働契約締結の 申込みをした。 イ原告は、被告に対し、令和2年9月24日、本件第1回弁論準備手続期日において、本件労働契約につき、令和3年3月1日からの期間の定めのない労働契約締結の申込みをした。 第3 当事者の主張等 1 原告の主張 - 7 -⑴ 本件労働契約の存否に関する主位的主張ア請求原因 法定更新(民法629条1項前段)原告は、1回目更新による労働契約の契約期間が満了した平成29年2月28日の後も、引き続き、被告医学部において、従前同様の労働に 従事したから、本件労働契約は、同年3月1日以降も、民法629条1項により更新された。 期間の定めのない労働契約a 本件労働契約は、民法629条1項により、期間の定めのない労働契約として更新された。 b 本件労働契約が、民法629条1項により、契約期間についても従前と同一の条件で更新されたとした場合、平成29年3月1日から令和2年2月29日まで3年間の有期労働契約として更新された。 原告は、令和2年1月15日、被告に対し、前提事実⑷アのとおり、令和2年3月1日からの期間の定めのない労働契約締結の申込みをし たから、本件労働契約は、労働契約法18条1項により、期間の定めのない労働契約に転換された。 イ 2回目更新合意の成立(抗弁)について被告は、後記2⑴イのとおり、2回目更新に たから、本件労働契約は、労働契約法18条1項により、期間の定めのない労働契約に転換された。 イ 2回目更新合意の成立(抗弁)について被告は、後記2⑴イのとおり、2回目更新について、原告との間で、契約期間を平成29年3月1日から平成31年2月28日までの2年間とし て更新するとの合意(以下「2回目更新合意」という。)をした旨主張するが、次のとおり、2回目更新合意が成立したとは認められない。 労働条件通知書等の交付についてF教授が、原告に対し、2回目更新について最初に話をしたのは、平成29年3月15日であり、労働条件通知書等を交付したのは、同月2 1日であった。 - 8 - 2回目更新合意の成立について原告が、平成29年2月28日までに、労働条件通知書等を受領したとしても、次のとおり、その内容に合意したとはいえず、2回目更新合意の成立は認められない。 a 原告は、労働条件通知書等を受領した際、署名押印をしておらず、 単に受領したにとどまる。また、英訳文は添付されていなかった。 b 原告は、日本語を母国語とせず、その日本語能力は、日常会話ができる程度で、契約書等の高度な内容を正確に理解することはできず、労働条件通知書等を理解することはできなかった。契約期間についても、元号標記は外国人にとってなじみがなく、理解することはできな かった。 c 契約期間が従前の3年間から2年間に変更されたことは、労働条件の不利益変更に当たり、労契法4条1項や、労働者の自由意思に基づくことを認めるに足りる合理的理由が客観的に存在することを要するとする判例(最高裁判所平成28年2月19日第二小法廷判決・民集 70巻2号 更に当たり、労契法4条1項や、労働者の自由意思に基づくことを認めるに足りる合理的理由が客観的に存在することを要するとする判例(最高裁判所平成28年2月19日第二小法廷判決・民集 70巻2号123頁等)の趣旨が妥当する。 しかし、被告は、原告に対し、労働条件通知書等を交付した際、英訳文を添付せず、契約期間の変更について口頭の説明もしなかったから、原告が上記労働条件の変更に合意したとは認められない。 ウ 2回目更新合意の無効(再抗弁) 次のとおり、2回目更新合意は、被告が、労契法18条1項を潜脱し、無期転換権の発生を回避するため、契約期間を2年と変更してされたものであり、同条項の趣旨に反するから無効である(労契法3条4項、5項、民法1条2項、3項)。 被告は、平成25年2月12日、平成24年法律第56号による労契 法改正(以下「本件改正」という。)への対応として、有期労働契約の - 9 -通算契約期間を5年以下として無期転換権の発生を回避する方針(以下「本件方針」という。)を定め(甲26)、本件方針に基づき、非常勤講師の契約期間に上限を設ける旨の教務委員会の申合せをし(甲27)、平成26年3月28日、「長崎大学有期労働契約職員の契約期間に関する規程」を定め(同年4月1日施行)、有期労働契約職員の契約期間に ついて、平成25年4月1日以降を始期とする契約期間を通算して5年を超えることはできないものと規定した(甲28)。 被告は、本件方針に基づき、無期転換権の発生を回避するため、2回目更新合意の際、契約期間を2年間とした。 そのことは、上記改正後の労契法18条が、施行日(平成25年4月 1日)以後を契約期間の初日とする有期雇用契約に適 生を回避するため、2回目更新合意の際、契約期間を2年間とした。 そのことは、上記改正後の労契法18条が、施行日(平成25年4月 1日)以後を契約期間の初日とする有期雇用契約に適用され(上記改正附則2条)、2回目更新の契約期間が3年の場合、同条が適用されるのに対し、2年の場合、適用されないこと、2回目更新の時点では、後記被告主張のeラーニング導入や原告の業務量の減少等は想定されておらず、契約期間を短縮する合理的理由がないことから明らかである。 ⑵ 本件労働契約の存否に関する予備的主張(2回目更新合意を前提として)ア本件労働契約の更新(労契法19条2号)2回目更新合意が有効であるとしても、本件労働契約は、次のとおり、労契法19条2号により、平成31年3月1日から2年間の有期労働契約として更新(以下「3回目更新」という。)された。 更新の申込み原告は、被告に対し、前提事実⑶イのとおり、教職員組合を通じて、平成31年2月の団体交渉等の際に、本件労働契約の更新の申込みをし、また、同年3月12日、本件労働契約の期間満了後遅滞なく有期労働契約締結の申込みをした。 更新の合理的期待(労契法19条2号) - 10 -次のとおり、原告は、平成29年2月28日時点(本件雇止め時)において、本件労働契約の更新について合理的期待を有していた。 a 常用性原告は、医学科の必修科目として恒常的に開講されている「医学英語」を担当していた。同科目は、原告らが担当を開始した平成23年 度から、授業内容を刷新して、同年度の1年生から持ち上がり方式がとられた。 原告は、上記担当科目以外にも、医学 英語」を担当していた。同科目は、原告らが担当を開始した平成23年 度から、授業内容を刷新して、同年度の1年生から持ち上がり方式がとられた。 原告は、上記担当科目以外にも、医学科及び保健学科の授業、海外基礎研修・海外臨床研修に参加する学生の選考やサポート、各種英語試験の対策講座、英会話のグループ・セッション、被告職員による英 語文書作成や国際会議開催の援助、NU-Mindsの作成・管理、医学科のグローバルヘルス研究医枠入試の面接を担当するなど、被告において、恒常的かつ重要な業務を担っていた。 b 更新の回数、雇用の通算期間本件労働契約は2回更新され、通算期間は8年に及んでいる。この 点、労働条件通知書には、契約更新しない旨が記載されているが、被告は、原告に対し、同記載の意味内容を説明しておらず、同記載にもかかわらず、2回にわたって契約を更新した。 c 雇用期間管理の状況被告は、原告に対し、雇用期間満了後に、契約を更新する旨の文書 を交付しており、契約期間の管理は杜撰であった。 d 雇用継続を期待させる被告の言動等 本件労働契約締結時の言動被告は、複数の応募者を面接して厳正に審査をした上で、原告を選考し、詳細な履歴書や証明書の提出を求めた。 B教授(当時医学部長)は、採用面接の際、原告に対し、「10 - 11 -年くらいはやってもらいたいと考えている。」などと、長期雇用を前提とした発言をした。 また、被告は、原告に対し、選考の過程で、E社の大学受験コースの閉鎖を求め、選考後、就労開始前に、同代表取締役及び取締役の辞任を求め、原告はこれらに応じた。 とした発言をした。 また、被告は、原告に対し、選考の過程で、E社の大学受験コースの閉鎖を求め、選考後、就労開始前に、同代表取締役及び取締役の辞任を求め、原告はこれらに応じた。 ⒝ 本件労働契約の内容本件労働契約には、採用日から6か月間の試用期間が付されていた。試用期間は、通常、無期労働契約に付されるものである。 また、初回及び1回目更新時の契約期間は、労働基準法14条1項所定の有期労働契約の契約期間の上限であり、長期の必要性が想 定されていた。 ⒞ 更新時の言動等原告の業務量は、採用時から徐々に増えていたところ、原告は、2回目の更新時に、被告から更新後は業務が増えることを予告され、更新後、実際に増加した。 合理性及び相当性の欠如(労契法19条柱書)次のとおり、本件雇止めによる更新拒絶には、客観的合理性及び相当性がない。 a e ラーニングの導入について被告は、e ラーニング導入後も、別の外国人教員に「医学英語」の 授業を担当させており、外国人教員による授業を必要としていた。 原告は、e ラーニング・システム(NU-Minds)を構築・運用してきた実績を有し、同システムについて、後任者よりも高い知識や技術を有していた。 b ネイティブ・スピーカーによる教育について 被告医学部医学科では、原告らの採用時に初めて、外国人専任教員 - 12 -による「医学英語」の授業が開始されたところ、同科のパンフレットには、ネイティブ・スピーカーによる「医学英語」が特色として挙げられ、本件雇止め後もその記載に変わりはない。 教員 - 12 -による「医学英語」の授業が開始されたところ、同科のパンフレットには、ネイティブ・スピーカーによる「医学英語」が特色として挙げられ、本件雇止め後もその記載に変わりはない。 c 「医学英語」の授業以外の原告の業務について原告は、上記aのとおり、「医学英語」以外にも、恒常的かつ重 要な多数の業務を担当しており、それらはe ラーニング導入後も引き続き必要であった。 d 本件雇止めの労契法18条1項の潜脱上記⑴ウのとおり、本件雇止めは、無期転換権の発生回避を目的とするものであり、同条項を潜脱するものであった。 e 被告の対応について被告は、後記2⑵アdのとおり主張するが、自主的に原告の配属先を見つけようとしたことはなかった。 イ期間の定めのない労働契約への転換原告は、令和2年9月24日、被告に対し、前提事実⑷イのとおり、令 和3年3月1日からの期間の定めのない労働契約締結の申込みをしたから、本件労働契約は、労働契約法18条1項により、期間の定めのない労働契約に転換された。 ⑶ 賃金額等原告の平成31年3月1日以降の賃金は、次のとおりである。 ア本給本給月額は、本件雇止め前の直近3か月の本給支給額(甲5)の平均である37万1576円と算定すべきである。 本給の支給日は毎月17日であるが、支給日が日曜日に当たるときは、その前々日、土曜日に当たるときは、その前日であり、休日に当たるとき は、その翌日である(甲24)。 - 13 -イ期末手当等勤勉手当及び期末手当は、それぞれ本件雇止め前の直近3年間の支給額の 、その前日であり、休日に当たるとき は、その翌日である(甲24)。 - 13 -イ期末手当等勤勉手当及び期末手当は、それぞれ本件雇止め前の直近3年間の支給額の平均である76万9130円及び82万5551円と算定すべきである。 勤勉手当の支給日は毎年6月30日、期末手当の支給日は毎年12月10日であるが、支給日が日曜日に当たるときは、その前々日、土曜日に当 たるときは、その前日である(甲24)。 2 被告の主張⑴ 本件労働契約の存否に関する主位的主張についてア請求原因について後記イのとおり、2回目更新は合意に基づくものであり、法定更新(民 法629条1項)によるものではない。 イ 2回目更新合意の成立(抗弁)次のとおり、原告と被告は、平成29年2月28日までの間に、契約期間を同年3月1日から平成31年2月28日までの2年間として、本件労働契約を更新するとの合意(2回目更新合意)をした。 労働条件通知書等の交付被告は、平成29年1月5日、上記2年間の契約期間(更新なし)で原告を雇用することを承認し、同月30日、労働条件通知書等を作成して、原告が所属する医学部医学科先端医育センター長であるF教授に交付し、F教授は、秘書を通じて、同日かその翌日又は同年2月15日か ら同月22日までの間に、原告に対し上記各文書を交付した。 2回目更新合意の成立次のとおり、原告は、上記労働条件通知書等の内容を理解していたから、平成29年2月中には、2回目更新合意が成立した。 a 原告は、当時、約37年間の日本語学習歴を有し、日本人の妻と婚 姻して、約23年間、日本で生 通知書等の内容を理解していたから、平成29年2月中には、2回目更新合意が成立した。 a 原告は、当時、約37年間の日本語学習歴を有し、日本人の妻と婚 姻して、約23年間、日本で生活してきたこと、約6年間の被告での - 14 -業務の中で、日本人の教職員や学生と日本語で書面やメールをやり取りしてきたこと等から、上記労働条件通知書等の内容を理解できる程度の日本語の読解能力を有していた。 b 特に労働条件通知書(甲3の1)記載の「平成29年3月1日~平成31年2月28日」との契約期間については、年月日の表記方法が 日本語の初歩的な学習事項であり、原告は、被告における業務の中で、元号標記を用い、成績表の作成やメールの送受信をしていたことからすれば、元号標記を理解し、契約期間が2年間であることを認識していたことは明らかである。 ウ 2回目更新合意の効力(再抗弁)について 次のとおり、2回目更新合意は、労契法18条1項の潜脱目的で契約期間を2年としたものではなく、無効事由はない。 本件方針は、労契法18条に適切に対応するため、業務内容等により学長が特に必要と認める場合に5年を超えて雇用することができる旨も定めており、同条の潜脱目的で定めたものではない。 2回目更新合意において契約期間を2年としたのは、平成29年3月以前に、次期医学部長候補であったD教授から「医学英語」へのeラーニング導入の方針等が示されていたことなどを考慮したものであり、無期転換権の発生回避を目的としたものではない。 ⑵ 本件労働契約の存否に関する予備的主張について ア本件労働契約の更新(労契法19条2号)について次のとおり、更新の合理的期待(同号 避を目的としたものではない。 ⑵ 本件労働契約の存否に関する予備的主張について ア本件労働契約の更新(労契法19条2号)について次のとおり、更新の合理的期待(同号)並びに客観的合理性及び相当性の欠如(同条柱書)の各要件は認められず、本件労働契約は期間満了により終了した。 更新の合理的期待(労契法19条2号)について 次のとおり、原告が、平成29年2月28日時点(本件雇止め時)に - 15 -おいて、本件労働契約の更新について合理的期待を有していたとはいえない。 a 常用性について「医学英語」は、原告雇用前から開講していた科目であり、原告を雇用した平成23年度から、担当教員を外国人専任教員に変更したに 過ぎず、新しい方式を採用したものではない。 原告は、英語のネイティブではなく、医学の素養や高等教育機関における英語教育の実績もないのであるから、「医学英語」の必要性及び重要性は、更新に対する合理的期待を基礎付けるものではない。 また、原告は、同科目以外に、恒常的に重要な業務を担当していた 旨主張するが、否認する。 b 更新の回数、雇用の通算期間労働条件通知書には「契約更新しない」と記載され、本件労働契約締結の際には、その英訳文(甲1の2)も交付されていたから、原告は、同記載の意味内容を認識していた。 c 雇用期間管理の状況について否認する。被告は、原告に対し、雇用期間満了前に労働条件通知書等を交付していた。 d 雇用継続を期待させる被告の言動等について 本件労働契約締結時の言動について は、原告に対し、雇用期間満了前に労働条件通知書等を交付していた。 d 雇用継続を期待させる被告の言動等について 本件労働契約締結時の言動について 採用面接や、履歴書、証明書の提出を求めたことは、更新に対する合理的期待を基礎付けるものではない。 採用面接の際のB教授の発言は否認する。そのような発言があったとしても、原告に対する期待を示すものに過ぎず、2回目更新の期間満了時には雇用期間は合計8年となり、更新されないとしても 同発言に反するものではないから、同発言は、更なる契約更新に対 - 16 -する合理的期待を基礎付けるものではない。 また、医学英語教育の担当教員に、経営会社における大学受験指導の継続を認めないことは合理的であり、常勤教員として業務に専念する義務を負う以上、会社経営をできないことは当然であるから、更新に対する合理的期待を基礎付けるものではない。 ⒝ 本件労働契約の内容について被告は、全有期雇用職員に対して試用期間を定めており、原告に対して特に試用期間を定めたものではなく、3年の有期雇用契約において6か月の試用期間を定めることは一般的である。 初回及び1回目更新時の契約期間を3年間としたのは、医学教育 が6年制であり、平成23年4月からの外国人専任教員による医学英語の成果を検証するには最低6年間が必要であったためである。 むしろ、原告は、その6年後以降の更新の際には、その成果が厳しく検証されることを認識していたはずである。 ⒞ 更新時の言動等について 否認する。 合理性及び相当性の欠如(労契法19条柱書)について が厳しく検証されることを認識していたはずである。 ⒞ 更新時の言動等について 否認する。 合理性及び相当性の欠如(労契法19条柱書)について次の諸事情によれば、本件雇止めによる更新拒絶について、客観的合理性及び相当性が欠如していたとはいえない。 a 原告の雇用目的 被告は、医学部において外国人専任教員による医学英語の授業を行うことを目的として、医学部定員増加に伴う運営費交付金を財源として、原告を含む外国人専任教員2名を雇用した。 b 原告の医学英語教育能力原告らによる医学英語の教育成果を検証した結果、特に、上記d ⒝のとおり、6年生が終了した平成29年4月以降、その実態と課題 - 17 -が見え始め、医学英語教育の担当能力に限界があることが判明した。 即ち、原告は、英語のネイティブではなく、医学の素養がなく医学英語に精通していないため、その担当授業は、一般英会話の水準を超えるものではなく、TOEIC対策しか行わず、期待した程の医学部生の英語能力の向上も認められず、学生からも、授業内容への疑問や役 に立っていないとの意見が出されていた。 c e ラーニングの導入 被告医学部では、グローバルな人材育成のための医学英語の充実、医学英語教育の体制整備が喫緊の課題とされ、その一環として、平成29年度から、医学英語eラーニングシステム(以下「eラーニ ング」という。)導入の検討を進め、株式会社G(以下「G社」という。)によるeラーニングのトライアルの実施、その検証等を経て、平成30年10月、平成31年4月から「医学英語」の授業にe ラーニングを導入することを決定した。 を進め、株式会社G(以下「G社」という。)によるeラーニングのトライアルの実施、その検証等を経て、平成30年10月、平成31年4月から「医学英語」の授業にe ラーニングを導入することを決定した。 ⒝ 被告医学部では、同年度から、「医学英語」において、eラーニ ングを導入して、全15回の授業のうち7回をこれにより実施し、医学用語の基本講義用の「MedicalTerminology」と、医学英語の基本知識及び医学英語論文等の読解方法の講義用の「医学英語論文」を教材とした授業を行った。また、eラーニングには、授業講座に加え、自主学習用の自主講座が用意され、メ ンターによる学習支援や、チューターとの双方向コミュニケーション等のサポート体制が整備されていた。このような医学英語教育は、原告では到底実現できないことであった。 ⒞ e ラーニングの導入後も、「医学英語」において、対面授業が併存したが、医学英語に特化した内容に変更し、eラーニングを中心 として、対面授業はそのフォローアップを目的とするものであり、 - 18 -担当教員も医学英語に精通している者が適任であることや、対面授業の数が減少し、専任教員を置く必要がないことを考慮し、被告熱帯医学グローバル研究科のリーディング大学院で英語教育を担当していたH助教に兼任させることした。 d 原告への説明、他の配属先の検討 被告は、平成30年11月13日、D医学部長及びF先端医育センター長において、原告に対し、平成31年度からeラーニングを導入し、これに伴い、本件労働契約の更新をしない旨を説明した。 被告医歯薬学総合研究科総務課の人事担当者は、同年2月8日、各部局の人事担当者に対し、任期満了となる原告 らeラーニングを導入し、これに伴い、本件労働契約の更新をしない旨を説明した。 被告医歯薬学総合研究科総務課の人事担当者は、同年2月8日、各部局の人事担当者に対し、任期満了となる原告ら外国人教員2名につ いて、外国人教員募集の有無を問い合わせたが、募集はなかった(乙A32)。 e 原告の主張について被告医学部医学科のパンフレットに、本件雇止め後も、ネイティブ・スピーカーによる「医学英語」が特色として記載されていることは、 修正漏れに過ぎず、専任教員による授業は行っていない。 原告が、「医学英語」以外に、恒常的かつ重要な多数の業務を担当していたこと、本件雇止めが労契法18条1項の潜脱であることについては、否認し争う。 イ期間の定めのない労働契約への転換について 争う。 ⑶ 賃金額等について算定の基礎とした賃金額及び支給日は認め、平成31年3月1日以降の賃金の発生は争う。 3 争点 上記各当事者の主張に照らせば、本件の主な争点は、次のとおりである。 - 19 -⑴ 2回目更新合意の成否及び効力(争点1)⑵ 3回目更新の成否(争点2)ア更新の合理的期待の有無(労契法19条2号)イ合理性及び相当性の欠如(同条柱書)第4 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実、各掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば次の各事実が認められる。 ⑴ 本件労働契約締結の経緯ア応募に至る経緯(甲46、47、126、A1、原告本人)原告は、被告とE社との間の請負契約に基づき、平成22年4月1日か ら平成23年3月31日までの間、長崎大学病院医師育成キャリア 募に至る経緯(甲46、47、126、A1、原告本人)原告は、被告とE社との間の請負契約に基づき、平成22年4月1日か ら平成23年3月31日までの間、長崎大学病院医師育成キャリア支援室において、医師を対象とした英会話教室を開講していた。 原告は、上記キャリア支援室室長の紹介で、B教授と面談し、平成22年11月頃、被告医学部の英語担当教員の求人に応募した。 イ採用過程(甲1、6、48、126、A1、2、乙28、原告本人) 原告は、平成22年12月2日、B教授(医学部長)及びI教授(医学部医学科教務委員長)による面接を受けた。 B教授は、同月14日、原告に対し、採用条件として、E社の大学受験生用コースの閉鎖が必要であることを伝え、原告は、これに応じた。 B教授は、翌15日、原告に対し、教授会で原告とJ(以下「J」とい う。)の採用が決定したことなどを伝えた。 被告医学部は、原告に対し、同月20日付け書面(甲48)により、「医学英語」担当助教(有期雇用)として採用することを決定した旨、雇用期間は平成23年4月1日から平成26年3月31日を予定している旨を通知し、採用手続に関して、履歴書等の書類の提出を求めるとと もに、原告がE社の代表取締役を辞任し、E社の大学受験用の英語コー - 20 -スを止める必要がある旨を伝えた。 その後、原告と被告との間で、カリキュラム作成等の開講準備のための日程調整を経て、同業務のため、雇用期間を平成23年3月1日から平成26年2月28日とすることが合意された。 原告は、平成23年1月31日、E社の代表取締役を辞任し、E社は、 次年度の大学受験用の英語コースを開講しないこととした。 平成26年2月28日とすることが合意された。 原告は、平成23年1月31日、E社の代表取締役を辞任し、E社は、 次年度の大学受験用の英語コースを開講しないこととした。 被告は、同年2月21日、原告の採用について決裁し、同年3月1日、原告に対し、前提事実⑵アのとおり、B教授から労働条件通知書等を交付した。その際、同教授は、労働条件通知書の英訳文の内容を口頭で伝えた。 ⑵ 原告の業務内容原告の業務内容は、別紙「原告の業務内容一覧」記載のとおりであり、原告は、「医学英語」以外にも、医学科及び保健学科の英語の授業を担当していた。また、被告職員による英語文書作成の補助や、平成24年度以降の海外基礎研修・海外臨床研修の学生の選考、平成29年度以降の大学入試(医 学科グローバルヘルス研究医枠)の面接などにも関与していた。 ⑶ 医学部における英語教育の概要ア方針(甲126、A24、乙A56、証人D、原告本人)医学部では、平成23年度の入学生から、4年次から5年次への進級の要件として、TOEICで750点を取得する方針を定めていたが、学生 の負担軽減や同進級要件を満たさない学生が多数見込まれたことから、平成26年度には、同進級要件を撤廃することとされた。 また、後記イのとおり、平成31年度からは、「医学英語」の授業において、G社のeラーニングが用いられるようになった。 イ 「医学英語」 概要(甲10~19、123~126、乙56) - 21 -平成22年度の「医学英語」は、医学科1年生から6年生が履修できる選択科目として、前期又は後期各1単位(全15コマ)で開講され、日本人の教員が担当していた。 6) - 21 -平成22年度の「医学英語」は、医学科1年生から6年生が履修できる選択科目として、前期又は後期各1単位(全15コマ)で開講され、日本人の教員が担当していた。 医学教育のグローバル化に対応するため、平成23年度の入学者から、「医学英語」は同科の必修科目となり、各学年につき、前期又は後期各 1単位(全15コマ)で開講された。同年度から平成30年度までは、原告とJとが、各年次の学生を前期又は後期の複数の組に分け、平成23年度の1年生から順次持ち上がりで担当していた。 平成31年度以降は、G社のeラーニングが導入され、年次毎に前期又は後期の一定の時期に集中して実施し(単位数は同じ)、対面授業は H助教が担当している。 原告による「医学英語」の授業内容等(甲11~18、40、101、102、126、A10、21、原告本人)原告による「医学英語」の授業は、各年次に応じて、医療用語の語彙から、英語の読み書き、スピーキング、プレゼンテーション、ディスカ ッション、ケーススタディ等実践的な英語の修得を内容とし、その題材として、医療に関する資料を取り入れていた。 また、平成25年度から平成27年度までの間、原告らが独自に開発したeラーニングシステムである「NU-Minds」(甲A10)を部分的に利用したり、平成28年度からは、単語学習用のアプリケーシ ョンである「QUIZLET」を利用して、解剖学に関する語彙の問題等を作成して、学習させるなどしていた。 平成31年度以降の「医学英語」の授業内容等(甲19、123~125、乙13)平成31年度以降の「医学英語」の授業は、eラーニングの導入を前 提として、年次毎に前期又は 平成31年度以降の「医学英語」の授業内容等(甲19、123~125、乙13)平成31年度以降の「医学英語」の授業は、eラーニングの導入を前 提として、年次毎に前期又は後期の一定の時期に集中して開講し、各1 - 22 -5回の授業のうち7回分及び終了テストをeラーニングを用いて自主学習により実施し、8回をH助教が担当する対面授業により実施することとされた。1年次の医学英語Ⅰでは、英語基礎力の強化、リーディング力、リスニング力の養成を到達目標とし、2ないし4年次の医学英語ⅡないしⅣでは、器官別のMedicalTerminologyを医 学英単語の構造から学び、医学英語ⅡないしⅣで全器官を網羅することで、医学英単語の語彙力を身に付けるとともに、医学英語論文の購読・要約を通じて、医学研究に必要な基礎知識を習得することを到達目標としている。 eラーニングを使用した授業等は、講義動画の視聴、Medical Terminologyチェックテスト、語彙テスト、要約練習、医学英語論文チェックテスト、終了テストの項目により構成され、終了テスト以外は、各自の端末を利用して、好きな時間に受講し、繰り返し学習することができる。 ウ 「国際医療英語」(甲13~19、123~125) 国際医療枠(グローバルヘルス研究医枠)の学生の必修科目として、平成25年度以降、開講され、平成30年度までは、原告とJが担当し、平成31年度以降は、H助教が担当している。 エ 「コミュニケーション・スキル・イン・イングリッシュ」(甲12~19、123~125) 平成24年度以降、複数の教員によるオムニバス形式の選択科目として、上記講義又は同様の名称の講義が開講され、外 ン・スキル・イン・イングリッシュ」(甲12~19、123~125) 平成24年度以降、複数の教員によるオムニバス形式の選択科目として、上記講義又は同様の名称の講義が開講され、外国人教員としては、平成30年度までは、原告とJが担当し、平成31年度以降は、H助教が担当している。 ⑷ 1回目更新等 ア有期雇用契約教員の再任手続の流れ(乙57、証人K) - 23 -被告医学部では、有期雇用契約教員の任期満了4か月前頃に、事務局から、所属教室等の長(主任教授等)に対し、対象教員の雇用更新の意向について照会し、更新を要する場合、同主任から事務局へ関係書類を提出し、医学部内で、雇用更新について決裁する。同決裁後、医学部から被告本部に上申して、被告本部において、雇用更新の決裁がされると、医学部事務 局及び所属教室等の長を経由して、労働条件通知書等が対象教員に交付される。 また、対象教員の雇用費用が、被告の経費から支出される場合、上記決裁前に、費用の支出について、被告本部の了承を得ることを要する。 イ 1回目更新手続(甲2、乙15、16、51、57) 被告は、平成23年度から、それまで選択科目であった「医学英語」を必修科目として外国人専任教員に担当させるため、医学部入学定員増に伴う運営費交付金を財源として、原告及びJを雇用することとし、原告との間で、本件労働契約を締結した。 被告は、原告との本件労働契約の更新(1回目更新)について、平成2 6年2月6日、上記運営費交付金を財源として雇用経費を負担することを承認した上、同月19日、雇用の更新及びこれに伴う配置転換について、決裁した。被告は、医学部事務局を経由して、当時、原告が配置されてい 年2月6日、上記運営費交付金を財源として雇用経費を負担することを承認した上、同月19日、雇用の更新及びこれに伴う配置転換について、決裁した。被告は、医学部事務局を経由して、当時、原告が配置されていた先端医育センター長のF教授に対し、同年3月1日付け労働条件通知書等を交付し、同教授は、その頃、原告に対し、これを交付した。 この点、原告は、1回目更新に際し、事前の意向確認はなかった旨主張し、これに沿う供述等(甲126、原告本人)をするが、上記アの通常の再任手続の流れに加え、通常、年度当初から、次年度のカリキュラム編成が進められ、2月頃には、担当教員による授業内容の作成等の準備が進められ(甲A1、2、証人K)、その前提として、任期満了後に更新し、次 年度の授業を担当するか否かは、その前に本人に意向確認がされると考え - 24 -られることからすると、原告についても、事前に更新の意向確認がされたと推認され、1回目更新は合意により成立したものと認められる。 ⑸ 本件方針等(甲26~31、34)ア被告は、平成25年2月12日、役員会において、本件改正への対応として、有期労働契約の最長雇用年数を原則5年とすることを基本とし、有 期雇用職員のうち、同年4月1日施行日前からの在職者については、期間満了後、必要に応じて5年を超えない範囲で有期雇用契約を更新できるものとすること、学長が特に必要と認めた場合に限り、5年を超えて雇用することができるものとすることなどを含む方針(本件方針)を定めた。 イ被告は、本件方針を踏まえて、平成25年3月18日、教務委員会にお いて、非常勤講師採用に関する申合せを改正した。 また、被告は、平成26年3月28日、「長崎大学有期労働契約職員の契約期間 本件方針を踏まえて、平成25年3月18日、教務委員会にお いて、非常勤講師採用に関する申合せを改正した。 また、被告は、平成26年3月28日、「長崎大学有期労働契約職員の契約期間に関する規程」を定め(同年4月1日施行)、有期労働契約職員の契約期間について、平成25年4月1日以降を始期とする契約期間を通算して5年を超えることはできないものと規定し、任期制教員の同日以降 を始期とする期間は上記契約期間に通算するものとすると規定した。 ウ被告は、教職員組合との団体交渉等を経て、平成29年12月5日、本件改正に伴う無期転換ルールに適切に対応するため、労働契約期間の上限を最長5年とする就業規則の規定を削除することなどを内容とする方針を定めて、本件方針を廃止し、平成30年4月1日、同方針に基づき、就業 規則を改正し、上記イの規程を廃止するなどした。 ⑹ 2回目更新手続ア被告の決裁手続(乙3、4)被告は、原告との本件労働契約の更新(2回目更新)について、平成29年1月13日、上記運営費交付金を財源として雇用経費を負担すること を承認した上、同月30日、雇用期間を平成29年3月1日から平成31 - 25 -年2月28日まで2年間として、雇用を更新するとの決裁をした。被告は、医学部事務局を経由して、当時、原告が配置されていた先端医育センター長のF教授に対し、同年3月1日付け労働条件通知書等を交付した。 イ原告に対する労働条件通知書等の交付(甲3、4、乙3、4)F教授は、平成29年1月31日頃、上記労働条件通知書等の交付を受 け、秘書を通じて、原告に対し、同年2月22日までの間に、これを交付した。その際、英訳文は添付せず、原告に対し、更新後の契約期間等 教授は、平成29年1月31日頃、上記労働条件通知書等の交付を受 け、秘書を通じて、原告に対し、同年2月22日までの間に、これを交付した。その際、英訳文は添付せず、原告に対し、更新後の契約期間等の内容について説明しなかった。 ウ上記労働条件通知書等の交付時期について(上記イの補足説明)有期雇用契約教員の通常の再任手続の流れは、前記⑷アのとおりであり、 通常、決裁後、医学部事務局及び所属教室等の長を経由して、速やかに、対象教員に労働条件通知書等が交付されるところ(乙57、証人K)、2回目更新につき、平成29年1月30日に決裁がされ、同月31日に部局に書類が送付されていること(乙4)からすると、同日頃には、F教授の下に、労働条件通知書等が交付されたと認められる。 原告は、同日、同年2月15日ないし17日、同月20日ないし22日は出勤し、同月の他の日は休日又は休暇を取得していたところ(乙53、54)、原告とF教授の部屋は近い位置にあり、同月16日には、休暇申請のため、F教授の秘書と接していること(甲126、乙54、原告本人)からすると、F教授が、秘書を通じて、同月22日までに、原告に対し、 労働条件通知書等を交付する機会があったことが認められる。そして、上記のとおり、通常、労働条件通知書等は、決裁後、速やかに対象教員に交付することとされ、原告に対して、特に異なる取扱いがされた形跡は見当たらないことからすると、同日までには、原告に対して、労働条件通知書等が交付されたと認められる。 この点、原告は、前記第3の1⑴イのとおり主張し、これに沿う供述 - 26 -等(甲126、原告本人)をし、その根拠として、備忘用のメモ(甲78、79)を提出する。しかし、上記メモは、 この点、原告は、前記第3の1⑴イのとおり主張し、これに沿う供述 - 26 -等(甲126、原告本人)をし、その根拠として、備忘用のメモ(甲78、79)を提出する。しかし、上記メモは、平成29年3月15日に契約更新について初めて話をした旨記載されているものの、労働条件通知書等を受領した日であるとする同月21日については、特に記載がない。原告は、同月1日以降、連日、出勤しており(乙53)、契約が更新されたことを 前提とした行動をとっていることからすると、同月15日の記載は、業務が増えると言われたという部分に意味があるものと考えられ、上記認定を左右するものではなく、原告の主張を採用することはできない。 ⑺ 「医学英語」へのe ラーニング導入の経緯等ア導入方針(乙7、8、56、証人D) D教授は、医学部長候補者として立候補し、平成29年1月4日、所信表明において、医学英語の語彙力や医学英語論文の読解力アップを目指したe ラーニングの導入を検討する旨表明した。 D教授は、同年4月、医学部長に就任すると、医学科教務委員長と協議を重ね、同年6月16日、連絡調整会議の際、医学部の運営方針とし て、英語力アップのためeラーニングを導入し、医学英語に特化した語彙力、読解力の習得を目標とすることを掲げた。 イ導入に向けた準備、導入の決定(乙8~12、56、証人D) 平成29年9月25日、医学科運営会議において、eラーニングの導入について提案がされ、G社によるトライアルの実施が了承され、同年 10月から平成30年3月にかけて、トライアルが実施された。 トライアルの検証結果を踏まえ、同年10月10日の医学科教務委員会を経て、同月17日、医学科会議に 施が了承され、同年 10月から平成30年3月にかけて、トライアルが実施された。 トライアルの検証結果を踏まえ、同年10月10日の医学科教務委員会を経て、同月17日、医学科会議において、平成31年度から医学英語の授業において、外国人教員の授業に併せて、eラーニングを導入することが了承され、これを前提とした次年度のカリキュラム案が了承さ れた。 - 27 - 被告は、平成31年1月25日、G社からeラーニングの企画提案書の提出を受け、同年度から、医学英語において、eラーニングを用いた授業を実施するため、G社と業務請負契約を締結した。 ⑻ 本件雇止めの経緯ア本件雇止めの通知等(甲126、原告本人) 原告は、平成30年11月13日、D医学部長及びF教授と面談し、D医学部長が、前提事実⑶アのとおり、本件雇止めについて通知し、F教授が、その要旨を英訳して伝えた。その際、被告側から、被告の他の部署において、原告の配置先を探すことを検討するような話は出なかった。 Jも、同年12月上旬、被告から、平成31年5月15日の任期満了をもって、雇用契約を更新しない旨を通知された。 イその後の経緯(甲37~39、73、126、乙23、原告本人) 原告は、平成31年1月9日頃、教職員組合執行委員長であるL教授らに、本件雇止めについて相談し、原告とJは、同月17日、教職員組 合に加入した。 L教授及び長崎大学医学系教職員組合(以下「医学系教職員組合」という。)執行委員長らは、同月25日、D医学部長らと、原告及びJの雇止めについて協議し、被告大学内外を含め雇用先を探すことを求め、D医学部長は、検討する姿勢を示したが、学内については、無期 組合」という。)執行委員長らは、同月25日、D医学部長らと、原告及びJの雇止めについて協議し、被告大学内外を含め雇用先を探すことを求め、D医学部長は、検討する姿勢を示したが、学内については、無期転換権 の行使を懸念して難色を示した。 教職員組合及び医学系教職員組合は、同年2月8日及び同月21日、被告に対し、原告及びJの雇用継続を求めて、団体交渉を申し入れ、同月19日及び26日、被告との間で団体交渉を行った。 被告は、同月8日、医歯薬学総合研究科総務課から、各部局に対し、 任期満了となる医学部英語教育担当の外国人助教2名の就職先として、 - 28 -外国人教員の募集の有無を問い合わせたが、募集はなかった。被告は、上記団体交渉の際、その旨説明するなどして、雇用継続を拒否する旨回答した。 教職員組合は、被告に対し、同年3月12日付け書面により、原告が本件雇止めは無効であり、出勤したいと考えている旨を通知した。 Jは、家庭内の事情もあって、任期満了後、被告で就労を継続することを求めず、帰国した。 2 争点1(2回目更新合意の成否及び効力)について⑴ 2回目更新合意の成否についてア前記認定事実⑹のとおり、被告は、原告に対し、平成29年2月28日 までの間に、雇用期間を平成29年3月1日から平成31年2月28日まで2年間として更新する旨を記載した労働条件通知書等を交付したことが認められる。また、同⑷と同様、被告は、原告に対し、事前に雇用契約更新の意向確認をしていたことが認められる。 イ上記更新後の契約期間について、前記認定事実⑴及び⑷の経過によれば、 原告は、1回目更新後の本件労働契約の任期が平成29年2月28日に満了することは認識し ていたことが認められる。 イ上記更新後の契約期間について、前記認定事実⑴及び⑷の経過によれば、 原告は、1回目更新後の本件労働契約の任期が平成29年2月28日に満了することは認識していたと認められる。そして、本件労働契約締結時に交付された英訳文付きの労働条件通知書(甲1)と2回目更新の際に交付された労働条件通知書(甲3の1)は同一の書式であることからすれば、原告は、同労働条件通知書の「平成29年3月1日~平成31年2月28 日」の記載が契約期間を指すことを認識していたと認められ、かつ、その期間が2年間であることは、元号の理解の有無に関わらず、一見して明らかであるから、更新後の契約期間が2年間であることを認識していたと認められる。 この点、原告は、第3の1⑴イbのとおり主張するが、原告の日本で の生活歴、被告を含む職歴(前提事実⑴イ、)や、原告が日本語の学 - 29 -習に努めてきた旨主張立証しており(甲113、114、126)、年月日程度の基礎的内容については理解していたと認められること、さらに、被告において元号を用いたメールの送受信をしていること(乙5、6)に照らし、採用することはできない。 ウ以上によれば、2回目更新に関する労働条件通知書等の交付を受けたこ とにより、その頃、2回目更新合意が成立したと認められる。 なお、原告は、第3の1⑴イcのとおり主張するが、本件労働契約上、労働条件通知書には「契約更新しない」と記載され、従前と同一の条件で更新することは契約内容に含まれていないから、2回目更新合意に際し、契約期間を従前の3年間から2年間としたことは、契約内容の変更には当 たらず、原告の主張を採用することはできない。 ⑵ 2回目更新合意の効力 容に含まれていないから、2回目更新合意に際し、契約期間を従前の3年間から2年間としたことは、契約内容の変更には当 たらず、原告の主張を採用することはできない。 ⑵ 2回目更新合意の効力について原告は、第3の1⑴ウのとおり、2回目更新合意は、労契法18条1項を潜脱し、同項の趣旨に反し無効である旨主張する。 しかし、同条項は、有期労働契約の通算契約期間が5年を超える労働者に ついて、無期転換権を付与することとしたにとどまり、これに満たない労働者について、無期転換権の行使が可能となるまで有期労働契約を更新することを規定するものではなく、そのような労働者の期待を保護する趣旨であるということもできないから、2回目更新契約の期間を2年間としたことをもって、2回目更新合意が無効となるということはできず、原告の主張は採用 できない。 ⑶ 小括以上によれば、本件労働契約の存否に関する原告の主位的主張は理由がない。 3 争点2(3回目更新の成否)について ⑴ 更新の申込み - 30 -原告は、第3の1⑵アのとおり、被告に対し、平成31年2月に、本件労働契約の更新の申込みをし、また、同年3月12日、本件労働契約の期間満了後遅滞なく有期労働契約締結の申込みをした旨主張するところ、前提事実⑶イ、前記認定事実⑻イによれば、これを認められる。 ⑵ 更新の合理的期待の有無について ア常用性について前記認定事実⑵、⑶のとおり、原告が担当していた「医学英語」は、医学科1年次ないし4年次の必修科目であり、同一担当教員による持ち上がり方式が採用され、原告は、8年間、継続してこれを担当していた(認定事実⑵)。原告は、「医学英語」以外にも「医療英語」 英語」は、医学科1年次ないし4年次の必修科目であり、同一担当教員による持ち上がり方式が採用され、原告は、8年間、継続してこれを担当していた(認定事実⑵)。原告は、「医学英語」以外にも「医療英語」、「国際医療英語」 といった必修科目や、各種選択科目を、常時、担当しており、恒常的に医学部における英語教育を担当していた。 また、原告は、海外基礎研修、海外臨床研修に参加する学生の選考や、医学科グローバルヘルス研究医枠の入試の面接等の医学部の業務に関与していたほか、希望者を対象とした英語試験の対策講座や英会話教室を開催 していた。これらも、英語教員として、必要な付随的業務又は通常期待される業務であり、恒常的に業務を担当していたといえる。 イ更新の回数、雇用の通算期間等について本件労働契約は、2回更新され、その期間満了時には、契約期間は通算8年間に及んでいる。 労働条件通知書には「契約更新しない」との文言が記載されているが、1回目更新及び2回目更新の際に、原告に更新の意向を確認したことは認められるものの、そのほか、原告の英語教育能力や授業評価等について、原告にも認識し得るような方式で、更新の可否について実質的な審査等をした形跡はない。このような更新実態は、上記文言が形骸化したものであ り、労働条件通知書等の交付という形式的な手続により更新されると原告 - 31 -に認識させるものといえる。 また、2回目更新時には、契約期間が2年間とされたが、更新後の契約期間が従前と異なる理由について、原告に説明がされた形跡はなく、この点も、前2回と異なり、2年間の契約期間満了により、その後は更新されないことを認識させる契機となるものではない。 ウ雇用期間管理 異なる理由について、原告に説明がされた形跡はなく、この点も、前2回と異なり、2年間の契約期間満了により、その後は更新されないことを認識させる契機となるものではない。 ウ雇用期間管理の状況について原告は、第3の1⑵アcのとおり主張するが、前記認定事実⑷、⑹のとおり採用することはできない。 エ雇用継続を期待させる被告の言動等について 本件労働契約締結時の言動について 前記認定のとおり、被告は、医学英語のグローバル化に対応するため、平成23年度から、それまで選択科目であった「医学英語」を必修科目とし、外国人専任教員に担当させるため、被告の大学病院医師を対象とした英会話教室を開講していた原告に声をかけ、医学部長が面談するなどして、原告を雇用した。「医学英語」において持ち上がり方式が採用 され、TOEICの点数を進級要件とし、その対策や外部試験対策が、選択科目や付随業務として実施され、継続されていたことからすると、これらの方針は、一定程度、長期的な視野に立つものであり、原告を勧誘し、採用した過程において、原告に伝えていたものと推認される。 そのほか、原告は、第3の1⑵アdのとおり主張するが、詳細な 履歴書等の書類の提出は、大学教員として採用する以上、その教育能力を確認するために必要なことであり、E社の大学受験コースの閉鎖や役員の辞任は、大学受験の公正性や職務専念義務といった要請に基づくものと考えられるから、雇用継続を期待させる事情ということはできない。 本件労働契約の内容、更新時の言動等について 上記、本件労働契約締結の経緯からすると、その契約期間が3年間と - 32 -定められたことは、一定程度、長期、 本件労働契約の内容、更新時の言動等について 上記、本件労働契約締結の経緯からすると、その契約期間が3年間と - 32 -定められたことは、一定程度、長期、継続的な業務を想定していたと推認されることと親和する。他方、試用期間については、雇用継続を期待させる事情とはいえない。 この点、被告は、第3の2⑵アd⒝のとおり主張するが、医学教育が6年制であり、外国人専任教員による医学英語の成果を検証するため に最低6年間が必要であったとの事情は、むしろ、採用時に、一定程度、長期、継続的な雇用を想定していたことを基礎付けるものである。 また、前記イのとおり、前2回の更新時に、原告が認識できるような方式で、更新の可否について実質的な審査等がされた形跡がなく、形式的に更新手続がとられたことは、更新の期待を抱かせる事情といえ、原 告において、3回目更新に限って、それまでの成果の検証を下に更新の可否が判断されると認識することは困難であったと認められる。 オ検討以上のとおり、原告の業務には常用性があると認められ、本件労働契約締結の経緯から、その業務が、一定程度、長期、継続的なものとなること が想定され、更新の際に、原告に認識し得る方式では更新の可否について実質的な審査等がされず、形式的な手続で2回の更新がされ、契約期間が通算8年間に及んでいたことからすれば、原告が、2回目更新合意による契約期間の満了後も、引き続き本件労働契約が更新されるものと期待したことについて、合理性があると認められる。 なお、原告が、「医学英語」を中心とする英語教育担当教員として採用され、eラーニング導入により、その必要性が薄れたことは、後記のとおり、被告が、 いて、合理性があると認められる。 なお、原告が、「医学英語」を中心とする英語教育担当教員として採用され、eラーニング導入により、その必要性が薄れたことは、後記のとおり、被告が、原告に対し、本件雇止めまで、eラーニング導入による本件労働契約への影響について説明しておらず、原告がこれを認識し得なかったと認められることから、上記合理的期待の有無及び程度に影響しない。 ⑶ 合理性及び相当性の欠如について - 33 -ア原告の雇用目的について前記認定のとおり、被告は、医学教育のグローバル化に対応するため、平成23年度から、それまで選択科目であった「医学英語」を必修科目とし、外国人専任教員に担当させるため、医学部定員増加に伴う運営費交付金を財源として、原告を雇用したものであり、医学部において、「医学英 語」等の英語教育を担当させることを主たる目的としていたと認められ、そのことは、本件労働契約締結の経緯に照らして、財源の点を除き、原告も認識していたものと認められる。 イ原告の医学英語教育能力について 前記認定事実⑵、⑶、前記3⑵アのとおり、原告は、上記アの被告の 方針及び雇用目的に従い、「医学英語」を中心として、「医療英語」、「国際医療英語」といった必修科目や、各種選択科目を、常時、担当していたほか、希望者を対象とした英語試験の対策講座や英会話教室の開催といった英語教育に関連する周辺的業務や、海外基礎研修、海外臨床研修に参加する学生の選考や、医学科グローバルヘルス研究医枠の入試 の面接等、医学部教員としての付随的業務に従事し、かつ、その業務量は、次第に増加し、2回の更新を経て、通算8年間に及んでいたことからすると、原告は、採用時の方針に従い、医学英 研究医枠の入試 の面接等、医学部教員としての付随的業務に従事し、かつ、その業務量は、次第に増加し、2回の更新を経て、通算8年間に及んでいたことからすると、原告は、採用時の方針に従い、医学英語教育を担当するために必要な能力を有していたものと認められる。 これに対し、被告は、第3の2⑵アbのとおり主張する。 しかし、被告がその根拠として提出する「医学英語」の授業評価アンケート(乙55)によっても、総合満足度が「2013年度前期」が5点中3.94であったほか、いずれも4点を超えているなど、概ね高評価を得ていたことが認められ、原告の医学英語教育能力が低いものであったことを裏付ける的確な証拠はない。 原告が英語を母国語としていないことや、医学の素養がないことは、 - 34 -採用時から判明していたことで、前者は、原告の従前の経歴、職歴(前提事実⑴イ)に照らし、英語教育能力が低いことを基礎付ける事情とはいえず、後者についても、採用時の医学英語の教育方針や、上記認定の原告の担当状況や、その中で医学に関する語彙を取り入れるなどしていたことに照らし、採用時の方針に照らして必要な医学英語教育能力を充 たしていなかったことを基礎付けるものとはいえない。 D教授は、医学部長立候補に際して、平成29年1月4日付け所信表明において、海外派遣実習生の英語コミュニケーション能力不足等を指摘し、医学英語の語彙力や医学英語論文の読解力アップを目指したeラーニングの導入を検討する旨表明しているが(乙7)、上記課題は、医 学英語教育の指導方針に関わる問題であり、実習生自身の問題も関係することから、その主たる要因を原告の医学英語教育能力の不足に帰すことはできない。また、D教授は、医 が(乙7)、上記課題は、医 学英語教育の指導方針に関わる問題であり、実習生自身の問題も関係することから、その主たる要因を原告の医学英語教育能力の不足に帰すことはできない。また、D教授は、医学実習のため指導した5、6年生から、「医学英語」についてヒアリングし、TOEIC対策など一般英語に対応したものとなっていて、医学英語の向上が望めず、医学英語に特 化した授業が求められていると感じた旨供述等(乙56、証人D)する。 しかし、TOEIC対策を中心としていたとの点については、被告医学部の当初の方針に基づくものであり、原告の医学英語教育能力が低いことを基礎付ける事情とはいえず、医学英語に特化した授業が求められているとの点も、一部学生からのヒアリングにとどまり、D教授が、これ らを基に上記所信表明に反映させ、医学部長就任後にeラーニング導入を検討することで、その実現を図ったという経緯からすると、そのような方針が、それまでに原告に伝えられていたということはできず、採用時の方針に照らして、原告の医学英語教育能力が低いことを基礎付ける事情とはいえない。 ウ eラーニングの導入について - 35 - 前記認定事実⑶イ、ウ、エ、⑺のとおり、被告は、平成29年度に医学部長に就任したD教授の主導の下、より医学英語に特化した医学英語教育を実践するため、eラーニングを導入することを検討し、同年10月から平成30年3月にかけて、トライアルを実施し、その検証結果を踏まえて、同年10月、次年度からeラーニングを導入することを決 定した。同年度以降、「医学英語」の各15回分の授業のうち7回分及び終了テストをeラーニングによって実施し、8回をH助教が対面授業により担当したこと、その他の原告及びJ担当の必修科目や とを決 定した。同年度以降、「医学英語」の各15回分の授業のうち7回分及び終了テストをeラーニングによって実施し、8回をH助教が対面授業により担当したこと、その他の原告及びJ担当の必修科目や選択科目をH助教が担当したことからすると、eラーニングの導入を中心とする医学英語教育の方針変更は、これにより、外国人専任教員2名分の業務量 のうち1名分を削減するものであったということができる。 カリキュラム編成は、大学教育の根幹に関わる重要な事項であるから、大学法人は、各学部において、どのような方針の下で、どのような科目を設置し、教育をするかについて、裁量を有しているということができ、特定の科目を担当することを主たる目的として雇用された有期契約大学 教員が、期間満了後も雇用を継続することができるか否かについても、上記方針により、制約されることがあることは否めない。 上記観点からすると、被告が、より医学英語に特化した医学英語教育を実践するため、eラーニングを導入することとし、そのために外国人専任教員1名分の業務量を削減することとしたことについては、被告の 裁量に属するものということができ、上記アの雇用目的に照らすと、被告が、外国人専任教員1名につき契約更新をしないこととしたことは、一定の合理性を有するものということができる。 もっとも、上記方針変更により必要となる業務量の削減は1名分にとどまり、残る1名分について、原告にeラーニング導入後の「医学英語」 の担当をさせず、H助教に担当させた理由として、被告は、原告に、医 - 36 -学の素養がなく、医学英語教育能力が不足することを指摘する。 しかし、前記認定事実⑺、⑻のとおり、平成29年10月には、被告医学部にお 理由として、被告は、原告に、医 - 36 -学の素養がなく、医学英語教育能力が不足することを指摘する。 しかし、前記認定事実⑺、⑻のとおり、平成29年10月には、被告医学部においてeラーニングのトライアルが実施されており、「医学英語」への導入を検討していることを、同科目の担当教員である原告らに対して、機密にしておくべき事情はなかったと考えられるところ、被告 が、原告らに対して、eラーニングの導入のため契約更新をしない旨を告げたのは、導入が決定した後の平成30年11月以降のことであり、eラーニングの導入や、その目的、導入による「医学英語」の授業内容の変更、原告らの雇用に与える影響等の諸事情について、事前に説明した形跡はない。 原告は、上記イのとおり、採用時の方針に照らして、医学英語教育を担当するのに必要な能力を有していたと認められ、上記のとおり、被告が原告にeラーニング導入を踏まえた「医学英語」の授業内容変更への対応を指示し、検討する機会を設けた形跡がないことからすると、そのような機会を設けずに、原告の医学英語教育能力不足を理由として、 「医学英語」の担当教員から外したことについて、合理性があるということはできず、上記による合理性は限定的なものにとどまる。 エ原告に対する説明、他の配属先の検討等について 原告に対する説明について上記ウのとおり、被告が、原告に対し、eラーニング導入のため契約 更新をしない旨告げたのは、平成30年11月13日の本件雇止めの通知時であり、その前に、eラーニング導入等の方針について説明し、対応を指示したり、その影響について説明した形跡はない。 上記時期は、任期満了までに相当の期間があるものの、被告医学部 の通知時であり、その前に、eラーニング導入等の方針について説明し、対応を指示したり、その影響について説明した形跡はない。 上記時期は、任期満了までに相当の期間があるものの、被告医学部においては、年度当初から、次年度のカリキュラム編成を初め、その過程 で担当教員の割当てについても検討を進め、10月頃にはカリキュラム - 37 -案が決定されていたこと(証人K、前記認定事実⑶イ、⑺イ)、原告に対する本件労働契約締結の勧誘も11月から始まり、医学部長らとの面談等を経て、12月15日には教授会での採用決定がされたこと、大学教員として新規採用する際には、その業績等により、資質、適格性等を審査するのが通常であり、一定の時間を要することからすると、同種 職種である大学教員として他の就職先を探すために十分な時期であったとはいえない。 eラーニング導入の検討が進められていたのであるから、これを理由として雇用契約を更新しないのであれば、本件雇止め前にその見通しを伝えることが可能であったことは、前記認定のとおりである。 他の配属先の検討等について前記認定事実⑻イのとおり、被告は、平成31年2月8日、学内の各部局に対し、原告らの就職先として、外国人教員の募集の有無を問い合わせており、一応、他の配属先を検討したとはいえる。 しかし、被告は、前記認定事実⑸のとおり、有期労働契約者の通算雇 用年数を原則として5年とする本件方針を立て、平成29年12月には、これを廃止したものの、同⑻イのとおり、平成31年1月25日の協議の際には、無期転換権の行使を懸念して、原告らの他の配属先を探すことに難色を示していたのであり、団体交渉の申入れを契機として、一応の対応をしたに ものの、同⑻イのとおり、平成31年1月25日の協議の際には、無期転換権の行使を懸念して、原告らの他の配属先を探すことに難色を示していたのであり、団体交渉の申入れを契機として、一応の対応をしたにとどまるといえる。その時期についても、本件雇止め 後、任期満了直前まで、他の配属先の有無を検討することをせず、そのため、上記で説示したところに照らし、次年度の体制が固まり、新規受入れが困難となった時期に検討したにとどまるものであるから、他の配属先を探すために誠実に対応したということはできない。 オ検討 以上のとおり、原告は、本件労働契約の継続につき合理的期待を有し - 38 -ていたといえ、更新又は遅滞なく契約締結の申込みをしたところ、被告が本件雇止めをし、上記申込みを拒絶したことは、医学英語教育担当という雇用目的及びその後のeラーニング導入を中心とする医学英語教育方針の変更に伴い、外国人専任教員1名分の業務量を削減したことについては一定の合理性があるといえるものの、原告が採用時の方針に即し た医学英語教育担当能力を有していたにもかかわらず、上記方針変更やこれに伴う本件労働契約への影響について事前に説明せず、対応を検討する機会を設けないまま、必要な業務量削減の範囲を超えて担当から外して、雇用契約を終了させたものであるから、合理性を欠くものといえ、さらに、事前の説明のないまま、同種職種の就職先を探すために十分と はいえない時期に本件雇止めをし、他の配属先を探すために誠実に対応することもしなかったのであるから、社会通念上、相当性を欠くというべきである。 ⑷ 小括以上によれば、本件労働契約は、労契法19条2号により3回目更新がさ れたと認められる。そして、原告は、前提 のであるから、社会通念上、相当性を欠くというべきである。 ⑷ 小括以上によれば、本件労働契約は、労契法19条2号により3回目更新がさ れたと認められる。そして、原告は、前提事実⑷イのとおり、無期転換権を行使したから、本件労働契約は、同法18条1項により、令和3年3月1日から期間の定めのない労働契約に転換されたと認められる。 4 賃金請求について⑴ 賃金額、支給日 原告は、第3の1⑶のとおり主張するところ、算定の基礎となる賃金額及び支給日については争いがなく、平成31年3月1日以降の本給月額は、直近3か月分の平均の37万1576円と、勤勉手当及び期末手当については、直近3年間の平均の76万9130円、82万5551円と認めるのが相当である。 また、本件労働契約上、支給日について、本給の支給日は、毎月17日を - 39 -原則とし、日曜日、土曜日、休日に当たるときは、それぞれ、その前日、前々日、翌日となり、勤勉手当及び期末手当は、毎年6月30日及び12月10日を原則とし、日曜日、土曜日に当たるときは、それぞれ、その前日、前々日となるところ、別に定められている休日とは、祝日法による休日を指すと解するのが相当である。 ⑵ 小括以上によれば、原告の賃金請求及びこれに対する遅延損害金請求は、主文第2項ないし第4項の限度で理由がある。 5 結論以上の次第で、原告の請求は、主文第1項ないし第4項の限度で理由がある から、その限度で認容し、その余は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条、64条ただし書を、仮執行宣言につき同法259条1項を適用して、主文のとおり判決する。なお、仮執行免脱宣言については、相当で は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条、64条ただし書を、仮執行宣言につき同法259条1項を適用して、主文のとおり判決する。なお、仮執行免脱宣言については、相当ではないから、これを付さない。 長崎地方裁判所民事部 裁判長裁判官天川博義 裁判官松本武人 裁判官笠松咲穂 - 40 -(別紙)原告の業務内容一覧(甲11~18、41、42、49~54、57~64、66~71、126、A4~7、9、11~21、乙A22、24、原告本人) 授業担当等その他の業務平成 年度「医学英語」(1年次)「オーラル・コミュニケーション・ワークショップ」「ディアグノーシス」「TOEICワークショップ」「リスニング・セミナー、スピーキングセミナー」外部英語試験対策の個人授業 被告職員による英語文書等作成の補助平成 年度「医学英語」(1、2年次)「イングリッシュ・コミュニケーション・イン・メディカル・コンテクスト」「ディアグノーシス」「コミュニケーション・スキル」「TOEICワークショップ」「医療英語」(保健学科4年次)外部英語試験対策の個人授業 被告職員による英語文書等作成の補助海外基礎研修・海外臨床研修の学生選考の面接 - 41 -平成 年度「医学英語」(1~3年次)「国際医療英語」「イングリッシュ・コミュニケーション・イン・メディカル・コンテクスト」「TOEICクラス」「医療英語」(保健学科4年次)外部英語試験対策の個人授業 被告 )「国際医療英語」「イングリッシュ・コミュニケーション・イン・メディカル・コンテクスト」「TOEICクラス」「医療英語」(保健学科4年次)外部英語試験対策の個人授業 被告職員による英語文書等作成の補助海外基礎研修・海外臨床研修の学生選考の面接ライデン大学に派遣された学生の援助学生有志を対象とした英会話のグループ・セッションの開催平成 年度「医学英語」(1~4年次)「国際医療英語」「医療英語」(保健学科)「人間生物学・細胞生物学」の授業の補助(英語の語彙の講義)外部英語試験対策の個人授業 被告職員による英語文書等作成の補助海外基礎研修・海外臨床研修の学生選考の面接、筆記試験ライデン大学に派遣された学生の援助学生有志を対象とした英会話のグループ・セッションの開催平成 年度「医学英語」(1~4年次)「国際医療英語」「医療英語」(保健学科)「人間生物学・細胞生物学」の授業の補助(英語の語彙の講義)外部英語試験対策の個人授業被告職員による英語文書作成等の補助海外基礎研修・海外臨床研修の学生選考の面接、筆記試験ライデン大学に派遣された学生の援助学生有志を対象とした英会話のグループ・セッションの開催英語のプレゼンテーションコンテスト参加者のサポート - 42 -平成 年度「医学英語」(1~4年次)「国際医療英語」「コミュニケーション・スキル・イン・イングリッシュ」外部英語試験対策の個人授業被告職員による英語文書作成等の補助海外基礎研修・海外臨床研修の学生選考の面接、筆記試験学生有志を対象とした英会話のグループ・セッションの開催平成 年度「医学 個人授業被告職員による英語文書作成等の補助海外基礎研修・海外臨床研修の学生選考の面接、筆記試験学生有志を対象とした英会話のグループ・セッションの開催平成 年度「医学英語」(1~4年次)「国際医療英語」「コミュニケーション・スキル・イン・イングリッシュ」「医療英語」(保健学科)外部英語試験対策の個人授業被告職員による英語文書作成等の補助海外基礎研修・海外臨床研修の学生選考の面接、筆記試験学生有志を対象とした英会話のグループ・セッションの開催被告医学部医学科入試(グローバルヘルス研究医枠)の面接 平成 年度「医学英語」(1~4年次)「国際医療英語」「コミュニケーション・スキル・イン・イングリッシュ」「医療英語」(保健学科)外部英語試験対策の講座被告職員による英語文書作成等の補助海外基礎研修・海外臨床研修の学生選考の面接、筆記試験学生有志を対象とした英会話のグループセッション被告医学部医学科入試(グローバルヘルス研究医枠)の面接
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