昭和63(オ)1748 保険金

裁判年月日・裁判所
平成4年3月13日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄自判 大阪高等裁判所 昭和61(ネ)1026
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      被上告人の控訴を棄却する。      控訴費用及び上告費用は被上告人の負担とする。          理    由  上告代理人川木一正、同松村和

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判決文本文3,323 文字)

主    文      原判決を破棄する。      被上告人の控訴を棄却する。      控訴費用及び上告費用は被上告人の負担とする。          理    由  上告代理人川木一正、同松村和宜、同長野元貞の上告理由について 一 原審が適法に確定した事実関係の概要は、次のとおりである。  (一) 訴外D(以下「D」という。)は、昭和五七年四月一日、上告人との間で、 自己を被保険者、保険金受取人を訴外E(以下「E」という。)、死亡保険金を四 五〇〇万円、保険期間を五年とする定期保険契約を締結した。  (二) 右保険契約の約款(定期保険普通保険約款)二六条二項(以下「本件条項」 という。)は、保険金の支払理由の発生前に限り保険契約者又はその承継人が死亡 保険金受取人を変更することができることを前提として、「死亡保険金受取人の死 亡時以後、死亡保険金受取人が変更されていないときは、死亡保険金受取人は、そ の死亡した死亡保険金受取人の死亡時の法定相続人に変更されたものとします。」 と規定している。  (三) Eは昭和五七年八月二四日死亡し、Dは、保険金受取人を変更することな く、同年九月九日に死亡した。  (四) Dの第一順位の相続人であるF(以下「F」という。)及びG(以下「G」 という。)並びに第二順位の相続人であるH、I、J、K及びLは、いずれも相続 の放棄をした。  (五) Dには相続人となるべき者がいないため、同人の相続財産(被上告人)の 管理人にMが選任された。 二 右事実関係の下において、原審は、(一) 本件条項は、被保険者でない保険金 - 1 - 受取人(本件条項にいう「死亡保険金受取人」)が死亡し、保険契約者においてそ の指定(本件条項にいう「変更」)をしないで死亡した場合に関する商法六七六条 二項の規定と異なり、「死亡保険金受取人は、その死亡した死亡保険 項にいう「死亡保険金受取人」)が死亡し、保険契約者においてそ の指定(本件条項にいう「変更」)をしないで死亡した場合に関する商法六七六条 二項の規定と異なり、「死亡保険金受取人は、その死亡した死亡保険金受取人の死 亡時の法定相続人に変更されたものとします」と規定しているから、保険契約者兼 被保険者の死亡時に生存する法定相続人を保険金受取人とする趣旨と解することは できない、(二) DがEの死亡後に保険金受取人を変更しなかったのは、本件条項 に従うことで足りるとしたものということができる、(三) Eの死亡によって保険 金受取人となったDの地位は、被保険者たる同人の死亡によって確定し、Dについ て本件条項を重ねて適用する余地はない、(四) 本件においては、特約である本件 条項が商法の前記規定に優先して適用される関係にあることを理由として、本件条 項によれば、Eの死亡によって、その法定相続人であるD、F及びGが本件保険金 受取人たる地位を原始的に取得し、右三名は民法四二七条の規定により平等の割合 で保険金請求権を取得したものであり、Dの死亡により同人の保険金請求権は同人 の相続財産に帰属したとして、本件保険金額の三分の一の支払を求める被上告人の 請求を認容した。 三 しかし、原審の右判断は、是認することができない。その理由は、次のとおり である。  すなわち、本件条項の趣旨は、保険金受取人と指定された者(以下「指定受取人」 という。)の死亡後、保険金受取人の変更のないまま保険金の支払理由が発生して、 右変更をする余地がなくなった場合には、その当時において指定受取人の法定相続 人又は順次の法定相続人で生存する者を保険金受取人とすることにあると解するの が相当である。けだし、本件条項は、保険金の支払理由の発生前に限り保険契約者 又はその承継人が保険金受取人を変更することができることを 次の法定相続人で生存する者を保険金受取人とすることにあると解するの が相当である。けだし、本件条項は、保険金の支払理由の発生前に限り保険契約者 又はその承継人が保険金受取人を変更することができることを前提として、指定受 取人の死亡後に右変更がされていないときには、保険金受取人が指定受取人の死亡 - 2 - 時の法定相続人に変更されたものとすると規定しているのであるから、保険契約者 又はその承継人が自らの意思で保険金受取人を変更することができる間に右法定相 続人の保険金受取人としての地位が確定することはあり得ず、この間に本件条項に よって保険金受取人とされた指定受取人の法定相続人が死亡したときは更にその法 定相続人が保険金受取人に変更されたものとされる結果、被保険者の死亡等により 保険金の支払理由が発生して保険金受取人を変更する余地がなくなったときは、そ の当時において生存する指定受取人の法定相続人又は順次の法定相続人の保険金受 取人としての地位が確定することになると解すべきであるからである。また、第三 者を保険金受取人とする生命保険契約を締結する者の現時の一般的意識を前提とす るときは、保険金受取人が指定受取人の法定相続人である保険契約者自身に変更さ れたものとされる場合でも保険の性質が保険契約者自身のためにするものに変わる ものではないと解すべきであり、本件条項の文言からもこの場合を別異に扱うべき 理由はないから、本件条項の趣旨は、保険金受取人とされた保険契約者が死亡した ときは、保険金受取人は更にその法定相続人に変更されたものとすることにあると 解すべきであって、死亡した保険契約者に保険金受取人としての地位が残ると解す べきではない。そして、このことは、商法六七六条二項の規定に関する判例(大審 院大正一〇年(オ)第八九八号同一一年二月七日判決・民集一巻一号一九頁)の見 険契約者に保険金受取人としての地位が残ると解す べきではない。そして、このことは、商法六七六条二項の規定に関する判例(大審 院大正一〇年(オ)第八九八号同一一年二月七日判決・民集一巻一号一九頁)の見 解と一致するものであるから、右規定と本件条項の文言の相違をとらえて本件条項 が商法の右規定と異なる趣旨を含むものと解すべきではない。  そうすると、本件においては、特約である本件条項が優先して適用される関係に あるとしても、その趣旨は、既に述べたところにあると解すべきであるから、指定 受取人であるEの死亡によって、その法定相続人であるD、F及びGが保険金受取 人としての地位を取得すべきこととなり、さらに、保険契約者兼被保険者であるD の死亡により、F及び、Gが保険金受取人となりその地位が確定したのであるから、 - 3 - 結局、F、Gの両名が民法四二七条の規定により平等の割合で保険金請求権を取得 し、Dの保険金請求権が同人の相続財産に帰属することはない。  以上によれば、右と異なる解釈の下に被上告人の請求を認容した原判決には、法 律行為の解釈に法令の違背があり、これが判決に影響することは明らかであるから、 この趣旨をいう論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、前記説示に 徴すれば、被上告人の本件保険金請求を棄却した第一審判決は正当であるから、被 上告人の控訴を棄却することとする。  よって、民訴法四〇八条、三九六条、三八四条、九六条、八九条に従い、裁判官 全員一致の意見で、主文のとおり判決する。      最高裁判所第二小法廷          裁判長裁判官    中   島   敏 次 郎             裁判官    藤   島       昭             裁判官    木   崎   良   平             裁判官    大     島   敏 次 郎             裁判官    藤   島       昭             裁判官    木   崎   良   平             裁判官    大   西   勝   也 - 4 -

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