主文 1 第1審被告国関係 第1審被告国の控訴を棄却する。 第1審原告番号1,2,3の1から3,5,6の1から3,8の1から4,9,10の1から4,16,23,24,25,26の1・2,27の1・2,28,29の1から3の各第1審原告の第1審被告国に対する各控訴に基づき,原判決主文第1項及び第2項中,上記各第1審原告に関する部分を次のとおり変更する。 ア第1審被告国は,上記各第1審原告に対し,別紙2の1「認容額等一覧表」の上記各第1審原告に対応する「認容額」欄記載の各金員及びこれに対する対応する「遅延損害金起算日」欄記載の各年月日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ上記各第1審原告の第1審被告国に対するその余の請求をいずれも棄却する。 第1審原告番号4の1から3,7,11の1から3,12,13の1から4,14,15の1・2,18,19,20の1から3,21の1・2,22の1・2の各第1審原告の第1審被告国に対する各控訴をいずれも棄却する。 2 第1審被告企業ら関係⑴ 第1審原告番号1,2,3の1から3,5,6の1から3,7,8の1から4,9,10の1から4,11の1から3,12,13の1から4,14,15の1・2,16,18,20の1から3,21の1・2,22の1・2,23,24,25,26の1・2,27の1・2,28,29の1から3の各第1審原告の別紙2の2「認容額等一覧表」の上記各第1審原告の行の「認容額」欄に金額の記載のある列の第1審被告企業に対する各控訴に基づき,原判決主文第3項中,上記各第1審原告と各第1審被告企業との間に関する部分を取り消す。 ⑵ 別紙2の2「認容額等一覧表」の「第1審被告企業」欄に記載された各第1審被告企業は,各第1審 原判決主文第3項中,上記各第1審原告と各第1審被告企業との間に関する部分を取り消す。 ⑵ 別紙2の2「認容額等一覧表」の「第1審被告企業」欄に記載された各第1審被告企業は,各第1審被告企業の列の「認容額」欄に金額の記載のある行の第1審原告に対し,同「認容額」欄記載の各金員及びこれに対する対応する「遅延損害金起算日」欄記載の各年月日から各支払済みまで年5分の割合による金員を,同一の行に金額の記載のある第1審被告企業が複数あるときは連帯して,支払え。 ⑶ 上記⑴の各第1審原告の上記⑴の各第1審被告企業に対するその余の請求をいずれも棄却する。 ⑷ 上記⑴の各第1審原告(第1審原告番号2,18,22の1・2の各第1審原告を除く。),第1審原告番号4の1から3の第1審原告及び第1審原告番号19の第1審原告の別紙2の3「控訴棄却一覧表」に記載された第1審被告企業に対する各控訴をいずれも棄却する。 3 訴訟費用及び控訴費用⑴ 第1項の当事者間の訴訟費用は,第1,2審を通じ,それぞれ,別紙2の1「認容額等一覧表」の「負担割合」欄記載の割合を第1審被告国の負担とし,その余を各第1審原告の負担とする。 ⑵ 第1項に記載した各第1審原告の控訴費用は,当該各第1審原告の負担とし,同各第1審原告に対する第1審被告国の控訴費用は第1審被告国の負担とする。 ⑶ 第2項⑴の当事者間の訴訟費用は,第1,2審を通じ,それぞれ,別紙2の2「認容額等一覧表」の「負担割合」欄記載の割合を各第1審被告企業の連帯負担とし,その余を各第1審原告の負担とする。 ⑷ 第2項⑷に記載した各第1審原告の控訴費用は,同項に記載した第1審被告企業との関係で,当該各第1審原告の負担とする。 4 仮執行関係⑴ この判決の第1項アは,本判決が第1審被告国に送達 ⑷ 第2項⑷に記載した各第1審原告の控訴費用は,同項に記載した第1審被告企業との関係で,当該各第1審原告の負担とする。 4 仮執行関係⑴ この判決の第1項アは,本判決が第1審被告国に送達された日から14日 を経過したときは,仮に執行することができる。 ただし,第1審被告国が,別紙2の1「認容額等一覧表」の本判決主文第1項アに記載した各第1審原告に対応する「担保額」欄及び「原審担保額」欄記載の各金額の合計額に係る金員(ただし,原審担保額を供託している場合には担保額欄記載の金員)の担保を供するときは,当該第1審原告との関係でその仮執行を免れることができる。 原判決主文第5項を以下のとおり変更する。 ただし,第1審被告国が,別紙2の1「認容額等一覧表」の本判決主文第1項に記載した第1審原告に対応する「担保額」欄及び「原審担保額」欄記載の各金額の合計額に係る金員(ただし,原審担保額を供託している場合には担保額欄記載の金員)の担保を供するときは,当該第1審原告との関係でその仮執行を免れることができる。 この判決の第2項⑵は,本判決が各第1審被告企業に送達された日から14日を経過したときは,当該第1 審被告企業に対し,仮に執行することができる。 ただし,各第1審被告企業が,別紙2の2「認容額等一覧表」の当該「第1審被告企業」欄に金額の記載のある行の第1審原告に対し,同「担保額」欄記載の各金員の担保を供するときは,当該第1審原告との関係でその仮執行を免れることができる。 事実及び理由 第1章控訴の趣旨第1 第1審原告ら 1 原判決を次のとおり変更する。 2 別紙3「請求対象第1審被告一覧表」の「第1審被告」欄記載の第1審被告は,対応する「第1審原告」欄記載の各第1審原告に対し, 控訴の趣旨第1 第1審原告ら 1 原判決を次のとおり変更する。 2 別紙3「請求対象第1審被告一覧表」の「第1審被告」欄記載の第1審被告は,対応する「第1審原告」欄記載の各第1審原告に対し,対応する「請求金額」欄記載の各金員及びこれに対する「遅延損害金起算日」欄記載の各年月日から各支払済まで年5分の割合による金員を連帯して支払え。 第2 第1審被告国 1 原判決中,第1審被告国敗訴部分を取り消す。 2 上記の部分につき,第1審原告らの第1審被告国に対する請求をいずれも棄却する。 第2章事案の概要等(略称等は,特に断らない限り,原判決の表記による。)第1節事案の概要 1 本件は,第1審原告らが,建築作業従事者であった被災者らが建築現場において建築物の新築,改修,解体作業等に従事した際,石綿含有建材による石綿粉じんに曝露したことにより,石綿肺,肺がん,中皮腫,良性石綿胸水,びまん性胸膜肥厚の石綿関連疾患を発症したとして,第1審被告らに対し,第1審被告国については,第1審被告国が,①旧労基法及び安衛法,②労災保険法,③建基法2条7号ないし9号及び90条に基づいて建築作業従事者の石綿粉じん曝露による石綿関連疾患発症を防止するための規制権限又は監督権限を行使しなかったこと,④毒劇法に基づいて石綿を劇物として指定しなかったことが違法であると主張して,国賠法1条1項に基づき,石綿含有建材を製造・販売した第1審被告企業らについては,①警告表示及び製造・販売中止の義務違反を主張して,民法719条1項後段の類推適用に基づき,②第1審被告企業らが製造等した石綿含有建材は通常有すべき安全性を欠いていた旨主張して,製造物責任法3条に基づき,連帯して,被災者1人当たり3850万円(相続人による請求の場合には各自の相続分に ②第1審被告企業らが製造等した石綿含有建材は通常有すべき安全性を欠いていた旨主張して,製造物責任法3条に基づき,連帯して,被災者1人当たり3850万円(相続人による請求の場合には各自の相続分に相当する金額。)の損害賠償金及びこれに対する損害発生時から民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。 原審は,第1審原告らの第1審被告国に対する請求を被災者20名に関して一部認容してその余を棄却し,被災者9名に関して全部棄却し,第1審被告企業らに対する請求を全部棄却した。このため,敗訴部分を不服とする第1審原告ら及び第1審被告国がそれぞれ控訴を提起した。 2 第1審原告らは,当審において,第1審被告企業らに係る共同不法行為の根拠を民法719条1項後段の類推適用に整理するとともに,別紙3「請求対象第1審被告一覧表」に記載された第1審被告企業以外の第1審被告企業に対する訴えを取り下げた。 第2節前提事実 1 当事者等,石綿の種類,特性,用途等,建物の種類及び建築工事等,石綿関連疾患等に関する現在の医学的知見,関係法令の定め等は,以下のとおり補正するほか,原判決の「事実及び理由」欄の第2章第2節の第1から第4まで(原判決13頁26行目から同31頁18行目まで)及び第3節の第1から第3まで(原判決31頁21行目から同79頁6行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 原判決14頁3行目末尾に行を改め,次のとおり加える。 「 第1審原告A3は,当審係属中の平成▲年▲月▲日に死亡し,第1審原告A3の妻である亡A3訴訟承継人B10が2分の1,いずれも第1審原告A3の子である同B11及び同B12がそれぞれ4分の1ずつ,第1審原告A3の本件訴訟に関する権利義務を取得した。 第1審原告A12は,原審 る亡A3訴訟承継人B10が2分の1,いずれも第1審原告A3の子である同B11及び同B12がそれぞれ4分の1ずつ,第1審原告A3の本件訴訟に関する権利義務を取得した。 第1審原告A12は,原審口頭弁論終結後の平成▲年▲月▲日に死亡し,第1審原告A12の子である亡A12訴訟承継人B34が,遺産分割協議により第1審原告A12の本件訴訟に関する権利義務を取得した。 第1審原告A17は,原審口頭弁論終結後の平成▲年▲月▲日に死亡し,第1審原告A17の妻である亡A17訴訟承継人B43が,遺産分割協議により第1審原告A17の本件訴訟に関する権利義務を取得した。 第1審原告A18は,当審係属中の平成▲年▲月▲日に死亡し,第1審原告A18の妻である亡A18訴訟承継人B44が,遺産分割協議により第1審原告A18の本件訴訟に関する権利義務を取得した。 第1審原告A23は,当審係属中の平成▲年▲月▲日に死亡し,第1審原告A 23の妻である亡A23訴訟承継人B51が2分の1,いずれも第1審原告A23の子である同B52及び同B53がそれぞれ4分の1ずつ,第1審原告A23の本件訴訟に関する権利義務を取得した。」第3章争点及び当事者の主張第1節争点第1 第1審被告国に対する請求 1 旧労基法,安衛法に基づく規制権限不行使の違法性 2 労災保険法に基づく規制権限不行使の違法性 3 建基法に基づく規制権限不行使の違法性 4 毒劇法に基づく規制権限不行使の違法性 5 労基法適用労働者以外の建築作業従業員に対する責任 6 第1審被告国が第1審原告らに対して負う責任及び第1審原告らの損害第2 第1審被告企業らに対する請求 1 民法719条1項後段の類推適用に基づく共同不法行為責任の成否 2 製造物責任法3条に基づく責任の成否 第1審原告らに対して負う責任及び第1審原告らの損害第2 第1審被告企業らに対する請求 1 民法719条1項後段の類推適用に基づく共同不法行為責任の成否 2 製造物責任法3条に基づく責任の成否 3 第1審被告企業らが第1審原告らに対して負う責任及び第1審原告らの損害第2節争点についての当事者の主張第1 第1審被告国に対する請求について 1 第1審原告ら及び第1審被告国の主張は,2及び3のとおり当審における主張を加えるほか,原判決「事実及び理由」欄の第3章第2節の第1から第4(原判決80頁4行目から同206頁8行目まで),第6の(原告らの主張)(原判決287頁4行目から同290頁22行目まで),(被告国の主張)(原判決290頁23行目から同296頁19行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 2 当審における第1審原告らの主張⑴ 医学的知見の集積時期原判決は,石綿粉じん曝露と石綿肺発症との間の因果関係についての医学的 知見が集積した時期を昭和33年(1958年)3月頃とし,石綿粉じん曝露と肺がん,中皮腫発症との間の因果関係に関する医学的知見が集積した時期を昭和47年(1972年)とした。 しかし,こうした判断は,保険院調査の報告(昭和15年),ドール報告(昭和30年)及びUICCの「報告と勧告」(昭和40年)などの研究成果が石綿粉じんの危険性を指摘したことを軽視し,石綿粉じん曝露と石綿関連疾患発症との因果関係の医学的知見の集積時期を余りにも遅く認定したものである。 国内外の調査・研究の成果からすれば,石綿肺については,ILOが第1回国際けい肺会議を開催した昭和5年(1930年),遅くとも保険院調査がなされた昭和15年(1940年)に,肺がんについては,ドール報告がされた昭和30年(1955年)に, については,ILOが第1回国際けい肺会議を開催した昭和5年(1930年),遅くとも保険院調査がなされた昭和15年(1940年)に,肺がんについては,ドール報告がされた昭和30年(1955年)に,中皮腫については,UICCの「報告と勧告」がされた昭和40年(1965年)に,その発症と石綿粉じん曝露との間の因果関係について,医学的知見が集積していたというべきである。 ⑵ 建築作業に従事する労働者に対する安衛法に基づく規制権限不行使の違法性ア石綿粉じんの危険性告知や教育に関する規制石綿粉じんの危険性告知や教育に関しては,①製品警告表示,②現場警告掲示,③特別教育に関する規制があるが,これらの規制は,単に防じんマスク着用に関する規制の実効性を確保するという観点でのみ求められるものではない。被災者らを含む建築作業従事者は,石綿粉じんの危険性に関する教育を受けることで,これについての理解力や感応力を高めることができ,また,自らや周囲のものが取り扱っている建材等が石綿含有のものであること等についての製品警告表示や,自らの現場が石綿含有建材を取り扱っていること等についての現場警告掲示を受けることで,初めて,石綿粉じんの危険から自らの身を守るための措置を講じることができる。 製品警告表示及び現場警告掲示に関する国の規制権限不行使の違法は,そ の記載内容に変わりがない以上,現在も継続しているし,特別教育に関する国の規制権限の違法は,平成17年7月1日の石綿則施行の前まで継続していた。 製品警告表示及び現場警告掲示について石綿粉じん曝露作業が行われる際,当該作業に従事する者だけでなく,当該作業によって発散する石綿粉じんに間接曝露するものについても石綿関連疾患を発症する危険性はあり,第1審被告国は遅くとも昭和50年(1975 曝露作業が行われる際,当該作業に従事する者だけでなく,当該作業によって発散する石綿粉じんに間接曝露するものについても石綿関連疾患を発症する危険性はあり,第1審被告国は遅くとも昭和50年(1975年)初め頃までには,上記の危険性を具体的に認識し得たものである。そうすれば,防じんマスクを着用する必要がある作業として警告されるべきであった作業は,石綿粉じん曝露作業を行う場所における作業にほかならず,そして,第1審被告国は,場所における作業という表記で規制することで,間接曝露にも配慮することは容易であった。以上からすれば,第1審被告国は,製品警告表示及び現場警告掲示の「取り扱い上の注意」に関する表示の内容としては,石綿粉じん曝露作業を行う場所における作業に従事する際には必ず防じんマスクを着用する必要があるとする必要があり,こうした記載を義務付けなかった点について,規制権限不行使の違法がある。 労働安全衛生を実効的に推進するためには,労働者の理解と協力が必要であり,そのためには警告表示・作業現場掲示だけでなく,労働者に対する安全衛生教育が不可欠である。労働者が作業の危険性や職業病の防止措置の重要性を十分に理解しなければ,労働安全衛生措置を使用者又は労働者に義務付けただけでは実施されない可能性が高い。安衛法59条に基づき労働者を雇い入れたときに,行われる雇入れ時教育では,広く浅くといったものになりがちであって,十分に上記の重要性を労働者が認識し得る状況に至ることは期待できない。そうであるからこそ,「危険又は有害な業務」に従事するには,特別教育が法定されるに至っている。そして,製 品警告表示及び現場警告掲示では,単に石綿粉じん発散の可能性や石綿粉じんが有する危険性等についての注意を示すものにすぎない。石綿粉じんの危険性に関する教育 定されるに至っている。そして,製 品警告表示及び現場警告掲示では,単に石綿粉じん発散の可能性や石綿粉じんが有する危険性等についての注意を示すものにすぎない。石綿粉じんの危険性に関する教育を行うことによって,石綿粉じんが有する危険性についての理解を深め感応力を高めることができるのであるから,上記の表示及び掲示が行われることによって特別教育が不要であるということにはならない。以上からすれば,第1審被告国が,安衛法に基づき石綿粉じん作業に関する特別教育の実施を使用者に義務付けなかったことは規制権限不行使の違法がある。そして,その違法の始期は昭和50年10月1日であり,終期は平成17年6月30日である。 イ発じんの防止や抑制に関する規制定期的な粉じん測定粉じん曝露対策において,粉じん濃度規制は,対策の根幹となるべき重要なものである。建築作業従事者の石綿粉じん曝露についての具体的な対策としても現実の建築作業現場の気中に石綿粉じんがどの程度存在し,その作業従事者が石綿粉じんにどの程度曝露しているかを把握することは極めて重要であり,石綿粉じん測定は,建築作業従事者の石綿粉じん曝露対策の根幹とされるべきものである。こうした石綿粉じん測定の重要性からすれば,石綿粉じん測定を実施するに当たって多少の問題や困難があるからといって,これを実施しなくてもよいとするべき理由とはならず,建築作業現場における特質を踏まえてもその必要性は否定されない。 また,屋外での石綿粉じん作業についても,第1審被告国が,昭和50年(1975年)改正特化則において,屋外作業と屋内作業とを区別することなく,石綿含有製品等の湿潤化義務や石綿取扱作業の現場警告掲示の義務等を定めていることからすれば,同時点で第1審被告国は,屋外における石綿含有建材の切断等 おいて,屋外作業と屋内作業とを区別することなく,石綿含有製品等の湿潤化義務や石綿取扱作業の現場警告掲示の義務等を定めていることからすれば,同時点で第1審被告国は,屋外における石綿含有建材の切断等に際して生じる石綿粉じん曝露によって石綿関連疾患を発症する危険性があることについても具体的に認識していた ものである。したがって,第1審被告国は,昭和50年(1975年)改正特化則において,屋内作業場だけでなく屋外作業場にも含めて石綿粉じん測定を実施させるよう義務付けをすべきであり,この点について第1審被告国に規制権限不行使の違法がある。 集じん機付き電動工具の使用義務付け電動工具は,昭和30年頃から電動丸鋸,電動グラインダー,電動ドリルが普及し始め,昭和40年代には販売台数が急増しており,その後も増加を続けていた。電動工具による建材の切断,研磨,穴開け作業等においては,手工具を用いる作業と比較してより多くの粉じんを発生させ,飛散させていた。そして,吸じん装置を使用することによって,電動工具を使用する作業で発散されることとなる石綿粉じんの量を大幅に減らすことができるものであり,発散される石綿粉じんの量を大幅に減らしてしまえば,石綿粉じんに直接曝露する機会や曝露量を大幅に減らすことができるだけでなく,間接曝露する機会や曝露量も大幅に減らすこととなる。また,切断等の作業で発散された後,床等に滞積することになる堆積粉じんの量も大幅に減らすこととなり,堆積粉じんが再び気中に舞い上がることで生じる石綿粉じん曝露の機械や曝露量も大幅に減らすこととなる。以上からすれば,第1審被告国は,昭和47年(1972年)以降の時期において,集じん機付き電動工具に関する規制を実施する義務を負っていたにもかかわらず,これを怠ったものである。 ウ こととなる。以上からすれば,第1審被告国は,昭和47年(1972年)以降の時期において,集じん機付き電動工具に関する規制を実施する義務を負っていたにもかかわらず,これを怠ったものである。 ウ防じんマスクの着用義務付け現時点において,昭和40年代以降の時点において,建築作業現場のうち屋外作業場において建築作業に従事していたものについても,石綿粉じん曝露作業によって石綿関連疾患を発症する危険性があったことが認められる。そうすれば,屋外作業場における建築作業従事者であったことを理由として石綿関連疾患発症についての業務起因性が否定されることは ない。そして,第1審被告国は,遅くとも昭和50年(1975年)頃までには,屋内屋外を区別することなく,石綿含有製品等の湿潤化の義務や石綿取扱作業の現場警告掲示の義務等を定めていたことからすれば,建築作業現場のうち,屋外作業現場において建築作業に従事していた者についても,石綿粉じん曝露作業により石綿関連疾患を発症する危険性があったことを認識していた。また,屋外作業場において建築作業に従事するといっても,個々の作業場の状況は多種多様であるし,個々の作業場で行われる建築作業も多岐にわたっていて,建設現場の屋外作業場における建築作業の石綿粉じんの飛散状況についても一律に論じることが困難である上,屋外作業場においては石綿粉じん測定が行われていなかった。以上からすれば,第1審被告国は,屋外作業場で従事する者についても,屋内作業場で建築作業に従事する労働者と同様に石綿関連疾患を発症する危険性があることを認識し得たものであるから,昭和50年10月1日の特化則改正時において,屋内屋外を問うことなく防じんマスクの使用を義務付けなければならなかったものである。 第1審被告国建築作業現場において を認識し得たものであるから,昭和50年10月1日の特化則改正時において,屋内屋外を問うことなく防じんマスクの使用を義務付けなければならなかったものである。 第1審被告国建築作業現場において,建築作業に従事する労働者が石綿粉じん曝露作業により石綿関連疾患を発症する危険のある作業をする状況にある場合,労働者に対して,防じんマスクを着用させなければならない義務を負っていた。そして,第1審被告国は,平成7年に改正特化則において省令(特化則38条の9)を定めたが,その内容は,労働者による上記の危険のある作業を全て網羅するものではなく,規制として不十分なものであった。特に,問題なのは,平成7年改正特化則の内容では,建築作業従事者が石綿粉じんの間接曝露を防止することができない点にあった。第1審被告国は,現在に至っても間接曝露する危険がある作業に従事する状況において,防じんマスク着用を義務付けていないことからすれば,第1審被告国の防じんマスク着用義 務付けに関する規制権限不行使の違法が平成7年(1995年)3月31日に終わったということはできない。 エ石綿含有建材の製造禁止措置石綿の使用管理を前提とする規制について,第1審被告国がこれまでに現実に行ってきたものよりも更に厳格なものを講じていたとしても,現在までに現実に生じてきた被災者らを含む建築作業従事者の石綿粉じん曝露やこれによる石綿関連疾患発症が相当程度防止されていたはずとまでは言い切れないとすれば,第1審被告国は,安衛法に基づいて石綿含有建材の製造禁止措置に踏み切るべきであったということになり,この点について第1審被告国の権限不行使は違法であったということとなる。 安衛法1条及び55条の趣旨・目的からすれば,①建材に使用される石綿が建築作業従事者に重度の健康障害を たということになり,この点について第1審被告国の権限不行使は違法であったということとなる。 安衛法1条及び55条の趣旨・目的からすれば,①建材に使用される石綿が建築作業従事者に重度の健康障害を生ずる物質で,②現在の技術をもってしても,建築現場における石綿関連疾患の発症,特に少量曝露でも発症する危険性のある肺がん・中皮腫発症を防止する十分な防護方法がない,つまり,石綿含有建材の厳格な管理使用が著しく困難又は不可能である場合には,第1審被告国は,可能な限り速やかに,適時にかつ適切に規制権限を行使して石綿含有建材の製造等を禁止すべきである。 そして,第1審被告国は,遅くとも昭和62年には,石綿含有建材の製造等を禁止すべきであった。 昭和62年時点においては,建材に使用されているクリソタイルを含む石綿が建築作業従事者に与える健康障害が重大であり,健康障害が発生するリスクが極めて高いことが判明していた。 一方で,建築作業従事者については,厳格な管理使用の大前提となる場の管理濃度,個人曝露濃度のいずれの濃度規制も行われておらず,実効性のある粉じん発生抑制措置もなかった。局所排気装置の設置は著しく困難で,湿潤化も困難であった。防じんマスクの着用も限界があった。したが って,クリソタイルの管理使用の前提となる厳格な使用規制が困難又は不可能な状況にあった。 規制権限不行使の違法性判断に当たり,石綿の社会的有用性やこれに代わる代替品の製造コストを考慮することは,労働者の安全と健康の確保を目的とする安衛法の委任の趣旨・目的からすると許されないものである。 この点を措いても,昭和62年当時には,多くの建材のノンアス化が進んでおり,同時点において石綿と同様又はこれを上回る危険性が指摘された代替製品はなかった。昭和62年から平成 と許されないものである。 この点を措いても,昭和62年当時には,多くの建材のノンアス化が進んでおり,同時点において石綿と同様又はこれを上回る危険性が指摘された代替製品はなかった。昭和62年から平成7年の間に代替化が進んだのは,代替品の製造技術等が高まったからではなく,使用禁止が世界の趨勢となり,石綿含有建材企業が日本での使用禁止が近いと判断したからにほかならない。 このほか,欧米各国の規制強化や禁止の動向,学校パニックなどの石綿の社会問題化の状況を踏まえれば,昭和62年時点で製造等を禁止する規制権限を行使しなかったことは違法である。 また,遅くとも平成3年時点では,全種類の石綿含有建材がノンアス化していた。 したがって,この時点では,石綿含有建材の製造等を禁止することが社会的に大きな混乱や新たな産業被害を引き起こすことはなかったし,第1審被告国は,国民から石綿含有建材の製造等禁止措置を強く求められていた。 第1審被告国が,遅くとも平成3年に,クリソタイルを含む石綿を含有する建材の製造等を禁止する規制権限を行使しなかったことは,著しく合理性を欠き違法である。 アモサイトは,クロシドライトと並んでクリソタイルより毒性が強く,平成元年には,WHOがアモサイトの使用禁止を勧告した。アモサイトについて管理使用が可能であるとの見解があったのは平成元年頃までであ る。アモサイトは,昭和62年においても,石綿含有建材に使用された石綿の3%を占めるにすぎなかった。 したがって,アモサイトについては,昭和62年,どんなに遅くとも平成元年時点で製造等を禁止すべきであった。 ⑶ 建基法に基づく規制権限不行使の違法性ア建基法2条7号ないし9号建基法は,その37条において,建築材料は日本工業規格又は日本農林規 くとも平成元年時点で製造等を禁止すべきであった。 ⑶ 建基法に基づく規制権限不行使の違法性ア建基法2条7号ないし9号建基法は,その37条において,建築材料は日本工業規格又は日本農林規格に適合しなければならないことを定め,同法の委任を受けて定められた建基令108条の2は,建築材料の基準を定めるにあたって耐熱性や不燃性のみならず建築材料の有害性の要素も考慮した上での規制を行っている。また,そもそも,建基法1条に示された同法の目的からも,火災の危害のみを予防するという趣旨を読み取ることはできない。実際に,昭和62年(1987年)に,建基法に基づく告示によって耐火構造の規定から吹付石綿を用いた構造の規定が全て削除されたこと,平成16年(2004年)に,建基法や建基令に基づく耐火構造等に関する告示から全ての石綿含有建材の規定が削除されたこと,平成18年(2006年)に,建基法28条の2において,石綿含有建材の使用禁止が定められたこと等の点からすれば,建基法は,有害な建築材料による危害から国民の生命や身体を守ることもその目的の一つとしている。 建基法1条の定める同法の目的の中で,同法が守るとしている生命,健康及び財産の主体にはさしたる限定はなく,建物から生じる危害は,建物の利用者だけにとどまらず,広範な者に及び得るのであるから,建基法が守るとしている法益の主体にさしたる限定がないのは当然のことである。 建物を構成しているか又は構成することとなる建材によって工事現場内に生じる危害は,実質的には建物から生じる危害といってよいし,工事現場内の建築作業従事者に安全,衛生上の危害をもたらすこととなるような 物(建材)で構成される建物を建設させていくことは,建基法1条において定める「公共の福祉の増進」に明らかに反している。また,上 建築作業従事者に安全,衛生上の危害をもたらすこととなるような 物(建材)で構成される建物を建設させていくことは,建基法1条において定める「公共の福祉の増進」に明らかに反している。また,上記の建材による危害は,建築作業従事者のみに生じるものではなく,第三者にも及び得るものである。こうした点からすれば,建基法が定める危害には,上記の建材によって工事現場内の建築作業従事者に固有に生じる安全,衛生上の危害は含まれ得ると考えるべきである。 以上のように,建基法は,建物を構成しているか又は構成することとなる石綿含有建材を建物の建設のために加工,使用することなどによって工事現場内の建築作業従事者にも生じる石綿粉じん曝露やそれによる石綿関連疾患の発症といった危害について,その防止を図っているものであるから,第1審被告国は,建基法2条7号ないし9号に基づく,指定,認定に関する権限についても,上記危害を防止するという観点から,適時適切に行使しなければならなった。しかし,第1審被告国は,これを怠っており,この規制権限不行使は適用上違法となるものである。 イ建基法90条上記アのとおり,建物を構成しているか又は構成することとなる建材によって工事現場内に生じる危害は,実質的には建物から生じる危害と言ってよい。したがって,建基法90条の「危害」とは,建物を構成しているか又は構成することとなる建材によって工事現場内の建築作業者にも生じる安全,衛生上の危害ということになり,石綿含有建材の加工により生じる石綿粉じん曝露やそれによる石綿関連疾患の発症といった危害は,これに含まれるものである。 以上によれば,第1審被告国は,建基法90条2項に基づき,適時適切に,建物を構成しているか又は構成することとなる石綿含有建材を建物の建設のために,加工,使 た危害は,これに含まれるものである。 以上によれば,第1審被告国は,建基法90条2項に基づき,適時適切に,建物を構成しているか又は構成することとなる石綿含有建材を建物の建設のために,加工,使用することによって生じる危害の発生を防止するための技術的基準を定める義務を負っていたにもかかわらず,こうした内 容の政令を一切制定しておらず,こうした規制権限の不行使は,適用上違法となる。 そして,第1審被告国が定めるべきであった義務の具体的内容は,① 建物を構成しているか又は構成することとなる石綿含有建材を建物の建設のために加工,使用等する場合には,これがなされている現場において安衛法と同様に現場警告表示を行うこと② 建物を構成しているか又は構成することとなる石綿含有建材を建物の建設のために加工,使用等するために電動工具を用いる場合には,その電動工具は集じん機付きのものとすること③ 建物を構成しているか又は構成することとなる石綿含有建材を建物の建設のために加工,使用等する場合には,これがなされている場所における作業に従事する者は,防じんマスクを着用することといったものである。 ⑷ 規制権限不行使の違法の期間ア第1審被告国が,遅くとも昭和48年7月までに,建設現場において,建築作業に従事する労働者が石綿粉じん作業により石綿粉じんに曝露することによって石綿関連疾患を発症する危険性を認識し,又は少なくとも具体的に認識することが容易にできたことからすれば,こうした認識を踏まえて,労働者の石綿関連疾患発症を回避するための規制権限を行使することも容易であった。そして,第1審被告国は,遅くとも昭和47年には,建築作業現場において,石綿粉じん作業により,少なくとも5本/㎤以上の濃度の石綿粉じんが飛散し,建築作業従事者がこ 権限を行使することも容易であった。そして,第1審被告国は,遅くとも昭和47年には,建築作業現場において,石綿粉じん作業により,少なくとも5本/㎤以上の濃度の石綿粉じんが飛散し,建築作業従事者がこうした濃度の石綿粉じんに曝露していたことを認識していた。こうした第1審被告国の石綿粉じん曝露の危険性に関する認識や規制権限行使の容易性,実際に労働者が石綿粉じんに曝露していたことを認識していたことからすれば,第1審被告国に石綿関連疾患発症の危険性に関する認識又は認識可能性が認められる昭和48年の翌年で ある昭和49年1月1日には当該規制権限を行使すべきであった。仮に,規制権限を定めるために必要となる期間を最大限長く考慮したとしても,どんなに遅くとも昭和50年改正特化則施行時(昭和50年10月1日)には,当該規制権限を行使すべきであった。 イ防じんマスク着用義務付けに係る規制の実効性を確保するためには,現場における防じんマスク着用の回避傾向といった事情からすれば,適切な警告表示を行うことの義務付けが必要不可欠であったといえる。したがって,平成7年4月1日の特化則改正において,防じんマスクの着用を義務付けたとしても不十分であり,安衛法に基づく第1審被告国の規制権限不行使の違法性の終期は,どんなに早くとも平成15年改正労働安全衛生法施行令によって製造等禁止措置が講じられた平成16年9月30日である。 ⑸ 労基法適用労働者以外の建築作業従事者に対する責任ア公務員が職務上の法的義務を負う相手方は,対象行為を規律する根拠法令が保護する利益を有する者に限られるものではなく,①対象行為の根拠法令の全部又は一部の趣旨,②対象行為の根拠法令と関連する他の規定の存在,内容,趣旨,③侵害されたと主張される利益の内容,性質,重要性等,④侵害された する者に限られるものではなく,①対象行為の根拠法令の全部又は一部の趣旨,②対象行為の根拠法令と関連する他の規定の存在,内容,趣旨,③侵害されたと主張される利益の内容,性質,重要性等,④侵害されたと主張される利益と対象行為を規律する根拠法令が保護する利益との重なり合いの点を慎重に吟味した上で,被害救済と損害の公平な分担を理念とする国賠法の観点から定められるものである。 イ第1審被告国の安衛法に基づく規制権限の行使・不行使を規律する根拠法令は,安衛法22条,55条,57条などであるところ,安衛法22条が保護する利益は作業従事者全般が業務上の危害から生命・健康等を守る利益であって,この作業従事者には一人親方等も含まれる。また,安衛法55条が保護する利益は,黄燐マッチ製造禁止法を原点とする沿革があるから,作業従業者全般が業務上の危害から生命・健康等を守る利益であって,作業従事者には一人親方等も含まれる。また,安衛法57条も,最終的に石綿含有建 材を使用する作業者全体を法的な雇用関係の有無にかかわらず保護することを予定しているというべきである。 仮に,安衛法の保護する利益が労基法適用労働者の利益に限られるとしても,安衛法の趣旨が,職場における労働者の安全と健康を確保するだけにとどまらず,快適な職場環境の形成を促進することも含まれていることからすれば,一人親方等の業務上の危害防止も快適な職場環境の形成につながるものであり,含まれるものといえる。 ウ一人親方等の業務上災害から生命・健康等を守る利益は,生命・健康,勤労に直接的に関わる最高位の法益であるし,一人親方等の社会的存在としての規模やこれらの者が果たす役割等に照らして,前記利益には広範性がある。 こうした点からしても,国賠制度によって石綿健康被害を救済する必要性は極めて 最高位の法益であるし,一人親方等の社会的存在としての規模やこれらの者が果たす役割等に照らして,前記利益には広範性がある。 こうした点からしても,国賠制度によって石綿健康被害を救済する必要性は極めて大きく,安衛法の趣旨や目的について,労基法適用労働者の周辺の作業者も含めた形で,実質的,柔軟に解して,被害救済の範囲を広げるべきである。 エ安衛法と関連して労災保険法に,一人親方等の労災保険の特別加入制度の規定があり,当該規定は,労働者災害補償保険法に連なる労災保険法の沿革等からすれば,作業従事者全般の業務上災害に対する公的な扶助(補償)を行おうとする趣旨のものである。 オ一人親方等の業務上災害から生命・健康を守る利益を保護する政策が戦前から一貫して継続していることや,当該利益の憲法上の位置付け等からすれば,一人親方等の業務上災害から生命・健康を守る利益は,国政上の配慮や尊重を受ける最高位の法益である。建築作業従事者が行う作業の具体的な内容は,労基法適用労働者であるか,一人親方等であるかによって異なるところはなく,両者の利益は密接不可分に重なり合い,対物的規制による業務上の危害防止の場面では,両者の利益は同一のものといってよい。 カ第1審被告国は,災害から生命・健康を守るため規制権限を行使すべきで あったが,その行使の際には,上記のような法の趣旨,法益の重大性,利益の重なり合いからすれば,労基法適用労働者の利益と共に,一人親方等の業務上災害から生命・健康を守る利益についても配慮されるべきであり,配慮しなければならない職務上の法的義務を負っていたというべきである。 ⑹ 第1審原告B18の石綿粉じん曝露作業従事期間次の事情からすれば,第1審原告B18は,原審が除外した昭和52年4月から昭和57年12月までの間も石綿粉じ 務を負っていたというべきである。 ⑹ 第1審原告B18の石綿粉じん曝露作業従事期間次の事情からすれば,第1審原告B18は,原審が除外した昭和52年4月から昭和57年12月までの間も石綿粉じん曝露作業に従事していたものと認められる。 ア建物が解体されるのは通常建築後30年程度した後であるとする根拠はない。建物の解体は,居住用の一般木造建物においては,解体の理由は耐用年数経過に限られず,居住者の家庭事情や使用状況などに合わせて,耐用年数を待たずに解体・改築されることも少なくないから,建物解体が建築後30年程度経過した後であるとすることは経験則に反している。 イ第1審原告B18は,解体工としてCに勤務していた上記期間も単に廃材の後片付けなどの補助作業だけでなく,自ら改修(増改築)作業自体も行っていた。 ウ解体現場における補助作業であっても,当時の状況からすれば解体作業自体を行っていた場合と同様の粉じん曝露があった。 ⑺ 第1審原告B53の石綿肺り患次の事情からすれば,第1審原告B53は,石綿肺にり患していた。 ア第1審原告B53のじん肺健康診断結果証明書(甲D19の5の1)には,エックス線写真の像に不整形陰影が認められ,胸膜プラークが存在することが示されているところ,じん肺検査ハンドブック(甲A6・16,17頁)では,不整形陰影が認められ,胸膜病変があるじん肺は石綿肺であるとされている。さらに,じん肺健康診断結果証明書の医師意見では,第1審原告B53の胸部疾患の原因がアスベストであること,すなわち,石綿肺にり患し ている事実が指摘されている。 イ D医師は,平成10年1月20日撮影の第1審原告B53のレントゲン写真に基づき作成されたじん肺健康診断証明書(甲D19の5の1)において,胸部エックス線写 ている事実が指摘されている。 イ D医師は,平成10年1月20日撮影の第1審原告B53のレントゲン写真に基づき作成されたじん肺健康診断証明書(甲D19の5の1)において,胸部エックス線写真の像が第一型の不整形陰影が少数ある状態と概ね一致すると判定されることを意味する「不整形陰影1/1」という記載があることなどを根拠に,第1審原告B53の肺が不整形陰影1/1の状態であるから石綿肺にり患しているといえる。また,第1審原告B53について,平成24年8月27日に撮影されたCT写真(乙アA309の3)に関するD医師の意見及び平成25年9月17日に撮影されたCT写真(甲A1062別紙2)に関するE医師及びD医師の各意見からすれば,不整形陰影が認められ,第1審原告B53は石綿肺にり患しているといえる。 ウ第1審原告B53は,炭鉱その他の粉じん職場での就労歴が長くなく,15年間もの間吹付作業に従事したこと,内装業等様々な建築作業に30年以上従事していることからすれば,石綿含有建材を取り扱い,石綿粉じんに曝露する作業に従事したことは明らかである。 エ第1審原告B53の労災保険の休業補償給付支給請求書,休業特別支給金支給申請書(甲D19の5の8)の診療担当者による疾病に関する証明書には石綿肺であるとの記載はないが,これは,上記請求書では「じん肺」とさえ記載すれば,じん肺法23条により,業務上の認定がされるためじん肺との記載がされたにとどまるものであり,こうした記載をもって第1審原告B53が石綿肺であることを否定する根拠とはならない。 ⑻ 損害ア本件では,第1審被告国が,石綿含有建材の普及・流通を厳しく規制しなければ,建設現場における石綿粉じんの発生は回避できなかった。そうであれば,第1審被告国は,最低限の措置として防じんマスク着用 ア本件では,第1審被告国が,石綿含有建材の普及・流通を厳しく規制しなければ,建設現場における石綿粉じんの発生は回避できなかった。そうであれば,第1審被告国は,最低限の措置として防じんマスク着用義務付け,警告表示義務の徹底等を図るべきであったにもかかわらず,これを怠っている のであるから,第1審被告国の規制権限不行使と損害との因果関係は一部ではなく全部に及ぶ。 また,本件で,第1審被告国が行った規制権限の行使は,きわめて不十分なものであったことからすれば,第1審被告国の責任を限定することを正当化する具体的な事実は存在しない。 以上を踏まえると,本件における第1審被告国の責任は,二次的,補充的なものということはできず,第1審原告らが被った損害の全部について第1審被告国が責任を負う。仮に,第1審被告国の責任を限定するとしても少なくともその責任が2分の1を下回ることはない。 イ本件において,被災者らとその遺族が被った身体的・精神的被害は甚大なものであり,それを慰謝するための金額として3500万円は極めて謙抑的なものである。したがって,本件における基準慰謝料額は一律に3500万円とすべきである。また,発症したのかなどという偶然の事情により慰謝料額に差を設けること,第1審被告国の責任期間外の曝露を減額要素とすることは不当である。 ウ本件において,被災者らが喫煙により肺がんにり患したことは証明されていないこと,被災者らが,喫煙の肺がん発症リスクを認識した上で喫煙の選択をするのは困難であったことからすれば,喫煙歴を疾病と同視しうる事情はなく,本件において,民法722条2項の類推適用をすることはできず,喫煙歴により一律に基準額の10%を減額することは認められない。 エ具体的な金額等については,原判決第3章第2節第6( うる事情はなく,本件において,民法722条2項の類推適用をすることはできず,喫煙歴により一律に基準額の10%を減額することは認められない。 エ具体的な金額等については,原判決第3章第2節第6(原告らの主張)1(原判決287頁4行目から同288頁6行目まで)のとおりであるのでこれを引用する。 3 当審における第1審被告国の主張⑴ 第1審被告国の建築作業従事者の石綿被害発生の危険性についての認識又は予見可能性 ア規制権限不行使の違法性の判断枠組み法令に基づく裁量的規制権限については,原則として作為義務は生じないが,その権限を定めた法令の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,当時の「具体的事情」の下において,その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められる場合には,裁量権の逸脱又は濫用として,例外的に規制権限行使の作為義務が認められ,権限不行使は違法となる。また,国が既に講じていた規制措置が,法の目的等に照らして許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるか否かを判断するに当たっては,既に講じられていた法令による規制が順守されていなかったこと(規制の不順守)と,法令による規制が不備であったこと(規制の不備)は明確に区別されなければならない。第1審被告国が一定の合理性を有する内容の規制措置を講じていたにもかかわらず,使用者によるその不遵守(又は労働者によるその不遵守,非協力)により労働者に健康障害が発生したとすれば,その責任は一時的には使用者が負うべきものである。その意味で規制の不備と規制の不順守とは明確に区別されなければならず,被規制者の不遵守のために被害が発生した場合にまで第1審被告国の損害賠償責任を認めることは両者を混同した議論である。 規制権限不行使の違法性の有無の判断 の不順守とは明確に区別されなければならず,被規制者の不遵守のために被害が発生した場合にまで第1審被告国の損害賠償責任を認めることは両者を混同した議論である。 規制権限不行使の違法性の有無の判断に当たっては,当該不行使が問題とされる当時,被害の実情が相当深刻であったことが判明していたという事情が極めて重要な要素となる。単に物質の危険性やこれにより将来の被害発生に係る抽象的な認識・予見可能性があるだけでは足りず,深刻な被害が発生する差し迫った現実の危険性があり,かつ,既存の規制措置に加え,更に厳しい規制措置を講じなければ上記被害を回避できないことについて,具体的な認識・予見可能性が必要である。しかし,建築労働者について,昭和50年10月1日当時,石綿肺等のり患といった被害が相当深刻であることが判明されていたことは主張立証されていない。労働者全般 における中皮腫の労災認定件数は,昭和61年当時でも年間9名にすぎず,平成7年当時ですら13名にとどまっていたとされ,建築労働者の胸膜肥厚斑の有所見者率は,平成9年に実施された一般検診の胸部レントゲン写真読影の結果において,大工について2.46%に認められるものの,石綿による肺実質の線維化である蜂窩肺を呈するほどの典型的な石綿肺所見を示すものは,空調・保温工等を除くと少ないのが現状であるとされている。平成17年から平成18年に実施された一般検診の胸部レントゲン写真の読影の結果でも,建築作業者6268名中,石綿肺一型以上は,全体の2.94%に認められたにすぎず,建築労働者の石綿肺等り患の実情が相当深刻であったことが明らかになっていたとはいえない。 また,建築現場における作業内容は,それ自体千差万別である上,作業場所等によっても状況は異なっていた。これに加えて,建築労働者が扱う石 が相当深刻であったことが明らかになっていたとはいえない。 また,建築現場における作業内容は,それ自体千差万別である上,作業場所等によっても状況は異なっていた。これに加えて,建築労働者が扱う石綿含有建材は,一般的にいえば,石綿原料と比べて石綿含有量が格段に低い上,通常の状態では飛散する性質を有していなかった。しかも,加工,処理等の粉じんを発散する作業も一時的・間欠的に行われており,石綿工場における作業と比べて石綿粉じん曝露濃度は高くなかったといえる。以上のような,建築現場における作業内容が千差万別であり,石綿粉じん曝露状況もさまざまであったことからすれば,規制権限不行使の違法性の有無を判断するにあたっては,各労働者が従事した作業ごとに判断しなければならない。 イ医学的知見の集積時期ある特定の要因と特定の疾病との間に因果関係があるという医学的知見が形成・確立されるためには(特に,本件のような職業集団において発症する疾患の要因を考える場合),①まず症例報告やある地域等で事例の発生が多いといったような現象が観察され,②その後に,そうした報告が複数となり,③これらの研究報告から一定の原因群と疾病との間に有意な関連がある か否かを記述的研究(観察研究)で確認し,当該要因と疾病との関係についての仮説が立てられ,④その仮説を検証,追試するため,様々な条件の下にデザインされた疫学研究が実施され,⑤その結果,一定の条件の下において当該要因と特定の疾病との間に有意な関連があること等が複数の疫学研究で確認されて仮説の正しさが検証されるといった各段階を踏むことが必要とされる。 石綿肺については,昭和15年においても,Fらによる症例報告が存在したにとどまり,医学的知見と言えるものは存在しておらず,昭和31年から昭和34年にかけ った各段階を踏むことが必要とされる。 石綿肺については,昭和15年においても,Fらによる症例報告が存在したにとどまり,医学的知見と言えるものは存在しておらず,昭和31年から昭和34年にかけて行われた労働省労働衛生試験研究によってようやくその医学的知見が概ね集積されたものである。ドール報告は,石綿粉じんへの職業性曝露と肺がんとの関連性を示唆した初めての疫学的研究にすぎず,また,UICCによる「報告と勧告」は,石綿粉じんと肺がんないし中皮腫発症との間の関連性を認めているにすぎず,むしろ,異なる種類の石綿繊維ごとのリスクの程度や,天然の石綿に含まれる油等の有機物等の肺がんないし中皮腫発症への影響力について更なる調査を行うことを勧告していることからすれば,石綿粉じん曝露と肺がんないし中皮腫発症との間の因果関係の有無を判断するために検討すべき課題が残されていることを示しているものであった。したがって,ドール報告やUICCの「報告と勧告」が示された時点において,石綿粉じん曝露と肺がんないし中皮腫発症との因果関係についての医学的知見が確立していたなどとは到底いえない。 医学的知見の集積時期は,昭和32年度の研究報告がされた昭和33年3月31日頃に石綿肺に関する医学的知見が確立し,その後の研究によって石綿の粉じんの曝露と石綿肺以外の石綿関連疾患との関連性が次第に明らかになり,昭和46年頃に肺がんとの関連性が,昭和47年頃に中皮腫との関連性がそれぞれ明らかになったものである。 ⑵ 建築作業に従事する労働者に対する安衛法に基づく規制権限不行使の違法 性ア石綿粉じんの危険性告知や教育に関する規制危険性告知について危険性告知のため求められる警告表示・作業現場掲示は,それ自体が労働者への石綿粉じん曝露を防いだり,石綿 性ア石綿粉じんの危険性告知や教育に関する規制危険性告知について危険性告知のため求められる警告表示・作業現場掲示は,それ自体が労働者への石綿粉じん曝露を防いだり,石綿関連疾患り患を防ぐものではなく,防じんマスク着用等の各種石綿粉じん曝露体側をとる必要があることを労働者に認識させるという間接的な役割を持つにすぎない。直接的な被害防止対策である防じんマスク等の規制と独立して,警告表示・作業現場掲示に係る規制権限不行使が独立の違法事由となるものではない。 警告表示の役割からすれば,警告表示によって防じんマスクの着用等粉じん曝露防止対策を実行する必要性があることが分かれば十分であり,それ以上に,石綿により引き起こされる石綿関連疾患の具体的な内容,症状等の記載,防じんマスクを着用する必要がある旨の記載を製造者に義務付ける作為義務が第1審被告国に生じるとはいえない。 昭和50年当時の石綿含有率の分析精度や流通していた多数の石綿含有建材の石綿含有率等からすれば,石綿含有量が重量比5%以下の建材を規制対象から外したことが,著しく不合理とはいえない。昭和50年時点で,石綿含有量が重量の5%以下の建材を使用していた場合でも労働者に健康被害が生じる旨の医学的知見が確立していたことは立証されていない。 特別教育について特別教育は,それ自体が労働者への石綿粉じん曝露を防いだり,石綿関連疾患り患を防ぐものではなく,直接的な被害防止対策である防じんマスク等の規制と別個に特別教育に係る対策が独立した違法事由となるものではない。また,石綿粉じん曝露作業について必要とされる教育内容は難解なものではないことからすれば,雇い入れ時教育における教育で不足す る点はない。 イ発じんの防止や抑制に関する規制(集じ ない。また,石綿粉じん曝露作業について必要とされる教育内容は難解なものではないことからすれば,雇い入れ時教育における教育で不足す る点はない。 イ発じんの防止や抑制に関する規制(集じん機付き電動工具について)電動工具による加工作業を含めた建築作業は,風等による粉じん拡散効果がある屋外による作業であり,屋内作業の場合も通常は長時間にわたる作業ではなかった。作業現場が養生シート等で囲まれた場合であっても石綿粉じんの大気への拡散・希釈が生じるだけの通気性が欠けることはなかった。その上,電動工具では,石綿含有量が比較的低く,最も有害性の低いクリソタイルを中心として石綿含有建材等を取り扱っていた。したがって,電動工具による加工作業が,吹付作業ほどに石綿粉じん曝露による危険性が高い作業とは考えられていなかった。集じん機等については,相当の重量を有しているため携行性が低く,その作業の安全性に与える影響も無視できない。特に,建設業のように,高所かつ狭い場所において,足場の中を移動しながら作業を行うことが状態である現場においては,集じん機やそのホース,コードに作業者がつまずくなどして転落したり,誤って電動工具によって身体を切断する危険性があるほか,集じん機が高所から落下して他の作業者に当たるなど様々な危険が想定される。上記のような効果に加えて,こうした危険性を考慮すると,集じん機付き電動工具の使用が一概に有効であるということはできない。 集じん機付き電動工具による有用性や二次発じんのおそれも様々であり,実用性のある技術的知見も存在していなかったことなどにも鑑みると,一律に罰則付きで集じん機付き電動工具の使用を義務付けなかったことが,著しく合理性を欠いており違法であるということはできない。 ウ防じんマスクの着用義務付け ていなかったことなどにも鑑みると,一律に罰則付きで集じん機付き電動工具の使用を義務付けなかったことが,著しく合理性を欠いており違法であるということはできない。 ウ防じんマスクの着用義務付け第1審被告国の規制権限不行使が違法となるには,当該規制権限不行使が問題とされた時点で,建築労働者の石綿肺等り患の実情が相当深刻であることが明らかになっていたか否かが重要である。そして,特化則の改正 により,使用者に対して労働者に防じんマスクを使用させる義務付けがされた平成7年3月31日以前に,建築労働者一般について,石綿肺等り患の実情が相当深刻であることが明らかになっていた事実はない。また,平成7年3月31日以前に,吹付作業以外の建築作業において,石綿含有建材を切断等する作業によって石綿粉じんに曝露し,石綿肺等にり患する危険性が高いとは考えられていなかった。 吹付作業以外の建築作業においても,防じんマスクの使用は,作業管理対策の一つであり,基本的には補助手段であった。粉じん曝露対策としては,一般に,①粉じん発散防止対策(作業環境管理対策),②粉じん曝露防止策(作業管理対策)及び③健康管理に分けられるところ,第一次的対策は,粉じん発散防止対策であり,吹付作業や建築物の解体作業以外の建築作業では,罰則をもって一律に義務付けることが適切な粉じん発散防止対策が見当たらない作業もあったが,その場合は,本来補助的手段である防じんマスクやその他の防止策を合わせて総合的に石綿粉じん曝露防止策を講ずることが合理的であると考えられた。 第1審被告国は,昭和47年までに,労働者の防じんマスクの使用を相当程度確保する規制を行っていた。具体的には,旧安衛則において,使用者に対し,粉じんを発散する衛生上有害な場所での業務において作業に従事する労働者 ,昭和47年までに,労働者の防じんマスクの使用を相当程度確保する規制を行っていた。具体的には,旧安衛則において,使用者に対し,粉じんを発散する衛生上有害な場所での業務において作業に従事する労働者に使用させるために呼吸用保護具を備えるなどの義務を課すなどし,旧特化則,安衛則及び特化則でも,呼吸用保護具に関して同様の規制を講じていた。安衛法では,労働者に対する安全衛生教育の実施義務も規定した。この他にも,特化則では,屋内作業労働者の健康障害予防措置義務(5条2項)を規定し,ここでは防じんマスクを使用させることも含まれていた。また,粉じん則では,「石綿」は規制の対象外とされたものの,セメント等の鉱物を含む建材の切断等の作業に従事する労働者に対して防じんマスクを使用させる義務(27条)が課された。そうすれば, これに加えて更に厳しい規制を講じなかったことが著しく合理性を欠くとはいえない。 石綿粉じん曝露作業に従事していた者の中には,防じんマスクを着用していた者,他者が防じんマスクを着用していたことを認識していた者,使用者から防じんマスクの着用を指示された者等が存在していた。使用者による防じんマスクの備付け義務の遵守や防じんマスクを労働者に着用させることが不可能又は著しく困難で,規制の順守を期待することがおよそ非現実的であったとはいえない。したがって,第1審被告国が既存の規制のみでは防じんマスクの着用が進んでいなかったと認識していたということはできない。防じんマスクについては,使用者に各種の規制を課したとしても,最終的にこれを使用するのは労働者自身であるため,石綿粉じん曝露防止の効果が得られるか否かは最終的に労働者自身の意思に依拠せざるを得ない。使用者に対する備付け義務及び労働者に対する使用義務に加えて,使用者に対して労働者 のは労働者自身であるため,石綿粉じん曝露防止の効果が得られるか否かは最終的に労働者自身の意思に依拠せざるを得ない。使用者に対する備付け義務及び労働者に対する使用義務に加えて,使用者に対して労働者に防じんマスクを使用させる義務を課すことまで必要不可欠であったとはいえない。 以上からすれば,防じんマスク使用に関する第1審被告国の規制権限不行使が国賠法の適用上違法となる余地はない。 エ石綿含有建材の製造禁止措置ある物質の製造等禁止を含めた管理方法を検討するに当たっては,単にある物質に発がん性・有害危険性があることが確認されたから直ちに当該物質の製造等を禁止する規制措置につながるものではなく,医学的知見や技術的知見のほか,社会的,経済的諸事情を総合的に考慮することが必要となる。そして,石綿は,その種類や曝露状況によってリスクに違いがあり,これに対する規制措置にも様々なものが考えられる。石綿の製造等を禁止するか否かを判断する際には,石綿の発がん性の有無という健康影響の問題にとどまらず,石綿が多くの国民の生命の保護にも大きく貢献する という社会的有用性の問題のほか,石綿の代替製品の発がん性を含めた健康影響の問題,効能を含めた有用性の問題等多岐にわたる諸事情を考慮する必要がある。 平成3年当時,クロシドライトについては,企業における使用は中止されており,クロシドライトと比べて発がん性のリスクが低いとされるアモサイトやクリソタイルについては,それぞれの業種において,許容し得る適正な曝露規制値を適時模索しながら,発がん性のリスクを高める要因と考えられる石綿肺へのり患や喫煙習慣を抑制するとともに,その曝露を可能な限り抑制する措置を執って,これを管理使用していくという方針がとられていた。なお,アモサイトについては,昭和59年度 める要因と考えられる石綿肺へのり患や喫煙習慣を抑制するとともに,その曝露を可能な限り抑制する措置を執って,これを管理使用していくという方針がとられていた。なお,アモサイトについては,昭和59年度には全国427の石綿取扱事業場のうち,アモサイトを使用する事業場は52にまで減少し,平成5年にはその使用が中止された。クリソタイルについては,平成元年のWHOの「石綿の職業曝露限界」の報告において,クリソタイルを安全に管理使用していくことが可能である旨の意見が示されていたことや,ワグナーらによるアンフィボール仮説(石綿による重大な健康障害は専らアンフィボール系によるものであるとの仮説)の提起等により,発がん性,中皮腫発症のリスクの程度が小さく,安全に管理使用していくことが可能であるとの考え方が支配的な状況であった。 石綿代替製品については,平成初期から平成6年前後に至っても,その性能面及び安全性について問題が残されており,製品化には安全性に関する知見の集積と性能面等における技術開発のための時間が必要とされている状況であった。 国際的な動向を見ても,平成3年当時,ほとんどの先進主要国において,石綿の製造等を全面的に禁止する措置は執られていなかった。 平成4年に提出された「石綿製品の規制等に関する法律案」は,廃案となっており,平成3年当時の我が国においては,石綿(クリソタイル)を 適切に管理使用するとの考え方が支配的であって,石綿の製造等の禁止措置を執ることの社会的コンセンサスは得られていなかった。 したがって,第1審被告国が,平成3年時点で石綿の製造等を禁止すべきであったとはいえない。 平成7年当時,クリソタイルについて,いかなる少量の曝露でも発がん性を有するとの知見が確立していたわけではなく,クロシドライト 国が,平成3年時点で石綿の製造等を禁止すべきであったとはいえない。 平成7年当時,クリソタイルについて,いかなる少量の曝露でも発がん性を有するとの知見が確立していたわけではなく,クロシドライト及びアモサイトと比較して,発がん性は格段に低いとされていた。また,クリソタイルは管理使用が可能であるとの見解が国際的に指摘されており,第1審被告国が平成7年以前から種々の規制を講じていたことからすれば,管理使用が期待できない状況ではなかった。また,平成7年当時にも代替製品の安全性は確立しておらず,諸外国と比較して製造禁止の規制が遅いということもできない。 したがって,第1審被告国が,平成7年時点で石綿の製造等を禁止すべきであったとはいえない。 ⑶ 建基法に基づく規制権限不行使の違法性ア建基法2条7号ないし9号建基法2条7号ないし9号の趣旨・目的は,建築物の構造の耐火性能や建材の不燃性能に関する最低基準を定め,建築の際にこれを遵守させることによって,建築された建築物の火災発生の際の延焼や倒壊を防止し,火災から国民の生命,健康及び財産の保護を図ることにある。これらの規定は,建築物の建設・解体等の工事に従事する建築作業従事者が工事に従事する際の健康等の保護についてまでもその目的としているものではない。 また,建基法2条7号ないし9号に基づき内閣及び建設大臣に付与された権限は,建築材料が不燃性を有すると認められるか否か,建築物の構造が耐火性能,防火性能を有していると認められるか否か等の性能評価に関する認定権限である。かかる不燃性,耐火性能,防火性能等の性能評価とは無関係 に,建築材料が石綿を含有しているという理由だけで,これを排除等する権限は,そもそも与えられていない。 したがって,建基法2条7号ないし9号に基づく 能,防火性能等の性能評価とは無関係 に,建築材料が石綿を含有しているという理由だけで,これを排除等する権限は,そもそも与えられていない。 したがって,建基法2条7号ないし9号に基づく内閣及び建設大臣の指定,認定等の行為が,建築作業従事者との関係で国賠法1条1項の適用上違法となる余地はない。 イ建基法90条建基法90条による防止措置の対象とされる危害とは,文言上,物理的な損壊等による危害を前提としており,建築作業従事者の工事現場における作業時の石綿粉じんへの長期・継続的な曝露による健康被害まで含むものではない。 同条は,個々の建築工事の持つ事故の危険性に着目した規定であると解され,建築作業従事者といった労働者の特徴に応じた危害の発生を防止する措置を取ることは,同条の目的とはされていない。 ⑷ 労基法適用労働者以外の建築作業従事者に対する責任ア行政権限の不行使によって国民が不利益を被った場合であっても,権限行使の根拠となる法令が損害を受けたという個別の国民の権利又は法益を保護の対象としているものでなければ,当該公権力の行使に当たる公務員は当該権利又は法益を保護すべき職務上の法的義務を負っているとはいえず,当該公権力の不行使が国賠法1条1項の適用上違法となることはない。 違法性の前提となる職務上の法的義務の有無の問題と国賠法上の保護範囲の問題とは表裏の関係にある。 イ旧労基法・安衛法は,事業主に使用される労働者の保護を図ることを目的としていることは,各条文から明らかである。安衛法が非労働者である一人親方等をも保護の対象としていると解することは,明文の規定に反するものである。 旧労基法48条を引き継いだ安衛法55条も,「労働者に重度の健康障害 を生ずる物」を製造等の禁止対象とし得る 等をも保護の対象としていると解することは,明文の規定に反するものである。 旧労基法48条を引き継いだ安衛法55条も,「労働者に重度の健康障害 を生ずる物」を製造等の禁止対象とし得ることを明示している一方,労働者以外の者に生じ得る健康障害を考慮すべきことは何ら規定していない。したがって,上記各条文の保護対象が労働者であり,労働者以外の者は保護対象に含まれないことは明らかである。 安衛法55条に基づく規制権限の不行使が一人親方等との関係で国賠法1条1項の適用上違法と評価される余地はない。 このことは,安衛法57条等においても同様である。 ウ一人親方等について旧労災保険法が擬制適用されていたとしても,特別加入者は,単に「労働者」と同様の作業実態があることのみで保護されていたわけではなく,保護される場合であっても,その内容は「労働者」と大きく異なっており,「労働者」と全く同様に保護されているわけではない。特別加入制度は,むしろ通常の民間に見られる損害保険と同様の性質をもった制度というべきである。したがって,旧労災保険法上特別加入制度があることは,安衛法の保護対象に一人親方等が含まれると解する根拠にはならない。 また,旧労基法又は安衛法の規定を関係当事者が遵守したことにより,労働者以外の者が利益を得ることがあり得るとしても,これをもって,このような利益が旧労基法又は安衛法によって保護されたものと解すべき根拠もない。 ⑸ 第1審原告B18の石綿粉じん曝露作業従事期間ア木造専用住宅の平均寿命は,実際のデータを基に専門家が分析した研究結果によれば,木造専用住宅(戸建て住宅)が65年とされていた。したがって,木造専用住宅が,解体されるのが通常建築後30年程度経過した後であるとした原判決の判断が経験則に反するとい 家が分析した研究結果によれば,木造専用住宅(戸建て住宅)が65年とされていた。したがって,木造専用住宅が,解体されるのが通常建築後30年程度経過した後であるとした原判決の判断が経験則に反するということはできない。 イまた,第1審原告B18が,昭和52年4月から昭和57年12月までの間,Cにおいて,解体作業等石綿粉じん曝露作業に従事していたことを裏付ける証拠は存在しない。第1審原告B18は,原審における本人尋問におい て,Cでの作業内容等は,独立前はユンボや工具を使って解体する作業自体は行っておらず,解体作業の補助として廃材の片付けや,廃材の積み込みをしていたにすぎないこと,独立前に解体の補助作業を行ったのは月2,3回であったこと等を供述しており,第1審原告B18が,上記期間に行っていたのは解体現場における補助作業にとどまり解体作業自体に従事していなかったことは明らかである。 ウ解体現場において,養生シートで4面を覆った環境で解体作業等に従事したとしても,油圧ショベル等の重機を使って天井や壁を一気に壊した後の作業現場では当然に天井部分は覆われておらず,建物の周りに設けられた外部足場の外側を養生シートで覆っただけの作業現場においては,外部との通気があることから換気が行われて希釈されるから,屋内の作業現場と比較して,石綿粉じんの濃度が格段に低いことは経験則上明らかである。 ⑹ 第1審原告B53の石綿肺り患ア一般に,石綿肺を含むじん肺は不可逆性を有しているため,じん肺に起因する不整形陰影が後に消失することは考え難いところ,D医師は,第1審原告B53について,平成11年から平成26年までの少なくとも16年間は不整形陰影の存在を認めていないから,第1審原告B53のじん肺健康診断結果証明書の「不整形陰影1/1」との記載につ 師は,第1審原告B53について,平成11年から平成26年までの少なくとも16年間は不整形陰影の存在を認めていないから,第1審原告B53のじん肺健康診断結果証明書の「不整形陰影1/1」との記載については誤りと考えるのが,医学的観点から見て合理的である。 イ第1審原告B53の労災申請時において,専門医であるG医師も,平成10年7月28日の時点で,平成10年のエックス線写真を基に,「エックス線写真では,石綿肺の陰影,所見は認められないため一般のじん肺」であると診断し,D医師と同様の見解を示している。 ウ第1審原告B53が,石綿肺り患の根拠とする平成24年8月27日及び平成25年9月17日撮影の各CT写真について,D医師は,異常な陰影は認められないとする一方で,陰影がある可能性までは否定できない旨述べた にとどまり,不整形陰影があるとの意見までは述べていない。また,E医師の意見書はそもそも信用性に問題がある上,陰影に相当する所見かは微妙であるとしたり,石綿肺といえなくはないとするにとどまっており,CT写真にじん肺法4条にいうエックス線写真の像第一型の不整形陰影が認められるとまでいうものではない。 ⑺ 損害ア慰謝料額算定の際,労災保険給付等の受給を考慮することができるのは,当該受給により,経済的不安や苦痛が軽減されるからである。そうすると,受給金額の多寡によって,当該不安や苦痛が和らぐ程度も異なると解される。 労災保険給付等の個別の受給額を考慮することなく慰謝料額を算定することは不当である。 イ IPCS(国際化学物質安全性計画)は,喫煙歴も石綿曝露歴もない人の発がんリスクを1とすると,喫煙歴があって石綿曝露歴がない人は10.85倍,喫煙歴がなく石綿曝露歴がある人は5.17倍,喫煙歴も石綿曝露歴もある人は53. 全性計画)は,喫煙歴も石綿曝露歴もない人の発がんリスクを1とすると,喫煙歴があって石綿曝露歴がない人は10.85倍,喫煙歴がなく石綿曝露歴がある人は5.17倍,喫煙歴も石綿曝露歴もある人は53.24倍としている。国立がん研究センターも,能動喫煙と肺がんの関連性については,多くの調査,研究によりリスク要因として確実であることが明らかであると指摘している。このように,喫煙が肺がん発症に大きな影響を与えていることは明らかであり,喫煙の方が石綿粉じん曝露よりも肺がん発症に寄与する度合いが大きいといえる。 したがって,民法722条2項を類推適用して,肺がんを発症した者のうち喫煙歴を有する者については,少なくとも3割(喫煙状況に応じ5割を超える)の減額がされるべきであり,被災者らの喫煙状況によっては少なくとも5割を超える減額がされるべきである。 第2 第1審被告企業らに対する請求について 1 民法719条1項に基づく共同不法行為責任の成否について(第1審原告らの主張) ⑴ 第1審被告企業らに要求される注意義務の程度第1審被告企業らは,①第1審被告企業らが製造した各種製品に人の生命・身体(健康)への侵害の危険が存在し,②その製品が大量生産・大量消費が予定されているものであり,③製造者がその製品の製造・販売によって収益を得ていることからすれば,製品製造者として,製品の安全性を確保するため「極めて高度なかつ厳格な注意義務」を負っている。 そして,第1審被告企業らの注意義務が持つ性格は次のようなものである。 ① 被害発生の明白な危険がなくても,危険情報があれば,それが明確に否定されない間は,予見可能性があるものとして,結果回避義務が生じる。第1審被告企業らは,大量生産により収益を上げていた者として,その製品の安全性に な危険がなくても,危険情報があれば,それが明確に否定されない間は,予見可能性があるものとして,結果回避義務が生じる。第1審被告企業らは,大量生産により収益を上げていた者として,その製品の安全性について十分な調査,研究を行うべきである。第1審被告企業らは,アスベスト建材について高度な専門性を有する企業であり,さらに,そのアスベスト建材製造・販売企業の中でも,大きなシェアを有する中心企業であって,調査研究の能力も十分に持っていた。 ② 同様に,結果可能性においては,回避のための最大限の可能な措置を執るべきであった。 ③ したがって,第1審原告ら建築作業従事者が例えばマスクをしていないなどの事情があったとしても,第1審被告企業らの責任を減じるべきではない。 第1審被告企業らと第1審原告ら建築作業従事者とでは,アスベストの危険性の認識,認識可能性(能力)について,極めて大きな開きがある。第1審被告企業らの十分な警告がなければ,第1審原告らは被害防止の措置を執ることができない。 同じく,第1審被告企業らと,第1審原告ら建築作業従事者との間に,ゼネコン等の第三者が介していても,第1審被告企業らの責任を減じるべきではない。これらゼネコン等と比べても,第1審被告企業らは専門性の高い製造・販売業を行うトップ企業として,アスベストの危険性についてはより敏 感になるべきであり,認識,認識可能性ははるかに大きかったからである。 この点,薬害訴訟において,製薬会社と被害者との間に医師等の第三者が介在していても,製薬会社の責任が認められていることと同様というべきである。 ④ 第1審被告企業らの義務は,行政法規を後追いするだけでは,それを履行したことにはならない。行政が規制を始めてから対策をとるのでは遅く,製造・販売という直接の行動を行う者であ いうべきである。 ④ 第1審被告企業らの義務は,行政法規を後追いするだけでは,それを履行したことにはならない。行政が規制を始めてから対策をとるのでは遅く,製造・販売という直接の行動を行う者であって,知見も結果回避の能力も持つ第1審被告企業らが,確保されるべき生命健康の安全は絶対の価値をもつものであるところ,単に行政の後追いをするだけなどということでは,決してその注意義務を履行したなどとはいえない。第1審被告国には規制権限により第1審被告企業らを監督すべき義務があるが,監督が始まらなければ直接の加害者は対応しないなどということが許されないのは明らかである。したがって,第1審被告国についての規制権限不行使の違法が認められる時期よりも,第1審被告企業らに義務違反が認められる時期は相当に早いというべきである。さらに,結果回避措置についても行政法規を履行するだけでは十分でなく,行政法規による結果回避措置が不十分である場合には,それを上回る対策が必要であった。 ⑵ 第1審被告企業らの予見可能性及びそれに基づく結果回避義務ア予見義務発生時期極めて高度かつ厳格な注意義務を負って石綿を取り扱うべき第1審被告企業らは,遅くとも昭和5年(1930年)の第1回国際けい肺会議が開催された時点以降は,人の生命,身体(健康)を害する抽象的危惧を及ぼすに足りる何らかの健康障害の存在の認識又はその可能性が認められるというべきである。この時点以降,第1審被告企業らは,石綿含有建材を製造し,流通に置くためには,その時々の最高の知識と技術を用いて,石綿含有建材が石綿をはじめとするあらゆる健康障害によって人の生命, 身体(健康)を害することがないかについて予見する義務があったというべきである。 仮に,第1審被告企業らが日本国内の企業であるとい 綿をはじめとするあらゆる健康障害によって人の生命, 身体(健康)を害することがないかについて予見する義務があったというべきである。 仮に,第1審被告企業らが日本国内の企業であるという点を考慮して,我が国の国内だけの情報で考えたとしても,第1回国際けい肺会議の議事録の抄訳が紹介された昭和9年(1934年)ないしどれだけ遅くとも保険院報告がなされた昭和15年(1940年)には同様の予見義務が認められる。 第1審肺がん,中皮腫その他一切の健康障害について,予見義務があるというべきであるが,仮に,このような抽象的包括的な予見義務が認められないとしても,次の時点において,石綿肺,肺がん及び中皮腫のそれぞれの疾病に関する危険についての予見義務があったというべきである。 a降予見義務があったというべきである。 b 肺がんについては,遅くとも昭和30年(1955年)のドール報告以降は,予見義務が認められるべきであり,仮に,第1審被告企業らが日本国内の企業である点を考慮しても,遅くとも昭和34年(1959年)の我が国におけるドール報告受容の時点で予見義務が認められるべきである。 c 中皮腫については,遅くとも昭和39年(1964年)のニューヨーク科学アカデミー国際会議の開催あるいはそれに続く昭和40年(1965年)の「報告と勧告」の採択以降は,予見義務が認められるべきであり,仮に,第1審被告企業らが日本国内の企業であることを考慮しても,どんなに遅くとも昭和41年(1966年)の我が国におけるニューヨーク科学アカデミー国際会議での報告の紹介の時点で予見義務が認められるべきである。 イ予見可能性とそれに基づく結果回避義務第1審被告企業らが,極めて高度なかつ厳格な注意義務をもってその時々の最高の知識と技 報告の紹介の時点で予見義務が認められるべきである。 イ予見可能性とそれに基づく結果回避義務第1審被告企業らが,極めて高度なかつ厳格な注意義務をもってその時々の最高の知識と技術に依拠して予見義務を履行すべきであることからすれば,第1審被告企業らは,予見義務発生時点における石綿の危険情報について認識すべきである,予見義務発生後の危険情報については,その報告がなされた時点で直ちに認識すべきであった。また,第1審被告企業らの予見可能性を前提とすると,第1審被告企業らは,自ら製造した石綿含有建材によって石綿肺,肺がん,中皮腫等にり患するような結果を回避するために必要な措置を講じる義務(結果回避義務)を負っていた。そして,本件において検討すべき結果回避義務は,①警告義務,②一時製造・販売停止義務及び③製造・販売中止義務である。これらの義務の具体的な内容については,第1審被告企業らがその極めて高度なかつ厳格な注意義務に基づいて予見義務を尽くすことにより把握できる石綿の危険性の程度や被害法益の重大性,被害発生の蓋然性等を勘案して,人体に危害を加えることのないよう万全の措置と言えるかという要素を考慮して判断すべきである。 ⑶ 第1審被告企業らの警告義務ア石綿曝露による危険性の高さ,被害法益の重要さ等からすれば,石綿粉じん曝露による被害を生じさせないためには,建築現場において曝露防止のための十分な防じん対策が取られなければならない。十分な防じん対策が取られるためには,石綿含有建材を使用する建築作業従事者や雇用主である建設業者が,使用する建材に石綿が使用されていること,石綿が肺がんを含む重篤な石綿疾患の原因物質であることという情報を知る必要がある。そして,被災者ら建築作業従事者が,自らだけで石綿含有建材に関する情報を入手す 用する建材に石綿が使用されていること,石綿が肺がんを含む重篤な石綿疾患の原因物質であることという情報を知る必要がある。そして,被災者ら建築作業従事者が,自らだけで石綿含有建材に関する情報を入手することは不可能であるから,石綿含有建材を製造・販売した第1審被告企業らがこれらの情報を伝えること,つまり,警告が必要となる。また,建設業者についても,その石綿含有建材に関する情報格差からして,第1審被告企 業らからの警告がなければ,自ら雇用する建築作業従事者の生命,身体(健康)を守ることは困難であった。 したがって,第1審被告企業らは,石綿含有建材を製造・販売して流通に置くに当たって上記の情報に係る警告義務を負っていた。 イ第1審被告企業らは,その時々の予見可能な情報に基づいて石綿被害という結果を回避するために必要な警告を行う義務を負っていた。具体的な時期及び内容は次のとおりである。 保険院調査により,石綿による石綿肺被害の実態,つまり,石綿粉じんの吸引量と石綿労働者の勤続年数,作業部署と石綿肺り患率との間に有意な関係が明らかになった昭和15年(1940年)には,石綿肺発症の危険性に関する警告義務を負っていた。 ドール報告により,①20年以上アスベスト労働に従事した労働者の肺がん発生リスクは10倍になり,職業的リスクであること,②粉じん作業条件下での労働期間が短いほど,石綿肺及び石綿肺と肺がんの合併の発症リスクは低下すること等の石綿粉じん曝露による肺がんり患の危険性が明らかになった昭和30年(1955年),遅くともドール報告が我が国においても受容されていた昭和34年(1959年)には,肺がん発症の危険性に関する警告義務を負っていた。 ニューヨーク科学アカデミー国際会議,UICCの「報告と勧告」で,ごく微量の石綿粉 我が国においても受容されていた昭和34年(1959年)には,肺がん発症の危険性に関する警告義務を負っていた。 ニューヨーク科学アカデミー国際会議,UICCの「報告と勧告」で,ごく微量の石綿粉じん曝露による中皮腫り患の危険性が明らかになった昭和39年(1964年)から昭和40年(1965年),遅くとも上記国際会議のことが労働省の報告書において紹介された昭和41年(1966年)又は改正特化則が制定された昭和50年(1975年)には,ごく微量の石綿粉じん曝露による中皮腫り患の危険性に関する警告義務を負っていた。 ウ石綿含有建材のもたらす危険性の大きさや被害の重大性等からすると,第 1審被告企業らは,①石綿含有の具体的事実(石綿の種類,石綿の含有量等を含む。),②その時々の予見可能な危険情報に応じた具体的疾病り患の危険性が存在すること,③各疾病り患を回避するために必要な措置を明らかにして警告するという警告義務を果たすべきであった。そして,その警告表示の方法として,第1審被告企業らは,少なくとも①製品に表示する,②宣伝広告により周知する,③建築作業従事者に対して講習を実施する,④販売店に対して,当該販売店が建築作業従事者に対し危険性等を周知し得るようにするための指導等を実施する,⑤雇用主である建設業者に対して,当該建設業者が建築作業従事者等に対し,危険性等を周知し得るようにするための指導等を実施することによって,警告義務を履行すべきであった。 エ第1審被告企業らは,上記の警告義務を負っていたにもかかわらず,遅くとも警告義務を負うに至った昭和41年(1966年)以降,適切な内容の警告を行うことなく,石綿含有建材を製造・販売し続けてこれを怠った。第1審被告企業らの義務違反は,石綿含有建材の種類によっては,昭和47年(197 に至った昭和41年(1966年)以降,適切な内容の警告を行うことなく,石綿含有建材を製造・販売し続けてこれを怠った。第1審被告企業らの義務違反は,石綿含有建材の種類によっては,昭和47年(1972年)から平成18年(2006年)までの34年間,遅くとも昭和51年(1976年)1月から,平成18年(2006年)の30年間に及ぶものであった。 ⑷ 第1審被告企業らの製造・販売中止義務ア石綿含有建材を使用した建築がなされた後の当該建築物の解体の際に,解体に従事する作業者に対しても,建築に従事する作業者と同様に,石綿粉じんに曝露を防止するための注意義務を第1審被告企業らは負っていた。 仮に,有効な警告方法がないという理由,つまり回避可能性がないという理由で,第1審被告企業らに上記警告義務が認められないとした場合であっても,第1審被告企業らの注意義務は免責されないし免責すべきではない。 なぜなら,建物はその耐用期間が経過した後は,解体されて収去されることも当然に予定されており,こうした解体作業によって解体されることも,建 物及びその構成部分としての建材の「商品としてのライフサイクル」の一部をなすものであって,建築作業従事者によって担われるものだからである。 このように,新築工事における使用(加工)のみならず,補修・解体作業における使用(加工)も,商品としての石綿含有建材の「通常予見される使用形態」に当たるものといえるから,第1審被告企業ら石綿含有建材を製造・販売した企業が,解体の場合の粉じん曝露を予定して注意義務を負ったとしても酷ではなく,解体作業の場合を含めて石綿粉じん曝露による石綿関連疾患を予防すべき注意義務を負って石綿含有建材を製造・販売していると解すべきである。 したがって,アスベスト建材の製品に警告表示する方 はなく,解体作業の場合を含めて石綿粉じん曝露による石綿関連疾患を予防すべき注意義務を負って石綿含有建材を製造・販売していると解すべきである。 したがって,アスベスト建材の製品に警告表示する方法が,解体作業従事者に対する有効な警告方法とはなり得ないとしても,製造・販売を中止して結果を回避する方法があるのであるから,中皮腫被害の重大性や,石綿粉じん曝露についての閾値が存在しないという中皮腫の特徴を考えると,第1審被告企業らは,注意義務(結果回避義務)として,石綿含有建材の製造・販売を中止すべき義務を負っていた。 イこの製造・販売中止義務の発生時期は,上記⑶イ製造・販売製造・販売中止義務が発生していたものである。なお,第1審被告企業らは,どんなに遅くとも,昭和50年(1975年)には,製造・販売中止義務を負っていたということができる。 ウ第1審被告企業らは,この製造・販売中止義務を履行しておらず,同義務を怠ったものである。 ⑸ 本件における加害行為(不法行為の対象となり得る行為)本件における加害行為は上記注意義務を履行することなく石綿含有建材を製造販売する行為であるが,本件の特質に照らし,「石綿含有建材を製造し,当該建材が,相当程度の蓋然性をもって当該被災者の就労する建設現場に到達し, 建築作業に供されることによって,当該被災者にアスベスト関連疾患を発症させ得る態様において,販売し,流通に置く行為」と定義されるべきである。これは,行為の危険性に着目し,不法行為の対象となり得る行為を抽出ないし絞り込むために加害行為の定義を精緻化したものである。 ⑹ 病因建材及び共同不法行為者の特定ア病因建材概念第1審原告らは,本件における加害行為を上記⑸のとおり定義するとともに,こうした態様で流通に置かれた 為の定義を精緻化したものである。 ⑹ 病因建材及び共同不法行為者の特定ア病因建材概念第1審原告らは,本件における加害行為を上記⑸のとおり定義するとともに,こうした態様で流通に置かれた建材を,「当該被災者が就労する現場において,建築作業に供されてアスベスト粉じんの発生源となり,被災者らのアスベスト関連疾患発症の原因となり得る建材」として,「病因建材」と定義する。病因建材となるのは,各被災者らに対して相当量の粉じん発生源となり,石綿関連疾患の発症原因となる建材に限られるのであり,そのように評価されない建材は病因建材から除外されることとなる。 イ特定方法考慮要素としては,まず,建材側の事情として,製造・販売期間,流通地域や体制,建材種類,使用される建物種類,使われ方,使用部位,建材種類としての普及の程度(出荷量),使用程度(建物の中に占める程度),石綿含有率や発じんの程度(加工の要否や方法),同種建材における市場占有率,その他個別事情がある。次に,被災者側の事情としては,就労期間,職種,従事した建物の種類,工事の種類(新築,増改修等),施工した部位,加工方法,その他個別事情がある。 病因建材の特定に当たっては,各被災者の従事した作業に基づき病気発症に影響が大きい建材種類を選んだ上で(第一段階:種類レベル),それら建材種類の製造・販売企業の中で,当該被災者が従事した現場でその製品が用いられた可能性が高い企業を選ぶ(第二段階:製品・企業レベル)という手順で行う。 そして,第一段階の建材種類の特定は,主に職種を基本として行う。職種は,建物種類(木造,鉄骨の別,戸建住宅,大規模建物の別等)ごとに,作業が共通性を有し,各作業で取り扱う建材種類もほぼ決まっているなど,作業と建材の結び付きが定型的なため,職種 基本として行う。職種は,建物種類(木造,鉄骨の別,戸建住宅,大規模建物の別等)ごとに,作業が共通性を有し,各作業で取り扱う建材種類もほぼ決まっているなど,作業と建材の結び付きが定型的なため,職種を基本とした作業実態と建物種類から,扱ってきた建材(種類)を明らかにし,その際,当人の経験に基づき職種に典型的な作業実態ではない実情があれば,実情に対応した建材種類を個別に検討して明らかとする。また,併せて,建材の使われ方・部位(吹付材,内装材,外装材,保温材,混和材,その他の別)から使用する可能性がある建物種類を検討し,更に,当該建材種類の普及の程度(出荷量),使用頻度(建物の中に占める程度),石綿含有率や発じんの程度(加工の要否や方法)等を踏まえて,病気発症の原因となった危険性が高い建材種類を選び出す。この過程で,建材種類として,流通の偏りその他個別に考慮すべき事情がある場合には考慮する。なお,建材は,国交省データベースによって整理された42種に混和材1種を加えた43種の範囲から選び出す。 次に,第二段階として,製品・企業レベルで病因建材を特定する。第二段階の特定は,第一段階で病因建材となり得るものとして特定された建材種類のうち,どの企業の製品が被災者に到達して病気の発症原因となったのかという観点から行うところ,その指標は,就労期間と流通期間が合致することとを前提として,当該被災者に到達した相当程度の蓋然性という観点から,一定のシェアを基礎としながら,製品レベルでの特性(流通が限定される,現場で加工が予定されないなど)等の個別事情を考慮して行う。 上記のシェアの数値は,概ね10%以上を目安とすることが相当であると考えられるが,一義的に数値を設定するものではない。病因建材の絞り込みは,民法719条に基づき,当該被災者に対して石 て行う。 上記のシェアの数値は,概ね10%以上を目安とすることが相当であると考えられるが,一義的に数値を設定するものではない。病因建材の絞り込みは,民法719条に基づき,当該被災者に対して石綿関連疾患を発症 させる相当程度の蓋然性が認められる行為を行い,そのために共同不法行為者として損害賠償責任を負うべきものを判別・抽出する規範的判断であって,自然科学的な事実の解明を追及するものではない。したがって,当該建材に関するシェアの検討も,一定の数値を設けてその上下から一義的に決定されるべき性格のものではなく,建材種類,職種,使用形態,使用頻度等,当該建材市場における他社の分布状況を含めた相対的な地位等,諸要素から総合的に評価して行うべきである。また,シェアの検討は,各企業の責任割合を決めるために行うのではなく,飽くまでも共同不法行為者とすることの可否,つまり,当該被災者の石綿関連疾患は誰に対して責任を負うべき法的評価が妥当か否かを判断する考慮要素として位置付けられるものである。その上で,シェアが,10%程度あれば,10現場に1回程度は到達したといえる。 ウ個別の病因建材の特定まず,第1審原告らが主張する病因建材について,建材種類と建材企業の各レベルでの特定結果及び職種との関係は,別紙4-1のとおりである。 次に,建材種類レベルで特定した病因建材(種類)の中での影響力のあるシェア(概ね10%以上)を占める企業を選定した上で,個別建材の特性に基づき病因建材に該当しない建材を除外し,各被災者の就労に関する事実(職種,作業実態,曝露実態,従事した建物種類,使用した建材種類,就労期間等)と照らし合わせて各被災者の病因建材を特定したものが別紙4-2である。別紙4-2の中で「病因建材該当性判断」欄の下位分類として「職種・作 ,曝露実態,従事した建物種類,使用した建材種類,就労期間等)と照らし合わせて各被災者の病因建材を特定したものが別紙4-2である。別紙4-2の中で「病因建材該当性判断」欄の下位分類として「職種・作業実態」,「建物・使われ方」,「製造期間・就労期間」,「改修工事」欄を設けてあり,「×」が記載されているものは病因建材に該当しないこととなる。「職種・作業実態」欄は,当該職種類型的な病因建材を基礎に,個別事情により当該建材を付加又は除外する必要性を検討したもので,その結果,「○」(該当・付加),「×」(非該当・除外)をという結果を 記載した。「建物・使われ方」欄は,「建物の種類」,「使われ方」欄と,被災者の従事した建物種類,作業実態との合致の有無を検討し,上記と同様に結果を記載した。「製造期間・就労期間」欄は,まず「製造期間と就労期間の対比」欄に,被災者の就労期間を残して,網掛け処理を施した上,建材の流通機関と就労期間の重複が3年以上ないものについては「×」との記載をしている。その上で,「改修工事」欄は,「製造期間・就労期間」欄が「×」となった建材を対象として,被災者が改修工事に従事し,かつ,既存建材を扱って就労期間以前に製造された建材由来の粉じんに曝露した事実があり,病因建材に該当すると修正すべき場合に「○」を記載したものである。以上のとおりの整理を行い,各被災者の病因建材に該当しない部分を網掛けしており,網掛けのない部分が病因建材に該当することとなる。 民法719条1項後段の類推適用ア民法719条1項後段が,その立法経過や条文の文言等から,択一的競合を念頭に規定されたものであることに鑑みて,累積的競合や重合的競合,それらの競合形態が混在したもの,さらにどの競合形態に該当するか不明なもの等も含めた択一的競合以外の競合形 の文言等から,択一的競合を念頭に規定されたものであることに鑑みて,累積的競合や重合的競合,それらの競合形態が混在したもの,さらにどの競合形態に該当するか不明なもの等も含めた択一的競合以外の競合形態に関しては,民法719条1項後段を類推適用すべきである。現実に加害行為が競合する形態が多様であるにもかかわらず,民法719条1項後段の類推適用を択一的競合の場合だけに限定することは,かえって民法719条1項の共同不法行為規定の被害者保護や損害の公平な分担という立証趣旨に反することとなる。 イそして,民法719条1項後段類推適用に関しては次のとおり整理することができる。 その要件は,①各加害行為者が結果発生の全部又は一部を惹起する具体的危険性を有する行為を行ったこと,②それらが競合し,競合行為により結果が発生したこととされるべきである。 上記の具体的危険性を有する行為とは,共同不法行為者が無限定に広がることを防ぐことが必要であるという観点から,「相当程度の危険性」を有する行為と解すべきであり,かつ,それで充分である。 本件についてみると,建材の職種ごとの使われ方,市場占有率(シェア),建材の特定等を指標として絞り込みを行った「病因建材」に該当すれば,この「相当程度の危険性」が認められる。 共同不法行為者の範囲の特定は,この「相当程度の危険性」が認められるものを抽出することで足り,これによって加害者とされるものが無限定に拡大される恐れがなく,また,共同不法行為者とされるものには減免責の主張立証が許されていることから,他の原因者の不存在は類推適用の要件として不要である。 類推適用の結果,各加害行為者の行為と結果との因果関係は法律上推定され,共同不法行為者は,その寄与の程度に基づいて責任を負うべきである。 (第1 者の不存在は類推適用の要件として不要である。 類推適用の結果,各加害行為者の行為と結果との因果関係は法律上推定され,共同不法行為者は,その寄与の程度に基づいて責任を負うべきである。 (第1審被告企業らの主張)⑴ 第1審被告企業らは,いずれも第1審被告企業らの加害行為,過失,共同不法行為責任に関する法的主張及びその成立を争っている。その主張の概要は,原判決の「事実及び理由」欄第3章第2節の第5(被告企業らの主張)以降(原判決231頁5行目から同287頁2行目)に記載のとおりであるからこれを引用する(なお,第1審原告らが請求を取り下げた被告企業の主張が含まれているが,第1審被告企業らが援用している部分があるため,第1審被告企業らの主張として引用する)。その上で,第1審被告企業らは,次のとおり当審における主張を行い,その責任を争っている。 ⑵ 各第1審被告企業の主張の概要(第1審被告AGC株式会社の主張)ア第1審原告らがAGC株式会社の主要原因建材として主張する窯業系サ イディング「ほんばん」は,屋外で使用される建材である。昭和62年の東ら測定結果(乙アA206),平成9年改定の石綿含有建築材料の施工における作業マニュアル(甲A248)による屋外作業における石綿粉じんの個人曝露濃度の測定データは,いずれも昭和49年から平成13年までの間の石綿粉じん曝露濃度についての許容濃度を下回っていた。屋外における石綿含有建材の加工によって生じ得る石綿粉じんの曝露濃度は低く,これによって石綿関連疾患にり患することを予見するのは困難であった。 イ第1審被告AGC株式会社が九州地区において「ほんばん」の販売を開始したのは昭和57年11月以降であり,平成元年1月にはノンアス化した。 また,「ほんばん」は,トップショップによって であった。 イ第1審被告AGC株式会社が九州地区において「ほんばん」の販売を開始したのは昭和57年11月以降であり,平成元年1月にはノンアス化した。 また,「ほんばん」は,トップショップによって販売されていたし,サイディングの施工は,専門職であるサイディング工が行うのが一般的であった。大工である被災者が「ほんばん」の施工を行った可能性は低い。 木造建物につき解体工事が行われるのは,施工から30年以上経過した後であるのが通常である。第1審原告ら解体工が,昭和62年以降に製造・販売された「ほんばん」を使用した建物の解体を行ったとは考えられない。 (第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルの主張)ア民法719条1項後段の類推適用においても,客観的共同(複数の行為が相加的に累積して被害を発生させていること)と主観的要件(各行為者が他者の同様の行為を認識しているか,少なくとも自己と同様の行為が累積することによって害を生じさせる危険があることを認識していること)が必要である(筑豊じん肺訴訟控訴審判決(福岡高裁平成13年7月19日判決)参照)。 第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルの行為によって被災者に危険が到達したということはできないし,第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルにおいて,上記各要件を把握することは不可能であるから,上記要件を欠いていることは明らかである。 イ共同不法行為者の範囲について石綿含有建材の各被災者への到達可能性を検討する際には,非石綿含有建材も含めた競合建材の生産量や出荷量を検討すべきである。 建材の取引は,製造工場から建築作業現場までの間に,多数の商社や卸売業者が介在するのが通例であり,各階層の事業者は,それぞれの経営判断によって在庫を増減させたり,仕入先や販売先を変 べきである。 建材の取引は,製造工場から建築作業現場までの間に,多数の商社や卸売業者が介在するのが通例であり,各階層の事業者は,それぞれの経営判断によって在庫を増減させたり,仕入先や販売先を変更している。したがって,建材メーカーがある年に出荷した石綿含有建材が,シェアのとおり全国の建築作業現場に等しく到達することはない。特に,第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルの前身である浅野スレートや朝日石綿工業は,製造したスレート波板をそのまま市場に出荷していたわけではない。 朝日石綿工業では,全国的に建設会社等から倉庫や工場などの建設工事を請け負い,専門の職人が自社のスレート波板を用いて施工する方式で受注しており,製造した石綿スレート波板の全量を市場に出荷していなかった。 この点は,浅野スレートにおいても同様であった。被災者らへの到達可能性を議論するに当たっては,これらの事実についても考慮すべきである。 (第1審被告ケイミュー株式会社の主張)ア第1審被告ケイミュー株式会社の製造・販売した屋根材及び外壁材は,屋外空間で施工される。第1審被告ケイミュー株式会社の建材の施工作業をしている間は,他社の建材による間接曝露はないし,屋内での作業とは曝露環境が異なるから,屋内での作業と区別して考えるべきである。ごく短時間(数分間)の発じん作業について,日本産業衛生学会の0.15本/㎤という評価値を超える測定結果が既に存在したことをもって,第1審被告企業が,自社の石綿含有建材からの石綿粉じんにより石綿関連疾患を発症させる危険性を有することを予見できたとすることはできない。 イ肺がんの生涯り患リスクや生涯死亡リスクと比べると,日本産業衛生学会の評価値レベルでの曝露濃度による過剰発がん生涯リスクは格段に小さく, 石綿関連疾患の発症につい ることはできない。 イ肺がんの生涯り患リスクや生涯死亡リスクと比べると,日本産業衛生学会の評価値レベルでの曝露濃度による過剰発がん生涯リスクは格段に小さく, 石綿関連疾患の発症についての影響は実質的には乏しい。仮に石綿粉じんが他社製品と累積競合するとしても,ケイミューの石綿含有建材には,建築作業従事者の石綿関連疾患り患に対する実質的な寄与は存在しない。 仮に屋根材の加工に際し,複雑な箇所の切断に部分的に電動サンダーを用いることがあったとしても,それは,施工過程のごく一部にすぎない。正しく時間加重平均個人曝露濃度に引き直した場合,石綿粉じん濃度は評価値をはるかに下回る。そもそも電動サンダーよりも押切カッターの方がはるかに作業効率がいいから,わざわざ電源を引いて電動サンダーを屋根上で用いることなど通常考えにくい。 ウ警告表示は,事業者や元請事業者,現場監督等を通じてこれらの対策を具体的に認識させ,石綿粉じん曝露防止対策の実効性が確保されることも予定している。したがって,必要かつ相当な対策としての警告表示を,当該建材自体又はその最小単位の包装に限定することは相当ではない。 建築作業従事者は,建材を取り扱い,粉じん対策を行うにつき十分な能力と経験を有しているから,石綿含有の事実,必要に応じて防じんマスクの着用等の粉じん対策をすべきことなどが表示されていれば,警告表示の内容としては必要十分というべきである。 第1審被告ケイミュー株式会社は,建築作業従事者に対し,直接又は間接に必要かつ相当な警告表示を行い,警告表示義務を果たしてきた。 エ建築作業従事者にとって,自らが利用した建材についての特定及び立証はさほど困難ではない。他方,メーカーは,多種多様な流通経路を通じて建材を出荷しており,自らの建材が最終的にどの現 たしてきた。 エ建築作業従事者にとって,自らが利用した建材についての特定及び立証はさほど困難ではない。他方,メーカーは,多種多様な流通経路を通じて建材を出荷しており,自らの建材が最終的にどの現場に出荷されたのかを把握することはできないし,各被災者がどのような職歴,居住歴及び作業歴を有し,どの建築現場でどのような作業をしてきたかも一切知り得ない。建材の到達がないことの反証を要求されることは,事実上,当該時期には石綿含有建材を販売していなかったという主張のみが許されることになる。立証責任の転 換は明らかに不合理である。 オ建材の取扱可能性を認定するに際しては,代替製品の存在も踏まえたシェアを検討する必要がある。 カ民法719条1項後段の類推適用の場面でも,発生した損害の全体について連帯責任を負わせるためには,特定された者以外の者によって損害がもたらされたものではないことの証明を要するという民法719条1項後段の要件論は妥当する。第1審原告らは,この点に関する主張立証が全くしておらず,第1審原告らの請求が認められる余地はない。 第1審被告ケイミュー株式会社の建材は,平成13年に日本産業衛生学会が承認した最も厳格な基準による評価値を基準とした実質的危険性が存在しない。したがって,仮に,他の第1審被告企業らの行為に「権利侵害を惹起する危険性」が認められても第1審被告ケイミュー株式会社の行為について,それとの間で連帯責任が認められるべき理由はなく,民法719条1項後段の適用及び類推適用の要件が充たされる余地もない。 キ喫煙歴は,石綿粉じん曝露歴よりも肺がんのリスクを高める。第1審被告ケイミュー株式会社の建材を取り扱っても極めて微量の石綿粉じんにしか曝露しないことからすると,喫煙の事実の結果発生に対する寄与割合は圧倒 は,石綿粉じん曝露歴よりも肺がんのリスクを高める。第1審被告ケイミュー株式会社の建材を取り扱っても極めて微量の石綿粉じんにしか曝露しないことからすると,喫煙の事実の結果発生に対する寄与割合は圧倒的に大きい。 (第1審被告神島化学工業株式会社の主張)アけい酸カルシウム保温材について保温工が取り扱う石綿含有保温材は,けい酸カルシウム保温材に限られず,石綿保温材(組成が100%石綿である保温材),パーライト保温材,水練り保温材,布系保温材等がある。これらはいずれも石綿含有率が高く,保温工により頻繁に使用されているから,これらによる影響も考慮すべきである。 第1審被告神島化学工業株式会社のけい酸カルシウム保温材「ダイヤラ イト」は,プラントにおいてのみ使用され,ビル工事で一般に使用されるものではなかった。 イけい酸カルシウム板第1種について大工や内装工は,けい酸カルシウム板第1種以外にもフレキシブル板,平板,パルプセメント板,スラグ石膏板などを使用するから,石綿粉じん曝露の可能性を考えるに当たっては,これらの建材全体の中でのシェアを考えるべきである。 ウパルプセメント板について石綿含有けい酸カルシウム板第1種を病因建材とするのであれば,石綿含有パルプセメントも病因建材とし,これも含めてシェアを検討すべきである。 エけい酸カルシウム板第2種についてけい酸カルシウム板第2種は耐火被覆材の一種である。電工や大工が石綿粉じんに曝露する危険性があるのは耐火被覆材全般であるから,耐火被覆材全般に対するシェアを検討すべきである。 (第1審被告日鉄ケミカル&マテリアル株式会社の主張)ア平成12年6月11日の「建築基準法一部改正」(平成14年5月施行)前は,吹付ロックウールについて,建築基準法施行 アを検討すべきである。 (第1審被告日鉄ケミカル&マテリアル株式会社の主張)ア平成12年6月11日の「建築基準法一部改正」(平成14年5月施行)前は,吹付ロックウールについて,建築基準法施行令107条に基づき,業界団体であるロックウール工業会が,吹付ロックウールの材料及びその施工基準に係る標準仕様書を定め,標準仕様書に基づき施工された吹付ロックウールについて,建設大臣の認定(いわゆる「通則的指定」)を受けていた。ロックウール工業会の加盟会社である第1審被告日鉄ケミカル&マテリアル株式会社は,標準仕様書に記載された材料で,施工基準に従って吹付ロックウールの施工をしていた。 標準仕様書の1.3項では,「吹付ロックウール被覆耐火構造の施工は,通則的指定会社の責任施工とする。」とされており,吹付ロックウールの製造会社が,自らの責任において,吹付ロックウールの施工を行うこととなって いた。 標準仕様書の「責任施工」を果たすため,当時,第1審被告日鉄ケミカル&マテリアル株式会社は,「認定特約店」の制度を設け,十分な施工能力を有する事業者のみを特約店に認定した上,認定を受けた特約店との間で覚書を締結し,吹付施工について指導・監督していた。 吹付材を発注するのは認定特約店であるから,第1審被告日鉄ケミカル&マテリアル株式会社が製造した吹付ロックウールは,認定特約店に直接搬入されていた。 したがって,建材メーカーである第1審被告日鉄ケミカル&マテリアル株式会社と元請・元方事業者又は認定特約店以外の事業者との間では,発注・搬入というやり取りはなく,第1審被告日鉄ケミカル&マテリアル株式会社の吹付ロックウール「スプレエース」の包装,警告表示を,認定特約店以外の元請事業者や現場監督が視認する機会はほとんどなかった。した 搬入というやり取りはなく,第1審被告日鉄ケミカル&マテリアル株式会社の吹付ロックウール「スプレエース」の包装,警告表示を,認定特約店以外の元請事業者や現場監督が視認する機会はほとんどなかった。したがって,各建築作業従事者(大工,左官,配管工等)に警告が伝達されることもほとんどなかった。 以上に加えて,吹付材については,通常,建物新築時にのみ吹付作業がされ,増改築工事において新たに発注されたり,搬入されたりすることはないから,増改築工事に従事する者との関係では,解体工事従事者と同様,警告表示による結果回避可能性はない。 イ共同不法行為による加害行為の認定に当たっては,マーケットシェアの多寡のみならず,石綿含有率及び石綿の種類(加害行為の危険性の程度)を考慮すべきである。 第1審被告日鉄ケミカル&マテリアル株式会社の吹付ロックウール「スプレエース」にはクリソタイルが使用され,石綿含有率は4%から14.5%と,他社の吹付石綿と比べて明らかに低かった。 ウ吹付工以外の職種が吹付材に接触し得る作業は,当該職種における本来的 作業の前提作業として,「鉄骨に付着している吹付材をそぎ落とす作業」である。その接触する量は,吹付工が吹付材に接触する量や,大工がボードを切断することにより接触する粉じんの量と比べると,ごく微量にすぎない。 吹付材のそぎ落としを行わない職種の建築作業従事者の接触量は更に微量であった。 エ 「スプレエース」について,製造期間(昭和43年から昭和53年)の各年ごとのシェアを計算したところ,その平均は5.8%であった。 (第1審被告大建工業株式会社の主張)ア外装材など屋外での使用が予定されている建材は,作業中の粉じんは外気によって希釈されると考えられ,粉じん測定の結果等からも許容濃度を超えることは った。 (第1審被告大建工業株式会社の主張)ア外装材など屋外での使用が予定されている建材は,作業中の粉じんは外気によって希釈されると考えられ,粉じん測定の結果等からも許容濃度を超えることは少ない。外装材については,建築作業従事者が石綿粉じんに曝露し,石綿関連疾患にり患することの予見可能性はなく,警告表示義務違反は認められない。 また,軒天材は屋外で切断されるから,軒天材として使用されるけい酸カルシウム板第1種については,同様に警告表示義務違反は認められない。 イ補修・解体工事に従事する者との関係では,建材メーカーが実効性のある警告表示をすることは困難であり,補修・解体工事を行う事業者において必要な対策を採るべきである。また,塗装工など成形板の取付後に作業する職種との関係でも,同様に事業者による安全配慮義務の履行によって対策が採られるべきである。これらの職種に対して警告表示義務違反は認められない。 ウロックウール吸音天井板は,国土交通省発行の「目で見るアスベスト建材」において,ロックウール吸音天井板はレベル3(発じん性の比較的低い製品)に分類され,粉じんが発生しやすい解体作業においても発じん性が比較的低いとされている。 エ第1審被告大建工業株式会社のけい酸カルシウム板第1種のシェアは高くない。また,原板のメーカーは第1審被告神島化学工業株式会社であるか ら,第1審被告大建工業株式会社は主要メーカーには当たらない。 (第1審被告太平洋セメント株式会社の主張)ア石綿含有吹付ロックウール「スプレーコート」は,①販売期間が限定されていたこと,②使用されるのは,耐火建築物である鉄骨造建物に限られたこと,③系列化された特定の吹付施工業者にしか販売されていなかったこと,④施工区画は厳重に管理され,施工区画外にいる 期間が限定されていたこと,②使用されるのは,耐火建築物である鉄骨造建物に限られたこと,③系列化された特定の吹付施工業者にしか販売されていなかったこと,④施工区画は厳重に管理され,施工区画外にいる他の職工が間接曝露,複合曝露,累積曝露することはなかったなどからすると,建築作業従事者が「スプレーコート」から石綿粉じんに曝露することはなかった。また,石綿関連疾患の潜伏期間が長期であることも加味すると,第1審原告らのり患した石綿関連疾患の原因が「スプレーコート」の使用された鉄骨造建物の解体・改修工事ではない。 イ湿式石綿含有吹付材「スプレーコートウェット」は,平成元年11月までであるが(その後はノンアス化),昭和50年2月以降はほとんど販売していなかった。また,原料投入設備が大型で,施工費用も乾式工法の約2倍と高額であったため,大型の鉄骨造建物にしか採用されず,施工例も限られていた。 ウ石綿含有吹付ロックウールを含む耐火被覆材は,吹付け施工後に剥がされることを予定していないから,第1審被告太平洋セメント株式会社においては,吹付作業後に他の職工が吹付材を剥がすことなど想定しておらず,それに伴う粉じんの発生や対策について検討する契機すらなかった。また,第1審被告太平洋セメント株式会社は,吹付作業時の作業環境に関し,種々の対策を検討し,吹付施工業者に情報提供を行ってきた。 第1審被告太平洋セメント株式会社には,吹付工以外の職工にかかる石綿粉じん曝露の態様についての予見可能性はなく,これらの者に対する結果回避義務及びその違反は存在しない。 エ吹付材の場合,吹付工事をする施工業者が建材を荷受けし,元請事業者や その他の事業者が包装を視認することはないから,吹付工以外の者に対して,包装上の警告表示による結果回避可能性はない。 エ吹付材の場合,吹付工事をする施工業者が建材を荷受けし,元請事業者や その他の事業者が包装を視認することはないから,吹付工以外の者に対して,包装上の警告表示による結果回避可能性はない。改修・解体工事における警告表示義務違反が認められる余地もない。 (第1審被告ニチアス株式会社の主張)マーケットシェアは,その建材がどのように存在(分布)しているかを示すものではないから,ある建材のシェアが10%であっても,20回の建築作業現場に必ず1回は当該建材が存在(分布)することにはならない。 被災者らの就労現場数は,我が国の建築作業現場全てと比較した場合,個別の事情を捨象して平準化されるほど多数であるとは到底評価できない。 被災者が就労した建築作業現場で使用された全ての石綿含有建材から発生した石綿粉じんに当然に曝露するわけではない。建材の現場への到達が当該建材による石綿粉じんの被災者への到達まで意味するものではない。 本件では,西淀川公害第2次ないし第4次訴訟第1審判決の事案や筑豊じん肺訴訟控訴審判決の事案と異なり,全ての被災者について,生命・身体・健康に対する具体的・現実的な「加害の危険性」を有する行為としての「加害行為」を行った者が全く特定されていない。累積的競合ないし重合的競合の事案のように「選択された加害行為者が結果の全部又は一部に寄与している」と評価することはできない。 湿式石綿含有吹付材「トムウェット」,「ATM-120」は,高層建物等の大規模な現場で,専用の特殊な噴射機により施工し,第1審被告ニチアス株式会社が指定する少数の特定業者しか取り扱えない建材であったこと,湿潤化されており,ほとんど発じんしなかったことから,第1審原告らが曝露した可能性は低い。 また,「ミネラックス」は,内装材に 式会社が指定する少数の特定業者しか取り扱えない建材であったこと,湿潤化されており,ほとんど発じんしなかったことから,第1審原告らが曝露した可能性は低い。 また,「ミネラックス」は,内装材に塗りつける形で施工されるものであ り,他の吹付材のように耐火被覆のために用いられることはなかった。 第1審被告ニチアス株式会社のけい酸カルシウム板第1種は,石膏ボードに近い堅さで,多くは厚みも5ミリ前後であるから,カッターで切断することができ,それが通常であった。 また,第1審被告ニチアス株式会社のけい酸カルシウム板第1種は,90%が非住宅(中高層建築)向けであり,戸建住宅等向けは10%であったから,戸建住宅を中心とする大工等が取り扱うことは稀であり,到達の高度の蓋然性は認められない。 (第1審被告株式会社バルカーの主張)ア第1審被告株式会社バルカーが石綿含有建材を製造・販売したことはない。 石綿含有建材を製造していたのは日本リンペット工事株式会社である。 イ第1審原告らは,確率論から,シェアが概ね10%以上であれば,理論的には,ある建築作業従事者が10現場で作業に従事すれば,当該建材を1回以上取り扱うといえるため,適格性の要件が十二分に確保される旨主張する。 しかし,確率論,シェア論は,ある一定の適切な条件の下で初めて有効性が確保されるにすぎず,単純にマーケットシェアを基にした確率論は誤りというべきである。 (第1審被告株式会社ノザワの主張)ア第1審被告株式会社ノザワの製造・販売した石綿含有建材が各被災者の従事した個々の建築作業現場に到達しなければ,結果発生の現実的危険性はなく,建築作業従事者に対する加害行為とはならない。この要件は,因果関係ではなく,加害行為に関する要件であるから,共同不法行為の成立によって の建築作業現場に到達しなければ,結果発生の現実的危険性はなく,建築作業従事者に対する加害行為とはならない。この要件は,因果関係ではなく,加害行為に関する要件であるから,共同不法行為の成立によって到達の事実が擬制又は推定されるわけではない。 加害者の行為につき結果発生の現実的危険性の有無を判断する際には,被害者のいる場所を時間・場所により特定する必要がある。本件においては,石綿含有建材が使用された各建築作業現場を特定しなければ,到達の事実, 結果発生の現実的危険性の有無を判断できない。 また,民法719条1項前段及び後段の適用又は類推適用により因果関係の擬制又は推定という強い法的効果が付与されるから,第1審被告企業らには十分な反証の機会を与えられなければならず,この点からも,第1審原告らは,個々の建築作業現場を特定する必要がある。 イ第1審被告企業らの警告表示の対象は,新規使用時に石綿含有建材を直接取り扱う作業者であり,それ以外の周辺作業者及び新規使用時以外の作業者(周辺作業者等)は含まれない。 (第1審被告株式会社エム・エム・ケイの主張)ア民法719条1項後段類推適用について民法719条1項後段の適用に当たっては,被害者救済という不法行為制度の趣旨に配慮しつつも,損害の「公平な分担」という不法行為制度の趣旨と自己責任の原則という私法上の大原則を背景に,「共同不法行為者」として因果関係の不存在を立証しない限り減免責を受けられないという不利益を受ける者の範囲が無限定に拡大することを防ぐため,被害者は,①択一的競合関係にある行為者が誰かを特定しなければならず,かつ,②その特定された行為者以外の者以外によって当該被害者の権利・法益侵害がもたらされたものではないこと,すなわち,他に疑いをかけることのできる者 合関係にある行為者が誰かを特定しなければならず,かつ,②その特定された行為者以外の者以外によって当該被害者の権利・法益侵害がもたらされたものではないこと,すなわち,他に疑いをかけることのできる者は一人もいないことを主張立証する必要があると解されている。 被害者救済の見地から民法719条1項後段を類推適用すべき場合も,加害者とされる者に対し,明文の規定なく法的効果を帰責させるに足りるだけの許容性が存在することが必要である。特に,「それだけで損害を発生させる原因力」を持たない累積的競合の場合は,民法719条1項後段が想定する場面とは明らかに異なるから,類推適用に当たっては,上記許容性の存在が検討されなければならない。 筑豊じん肺訴訟控訴審判決(福岡高裁平成13年7月19日判決)は, 結果の全てに寄与していない曝露についても民法719条1項後段の類推適用を認めたが,その前提として,個々の被災者について具体的な在籍・就労歴を認定し,少なくとも各作業現場での安全配慮義務違反(加害行為)と粉じん曝露(被害)との結び付きを認定し,当該事実が主張・立証された企業との関係においてのみ損害賠償請求を認めている。 また,尼崎大気汚染公害訴訟第1審判決(神戸地裁平成12年1月31日判決)は,単独で全ての結果を発生させたわけではない曝露について民法719条1項後段の類推適用を認めたが,その前提として,道路ごとに立地状況や道路排煙の拡散状況等が検討されており,原告らに「到達」したと認められた道路排煙についてのみ問題としている。 このように,民法719条1項後段の類推適用は,加害行為の到達を前提としている。 イシェア論による共同不法行為者選定の誤り各建築作業従事者である第1審原告らは,使用した建材のメーカーを確認し,使用した 民法719条1項後段の類推適用は,加害行為の到達を前提としている。 イシェア論による共同不法行為者選定の誤り各建築作業従事者である第1審原告らは,使用した建材のメーカーを確認し,使用した建材を容易に特定することができる。 他方,建材メーカーは,特約店,販売店,工事店,ハウスメーカーなど多種多様な流通経路を通じて建材を出荷しており,自らの建材が最終的にどの現場に出荷されたのかを把握することはできない。また,建材メーカー側は,各被災者の職歴,居住歴,作業歴などの情報を持ち合わせていない。そのような中で,建材の到達がないことの反証を要求することは,当該時期には石綿含有建材を販売していなかったという主張しか許されないに等しい。 マーケットシェアと実際の取扱い可能性は直結するものではない。第1審原告らが収集し,調査,分析したとされる設計図書においても,第1審被告株式会社エム・エム・ケイが記載されている件数は少なく,第1審原告らが主張するシェアとは明らかに異なっている。マーケットシェアを根 拠に第1審被告株式会社エム・エム・ケイを共同不法行為者とすることはできない。 シェア論による加害行為者の選択は個々の被災者の実態に反する結果となっている。 2 製造物責任法3条に基づく責任の成否について第1審原告らの製造物責任法に基づく責任に関する主張は,原判決の「事実及び理由」欄第3章第2節の第5の2(原判決229頁13行目から同231頁4行目まで)であるからこれを引用する。これに対して,第1審被告企業らは,いずれも製造物責任法3条に基づく責任の存在を争っている。 3 第1審被告企業らが第1審原告らに対して負う責任及び第1審原告らの損害第1審原告ら及び第1審被告企業らの主張は,原判決の「事実及び理由」欄第 責任法3条に基づく責任の存在を争っている。 3 第1審被告企業らが第1審原告らに対して負う責任及び第1審原告らの損害第1審原告ら及び第1審被告企業らの主張は,原判決の「事実及び理由」欄第3章第2節の第6の(原告らの主張)1(原判決287頁4行目から同288頁6行目まで),(被告企業らの主張)(原判決296頁20行目から同302頁19行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 第4章当裁判所の判断第1節旧労基法,安衛法に基づく規制権限不行使の違法性(争点第1-1)第1 規制権限不行使の違法性の判断基準規制権限不行使の違法性の判断基準は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第1節の第1(原判決302頁22行目から同305頁2行目まで)に記載のとおりであるからこれを引用する。すなわち,旧労基法,安衛法等の主務大臣であった労働大臣等又は内閣の上記各法律に基づく規制権限は,粉じん作業等に従事する労働者の労働環境を整備し,その生命,身体に対する危害を防止し,その健康を確保することをその主要な目的として,できる限り速やかに,技術の進歩や医学的知見等に適合したものに改正すべく,適時にかつ適切に行使されるべきものであったということができ,規制権限の不行使が,具体的事情の下において,許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは,その不行使に より被害を受けたものとの関係において国賠法1条1項の適用上違法になる。 第2 石綿関連疾患に関する医学的知見の集積状況 1 医学的知見の集積状況石綿関連疾患に関する医学的知見の集積状況は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第1節の第2の1(原判決305頁4行目から同339頁4行目)に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 医学的知見の集積時期当 医学的知見の集積状況は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第1節の第2の1(原判決305頁4行目から同339頁4行目)に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 医学的知見の集積時期当裁判所も,石綿粉じん曝露と石綿関連疾患発症との因果関係に関して,第1審被告国の規制権限行使の前提となるべき医学的知見が集積したといえる時期は,原審と同じく,石綿症発症については昭和33年3月頃,肺がん,中皮腫発症については昭和47年頃,びまん性胸膜肥厚,良性石綿胸水発症については昭和47年頃であると考える。 その理由は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第1節の第2の2(原判決339頁5行目から同346頁20行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 第3 建築作業現場における作業に従事する労働者に対する規制権限不行使の違法性 1 第1審被告国の認識ないし認識可能性⑴ 違法性判断の基礎となる事実関係我が国における石綿の使用状況,石綿含有建材,我が国の建物等における石綿含有建材の位置付け,建築物の構造別の建築工事の作業工程等,建築作業従事者らの建築作業現場における石綿粉じん曝露の実態,電動工具の普及による石綿粉じんの飛散量の増加,粉じん濃度による評価基準及び粉じん濃度測定技術,建築作業現場における石綿粉じん濃度の測定結果等,建築作業従事者の石綿関連疾患発症及び第1審被告国による石綿問題に関する検証の結果については,原判決の「事実及び理由」欄第4章第1節の第3の1の⑴から⑽まで(原 判決346頁26行目から同392頁21行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 ⑵ 認識ないし認識可能性当裁判所も,第1審被告国は,遅くとも昭和50年初め頃までには,被災者らのような石綿粉じん曝露作業に従事する 1行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 ⑵ 認識ないし認識可能性当裁判所も,第1審被告国は,遅くとも昭和50年初め頃までには,被災者らのような石綿粉じん曝露作業に従事する労働者やこれらの作業によって発生する石綿粉じんに間接曝露する労働者が,建築作業現場における屋内作業において,石綿粉じん曝露作業に従事することにより,石綿関連疾患を発症する危険性があることを具体的に認識可能な状況に至っていたものと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第1節の第3の2(原判決392頁22行目から同402頁23行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 なお,第1審被告国は,規制権限不行使が問題とされる場合,その当時,被害の実情が相当深刻であったことが判明していたという事情が重要な要素となる旨主張するが,規制権限が,技術の進歩や医学的知見等に適合して適宜適切に行使される必要があることからすれば,同主張は採用できない。 2 建築作業現場における建築作業に従事する労働者に対する安衛法に基づく規制権限不行使の違法性⑴ 規制権限不行使の違法性判断の基礎となる事実関係石綿粉じん曝露防止対策の基本的な枠組み,建築作業現場における作業の特性については,原判決の「事実及び理由」欄第4章第1節の第3の3の⑴(原判決404頁10行目から同407頁4行目まで)に記載のとおりであるからこれを引用する。 ⑵ 石綿の管理使用を前提とする規制権限不行使について当裁判所は,原審と同じく,昭和50年10月1日の特化則改正時以降,規制権限を行使して,使用者に対して労働者に防じんマスクを使用させることを罰則をもって義務付けるとともに,石綿含有建材(石綿含有量が重量5%以下 のものを含む。)への警告表示や建設作 降,規制権限を行使して,使用者に対して労働者に防じんマスクを使用させることを罰則をもって義務付けるとともに,石綿含有建材(石綿含有量が重量5%以下 のものを含む。)への警告表示や建設作業現場(石綿含有量が重量5%以下の石綿含有建材を取り扱う建設作業現場を含む。)における警告表示(掲示)の内容として,石綿によって引き起こされる石綿関連疾患の具体的な内容,症状等の記載,防じんマスクを着用する必要がある旨の記載をそれぞれ義務付けるべきであったと判断するものであるが,これに加え,石綿関連疾患等に関する特別教育の実施も義務付けるべきであったと判断する。防じんマスクを使用させることの義務付け及び各警告表示の義務付けを認める理由は,後記のとおり付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄第4章第1節の第3の3の⑵⑶(原判決407頁5行目から同462頁17行目まで。ただし,c〔原判決450頁23行目から同451頁16行目まで〕及び原判決452頁12行目から20行目まで〕を除く。)に記載のとおりであるから,これを引用する。 なお,規制権限不行使の違法性を認めるべき終期は,防じんマスクを使用させることの義務付けについては,原審と同じく,平成7年特化則改正がされる前日である平成7年3月31日であると考えるが,各警告表示及び特別教育の義務付けについては,平成16年9月30日であると判断する。その理由は後記に記載のとおりである。 防じんマスクを使用させることの義務付けについてア第1審原告らは,屋外作業についても防じんマスクを使用させることを義務付けるべきであった旨主張するが,屋外作業場に従事する場合における石綿粉じん濃度等からすれば,その危険性は高いものとまではいえず,この点に関して,第1審被告国が規制権限行使を怠ったと認めることは 務付けるべきであった旨主張するが,屋外作業場に従事する場合における石綿粉じん濃度等からすれば,その危険性は高いものとまではいえず,この点に関して,第1審被告国が規制権限行使を怠ったと認めることはできない。 イ第1審原告らは,平成7年特化則改正後においても,間接曝露する危険がある場合に,防じんマスク着用を義務付けなかった点について規制権限不行使の違法があると主張するところ,確かに,建築作業従事者について,防じんマスクの着用が必要となるのは,屋内における建築作業現場において石綿 含有建材について切断等の作業を行うことによって,建材に含まれる石綿が空気中に飛散するためであるから,これを吸入することにより石綿関連疾患にり患する危険があるのは直接作業に従事する者に限られるものではなく,当該労働者が石綿含有建材を切断等していなくとも,同じ建築作業現場において建築作業に従事していた場合,切断等によって飛散した石綿を間接的に吸入する危険があることは否定できない。 しかしながら,石綿粉じん曝露作業に直接従事しない労働者が石綿を間接的に吸入する危険性は,具体的な作業条件や作業環境によって異なるから,石綿粉じん曝露作業に直接従事する労働者の場合と異なり,使用者に対して,石綿粉じん曝露作業に直接従事しない労働者にまで,一律に防じんマスクを使用させることを罰則をもって義務付けることは相当ではないというべきである。 ウ第1審被告国は,平成7年3月31日以前に,建築作業従事者一般に石綿関連疾患り患の実情が相当深刻であることが明らかになっていた事実はなく,吹付け作業以外の建築作業によって石綿粉じんに曝露し石綿肺等にり患する危険性が高いとは考えられていなかった旨を主張する。しかし,石綿吹付け作業における作業者の被害が明らかになっていたのであれば, く,吹付け作業以外の建築作業によって石綿粉じんに曝露し石綿肺等にり患する危険性が高いとは考えられていなかった旨を主張する。しかし,石綿吹付け作業における作業者の被害が明らかになっていたのであれば,第1審被告国は,建築現場において石綿粉じん濃度測定を行うことによって石綿粉じん曝露により石綿関連疾患り患の危険性を容易に認識し得たのであるから,同主張は採用できない。 また,第1審被告国は,昭和47年までに防じんマスク使用を相当程度確保する規制を既に行っていた旨も主張する。確かに,旧安衛則以降,防じんマスクについて,事業者に対する備付義務,労働者に対する使用義務こそ定められていたものの,原判決も認定する防じんマスクの着用実態(原判決421頁から427頁)に照らせば,第1審被告国による上記規制が防じんマスク使用を相当程度確保することができるものであったということは到底 できない。また,特化則5条2項の規定が防じんマスクを使用させることを含んでいたと解することはできず,粉じん則27条の規定をもって石綿粉じん曝露防止対策を行ったということができないことは原判決の指摘するとおりである(原判決439頁から441頁)。 さらに,第1審被告国は,第1審被告国が既存の規制だけでは防じんマスク着用が進んでいなかったと認識していたということはできない旨も主張するが,第1審被告国が建築現場における建築作業従事者の防じんマスクの着用実態を認識していなかったとは考え難い。なお,第1審被告国は,最終的に防じんマスクを着用するのは建築作業従事者自身であるから,事業者に対して建築作業従事者に防じんマスクを使用させる義務を課すことは必要不可欠ではなかったとも主張するが,防じんマスクの着用実態に照らし,同主張は採用できない。 石綿含有建材への警 ,事業者に対して建築作業従事者に防じんマスクを使用させる義務を課すことは必要不可欠ではなかったとも主張するが,防じんマスクの着用実態に照らし,同主張は採用できない。 石綿含有建材への警告表示及び建築現場における警告表示(掲示)並びに特別教育についてア建築作業現場の現状に照らし,石綿粉じん曝露防止対策としては,防じんマスクの着用が唯一有効な措置であるというべきところ,平成7年改正特化則が平成7年4月1日に施行されたことによって,石綿等の切断等に直接従事する作業者に対して防じんマスクを着用させる義務が定められた。 しかしながら,前記のとおり,当該労働者が石綿含有建材を切断等していなくとも,同じ建築作業現場において建築作業に従事していた場合,切断等によって飛散した石綿を間接的に吸入する危険があることは否定できないのであるから,平成7年改正特化則による上記義務付けは,石綿粉じん曝露作業に直接従事しない者も含め,石綿粉じん曝露作業を伴う建築作業現場において建築作業に従事する労働者について,石綿粉じん曝露を防止するという観点からは,十分なものとはいえない。かといって,石綿粉じん曝露作業に直接従事しない者も含めて,使用者に対し,労働者に防じんマスクを使用 させることを罰則をもって義務付けることが相当ではないのは,前記のとおりである。 また,第1審被告国も指摘するとおり,防じんマスクを着用するか否かは最終的には当該労働者の意思にかかっているのであるから,使用者に対し,労働者に防じんマスクを使用させることを義務付けたとしても,労働者自身が,防じんマスクの必要性を十分に理解していない限り,労働者が防じんマスクを着用しない事態の発生を防止することは困難であると考えられる。 イしてみると,防じんマスクの着用が石綿粉じん 者自身が,防じんマスクの必要性を十分に理解していない限り,労働者が防じんマスクを着用しない事態の発生を防止することは困難であると考えられる。 イしてみると,防じんマスクの着用が石綿粉じん曝露防止対策として唯一有効な措置であるとしても,石綿粉じん曝露作業に直接従事しない労働者も含め,石綿粉じん曝露作業を伴う作業現場で建築作業に従事する労働者の石綿粉じん曝露を防止するためには,これら労働者自身が,防じんマスクを着用する必要性を十分に理解することが不可欠であり,この点の重要性は,使用者に対し,労働者に防じんマスクを使用させることを罰則をもって義務付けたとしても,減じるものではないというべきであって,石綿含有建材への警告表示及び建築現場における警告表示(掲示)を,防じんマスクの着用に係る規制の実効性を確保するための補助的,補完的手段にすぎないものと位置づけるのは相当ではない。 したがって,第1審被告国は,平成7年改正特化則により使用者に対して労働者に防じんマスクを着用させることを義務付けた後も,石綿含有建材への警告表示及び建築現場における警告表示(掲示)の内容として,石綿によって引き起こされる石綿関連疾患の具体的な内容,症状等の記載,防じんマスクを着用する必要がある旨の記載をそれぞれ義務付けるべきであり,この点に関する規制権限不行使の違法性は,平成7年改正特化則による上記義務付けによって終了することはないと解するのが相当である。 ウまた,石綿粉じん曝露作業に直接従事しない労働者や,解体作業ないし改築作業に従事する労働者にとって,石綿含有建材への警告表示は必ずしも有 効な措置とはいえないこと,建築現場における警告表示(掲示)もこれを見る側の問題意識によってその効果が左右される側面があること,建築作業従事者らにとっ 綿含有建材への警告表示は必ずしも有 効な措置とはいえないこと,建築現場における警告表示(掲示)もこれを見る側の問題意識によってその効果が左右される側面があること,建築作業従事者らにとって防じんマスク着用による不快感等のデメリットは決して小さいものではなかったこと(原判決424頁)及び石綿関連疾患の深刻さなどの点に照らせば,石綿粉じん曝露作業に直接従事しない労働者も含め,石綿粉じん曝露作業を伴う作業現場で建築作業に従事する労働者に対し,防じんマスク着用の必要性を十分に理解させるためには,雇入れ時教育とは別に,上記現場で作業する労働者に対する特別教育として,石綿関連疾患の原因,症状,予防方法などを説明する必要があったというべきであり,第1審被告国(労働大臣)は,その規制権限を行使して,特別教育を必要とする業務を定めた安衛則36条に石綿含有建材を取り扱う建築作業従事者を含める旨を規定する義務があったと解するのが相当であって,この点に関する規制権限不行使は違法であるとともに,その違法性は,石綿含有建材への警告表示及び建築現場における警告表示(掲示)と同じく,平成7年改正特化則による防じんマスクを使用させることの義務付けによって終了することはない。 エ上記のとおり,各警告表示や特別教育に係る規制権限不行使は違法であるところ,この点に係る規制権限が行使されることはなかったから,その違法性は,平成15年安衛令改正により,石綿を含有する製品について,その含有する石綿の重量が当該製品の重量の1%を超えるものの製造等を禁止する旨定められ,石綿含有製品の製造,販売が原則として禁止されるまで継続したというべきであって,平成15年改正安衛令施行の前日である平成16年9月30日まで,第1審被告国の上記規制権限不行使の違法性が継続したものと認めら 製品の製造,販売が原則として禁止されるまで継続したというべきであって,平成15年改正安衛令施行の前日である平成16年9月30日まで,第1審被告国の上記規制権限不行使の違法性が継続したものと認められる。 ⑸ 石綿含有建材の製造禁止措置を講じなかった点に関する規制権限不行使の違法性当裁判所も,原審と同じく,石綿含有建材使用禁止措置を講じなかった点に ついて,第1審被告国に規制権限不行使の違法があるとはいえないと判断する。 その理由は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第1節の第3の3⑷(原判決462頁18行目から同481頁5行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 第2節労災保険法に基づく規制権限不行使の違法性(第1-2)当裁判所も,第1審原告らが主張する労災保険法に基づく規制権限不行使の違法は認められないものと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第2節(原判決489頁25行目から同492頁17行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 第3節建基法に基づく規制権限不行使の違法性(争点第1-3)当裁判所も,第1審原告らが主張する建基法に基づく規制権限不行使の違法は認められないものと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第3節の第1から第3まで(原判決492頁18行目から同501頁3行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 第4節毒劇法に基づく規制権限不行使の違法性(争点第1-4)当裁判所も,第1審原告らが主張する毒劇法に基づく規制権限不行使の違法は認められないものと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第4節(原判決501頁4行目から同502頁4行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 第5節労基法適用労働者以 められないものと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第4節(原判決501頁4行目から同502頁4行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 第5節労基法適用労働者以外の建築作業従業員に対する責任(争点第1-5)第1 安衛法22条等の保護対象上述したところによれば,第1審被告国について安衛法に基づく規制権限不行使の違法性が認められるのは,昭和50年10月1日以降における,①安衛法22条,23条,27条1項に基づく,事業者に対して労働者に防じんマスクを使用させることを義務付ける規制権限の不行使,②安衛法57条に基づく,建材メーカー等に対して石綿含有建材への警告表示を義務付ける規制権限の不行使,③ 安衛法22条,23条,27条1項に基づく,事業者に対して建築作業現場における警告表示(作業現場掲示)を義務付ける規制権限の不行使,④安衛法59条3項に基づく,事業者に石綿粉じん一般の危険性及び石綿粉じん固有の危険性(発がん性)に関する特別教育実施を義務付ける規制権限の不行使であるところ,当裁判所も,安衛法22条,23条,27条1項,57条,59条3項の保護対象は,その立法経緯や文言に照らし,飽くまでも「労働者」であると解するのが相当であり,いわゆる一人親方等はこれに該当しないものと判断する。 第2 国賠法における保護の範囲 1 上記第1のとおり,安衛法の保護対象は飽くまでも「労働者」であって,いわゆる一人親方はこれに該当するものではない。しかし,石綿粉じん曝露作業による被害の性格やこれを防止するために行使すべきであった規制権限の内容,石綿粉じん曝露作業を伴う建築作業現場における一人親方の作業実態等の本件に特有の諸事情を勘案すると,一人親方が安衛法の保護対象とならないことをもって,直ちに,国賠法上 すべきであった規制権限の内容,石綿粉じん曝露作業を伴う建築作業現場における一人親方の作業実態等の本件に特有の諸事情を勘案すると,一人親方が安衛法の保護対象とならないことをもって,直ちに,国賠法上,第1審被告国による規制権限の不行使が一人親方との関係で違法性がないということはできないと解するのが相当であって,第1審被告国が適切に規制権限を行使していれば,被害の発生を防ぐことができたと評価し得るのであれば,一人親方との関係でも国賠法上の違法性を認める余地があるというべきである。 2 そして,①石綿粉じん曝露の危険性は,石綿粉じん曝露作業に直接従事する労働者のみならず,これに直接従事しない労働者を含む,石綿粉じん曝露作業を伴う建築作業現場で働く労働者全体に生ずるものであること,②本件においては,第1審被告国が規制権限を行使して石綿含有建材や建築作業現場における警告表示や特別教育を義務付けるべきであったと解されるところ,これら警告表示は,いずれも建築現場に持ち込まれた有害物を直ちに認識し,また,当該現場における危険性を認識し得ることで防じんマスクの着用等必要な対応をとることができるようさせるものであるし,また,特別教育についても,これを行うことによ って建築現場で石綿が飛散することによる危険性を認識することができるようにすることで,各警告表示と同様に必要な対応をとることができるようにさせるものであって,建築現場における作業環境等に関する規制であるといえ,こうした作業現場における作業環境による規制権限行使によって享受し得る利益は労働者と一人親方とで何ら変わるところはないこと及び③建築現場における作業実態としては,労働者と一人親方とで,単なる契約形式の違いがあるのみで,同一場所で同一作業をしているだけであるにとどまらず,建築作業につ 人親方とで何ら変わるところはないこと及び③建築現場における作業実態としては,労働者と一人親方とで,単なる契約形式の違いがあるのみで,同一場所で同一作業をしているだけであるにとどまらず,建築作業については,請負であったとしても上位の請負者から下位のものに対して指示命令が行われ,下位者にある一人親方がそうした指示とは別に何らかの独自の判断で作業を行い得るものではなく,労働者と同様にその指示命令系統に組み込まれて作業が行われることが当然に予定されていること(甲A256,A379)などの点に照らせば,第1審被告国が適切に上記規制権限を行使していれば,一人親方として石綿粉じん曝露作業を伴う建築現場での作業に従事した者についても,労働者の場合と同様に,石綿粉じん曝露による被害の発生を防ぐことができたということができる。上記の点に加えて,石綿関連疾患の深刻さをも勘案すれば,第1審被告国が,一人親方として上記作業に従事した者に対し,規制権限不行使の違法を理由とする損害賠償責任を負わないと解するのは,正義公平の観点から妥当ではないというべきである。 3 してみると,上記安衛法に基づく規制権限の不行使が違法とされる場合における国賠法上の保護範囲は,一人親方として稼働した者をも含むものと解するのが相当である。 第6節第1審被告国が第1審原告らに対して負う責任及び第1審原告らの損害(争点第1-6)第1 第1審被告国が第1審原告らに対して負う責任 1 第1審被告国の責任以上によれば,第1審被告国が,昭和50年10月1日の特化則改正時以降, 防じんマスクを着用させること,警告表示及び作業現場掲示の各義務付け,特別教育の実施について規制権限を行使しなかったことは,国賠法1条1項の適用上違法であると認められるところ,上記のとおり,警告表示 防じんマスクを着用させること,警告表示及び作業現場掲示の各義務付け,特別教育の実施について規制権限を行使しなかったことは,国賠法1条1項の適用上違法であると認められるところ,上記のとおり,警告表示及び作業現場掲示の各義務付け及び特別教育の実施に係る規制権限不行使の違法性は平成16年の安衛令改正の前日(平成16年9月30日)まで継続したから,本件において第1審被告国が規制権限不行使を理由として国賠法1条1項の責任を負うべき期間は,昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの間ということになる(以下,同期間を「第1審被告国の責任期間」という。)。 したがって,第1審被告国は,第1審被告国の責任期間内に,建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事し,石綿粉じんに直接又は間接的に曝露したことにより石綿関連疾患を発症した労働者や一人親方らに対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 2 石綿関連疾患発症と第1審被告国の規制権限不行使との因果関係当裁判所も,被災者らのうち,第1審被告国の責任期間外の石綿粉じん曝露期間が一定期間以上ある者についても,石綿関連疾患発症と第1審被告国の規制権限不行使との間には因果関係があるものと判断する。その理由は,びまん性胸膜肥厚に関する部分を除き,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の2(原判決512頁26行目から同513頁24行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 びまん性胸膜肥厚については,石綿曝露との関係では,石綿に長期間曝露した者や最初の曝露から長年を経た者の有所見率が高くなるとの報告が存在する(甲A106・21頁,乙アA35・130頁,乙アA156・21,23頁)。また,石綿による疾病の認定基準に関する検討会による平成24年2月作成の「石綿による疾病の認定基 高くなるとの報告が存在する(甲A106・21頁,乙アA35・130頁,乙アA156・21,23頁)。また,石綿による疾病の認定基準に関する検討会による平成24年2月作成の「石綿による疾病の認定基準に関する検討会報告書」には,びまん性胸膜肥厚の有所見者の累積曝露量は胸膜プラークと石綿肺との中間であろうと考えられること,文献上,有所見者率は累積曝露量と相関関係にあるとするものも見られたが未だ定見 は得られていないものと考えられること,石綿による疾病の認定基準として業務上曝露によるものとみなすために必要な曝露期間とされている「概ね3年以上」の3年については,推定累積曝露量がある一定のレベルに達することを意味するものではなく,飽くまでも把握した過去の症例のうち曝露期間が最も短かった者を目安として引用したものであること等が記載されていること(乙アA1004・34枚目)からすれば,3年間石綿粉じんに曝露していれば,必ずびまん性胸膜肥厚を発症させるだけの石綿粉じんに曝露したとまで認めることはできず,びまん性胸膜肥厚も石綿粉じんへの曝露期間が長くなるほど発症リスクが高まると解するのが相当である。 第2 被災者らが建築作業に従事した期間及び各第1審原告に対する第1審被告国の責任 1 第1審原告B1(原告番号1)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間第1審原告B1(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,①昭和50年10月1日から昭和52年10月までの間Xに勤務し,②昭和53年1月から昭和54年5月までの間一人親方として稼働し,③昭和54年6月1日から昭和55年8月9日までの間有限会社a1に,④昭和55年10月から平成5年9月までの間一人親方として稼働し,⑤平成5年10月から平成8年12月までの間Hに勤務し して稼働し,③昭和54年6月1日から昭和55年8月9日までの間有限会社a1に,④昭和55年10月から平成5年9月までの間一人親方として稼働し,⑤平成5年10月から平成8年12月までの間Hに勤務し,⑥平成9年4月から平成11年12月までの間Iに勤務し,⑦平成12年3月から平成14年5月までの間Jに勤務し,⑧平成14年6月から平成16年9月30日までの間一人親方として稼働し,合計27年3か月間(曝露作業従事期間の算定については,原判決と同様の方法で行う。以下同じ。),建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲Dの1の3,D1の5の1から3,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容第1審原告B1が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第 であるから,これを引用する。そして,その期間は,上記①から⑧の間であったものと認められる。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等第1審原告B1の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の35行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑷ 以上によれば,第1審原告B1は,第1審被告国の責任期間のうち,合計27年3か月間,上記⑵の作業に従事し,肺がんを発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,第1審原告B1に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 2 第1審原告B2(原告番号2)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間第1審原告B2(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,①昭和50年10月1日から昭和51年2月までの間Kに勤務し,②昭和51年3月から平成16年9月30日までの間一人親方として稼働し,合計27年10か月間,建築作業現場において石綿粉じん曝 において,①昭和50年10月1日から昭和51年2月までの間Kに勤務し,②昭和51年3月から平成16年9月30日までの間一人親方として稼働し,合計27年10か月間,建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容第1審原告B2が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3であるから,これを引用する。そして,その期間は,上記①から②までの間であったものと認められる。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等第1審原告B2の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3頁15 行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑷ 以上によれば,第1審原告B2は,第1審被告国の責任期間のうち,合計27年10か月間,上記⑵の作業に従事し,肺がんを発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,第1審原告B2に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 3 被災者A1(原告番号3)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A1(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの間一人親方として稼働し,合計29年間,建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D3の5の3,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A1は,上記期間中,塗装工として主に一般木造住宅の新築と改築の際に塗装作業を行い,下地調整作業としてモルタルやボードの壁をサンダーややすり,耐水ペーパーでこすって平らにする作業を行っており,これらの石綿粉じんに曝露した。そして,その期間は,上記の間であったものと認められる(甲D3の3, 業としてモルタルやボードの壁をサンダーややすり,耐水ペーパーでこすって平らにする作業を行っており,これらの石綿粉じんに曝露した。そして,その期間は,上記の間であったものと認められる(甲D3の3,3の5の3,弁論の全趣旨)。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A1は,石綿粉じん曝露作業により肺がんを発症したとして,平成23年2月9日,労災保険の支給決定を受けたが,その後,平成▲年▲月▲日,肺がんにより死亡した(弁論の全趣旨)。 ⑷ 以上によれば,被災者A1は,第1審被告国の責任期間のうちの29年間,建築作業現場において,塗装作業を行うに当たり,石綿粉じんに曝露し,肺がんを発症したものと認められるところ,上記⑵の作業内容に照らせば,屋内作業場における作業を行っていたものと認められるから,第1審被告国は,被災者A1に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 4 被災者A2(原告番号4)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A2(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,①昭和63年8月24日から平成4年9月1日までの間株式会社a2に勤務し,②同日から平成5年1月28日までの間有限会社a3に勤務し,③同日から平成11年11月まで一人親方として稼働し,合計11年2か月間,建築作業現場において,労働者として石綿粉じん曝露作業に従事した(弁論の全趣旨)。なお,被災者A2は,第1審被告国の責任期間内において,昭和50年10月1日から昭和62年8月29日の間労働者としてa4株式会社の工場に勤務し,船体の配管や金属の溶接の作業を行っていたものと認められ,また,平成11年12月から平成14年3月までの間a5株式会社に勤務し,平成14年4月から平成16年9月30日までの間株式会社a2に勤務 務し,船体の配管や金属の溶接の作業を行っていたものと認められ,また,平成11年12月から平成14年3月までの間a5株式会社に勤務し,平成14年4月から平成16年9月30日までの間株式会社a2に勤務し,それぞれ鉄骨材を加工,溶接する作業を行っていたことが認められるが(甲D4の5の3),これらの期間中に建物の建築作業現場において建築作業を行い,石綿粉じんに曝露したものと認めることはできないから,第1審被告国は,同期間の石綿粉じん曝露作業について責任を負わない。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A2が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3⑶ウ5頁11行目から同頁17行目まで)のとおりであるから,これを引用する。そして,その期間は,上記①から③までの間であったものと認められる。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A2の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3⑶ウ5頁19行目から同頁22行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑷ 以上によれば,被災者A2は,第1審被告国の責任期間のうち,合計11年 2か月間,上記⑵の作業に従事し,中皮腫を発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A2に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 5 第1審原告B9(原告番号5)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間第1審原告B9(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの間一人親方として稼働し,合計29年間,建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D5の3,5の5の3から7,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内 から平成16年9月30日までの間一人親方として稼働し,合計29年間,建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D5の3,5の5の3から7,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容第1審原告B9は,上記期間中,大工として,建築作業現場において,主に個人用住宅の新築や改装や補修工事を行い,スレート,ボード,断熱材等の石綿を含有した内装材を切り込みする作業や取り付ける作業を行い,これらの作業により石綿粉じんに曝露した。そして,その期間は,上記の間であったものと認められる(甲D5の3,5の5の3から7,弁論の全趣旨)。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等第1審原告B9は,石綿粉じん曝露作業により肺がんを発症したとして,平成22年8月19日,労災保険の支給決定を受けた(弁論の全趣旨)。 ⑷ 以上によれば,第1審原告B9は,第1審被告国の責任期間のうちの29年間,建築作業現場において,大工として石綿含有建材を切断する等の作業,石綿粉じんに曝露し,肺がんを発症したものと認められるところ,上記⑵の作業内容に照らせば,屋内作業場における作業を行っていたものと認められるから,第1審被告国は,第1審原告B9に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 6 被災者A3(原告番号6)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間 被災者A3(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,昭和50年10月1日から昭和54年12月までの4年2か月間株式会社a6に勤務し,建築作業現場において,石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D6の3,6の3の2,弁論の全趣旨)。なお,被災者A3は,昭和56年から平成13年4月までの間一人親方として稼働しているが,この期間中は,デパートの催場でやマンション等の鉄筋コン 業に従事した(甲D6の3,6の3の2,弁論の全趣旨)。なお,被災者A3は,昭和56年から平成13年4月までの間一人親方として稼働しているが,この期間中は,デパートの催場でやマンション等の鉄筋コンクリート建築物等の内装工事をしたというものであり,被災者A3の陳述書(甲D6の3,6の3の2)をもっても,粉じんが発生する環境で作業したかは明らかでなく,石綿粉じんに曝露したものと認めることはできないから,第1審被告国は,同期間の石綿粉じん曝露作業について責任を負わない。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A3が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3であるから,これを引用する。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A3の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の36頁19行目から同頁22行目まで)のとおりであるから,これを引用する。なお,被災者A3は,平成▲年▲月▲日,肺がんにより死亡した(甲D6の5の7)。 ⑷ 以上によれば,被災者A3は,第1審被告国の責任期間のうち,4年2か月間,上記⑵の作業に従事し,肺がんを発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A3に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 7 被災者A4(原告番号7)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A4(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内にお いて,①昭和50年10月1日から昭和54年6月までの間L(大阪)に,②同年8月1日から昭和56年10月までの間Mに,③同月から平成16年9月30日までの間L(福岡)にそれぞれ勤務し,合計28年9か月間,建築作業現場において,労働者として石綿粉じん曝露作業に従事した( 同年8月1日から昭和56年10月までの間Mに,③同月から平成16年9月30日までの間L(福岡)にそれぞれ勤務し,合計28年9か月間,建築作業現場において,労働者として石綿粉じん曝露作業に従事した(弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A4が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3であるから,これを引用する。そして,その期間は,上記①から③までの間であったものと認められる。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A4の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑷ 以上によれば,被災者A4は,第1審被告国の責任期間のうち,合計28年9か月間,上記⑵の作業に従事し,肺がんを発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A4に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 8 被災者A5(原告番号8)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A5(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,①昭和50年10月1日から昭和53年8月31日までの間株式会社a7に勤務し,②昭和53年9月から平成16年9月30日までの間一人親方として稼働し,合計28年11か月間,建築作業現場において現場監督者としての仕事に従事した。そして,被災者A5は,第1審被告国の責任期間のうちの上記期間,石綿粉じん曝露作業により発生する石綿粉じんに間接曝露したものと認められる(甲D8の3,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A5が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3529頁14行目まで,同頁19行目から同 の3,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A5が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3529頁14行目まで,同頁19行目から同頁23行目まで)のとおりであるから,これを引用する。そして,その期間は,上記①から②までの間であったものと認められる。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A5の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑷ 以上によれば,被災者A5は,第1審被告国の責任期間のうち,合計28年11か月間,上記⑵の作業に従事し,石綿肺及びびまん性胸膜肥厚を発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A5に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 9 第1審原告B18(原告番号9)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間第1審原告B18(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,①昭和50年10月1日から昭和51年10月7日までの間Nに勤務し,②昭和51年10月から昭和52年3月までの間Oに勤務し,③昭和58年1月から平成16年9月30日まで一人親方として稼働し,合計23年間,建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した。なお,上記③の期間については,上記①②と同様の態様で配管工として稼働した者であり,この期間においても石綿粉じん曝露作業に従事したものと認められる(甲D9の3,弁論の全趣旨)。なお,第1審原告B18は,昭和52年4月から昭和57年12月までの間についても石綿粉じん曝露作業に従事した期間に含まれると主張するが,当裁判所も原審と同様に,こうした主張は採用することができないと判断する。その理 18は,昭和52年4月から昭和57年12月までの間についても石綿粉じん曝露作業に従事した期間に含まれると主張するが,当裁判所も原審と同様に,こうした主張は採用することができないと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の るから,これを引用する。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容第1審原告B18が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3おりであるから,これを引用する。そして,その期間は,上記①から③までの間であったものと認められる。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等第1審原告B18の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3判決531頁15行目から同頁17行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑷ 以上によれば,第1審原告B18は,第1審被告国の責任期間のうち,合計23年間,上記⑵の作業に従事し,肺がんを発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,第1審原告B18に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 被災者A6(原告番号10)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A6(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,①昭和50年10月1日から昭和55年頃まで,手間請負作業として稼働し,②昭和55年頃から平成16年9月30日までの間一人親方として稼働し,合計28年間,建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D10の3,10の5の3から7,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A6は,上記期間中,内装工として,建築作業現場において,壁や天井にボードを切り貼りする作業を行い,これらの作業により石綿粉じんに ら7,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A6は,上記期間中,内装工として,建築作業現場において,壁や天井にボードを切り貼りする作業を行い,これらの作業により石綿粉じんに曝露した。そして,その期間は,上記①から②までの間であったものと認められる (甲D10の3,10の4,10の5の3から7,弁論の全趣旨)。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A6は,石綿粉じん曝露作業により肺がんを発症したとして,平成18年3月30日石綿による健康被害の救済に関する法律4条2項に基づく認定を受けたが,その後,平成▲年▲月▲日に,肺がんにより死亡した(弁論の全趣旨)。 ⑷ 以上によれば,被災者A6は,第1審被告国の責任期間のうち,合計28年間,上記⑵の作業に従事し,肺がんを発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A6に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 11 被災者A7(原告番号11)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A7(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間である昭和50年10月1日から平成14年4月20日までの26年7か月間有限会社a8に勤務し,労働者として建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した。なお,第1審原告B23,第1審原告B24及び第1審原告B25は,被災者A7は,平成16年3月まで労働者として稼働していた旨主張するが,労災認定における調査票においては,その稼働期間は平成14年4月20日までとしており,上記第1審原告らの主張を裏付ける客観的資料が存在しないことからすれば,被災者A7が労働者として作業に従事したのは平成14年4月20日までと認めるのが相当である(甲D11の3,11の5の8,弁論の全趣旨)。 告らの主張を裏付ける客観的資料が存在しないことからすれば,被災者A7が労働者として作業に従事したのは平成14年4月20日までと認めるのが相当である(甲D11の3,11の5の8,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A7が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3⑶ク2頁7行目から同頁17行目まで)のとおりであるから,これを引用する。そして,その期間は,上記の間であったものと認 められる。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A7の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3⑶ク2頁19行目から同頁22行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑷ 以上によれば,被災者A7は,第1審被告国の責任期間のうち,合計26年7か月間,上記⑵の作業に従事し,中皮腫を発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A7に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 12 被災者A8(原告番号12)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A8(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間である昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの29年間有限会社a9に勤務し,労働者として建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D12の3,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A8が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3⑶ケ3頁10行目から同頁15行目まで)のとおりであるから,これを引用する。そして,その期間は,上記の間であったものと認められる。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A8の石綿関連疾患の発症,労災認 ら同頁15行目まで)のとおりであるから,これを引用する。そして,その期間は,上記の間であったものと認められる。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A8の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3⑶ケ3頁17行目から同頁21行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑷ 以上によれば,被災者A8は,第1審被告国の責任期間のうち,合計29年間,上記⑵の作業に従事し,肺がんを発症したものと認められ,その作業内容 からすれば,第1審被告国は,被災者A8に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 13 被災者A9(原告番号13)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A9(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間である昭和50年10月1日から平成15年10月までの28年間株式会社a10に勤務し,労働者として建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D13の3,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A9が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3であるから,これを引用する。そして,その期間は,上記の間であったものと認められる。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A9の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑷ 以上によれば,被災者A9は,第1審被告国の責任期間のうち,28年間,上記⑵の作業に従事し,肺がんを発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A9に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 14 被災者A10(原告番号14)⑴ 石綿粉じん 作業に従事し,肺がんを発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A9に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 14 被災者A10(原告番号14)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A10(昭和▲年▲月▲日生まれ)が,第1審被告国の責任期間内において,石綿粉じん曝露作業に従事した期間は,原判決の「事実及び理由」欄 で)のとおりであるから,これを引用する。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A10が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3とおりであるから,これを引用する。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A10の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3目まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑷ 以上によれば,被災者A10は,第1審被告国の責任期間のうち,合計16年1か月間,上記⑵の作業に従事し,石綿肺及び肺がんを発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A10に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 被災者A11(原告番号15)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A11(昭和▲年▲月▲日生まれ)が,第1審被告国の責任期間内において,石綿粉じん曝露作業に従事した期間は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3で)のとおりであるから,これを引用する。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A11が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3とおりであるから,これを引用する。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A11の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理 判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3とおりであるから,これを引用する。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A11の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3⑶シ7頁5行目から同頁8行目 まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑷ 以上によれば,被災者A11は,第1審被告国の責任期間のうち,3か月間,上記⑵の作業に従事し,中皮腫を発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A11に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 16 被災者A12(原告番号16)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A12(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,①昭和50年10月1日から昭和52年2月7日まで,一人親方として稼働し,②昭和60年8月28日から平成元年1月19日まで,Pに勤務し,③平成2年7月17日から平成9年6月までPに勤務し,合計11年6か月間,建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D16の3,4,16の5の1から6,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A12が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3)のとおりであるから,これを引用する。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A12の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3まで)のとおりであるから,これを引用する。なお,被災者A12は,平成▲年▲月▲日死亡したところ,死亡診断書の直接死因は消化管出血,その原因は肺炎心不全とされているが(甲D16の5の7),その死亡に至るまでの症状の経過(甲D16の3,第1審原告亡A 者A12は,平成▲年▲月▲日死亡したところ,死亡診断書の直接死因は消化管出血,その原因は肺炎心不全とされているが(甲D16の5の7),その死亡に至るまでの症状の経過(甲D16の3,第1審原告亡A12訴訟承継人B34)に照らせば,被災者A12のり患した石綿肺と上記死亡との間には相当因果関係があると認められる。 ⑷ 以上によれば,被災者A12は,第1審被告国の責任期間のうち,合計11年6か月間,上記⑵の作業に従事し,石綿肺を発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A12に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 17 被災者A13(原告番号18)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A13(大正▲年▲月▲日生まれ)が石綿粉じん曝露作業に従事した期間は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3539頁22行目から同540頁19行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A13が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3りであるから,これを引用する。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A13の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3頁3行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑷ 以上によれば,被災者A13は,第1審被告国の責任期間のうち,合計6年2か月間,上記⑵の作業に従事し,肺がんを発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A13に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 18 第1審原告B53(原告番号19)⑴ 石綿肺発症の有無ア原審は,第1審原告B53のじん肺健康診断結果証明書(甲D 審被告国は,被災者A13に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 18 第1審原告B53(原告番号19)⑴ 石綿肺発症の有無ア原審は,第1審原告B53のじん肺健康診断結果証明書(甲D19の5の1)には,第1審原告B53について石綿肺の診断はされていないことから, 「じん肺」ではあるが,「石綿肺」ではないと認定し,その請求を棄却したところ,第1審原告B53は,D医師の意見及びE医師の意見等からすれば,第1審原告B53は石綿肺にり患している旨主張している。 イしかし,当裁判所も,原審と同じく,第1審原告B53は,石綿肺にり患していたと認めるに足りないものと判断する。その理由は,次のとおりである。 第1審原告B53の主治医であったD医師は,当審において,第1審原告B53の平成10年1月20日付けのじん肺健康診断結果証明書(甲D19の5の1)の「エックス線写真による検査」欄には「「エックス線写真の像」として「粒状影」及び「不整形陰影」につき「1/1」と記載されているところ,同記載は,上記エックス線写真に基づくものではなく,今回この点を証言するに当たってこれを確認したが,粒状影は中肺野に認められるもので,不整形陰影は認められなかった旨証言した。この点につき,E医師は,その意見書(甲A1062)において,第1審原告B53に対する診断が行われた平成10年当時であれば,下肺野の不整形陰影がはっきり診断できたはずであると述べるがD医師が平成11年以降に作成した第1審原告B53の診断書には不整形陰影の記載をしていないこと(乙アA305)に照らすと,飽くまでも推測ないし一般論の域を出るものではなく,D医師の上記証言の信用性を覆すものとはいえない。 そして,甲A6(じん肺診査ハンドブック)では「(石綿肺の)最も初期の変化 305)に照らすと,飽くまでも推測ないし一般論の域を出るものではなく,D医師の上記証言の信用性を覆すものとはいえない。 そして,甲A6(じん肺診査ハンドブック)では「(石綿肺の)最も初期の変化は,両側下肺野の微細な粒状影,異常線状影である。」とされているところ,上記のとおり第1審原告B53には,こうした粒状影,異常線状影(不整形陰影)が下肺野に存在するとは認められない。 ⑵ 以上より,第1審原告B53に石綿を扱う作業に従事した経歴があることを考慮しても,胸膜プラークの存在が認められるにとどまり,石綿肺を発症したとまで認めるに足りる証拠はないというべきであって,第1審原告B5 3に対して第1審被告国に国賠法1条1項に基づく責任があると認めることはできない。 19 被災者A14(原告番号20)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A14(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,①昭和50年10月1日から平成元年5月までの間Qに,②平成元年6月1日から平成16年9月30日までの間Rにそれぞれ勤務し,合計28年11か月間,労働者として建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D20の5の3,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A14が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3りであるから,これを引用する。そして,その期間は,上記①から②までの間であったものと認められる。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A14の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3頁3行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑷ 以上によれば,被災者A14は,第1審被告国の責任期間のうち, 連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3頁3行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑷ 以上によれば,被災者A14は,第1審被告国の責任期間のうち,合計28年11か月間,上記⑵の作業に従事し,中皮腫を発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A14に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 被災者A15(原告番号21)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A15(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,昭和60年8月17日から平成16年9月30日までの19年1か月 間有限会社a11に勤務し,労働者として建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D21の3,4,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A15が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3りであるから,これを引用する。そして,その期間は,上記の間であったものと認められる。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A15の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3頁2行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑷ 以上によれば,被災者A15は,第1審被告国の責任期間のうち,合計19年1か月間,上記⑵の作業に従事し,中皮腫を発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A15に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 21 被災者A16(原告番号22)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A16(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,①昭和50年10月1日から昭和53年9 21 被災者A16(原告番号22)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A16(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,①昭和50年10月1日から昭和53年9月26日までの間a12有限会社に,②昭和54年10月9日から平成7年9月21日までの間a13株式会社に,③平成9年11月から平成11年2月までの間a13株式会社にそれぞれ勤務し,合計20年2か月間,労働者として建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A16が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3 りであるから,これを引用する。そして,その期間は,上記①から③までの間であったものと認められる。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A16の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3頁6行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑷ 以上によれば,被災者A16は,第1審被告国の責任期間のうち,合計20年2か月間,上記⑵の作業に従事し,良性石綿胸水を発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A16に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 22 被災者A17(原告番号23)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A17(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,①昭和50年10月1日から平成2年頃まで,②平成6年頃から平成10年9月までの間一人親方として稼働し,合計14年間,建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D23の3,23の5の4から6,弁論の全趣旨)。なお,第1審原告亡A17訴訟承継人B43は, 0年9月までの間一人親方として稼働し,合計14年間,建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D23の3,23の5の4から6,弁論の全趣旨)。なお,第1審原告亡A17訴訟承継人B43は,平成3年から平成5年及び平成10年10月から平成12年5月までの間も石綿粉じん曝露作業に従事した旨主張する。しかし,平成3年から平成5年までの間勤務した有限会社a14での従事した作業は清掃作業であって,この期間石綿粉じん曝露作業に従事したことを認めることはできないのは原審の判断のとおりである。また,平成10年10月から平成12年5月までの間も,被災者A17は,この期間足を悪くしており,仕事ができたのは40日くらいであり,建築現場も3か所くらいしか行けていないとしており(甲D23の3),こうした点からすれば,この期間も石綿粉じん曝露作業に従事していたと認めることはできない。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A17は,上記期間中,大工として,建築作業現場において,木造建物の建築作業を行う際,軒天井に貼り付ける軒天板の切断や,壁や屋根裏に貼り付ける断熱材を切断する作業を行い,これらの作業により石綿粉じんに曝露した。そして,その期間は,上記①から②までの間であったものと認められる(甲D23の3,23の5の4・5,弁論の全趣旨)。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A17は,石綿粉じん曝露作業により石綿肺を発症したとして,平成19年6月28日,労災保険の支給決定を受けたが,その後,平成▲年▲月▲日に,石綿肺を原因とする肺がんにより死亡した(甲D23の5の9,弁論の全趣旨)。 ⑷ 以上によれば,被災者A17は,第1審被告国の責任期間のうち,合計14年間,上記⑵の作業に従事し,石綿肺を発症したものと認められ,そ 肺がんにより死亡した(甲D23の5の9,弁論の全趣旨)。 ⑷ 以上によれば,被災者A17は,第1審被告国の責任期間のうち,合計14年間,上記⑵の作業に従事し,石綿肺を発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A17に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 23 被災者A18(原告番号24)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A18(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,昭和50年10月1日から平成5年頃までの間一人親方として稼働し,合計16年2か月間,建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D24の3,24の5の2・5,弁論の全趣旨)。なお,第1審原告亡A18訴訟承継人B44は,平成7年から平成12年までの間も被災者A18が石綿粉じん曝露作業に従事した旨主張する。しかし,被災者A18は,この期間b市の職員として勤務し,公園や道路等の営繕工事に主に従事していたものであって,石綿粉じん曝露作業に従事したと認めることはできない。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容 被災者A18は,上記期間中,大工として,建築作業現場において,学校の校舎等の建築作業を行う際,石膏ボードやスレートや天井吸音板を使用するサイズに合わせるためなどに切断する作業を行い,これらの作業により石綿粉じんに曝露した。そして,その期間は,上記の間であったものと認められる(甲D24の3,24の5の2・5,弁論の全趣旨)。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A18は,石綿粉じん曝露作業によりびまん性胸膜肥厚を発症したとして,平成21年2月6日,労災保険の支給決定を受けたが,その後,平成▲年▲月▲日に,びまん性胸膜肥厚を原因とする肺炎により死亡した(甲D24の5 綿粉じん曝露作業によりびまん性胸膜肥厚を発症したとして,平成21年2月6日,労災保険の支給決定を受けたが,その後,平成▲年▲月▲日に,びまん性胸膜肥厚を原因とする肺炎により死亡した(甲D24の5の7,弁論の全趣旨)。 ⑷ 以上によれば,被災者A18は,第1審被告国の責任期間のうち,合計16年2か月間,上記⑵の作業に従事し,びまん性胸膜肥厚を発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A18に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 24 被災者A19(原告番号25)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A19(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの間一人親方として稼働し,29年間,建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D25の3,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A19は,上記期間中,鉄骨建築業を営み,建築作業現場において,基礎工事後の鉄骨建築を行うに当たって,現場管理等を行い,建築作業現場に所在していたため,耐火用に吹き付けられる石綿を吸入するなどして間接的に石綿粉じんに曝露した。そして,その期間は,上記の間であったものと認められる(甲D25の3,25の5の2,弁論の全趣旨)。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A19は,石綿粉じん曝露作業により中皮腫を発症したとして,平成19年12月3日,労災保険の支給決定を受けたが,その後,平成▲年▲月▲日に,中皮腫により死亡した(弁論の全趣旨)。 ⑷ 以上によれば,被災者A19は,第1審被告国の責任期間のうち,29年間,上記⑵の作業に従事し,中皮腫を発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1 腫により死亡した(弁論の全趣旨)。 ⑷ 以上によれば,被災者A19は,第1審被告国の責任期間のうち,29年間,上記⑵の作業に従事し,中皮腫を発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A19に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 被災者A20(原告番号26)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A20(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの間一人親方として稼働し,29年間,建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D26の3,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A20は,上記期間中,シャッター工として,建築作業現場において,シャッターを取り付けるブランケットやレールとなる柱を建物の鉄骨に溶接して固定する際等に,石綿吹付け材を鉄骨から剥がす作業を行い,石綿粉じんに曝露した。そして,その期間は,上記の間であったものと認められる(甲D26の3,弁論の全趣旨)。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A20は,中皮腫により平成▲年▲月▲日に死亡したが,その後,石綿粉じん曝露作業により中皮腫を発症したとして,平成25年3月21日,労災保険の支給決定を受けた(弁論の全趣旨)。 ⑷ 以上によれば,被災者A20は,第1審被告国の責任期間のうち,29年間,上記⑵の作業に従事し,中皮腫を発症したものと認められ,その作業内容 からすれば,第1審被告国は,被災者A20に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 26 被災者A21(原告番号27)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A21(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において, 賠法1条1項に基づく責任を負う。 26 被災者A21(原告番号27)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A21(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,①昭和50年10月1日から昭和51年5月までの間S,Tに勤務し,②昭和51年6月から平成16年9月30日までの間一人親方として稼働し,合計28年10か月間建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D27の3・4,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A21が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3りであるから,これを引用する。そして,その期間は,上記①から②までの間であったものと認められる。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A21の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑷ 以上によれば,被災者A21は,第1審被告国の責任期間のうち,合計28年10か月間,上記⑵の作業に従事し,中皮腫を発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A21に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 27 被災者A22(原告番号28)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A22(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,①平成10年5月1日から平成14年3月31日までの間有限会社a 15に勤務し,②平成14年10月1日から平成16年9月30日までの間a16株式会社に勤務し,合計5年11か月間,労働者として,建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D28の3,28の3の2,28の5の3・4,弁論の全趣旨)。 ⑵ 30日までの間a16株式会社に勤務し,合計5年11か月間,労働者として,建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D28の3,28の3の2,28の5の3・4,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A22は,上記期間中,塗装工として,建築作業現場において,ブラシやサンダーを使って塗装された下地を剥がす作業を行い,石綿粉じんに曝露した。そして,その期間は,上記①から②までの間であったものと認められる(甲D28の3,弁論の全趣旨)。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A22は,中皮腫により平成▲年▲月▲日に死亡したが,その後,石綿粉じん曝露作業により中皮腫を発症したとして,平成24年3月14日,労災保険の支給決定を受けた(弁論の全趣旨)。 ⑷ 以上によれば,被災者A22は,第1審被告国の責任期間のうち,合計5年11か月間,上記⑵の作業に従事し,中皮腫を発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A22に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 28 被災者A23(原告番号29)⑴ 石綿粉じん曝露作業に従事した期間被災者A23(昭和▲年▲月▲日生まれ)は,第1審被告国の責任期間内において,①昭和50年10月1日から昭和57年3月までの間,Uに勤務し,②昭和57年4月から平成16年9月30日までの間,Vに勤務するとともに事業主として稼働し,合計28年10か月間,建築作業現場において石綿粉じん曝露作業に従事した(甲D29の3,弁論の全趣旨)。 ⑵ 石綿粉じん曝露作業の内容被災者A23が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6 節の第1の3とおりであるから,これを引用する。そして,その期間は,上記①から②までの間であっ 曝露作業の内容被災者A23が行った作業内容は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6 節の第1の3とおりであるから,これを引用する。そして,その期間は,上記①から②までの間であったものと認められる。 ⑶ 石綿関連疾患の発症,労災認定等被災者A23の石綿関連疾患の発症,労災認定等は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第1の3まで)のとおりであるから,これを引用する。その後,被災者A23は,平成▲年▲月▲日に肺がんにより死亡した。 ⑷ 以上によれば,被災者A23は,第1審被告国の責任期間のうち,合計28年10か月間,上記⑵の作業に従事し,肺がんを発症したものと認められ,その作業内容からすれば,第1審被告国は,被災者A23に対して国賠法1条1項に基づく責任を負う。 第3 包括一律請求に関する慰謝料額の算定 1 基準となる慰謝料額本件において第1審原告らが慰謝料を請求するに当たり,包括一律請求という枠組みで慰謝料額を算定することが,その損害の性格上許容されること及びその場合における労災保険給付等の取扱いについては,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第2の1(原判決546頁14行目から同547頁7行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 次に,慰謝料額の基準額については,当裁判所も,石綿肺(じん肺管理区分の管理2)で合併症のある場合は1300万円,石綿肺(じん肺管理区分の管理3)で合併症のある場合は1800万円,石綿肺(じん肺管理区分の管理4),肺がん,中皮腫の場合は2200万円,石綿関連疾患により死亡した場合は2500万円とするのが相当であり,これらにつき10%の弁護士費用を認めるべきであると判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第2の (原判決 綿関連疾患により死亡した場合は2500万円とするのが相当であり,これらにつき10%の弁護士費用を認めるべきであると判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第2の (原判決547頁9行目から同548頁15行目まで,同554頁7行 目から同12行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 第1審被告国の責任の性質を踏まえた修正労働者に対して建築現場において石綿粉じんに曝露することによって石綿関連疾患にり患することがないよう配慮すべき責任は,労働者に対して労働契約上の安全配慮義務を負担する事業者が第1次的に負うものである。事業者は,第1審被告国による規制権限行使の有無にかかわらず,労働者に対して石綿粉じん曝露による石綿関連疾患を防止するために有効かつ適切な措置を講ずべき義務を負っており,これは,警告表示(掲示)や特別教育についても同様である。したがって,当裁判所も第1審被告国の責任は二次的,補充的なものと解するのが相当であると判断する。その理由及び第1審被告国の責任の範囲については,上記のほか原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第2の2の⑵(原判決548頁16行目から同549頁11行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 以上より,第1審被告国が負う責任は,原審と同様に,それぞれの損害の3分の1(計算上端数がある場合は円未満を切り捨てる。以下同じ。)を限度とするのが相当である。 3 損害額の修正要素当裁判所も,第1審被告国の責任期間内の石綿粉じん曝露期間が短期間の者について慰謝料額を減額し,また,肺がんを発症した者のうち喫煙歴がある者について民法722条2項を類推適用するのが相当であると判断するとともに,労働関係法規に基づく義務違反を理由として第1審被告 者について慰謝料額を減額し,また,肺がんを発症した者のうち喫煙歴がある者について民法722条2項を類推適用するのが相当であると判断するとともに,労働関係法規に基づく義務違反を理由として第1審被告国の責任を限定すべきではないと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」欄第4章第6節の第2の2の⑶(原判決549頁12行目から同554頁6行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 なお,平成7年の特化則改正以前における労働関係法規に基づく義務違反を理由として第1審被告国の責任を限定すべきでないことは,原判決の述べるとおり であるが(原判決553頁14行目から同554頁6行目まで),各警告表示や特別教育をもって石綿粉じん曝露を防止するための補助的,補完的手段にすぎないものと位置付けるのは相当ではないこと及び建築作業従事者らにとって防じんマスク着用による不快感等のデメリットは決して小さいものではなかったこと(原判決424頁)に照らせば,平成7年特化則改正以降においても,前記2のとおりの限定を加える以上に,労働関係法規に基づく義務違反を理由として第1審被告国の責任を限定するのは相当ではない。 以上より,第1審被告国が負う損害額について,次のとおり減額するのが相当である。 ⑴ 石綿肺について,第1審被告国の責任期間内において,労働者として石綿粉じん曝露作業に従事した期間が,①10年以上の者については減額を行わず,②6年以上10年未満の者については10%減額し,③3年以上6年未満の者については30%減額する。 ⑵ 肺がんについて,第1審被告国の責任期間内において,労働者として石綿粉じん曝露作業に従事した期間が,①10年以上の者については減額を行わず,②6年以上10年未満の者については10%減額し,③3年以上6 がんについて,第1審被告国の責任期間内において,労働者として石綿粉じん曝露作業に従事した期間が,①10年以上の者については減額を行わず,②6年以上10年未満の者については10%減額し,③3年以上6年未満の者については30%減額する。 ⑶ 中皮腫について,第1審被告国の責任期間内において,労働者として石綿粉じん曝露作業に従事した期間が,①1年以上の者については減額を行わず,②6月以上1年未満の者については30%減額し,③6月未満の者については50%減額する。 ⑷ 肺がんを発症した被災者で喫煙歴を有する者の慰謝料については一律に10%を減額する。 第4 各被災者の慰謝料額及び遅延損害金の起算日 1 上記第3からすれば,第1審被告国に責任が認められる各被災者の請求認容額は,後記2のとおりである。第1審被告国は,これらの被災者に係る第1審原告 らに対し,別紙2の1「認容額等一覧表」の「認容額」欄に記載の損害賠償金及びこれに対する「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負う。 2⑴ 第1審原告B1(原告番号1)ア基準となる慰謝料額 2200万円(肺がん)イ修正後の慰謝料額 660万円2200万円×0.9(喫煙歴による減額)×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=660万円第1審原告B1は,昭和39年頃(20歳頃)から昭和59年頃(40歳頃)まで1日20本程度喫煙し,同年頃以降平成21年8月頃(65歳頃)までは1日30本ないし40本程度喫煙していた(甲D1の5の1,第1審原告B1本人)。 ウ弁護士費用 66万円エ認容額合計 726万円オ遅延損害金の起算日平成22年9月15日(石綿粉じん曝露作業により肺がんを発症した日より後の日)⑸ 第1審原告B1本人)。 ウ弁護士費用 66万円エ認容額合計 726万円オ遅延損害金の起算日平成22年9月15日(石綿粉じん曝露作業により肺がんを発症した日より後の日)⑸ 第1審原告B2(原告番号2)ア基準となる慰謝料額 2200万円(肺がん)イ修正後の慰謝料額 660万円2200万円×0.9(喫煙歴による減額)×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=660万円第1審原告B2は,昭和36年頃(19歳頃)から昭和57年頃(40歳頃)まで1日20本程度喫煙していた(甲D2の5の8,第1審原告B2本人,弁論の全趣旨)。 ウ弁護士費用 66万円エ認容額合計 726万円 オ遅延損害金の起算日平成23年9月14日(石綿粉じん曝露作業により肺がんを発症した日より後の日)⑹ 被災者A1(原告番号3)ア基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡)イ修正後の慰謝料額 750万円2500万円×0.9(喫煙歴による減額)×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=750万円被災者A1は,昭和36年頃(20歳頃)から平成13年頃(68歳頃)まで1日10本程度喫煙していた(甲D3の5の5,第1 審原告B3本人,弁論の全趣旨)。 ウ相続被災者A1の相続人は,妻である第1審原告B3,子である第1審原告B4及び第1審原告B5であり,法定相続分に従い,上記損害賠償請求権を相続した(甲D3の1の1ないし8)。 第1審原告B3 375万円750万円×2分の1(相続分)=375万円第1審原告B4 187万5000円750万円×4分の1(相続分)=187万5000円第1審原告B5 187万5000円750万円×4分の1(相続分)=18 1(相続分)=375万円第1審原告B4 187万5000円750万円×4分の1(相続分)=187万5000円第1審原告B5 187万5000円750万円×4分の1(相続分)=187万5000円エ弁護士費用第1審原告B3 37万5000円第1審原告B4 18万7500円第1審原告B5 18万7500円オ認容額合計第1審原告B3 412万5000円 第1審原告B4 206万2500円第1審原告B5 206万2500円カ遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)上記第1審原告ら3名は,肺がんについて労災認定がされた平成23年2月9日以降支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるが,被災者A1は,同日より後の平成▲年▲月▲日に死亡し,肺がんによる損害とは質的に異なる別個の損害が発生したものと認められるから,上記損害に関する遅延損害金の起算日は同被災者が肺がんにより死亡した平成▲年▲月▲日とするのが相当である。 ⑺ 被災者A2(原告番号4)ア基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)イ修正後の慰謝料額 833万3333円2500万円×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=833万3333円ウ相続被災者A2の相続人は,妻である第1審原告B6,子である第1審原告B7及び第1審原告B8であり,法定相続分に従い,上記損害賠償請求権を相続した(甲D4の1の1ないし6)。 第1審原告B6 416万6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円第1審原告B7 208万3333円833万3333円×4分の1(相続分)=208万3333円第1審原告B8 208万3333 833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円第1審原告B7 208万3333円833万3333円×4分の1(相続分)=208万3333円第1審原告B8 208万3333円833万3333円×4分の1(相続分)=208万3333円エ弁護士費用第1審原告B6 41万6666円 第1審原告B7 20万8333円第1審原告B8 20万8333円オ認容額合計第1審原告B6 458万3332円第1審原告B7 229万1666円第1審原告B8 229万1666円カ第1審遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)上記第1審原告ら3名は,中皮腫について労災認定がされた平成20年7月18日以降支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるが,被災者A2は,同日より後の平成▲年▲月▲日に死亡し,中皮腫による損害とは質的に異なる別個の損害が発生したものと認められるから,上記損害に関する遅延損害金の起算日は同被災者が中皮腫により死亡した平成▲年▲月▲日とするのが相当である。 ⑻ 第1審原告B9(原告番号5)ア基準となる慰謝料額 2200万円(肺がん)イ修正後の慰謝料額 660万円2200万円×0.9(喫煙歴による減額)×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=660万円第1審原告B9は,昭和39年頃(16歳頃)から平成17年2月頃(56歳頃)まで1日20本程度喫煙していた(第1審原告B9本人,弁論の全趣旨)。 ウ弁護士費用 66万円エ認容額合計 726万円オ遅延損害金の起算日平成22年8月19日(石綿粉じん曝露作業により肺がんを発症した日より後の日) ⑼ 被災者A3(原告番号6) 用 66万円エ認容額合計 726万円オ遅延損害金の起算日平成22年8月19日(石綿粉じん曝露作業により肺がんを発症した日より後の日) ⑼ 被災者A3(原告番号6)ア基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡)イ修正後の慰謝料額 525万円2500万円×0.7(曝露作業期間〔4年2か月〕による減額)×0. 9(喫煙歴による減額)×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=525万円被災者A3は,昭和27年頃(19歳頃)から平成13年4月頃(68歳頃)まで1日10本程度喫煙していた(甲D6の5の2,第1審原告A3本人,弁論の全趣旨)。 ウ相続被災者A3の相続人は,妻である第1審原告亡A3訴訟承継人B10,子である第1審原告亡A3訴訟承継人B11及び第1審原告亡A3訴訟承継人B12であり,法定相続分に従い,上記損害賠償請求権を相続した(弁論の全趣旨)。 第1審原告亡A3訴訟承継人B10 262万5000円525万円×2分の1(相続分)=262万5000円第1審原告亡A3訴訟承継人B11 131万2500円525万円×4分の1(相続分)=131万2500円第1審原告亡A3訴訟承継人B12 131万2500円525万円×4分の1(相続分)=131万2500円エ弁護士費用第1審原告亡A3訴訟承継人B10 26万2500円第1審原告亡A3訴訟承継人B11 13万1250円第1審原告亡A3訴訟承継人B12 13万1250円オ認容額合計第1審原告亡A3訴訟承継人B10 288万7500円 第1審原告亡A3訴訟承継人B11 144万3750円第1審原告亡A3訴訟承継人B12 144万3750円カ 第1審原告亡A3訴訟承継人B10 288万7500円 第1審原告亡A3訴訟承継人B11 144万3750円第1審原告亡A3訴訟承継人B12 144万3750円カ遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)上記第1審原告亡A3訴訟承継人ら3名は,肺がんについて労災認定がされた平成20年11月6日以降支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるが,被災者A3は,同日より後の平成▲年▲月▲日に死亡し,肺がんによる損害とは質的に異なる別個の損害が発生したものと認められるから,上記損害に関する遅延損害金の起算日は同被災者が肺がんにより死亡した平成▲年▲月▲日とするのが相当である。 ⑽ 被災者A4(原告番号7)ア基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡)イ修正後の慰謝料額 750万円2500万円×0.9(喫煙歴による減額)×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=750万円被災者A4は若い頃から一定期間継続的に喫煙をしていた(証人W1,弁論の全趣旨)。 ウ相続被災者A4の相続人は,妻である第1審原告B13,子であるW2及びW3であるところ,これらの共同相続人は,平成23年10月4日,遺産分割協議を行い,上記損害賠償請求権を第1審原告B13が全て相続することに合意した(甲D7の1の1ないし7,7の2の1及び2)。 エ弁護士費用 75万円オ認容額合計 825万円カ遅延損害金の起算日平成22年10月26日(死亡の日より後の日)⑾ 被災者A5(原告番号8)ア基準となる慰謝料額 2500万円(石綿肺による死亡) イ修正後の慰謝料額 833万3333円2500万円×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額) 5(原告番号8)ア基準となる慰謝料額 2500万円(石綿肺による死亡) イ修正後の慰謝料額 833万3333円2500万円×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=833万3333円ウ相続被災者A5の相続人は,妻である第1審原告B14,子である第1審原告B15,第1審原告B16及び第1審原告B17であるところ,これらの共同相続人は,以下のとおり,法定相続分に従い,上記損害賠償請求権を相続した(甲D8の1の1ないし7)。 第1審原告B14 416万6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円第1審原告B15 138万8888円833万3333円×6分の1(相続分)=138万8888円第1審原告B16 138万8888円833万3333円×6分の1(相続分)=138万8888円第1審原告B17 138万8888円833万3333円×6分の1(相続分)=138万8888円エ弁護士費用第1審原告B14 41万6666円第1審原告B15 13万8888円第1審原告B16 13万8888円第1審原告B17 13万8888円オ認容額合計第1審原告B14 458万3332円第1審原告B15 152万7776円第1審原告B16 152万7776円第1審原告B17 152万7776円 カ遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)上記第1審原告ら4名は,石綿肺,びまん性胸膜肥厚について労災認定がされた平成23年3月25日以降支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるが,被災者A5は,同日より後の平成▲年▲月▲日に死亡し, 告ら4名は,石綿肺,びまん性胸膜肥厚について労災認定がされた平成23年3月25日以降支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるが,被災者A5は,同日より後の平成▲年▲月▲日に死亡し,上記の石綿関連疾患による損害とは質的に異なる別個の損害が発生したものと認められるから,上記損害に関する遅延損害金の起算日は同被災者が石綿肺により死亡した平成▲年▲月▲日とするのが相当である。 ⑿ 第1審原告B18(原告番号9)ア基準となる慰謝料額 2200万円(肺がん)イ修正後の慰謝料額 660万円2200万円×0.9(喫煙歴による減額)×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=660万円第1審原告B18は,昭和46年頃(20歳頃)から平成20年頃(57歳頃)までの間1日20本程度喫煙していた(第1審原告B18本人)。 ウ弁護士費用 66万円エ認容額合計 726万円オ遅延損害金の起算日平成23年6月2日(石綿粉じん曝露作業により肺がんを発症した日より後の日)⒀ 被災者A6(原告番号10)ア基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡)イ修正後の慰謝料額 750万円2500万円×0.9(喫煙歴による減額)×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=750万円被災者A6は,昭和▲年生まれの第1審原告B22が物心付いた頃から平成17年頃(被災者A6が64歳頃)までの間,1日にたばこ一箱に満たない程度の喫煙をしていた(第1審原告B22本人,弁論の全趣旨)。 ウ相続被災者A6の相続人は,妻である第1審原告B19,子である第1審原告B20,第1審原告B21及び第1審原告B22であり,以下のとおり,法定相続分に従い,上記損害賠償請求権を相続し ウ相続被災者A6の相続人は,妻である第1審原告B19,子である第1審原告B20,第1審原告B21及び第1審原告B22であり,以下のとおり,法定相続分に従い,上記損害賠償請求権を相続した(甲D10の1の1から11)。 第1審原告B19 375万円750万円×2分の1(相続分)=375万円第1審原告B20 125万円750万円×6分の1(相続分)=125万円第1審原告B21 125万円750万円×6分の1(相続分)=125万円第1審原告B22 125万円750万円×6分の1(相続分)=125万円エ弁護士費用第1審原告B19 37万5000円第1審原告B20 12万5000円第1審原告B21 12万5000円第1審原告B22 12万5000円オ認容額合計第1審原告B19 412万5000円第1審原告B20 137万5000円第1審原告B21 137万5000円第1審原告B22 137万5000円カ遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)上記第1審原告ら4名は,肺がんについて労災認定がされた平成18年3月30日以降支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める が,被災者A6は,同日より後の平成▲年▲月▲日に死亡し,肺がんによる損害とは質的に異なる別個の損害が発生したものと認められるから,上記損害に関する遅延損害金の起算日は同被災者が肺がんにより死亡した平成▲年▲月▲日とするのが相当である。 ⒁ 被災者A7(原告番号11)ア基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)イ修正後の慰謝料額 833万3333円2500万円×3分の1(第1審被告国の責任割合による ⒁ 被災者A7(原告番号11)ア基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)イ修正後の慰謝料額 833万3333円2500万円×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=833万3333円ウ相続被災者A7の相続人は,妻である第1審原告B23,子である第1審原告B24及び第1審原告B25であり,以下のとおり,法定相続分に従い,上記損害賠償請求権を相続した(甲D11の1の1から7)。 第1審原告B23 416万6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円第1審原告B24 208万3333円833万3333円×4分の1(相続分)=208万3333円第1審原告B25 208万3333円833万3333円×4分の1(相続分)=208万3333円エ弁護士費用第1審原告B23 41万6666円第1審原告B24 20万8333円第1審原告B25 20万8333円オ認容額合計第1審原告B23 458万3332円第1審原告B24 229万1666円 第1審原告B25 229万1666円カ遅延損害金の起算日平成18年8月15日(死亡の日より後の日)⒂ 被災者A8(原告番号12)ア基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡)イ修正後の慰謝料額 750万円2500万円×0.9(喫煙歴による減額)×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=750万円被災者A8は,昭和43年頃(20歳頃)から平成18年頃(58歳頃)までの間1日30本程度喫煙していた(甲D12の5の7の1,弁論の全趣旨)。 ウ相続被災者A8の相続人は,妻である第1審原告B26,子であるW 43年頃(20歳頃)から平成18年頃(58歳頃)までの間1日30本程度喫煙していた(甲D12の5の7の1,弁論の全趣旨)。 ウ相続被災者A8の相続人は,妻である第1審原告B26,子であるW4及びW5であるところ,これらの共同相続人は,平成23年9月1日,遺産分割協議を行い,上記損害賠償請求権を第1審原告B26が全て相続することに合意した(甲D12の1の1ないし8,12の2の1ないし4)。 エ弁護士費用 75万円オ認容額合計 825万円カ遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)第1審原告B26は,肺がんについて労災認定がされた平成19年8月21日以降支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるが,被災者A8は,同日より後の平成▲年▲月▲日に死亡し,肺がんによる損害とは質的に異なる別個の損害が発生したものと認められるから,上記損害に関する遅延損害金の起算日は同被災者が肺がんにより死亡した平成▲年▲月▲日とするのが相当である。 ⒃ 被災者A9(原告番号13)ア基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡) イ修正後の慰謝料額 750万円2500万円×0.9(喫煙歴による減額)×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=750万円被災者A9は,遅くとも昭和44年頃(26歳頃)から一定期間の喫煙歴がある(甲D13の1の1,第1審原告B27本人,弁論の全趣旨)。 ウ相続被災者A9の相続人は,妻である第1審原告B27,子である第1審原告B28,第1審原告B29及び第1審原告B30であり,以下のとおり,法定相続分に従い,上記損害賠償請求権を相続した(甲D13の1の1ないし7)。 第1審原告B27 375万円750万円×2分の1(相続分 原告B29及び第1審原告B30であり,以下のとおり,法定相続分に従い,上記損害賠償請求権を相続した(甲D13の1の1ないし7)。 第1審原告B27 375万円750万円×2分の1(相続分)=375万円第1審原告B28 125万円750万円×6分の1(相続分)=125万円第1審原告B29 125万円750万円×6分の1(相続分)=125万円第1審原告B30 125万円750万円×6分の1(相続分)=125万円エ弁護士費用第1審原告B27 37万5000円第1審原告B28 12万5000円第1審原告B29 12万5000円第1審原告B30 12万5000円オ認容額合計第1審原告B27 412万5000円第1審原告B28 137万5000円 第1審原告B29 137万5000円第1審原告B30 137万5000円カ遅延損害金の起算日平成20年9月10日(死亡の日より後の日)⒄ 被災者A10(原告番号14)ア基準となる慰謝料額 2500万円(石綿肺及び肺がんによる死亡)イ修正後の慰謝料額 750万円2500万円×0.9(喫煙歴による減額)×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=750万円被災者A10は,遅くとも第1審原告B31(昭和▲年▲月▲日生まれ)が子供の頃から平成3年頃までの間1日20本程度喫煙していた(第1審原告B31本人)。 ウ相続被災者A10の相続人は,子であるW6,W7及び第1審原告B31であるところ,これらの共同相続人は,平成25年4月2日,遺産分割協議を行い,上記損害賠償請求権を第1審原告B31が全て相続することに合意した(甲D14の1の1ないし6,14の2 び第1審原告B31であるところ,これらの共同相続人は,平成25年4月2日,遺産分割協議を行い,上記損害賠償請求権を第1審原告B31が全て相続することに合意した(甲D14の1の1ないし6,14の2の1ないし4)。 エ弁護士費用 75万円オ認容額合計 825万円カ遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)第1審原告B31は,じん肺管理区分決定がされた平成19年4月25日以降支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるが,被災者A10は,同日より後の平成▲年▲月▲日に石綿肺及び肺がんにより死亡し,石綿肺による損害とは質的に異なる別個の損害が発生したものと認められるから,上記損害に関する遅延損害金の起算日は同被災者が石綿肺及び肺がんにより死亡した平成▲年▲月▲日とするのが相当である。 ⒅ 被災者A11(原告番号15)ア基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)イ修正後の慰謝料額 416万6666円2500万円×0.5(曝露作業従事期間[3か月]による減額)×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=416万6666円ウ相続被災者A11の相続人は,妻である第1審原告B32,子である第1審原告B33であり,以下のとおり,法定相続分に従い,上記損害賠償請求権を相続した(甲D15の1の1から7)。 第1審原告B32 208万3333円416万6666円×2分の1(相続分)=208万3333円第1審原告B33 208万3333円416万6666円×2分の1(相続分)=208万3333円エ弁護士費用第1審原告B32 20万8333円第1審原告B33 20万8333円オ認容額合計第1審B32 229万1666 分の1(相続分)=208万3333円エ弁護士費用第1審原告B32 20万8333円第1審原告B33 20万8333円オ認容額合計第1審B32 229万1666円第1審B33 229万1666円カ遅延損害金の起算日平成22年12月24日(死亡の日より後の日)⒆ 被災者A12(原告番号16)ア基準となる慰謝料額 2500万円(石綿肺による死亡)イ修正後の慰謝料額 833万3333円2500万円×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=833万3333円ウ相続 被災者A12の相続人は,子であるW8,W9及び第1審原告亡A12訴訟承継人B34であるところ,これらの共同相続人は,平成27年4月20日,遺産分割協議を行い,上記損害賠償請求権を第1審原告亡A12訴訟承継人B34が全て相続することに合意した(甲D16の1の1から8,甲D16の2の1から4)。 エ弁護士費用 83万3333円オ認容額合計 916万6666円カ遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)第1審原告亡A12訴訟承継人B34は,じん肺管理区分決定がされた平成22年11月17日以降支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるが,被災者A12は,同日より後の平成▲年▲月▲日に石綿肺により死亡し,石綿肺による損害とは質的に異なる別個の損害が発生したものと認められるから,上記損害に関する遅延損害金の起算日は同被災者が石綿肺により死亡した平成▲年▲月▲日とするのが相当である。 ⒇ 被災者A13(原告番号18)ア基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡)イ修正後の慰謝料額 675万円2500万円×0.9(曝 ▲年▲月▲日とするのが相当である。 ⒇ 被災者A13(原告番号18)ア基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡)イ修正後の慰謝料額 675万円2500万円×0.9(曝露作業従事期間[6年2か月]による減額)×0. 9(喫煙歴による減額)×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=675万円被災者A13は,遅くとも第1審原告B35(昭和▲年▲月▲日生まれ)が物心つく頃から平成5年又は平成6年頃までの間1日20本程度喫煙していた(第1審原告B35本人)。 ウ相続被災者A13の相続人は,妻であるW10,子であるW11,W12及び第1審原告B35であるところ,これらの共同相続人は,平成23年10月 3日,遺産分割協議を行い,上記損害賠償請求権を第1審原告B35が全て相続することに合意した(甲D18の1の1から14,甲D18の2の1から5)。 エ弁護士費用 67万5000円オ認容額合計 742万5000円カ遅延損害金の起算日平成18年8月1日(死亡の日より後の日) 21 被災者A14(原告番号20)ア基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)イ修正後の慰謝料額 833万3333円2500万円×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=833万3333円ウ相続被災者A14の相続人は,妻である第1審原告B36,子である第1審原告B37及び第1審原告B38であり,以下のとおり,法定相続分に従い,上記損害賠償請求権を相続した(甲D20の1の1から7)。 第1審原告B36 416万6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円第1審原告B37 208万3333円833万3333円×4分の1 1の1から7)。 第1審原告B36 416万6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円第1審原告B37 208万3333円833万3333円×4分の1(相続分)=208万3333円第1審原告B38 208万3333円833万3333円×4分の1(相続分)=208万3333円エ弁護士費用第1審原告B36 41万6666円第1審原告B37 20万8333円第1審原告B38 20万8333円オ認容額合計 第1審原告B36 458万3332円第1審原告B37 229万1666円第1審原告B38 229万1666円カ遅延損害金の起算日平成23年10月20日(死亡の日より後の日) 22 被災者A15(原告番号21)ア基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)イ修正後の慰謝料額 833万3333円2500万円×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=833万3333円ウ相続被災者A15の相続人は,妻である第1審原告B39及び子である第1審原告B40であり,以下のとおり,法定相続分に従い,上記損害賠償請求権を相続した(甲D21の1の1から3)。 第1審原告B39 416万6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円第1審原告B40 416万6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円エ弁護士費用第1審原告B39 41万6666円第1審原告B40 41万6666円オ認容額合計第1審原告B39 458万3332円第1審原告B40 458万3332円カ遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日( 6666円第1審原告B40 41万6666円オ認容額合計第1審原告B39 458万3332円第1審原告B40 458万3332円カ遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)上記第1審原告ら2名は,遅くとも中皮腫について労災保険の支給決定を受けた後の日である平成23年10月20日以降支払済みまで年5分の割 合による遅延損害金の支払を求めるが,被災者A15は,同日より後の平成▲年▲月▲日に死亡し,中皮腫による損害とは質的に異なる別個の損害が発生したものと認められるから,上記損害に関する遅延損害金の起算日は同被災者が中皮腫により死亡した平成▲年▲月▲日とするのが相当である。 23 被災者A16(原告番号22)ア基準となる慰謝料額 2500万円(良性石綿胸水による死亡)イ修正後の慰謝料額 833万3333円2500万円×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=833万3333円ウ相続被災者A16の相続人は,妻である第1審原告B41及び子である第1審原告B42であり,以下のとおり,法定相続分に従い,上記損害賠償請求権を相続した(甲D22の1の1から4)。 第1審原告B41 416万6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円第1審原告B42 416万6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円エ弁護士費用第1審原告B41 41万6666円第1審原告B42 41万6666円オ認容額合計第1審原告B41 458万3332円第1審原告B42 458万3332円カ遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)上記第1審原告ら2名は,良性石綿胸水 オ認容額合計第1審原告B41 458万3332円第1審原告B42 458万3332円カ遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)上記第1審原告ら2名は,良性石綿胸水について労災認定がされた平成20年7月17日以降支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を 求めるが,被災者A16は,同日より後の平成▲年▲月▲日に死亡し,良性石綿胸水による損害とは質的に異なる別個の損害が発生したものと認められるから,上記損害に関する遅延損害金の起算日は同被災者が良性石綿胸水により死亡した平成▲年▲月▲日とするのが相当である。 被災者A17(原告番号23)ア基準となる慰謝料額 2500万円(石綿肺を原因とする肺がんによる死亡)イ修正後の慰謝料額 750万円2500万円×0.9(喫煙歴による減額)×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=750万円被災者A17は,昭和38年頃(20歳頃)から平成18年頃(63歳頃)まで1日20本程度喫煙していた(第1審原告A17本人,弁論の全趣旨)。 ウ相続被災者A17の相続人は,妻である第1審原告亡A17訴訟承継人B43,子であるW13及びW14であるところ,これらの共同相続人は,平成26年11月15日,遺産分割協議を行い,上記損害賠償請求権を第1審原告亡A17訴訟承継人B43が全て相続することに合意した(甲D23の1の1から6,甲D23の2の1から4)。 エ弁護士費用 75万円オ認容額合計 825万円カ遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)第1審原告亡A17訴訟承継人B43は,遅くとも石綿肺について管理区分決定を受けた以降の日である平成19年6月20日以降支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支 平成▲年▲月▲日(死亡の日)第1審原告亡A17訴訟承継人B43は,遅くとも石綿肺について管理区分決定を受けた以降の日である平成19年6月20日以降支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるが,被災者A17は,同日より後の平成▲年▲月▲日に死亡し,石綿肺による損害とは質的に異なる別個の損害が発生したものと認められるから,上記損害に関する遅延損害金の起算 日は同被災者が肺がんにより死亡した平成▲年▲月▲日とするのが相当である。 被災者A18(原告番号24)ア基準となる慰謝料額 2500万円(びまん性胸膜肥厚を原因とする肺炎により死亡)イ修正後の慰謝料額 833万3333円2500万円×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=833万3333円ウ相続被災者A18の相続人は,妻である第1審原告亡A18訴訟承継人B44,子であるW15及びW16であるところ,これらの共同相続人は,平成27年7月1日,遺産分割協議を行い,上記損害賠償請求権を第1審原告亡A18訴訟承継人B44が全て相続することに合意した(弁論の全趣旨)。 エ弁護士費用 83万3333円オ認容額合計 916万6666円カ遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)第1審原告亡A18訴訟承継人B44は,遅くともアスベスト関連疾患として労災認定を受けた以降の日である平成19年12月10日以降支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるが,被災者A18は,同日より後の平成▲年▲月▲日に死亡し,びまん性胸膜肥厚による損害とは質的に異なる別個の損害が発生したものと認められるから,上記損害に関する遅延損害金の起算日は同被災者が肺炎により死亡した平成▲年▲月▲日とするのが相当である。 被 びまん性胸膜肥厚による損害とは質的に異なる別個の損害が発生したものと認められるから,上記損害に関する遅延損害金の起算日は同被災者が肺炎により死亡した平成▲年▲月▲日とするのが相当である。 被災者A19(原告番号25)ア基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)イ修正後の慰謝料額 833万3333円 2500万円×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=833万3333円ウ相続被災者A19の相続人は,妻である第1審原告B45,子であるW17,W18及びW19であるところ,これらの共同相続人は,平成24年12月3日,遺産分割協議を行い,上記損害賠償請求権を第1審原告B45が全て相続することに合意した(甲D25の1の1から6,甲D25の2の1から5)。 エ弁護士費用 83万3333円オ認容額合計 916万6666円カ遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)第1審原告B45は,遅くとも中皮腫について労災認定を受けた日である平成19年12月3日以降支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるが,被災者A19は,同日より後の平成▲年▲月▲日に死亡し,中皮腫による損害とは質的に異なる別個の損害が発生したものと認められるから,上記損害に関する遅延損害金の起算日は同被災者が中皮腫により死亡した平成▲年▲月▲日とするのが相当である。 被災者A20(原告番号26)ア基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)イ修正後の慰謝料額 833万3333円2500万円×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=833万3333円ウ相続被災者A20の相続人は,妻である第1審原告B46及び子である第1審原告B47であり,以 万3333円2500万円×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=833万3333円ウ相続被災者A20の相続人は,妻である第1審原告B46及び子である第1審原告B47であり,以下のとおり,法定相続分に従い,上記損害賠償請求権を相続した(甲D26の1の1から9)。 第1審原告B46 416万6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円第1審原告B47 416万6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円エ弁護士費用第1審原告B46 41万6666円第1審原告B47 41万6666円オ認容額合計第1審原告B46 458万3332円第1審原告B47 458万3332円カ遅延損害金の起算日平成25年3月15日(死亡の日より後の日)被災者A21(原告番号27)ア基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)イ修正後の慰謝料額 833万3333円2500万円×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=833万3333円ウ相続被災者A21の相続人は,妻である第1審原告B48,子である第1審原告B49及びW20であるところ,これらの共同相続人は,平成25年10月31日,遺産分割協議を行い,上記損害賠償請求権を第1審原告B48及び第1審原告B49がそれぞれ2分の1ずつ相続することに合意した(甲D27の1の1ないし5,27の2の1ないし4)。 第1審原告B48 416万6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円第1審原告B49 416万6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円 エ 6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円第1審原告B49 416万6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円 エ弁護士費用第1審原告B48 41万6666円第1審原告B49 41万6666円オ認容額合計第1審原告B48 458万3332円第1審原告B49 458万3332円カ遅延損害金の起算日平成25年2月27日(死亡の日より後の日)被災者A22(原告番号28)ア基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)イ修正後の慰謝料額 833万3333円2500万円×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=833万3333円ウ相続被災者A22の相続人は,妻である第1審原告B50及び子であるW21であるところ,これらの共同相続人は,平成25年10月1日,遺産分割協議を行い,上記損害賠償請求権を第1審原告B50が全て相続することに合意した(甲D28の1の1から5,甲D28の2の1から3)。 エ弁護士費用 83万3333円オ認容額合計 916万6666円カ遅延損害金の起算日平成24年3月14日(死亡の日より後の日)被災者A23(原告番号29)ア基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡)イ修正後の慰謝料額 750万円2500万円×0.9(喫煙歴による減額)×3分の1(第1審被告国の責任割合による減額)=750万円被災者A23は,18歳頃から66歳頃までの間1日10本程度喫煙して いた(甲D29の5の4,弁論の全趣旨)。なお,被災者A23は,被災者A23本人尋問においてこれと異なる供述をするが,じん肺健康診断の際に担当医 66歳頃までの間1日10本程度喫煙して いた(甲D29の5の4,弁論の全趣旨)。なお,被災者A23は,被災者A23本人尋問においてこれと異なる供述をするが,じん肺健康診断の際に担当医師に対して上記のとおり喫煙していた旨述べていたことに照らして,採用できない。 ウ相続被災者A23の相続人は,妻である第1審原告亡A23訴訟承継人B51,子である第1審原告亡A23訴訟承継人B52及び第1審原告亡A23訴訟承継人B53であり,以下のとおり,法定相続分に従い,上記損害賠償請求権を相続した(甲D29の1の1から8)。 第1審原告亡A23訴訟承継人B51 375万円750万円×2分の1(相続分)=375万円第1審原告亡A23訴訟承継人B52 187万5000円750万円×4分の1(相続分)=187万5000円第1審原告亡A23訴訟承継人B53 187万5000円750万円×4分の1(相続分)=187万5000円エ弁護士費用第1審原告亡A23訴訟承継人B51 37万5000円第1審原告亡A23訴訟承継人B52 18万7500円第1審原告亡A23訴訟承継人B53 18万7500円オ認容額合計第1審原告亡A23訴訟承継人B51 412万5000円第1審原告亡A23訴訟承継人B52 206万2500円第1審原告亡A23訴訟承継人B53 206万2500円カ遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)上記第1審原告亡A23訴訟承継人らは,遅くとも管理区分決定を受けた以降の日である平成24年9月25日以降支払済みまで年5分の割合によ る遅延損害金の支払を求めるが,被災者A23は,同日より後の平成▲年▲月▲日に死亡し,肺がんによる損害とは質的に けた以降の日である平成24年9月25日以降支払済みまで年5分の割合によ る遅延損害金の支払を求めるが,被災者A23は,同日より後の平成▲年▲月▲日に死亡し,肺がんによる損害とは質的に異なる別個の損害が発生したものと認められるから,上記損害に関する遅延損害金の起算日は同被災者が肺がんにより死亡した平成▲年▲月▲日とするのが相当である。 第7節民法719条1項に基づく共同不法行為責任の成否(争点第2-1)第1 第1審被告企業らの建築作業従事者の石綿関連疾患発症についての予見可能性前記第1節第2のとおり,石綿粉じんが有害であることは,戦前から問題とされ,昭和12年から昭和15年までにかけて保険院調査が行われ,昭和27年には石綿工場での調査が行われていたことが認められるのであるから(原判決308,311頁),第1審被告企業らは,有害な石綿粉じんを発生させる石綿含有建材を製造して利益を上げるものである以上,石綿粉じん曝露を原因とする疾患の発生を防ぐため,積極的に石綿に関する医学情報を収集すべき立場にあったというべきである。 そして,石綿粉じんを曝露することにより,肺がん及び中皮腫が発症するとの医学的知見が確立したのは,昭和47年頃であると認められ,この基となったIARC報告は,昭和48年には公表されていたところ(原判決327頁),第1審被告国の予見可能性に関して記載したように,我が国における石綿の使用状況等,石綿含有建材,我が国の建物等における石綿含有建材の位置付け,建築工事の作業工程等,建築現場における石綿粉じん曝露,電動工具の普及,粉じん濃度の評価基準・測定技術・測定結果等については,石綿及び建築資材に関する基本的な事実であり,石綿含有建材を製造・販売する企業である第1審被告企業らは,少なくとも上記IARC 電動工具の普及,粉じん濃度の評価基準・測定技術・測定結果等については,石綿及び建築資材に関する基本的な事実であり,石綿含有建材を製造・販売する企業である第1審被告企業らは,少なくとも上記IARC報告が公表された頃においては,これらを認識していたものと考えられる。こうした経過からすれば,遅くとも昭和50年1月1日の時点で,石綿含有建材を製造・販売する企業である第1審被告企業らは,石綿含有建材によって建築作業従事者が石綿関連疾患を発症する危険性について予見可能 性があったと認めるのが相当である。 第2 第1審被告企業らの警告表示義務違反の有無 1 根拠製品を製造・販売する企業と,これを購入し,使用する者との間には,製品の組成やそこに起因する危険性の有無・内容に関して大きな情報格差が存在している。製品を製造・販売する企業は,当然に使用する者に対して危険性のない製品を製造・販売する義務を負っているが,製品の有用性確保のために使用において一定の危険が発生することを免れないのであれば,危険に関する情報を正しく使用する者に対して伝え,その上での使用を可能とすることで危険を発生させないようする義務があると認められる。特に,製品から生じる危険性が,生命や重大な健康被害にまで及ぶ場合には,その危険性を認識した場合には,製品の製造・販売について直ちにその危険性について警告を発する義務を負っていると認めるのが相当である。 2 発生時期上記1からすれば,石綿含有建材を製造・販売する企業は,石綿含有建材について,その切断等により生じる石綿粉じんにより,生命,身体に対する重大な危険性が生じることが予見可能となったときは,これを使用する者に対して,製品の危険性等について警告を表示する義務を負うと解するのが相当である。そして,この警告 粉じんにより,生命,身体に対する重大な危険性が生じることが予見可能となったときは,これを使用する者に対して,製品の危険性等について警告を表示する義務を負うと解するのが相当である。そして,この警告表示義務は,危険性を有する製品を製造・販売する者が,製造・販売に付随して当然に負う義務であると認められることからすれば,第1審被告国により義務の履行を求められるまでその義務を免れるものではない。 上記第1のとおり,第1審被告企業らは,石綿含有建材の建築作業従事者に対する石綿関連疾患発症の危険性について,昭和50年1月1日の時点で予見可能であったことが認められる。そうすれば,この時点において,第1審被告企業らは,その危険性について警告を表示することが可能であったと認められ,かつ,上記のような警告表示は,それ自体,何らかの困難さを伴うものでもないから, 予見可能な上記時期と同一の時期に警告表示義務が発生したものと解するのが相当である。 3 内容及び方法建築作業従事者が,石綿含有建材を使用することにより石綿関連疾患にり患することを防ぐには,石綿粉じんに曝露することを避ける以外に方法はないのであるから,石綿含有建材に表示すべき警告表示としては,建築作業従事者に対して,その取扱石綿含有建材が石綿関連疾患を発症させる危険性を有することを知らせ,また,その予防策を認識させるものであることが必要であり,具体的には,建材が石綿を含有するときはその旨及びその量,石綿粉じんに曝露することにより石綿肺等の生命身体に危険をもたらす重大な疾患を発症する危険性があること,その危険を防ぐためには防じんマスクを着用することや集じん機付きの工具を使用することなどによって石綿粉じんに曝露しないようにする必要があることを,明示するものであることが求められる 険性があること,その危険を防ぐためには防じんマスクを着用することや集じん機付きの工具を使用することなどによって石綿粉じんに曝露しないようにする必要があることを,明示するものであることが求められることになる。そして,その表示の方法は,石綿含有建材自体や最小単位の包装に,印刷又はシールを貼付その他適切な方法により建築作業従事者が容易に認識し得るようにしなければならない。 また,こうした義務は,危険性を有する石綿含有建材を製造・販売する以上,企業は,石綿含有建材を使用する前の工程の者を除き建築物の新築工事に関与する全ての建築作業従事者に対して負担するものと認められる。これに対して,第 1 審被告企業らは,石綿含有建材を製造・販売する際に,上記のような警告義務を負うものである以上,改修や解体時には既に製造・販売に基づき義務を負う段階にはないというべきであって,改築や解体を行っていた者に対して警告義務を負うとまでは認められない。 4 義務違反上記3の警告表示義務について,これが履行されたことを認めるに足りる証拠はない。第1審被告企業らの中には,石綿含有建材について個別製品ごとに「a」マーク表示していたことを主張する企業があるが,こうした「a」マークは,石 綿含有建材であることを表示したものにすぎない上,表示される範囲は石綿含有率が5%以上の建材に限られており,第1審被告企業らが負うべき警告表示義務が上記のようなものであることに照らし,警告表示として十分なものということは到底できない。 第3 第1審被告企業らの一時販売停止義務及び製造中止義務等違反の有無第1審原告らは,第1審被告企業らは,石綿含有建材について,昭和34年には販売を一時停止し,又は,昭和41年には製造を中止するべき義務を負っていた旨を主張する。 しかし, 造中止義務等違反の有無第1審原告らは,第1審被告企業らは,石綿含有建材について,昭和34年には販売を一時停止し,又は,昭和41年には製造を中止するべき義務を負っていた旨を主張する。 しかし,上記時点では,未だに石綿粉じん曝露と石綿関連疾患発症との間の因果関係に関する医学的知見が確立していたとは認められないことからすれば,上記各義務を負うべき前提を欠くものといわざるを得ない。また,昭和50年の時点には石綿粉じん曝露の危険性について予見可能になったとしても,昭和50年改正特化則による規制が始まったばかりの時期であって,事業者に代替化を努力化する義務が課された段階であることからすれば,この時点でも,第1審被告企業らが石綿含有建材について一次販売停止又は製造中止するべき義務を負っていたとは認められない。 第4 共同不法行為者の特定 1 共同不法行為の加害行為 石綿含有建材が建築作業従事者に対して石綿粉じん曝露の危険性を生じさせるのは,当該建材が建築作業現場に到達することによるものであることからすれば,本件における共同不法行為の加害行為としても,第1審被告企業らの製造・販売した石綿含有建材が,第1審原告らの建築作業現場に到達したことが必要となるといえる。 そして,本件における第1審原告らのように,複数の原告が共同不法行為に基づく損害賠償請求を行う場合においては,それぞれ請求する者の保護法益が異なる以上,本来的には,それぞれ請求する者ごとに,加害者たる共同不法行 為者を具体的に特定する必要がある。しかし,本件における被災者らは,長期間にわたり,多数の建築現場で建築作業に現場作業員として従事していたもので,建築作業に従事した各現場で使用された建材の種類も多種多様に及ぶところ,被災者らは,労働者や一人親方の区別なく,現 は,長期間にわたり,多数の建築現場で建築作業に現場作業員として従事していたもので,建築作業に従事した各現場で使用された建材の種類も多種多様に及ぶところ,被災者らは,労働者や一人親方の区別なく,現場作業員として稼働するに当たり,当該現場の作業全体の工程の中で,自ら建材を手配することなく用意された建材を使用して作業していたものである。このため,被災者ら自らが使用した建材を記録するなどし,これをもって立証を尽くすということはおよそ期待し難い状況にあるといわざるを得ず,上記のような本来的な共同不法行為者の特定を厳格に求めるのは相当ではない。 第1審原告らは,控訴審において,建材側の事情や被災者側の事情を総合的に考慮し,第1段階として,職種を基本として,被災者ごとに粉じんに曝露したことにより石綿関連疾患発症に与えた影響が大きい建材種類を選んだ上で,第2段階として,それら建材種類の製造・販売企業の中で,マーケットシェアに基づき,当該被災者が従事した現場でその製品が用いられた可能性が高い企業を選ぶという方法により,共同不法行為者を特定しているところ,こうした方法は,被災者らが石綿粉じん曝露作業を伴う建築現場で作業したことにより石綿関連疾患にり患したことが明らかであるにもかかわらず,被災者側で具体的な立証を行うことが困難で,他に適切な立証方法もないという状況の下では,共同不法行為者の特定方法として,基本的に許容できるものというべきである。 ただし,マーケットシェアとは特定の市場において当該商品が占める割合であって,当該商品が現場に到達する蓋然性そのものではないから,建材種類とマーケットシェアを組み合わせる上記立証方法(以下「本件立証方法」という。)は,本件に特殊な上記事情の下で,当該商品の現場への到達という事実を擬制するという性格を有することは はないから,建材種類とマーケットシェアを組み合わせる上記立証方法(以下「本件立証方法」という。)は,本件に特殊な上記事情の下で,当該商品の現場への到達という事実を擬制するという性格を有することは否定し難い。 そこで,本件立証方法を採用するに当たっては,そのマーケットシェアをどの程度に設定するかが問題となるところ,第1審原告らは,概ね10%以上を 目安とすることが相当であると主張している。 しかしながら,本件立証方法が上記のような性格を有するものである以上,マーケットシェアの設定は慎重に行う必要がある。第1審原告らの主張する10%のマーケットシェアでは,仮にマーケットシェアをもって当該商品が現場に到達する蓋然性であるとみなすとしても,20個の現場で全くその建材を取り扱わない可能性が12%([1-0.1]の20乗である0.12[12%])残ることとなり,更に代替建材の存在も考慮すると,本件立証方法を正当化する十分なマーケットシェアを有していると認めることはできない。これに対して,マーケットシェアが20%ある建材の場合であれば,上記の意味において20個の現場で1度もその建材を取り扱わない確率は,(1-0.2)の20乗である0.011(1.1%)であり,20個の現場で1回以上その建材を取り扱う可能性はほぼ99%となるから,代替建材の存在を考慮するとしても,石綿含有建材中20%を超えるマーケットシェアを有していれば,本件立証方法を正当化するに十分なものというべきである。 したがって,各被災者の職種等に応じて石綿関連疾患発症の原因となった可能性が高いと考えられる建材種類について,当該第1審被告企業らの製造・販売する建材が概ね20%を超えるシェアを有していた場合には,その被災者が作業に加わった建築作業現場にその建材が到達 因となった可能性が高いと考えられる建材種類について,当該第1審被告企業らの製造・販売する建材が概ね20%を超えるシェアを有していた場合には,その被災者が作業に加わった建築作業現場にその建材が到達した(上記第1審被告企業らが共同不法行為者として特定された。)と認定することとする。 シェアを基礎づける資料としては,第1審原告らが提出する業界団体や調査研究機関作成の資料等が存在しているところ,これらの用いている統計データの出所をみるに,「住産業マーケティング戦略」(甲A2168)は「石綿スレート協会」であり,「日本の建築産業」(甲A2177)は,石綿けい酸カルシウム板について「石綿スレート協会」であり,「建築用途・部位別需要動向と競合性」(甲A2167)は「日本ロックウール工業会」であり,「日本の建築産業」は,吹付ロックウールについて「日本ロックウール工業会」であって,こ れら出所の性格からすれば,上記各資料にある統計データには一定の信用性を認めることができる。 もっとも,第1審原告らが提出するこうしたシェアに関する資料は,昭和40年代後半から昭和50年代前半にかけてのものが多数ではあるが,上記のようにこうしたデータ自体に一定の信用性が認められる一方,これに反する資料は提出されていない。基本的にはシェアに関する資料は,石綿含有建材を製作していた第1審被告企業側にこそ存在しているものであって,資料を提出し得る第1審被告企業側で何らかの根拠資料をもって反論を行わない以上,上記資料を基にシェアを認定することが不合理ということはできない。また,資料について,昭和50年代前半までのシェアをもって昭和50年代後半の数値を認定することにはなるが,これも上記のような第1審被告企業側の対応に鑑みればやむを得ないものというべきである。 い。また,資料について,昭和50年代前半までのシェアをもって昭和50年代後半の数値を認定することにはなるが,これも上記のような第1審被告企業側の対応に鑑みればやむを得ないものというべきである。 以上より,シェアを認定するに当たっては,上記各資料をもってすることとする。 第1審原告らは,「当該被災者らが就労する現場において,建築作業に供されてアスベスト粉じんの発生源となり,被災者らのアスベスト関連疾患発症の原因となり得る建材」を「病因建材」と定義づけるところ,第1審原告らの定義による病因建材は,前提とするマーケットシェアは異なるものの,本件立証方法により当該被災者らが就労する現場に到達したことが立証される建材と方法論的には同一のものであるから,以下においては,本件立証方法によって現場への到達が立証される建材についても「病因建材」ということとする。 2 本件立証方法による病因建材の特定(第1段階:職種を基本として,病因建材となり得る建材種類を抽出)⑴ 第1審原告らは,別紙4の1のとおり,国交省データベースによって整理された42種に混和剤1種を加えた石綿含有建材43種類から石綿関連疾患発症の原因となった可能性の高い建材種類として18種を選択し,これを建材の 用途,施工部位の共通性等から,5種類の建材群(吹付材・耐火被覆材,保温材,外装材,内装材,その他)に分類しているところ,これら建材の選択及び分類に特段の問題は認められない。また,別紙4の1に記載された建材を製造した第1審被告企業名並びに同建材の製造始期及び終期は,別紙4の2に記載のとおりであると認められる(弁論の全趣旨)。なお,()内の番号は,別紙4の2の「番号」欄に対応している。 ⑵ 上記5種に分類された建材群の用途・特性等は次のように認められる(甲A の2に記載のとおりであると認められる(弁論の全趣旨)。なお,()内の番号は,別紙4の2の「番号」欄に対応している。 ⑵ 上記5種に分類された建材群の用途・特性等は次のように認められる(甲A1054,A2172,A2175,A2177,A2178,A2247,A2250の1・2・3・5・6)。 ア吹付材・耐火被覆材主に鉄骨(梁,柱等)の耐火構造を目的として,その耐火被膜に用いられる。耐火被覆材としての市場における使用量の割合の大半は吹付材が占めていた(甲A1054,A2177)。 吹付材は,鉱さいを原料とした粒状綿,セメント,石綿を用途により適量配合し,湿式,乾式の二つの施工法でスポンジ状に吹き付けられて施工され,吸音・断熱材の用途としては,機械室,工場,体育館,学校,ボーリング場,スタジオ等での使用を主とし,住宅については,マンションの一部に使用される。耐火被覆材の用途としては,鉄骨の梁,柱等の耐火構造を目的として使用される。吹付材と耐火被覆材の違いは,原材料の混合物を吹付けて施工されるか工場であらじめ成型され板状のものとして施工されるかという点にある(甲A1054,A2167,A2176)。 イ保温材ボイラー,タービン,化学プラント,焼却炉等の熱を発生させる部分,熱を搬送するためのダクト,エルボ部分の保温を目的に用いられる(甲A1054,A2250の1・2)。 保温材は,スポンジ状又は布状のものをダクトの表面に巻き付けて使用す る場合,水練り施工される場合があり,その保護のために板金等で外側からカバーされる。また,板状や筒状に成型されて施工される場合もあった。布状の場合,施工の際に周囲との摩擦や切断されることによって石綿粉じんが発生し,成型された場合,施工個所の寸法に合わせて切断するこ カバーされる。また,板状や筒状に成型されて施工される場合もあった。布状の場合,施工の際に周囲との摩擦や切断されることによって石綿粉じんが発生し,成型された場合,施工個所の寸法に合わせて切断することで石綿含有粉じんが発生し,また,劣化した場合,飛散して石綿含有粉じんが発生する(甲A2250の1・3・5・6)。 ウ外装材建材の使用部位で概ね,屋根,外壁,内壁,天井,床に分けたうち,建物の外壁,天井(軒天)及び屋根の材料として用いられる。外装材は,その施工部位から,防水性,耐火性,耐久性,外観,断熱性,遮音性等が要求されており,屋根材については,更に雨風,日光の照射等,気候の変化により変形,腐食しない耐候性が特に求められている(甲A2172,A2175,A2178)。 外装材は,施工場所に合わせて切断されて施工されるが,外装材の使用部位から求められる強度等からすれば,加工時に石綿含有粉じんが発生することとなる。 エ内装材建物の内壁,天井,床の材料として用いられる。内装材は,耐衝撃性,遮音性,断熱性,耐火性,耐水性等が要求され,天井材は特に施工性が要求される。また,外装材と異なり,施工部位により,不燃材,準不燃材を使う必要がある(甲A1054,A2172,A2175,A2247)。 内装材は,施工場所に合わせて切断されて施工され,外装材と比べてより細やかな施工が必要となるためやすり掛けを行う必要も生じ,これにより石綿含有粉じんが発生することとなる。 オその他上記アからエの用途又は施工部位によって分類されない建材について,個 別に検討が必要なものがここに含まれる。 ⑶ 各職種の作業実態及び曝露実態は,原判決365頁19行目から同371頁19行目に記載のとおりであるから,これを引用する。 い建材について,個 別に検討が必要なものがここに含まれる。 ⑶ 各職種の作業実態及び曝露実態は,原判決365頁19行目から同371頁19行目に記載のとおりであるから,これを引用する。 ⑷ 上記⑵⑶のとおり,分類された建材群の特性および各職種の作業実態等からすれば,各分類された建材群から石綿含有粉じんに曝露するという影響を受けることとなる職種は次のとおりと認めるのが相当である。 ア吹付材・耐火被覆材吹付材は,施工時吹付けて施工するものであるため,その施工作業に従事する職種である吹付工に対して,施工時に発生する石綿含有粉じんに曝露するという影響を与える。耐火被覆材も,これを施工する職種である内装工に対して,施工時に耐火被覆材を加工等することに伴い発生する石綿含有粉じんに曝露するという影響を与える。また,吹付材・耐火被膜材は,施工後に電気器具や建具等を取り付ける際に,吹付けられた鉄骨の表面から削り取られ石綿含有粉じんが発生することとなる。そのため,こうした作業に従事する職種である,大工,内装工,塗装工,溶接工,配管工,軽天工,鉄骨工,防災シャッター工,電工は,その際に石綿含有粉じんに曝露するという影響を受ける。 イ保温材保温材は,施工時に周囲との摩擦や加工されることによって,石綿含有粉じんが発生することとなるため保温材施工作業に従事する職種である配管工,保温工(ただし,被災者A16が従事した作業の特性からは石綿保温材(10)のみが対象となる。)は,その施工時に石綿含有粉じんに曝露するという影響を受ける。 ウ外装材外装材は,加工時に石綿含有粉じんを発生させることとなるため,加工作業に従事する職種である大工,サイディング工,屋根工,塗装工(塗装を必 要としない石綿含有窯業系サイディン 外装材外装材は,加工時に石綿含有粉じんを発生させることとなるため,加工作業に従事する職種である大工,サイディング工,屋根工,塗装工(塗装を必 要としない石綿含有窯業系サイディングを除く。)は,その加工時に石綿含有粉じんに曝露するという影響を受ける。 なお,第1審被告企業らは,外装材につき,屋外で施工されるから石綿粉じん曝露により石綿関連疾患にり患する危険性は小さい旨主張するが(第1審被告ケイミュー株式会社等),屋外で施工される場合であっても,直接石綿粉じん作業に従事する者の石綿粉じん曝露は避け難い上,原判決の認定した各職種の作業実態に照らせば,外装材に対する加工がすべて屋外でなされるとも直ちに認定できないから,第1審原告らにおいて病因建材から除外した建材以外についてまで,上記主張を採用することはできない。 エ内装材内装材は,加工時に石綿含有粉じんを発生させることとなるため,加工作業に従事する職種である大工,内装工,溶接工,配管工,鉄骨工,電工,塗装工は,その加工時に石綿含有粉じんに曝露するという影響を受ける。 オその他上記分類に含まれないため個別の建材ごとに検討の必要が生じる。その他に含まれるもののうち,第1審原告らが病因建材から外れるとしたものを除くと石綿セメント円筒及び混和材が残ることとなる。このうち石綿セメント円筒(41)は,石綿とセメントを主原料として製造されるものであって,施工作業において配管工が取り扱うこととなる。また,混和材(43)は,モルタル等の伸びを良くし作業効率を上げるために練り上げて用いられるものであり,練り上げる作業の際に粉じんが発生することとなる。 石綿セメント円筒のこうした用法からいって,円筒を施工時に用いる配管工が,そこから発生する石綿含有粉じんに曝 に練り上げて用いられるものであり,練り上げる作業の際に粉じんが発生することとなる。 石綿セメント円筒のこうした用法からいって,円筒を施工時に用いる配管工が,そこから発生する石綿含有粉じんに曝露するという影響を受ける。また,混和材のこうした用法からいって,左官が練り上げるときなどに発生する石綿含有粉じんに曝露するという影響を受け,塗装工も下地調整の際,モルタル壁を削った際に発生する石綿含有粉じんに曝露するという影響を受 ける。 カ一部の第1審被告企業らは,その製造に係る石綿含有建材の構造や使用方法等に照らし,これら建材には石綿関連疾患発症の危険性がない旨主張するが(第1審被告ニチアス株式会社及び第1審被告ケイミュー株式会社など),石綿関連疾患は,多数の建築現場で累積的に石綿粉じんに曝露することによって発症するものであるから,同主張は採用できない。 なお,解体工は,その職種の性格上,石綿含有建材の全てについて石綿粉じん曝露の危険性があるが,前記のとおり,第1審被告企業らは,解体時における警告表示義務を負うことはない。 以上によれば,病因建材となり得る建材種類とその建材群としての分類及びこれらの使用により石綿粉じんに曝露する職種は,別紙5「病因建材となり得る建材種類等」のとおりである。 3 本件立証方法による病因建材の特定(第2段階:当該被災者が従事した現場で製品が用いられた可能性が高い企業を選択)⑴ 上記2の各建材種類における第1審被告企業のマーケットシェアに基づき,各建材種類において病因建材となる建材及びこれを製造・販売した第1審被告企業を特定する。なお,()内の番号は,別紙5の「番号」欄に対応している。 ⑵ 吹付材・耐火被覆材ア吹付石綿(1)第1審原告らが吹付石綿について提出する資料( を製造・販売した第1審被告企業を特定する。なお,()内の番号は,別紙5の「番号」欄に対応している。 ⑵ 吹付材・耐火被覆材ア吹付石綿(1)第1審原告らが吹付石綿について提出する資料(甲A2139,A2149)は,昭和43年当時及び昭和46年当時の生産量等を示すものにすぎず,これをもって第1審被告企業らに警告表示義務が生じる昭和50年1月1日以降のマーケットシェアを認定するのは相当ではないから,第1審被告企業らの製造した吹付石綿製品をもって病因建材に該当するということはできない。 イ石綿含有ロックウール,湿式石綿含有吹付材(2,3)第1審原告ら提出の各資料(甲A2139,A2149,A2150,A2167,A2176,A2177)によれば,吹付剤のうち,吹付ロックウール(なお,湿式石綿含有吹付剤は,統計上,石綿含有ロックウールと区別されずに取り扱われていた場合もあるものと認められる。)についてのマーケットシェアは,次のとおりである。 昭和49年昭和51年昭和52年昭和53年 乾式湿式 甲A2167 甲A2150 甲A2177甲A2176日本アスベスト(ニチアス)27.1%20.4%24.0%54.1%20.0%朝日石綿工業(エーアンドエー)18.6%19.4%21.0%24.0%20.0%日本セメント(太平洋セメント)18.6%16.5%25.0%16.4%新日鉄製鉄化学工業(日鉄ケミカル)11.4%12.6%4.0%12.7%日東紡績 9.7%10.0%10.0%バルカー 9.0% 内外アスベスト 日鉄ケミカル)11.4%12.6%4.0%12.7%日東紡績 9.7%10.0%10.0%バルカー 9.0% 内外アスベスト ノザワ 7.0%22.0%その他5.7%21.4% 20.9%これによれば,第1審被告企業のうち第1審被告ニチアス株式会社,第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルのマーケットシェアが概ね20%を超えていることが認められるから,石綿含有ロックウールについては,第1審被告ニチアス株式会社及び第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルの製造した製品が病因建材に該当するということができる。なお,朝日石綿工業は,一部の製品の製造を昭和50年に終了しているが,その余の 製品の製造・販売は継続されており,朝日石綿工業(エーアンドエー)の占めるマーケットシェアの割合が20%を超えるか少なくとも20%近いものであったことからすれば,一部製品の製造終了は,病因建材該当性に係る上記判断を左右するものではない。また,第1審被告太平洋セメント株式会社については,昭和52年に20%を超えるマーケットシェアを有していることが認められるが,乾式のみのシェアである上,同年のみに留まるものであって,その前後において継続して20%を超えるシェアを有していたとまでは認められない。第1審被告株式会社ノザワについても同様である。 ⑶ 保温材ア石綿含有けい酸カルシウム保温材(7)第1審原告ら提出の各資料(甲A2171,A2250の10)によれば,保温材のうち石綿含有けい酸カルシウム保温材の昭和50年から昭和52年までのマーケットシェアは,第1審被告ニチアス株式会社が3 第1審原告ら提出の各資料(甲A2171,A2250の10)によれば,保温材のうち石綿含有けい酸カルシウム保温材の昭和50年から昭和52年までのマーケットシェアは,第1審被告ニチアス株式会社が30%であったことが認められるので,第1審被告ニチアス株式会社が概ね20%を超えるマーケットシェアを有していたものと考えられるが,別紙4の2のとおり,第1審原告らは,保温工1名(被災者A16)及び配管工5名(第1審原告B18,被災者A17,被災者A9,被災者A17,被災者A22)について,第1審被告ニチアス株式会社の製造する石綿含有けい酸カルシウム保温材を病因建材から除外しているから,石綿含有けい酸カルシウム保温材については,病因建材となる建材はないことになる。 イ石綿保温材(10)保温材のうち石綿保温材は,その石綿含有率は80%から100%と石綿けい酸カルシウム保温材と比較して極めて高く,保温工との関係では,石綿保温材が有意な影響を与えたものと認められる。そして,本件において病因建材となり得る建材種類として抽出した石綿保温材については,その製造・販売企業は,第1審被告ニチアス株式会社及び第1審被告株式会社エーアン ドエーマテリアルに限られており,これらの第1審被告企業の生産量に有意な差異があるものと認めるに足りる証拠も存在しないことからすると,これらの第1審被告企業の製造した製品が病因建材に該当するということができる。 ⑷ 外装材アスレートボード(15,16)外装材としてのスレートボードとしてはフレキシブル板(15)及び平板(16)が存在している。 第1審原告ら提出の各資料(甲A2252の1から3)によれば,スレートボードに関する出荷量等は別紙6-1のとおりであり,そのマーケットシェアは次のとおり 5)及び平板(16)が存在している。 第1審原告ら提出の各資料(甲A2252の1から3)によれば,スレートボードに関する出荷量等は別紙6-1のとおりであり,そのマーケットシェアは次のとおりと認められる。 昭和46年昭和53年平成2年 甲A2252の1 甲A2252の2 甲A2252の3浅野社(エーアンドエー)23.10%27.00%22.30%朝日社(エーアンドエー)23.60%21.30%17.10%三好社(エム・エム・ケイ)20.90%16.10%16.30%ノザワ13.50%9.40%22.40%その他18.90%26.20%21.90%これによれば,第1審被告企業のうち第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルのマーケットシェアが概ね20%を超えていることが認められる。なお,第1審被告株式会社エム・エム・ケイは昭和46年に,第1審被告株式会社ノザワは平成2年に,それぞれマーケットシェアが20%を超えているが,その前後において継続して20%を超えるマーケットシェアを有していたとまでは認められない。 したがって,スレートボードについては,第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルの製造した製品が病因建材に該当するということができる。 イ石綿スレート波板(37から39)第1審原告ら提出の各資料(甲A2252の1から3)によれば,石綿スレート波板に関する出荷量等は別紙6-2のとおりであり,そのマーケットシェアは次のとおりと認められる。 昭和46年昭和53年平成2年 甲A2252の1 甲A2252の2 甲A2252の3朝日社・アスク社(エーアンドエー)17.20%13.0 は次のとおりと認められる。 昭和46年昭和53年平成2年 甲A2252の1 甲A2252の2 甲A2252の3朝日社・アスク社(エーアンドエー)17.20%13.00%14.80%浅野社(エーアンドエー)15.50%9.90%14.60%ノザワ11.20%8.10%7.80%宇部社(ウベボード)9.10%13.40%11.20%三好社・三菱社(エム・エム・ケイ)3.70%8.40%6.60%その他43.30%47.20%45.00%また,上記各資料(甲A2252の1から3)によれば,九州における出荷量も認定することができ,出荷量等は別紙6-3のとおりであり,それにより認められるマーケットシェアは次のとおりである。 昭和46年昭和53年平成2年 甲A2252の1 甲A2252の2 甲A2252の3朝日社(エーアンドエー)24.23%21.20%21.53%浅野社(エーアンドエー)18.38%12.12%12.09%ノザワ13.04%8.08%15.11%宇部社(ウベボード)15.89%19.50%19.03%三好社・三菱社(エム・エム・ケイ) 8.71%8.84%その他28.46%30.39%23.39%これらによれば,第1審被告企業のうち第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルのマーケットシェアが概ね20%を超えていることが認めら れる。 したがって,石綿スレート波板については,第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルの製造した製品が病因建材に該当するということができる。 ウ石綿含有押 ことが認めら れる。 したがって,石綿スレート波板については,第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルの製造した製品が病因建材に該当するということができる。 ウ石綿含有押出成形セメント板(22)第1審原告ら提出の資料(甲A2150,A2167,A2176)により認められる石綿含有押出成形セメント板の出荷量から算出されるマーケットシェアは次のとおりと認められる。 昭和49年昭和51年昭和53年 甲A2167 甲A2150 甲A2176ノザワ100.00%88.60%40.80%三菱セメント建材(エム・エム・ケイ)0.00%11.40%8.20%昭和電工建材 51.00%また,第1審原告ら提出の資料(甲A2176)により認められる石綿含有押出成形セメント板の生産量から算出されるマーケットシェアは次のとおりと認められる。 昭和49年昭和50年昭和51年昭和52年昭和53年昭和54年ノザワ99.60%96.80%90.60%90.90%82.40%79.80%三菱セメント建材(エム・エム・ケイ)0.40%3.20%9.40%9.10%11.10%11.00%昭和電工建材 6.50%9.20%そして,第1審原告ら提出の資料(甲A2181)により認められる平成5年における石綿含有押出成形セメント板の出荷額から算出されるマーケットシェアは次のとおりと認められる。 厚物薄物合計ノザワ58.30%45.70%三菱マテリアル建材(エム・エム・ケイ)32.20%25.20 トシェアは次のとおりと認められる。 厚物薄物合計ノザワ58.30%45.70%三菱マテリアル建材(エム・エム・ケイ)32.20%25.20%昭和電工建材6.10%84.00%23.00%住友大阪セメント 16.00%3.50%これらによれば,第1審被告企業のうち第1審被告株式会社ノザワについては,出荷量,生産量及び出荷額のいずれにおいても圧倒的なマーケットシェアを有しており,その製品が病因建材となり得るだけのマーケットシェアを有していたものと認められる。なお,第1審被告株式会社エム・エム・ケイについては,出荷量及び生産量についていずれも20%を下回るマーケットシェアしか有しておらず,平成5年の出荷額を考慮しても,病因建材となり得るだけのマーケットシェアを有していたとまでは認めることはできない。 したがって,石綿含有押出成形セメント板については,第1審被告株式会社ノザワの製造した製品が病因建材に該当するということができる。 エ石綿含有住宅屋根用化粧スレート(33)石綿含有住宅屋根用化粧スレートについては,第1審原告ら提出の各資料(甲A2176,A2178)により認められる出荷量から算出されるマーケットシェアは,昭和53年当時で,クボタが70%,松下電工が23%であり,昭和55年当時で,クボタが70%,松下電工が21%であったことが認められる。そして,クボタと松下電工は事業統合を行っており,現在これらを引き継いでいるのは第1審被告ケイミュー株式会社であるため,同社が到達の蓋然性を認めるに足りるだけのマーケットシェアを有していたものと認められる。 したがって,石綿含有押出成形セメント板については第1審被告ケイミュー株式会社の ー株式会社であるため,同社が到達の蓋然性を認めるに足りるだけのマーケットシェアを有していたものと認められる。 したがって,石綿含有押出成形セメント板については第1審被告ケイミュー株式会社の製造した製品が病因建材に該当するということができる。 オ石綿含有窯業系サイディング(35)第1審原告ら提出の各資料(甲A2180からA2182)から認められる石綿含有窯業系サイディングに関する出荷量から算出されるマーケットシェアは次のとおりと認められる。 昭和62年昭和63年平成5年平成7年 甲A2180 甲A2180 甲A2181 甲A2182ニチハ19.20%20.20%16.30%19.40%久保田鉄工19.20%19.70%15.70%15.40%旭硝子12.20%13.80%15.20%16.50%三井木材工業13.30%12.80%14.80%14.30%東レグラサル10.40%9.60% 松下電工6.90%6.70%15.70%16.30%その他18.80%17.20%22.30%18.10%このうち久保田鉄工及び松下電工は,上記エのとおり,最終的に第1審被告ケイミュー株式会社に引き継がれている。そうすると,第1審被告企業のうち第1審被告ケイミュー株式会社のマーケットシェアが20%を超えていることが認められる。 したがって,石綿含有窯業系サイディングについては,第1審被告ケイミュー株式会社が到達の蓋然性を認めるに足りるだけのマーケットシェアを有していたものと認められるから,第1審被告ケイミュー株式会社の製造した製品が病因建材に該当するということがで は,第1審被告ケイミュー株式会社が到達の蓋然性を認めるに足りるだけのマーケットシェアを有していたものと認められるから,第1審被告ケイミュー株式会社の製造した製品が病因建材に該当するということができる。 カ石綿含有けい酸カルシウム板第1種(23)石綿含有けい酸カルシウム板第1種については,後記⑸イのとおりのマーケットシェアが認められるところ,内装材及び外装材で有意な差異があったことを認めることはできず,内装材と同様に外装材についても第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル及び第1審被告ニチアス株式会社が到達 の蓋然性を認めるに足りるだけのマーケットシェアを有していたと認められるから,これらの第1審被告企業の製造した製品が病因建材に該当するということができる。 ⑸ 内装材アスレートボード(15から18)第1審原告ら提出の各資料(甲A2167,A2176,A2177,A2252の1から3,A2253の4,A2254)によれば,スレートボードに関する出荷量等は別紙6-4のとおりであり,そのマーケットシェアは次のとおりと認められる。なお,スレートボードのうちフレキシブル板(15)及び平板(16)は,外装材でも用いられるが,その約7割が内装材として使用されるものとしてマーケットシェアを算出するのが相当である。 昭和46年昭和53年平成2年 甲A2252の1 甲A2252の2 甲A2252の3浅野社(エーアンドエー)24.87%22.61%18.85%朝日社(エーアンドエー)24.11%26.50%28.31%三好社・三菱社 (エム・エム・ケイ)16.90%14.77%13.36%ノザワ14.97%10.12%21.21%その他 24.11%26.50%28.31%三好社・三菱社 (エム・エム・ケイ)16.90%14.77%13.36%ノザワ14.97%10.12%21.21%その他19.15%26.00%18.27%これによれば,第1審被告企業のうち第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルのマーケットシェアが概ね20%を超えていることが認められる。なお,第1審被告株式会社ノザワについては,平成2年にマーケットシェアが20%を超えていることが認められるが,その前後において継続して20%を超えるマーケットシェアを有していたとまでは認められない。 したがって,スレートボードについては,第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルの製造した製品が病因建材に該当するということができる。 イ石綿含有けい酸カルシウム板第1種第1審原告ら提出の各資料(甲A2150,A2167,A2176,A2177,A2252の1から3)によれば,石綿含有けい酸カルシウム板第1種に関する出荷量等は別紙6-5のとおりであり,そのマーケットシェアは次のとおりと認められる。なお,昭和53年の生産量については1か月当たりのものに関する資料しかないが,割合を算出するためにはこれを12倍することで足りるといえる。 昭和49年昭和51年昭和53年 平成2年 甲A2167 甲A2150 甲A2176甲A2252の2甲A217 甲A2252の3日本アスベスト(ニチアス)36.59%35.29%32.51%29.20%朝日石綿工業(エーアンドエー)21.95%18.82%19.21%51.73%26.65%23.53%大建 9%35.29%32.51%29.20%朝日石綿工業(エーアンドエー)21.95%18.82%19.21%51.73%26.65%23.53%大建工業12.20%9.41% 三菱セメント建材(エム・エム・ケイ)12.20%9.41%11.82%30.47%13.33%18.36%浅野スレート(エーアンドエー)8.54%5.88%5.91%15.99%4.87%41.34%その他8.52%21.19%30.55%1.81%25.95%16.77%これによれば,第1審被告企業のうち第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル及び第1審被告ニチアス株式会社のマーケットシェアが概ね20%を超えていることが認められる。なお,第1審被告株式会社エム・エム・ケイについては,昭和53年に20%を超えるマーケットシェアを有していることが認められるが,同年のみに留まるものであって,その前後において継続して20%を超えるマーケットシェアを有していたとまでは認められない。 したがって,石綿含有けい酸カルシウム板第1種については,第1審被告ニチアス株式会社及び第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルの製造した製品が病因建材に該当するということができる。 ⑹ その他ア混和材(43)第1審原告らが提出した資料(甲A2248の2)によれば,昭和31年以降,第1審被告株式会社ノザワがモルタル混和剤の「テーリング」の製造・販売を開始しており,左官の仕事に従事していた複数の者らが第1審被告株式会社ノザワのテーリングが広く出回っていた旨述べていることが認められる。さらに,第1審被 モルタル混和剤の「テーリング」の製造・販売を開始しており,左官の仕事に従事していた複数の者らが第1審被告株式会社ノザワのテーリングが広く出回っていた旨述べていることが認められる。さらに,第1審被告株式会社ノザワのマーケットシェアが低かったことを示す証拠が何ら提出されていないことを勘案すると,混和材については,第1審被告株式会社ノザワが到達の蓋然性を認めるに足りるだけのマーケットシェアを有していたものと認められるから,第1審被告株式会社ノザワの製造した製品が病因建材に該当するということができる。 イ石綿含有セメント円筒(41)第1審原告らが提出した資料(甲A1058)によれば,石綿含有セメント円筒については,昭和60年当時,トーアトミジが68%,昭和電工が15%,浅野スレート(エーアンドエー)が17%のマーケットシェアを有していたにとどまることが認められる。 したがって,石綿含有セメント円筒については,第1審被告企業の中に20%を超えるマーケットシェアを有していた企業はなく,第1審被告企業の製造した製品で病因建材に該当するものはない。 ⑺ まとめ以上によれば,病因建材となり得る建材種類について,病因建材に該当する製品を製造した第1審被告企業は,別紙7「病因建材・企業対照表」のとおりである(同表で「○」を付した企業がこれに該当する。)。 4 個別の被災者らとの関係上記3で検討した病因建材と被災者らの業務との関係を踏まえ,各被災者らとの関係で影響を与えた建材及び第1審被告企業を特定する。 ⑴ 第1審原告B1(原告番号1)ア第1審原告B1は,昭和37年4月以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の1のとおり 原告B1(原告番号1)ア第1審原告B1は,昭和37年4月以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の1のとおり,大工として,昭和50年10月1日以降,平成16年9月30日までの間,主に木造の個人住宅の新築工事に関与したことが認められる。 イ第1審原告B1は大工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤,外装材及び内装材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から第1審原告B1が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の第1審原告B1の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年~平成16年),第1審被告ケイミュー株式会社(昭和50年~平成15年)及び第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~平成4年)が第1審原告B1に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⑵ 第1審原告B2(原告番号2)ア第1審原告B2は,昭和34年6月以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の2のとおり,左官として,昭和50年10月1日以降,平成16年9月30日までの間,主に木造の個人住宅の工事に関与したことが認められる。 イ第1審原告B2は左官として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,混和材が病因となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材で第1審 イ第1審原告B2は左官として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,混和材が病因となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材で第1審原告B2について製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の第1審原告B2の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社ノザワ(昭和50年~平成15年)が第1審原告B2に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⑶ 被災者A1(原告番号3)ア被災者A1は,昭和31年4月以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の3のとおり,塗装工として,昭和50年10月1日以降,平成16年9月30日までの間,住宅の新築時等に塗装工事に関与したことが認められる。 イ被災者A1は塗装工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤,外装材及び内装材が病因となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A1が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A1の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年~平成16年),第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~平成4年)及び第1審被告株式会社ノザワ(昭和50年~平成16年)が被災者A1に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⑷ 被災者A2(原告番号4)ア被災者A2は,昭和42年3月2 ~平成4年)及び第1審被告株式会社ノザワ(昭和50年~平成16年)が被災者A1に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⑷ 被災者A2(原告番号4)ア被災者A2は,昭和42年3月21日以降,就労していたが,第1審被告 企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の4のとおり,溶接工として,昭和63年8月24日以降,平成11年11月までの間,溶接作業に関与したことが認められる。 イ被災者A2は溶接工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤及び内装材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。しかしながら,この建材種類に属する病因建材から被災者A2が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」のとおり存在しないこととなり,被災者A2に対する共同不法行為者となる第1審被告企業は存在しないものと認められる。 ⑸ 第1審原告B9(原告番号5)ア第1審原告B9は,昭和41年4月1日以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の5のとおり,大工として,昭和50年10月1日以降,平成16年9月30日までの間,主に木造の個人住宅の新築工事に関与したことが認められる。 イ第1審原告B9は大工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤,外装材及び内装材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から第1審原告B9が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重 び内装材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から第1審原告B9が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の第1審原告B9の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年~平成16年),第1審被告ケイミュー株式会社(昭和50年~平成15年)及び第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~平成4年)が第1審原告B9に対する共同不法行為者となるものと認め られる。 ⑹ 被災者A3(原告番号6)ア被災者A3は,昭和22年4月以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の6のとおり,大工として,昭和50年10月1日以降,昭和54年12月までの間,木造建物の工事に関与したことが認められる。 イ被災者A3は大工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤,外装材及び内装材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A3が上記期間に関する主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A3の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年~昭和54年),第1審被告ケイミュー株式会社(昭和50年~昭和54年)及び第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~昭和54年)が被災者A3に対す 審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年~昭和54年),第1審被告ケイミュー株式会社(昭和50年~昭和54年)及び第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~昭和54年)が被災者A3に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⑺ 被災者A4(原告番号7)ア被災者A4は,昭和36年5月以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の7のとおり,左官として,昭和50年10月1日以降,平成16年9月30日までの間,大規模な鉄筋・鉄骨造建物の建設工事に関与したことが認められる。 イ被災者A4は左官として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,混和材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材で被災者A4について製 造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A4の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社ノザワ(昭和50年~平成15年)が被災者A4に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⑻ 被災者A5(原告番号8)ア被災者A5は,昭和36年3月以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の8のとおり,内装工の現場監督として,昭和50年10月1日以降,平成16年9月30日までの間,主に鉄筋コンクリート,鉄骨コンクリートのビルにおける工事に関与したことが認められる。 イ被災者A5は内装工の現場監督として建築工事に従事していたのであるから,内装工と同様の石綿粉じん曝露をしたものと認められ,前記 ,鉄骨コンクリートのビルにおける工事に関与したことが認められる。 イ被災者A5は内装工の現場監督として建築工事に従事していたのであるから,内装工と同様の石綿粉じん曝露をしたものと認められ,前記2で認定したところによれば,吹付剤及び内装材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A5が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A5の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年~平成16年)及び第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~平成4年)が被災者A5に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⑼ 第1審原告B18(原告番号9)ア第1審原告B18は,解体工として従事した際にも石綿粉じんに曝露したと主張するが,前記第4章第7節の第2のとおり,第1審被告企業らは,解体時には警告表示義務を負わないため,第1審原告B18が解体工として従事した点に対して何らかの義務違反があったものとは認められない。 これに対して,第1審原告B18は,第1審被告企業らの不法行為責任が 問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の9のとおり,配管工として,昭和50年10月1日以降,昭和52年3月までの間及び昭和58年1月から平成16年9月30日までの間,木造建物の工事に関与したことが認められる。 イ第1審原告B18は配管工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤,保温材,内装材及び石綿含有セメント円筒が病因建材となり得る建材種類で が認められる。 イ第1審原告B18は配管工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤,保温材,内装材及び石綿含有セメント円筒が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から第1審原告B18が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の各建材種類の第1審原告B18の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年~昭和52年,昭和58年~平成16年)及び第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~昭和52年,昭和58年~平成4年)が第1審原告B18に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⑽ 被災者A6(原告番号10)ア被災者A6は,昭和36年以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の10のとおり,内装工として,昭和50年10月1日以降,平成16年9月30日までの間,鉄骨,鉄筋コンクリートの建物の工事に関与したことが認められる。 イ被災者A6は内装工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤及び内装材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A6が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者 A6の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンド 間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者 A6の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年~平成16年)及び第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~平成4年)が被災者A6に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⑾ 被災者A7(原告番号11)ア被災者A7は,昭和39年以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の11のとおり,配管工として,昭和50年10月1日以降,平成14年4月20日までの間,主に鉄筋コンクリート造りの建物の工事に関与したことが認められる。 イ被災者A7は配管工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤,保温材,内装材及び石綿含有セメント円筒が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A7が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A7の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年~平成14年)及び第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~平成4年)が被災者A7に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⑿ 被災者A8(原告番号12)ア被災者A8は,昭和43年6月以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の12のとおり,内装工として,昭和 2)ア被災者A8は,昭和43年6月以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の12のとおり,内装工として,昭和50年10月1日以降,平成16年9月30日までの間,鉄骨,鉄筋コンクリートの建物の工事に関与したことが認められる。 イ被災者A8は内装工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤及び内装材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A8が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A8の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年~平成16年)及び第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~平成4年)が被災者A8に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⒀ 被災者A9(原告番号13)ア被災者A9は,昭和34年3月以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の13のとおり,配管工として,昭和50年10月1日以降,平成15年10月までの間,ビル等の新設工事に関与したことが認められる。 イ被災者A9は配管工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤,保温材,内装材及び石綿含有セメント円筒が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A9が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びそ ,保温材,内装材及び石綿含有セメント円筒が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A9が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A9の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年~平成15年)及び第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~平成4年)が被災者A9に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⒁ 被災者A10(原告番号14)ア被災者A10は,昭和23年以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の14のとおり,軽天工として,昭和50年10月1日以降,平成3年12月までの間,木造住宅,鉄筋・鉄骨造の建物工事に関与したことが認められる。 イ被災者A10は軽天工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A10が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A10の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年~昭和62年)及び第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~昭和62年)が被災者A10に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⒂ 被災者A11(原告番号15)ア被災者A1 昭和50年~昭和62年)及び第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~昭和62年)が被災者A10に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⒂ 被災者A11(原告番号15)ア被災者A11は,昭和49年9月以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の15のとおり,内装工として,昭和50年10月1日以降,昭和51年1月までの間,鉄骨,鉄筋コンクリートの建物の工事に関与したことが認められる。 イ被災者A11は内装工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤及び内装材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A11が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被 災者A11の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年)及び第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年)が被災者A11に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⒃ 被災者A12(原告番号16)ア被災者A12は,昭和39年12月7日以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の16のとおり,内装工として,昭和50年10月1日以降,昭和52年2月7日まで,昭和60年8月28日から平成元年1月19日まで及び平成2年7月17日から平成9年6月までの間,鉄骨,鉄筋コンクリートの建物の工事に関与したことが認められる。ただし,昭和50年から昭 2月7日まで,昭和60年8月28日から平成元年1月19日まで及び平成2年7月17日から平成9年6月までの間,鉄骨,鉄筋コンクリートの建物の工事に関与したことが認められる。ただし,昭和50年から昭和52年2月7日までの間は主に改装工事を行っていたものであるところ,第1審被告企業らが改装工事に関して警告表示義務を負うとは認められないから,同期間について第1審被告企業らの注意義務違反を認めることはできない。そして,昭和60年8月28日以降については,内装工ではあるがタイル貼りに従事しており,タイルを張り付けるに当たってモルタルを混ぜる際の混和材が問題になるものと認められる。 イ被災者A12は上記アのとおり昭和60年8月28日以降の期間はタイル貼りに従事していたのであるから前記2で認定したところによれば,混和材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A12が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A12の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社ノザワ(昭和60年~平成9年)が被災者A12に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⒄ 被災者A13(原告番号18)ア被災者A13は,昭和15年4月以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の17のとおり,左官として,昭和50年10月1日以降,昭和56年12月までの間,建築作業に関与したことが認められる。 イ被災者A13は左官として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定した 7のとおり,左官として,昭和50年10月1日以降,昭和56年12月までの間,建築作業に関与したことが認められる。 イ被災者A13は左官として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,混和材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材と被災者A13について製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A13の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社ノザワ(昭和50年~昭和56年)が被災者A13に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⒅ 被災者A14(原告番号20)ア被災者A14は,昭和39年4月以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の19のとおり,左官として,昭和50年10月1日以降,平成元年5月までの間,鉄骨,鉄筋コンクリート造りの建物の工事に関与し,内装工として,平成元年6月1日から平成16年9月30日までの間,鉄骨,鉄筋コンクリート造りの建物の工事に関与したことが認められる。 イ前記2で認定したところによれば,被災者A14は左官として建築工事に従事していたことから,混和材が病因建材となり得る建材種類であるとともに,内装工として建築工事に従事していたことから,吹付剤及び内装材も病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A14が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で被災者A14について製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A14の表における網掛 け部分のとおりであり 外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で被災者A14について製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A14の表における網掛 け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告エーアンドエーマテリアル株式会社(平成元年~平成16年),第1審被告ニチアス株式会社(平成元年~平成4年)及び第1審被告株式会社ノザワ(昭和50年~平成元年),が被災者A14に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⒆ 被災者A15(原告番号21)ア被災者A15は,前記第4章第6節の第2の20のとおり,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降につき,軽天工・内装工として,昭和60年8月17日以降,平成16年9月30日までの間,主に大型建物の工事に関与したことが認められる。 イ被災者A15は軽天工・内装工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤及び内装材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A15が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A15の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和60年~平成16年)及び第1審被告ニチアス株式会社(昭和60年~平成4年)が被災者A15に対する共同不法行為者となるものと認められる。 ⒇ 被災者A16(原告番号22)ア被災者A16は,昭和32年6月17日以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年 る共同不法行為者となるものと認められる。 ⒇ 被災者A16(原告番号22)ア被災者A16は,昭和32年6月17日以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の21のとおり,保温工として,昭和50年10月1日以降,昭和53年9月26日まで,昭和54年10月9日から平成7年9月21日まで及び平成9年11月から平成11年2月まで,保温材の 取付作業に従事したことが認められる。 イ被災者A16は保温工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,保温材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A16が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A16の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年~昭和53年)及び第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~昭和54年)が被災者A16に対する共同不法行為者となるものと認められる。 被災者A17(原告番号23)ア被災者A17は,昭和35年以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の22のとおり,大工として,昭和50年10月1日以降,平成2年頃まで及び平成6年頃から平成10年9月までの間,木造住宅,鉄骨建物の建築工事に関与したことが認められる。 イ被災者A17は大工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤,外装材及び 成10年9月までの間,木造住宅,鉄骨建物の建築工事に関与したことが認められる。 イ被災者A17は大工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤,外装材及び内装材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A17が上記期間に関する主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A17の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年~平成2年,平成6年~平成10年),第1審被告ケイミュー株式会社(昭和50年~平成2年,平成6年~平成10年),第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~平成2年)及び第1審被 告株式会社ノザワ(昭和50年~平成2年,平成6年~平成10年)が被災者A17に対する共同不法行為者となるものと認められる。 被災者A18(原告番号24)ア被災者A18は,昭和23年以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の23のとおり,大工として,昭和50年10月1日以降,平成5年頃までの間,公共工事や個人住宅等の内装作業に関与したことが認められる。 イ被災者A18は大工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤,外装材及び内装材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A18が上記期間に関する主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるもの り得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A18が上記期間に関する主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A18の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年~平成5年),第1審被告ケイミュー株式会社(昭和50年~平成5年),第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~平成4年)及び第1審被告株式会社ノザワ(昭和50年~平成5年)が被災者A18に対する共同不法行為者となるものと認められる。 被災者A19(原告番号25)ア被災者A19は,昭和44年6月以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の24のとおり,鉄骨工として,昭和50年10月1日以降,平成16年9月30日までの間,鉄骨建築作業に関与したことが認められる。 イ上記のとおり,被災者A19は鉄骨工として鉄骨建築工事に従事していた のであるが,被災者A19が従事した作業が倉庫や車庫等の大規模な建物の建築作業であること(甲D25の3)からすると,内装材ではなく,外装材をもって施工していたものと認められるから,病因建材となり得る建材種類としては外装材がこれに当たるものとするのが相当である。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A19が上記期間に関する主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A19の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作 た建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A19の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年~平成16年),第1審被告ケイミュー株式会社(昭和50年~平成12年),第1審被告ニチアス株式会社(昭和56年~平成4年)及び第1審被告株式会社ノザワ(昭和50年~平成16年)が被災者A19に対する共同不法行為者となるものと認められる。 被災者A20(原告番号26)ア被災者A20は,昭和47年以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の25のとおり,シャッター工として,昭和50年10月1日以降,平成16年9月30日までの間,シャッターの取付工事に関与したことが認められる。 イ被災者A20はシャッター工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A20が上記期間に関する主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A20の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアン ドエーマテリアル(昭和50年~昭和62年)及び第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~昭和62年)が被災者A20に対する共同不法行為者となるものと認められる。 被災者A21(原告番号27)ア被災者A21は,昭和40年3月以降,就労 び第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~昭和62年)が被災者A20に対する共同不法行為者となるものと認められる。 被災者A21(原告番号27)ア被災者A21は,昭和40年3月以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の26のとおり,電工として,昭和50年10月1日以降,平成16年9月30日までの間,木造,鉄筋・鉄骨造の建物の配線工事に関与したことが認められる。 イ被災者A21は電工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤及び内装材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A21が上記期間に関する主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A21の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年~平成16年)及び第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~平成4年)が被災者A21に対する共同不法行為者となるものと認められる。 被災者A22(原告番号28)ア被災者A22は,昭和37年10月1日以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の27のとおり,塗装工として,平成10年5月1日以降,平成16年9月30日までの間,木造,鉄筋・鉄骨造の建物の塗装工事に関与したことが認められる。 イ被災者A22は塗装工として建築工事に従事していたのであるから前記 2で認定したところによれば,吹付剤, 日までの間,木造,鉄筋・鉄骨造の建物の塗装工事に関与したことが認められる。 イ被災者A22は塗装工として建築工事に従事していたのであるから前記 2で認定したところによれば,吹付剤,外装材及び内装材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A22が主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A22の表における各建材種類の網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(平成10年~平成16年)及び第1審被告株式会社ノザワ(平成10年~平成16年)が被災者A22に対する共同不法行為者となるものと認められる。 被災者A23(原告番号29)ア被災者A23は,昭和43年10月以降,就労していたが,第1審被告企業らの不法行為責任が問題となる昭和50年10月1日以降については,前記第4章第6節の第2の28のとおり,大工として,昭和50年10月1日以降,平成16年9月30日までの間,個人住宅等の建築工事に関与したことが認められる。 イ被災者A23は大工として建築工事に従事していたのであるから,前記2で認定したところによれば,吹付剤,外装材及び内装材が病因建材となり得る建材種類であると認められる。そして,この建材種類に属する病因建材から被災者A23が上記期間に関する主張の中で除外した建材を除くと,残される病因建材及びその中で製造期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A23の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテ 期間と稼働期間が重なるものは,別紙8「被災者別病因建材表」の被災者A23の表における網掛け部分のとおりであり,これらの網掛け部分に該当する建材を製作・販売した第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル(昭和50年~平成16年),第1審被告ケイミュー株式会社(昭和50年~平成15年)及び第1審被告ニチアス株式会社(昭和50年~平成4年)が被災者A23に対する共同不法行為者となるものと認められる。 第5 民法719条1項後段の類推適用の可否 1 前記第4において各被災者との関係で共同不法行為者となるものと認められた第1審被告企業らの製造した石綿含有建材(病因建材)は,それ単独で石綿関連疾患を発症させる可能性も完全に否定はできないが,被災者らが,多数の工事現場で建築作業に従事していたことを考えると,一般的には,建築作業に従事することによって石綿関連疾患にり患するのは,様々な石綿含有建材を取り扱う多数の建築現場において,長期間にわたり繰り返し石綿粉じんに曝露するという累積的な原因によるものであって,多数回の曝露が累積することによって初めて石綿関連疾患が発症するものと考えるのが相当である。 そのような場合に民法719条1項後段を類推適用するに当たっては,本件において共同不法行為者と特定された第1審被告企業以外に石綿関連疾患の発症に対して原因を与えたと考えられる企業の存在をどのように考えるべきかが問題となるところ,上記のような石綿関連疾患の発生機序に照らせば,本来的には,被災者が建築作業に従事する現場で取り扱った石綿含有建材を製造・販売した企業は,その全員が石綿関連疾患の発症に原因を与えた者として,共同不法行為者となるべきものであり,第1審原告が,その一部の企業のみを被告として選択して共同不法行為に基づく損害賠償責任をした 販売した企業は,その全員が石綿関連疾患の発症に原因を与えた者として,共同不法行為者となるべきものであり,第1審原告が,その一部の企業のみを被告として選択して共同不法行為に基づく損害賠償責任をした場合に,当該被告として選択された企業が,被告とされていない企業の中に石綿関連疾患の発症に原因を与えた企業が存在する可能性があると主張立証したとしても,これが損害発生に対する寄与の問題として考慮されることはともかく,これによって当該被告として選択された企業が自らの不法行為責任自体を免れることにはならないと考えられる。 したがって,前記第4において,各被災者との関係で病因建材を製造した者として,共同不法行為者と認められた第1審被告企業は,当該被災者に係る第1審原告に対し,民法719条1項後段の類推適用に基づく損害賠償責任を負うものと解するのが相当である。 2 上記のとおり,特定の企業による病因建材の製造という不法行為は,それ単独 で石綿関連疾患を発症させるものではなく,他の企業による石綿含有建材の製造という行為と相まって,累積的な石綿粉じん曝露により石綿関連疾患を発症させるものであるから,各第1審原告(被災者)との関係で共同不法行為者とされる第1審被告企業の責任を検討するに当たっては,結果発生に対して与えた寄与の程度を検討することが必要となるところ,①病因建材という概念による共同不法行為者の特定が他の共同不法行為者の存在を完全に排斥し得るものでもないことのほか,②第1審被告企業らに警告表示義務違反が認められる期間(以下,同期間を「責任期間」という。)以前に石綿粉じんに曝露していたのであれば,病因建材を製造した第1審被告企業の石綿関連疾患発症に対する寄与の程度は,上記責任期間前の石綿粉じん曝露との関係で相対的に減少すると解すべきこと 」という。)以前に石綿粉じんに曝露していたのであれば,病因建材を製造した第1審被告企業の石綿関連疾患発症に対する寄与の程度は,上記責任期間前の石綿粉じん曝露との関係で相対的に減少すると解すべきこと及び③石綿関連疾患は,石綿粉じんに一定期間累積的に曝露することにより発症するものであるから,第1審被告企業の責任期間における各被災者の石綿粉じん曝露期間と病因建材を製造した期間とが重なり合う期間(以下,同期間を「製造期間」という。)が短い場合には,病因建材を製造した第1審被告企業の石綿関連疾患発症に対する寄与の程度は,当該被災者との関係で相対的に減少すると解すべきことをそれぞれ考慮すると,本件において責任を負うこととされる第1審被告企業の結果発生への寄与割合は,以下のとおりとするのが相当である。 上記①の観点からは,病因建材を製造した第1審被告企業の基本的な寄与の割合を3分の1とする(以下「基本的寄与割合」という。)。 上記②の観点からは,責任期間前の石綿曝露期間が10年以上の被災者に係る第1審被告企業については,寄与の割合を基本的寄与割合の50%と,同期間が5年以上10年未満の被災者に係る第1審被告企業については,寄与の割合を基本的寄与割合の70%とするのが相当である(以下「前期間修正」という。)。 上記③の観点から,以下の修正をする(以下「製造期間修正」という。)。 ア石綿肺について,製造期間が,①10年以上の第1審被告企業については修 正を行わず,②6年以上10年未満の第1審被告企業については,寄与の割合の基本的寄与割合の90%とし,③3年以上6年未満の第1審被告企業については,寄与の割合を基本的寄与割合の70%とする。 イ肺がんについて,製造期間が,①10年以上の第1審被告企業については修正を行わず,②6 合の90%とし,③3年以上6年未満の第1審被告企業については,寄与の割合を基本的寄与割合の70%とする。 イ肺がんについて,製造期間が,①10年以上の第1審被告企業については修正を行わず,②6年以上10年未満の第1審被告企業については,寄与の割合の基本的寄与割合の90%とし,③3年以上6年未満の第1審被告企業については,寄与の割合を基本的寄与割合の70%とする。 ウ中皮腫について,製造期間が,①1年以上の第1審被告企業については減額を行わず,②6月以上1年未満の第1審被告企業については,寄与の割合を基本的寄与割合の70%とし,③6月未満の第1審被告企業については,寄与の割合を基本的寄与割合の50%とする。 第8節製造物責任法3条に基づく責任の成否(争点第2-2)第1審原告らは,製造物責任法3条に基づく責任を第1審被告企業らが負う旨主張するが,石綿含有建材について,何らかの設計上の欠陥があると認めるに足りる証拠はなく,警告上の欠陥については,警告表示義務違反と重なるものであり,これを別個に検討する必要はない。 したがって,第1審原告らによる製造物責任法3条に基づく請求は理由がない。 第9節第1審被告企業らが第1審原告らに対して負う責任及び第1審原告らの損害(争点第2-3)第1 第1審被告企業らが第1審原告らに対して負う責任 1 上記第7節第5のとおり,第1審被告企業らは,その製造に係る石綿含有建材が病因建材に該当することとなった第1審原告らに対して,民法719条1項後段の類推適用に基づく損害賠償責任を負う。 具体的には,別紙2の2「認容額等一覧表」の第1審原告氏名欄に対応する「認容額」欄に金額の記載のある列の第1審被告企業が,当該第1審原告に対して上記損害賠償責任を負うこととなる。 2 第1審被 ,別紙2の2「認容額等一覧表」の第1審原告氏名欄に対応する「認容額」欄に金額の記載のある列の第1審被告企業が,当該第1審原告に対して上記損害賠償責任を負うこととなる。 2 第1審被告企業らに対する請求においても包括一律請求によることが許されること及び基準慰謝料額等については,第6節の第3の1のとおりである。 また,第1審被告企業らとの間でも,肺がんにり患した者のうち,喫煙歴がある者については,民法722条2項を類推適用して,慰謝料額を減額するのが相当である。その割合は,第6節の第3の3のとおり,10%とするのが相当である。 第2 各被災者の慰謝料額及び遅延損害金の起算日以上によれば,上記基準慰謝料額に対し,基本的寄与割合(前記第7節の第5のとして3分の1とするとと及び喫煙による修正をすることにより,第1審被告企業が第1審原告に支払うべき慰謝料の額が算定される。 各被災者について認容される慰謝料額は,次のとおりであり,別紙2の2「認容額等一覧表」の第1審原告氏名欄に記載された第1審原告について,対応する「認容額」欄に金額の記載のある列の第1審被告企業は,記載された金額の損害賠償義務を負うこととなる。なお,死亡した者の相続関係,弁護士費用の加算及び遅延損害金の起算日は,第6節の第4と同様である。 1 第1審原告B1(原告番号1)⑴ 基準となる慰謝料額 2200万円(肺がん)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ケイミュー株式会社ウ第1審被告ニチアス株式会社⑶ 修正後の慰謝料額 330万円2200万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0. 9(喫煙歴による減額)=330万円なお,第1審原告B1は,昭和3 告ニチアス株式会社⑶ 修正後の慰謝料額 330万円2200万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0. 9(喫煙歴による減額)=330万円なお,第1審原告B1は,昭和37年4月以降,建築現場での作業に従事し, 石綿粉じんに曝露している。 ⑷ 弁護士費用 33万円⑸ 認容額合計 363万円⑹ 遅延損害金の起算日平成22年9月15日(石綿粉じん曝露作業により肺がんを発症した日より後の日) 2 第1審原告B2(原告番号2)⑴ 基準となる慰謝料額 2200万円(肺がん)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業第1審被告株式会社ノザワ⑶ 修正後の慰謝料額 330万円2200万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0. 9(喫煙歴による減額)=330万円なお,第1審原告B2は,昭和34年6月以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 ⑷ 弁護士費用 33万円⑸ 認容額合計 363万円⑹ 遅延損害金の起算日平成23年9月14日(石綿粉じん曝露作業により肺がんを発症した日より後の日) 3 被災者A1(原告番号3)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ニチアス株式会社ウ第1審被告株式会社ノザワ⑶ 修正後の慰謝料額 375万円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0. 9(喫煙歴による減額)=375万円なお,被災者A1は,昭和31年4月以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 ⑶ 相続ア第1審原告B3 187万5000円375万 (喫煙歴による減額)=375万円なお,被災者A1は,昭和31年4月以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 ⑶ 相続ア第1審原告B3 187万5000円375万円×2分の1(相続分)=187万5000円イ第1審原告B4 93万7500円375万円×4分の1(相続分)=93万7500円ウ第1審原告B5 93万7500円375万円×4分の1(相続分)=93万7500円⑷ 弁護士費用ア第1審原告B3 18万7500円イ第1審原告B4 9万3750円ウ第1審原告B5 9万3750円⑸ 認容額合計ア第1審原告B3 206万2500円イ第1審原告B4 103万1250円ウ第1審原告B5 103万1250円⑹ 遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日) 4 第1審原告B9(原告番号5)⑴ 基準となる慰謝料額 2200万円(肺がん)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ケイミュー株式会社ウ第1審被告ニチアス株式会社⑶ 修正後の慰謝料額 462万円 2200万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.7(前期間修正)×0. 9(喫煙歴による減額)=462万円なお,第1審原告B9は,昭和41年4月以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 ⑷ 弁護士費用 46万2000円⑸ 認容額合計 508万2000円⑹ 遅延損害金の起算日平成22年8月19日(石綿粉じん曝露作業により肺がんを発症した日より後の日) 5 被災者A3(原告番号6)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審 22年8月19日(石綿粉じん曝露作業により肺がんを発症した日より後の日) 5 被災者A3(原告番号6)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ケイミュー株式会社ウ第1審被告ニチアス株式会社⑶ 修正後の慰謝料額 262万5000円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0. 7(製造期間修正)×0.9(喫煙歴による減額)=262万5000円なお,被災者A3は,昭和22年4月以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 また,共同不法行為者となる第1審被告企業の製造期間はいずれも5年間である。 ⑷ 相続ア第1審原告亡A3訴訟承継人B10 131万2500円262万5000円×2分の1(相続分)=131万2500円イ第1審原告亡A3訴訟承継人B11 65万6250円262万5000円×4分の1(相続分)=65万6250円 ウ第1審原告亡A3訴訟承継人B12 65万6250円262万5000円×4分の1(相続分)=65万6250円⑸ 弁護士費用ア第1審原告亡A3訴訟承継人B10 13万1250円イ第1審原告亡A3訴訟承継人B11 6万5625円ウ第1審原告亡A3訴訟承継人B12 6万5625円⑺ 認容額合計ア第1審原告亡A3訴訟承継人B10 144万3750円イ第1審原告亡A3訴訟承継人B11 72万1875円ウ第1審原告亡A3訴訟承継人B12 72万1875円⑻ 遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日) 6 被災者A4(原告番号7)⑴ 基準とな 継人B11 72万1875円ウ第1審原告亡A3訴訟承継人B12 72万1875円⑻ 遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日) 6 被災者A4(原告番号7)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業第1審被告株式会社ノザワ⑶ 修正後の慰謝料額 375万円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0. 9(喫煙歴による減額)=375万円なお,被災者A4は,昭和36年5月以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 ⑷ 相続第1審原告B13が全て相続⑸ 弁護士費用 37万5000円⑹ 認容額合計 412万5000円⑺ 遅延損害金の起算日平成22年10月26日(死亡の日より後の日) 7 被災者A5(原告番号8) ⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(石綿肺による死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ニチアス株式会社⑶ 修正後の慰謝料額 416万6666円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=416万6666円なお,被災者A5は,昭和36年3月以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 ⑷ 相続ア第1審原告B14 208万3333円416万6666円×2分の1(相続分)=208万3333円イ第1審原告B15 69万4444円416万6666円×6分の1(相続分)=69万4444円ウ第1審原告B16 69万4444円416万6666円×6分の1(相続分)=69万4444円エ第1審原告B17 69万44 万6666円×6分の1(相続分)=69万4444円ウ第1審原告B16 69万4444円416万6666円×6分の1(相続分)=69万4444円エ第1審原告B17 69万4444円416万6666円×6分の1(相続分)=69万4444円⑸ 弁護士費用ア第1審原告B14 20万8333円イ第1審原告B15 6万9444円ウ第1審原告B16 6万9444円エ第1審原告B17 6万9444円⑹ 認容額合計ア第1審原告B14 229万1666円イ第1審原告B15 76万3888円 ウ第1審原告B16 76万3888円エ第1審原告B17 76万3888円⑺ 遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日) 8 第1審原告B18(原告番号9)⑴ 基準となる慰謝料額 2200万円(肺がん)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ニチアス株式会社⑶ 修正後の慰謝料額 330万円2200万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(下記理由による修正)×0.9(喫煙歴による減額)=330万円なお,第1審原告B18は,昭和50年以降解体工としても就労することがあったところ(甲D9の3),第1審被告企業は解体時には警告表示義務を負わないので,前期間修正に準じるものとして,寄与の割合を基本的寄与割合の50%とするのが相当である。 ⑷ 弁護士費用 33万円⑸ 認容額合計 363万円⑹ 遅延損害金の起算日平成23年6月2日(石綿粉じん曝露作業により肺がんを発症した日より後の日) 9 被災者A6(原告番号10)⑴ 基準 33万円⑸ 認容額合計 363万円⑹ 遅延損害金の起算日平成23年6月2日(石綿粉じん曝露作業により肺がんを発症した日より後の日) 9 被災者A6(原告番号10)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ニチアス株式会社⑶ 修正後の慰謝料額 375万円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0. 9(喫煙歴による減額)=375万円なお,被災者A6は,昭和36年以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 ⑷ 相続ア第1審原告B19 187万5000円375万円×2分の1(相続分)=187万5000円イ第1審原告B20 62万5000円375万円×6分の1(相続分)=62万5000円ウ第1審原告B21 62万5000円375万円×6分の1(相続分)=62万5000円エ第1審原告B22 62万5000円375万円×6分の1(相続分)=62万5000円⑸ 弁護士費用ア第1審原告B19 18万7500円イ第1審原告B20 6万2500円ウ第1審原告B21 6万2500円エ第1審原告B22 6万2500円⑹ 認容額合計ア第1審原告B19 206万2500円イ第1審原告B20 68万7500円ウ第1審原告B21 68万7500円エ第1審原告B22 68万7500円⑺ 遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)被災者A7(原告番号11)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)⑵ 共同 1審原告B22 68万7500円⑺ 遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)被災者A7(原告番号11)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業 ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ニチアス株式会社⑶ 修正後の慰謝料額 416万6666円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=416万6666円なお,被災者A7は,昭和39年以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 ⑷ 相続ア第1審原告B23 208万3333円416万6666円×2分の1(相続分)=208万3333円イ第1審原告B24 104万1666円416万6666円×4分の1(相続分)=104万1666円ウ第1審原告B25 104万1666円416万6666円×4分の1(相続分)=104万1666円⑸ 弁護士費用ア第1審原告B23 20万8333円イ第1審原告B24 10万4166円ウ第1審原告B25 10万4166円⑹ 認容額合計ア第1審原告B23 229万1666円イ第1審原告B24 114万5832円ウ第1審原告B25 114万5832円⑺ 遅延損害金の起算日平成18年8月15日(死亡の日より後の日) 11 被災者A8(原告番号12)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業 ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ニチアス株式会社⑶ 修正後の慰謝料額 525万円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0 第1審被告企業 ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ニチアス株式会社⑶ 修正後の慰謝料額 525万円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.7(前期間修正)×0. 9(喫煙歴による減額)=525万円なお,被災者A8は,昭和43年6月以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 ⑷ 相続第1審原告B26が全て相続⑸ 弁護士費用 52万5000円⑹ 認容額合計 577万5000円⑺ 遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日) 12 被災者A9(原告番号13)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ニチアス株式会社⑶ 修正後の慰謝料額 375万円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0. 9(喫煙歴による減額)=375万円なお,被災者A9は,昭和34年3月以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 ⑷ 相続ア第1審原告B27 187万5000円375万円×2分の1(相続分)=187万5000円イ第1審原告B28 62万5000円 375万円×6分の1(相続分)=62万5000円ウ第1審原告B29 62万5000円375万円×6分の1(相続分)=62万5000円エ第1審原告B30 62万5000円375万円×6分の1(相続分)=62万5000円⑸ 弁護士費用ア第1審原告B27 18万7500円イ第1審原告B28 6万2500円ウ第1審原告B29 6万2500円エ第1 の1(相続分)=62万5000円⑸ 弁護士費用ア第1審原告B27 18万7500円イ第1審原告B28 6万2500円ウ第1審原告B29 6万2500円エ第1審原告B30 6万2500円⑹ 認容額合計ア第1審原告B27 206万2500円イ第1審原告B28 68万7500円ウ第1審原告B29 68万7500円エ第1審原告B30 68万7500円⑺ 遅延損害金の起算日平成20年9月10日(死亡の日より後の日) 13 被災者A10(原告番号14)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(石綿肺及び肺がんによる死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ニチアス株式会社⑶ 修正後の慰謝料額 375万円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0. 9(喫煙歴による減額)=375万円なお,被災者A10は,昭和23年以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 ⑷ 相続第1審原告B31が全て相続⑸ 弁護士費用 37万5000円⑹ 認容額合計 412万5000円⑺ 遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日) 14 被災者A11(原告番号15)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ニチアス株式会社⑶ 修正後の慰謝料額 416万6666円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(製造期間修正)=416万6666円なお,第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル及び第1審 ⑶ 修正後の慰謝料額 416万6666円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(製造期間修正)=416万6666円なお,第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアル及び第1審被告ニチアス株式会社の製造期間(両社の製造期間と被災者A11の曝露作業従事期間とが重なり合う期間)は,いずれも3か月である。 ⑷ 相続ア第1審原告B32 208万3333円416万6666円×2分の1(相続分)=208万3333円イ第1審原告B33 208万3333円416万6666円×2分の1(相続分)=208万3333円⑸ 弁護士費用ア第1審原告B32 20万8333円イ第1審原告B33 20万8333円⑹ 認容額合計ア第1審原告B32 229万1666円 イ第1審原告B33 229万1666円⑺ 遅延損害金の起算日平成22年12月24日(死亡の日より後の日)被災者A12(原告番号16)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(石綿肺による死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業第1審被告株式会社ノザワ⑶ 修正後の慰謝料額 416万6666円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=416万6666円なお,被災者A12は,昭和39年12月以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 相続第1審原告亡A12訴訟承継人B34が全て相続⑸ 弁護士費用 41万6666円⑺認容額合計 458万3332円⑺ 遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日) 16 被災者A13(原告番号18)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡)⑵ 認容額合計 458万3332円⑺ 遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日) 16 被災者A13(原告番号18)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業第1審被告株式会社ノザワ⑶ 修正後の慰謝料額 337万5000円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0. 9(製造期間修正)×0.9(喫煙歴による減額)=337万5000円なお,被災者A13は,昭和15年4月以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 また,第1審被告株式会社ノザワの製造期間は7年間である。 ⑷ 相続第1審原告B35が全て相続⑸ 弁護士費用 33万7500円⑹ 認容額合計 371万2500円⑺ 遅延損害金の起算日平成18年8月1日(死亡の日より後の日) 17 被災者A14(原告番号20)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ニチアス株式会社ウ第1審被告株式会社ノザワ⑶ 修正後の慰謝料額 416万6666円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=416万6666円なお,被災者A14は,昭和39年4月以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 ⑷ 相続ア第1審原告B36 208万3333円416万6666円×2分の1(相続分)=208万3333円イ第1審原告B37 104万1666円416万6666円×4分の1(相続分)=104万1666円ウ第1審原告B38 104万1666円 6円×2分の1(相続分)=208万3333円イ第1審原告B37 104万1666円416万6666円×4分の1(相続分)=104万1666円ウ第1審原告B38 104万1666円416万6666円×4分の1(相続分)=104万1666円⑸ 弁護士費用ア第1審原告B36 20万8333円イ第1審原告B37 10万4166円 ウ第1審原告B38 10万4166円⑹ 認容額合計ア第1審原告B36 229万1666円イ第1審原告B37 114万5832円ウ第1審原告B38 114万5832円⑺ 遅延損害金の起算日平成23年10月20日(死亡の日より後の日) 18 被災者A15(原告番号21)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ニチアス株式会社⑶ 修正後の慰謝料額 833万3333円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)=833万3333円⑷ 相続ア第1審原告B39 416万6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円イ第1審原告B40 416万6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円⑸ 弁護士費用ア第1審原告B39 41万6666円イ第1審原告B40 41万6666円⑹ 認容額合計ア第1審原告B39 458万3332円イ第1審原告B40 458万3332円⑺ 遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日) 19 被災者A16(原告番号22) ⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(良性石綿胸水による死亡) 40 458万3332円⑺ 遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日) 19 被災者A16(原告番号22) ⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(良性石綿胸水による死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ニチアス株式会社⑶ 修正後の慰謝料額 291万6666円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0. 7(製造期間修正)=291万6666円なお,被災者A16は,昭和32年6月以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 また,第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルの製造期間は4年間,第1審被告ニチアス株式会社の製造期間は5年間である。 ⑷ 相続ア第1審原告B41 145万8333円291万6666円×2分の1(相続分)=145万8333円イ第1審原告B42 145万8333円291万6666円×2分の1(相続分)=145万8333円⑸ 弁護士費用ア第1審原告B41 14万5833円イ第1審原告B42 14万5833円⑹ 認容額合計ア第1審原告B41 160万4166円イ第1審原告B42 160万4166円⑺ 遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)被災者A17(原告番号23)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(石綿肺を原因とする肺がんによる死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業 ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ケイミュー株式会社ウ第1審被告ニチアス株式会社エ第1審被告株式会社ノザワ⑶ 修正後の慰謝料額 375万円 ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ケイミュー株式会社ウ第1審被告ニチアス株式会社エ第1審被告株式会社ノザワ⑶ 修正後の慰謝料額 375万円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)×0. 9(喫煙歴による減額)=375万円なお,被災者A17は,昭和35年以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 ⑷ 相続第1審原告亡A17訴訟承継人B43が全て相続⑸ 弁護士費用 37万5000円⑹ 認容額合計 412万5000円⑺ 遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日) 21 被災者A18(原告番号24)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(びまん性胸膜肥厚を原因とする肺炎により死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ケイミュー株式会社ウ第1審被告ニチアス株式会社エ第1審被告株式会社ノザワ⑶ 修正後の慰謝料額 416万6666円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=416万6666円なお,被災者A18は,昭和23年以降,建築現場での作業に従事し,石綿 粉じんに曝露している。 ⑷ 相続第1審原告亡A18訴訟承継人B44が全て相続⑸ 弁護士費用 41万6666円⑹ 認容額合計 458万3332円⑺ 遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日) 22 被災者A19(原告番号25)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ケイミュー株式会社ウ第1審 ⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ケイミュー株式会社ウ第1審被告ニチアス株式会社エ第1審被告株式会社ノザワ⑶ 修正後の慰謝料額 583万3333円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.7(前期間修正)=583万3333円なお,被災者A19は,昭和44年6月以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 ⑷ 相続第1審原告B45が全て相続⑸ 弁護士費用 58万3333円⑹ 認容額合計 641万6666円⑺ 遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日) 23 被災者A20(原告番号26)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業 ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ニチアス株式会社⑶ 修正後の慰謝料額 833万3333円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)=833万3333円⑷ 相続ア第1審原告B46 416万6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円イ第1審原告B47 416万6666円833万3333円×2分の1(相続分)=416万6666円⑸ 弁護士費用ア第1審原告B46 41万6666円イ第1審原告B47 41万6666円⑹ 認容額合計ア第1審原告B46 458万3332円イ第1審原告B47 458万3332円⑺ 遅延損害金の起算日平成25年3月15日(死亡の日より後の日) 24 被災者A21(原告番号27)⑴ 基準 審原告B46 458万3332円イ第1審原告B47 458万3332円⑺ 遅延損害金の起算日平成25年3月15日(死亡の日より後の日) 24 被災者A21(原告番号27)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ニチアス株式会社⑶ 修正後の慰謝料額 583万3333円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.7(前期間修正)=583万3333円なお,被災者A21は,昭和40年3月以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 ⑷ 相続ア第1審原告B48 291万6666円583万3333円×2分の1(相続分)=291万6666円イ第1審原告B49 291万6666円583万3333円×2分の1(相続分)=291万6666円⑸ 弁護士費用ア第1審原告B48 29万1666円イ第1審原告B49 29万1666円⑹ 認容額合計ア第1審原告B48 320万8332円イ第1審原告B49 320万8332円⑺ 遅延損害金の起算日平成25年2月27日(死亡の日より後の日)被災者A22(原告番号28)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(中皮腫による死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告株式会社ノザワ⑶ 修正後の慰謝料額 416万6666円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=416万6666円なお,被災者A22は,昭和37年10月以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 ⑷ 相 2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.5(前期間修正)=416万6666円なお,被災者A22は,昭和37年10月以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 ⑷ 相続第1審原告B50が全て相続⑸ 弁護士費用 41万6666円⑹ 認容額合計 458万3332円 ⑺ 遅延損害金の起算日平成24年3月14日(死亡の日より後の日) 26 被災者A23(原告番号29)⑴ 基準となる慰謝料額 2500万円(肺がんによる死亡)⑵ 共同不法行為者となる第1審被告企業ア第1審被告株式会社エーアンドエーマテリアルイ第1審被告ケイミュー株式会社ウ第1審被告ニチアス株式会社⑶ 修正後の慰謝料額 525万円2500万円×3分の1(基本的寄与割合)×0.7(前期間修正)×0. 9(喫煙歴による減額)=525万円なお,被災者A23は,昭和43年10月以降,建築現場での作業に従事し,石綿粉じんに曝露している。 ⑸ 相続ア第1審原告亡A23訴訟承継人B51 262万5000円525万円×2分の1(相続分)=262万5000円イ第1審原告亡A23訴訟承継人B52 131万2500円525万円×4分の1(相続分)=131万2500円ウ第1審原告亡A23訴訟承継人B53 131万2500円525万円×4分の1(相続分)=131万2500円⑹ 弁護士費用ア第1審原告亡A23訴訟承継人B51 26万2500円イ第1審原告亡A23訴訟承継人B52 13万1250円ウ第1審原告亡A23訴訟承継人B53 13万1250円⑺ 認容額合計ア第1審原告亡A23訴訟承継人B51 288万7500円イ第1審原告亡A23訴訟 52 13万1250円ウ第1審原告亡A23訴訟承継人B53 13万1250円⑺ 認容額合計ア第1審原告亡A23訴訟承継人B51 288万7500円イ第1審原告亡A23訴訟承継人B52 144万3750円 ウ第1審原告亡A23訴訟承継人B53 144万3750円⑺ 遅延損害金の起算日平成▲年▲月▲日(死亡の日)第3 消滅時効及び除斥期間 1 消滅時効は「加害者を知った時」から3年間を経過することにより消滅時効期間が完成するものであるところ,民法724条が定める「加害者を知った時」とは,被害者において,加害者に対して損害賠償請求をすることが事実上可能な状況の下で,これが可能であることを知った時を意味するものと解される。第1審原告らは,労災認定の時点等に自らの疾患が石綿含有建材に起因することは知ることができたとしても,第1審被告企業らに警告表示義務違反があることなどを知ることができたとまでは認めることはできない。 したがって,消滅時効に関する第1審被告企業らの主張は理由がない。 2 石綿関連疾患は,相当長期にわたる潜伏期間を経た上で発症するものであるから,石綿粉じん曝露をもたらす石綿含有建材の製造・販売という加害行為が終了して相当期間経過後に損害が発生する場合には,損害の一部または全部が発生したときをもって除斥期間の起算点とするのが相当である。 したがって,除斥期間に関する第1審被告企業らの主張も理由がない。 第5章結論以上によれば,第1審原告らの請求は,①第1審被告国との間では,別紙2の1「認容額等一覧表」の「第1審原告氏名」欄に記載のある第1審原告について,同表の「認容額」欄記載の金額及びこれに対する遅延損害金の支払を命じる限度で理由があり,第1審原告番号19の第1審 別紙2の1「認容額等一覧表」の「第1審原告氏名」欄に記載のある第1審原告について,同表の「認容額」欄記載の金額及びこれに対する遅延損害金の支払を命じる限度で理由があり,第1審原告番号19の第1審原告の請求は理由がないから,第1審被告国の控訴はこれを棄却し,第1審原告番号1,2,3の1から3,5,6の1から3,8の1から4,9,10の1から4,16,23,24,25,26の1・2,27の1・2,28,29の1から3の各第1審原告の各控訴に基づき,原判決中の上記第1審原告に係る部分を変更し,第1審原告番号4の1から3,7,11の1から3,12,13の1から4,14,15の1・2,18, 19,20の1から3,21の1・2,22の1・2の各第1審原告の各控訴はいずれも理由がないから,これを棄却し,②第1審被告企業らとの関係では,別紙2の2「認容額等一覧表」の「第1審原告」欄に記載のある第1審原告について,同表の「認容額」欄に記載のある第1審被告企業に対し,「認容額」欄記載の金額及びこれに対する遅延損害金の支払を命じる限度で理由があり,上記各第1審原告のその余の請求並びに第1審原告番号4の1から3及び第1審原告番号19の各第1審原告の請求はいずれも理由がないから,原判決中第1審被告企業らに対する請求を棄却した部分は,その一部を取り消し,別紙2の2「認容額等一覧表」の「第1審原告」欄に記載のある第1審原告の請求を上記の限度で認容して,その余を棄却し(第1審被告国と第1審被告企業らとの責任は連帯関係には立たない。),その余の各第1審原告らの各控訴はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第5民事部 裁判長裁判官山之内 紀 行 裁判官 各控訴はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第5民事部 裁判長裁判官山之内紀 裁判官矢﨑豊 裁判官杉本敏彦
▼ クリックして全文を表示