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主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告人指定代理人青木義人、同堀内恒雄、同広瀬時江及び上告人訴訟代理人田中勝次郎の上告理由第一点乃至第三点について。おもうに、商法は、取引社会における利益配当の観念(すなわち、損益計算上の利益を株金額の出資に対し株主に支払う金額)を前提として、この配当が適正に行われるよう各種の法的規制を施しているものと解すべきである(たとえば、いわゆる蛸配当の禁止《商法二九〇条》、株主平等の原則に反する配当の禁止《同法二九三条》等)。そして、所得税法中には、利益配当の概念として、とくに、商法の前提とする、取引社会における利益配当の観念と異なる観念を採用しているものと認むべき規定はないので、所得税法もまた、利益配当の概念として、商法の前提とする利益配当の観念と同一観念を採用しているものと解するのが相当である。従つて、所得税法上の利益配当とは、必ずしも、商法の規定に従つて適法になされたものにかぎらず、商法が規制の対象とし、商法の見地からは不適法とされる配当(たとえば蛸配当、株主平等の原則に反する配当等)の如きも、所得税法上の利益配当のうちに含まれるものと解すべきことは所論のとおりである。しかしながら、原審の確定する事実によれば、本件の株主優待金なるものは、損益計算上利益の有無にかかわらず支払われるものであり株金額の出資に対する利益金として支払われるものとのみは断定し難く、前記取引社会における利益配当と同一性質のものであるとはにわかに認め難いものである。されば、右優待金は、所得税法上の雑所得にあたるかどうかはともかく、またその全部もしくは一部が法人所得の計算上益金と認められるかどうかの点はともかく、所得税法九条二号にいう利益配当には当らず である。されば、右優待金は、所得税法上の雑所得にあたるかどうかはともかく、またその全部もしくは一部が法人所得の計算上益金と認められるかどうかの点はともかく、所得税法九条二号にいう利益配当には当らず、従て、- 1 -被上告人は、これにつき、同法三七条に基く源泉徴収の義務を負わないものと解すべきである。 が法人所得の計算上益金と認められるかどうかの点はともかく、所得税法九条二号にいう利益配当には当らず である。されば、右優待金は、所得税法上の雑所得にあたるかどうかはともかく、またその全部もしくは一部が法人所得の計算上益金と認められるかどうかの点はともかく、所得税法九条二号にいう利益配当には当らず、従て、- 1 -被上告人は、これにつき、同法三七条に基く源泉徴収の義務を負わないものと解すべきである。右と同旨の結論をとる原判決は、結局正当であり、所論は右と異なる独自の見解の下に原判決を攻撃するものであつて、すべて採用のかぎりでない。よつて、民訴三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官小谷勝重裁判官藤田八郎裁判官池田克裁判官奥野健一- 2 -
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