平成20(行コ)23 公金支出返還請求控訴事件(第一審・京都地方裁判所平成14年(行ウ)第2号,差戻前の控訴審・大阪高等裁判所平成16年(行コ)第118号)

裁判年月日・裁判所
平成21年2月13日 大阪高等裁判所 住民訴訟
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判決文本文22,092 文字)

主文 第一審判決を次のとおり変更する。 被控訴人は,宮津市に対し,4214万7762円及びこれに対する平成14年1月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 控訴人のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,第一審及び差戻前の控訴審,上告審の訴訟費用を含め,被控訴人の負担とし,参加費用は被控訴人参加人の負担とする。 事実及び理由 第1控訴の趣旨 原判決(第一審判決)を取り消す。 被控訴人は,宮津市に対し,4214万8000円及びこれに対する平成14年1月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要及び当事者の主張 事案の概要(1)本件は宮津市が丹後地区土地開発公社(以下単に公社という),,,「」。 との間で,A公園事業(以下「本件事業」という。)につき,Bが当時所有していた別紙物件目録記載の土地15筆(以下「本件土地」という。)を3858万9646円で先行取得する委託契約を締結し(以下「本件委託契約」という。),これに基づいて宮津市が利息等を加えた代金4214万7762円で本件土地を買い取る旨の売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結し,同代金額を支払った(以下「本件公金支出」という。)ところ,宮津市の住民である控訴人が,同土地はそもそも取得する必要のない土地であり,その取得価格も著しく高額であるから,上記公金支出は違法であり,宮津市が同代金相当額の損害を被ったと主張して,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下同じ。)242条の2第1項4号に基づき,宮津市に代位して,当時の宮津市長であった被控訴人に対し,損害賠償とし て4214万8000円(宮津市議会が本件土地の取得事業費として議決した補正予算額)及びこれに対する訴状 第1項4号に基づき,宮津市に代位して,当時の宮津市長であった被控訴人に対し,損害賠償とし て4214万8000円(宮津市議会が本件土地の取得事業費として議決した補正予算額)及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 被控訴人及び同参加人は,本件委託契約の締結には,本件事業の代替地用地を取得する必要性と公共性があったこと,本件売買契約を締結して代金を支払ったのは,公益的自然林整備事業の必要に基づくものであり,また,本件委託契約の履行として本件売買契約を締結する義務があったからであることを主張し,本件公金支出は相当であり財務会計法規上の義務に違反する違法なものではないとして争った。 (2)第一審判決は,宮津市は,本件委託契約に基づいて,公社に対し,本件土地を先行取得の代金の額に借入れの利息の額を加えた金額で買い取るべき義務を負っていたから,仮に,本件委託契約の締結について,本件土地を取得する必要性がなく,あるいは買取価格が高額であるとしても,同契約の履行として本件売買契約を締結するほかなかったのであるから,同売買契約の締結を財務会計法規上の義務に違反する違法なものと評価することはできないとして,控訴人の請求を棄却したため,これを不服とする控訴人が差戻前の控訴審裁判所に控訴をした。 (3)差戻前の控訴審は,第一審判決の上記説示に加え,本件売買契約の代金額は,公社が本件委託契約に基づく事務を処理するために要した費用の額と一致するから,本件売買契約により宮津市が新たに損害を被る余地もないことを付加して上記控訴を棄却した。 (4)これに対し,控訴人が上告及び上告受理の申立てをしたところ,最高裁判所第二小法廷は,上告受理の申立て(平成17年(行ヒ)第304号)を受理し る余地もないことを付加して上記控訴を棄却した。 (4)これに対し,控訴人が上告及び上告受理の申立てをしたところ,最高裁判所第二小法廷は,上告受理の申立て(平成17年(行ヒ)第304号)を受理した上,以下の理由により,上記控訴審判決を破棄し,本件を大阪高等裁判所に差し戻す判決を言い渡した。 本件において,仮に,本件土地につき代金3858万9646円で先行取 得を行うことを公社に委託した宮津市の判断に裁量権の範囲の著しい逸脱又は濫用があり,本件委託契約を無効としなければ地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合には,本件委託契約が私法上無効となるから,契約締結権者は,無効な本件委託契約に基づく義務の履行として買取りのための本件売買契約を締結してはならないという財務会計法規上の義務を負っていると解すべきであり,契約締結権者がその義務に違反して本件売買契約を締結すれば,その締結は違法なものとなり得ること,また,本件委託契約が私法上無効ではないとしても,これが違法に締結されたものであって,宮津市が取消権又は解除権を有しているときや,当該委託契約が著しく合理性を欠きそのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存し,かつ,客観的にみて宮津市が当該委託契約を解消することができる特殊な事情があるときにも,契約締結権者は本件売買契約を締結してはならないという財務会計法規上の義務を負っており,その義務に違反して本件売買契約を締結することは財務会計法規の義務に違反する違法なものとなり得ること,また,本件委託契約が私法上無効であるときには,宮津市は公社に対し本件委託契約に基づく事務を処理するために要した費用を支払うべき義務を負わないことになるし,本件委託契約が私法上無効ではないときで ,また,本件委託契約が私法上無効であるときには,宮津市は公社に対し本件委託契約に基づく事務を処理するために要した費用を支払うべき義務を負わないことになるし,本件委託契約が私法上無効ではないときであっても,上記財務会計法規上の義務が尽くされ,本件委託契約が解消されていれば,宮津市は上記費用を支払うべき義務を負わないことになること,以上によれば,本件委託契約が私法上無効であるか否か,あるいは同契約が私法上無効でないとしても取消権又は解除権ないし看過し得ない瑕疵及び上記特殊な事情があるか否か,そのほか本件請求に係る財務会計法規上の行為がどのようなものであるか,及びこれに関する被上告人の権限があるか等について更に審理を尽くさせる必要がある。 基礎となる事実(証拠を摘示した以外の部分は当事者間に争いがない)。 (1)当事者控訴人は宮津市の住民であり,被控訴人は少なくとも平成8年12月19日から平成14年3月29日まで宮津市長の職にあった者である。 (2)本件土地の現況本件土地は,いずれも宮津市内にある土地であるが,別紙図面のとおり本件事業の計画区域外に点在する。 本件売買契約が締結された平成14年3月当時,別紙物件目録1ないし6記載の土地は自然林の山林であり,同目録7ないし10の土地は原野であったものであり,いずれも本件事業区域の北側に点在し(以上,10筆の土地をまとめて「α地区の土地」ともいう。),同目録11ないし15記載の土地(以下,これをまとめて「β地区の土地」ともいう。)は竹林の山林であり,本件事業区域の南方のやや離れた場所に隣接し,海岸線から比較的近い位置にある。 (3)本件委託契約による先行取得ア宮津市が公社に公共用地の先行取得を依頼する場合に依拠すべき法令上の規定はないが,先行取得は「丹後地区土地開発公社業務 接し,海岸線から比較的近い位置にある。 (3)本件委託契約による先行取得ア宮津市が公社に公共用地の先行取得を依頼する場合に依拠すべき法令上の規定はないが,先行取得は「丹後地区土地開発公社業務方法書」(乙,2,以下「公社業務方法書」という。)によって行われており,宮津市が公社に公共用地先行取得等依頼書及び買取計画書を提出することとされている。 イ宮津市は,平成8年12月19日,公社に対し,本件土地を3858万9646円で先行取得することを依頼したが,被控訴人は,宮津市長として本件委託契約の締結について決裁した(丙7)。 その際提出した本件委託契約中の買取計画書では,宮津市は,上記先行取得予定の本件土地を,A公園完成までに代替地用地として買い戻すものとされ,その期日は,平成14年3月31日とされていた(乙3)。 ウ宮津市が公社に公共用地の先行取得を依頼する場合の取得価格の算定 方法について,法令上の規定はなく,本件土地の取得価格を決めるに当たり,評価委員会等の評価を得ることはなかった。 エ先行取得依頼における取得価格は,本件土地のうち,α地区の土地については,原野の1平方メートル当たりの単価を1940円(以下,単価,,。,は特に断りのない限りすべて1平方メートル当たりの単価を示す)山林の単価を530円,立木補償の単価を1100円,β地区の土地については単価を4400円(立木補償を含む。)とし,面積については,いずれも公簿面積と実測面積の比率(縄延び率)について,原野を1.8倍,山林を5.31倍として算定された。 オ公社は,本件委託契約に基づき,平成8年12月24日,本件土地をBから総額3858万9646円(立木補償を含む。)で買い取った(乙5の1,2)。 カ公社業務方法書では,公社は,宮津市から先行取得に伴う は,本件委託契約に基づき,平成8年12月24日,本件土地をBから総額3858万9646円(立木補償を含む。)で買い取った(乙5の1,2)。 カ公社業務方法書では,公社は,宮津市から先行取得に伴う債務の保証を受けることを条件に,先行取得の依頼を引き受けるものとされ,先行取得した土地を売り渡す際の価格は,土地価格及び造成費用等のほか,それらの費用の調達のための借入金の利息の合計額とされていた(乙2)。 キ公社は,同月27日,本件土地の取得資金をC信用金庫から借り入れ,宮津市は,その債務を保証した(乙3,4)。 (4)本件公金支出ア宮津市議会は,平成13年9月の定例議会において,山林等を公益的機能保全森林として取得し,国土保全を図る目的で,本件土地を取得する事業の費用として4214万8000円の公金を支出することを補正予算として議決した。 イ宮津市は,平成14年3月18日,公社との間で本件土地を4214万7762円で買い取る旨の本件売買契約を締結し,同月29日,公社に対し,売買代金全額を支払い,これらの土地の引渡しを受けた(乙8, 11,12)。 ウ上記買取額は,公社が先行取得した際の代金額3858万9646円に平成8年12月27日から平成14年3月29日までの間の借入利息355万8116円を加算した金額であった(乙9)。 (5)監査請求及び監査査定(甲1,2)ア控訴人は,平成13年12月18日,宮津市監査委員に対し,宮津市が本件土地を取得するための公金を支出することを差し止める措置を求め,地方自治法242条1項に基づく住民監査請求をした。 イ宮津市監査委員は,同月20日,具体的な財務会計上の行為(売買契約等)が行われていないとして,上記監査請求を却下する決定をした。 控訴人の主張(1)本件における財務会計行為の特 求をした。 イ宮津市監査委員は,同月20日,具体的な財務会計上の行為(売買契約等)が行われていないとして,上記監査請求を却下する決定をした。 控訴人の主張(1)本件における財務会計行為の特定本件における財務会計行為は,無効ないし違法な本件委託契約(先行行為)。 ,に基づく義務の履行として締結された本件売買契約(後行行為)であるなお予備的に支出決定(乙12)を主張する。 (2)本件委託契約の効力と財務会計法規上の義務違反,,本件上告審判決は公社から宮津市が本件土地を購入する売買契約につき宮津市が公社に先行取得を委託した本件委託契約が,私法上無効となる場合と,私法上無効とならない場合でも宮津市の買取義務が消滅する場合があることを明示したが,以下のとおり,本件土地は,宮津市が取得する必要のない土地であり,また,その取得価格も著しく高額であって相当ではなく,本件委託契約は無効ないし違法であるにもかかわらず,宮津市は本件委託契約に基づく義務の履行として買取りのための本件売買契約を締結したのであるから,その締結は違法な財務会計行為に当たるというべきである。 ア本件土地取得の必要性の欠如(ア)代替地用地の必要性の欠如 宮津市は,本件事業区域内の地権者から代替地の要求があったので平成8年12月19日付けで先行取得を委託したというが,そのような要求が真実存在したかどうかは疑わしいものである。 これは,本件土地の所有者が全部Bで,代替地として購入した土地は同人所有以外のものはないという異常事態を説明できないこと,地権者に本件土地を見せたことがないこと,そして何よりも,本件土地自体が公道に面していない土地や傾斜地,崖地などを含んでおり,到底代替地としての広さも機能も有していないことからも明らかである。 (イ)公益的自然林整備事業と とがないこと,そして何よりも,本件土地自体が公道に面していない土地や傾斜地,崖地などを含んでおり,到底代替地としての広さも機能も有していないことからも明らかである。 (イ)公益的自然林整備事業としての必要性の欠如本件土地は,森林保全には全く不要な土地である。本件土地は,別紙図面のとおり分散して点在しており,そのような小規模山林だけを保全することは全く意味がない。 イ価格の不当性宮津市は,本件土地の買収価格の決定に当たって,縄延び率を採用しているが,本件土地はすべて小規模な土地であり,また,代替地として予定して先行取得を依頼したのであるから,各土地を実測した上,買収価格を算定すべきであった。 また,価格についても,以下のとおり,無価値な土地を京都府の本件事業区域内での公式の買取価格の5倍を超える違法・無効な価格で買収している。 (ア)α地区の山林6筆は,木材の伐採搬出が困難であり,経済価値は低いのに,買収単価が530円となっているのは高額すぎる。 また,立木補償は,本件事業区域内の土地であっても単価207円であったが,上記6筆の立木はいずれも自然林であるのに,その立木補償は単価1100円と不当に高額である。 また,同地区の原野4筆の買収価格は単価1940円であるが,こ れらの土地はいずれも崖下の危険地や進入路もない傾斜地であるのに,山林の買収単価よりも高額であるのは不当である。 (イ)β地区の土地の買収価格は単価2804円ないし3505円(平成13年8月)であり,少し離れたところでは,単価1000円程度である。また,β地区の土地の立木は竹林であり,立木補償の必要性はない。 ウ本件委託契約の効力と本件売買契約の締結の違法性(ア)本件委託契約の無効上記ア,イの事実によれば,先行取得としての本件委託契約自体が民法90条により は竹林であり,立木補償の必要性はない。 ウ本件委託契約の効力と本件売買契約の締結の違法性(ア)本件委託契約の無効上記ア,イの事実によれば,先行取得としての本件委託契約自体が民法90条により無効であるといわざるを得ないから,宮津市の契約締結権者は,後行行為となる本件売買契約を締結してはならないという財務会計法規上の義務を負っているというべきである。 (イ)本件委託契約の取消権,解除権ないし看過し得ない瑕疵等仮に,本件委託契約が無効とはいえないとしても,同委託契約に取消権あるいは解除権が認められる場合には,その取消権,解除権を適切に行使して買取義務を消滅させる財務会計法規上の義務があるほか,委託契約の内容が著しく合理性を欠いており,そのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存し,かつ,客観的に見て当該普通地方公共団体が当該委託契約を解消することができる特殊事情があるときにも,売買契約締結権者は,買取りのための売買契約を締結してはならないという財務会計法規上の義務を負うものである。 そして,上記のとおり,本件委託契約は委託の目的の虚偽や無価値な土地の高額での買取りを内容とする著しく合理性を欠く契約であり,財政健全の趣旨をうたった地方自治法2条14項,地方財政法4条の予算執行の適正確保の見地からみて看過し得ない瑕疵が存し,宮津市長は公社の理事長でもあり,かつ,宮津市は公社の100パーセント出資者で ある等の事情からは,両者は同一体と認められ,宮津市が本件委託契約を取り消しても公社の利益を顧慮する必要がないという特殊事情が存在する(なお,被控訴人主張のとおり上記出資割合が14%であっても,宮津市長が公社の理事長を兼務して人事管理・組織運営をしていることに変わりがないから結論を左右しない。 。)(ウ)した 情が存在する(なお,被控訴人主張のとおり上記出資割合が14%であっても,宮津市長が公社の理事長を兼務して人事管理・組織運営をしていることに変わりがないから結論を左右しない。 。)(ウ)したがって,本件において,本件売買契約締結権者は,本件委託契約に基づく義務の履行として買取りのための本件売買契約を締結してはならず,これに反して締結された本件売買契約は違法であり,損害賠償義務を負う。 (3)被控訴人の責任被控訴人は,D助役に対し,本件売買契約の締結を委任したものであり,同助役は,上記義務を履行して本件委託契約を取り消さなければならないと,,,ころ被控訴人は当事者として本件委託契約を取り消すことができるほか宮津市長としてD助役に対し,本件売買契約を締結しないよう指揮監督しなければならないのにこれを怠り,同助役によって本件売買契約が締結されたのであるから,これにより宮津市が被った損害の賠償責任を負うというべきである。 (4)損害基礎となる事実(4)のとおり本件土地を取得する事業の費用として4214万8000円の公金を支出することを補正予算として議決したのであるから,同金額が宮津市の損害であり,被控訴人は,これを賠償しなければならない。 被控訴人の主張(1)控訴人主張のとおり,本件における財務会計行為が本件売買契約であるとしても,先行行為である本件委託契約について,これが無効であるとか,取消権,解除権ないし看過し得ない瑕疵によりこれを解消すべき特殊な事情 があるとはいえず,売買契約締結権者には本件売買契約を締結してはならないという財務会計法規上の義務はない。 (2)本件委託契約の効力と財務会計法規上の義務違反の主張についての反論ア本件土地取得の必要性(ア)代替地としての必要性宮津市は,京都府及び京 はならないという財務会計法規上の義務はない。 (2)本件委託契約の効力と財務会計法規上の義務違反の主張についての反論ア本件土地取得の必要性(ア)代替地としての必要性宮津市は,京都府及び京都府土地開発公社から,本件事業用地の買収。 ,,を委託されていた代替地用地の取得は上記委託に含まれていないが宮津市は,昭和63年12月17日開催のα地区説明会において,地権者から代替地の要求があった場合には協力する旨を約束しており(丙2),また,平成3年5月には,α自治会からも代替地については誠意をもって取り組むよう要望され(丙9),平成8年当時も3件の買収事案について代替地の要望があった。 そこで,宮津市は,代替地を要求する地権者に対し,代替地用地を提供することで交渉が円滑に運べると判断して,本件土地の先行取得を公社に依頼した。 その後,代替地用地は,平成13年初めころまでに不要となった(丙19,20)が,これは公社が本件土地を先行取得した後の事情の変更によるものであって,宮津市が公社に先行取得を依頼したときには,代替地用地を取得する必要性と公共性は存在した。 (イ)公益的自然林整備事業としての必要性本件土地のようにγ湾に面する山林の多くは,永年にわたって手入れがされておらず,このまま放置すると森林の荒廃が進み,地球温暖化や山林災害防止機能,水源かん養機能,δと一体となり歴史的風致を構成する保健文化機能等,この地域の持つ公益的機能が著しく低下するおそれがあった。 そこで,宮津市は,公益的自然林整備事業(国土保全特別対策事業) を利用して,本件土地を国土保全の目的で自ら取得し,適正な森林施業により森林の有する公益的機能を高度に発揮させ,健全な資源の保全を図ることとしたものである。 イ価格の相当性宮津市では,用地の取得価格の して,本件土地を国土保全の目的で自ら取得し,適正な森林施業により森林の有する公益的機能を高度に発揮させ,健全な資源の保全を図ることとしたものである。 イ価格の相当性宮津市では,用地の取得価格の算定方法を市長の裁量に委ねていたが,本件土地のうちα地区の土地は,近隣において京都府の本件事業用地の買収が同時進行していたので,その買収価格を参考にするのが極めて合理的,,,,であったし(丙6当審提出の丙23ないし26)またβ地区の土地はすぐ近くまで宅地開発が進んでいる地域にあって流通性があるので,宮津市長の裁量により,京都府道路公社の買収事例に基づき価格を算出することとし(丙26),立木補償は京都府の本件事業用地についての算出価格を採用することにした。 その具体的な内容は,別紙「A公園代替用地一覧表」記載のとおりであり,これを説明すれば,以下のとおりである。 (ア)α地区の土地の平成8年度買収価格①土地の実測面積については,京都府が本件事業区域内で実施した測量結果による縄延び率をそのまま採用し,山林は公簿面積の5.31倍,原野は公簿面積の1.8倍とする(丙24)。 ②京都府の算定基準に準じ,原野を単価1940円,山林を単価530円とする。 ③立木補償については,京都府が決定したα地区の単価は210円とされたが,本件事業区域内で立木調査をしたものの中から代表として3筆を選び,その平均値をとって単価1100円とする(丙25)。 (イ)β地区の土地の平成8年度の買収価格同地区の買取額は,京都府道路公社がε自動車道用地として平成4年11月に買収した宮津市ζの土地の売買(丙26)を類似事例とし,その 売買金額である単価3690円を時点修正及び地域要因補正(本件事業区域から離れており,かつ,周辺が別荘地として開発されつつある 11月に買収した宮津市ζの土地の売買(丙26)を類似事例とし,その 売買金額である単価3690円を時点修正及び地域要因補正(本件事業区域から離れており,かつ,周辺が別荘地として開発されつつある。丙34,35)をして単価4190円とし,これに自然林の立木補償費単価210円を加算して4400円とする。 (ウ)以上を前提として,Bからの買収額につき,本件事業区域外の本件土地を3858万9646円と決定した(なお,本件事業区域内の土地11筆の買収額については,上記同様の基準に基づき,2149万3715円と決定した。 。)ウ本件委託契約の効力と売買契約の締結の違法性についての反論(ア)本件委託契約の無効について上記のとおり,平成8年12月当時,宮津市には公社に対し,本件土地の先行取得を依頼する必要があり,かつ,その取得価格も合理的な根拠に基づいて算定された正当な価格であって,宮津市が本件委託契約を,,締結した判断に裁量権の著しい逸脱や濫用はなく宮津市と公社間には本件委託契約が有効に成立しており,これを無効とする事由はない。 (イ)本件委託契約の取消等について本件委託契約は,民法上の委任契約と解されるが,本件委託契約は公社業務方法書(乙2)に則って適法に締結されており,しかも公社の委託の趣旨にしたがって本件土地を取得し既に受任事務を終えているのであるから,もはや宮津市がこれを取り消しうる民法上の理由はない。 控訴人は,看過し得ない瑕疵及び特殊事情の存在を主張する。しかしながら,本件委託契約は適法に締結された合理的な契約であり,その履行のための予算についても,委託契約時である平成8年度は,一般会計予算において公社が宮津市に代わって用地を取得するための事業資金の借入保証として3億円の枠が設けられており(乙4),また,本件土地の 行のための予算についても,委託契約時である平成8年度は,一般会計予算において公社が宮津市に代わって用地を取得するための事業資金の借入保証として3億円の枠が設けられており(乙4),また,本件土地の買戻し費用が満額計上され,その財源については国の支援措置が得られ るから(丙27),予算執行上何らの瑕疵はなく,その他本件委託契約を解消することができるような特殊な事情はない。 なお,控訴人は,上記特殊事情として,公社と地方公共団体とは実質的に同一体の関係にあると認めるのが相当であると主張する。確かに,公社の理事長は,設立以来,宮津市長が兼務しているが,定款(乙1)20条によると,公社の出資者は宮津市のほか,京都府など11の地方公共団体であり,宮津市の出資額100万円は全出資額の約14%にすぎないから,公社と宮津市とが実質的に同一体であることを前提とする控訴人の主張は理由がない。 (ウ)以上によると,本件委託契約が有効に成立し,また,宮津市に取消権,解除権はなく,看過し得ない瑕疵等もないから,本件売買契約締結権者は,本件委託契約に基づく義務の履行として買取りのための本件売買契約を締結し,宮津市は本件土地を引き取る義務があったものというべきである。 (3)被控訴人の責任についての反論ア宮津市では,市長が公社設立時から理事長になっていたことから,昭和50年11月5日制定の「宮津市助役に対する事務委任規則」(規則第15号)第2条(1)項において,公社と締結する売買契約は助役への委任事務とされており(丙28),公社との売買契約については,市長に指揮監督権はないから,被控訴人に指揮監督義務違反の責任があるとする控訴人の主張は成り立たない。 また,控訴人は,財務会計上の行為は本件売買契約の締結であると主張しており,本件売買契約を締結したのは, 監督権はないから,被控訴人に指揮監督義務違反の責任があるとする控訴人の主張は成り立たない。 また,控訴人は,財務会計上の行為は本件売買契約の締結であると主張しており,本件売買契約を締結したのは,当時のD助役であるから,被控訴人は,地方自治法242条の2第1項4号にいう「当該職員」に当たらないともいえる。 イ被控訴人は,平成8年12月18日,E課長から本件事業区域内の地権 者のうち3名が代替用地の提供を要望しており,本件土地がこれに適していること,取得価格はα地区の土地については京都府が買収する単価と同等の価値とし,β地区の土地についてはε自動車道用地を買収した先例を参考にして時点修正等を加えて算出した金額であるという説明を受けたので,本件土地を公共用地として先行取得する必要があり,かつ,取得価格が合理的に算出された公正な価格であると判断し,原案どおり本件土地の先行取得を決裁した。 その後,被控訴人は,平成12年度の期末までに代替用地が不要になった旨の報告を受けたが,本件土地の買収期限が平成14年3月31日となっていたため,平成13年度当初から本件土地の買収について担当課に検討させていた。その結果,γ湾に面する本件土地及び周辺の山林の荒廃が進んでいることから,国が平成10年度より進めている地方公共団体による森林の公有化事業を利用して,宮津市が本件土地を取得し森林整備を行うのが最適であるとの結論に達し,平成13年9月の宮津市議会定例会にその事業費4214万8000円を補正計上して諮ったところ,同議会の承認を得ることができた。 そこで,被控訴人は,支出負担行為伺兼支出伝票(乙12)が決裁に上ってきたので,本件売買契約が適法に締結されていること及びその金額が上記補正予算の範囲内であることを確認し,売買代金の支出を承認した。 以上のと 控訴人は,支出負担行為伺兼支出伝票(乙12)が決裁に上ってきたので,本件売買契約が適法に締結されていること及びその金額が上記補正予算の範囲内であることを確認し,売買代金の支出を承認した。 以上のとおり,被控訴人は,部下の作成した資料及び報告を検討し,すべて適法であると信じて決裁しているのであって,D助役に対する指揮監督義務違反もないから,被控訴人に違法若しくは不当な公金支出はなく,賠償責任は生じない。 (4)損害についての反論公社は,関係団体から公共用地の先行取得依頼があれば,予算議決による支払保証がある限り,これを受諾する義務があるので,宮津市と公社との間 の本件委託契約は,宮津市の平成8年12月19日付け「公共用地先行取得等の依頼及び土地の買取計画について」(乙3)の提出による契約の申込みによって成立することになる。 したがって,宮津市は債務の本旨に従った履行をするか,契約を解消して損害賠償を負うかの選択をせざるを得ず,いずれを選択しても売買代金相当額の支出を免れることはできないから,本件売買契約を締結して本件公金支出を行ったことは,宮津市の損害の発生を防止したことになるというべきである。 ,,,また仮に宮津市が本件委託契約の無効を主張し又はこれを解除すれば有責者として公社からの不法行為又は債務不履行による損害賠償請求を免れることはできず,仮にこれに応じなかった場合には,公社が本件土地の取得のために借り入れた金融機関の債務の返済について,宮津市は保証責任を負うことになるから,いずれにしても本件売買契約を締結したことは,宮津市の発生する損害の拡大を防ぐ行為であったというべきである。 第3当裁判所の判断 当裁判所は,控訴人の請求は,主文掲記の限度で認容すべきであると判断するものであり,その理由は以下のとおりである 市の発生する損害の拡大を防ぐ行為であったというべきである。 第3当裁判所の判断 当裁判所は,控訴人の請求は,主文掲記の限度で認容すべきであると判断するものであり,その理由は以下のとおりである。 控訴人は本件における財務会計行為は無効ないし違法な本件委託契約先,,(行行為)に基づく義務の履行として締結された本件売買契約(後行行為)である旨主張するところ,当該職員の財務会計上の行為がこれに先行する原因行為を前提として行われた場合であっても,当該職員の行為が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるときは,上記の規定に基づく損害賠償責任を当該職員に問うことができると解され,本件においては,先行行為である本件委託契約が私法上無効といえるか,あるいは本件委託契約が私法上無効といえないとしても,宮津市がその取消権又は解除権を有したり,又は本件委託契約が著しく合理性を欠きそのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し 得ない瑕疵が存し,かつ,客観的にみて宮津市が本件委託契約を解消することができる特殊な事情がある場合には,本件売買契約を締結したことが違法な財務会計行為となり得ることは,いずれも前記上告審判決の判示するとおりであるから,以下,この点について順次判断する。 「」,,,,(1)前記基礎となる事実に甲第4第5号証第16ないし39号証乙第1ないし4号証,第5号証の1,2,第6号証,第7号証の1,2,第8,第9号証,第10号証の1ないし3,第11ないし18号証,丙第1ないし11号証,第14号証,当審提出の丙第15ないし35号証,原審証人E及び同Fの各証言を総合すれば,以下の事実が認められる。 ,,ア宮津市は国の認可が予定されている本件事業の円滑な進行を図るため,,,昭和63年1 審提出の丙第15ないし35号証,原審証人E及び同Fの各証言を総合すれば,以下の事実が認められる。 ,,ア宮津市は国の認可が予定されている本件事業の円滑な進行を図るため,,,昭和63年12月17日α地区においてA構想概要の説明会を開催し本件事業への協力を要請した。 ところで,宮津市が京都府及び京都府土地開発公社から委託を受けた本件事業用地の買収については,代替地用地の取得は委託されていなかったが,本件事業区域内の土地の地権者の一人であったBが,平成2年7月以降,本件事業区域内の土地11筆のほか,同区域外のα地区の土地10筆の買取りに応じなければこれを民間業者に売却する意向を示し,法外な買取額を要求して,同区域内の土地の売却に容易に応じない態度をとったた,,,め宮津市は本件事業の買収業務に支障が生じるおそれがあると判断し同年8月10日,同区域外の上記土地を具体的な用途がないまま3900万円で買い取ったが,その後,国土利用計画法所定の届出懈怠により当該契約は無効となった。 イ京都府は,平成3年3月22日,国から本件事業の認可を受けたことから,公共用地の先行取得を京都府土地開発公社に依頼し,同公社は,宮津市に対し,本件事業用地のうち,平成4年12月都市公園区域,平成5年11月民間活用区域の各土地の取得業務を委託した。 宮津市は,上記委託を受けて,再びBとの間で本件事業区域内の上記11筆の土地の買収交渉を行ったが,上記同様,Bが同区域内の土地のほか同区域外の本件土地も含めないと買収に応じないとの姿勢を示し,高額な買取額を要求するなど,買収交渉が難航したことから,買収業務の支障を避けるためには,たまたま代替地を希望していた地権者3名もいたので,同人らに代替地を提供することを理由として,同区域外の本件土地を代替地 を要求するなど,買収交渉が難航したことから,買収業務の支障を避けるためには,たまたま代替地を希望していた地権者3名もいたので,同人らに代替地を提供することを理由として,同区域外の本件土地を代替地用地として先行取得せざるを得ないと判断した。代替地用地を先行取得することは,宮津市にとっても初めてのことであった。 本件土地は,上記のとおり,本件事業区域外に点在し,中には著しく狭小な土地(6.61㎡,16㎡,33㎡の物件)もあり,公道に接道しない崖地・斜面地も含まれていた。しかし,宮津市は,本件土地について具体的な測量をせず,希望者を現地に案内して代替地としての適否を確認するなどの措置も採らなかった。 ウ京都府土地開発公社は,本件事業区域内の土地の買収価格につき,山林の単価を530円,原野の単価を1940円,立木補償(自然林)の単価を210円とし,縄延び率の平均を山林については5.31倍,原野については1.8倍として実測面積を算定した(丙6,23。ただし,本件事)業区域内の原野の縄延び率には,地区間に1.064倍から3.472倍のばらつきがあった(丙24)。 宮津市は,本件土地が本件事業区域外に位置していたのに,その価格等を具体的に別途調査せず,また,実測を行うこともなく,α地区については,本件事業区域内で京都府土地開発公社が買収していた上記の数値及び縄延び率を採用した上,別紙「A公園代替用地一覧表」のとおり原野の単価を3400円(上記縄延び率を乗じた金額)と,山林の単価を2800円(同)として算定した。また,立木補償については,京都府土地開発公社が本件事業区域内のη財産区について自然林の単価を1100円として いた(この金額は,上記のとおり立木補償の単価210円に縄延び率5. 31倍を乗じたものである)のに対し,宮津市は,単価を11 社が本件事業区域内のη財産区について自然林の単価を1100円として いた(この金額は,上記のとおり立木補償の単価210円に縄延び率5. 31倍を乗じたものである)のに対し,宮津市は,単価を1100円と。 した上,更に縄延び率5.31倍を乗じることによって5800円と評価し,山林と立木補償の単価の合計を,同表記載のとおり8600円と評価した。 他方,θ地区の土地については,竹林であるにもかかわらず,宅地見込,,地として評価しε自動車道路の用地買収における宅地見込地の例に従い単価を2万3400円(上記縄延び率を乗じた金額。立木補償を含む。)と評価した。 エ上記のように,宮津市による本件土地の評価は,本件事業区域外に位置する本件土地の評価について,実測調査をすることもなく,安易に同区域内の土地に関する京都府土地開発公社の評価を採用し,かつ,立木補償については同公社の算定基準とも異なる方法で算定評価したものであって,このこと自体不当なものということができる。そして,上記の方法によって算定された宮津市の評価額は,殊に立木補償額について著しく不当に高額なものとなることは必然である上,本件土地周辺の土地の評価額と比較しても著しく高額であり(例えば,宮津市ι×番所在の山林の単価は180円〔甲37,平成8年度の京都府地価調査,標準地データとしてのα〕地区の山林単価は70円,β地区の山林単価は93円〔甲38,なお,以上の山林については,縄延び率を考慮しても,本件土地の山林の評価額を大幅に下回る,平成13年ないし平成14年当時の国道×号線沿いの。〕山林の取引事例の単価は2804円ないし3505円〔甲18,また,〕)通常,山林や原野よりも高額で取引される田の単価と比べても高いものであった(当審提出の丙25参照。 )ちなみに,平成4年 〕山林の取引事例の単価は2804円ないし3505円〔甲18,また,〕)通常,山林や原野よりも高額で取引される田の単価と比べても高いものであった(当審提出の丙25参照。 )ちなみに,平成4年11月当時,京都府道路公社は,宮津市ζ所在の山林2筆合計1241.94㎡(公簿面積2筆合計512㎡)を代金458 万2758円と立木補償金35万6000円で買収したが,その単価を計,. ,算すると山林で約3690円(458万2758円÷124194㎡)立木補償で約286円35万6000円÷124194㎡となる丙(. )(26。 )オ先行取得依頼に係る原議書(丙8)には「B氏所有のA公園等の用地,」,(),買収についてと題する表題の下A公園用地11筆の取得に当たり関連用地(α10筆,β5筆)の買収について(Bから)要請があったこと,その用途は「A公園関連用地(代替地等」であること,買収土地は)「山林・κ×-7ほか5筆,715.61㎡(台帳),原野・λ×ほか3筆1632.00㎡(台帳),山林・μ×ほか4筆1149.00㎡,契約金額3858万9646円(15筆)」と記載されていたものの,立木補償に関する記載はなく,買取金額の算定資料も添付されていなかった。 このような状況のもとで,被控訴人は,平成8年12月18日,担当課長,総務部長,D助役等の決裁に続いて最終決裁をした上(丙7,同月),()。 19日宮津市長兼公社の理事長として本件委託契約を締結した乙3そして,被控訴人は,本件委託契約に基づき公社の理事長として,同月24日,Bとの間で,本件土地の売買契約を締結した上(乙5の1,2,)公社は,宮津市が算出した前記の評価額に従い,売買代金3858万9646円を支払い,同月26日までに所有権 の理事長として,同月24日,Bとの間で,本件土地の売買契約を締結した上(乙5の1,2,)公社は,宮津市が算出した前記の評価額に従い,売買代金3858万9646円を支払い,同月26日までに所有権移転登記を経由した。 カその後,宮津市は,遅くとも平成13年6,7月ころまでに,3名の代替用地希望者全員がその取得を希望しなくなったため,本件土地を代替地用地として取得する必要はなくなった。 しかし,宮津市は,本件委託契約に基づき本件土地の買取義務があるほ,,か公社がBから買収した本件土地の取得資金をC信用金庫から借り入れ宮津市がその債務を保証していたことから,買取りが遅滞すればするほど。 ,公社の金利が嵩んで宮津市の損害が拡大するという懸念を抱いたそこで 宮津市は,本件土地を早急に買い取って公益的自然林整備事業に充てることにし,公社との間で平成14年3月18日,本件売買契約を締結し(乙8,被控訴人が宮津市の長として支出負担行為伺兼支出伝票(乙12))に最終決裁をした上,同月29日,公社に対し,本件土地の代金4214万7762円を支払い,その引き渡しを受けた(乙11。 )(2)本件委託契約(先行行為)の効力について上記認定事実によると,宮津市は,未だ先行取得の依頼や地権者からの代替地の要求も問題になっていなかった段階で,Bから,法外な買取額による本件事業区域外の本件土地(α地区の土地)の買取要求を受けたことを契機として,特に具体的な目的を定めることなくこれを取得した経過があり,同契約関係が一旦解消された後,再びBから上記同様の不相当な買取要求を受けて同人と買収交渉を再開し,結局,同人の要求に抗しきれず,同区域外の本件土地を代替地用地として取得せざるを得なくなったものであるところ,①まず,先行取得の対象となった代替地用地のすべ 買取要求を受けて同人と買収交渉を再開し,結局,同人の要求に抗しきれず,同区域外の本件土地を代替地用地として取得せざるを得なくなったものであるところ,①まず,先行取得の対象となった代替地用地のすべてがB一人の所有の本件土地であること自体不自然であること,②代替地であれば,希望者に受け入れてもらえるかどうかが重要であるから,事前に地権者を本件土地に案内するなどしてその意向を確認する必要があるのに,宮津市において当該措置を講じた形跡もないこと,③本件土地は,本件事業区域外に点在し,中には著しく狭小な土地もあり,公道に接道しない崖地・斜面地も含まれているなど代替地用地として適当な土地であるとは認められないこと,④本件土地は,本件事業区域外に位置し,かつ,代替地用地であるため,個別具体的な評価,,,,算定が必要となるはずであるのに宮津市は何ら実測調査を行うことなく個別具体的な評価の作業も実施せず,安易に同区域内の土地に関する京都府土地開発公社の評価を採用し,結果的に本件土地の買取額及び立木補償額が周辺土地の取引事例及び評価額を著しく超えるものとなり,とりわけ立木補償については,本来,縄延び率を考慮した単価が1100円であるのに,同 金額に更に縄延び率5.31を乗じて算定するなど,不当に高額に算定されていること,⑤本件事業区域内の各土地の縄延び率にはばらつきが存在するから,本件土地について上記縄延び率を一律に当てはめることも妥当とはいえないこと(なお,前記のとおり,平成13年6,7月ころには,すでに代替地用地の取得目的が消滅していたため,宮津市は,新たに公益的自然林整備事業に充てる目的で本件土地を取得することとしたものの,上記③のような本件土地の形状・特質に照らすと,本件土地が上記事業にとって効果的な,「」ものであるとは ,宮津市は,新たに公益的自然林整備事業に充てる目的で本件土地を取得することとしたものの,上記③のような本件土地の形状・特質に照らすと,本件土地が上記事業にとって効果的な,「」ものであるとは認められない上殊にβ地区の土地については宅地見込地として高額な評価をして本件委託契約を締結したにもかかわらず「山林」,として使用することを前提として本件委託契約の趣旨を変更し,その義務の履行として本件売買契約を締結することも著しく不合理である)がそれぞ。 れ認められ,以上の事実からすれば,本件委託契約は,そもそも代替地用地として取得する必要のない本件土地を対象とし,かつ,その取得価格も著しく高額で不当なものであったと認められるから,本件委託契約が控訴人主張のように公序良俗に違反し当然に無効であるとか,宮津市に私法上の取消権または契約解除権が認められるとはいえないとしても,本件委託契約は,上記のとおり著しく合理性を欠き,そのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するものといわなければならない。 (3)本件委託契約を解消することができる特殊な事情の有無についてそこで,すすんで本件上告審判決が指摘するところの,客観的にみて宮津市が本件委託契約を解消することができる特殊な事情があるか否かを検討するに,公社は,公共用地,公用地等の取得,管理,処分等を行うことにより地域の計画的な整備促進及びν林道周辺地の秩序ある開発を図り,もって住民福祉の増進に寄与することを目的とする(乙1,公社定款1条)ものであるから,本件委託契約は,もっぱら宮津市の公共用地の取得のために締結されたものというべきところ,上記のとおり本件委託契約の内容に看過し得な い瑕疵が存する場合にまで,宮津市に本件土地の取得を義務づけることは,宮津市において, 宮津市の公共用地の取得のために締結されたものというべきところ,上記のとおり本件委託契約の内容に看過し得な い瑕疵が存する場合にまで,宮津市に本件土地の取得を義務づけることは,宮津市において,利息を含めた代金相当額の出捐にとどまらず,将来にわたる本件土地の管理のために人的・物的な負担をせざるを得ず,より多額の不必要な公金の支出を余儀なくさせるという不合理な結果を生じること,本件委託契約については被控訴人が宮津市及び公社の双方の代表者として締結したものであること,被控訴人主張のとおり,公社の出資者は宮津市のほか11の地方公共団体であり,宮津市の出資額は全出資額の約14%にすぎないとしても,宮津市長が公社の成立以来公社の理事長を兼務していることは被控訴人らも自認していることを併せ考えると,客観的にみて被控訴人が宮津市の長として本件委託契約を解消することができる上記特殊な事情があると認めるのが相当である。 なお宮津市において本件委託契約先行行為に基づく本件売買契約後,()(行行為)の締結を拒否した場合には,公社ないし銀行から売買代金の履行請求権や保証責任(前記「基礎となる事実」(3)カ,キ)を問われる余地があるものの,宮津市がこれらの責任等を問われた場合には,その損害は,地方公共団体が被った損害として,別途,当該職員に対する損害賠償請求により填補され得るものであり,宮津市が保証責任等を問われる余地があることから直ちに,上記特殊な事情の存在を否定することはできないというべきである。 (4)被控訴人の責任の成否(被控訴人の権限)についてア本件売買契約(乙8)は,被控訴人が宮津市長と公社の理事長を兼務するため,D助役が宮津市を代表して公社との間で締結されたものであるところ(宮津市助役に対する事務委任規則。当審提出の丙28 ついてア本件売買契約(乙8)は,被控訴人が宮津市長と公社の理事長を兼務するため,D助役が宮津市を代表して公社との間で締結されたものであるところ(宮津市助役に対する事務委任規則。当審提出の丙28),D助役は,前記のとおり,本件委託契約に看過し得ない瑕疵が存し,かつ,同契約を解消すべき特殊な事情があることに照らし,漫然と違法な本件委託契約に基づく義務の履行として買取りのための本件売買契約を締結してはならな いという財務会計法規上の義務を負っているのに,本件売買契約を締結したのであるから,同売買契約の締結は違法な財務会計行為であるというべきである。 イところで,普通地方公共団体の長は,その権限に属する財務会計上の行為をあらかじめ特定の吏員に委任している場合であっても,同委任により処理された財務会計上の行為の適否が問題とされている代位請求住民訴訟において,地方自治法242条の2第1項4号にいう「当該職員」に該当し,かつ,普通地方公共団体の長の権限に属する財務会計上の行為を,委任を受けた吏員が処理した場合は,長は,同吏員が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により同吏員が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかったときに限り,普通地方公共団体が被った損害につき賠償責任を負うものと解される(最高裁平成5年2月16日第三小法廷判決・民集47巻3号1687頁)。 これを本件についてみると,宮津市長である被控訴人は,D助役に本件売買契約の締結を委任したものであり,これに基づき処理された本件売買契約(財務会計上の行為)の適否が問題とされているのであるから,法2「」。 42条の2第1項4号の当該職員に該当すると認めるのが相当であるそして,前記のとおり,先行行為である本件委託契約の内容が著しく 会計上の行為)の適否が問題とされているのであるから,法2「」。 42条の2第1項4号の当該職員に該当すると認めるのが相当であるそして,前記のとおり,先行行為である本件委託契約の内容が著しく合理,,,性を欠き予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存しかつ客観的にみて宮津市が本件委託契約を解消することができる特殊な事情があったのであるから,宮津市の長であった被控訴人としては,本件売買契約の締結を委任したD助役に対し,本件売買契約を締結することを阻止すべき指揮監督上の義務があったというべきであるにもかかわらず,かえって,前記のとおり本件売買契約代金の支払に関する支出負担行為伺兼支出伝票を最終決裁し(乙12),同市長兼公社理事長(双方代表)の立場で締結した本件委託契約の義務の履行として,D助役が本件売買契約を締結す ることを容認したものであるから,被控訴人が上記の義務に違反したことは明らかである。 この点につき,被控訴人は,上記の事務委任規則によると,宮津市が公社と締結する売買契約については助役への委任事務とされているので,本件売買契約については,被控訴人に指揮監督権はない旨主張するが,被控,,,訴人は売買契約の締結自体に関与できないとしても前記認定のとおり本件委任契約及び本件売買契約に実質的に関与し,かつ,D助役とともに同各契約の締結及びこれに基づく公金支出を決裁していることからすれば,被控訴人は同助役に対する指揮監督権を有しているものというべきであるから,上記主張は採用できない。 また,被控訴人は部下の作成した資料及び報告を検討し,すべて適法であると信じて決裁しているのであって,被控訴人には違法若しくは不当な公金の支出についての賠償責任はない旨主張するが,先行取得依頼に係る原議書(丙8)には立木 成した資料及び報告を検討し,すべて適法であると信じて決裁しているのであって,被控訴人には違法若しくは不当な公金の支出についての賠償責任はない旨主張するが,先行取得依頼に係る原議書(丙8)には立木補償に関する記載がなく,買取金額の算定資料も添付されていないなど,前記認定の事情に照らすと,部下からの報告により,本件土地の先行取得及び本件委託契約締結の必要性がないこと,並びに買取価格が不相当であることを容易に認識し得たにもかかわらず,被控訴人がそれらがすべて適法であると信じて決裁したことについては少なくとも過失があるというべきであるから,被控訴人は上記指揮監督義務違反を免れることはできないというべきである。 (5)損害の発生及び損害額について以上によれば,被控訴人は,宮津市に対し,被控訴人の上記義務違反により,本件売買契約に基づき宮津市が公社に支払った売買代金相当額4214万7762円の支払義務があるというべきである。 この点に関し,被控訴人は,本件委託契約に基づき,債務の本旨に従った履行をするか,契約を解消して損害賠償を負うかの選択をせざるを得ず,い ずれの選択をしても,売買代金額相当額の支出を免れないから,本件売買契約を締結して本件公金支出を行ったことは,宮津市の損害の発生又はその拡大を防止したことになる旨主張する。 しかし,上記主張は,本件のように先行行為である本件委託契約に看過し得ない瑕疵があり,本件委託契約に基づく義務の履行として買取りのための本件売買契約を締結してはならないという財務会計法規上の義務に違反して同契約を違法に締結した場合であっても,宮津市が売買契約を締結することができることを前提とするものであり,地方財政の健全化を求める地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項等の財務会計法規の趣旨に反する上,公社及びC た場合であっても,宮津市が売買契約を締結することができることを前提とするものであり,地方財政の健全化を求める地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項等の財務会計法規の趣旨に反する上,公社及びC信用金庫から前記のとおり保証責任の追及ないし債務不履行に基づく損害賠償請求を受けた場合には,別途,地方公共団体が被った損害として解決すべきものであることは前記説示のとおりであるから,被控訴人の上記主張は採用することができない。 他方,控訴人は,本件売買契約の代金支払のために補正予算として議決された4214万8000円を損害と主張するが,本件における損害額は,上記のとおり宮津市が公社に支払った売買代金相当額とすべきであるから,この点に関する控訴人の請求は一部理由がない。 以上によれば,控訴人の請求は,前記の支払を求める限度において理由があるから,これを全部棄却した第一審判決は不当であって変更を免れない。 よって,第一審判決を変更し,控訴人の請求を上記の限度で認容し,その余を棄却し,なお,控訴人が求める仮執行宣言については,不必要と認め,これを付さないこととして,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第5民事部 裁判長裁判官大和陽一郎裁判官黒岩巳敏裁判官市村弘

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