昭和26(う)90 関税法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和26年3月22日 福岡高等裁判所 破棄自判
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      被告人を懲役七月に処する。      A丸(福岡地方検察庁昭和二十四年押収第八九四号)黒砂糖千二百斤 (Bの保管に係る分)を没収する。      

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判決文本文2,753 文字)

主文 原判決を破棄する。 被告人を懲役七月に処する。 A丸(福岡地方検察庁昭和二十四年押収第八九四号)黒砂糖千二百斤(Bの保管に係る分)を没収する。 被告人から十二万九千六百円を追徴する。 原審の訴訟費用は被告人及原審相被告人C同Dの連帯負担とし当審の訴訟費用(国選弁護人水谷五郎に支給分)は全部被告人の負担とする。 理由 弁護人水谷金五郎の陳述した控訴の趣意は弁護人下尾栄の提出した控訴趣意書記載の通りであるから茲にこれを引用する。 控訴趣旨第一点に付て。 <要旨>原判決は証拠調を経ない書証を援用して犯罪事実を認定した違法があるというのである。よつて本件記録を</要旨>精査するに原判決に挙示してある原審の第一回公判調書の原審相被告人C、同Dの各供述記載部分は本件公判調書中これが証拠調をした事跡のないこと所論の通りである。たとえその余の証拠によつて判示事実を認定することができるとしても苟も証拠調をしない書証を証拠として綜合判断に供した以上原判決に影響を及ぼすものと認めるのが相当で訴訟手続は違法である。論旨は理由がある。原判決は破棄を免れない。 控訴趣旨第二点に付て。 原判決挙示の証拠(但し第一回公判調書中原審相被告人C、同Dの供述記載を除く)を綜合すると原判決判示事実を認めることができる。就中検察事務官E1作成のDの第一回供述調書(特に第六項以下)検察事務官E2作成の被告人の第二回供述調書(第一項乃至第七項)第三回供述調書(第一項乃至第五項)を綜合すると被告人に於て昭和二十四年六月十四日頃a島に於てF、G、H外数名と相談の上判示黒砂糖(被告人等が各自親戚から貰い受けたと称する約六百斤を除く)作業衣等を判示A丸に積み込み判示日時判示b港に陸揚げした事実を認め て昭和二十四年六月十四日頃a島に於てF、G、H外数名と相談の上判示黒砂糖(被告人等が各自親戚から貰い受けたと称する約六百斤を除く)作業衣等を判示A丸に積み込み判示日時判示b港に陸揚げした事実を認めることがで来るから原判決に事実の誤認はない。論旨は理由がない。 控訴趣旨第三点に付て。 記録を精査して見ると原審の刑は稍重すぎるように思われるので原判決は破棄を免れない。論旨は理由がある。 控訴趣旨第四点に付て。 然し原審証人Iの『自分は菓子製造業を営んでおり昭和二十四年六月二十六日頃Jから黒砂糖正味千五百斤を一斤三百六十五円で買受けた、同人はc島から持つて来た砂糖で証紙もはつてあるから決して怪しい品物ではないと申した。Jが自分の家まで運んで来てくれたが証紙がなかつたのでJに尋ねると後で直ぐ持つて来ると申された黒砂糖はボール箱とか木箱とかいろいろなものに入れてあつた』旨の供述によると被告人に於て右黒砂糖を買受けた当時、売主Jの言分と証紙のはつてないボール箱、木箱等いろいろ容器に砂糖を入れてあつた事実等を比較し、右Jの「砂糖はc島から持つて来た」との言の信用出来ないこと、ひいて右砂糖は北緯d度以南の地域から税関の許可を得ず輸入されたものではないかと感ずいたものと推認することがで来る。原審公判に表われた証拠によつてはIが右黒砂糖を買受けた当時善意であつたと認めるに足りない。原判決に事実の誤認はない。右黒砂糖千二百斤を没収した原判決は正当である。 本件密輸入に係る砂糖一万二千斤につき被告人に共犯者としての責任があることは前記の通りであるから没収することので来ない黒砂糖一万八百斤につき原価一斤十二円(検察事務官作成の被告人の第二回供述調書中の記載による)の割合による合計金十二万九千六百円を被告人から追徴する旨の原判決は正当である。論旨は理由が とので来ない黒砂糖一万八百斤につき原価一斤十二円(検察事務官作成の被告人の第二回供述調書中の記載による)の割合による合計金十二万九千六百円を被告人から追徴する旨の原判決は正当である。論旨は理由がない。 よつて刑事訴訟法第三百九十七条に則り原判決を破棄しなほ記録に基いて直ちに判決することがで来ると思はれるので同法第四百条但書に則り次の通り自判する。 当審の認定した事実は原判決書摘示事実の通りであるから茲にこれを引用する。 右事実は原審で取調べた証拠中一、 大蔵事務官K作成の差押目録(昭和二十四年八月二十日付)一、 大蔵事務官L作成の差押目録二通(同年八月十二日付)B作成の保管証一、 司法警察員M作成の差押調書及押収品目録(各謄本)一、 司法警察員N作成の差押調書及押収品目録(各謄本)一、 司法警察員O作成の鑑定報告書二通一、 第三回公判調書中証人P、Q、Iの供述記載一、 第五回調書中証人R、Sの供述記載一、 第七回公判調書中証人T、U、V、Jの供述記載一、 第九回公判調書中証人P、Wの供述記載一、 検察事務官E2作成のPの第一回及び第二回の各供述調書一、 副検事X作成のYの第一回供述調書一、 検察事務官E2作成の被告人Zの第一回乃至第四回供述調書一、 検察事務官E2作成のCの第一回供述調書一、 検察事務官E3作成のCの第二回供述調書一、 検察事務官E1作成のDの第一回供述調書を綜合してこれを認める。 法律に照すに被告人の判示所為は裁判時法によると昭和二十五年法律第十七号第七十六条第一項昭和二十三年大蔵省令第五十九条に該当し行為時法によると昭和二十三年法律第百七号第七十六条第一項昭和二十三年大蔵省令第五十九号に該当するから刑法第六条に則り軽い後者の刑を適用処断することゝしその所定刑中懲役刑を 蔵省令第五十九条に該当し行為時法によると昭和二十三年法律第百七号第七十六条第一項昭和二十三年大蔵省令第五十九号に該当するから刑法第六条に則り軽い後者の刑を適用処断することゝしその所定刑中懲役刑を選択しその刑期の範囲内で被告人を懲役七月に処し押収に係るA丸(福岡地方検察庁昭和二十四年押収第八九四号)及黒砂糖千二百斤(Bの保管分)に付ては関税法(昭和二十三年法律第百七号)第八十二条第一項第二項を適用してこれを没収し判示密輸入に係る黒砂糖一万二千斤中右没収したもの一万八百斤は没収することがで来ないから同法第八十三条第三項を適用し原価一斤につき金十二円(前記被告人の第二回供述調書中の記載に基く)の割合による金十二万九千六百円を被告人から追徴すべきものとし原審の訴訟費用は刑事訴訟法第百八十一条第一項第百八十二条に則り全部被告人及原審相被告人C、同Dの連帯負担とし当審の訴訟費用(国選弁護人水谷金五郎に支給分)は刑事訴訟法第百八十一条第一項に則り全部被告人に負担させることゝし主文の通り判決した。 (裁判長裁判官仲地唯旺裁判官青木亮忠裁判官藤田哲夫)

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