判決平成14年2月21日神戸地方裁判所平成12年(ワ)第1647号管理委託料等請求事件 主文 1 被告は、原告に対し, 6177万4477円及び内金5773万3200円に対する平成13年12月11日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 この判決は, 1項に限り, 仮に執行することができる。 事実 第1 当事者の求める裁判 1 請求の趣旨主文同旨 2 請求の趣旨に対する答弁(1) 原告の請求を棄却する。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 第2 当事者の主張 1 請求原因(1) 原告は委託を受けてマンションの管理運営及び環境維持等を行うことを主たる業務とする株式会社, 被告は兵庫県高砂市a町bc番地d所在のマンション「高砂アーバンコンフォート」(以下「本件マンション」という。)の区分所有者を構成員とする管理組合である。 (2) 原告(受託者)と被告(委託者)とは, 平成元年8月18日, 本件マンションにつき管理委託契約を締結した。 (3) 同管理委託契約に基づく委託料(月額, 消費税別)は, 原被告の協議により次のとおり変更された。 元年9月~2年8月 1,820,000(円) 7年9月~同8年8月 2,031,0002年9月~3年8月 1,871,500 8年9月~同9年8月 1,638,0003年9月~4年8月 1,945,000 9年9月~同年12月 1,456,0004年9月~6年8月 1,965,000 10年1月以降 1,896,0006年9月~7年8 年8月 1,945,000 9年9月~同年12月 1,456,0004年9月~6年8月 1,965,000 10年1月以降 1,896,0006年9月~7年8月 1,975,000 (いずれも年号の平成を省略)(4) 被告は, 平成11年7月分以降の管理委託料を支払わず, 同13年11月分までの滞納額(消費税込み)及び遅延損害金(各月の未払金に対する平成13年12月10日までの商事法定利率による)の累積額は, 別紙「未収金・遅延損害金計算書」記載のとおりであり, その総額は以下のとおりである。 未払金(平成11年7月分~同13年11月分) 57,733,200円遅延損害金 4,041,277円(5) よって, 原告は被告に対し, 原被告間の管理委託契約に基づき, 6177万4477円及び内金5773万3200円に対する平成13年12月11日から支払済みまで商事法定利率年6%の割合による遅延損害金の支払を求める。 2 請求原因に対する認否(1) 請求原因(1)は認める。 (2) 同(2)のうち, 管理委託契約締結日が平成元年8月18日であることを否認し(契約締結日は平成10年4月20日である。), その余は認める。 (3) 同(3)のうち, 平成7年9月分以降につき否認し(平成7年9月分以降は暫定的額として合意したものである。), その余は認める。 (4) 同(4)のうち, 被告が管理委託料を支払っていないことを認める。 3 抗弁(1) 同時履行被告は, 別紙クレーム一覧表(以下「クレーム一覧表」という。)記載の債務が履行されるまで, 管理委託料の支払 託料を支払っていないことを認める。 3 抗弁(1) 同時履行被告は, 別紙クレーム一覧表(以下「クレーム一覧表」という。)記載の債務が履行されるまで, 管理委託料の支払を拒絶する。 (2) 管理委託料に関する合意原被告は, 平成10年10月15日, 次のことを条件として暫定的に10期(平成10年9月1日から同11年8月31日まで)の管理委託料を1か月199万0800円支払うことを合意した。しかし, 被告が次に記載する条件アを履行しないので, 管理委託料を1か月199万0800円支払う合意は解消され,11期以降の管理委託料は協議の上決定することになったが,未だ決定されていないから被告には支払義務はない。 ア原告は過去の管理業績の不備(クレーム一覧表の被告主張欄記載)を順次整備する。 イ今後, 原告の月間の業務で不履行の場合は持ち越さず, もし持ち越したときは, 達成するまで被告は管理委託料の支払を留保する。 (3) 相殺ア原告は被告の基本財産(とりわけクレーム一覧表の1,2記載の各書類)を紛失し, 被告組合員に精神的打撃を与え, これは念書(乙2)の差入れにより慰謝されるものではなく, 慰謝料は6000万円(組合員一人当たり15万円相当)を下らない。 イ被告は, 平成13年7月17日の弁論準備期日において, 同慰謝料請求権をもって, 本訴請求権と対当額において相殺する旨の意思表示をした。 4 抗弁に対する認否抗弁をいずれも否認する。 (1) そもそも, 原告主張のクレームは管理委託業務と何らの関係がなく, 被告が同クレームを理由に管理委託料の支払を拒絶することはできない。仮に,抗弁が認められるとしても, 原 否認する。 (1) そもそも, 原告主張のクレームは管理委託業務と何らの関係がなく, 被告が同クレームを理由に管理委託料の支払を拒絶することはできない。仮に,抗弁が認められるとしても, 原告は可能な限り履行しており, 原告に条件の不履行はない(クレーム一覧表の原告主張欄記載)。 (2) 平成10年10月15日の合意内容は次のとおりであって, 管理委託料の支払に条件は付されていない。 ア被告は, 本期4月ころより日常の業務が順当に対処していることを認め,未払いの管理委託料を支払い清算する。 イ管理委託料は, 過去の日常業務の不備等を考慮して約定の管理料の80%とする。 ウ過去の管理業務の不備については順次整備する。 (3) 個々の組合員に精神的損害があったとしても, 管理組合である原告に請求する根拠はない。 理由 1 請求原因(1)は当事者間に争いがない。 2 同(2)のうち, 原被告間に本件契約が締結された事実は当事者間に争いがなく, 契約締結時期については, 証拠(甲6, 乙40, 証人甲)によれば, 本件マンションは平成元年に建設され, 本件マンションに入居した区分所有者と原告との間に順次管理委託契約が締結されこと, 管理組合(被告)が結成された平成元年8月18日に, 被告と原告との間に前記管理委託契約の内容と同じ管理委託契約が締結されたことが認められる。 3 同(3)のうちの平成7年9月分までの管理委託料, 同(4)中, 被告が平成11年7月分以降の管理委託料の支払をしていないことは当事者間に争いがない。 4 証拠(甲1, 6~9, 乙2, 41,証人甲, 被告代表者)によれば,次の事実が認められる。 (1 が平成11年7月分以降の管理委託料の支払をしていないことは当事者間に争いがない。 4 証拠(甲1, 6~9, 乙2, 41,証人甲, 被告代表者)によれば,次の事実が認められる。 (1) 原告は, 管理業務契約書(甲1)の管理業務仕様書に明示されている業務(管理費等の徴収・諸費用の支払及びその報告, 被告の理事会や総会の運営協力,施設のメンテナンスや修繕の折衝等, 共用部分の諸設備の保守点検,清掃等)を行ってきた。 (2) 乙は, 平成6年に本件マンションを購入し, 同7年11月に被告の理事長に就任し, 別紙クレーム一覧表の21番を除く原告欄の各クレーム(以下「本件クレーム」という。)を原告に申し入れるようになった。なお, クレーム一覧表21番は乙の専有部分での漏水に関するもので, 同11年1月ころに申し入れがあったものである。 (3) 被告は, 本件クレームを理由に管理委託料の支払を拒むようになり, 原被告は, 度々協議して暫定的に支払額を定め, 別紙「管理委託料入金状況」のとおり,暫時入金が行われてきた。 (4) クレーム一覧表1, 2番に関し, 原告は, 建築確認及び許可の書類が紛失していたため, 紛失の陳謝と, 後日に同書類に起因する紛糾の場合は原告の責任と負担で処理解決する旨の平成8年5月27日付け念書(乙2)を差し入れた。なお,建築確認に関する書面がないことにより, 現実に被告に不都合が生じたことはない。 (5) 平成10年10月15日, 原告(担当者甲外3名)と被告(乙外4名)との間で, 管理委託料について協議がなされた。同協議について, 被告作成の第九期第12回理事会議事録には, 次のとおり記載されている。 「第9期の管理委託料については, 9月~12月の4ヶ月分 で, 管理委託料について協議がなされた。同協議について, 被告作成の第九期第12回理事会議事録には, 次のとおり記載されている。 「第9期の管理委託料については, 9月~12月の4ヶ月分は182万円の60%払の残金は, 双方が20%の負担で折り合った, 1月~8月は今期の4月頃より業務が順当に対処している事を認め, 管理組合算定額を了解しているので, 未だ, 厳密にすれば不満が残るが先のことを考え決着を付けた。(中略)第十期の管理委託料については, 管理委託契約の業務使用内容の範囲が詳らかでなく, 業界の一般業務から考えて見解の相違もあり算定までに協議することにして, 差し当たって管理組合が試算算定額(月額1,990,800円消費税込み)で支払うことにした。尚, 過去の管理業績の不備は順次整備する事と, 今後月間の業務が不履行の場合は持ち越さず達成するまで,管理委託料の支払を留保する事を条件とした。」これに対し, 原告は同年12月2日付け書面で, 同議事録記載の条件が明示されたことはない旨を被告に通知した。 (6) 平成10年11月8日に開催予定の被告の第9期定期総会議案書の第十期収支予算案には「管理委託料は, 前々期より管理会社と審議中につき算定額ではありません, 収支予算編成のため, 管理組合の算定額で計上したことを,ご承知おき下さい。」との注意書があり, 同総会議事録には, 同予算案どおり承認されたこと,管理委託料につき前項の理事会議事録記載のとおり報告がなされたことが記載されている。なお, 第10期は平成10年9月1日~同11年8月31日である。 (7) 原被告間で平成11年11月7日付管理委託契約書の調印がなされ, 同契約書には管理委託料が月額189万6000円(消費税 お, 第10期は平成10年9月1日~同11年8月31日である。 (7) 原被告間で平成11年11月7日付管理委託契約書の調印がなされ, 同契約書には管理委託料が月額189万6000円(消費税9万4800円別)と記載されている。なお, すでに, 同9年11月9日開催された被告定期総会において,同管理委託契約書(ただし, 管理委託料部分が白紙のもの)のとおりの修正が可決されている。また, 管理委託料月額189万6000円は, 乙を中心した被告理事らが世間一般の管理料等を参考に算定し, 原告に呈示した金額である。 5 同時履行(抗弁(1))について被告は, 本件クレームの不履行が管理委託契約の債務不履行にあたると主張しながら, 本件クレームが管理委託仕様書の管理業務のどれに当たるのかを全く説明しない。そもそも, 本件クレームの大部分が委託された管理業務には含まれず,クレーム一覧表の18,19,22がわずかに管理業務に含まれると考えられるものの, 被告の主張自体から原告に債務不履行があったとまで認めることは困難である。 また, 被告代表者は, 本人尋問において, 平成10年10月当時には原告の業務が順調に推移していたことを認め, その後については, 「細かいことを言いますと切りがありません。」と述べるにとどまり, 原告の業務につき債務不履行があったことを認めるに足りる証拠はない。 したがって, 被告に債務不履行がない以上, 抗弁(1)は理由がない。 6 管理委託料に関する合意(抗弁(2))についてなるほど, 第九期第12回理事会議事録(甲7)の記載, 第9期定期総会議案書の第十期収支予算案の注意書き(乙41)によれば, 被告主張の合意がなされたかのごとく考えられる。しかしながら, 理事会議 なるほど, 第九期第12回理事会議事録(甲7)の記載, 第9期定期総会議案書の第十期収支予算案の注意書き(乙41)によれば, 被告主張の合意がなされたかのごとく考えられる。しかしながら, 理事会議事録は被告が一方的に作成するものであること, 原告が同議事録の記載につき直ちに書面で異議を唱えていることは前記認定のとおりである。また, 本件クレームの大部分が原告の業務内容に含まれないこと, しかも, 原告がどれだけのことをすれば本件クレームの履行というのか必ずしも明確にはなっていないこと(ことに, クレーム一覧表1, 2は原告以外の者の責任追及までを原告に求めており, 原告のみで対処できるようなことではない。), 原告は管理業務を履行しており, 同業務に経費が生じることは明らかであること等からすると, 原告が本件クレームの履行を管理委託料支払の条件とすることに応じることは通常考えにくいことである。 以上によれば, 被告主張のような合意があったとは認められず, 抗弁(2)も理由がない。 7 相殺(抗弁(3))について原告がクレーム一覧表の1,2記載の各書類を紛失し, 念書(乙2)を差し入れたことは前記認定のとおりである。しかしながら, 同書類の紛失によって, 被告が現実に何らか不都合を被って損害を受けた事実はなく, また, 将来, 損害を受ける可能性も定かではない。 また, 一般的に, 個々の被告組合員が精神的損害を被ることはあっても, 自然人のような感情を持たない管理組合という団体である被告が精神的損害を被ることはあり得ないし, 個々の組合員の慰謝料の総額が即被告の損害になることもあり得ない。 したがって, 抗弁(3)は主張自体失当であり, 到底認められるものではない。 8 そうすると, 被告 はあり得ないし, 個々の組合員の慰謝料の総額が即被告の損害になることもあり得ない。 したがって, 抗弁(3)は主張自体失当であり, 到底認められるものではない。 8 そうすると, 被告は, 原告に対して, 平成11年7月分以降の管理委託料を支払うべきであり, その金額は, 契約書(甲1)に定められた月額189万6000円(消費税込みでは199万0800円)であると解するのが相当である。 なお, 被告代表者は, 本人尋問において, 管理組合は189万6000円の管理料を納得したものではない, 原告が勝手に金額を記載して判をつけといってきた等と述べる。しかし, 同契約書に被告代表者が記名押印しており, その効力についても争っていないのであるから, 同契約書は有効であり, 原告が同契約書に定められた業務を履行している以上, 被告は、原告に対し、管理委託料を支払う義務がある。 9 以上によれば, 原告の請求は理由があるからこれを認めることとし, 訴訟費用につき民事訴訟法61条を, 仮執行宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して, 主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第5民事部裁判官永田眞理・(別紙) 管理委託料入金状況平成9年2月4日 7,498,400(円)同年2月26日 1,874,600同年3月14日 1,874,600同年4月24日 1,874,600同年5月22日 1,874,600同年6月25日 1,874,600同年12月26日 1,663,480同年12月29 1,874,600同年5月22日 1,874,600同年6月25日 1,874,600同年12月26日 1,663,480同年12月29日 4,586,40010年10月26日 21,436,80011年2月25日 3,981,600同年3月15日 1,990,800同年4月15日 1,990,800同年5月17日 1,990,800同年6月15日 1,990,800同年7月15日 1,990,800同年10月15日 1,990,800以上
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